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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088590
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】流体特性測定センサの取り付け具
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/30 20060101AFI20240625BHJP
   F16L 23/02 20060101ALI20240625BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01D11/30 S
F16L23/02 Z
F28F9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184024
(22)【出願日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】18/084,919
(32)【優先日】2022-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 生希
(72)【発明者】
【氏名】ルーク サウス
【テーマコード(参考)】
3H016
【Fターム(参考)】
3H016AA02
3H016AB06
3H016AB08
3H016AC01
3H016AD04
(57)【要約】
【課題】流体の特性を測定する際の作業性の向上を図ると共に流体の漏れを確実に防止する上で有利な流体特性測定センサの取り付け具を提供すること。
【解決手段】流体特性測定センサの取り付け具14Aは、流体流路12を構成する金属管10を切断し、その切断された金属管10の端部間に介設される。取り付け具14Aは、本体流路1606が貫通され温度センサ18と圧力センサ20とが予め取り付けられた本体16Aと、流体流路12と本体流路1606とを接続する一対の接続部材22とを備えている。一対の接続部材22として継手金具24Aを用いることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路を構成する金属管を切断し、その切断された前記金属管の端部間に介設される流体特性測定センサの取り付け具であって、
前記取り付け具は、
本体流路が貫通され前記本体流路が開口する一対の第1開口部を有し、前記本体流路を流れる流体の特性を測定する少なくとも一つのセンサが取り付けられた本体と、
前記一対の第1開口部が位置する前記本体の箇所にそれぞれ取り付けられると共に、前記金属管の端部に結合され前記流体流路と前記本体流路とを接続する一対の接続部材とを備えている、
ことを特徴とする流体特性測定センサの取り付け具。
【請求項2】
前記一対の接続部材は、前記金属管の端部に結合される継手金具である、
ことを特徴とする請求項1記載の流体特性測定センサの取り付け具。
【請求項3】
前記一対の接続部材は、前記流体流路と同一内径のフランジ流路が貫通されると共にこのフランジ流路が開口する一対の第2開口部を有するフランジであり、
前記本体と前記フランジとに、前記本体流路と前記フランジ流路とを同軸上に位置させる位置決め部が設けられ、
前記第1開口部の周囲と、前記一対の第2開口部のうちの一方の第2開口部の周囲との間に、前記第1開口部と前記第2開口部を介して前記本体流路と前記フランジ流路とを液密、気密に接続するシール部材が設けられ、
前記一対の第2開口部のうちの他方の第2開口部が設けられた前記フランジの箇所に結合部を介して前記金属管の端部が接続されている、
ことを特徴とする請求項1記載の流体特性測定センサの取り付け具。
【請求項4】
前記一対の接続部材のうちの一方の接続部材は、前記金属管の端部に結合される継手金具であり、
前記一対の接続部材のうちの他方の接続部材は、前記流体流路と同一内径のフランジ流路が貫通されると共にこのフランジ流路が開口する一対の第2開口部を有するフランジであり、
前記本体と前記フランジとに、前記本体流路と前記フランジ流路とを同軸上に位置させる位置決め部が設けられ、
前記第1開口部の周囲と、前記一対の第2開口部のうちの一方の第2開口部の周囲との間に、前記第1開口部と前記第2開口部を介して前記本体流路と前記フランジ流路とを液密、気密に接続するシール部材が設けられ、
前記一対の第2開口部のうちの他方の第2開口部が設けられた前記フランジの箇所に結合部を介して前記金属管の端部が接続されている、
ことを特徴とする請求項1記載の流体特性測定センサの取り付け具。
【請求項5】
前記位置決め部は、前記本体流路の端部に前記本体流路よりも大きい内径で設けられその内側に前記第1開口部が位置する大径部と、前記フランジから突設され前記大径部に挿入可能で前記フランジ流路が貫通された挿入管部とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項3または4記載の流体特性測定センサの取り付け具。
【請求項6】
前記フランジが取り付けられる前記第1開口部の周囲の前記本体の箇所は、第1合わせ面として形成され、
前記本体に取り付けられる前記フランジの箇所は、第1合わせ面に合される第2合わせ面として形成され、
前記第1合わせ面に雌ねじが設けられ、
前記本体流路と前記フランジ流路とが同軸上に位置決めされた状態で前記雌ねじに合致する前記フランジの箇所にボルト挿通孔が貫通形成され、
ボルトが前記ボルト挿通孔に挿入されて前記雌ねじに螺合されることで前記フランジが前記本体に取り付けられ、
前記雌ねじは、前記第1開口部を中心とした単一の円周上の前記第1合わせ面に等間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項3または4記載の流体特性測定センサの取り付け具。
【請求項7】
前記ボルト挿通孔は、前記フランジ流路の周方向に沿って延在する長孔で形成されている、
ことを特徴とする請求項6記載の流体特性測定センサの取り付け具。
【請求項8】
前記本体は、金属材料で形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の流体特性測定センサの取り付け具。
【請求項9】
前記本体と前記フランジは、金属材料で形成されている、
ことを特徴とする請求項2または3記載の流体特性測定センサの取り付け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属管に流体特性測定センサを取り付ける流体特性測定センサの取り付け具に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とを備え、それら流路を流れる熱媒体の間で熱交換を行なう二重管熱交換器が提供されている(特許文献1参照)。
このような二重管熱交換器の特性を測定するために、第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とのそれぞれを流れる熱媒体の温度および圧力を検出する必要がある。
具体的には、第1の熱媒体流路の入口近傍箇所と出口近傍箇所、および、第2の熱媒体流路の入口近傍箇所と出口近傍箇所の4箇所において熱媒体の温度および圧力を検出する必要がある。
従来は、第1、第2の熱媒体流路を形成する管体の壁部にそれぞれ貫通孔を設け、温度センサおよび圧力センサを熱交換器の外部から貫通孔を介して各熱媒体流路に挿入すると共に、各センサと貫通孔との間の隙間にシール材を充填して塞いだ上で、温度センサおよび圧力センサを、取り付け具を介して熱交換器に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-8236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、熱交換器の管体の壁部に貫通孔を設けると共に、貫通孔と温度センサおよび圧力センサとの隙間にシール材を充填するといった準備作業が必要となり、この準備作業には例えば10時間以上かかっている。
また、貫通孔と温度センサおよび圧力センサとの隙間に十分な量のシール材が充填されていないと、熱媒体の圧力によってシール材が隙間から剥がれて熱媒体が漏れ出し、温度センサや圧力センサの検出値に誤差が生じるおそれがある。
このような問題は、二重管熱交換器以外の熱交換器においても同様に生じるものである。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱交換器に流れる熱媒体などの流体の特性を測定する際の作業性の向上を図ると共に流体の漏れを確実に防止する上で有利な流体特性測定センサの取り付け具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、流体流路を構成する金属管を切断し、その切断された前記金属管の端部間に介設される流体特性測定センサの取り付け具であって、前記取り付け具は、本体流路が貫通され前記本体流路が開口する一対の第1開口部を有し、前記本体流路を流れる流体の特性を測定する少なくとも一つのセンサが取り付けられた本体と、前記一対の第1開口部が位置する前記本体の箇所にそれぞれ取り付けられると共に、前記金属管の端部に結合され前記流体流路と前記本体流路とを接続する一対の接続部材とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、簡単な作業により流体特性測定センサの取り付け具を金属管に介設できることから、測定作業の効率化を図る上で有利となり、流体の温度や圧力などの流体の特性を正確に測定する上で有利となる。
また、流体特性測定センサは予め本体に取り付けられているので、流体特性測定センサが取り付けられた本体の箇所から流体が漏れることもなく、流体の特性を正確に測定する上で有利となる。
したがって、測定エラーによるサンプル作成のやり直し作業を不要とし、測定作業の効率化を図る上で有利となり、測定時間の短縮化を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態の流体特性測定センサの取り付け具が金属管に介設された状態の正面図である。
図2】第1の実施の形態の本体の説明図で、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
図3】第2の実施の形態の流体特性測定センサの取り付け具が金属管に介設された状態の正面図である。
図4】第2の実施の形態の本体の説明図で、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図、(D)は(C)のD矢視図である。
図5】第2の実施の形態のフランジの説明図で、(A)は正面図、(B)は断面側面図である。
図6】第3の実施の形態の流体特性測定センサの取り付け具が金属管に介設された状態の正面図である。
図7】第3の実施の形態の本体の説明図で、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図である。
図8】第3の実施の形態のフランジの説明図で、(A)は正面図、(B)は断面側面図である。
図9】変形例のフランジが本体に取り付けられた状態の要部断面図である。
図10】変形例のフランジの説明図で、(A)は正面図、(B)は断面側面図である。
図11】配管用ナットの説明図で、(A)は正面図、(B)は断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
本実施の形態では、二重管熱交換器の特性を測定するために、第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とのそれぞれを流れる熱媒体の温度および圧力を検出するために用いられる流体特性測定センサの取り付け具について説明する。
したがって、本発明の実施の形態で用いる流体特性測定センサは熱媒体の温度を検出する温度センサと、流体の圧力を検出する圧力センサである。
【0009】
(第1の実施の形態)
まず、図1図2を参照して第1の実施の形態から説明する。
図1に示すように、金属管10の内部は流体が流れる、本実施の形態では熱媒体が流れる流体流路12となっている。
金属管10の流体流路12は、二重管熱交換器の第1の熱媒体流路あるいは第2の熱媒体流路である。
流体特性測定センサの取り付け具14Aは、流体流路12を構成する金属管10を切断し、その切断された金属管10の端部間に介設されるものである。
取り付け具14Aは、本体流路1606が貫通され温度センサ18と圧力センサ20とが予め取り付けられた本体16Aと、流体流路12と本体流路1606とを接続する一対の接続部材22とを備えている。
第1の実施の形態では、一対の接続部材22として継手金具24Aを用いている。
【0010】
図2に示すように、本体16Aは立方体状のブロックとして形成されている。
なお、本体16Aは、金属や合成樹脂など従来公知の様々な材料により構成してもよいが、流体流路12が金属管10で構成されていることから、本体16Aも金属により構成すると、流体流路12を流れる熱媒体の温度の変動などを抑制し熱媒体の特性を正確に測定する上で有利となり、さらに、本体16Aを金属管10と同一の金属材料で形成するとより有利となる。
また、本体16Aの形状は、円柱状や多面体状であってもよく、立方体に限定されない。
本体16Aに貫通された本体流路1606は、流体流路12と同一の内径で貫通形成され、流体流路12の延在方向の両端は一対の第1開口部1608となっている。
なお、本体流路1606の内径は、金属管10の流体流路12と同一の内径でなくてもよいが、本体流路1606を流体流路12と同一の内径で形成すると、流体流路12を流れる熱媒体の圧力の変動などを抑制し熱媒体の特性を正確に測定する上で有利となる。
本実施の形態では、本体流路1606は本体16Aの互いに対向する一対の端面1602にわたり貫通形成され、一対の端面1602には本体流路1606の第1開口部1608がそれぞれ位置している。
一対の端面1602には、本体流路1606と同軸上で本体流路1606よりも大きい内径の雌ねじ1609が形成され、第1開口部1608はこの雌ねじ1609の内側空間で形成されている。
【0011】
温度センサ18と圧力センサ20は、それらのセンサ部が本体流路1606内に位置するように本体16Aに液密に気密に取り付けられている。
温度センサ18と圧力センサ20の本体16Aへの取り付けは、一対の端面1602を接続する4つの側面1604のうちの1つの側面1604から本体流路1606に貫通形成された取り付け孔1610に、不図示のシール材を介して挿入することでなされている。
取り付け孔1610は、本体流路1606の延在方向に間隔をおいて設けられている。
なお、流体特性測定センサを複数設ける場合、それらを同一の側面1604に取り付けてもよく、あるいは、別々の側面1604に取り付けるなど任意である。
【0012】
図1に示すように、継手金具24Aは金属製であり、雌ねじ1609に螺合する雄ねじ管2402と、雄ねじ管2402の端部に雄ねじ管2402と一体に設けられたナット部2406と、雄ねじ管2402に回転可能に取り付けられたユニオンナット2404とを備えている。
雄ねじ管2402の内径は、金属管10の流体流路12と同一の内径でなくてもよいが、流体流路12と同一の内径を有する雄ねじ管2402を備える継手金具を用いると、流体流路12を流れる熱媒体の圧力の変動などを抑制し熱媒体の特性を正確に測定する上で有利となる。
継手金具24Aは、本体16Aの雌ねじ1609に雄ねじ管2402を螺合させて本体16Aに取り付けられ、また、金属管10の切断端部の雄ねじにユニオンナット2404を結合させて取り付けられている。これにより、本体流路1606と雄ねじ管2402と金属管10は同軸上で連結される。
【0013】
次に、流体特性測定センサの取り付け具14Aの金属管10への取り付けについて説明する。
まず、一対の継手金具24Aの雄ねじ管2402を本体16Aの雌ねじ1609にナット部2406を回転させて螺合し、一対の継手金具24Aを本体16Aに結合する。
次に、流体特性測定センサの取り付け具14Aを介設する箇所の金属管10を切断し、切断された一対の金属管10の各切断端部に不図示のダイスを用いて不図示の雄ねじを形成する。
そして、一対の金属管10の各切断端部の雄ねじをそれぞれ継手金具24Aのユニオンナット2404の内部に挿入し、ユニオンナット2404を回転させ、切断端部の雄ねじとユニオンナット2404の内周部の雌ねじとを螺合させることで、切断端部をユニオンナット2404の内部で結合する。
このような作業により流体特性測定センサの取り付け具14Aが金属管10へ介設される。
なお、継手金具24Aとして市販品を使用しているが、継手金具24Aは実施の形態の構造に限定されず、カプラーやソケット、ニップルなどを含む従来公知の様々な市販品が使用可能である。
【0014】
本実施の形態によれば、本体流路1606が貫通され、本体流路1606を流れる流体の温度と圧力を検出する温度センサ18と圧力センサ20が予め取り付けられた本体16Aと、流体流路12と本体流路1606とを接続する一対の接続部材22とを備え、接続部材22として継手金具24Aを用いている。
そのため、二重管熱交換器の特性を測定する際に、金属管10を切断する作業、金属管10の切断端部に雄ねじを形成する作業、継手金具24Aの一端を金属管10の各切断端部に結合する作業、継手金具24Aの他端を本体16Aに結合する作業といった簡単な作業により流体特性測定センサの取り付け具14Aを金属管10に介設でき、測定作業の効率化を図る上で有利となる。
しかも、温度センサ18と圧力センサ20は、シール材を介して予め本体16Aに取り付けられているので、熱媒体が温度センサ18と圧力センサ20とが取り付けられた本体16Aの箇所から漏れることもなく、熱媒体の温度と圧力を正確に測定する上で有利となる。
したがって、測定エラーによるサンプル作成のやり直し作業を不要とし、測定作業の効率化を図る上で有利となる。
従来、温度センサ18と圧力センサ20の金属管10への取り付け作業に10.5時間要していたのに対して、本実施の形態によれば2.5時間で済み、8時間の短縮化が図れた。
また、本体16Aと継手金具24Aは、金属管10と同様に金属材料で形成されているので、本体16Aと継手金具24Aの箇所で熱媒体の温度が変動するなどの不具合はなく、熱媒体の温度と圧力を正確に測定する上で有利となる。
この場合、本体16Aを金属管10と同一の金属材料で形成すると、熱媒体の温度と圧力を正確に測定する上でより有利となる。
【0015】
(第2の実施の形態)
次に、図3図5を参照して第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付してその説明を省略あるいは簡略化し、異なった箇所を重点的に説明する。
第2の実施の形態では、接続部材22として用いた一対の継手金具24Aの一方の継手金具24Aに代えてフランジ26Aを用いている点、また、一対の継手金具24Aの他方の継手金具24Aに代えて継手金具24Aと構造の異なる継手金具24Bを用いている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0016】
図4に示すように、本体16Bは、第1の実施の形態と同様に、金属管10を構成する金属と同一の材料で立方体状のブロックとして形成されている。
本体16Bの互いに対向する一対の端面1602にわたり本体流路1606が貫通形成されている。
温度センサ18と圧力センサ20は、それらのセンサ部が本体流路1606内に位置するように、第1の実施の形態と同様に、本体16Bに予め液密に気密に取り付けられている。
一対の端面1602のうちの一方の端面1602には、本体流路1606が貫通する雄ねじ管1611が突設され、本体流路1606の一対の開口部1620のうちの一方の開口部1620は、この雄ねじ管1611の先端に位置している。
一対の端面1602のうちの他方の端面1602には、本体流路1606と同軸上に本体流路1606よりも内径が大きい大径部1612が設けられ、この大径部1612の内側が、一対の開口部1620のうちの他方の開口部1620となっている。
この他方の第1開口部1620が位置する本体16Bの端面1602は、平面からなる第1合わせ面1622として形成されている。
第1開口部1620の周囲の第1合わせ面1622の箇所に雌ねじ1624が設けられ、雌ねじ1624は、第1開口部1620を中心とした単一の円周上に周方向に等間隔をおいて複数設けられている。
【0017】
図5に示すように、フランジ26Aは直方体状の板状を呈し、本体16Bと同一の金属材料で形成されている。
フランジ26Aの長手方向の一側に、フランジ26Aの厚さ方向に貫通するフランジ流路2602が形成され、フランジ流路2602の延在方向の両端は、フランジ流路2602が開口する第2開口部2604となっており、第2開口部2604は一対設けられている。
一対の第2開口部2604のうちの一方の第2開口部2604が位置するフランジ26Aの箇所は、平面からなり第1合わせ面1622に合される第2合わせ面2606として形成されている。
フランジ流路2602が位置する第2合わせ面2606の箇所に、この第2合わせ面2606の箇所から突出する挿入管部2608が設けられている。
挿入管部2608は、大径部1612、第1開口部1620から本体流路1606に挿入可能に設けられている。
【0018】
本実施の形態では、図3に示すように、第1合わせ面1622と第2合わせ面2606とが合わされた状態で本体流路1606とフランジ流路2602とを同軸上に位置させる位置決め部30が、挿入管部2608と大径部1612とにより構成されている。なお、位置決め部30は位置決めピンや位置決め用孔で構成するようにしてもよいが、実施の形態のように構成すると、挿入管部2608をフランジ26Aと本体16Bとを円滑に結合するためのガイド部材としても利用できることから構造の簡単化を図る上で有利となる。
また、挿入管部2608が大径部1612から本体流路1606に挿入された状態で、本体16Bの第1合わせ面1622の雌ねじ1624に合致するフランジ26Aの箇所にボルト挿通孔2610が貫通形成されている。
また、挿入管部2608の周囲全周に位置する第2合わせ面2606の箇所に環状の凹部2612が設けられている。
環状の凹部2612には、図3に示すように、シール部材28が配置される。
【0019】
シール部材28は、第1開口部1620の周囲と、第2開口部2604の周囲との間に配置され、本体流路1606とフランジ流路2602とを液密、気密に接続するものである。
シール部材28としては、ガスケットやOリングなど従来公知の様々なものが使用可能である。
また、一対の第2開口部2604のうちの他方の第2開口部2604の端面の箇所に、フランジ流路2602と同軸上で金属管10の端部が挿入されてロー付けするためのロー付け用凹部2614が設けられている。
ロー付け用凹部2614は、フランジ流路2602の内径よりも大きい寸法の内径で形成されている。
継手金具24Bは、第1の実施の形態の継手金具24Aの雄ねじ管2402に代え、本体16Bの雄ねじ管1611に螺合する雌ねじ管2410を備えている。
【0020】
流体特性測定センサの取り付け具14Bの金属管10への介設は、継手金具24Bの雌ねじ管2410を本体16Bの雄ねじ管1611にナット部2406を回転させることで結合させる。
次に、流体特性測定センサの取り付け具14Bを介設する箇所の金属管10を切断し、一方の金属管10の切断端部に不図示のダイスを用いて不図示の雄ねじを形成する。
そして、この雄ねじを継手金具24Bのユニオンナット2404の内部に挿入し、ユニオンナット2404を回転させることで一方の切断端部をユニオンナット2404の内部で結合する。
また、他方の金属管10の切断端部を、フランジ26Aのロー付け用凹部2614に挿入し、ロー付けによりロー付け用凹部2614の内周面に取り付ける。これにより一対の第2開口部2604のうちの他方の第2開口部2604と他方の金属管10の切断端部とが接続される。したがって、本実施の形態では、ロー付け用凹部2614と、金属管10の切断端部とロー付け用凹部2614の内周面とを取り付けるロー材とが、他方の第2開口部2604が設けられたフランジ26Aの箇所と他方の金属管10の切断端部とを接続する結合部を構成している。すなわち、他方の第2開口部2604が設けられたフランジ26Aの箇所に結合部を介して金属管10の切断端部が接続されている。
他方の金属管10の切断端部がロー付け用凹部2614に取り付けられたならば、環状の凹部2612にシール部材28を配置し、フランジ26Aの挿入管部2608を本体16Bの第1合わせ面1622に位置する第1開口部1620から本体流路1606に挿入し、本体16Bの第1合わせ面1622にフランジ26Aの第2合わせ面2606を合わせる。
そしてボルト挿通孔2610からボルトB1を挿通して雌ねじ1624に螺合させ、フランジ26Aを本体16Bに締結する。
なお、継手金具24Bよりも先にフランジ26Aを本体16Bに取り付けるなど任意である。
このような作業により流体特性測定センサの取り付け具14Bが金属管10へ介設される。
【0021】
本実施の形態によれば、本体流路1606が貫通され、本体流路1606を流れる流体の温度と圧力を検出する温度センサ18と圧力センサ20が予め取り付けられた本体16Bと、流体流路12と本体流路1606とを接続する一対の接続部材22とを備え、接続部材22としてフランジ26Aと継手金具24Bを用いている。
そのため、本実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
すなわち、二重管熱交換器の特性を測定する際に、金属管10を切断する作業、金属管10の一方の切断端部に雄ねじを形成する作業、継手金具24Bの一端を金属管10の切断端部に形成した雄ねじに結合する作業、継手金具24Bの他端を本体16Bに結合する作業、金属管10の他方の切断端部をフランジ26Aのロー付け用凹部2614にロー付けする作業、環状の凹部2612にシール部材28を配置する作業、フランジ26Aの挿入管部2608を本体16Bの本体流路1606に挿入する作業、フランジ26Aのボルト挿通孔2610に挿通したボルトB1を本体16Bの雌ねじ1624に締結する作業といった簡単な作業により流体特性測定センサの取り付け具14Bを金属管10に介設でき、測定作業の効率化を図る上で有利となる。
しかも、温度センサ18と圧力センサ20は、シール材を介して予め本体16Bに取り付けられているので、熱媒体が温度センサ18と圧力センサ20とが取り付けられた本体16Bの箇所から漏れることもなく、熱媒体の温度と圧力を正確に測定する上で有利となる。
したがって、測定エラーによるサンプル作成のやり直し作業を不要とし、測定作業の効率化を図る上で有利となり、第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0022】
また、他方の金属管10の切断端部のロー付け用凹部2614へのロー付け時、金属管10の周方向におけるフランジ26Aの角度が若干ずれたとしても、本体16Bの第1合わせ面1622に雌ねじ1624を複数設けたので、フランジ26Aのボルト挿通孔2610の遊び内でこのずれを吸収でき、本体16Bとフランジ26Aの締結作業を効率良く行なう上で有利となる。
また、本体16Bとフランジ26Aと継手金具24Bは、金属管10と同様に金属材料で形成されているので、本体16Bとフランジ26Aと継手金具24Bの箇所で熱媒体の温度が変動するなどの不具合はなく、熱媒体の温度と圧力を正確に測定する上で有利となる。
この場合、本体16Bとフランジ26Aを金属管10と同一の金属材料で形成すると、熱媒体の温度と圧力を正確に測定する上でより有利となる。
【0023】
(第3の実施の形態)
次に、図6図8を参照して第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態では、接続部材22として第2の実施の形態のフランジ26Aと若干構造が異なる一対のフランジ26Bを用いている点が第1の実施の形態と異なっている。
第3の実施の形態の流体特性測定センサの取り付け具14Cは、図6に示すように、温度センサ18および圧力センサ20が予め取り付けられた本体16Cと、金属管10を本体16Cに接続する一対のフランジ26Bを備えている。
【0024】
図7に示すように、本体16Cは、第1の実施の形態と同様に、金属管10を構成する金属と同一の材料で立方体状のブロックとして形成されている。
本体16Cには本体流路1606が貫通形成され、温度センサ18と圧力センサ20は、それらのセンサ部が本体流路1606内に位置するように本体16Cに液密に気密に取り付けられている。
本体流路1606の延在方向の両端は、本体流路1606よりも内径が大きい大径部1612として形成され、本体16Cの一対の端面1602でそれら大径部1612の内側は、本体流路1606の第1開口部1620がそれぞれ位置している。
一対の端面1602は、一対のフランジ26Bに対しての第1合わせ面1622として平面で形成されている。
第1開口部1620の周囲の第1合わせ面1622の箇所に雌ねじ1624が設けられ、雌ねじ1624は、第1開口部1620を中心とした単一の円周上に周方向に等間隔をおいて複数設けられている。
図8に示すように、第3の実施の形態のフランジ26Bは、第2の実施の形態のボルト挿通孔2620を、挿入管部2608を第1開口部1620から本体流路1606に挿入した状態で少なくとも隣り合う2つの雌ねじ1624が位置する長孔で形成したものであり、その他の箇所は第2の実施の形態のフランジ26Aと同様である。
【0025】
流体特性測定センサの取り付け具14Cの金属管10への介設は、まず、流体特性測定センサの取り付け具14Cを介設する箇所の金属管10を切断する。
次に、一対の金属管10の切断端部を、各フランジ26Bのロー付け用凹部2614に挿入し、ロー付けによりロー付け用凹部2614の内周面に取り付ける。これにより一対の第2開口部2604と一対の金属管10の切断端部とが接続される。したがって、第2の実施の形態と同様に、ロー付け用凹部2614とロー材とにより結合部が構成され、他方の第2開口部2604が設けられたフランジ26Bの箇所に結合部を介して金属管10の切断端部が接続されている。
金属管10の切断端部がロー付け用凹部2614に取り付けられたならば、環状の凹部2612にシール部材28を配置し、フランジ26Bの挿入管部2608を本体16Cの第1合わせ面1622の第1開口部1620から本体流路1606に挿入し、本体16Cの第1合わせ面1622にフランジ26Bの第2合わせ面2606を合わせる。
そしてボルト挿通孔2620からボルトB1を挿通して雌ねじ1624に螺合させ、フランジ26Bを本体16Cに締結する。
このような作業により流体特性測定センサの取り付け具14Cを金属管10へ介設でき、測定作業の効率化を図る上で有利となる。
【0026】
このような第3の実施の形態によっても第1、第2の実施の形態と同様な効果が奏される他、フランジ26Bのボルト挿通孔2620を少なくとも隣り合う2つの雌ねじ1624が位置する長孔で形成したので、金属管10の切断端部のロー付け用凹部2614へのロー付け時、金属管10の周方向におけるフランジ26Bの角度を考慮せずにロー付けでき、本体16Cとフランジ26Bの締結作業を効率良く行なう上でより有利となる効果が奏される。
【0027】
次に、図9図10を参照して接続部材22を構成するフランジ26A、26Bの変形例について説明する。
変形例のフランジ26Cは、他方の第2開口部2604が設けられたフランジ26Cの箇所と金属管10の切断端部とを接続する結合部の構成が第2、第3の実施の形態のフランジ26A、26Bと異なっている。
図9に示すように、変形例のフランジ26Cが本体16B、16C(図3図6参照)に取り付けられる構造は、第2、第3の実施の形態と同一である。
したがって変形例のフランジ26Cは、図10(A)、(B)に示すように、フランジ26A、26Bと同様に、フランジ流路2602、一対の第2開口部2604、第2合わせ面2606、挿入管部2608、環状の凹部2612、ボルト挿通孔2620を有し、環状の凹部2612には、シール部材28(図9参照)が配置されている。
また、フランジ26A、26Bと同様に、変形例のフランジ26Cの本体16B、16Cへの取り付けは、ボルト挿通孔2620からボルトB1を挿通して雌ねじ1624に螺合させ、フランジ26Cを本体16B、16Cに締結することでなされる。
【0028】
図10(B)に示すように、変形例のフランジ26Cでは、金属管10の切断端部をロー付けするためのロー付け用凹部2614が設けられておらず、ロー付け用凹部2614の代わりに雄ねじ管2630が突設されている。
すなわち変形例のフランジ26Cでは、第2合わせ面2606と反対の面にフランジ流路2602と同軸上に雄ねじ管2630が突設され、雄ねじ管2630の内部にはフランジ流路2602が貫通形成され、雄ねじ管2630の端部に一対の第2開口部2604のうちの他方の第2開口部2604が位置している。
金属管10の切断端部とフランジ26Cとは、この雄ねじ管2630と配管用ナット32とを介して結合されている。
図11(A)、(B)に示すように、配管用ナット32の内部には、金属管10の切断端部が挿脱可能な金属管挿入孔3202と、金属管挿入孔3202に続き次第に内径が大きくなる円錐面状のテーパ部3204と、テーパ部3204に続く雌ねじ部3206とが設けられている。
金属管10の切断端部とフランジ26Cとの結合は、金属管挿入孔3202から配管用ナット32の内部に金属管10の切断端部を挿入し、挿入後、図9に示すように、金属管10の切断端部に、工具により拡径した拡径部1002を作製する。
金属管10の切断端部に拡径部1002を作製後、拡径部1002を雌ねじ部3206を通過させてテーパ部3204に当接し、配管用ナット32を回転させて配管用ナット32の雌ねじ3206を雄ねじ管2630の雄ねじに螺合して締め付け、拡径部1002をテーパ部3204と雄ねじ管2630の先端とで挟持して固定する。
これにより金属管10の切断端部とフランジ26Cとが結合される。したがって、本実施の形態では、雄ねじ管2630と、配管用ナット32とが、他方の第2開口部2604が設けられたフランジ26Cの箇所と金属管10の切断端部とを接続する結合部を構成している。すなわち、他方の第2開口部2604が設けられたフランジ26Cの箇所に結合部を介して金属管10の切断端部が接続されている。
このような変形例のフランジ26Cを用いた流体特性測定センサの取り付け具14Dでも、流体特性測定センサの取り付け具14Dを金属管10へ簡単に確実に介設でき、測定作業の効率化を図る上で有利となる。
【0029】
なお、本実施の形態では、流体流路12を流れる流体が、二重管熱交換器の流体流路を流れる熱媒体である場合について説明したが、流体は熱媒体に限定されず様々な装置の流体流路を流れる流体の流体特性の測定に広く適用される。
【符号の説明】
【0030】
10 金属管
1002 拡径部
12 流体流路
14A、14B、14C、14D 流体特性測定センサの取り付け具
16A、16B、16C 本体
1602 一対の端面
1604 側面
1606 本体流路
1608,1620 第1開口部
1609 雌ねじ
1610 取り付け孔
1611 雄ねじ管
1612 大径部
1620 第1開口部
1622 第1合わせ面
1624 雌ねじ
18 温度センサ
20 圧力センサ
22 接続部材
24A、24B 継手金具
2402 雄ねじ管
2404 ユニオンナット
2406 ナット部
2410 雌ねじ管
26A、26B、26C フランジ
2602 フランジ流路
2604 第2開口部
2606 第2合わせ面
2608 挿入管部
2610 ボルト挿通孔
2612 環状の凹部
2614 ロー付け用凹部
2620 ボルト挿通孔
2630 雄ねじ管
28 シール部材
30 位置決め部
32 配管用ナット
3202 金属管挿入孔
3204 テーパ部
3206 雌ねじ部
B1 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11