(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088691
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】充電システム、充電管理サーバ、利用者端末、充電管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240625BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240625BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/40
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055360
(22)【出願日】2024-03-29
(62)【分割の表示】P 2020076444の分割
【原出願日】2020-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】馬場 賢二
(72)【発明者】
【氏名】江幡 享
(57)【要約】 (修正有)
【課題】充電スポットが接続されている電力系統が電力逼迫状態となる可能性を低減する充電予約システムを提供する。
【解決手段】道路交通管理システムにおいて、EVユーザ管理事業者の充電予約管理サーバは、夫々が1以上の充電器を備える複数の充電スポットの稼働状況情報及び複数の充電スポットに電力を供給する電力系統の電力状況情報を取得する送受信部と、利用者端末から電気自動車の充電予約の問い合わせがあった際に、利用者端末に表示させる充電予約画面に関する処理として、稼働状況情報の可視化処理を行うとともに、電力状況情報の可視化処理を行う場合に、所定の電力系統単位で余力のない電力系統には、所定の電力系統単位での使用電力分散及び時間的な使用電力分散の少なくとも何れかを推奨する内容の可視化処理を併せて行う処理部と、を備え、送受信部は、可視化処理を行った稼働状況情報と電力状況情報を利用者端末に送信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の利用者が使用する利用者端末と、前記利用者端末からの問い合わせに応じて前記電気自動車の充電予約を行う充電予約管理サーバと、を備える充電予約システムであって、
前記充電予約管理サーバは、
それぞれが1つ以上の充電器を備える複数の充電スポットの稼働状況情報と、前記複数の充電スポットに電力を供給する電力系統の電力状況情報と、を取得する取得部と、
前記利用者端末から前記電気自動車の充電予約の問い合わせがあった際に、前記利用者端末に表示させる充電予約画面に関する処理として、前記稼働状況情報の可視化処理を行うとともに、前記電力状況情報の可視化処理を行う場合に、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、前記所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨する内容の可視化処理を併せて行う可視化処理部と、
前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を前記利用者端末に送信する送信制御部と、を備え、
前記利用者端末は、
前記充電予約管理サーバから受信した前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を含む充電予約画面を表示部に表示させる表示制御部と、
前記充電予約画面を用いて入力された予約情報を前記充電予約管理サーバに送信する予約処理部と、を備える充電予約システム。
【請求項2】
電気自動車の利用者が使用する利用者端末からの問い合わせに応じて前記電気自動車の充電予約を行う充電予約管理サーバであって、
それぞれが1つ以上の充電器を備える複数の充電スポットの稼働状況情報と、前記複数の充電スポットに電力を供給する電力系統の電力状況情報と、を取得する取得部と、
前記利用者端末から前記電気自動車の充電予約の問い合わせがあった際に、前記利用者端末に表示させる充電予約画面に関する処理として、前記稼働状況情報の可視化処理を行うとともに、前記電力状況情報の可視化処理を行う場合に、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、前記所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨する内容の可視化処理を併せて行う可視化処理部と、
前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を前記利用者端末に送信する送信制御部と、を備える充電予約管理サーバ。
【請求項3】
前記可視化処理部は、
前記電力状況情報の可視化処理を行う場合に、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、前記所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨し、応じた場合にはインセンティブを受領できる内容の可視化処理を併せて行う、請求項2に記載の充電予約管理サーバ。
【請求項4】
前記可視化処理部は、前記利用者端末からの前記電気自動車の充電予約の1回の問い合わせに対して、前記稼働状況情報の可視化処理と前記電力状況情報の可視化処理の両方を行い、
前記送信制御部は、前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報の両方を前記利用者端末に送信する、請求項2に記載の充電予約管理サーバ。
【請求項5】
前記利用者端末から前記充電スポットの予約を受け付けた場合に、当該充電スポットに複数の前記充電器があるときには、前記充電器ごとの使用負荷の平準化を行いながら予約処理を行う予約処理部を、さらに備える、請求項2に記載の充電予約管理サーバ。
【請求項6】
前記充電予約の問い合わせがあった前記利用者端末に対応する前記電気自動車の位置情報と目的地情報と電池残量に基づいて複数の前記充電スポットのうちの推奨充電スポットを決定する決定部を、さらに備え、
前記可視化処理部は、前記推奨充電スポットに関する前記稼働状況情報と前記電力状況情報の可視化処理を行う、請求項2に記載の充電予約管理サーバ。
【請求項7】
電気自動車の利用者が使用する利用者端末であって、
前記利用者端末からの問い合わせに応じて前記電気自動車の充電予約を行う充電予約管理サーバから受信した、可視化処理を行った複数の充電スポットの稼働状況情報と、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、前記所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨する内容の可視化処理を行った前記電力系統の電力状況情報と、を含む充電予約画面を表示部に表示させる表示制御部と、
前記充電予約画面を用いて入力された予約情報を前記充電予約管理サーバに送信する予約処理部と、を備える利用者端末。
【請求項8】
前記利用者端末は、前記充電予約に関する処理について、前記利用者の入力操作の一部または全部を音声認識による入力とする処理、および、前記利用者に対する通知の一部または全部を音声合成による通知とする処理、の少なくともいずれかを行う、請求項7に記載の利用者端末。
【請求項9】
電気自動車の利用者が使用する利用者端末からの問い合わせに応じて前記電気自動車の充電予約を行う充電予約管理方法であって、
それぞれが1つ以上の充電器を備える複数の充電スポットの稼働状況情報と、前記複数の充電スポットに電力を供給する電力系統の電力状況情報と、を取得する取得ステップと、
前記利用者端末から前記電気自動車の充電予約の問い合わせがあった際に、前記利用者端末に表示させる充電予約画面に関する処理として、前記稼働状況情報の可視化処理を行うとともに、前記電力状況情報の可視化処理を行う場合に、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、前記所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨する内容の可視化処理を併せて行う可視化処理ステップと、
前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を前記利用者端末に送信する送信制御ステップと、を含む充電予約管理方法。
【請求項10】
電気自動車の利用者が使用する利用者端末としてのコンピュータに、
前記利用者端末と通信を行う充電予約管理サーバから受信した、可視化処理を行った複数の充電スポットの稼働状況情報と、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、前記所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨する内容の可視化処理を行った前記電力系統の電力状況情報と、を含む充電予約画面を表示部に表示させる表示制御ステップと、
前記充電予約画面を用いて入力された予約情報を前記充電予約管理サーバに送信する予約処理ステップと、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、充電予約システム、充電予約管理サーバ、利用者端末、充電予約管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(EV:Electric Vehicle)の普及が進んでいる。それにともない、充電スポットの整備も進められている。充電スポットは、1つ以上の充電器を備え、例えば、高速道路においてはSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)などに設けられる。また、充電スポットは、電力系統から受けた電力を用いてEVに電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-125825号公報
【特許文献2】特開2013-213799号公報
【特許文献3】特開2017-139961号公報
【特許文献4】特開2014-20931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、所定の電力系統単位で考えた場合に、特定の電力系統に接続している充電スポットに、電力使用のピーク時に、充電を行う電気自動車が集中した場合、その電力系統の電力が逼迫することがある。また、電力逼迫時にも対応できるように、電力会社は電力系統の送配電能力を補強しておくこともできるが、そのためには莫大なコストがかかる。したがって、そのような補強以外の対策を行うことが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、充電スポットが接続されている電力系統が電力逼迫状態となる可能性を低減することができる充電予約システム、充電予約管理サーバ、利用者端末、充電予約管理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の充電予約システムは、電気自動車の利用者が使用する利用者端末と、前記利用者端末からの問い合わせに応じて前記電気自動車の充電予約を行う充電予約管理サーバと、を備える充電予約システムである。前記充電予約管理サーバは、それぞれが1つ以上の充電器を備える複数の充電スポットの稼働状況情報と、前記複数の充電スポットに電力を供給する電力系統の電力状況情報と、を取得する取得部と、前記利用者端末から前記電気自動車の充電予約の問い合わせがあった際に、前記利用者端末に表示させる充電予約画面に関する処理として、前記稼働状況情報の可視化処理を行うとともに、前記電力状況情報の可視化処理を行う場合に、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、前記所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨する内容の可視化処理を併せて行う可視化処理部と、前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を前記利用者端末に送信する送信制御部と、を備える。前記利用者端末は、前記充電予約管理サーバから受信した前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を含む充電予約画面を表示部に表示させる表示制御部と、前記充電予約画面を用いて入力された予約情報を前記充電予約管理サーバに送信する予約処理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態の道路交通管理システムの全体構成の概要を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における電力系統とSAとの位置関係を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の充電予約システムの全体構成の概要を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における高速道路とSAを模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態において携帯端末に表示される第1の画面例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態において携帯端末に表示される第2の画面例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態のアグリゲータサーバによる処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第1実施形態の充電予約管理サーバと携帯端末による処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2実施形態の充電予約システムの全体構成の概要を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態において携帯端末に表示される第3の画面例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態のアグリゲータサーバによる処理を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第2実施形態の充電予約管理サーバと携帯端末による処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第3実施形態の充電予約管理サーバと携帯端末による処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第5実施形態の道路交通管理システムの全体構成の概要を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、第5実施形態の充電予約システムの全体構成の概要を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、第5実施形態の充電予約管理サーバと携帯端末による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態(第1実施形態~第6実施形態)の充電予約システム、充電予約管理サーバ、利用者端末、充電予約管理方法及びプログラムについて、図面を参照して説明する。なお、以下において、電気自動車とは、電気のみを動力とする電気自動車に限定されず、電気と燃料(ガソリン等)を動力とするプラグイン・ハイブリッド車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)も含み、つまり、動力の少なくとも一部として電気を使用し、外部から充電できる自動車全般を指す。
【0009】
また、道路として、高速道路の場合を例にとって説明するが、高速道路以外の一般道でも適用可能である。そして、充電スポットは、1つ以上の充電器を備え、例えば、SAやPAなどに設けられるが、代表してSAに設けられる場合を例にとって説明する。また、充電スポットは、電力系統から受けた電力を用いてEVに電力を供給する。また、第2実施形態以降では、それまでの実施形態で説明した事項と同様の事項については説明を適宜省略する。
【0010】
(第1実施形態)
まず、
図1を参照して、第1実施形態の道路交通管理システムSの全体構成の概要について説明する。
図1は、第1実施形態の道路交通管理システムSの全体構成の概要を示すブロック図である。道路交通管理システムSは、発電事業者1と、需要家2と、自動車会社3と、アグリゲータ(送配電事業者)4と、充電サービス会社5と、EVユーザ管理事業者8と、道路事業者9と、EV10と、を備える。なお、これらの構成のうち、特に、充電予約管理サーバ82と携帯端末103(利用者端末)を含み、充電予約に関係する構成の集まりを充電予約システムと称する。また、
図1において構成同士を接続する線は主な通信接続関係を示したものであり、線で接続されていない構成同士が通信接続されていてもよい。
【0011】
発電事業者1は、発電を行う事業者である。発電事業者1は、火力発電や水力発電等により発電を行う電力会社に限られず、電力会社以外の発電事業者や、太陽光や風力等の自然エネルギーを用いた発電事業者が含まれてもよい。発電事業者1によって発電された電力は、各電力系統に供給される。
【0012】
また、需要家2は、電力系統から電力の供給を受けて使用している者であり、例えば、ビル、工場、一般家庭などである。
【0013】
ここで、
図2は、第1実施形態における電力系統とSAとの位置関係を模式的に示す図である。
図2では、道路Rに設けられたSAとして、A-SA、B-SA、C-SA、D-SAを示している。これらの4つのSAには充電スポットが設けられている。
【0014】
そして、
図2の例では、電力を供給する送配電の電力系統として、電力系統1~3が設けられている。各電力系統1~3は、各SAの充電器の他、多数の需要家2に電力を供給している。また、A-SAとB-SAの充電器は、電力系統1から電力の供給を受ける。C-SAの充電器は、電力系統2から電力の供給を受ける。D-SAの充電器は、電力系統3から電力の供給を受ける。
【0015】
このような設置状況において、例えば、電力使用のピーク時に、充電を行うEV10が、A-SA、B-SAに集中したとすると、両SAの充電器が接続される電力系統1の電力が逼迫することになる。このような状況に備えるため、アグリゲータ(送配電事業者)4は、例えば、電力系統1の送配電能力を予め補強しておくことで対応できる。しかしながら、電力系統を増強し維持するためには、アグリゲータ(送配電事業者)4に多大なコストがかかってしまう。また、特定の事業者に引き込むための電力系統の場合、最大契約電力量に基づいて電力料金が規定される場合が多く、電力料金も高価となってしまう。このため、予め充電スポットの利用が、電力系統の観点から平準化されていれば、電力料金を抑えることかでき、特定の電力系統が電力逼迫状態となる可能性を低減することができる。
【0016】
図1に戻り、アグリゲータ(送配電事業者)4は、発電事業者1から供給を受けた電力を、送電線を用いて需要家2に供給する事業者である。アグリゲータ(送配電事業者)4は、例えば、発電事業者1と各種調整を行うVPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)アグリゲータや、需要家2等と各種調整を行うリソースアグリゲータなどの複数の種類が考えられるが、ここでは説明を簡潔にするために単一のアグリゲータとして説明する。
【0017】
アグリゲータ(送配電事業者)4は、アグリゲータサーバ41を備える。アグリゲータサーバ41は、発電事業者1からの供給電力と需要家2の需要量を監視し、そのあとのそれらの増減を予測することで、電力の供給量と需要量のバランスをとる制御(同時同量制御)を行う。そして、アグリゲータサーバ41は、需給バランスの変化が予想される場合は発電事業者1に対して発電量の削減や促進の要請を行うとともに、需要家2に電力の消費の削減や促進、電力の提供(売電)の要請を行う。すなわち電力調整要請の指令を出す。また、アグリゲータサーバ41は、例えば、EVユーザ管理事業者8に対しても売電要請を行うことができる。アグリゲータサーバ41の詳細については後述する。
【0018】
道路事業者9は、高速道路等の道路の運営・管理等を行っている事業者である。道路事業者9は、交通管制サーバ91と、道路施設管理サーバ92と、料金系中央サーバ93と、気象情報管理サーバ94と、を備える。
【0019】
交通管制サーバ91は、走行する車両の交通量や渋滞等の発生等の交通イベントを監視し、交通の流れを管理する。道路施設管理サーバ92は、電源設備、照明機器、トンネル、情報板等の道路施設の稼働状況を、路側や各機器に設置されたセンサ等を用いて監視し、管理する。
【0020】
気象情報管理サーバ94は、例えば、予め定めた各地域および各日時の気温、降雨有無、降水量、風速、風向、総日射量、降雪量、路面温度、光度、視程(霧)、放射線、ゲリラ豪雨等の気象情報を管理する。気象情報は、過去および現在までの気象情報のほか、将来の予測の気象情報が取得可能な場合は、予測の気象情報を含んでもよい。なお、気象情報は、例えば、道路に設置された各種センサ等が収集するものを利用するが、気象庁や気象会社等から入手した情報と組み合わせて用いてもよい。気象情報管理サーバ94の情報は、交通管制サーバ91における交通管制業務や、道路施設管理サーバ92における道路施設管理業務にも利用される。
【0021】
また、高速道路には、EV10に搭載されるETC/DSRC(Dedicated Short Range Communications)車載器101等と路車間通信を行うためのITS(Intelligent Transport Systems)スポット96が配置される。ITSスポット96は、道路の路側やサービスエリア等の所定の場所に設置され、通過する車両に対して交通情報等の情報提供を行ったり、車両の走行経路情報を収集したりする。
【0022】
料金系中央サーバ93は、走行車両からの料金徴収に関する処理を行うサーバである。また、高速道路の料金所等には、ETC(Electronic Toll Collection System)によって通行車両と通信を行うことで料金収受を行うための路側装置95が設置される。
【0023】
充電サービス会社5は、高速道路上のサービスエリア(SA)、自動車会社、ショッピングモール等の充電スポットに設けられた充電器52により、EV10への充電サービスを行う会社である。充電サービス会社5は、充電サービス管理サーバ51を備える。
【0024】
充電予約管理サーバ82は、充電サービス会社5からの情報に基づき、充電器52の稼働状況と予約状況を管理するサーバである。
【0025】
EVユーザ管理事業者8は、アグリゲータ4、道路事業者9からの情報や要請に基づき、EV10に対して、充電スポット予約管理や必要な情報提供や、サービス等の提供等を行う事業者である。特に、充電予約管理サーバ82を用いて、アグリゲータ(送配電事業者)4から電力供給の依頼があった場合に、EV10による余剰電力の売電を促すようにEV10の運転者に要請する。
【0026】
EVユーザ管理事業者8は、車両情報管理サーバ81と、充電器52の予約を管理する充電予約管理サーバ82と、を備える。
【0027】
車両情報管理サーバ81は、自動車会社3からの情報に基づき、充電予約サービスを受けているEV10について、車種ID、EVメーカ、電池容量、蓄電池の種類(リチウムイオン電池等)、総重量(EV10に定員まで載ったときの重量やEV10自体の重さ)、電費、電池劣化速度、発売年等の情報(車両情報)等を管理する。
【0028】
EV10は、自身に搭載された蓄電池104の充電電力(充電エネルギー)を使用して、交通路である道路を走行する車両である。EV10は、充電スポットにおいて、蓄電池104に充電し、蓄電池104に蓄積された電力を使用して移動する。EV10は、必要に応じて充電スポットで充電を行いつつ、目的地へ移動する。
【0029】
また、EV10の運転者等が携帯端末103を所有しているものとする。従って、携帯端末103は、EV10と一緒に移動する。携帯端末103は、例えば、スマートフォン、タブレット装置、携帯電話、ノートPC等である。カーナビゲーション端末102および携帯端末103は、情報を入力する入力部と、情報を出力する出力部と、他の装置の通信を行う通信部と、を備えた情報処理装置である。カーナビゲーション端末102および携帯端末103は、例えば、通信ネットワークNを介して、充電予約管理サーバ82等と通信可能である。
【0030】
通信ネットワークNは、有線または無線またはこれらのハイブリッドのネットワークである。通信ネットワークNは、無線LANのアクセスポイント等の中継装置を含んでいてもよい。また、通信ネットワークNは、第5世代(5G)の無線通信システムやWi-Fi(登録商標)を含んでいてもよい。
【0031】
次に、
図3を参照して、第1実施形態の充電予約システムの全体構成の概要について説明する。
図3は、第1実施形態の充電予約システムの全体構成の概要を示すブロック図である。
【0032】
充電サービス管理サーバ51は、充電器稼働状況情報(稼働状況情報)を記憶する。充電器稼働状況情報とは、各充電スポットにおける各充電器が稼働中か否かを含む情報である。充電器稼働状況情報は、例えば、充電器52で充電または放電を行ったユーザのユーザID(EV_ID)、充電スポットID、充電/放電の識別フラグ、開始充電量、終了充電量、充電/放電開始時刻、充電/放電終了時刻を含む。その他、充電効率、充電回数、放電回数等の情報を含んでいてもよい。
【0033】
アグリゲータサーバ41は、発電事業者1の発電計画と、需要家2の需要量の予測から、電力状況情報や、ピークシフト要請要否情報を予測・管理し、記憶する。ここで、電力状況情報は、所定の電力系統単位での電力系統ごとの電力状況に関する情報である。所定の電力系統単位とは、例えば、送電線の所定の幹線単位であってもよいし、あるいは、送電線の所定の支線単位であってもよい。電力状況とは、例えば、(現在の電力使用量)/(現在の最大電力使用可能量)の値を含む情報である。
【0034】
ピークシフト要請要否情報は、電力使用のピークシフトの要請が必要か否かを示す情報である。ここで、ピークシフトとは、所定の電力系統単位での使用電力分散(以下、「地理的ピークシフト」ともいう。)、および、時間的な使用電力分散(以下、「時間的ピークシフト」ともいう。)の少なくともいずれかを指す。例えば、地理的ピークシフトを要請する場合、EV10のユーザに、余力(供給電力の余力。以下同様。また、「余裕」ともいう。)のない電力系統に接続された充電スポットではなく、余力のある電力系統に接続された充電スポットを使用することを推奨する。また、時間的ピークシフトを要請する場合、EV10のユーザに、余力のない電力系統に接続された充電スポットを使用するときには、ピークを外れた時間帯でその充電スポットを使用することを推奨する。
【0035】
充電予約管理サーバ82は、例えば、EV10の利用者が使用する携帯端末103からの問い合わせに応じてEV10の充電予約を行う。充電予約管理サーバ82は、送受信部11と、記憶部12と、処理部13と、送受信部14と、を備える。
【0036】
記憶部12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等によって構成され、各種情報を記憶する。記憶部12は、例えば、充電器稼働状況情報DB(Data Base)121と、電力状況情報DB122と、登録ユーザ情報DB123と、充電スポットDB124と、電力系統DB125と、を記憶する。
【0037】
充電器稼働状況情報DB121は、上述の充電器稼働状況情報を記憶するDBである。電力状況情報DB122は、上述の電力状況情報を記憶するDBである。
【0038】
登録ユーザ情報DB123は、EV10のユーザが携帯端末103等を用いて充電予約管理サーバ82にアクセスすること等により登録されるユーザ情報のDBである。ユーザ情報は、ユーザ登録のための事前登録情報と、充電スポットの予約等の実際のサービスを受ける段階で登録する情報がある。事前登録情報としては、例えば、ユーザID、車種、年式、累積走行距離、EV10の電池容量、電池劣化度などがある。ここで、EV10の電池容量、電池劣化度は、予め自動車会社3から車種ごとの仕様/特性を入手しておき、ユーザが入力した車種や年式の情報から自動的に登録するようにしてもよい。
【0039】
また、サービスを受ける段階で登録する情報としては、例えば、出発地(高速道路の出発IC(インターチェンジ)等)、目的地(目的IC等)、EV10の電池残量(エネルギー残量)、GPSによる現在位置情報などがある。
【0040】
充電スポットDB124は、それぞれの充電スポットにおける充電器52の情報を含む各種情報を記憶するDBである。電力系統DB125は、所定の電力系統単位での電力系統ごとの場所や容量等を記憶するDBである。
【0041】
送受信部11(取得部)は、送受信インタフェースによって構成され、各種情報の送受信を行う。送受信部11は、例えば、充電サービス管理サーバ51から充電器稼働状況情報を取得し、記憶部12の充電器稼働状況情報DB121に記憶させる。
【0042】
また、送受信部11は、アグリゲータサーバ41から電力状況情報を取得し、記憶部12の電力状況情報DB122に記憶させる。また、送受信部11は、アグリゲータサーバ41からピークシフト要請情報を取得した場合、記憶部12の電力状況情報DB122に記憶させる。
【0043】
処理部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成され、各種演算処理を実行する。処理部13は、例えば、第1の可視化処理部131と、確認処理部132と、第2の可視化処理部133と、予約処理部134と、を備える。また、以下の説明において、処理部13における各部131~134以外の処理について説明するときは、動作主体を処理部13と記載する。
【0044】
ここで、
図4は、第1実施形態における高速道路RとSAを模式的に示す図である。高速道路Rの進行方向は紙面右方向とする。EV10の進行方向に、4つのSAが、A-SA、B-SA、C-SA、D-SAの順で配置されている。これらの4つのSAには充電スポットが設けられている。
【0045】
次に、第1の可視化処理部131について、説明する。
図5は、第1実施形態において携帯端末103に表示される第1の画面例を模式的に示す図である。第1の可視化処理部131は、携帯端末103からEV10の充電予約の問い合わせがあった際に、携帯端末103に表示させる充電予約画面に関する処理として、稼働状況情報の可視化処理を行う。第1の可視化処理部131は、可視化処理を行った稼働状況情報を携帯端末103に送信する。これにより、この可視化処理を行った稼働状況情報は、携帯端末103において、充電予約アプリを用いて
図5に示すように表示される。
【0046】
図5の第1の画面例では、領域R1に示すように、一例として、A-SAが「満(充電スポットを予約できない状態)」で、B-SA、C-SA、D-SAが「空(充電スポットを予約できる状態)」と表示される。そして、領域R2に示すように、B-SA、C-SA、D-SAについて、予約希望ボタンを選択できる。その選択後、領域R3に示す決定ボタンを操作することで決定できる。
【0047】
図3に戻って、確認処理部132は、携帯端末103からEV10の充電予約の問い合わせがあった際に、記憶部12の電力状況情報DB122を参照して、電力状況情報(ピークシフト要請情報の有無を含む)を確認する処理を実行する。
【0048】
次に、第2の可視化処理部133について、説明する。
図6は、第1実施形態において携帯端末103に表示される第2の画面例を模式的に示す図である。第2の可視化処理部133は、携帯端末103からEV10の充電予約の問い合わせがあった際に、携帯端末103に表示させる充電予約画面に関する処理として、電力状況情報の可視化処理を行う。その場合に、第2の可視化処理部133は、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨する内容の可視化処理を併せて行う。
【0049】
第2の可視化処理部133は、可視化処理を行った電力状況情報を携帯端末103に送信する。これにより、この可視化処理を行った電力状況情報は、携帯端末103において、充電予約アプリを用いて
図6に示すように表示される。
【0050】
図6の第2の画面例では、一例として、領域R11に示すように、各電力系統に関する電力状況情報が表示される。例えば、A-SA、B-SAにおける充電スポットが接続されている電力系統1について、「電力:余裕小」と表示される。また、C-SAにおける充電スポットが接続されている電力系統2について、「電力:余裕なし(ピークシフト要請あり)」と表示される。また、D-SAにおける充電スポットが接続されている電力系統3について、「電力:余裕大」と表示される。
【0051】
また、領域R12に示すように、「空」となっているB-SA、C-SA、D-SAについて、予約ボタンを選択できる。また、領域R13に示すように、予約日時を入力できる。
【0052】
また、領域R14に示すように、ピークシフト要請に関するメッセージが表示される。ここでは、電力に余裕のないC-SAよりも、電力に余裕のあるB-SAやD-SAの利用を推奨する旨と、C-SAを利用する際は電力使用のピークの時間帯を外した時間帯の利用を推奨する旨が表示される。また、領域R15に示す決定ボタンを操作することで、予約依頼内容を決定できる。
【0053】
図3に戻って、予約処理部134は、携帯端末103から充電予約要求を受け付けると、予約対象の充電スポットの充電器52を特定する処理等を行って、予約処理を行う。
【0054】
送受信部14(送信制御部)は、送受信インタフェースによって構成され、各種情報の送受信を行う。送受信部14は、例えば、可視化処理を行った稼働状況情報と電力状況情報を携帯端末103に送信する。また、送受信部14は、携帯端末103から充電予約要求を受け付ける。
【0055】
携帯端末103は、送受信部21と、処理部22と、表示部23と、入力部24と、記憶部25と、を備える。
【0056】
送受信部21は、送受信インタフェースによって構成され、各種情報の送受信を行う。送受信部21は、例えば、例えば、充電予約管理サーバ82から、可視化処理を行った稼働状況情報と電力状況情報を受診する。また、送受信部21は、充電予約管理サーバ82に充電予約要求を送信する。
【0057】
処理部22は、例えば、CPUによって構成され、各種演算処理を実行する。処理部22は、表示制御部221と、予約処理部222と、を備える。また、以下の説明において、処理部22における表示制御部221、予約処理部222以外の処理について説明するときは、動作主体を処理部22と記載する。
【0058】
表示制御部221は、各種表示制御を実行する。表示制御部221は、例えば、充電予約管理サーバ82から受信した、可視化処理を行った稼働状況情報を含む充電予約画面(
図5)や、可視化処理を行った稼働状況情報と電力状況情報を含む充電予約画面(
図6)を表示部23に表示させる。
【0059】
図5、
図6について、再度説明する。
図5は、充電予約画面の一例を示す図である。充電予約画面では、EV10のその日の目的地に沿って進行方向に充電スポットと、予約希望ボタンが表示され、更に満空の状態が表示されている。
【0060】
次に、
図6は、稼働状況情報と電力状況情報を含む充電予約画面の一例を示す図である。上記
図5に基づきEV10のユーザが予約希望ボタンを操作すると、その時点での電力系統の余裕度を判定し、系統毎の余裕度を表示する。そして、更に、電力需給の観点から推奨する充電スポット名や推奨の充電時間(日時)を表示することで、推奨の充電スポットや時間帯での予約を、EV10のユーザに促す。
【0061】
予約処理部222は、
図5の充電予約画面を用いてユーザによって入力された予約希望情報や、
図6の充電予約画面を用いてユーザによって入力された予約情報(予約依頼内容の情報)を、充電予約管理サーバ82に送信する。
【0062】
表示部23は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やOLED(Organic Light Emitting Diode)によって構成され、各種情報を表示する。
【0063】
入力部24は、ユーザによる情報入力手段であり、例えば、タッチパネル等である。
【0064】
記憶部25は、例えば、ROM、RAM、各種メモリ等によって構成され、各種情報を記憶する。記憶部25は、例えば、充電予約アプリ等を記憶する。
【0065】
次に、第1実施形態のアグリゲータサーバ41による処理について説明する。
図7は、第1実施形態のアグリゲータサーバ41による処理を示すフローチャートである。
【0066】
まず、ステップS1において、アグリゲータサーバ41は、各発電事業者1から発電量及び発電予測量に基づき、それぞれの電力系統単位で電力状況情報を取得する。
【0067】
次に、ステップS2において、アグリゲータサーバ41は、電力状況情報を充電予約管理サーバ82に送信する。充電予約管理サーバ82は、受信した電力状況情報を記憶部12の電力状況情報DB122に記憶させる。
【0068】
次に、ステップS3において、アグリゲータサーバ41は、所定の電力系統単位ごとに、系統電力(電力系統の電力)に余力があるか否かを判定し、Yesの場合はステップS1に戻り、Noの場合はステップS4に進む。
【0069】
ステップS4において、アグリゲータサーバ41は、余力のない電力系統に関するピークシフト要請情報を充電予約管理サーバ82に送信する。充電予約管理サーバ82は、受信したピークシフト要請情報を記憶部12の電力状況情報DB122に記憶させる。
【0070】
次に、第1実施形態の充電予約管理サーバ82と携帯端末103による処理について説明する。
図8は、第1実施形態の充電予約管理サーバ82と携帯端末103による処理を示すフローチャートである。
【0071】
まず、ステップS101において、携帯端末103の処理部22は、ユーザによる操作に基づいて充電予約アプリを起動し、起動信号を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0072】
次に、充電予約管理サーバ82では、ステップS102において、処理部13は記憶部12の稼働状況情報DBから充電スポットの稼働状況情報を読み出し、ステップS103において、第1の可視化処理部131はその稼働状況情報の可視化処理を行う。処理部13は、可視化処理を行った稼働状況情報を携帯端末103に送信する。
【0073】
次に、ステップS104において、携帯端末103の表示制御部221は、可視化処理を行った稼働状況情報を含む充電予約画面(
図5)を表示する。
【0074】
その後、ステップS105において、携帯端末103の予約処理部222は、充電予約画面(
図5)を用いたユーザによる予約希望入力を受け付けると、予約希望情報を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0075】
次に、充電予約管理サーバ82では、ステップS106において、処理部13は記憶部12の電力状況情報DB122から電力状況情報を読み出し、ステップS107において、第2の可視化処理部133はその電力状況情報の可視化処理を行う。処理部13は、可視化処理を行った電力状況情報を携帯端末103に送信する。
【0076】
次に、ステップS108において、携帯端末103の表示制御部221は、可視化処理を行った電力状況情報を含む充電予約画面(
図6)を表示する。
【0077】
その後、ステップS109において、携帯端末103の予約処理部222は、充電予約画面(
図6)を用いたユーザによる予約入力を受け付けると、予約情報(充電予約要求)を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0078】
次に、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、ステップS110において、予約対象の充電スポットの充電器を特定する処理等を行う予約処理を行い、ステップS111において、予約結果を携帯端末103に通知する。
【0079】
その後、ステップS112において、携帯端末103の表示制御部221は、予約結果を表示部23に表示する。ユーザはこの表示を見て予約結果を確認できる。
【0080】
このようにして、第1実施形態の充電予約システムによれば、高速道路の充電スポットを予約制にし、充電予約管理サーバ82と携帯端末103を連携させ、携帯端末103に充電予約画面として充電スポットの稼働状況情報だけでなく、余力のない電力系統に関する所定の電力系統単位での使用電力分散や時間的な使用電力分散を推奨する内容を表示させることで、ユーザによるピークシフトのための行動を期待できる。したがって、電力系統の送配電能力を補強することなしに、充電スポットが接続されている電力系統が電力逼迫状態となる可能性を低減することができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に加えて、インセンティブの付与によるピークシフト誘導の機能を加えた実施の形態である。以下、主に第1実施形態との相違点について説明する。
【0082】
図9は、第2実施形態の充電予約システムの全体構成の概要を示すブロック図である。アグリゲータサーバ41は、インセンティブ情報を保有する。
ここで、インセンティブ情報とは、地理的ピークシフトや時間的ピークシフトに応じたユーザに対するインセンティブ付与に関する情報である。インセンティブは、例えば、高速道路料金の割引や、充電スポットでの充電の料金の割引や、ETC(Electronic Toll Collection System)マイレージのポイント付与などである。また、インセンティブは、SA/PAで買い物ができるポイントのようなものでもよい。
【0083】
ここで、インセンティブ付与に関する費用等を負担するのは、電力系統の偏りをなくすことで恩恵を受けるアグリゲータ(送配電事業者)4が考えられるが、これに限られない。
【0084】
ここで、
図10は、第2実施形態において携帯端末103に表示される第3の画面例を模式的に示す図である。
【0085】
充電予約管理サーバ82において、第2の可視化処理部133は、電力状況情報の可視化処理を行う場合に、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨する。そして、EV10のユーザがその推奨に応じた場合には、第2の可視化処理部133は、インセンティブを受領できる内容の可視化処理を行う。
【0086】
そして、第2の可視化処理部133は、可視化処理を行った電力状況情報を、通信ネットワークNを介して携帯端末103に送信する。これにより、この可視化処理を行った電力状況情報は、携帯端末103において、充電予約アプリを用いて
図10に示すように表示される。
【0087】
図10の第3の画面例では、領域R11、R12、R13、R15における表示は
図6と同様となる。領域R16において、一例として、インセンティブ情報が表示されている。
つまり、B-SAの充電スポットを利用した場合に所定のインセンティブをもらえることと、D-SAの充電スポットを利用した場合に所定のインセンティブをもらえることと、C-SAの充電スポットをピーク以外の時間帯で利用した場合に所定のインセンティブをもらえることが示されている。ユーザは、これらのインセンティブ情報を踏まえて、利用する充電スポットの場所や時間帯を決定することができる。
【0088】
ここで、インセンティブの原資は、アグリゲータ4から提供されることが想定される。アグリゲータ4にとっては、
図2で説明したように各充電スポットへの電力供給のピーク需要を考慮した電力系統の構築が必要となるため、ピークシフトによる電力需要の平準化は好都合になる。このため、インセンティブは、例えば、アグリゲータ4にとって重要となるピークシフトへの貢献度等に応じて複数種類の設定が可能である。
【0089】
アグリゲータサーバ41は、このようなインセンティブ情報を充電予約管理サーバ82に送信する。充電予約管理サーバ82は、記憶部12にインセンティブ情報DB126を備える。充電予約管理サーバ82は、アグリゲータサーバ41から受信したインセンティブ情報を記憶部12のインセンティブ情報DB126に記憶させる。
【0090】
次に、第2実施形態のアグリゲータサーバ41による処理について説明する。
図11は、第2実施形態のアグリゲータサーバ41による処理を示すフローチャートである。
【0091】
ステップS1~S3については、
図7と同様である。
ステップS3でNoの場合、ステップS5において、アグリゲータサーバ41は、電力状況情報に基づいて、余力のない電力系統に関するインセンティブ情報を算出する。
【0092】
次に、ステップS6において、アグリゲータサーバ41は、余力のない電力系統に関するピークシフト要請情報とインセンティブ情報を充電予約管理サーバ82に送信する。充電予約管理サーバ82は、受信したピークシフト要請情報を記憶部12の電力状況情報DB122に記憶させ、受信したインセンティブ情報を記憶部12のインセンティブ情報DB126に記憶させる。
【0093】
次に、第2実施形態の充電予約管理サーバ82と携帯端末103による処理について説明する。
図12は、第2実施形態の充電予約管理サーバ82と携帯端末103による処理を示すフローチャートである。
【0094】
まず、ステップS201において、携帯端末103の処理部22は、ユーザによる操作に基づいて充電予約アプリを起動し、起動信号を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0095】
次に、充電予約管理サーバ82では、ステップS202において、処理部13は記憶部12の稼働状況情報DBから充電スポットの稼働状況情報を読み出す。
【0096】
次に、ステップS203において、第1の可視化処理部131はその稼働状況情報の可視化処理を行う。処理部13は、可視化処理を行った稼働状況情報を携帯端末103に送信する。
【0097】
次に、ステップS204において、携帯端末103の表示制御部221は、可視化処理を行った稼働状況情報を含む充電予約画面(
図5)を表示する。
【0098】
その後、ステップS205において、携帯端末103の予約処理部222は、充電予約画面(
図5)を用いたユーザによる予約希望入力を受け付けると、予約希望情報を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0099】
次に、充電予約管理サーバ82では、ステップS206において、処理部13は、記憶部12の電力状況情報DB122から電力状況情報を読み出すとともに記憶部12のインセンティブ情報DB126からインセンティブ情報を読み出す。
【0100】
そして、ステップS207において、第2の可視化処理部133はその電力状況情報とインセンティブ情報の可視化処理を行う。処理部13は、可視化処理を行った電力状況情報とインセンティブ情報を携帯端末103に送信する。
【0101】
次に、ステップS208において、携帯端末103の表示制御部221は、可視化処理を行った電力状況情報とインセンティブ情報を含む充電予約画面(
図10)を表示する。
【0102】
その後、ユーザがインセンティブの内容を確認して、充電の予約の操作を行う。ステップS209において、携帯端末103の予約処理部222は、充電予約画面(
図10)を用いたユーザによる予約入力を受け付けると、予約情報(充電予約要求)を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0103】
次に、ステップS210において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、受信した予約情報がピークシフト要請に応じたものであるか否かを判定し、Yesの場合はステップS212に進み、Noの場合はステップS211に進む。
【0104】
ステップS212において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、ピークシフトに応じていることで優先的に予約を処理する優先予約処理と、インセンティブ情報に関する処理を行うインセンティブ処理を行う。
【0105】
ステップS211において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、通常の予約処理を行う。
ステップS211とステップS212の後、ステップS213において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、予約結果を携帯端末103に通知する。
【0106】
その後、ステップS214において、携帯端末103の表示制御部221は、予約結果を表示部23に表示する。ユーザはこの表示を見て予約結果を確認できる。
【0107】
このようにして、第2実施形態の充電予約システムによれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、インセンティブ情報を用いることで、ユーザによるピークシフトのための行動をより誘発することができ、充電スポットが接続されている電力系統が電力逼迫状態となる可能性をさらに低減することができる、という効果を実現できる。
【0108】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第2実施形態と比較して、予約希望入力と予約入力の2段階の処理ではなく、それらを一回の処理にまとめた点で相違する。つまり、充電予約管理サーバ82は、携帯端末103からのEV10の充電予約の1回の問い合わせに対して、稼働状況情報の可視化処理と電力状況情報の可視化処理の両方を行い、可視化処理を行った稼働状況情報と電力状況情報の両方を携帯端末103に送信する。
以下、主に第1実施形態と第2実施形態との相違点について説明する。充電予約システムの全体構成は
図9と同様である。
【0109】
図13を参照して、第3実施形態の充電予約管理サーバ82と携帯端末103による処理について説明する。
図13は、第3実施形態の充電予約管理サーバ82と携帯端末103による処理を示すフローチャートである。
【0110】
まず、ステップS301において、携帯端末103の処理部22は、ユーザによる操作に基づいて充電予約アプリを起動し、起動信号を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0111】
次に、充電予約管理サーバ82では、ステップS302において、処理部13は記憶部12の稼働状況情報DBから充電スポットの稼働状況情報を読み出し、記憶部12の電力状況情報DB122から電力状況情報(ピークシフト要請情報を含む)を読み出し、記憶部12のインセンティブ情報DB126からインセンティブ情報を読み出す。
【0112】
次に、ステップS303において、第1の可視化処理部131は稼働状況情報の可視化処理を行い、第2の可視化処理部133は電力状況情報とインセンティブ情報の可視化処理を行う。処理部13は、可視化処理を行った各情報を携帯端末103に送信する。
【0113】
次に、ステップS304において、携帯端末103の表示制御部221は、可視化処理を行った各情報(充電予約用情報)を含む充電予約画面(
図10)を表示する。
【0114】
その後、ステップS305において、携帯端末103の予約処理部222は、充電予約画面(
図10)を用いたユーザによる予約入力を受け付けると、予約情報(充電予約要求)を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0115】
次に、ステップS306において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、受信した予約情報がピークシフト要請に応じたものであるか否かを判定し、Yesの場合はステップS308に進み、Noの場合はステップS307に進む。
【0116】
ステップS308において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、ピークシフトに応じていることで優先的に予約を処理する優先予約処理と、インセンティブ情報に関する処理を行うインセンティブ処理を行う。
【0117】
ステップS307において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、通常の予約処理を行う。ステップS307とステップS308の後、ステップS309において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、予約結果を携帯端末103に通知する。
【0118】
その後、ステップS310において、携帯端末103の表示制御部221は、予約結果を表示部23に表示する。ユーザはこの表示を見て予約結果を確認できる。
【0119】
このようにして、第3実施形態の充電予約システムによれば、予約希望入力と予約入力の2段階の処理ではなく、それらを一回の処理にまとめたことで、ユーザによる利便性をさらに向上させることができる。
【0120】
(第3実施形態の変形例)
なお、この第3実施形態の変形例として、インセンティブ情報を用いないようにすることもできる。つまり、第3実施形態は第2実施形態における予約希望入力と予約入力の2段階の処理を一回の処理にまとめたものであり、同様に、インセンティブ情報を用いない第1実施形態における予約希望入力と予約入力の2段階の処理を一回の処理にまとめることもできる。
【0121】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態~第3実施形態と比較して、同じ充電スポット(例えば、同一のSA)内に、複数の充電器52があるときに、充電器52ごとの使用負荷の平準化を行う点で相違する。
【0122】
予約処理部134(
図3、
図9)は、携帯端末103から充電スポットの予約を受け付けた場合に、当該充電スポットに複数の充電器52があるときには、充電器52ごとの使用負荷の平準化を行いながら予約処理を行う。
【0123】
このようにして、第4実施形態によれば、第1実施形態~第3実施形態の場合の効果に加えて、充電スポットの予約を行う場合に、同じ充電スポット内にある複数の充電器52に対して、使用の偏りが生じないように平滑化予約を行うことができる。したがって、特定の充電器52に使用負荷が集中して早期の劣化や故障を招いてしまう事態を回避できる。
【0124】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態~第4実施形態と比較して、EV10のユーザが携帯端末103等を用いて目的地を指定した時に諸条件に合った所定の充電スポットを推奨する機能(以下、「EV充電ナビゲーション機能」、「充電ナビ」等ともいう。)を追加した実施の形態である。以下、主に第1実施形態~第4実施形態との相違点について説明する。
【0125】
図14は、第5実施形態の道路交通管理システムSの全体構成の概要を示すブロック図である。EVユーザ管理事業者8は、EV10のユーザに対して最適な充電場所を推奨するEV充電ナビゲーションサーバ83をさらに備える。
【0126】
EV充電ナビゲーションサーバ83は、EV10のユーザからの携帯端末103等を用いたデータ入力等に基づいて、最適な充電場所を推奨するサーバである。最適な充電場所を推奨するためには、予めEV10の車種情報や現在地、目的地を携帯端末103等によってユーザに入力してもらい、走行経路の距離と道路の交通状況や、地理的な要因(車線数、勾配の有無他)から求められる電費等をもとに、充電が最適な充電スポットを特定し、EV10のユーザに推奨する。
【0127】
ここで、EV充電ナビゲーションサーバ83は、車種ごとの特性について、予め自動車会社3から必要な情報の提供を受けておく。自動車会社3は、例えば、EV10等を製造する会社(EVメーカ)である。自動車会社3は、EV10に関する情報(例えば、車種毎の電池容量、電池の減り方等の情報)を保有する。
【0128】
また、携帯端末103の記憶部25に、充電ナビを実現するためのEV充電ナビアプリが記憶されている。更に、EV充電ナビゲーション機能を利用するにあたり、EV10のユーザが、予めユーザ情報や所有する車種情報を登録する事前登録(ユーザ登録)を行う必要がある。EV充電ナビアプリにユーザ登録を完了したEVユーザは、現在地と目的地を携帯端末103によって入力することにより、EV充電ナビゲーションサーバ83から充電に適切な充電スポットの推奨の通知を受ける。ここで、現在地は直接入力しても、携帯端末103の位置情報(例えばGPSによる位置情報)を利用して自動的に入力するようにしてもよい。
【0129】
図15は、第5実施形態の充電予約システムの全体構成の概要を示すブロック図である。
図9の充電予約システムと比較して、充電予約管理サーバ82の処理部13に充電ナビ処理部135(決定部)と、ピークシフト条件処理部136と、が追加されている。また、携帯端末103の記憶部25にEV充電ナビアプリが追加されている。
【0130】
充電ナビ処理部135は、充電予約の問い合わせがあった携帯端末103に対応するEV10の位置情報と目的地情報と電池残量に基づいて複数の充電スポットのうちの推奨充電スポットを決定する。例えば、充電ナビ処理部135は、記憶部12の登録ユーザ情報DB123を参照したり、携帯端末103や外部装置等から情報を取得したりすることによって、GPSによるEV10の現在位置情報、出発地(高速道路の出発IC)、目的地(目的IC等)、EVの電池容量、電池劣化度、EVの電池残量、累積走行距離、車種、エアコン使用の有無、道路の渋滞情報などに基づいて複数の充電スポットのうちの推奨充電スポットを決定する。
【0131】
ピークシフト条件処理部136は、例えば、次の3つの条件1~3について処理を行い、充電スポットの変更可能な次の3つのユーザ種類1~3のユーザを抽出する。
(条件1)同じSA、PA内に別の電力系統の充電器52があるか?
(条件2)次のSA、PAの充電器52は別の電力系統か?
(条件3)充電のためにどのくらい待てばいいのか?(待ち時間算出)
【0132】
(ユーザ種類1)次のSA、PAへ移動できないユーザ(優先予約。インセンティブ小)
(ユーザ種類2)次のSA、PAへ移動する余裕が大きいユーザ(優先予約。インセンティブ大)
(ユーザ種類3)次のSA、PAへ移動する余裕が小さいユーザ(優先予約。インセンティブ中)
【0133】
また、第2の可視化処理部133は、推奨充電スポットに関する稼働状況情報と電力状況情報の可視化処理を行う。
【0134】
次に、第5実施形態の充電予約管理サーバ82と携帯端末103による処理について説明する。
図16は、第5実施形態の充電予約管理サーバ82と携帯端末103による処理を示すフローチャートである。
【0135】
まず、ステップS401において、携帯端末103の処理部22は、ユーザによる操作に基づいてEV充電ナビアプリを起動し、起動信号を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0136】
次に、ステップS402において、充電予約管理サーバ82の充電ナビ処理部135は、EV充電ナビ処理を実行する。例えば、充電ナビ処理部135は、充電予約の問い合わせがあった携帯端末103に対応するEV10の現在位置情報、目的地情報、電池残量等に基づいて複数の充電スポットのうちの推奨充電スポットを決定する。
【0137】
次に、ステップS403において、携帯端末103の処理部22は、ユーザによる操作に基づいて充電予約アプリを起動し、起動信号を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0138】
次に、充電予約管理サーバ82では、ステップS404において、推奨充電スポットを含む充電スポットについて、処理部13は記憶部12の稼働状況情報DBから充電スポットの稼働状況情報を読み出し、記憶部12の電力状況情報DB122から電力状況情報(ピークシフト要請情報を含む)を読み出し、記憶部12のインセンティブ情報DB126からインセンティブ情報を読み出す。
【0139】
次に、ステップS405において、予約処理部134は、分散希望ありか否か、つまり、ピークシフト要請があるか否かを判定する。ステップS405において、Yesの場合はステップS406に進み、Noの場合はステップS408に進む。
【0140】
ピークシフト条件処理部136は、ステップS406において、上述の3つの条件1~3について処理を行う。ステップS407において、充電スポットの変更(移動)可能な上述の3つのユーザ種類1~3のユーザを抽出する。
【0141】
次に、ステップS408において、第1の可視化処理部131は稼働状況情報の可視化処理を行い、第2の可視化処理部133は電力状況情報とインセンティブ情報の可視化処理を行う。処理部13は、可視化処理を行った各情報を携帯端末103に送信する。
【0142】
次に、ステップS409において、携帯端末103の表示制御部221は、可視化処理を行った各情報(充電予約用情報)を含む充電予約画面(
図10)を表示する。
【0143】
その後、ステップS410において、携帯端末103の予約処理部222は、充電予約画面(
図10)を用いたユーザによる予約入力を受け付けると、予約情報(充電予約要求)を充電予約管理サーバ82に送信する。
【0144】
次に、ステップS411において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、受信した予約情報がピークシフト要請に応じたものであるか否かを判定し、Yesの場合はステップS413に進み、Noの場合はステップS412に進む。
【0145】
ステップS413において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、ピークシフトに応じていることで優先的に予約を処理する優先予約処理と、インセンティブ情報を処理するインセンティブ処理を行う。
【0146】
ステップS412において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、通常の予約処理を行う。ステップS412とステップS413の後、ステップS414において、充電予約管理サーバ82の予約処理部134は、予約結果を携帯端末103に通知する。
【0147】
その後、ステップS415において、携帯端末103の表示制御部221は、予約結果を表示部23に表示する。ユーザはこの表示を見て予約結果を確認できる。
【0148】
このようにして、第5実施形態の充電予約システムによれば、EV10の現在位置だけでなく、EV充電ナビによって目的地、電池容量、電池劣化度、電池残量、累積走行距離、車種、エアコン使用の有無、道路の渋滞情報などに基づいて推奨された充電スポットの情報を用いて充電予約をすることができるので、ユーザによる利便性をさらに向上させることができる。
【0149】
また、ユーザ種類1~3に応じて処理を分けることができる。例えば、次のSA、PAへ移動できないユーザ種類1のユーザには最寄りの充電スポットでの充電を推奨する通知をし、次のSA、PAへ移動する余裕があるユーザ種類2、3のユーザには、それぞれの余裕度に応じたインセンティブを対価に地理的ピークシフトや時間的ピークシフトを要請する通知を行うことができる。
【0150】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態は、第1実施形態~第5実施形態と比較して、充電予約に関する処理について、携帯端末103における一連の操作や通知に音声合成や音声認識の技術を組み合わせる点で相違する。
携帯端末103におけるユーザの入力操作の一部または全部を音声認識による入力とする。また、携帯端末103におけるユーザに対する通知の一部または全部を音声合成による通知とする。
【0151】
このように、第6実施形態の充電予約システムによれば、携帯端末103のユーザは、音声合成や音声認識を用いて操作入力や通知認識をすることができるので、利便性がより高まる。
【0152】
本実施形態の充電予約管理サーバ82や携帯端末103で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0153】
また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、当該プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0154】
当該プログラムは、処理部における各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成される。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0156】
例えば、ピークシフトを行うか否かの基準に使う指標は、各電力系統の容量に限定されず、例えば、契約電力であってもよい。一般に、契約電力は容量よりも小さく、使用電力が容量に達しなくても契約電力を超えていると追加の費用が発生する。したがって、契約電力を基準にし、上述のピークシフトの実現によって使用電力が契約電力以下になるようにすることで、費用を低く抑えることができる。
【符号の説明】
【0157】
1…発電事業者、2…需要家、3…自動車会社、4…アグリゲータ(送配電事業者)、5…充電サービス会社、8…EVユーザ管理事業者、9…道路事業者、10…EV、11…送受信部、12…記憶部、13…処理部、14…送受信部、21…送受信部、22…処理部、23…表示部、24…入力部、25…記憶部、41…アグリゲータサーバ、52…充電器、81…車両情報管理サーバ、82…充電予約管理サーバ、83…EV充電ナビゲーションサーバ、91…交通管制サーバ、92…道路施設管理サーバ、93…料金系中央サーバ、94…気象情報管理サーバ、95…路側装置、96…ITSスポット、101…ETC/DSRC車載機、102…カーナビゲーション端末、103…携帯端末、104…蓄電池、121…充電器稼働状況情報DB、122…電力状況情報DB、123…登録ユーザ情報DB、124…充電スポットDB、125…電力系統DB、126…インセンティブ情報DB、131…第1の可視化処理部、132…確認処理部、133…第2の可視化処理部、134…予約処理部、135…充電ナビ処理部、136…ピークシフト条件処理部、221…表示制御部、222…予約処理部、S…道路交通管理システム
【手続補正書】
【提出日】2024-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の利用者が使用する利用者端末と、前記利用者端末からの問い合わせに応じて前記電気自動車の充電を管理する充電管理サーバと、を備える充電システムであって、
前記充電管理サーバは、
それぞれが1つ以上の充電器を備える複数の充電スポットの稼働状況情報と、前記複数の充電スポットに電力を供給する電力系統の電力状況情報と、を取得する取得部と、
前記利用者端末から前記電気自動車の充電の問い合わせがあった際に、前記利用者端末に表示させる充電画面に関する処理として、前記稼働状況情報の可視化処理を行うとともに、前記電力状況情報の可視化処理を併せて行う可視化処理部と、
前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を前記利用者端末に送信する送信制御部と、を備え、
前記利用者端末は、
前記充電管理サーバから受信した前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を含む充電画面を表示部に表示させる表示制御部と、
前記充電画面を用いて入力された情報を前記充電管理サーバに送信する処理部と、を備える充電システム。
【請求項2】
電気自動車の利用者が使用する利用者端末からの問い合わせに応じて前記電気自動車の充電を管理する充電管理サーバであって、
それぞれが1つ以上の充電器を備える複数の充電スポットの稼働状況情報と、前記複数の充電スポットに電力を供給する電力系統の電力状況情報と、を取得する取得部と、
前記利用者端末から前記電気自動車の充電の問い合わせがあった際に、前記利用者端末に表示させる充電画面に関する処理として、前記稼働状況情報の可視化処理を行うとともに、前記電力状況情報の可視化処理を併せて行う可視化処理部と、
前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を前記利用者端末に送信する送信制御部と、を備える充電管理サーバ。
【請求項3】
前記電力状況情報は、異なる複数の前記電力系統の電力状況情報を含む、請求項2に記載の充電管理サーバ。
【請求項4】
前記電力状況情報は、電力供給の余裕度に関する情報を含む、請求項2に記載の充電管理サーバ。
【請求項5】
前記可視化処理部は、
前記電力状況情報の可視化処理に基づいた推奨情報の表示を行い、前記推奨情報に応じたインセンティブを受領できる内容の可視化処理を併せて行う、請求項2に記載の充電管理サーバ。
【請求項6】
前記可視化処理部は、前記利用者端末からの前記電気自動車の1回の問い合わせに対して、前記稼働状況情報の可視化処理と前記電力状況情報の可視化処理の両方を行い、
前記送信制御部は、前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報の両方を前記利用者端末に送信する、請求項2に記載の充電管理サーバ。
【請求項7】
前記問い合わせがあった前記利用者端末に対応する前記電気自動車の位置情報または目的地情報または電池残量に基づいて複数の前記充電スポットのうちの推奨充電スポットを決定する決定部を、さらに備え、
前記可視化処理部は、前記推奨充電スポットに関する前記稼働状況情報と前記電力状況情報の可視化処理を行う、請求項2に記載の充電管理サーバ。
【請求項8】
前記推奨充電スポットに関して分散希望がある場合、
前記決定部は、前記推奨充電スポットに対応する前記電力系統とは異なる電力系統に対応する前記充電スポットも対象として、推奨充電スポットを決定する、請求項7に記載の充電管理サーバ。
【請求項9】
前記電力状況情報は、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、前記所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨する内容である、請求項2に記載の充電管理サーバ。
【請求項10】
前記可視化処理部は、所定の電力系統単位で余力のない電力系統に関しては、前記電気自動車の前記電池残量に基づいて前記推奨充電スポットの次の前記充電スポットまでの移動ができないと判定したときは、前記推奨充電スポットの可視化処理を併せて行い、前記電気自動車の前記電池残量に基づいて前記推奨充電スポットの次の前記充電スポットまでの移動ができると判定したときは、前記所定の電力系統単位での使用電力分散、および、時間的な使用電力分散の少なくともいずれかを推奨し、応じた場合にはインセンティブを受領できる内容の可視化処理を併せて行う、請求項7に記載の充電管理サーバ。
【請求項11】
電気自動車の利用者が使用する利用者端末であって、
前記利用者端末からの問い合わせに応じて前記電気自動車の充電を管理する充電管理サーバから受信した、可視化処理を行った複数の充電スポットの稼働状況情報と、可視化処理を行った電力系統の電力状況情報と、を含む充電画面を表示部に表示させる表示制御部と、
前記充電画面を用いて入力された情報を前記充電管理サーバに送信する処理部と、を備える利用者端末。
【請求項12】
前記利用者端末は、前記充電に関する処理について、前記利用者の入力操作の一部または全部を音声認識による入力とする処理、および、前記利用者に対する通知の一部または全部を音声合成による通知とする処理、の少なくともいずれかを行う、請求項11に記載の利用者端末。
【請求項13】
電気自動車の利用者が使用する利用者端末からの問い合わせに応じて前記電気自動車の充電を管理する充電管理方法であって、
それぞれが1つ以上の充電器を備える複数の充電スポットの稼働状況情報と、前記複数の充電スポットに電力を供給する電力系統の電力状況情報と、を取得する取得ステップと、
前記利用者端末から前記電気自動車の充電の問い合わせがあった際に、前記利用者端末に表示させる充電画面に関する処理として、前記稼働状況情報の可視化処理を行うとともに、前記電力状況情報の可視化処理を併せて行う可視化処理ステップと、
前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を前記利用者端末に送信する送信制御ステップと、を含む充電管理方法。
【請求項14】
電気自動車の利用者が使用する利用者端末としてのコンピュータに、
前記利用者端末と通信を行う充電管理サーバから受信した、可視化処理を行った複数の充電スポットの稼働状況情報と、可視化処理を行った電力系統の電力状況情報と、を含む充電画面を表示部に表示させる表示制御ステップと、
前記充電画面を用いて入力された情報を前記充電管理サーバに送信する処理ステップと、を実行させるためのプログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明の実施形態は、充電システム、充電管理サーバ、利用者端末、充電管理方法及びプログラムに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、充電スポットが接続されている電力系統が電力逼迫状態となる可能性を低減することができる充電システム、充電管理サーバ、利用者端末、充電管理方法及びプログラムを提供することにある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
実施形態の充電システムは、電気自動車の利用者が使用する利用者端末と、前記利用者端末からの問い合わせに応じて前記電気自動車の充電を管理する充電管理サーバと、を備える充電システムである。前記充電管理サーバは、それぞれが1つ以上の充電器を備える複数の充電スポットの稼働状況情報と、前記複数の充電スポットに電力を供給する電力系統の電力状況情報と、を取得する取得部と、前記利用者端末から前記電気自動車の充電の問い合わせがあった際に、前記利用者端末に表示させる充電画面に関する処理として、前記稼働状況情報の可視化処理を行うとともに、前記電力状況情報の可視化処理を併せて行う可視化処理部と、前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を前記利用者端末に送信する送信制御部と、を備える。前記利用者端末は、前記充電管理サーバから受信した前記可視化処理を行った前記稼働状況情報と前記電力状況情報を含む充電画面を表示部に表示させる表示制御部と、前記充電画面を用いて入力された情報を前記充電管理サーバに送信する処理部と、を備える。