(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008867
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】炭素担持表面官能化銀ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
C01G 5/00 20060101AFI20240112BHJP
C01B 32/05 20170101ALI20240112BHJP
【FI】
C01G5/00 Z
C01B32/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023106089
(22)【出願日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】17/810,979
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ロバート クラリッジ
(72)【発明者】
【氏名】ユージエ チュー
(72)【発明者】
【氏名】ユーリン ワン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ロートン
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AA16
4G146AB01
4G146AD23
4G146BA01
4G146CB19
4G146CB24
4G146CB34
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を含む組成物及びその調製方法が開示される。方法は、複数の銀ナノ粒子を含む液体含有組成物を調製することと、炭素構造を液体含有組成物に添加して炭素担持銀ナノ粒子をin situで形成すること、又は炭素構造、複数の銀ナノ粒子、及び液体を含む組成物を混合して銀ナノ粒子を炭素構造上にin situで成長させることとを含む。
【効果】in-situで合成された表面官能化銀ナノ粒子は、触媒、化学センサー、バイオ医薬、医療機器、機能性繊維、化粧品、食品包装、栄養補助食品、耐臭気性物品、電子機器、家庭用具、歯科用アマルガム、水消毒剤、塗料/インクなどの様々な異なる用途に使用することができる印刷可能なインクに調製することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を含む、組成物。
【請求項2】
前記炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の炭素担持体が、微孔性炭素構造を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記微孔性炭素構造が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、又はグラフェンのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の表面官能化銀ナノ粒子が、約8ナノメートル~約69ナノメートルの粒径範囲を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記表面官能化銀ナノ粒子の平均直径が約36.10ナノメートルであり、標準偏差が15.56である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の表面官能化銀ナノ粒子が、約2ナノメートル~約18ナノメートルの粒径範囲を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記平均直径が約6ナノメートル~約8ナノメートルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物を印刷可能なインクとするためのアイオノマー添加剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
炭素担持銀ナノ粒子を調製するin-situ方法であって、
複数の銀ナノ粒子を含む液体含有組成物を調製することと、
前記液体含有組成物に炭素構造を添加して、前記炭素担持銀ナノ粒子をin-situで形成することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記複数の銀ナノ粒子が、表面官能化される、請求項9に記載のin-situ方法。
【請求項11】
前記調製することが、
前記複数の銀ナノ粒子と、窒素含有部分と、液体とを混合することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の銀ナノ粒子、前記窒素含有部分、及び前記液体が、前記複数の銀ナノ粒子が所望の粒径分布に達するまで撹拌される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の銀ナノ粒子が、酢酸銀を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記窒素含有部分が、アミン、アミド、イミド、又は窒素含有芳香族化合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
炭素担持銀ナノ粒子を調製するin-situ方法であって、
炭素構造と、複数の銀ナノ粒子と、液体とを含む組成物を混合して、前記炭素構造上に銀ナノ粒子をin-situで成長させることを含む、方法。
【請求項16】
前記組成物が、窒素表面官能化銀ナノ粒子をもたらす窒素含有部分を更に含有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
還元剤を添加して、前記液体中で前記銀ナノ粒子を沈殿させることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の銀ナノ粒子が、酢酸銀を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記窒素含有部分が、アミン、アミド、イミド、又は窒素含有芳香族化合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物にアイオノマーを添加して、前記組成物を印刷可能なインクにすることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀ナノ粒子は、それらを多種多様な用途に適したものにする興味深い生理化学的及び抗菌特性を有する。用途としては、触媒、化学センサ、バイオ医薬、医療機器、機能性繊維、化粧品、食品包装、栄養補助食品、耐臭気性物品、電子機器、家庭用具、歯科用アマルガム、水消毒剤、塗料/インクなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に例示される態様によれば、組成物と組成物を調製するための方法とが提供される。実施形態の1つの開示される特徴は、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を含む、組成物である。
【0004】
本実施形態の別の開示される特徴は、炭素担持銀ナノ粒子を調製するためのin-situ(原位置)方法である。この方法は、複数の銀ナノ粒子を含む液体含有組成物を調製することと、炭素構造を液体含有組成物に添加して、炭素担持銀ナノ粒子をin-situで形成することとを含む。
【0005】
本実施形態の別の開示される特徴は、炭素担持銀ナノ粒子を調製するin-situ方法である。この方法は、炭素構造と、複数の銀ナノ粒子と、液体とを含む組成物を混合して、炭素構造上に銀ナノ粒子をin-situで成長させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の教示は、以下の添付図面と併せて以下の発明を実施するための形態を考慮することによって容易に理解することができる。
【0007】
【
図1】本開示のin-situで合成された炭素担持銀ナノ粒子を調製するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図2】in-situで合成された炭素担持銀ナノ粒子を調製するための別の例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図3】in-situ堆積方法によって形成された、例示的なin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の様々な倍率での例示的な透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【
図4】in-situ成長方法によって形成された、例示的なin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の異なる倍率での例示的なTEM画像を示す。
【
図5】in-situ堆積方法によって形成された、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の変化していない形態を示すための、異なる時間における例示的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【
図6】in-situ成長方法を介して形成された、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の変化していない形態を示すための、異なる時間での例示的なSEM画像を示す。
【0008】
理解を容易にするために、可能な限り、同一の参照番号は、図面に共通している同一の要素を示すために使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、例示的な炭素担持表面官能化銀ナノ粒子及びin-situ方法によるその製造方法を広く開示する。上述したように、銀ナノ粒子は、それらを多種多様な用途に適したものにする興味深い生理化学的特性及び抗菌特性を有する。1つの例は、付加価値化学物質及び合成燃料へのCO2の電気触媒変換を使用するCO2捕捉及び利用(CCU)の分野のためのものである。
【0010】
現在の段階では、CO2のCOへの電気化学的変換は、その高い技術的及び経済的実現可能性に起因して、最も有望な反応のうちの1つである。この反応において、合成ガス(CO及びH2)は、エネルギー効率の高い方法で生成され得、次いで、フィッシャー・トロプシュ合成プロセスを介して合成炭化水素を生成するための供給原料として使用され得る。
【0011】
電気化学変換プロセスの鍵は、高い効率及び選択性、並びに長期安定性を有する電気触媒である。近年、Au、Ag、Zn、Pd、及びGaなどを含む、CO2をCOに選択的に還元することができる電気触媒の開発において著しい進歩が見られている。全ての候補の中で、銀が、中程度のコストおよびCO製造のための高い触媒選択性に起因して、大規模用途の最も高い可能性を示す。Ag系電気触媒に関する広範な研究にもかかわらず、低減された過電圧で触媒選択性が向上した材料を、単純で、拡張可能で、かつ費用効率の高い方法で開発することに課題が残っている。
【0012】
本開示は、CO2の電気触媒変換のためのガス拡散電極中の電気触媒として炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を使用する。炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、ex-situで、又は本明細書に記載の新規なin-situ方法によって形成することができる。ナノ構造化銀触媒は、質量輸送の利点並びにナノ材料の縁部及び角部のより高い活性な部位を提供するため、それらのバルク対応物と比較して改善された性能を示す。ナノ材料の組成、サイズ、形態、多孔性、及び表面改質を調整することによって、ナノ構造化触媒の挙動を特定の用途に合わせて調節することができる。
【0013】
表面改質は、触媒性能を改善するための有効なアプローチの1つである。研究が示唆するように、機能性分子は過電圧を減少させるか、又はCO選択性を改善することができ、例えば、アミンでキャップされたAgナノ粒子は、COOH*中間体を安定化させることによって、より良好な触媒性能を呈する。
【0014】
そのような電気触媒の膜電極アセンブリ(MEA)への統合は、望ましい製品を得るための別の重要なステップである。典型的なMEAは、2つのガス拡散層(GDL)と、界面に触媒粒子が分散されたイオン交換膜とを含み、MEAの製造は、印刷において利用される様々なロールツーロール製造方法と同様である。CO2変換システムのためのMEAの開発における多大な努力にもかかわらず、低コスト、高標準性能、及び調整可能な特性を有するMEAを製造することは依然として困難である。
【0015】
本開示は、MEAを調製するために使用することができる炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を提供する。炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、ex-situ方法又は本明細書に記載の新規in-situ方法を使用して調製することができる。
【0016】
実施形態では、「ex-situ」という用語は、炭素担持体とは別に表面官能化銀ナノ粒子を形成すること、及び炭素担持体又は構造の表面上に表面官能化銀ナノ粒子を堆積させることを指す。例えば、銀ナノ粒子は、炭素構造の表面上に添加される前に、炭素構造から分離して表面官能化されてもよい。換言すれば、完全に合成された銀ナノ粒子は、表面官能化銀ナノ粒子が形成された液体含有組成物から除去され、次いで炭素構造に添加される。
【0017】
実施形態では、「in-situ」という用語は、銀ナノ粒子が合成/調製される同じ液体含有組成物中に炭素構造(すなわち、炭素担持体)が存在することを指す。対照的に、以前の「ex-situ」方法は、合成/調製された銀ナノ粒子を、それらの潜在的な更なる処理のために銀ナノ粒子が合成/調製された溶液から除去した。実施形態では、炭素担持体は、銀ナノ粒子の表面官能化プロセス中に、又は銀ナノ粒子の表面官能化プロセスの直後に、銀ナノ粒子を含有する液体含有組成物に添加されてもよい。
【0018】
炭素担持銀ナノ粒子を生成するための以前の方法は、長い処理時間、大きな粒径、様々な異なる粒径の広い分布、又は炭素担持体の表面上の不均一な分布(例えば、特定の表面領域上に多数の銀ナノ粒子が集まり、他の表面領域上に少数の銀ナノ粒子が集まる)をもたらした。先の一実施例では、改良ハマーズ法を用いて酸化グラフェンを調製した。ジシアンジアミド(DCDA)を用いて酸化グラフェンに窒素をドープし、窒素ドープ酸化グラフェン(NGO)を作製した。その後、40重量%に固定された公称銀含有量を使用して、3つの異なる方法を使用して銀ナノ粒子を合成した。
【0019】
第1の方法では、クエン酸塩安定化銀ナノ粒子は、NGO及びクエン酸ナトリウムが存在する水溶液中でAgNO3をNaBH4で還元することによって調製される。第2の方法では、グリセロール及び水酸化ナトリウムの水溶液を、AgNO3を含有するNGOの懸濁液に添加する。第3の方法では、NGO及びAgNO3の懸濁液が作製され、炭素担持銀ナノ粒子が、一定の撹拌下で混合物にアルコルビン酸をゆっくり添加することによる還元によって形成される。
【0020】
これらの3つの方法について、平均粒径は、それぞれ7ナノメートル(nm)、38nm、及び211nmであった。加えて、粒径分布も比較的広いことが分かった(例えば、様々な異なるサイズの粒子の大きな分布)。例えば、第1の方法では、7nm程度の小さな粒子を見ることができるが、上記の3つの方法では凝集が起こるため、300nmまでの大きな粒子も見つけることができる。
【0021】
別の従来の方法は、ex-situ又は含浸方法である。従来の含浸方法では、炭素担持体は金属触媒の塩を含有する溶液と接触している。含浸は毛管作用によって行われる。塩溶液を担持体の多孔質構造に引き込み、続いて溶液を蒸発させると、担持体の細孔中に金属塩が沈殿する。担持金属触媒の場合、活性相の分散及び分布は、含浸工程によって主に決定される。
【0022】
含浸技術の制限は、金属粒子の表面積(m2/g)が、金属充填量が増加するにつれて減少することである。これは、金属塩が一定数の孔に集中するときに起こる。塩濃度が増加するにつれて、より大きな質量の塩が各細孔内に沈殿し(細孔濃縮機構)、その結果、金属塩が還元されたときにより大きな金属粒子が得られる。
【0023】
加えて、走査型電子顕微鏡(SEM)画像は、含浸方法が、真のナノ粒子又は球状粒子とは対照的に、小板をもたらすことを示す。小板は、2ミクロンの大きさの不均一なサイズで形成される。加えて、小板は炭素基材の表面全体に不均一に分布している。
【0024】
本開示のin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、炭素担持アミン官能化銀ナノ粒子を調製するための既存の方法によって可能であるよりも効率的に調製することができ、より高い電気触媒性能を有する。より高い電気触媒性能は、より均一な粒径分布及び微孔性炭素支持構造の表面上の粒子の均一な分布に起因し得る。例えば、本明細書に記載のin-situ方法を用いて、アミン官能化銀ナノ粒子の粒径を制御することができる。例えば、本開示のin-situ方法を使用して成長させたアミン官能化銀ナノ粒子の平均直径は、約6ナノメートル(nm)~約8nmであり得、約2nm~約18nmの範囲を有し得る。加えて、より大きな粒径をもたらすことができる銀ナノ粒子の凝集が防止され得る。
【0025】
本開示のin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、2つの異なるin-situ方法によって調製することができる。2つのin-situ方法は、in-situ堆積方法とin-situ成長方法である。
【0026】
一実施形態では、本開示は、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の組成物を提供する。炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、本明細書に記載のex-situ法又は新規in-situ法によって炭素の表面上に表面官能化銀ナノ粒子を堆積させることによって形成することができる。銀ナノ粒子は、酢酸銀を有機部分又は窒素含有部分と混合することによって表面官能化することができる。例えば、小さな有機分子又は窒素分子を有する化合物を銀粒子の表面に付着させることができる。一実施形態では、有機分子は、化合物アミノ酸、又は有機酸(例えば、メルカプト酢酸、リンゴ酸、オレイン酸など)を含んでもよい。
【0027】
一実施形態では、窒素含有部分は、アミン、アミド、イミド、又は窒素含有芳香族化合物を含んでもよい。アミンは、第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミンであってもよい。第一級アミンの例としては、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミンなどを挙げることができる。第二級アミンの例としては、ピペリジン、ピロリジン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジイソプロピルアミンなどを挙げることができる。第三級アミンの例としては、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミントリウンデシルアミン、トリドデシルアミンなどを挙げることができる。
【0028】
アミドの例としては、プロパノアミド、ブタノアミド、ペンタノアミド、ヘキサノアミド、ベンザミド、N-メチルブタンアミド、N-エチルブタンアミド、グルタミン、アスパラギンなどを挙げることができる。イミドの例としては、スクシンイミド、マレイミド、グルタルイミド、フタルイミドなどを挙げることができる。窒素含有芳香族化合物の例としては、ピリジン、4-メチルピリジン、4-エチルピリジン、4-プロピルピリジン、ピロール、イミダゾール、4-メチルイミダゾールなどを挙げることができる。
【0029】
一実施形態では、銀ナノ粒子を官能化することは、ナノ材料特性を変化させて、水素結合、静電気力、ファンデルワールス力などの共有結合又は非共有結合を介して異なる窒素含有材料を組み立てることによって特定の機能性を付加することを指すことができる。
【0030】
一実施形態では、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、ドデシルアミンを用いて調製することができる。したがって、銀ナノ粒子は、非共有結合を介してドデシルアミンを銀ナノ粒子に付着させることによって、炭素基材と結合するように官能化することができる。例えば、窒素分子を銀分子に配位させて非共有結合を形成することができる。炭素担持体は、表面官能化銀ナノ粒子を堆積させる前に酸で処理することができる。
【0031】
一実施形態では、酸処理を行わずにex-situで調製された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、約7nm~約36nmの粒径範囲を有し得る。一例では、平均直径は25.87nmであり、標準偏差は12.51であった。
【0032】
一実施形態では、酸処理を用いてex-situで調製された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、約8nm~約69nmの粒径範囲を有し得る。一例では、平均直径は36.10nmであり、標準偏差は15.56であった。
【0033】
一実施形態では、in-situで調製された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、約2nm~約18nmの粒径範囲を有し、平均直径が約6nm~約8nmであってもよい。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「平均粒径」(又は「平均直径」)は、体積基準メジアン粒径(例えば、それ未満で粒子集団の50体積%が見出される粒径)を指し得る。粒径及び粒度分布は、ISO 13320:2009に従ってレーザ回折によって判定され得る。一実施形態では、ImageJソフトウェアを使用して銀粒径を分析した。粒子の直径は、画像のピクセル上で直線長さ測定ツールを使用して測定した。スケールバーをピクセル単位で測定し、直径値をナノメートルに変換するために使用した。15個のランダム粒子を各TEM画像について測定し、平均値を標準偏差と共に報告した。
【0035】
上述したように、本明細書に記載のin-situ方法は、in-situ堆積方法及びin-situ成長方法を含むことができる。
図1は、in-situ堆積方法を使用してin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を調製するための方法100の例示的なフローチャートを示す。方法100は、ブロック102で開始する。
【0036】
ブロック104において、方法100は、複数の銀ナノ粒子の液体含有組成物を調製する。一実施形態では、銀ナノ粒子は表面官能化されてもよい。例えば、銀ナノ粒子、窒素分子を有する部分、及び溶媒を一緒に混合して、表面官能化銀ナノ粒子の液体含有組成物を調製することができる。銀ナノ粒子は、酢酸銀を使用して提供され得る。
【0037】
窒素含有部分は、アミン、アミド、イミド、又は窒素含有芳香族化合物を含むことができ、これらの全ては上に詳細に記載されている。本明細書に記載の実施例では、ドデシルアミンを窒素含有部分として使用した。
【0038】
液体/溶媒は、極性液体/溶媒であってもよい。極性液体/溶媒の例としては、イソプロパノール、エタノール、水などのうちの1つ以上を挙げることができる。
【0039】
銀ナノ粒子、窒素含有部分、及び溶媒の液体含有組成物は、形成される表面官能化銀ナノ粒子のサイズの制御を助けるために、所望の温度範囲で所望の時間、撹拌しながら混合されてもよい。
【0040】
一実施形態では、表面官能化銀ナノ粒子を溶液から沈殿させるのを助けるために、還元剤を混合物に添加してもよい。銀ナノ粒子、窒素含有部分のアミン配位子、及び選択された還元剤の比は、形成される表面官能化銀ナノ粒子の粒径に影響を及ぼし得る。
【0041】
一実施形態では、還元剤の強度は、粒径に対して最大の影響を有し得る。例えば、より強い還元剤ほど、より小さい粒径を生成することができ、より弱い還元剤ほど、より大きい粒径を生成することができる。より強い還元剤の例としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム、(LiAlH4)、水素化アルミニウムナトリウム(NaAlH2)、フェニルヒドラジン、トシルヒドラジド、ヒドラジンなどを挙げることができる。より弱い還元剤の例としては、アスコルビン酸(C6H8O8)、ギ酸(HCOOH)、シュウ酸(C2H2O4)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ギ酸アンモニウム、メタノール、ホルムアミドなどを挙げることができる。還元剤は、1当量の量で添加することができ、10当量程度の量まで添加することができる。
【0042】
ブロック106において、方法100は、炭素構造を液体含有組成物に添加して、炭素担持銀ナノ粒子をin-situで形成する。炭素構造は、多孔性又は非多孔性炭素構造であってもよい。一実施形態では、炭素構造は、微孔性炭素構造であってもよい。微孔性炭素構造の例としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが挙げられる。微孔性炭素構造は、溶媒と混合した後、液体含有組成物に添加してもよい。例えば、溶媒は、イソプロパノール、エタノール、水などであってもよい。「炭素担持」は、表面官能化銀ナノ粒子が炭素構造の表面上にあることを意味すると理解され得る。炭素構造は、表面官能化銀ナノ粒子よりも大きくてもよい。例えば、表面官能化銀ナノ粒子が直径5~20nmであり得るのに対して、炭素構造は直径50~100ナノメートル(nm)であり得る。これにより、より小さな銀ナノ粒子を炭素構造の表面に形成することができる。
【0043】
次いで、形成されるin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、液体含有組成物から濾別され、すすがれ、乾燥され得る。次いで、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、CO2変換システム用のガス拡散電極を形成するために基材上に印刷されるインク形態への調製などの様々な用途に使用され得る。
【0044】
一実施形態では、安定なインクを調製するために、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子にアイオノマーを添加してもよい。使用することができるアイオノマーの例としては、極性溶媒(例えば、Sustainion XA-9)、ポリスチレン、スルホネート、ナフィオンなどと混合されたアルカリ系アイオノマーが挙げられる。方法100は、ブロック108で開始する。
【0045】
以下の実施例1は、in-situ堆積方法によるin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の調製の例を提供する。
【0046】
実施例1:
【0047】
溶融ドデシルアミン(155.67グラム(g)、0.8398mol)を、オーバーヘッド撹拌システム、温度計、及びアルゴン(Ar)ラインを備えた1リットル(L)の3つ口丸底フラスコに添加した。反応フラスコを35℃の水浴に浸漬し、撹拌を300回転/分(RPM)に設定した。次いで、フラスコに、10.5ミリリットル(mL)のメタノール、続いて52mLのデカリンを添加した。次いで、フェニルヒドラジン(11.3g、0.1048mol)を撹拌しながら添加し、温度を35℃で安定させた。反応温度を35~37℃に維持しながら、酢酸銀粉末(35g、0.2097mol)を混合物にゆっくり加えた。酢酸銀の添加にわたって撹拌を500RPMまでゆっくりと上昇させた。酢酸銀全体を添加したら、反応物を40℃にし、1時間撹拌した。
【0048】
1時間後、200mLのデカリン中に分散させた35.7gのVulcan XC72カーボンブラックを反応混合物にゆっくり添加した。この混合物を40℃で2時間撹拌した。
【0049】
2時間後に400mLのメタノールを加え、15分間撹拌した。沈殿物を、2つの濾過媒体(底部にWhatman 934 AHガラス繊維紙、上部にWhatman#54濾紙)を添加したブフナー漏斗で濾過した。濾過して黒色ペーストを得、これをメタノール200mL中で15分間再スラリー化し、濾過した。洗浄を更に1回繰り返し、真空下で15分間乾燥させて黒色のウェットケーキを得た。次いで、物質を琥珀色の瓶に移し、アルゴンでパージし、真空オーブン中、室温で一晩乾燥させて、AgNP被覆カーボンブラック粉末(57g)を得た。
【0050】
一実施形態では、in-situ堆積方法は、比較的小さい平均直径を有する表面官能化銀ナノ粒子を成長させることが示された。例えば、in-situ堆積方法で合成された表面官能化銀ナノ粒子の平均直径は、約7~8ナノメートル(nm)であることが分かった。一例では、平均直径は約7.22nmであり、標準偏差は3.69であった。表面官能化銀ナノ粒子は、約2~18nmの範囲の直径を有することが分かった。
【0051】
実施例2及び3は、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を安定なインクに調製する方法の例を提供する。実施例2は、イオノマーを用いて調製されたインクの例を提供し、実施例3は、イオノマーを用いずに調製されたインクの例を提供する。
【0052】
実施例2:
【0053】
実施例1で調製した225mgのin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子(40重量%)を、27.1mlのトルエン、1.94gの2.5重量%Sustainion XA-9/トルエン分散液(例えば、アイオノマー)と混合し、次いで60分間超音波処理することによって、カソード触媒用インクを調製した。
【0054】
実施例3:
【0055】
カソード触媒インクは、225mgの実施例1で調製されたin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子(40重量%)を30mlのトルエンと混合し、次いで60分間超音波処理することによって調製され、Agローディングの質量比は0.34%であった。
【0056】
図2は、in-situ成長方法を使用してin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を調製するための方法200の例示的なフローチャートを示す。方法200は、ブロック202で開始する。
【0057】
ブロック204において、方法200は、炭素構造、複数の銀ナノ粒子、及び液体を含む組成物を混合して、炭素構造上に銀ナノ粒子をin-situで成長させる。一実施形態では、組成物は、液体含有組成物中の銀ナノ粒子を表面官能化するための窒素含有部分を更に含んでもよい。例えば、官能化銀ナノ粒子は、液体含有組成物から、液体含有組成物中にも存在する微孔性炭素構造の表面上に直接沈殿させることができる。
【0058】
一実施形態では、炭素構造は、多孔性又は非多孔性炭素構造であってもよい。一実施形態では、炭素構造は、微孔性炭素構造であってもよい。微孔性炭素構造の例としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが挙げられる。
【0059】
窒素含有部分は、アミン、アミド、イミド、又は窒素含有芳香族化合物を含むことができ、これらの全ては、本開示において上述されている。本明細書に記載の実施例では、ドデシルアミンを窒素含有部分として使用した。
【0060】
液体は、溶媒であってもよい。溶媒は、任意のタイプの極性溶媒であってもよい。液体/極性溶媒の例としては、イソプロパノール、ブタノール、水などのうちの1つ以上を挙げることができる。
【0061】
銀ナノ粒子、窒素含有部分、及び溶媒の混合物は、形成される表面官能化銀ナノ粒子のサイズの制御を助けるために、所望の温度範囲で所望の時間撹拌しながら混合されてもよい。
【0062】
一実施形態では、還元剤を混合物に添加して、液体含有組成物から表面官能化銀ナノ粒子を沈殿させるのを助けることができる。銀ナノ粒子、アミン官能基を有する部分のアミン配位子、及び選択された還元剤の比は、形成される表面官能化銀ナノ粒子の粒径に影響を及ぼし得る。
【0063】
一実施形態では、還元剤の強度は、粒径に対して最大の影響を有し得る。例えば、より強い還元剤ほど、より小さい粒径を生成することができ、より弱い還元剤ほど、より大きい粒径を生成することができる。より強い還元剤の例としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム、(LiAlH4)、水素化アルミニウムナトリウム(NaAlH2)、フェニルヒドラジン、トシルヒドラジド、ヒドラジンなどを挙げることができる。より弱い還元剤の例としては、アスコルビン酸(C6H8O8)、ギ酸(HCOOH)、シュウ酸(C2H2O4)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ギ酸アンモニウム、メタノール、ホルムアミドなどを挙げることができる。還元剤は、1当量の量で添加することができ、10当量程度の量まで添加することができる。
【0064】
次いで、形成されたin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、溶液から濾別され、すすがれ、乾燥され得る。次いで、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、CO2変換システム用のガス拡散電極を形成するために基材上に印刷されるインク形態への調製などの様々な用途に使用され得る。
【0065】
一実施形態では、安定なインクを調製するために、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子にアイオノマーを添加してもよい。使用することができるアイオノマーの例としては、極性溶媒と混合されたアルカリ系アイオノマー(例えば、Sustainion XA-9)、ポリスチレン、スルホネート、ナフィオンなどが挙げられる。方法200は、ブロック206で開始する。
【0066】
以下の実施例4は、in-situ成長方法によるin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の調製の例を提供する。
【0067】
実施例4:
【0068】
溶融ドデシルアミン(155.67グラム(g)、0.8398mol)を、オーバーヘッド撹拌システム、温度計、及びアルゴン(Ar)ラインを備えた1リットル(L)の3つ口丸底フラスコに添加した。反応フラスコを35℃の水浴に浸漬し、撹拌を300RPMに設定した。次いで、フラスコに10.5mLのメタノール、続いて52mLのデカリンを添加した。次に、35.7gのVulcan XC72カーボンブラックを、200mLの5:1デカリン:メタノール溶液と共に添加した。カーボンブラックが十分に分散するまで、混合物を500RPMで15分間撹拌した。次いで、フェニルヒドラジン(11.3g、0.1048mol)を撹拌しながら添加し、温度を35℃で安定させた。反応温度を35~37℃に維持しながら、酢酸銀粉末(35g、0.2097mol)を混合物にゆっくり加えた。酢酸銀の添加にわたって撹拌を500RPMまでゆっくりと上昇させた。酢酸銀全体を添加したら、反応物を40℃にし、1時間撹拌した。
【0069】
400mLのメタノールを1時間の混合後に添加し、15分間撹拌した。沈殿物を、2つの濾過媒体(底部にWhatman 934 AHガラス繊維紙、上部にWhatman#54濾紙)を添加したブフナー漏斗で濾過した。濾過して黒色ペーストを得、これをメタノール200mL中で15分間再スラリー化し、濾過した。洗浄を更に1回繰り返し、真空下で15分間乾燥させて黒色のウェットケーキを得た。次いで、物質を琥珀色の瓶に移し、アルゴンでパージし、真空オーブン中、室温で一晩乾燥させて、AgNP被覆カーボンブラック粉末AC1552(57g)を得た。
【0070】
一実施形態では、in-situ成長方法は、比較的小さい平均直径を有する表面官能化銀ナノ粒子を成長させることが示された。例えば、in-situ成長方法で合成された表面官能化銀ナノ粒子の平均直径は、約6~7ナノメートル(nm)であることが分かった。一例では、平均直径は約6.29nmであり、標準偏差は4.16であった。表面官能化銀ナノ粒子は、約2~15nmの範囲の直径を有することが分かった。
【0071】
実施例5及び6は、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子が安定なインクに調製される方法の例を提供する。実施例5は、イオノマーを用いて調製されたインクの例を提供し、実施例6は、イオノマーを用いずに調製されたインクの例を提供する。
【0072】
実施例5:
【0073】
実施例2で調製した225mgのin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子(40重量%)を、27.1mlのトルエン、1.94gの2.5重量%Sustainion XA-9/トルエン分散液(例えば、アイオノマー)と混合し、次いで60分間超音波処理することによって、カソード触媒用インクを調製した。
【0074】
実施例6:
【0075】
カソード触媒インクは、225mgの実施例2で調製されたin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子(40重量%)を30mlのトルエンと混合し、次いで60分間超音波処理することによって調製され、Agローディングの質量比は0.34%であった。
【0076】
図3及び4は、in-situ堆積方法及びin-situ成長方法によって調製されたin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を提供する。例えば、
図3は、in-situ堆積方法によって調製された、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の異なる倍率を示すTEM画像302及び304を示す。
図4は、in-situ成長方法によって調製された、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の異なる倍率を示すTEM画像402及び404を示す。
【0077】
画像302、304、402、及び404に見られるように、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を調製するための本明細書に記載の方法は、炭素担持体の表面にわたって均一に分布した非常に均一な離散粒子を生成する。言い換えれば、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子は、ex-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子とは異なる物理的外観を有し得る。一実施形態では、本明細書に記載のin-situ方法を用いて形成される表面官能化銀ナノ粒子の平均直径は、約6ナノメートル(nm)~約8nmの範囲であってもよい。例えば、上述したように、in-situ堆積方法は、約7.22nmの平均直径を有する表面官能化銀ナノ粒子を形成することができ、in-situ成長方法は、約6.29nmの平均直径を有する表面官能化銀ナノ粒子を形成することができる。
【0078】
一実施形態では、表面官能化銀ナノ粒子の平均粒径(又は直径)は、in-situ堆積方法において約7nmであり得る。本明細書で使用される「平均粒径」という用語は、体積基準メジアン粒径(例えば、それ未満で粒子集団の50体積%が見られる粒径)を指すことができる。粒径及び粒度分布は、ISO 13320:2009に従ってレーザ回折によって判定され得る。
【0079】
一実施形態では、「均一な粒径分布」は、表面官能化銀ナノ粒子の90%超が約2nm~約18nmの粒径又はサイズを有することを意味すると理解され得る。別の言い方をすれば、in-situ堆積方法の粒径分布グラフは非常に狭く、ピークが約2~18nmの間に形成され得る。換言すれば、表面官能化銀ナノ粒子の凝集は最小限である。むしろ、表面官能化銀ナノ粒子は、非常に一貫した粒径サイズ分布で炭素担持体上に形成される。
【0080】
一実施形態では、「表面にわたって均一に分布した」及び「均一な分布」という用語は、微孔性炭素構造当たりほぼ等しい数(例えば、+/-5%以内)の表面官能化銀ナノ粒子を有することを意味すると理解することができる。「表面にわたって均一に分布している」及び「均一な分布」という用語は、微孔性炭素構造の表面上の隣接する表面官能化銀ナノ粒子間の距離に基づいて定義することもできる。例えば、隣接する表面官能化銀ナノ粒子間の距離は、「均一な分布」を有するように、微孔性炭素構造の表面にわたってほぼ同じ(例えば、+/-5%以内)であってもよい。
【0081】
画像302及び304に見られるように、微孔性炭素構造の表面上の表面官能化銀ナノ粒子の表面積被覆率も高い。例えば、in-situ堆積方法は、微孔性炭素構造の表面積の90%を超える被覆率を提供することができる。
【0082】
in-situ堆積方法では、銀ナノ粒子の粒径を良好に制御することができる。炭素源は、表面官能化銀ナノ粒子形成直後に反応混合物に添加されるので、粒子が凝集する時間はない。炭素源の即時添加なしでは、粒子は固体形態で単離される場合があり、これは不安定化及び/又は凝集のリスクを増大させる可能性がある。一実施形態では、「直ちに」は、銀部分が溶媒に添加されたときの1時間以内、又は銀ナノ粒子の単離が起こる前の任意の時間として定義され得る。
【0083】
これは、特に安定していない可能性がある粒子を安定化させるために活用することができる。例えば、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子のSEM画像を、異なる期間にキャプチャした。例えば、
図5は、1ヶ月間隔でキャプチャされた画像502及び画像504を示す。SEM画像502及び504は、in-situ堆積方法によって調製されたin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の経時的に変化しない形態を示す。言い換えれば、SEM画像は、粒子が経時的に凝集しないことを示した。
【0084】
対照的に、担持されていない銀ナノ粒子は、溶媒溶液内で時間とともにかなり急速に凝集することが示されている。例えば、以下の表1は、数時間又は数日の期間にわたるサイズ分布の漸増を示す。
【表1】
【0085】
一実施形態では、in-situ成長方法における表面官能化銀ナノ粒子の粒径は、約2~15ナノメートル(nm)の範囲であってもよい。
【0086】
一実施形態では、表面官能化銀ナノ粒子の平均粒径(又は直径)は、in-situ成長方法において約6nmであり得る。本明細書で使用するとき、用語「平均粒径」(又は「平均直径」)は、体積基準メジアン粒径(例えば、それ未満で粒子集団の50体積%が見出される粒径)を指し得る。粒径及び粒度分布は、ISO 13320:2009に従ってレーザ回折によって判定され得る。
【0087】
一実施形態では、「均一な粒径分布」という用語は、表面官能化銀ナノ粒子の90%超が約2nm~約15nmの粒径又はサイズを有することを意味すると理解され得る。別の言い方をすれば、in-situ成長方法の粒径分布グラフは非常に狭く、ピークは約2~15nmの間に形成される。
【0088】
一実施形態では、「表面にわたって均一に分布した」及び「均一な分布」という用語は、微孔性炭素構造当たりほぼ等しい数(例えば、+/-5%以内)の表面官能化銀ナノ粒子を有することを意味すると理解することができる。「表面にわたって均一に分布している」及び「均一な分布」という用語は、微孔性炭素構造の表面上の隣接する表面官能化銀ナノ粒子間の距離に基づいて定義することもできる。例えば、隣接する表面官能化銀ナノ粒子間の距離は、「均一な分布」を有するように、微孔性炭素構造の表面にわたってほぼ同じ(例えば、+/-5%以内)であってもよい。
【0089】
画像502及び504に見られるように、微孔性炭素構造の表面上の表面官能化銀ナノ粒子の表面積被覆率も高い。例えば、in-situ堆積方法は、微孔性炭素構造の表面積の90%を超える被覆率を提供することができる。
【0090】
in-situ成長方法では、銀ナノ粒子の粒径を良好に制御することができる。酢酸銀の還元が起こる前に炭素源を添加することによって、得られた銀ナノ粒子を支持構造上に直接成長させることができる。粒子が担持されているため、粒径は、銀、安定剤、及び還元剤の比率を調整することによって制御することができる。
【0091】
これは、特に安定していない可能性がある粒子を安定化させるために活用することができる。例えば、in-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子のSEM画像を、異なる期間にキャプチャした。例えば、
図6は、1ヶ月間隔でキャプチャされた画像602及び画像604を示す。SEM画像602及び604は、in-situ成長方法によって調製されたin-situで合成された炭素担持表面官能化銀ナノ粒子の経時的に変化しない形態を示す。言い換えれば、SEM画像は、粒子が経時的に凝集しないことを示した。
【0092】
したがって、本開示は、炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を提供する。本開示はまた、良好な、又はより良好な電気触媒性能を提供する炭素担持表面官能化銀ナノ粒子を合成するための銀ナノ粒子を合成するin-situ方法を提供する。in-situで合成された表面官能化銀ナノ粒子は、in-situ堆積方法又はin-situ成長方法を使用して調製することができ、これにより、均一な粒径分布、微孔性炭素構造の表面の非常に高い被覆率、及び表面官能化銀ナノ粒子による微孔性炭素構造の表面の均一な被覆率を有するin-situで合成された表面官能化銀ナノ粒子が形成される。
【0093】
in-situで合成された表面官能化銀ナノ粒子は、触媒、化学センサー、バイオ医薬、医療機器、機能性繊維、化粧品、食品包装、栄養補助食品、耐臭気性物品、電子機器、家庭用具、歯科用アマルガム、水消毒剤、塗料/インクなどの様々な異なる用途に使用することができる印刷可能なインクに調製することができる。
【0094】
上記で開示されたものの変形、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることは、理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。
【外国語明細書】