IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JFEエンジニアリング株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社レンタルのニッケンの特許一覧 ▶ 株式会社コバコンの特許一覧

特開2024-88609寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法
<>
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図1
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図2
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図3
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図4
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図5
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図6
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図7
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図8
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図9
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図10
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図11
  • 特開-寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088609
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20240625BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
E01D22/00 A
G01B11/24 K
G01B11/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210544
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2022203392
(32)【優先日】2022-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390041449
【氏名又は名称】株式会社レンタルのニッケン
(71)【出願人】
【識別番号】522494411
【氏名又は名称】株式会社コバコン
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(72)【発明者】
【氏名】志賀 弘明
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕明
(72)【発明者】
【氏名】土肥 かおり
(72)【発明者】
【氏名】富吉 俊介
(72)【発明者】
【氏名】久保 創
(72)【発明者】
【氏名】小林 佳人
(72)【発明者】
【氏名】大谷 仁志
【テーマコード(参考)】
2D059
2F065
【Fターム(参考)】
2D059AA03
2D059AA05
2D059AA13
2D059AA31
2D059DD12
2D059EE10
2D059GG39
2F065AA04
2F065AA53
2F065CC14
2F065DD06
2F065FF01
2F065FF05
2F065FF09
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ21
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】足場を設置しなければその寸法を目視で測定することができない高所部位であっても、その寸法を、足場を設置せずに計測することができるようにする。
【解決手段】少なくとも一部の寸法が予め把握されている寸法部位を有する第1の移動可能体12を移動させて、計測対象物80の近傍の地点に配置する第1配置工程と、撮影手段14Aを搭載した第2の移動可能体14を移動させて、計測対象物80の写真の撮影が可能な写真撮影可能領域に配置する第2配置工程と、前記第2配置工程で第2の移動可能体14が配置された前記写真撮影可能領域内における、第1位置及び前記第1位置とは異なる第2位置のそれぞれで、計測対象物80と前記寸法部位とを被写体として一緒に含む写真を撮影する撮影工程と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物の寸法を計測する寸法計測方法であって、
少なくとも一部の寸法が予め把握されている寸法部位を有する第1の移動可能体を移動させて、前記計測対象物の近傍の地点に配置する第1配置工程と、
撮影手段を搭載した第2の移動可能体を移動させて、前記計測対象物の写真の撮影が可能な写真撮影可能領域に配置する第2配置工程と、
前記第2配置工程で前記第2の移動可能体が配置された前記写真撮影可能領域内における、第1位置及び前記第1位置とは異なる第2位置のそれぞれで、前記計測対象物と前記寸法部位とを被写体として一緒に含む写真を撮影する撮影工程と、
を有することを特徴とする寸法計測方法。
【請求項2】
前記計測対象物は橋梁構造物としての支承部であり、前記第1配置工程では前記第1の移動可能体を、前記支承部の近傍の地点に配置することを特徴とする請求項1に記載の寸法計測方法。
【請求項3】
前記第1の移動可能体は光源を備えており、前記撮影工程では、前記光源を用いて撮影することを特徴とする請求項1に記載の寸法計測方法。
【請求項4】
計測対象物の寸法を計測する寸法計測方法であって、
少なくとも一部の寸法が予め把握されている寸法部位を有する第1の移動可能体を移動させて、前記計測対象物の近傍の地点に配置する第1配置工程と、
撮影手段を搭載した第2の移動可能体を移動させて、前記計測対象物の写真の撮影が可能な写真撮影可能領域に配置する第2配置工程と、
前記第2配置工程で前記第2の移動可能体が配置された前記写真撮影可能領域内における、第1位置及び前記第1位置とは異なる第2位置のそれぞれで、前記寸法部位と前記計測対象物とを被写体として別々の写真に撮影するとともに、前記別々の写真として撮影した前記計測対象物の写真と前記寸法部位の写真との間を、写真をつなぎ合わせて連結できるラップ率で、前記第1位置および前記第2位置のそれぞれで撮影を行う撮影工程と、
を有することを特徴とする寸法計測方法。
【請求項5】
前記ラップ率は80%以上であることを特徴とする請求項4に記載の寸法計測方法。
【請求項6】
前記撮影工程で撮影した前記写真には、異なる地点から撮影された3枚以上の写真が含まれることを特徴とする請求項1に記載の寸法計測方法。
【請求項7】
前記撮影工程で撮影した前記写真のデータを用いて、前記計測対象物の3次元モデルを構築する3次元モデル構築工程と、
前記3次元モデル構築工程で構築した前記3次元モデルに基づいて前記計測対象物の寸法を算出する寸法算出工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の寸法計測方法。
【請求項8】
前記第1の移動可能体および前記第2の移動可能体のうち、少なくとも前記第1の移動可能体は空中を移動可能であり、前記第1配置工程において、前記第1の移動可能体を空中移動させて前記計測対象物の近傍の地点に配置することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の寸法計測方法。
【請求項9】
前記第1配置工程において、前記第1の移動可能体を空中移動させて前記計測対象物の近傍の地点に着陸させることを特徴とする請求項8に記載の寸法計測方法。
【請求項10】
前記第1の移動可能体は他の物体に付着可能な付着手段を備えており、前記第1配置工程では、該付着手段を前記他の物体に付着させて前記第1の移動可能体を前記計測対象物の近傍の地点に配置することを特徴とする請求項8に記載の寸法計測方法。
【請求項11】
前記付着手段は、磁力を用いた付着手段であることを特徴とする請求項10に記載の寸法計測方法。
【請求項12】
前記付着手段は、吸引手段を用いた付着手段であることを特徴とする請求項10に記載の寸法計測方法。
【請求項13】
前記第1配置工程において、前記第1の移動可能体を、空中に浮遊させた状態で前記計測対象物の近傍の地点に配置することを特徴とする請求項8に記載の寸法計測方法。
【請求項14】
請求項1~7のいずれかに記載の寸法計測方法を用いて、構造物の高所部位の寸法の計測を行う寸法計測工程と、
前記寸法計測工程で計測した前記高所部位の寸法に基づいて前記構造物についての設計を行う設計工程と、
工事実施のための足場を設置する足場設置工程と、
を有し、
前記寸法計測工程および前記設計工程を進めるのと並行して、前記足場設置工程を進めることを特徴とする工事段取り方法。
【請求項15】
前記構造物は橋梁であることを特徴とする請求項14に記載の工事段取り方法。
【請求項16】
前記寸法計測工程で寸法の計測を行う前記高所部位は前記橋梁の支承部であることを特徴とする請求項15に記載の工事段取り方法。
【請求項17】
請求項8に記載の寸法計測方法を用いて、構造物の高所部位の寸法の計測を行う寸法計測工程と、
前記寸法計測工程で計測した前記高所部位の寸法に基づいて前記構造物についての設計を行う設計工程と、
工事実施のための足場を設置する足場設置工程と、
を有し、
前記寸法計測工程および前記設計工程を進めるのと並行して、前記足場設置工程を進めることを特徴とする工事段取り方法。
【請求項18】
計測対象物の寸法を計測する寸法計測システムであって、
少なくとも一部の寸法が予め把握されている寸法部位を有する第1の移動可能体と、
撮影手段を搭載した第2の移動可能体と、
前記第1の移動可能体および前記第2の移動可能体の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の移動可能体が前記計測対象物の近傍に配置されるように前記第1の移動可能体の移動動作を制御するとともに、前記寸法部位が前記計測対象物と一緒に写り込んだ写真が少なくとも2枚以上含まれるように、異なる2か所以上の撮影位置で写真を撮影するように前記第2の移動可能体の移動動作および撮影動作を制御することを特徴とする寸法計測システム。
【請求項19】
前記寸法部位は、寸法計測の基準となる複数の寸法基準点を含んでなり、該複数の寸法基準点はそれぞれお互いに区別できる態様で設けられており、写真に写った前記寸法基準点が、前記第1の移動可能体のどの箇所に設けられたものであるのか判別することができるようになっていることを特徴とする請求項18に記載の寸法計測システム。
【請求項20】
前記第2の移動可能体が撮影した前記写真についてのデータを用いて、前記計測対象物の3次元モデルを構築する3次元モデル構築部と、
前記3次元モデル構築部が構築した前記3次元モデルに基づいて前記計測対象物の寸法を算出する寸法算出部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の寸法計測システム。
【請求項21】
前記計測対象物は橋梁の支承部であり、前記制御部は、当該橋梁の橋脚天端上であって前記支承部の近傍の地点に前記第1の移動可能体が配置されるように前記第1の移動可能体の移動動作を制御することを特徴とする請求項18~20のいずれかに記載の寸法計測システム。
【請求項22】
前記第1の移動可能体および前記第2の移動可能体のうち、少なくとも前記第1の移動可能体は空中を移動可能であり、前記制御部は、前記第1の移動可能体が空中移動して前記計測対象物の近傍の地点に配置されるように制御することを特徴とする請求項18~20のいずれかに記載の寸法計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法に関し、詳細には、移動可能体を用いた、寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法に関する。本願における前記移動可能体には、空中を移動可能なものと空中を移動可能ではないものの両方が含まれ、空中を移動可能な移動可能体には、マルチローター方式の無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle;本願では、原則として「UAV」と記載する。)が含まれ、UAVにはいわゆるドローンが含まれる。なお、本願において、「空中を移動可能」とは、地面または地面上の物体に接することなく移動可能なことをいう。
【背景技術】
【0002】
橋梁を安全に供用するためには、日常的な維持管理に加えて、橋梁の損傷状況に応じて補修、補強または更新を適切に行っていくことが必要である。当初の状態よりも構造を強化する補強を行う場合には補強設計が必要となり、上部構造の架け替えや補強、支承部の支承の交換を行う場合にはそのための設計が必要となる。また、損傷した構造を当初の状態に回復させる補修を行う場合も、補修設計が必要となることがある。
【0003】
これらの設計作業を行う場合、橋梁の現況を正確に把握することが重要であり、特に、上部構造の架け替えや補強、支承部の支承の交換を行う場合には、支承部の現状の寸法を正確に把握することが重要である。ここで、本願において、支承部には、支承の他に支承近傍の主桁等の部材の部位や下部構造(橋脚や橋台)の部位も含むものとする。
【0004】
支承部の現状の寸法を測定する際には、従来、近接目視での測定を行っており、一定以上の高さの橋脚の場合、足場を設置することが必要となっている。例えば、特許文献1の段落0004には、支承部のメンテナンス作業のためには足場を組むことが必要である旨が記載されているが、これと同様に、支承部の寸法を測定する際にも、現状では足場を設置することが必要となっている。また、交換する部材や設置する部材の搬入、取り付けのためにも足場は必要となる。
【0005】
一方、上部構造の架け替えや補強、支承部の支承の交換を行う場合の設計作業は、支承部を構成する支承や主桁等の現状の寸法が設計の前提として必要となるため、支承部の現状の寸法についての測定結果が得られるまでは、原則として着手できない。
【0006】
このため、支承部の現状の寸法が設計の前提として必要となる橋梁工事の場合、工事の受注から橋梁工事実施までの流れは、図6のフローチャートに示すように、工事受注(ステップS101)をした後、足場設置の協議を行い(ステップS102)、足場設置工事を行い(ステップS103)、設置した足場を利用して支承部の寸法についての測定を行い(ステップS104)、支承部の現状の寸法についての測定結果が得られた後に設計作業に着手し(ステップS105)、設計作業を実施し(ステップS106)、橋梁工事を実施する(ステップS107)という流れになる。したがって、現状では、上部構造の架け替えや補強、支承部の支承の交換を行う場合の設計作業は、工事を受注しても、ステップS102、S103、S104に要する期間である2~3か月は、着手ができないという状況であり、工事受注後に設計作業に着手できない手待ち期間が2~3か月程度発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6344879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、足場を設置しなければその寸法を目視で測定することができない高所部位であっても、その寸法を、足場を設置せずに計測することができる寸法計測方法および寸法計測システムならびに前記寸法計測方法を用いた工事段取り方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記課題を解決する発明であり、以下のような寸法計測方法および寸法計測システムならびに工事段取り方法である。
【0010】
即ち、本発明に係る寸法計測方法の第1の態様は、計測対象物の寸法を計測する寸法計測方法であって、少なくとも一部の寸法が予め把握されている寸法部位を有する第1の移動可能体を移動させて、前記計測対象物の近傍の地点に配置する第1配置工程と、撮影手段を搭載した第2の移動可能体を移動させて、前記計測対象物の写真の撮影が可能な写真撮影可能領域に配置する第2配置工程と、前記第2配置工程で前記第2の移動可能体が配置された前記写真撮影可能領域内における、第1位置及び前記第1位置とは異なる第2位置のそれぞれで、前記計測対象物と前記寸法部位とを被写体として一緒に含む写真を撮影する撮影工程と、を有することを特徴とする寸法計測方法である。
【0011】
ここで、「寸法部位」は、少なくとも一部の寸法が予め把握されていて、かつ写真撮影が可能な部位であり、外部から視認可能な部位である。
【0012】
また、本願において、移動可能体の配置とは、移動可能体が所定の位置で静止した状態になることをいい、移動可能体が地面または物体に接して所定の位置で静止した状態になる場合(例えば、飛行状態の移動可能体が地面または地面上の物体の上に所定の位置で着陸した状態になる場合(ここで、飛行状態の移動可能体の着陸とは、飛行状態の移動可能体が地面または地面上の物体の上に載置された状態になることをいう。))だけでなく、空中に浮遊した状態で所定の位置で静止した状態になる場合(例えばホバリングで空中に浮遊した状態で所定の位置で静止した状態になる場合)も含む。ここで、地面上の物体は、代表的には地面に固定された構造物であるが、配置された移動可能体をその物体に接した状態で静止させることができる一定の大きさを有し、かつ、地面上において位置が安定しているものであれば、構造物に限られない。
【0013】
また、前段落中の「物体に接して所定の位置で静止した状態になる場合」とは、当該物体の上向きの表面に接して所定の位置で静止した状態(例えば、当該物体の上向きの表面上に載置されて所定の位置で静止した状態)になる場合に限られるわけではなく、例えば、当該物体の下向きの表面、鉛直方向に広がる表面、傾斜した表面等に付着して所定の位置で静止した状態になる場合も含まれる。また、「物体に接して静止した状態になる場合」には、空中に浮遊した状態で当該物体に接して所定の位置で静止した状態になる場合(例えばホバリングで空中に浮遊した状態で当該物体の壁面に押し付けられて所定の位置で静止した状態になる場合)も含まれる。
【0014】
前二段落中に記載した内容は、本願において、本発明に係る寸法計測方法の第1の態様に関連する他の態様における記載内容においても、特段の記載がなければ、同様に当てはまるものとする。
【0015】
また、本発明に係る寸法計測方法の第1の態様において、前記第1の移動可能体を「前記計測対象物の近傍の地点に配置する」とは、本発明に係る寸法計測方法の第1の態様を実施することが可能なように前記計測対象物の近傍領域に前記第1の移動可能体を配置することを意味する。したがって、本発明に係る寸法計測方法の第1の態様を実施することが可能であるのであれば、前記第1の移動可能体を前記計測対象物からある程度の距離を取って配置した場合も、本発明に係る寸法計測方法の第1の態様において前記第1の移動可能体を「前記計測対象物の近傍の地点に配置する」場合に含まれる。本願において、本発明に係る寸法計測方法の第1の態様に関連する他の態様における「近傍」についても、特段の記載がなければ、同様に解釈するものとする。
【0016】
本発明に係る寸法計測方法の第2の態様は、前記第1の態様の寸法計測方法において、前記計測対象物は橋梁構造物としての支承部であり、前記第1配置工程では前記第1の移動可能体を、前記支承部の近傍の地点に配置することを特徴とする態様である。
【0017】
ここで、「橋梁構造物としての支承部」は、橋脚や橋台上に設置される支承を含むとともに、当該支承の周辺部位(例えば、当該支承近傍の主桁等の部材の部位や下部構造(橋脚や橋台)の部位)も含む。
【0018】
本発明に係る寸法計測方法の第3の態様は、前記第1の態様または前記第2の態様の寸法計測方法において、前記第1の移動可能体は光源を備えており、前記撮影工程では、前記光源を用いて撮影することを特徴とする態様である。
【0019】
本発明に係る寸法計測方法の第4の態様は、計測対象物の寸法を計測する寸法計測方法であって、少なくとも一部の寸法が予め把握されている寸法部位を有する第1の移動可能体を移動させて、前記計測対象物の近傍の地点に配置する第1配置工程と、撮影手段を搭載した第2の移動可能体を移動させて、前記計測対象物の写真の撮影が可能な写真撮影可能領域に配置する第2配置工程と、前記第2配置工程で前記第2の移動可能体が配置された前記写真撮影可能領域内における、第1位置及び前記第1位置とは異なる第2位置のそれぞれで、前記寸法部位と前記計測対象物とを被写体として別々の写真に撮影するとともに、前記別々の写真として撮影した前記計測対象物の写真と前記寸法部位の写真との間を、写真をつなぎ合わせて連結できるラップ率で、前記第1位置および前記第2位置のそれぞれで撮影を行う撮影工程と、を有することを特徴とする寸法計測方法である。
【0020】
ここで、本発明に係る寸法計測方法の第4の態様において、前記第1の移動可能体を「前記計測対象物の近傍の地点に配置する」とは、本発明に係る寸法計測方法の第4の態様を実施することが可能なように前記計測対象物の近傍領域に前記第1の移動可能体を配置することを意味する。したがって、本発明に係る寸法計測方法の第4の態様を実施することが可能であるのであれば、前記第1の移動可能体を前記計測対象物からある程度の距離を取って配置した場合も、本発明に係る寸法計測方法の第4の態様において前記第1の移動可能体を「前記計測対象物の近傍の地点に配置する」場合に含まれる。本願において、本発明に係る寸法計測方法の第4の態様に関連する他の態様における「近傍」についても、特段の記載がなければ、同様に解釈するものとする。
【0021】
本発明に係る寸法計測方法の第5の態様は、前記第4の態様の寸法計測方法において、前記ラップ率は80%以上であることを特徴とする態様である。
【0022】
本発明に係る寸法計測方法の第6の態様は、前記第1~前記第5の態様のいずれかの態様の寸法計測方法において、前記撮影工程で撮影した前記写真には、異なる地点から撮影された3枚以上の写真が含まれることを特徴とする態様である。
【0023】
本発明に係る寸法計測方法の第7の態様は、前記第1~前記第6の態様のいずれかの態様の寸法計測方法において、前記撮影工程で撮影した前記写真のデータを用いて、前記計測対象物の3次元モデルを構築する3次元モデル構築工程と、前記3次元モデル構築工程で構築した前記3次元モデルに基づいて前記計測対象物の寸法を算出する寸法算出工程と、をさらに備えることを特徴とする態様である。
【0024】
本願において、「計測対象物の3次元モデルを構築する」とは、3次元のレプリカ(複製)を実際に作製することや、ディスプレイ上に計測対象物の3次元画像を実際に表示することまでは要求されず、計算処理をすることにより、要求される精度を満たす計測対象物の寸法を算出することができるような計測対象物の外形の各点の位置座標についてのデータが得られれば、「計測対象物の3次元モデルを構築する」を満たすものとし、また、計算処理をすることにより、要求される精度を満たす計測対象物の寸法を算出することができるような計測対象物の外形の各点の位置座標についてのデータが得られるのであれば、計測対象物の外形の全体ではなくその外形の一部についての各点の位置座標についてのデータを得ることであっても、「計測対象物の3次元モデルを構築する」を満たすものとする。
【0025】
本発明に係る寸法計測方法の第8の態様は、前記第1~前記第7の態様のいずれかの態様の寸法計測方法において、前記第1の移動可能体および前記第2の移動可能体のうち、少なくとも前記第1の移動可能体は空中を移動可能であり、前記第1配置工程において、前記第1の移動可能体を空中移動させて前記計測対象物の近傍の地点に配置することを特徴とする態様である。
【0026】
本発明に係る寸法計測方法の第9の態様は、前記第8の態様の寸法計測方法において、前記第1配置工程において、前記第1の移動可能体を空中移動させて前記計測対象物の近傍の地点に着陸させることを特徴とする態様である。
【0027】
本発明に係る寸法計測方法の第10の態様は、前記第8の態様の寸法計測方法において、前記第1の移動可能体は他の物体に付着可能な付着手段を備えており、前記第1配置工程では、該付着手段を前記他の物体に付着させて前記第1の移動可能体を前記計測対象物の近傍の地点に配置することを特徴とする態様である。
【0028】
本発明に係る寸法計測方法の第11の態様は、前記第10の態様の寸法計測方法において、前記付着手段は、磁力を用いた付着手段であることを特徴とする態様である。
【0029】
本発明に係る寸法計測方法の第12の態様は、前記第10の態様の寸法計測方法において、前記付着手段は、吸引手段を用いた付着手段であることを特徴とする態様である。
【0030】
本発明に係る寸法計測方法の第13の態様は、前記第8の態様の寸法計測方法において、前記第1配置工程において、前記第1の移動可能体を、空中に浮遊させた状態で前記計測対象物の近傍の地点に配置することを特徴とする態様である。
【0031】
本発明に係る工事段取り方法の第1の態様は、前記第1~前記第13の態様のいずれかの態様の寸法計測方法を用いて、構造物の高所部位の寸法の計測を行う寸法計測工程と、前記寸法計測工程で計測した前記高所部位の寸法に基づいて前記構造物についての設計を行う設計工程と、工事実施のための足場を設置する足場設置工程と、を有し、前記寸法計測工程および前記設計工程を進めるのと並行して、前記足場設置工程を進めることを特徴とする工事段取り方法である。
【0032】
ここで、構造物の高所部位とは、何らかのアクセス手段を講じなければ、当該高所部位についての寸法を目視で測定することができない部位のことであり、具体的には例えば、一定以上の高さの橋脚の天端に設置された支承である。
【0033】
本発明に係る工事段取り方法の第2の態様は、前記第1の態様の工事段取り方法において、前記構造物は橋梁であることを特徴とする態様である。
【0034】
本発明に係る工事段取り方法の第3の態様は、前記第2の態様の工事段取り方法において、前記寸法計測工程で寸法の計測を行う前記高所部位は前記橋梁の支承部であることを特徴とする態様である。
【0035】
本発明に係る工事段取り方法の第4の態様は、前記第8~前記第13の態様のいずれかの態様の寸法計測方法を用いて、構造物の高所部位の寸法の計測を行う寸法計測工程と、前記寸法計測工程で計測した前記高所部位の寸法に基づいて前記構造物についての設計を行う設計工程と、工事実施のための足場を設置する足場設置工程と、を有し、前記寸法計測工程および前記設計工程を進めるのと並行して、前記足場設置工程を進めることを特徴とする工事段取り方法である。
【0036】
本発明に係る寸法計測システムの第1の態様は、計測対象物の寸法を計測する寸法計測システムであって、少なくとも一部の寸法が予め把握されている寸法部位を有する第1の移動可能体と、撮影手段を搭載した第2の移動可能体と、前記第1の移動可能体および前記第2の移動可能体の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の移動可能体が前記計測対象物の近傍に配置されるように前記第1の移動可能体の移動動作を制御するとともに、前記寸法部位が前記計測対象物と一緒に写り込んだ写真が少なくとも2枚以上含まれるように、異なる2か所以上の撮影位置で写真を撮影するように前記第2の移動可能体の移動動作および撮影動作を制御することを特徴とする寸法計測システムである。
【0037】
ここで、本発明に係る寸法計測システムの第1の態様において、前記第1の移動可能体が「前記計測対象物の近傍の地点に配置される」とは、本発明に係る寸法計測システムの第1の態様を実施することが可能なように前記計測対象物の近傍領域に前記第1の移動可能体が配置されることを意味する。したがって、本発明に係る寸法計測システムの第1の態様を実施することが可能であるのであれば、前記第1の移動可能体を前記計測対象物からある程度の距離を取って配置した場合も、本発明に係る寸法計測システムの第1の態様において前記第1の移動可能体を「前記計測対象物の近傍の地点に配置する」場合に含まれる。本願において、本発明に係る寸法計測システムの第1の態様に関連する他の態様における「近傍」についても、特段の記載がなければ、同様に解釈するものとする。
【0038】
本発明に係る寸法計測システムの第2の態様は、前記第1の態様の寸法計測システムにおいて、前記寸法部位は、寸法計測の基準となる複数の寸法基準点を含んでなり、該複数の寸法基準点はそれぞれお互いに区別できる態様で設けられており、写真に写った前記寸法基準点が、前記第1の移動可能体のどの箇所に設けられたものであるのか判別することができるようになっていることを特徴とする態様である。
【0039】
本発明に係る寸法計測システムの第3の態様は、前記第1の態様または前記第2の態様の寸法計測システムにおいて、前記第2の移動可能体が撮影した前記写真についてのデータを用いて、前記計測対象物の3次元モデルを構築する3次元モデル構築部と、前記3次元モデル構築部が構築した前記3次元モデルに基づいて前記計測対象物の寸法を算出する寸法算出部と、をさらに備えることを特徴とする態様である。
【0040】
本発明に係る寸法計測システムの第4の態様は、前記第1~前記第3の態様のいずれかの態様の寸法計測システムにおいて、前記計測対象物は橋梁の支承部であり、前記制御部は、当該橋梁の橋脚天端上であって前記支承部の近傍の地点に前記第1の移動可能体が配置されるように前記第1の移動可能体の移動動作を制御することを特徴とする態様である。
【0041】
本発明に係る寸法計測システムの第5の態様は、前記第1~前記第4の態様のいずれかの態様の寸法計測システムにおいて、前記第1の移動可能体および前記第2の移動可能体のうち、少なくとも前記第1の移動可能体は空中を移動可能であり、前記制御部は、前記第1の移動可能体が空中移動して前記計測対象物の近傍の地点に配置されるように制御することを特徴とする態様である。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、足場を設置しなければその寸法を目視で測定することができない高所部位であっても、その寸法を、足場を設置せずに計測することができる寸法計測方法および寸法計測システムならびに前記寸法計測方法を用いた工事段取り方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の第1実施形態に係る寸法計測システム10の構成を示すブロック図
図2】本発明の第1実施形態において、撮影用UAV14が計測対象物である支承部80を撮影している状況を模式的に示す模式図
図3】本発明の第1実施形態において用いる寸法基準用UAV12を示す図(A図:寸法基準用UAV12の正面図、B図:寸法基準用UAV12の上面図)
図4】本発明の第1実施形態に係る寸法計測方法の手順を示すフローチャート
図5】本発明の第1実施形態に係る工事段取り方法の手順を示すフローチャート
図6】支承部の現状の寸法が設計の前提として必要となる橋梁工事の場合についての工事の受注から橋梁工事実施までの従来の手順を示すフローチャート
図7】本発明の第2実施形態の実施状況の一例を模式的に示す模式図
図8】本発明の第2実施形態の実施状況の一例を模式的に示す拡大模式図(図7の一部の領域の拡大模式図)
図9】本発明の第2実施形態の実施状況の一例を模式的に示す模式図
図10】本発明の第2実施形態の実施状況の一例を模式的に示す拡大模式図(図9の一部の領域の拡大模式図)
図11】本発明の第2実施形態の実施状況の一例を模式的に示す拡大模式図(鋼主桁104の下フランジ下面に寸法基準用UAV26を付着手段24で付着させて静止させた状態を模式的に示す拡大模式図)
図12】本発明の第3実施形態の実施状況の一例を模式的に示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態の説明においては、橋梁の支承部の寸法を計測することを念頭に置いているが、本発明による寸法計測の適用対象が橋梁の支承部に限定されるわけではなく、支承部以外の橋梁の各部位や各構成部材の寸法計測にも本発明を用いることができる。また、本発明による寸法計測の適用対象が橋梁の各部位や各構成部材に限定されるわけではなく、本発明は、広く構造物全般を含む物体の各部位や各構成部材の寸法計測に用いることができる。
【0045】
(1)第1実施形態
(1-1)寸法計測システムの実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係る寸法計測システム10の構成を示すブロック図であり、図2は、本発明の第1実施形態において、撮影用UAV14が計測対象物である支承部80を撮影している状況を模式的に示す模式図であり、図3は、本発明の第1実施形態において用いる寸法基準用UAV12を示す図で、図3(A)は寸法基準用UAV12の正面図であり、図3(B)は寸法基準用UAV12の上面図である。
【0046】
本発明の第1実施形態に係る寸法計測システム10は、計測対象物の寸法を遠隔操作で計測することができる寸法計測システムであり、寸法基準用UAV12と、撮影用UAV14と、コンピューター16と、制御部50と、を有してなる。制御部50は通信部50A(図2参照)を備えており、寸法基準用UAV12および撮影用UAV14は制御部50と通信するための通信手段(図示せず)を備えている。制御部50は、寸法基準用UAV12および撮影用UAV14と電気信号で通信して、寸法基準用UAV12の飛行動作ならびに撮影用UAV14の飛行動作および撮影動作を制御する。
【0047】
寸法基準用UAV12は、計測対象物と同一の写真に写り込むことで、計測対象物の寸法を、撮影した写真から計算することができるように寸法の基準を提供することを役割とする。そのため、寸法基準用UAV12は、計測対象物の近傍の地点に着陸した状態で配置する。本第1実施形態では、寸法基準用UAV12は、制御部50からの電気信号による指令を受けて飛行し、橋梁100の橋脚102の天端上であって計測対象物である支承部80の近傍の地点であり、かつ、支承部80と同一の写真に写り込みやすい地点に着陸する。
【0048】
寸法基準用UAV12の機体には、図3(A)、(B)に示すように、複数箇所に寸法基準点12Aが設けられており、寸法基準点12Aは寸法基準用UAV12の機体に複数設けられている。図3(A)、(B)では寸法基準点12Aを同様の態様で描いているが、複数箇所に設けられた寸法基準点12Aは、それぞれお互いに区別できる態様で設けられており、写真に写った寸法基準点12Aが、寸法基準用UAV12の機体のどの箇所に設けられたものであるのか判別することができるようになっている。また、2つの寸法基準点12Aの間の距離は予め正確に計測されており、2つの寸法基準点12Aの一組で、寸法の基準となる寸法基準部位が構成されている。寸法基準用UAV12は複数の寸法基準点12Aを備えているので、少なくとも1つの寸法基準部位を備えている。制御部50は、2つの寸法基準点12A(即ち寸法基準部位)が、計測対象物である支承部80と一緒に写り込んだ写真が少なくとも2枚以上含まれるように、撮影用UAV14の撮影位置を調整して異なる2か所以上の撮影位置で撮影手段14Aに撮影させる。
【0049】
撮影用UAV14は、撮影手段14Aを搭載しているUAVであり、計測対象物である支承部80の写真を撮影する。また、その撮影では、計測対象物である支承部80と寸法基準用UAV12に設けられた寸法基準部位(2つの寸法基準点12A)とが一緒に写り込んだ写真を異なる2か所以上の撮影位置で撮影して、少なくとも2枚以上は撮影する。撮影手段14Aとしては、具体的には例えばデジタルカメラを用いることができる。撮影用UAV14は位置を適宜に変えることができるので、カメラの性能に応じた適正な撮影距離で撮影を行うことができる。また、寸法基準用UAV12は定常光を発する照明やフラッシュ等の光源(図示せず)を備えており、写真撮影の際に必要に応じて使用することができる。
【0050】
本第1実施形態では、撮影用UAV14は、制御部50からの電気信号による指令を受けて飛行して、計測対象物である支承部80に接近して、支承部80の写真の撮影が可能な写真撮影可能領域に配置され、そして、さらに制御部50からの電気信号による指令を受けて、搭載している撮影手段14Aで、計測対象物である支承部80の写真を撮影する。その撮影においては、寸法基準用UAV12が備える2つの寸法基準点12A(即ち寸法基準部位)が、計測対象物である支承部80と一緒に写り込んだ写真が少なくとも2枚以上含まれるように、写真撮影可能領域内の異なる2か所以上の撮影位置で撮影する。また、多方向から数多くの写真(3枚以上の写真)を撮影することが好ましい。多方向から撮影した数多くの写真のデータをコンピューター16に取り込んで解析することにより、撮影手段14Aのレンズのゆがみ等の補正を行うことができ、作成する3次元モデルの精度を向上させることができ、算出する支承部80の寸法の精度を向上させることができる。
【0051】
撮影用UAV14が撮影した写真のデータは、内蔵された記録部14Bに保存される。記録部14Bに保存された写真データは、撮影後に撮影用UAV14を回収した後、解析用のコンピューター16に取り込む。撮影用UAV14を回収する前に、撮影用UAV14に備えられた通信手段(図示せず)を用いて無線で解析用のコンピューター16に取り込むようにしてもよい。
【0052】
コンピューター16は、撮影用UAV14が撮影した写真のデータを解析するコンピューターであり、3次元モデル構築部16Aと寸法算出部16Bとを有している。
【0053】
コンピューター16の3次元モデル構築部16Aは、取り込んだ写真データを用いて、計測対象物(本第1実施形態では支承部80)の外形の各点の位置座標についてのデータを算出する。3次元モデル構築部16Aは、2つの寸法基準点12Aの間の距離データを参照して、計測対象物の外形の各点の位置座標についてのデータを算出することにより、計測対象物の外形の各点の位置座標と実際の寸法とをリンクさせる。3次元モデル構築部16Aが算出した計測対象物の外形の各点の位置座標に基づき、計測対象物の外形を再現させることができ、例えばディスプレイ上に計測対象物の外形を表示させることもできる。ただし、計測対象物(本第1実施形態では支承部80)における部位のうちの必要な部位の寸法を必要な精度で算出できれば、本第1実施形態に係る寸法計測システム10は目的を達成できるので、計測対象物の必要な部位の寸法を必要な精度で算出するのに十分な数の計測対象物の外形の位置座標を算出することで計算処理を終えるようにしてもよい。つまり、計測対象物の外形全体の各点の位置座標を全て算出することまでは必ずしも必要とはしない。
【0054】
コンピューター16の寸法算出部16Bは、3次元モデル構築部16Aが算出した計測対象物(本第1実施形態では支承部80)の外形の位置座標に基づき、計測対象物における部位のうちの必要な部位の寸法を算出して、コンピューター16の記録部(図示せず)に保存する。さらに、前記寸法の算出結果をディスプレイ(図示せず)上に表示するように構成してもよい。
【0055】
本第1実施形態では、撮影用UAV14が計測対象物である支承部80に接近して、近接した位置から支承部80の写真を撮影するので、撮影した写真のデータは支承部80の外形についての精度の高いデータである。その精度の高いデータをコンピューター16が解析して支承部80についての寸法を算出するので、本第1実施形態に係る寸法計測システム10が算出する支承部80についての寸法は精度の高いものとなる。また、前述したように、多方向から撮影した数多くの写真のデータをコンピューター16に取り込んで解析することにより、撮影手段14Aのレンズのゆがみ等の補正を行うことができ、作成する3次元モデルの精度を向上させることができ、算出する支承部80の寸法の精度をさらに向上させることができる。
【0056】
(1-2)寸法計測方法の実施形態
本発明の第1実施形態に係る寸法計測方法は、先に説明した寸法計測システム10を用いて好適に実施することができる寸法計測方法である。以下、図4のフローチャート(本発明の第1実施形態に係る寸法計測方法の手順を示すフローチャート)を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る寸法計測方法について説明する。ここでは、橋梁100の橋脚102の天端上に設置された支承を含む支承部80の寸法計測を行う場合を念頭に置いて説明する。
【0057】
(ステップS1)
寸法の基準となる寸法基準部位(少なくとも2つの寸法基準点12A)を備える寸法基準用UAV12を飛行させて、計測対象物(支承部80)の近傍の地点に着陸させる。具体的には、橋梁100の橋脚102の天端上であって計測対象物である支承部80の近傍の地点であり、かつ、支承部80と同一の写真に写り込みやすい地点に着陸させる。
【0058】
(ステップS2)
前記ステップS1で寸法基準用UAV12を計測対象物(支承部80)の近傍の地点に着陸させた後、撮影用UAV14を飛行させて支承部80に接近させて、支承部80の写真の撮影が可能な写真撮影可能領域に配置する。
【0059】
(ステップS3)
前記ステップS2で、撮影用UAV14を、計測対象物(支承部80)の写真の撮影が可能な写真撮影可能領域に配置した後、撮影用UAV14の撮影手段14Aで支承部80を撮影する。その際、支承部80および寸法基準用UAV12の寸法基準部位が一緒に写り込んだ写真が少なくとも2枚以上含まれるように、写真撮影可能領域内の異なる2か所以上の撮影位置で撮影する。また、写真同士をつなぎ合わせて連結できるラップ率で撮影位置を水平方向および高さ方向に変えながら数多くの写真(3枚以上の写真)を撮影する。具体的には例えば、ある一定の高さで計測対象物(支承部80)の周囲を水平方向に位置を変えながらラップ率が80%程度以上となるように数多くの写真を撮影し、次に、ラップ率が80%程度以上となるように高さ方向に位置を変えて、その高さ位置で支承部80の周囲を水平方向に位置を変えながらラップ率が80%程度以上となるように数多くの写真を撮影する。また、具体的には例えば、計測対象物(支承部80)の周囲を同一鉛直面内で高さ方向に位置を変えながらラップ率が80%程度以上となるように数多くの写真を撮影し、次に、ラップ率が80%程度以上となるように水平方向に位置を変えて、その位置を含む同一鉛直面内で支承部80の周囲を高さ方向に位置を変えながらラップ率が80%程度以上となるように数多くの写真を撮影する。なお、計測対象物の部位のうちの必要な部位の寸法を必要な精度で算出するのに十分な写真を撮影することが本ステップS3の目的であるので、その目的を達成できるように撮影用UAV14に写真撮影を行わせればよい。
【0060】
(ステップS4)
ステップS3での写真撮影完了後、撮影用UAV14および寸法基準用UAV12を回収する。
【0061】
(ステップS5)
回収した撮影用UAV14の記録部14Bに保存された写真データを解析用のコンピューター16に取り込む。なお、撮影用UAV14に備えられた通信手段(図示せず)を用いて無線で解析用のコンピューター16に取り込むようにしてもよく、この場合、ステップS3での写真撮影とほぼ同時に撮影した写真のデータを解析用のコンピューター16に取り込むことができる。
【0062】
(ステップS6)
解析用のコンピューター16に取り込んだ写真データを用いて、コンピューター16の3次元モデル構築部16Aで、計測対象物(支承部80)の外形の各点の位置座標についてのデータを算出する。3次元モデル構築部16Aは、2つの寸法基準点12Aの間の距離データを参照して、支承部80の外形の各点の位置座標についてのデータを算出することにより、支承部80の外形の各点の位置座標と実際の寸法とをリンクさせる。
【0063】
(ステップS7)
ステップS6で3次元モデル構築部16Aが算出した計測対象物(支承部80)の外形の位置座標に基づき、コンピューター16の寸法算出部16Bが、支承部80の部位のうちの必要な部位の寸法を算出して、コンピューター16の記録部(図示せず)に保存する。さらに、前記寸法の算出結果をディスプレイ(図示せず)上に表示するようにしてもよい。
【0064】
(1-3)工事段取り方法の実施形態
本発明の第1実施形態に係る工事段取り方法は、先に説明した本発明の第1実施形態に係る寸法計測方法を用いた工事段取り方法である。ここでは、橋梁100の橋脚102の天端上に設置された支承を含む支承部80の現状の寸法が設計の前提として必要となる橋梁工事を行う場合を念頭に置いて、図5(本発明の第1実施形態に係る工事段取り方法の手順を示すフローチャート)を参照しつつ説明する。
【0065】
本発明の第1実施形態に係る工事段取り方法は、先に説明した本発明の第1実施形態に係る寸法計測方法を用いた工事段取り方法であるため、支承部80の現状の寸法が設計の前提として必要となる橋梁工事の場合であっても、工事受注(ステップS11)後、足場設置工程(足場設置協議(ステップS12)および足場設置工事(ステップS13))による、支承部80へのアクセスを可能にする足場の設置を待たずに、支承部80の寸法の計測作業(ステップS14)に入り、その計測作業を終えたら設計作業に着手し(ステップS15)、設計作業を行う(ステップS16)。足場設置工程(ステップS12、S13)は、寸法計測作業(ステップS14)および設計工程(ステップS15、S16)と並行して進める。なおここでの足場は、工事実施のための部材搬入や取り付けのために必要なものであり、本発明の第1実施形態に係る工事段取り方法では、工事受注(ステップS11)後に設計作業に着手できない手待ち期間は、支承部80の寸法の計測作業(ステップS14)に要する1か月程度である。
【0066】
一方、図6のフローチャートを示して[背景技術]の欄で前述したように、従来は、支承部80の現状の寸法が設計の前提として必要となる橋梁工事の場合、工事受注(ステップS101)後、足場設置工程(足場設置協議(ステップS102)および足場設置工事(ステップS103))による、支承部80へのアクセスを可能にする足場(支承部80の寸法を目視で測定することを可能にする足場)の設置をしてから支承部80の寸法測定作業(ステップS104)を行う必要があったため、足場設置工程(足場設置協議(ステップS102)および足場設置工事(ステップS103))および寸法測定作業(ステップS104)に要する期間である2~3か月程度は設計作業に着手できない手待ち期間となっていた。
【0067】
したがって、支承部80の現状の寸法が設計の前提として必要となる橋梁工事の場合、本発明の第1実施形態に係る工事段取り方法を用いることにより、寸法測定のために必要な足場設置工程が不要となるため、工事受注してから設計作業に着手するまでの手待ち期間を従来よりも1~2か月程度短くすることができる。また、通常の場合、足場設置工程(足場設置協議(ステップS12)および足場設置工事(ステップS13))に要する期間は1~2か月であり、設計作業(ステップS16)に要する期間よりも短いので、通常の場合、設計作業(ステップS16)完了後に足場設置完了を待つ手待ち期間は発生しないため、工事受注から橋梁工事(ステップS17)の完了までの期間も従来よりも1~2か月程度短くすることができる。
【0068】
(1-4)第1実施形態についての補足
以上説明した第1実施形態では、2つの寸法基準点12Aの一組で、寸法の基準となる寸法基準部位を構成するようにしたが、寸法基準部位はこの構成に限定されるわけではなく、例えば長さを予め計測しておいた長尺板状部材(例えば、定規として一般的に使われるような形状の板状部材)を寸法基準部位とすることもできる。また、UAVを構成する部材自体の長さを予め計測しておき、寸法基準部位とすることもできる。さらには、UAVの機体の3次元形状を3Dスキャン等で正確に把握しておき、そのデータを寸法基準として用いるようにしてもよい。この場合、写真にUAVの機体の一部が一定以上の大きさで写り込めば、写り込んだ部位を寸法基準部位として用いることができる。
【0069】
また、以上説明した第1実施形態では、計測対象物である支承部80と寸法基準用UAV12に設けられた寸法基準部位(2つの寸法基準点12A)とが同一の写真に写り込むように写真撮影を行うことを原則としたが、現場の状況によっては支承部80と寸法基準部位(2つの寸法基準点12A)が同一の写真に写り込むように写真撮影を行うことが困難なことも考えられる。そのような場合には、計測対象物である支承部80と寸法基準部位(2つの寸法基準点12A)とを別々の写真に撮影するとともに、別々の写真として撮影した支承部80の写真と寸法基準部位の写真との間を、写真をつなぎ合わせて連結できるラップ率(具体的には例えばラップ率80%程度以上)で写真をつなぎ合わせて連結できるように撮影を行うようにしてもよい。つまり、別々の写真として撮影した支承部80の写真および寸法基準部位の写真と、その間の例えばラップ率80%程度以上の写真とをつなぎ合わせて、1枚の写真として合成して、寸法基準部位の寸法を支承部80の寸法計測の基準として用いるという考え方を採用することもできる。
【0070】
なお、橋梁の橋桁の下ではGNSS(Global Navigation Satellite System)(全球測位衛星システム)の電波が遮られてしまうので、本第1実施形態で用いるUAVとしては、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)の機能を備えた自律航行可能なものであることが好ましい。また、支承部80の近傍は突起物も多いため、本第1実施形態で用いるUAVとしては、衝突回避を行いやすいように機体が小型のものが好ましい。
【0071】
(2)第2実施形態
第1実施形態は、寸法基準用UAV12を橋梁100の橋脚102の天端上に着陸させる実施形態であったが、本第2実施形態で用いる寸法基準用UAV22は付着手段24を備えており、本第2実施形態では、寸法基準用UAV22を橋脚102の天端上(即ち、物体の上向きの表面上)に着陸させるのではなく、図7図11に示すように、橋梁100の上部構造である鋼主桁104の下面(即ち、物体の下向きの表面)や橋脚102の壁面(即ち、物体の鉛直方向に広がる表面)等に付着させて、寸法基準用UAV22を計測対象物である支承部80の近傍の地点に配置させる。
【0072】
第2実施形態についての以下の説明では、原則として、前段落で述べた第1実施形態との相違点および該相違点に関連した事項について説明し、それ以外の点については、第1実施形態の説明をもって本第2実施形態の説明に代えることとする。
【0073】
図8図10図11に示すように、本第2実施形態で用いる寸法基準用UAV22は空中移動手段22Aを備え、本第2実施形態で用いる寸法基準用UAV26は空中移動手段26Aを備え、さらに寸法基準用UAV22、26はそれぞれ付着手段24を備えている。寸法基準用UAV22、26は、空中移動手段22A、26Aにより飛行等の空中移動をすることができる。
【0074】
図7は、本第2実施形態の実施状況の一例を模式的に示す模式図であり、鋼主桁104の間を連結する鋼製横桁106のウェブ側面に寸法基準用UAV22を付着手段24(図8参照)で付着させて静止させた状態にして、撮影用UAV14が計測対象物である支承部80を撮影している状況を示している。図8は、本第2実施形態の実施状況の一例を模式的に示す拡大模式図(図7の一部の領域の拡大模式図)であり、鋼製横桁106のウェブ側面に寸法基準用UAV22を付着手段24で付着させて配置した状態を模式的に示している。
【0075】
図7および図8に示す場合のように、鋼製横桁106のウェブ側面に寸法基準用UAV22を付着手段24で付着させる場合には、付着手段24として、例えば磁石による磁力を用いた磁力付着手段や真空吸引による吸着力を用いた真空吸引手段を用いることができ、付着手段24による付着力(例えば磁石による磁力または真空吸引による吸着力)で寸法基準用UAV22を鋼製横桁106のウェブ側面に取り付けて、計測対象物である支承部80の近傍の地点に、寸法基準用UAV22を静止させた状態で配置することができる。
【0076】
図9は、本第2実施形態の実施状況の一例を模式的に示す模式図であり、橋脚102の側面に寸法基準用UAV22を付着手段24(図10参照)で付着させて静止させた状態にして、撮影用UAV14が計測対象物である支承部80を撮影している状況を模式的に示している。図10は、本第2実施形態の実施状況の一例を模式的に示す拡大模式図(図9の一部の領域の拡大模式図)であり、橋脚102の側面に寸法基準用UAV22を付着手段24で付着させて配置した状態を模式的に示している。
【0077】
橋脚102が鋼製橋脚の場合には、橋脚102の側面に寸法基準用UAV22を付着手段24で付着させる際、付着手段24として、例えば磁石による磁力を用いた磁力付着手段や真空吸引による吸着力を用いた真空吸引手段を用いることができ、付着手段24による付着力(例えば磁石による磁力または真空吸引による吸着力)で寸法基準用UAV22を橋脚102の側面に取り付けて、計測対象物である支承部80の近傍の地点に、寸法基準用UAV22を静止させた状態で配置することができる。
【0078】
橋脚102がコンクリート製橋脚の場合には、橋脚102の側面に寸法基準用UAV22を付着手段24で付着させる際、付着手段24として磁石による磁力を用いた磁力付着手段を用いることができないため、付着手段24として例えば真空吸引による吸着力を用いた真空吸引手段を用いる。橋脚102がコンクリート製橋脚の場合であっても、付着手段24として真空吸引手段を用いることにより、その真空吸引手段の吸着力で寸法基準用UAV22を橋脚102の側面に取り付けて、計測対象物である支承部80の近傍の地点に、寸法基準用UAV22を静止させた状態で配置することができる。
【0079】
付着手段24として真空吸引手段を用いた場合には、橋脚102が鋼製橋脚の場合およびコンクリート製橋脚の場合のどちらの場合においても、当該付着手段24を用いて、寸法基準用UAV22を橋脚102の側面に取り付けて、計測対象物である支承部80の近傍の地点に、寸法基準用UAV22を静止させた状態で配置することができる。
【0080】
図11は、本第2実施形態の実施状況の一例を模式的に示す拡大模式図であり、鋼主桁104の下フランジ下面に寸法基準用UAV26を付着手段24で付着させて静止させた状態を模式的に示す拡大模式図である。
【0081】
図11に示す場合のように、鋼主桁104の下フランジ下面に寸法基準用UAV26を付着手段24で付着させる場合には、付着手段24として、例えば磁石による磁力を用いた磁力付着手段や真空吸引による吸着力を用いた真空吸引手段を用いることができ、付着手段24による付着力(例えば磁石による磁力または真空吸引による吸着力)で寸法基準用UAV26を鋼主桁104の下フランジ下面に取り付けて、計測対象物である支承部80の近傍の地点に、寸法基準用UAV26を静止させた状態で配置することができる。
【0082】
なお、付着手段24による付着力が十分には期待できない場合(例えば、付着手段24による付着箇所の表面に凹凸がある場合)等においては、付着手段24による付着力の不足を補うべく、空中移動手段22A、26Aによる浮力を併用してもよい。
【0083】
(3)第3実施形態
第1実施形態は、寸法基準用UAV12を橋梁100の橋脚102の天端上に着陸させる実施形態であり、第2実施形態は、寸法基準用UAV22、26を、橋梁100の上部構造である鋼主桁104の下面(即ち、物体の下向きの表面)や橋梁100の下部構造である橋脚102の壁面(即ち、物体の鉛直方向に広がる表面)等に付着手段24により付着させて、寸法基準用UAV22、26を計測対象物である支承部80の近傍の地点に配置させる実施形態であったが、本第3実施形態は、図12に示すように、寸法基準用UAV30を空中移動手段30Aによるホバリングにより空中に浮遊させた状態で計測対象物である支承部80の近傍の地点に配置させる実施形態である。
【0084】
第3実施形態についての以下の説明では、原則として、前段落で述べた第1実施形態および第2実施形態との相違点および該相違点に関連した事項について説明し、それ以外の点については、第1実施形態または第2実施形態の説明をもって本第3実施形態の説明に代えることとする。
【0085】
図12は、本第3実施形態の実施状況の一例を模式的に示す模式図であり、寸法基準用UAV30をホバリングにより空中に浮遊した状態で計測対象物である支承部80の近傍の地点に静止させた状態で配置して、撮影用UAV14が計測対象物である支承部80を撮影している状況を示している。
【0086】
本第3実施形態で用いる寸法基準用UAV30は空中移動手段30Aによるホバリング性能に極めて優れており、図12に示すように、ホバリングにより空中に浮遊した状態で計測対象物である支承部80の近傍の地点に静止させた状態で配置させることができる。
【0087】
(4)本発明において採用可能な移動可能体の移動態様
以上説明した第1~第3実施形態において、寸法基準用UAV12、22、26、30および撮影用UAV14は空中移動をするが、本発明において、寸法の基準となる寸法基準部位を備えた移動可能体の移動態様が空中移動に限定されるわけではなく、例えば壁面等を移動可能な自動走行車やロボットに寸法基準部位を備えさせて、寸法基準用UAV12、22、26、30に代えて用いることができ、また、本発明において、撮影手段を備えた移動可能体の移動態様が空中移動に限定されるわけではなく、例えば壁面等を移動可能な自動走行車やロボットに撮影手段を備えさせて、撮影用UAV14に代えて用いることもできる。
【符号の説明】
【0088】
10…寸法計測システム
12、22、26、30…寸法基準用UAV
12A…寸法基準点
14…撮影用UAV
14A…撮影手段
14B…記録部
16…コンピューター
16A…3次元モデル構築部
16B…寸法算出部
22A、26A、30A…空中移動手段
24…付着手段
50…制御部
50A…通信部
80…支承部
100…橋梁
102…橋脚
104…鋼主桁
106…鋼製横桁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12