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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088696
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ヒトネクチン4に特異的な抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240625BHJP
   C07D 499/26 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240625BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240625BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240625BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240625BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07D499/26
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P37/02
A61K45/00
A61K35/12
C12N15/62 Z
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059296
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2020561908の分割
【原出願日】2019-05-06
(31)【優先権主張番号】62/668,824
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517009578
【氏名又は名称】イッサム リサーチ デベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520423585
【氏名又は名称】ネクチン セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マンデルボイム,オファー
(72)【発明者】
【氏名】リッチズ,アディ
(72)【発明者】
【氏名】ヨニッチ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ツッカーマン,ピンチャス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】癌免疫療法および診断における使用のための、ヒトネクチン4と結合するモノクローナル抗体を提供する。
【解決手段】ネクチン4と結合する単離されたモノクローナル抗体、または少なくとも抗原結合部分を含むその抗体フラグメントであって、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)とのネクチン4の結合を阻害することができる、単離されたモノクローナル抗体またはその抗体フラグメントを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネクチン4と結合する単離されたモノクローナル抗体、または少なくとも抗原結合部分を含むその抗体フラグメントであって、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)とのネクチン4の結合を阻害することができる、単離されたモノクローナル抗体またはその抗体フラグメント。
【請求項2】
前記単離された抗体または抗体フラグメントが、
(i)配列番号39を含む重鎖(HC)可変領域の3つの相補性決定領域(CDR)および配列番号40を含む軽鎖(LC)可変領域の3つのCDR、または前記抗体もしくはフラグメントの配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体もしくは誘導体、
(ii)配列番号35を含む重鎖(HC)可変領域の3つのCDRおよび配列番号36を含む軽鎖(LC)可変領域の3つのCDR、または前記抗体もしくはフラグメントの配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体もしくは誘導体、あるいは
(iii)配列番号37を含む重鎖可変領域の3つのCDRおよび配列番号38を含む軽鎖可変領域の3つのCDR、または前記抗体もしくはフラグメントの配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体もしくは誘導体、を含む、請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメント。
【請求項3】
i.HC CDR1がSYYIH(配列番号25)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号27)であり、LC CDR1がKASQSVNNDVA(配列番号28)であり、LC CDR2がYASNRFT(配列番号29)であり、かつLC CDR3がQQAYRSPYT(配列番号30)である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1がAYNIH(配列番号9)であり、HC CDR2がYIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)であり、HC CDR3がFDYDEAWFIY(配列番号11)であり、LC CDR1がSASSSVSYMH(配列番号12)であり、LC CDR2がDTSKLAS(配列番号13)であり、かつLC CDR3がFQGSGSPYT(配列番号14)である、6つのCDRのセット、および
iii.HC CDR1がTYYIH(配列番号15)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号17)であり、LC CDR1がKASQSVSNDVA(配列番号18)であり、LC CDR2がYASNRYT(配列番号19)であり、かつLC CDR3がQQDYSSPYT(配列番号20)である、6つのCDRのセット、からなる群から選択されるCDRセットを含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメント。
【請求項4】
配列番号39、配列番号35、配列番号37から選択される重鎖可変領域、または前記重鎖可変領域配列と少なくとも95%の配列類似性を有する類似体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメント。
【請求項5】
配列番号40、配列番号36、配列番号38から選択される軽鎖可変配列、または前記軽鎖可変領域配列と少なくとも95%の配列類似性を有する類似体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメント。
【請求項6】
重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖が配列番号39を含み、前記軽鎖が配列番号40を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメント。
【請求項7】
重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖が配列番号35を含み、前記軽鎖が配列番号36を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメント。
【請求項8】
重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖が配列番号37を含み、前記軽鎖が配列番号38を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメント。
【請求項9】
請求項1~9のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナルフラグメントであって、単鎖Fv(scFv)である、単離されたモノクローナルフラグメント。
【請求項10】
配列番号32および配列番号34からなる群から選択される配列、または前記配列と少なくとも90%の配列類似性を有するその変異体を含む、請求項9に記載の単離されたモノクローナルフラグメント。
【請求項11】
請求項6、7、または8のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントの変異体であって、前記抗体の鎖と少なくとも95%の同一性を有する、変異体。
【請求項12】
前記モノクローナル抗体がヒトネクチン4と10-9M~10-10Mの親和性で結合する、請求項1~9のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメント。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体または抗体フラグメントのHCまたはLC配列の少なくとも1つの領域をコードする、ポリヌクレオチド配列。
【請求項14】
モノクローナル抗体重鎖可変領域をコードし、前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号45、配列番号41、配列番号43からなる群から選択される配列、および前記配列と少なくとも90%の同一性を有するその変異体を含む、請求項13に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項15】
モノクローナル抗体軽鎖可変領域をコードし、前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号46、配列番号42、配列番号44、および前記配列と少なくとも90%の同一性を有するそれらの変異体からなる群から選択される、請求項13に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項16】
請求項13~15のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む、プラスミド。
【請求項17】
請求項13~15のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列を含む、細胞。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体を産生することができる、細胞。
【請求項19】
有効成分として、請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの単離された抗体またはそのフラグメント、および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、塩、または担体を含む、医薬組成物。
【請求項20】
前記モノクローナル抗体が細胞毒性部分とコンジュゲートされていない、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記抗体またはそのフラグメントが、
i.HC CDR1がSYYIH(配列番号25)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号27)であり、LC CDR1がKASQSVNNDVA(配列番号28)であり、LC CDR2がYASNRFT(配列番号29)であり、かつLC CDR3がQQAYRSPYT(配列番号30)である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1がAYNIH(配列番号9)であり、HC CDR2がYIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)であり、HC CDR3がFDYDEAWFIY(配列番号11)であり、LC CDR1がSASSSVSYMH(配列番号12)であり、LC CDR2がDTSKLAS(配列番号13)であり、かつLC CDR3がFQGSGSPYT(配列番号14)である、6つのCDRのセット、および
iii.HC CDR1がTYYIH(配列番号15)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号17)であり、LC CDR1がKASQSVSNDVA(配列番号18)であり、LC CDR2がYASNRYT(配列番号19)であり、かつLC CDR3がQQDYSSPYT(配列番号20)である、6つのCDRのセット、からなる群から選択されるCDRセットを含み、
前記抗体が細胞毒性部分、放射性部分、または識別可能な部分に結合されている、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
ネクチン4のTIGITとの結合を阻害することによって免疫系を調節することに使用するための、請求項19~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
癌を治療することに使用するための、請求項19~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
対象におけるウイルス感染を予防または治療することに使用するための、請求項19~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
麻疹感染を予防することに使用するための、請求項19~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
癌を治療する方法であって、それを必要とする対象に、請求項19~21のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項27】
手術、化学療法、放射線療法、および免疫療法から選択される追加の抗癌療法をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象に、追加の免疫調節剤、活性化リンパ球細胞、キナーゼ阻害剤、化学療法剤、または任意の他の抗癌剤を投与することをさらに含む、請求項26または27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記追加の免疫調節剤が免疫チェックポイント分子に対する抗体である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記癌が固形癌である、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記癌が血液癌である、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
治療することが、対象における転移の形成、増殖、または拡散を防止または低減することをもたらす、請求項26~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
癌を治療する方法であって、それを必要とする対象に、ヒトネクチン4と結合する抗体またはそのフラグメントを投与することを含み、前記抗体またはそのフラグメントがいずれの毒素または抗腫瘍剤ともコンジュゲートされていない、方法。
【請求項34】
前記抗体またはそのフラグメントが、腫瘍細胞でネクチン4とネクチン1との間の相互作用を阻害する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記投与することが、T細胞リンパ球および/またはナチュラルキラー(NK)細胞をさらに投与することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
対象における癌を診断する方法であって、生物学的試料を請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体または抗体フラグメントと接触させることを含む、方法。
【請求項37】
対象における癌を診断するためのキットであって、請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの抗体または抗体フラグメントを含む、キット。
【請求項38】
ネクチン4と結合することができる細胞外部分を含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項39】
請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの抗体または抗体フラグメントを含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項40】
配列番号32または34を含む抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内T細胞またはNK細胞シグナル伝達ドメインを含む、請求項39に記載のCAR。
【請求項41】
請求項38~40のいずれか一項に記載のCARを発現するように操作された、T細胞またはNK細胞の集団。
【請求項42】
癌を治療する方法であって、それを必要とする対象に、請求項38~40のいずれか一項に記載のCARを発現する少なくとも1つの細胞を投与することを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は免疫療法の分野にあり、ヒトタンパク質ネクチン4と結合する抗体およびそのフラグメント、これらの抗体をコードするポリヌクレオチド配列、ならびにこれらの抗体を産生する細胞に関する。本発明はさらに、これらの抗体を含む治療用および診断用組成物、ならびにこれらの抗体を使用して疾患、特に癌を治療および診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫療法は、過去10年間に癌治療においてなされた最も有望な進歩の1つである。癌免疫療法は、例えば、腫瘍細胞上の抗原に特異的な抗体による、抗原提示細胞と腫瘍細胞との融合による、または抗腫瘍T細胞の活性化による治療によって抗腫瘍免疫応答を生成および増強するために利用される。患者における腫瘍細胞に対して免疫細胞(例えば、T細胞)を動員する能力は、これまで不治であると考えられていた癌の種類および転移と戦う治療法を提供する。
【0003】
T細胞仲介免疫応答には、免疫応答の程度を制御する共刺激シグナルと共抑制シグナルの間のバランスによって調節される複数の連続したステップが含まれる。免疫チェックポイントと呼ばれる抑制シグナルは、自己寛容の維持および免疫介在性の二次的組織損傷を制限するために重要である。これらのシグナルは、感染または免疫誘発が解消、悪化、または持続するにつれて変化し、これらの変化は免疫応答に影響を及ぼして再形成する。
【0004】
免疫チェックポイントタンパク質の発現は、腫瘍によって調節され得る。たとえば、癌細胞表面でのプログラム死リガンド-1(PD-L1)の上方調節は、PD-1と結合することを介してT細胞を阻害することによって、これらが宿主免疫系を回避することを可能にし、さもなければこれらの腫瘍細胞が攻撃される可能性がある。したがって、免疫チェックポイントは、癌に対する機能的な細胞免疫の活性化に対する重大な障壁を示す。したがって、免疫細胞における抑制性リガンドに特異的な拮抗抗体は、実行可能な抗癌剤と考えられ、それらは癌治療に使用されている(例えば、ニボルマブおよびペンブロリズマブ)。免疫チェックポイント分子に関する別の例は、「IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体」(TIGIT)である。TIGITは、T細胞およびナチュラルキラー細胞(NK細胞)を含む種々の免疫細胞で発現される共抑制分子である。TIGITは、ポリオウイルス受容体(PVR、CD155)と高い親和性で結合する。TIGITに特異的なモノクローナル抗体(mAb)は、例えば、WO2016/028656およびWO2017/037707に開示されている。
【0005】
ポリオウイルス受容体(PVR)は、細胞外マトリックス分子との細胞接着を媒介することに含まれる膜貫通型糖タンパク質である。PVRは既知の腫瘍抗原であり、治療的介入のための標的である。腫瘍細胞上のPVRの遮断は、腫瘍細胞の生存率を低下させると予想される。PVRはまた、血管新生および転移において重要な役割を有する。米国特許出願第2007/0041985、米国特許出願第2009/0215175、およびWO2017/149538を含むいくつかの特許出願は、PVRと特異的に結合する分子および抗体、ならびに癌に対するそれらの使用を開示している。
【0006】
ネクチン細胞接着分子4(Nectin4)は、ポリオウイルス受容体関連4(PVRL4)とも呼ばれ、I型膜貫通タンパク質であり、関連する免疫グロブリン様接着分子のネクチンファミリーのメンバーである。ネクチン4は、肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌を含む多くの腫瘍における腫瘍関連マーカーである。
【0007】
Chailta-Eidらは、2016年(Cancer Res.2016;76:3003-13)に複数の前臨床癌モデルにおける非常に強力な治療薬として抗ネクチン4(エンフォルツマブ)抗体薬剤コンジュゲートを開示している。微小管阻害剤ベドチンとコンジュゲートされた抗体は、ヒト、ならびにラットおよびサルのネクチン4と結合し、ネクチン4を発現するいくつかの細胞株および異種移植片の増殖を阻害する。
【0008】
癌免疫療法でなされた成功にもかかわらず、腫瘍細胞を攻撃する免疫系の細胞を増強するために、追加の取り組み、およびより有効で特異的な薬剤と薬物の組み合わせについていまだ未対処な必要性がある。そのような取り組みの1つには、TIGITと結合するネクチン4を、特異的モノクローナル抗体によって阻害することが含まれる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、ヒトタンパク質ネクチン4と結合する抗体およびそのフラグメント、これらの抗体をコードするポリヌクレオチド配列、ならびにこれらの抗体を産生する細胞を提供する。本発明は、以前は麻疹ウイルスおよび腫瘍抗原の受容体として知られていたネクチン4が免疫抑制分子TIGITのリガンドであるという発見に部分的に基づいており、したがって、抗癌免疫におけるTIGITの抑制効果の阻害のための標的として初めて提唱される。本発明はさらに、いくつかの実施形態において、ネクチン4との結合部位を含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0010】
本発明は、ヒトネクチン4に特異的である非常に有効なモノクローナル抗体(mAb)を提供し、ネクチン4と阻害性受容体TIGITとの間の相互作用を遮断するだけでなく、この受容体を発現する標的細胞にも直接的な効果を有する。これらの抗体は、ネクチン4に対する結合定数をナノモル以下の範囲で有し、いずれの毒素または抗腫瘍剤ともコンジュゲートされずに、免疫系のTIGIT阻害を逆転させて、腫瘍細胞の排除を直接的に促進する。したがって、本発明の抗体は、例えば癌免疫療法において、標的細胞上のネクチン4と免疫細胞上のTIGITとの間の相互作用の阻害に有用である。さらに、本明細書で説明されるいくつかのインタクト抗体は、ADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害)活性を誘発する。ネクチン4は腫瘍細胞で特異的に過剰発現される。ネクチン4に対する本発明の抗体の高い親和性およびADCC活性を伴うADCC活性誘発は、それらを免疫療法の理想的な候補にする。
【0011】
本発明は、タンパク質ネクチン4を認識し、タンパク質TIGITとのその結合を防止し、ナチュラルキラー(NK)細胞およびT細胞などのリンパ球での抑制活性を阻害する抗体およびそのフラグメントを提供する。本明細書に開示される抗ネクチン4抗体は、癌細胞などの標的細胞上に存在するネクチン4に結合することができる。本発明の抗体およびフラグメントは、相補性決定領域(CDR)配列の独自のセット、ヒトネクチン4に対する高い親和性および高い特異性を有することによって特徴付けられ、単独療法および他の抗癌剤との併用として、腫瘍免疫回避と戦うために癌免疫療法で有用である。抗体はまた、ウイルス感染を予防すること、特に麻疹感染の予防において有用である。
【0012】
本明細書で開示される高親和性抗ネクチン4抗体は、TIGIT-ネクチン4相互作用を遮断し、T細胞およびNK細胞活性を回復することが、ここに開示されている。
【0013】
本発明のモノクローナル抗体のいくつかはまた、ネクチン4とネクチン1との間の相互作用を遮断することができ、ネクチン4を発現する腫瘍の浸潤性を妨害するそれらの能力を示している。さらに、抗ネクチン4mAbは、ほとんどの標的細胞においてNK細胞の活性化を誘発することができた。有利なことに、本発明による抗ネクチン4mAbは、標的癌細胞に直接的な効果を有し、NK細胞および/または毒素を必要とせずにそれらの死滅を誘発する。本発明の抗ネクチン4抗体はDNAM1などの共刺激受容体のシグナル伝達に対して遮断効果を有さず、したがって、それらは他の免疫誘導シグナルに対して有害な効果を有さないと予想されることがさらに開示される。
【0014】
興味深いことに、ヒトとげっ歯類のネクチン4配列間の高い配列類似性にもかかわらず、本発明の抗体のいくつかは、ヒトネクチン4に高度に特異的であり、げっ歯類ネクチン4と結合しない。
【0015】
本明細書で説明される抗ネクチン4mAbのいくつかは、腫瘍細胞上のネクチン4を遮断することによって、免疫に依存しない方法で腫瘍細胞の生存率を低下させることができた。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるネクチン4抗体は、いずれの毒性分子ともコンジュゲートされずに、腫瘍細胞上のネクチン1との結合による免疫非依存性干渉を介して、腫瘍細胞の増殖を阻害する。
【0016】
一態様により、本発明は、単離されたモノクローナル抗体(mAb)、または少なくとも抗原結合部分を含むその抗体フラグメントを提供し、ヒトネクチン4と特異的に結合してTIGITとのその結合を阻害する。
【0017】
本発明はまた、T細胞リンパ球および/またはナチュラルキラー(NK)細胞とともに、癌の治療で使用するため、ヒトネクチン4のヒトTIGITとの結合を阻害することができるmAbまたはその抗体フラグメントを提供する。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、mAbはいかなる毒素または抗腫瘍剤ともコンジュゲートされていない。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、単離された抗体または抗体フラグメントは6つの相補性決定領域(CDR)配列のセットを含み、
i.配列番号22を含む重鎖(HC)可変領域の3つのCDRおよび配列番号24を含む軽鎖(LC)可変の3つのCDR、あるいは当該抗体またはフラグメントの配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体または誘導体、
ii.配列番号2を含むHC可変領域の3つのCDRおよび配列番号4を含むLC可変の3つのCDR、あるいは当該抗体またはフラグメントの配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体または誘導体、および
iii.配列番号6を含むHC可変領域の3つのCDRおよび配列番号8を含むLC可変領域の3つのCDR、あるいは当該抗体またはフラグメントの配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体または誘導体、からなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、単離された抗体または抗体フラグメントは6つのCDR配列のセットを含み、
iv.配列番号39を含むHC可変領域の3つのCDRおよび配列番号40を含むLC可変の3つのCDR、あるいは当該抗体またはフラグメントの配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体または誘導体、
v.配列番号35を含むHC可変領域の3つのCDRおよび配列番号36を含むLC可変の3つのCDR、あるいは当該抗体またはフラグメントの配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体または誘導体、および
vi.配列番号37を含むHC可変領域の3つのCDRおよび配列番号38を含むLC可変領域の3つのCDR、あるいは当該抗体またはフラグメントの配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体または誘導体抗体、からなる群から選択される。
【0021】
所与の抗体分子のCDR配列を決定するために当技術分野で知られているいくつかの方法があるが、標準的な明確な方法はない。抗体の重鎖および軽鎖可変領域からのCDR配列の決定は当技術分野で知られている任意の方法に従って行うことができ、限定されないが、KABAT、Chothia、およびIMGTとして知られている方法が含まれる。選択されたCDRのセットには、2つ以上の方法で特定される配列を含み得、すなわち、例えば、いくつかのCDR配列はKABATを使用して決定され、いくつかはIMGTを使用する。いくつかの実施形態によれば、mAb可変領域のCDR配列は、IMGT法を使用して決定される。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはフラグメントは、hNec4.11(またはネクチン4.11、またはクローン11)で示されるモノクローナル抗体のCDR配列、すなわち、配列番号39に示される重鎖可変領域に含まれる3つのCDR配列、および配列番号40に示される軽鎖可変領域に含まれる3つのCDR配列を含む。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列SYYIH(配列番号25)を含む重鎖CDR1を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列WIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)を含む重鎖CDR2を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列SNPYVMDY(配列番号27)を含む重鎖CDR3を含む。
【0024】
特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、(i)配列SYYIH(配列番号25)を含むHC CDR1、(ii)配列WIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)を含むHC CDR2、および(iii)配列SNPYVMDY(配列番号27)を含むHC CDR3を含む。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列KASQSVNNDVA(配列番号28)を含む軽鎖CDR1を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列YASNRFT(配列番号29)を含む軽鎖CDR2を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列QQAYRSPYT(配列番号30)を含む軽鎖CDR3を含む。
【0026】
特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、(i)配列KASQSVNNDVA(配列番号28)を含むLC CDR1、(ii)配列YASNRFT(配列番号29)を含むLC CDR2、および(iii)配列QQAYRSPYT(配列番号30)を含むHC CDR3を含む。
【0027】
いくつかの特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはフラグメントは、配列SYYIH(配列番号25)を含む重鎖CDR1配列、配列WIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)を含む重鎖CDR2、配列SNPYVMDY(配列番号27)を含む重鎖CDR3、配列KASQSVNNDVA(配列番号28)を含む軽鎖CDR1、配列YASNRFT(配列番号29)を含む軽鎖CDR2、および配列QQAYRSPYT(配列番号30)を含む軽鎖CDR3、あるいは超可変領域(HVR)配列における5%以下のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含むそれらの類似体を含む。
【0028】
いくつかの特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはフラグメントは、
i.配列番号25で示される配列を有する重鎖CDR1、
ii.配列番号26で示される配列を有する重鎖CDR2、
iii.配列番号27で示される配列を有する重鎖CDR3、
iv.配列番号28で示される配列を有する軽鎖CDR1、
v.配列番号29で示される配列を有する軽鎖CDR2、
vi.配列番号30で示される配列を有する軽鎖CDR3、からなる6つのCDR配列のセットを含む。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、配列番号39に示される重鎖可変領域、あるいは重鎖可変領域配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体または誘導体を含む。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、配列番号40に示される軽鎖可変領域、または軽鎖可変領域配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体を含む。
【0031】
特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、配列番号39で示される配列を有する重鎖可変領域、および配列番号40で示される配列を有する軽鎖可変領域、あるいは軽鎖および/または重鎖配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体を含む。
【0032】
本発明はまた、モノクローナル抗体hNec4.11が結合するヒトネクチン4タンパク質内のエピトープと高い親和性で結合することができる抗体または抗体フラグメントを包含する。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはフラグメントは、hNec4.01(またはネクチン4.01)で示されるモノクローナル抗体のCDR配列、すなわち、配列番号35に示される重鎖可変領域に含まれる3つのCDR配列および配列番号36に示される軽鎖可変領域に含まれる3つのCDR配列を含む。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列AYNIH(配列番号9)を含む重鎖CDR1を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列YIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)を含む重鎖CDR2を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列FDYDEAWFIY(配列番号11)を含む重鎖CDR3を含む。
【0035】
特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、(i)配列AYNIH(配列番号9)を含むHC CDR1、(ii)配列YIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号:10を含むHC CDR2、(iii)配列FDYDEAWFIY(配列番号11)を含むHC CDR3を含む。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列SASSSVSYMH(配列番号12)を含む軽鎖CDR1を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列DTSKLAS(配列番号13)を含む軽鎖CDR2を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列FQGSGSPYT(配列番号14)を含む軽鎖CDR3を含む。
【0037】
特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、(i)配列SASSSVSYMH(配列番号12)を含むLC CDR1、(ii)配列DTSKLAS(配列番号13)を含むLC CDR2、(iii)配列FQGSGSPYT(配列番号14)を含むHC CDR3を含む。
【0038】
いくつかの特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはフラグメントは、配列AYNIH(配列番号9)を含む重鎖CDR1配列、配列YIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)を含む重鎖CDR2、配列FDYDEAWFIY(配列番号11)を含む重鎖CDR3、配列SASSSVSYMH(配列番号12)を含む軽鎖CDR1、配列DTSKLAS(配列番号13)を含む軽鎖CDR2、および配列FQGSGSPYT(配列番号14)を含む軽鎖CDR3、あるいは超可変領域(HVR)配列における5%以下のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含むその類似体を含む。
【0039】
いくつかの特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはフラグメントは、
i.配列番号9で示される配列を有する重鎖CDR1、
ii.配列番号10で示される配列を有する重鎖CDR2、
iii.配列番号11で示される配列を有する重鎖CDR3、
iv.配列番号12で示される配列を有する軽鎖CDR1、
v.配列番号13で示される配列を有する軽鎖CDR2、および
vi.配列番号14で示される配列を有する軽鎖CDR3、からなる6つのCDR配列のセットを含む。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、配列番号35に示される重鎖可変領域、あるいは重鎖可変領域配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体または誘導体を含む。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、配列番号36に示される軽鎖可変領域、または軽鎖可変領域配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体を含む。
【0042】
特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、配列番号35で示される配列を有する重鎖可変領域、および配列番号36で示される配列を有する軽鎖可変領域、あるいは軽鎖および/または重鎖配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体を含む。
【0043】
本発明はまた、モノクローナル抗体hNec4.01が結合するヒトネクチン4タンパク質内のエピトープと高い親和性で結合することができる抗体または抗体フラグメントを包含する。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはフラグメントは、hNec4.05(またはネクチン4.05)で示されるモノクローナル抗体のCDR配列、すなわち、配列番号37に示される重鎖可変領域に含まれる3つのCDR配列および配列番号38に示される軽鎖可変領域に含まれる3つのCDR配列を含む。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列TYYIH(配列番号15)を含む重鎖CDR1を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列WIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)を含む重鎖CDR2を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列SNPYVMDY(配列番号17)を含む重鎖CDR3を含む。
【0046】
特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、(i)配列TYYIH(配列番号15)を含むHC CDR1、(ii)配列WIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)を含むHC CDR2、(iii)配列SNPYVMDY(配列番号17)を含むHC CDR3を含む。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列KASQSVSNDVA(配列番号18)を含む軽鎖CDR1を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列YASNRYT(配列番号19)を含む軽鎖CDR2を含む。いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、配列QQDYSSPYT(配列番号20)を含む軽鎖CDR3を含む。
【0048】
特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントは、(i)配列KASQSVSNDVA(配列番号18)を含むLC CDR1、(ii)配列YASNRYT(配列番号19)を含むLC CDR2、(iii)配列QQDYSSPYT(配列番号20)を含むHC CDR3を含む。
【0049】
いくつかの特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはフラグメントは、配列TYYIH(配列番号15)を含む重鎖CDR1配列、配列WIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)を含む重鎖CDR2、配列SNPYVMDY(配列番号17)を含む重鎖CDR3、配列KASQSVSNDVA(配列番号18)を含む軽鎖CDR1、配列YASNRYT(配列番号19)を含む軽鎖CDR2、および配列QQDYSSPYT(配列番号20)を含む軽鎖CDR3、あるいは超可変領域(HVR)配列における5%以下のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含むそれらの類似体を含む。
【0050】
いくつかの特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはフラグメントは、
i.配列番号15で示される配列を有する重鎖CDR1、
ii.配列番号16で示される配列を有する重鎖CDR2、
iii.配列番号17で示される配列を有する重鎖CDR3、
iv.配列番号18で示される配列を有する軽鎖CDR1、
v.配列番号19で示される配列を有する軽鎖CDR2、および
vi.配列番号20で示される配列を有する軽鎖CDR3、からなる6つのCDR配列のセットを含む。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、配列番号37に示される重鎖可変領域配列、または重鎖可変領域配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体または誘導体を含む。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、配列番号38に示される軽鎖可変領域、または軽鎖可変領域配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体を含む。
【0053】
特定の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、配列番号37に示される配列を有する重鎖可変領域、および配列番号38で示される配列を有する軽鎖可変領域、あるいは軽鎖および/または重鎖配列と少なくとも90%の配列同一性を有するその類似体を含む。
【0054】
本発明はまた、モノクローナル抗体hNec4.05が結合するヒトネクチン4タンパク質内のエピトープに高い親和性で結合することができる抗体または抗体フラグメントを包含する。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、単離された抗体またはそのフラグメントは、少なくとも10-8Mの親和性でヒトネクチン4を認識する。他の実施形態によれば、抗体または抗体フラグメントは、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、またはなお高い親和性でヒトネクチン4と結合する。いくつかの実施形態によれば、抗体または抗体フラグメントは、10-9M~10-10Mの親和性でヒトネクチンと結合する。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0056】
単離されたmAbの類似体および誘導体、ならびに上記のフラグメントもまた、本発明の範囲内である。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、抗体または抗体フラグメント類似体は、参照抗体の配列の超可変領域と少なくとも90%の配列同一性を有する。
【0058】
特定の実施形態によれば、単離された抗体またはそのフラグメントの類似体または誘導体は、参照抗体の配列の可変領域と少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98、または99%の配列同一性を有する。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、本発明による抗体または抗体フラグメントは、配列番号39、配列番号35、または配列番号37に示される重鎖可変領域、あるいは当該配列と少なくとも95%の配列類似性を有する類似体を含む。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、抗体または抗体フラグメントは、配列番号40、配列番号36、または配列番号38に示される軽鎖可変領域、あるいは当該配列と少なくとも95%の配列類似性を有する類似体を含む。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、抗体または抗体フラグメントは重鎖および軽鎖を含み、(i)重鎖は配列番号39を含み、軽鎖は配列番号40を含み、(ii)重鎖は配列番号35を含み、軽鎖は配列番号36を含み、または(iii)重鎖は配列番号37を含み、軽鎖は配列番号38を含む。当該重鎖または軽鎖と少なくとも95%の配列類似性を有する抗体またはフラグメントの類似体も含まれる。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、類似体は上記の抗体軽鎖または重鎖可変領域と少なくとも96、97、98、または99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態によれば、類似体は超可変領域の1つ以上のCDR配列、すなわち、配列番号25、26、27、28、29、30、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20に示されるCDR配列のいずれか1つに、1つを超えないアミノ酸置換、欠失、または付加を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態によれば、アミノ酸置換は保存的置換である。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、抗体または抗体フラグメントは、上記で定められる軽鎖および重鎖領域を有する超可変領域(HVR)を含み、1、2、3、4、または5個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加された。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、抗体または抗体フラグメントは、上記で定められる軽鎖および重鎖領域を有するHVRを含み、1個のアミノ酸が置換された。いくつかの実施形態によれば、抗体または抗体フラグメントは、上記で定められるCDRを含み、1個のアミノ酸が置換された。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体または抗体フラグメントはCDRセットを含み、
i.HC CDR1がSYYIH(配列番号25)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号27)であり、LC CDR1がKASQSVNNDVA(配列番号28)であり、LC CDR2がYASNRFT(配列番号29)であり、かつLC CDR3がQQAYRSPYT(配列番号30)である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1がAYNIH(配列番号9)であり、HC CDR2がYIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)であり、HC CDR3がFDYDEAWFIY(配列番号11)であり、LC CDR1がSASSSVSYMH(配列番号12)であり、LC CDR2がDTSKLAS(配列番号13)であり、かつLC CDR3がFQGSGSPYT(配列番号14)である、6つのCDRのセット、および
iii.HC CDR1配列がTYYIH(配列番号15)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号17)であり、LC CDR1がKASQSVSNDVA(配列番号18)であり、LC CDR2がYASNRYT(配列番号19)であり、かつLC CDR3がQQDYSSPYT(配列番号20)である、6つのCDRのセット、からなる群から選択される。
【0066】
本発明はまた、重鎖および軽鎖を含むモノクローナル抗体およびその結合フラグメントを提供し、当該鎖は重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列のセットを含み、当該セットは、
i.配列番号39および40を含むセット、
ii.配列番号35および36を含むセット、および
iii.配列番号37および38を含むセット、からなる群から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、抗体または抗体フラグメントは、ヒトネクチン4がT細胞またはNK細胞で発現されるTIGITと結合することを阻害することができる。
【0068】
特定の実施形態によれば、mAbは、キメラ抗体および少なくとも抗体の抗原結合部分を含む抗体フラグメントからなる群から選択される。特定の実施形態によれば、抗体はキメラ抗体である。さらに他の実施形態によれば、キメラ抗体はヒト定常領域を含んだ。特定の実施形態によれば、抗体フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fd’、Fv、dAb、単離されたCDR領域、単鎖可変領域(scFV)、単鎖抗体(scab)、「二重特異的抗体」、および「線状抗体」からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0069】
本明細書で説明される抗体の重鎖および軽鎖可変領域を含む単鎖可変領域(scFV)もまた、本発明に従って提供される。特定の実施形態によれば、可変領域の間にヒンジ領域がある。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、scFV配列は、配列番号32、配列番号34、または当該配列と少なくとも90%の配列類似性を有するそれらの類似体で示される。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、抗体は、マウスIgG1、マウスIgG2a、マウスIgG2b、マウスIgG3、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、およびヒトIgG4からなる群から選択される定常領域配列を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0072】
いくつかの特定の実施形態によれば、モノクローナル抗体は、キメラモノクローナル抗体である。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、キメラ抗体は、ヒト由来の定常領域を含む。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、キメラ抗体のヒト定常領域は、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、およびヒトIgG4からなる群から選択される。
【0075】
特定の実施形態によれば、抗体はヒトIgG1である。いくつかの実施形態によれば、本明細書で説明される抗体の可変領域を含むヒトIgGが提供される。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、上記で説明される抗体またはそのフラグメントを含むコンジュゲートが提供される。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、コンジュゲートは担体タンパク質を含む。
【0078】
ネクチン4と結合することができる細胞外部分(結合ドメイン)を含むキメラ抗原受容体(CAR)が本発明の別の態様に従って提供される。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、CARは、本明細書で説明された提供される抗体またはそのフラグメントのいずれかを含む細胞外部分を含む。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、CARはCDRセットを含むネクチン4結合部位を含み、CDRセットは、
i.HC CDR1がSYYIH(配列番号25)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号27)であり、LC CDR1がKASQSVNNDVA(配列番号28)であり、LC CDR2がYASNRFT(配列番号29)であり、かつLC CDR3がQQAYRSPYT(配列番号30)である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1がAYNIH(配列番号9)であり、HC CDR2がYIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)であり、HC CDR3がFDYDEAWFIY(配列番号11)であり、LC CDR1がSASSSVSYMH(配列番号12)であり、かつLC CDR2がDTSKLAS(配列番号13)であり、LC CDR3がFQGSGSPYT(配列番号14)である、6つのCDRのセット、および
iii.HC CDR1配列がTYYIH(配列番号15)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号17)であり、LC CDR1がKASQSVSNDVA(配列番号18)であり、LC CDR2がYASNRYT(配列番号19)であり、かつLC CDR3がQQDYSSPYT(配列番号20)である、6つのCDRのセット、からなる群から選択される。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、CARは、配列番号32または34を含む抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0082】
一態様によれば、本発明は、CDRセットを含むネクチン4結合ドメインを含む抗体または抗体フラグメントを含むCARをコードする単離された核酸分子を提供し、CDRセットは、
i.HC CDR1がSYYIH(配列番号25)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号27)であり、LC CDR1がKASQSVNNDVA(配列番号28)であり、LC CDR2がYASNRFT(配列番号29)であり、かつLC CDR3がQQAYRSPYT(配列番号30)である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1がAYNIH(配列番号9)であり、HC CDR2がYIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)であり、HC CDR3がFDYDEAWFIY(配列番号11)であり、LC CDR1がSASSSVSYMH(配列番号12)であり、LC CDR2がDTSKLAS(配列番号13)であり、かつLC CDR3がFQGSGSPYT(配列番号14)である、6つのCDRのセット、および
iii.HC CDR1配列がTYYIH(配列番号15)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号17)であり、LC CDR1がKASQSVSNDVA(配列番号18)であり、LC CDR2がYASNRYT(配列番号19)であり、かつLC CDR3がQQDYSSPYT(配列番号20)である、6つのCDRのセット、からなる群から選択される。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、配列番号31または配列番号33で示されるポリヌクレオチド配列、あるいは当該配列と少なくとも95%の類似性を有する類似体を含むベクターが提供される。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で説明されるCARを発現するように操作されたT細胞が提供される。
【0085】
追加の実施形態によれば、本明細書で説明されるCARを発現するように操作されたNK細胞が提供される。
【0086】
ヒトネクチン4に対して高い親和性および特異性を有するモノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチド配列、ならびにこれらのポリヌクレオチド配列を有するベクターおよび宿主細胞が、本発明の別の態様に従って提供される。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、上記の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列が提供される。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、ポリヌクレオチド配列は、(i)配列番号39の重鎖可変領域および配列番号40の軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体(本明細書ではhNec4.11として識別される)、(ii)配列番号35の重鎖可変領域および配列番号36の軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体(本明細書ではhNec4.01として識別される)、または(iii)配列番号37の重鎖可変領域および配列番号38の軽鎖可変領域を有するモノクローナル抗体(本明細書ではhNec4.05として識別される)と結合するヒトネクチン4タンパク質内のエピトープと結合することができる抗体または抗体フラグメントあるいは鎖をコードする。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、ポリヌクレオチド配列は、配列番号39および配列番号40、配列番号35および配列番号36、または配列番号37および配列番号38からなる群から選択される配列で示される配列を含む抗体または抗体フラグメントあるいは鎖をコードする。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0090】
さらにいくつかの実施形態によれば、本発明によるポリヌクレオチド配列は、
i.HC CDR1がSYYIH(配列番号25)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号27)であり、LC CDR1がKASQSVNNDVA(配列番号28)であり、LC CDR2がYASNRFT(配列番号29)であり、かつLC CDR3がQQAYRSPYT(配列番号30)である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1がAYNIH(配列番号9)であり、HC CDR2がYIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)であり、HC CDR3がFDYDEAWFIY(配列番号11)であり、LC CDR1がSASSSVSYMH(配列番号12)であり、LC CDR2がDTSKLAS(配列番号13)であり、かつLC CDR3がFQGSGSPYT(配列番号14)である、6つのCDRのセット、および
iii.HC CDR1配列がTYYIH(配列番号15)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号17)であり、LC CDR1がKASQSVSNDVA(配列番号18)であり、LC CDR2がYASNRYT(配列番号19)であり、かつLC CDR3がQQDYSSPYT(配列番号20)である、6つのCDRのセット、を含む抗体または抗体フラグメントあるいは鎖をコードする。
【0091】
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、上記で定められるポリヌクレオチド配列は、抗体、少なくとも抗原結合部分を含む抗体フラグメント、および当該抗体または抗体フラグメントを含む抗体コンジュゲートからなる群から選択される分子をコードする。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号21で示される配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号1で示される配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号5で示される配列、または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号23で示される配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号3で示される配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号7で示される配列、または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号45で示される配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号41で示される配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号43に示される配列、または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0102】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号46に示される配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号42に示される配列または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、モノクローナル抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号44に示される配列、または少なくとも90%の配列同一性を有するその変異体を含む。
【0105】
本発明は、いくつかの実施形態によれば、上記に開示された少なくとも1つのポリヌクレオチド配列によってコードされる少なくとも1つの配列を含むポリペプチドを提供する。
【0106】
さらなる態様では、本発明は、本発明による少なくとも1つの抗体鎖またはそのフラグメントをコードする核酸分子を含む核酸構築体を提供する。いくつかの実施形態によれば、核酸構築体はプラスミドである。
【0107】
いくつかの実施形態によれば、プラスミドは、配列番号45、配列番号46、配列番号41、配列番号42、配列番号43、および配列番号44からなる群から選択される配列に示される少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0108】
さらに別の態様では、本発明は、上記で定められる特定のCDR配列および/または特定の重鎖および軽鎖可変領域を含む抗体または抗体フラグメントを産生することができる細胞を提供する。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、細胞が提供され、上記で開示される少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む。
【0110】
いくつかの実施形態によれば、細胞は、
i.HC CDR1がSYYIH(配列番号25)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号27)であり、LC CDR1がKASQSVNNDVA(配列番号28)であり、LC CDR2がYASNRFT(配列番号29)であり、かつLC CDR3がQQAYRSPYT(配列番号30)である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1がAYNIH(配列番号9)であり、HC CDR2がYIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)であり、HC CDR3がFDYDEAWFIY(配列番号11)であり、LC CDR1がSASSSVSYMH(配列番号12)であり、LC CDR2がDTSKLAS(配列番号13)であり、かつLC CDR3がFQGSGSPYT(配列番号14)である、6つのCDRのセット、および
iii.HC CDR1配列がTYYIH(配列番号15)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号17)であり、LC CDR1がKASQSVSNDVA(配列番号18)であり、LC CDR2がYASNRYT(配列番号19)であり、かつLC CDR3がQQDYSSPYT(配列番号20)である、6つのCDRのセット、を含むモノクローナル抗体を産生することができる。
【0111】
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、細胞はハイブリドーマ細胞においてモノクローナル抗体を産生する。
【0113】
本発明による抗体またはそのフラグメントは、細胞毒性部分、放射性部分、または識別可能な部分に結合され得る。
【0114】
本発明は、別の態様によれば、有効成分として、ヒトネクチン4を高い親和性および特異性で認識する少なくとも1つの抗体、抗体フラグメント、またはそのコンジュゲート、および任意に少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、塩、または担体を含む医薬組成物を提供し、当該少なくとも1つの抗体または抗体フラグメントはヒトネクチン4のヒトTIGITとの結合を阻害することができる。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、本医薬組成物はネクチン4に特異的なmAbを含み、mAbはいかなる毒素または抗腫瘍剤ともコンジュゲートされていない。
【0116】
いくつかの実施形態によれば、本医薬組成物は、上記に開示された可変領域およびCDR配列を有するhNec4.11、hNec4.01、およびhNec4.05からなる群から選択されるモノクローナル抗体に結合するヒトネクチン4タンパク質内のエピトープと結合することができるモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含む。
【0117】
いくつかの実施形態によれば、本医薬組成物は、
i.HC CDR1が配列番号25であり、HC CDR2が配列番号26であり、HC CDR3が配列番号27であり、LC CDR1が配列番号28であり、LC CDR2が配列番号29であり、かつLC CDR3が配列番号30である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1が配列番号9であり、HC CDR2が配列番号10であり、HC CDR3が配列番号11であり、LC CDR1が配列番号12であり、LC CDR2が配列番号13であり、かつLC CDR3が配列番号14である、6つのCDRのセット、または
iii.HC CDR1配列が配列番号15であり、HC CDR2が配列番号16であり、HC CDR3が配列番号17であり、LC CDR1は配列番号18であり、LC CDR2が配列番号19であり、かつLC CDR3が配列番号20である、6つのCDRのセット、を含む少なくとも1つのモノクローナル抗体を含む。
【0118】
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0119】
いくつかの実施形態によれば、本医薬組成物は、配列番号39、配列番号35、および配列番号37からなる群から選択される配列を有する重鎖可変領域を含むモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す
【0120】
いくつかの実施形態によれば、本医薬組成物は、配列番号40、配列番号36、および配列番号38からなる群から選択される配列を有する軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0121】
特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、配列番号39で示される配列を有する重鎖可変領域および配列番号40で示される配列を有する軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含む。
【0122】
特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、配列番号35で示される配列を有する重鎖可変領域および配列番号36で示される配列を有する軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含む。
【0123】
特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、配列番号37で示される配列を有する重鎖可変領域および配列番号38で示される配列を有する軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含む。
【0124】
また、NK細胞上に発現されるTIGITとのネクチン4の結合を阻害することによってNK細胞毒性を回復することに使用するため、本発明による少なくとも1つの抗体、抗体フラグメント、または抗体コンジュゲートを含む医薬組成物が提供される。
【0125】
いくつかの実施形態によれば、抗体、抗体フラグメント、または抗体コンジュゲートは、T細胞上に発現されるTIGITとのヒトネクチン4の結合を阻害することができる。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、本発明による医薬組成物は、癌免疫療法で、または免疫応答を増強することに使用するためのものである。
【0127】
いくつかの実施形態によれば、本医薬組成物はさらにTIGITを発現するヒトリンパ球を含む。
【0128】
いくつかの実施形態によれば、ヒトリンパ球は、T細胞、NK細胞、およびナチュラルキラーT(NKT細胞)からなる群から選択されるキラー細胞である。
【0129】
いくつかの実施形態によれば、キラー細胞は自己または同種異系である。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、本医薬組成物は、TIGITを発現する自己または同種異系NK細胞を含む。
【0131】
本発明による組成物によって治療可能な癌は、ネクチン4を発現する任意の癌であり得る。いくつかの実施形態によれば、癌はネクチン4を過剰発現する。本発明のいくつかの実施形態によれば、癌は転移性癌である。いくつかの実施形態によれば、本発明による医薬組成物は、転移の形成または分布を阻害すること、または対象における転移の総数を減少させることに使用するためのものである。
【0132】
本発明のいくつかの実施形態によれば、癌は、黒色腫、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、結腸癌、子宮頸癌、腎臓癌、肺癌、甲状腺癌、前立腺癌、脳癌、腎癌、喉癌、喉頭癌、膀胱癌、肝癌、線維肉腫、子宮内膜細胞癌、神経膠芽細胞腫、肉腫、骨髄性、白血病、およびリンパ腫からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0133】
いくつかの実施形態によれば、癌は固形癌である。いくつかの特定の実施形態によれば、固形癌は、乳癌、肺癌、膀胱癌、膵臓癌、および卵巣癌からなる群から選択される。
【0134】
他の実施形態によれば、癌は血液癌である。いくつかの実施形態によれば、本医薬組成物は癌の治療に使用する場合、ヒトリンパ球を伴う。
【0135】
いくつかの実施形態によれば、ヒトリンパ球は、T細胞、NK細胞、およびNKT細胞からなる群から選択されるキラー細胞である。
【0136】
いくつかの実施形態によれば、キラー細胞は自己または同種異系である。
【0137】
いくつかの実施形態によれば、キラー細胞はNK細胞である。
【0138】
いくつかの実施形態によれば、本発明による医薬組成物は、ウイルス感染を予防または治療することに使用するためのものである。
【0139】
いくつかの実施形態によれば、本医薬組成物は、麻疹ウイルスによる感染を予防する使用のためのものである。
【0140】
さらに別の態様によれば、本発明は、上記で定められるモノクローナル抗体または抗体フラグメントを使用することによって、ヒトネクチン4のTIGITとの結合を阻害する方法を提供する。
【0141】
さらに別の態様によれば、本発明は癌を治療する方法を提供し、それを必要とする対象に、ネクチン4と結合する抗体またはそのフラグメントを投与することを含み、抗体またはそのフラグメントはいかなる毒素または抗腫瘍剤にもコンジュゲートされていない。
【0142】
追加の態様によれば、本発明は、免疫応答を増強するための方法を、それを必要とする対象において提供し、当該対象に上記で定められるモノクローナル抗体、抗体フラグメント、または抗体コンジュゲートの治療有効量を投与することを含む。
【0143】
さらに別の態様によれば、本発明は、癌を治療する方法を提供し、それを必要とする対象に、ヒトネクチン4を高い親和性および特異性で認識してそのリガンドTIGITとのその結合を阻害することができる、少なくとも1つの抗体またはその抗体フラグメントを治療有効量含む医薬組成物を投与することを含む。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態によれば、治療有効量は、対象における腫瘍サイズまたは転移数の減少をもたらす。
【0145】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、いずれの毒素または抗腫瘍剤ともコンジュゲートされていないmAbを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0146】
いくつかの実施形態によれば、癌を治療する方法は、少なくとも1つの追加の抗癌療法を投与または実施することを含む。特定の実施形態によれば、追加の抗癌療法は、手術、化学療法、放射線療法、または免疫療法である。
【0147】
いくつかの実施形態によれば、癌を治療する方法は、ヒトネクチン4を高い親和性および特異性で認識するモノクローナル抗体および追加の抗癌剤の投与を含む。いくつかの実施形態によれば、追加の抗癌剤は、免疫調節剤、活性化リンパ球細胞、キナーゼ阻害剤、および化学療法剤からなる群から選択される。
【0148】
他の実施形態によれば、追加の免疫調節剤は、ヒトネクチン4以外の抗原と結合する抗体、抗体フラグメント、または抗体コンジュゲートである。
【0149】
いくつかの実施形態によれば、追加の免疫調節剤は、免疫チェックポイント分子に対する抗体である。いくつかの実施形態によれば、追加の免疫調節剤は、ヒトプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、PD-L1、およびPD-L2、癌胚性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM1)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、CD137、OX40(CD134とも呼ばれる)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、TIGIT、PVR、CTLA-4、NKG2A、GITR、ならびにその他のチェックポイント分子またはそれらの組み合わせからなる群から選択される免疫チェックポイント分子に対する抗体である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、抗癌剤は、Erbitux、シタラビン、フルダラビン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、メトトレキサート、チオグアニン、ゲムシタビン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、カルムスチン、ロムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シスプラチン、カルボプラチン、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、チオテパ、ダカルバジン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、エトポシド、テニポシド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0151】
いくつかの実施形態によれば、抗癌剤は上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤である。いくつかの実施形態によれば、EGFR阻害剤は、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、およびネシツムマブ(Portrazza(登録商標))からなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、EGFR阻害剤はセツキシマブ(Erbitux(登録商標))である。
【0152】
本発明のいくつかの実施形態によれば、対象はヒト対象である。
【0153】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本使用はさらに、免疫共阻害受容体の活性または発現を下方調節する薬剤の使用を含む。
【0154】
本発明のいくつかの実施形態によれば、免疫細胞はT細胞である。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態によれば、免疫共阻害受容体は、PD-1、TIGIT、PVR、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、VISTA、B7H4、CD96、BY55、LAIR1、SIGLEC10、および2B4からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0156】
一態様によれば、本発明は、免疫系の機能および/または活性を調節するための方法を提供し、ネクチン4のTIGITとの結合を本発明による抗体を使用して調節することを含む。
【0157】
いくつかの実施形態によれば、癌を治療する方法は、対象における転移の形成、増殖、または拡散を防止または低減することを含む。
【0158】
いくつかの実施形態によれば、癌を治療する方法は、それを必要とする対象に、ヒトネクチン4のヒトTIGITとの結合を阻害することができるmAbまたはその抗体フラグメントを含む医薬組成物を投与し、さらに当該対象のヒトリンパ球を投与することを含む。
【0159】
いくつかの実施形態によれば、ヒトリンパ球は、T細胞、NK細胞、およびNKT細胞からなる群から選択されるキラー細胞である。
【0160】
いくつかの実施形態によれば、キラー細胞は自己または同種異系である。
【0161】
いくつかの実施形態によれば、キラー細胞はNK細胞である。
【0162】
本発明はまた、ウイルス感染を予防または治療する方法を提供し、対象にヒトネクチン4に特異的な少なくとも1つのmAb、または少なくとも抗原結合ドメインを含むそのフラグメントを投与することを含み、当該mAbまたはそのフラグメントはネクチン4のTIGITとの結合を阻害することができる。
【0163】
いくつかの実施形態によれば、麻疹ウイルスによる感染を予防する方法が提供され、ヒトネクチン4に特異的なmAb、または少なくとも抗原結合ドメインを含むそのフラグメントを投与することを含み、当該mAbまたはそのフラグメントは上皮細胞で発現されるヒトネクチン4との麻疹ウイルスの結合を阻害することができる。いくつかの実施形態によれば、細胞は上皮細胞である。一態様によれば、本発明は、対象における癌または感染性疾患を診断または予後診断する方法を提供し、本方法は、当該対象の生物学的試料におけるネクチン4の発現レベルを、本明細書で説明される少なくとも1つの抗体を使用して決定することを含む。
【0164】
さらに別の態様によれば、本発明は癌を治療する方法を提供し、それを必要とする対象に、本明細書で説明されるCAR分子を含む細胞の治療有効量を投与することを含む。
【0165】
本発明はさらに、別の態様によれば、ネクチン4の発現を決定または定量する方法を含み、本方法は生物学的試料を抗体または抗体フラグメントと接触させること、および複合体形成のレベルを測定することを含み、抗体または抗体フラグメントは、
i.HC CDR1が配列番号25であり、HC CDR2が配列番号26であり、HC CDR3が配列番号27であり、LC CDR1が配列番号28であり、LC CDR2が配列番号29であり、かつLC CDR3が配列番号30である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1が配列番号9であり、HC CDR2が配列番号10であり、HC CDR3が配列番号11であり、LC CDR1が配列番号12であり、LC CDR2が配列番号13であり、かつLC CDR3が配列番号14である、6つのCDRのセット、または
iii.HC CDR1配列が配列番号15であり、HC CDR2が配列番号16であり、HCCDR3が配列番号17であり、LC CDR1が配列番号18であり、LC CDR2が配列番号19であり、かつLC CDR3が配列番号20である、6つのCDRのセット、を含む。
【0166】
決定および定量する方法は、いくつかの実施形態に従ってインビトロまたはエクスビボで実施され得、またはネクチン4の発現と関連する状態を診断することに使用され得る。本発明による抗体はまた、スクリーニング方法を構成するために使用され得る。例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、またはラジオイムノアッセイ(RIA)、ならびにIHCまたはFACSなどの方法は、本抗体および当技術分野で知られている方法を使用して分泌性または細胞関連ポリペプチドのレベルを測定するために構築することができる。
【0167】
いくつかの実施形態によれば、細胞で発現される、または生物学的メディウムに分泌されるネクチン4の存在を検出または定量するための方法は、
i.試料をヒトネクチン4に特異的な抗体または少なくとも抗原結合部分を含むその抗体フラグメントとともにインキュベーションするステップ、
ii.結合したネクチン4を検出可能なプローブを使用して検出するステップを含む。
【0168】
いくつかの実施形態によれば、本方法はさらに、
iii.(ii)の量を、ネクチン4の既知量を含む参照試料から得られる標準曲線と比較するステップ、および
iv.試料中のネクチン4の量を標準曲線から計算するステップを含む。
【0169】
いくつかの特定の実施形態によれば、試料は体液である。
【0170】
いくつかの実施形態によれば、本方法はインビトロまたはエクスビボで実施される。
【0171】
生物学的試料におけるネクチン4の発現または存在を測定するためのキットもまた提供され、本発明による少なくとも1つの抗体または抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、本キットは、
i.HC CDR1が配列番号25であり、HC CDR2が配列番号26であり、HC CDR3が配列番号27であり、LC CDR1が配列番号28であり、LC CDR2が配列番号29であり、かつLC CDR3が配列番号30である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1が配列番号9であり、HC CDR2が配列番号10であり、HC CDR3が配列番号11であり、LC CDR1が配列番号12であり、LC CDR2が配列番号13であり、かつLC CDR3が配列番号14である、6つのCDRのセット、または
iii.HC CDR1配列が配列番号15であり、HC CDR2が配列番号16であり、HCCDR3が配列番号17であり、LC CDR1が配列番号18であり、LC CDR2が配列番号19であり、かつLC CDR3が配列番号20である、6つのCDRのセット、を含む。
【0172】
一態様によれば、本発明は癌を検出するためのキットを提供し、診断キットは本明細書で開示される抗体またはその抗体フラグメントを含む。
【0173】
いくつかの実施形態によれば、本発明は免疫関連疾患または増殖性疾患を診断、重症度を評価、または病期分類する方法を提供し、本発明による抗体あるいはそのフラグメントまたはコンジュゲートを使用して、対象に由来する試料におけるネクチン4の発現、濃度、または活性を決定すること、およびネクチン4の発現または活性を、ネクチン4の発現、濃度、または活性の参照量と比較することを含む。当該参照量は、正常な対象から、その疾患の異なる病期にある際に同一対象から採取された試料から得ることができ、または対象の大集団の臨床データから決定される。
【0174】
本発明のさらなる実施形態および適用可能性の全範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神および範囲内での様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者に明らかになるであろうから、詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、単に例示として与えられているにすぎないことは理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0175】
図1】免疫細胞(NK)および腫瘍細胞でTIGITシグナル伝達に含まれる受容体の模式図。抗ネクチン4Abが示される。
図2】抗体クローンhNec4.05およびhNec4.01は、TIGIT-ネクチン4相互作用の最も優れた遮断能力を示す。グラフは、ネクチン4でトランスフェクションされたRAJIバーキットリンパ腫細胞のFACS染色の平均蛍光強度(MFI)値を示す。細胞を0.2μgの異なるクローン(表示の通り)ともにインキュベーションし、次に3μgのTIGIT-Igとインキュベーションし、続いて抗ヒト二次抗体で染色した。
図3】ネクチン4に対する抗体クローンの結合親和性の定量化。マイクロスケール熱泳動で観察されたフルオロフォア標識ネクチン4-Igと抗体クローンhNec4.05およびクローンhNec4.01の結合。測定は少なくとも3つの独立したタンパク質調製物を用いて繰り返し、結果の平均を示す(±SEM)。
図4図4A図4B。抗体クローンhNec4.05およびhNec4.01はNectin4を遮断し、NK細胞毒性を増加させる。[35S]メチオニン標識した、(4A)ネクチン4でトランスフェクションされたRAJIバーキットリンパ腫細胞、(4B)LNCap前立腺癌細胞(自然発現性ネクチン4)を、コントロール抗体としてのマウスIgG1または抗ネクチン4抗体hNec4.01もしくはhNec4.05のいずれかの1μg/ウェルとともにインキュベーションした。1時間後、細胞にNK細胞を補充し、5時間インキュベーションした。NK:癌細胞の様々なエフェクター:ターゲット(E:T)比における平均特異的死滅(±sd)がプロットされている。*は、コントロール抗体と比較したhNec4.01およびhNec4.05クローンの有意な効果(p<0.05)を示す。図は、実施された3回のうちの1回の代表的な実験を示す。同じ効果が、すべて乳癌細胞株であるMCF-7、MDA-MB-453、SK-BR-3、およびT47D細胞によって決定された。
図5図5A図5C。抗体クローンはネズミネクチン4と結合しない。(A)ネズミネクチン4(mネクチン4として表示)でトランスフェクションされ、市販の抗ネズミネクチン4mAb(フローサイトメトリーでは機能しないクローン356704)によって検出されたRAJI細胞のウエスタンブロット。発現を空ベクター(空として表示)を発現するRAJI細胞と比較した。hGAPDHの染色を負荷コントロールとして使用した。(B~C)ネズミネクチン4でトランスフェクションされたRAJI細胞のFACS染色(黒色線ヒストグラム)。細胞を0.2μgの(B)クローンhNec4.01または(C)クローンhNec4.05によって染色した。
図6図6A図6C。ネクチン4-ネクチン1相互作用の遮断。(A~B)ヒト-ネクチン4でトランスフェクションされたRAJI細胞のFACS染色。細胞を1μgの(A)クローンhNec4.01、または(B)クローンhNec4.05とともにプレインキュベーションし、次に3μgのネクチン1-Igとインキュベーションした(黒色線ヒストグラム)。遮断のない染色は灰色線で表す。灰色で塗りつぶされたヒストグラムは、二次抗体のみのバックグラウンドコントロール染色である。(C)AおよびBのFACS染色の平均蛍光強度(MFI)値。
図7図7A図7C。抗ネクチン4mAbのインビボ効果。(A)空ベクター(EV)または過剰発現(OE)ネクチン4のいずれかによってトランスフェクションされた5×10個のRaji細胞を、単独で(左パネル、NKなし)または1×10個のNK細胞とともに(右パネル、NK)、SCIDベージュマウスに皮下移植した。(B)ネクチン4を過剰発現する5×10個のRaji細胞を、1×10NK細胞とともにSCIDベージュマウスに皮下移植した。マウスを75ugのコントロールAbまたは抗ネクチン4クローンhNec4.05mAbのいずれかで、週2回腹腔内注入によって処置した。(C)5×10個のMDA-MB-453細胞を、単独、または7×10個のNK細胞とともにSCIDベージュマウスの皮下に移植した。次に、マウスを(B)と同様に処置した。腫瘍注入後21日(A)、27日(B)、または23日(C)に腫瘍を採取して秤量した。すべてのマウス実験群でN=7。(*)p<0.05。
図8図8A図8C。細胞表面ネクチン-4に結合する抗体クローンhNec4.05およびhNec4.11。(A)ヒト細胞株MDA-MD-453で発現されたネクチン-4と結合する抗体をFACS分析によって評価した。各クローンについてAb結合(20~0.01nMの範囲)の力価測定後に計算されたEC50値、および最大結合シグナルが示される。注目すべきことに、同様の結果が、マウスIgG1FcがヒトFcに置換されたAbのキメラ型で示された。(B)カニクイザル(Cyno)-ネクチン-4によってトランスフェクションされて、Aと同様に分析されたCHO細胞に結合する抗体。(C)ネズミ-ネクチン-4によってトランスフェクションされて、Aと同様に分析されたCHO細胞に結合する抗体。NDは、検出されず。
図9図9A図9D。抗体クローンhNec4.05およびhNec4.11は、ネクチン-4のそのリガンドであるTIGITおよびネクチン-1との結合を遮断する。ネクチン-4リガンドの結合を、FACS分析によって評価した。ヒト-ネクチン-4でトランスフェクションされたCHO細胞を、ヒトTIGIT-Ig(AおよびC)またはヒトネクチン-1-Ig(BおよびD)のいずれかと、共に20ug/mlで、抗ネクチン-4クローンであるhNec4.05(AおよびB)またはクローンhNec4.11(CおよびD)の共に8ug/mlの添加または無添加でインキュベーションした。抗ネクチン-4抗体による強力な結合阻害がすべての例で示される。残りのシグナルは、抗ネクチン-4Abによる影響を受けないPVRなどのCHO細胞によって発現される他の受容体と結合するリガンドに起因している可能性がある。
図10図10A図10B。ヒトIgG1キメラAbクローンhNec4.05およびhNec4.11は、腫瘍細胞の存在下でNK細胞の活性化を高める。ヒトNK細胞(エフェクター、E)を、標的細胞(T)HT1376(A)およびMDA-MD-453(B)とE:T比が2:1でインキュベーションした。インキュベーションは、12ug/mlキメラクローンhNec4.05およびhNec4.11またはコントロールhIgG1の存在下で行った。2時間後、NK細胞を脱顆粒化および活性化状態について、CD107a発現のFACS分析によってアッセイした。コントロールhIgG1の存在下でのNK細胞の脱顆粒化を1として設定し、それに応じて誘導倍率を計算した。示されているのは、2~3回の繰り返しの平均およびそれらの正規化したSDである。
図11図11A図11D。hNec4.11によって駆り立てられるCAR-Tは、ネクチン-4を発現する腫瘍細胞の存在下で特異的なT細胞の活性化をもたらす。(A)CART構築体の概略図。(B)ジャーカット細胞に、構築体およびGFPをコードするレンチ粒子を形質導入した。形質導入有効性は、GFP発現のFACS分析によって判断したときに99%を超えた。(C)親ジャーカット細胞またはCART構築体を発現するジャーカット細胞(ジャーカットpHAGE2.4.11)を、標的細胞HT1376またはMDA-MD-453(MDA-453)と48時間インキュベーションし、その後、培地を収集し、ジャーカット活性化を評価する方法としてIL-2濃度について試験した。IL-2の分泌は、CART発現によって有意に誘発された(*=0.003、**=0.00014、両側スチューデント検定)。示されているのは、実施された2つの代表的な実験である。(D)健康なドナーに由来するPBMCに、CART構築体を使用して形質導入した。CART PBMCを、E:T(X軸に表示)の範囲にわたってHT1376細胞とインキュベーションした。アスタリスクでマークされているところは標的細胞の死滅が有意だった(***p<7×10-5)。
【発明を実施するための形態】
【0176】
本発明は、ヒトネクチン4に特異的である有効なモノクローナル抗体を提供する。本発明はまた、mAbの治療剤としての製造および使用を提供する。特に、本発明のmAbは、免疫細胞の抗腫瘍殺活性を回復および増強するため、そして診断用試薬として使用され得る。
【0177】
以前の刊行物は、ネクチン4を過剰発現する腫瘍細胞に薬剤を標的化するために抗ネクチン4mAbの使用を示しているが、本発明は、NK細胞などの免疫細胞の抑制受容体TIGITとネクチン4との結合を阻害することによって、免疫系を腫瘍細胞に対して直接的に増強するモノクローナル抗体を初めて開示する。
【0178】
本発明の抗体は、現在癌の治療について試験されているTIGITに特異的な抗体の欠点を克服する。伝えられるところでは、抗TIGIT抗体は、TIGIT受容体を発現するすべての免疫細胞を遮断することによって免疫系全体を活性化に対して歪め、潜在的に自己免疫効果を引き起こし得るが、本発明の抗ネクチン4抗体は、腫瘍で過剰発現されることが知られているネクチン4発現細胞のみを標的にする。
【0179】
さらに、本発明の抗体のいくつかはまた、潜在的にネクチン4のネクチン1との相互作用を遮断するそれらの能力を介して、腫瘍細胞の免疫非依存的な死滅をもたらし得る。
【0180】
本明細書で使用される「抗原」という用語は、抗体形成を誘発することができ、抗体によって特異的に結合されることができる分子または分子の一部を指す。抗原は、1つ以上のエピトープを有し得る。上記で言及される特異的結合は、抗原が高度に選択的な方式で対応する抗体と反応するが、他の抗原によって誘発され得る他の多数の抗体とは反応しないことを示すことを意味する。本発明のいくつかの実施形態による抗原は、ネクチン4タンパク質である。
【0181】
「ネクチン4」または「ネクチン細胞接着分子4」という用語は、本明細書で使用されるとき、510個のアミノ酸および55454Daの分子量のシングルパスI型膜タンパク質を指し、PVRL4、LNIR、PRR4、およびEDSS1としても知られている。ネクチン4タンパク質には、2つの免疫グロブリン様(Ig様)C2型ドメインおよび1つのIg様V型ドメインが含まれる。それは、経-同種親和性および-異種親和性相互作用を通した細胞接着に含まれる。可溶型はメタロプロテイナーゼADAM17/TACEによる細胞表面でのタンパク質分解切断によって生成され、分泌型は乳房腫瘍細胞株および乳房腫瘍患者の両方に認められている。本発明による例示的なネクチン4は、SwissPort、UniPort、およびGenBankのシンボルまたは登録番号として、Q96NY8-NECT4_HUMAN、Q96NY8、B4DQW3、Q96K15、Q96NY8-1、Q96NY8-2、ENSP00000356991、NP_112178.2;XP_005245565.1、XP_011508323.1、XP_011508324.1、またはXP_011508325.1で示される。
【0182】
本発明による抗体またはそのフラグメントは、ネクチン4のエピトープと結合する。具体的には、抗体はネクチン4タンパク質配列の外部ドメイン(細胞外部分)内のエピトープと結合する。
【0183】
本明細書で使用される「抗原決定基」または「エピトープ」という用語は、特定の抗体と特異的に反応する抗原分子の領域を指す。エピトープに由来するペプチド配列は、単独で、または担体部分と結合して使用され、当技術分野で知られている方法を適用して、動物を免疫して、追加のポリクローナルまたはモノクローナル抗体を生成することができる。エピトープに由来する単離されたペプチドは、抗体を検出する診断方法で使用され得る。
【0184】
親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)(Scarano S,Mascini M,Turner AP,Minunni M.Surface plasmon resonance imaging for affinity-based biosensors.Biosens Bioelectron.2010,25:957-66に記載されている)などの既知の方法を使用して定量化することができ、例えば、解離定数Kdを使用して計算することができ、Kdが低いほど高い親和性を反映することに留意すべきである。
【0185】
抗体、または免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によってともに連結された2つの重鎖および2つの軽鎖を含み、各軽鎖はそれぞれの重鎖とジスルフィド結合によって「Y」字型形状で結合される。抗体のタンパク質分解消化は、Fv(可変フラグメント)およびFc(結晶フラグメント)ドメインを生じる。抗原結合ドメインであるFabには、ポリペプチド配列が変化する領域が含まれる。F(ab’)という用語は、ジスルフィド結合によってともに結合された2つのFab’アームを表す。抗体の中心軸はFcフラグメントと呼ばれる。各重鎖は、一端に可変ドメイン(V)を有し、いくつかの定常ドメイン(C)が続く。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)、およびその他端に定常ドメイン(C)を有し、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列され、軽鎖定常ドメインは重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)と整列される。軽鎖と重鎖の各対の可変ドメインが抗原結合部位を形成する。軽鎖と重鎖のドメインは同じ全体構造を有し、各ドメインは4つのフレームワーク領域を含み、それらの配列は比較的保存されており、相補性決定領域(CDR1~3)として知られる3つの超可変ドメインによって結合されている。これらのドメインは、抗原結合部位の特異性および親和性に寄与する。
【0186】
所与の重鎖または軽鎖可変配列からのCDRの同定または決定は、通常、当技術分野で知られている数少ない方法のうちの1つを使用して行われる。たとえば、このような決定は、Kabat(WuT.T and KabatE.A.,J Exp Med,1970;132:211-50)およびIMGT(Lefranc M-P,et al.,Dev Comp Immunol,2003、27:55-77)に従ってなされる。
【0187】
「配列を有するCDR」という用語または同様な用語が使用されるとき、それはCDRが特定された配列を含むという選択肢、およびCDRが特定された配列からなるという選択肢も含む。
【0188】
抗体の抗原特異性は、超可変領域(HVR)、つまり、抗原結合部位をともに形成する軽鎖および重鎖の両方の特有のCDR配列に基づいている。
【0189】
重鎖のアイソタイプ(ガンマ、アルファ、デルタ、イプシロン、またはミュー)は、免疫グロブリンクラス(それぞれ、IgG、IgA、IgD、IgE、またはIgM)を決定する。軽鎖は2つのアイソタイプ(カッパ、κまたはラムダ、λ)のいずれかである。両アイソトープはすべての抗体クラスに認められる。
【0190】
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体(全長またはインタクトのモノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多価抗体、および所望の生物学的活性、すなわちヒトネクチン4との結合を示すのに十分な長さの抗体フラグメントを含む。
【0191】
本発明による抗体または複数の抗体には、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体(mAb)などのインタクト抗体、ならびにFabまたはF(ab’)フラグメントなどのそのタンパク質分解フラグメントが含まれる。単鎖抗体も本発明の範囲内に含まれる。
【0192】
抗体フラグメント
「抗体フラグメント」は、インタクト抗体の一部分のみを含み、一般的に、インタクト抗体の抗原結合部位を含み、したがって抗原と結合する能力を保持する。本定義によって包含される抗体フラグメントの例には、(i)VL、CL、VH、およびCH1ドメインを有するFabフラグメント、(ii)CH1ドメインのC末端に1つ以上のシステイン残基を有するFabフラグメントであるFab’フラグメント、(iii)VHおよびCH1ドメインを有するFdフラグメント、(iv)VHおよびCH1ドメインならびにCH1ドメインのC末端に1つ以上のシステイン残基を有するFd’フラグメント、(v)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインを有するFvフラグメント、(vi)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al.,Nature 1989,341,544-546)、(vii)単離されたCDR領域、(viii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab’フラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)フラグメント、(ix)単鎖抗体分子(例えば、単鎖Fv、scFv)(Bird et al.,Science 1988,242,423-426、およびHuston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)1988,85,5879-5883)、(x)2つの抗原結合部位を有し、同一ポリペプチド鎖に軽鎖可変ドメイン(VL)と結合された重鎖可変ドメイン(VH)を含む「二重特異的抗体」(例えば、EP404,097、WO93/11161、およびHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90,6444-6448)、(xi)相補的な軽鎖ポリペプチドとともに抗原結合領域の対を形成するタンデムFdセグメントの対(VH-CH1-VH-CH1)を含む「線状抗体」(Zapata et al.Protein Eng.,1995、8、1057-1062、および米国特許第5,641,870号)が含まれる。
【0193】
様々な技術が抗体フラグメントの生成のために開発されている。伝統的に、これらのフラグメントは、インタクト抗体のタンパク質分解消化を介して派生された(例えば、Morimoto et al.,Journal of Biochemical and Biophysical Methods24:107-117(1992)およびBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照)。しかし、これらのフラグメントは現在、組換え宿主細胞によって直接的に生成することができる。例えば、抗体フラグメントは、抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab’-SHフラグメントを大腸菌から直接的に回収し、化学的に結合してF(ab’)フラグメントを生成することができる(Carter et al.,Bio/Technology10:163-167(1992))。別の取り組みによれば、F(ab’)フラグメントは組換え宿主細胞培養から直接的に単離することができる。抗体フラグメントの生成のための他の技術は、当業者には明らかであろう。他の実施形態では、選択される抗体は単鎖Fvフラグメント(scFv)である。
【0194】
単鎖抗体は、抗原結合能力を有し、免疫グロブリン軽鎖および重鎖の可変領域と相同的または類似的であるアミノ酸配列を含む単鎖複合ポリペプチド、すなわち連結されたV-Vまたは単鎖Fv(scFv)であることができる。単鎖抗体(米国特許第4,946,778号)を生成するための技術は、ネクチン4に対する単鎖抗体を生成するために適応することができる。
【0195】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、ほとんど均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る自然発生的な変異の可能性以外は同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一抗原に対して向けられる。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対して向けられる。修飾語句「モノクローナル」は、いずれかの特定の方法によって抗体の生成を必要とすると解釈されるべきではない。mAbは、当業者に知られている方法によって得ることができる。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature1975、256、495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって生成され得、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号)によって生成され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson et al.,Nature1991,352,624-628またはMarks et al.,J.Mol.Biol.,1991,222:581-597に記載されている技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0196】
機能的可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)遺伝子の迅速な同定およびクローニングを通したモノクローナル抗体に由来する組換え一価抗原結合分子の設計および開発、ならびに組換え細菌における発現に最適化された合成DNA配列の設計およびクローニングは、Fields et at.2013、8(6):1125-48に記載されている。
【0197】
本発明のmAbは、IgG、IgM、IgE、IgA、およびIgDを含む任意の免疫グロブリンクラスのものであり得る。mAbを産生するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養することができる。高力価のmAbはインビボ産生によって得ることができ、個々のハイブリドーマからの細胞を未処置の準備したBalb/cマウスに腹腔内注入して、高濃度で所望のmAbを含む腹水を生成する。mAbは、当業者によく知られている方法を使用して、そのような腹水から、または培養上清から精製され得る。
【0198】
本発明の抗体の超可変領域と特異的に免疫反応性である抗イディオタイプ抗体もまた含まれる。
【0199】
本発明は、軽鎖の3つのCDRおよび重鎖の3つのCDRを含む抗原結合ドメイン(ABD)を含むモノクローナル抗体または抗体フラグメントを提供し、当該ABDは、(i)配列番号39のアミノ酸配列を含む重可変鎖および配列番号40のアミノ酸配列を含む軽可変鎖(本明細書ではhNec4.11として識別される)、(i)配列番号35のアミノ酸配列を含む重可変鎖および配列番号36のアミノ酸配列を含む軽可変鎖(本明細書ではhNec4.01として識別される)、または(ii)配列番号37のアミノ酸配列を含む重可変鎖および配列番号38のアミノ酸配列を含む軽可変鎖(本明細書ではhNec4.05として識別される)を含むモノクローナルマウス抗体のABDと少なくとも90%の配列同一性または類似性を有する。そのような抗体は、抗体hNec4.11、hNec4.01、またはhNec4.05の対応するABDと少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99%の配列同一性または類似性、あるいは100%の配列同一性を有するABDドメインを有し得る。
【0200】
配列同一性は、2つの異なる配列間で正確に一致するアミノ酸またはヌクレオチドの量である。配列類似性によって、アミノ酸の保存的置換を同一のアミノ酸として決定することができる。
【0201】
本発明はまた、本発明による抗体分子の保存的アミノ酸変異体を提供する。本発明による変異体はまた、コードされたタンパク質の全分子構造を保存するものとして生成され得る。開示されるタンパク質生成物を構成する個々のアミノ酸の特性を考えると、いくつかの合理的な置換が当業者によって認識されるであろう。アミノ酸置換、すなわち「保存的置換」は、例えば、極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および/または含まれる残基の両親媒性の性質における類似性に基づいてなされ得る。本明細書で使用される「抗体類似体」という用語は、別の抗体から1つ以上の保存的アミノ酸置換によって派生される抗体を指す。
【0202】
本明細書で使用される「抗体変異体」という用語は、本発明の抗体を含む任意の分子を指す。例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントが別の化学的実体と結合されている融合タンパク質は、抗体変異体とみなされる。
【0203】
抗体の配列の類似体および変異体もまた、本出願の範囲内である。これらには、限定されないが、配列内のアミノ酸の保存的および非保存的な置換、挿入、および欠失が含まれる。そのような改変および得られる抗体類似体または変異体は、それらがヒトネクチン4との抗体の結合を付与する、または改善さえする限り、本発明の範囲内にある。
【0204】
当業者に知られているアミノ酸の保存的置換は、本発明の範囲内である。保存的アミノ酸置換には、1つのアミノ酸を同じタイプの官能基または側鎖、例えば、脂肪族、芳香族、正電荷、負電荷を有する別のものによって交換することを含む。これらの置換は、経口生物学的利用能、浸透、および特定の細胞集団への標的化、免疫原性などを増強し得る。当業者は、コードされた配列中の単一のアミノ酸または小さい割合のアミノ酸を変更、追加、または削除する、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列への個々の置換、欠失、または付加が、「保存的に改変された変異体」であり、変更が化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらすことを認識するであろう。機能的に類似したアミノ酸をもたらす保存的置換リストは、当技術分野でよく知られている。例えば、当技術分野で知られている1つのリストにより、以下の6つの群は各々、互いが保存的置換であるアミノ酸を含む。
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、
4)アルギニン(R)、リジン(K)、
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0205】
変異鎖配列は、特定のプライマーを使用したシークエンシング法によって決定されることが強調されるべきである。同じ配列で使用される異なるシークエンシング法は、技術的な問題および異なるプライマーにより、特に配列末端で、わずかに異なる配列をもたらし得る。したがって、抗ネクチン4可変鎖配列の異なる変異体が本出願に従って特定される。
【0206】
本明細書で使用される「抗体の抗原結合部分を有する分子」および「抗原結合フラグメント」という用語は、任意のアイソタイプで任意の動物細胞株または微生物によって生成されるインタクト免疫グロブリン分子だけでなく、その抗原結合反応性画分、限定されないが、例えばFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、その重鎖および/または軽鎖の可変部分、Fabミニ抗体(例えば、WO93/15210、米国特許出願第08/256,790号、WO96/13583、米国特許出願第08/817,788号、WO96/37621、米国特許出願第08/999,554号を参照)、およびそのような反応性画分を組み込む単鎖抗体、ならびに抗体反応性画分が物理的に挿入されている任意の他のタイプの分子を含むことが意図されている。そのような分子は任意の既知の技術によって提供され得、限定されないが、酵素的切断、ペプチド合成、または組換え技術が含まれる。
【0207】
本明細書におけるモノクローナル抗体は特に「キメラ」抗体を含み、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種に由来する、または特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同であり、一方、鎖(複数可)の残りの部分は、別の種に由来する、または別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体、ならびにそれらが所望の生物学的活性を示す限り、そのような抗体のフラグメントにおける対応する配列と同一または相同的である(米国特許第4,816,567号、およびMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984))。さらに、相補性決定領域(CDR)グラフト化を実施して、親和性または特異性を含む抗体分子の特定の特性を変更し得る。CDRグラフトの非限定的な例は、米国特許第5,225,539号に開示されている。
【0208】
キメラ抗体は、ネズミmAbに由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するものなど、異なる部分が異なる動物種に由来する分子である。ヒト抗体(アクセプター抗体と呼ばれる)にほとんど由来する可変領域フレームワーク残基およびマウス抗体(ドナー抗体と呼ばれる)にほとんど由来するCDRを有する抗体は、ヒト化抗体とも呼ばれる。キメラ抗体は主に、適用において免疫原性を低減し、産生における収量を増加するために使用され、例えば、ネズミmAbはハイブリドーマから高い収量を有するが、ヒトにおいて高い免疫原性を有し、そのためヒト/ネズミキメラmAbが使用される。キメラ抗体およびそれらの生成方法は当技術分野で知られている(例えば、PCT特許出願WO86/01533、WO97/02671、WO90/07861、WO92/22653、ならびに米国特許第5,693,762号、第5,693,761号、第5,585,089号、第5,530,101号、および第5,225,539号)。
【0209】
いくつかの特定の実施形態によれば、モノクローナル抗体は、キメラモノクローナル抗体である。
【0210】
いくつかの実施形態によれば、キメラ抗体は、ヒト由来の定常領域を含む。
【0211】
いくつかの実施形態によれば、キメラ抗体のヒト定常領域は、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、およびヒトIgG4からなる群から選択される。
【0212】
特定の実施形態によれば、ヒトネクチン4を認識するキメラモノクローナル抗体が提供され、
i.HC CDR1が(配列番号25)であり、HC CDR2が(配列番号26)であり、HC CDR3が(配列番号27)であり、LC CDR1が(配列番号28)であり、LC CDR2が(配列番号29)であり、かつLC CDR3が(配列番号30)である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1が(配列番号9)であり、HC CDR2が(配列番号10)であり、HC CDR3が(配列番号11)であり、LC CDR1が(配列番号12)であり、LC CDR2が(配列番号13)であり、かつLC CDR3が(配列番号14)である、6つのCDRのセット、
iii.HC CDR1が(配列番号15)であり、HC CDR2が(配列番号16)であり、HC CDR3が(配列番号17)であり、LC CDR1が(配列番号18)であり、LC CDR2が(配列番号19)であり、かつLC CDR3が(配列番号20)である、6つのCDRのセット、を含む。
【0213】
一態様によれば、本発明はネクチン4と特異的に結合する抗体フラグメントを含むCARを提供する。
【0214】
いくつかの実施形態によれば、CARは、i)ネクチン4と特異的に結合することができる特異的結合物質、ii)スペーサーまたはヒンジドメイン、iii)CARをT細胞膜内に固定する膜貫通ドメイン(TM)、iv)T細胞内でシグナルを伝達する細胞内ドメインを含む。
【0215】
いくつかの実施形態によれば、CARはCDRセットを含み、
i.HC CDR1がSYYIH(配列番号25)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号27)であり、LC CDR1がKASQSVNNDVA(配列番号28)であり、LC CDR2がYASNRFT(配列番号29)であり、かつLC CDR3がQQAYRSPYT(配列番号30)である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1がAYNIH(配列番号9)であり、HC CDR2がYIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)であり、HC CDR3がFDYDEAWFIY(配列番号11)であり、LC CDR1がSASSSVSYMH(配列番号12)であり、LC CDR2がDTSKLAS(配列番号13)であり、かつLC CDR3がFQGSGSPYT(配列番号14)である、6つのCDRのセット、および
iii.HC CDR1配列がTYYIH(配列番号15)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号17)であり、LC CDR1がKASQSVSNDVA(配列番号18)であり、LC CDR2がYASNRYT(配列番号19)であり、かつLC CDR3がQQDYSSPYT(配列番号20)である、6つのCDRのセット、からなる群から選択される。
【0216】
一態様によれば、本発明は、CDRセットを含むネクチン4結合ドメインを含む抗体または抗体フラグメントを含むCARをコードする単離された核酸分子を提供し、CDRセットは、
i.HC CDR1がSYYIH(配列番号25)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKYNERFKG(配列番号26)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号27)であり、LC CDR1がKASQSVNNDVA(配列番号28)であり、LC CDR2がYASNRFT(配列番号29)であり、かつLC CDR3がQQAYRSPYT(配列番号30)である、6つのCDRのセット、
ii.HC CDR1がAYNIH(配列番号9)であり、HC CDR2がYIYPNNGGSGYNQKFMN(配列番号10)であり、HC CDR3がFDYDEAWFIY(配列番号11)であり、LC CDR1がSASSSVSYMH(配列番号12)であり、LC CDR2がDTSKLAS(配列番号13)であり、かつLC CDR3がFQGSGSPYT(配列番号14)である、6つのCDRのセット、および
iii.HC CDR1配列がTYYIH(配列番号15)であり、HC CDR2がWIYPGNVNTKNNEKFKV(配列番号16)であり、HC CDR3がSNPYVMDY(配列番号17)であり、LC CDR1がKASQSVSNDVA(配列番号18)であり、LC CDR2がYASNRYT(配列番号19)であり、かつLC CDR3がQQDYSSPYT(配列番号20)である、6つのCDRのセット、からなる群から選択される。
【0217】
いくつかの実施形態によれば、ベクターは、配列番号31または配列番号33で示されるポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態によれば、ベクターはウイルスベクターである。特定の実施形態によれば、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。
【0218】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で説明されるCARを発現するように操作されたT細胞が提供される。
【0219】
膜貫通ドメインに関して、様々な実施形態において、CARは、CARの細胞外ドメインと結合される膜貫通ドメインを含むように設計することができる。膜貫通ドメインは、膜貫通領域に隣接する1つ以上の追加のアミノ酸、例えば、膜貫通を誘導するタンパク質の細胞外領域と関連する1つ以上のアミノ酸(例えば、細胞外領域の1、2、3、4、5個、またはそれ以上のアミノ酸)、および/または膜貫通タンパク質が派生されるタンパク質の細胞内領域と関連する1つ以上の追加のアミノ酸(例えば、細胞内領域の1、2、3、4、5個、またはそれ以上のアミノ酸)を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、膜貫通ドメインはアミノ酸置換によって選択または改変して、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインとのそのようなドメインの結合を回避する、例えば、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限にすることができる。
【0220】
いくつかの実施形態によれば、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータ、またはゼータ鎖、CD27、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、およびCD154からなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインである。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0221】
いくつかの実施形態によれば、ネクチン4結合ドメインを含む抗体または抗体フラグメントは、膜貫通ドメインとヒンジ領域によって結合されている。いくつかの実施形態によれば、ヒンジはヒトタンパク質に由来する。いくつかの実施形態によれば、ヒンジはヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジである。特定の実施形態によれば、ヒンジはIgG4ヒンジまたはCD8aヒンジである。
【0222】
CARの細胞質ドメインまたは領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。細胞内シグナル伝達ドメインは、一般に、CARが導入されている免疫細胞の正常なエフェクター機能の少なくとも1つの活性化に関与している。「エフェクター機能」という用語は、細胞の特定された機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。したがって、「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞に指示して特定の機能を実施するタンパク質の部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分である、細胞内シグナル伝達ドメインの任意の切断された部分を意味する。本発明のCARで使用するための細胞内シグナル伝達ドメインの例には、T細胞受容体(TCR)および抗原受容体関与後にシグナル伝達を開始するために協調して作用する補助受容体の細胞質配列、ならびにこれらの配列の任意の誘導体または変異体および同じ機能的能力を有する任意の組換え配列が含まれる。
【0223】
いくつかの実施形態では、TCRのみを介して生じるシグナルはT細胞の完全な活性化には不十分であり、二次および/または共刺激シグナルも必要とされる。したがって、T細胞の活性化は、2つの異なるクラスの細胞質シグナル伝達配列によって媒介されるということができ、TCR(一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を介して抗原依存性の一次活性化を開始するものと、抗原非依存的に作用して二次または共刺激シグナル(二次細胞質ドメイン、例えば、共刺激ドメイン)をもたらすものである。
【0224】
いくつかの実施形態によれば、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含むように設計される。いくつかの実施形態によれば、2つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインは、リンカー分子によって分離されている。いくつかの実施形態によれば、リンカー分子はグリシン残基である。いくつかの実施形態によれば、リンカーはアラニン残基である。
【0225】
いくつかの実施形態によれば、CARは、OX40、CD2、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、および4-1BB(CD137)からなる群から選択されるタンパク質から得られる共刺激ドメインを含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0226】
本発明はまた、ベクターおよび宿主細胞とともに、CARをコードする核酸分子に関する。本発明はまた、本発明のCARを、適切な担体または賦形剤とともにそのようなCARを含む医薬組成物とともに含む(異種)T細胞に関する。本発明はまた、本発明のT細胞、組成物、およびCARを組み込んだ自己T細胞療法(および対応する医学的用途)に関する。
【0227】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で説明されるCAR発現性細胞はさらに第2のCARを含むことができ、例えば、第2のCARは、例えば、同じ標的(ネクチン4)または異なる標的に対して異なる抗原結合ドメイン含む。いくつかの実施形態によれば、CAR発現性細胞が2つ以上の異なるCARを含む場合、異なるCARの抗原結合ドメインは、抗原結合ドメインが互いに相互作用しないようなものであることができる。
【0228】
いくつかの実施形態によれば、集団中の少なくとも1つの細胞が本明細書で説明される抗ネクチン4ドメインを有するCARを発現する細胞の集団、および別の物質、例えば、CAR発現性細胞の活性を増強する物質を発現する第2の細胞が提供される。
【0229】
本発明はまた、本発明のCARを、適切な担体または賦形剤とともにそのようなCARを含む医薬組成物とともに含む(異種)NK細胞に関する。本発明はまた、本発明のNK細胞、組成物、およびCARを組み込んだ自己NK細胞療法(および対応する医学的用途)に関する。
【0230】
本明細書で使用されるとき、「キメラ抗原受容体」または「CAR」は、抗原結合ドメイン(例えば、抗体の抗原結合部分(例えば、scFV))、膜貫通ドメイン、T細胞またはNK細胞のシグナル伝達および/またはT細胞またはNK細胞の活性化ドメインを含む人工的に構築されたハイブリッドポリペプチドを指す。CARは、T細胞またはNK細胞の特異性および反応性を選択された標的にMHC非拘束性手段で向け直す能力を有しており、モノクローナル抗体の抗原結合特性を利用する。MHC非拘束性抗原認識は、CARを発現するT細胞またはNK細胞に、抗原プロセシングとは無関係に抗原を認識する能力をもたらし、そのため腫瘍エスケープの主メカニズムを回避する。最も一般的には、CARの細胞外結合ドメインは、ネズミまたはヒト化モノクローナル抗体の可変重領域および軽領域を融合することから派生される単鎖可変フラグメント(scFv)で構成される。
【0231】
薬理学
医薬品および薬剤の製剤において、活性剤は、好ましくは、1つ以上の薬学的に許容される担体(複数可)および任意にいずれかの他の治療成分とともに利用される。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合性があり、その受容者に対して過度に有害でないという観点において、薬学的に許容されなければならない。活性剤は、上記のように、所望の薬理学的効果を達成するのに有効な量で、そして所望の曝露を達成するのに適切な量で提供される。
【0232】
典型的には、抗体の抗原結合部分を含む、またはペプチド模倣物を含有する別のポリペプチドを含む本発明の抗体ならびにそのフラグメントおよびコンジュゲートは、治療使用のために無菌の生理食塩水に懸濁される。あるいは、本医薬組成物は、有効成分(抗体の抗原結合部分を含む分子)の放出を制御するために、または患者の系におけるその存在を延長するために製剤化され得る。多数の適切な薬物送達システムが知られており、例えば、埋め込み可能な薬物放出システム、ヒドロゲル、ヒドロキシメチルセルロース、マイクロカプセル、リポソーム、マイクロエマルジョン、マイクロスフェアなどが含まれる。制御放出調製物は、本発明による分子を複合体化または吸着するためにポリマーの使用を通して調製することができる。例えば、生体適合性ポリマーには、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)のマトリックス、およびステアリン酸ダイマーとセバリン酸のポリ無水物コポリマーのマトリックスが含まれる。そのようなマトリックスからの本発明による分子、すなわち抗体または抗体フラグメントの放出速度は、分子の分子量、マトリックス内の分子の量、および分散される粒子のサイズに依存する。
【0233】
本発明の医薬組成物は、経口、局所、鼻腔内、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、関節内、病変内、腫瘍内、または非経口などの任意の適切な手段によって投与され得る。通常、静脈内(iv)投与が抗体を送達するために使用される。
【0234】
本発明による分子の治療有効量が、とりわけ、投与スケジュール、投与される分子の単位用量、分子が他の治療薬と組み合わせて投与されるか、患者の免疫状態および健康、投与される分子の治療的活性、血液循環におけるその持続性、ならびに治療する医師の判断に依存することは、当業者には明らかであろう。
【0235】
本明細書で使用されるとき、「治療有効量」という用語は、哺乳動物における疾患または障害を治療するのに有効である薬剤の量を指す。癌の場合、薬剤の治療有効量は、癌細胞の数を低減し、腫瘍サイズを低減し、末梢器官への癌細胞浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅延させ、好ましくは停止する)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度遅延させ、好ましくは停止する)、腫瘍の成長をある程度阻害し、かつ/または障害と関連する症状の1つ以上をある程度緩和し得る。薬剤が成長を妨げ、かつ/または既存の癌細胞を死滅し得る範囲まで、それは細胞増殖抑制性および/または細胞毒性であり得る。癌治療のため、インビボでの効能は、例えば、生存期間、疾患進行までの時間(TTP)、奏効率(RR)、奏効期間、および/または生活の質を評価することによって判断することができる。
【0236】
本発明による治療にとって修正可能な癌には、限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病またはリンパ系悪性腫瘍が含まれる。そのような癌のより具体的な例には、扁平上皮癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜癌、肝細胞癌、胃(gastric)または胃(stomach)癌(胃腸癌を含む)、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌腫、様々なタイプの頭頸部癌、およびB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中等度/濾胞性NHL、中等度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小非切断細胞NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、およびワルデンストレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫(脳腫瘍と関連するものなど)、およびメグス症候群と関連する異常な血管増殖が含まれる。好ましくは、癌は、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、軟組織肉腫、カポシ肉腫、カルシノイド腫、頭頸部癌、黒色腫、卵巣癌、中皮腫、および多発性骨髄腫からなる群から選択される。本発明の治療にとって修正可能な癌性状態には、転移性癌が含まれる。
【0237】
他の実施形態によれば、本発明による医薬組成物は、ネクチン4の過剰発現を特徴とする癌の治療に使用するためのものである。ネクチン4の過剰発現と関連する癌のタイプは、The Cancer Genome Atlas(TCGA)などの既知のデータベースを使用して特定することができる。特定の実施形態によれば、本発明による組成物によって治療可能である癌は、副腎皮質癌(ACC)、嫌色素細胞性腎癌(KICH)、肝臓肝細胞癌(LIHC)、結腸および直腸腺癌(COAD、READ)、膵管腺癌(PAAD)、褐色細胞腫および傍神経節腫(PCPG)、乳頭状腎癌(KIRP)、肺腺癌(LUAD)、頭頸部扁平細胞癌(HNSC)、前立腺腺癌(PRAD)、子宮体子宮内膜癌(UCEC)、子宮頸癌(CESC)、皮膚黒色腫(SKCM)、中皮腫(MESO)、尿路上皮膀胱癌(BLCA)、明細胞腎臓癌(KIRC)、肺扁平細胞癌(LUSC)、子宮癌肉腫(UCS)、肉腫(SARC)、卵巣漿液性嚢胞腺癌(OV)、乳頭状甲状腺癌(THCA)、多形性神経膠芽細胞腫(GBM)、乳癌(BRCA)、低悪性度神経膠腫(LGG)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBC)からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0238】
有効成分としての本発明の分子は、よく知られているように、薬学的に許容され、有効成分と適合性のある賦形剤に溶解、分散、または混合される。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせである。他の適切な担体は当業者によく知られている。さらに、必要に応じて、本組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などの少量の補助物質を含むことができる。
【0239】
本発明による医薬組成物は、抗新生物組成物とともに投与され得る。
【0240】
本明細書で使用される「治療」という用語は、治療的治療および予防的または防止的手段の両方を指す。治療を必要とするものには、すでに障害を有するもの、ならびに障害が防止されるべきものが含まれる。
【0241】
「癌」および「癌性」という用語は、一般的に、制御されない細胞増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指す、または説明する。癌の例には、限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病が含まれる。そのような癌のより具体的な例には、黒色腫、肺、甲状腺、乳房、結腸、前立腺、肝臓、膀胱、腎臓、子宮頸部、膵臓、白血病、リンパ腫、骨髄性、卵巣、子宮、肉腫、胆管、または子宮内膜の癌が含まれる。
【0242】
いくつかの実施形態によれば、癌を治療する方法は、本医薬組成物を、少なくとも1つの追加の抗癌剤の投与を含む治療投与計画の一部として投与することを含む。
【0243】
いくつかの実施形態によれば、抗癌剤は、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、アスパラギナーゼ、アルキル化剤、抗腫瘍抗生物質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0244】
いくつかの実施形態によれば、代謝拮抗剤は、シタラビン、グルダラビン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、メトトレキサート、チオグアニン、ゲムシタビン、およびヒドロキシ尿素からなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、有糸分裂阻害剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビノレルビンからなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、トポイソメラーゼ阻害剤は、トポテカンおよびイレノテカンからなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、アルキル化剤は、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シスプラチン、カルボプラチン、イフォサミド、メクロレタミン、メルファラン、チオテパ、ダカルバジン、およびプロカルバジンからなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、抗腫瘍抗生物質は、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、およびプリカマイシンからなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、トポイソメラーゼIIは、エトポシドおよびテニポシドからなる群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0245】
いくつかの特定の実施形態によれば、追加の抗癌剤は、ベバシズマブ、カルボプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン塩酸塩、ゲムシタビン塩酸塩、トポテカン塩酸塩、チオテパ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0246】
本発明によるモノクローナル抗体は、少なくとも1つの抗癌剤との併用療法の一部として使用され得る。いくつかの実施形態によれば、追加の抗癌剤は、免疫調節剤、活性化リンパ球細胞、キナーゼ阻害剤、または化学療法剤である。
【0247】
いくつかの実施形態によれば、抗癌剤は、作用剤または拮抗剤に関わらず、免疫チェックポイント分子に対する抗体などの免疫調節剤である。
【0248】
チェックポイント免疫療法による遮断は、癌治療の刺激的な新しい場であることを証明している。免疫チェックポイント経路は、自己寛容を維持し、生理学的条件下で免疫系による損傷から組織を保護するために協調して機能する一連の共刺激および阻害分子からなる。腫瘍は、特定のチェックポイント経路を利用して免疫系を回避する。したがって、そのような経路の阻害は、有望な抗癌治療戦略として浮上している。
【0249】
抗細胞傷害性Tリンパ球4(CTLA-4)抗体イピリムマブ(2011年に承認)は、癌患者の治療に有益性を示した最初の免疫療法剤だった。抗体は、T細胞への抗原提示の際に抑制性シグナルを妨害する。抗プログラム細胞死1(PD-1)抗体ペンブロリズマブ(2014年に承認)は、T細胞によって発現されるPD-1受容体の負の免疫調節シグナル伝達を遮断する。追加の抗PD-1剤が、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療用に2014年に規制当局の承認のために提出された。現在、活発な研究が他の多くの免疫チェックポイント、とりわけ、CEACAM1、NKG2A、B7-H3、B7-H4、VISTA、CD112R、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、CD137、OX40(CD134とも呼ばれる)、およびキラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)を探求している。
【0250】
いくつかの特定の実施形態によれば、免疫調節剤は、CTLA-4を阻害する抗体、抗ヒトプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、PD-L1、およびPD-L2抗体、活性化細胞傷害性リンパ球細胞、リンパ球活性化剤、CEACAMに対する抗体、TIGITに対する抗体、ならびにRAF/MEK経路阻害剤からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの特定の実施形態によれば、追加の免疫調節剤は、PD-1に対するmAb、PD-L1に対するmAb、PD-L2に対するmAb、CEACAM1に対するmAb、CTLA-4に対するmAb、TIGITに対するmAb、PVR、インターロイキン2(IL-2)、またはリンホカイン活性化キラー(LAK)細胞から選択される。
【0251】
他の実施形態によれば、追加の抗癌剤は化学療法剤である。本発明による抗体とともに、または別々に投与することができる化学療法剤は、抗癌活性を示す当技術分野で知られているようないずれかの薬剤を含み得、限定されないが、ミトキサントロン、トポイソメラーゼ阻害剤、紡錘体毒ビンカ類であるビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン(タキソール)、パクリタキセル、ドセタキセル;アルキル化剤系であるメクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド;メトトレキサート、6-メルカプトプリン、5-フルオロウラシル、シタラビン、ゲムシタビン、ポドフィロトキシン系であるエトポシド、イリノテカン、トポテカン、ダカルバジン;抗生物質であるドキソルビシン(アドリアマイシン)、ブレオマイシン、マイトマイシン;ニトロソウレア系であるカルムスチン(BCNU)、ロムスチン、エピルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、無機イオン系であるシスプラチン、カルボプラチン;インターフェロン、アスパラギナーゼ、ホルモン系であるタモキシフェン、リュープロリド、フルタミド、および酢酸メゲストロールが含まれる。
【0252】
いくつかの実施形態によれば、化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体および関連阻害剤、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、L-アスパラギナーゼ、トポイソメラーゼ阻害剤、インターフェロン、白金配位錯体、アントラセンジオン置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、副腎皮質ステロイド、プロゲスチン、エストロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、抗アンドロゲン、およびゴナドトロピン放出ホルモン類似体から選択される。別の実施形態によれば、化学療法剤は、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン(LV)、イレノテカン、オキサリプラチン、カペシタビン、パクリタキセル、およびドキセタキセルからなる群から選択される。1つ以上の化学療法剤を使用することができる。
【0253】
いくつかの実施形態では、本発明による医薬組成物は、癌の治療に使用するため、または免疫応答の増強に使用するためのものである。
【0254】
「免疫応答の増強する」という用語は、免疫系の応答性を増加し、その記憶を誘発または延長することを指す。本発明による医薬組成物は、ワクチン接種時に免疫系を刺激するために使用され得る。したがって、一実施形態では、本医薬組成物は、ワクチン接種を改善するために使用することができる。
【0255】
特定の実施形態において、癌は、肺、甲状腺、乳房、結腸、黒色腫、前立腺、肝臓、膀胱、腎、子宮頸部、膵臓、白血病、リンパ腫、骨髄性、卵巣、子宮、肉腫、胆管、および子宮内膜細胞の癌から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0256】
いくつかの実施形態によれば、本発明による少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントを含む医薬組成物、および追加の免疫調節剤またはキナーゼ阻害剤を含む医薬組成物は、別々の投与によって癌の治療に使用される。
【0257】
さらに別の態様によれば、本発明は、癌を治療する方法をそれを必要とする対象において提供し、当該対象に本発明によるモノクローナル抗体または抗体フラグメントの治療有効量を投与することを含む。
【0258】
追加の態様によれば、本発明は、ネクチン4過剰発現と関連する疾患を治療するための方法を提供する。
【0259】
一態様によれば、本発明は、癌を治療する方法をそれを必要とする対象において提供し、当該対象に本明細書で説明されるCAR分子を含む複数のT細胞の治療有効量を投与することを含む。
【0260】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、対象に投与されたときに意図された治療効果を有する抗体フラグメントのモノクローナル抗体の十分な量を指す。治療の最終結果を達成するために必要とされる有効量は、例えば、腫瘍の特定のタイプおよび患者の状態の重症度、ならびに併用がさらに放射線と同時投与されるかを含む多くの要因に依存し得る。本発明の文脈における活性剤の有効量(用量)は、期間にわたって対象における有益な治療応答に影響を及ぼすのに十分なものであるべきであり、限定されないが、腫瘍増殖の阻害、腫瘍増殖速度の低減、腫瘍および転移の成長の防止、ならびに生存率の向上が含まれる。
【0261】
本明細書で説明される組成物の毒性および治療効能は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって、例えば、対象化合物についてIC50(50%阻害をもたらす濃度)および最大耐量を決定することによって、決定することができる。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータは、ヒトにおける使用のための投与量の範囲を製剤化するために使用することができる。投与量は、とりわけ、他の関連要因の中でも、使用される投与剤形、選択される投与計画、治療のために使用される薬剤の組成、および利用される投与経路に応じて変化し得る。的確な製剤、投与経路、および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る。治療される状態の重症度および応答性に応じて、投与はまた、徐放性組成物の単回投与であり得、治療過程は、数日から数週間、または治癒に影響が及ぶ、または病状の減少が達成されるまで継続する。投与される組成物の量は、もちろん、治療される対象、病苦の重症度、投与の手段、処方する医師の判断、および他のすべての関連する要因に依存するであろう。
【0262】
対象に物質、化合物、または薬剤「を投与する」または「の投与」という用語は、当業者に知られている様々な方法のうちの1つを使用して実行することができる。例えば、化合物または薬剤は、経腸的または非経口的に投与することができる。経腸的は、経口、舌下、または直腸を含む胃腸管を介した投与を指す。非経口投与には、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、眼、舌下、鼻腔内、吸入、脊髄内、脳内、および経皮(例えば、皮膚管を介した吸収による)による投与が含まれる。化合物または薬剤はまた、再充電可能または生体分解性ポリマーデバイスあるいは他のデバイス、例えば、パッチおよびポンプ、あるいは製剤によって適切に導入することができ、化合物または薬剤の持続放出、徐放、または制御放出をもたらす。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1回以上の延長した期間で実施することができる。いくつかの実施形態では、投与は、自己投与を含む直接投与、および薬物を処方する行為を含む間接投与の両方を含む。例えば、本明細書で使用されるとき、患者に薬剤を自己投与する、または薬剤を別の人によって投与させる医師、および/または患者に薬剤の処方箋を提供する医師は、患者に薬剤を投与している。
【0263】
抗体は、一般に、約0.1~約20mg/kg患者の体重、一般に約0.5~約10mg/kg、そしてしばしば約1~約5mg/kgの範囲で投与される。これに関連して、少なくとも12時間、好ましくは少なくとも4日、より好ましくは21日までの循環半減期を有する抗体を使用することが好ましい。キメラ抗体は、14~21日までの循環半減期を有すると予想される。いくつかの例では、大量の負荷用量を投与した後、治療期間にわたって間欠的な(例えば、毎週)維持用量を投与することが有効であり得る。抗体はまた、徐放性送達システム、ポンプ、および連続注入のための他の既知の送達システムによって送達することができる。
【0264】
「約」という用語は、特定の値について許容可能なエラー範囲、たとえば5%または10%までが想定させるべきであることを意味する。
【0265】
診断
本発明はさらに、癌を診断および予後診断するための方法を開示する。
【0266】
一態様によれば、本発明は、対象における癌または感染症の診断的および/または予後診断的方法を提供し、本方法は、当該対象の生物学的試料におけるネクチン4の発現レベルを本明細書で説明される少なくとも1つの抗体を使用して決定するステップを含む。
【0267】
「生物学的試料」という用語は、診断またはモニタリングアッセイで使用され得る生物から得られる様々な試料タイプを包含する。本用語は、生物学的起源の血液および他の液体試料、生検標本などの固体組織試料、あるいは組織培養またはそれらに由来する細胞およびその子孫を包含する。さらに、本用語は、循環性腫瘍または他の細胞を包含し得る。本用語は、具体的には臨床試料を包含し、さらに細胞培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、尿、羊水、眼試料のための眼房水および硝子体水を含む生物学的液体、ならびに組織試料を含む。本用語はまた、試薬による処理、可溶化、または特定成分の豊富化などの達成後に任意の方法で操作されている試料を包含する。
【0268】
ネクチン4の発現レベルの決定は、本明細書で説明される標識された抗ネクチン4抗体によって実施することができる。発現の決定は、例えば、ELISAによって実施することができる。本発明の方法はさらに、当該発現レベルをコントロールレベルと比較するステップを含むことができる。
【0269】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態をさらに詳しく示すために提示される。それらは決して本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例0270】
実験手順
ここで、参考として以下の実施例が実施され、上記の説明とともに、本発明を非限定的な方法で説明する。
【0271】
一般に、本明細書で使用される命名法および本発明で利用される実験手順には、分子的、生化学的、微生物学的、免疫学的、および組換えDNA技術が含まれる。そのような技術は当技術分野でよく知られている。よく知られている手順に言及している他の全般的な参考が、読者の便宜のためにこの文書全体を通して提供される。
【0272】
方法
細胞株
使用した細胞株は、LNCap、JEG3、MCF-7、RAJI、MDA-MD-453、HT1376、およびCHO細胞だった。いくつかの例では、CHO細胞をカニクイザル(Cyno)またはネズミのネクチン-4によって安定的にトランスフェクションした。細胞は、RAJI細胞を除くすべての細胞について、DMEM中で37℃、湿度>95%、および5%COで増殖させ、10%熱不活性化FCS補充したRPMI(Sigma-Aldrichからの培地および血清)中で培養した。
【0273】
フローサイトメトリー
フローサイトメトリーは、抗ネズミネクチン4mAb(クローン356704)を使用して実施した。細胞を、細胞100,000個あたり0.2μgのmAbとともに氷上で30分間インキュベーションした。検出は、AlexaFluor647(Jackson ImmunoResearch)と結合した二次ヤギAbによって氷上で30分間実施した。
【0274】
いくつかの例では、抗ネクチン-4Abを種々の濃度で使用し、標的細胞とともに氷上で30分間インキュベーションした。検出は、AlexaFluor647(Jackson ImmunoResearch)と結合したマウスまたはヒトFcに対する二次抗体によって、氷上で30分間実施した。
【0275】
ヒトTIGIT-Igまたはヒトネクチン1-Igの染色では、細胞を細胞100,000個あたり3μgのTIGIT-Igとともに氷上で1時間インキュベーションした。検出は、二次AlexaFluor647抗ヒト(Jackson ImmunoResearch)によって、氷上で30分間実施した。遮断実験のため、細胞を1μgの示された抗体とプレインキュベーションしてからTIGIT-IgまたはヒトNectin1-Ig染色した。いくつかの例では、細胞を8ug/mlの示されたAbと、ヒトTIGIT-Igまたはヒトネクチン-1-Ig(20ug/ml)とともにインキュベーションした。リガンド結合の検出は、二次AlexaFluor647抗ヒトAb(Jackson ImmunoResearch)によって実施した。
【0276】
分析は、FACS-Calibur(BD Biosciences)またはCytoflex BecmanCoulterフローサイトメーターおよびFCSExpressソフトウェアを使用して実施した。
【0277】
殺アッセイ
標的細胞に対するNK細胞の細胞毒性活性の評価のため、S35放出アッセイを記載されたように(Mandelboim et al.,Exp.Med.184(3):913-22)実施した。NK細胞を健康なドナーからEasySepヒトNK分離キット(19055 STEMCELL TECHNOLOGIES)を使用して単離し、PHAおよびIL-2添加で増殖させた。標的細胞を放射性メチオニン[S35]添加したメチオニンフリー培地中で一昼夜インキュベーションした。次に、細胞を洗浄し、ウェルあたり細胞5000個について1μgの抗体とともに氷上でインキュベーションした。次に、細胞をNK細胞とともに5時間インキュベーションした。S35の放出は、βカウンターTopCount(Packard)で測定した。結果は、(CPM(試料)-CPM(自発的放出))/(CPM(総放出)-CPM(自発的放出))×100で表し、CPMは1分あたりのカウントを示す。
【0278】
ADCCアッセイ
NK細胞を健康なドナーからEasySepヒトNK分離キット(19055 STEMCELL TECHNOLOGIES)を使用して単離し、PHAおよびIL-2添加で増殖させた。標的細胞を96Uプレートにウェルあたり細胞2.5×10個で加え、E:T比が2:1で活性化NK細胞と共培養した。インキュベーションは、12ug/mlキメラクローンhNec4.05hIgG1およびhNec4.11hIgG1またはコントロールhIgG1の存在下で実施した。2時間後、NK細胞をそれらのCD107a(Biolegend カタログ番号328619)脱顆粒マーカー発現についてFACSによって分析した。
【0279】
CAR-Tの生成および機能性アッセイ
hNec4.11Abの単鎖は、CD8ストーク領域にインフレームでクローニングし、CD28TMドメイン、41BB細胞内ドメイン、およびCD3Zeta鎖の細胞内ドメインが続いた。CAR-T構築体の概略図を図11Aに示す。構築体を、プロモーターレンチウイルスベクター(pHAGE2)を含むhEf1aに導入し、続いてIRESGFPカセットを導入して形質導入の有効性をモニタリングした。ジャーカット細胞は、構築体をコードするレンチ粒子によって形質導入した。形質導入有効性は99%を超えていた(図11B)。
【0280】
親ジャーカット細胞またはCAR-T構築体を発現するジャーカット細胞(ジャーカットpHAGE2.4.11)(ウェルあたり5×10個)を、標的細胞HT1376およびMDA-MD-453とE:T比が1:1で48時間インキュベーションした。上清を遠心分離後に収集し、IL-2レベルをPeprotechのIL-2 ELISAキット(カタログ番号900-T12)を製造元のプロトコルに従って使用して測定した。
【0281】
健康なドナーに由来するPBMCは、ImmunoCult(商標)ヒトCD3/CD28 T細胞アクチベーターを製造元のプロトコルに従って使用して、72時間前活性化した。細胞はpHAGE2.4.11レンチを使用してKochenderfer JNら(J Immunotther.2009 doi:10.1097/CJI.0b013e3181ac6138)に従って形質導入し、発現はGFPレベルによって検証した。CART PBMCは、HT1376細胞(2.5×10個/ウェル)とともに、様々なE:Tの範囲によってインキュベーションした。48時間後、エフェクター細胞を除去し、標的細胞を3回洗浄し、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイを製造元のプロトコルに従って使用して生存率を測定した。
【0282】
インビボマウス腫瘍モデル
すべての実験は、6~8週齢のSCIDベージュ雌マウスを使用して実施した。すべてのマウスは、ヘブライ大学医学部(エルサレムのアインケレム)の特定病原体フリー施設において、SPF条件下、通常の明暗サイクル、および22+/-2°Cで、倫理委員会のガイドラインに従って飼育された。マウスの群はすべて7匹の雌を含んだ(n=7)。異種移植片は、示された細胞の皮下注入を左脇腹領域に投与することによって作成した。抗ネクチン4クローン.05抗体およびコントロール抗体(抗マウスCD3、InVivoMAbクローン17A2)の注入を週に2回腹腔内投与した。マウスは毎日モニタリングした。アッセイ終了の日に(図の凡例を参照)、すべてのマウスを屠殺して、個々の腫瘍重量を記録した。ベースラインにおけるそれらの一般的な健康状態には、種々のマウス群間で差は認められなかった。
【0283】
実施例1.抗ネクチン-4mAbの生成と選択
免疫原(Nec4-Fc)発現技術は、哺乳類HEK293T細胞に基づいており、最高の品質、安定性、溶解性、および収量をもたらす糖タンパク質の場合に特に選択される方法である。ネクチン-4の外部ドメインおよびヒトIgG1Fcドメインの融合タンパク質であるNec4-Fcタンパク質を、以下のように組換えによって作成して精製した。
【0284】
ヒトネクチン4のコード配列を、ヒトIgG1のFcフラグメントとの融合としてクローニングして、組換えFc-融合タンパク質を生成した。ヒトネクチン4分子の残基32位から349位に及ぶ外部ドメイン(細胞外)部分を使用した。ネクチン4アミノ酸配列の349位のC末端セリン残基を、ヒトIgG1の脱グリコシル化Fc(N297A)の重鎖ヒンジに融合させ、CH2およびCH3定常領域が続いた。組換えタンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)は、哺乳類細胞における高レベル発現のためにコドン最適化した。最適化されたDNA配列は、GeneArt合成サービス(Invitrogen)によって、DNAフラグメントの5’および3’末端にそれぞれEcoRIおよびNotI制限部位に対応する隣接DNA配列を追加して作成された。発現ベクターは、最適化されたDNAフラグメントをEcoRIおよびNotIで二重消化した後、pIRESpuro3(Clontech Laboratories、Inc.)とのその連結によって構築した。得られた構築体を、FuGENE6トランスフェクション試薬(Roche Diagnostics)を使用してHEK-293T細胞にトランスフェクションした。48時間後、トランスフェクションした細胞を5g/mLピューロマイシン(Sigma-Aldrich)によって抗生物質選択を実施した。安定したプールをタンパク質分泌についてSDS/PAGEによって分析した。上清を収集し、High-Pressure Perfusion Chromatography Station、BioCAD(PerSeptive Biosystems)でPoros20プロテインGカラムによって精製した。得られた融合タンパク質免疫原はネクチン4-Fcと表示される。
【0285】
免疫化のために、BALB/cマウスに完全フロイントアジュバント(CFA)中の免疫原50μgを注入し、その後、最初の免疫の14日後に、不完全フロイントアジュバント(IFA)中の免疫原50μgを注入した。次に、血清を抗Nec-4-Fc抗体力価についてELISAによって分析した。最も高い力価を有するマウスを、PBS中の50μgの免疫原で追加免疫した。3日後、免疫マウスの脾臓を採取し、赤血球の溶解後、脾臓細胞をSP2/0細胞株と融合させた。可能性のあるハイブリドーマ細胞を、安定したハイブリドーマ細胞株の選択のために、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT)を含む20%RPMI1640培地に播種した。上記の手順を2回繰り返し、ELISAによって、全部で1034ウェルを抗Nec4-Fc抗体分泌についてスクリーニングした。次に、それらの上清がELISAプレート上にコーティングされたNec4-Fcとの結合について陽性である30ウェルを、それらの陽性度について再試験し、並行して、交差反応性試験を無関連のFc融合タンパク質について実施した。これにより、ネクチン-4外部ドメインを特異的に認識する抗体を分泌した10種のハイブリドーマ細胞株が得られた。ELISAで特異的シグナルを示したこれらすべての候補を、トランスフェクタント細胞株でネイティブのヒトネクチン-4タンパク質を認識するそれらの能力について試験した。
【0286】
RAJIバーキットリンパ腫細胞をヒトネクチン4によってトランスフェクションし、FACSによって分析して、示された5つのハイブリドーマクローンの結合を決定した。細胞を異なるクローンとインキュベーションし、次にヒトTIGIT-Igとインキュベーションして二次抗体で染色した。FACS染色の平均蛍光強度(MFI)値を図2に示す。示されるように、クローンhNec4.01(クローン1)およびhNec4.05(クローン5)によって産生されたモノクローナル抗体は、TIGIT-Nectin4相互作用の最も優れた遮断能力を示した。
【0287】
ネクチン4を自然に発現するJEG3およびLNCap細胞株を使用した同様のアッセイも実施して、同様の結果が得られている。
【0288】
5つの抗体が陽性の染色を示した。これらの5つのうち、4つはそれらのIgGアイソタイプ(IgMアイソタイプではない)についてさらに選択した。最後に、残りの4つの候補はすべて、生きた細胞の表面に発現されるネイティブのヒトネクチン-4分子に対して強い結合能力を示し、いくつかの無関係な融合タンパク質で繰り返し試験して、ネクチン-4と免疫細胞受容体の他のリガンドとの間の交差反応性がゼロのものについて選択した。しかし、そのうちの2つだけがネクチン-4に対する遮断抗体であることが示された。したがって、2つの安定したクローン細胞株hNec4.01およびhNec4.05が生成されており、ともにアイソタイプカッパIgG1のものである。次に、大規模なAb産生を実施し、両モノクローナル抗体を、GE AKTA PrimePlus液体クロマトグラフィーシステムおよびHiTrapプロテインGカラムを使用して、無血清培地から数ミリグラムの量で精製した。
【0289】
上記と同様に、追加のクローンを特定し、そのうちクローン11(hNec4.11)が最も優れた結合および遮断能力を有していたため、以下に説明するようにhNec4.05と並行してスクリーニングした。
【0290】
上記の試みに基づいて、標的タンパク質であるネクチン-4に非常に類似した免疫原の場合でさえ(それが二量体であり、哺乳類細胞機構によってグリコシル化され、非変性条件下で生成されるという点で)、遮断する抗ネクチン4抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株を得る機会は2%(パーミル)未満である。
【0291】
実施例2.抗ネクチン-4mAbのヒトネクチン4との親和性
抗体hNec4.01およびhNec4.05のフルオロフォア標識ヒトネクチン4-Ig分子との親和性を、マイクロスケール熱泳動アッセイ(Wienken et al.2010、Nat.Commun.1:100)を使用してさらに決定した。測定は、少なくとも3つの独立したタンパク質調製物で繰り返した。図3に示すように、非常に高い結合親和性が両抗体で認められた。クローンhNec4.05では、計算されたKdは272±154pMであり、hNec4.01クローンでは、計算されたKdは107±115pMだった。
【0292】
実施例3.抗ネクチン-4mAbの配列決定
ネクチン4-TIGIT結合の最も優れた阻害を示した2つのハイブリドーマクローンであるNo.0.1およびNo.0.5を、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列決定に進めた。
【0293】
方法
全RNAは、ハイブリドーマ細胞からTRIzol(登録商標)試薬(Ambion、カタログ番号:15596-026)の技術マニュアルに従って単離した。次に、全RNAを、アイソタイプ特異的アンチセンスプライマーまたはユニバーサルプライマーを使用し、PrimeScript(商標)1st Strand cDNA合成キット(Takara、カタログ番号:6110A)の技術マニュアルに従って、cDNAに逆転写した。VおよびVの抗体フラグメントをGenScriptのcDNA末端の迅速増幅(RACE)の標準操作手順(SOP)に従って増幅させた。増幅した抗体フラグメントを、標準的なクローニングベクターに別々にクローニングした。コロニーPCRを実施して、正しいサイズのインサートを有するクローンについてスクリーニングを実施した。正しいサイズのインサートを有する5つ以上のコロニーを各フラグメントについてシークエンシングした。異なるクローンの配列を整列させて、これらのクローンのコンセンサス配列が得られた。
【0294】
免疫グロブリン可変領域の配列分析のために以下のツールを使用した。
i.NCBIヌクレオチドBLAST、
ii.IMGT/V Questプログラム、および
iii.NCBIIgBLAST。
【0295】
得られた配列は次のとおりである。
クローンhNec4.01:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
クローンhNec4.05
【化7】
【化8】
【化9】

【化10】
【化11】
【化12】
クローンhNec4.11
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【0296】
実施例4.抗ネクチン4mAbによるネクチン4-TIGIT相互作用の遮断は、NK細胞によるヒト細胞株の致死を増強した
抗体クローンhNec4.05およびhNec4.01を、ネクチン4とTIGITとの結合の遮断、NK細胞毒性の阻害について試験した。ネクチン4によってトランスフェクションした[35S]メチオニン標識RAJIバーキットリンパ腫細胞、およびLNCaP前立腺癌細胞(本来的にネクチン4を発現する)を、コントロール抗体としてマウスIgG1またはマウス抗ヒトネクチン4mAbであるhNec4.01もしくはhNec4.05のいずれかの1μg/ウェルとともにインキュベーションした。1時間後、細胞にNK細胞を補充し、5時間インキュベーションした。NK:癌細胞の種々のエフェクター:標的(E:T)比における平均特異的死滅(±s.d.)を、図4A(RAJI細胞)および図4B(LNCap細胞)にプロットする。*は、コントロール抗体と比較したhNec4.01およびhNec4.05クローンの有意な効果(p<0.05)を示す。各図は、実施された3回のうち1回の代表的な実験を示す。同じ効果がMCF-7-乳癌細胞株を使用したときに決定された。
【0297】
実施例5.抗ネクチン4抗体の結合の特異性を検証する
FACS染色を使用して試験し、図5A~5Cに示されるように、mAb hNec4.01およびhNec4.05はヒトネクチン4に特異的であり、ネズミタンパク質と結合しない。RAJI細胞をネズミネクチン4でトランスフェクションした(黒色線ヒストグラム)。最初に、ネズミネクチン4溶解物でトランスフェクションしたRAJI細胞を、市販の抗ネズミネクチン4mAb(クローン356704)を用いたウエスタンブロットアッセイに使用して、ネズミネクチン4発現を検証した(A)。次に、細胞を0.2μgの(B)クローンhNec4.01または(C)クローンhNec4.05で染色した。hNec4.01およびhNec4.05mAbはともにマウスNectin4との結合を示さない。
【0298】
実施例6.抗ネクチン4抗体はネクチン4-ネクチン1相互作用を遮断することができる
抗ネクチン4がネクチン4-ネクチン1相互作用を遮断する能力も決定された。ネクチン4でトランスフェクションされたRAJI細胞のFACS染色を図6A~6Cに示す。細胞を1μgの(図6A)クローンhNec4.01または(図6B)クローンhNec4.05とプレインキュベーションし、次に3μgのネクチン1-Ig(黒色線)とインキュベーションした。遮断なしの染色は灰色線で示す。灰色で塗りつぶされたヒストグラムは、二次抗体のみのバックグラウンドコントロール染色である。mAbは、ネクチン4を発現する腫瘍の浸潤性を増加させることが疑われるネクチン4-ネクチン1の相互作用を遮断することができると結論付けられる。
【0299】
実施例7.インビボモデル
抗ネクチン4mAbの有効性は、動物モデルにおいてインビボで決定された。本来的に(MDA-MB-453)または組換えによって(Rajiネクチン4OE)ネクチン4を発現する細胞株をマウスに皮下注入した(マウスあたり細胞5×10個)。NK細胞、B細胞、およびT細胞を欠如するSCIDベージュマウスを使用した。これらのモデルで腫瘍細胞増殖に対するNK細胞の寄与を試験するため、ヒトNK細胞を1×10個で処置群のいくつかに腫瘍細胞とともに注入した。
【0300】
抗ネクチン4mAbクローンhNec4.05、またはコントロールAb(抗マウスCD3、InVivoMAbクローン17A2)を、腫瘍増殖におけるインビボでのそれらの効果について、直接的に、またはNK細胞とともに試験した。mAbは、マウスあたり75μgで週に2回、腹腔内注入した。腫瘍重量を試験終了時に測定した。図7(A)に示されるように、Raji細胞におけるネクチン-4の過剰発現(OE)は、空のベクター(EV)でトランスフェクションされたそれらの親細胞の増殖と比較して、それらの増殖に影響を及ぼさなかった。それにもかかわらず、ヒトNK細胞の存在下では、ネクチン4のOEは腫瘍増殖を増加させ、NK細胞のNK媒介腫瘍抑制活性に対するネクチン4の負の効果を示唆した。図7Bに示されるように、抗ネクチン4Abの添加は、NK細胞抑制を遮断し、コントロールAb処置動物と比較して腫瘍増殖の低下をもたらした。最後に、図7Cに示されるように、これらの効果は、ネクチン4を本来的に発現する細胞株(MDA-MB-453)を使用したしたときにも認められた。NK細胞の非存在下ではAbは効果がなかったが、Abは、腫瘍細胞と同時注入されたヒトNK細胞の抗腫瘍効果を有意に増強した。まとめると、これらの実験は、hNec4.05mAbなどの抗ネクチン4抗体が、インビボでNK細胞毒性を増強し、腫瘍増殖阻害をもたらすことができることを示す。
【0301】
実施例8.細胞で発現されたヒト、サル、ネズミのネクチン-4との抗ネクチン-4クローンの結合
ヒト細胞株MDA-MD-453で発現されたネクチン-4とのネズミ抗ヒトネクチン-4クローンhNec4.05およびhNec4.11の結合をFACS分析によって評価した。図8Aは、各クローについてAb結合の力価測定(20~0.01nMの範囲)後に計算されたEC50値、および最大結合シグナルを示す。ネズミIgG1Fc鎖がヒトIgG1Fc鎖に置き換えられたネズミAbのキメラ型を試験したとき、同様な値に達した。図8Bは、カニクイザル(Cyno)-ネクチン-4でトランスフェクションされたCHO細胞との抗体結合を示し、図8Cは、マウス-ネクチン-4でトランスフェクションされたCHO細胞との抗体結合を示す。これらのデータは、ヒト標的に対するEC50値をナノモル以下の範囲で示し、これは、クローンhNec4.01およびhNec4.05について図3に示されているKd値のスケールである。さらに、これらの結果は、サル(カニクイザル)ネクチン-4標的に対するこれら2つのクローンの交差反応性を示し、これらはヒト標的について計算されたものと同様のEC50値でそれと結合する。これは、Abの前臨床試験にとって重要であり得る。最後に、クローンhNec4.11はマウスのネクチン-4標的とも交差反応することが示されたが、クローンhNec4.05では示されなかった。しかし、この場合、計算されたEC50は、ヒト標的について計算されたものより約10倍高かった。
【0302】
実施例9.抗ネクチン-4クローンによるネクチン-4リガンドの遮断
抗体クローンhNec4.05およびhNec4.11は、ネクチン-4とそのリガンドであるTIGITおよびNectin-1との結合を遮断する。ネクチン-4リガンドの結合をFACS分析によって評価した。ヒト-ネクチン-4でトランスフェクションされたCHO細胞を、ヒトTIGIT-Ig(図9AおよびC)またはヒトネクチン-1-Ig(図9BおよびD)のともに20ug/mlのいずれかと、抗-ネクチン-4クローンhNec4.05(9Aおよび9B)またはクローンhNec4.11(9Cおよび9D)のともに8ug/mlの添加または無添加でインキュベーションした。抗ネクチン-4抗Abによる強力な結合阻害がすべての場合に示される。残りのシグナルは、抗ネクチン-4抗体の影響を受けないPVRなどのCHO細胞によって発現される他の受容体とのリガンド結合に起因する可能性がある。これらの結果は、ネクチン-4クローンhNec4.05およびhNec4.11が、細胞表面のネクチン-4を介したシグナル伝達を遮断することによって、標的の癌細胞に影響を及ぼし得ることを示唆する。さらに、これらのAbは、抑制性リガンドTIGITなどのネクチン-4リガンドを発現するエフェクター細胞にも影響を及ぼし得る。
【0303】
実施例10.ヒトIgG1キメラAbクローンhNec4.05およびhNec4.1は、腫瘍細胞の存在下でNK細胞の活性化を増強する
図11では、NK細胞における脱顆粒マーカーCD107aの相対的な発現レベルが示される。ヒトNK細胞(エフェクター、E)を、標的細胞(T)であるHT1376(図10A)およびMDA-MD-453(図10B)とE:T比が2:1でインキュベーションした。インキュベーションは、12ug/mlのキメラクローンhNec4.05hIgG1、hNec4.11hIgG1、またはコントロールhIgG1の存在下で実施した。2時間後、NK細胞をそれらの脱顆粒化および活性化状態についてCD107a発現のFACS分析によってアッセイした。コントロールhIgG1の存在下でのNK細胞の脱顆粒化を1として設定し、それに応じて誘導倍率を計算した。示されているのは、2~3回の繰り返しの平均およびそれらの正規化したSDである。これらの結果は、抗腫瘍NK細胞活性を増強することによるこれらの抗体の抗癌効果を示唆している。ADCC誘導においてクローンhNec4.05hIgG1を超えるクローンhNec4.11-hIgG1のわずかな利点が示され、これは図8Aに示されるように、クローンhNec4.11のより高い最大結合と一致している。
【0304】
実施例11.hNec4.11によって駆り立てられるCAR-Tは、ネクチン-4を発現する腫瘍細胞の存在下で特定のT細胞の活性化をもたらす。
CAR-T構築体の概略図を図11Aに示す。GFP発現によって判断される形質導入有効性は99%を超えた(図11B)。親ジャーカット細胞またはhNec4.11ベースの単鎖可変領域(scFV)を含むCAR-T構築体を発現するジャーカット細胞(ジャーカットpHAGE2.4.11)を、標的細胞HT1376およびMDA-MD-453(MDA-453)とともにインキュベーションした(図11C)。ジャーカット細胞によるIL-2の分泌は、CAR-Tの発現によって有意に誘発された。次に、PBMCにpHAGE2.4.11レンチ粒子を使用して形質導入した(図11D)。CAR-T PBMCを、E:Tの範囲にわたってHT1376細胞とともにインキュベーションした。48時間後、エフェクター細胞を除去し、標的細胞の生存率をCellTiter-Glo(登録商標)発光生物生存率アッセイを使用して評価した。標的細胞の死滅は有意だった。まとめると、これらの結果は、本明細書で説明されるネクチン4抗体に基づくCAR-T療法をさらに発展させる可能性を示している。
CAR構築体のscFv配列
クローン11-核酸(配列番号31)
ATGGGATGGAGCTGTATCATCCTCTTCTTGGTAGCAACAGCTACAGGTGTGCATTCACAGGTCCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAACTGGTGAAGCCTGAGACTTCAGTGAAGATTTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACAAGTTACTATATACACTGGGTGAAACAGAGGCCTGGACAGGGACTTGAGTGGATTGGCTGGATTTATCCTGGAAATGTTAATACTAAGTATAATGAGAGGTTTAAGGGCAAGGCCACTCTGACTGCAGACAAATCCTCCAACACAGCCCACATGCAGCTCACCAGCCTGACCTCTGAGGACTCTGCGGTCTATTTCTGTGCAAGATCGAACCCCTATGTTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGTGGCTCCGGAGGAGGTGGTTCTGGAGGAGGTGGTTCTGATATCGTGATGACCCAGACTCCCAAATTCCTGCTTGTATCAGCAGGAGACAGAGTCACCATAACCTGCAAGGCCAGTCAGAGTGTGAATAATGATGTGGCTTGGTATCAACAGAAGCCAGGGCTGTCTCCTGAACTGCTT ATGTATTATGCATCCAATCGCTTCACTGGAGTCCCTGATCGCTTCACTGGCAGTGGATATGGGACGGATTTCACTTTCACCATCAGCTCTGTGCAGGCTGAAGACCTGGCAATTTATTTCTGTCAGCAGGCTTATAGGTCTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATTCAA
クローン11-アミノ酸(配列番号32)
MGWSCIILFLVATATGVHSQVQLQQSGPELVKPETSVKISCKASGYTFTSYYIHWVKQRPGQGLEWIGWIYPGNVNTKYNERFKGKATLTADKSSNTAHMQLTSLTSEDSAVYFCARSNPYVMDYWGQGTSVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQTPKFLLVSAGDRVTITCKASQSVNNDVAWYQQKPGLSPELLMYYASNRFTGVPDRFTGSGYGTDFTFTISSVQAEDLAIYFCQQAYRSPYTFGGGTKLEIQ
クローン5-核酸(配列番号33)
ATGGGATGGAGCTGTATCATCCTCTTCTTGGTAGCAACAGCTACAGGTGTGCATTCACAGGTCCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAGGATATCCTGCAAGGCCTCTGGCTACACCTTCACAACCTACTATATACACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGGATTTATCCTGGAAATGTTAATACTAAGAACAATGAGAAGTTCAAGGTCAAGGCCACACTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGACCTCTGAGGACTCTGCGGTCTATTTCTGTGCAAGATCGAACCCCTATGTTATGGACTACTGGGGTCAGGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGTGGCTCCGGAGGAGGTGGT TCTGGAGGAGGTGGTTCTAGTATTGTGATGACCCAGACTCCCAAATTCCTGCTTGTATCAGCAGGAGACAGGGTTACCATAACCTGCAAGGCCAGTCAGAGTGTGAGTAATGATGTAGCTTGGTACCAACAGAAGCCAGGGCAGTCTCCTAAACTGCTGATATACTATGCATCCAATCGCTACACTGGAGTCCCTGATCGCTTCACTGGCAGTGGATATGGGACGGATTTCACTTTCACCATCAGCGCTGTGCAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTTCTGTCAGCAGGATTATAGCTCTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
クローン5-アミノ酸(配列番号34)
MGWSCIILFLVATATGVHSQVQLQQSGPELVKPGASVRISCKASGYTFTTYYIHWVKQRPGQGLEWIGWIYPGNVNTKNNEKFKVKATLTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYFCARSNPYVMDYWGQGTSVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSSIVMTQTPKFLLVSAGDRVTITCKASQSVSNDVAWYQQKPGQSPKLLIYYASNRYTGVPDRFTGSGYGTDFTFTISAVQAEDLAVYFCQQDYSSPYTFGGGTKLEIK
【0305】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにするので、他の人は、現在の知識を適用することにより、過度の実験なしに、および一般的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態の様々な用途に容易に修正および/または適合でき、したがって、そのような適合および変更は、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内で理解されるべきであり、そのように意図されている。本明細書で使用される表現または用語は、説明を目的としたものであり、限定を目的としたものではないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
【配列表】
2024088696000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネクチン4と結合する単離されたモノクローナル抗体、または少なくとも抗原結合部分を含むその抗体フラグメントであって、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)とのネクチン4の結合を阻害することができる、単離されたモノクローナル抗体またはその抗体フラグメント。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2024088696000001.xml