(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088697
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】金属粉末の噴霧化製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 9/08 20060101AFI20240625BHJP
B01J 2/02 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B22F9/08 A
B01J2/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059328
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2023000566の分割
【原出願日】2016-10-27
(31)【優先権主張番号】62/247,794
(32)【優先日】2015-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518017358
【氏名又は名称】エーピーアンドシー アドバンスド パウダーズ アンド コーティングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ラロウチェ,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】マリオン,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】バルマイヤー,マシュー
(57)【要約】
【課題】反応性金属粉末の噴霧化製造方法が提供される。
【解決手段】例えば、そのような方法は、加熱された金属源を供給する工程を含み、噴霧化方法の実施中に、加熱された金属源を少なくとも1つの添加ガスと接触させる。そのような方法は、向上した流動性を有する反応性金属粉末原料をもたらす。少なくとも1つの添加ガスは、噴霧ガスと混合され、噴霧混合物を得ることができ、加熱された金属源は、噴霧化方法の実施中に、噴霧混合物と接触させられ得る。反応性金属粉末の球状化製造方法も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性金属粉末の噴霧化製造の方法であって、
加熱反応性金属源を噴霧化して反応性金属粉末原料を製造する工程であって、前記加熱反応性金属源を噴霧ガスおよび添加ガスを含む噴霧化混合物と接触させる工程と、
前記添加ガスで、当該添加ガスからの成分を含む空乏層を形成し、当該空乏層は、前記成分の最大濃度を有する第1の深さと、前記最大濃度の50パーセントに等しい成分の空乏化濃度を有する第2の深さを定義し、前記第2の深さは、前記反応性金属粉末原料がASTM B213に従って測定した流動性の測定値が40秒未満となるようにされる、方法。
【請求項2】
前記第2の深さは、少なくとも40nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の深さは、前記反応性金属粉末原料の10~53マイクロメートルの粒度分布が、ASTM B213に従って測定される40秒未満の流動性の測定値を有するものとなる深さとされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
反応性金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱反応性金属源を噴霧化して反応性金属粉末原料を製造する工程であって、前記加熱反応性金属源を噴霧ガスと接触させることを含む、工程と
添加成分を含む空乏層を形成する工程と、
を含み、
当該空乏層は、当該添加成分の最大濃度を有する第1の深さと、前記最大濃度の50パーセントに等しい当該添加成分の空乏化濃度を有する第2の深さを定義し、前記第2の深さは、前記反応性金属粉末原料がASTM B213に従って測定した40秒未満の流動性の測定値を有するものとなる深さとされる、方法。
【請求項5】
反応性金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱反応性金属源を噴霧化して反応性金属粉末原料を製造する工程であって、前記加熱反応性金属源を噴霧ガスと添加ガスとを含む噴霧化混合物と接触させる工程と、
前記添加ガスで、当該添加ガスからの成分を含む空乏層を形成する工程と、
を含み、
当該空乏層は、前記反応性金属粉末原料の、ASTM B213に従って測定される流動性の測定値が40秒未満となる深さまで、少なくとも50%の添加ガス原子の正規化濃度値で存続する、方法。
【請求項6】
前記深さが少なくとも40nmである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
反応性金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱反応性金属源を噴霧化して反応性金属粉末原料を製造する工程であって、前記加熱反応性金属源を噴霧ガスおよび添加ガスと接触させることを含み、前記噴霧ガスはプラズマ源から供給される工程と、
前記加熱反応性金属源の噴霧化の間に、前記加熱反応性金属源に接触する添加ガスの量を制御する工程と、
前記添加ガスからの成分を含む空乏層を形成する工程と、
を含み、
前記加熱反応性金属源の噴霧化の間に、前記加熱反応性金属源に接触する前記添加ガスの量を制御する工程が、前記加熱反応性金属源の噴霧化の間に前記加熱反応性金属源に接触する前記添加ガスの量を制御して前記空乏層の深さを制御することを含む、方法。
【請求項8】
噴霧化システムであって、
加熱反応性金属源を供給するための加熱装置を含む材料ホルダーと、
前記加熱反応性金属源を噴霧化して反応性金属粉末原料を形成するために、噴霧化混合物を材料ホルダーから前記加熱反応性金属源に向けるように方向付けられたノズルを含むプラズマ源であって、前記噴霧化混合物が噴霧ガスと添加ガスとを含む、前記プラズマ源と、
を含み、
前記噴霧化システムは、前記反応性金属粉末原料の中の空乏層の形成を制御するために前記噴霧化混合物の中の噴霧ガスを制御するように構成されており、前記空乏層は前記添加ガスの成分を含む、噴霧化システム。
【請求項9】
前記噴霧化混合物の中の前記添加ガスの量を制御して、前記反応性金属粉末原料の中の前記空乏層の深さを制御するように構成されている請求項8に記載の噴霧化システム。
【請求項10】
噴霧化システムであって、
加熱反応性金属源を供給するための加熱装置を含む材料ホルダーと、
前記加熱反応性金属源を噴霧化して反応性金属粉末原料を形成するために、噴霧化混合物を材料ホルダーから前記加熱反応性金属源に向けるように方向付けられたノズルを含むプラズマ源であって、前記噴霧化混合物は噴霧ガスと添加ガスとを含む、前記プラズマ源と、
を含み、
前記噴霧化システムは、前記反応性金属粉末原料の中の空乏層の形成を制御し、前記反応性金属粉末原料の流動性を制御するために、前記噴霧化混合物の中の噴霧ガスを制御するように構成されており、該空乏層は該添加ガスの成分を含む、
噴霧化システム。
【請求項11】
反応性金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱反応性金属源を噴霧化ゾーンに供給する工程と、
前記加熱反応性金属源を前記噴霧化ゾーン内で噴霧ガス及び添加ガスと接触させて、前記加熱反応性金属源を噴霧化し、反応性金属粉末原料を生成する工程であって、前記加熱反応性金属源を前記噴霧化ゾーン内で前記噴霧ガス及び前記添加ガスと接触させることが、前記添加ガスの成分を含む前記反応性金属粉末原料に空乏層を形成することを含み、噴霧ガスがプラズマ源から提供される、工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年10月29日に出願された米国特許出願第62/247,794号に基づく優先権を主張し、その全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、反応性金属粉末といった球状粉末の生産分野に関する。より詳細には、本開示は、向上した流動性を有する反応性金属粉末を調製するための方法、および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、高品質反応性金属粉末に望まれる特徴は、高い球形度、密度、純度、流動性、および少ないガス閉じ込め空隙量の組合せである。微粉末は、3D印刷、粉末射出成形、熱間等方圧加圧成形およびコーティングといった用途に有用である。このような微粉末は、航空宇宙、生物医学および工業の応用分野で使用される。
【0004】
流動性が乏しい粉末は、密度がより低く、かつ表面積がより広い凝集体を形成する傾向を有する可能性がある。これらの凝集体は、微細な反応性金属粉末を必要とする用途に使用される場合、悪影響を及ぼし得る。さらに、流動性が乏しい反応性粉末は、パイプ詰りの原因となり得、かつ/または噴霧装置の噴霧室の壁もしくは搬送管の壁に付着し得る。さらに、凝集体状の粉末は、粉末を異なるサイズ分布に分離する場合、ふるい分けることがより難しい。より広い表面積は、より高い反応性につながるため、凝集体状の粉末を操作することによって、安全上の危険性も高まる。
【0005】
一方、向上した流動性を有する金属粉末は、種々の理由で望ましい。例えば、向上した
流動性を有する金属粉末は、付加製造およびコーティングとして、粉末冶金プロセスにおいてより容易に使用することができる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、静電気に対する感受性に関連して、反応性金属粉末の乏しい流動性に少なくとも部分的に対処するデバイス、システムまたは方法を提供することが非常に望ましい。流動性の高い粉末は、通常、より高い見かけ密度につながり、均一な粉末層を生じさせるためにより容易に散布することができる。
【0007】
一態様によると、反応性金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱された金属源を供給する工程、および
前記噴霧化方法の実施中に、前記加熱された金属源を少なくとも1つの添加ガスと接触させる工程
を含む、反応性金属粉末の噴霧化製造方法が提供される。
【0008】
他の態様によると、反応性金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱された金属源を供給する工程、および
前記噴霧化方法の実施中に、前記加熱された金属源を少なくとも1つの添加ガスと接触させ、それによって、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約10~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約10~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約15~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約15~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約25~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約25~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約75μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約106μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約150μmの粒度分布、および/または
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約180μmの粒度分布
で構成される反応性金属粉末原料を得る工程
を含む、反応性金属粉末の噴霧化製造方法が提供される。
【0009】
他の態様によると、反応性金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱された金属源を供給する工程、
噴霧ガスと少なくとも1つの添加ガスを混合し、噴霧混合物を得る工程、
前記噴霧化方法の実施中に、前記加熱された金属源を前記噴霧混合物と接触させる工程
を含む、反応性金属粉末の噴霧化製造方法が提供される。
【0010】
他の態様によると、反応性金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱された金属源を供給する工程、
噴霧ガスと少なくとも1つの添加ガスを混合し、噴霧混合物を得る工程、
前記噴霧化方法の実施中に、前記加熱された金属源を前記噴霧混合物と接触させ、それによって、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約10~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約10~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約15~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約15~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約25~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約25~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約75μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約106μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約150μmの粒度分布、および/または
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約180μmの粒度分布
で構成される反応性金属粉末原料を得る工程を含む、反応性金属粉末の噴霧化製造方法が提供される。
【0011】
他の態様によると、金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱された金属源を供給する工程、および
前記噴霧化方法の実施中に、前記加熱された金属源を少なくとも1つの添加ガスと、添加ガス由来の電気陰性原子および/または電気陰性分子をそれぞれ1000ppm未満の添加含有率で有する反応性金属粉末を生じるのに十分な条件下で接触させる工程を含む、金属粉末の噴霧化製造方法が提供される。
【0012】
他の態様によると、金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱された金属源を供給する工程、
噴霧ガスと少なくとも1つの添加ガスを混合し、噴霧混合物を得る工程、および
前記噴霧化方法の実施中に、前記加熱された金属源を前記噴霧混合物と、添加ガス由来の電気陰性原子および/または電気陰性分子を1000ppm未満の添加含有率で有する反応性金属粉末原料を生じるのに十分な条件下で接触させる工程を含む、金属粉末の噴霧化製造方法が提供される。
【0013】
他の態様によると、金属粉末の噴霧化製造方法であって、
加熱された金属源を供給する工程、
噴霧ガスと少なくとも1つの添加ガスを混合し、噴霧混合物を得る工程、
前記噴霧化方法の実施中に、前記加熱された金属源を前記噴霧混合物と接触させ、それによって金属粉末原料を得る工程、
前記反応性金属粉末原料をふるい分け、所定の粒子径を有する粉末を得る工程、および
前記所定の粒子径を有する前記粉末を、水と接触させる工程を含む、金属粉末の噴霧化製造方法が提供される。
【0014】
他の態様によると、反応性金属粉末の球状化製造方法であって、
反応性金属粉末源を供給する工程、および
前記球状化方法の実施中に、前記反応性金属粉末源を少なくとも1つの添加ガスと接触させる工程を含む、反応性金属粉末の球状化製造方法が提供される。
【0015】
他の態様によると、反応性金属粉末の球状化製造方法であって、
反応性金属粉末源を供給する工程、および
前記球状化方法の実施中に、前記反応性金属粉末源を少なくとも1つの添加ガスと接触させ、それによって、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約10~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約10~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約15~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約15~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約25~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約25~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約75μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約106μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約150μmの粒度分布、および/または
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約180μmの粒度分布
で構成される反応性金属粉末原料を得る工程を含む、反応性金属粉末の球状化製造方法が提供される。
【0016】
他の態様によると、反応性金属粉末の球状化製造方法であって、
反応性金属粉末源を供給する工程、
球状化プロセスガスと少なくとも1つの添加ガスを混合し、球状化プロセスガス混合物を得る工程、および
前記球状化方法の実施中に、前記反応性金属粉末源を前記球状化プロセスガス混合物と接触させる工程を含む、反応性金属粉末の球状化製造方法が提供される。
【0017】
他の態様によると、反応性金属粉末の球状化製造方法であって、
反応性金属粉末源を供給する工程、
球状化プロセスガスと少なくとも1つの添加ガスを混合し、球状化プロセスガス混合物を得る工程、
前記球状化方法の実施中に、前記反応性金属粉末源を前記球状化プロセスガス混合物と接触させ、それによって、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約10~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約10~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約15~約45μmの
粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約15~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約25~約45μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約25~約53μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約75μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約106μmの粒度分布、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約150μmの粒度分布、および/または
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約180μmの粒度分布
で構成される反応性金属粉末原料を得る工程を含む、反応性金属粉末の球状化製造方法が提供される。
【0018】
他の態様によると、反応性金属粉末の球状化製造方法であって、
反応性金属粉末源を供給する工程、および
前記球状化方法の実施中に、前記反応性金属粉末源を少なくとも1つの添加ガスと、添加ガス由来の電気陰性原子および/または電気陰性分子をそれぞれ1000ppm未満の添加含有率で有する反応性金属粉末原料を生じるのに十分な条件下で接触させる工程を含む、反応性金属粉末の球状化製造方法が提供される。
【0019】
他の態様によると、反応性金属粉末の球状化製造方法であって、
反応性金属粉末源を供給する工程、
球状化プロセスガスと少なくとも1つの添加ガスを混合し、球状化プロセスガス混合物を得る工程、
前記球状化方法の実施中に、前記反応性金属粉末源を前記球状化プロセスガス混合物と、添加ガス由来の電気陰性原子、および/または電気陰性分子を、1000ppm未満の添加含有率で有する反応性金属粉末原料を生じるのに十分な条件下で接触させる工程を含む、反応性金属粉末の球状化製造方法が提供される。
【0020】
他の態様によると、金属粉末の球状化製造方法であって、
反応性金属粉末源を供給する工程、
球状化プロセスガスと少なくとも1つの添加ガスを混合し、球状化プロセスガス混合物を得る工程、
前記噴霧化方法の実施中に、前記反応性金属粉末源を前記球状化プロセスガス混合物と接触させ、それによって金属粉末原料を得る工程、
前記反応性金属粉末原料をふるい分け、所定の粒子径を有する粉末を得る工程、
前記所定の粒子径を有する前記粉末を、水と接触させる工程を含む、金属粉末の球状化製造方法が提供される。
【0021】
他の例によると、本開示に規定される方法によって得られる反応性金属粉末と、本開示に記載される方法と異なる方法によって得られる反応性金属粉末を混合する工程を含む、反応性金属粉末混合物を調製するための方法が提供される。
【0022】
他の例によると、本開示に規定される方法によって得られる反応性金属粉末と、本開示に記載される方法と異なる方法によって得られる反応性金属粉末を混合する工程を含む、
反応性金属粉末混合物を調製するための方法が提供される。
【0023】
他の例によると、本開示に規定される金属粉末の噴霧化製造方法によって得られる反応性金属粉末と、本開示に規定される金属粉末の球状化製造方法によって得られる反応性金属粉末を混合する工程を含む、反応性金属粉末混合物を調製するための方法が提供される。
【0024】
他の例によると、本開示に規定される方法によって得られる反応性金属粉末が提供される。
【0025】
本開示は、高い流動性を示す反応性金属粉末の生産を可能にする方法、工程、システムおよび装置に関する。記載される処理なしではホールフローメータ中を流れもしない微細な粒度分布を含めた、様々な粒度分布について効果を認めることができる。本方法の1つの利点は、粉末中に異質な粒子が添加されないことである。改善をもたらすのは、表面処理のみである。
【0026】
本開示に記載される様々な技術は、粉末の静電気に対する感受性の低減を促し、結果として粉末の流動性挙動を向上させることが認められた。
【0027】
以下の図面は、非限定的な例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】加熱された金属源を添加ガスと接触させない噴霧化方法に従って形成される反応性金属粉末の粒子の概略図である。
【
図3】加熱された金属源を添加ガスと接触させる噴霧化方法に従って形成される反応性金属粉末の粒子の概略図である。
【
図4】半径Rを有する粒子、および同一の材料塊から形成された、各々が半径rを有する複数の粒子の概略図を表す図である。
【
図5】種々の試験で得られた粒子のTOF-SIMS特性を表す図である。
【
図6】添加ガスと接触させる工程を含まない噴霧化方法に従って形成された金属粉末のバッチの写真である。
【
図7】金属源を添加ガスと接触させた噴霧化方法に従って形成された金属粉末のバッチの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
下記の例は、非限定的に示される。
【0030】
「a」または「an」という語は、特許請求の範囲、および/または明細書中で「含む(comprising)」という用語と共に使用される場合、「一つの(one)」を意味し得るが、明確に別段に定める内容がない限り、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および「1または2以上の」という意味とも整合する。同様に、「他の(another)」という語は、明確に別段に定める内容がない限り、少なくとも2番目またはそれ以上を意味し得る。
【0031】
本明細書、および特許請求の範囲で使用される、「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」、および「含む(comprises)」といった、含む(comprising)のあらゆる形態)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」、および「有する(has)」といった、有する(having)のあらゆる形態)、「含む(including)」(ならびに「含む(include)」、および「含む(includes)」といった、含む(including)のあらゆる形態)、または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contain)」、および「含有する(contains)」といった、含有する(containing)のあらゆる形態)という語は、包含的またはオープンエンド形式であり、追加の記載されていない要素またはプロセス工程を除外しない。
【0032】
ここで使用される「噴霧域」という表現は、金属粉末を調製する方法、装置またはシステムに関する場合、材料が材料の小滴に噴霧化される領域を意味する。当業者であれば、噴霧手段の温度、噴霧手段の粘度、噴霧手段内の材料、噴霧手段の出力、噴霧域に到達する前の材料の温度、材料の性質、材料の寸法、材料の電気抵抗率等といった、様々なパラメータに従って、噴霧域の寸法が変化することを理解するであろう。
【0033】
ここで使用される「噴霧器の加熱域」という表現は、本開示に説明されるように、空乏層を生成するよう、粉末が添加ガスの電気陰性原子と反応できるほど十分に熱い領域を意味する。
【0034】
「金属粉末は、X~Yμmの粒度分布を有する」という表現は、金属粉末が有するYμmを超える大きさの粒子が5重量%未満であることを意味し、この値は、ASTM B214規格に従って測定される。この表現は、金属粉末が有するXμmを下回る大きさ(d6≧Xμm)の粒子が6重量%未満であることも意味し、この値は、ASTM B822規格に従って測定される。
【0035】
「15~45μmの粒子径を有する金属粉末という表現は、金属粉末が有する45μm(ASTM B214規格に従って測定される)を超える粒子が5重量%未満であり、15μm(ASTM B822規格に従って測定される)を下回る粒子が6重量%未満であることを意味する。
【0036】
ここで使用される「ガス対金属比」は、投入される気体の単位時間当たりの質量(kg/s)の、噴霧域に供給される金属源の質量供給量(kg/s)に対する比を意味する。
【0037】
ここで使用される「反応性金属粉末」という表現は、クローズカップルノズル(close-coupled nozzle)を使用する従来のガス噴霧化方法では効率的に調製することができない金属粉末を意味する。例えば、そのような反応性金属粉末は、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金から選択される少なくとも1種を含む粉末であり得る。
【0038】
ここで使用される「反応性金属粉末原料」という用語は、ふるい分け技術または分級技術といった、いかなる後処理工程をも用いずに、噴霧化方法によって直接得られる反応性金属粉末を意味する。
【0039】
106μmを下回るサイズ分布の範囲内であるような、微細な粒子径を有する反応性金属粉末は、より広い表面積およびより強い表面相互作用を有することが認められた。これらは、より粗い粉末よりも乏しい流動性挙動をもたらす。粉末の流動性は、粒子形状、粒度分布、表面平滑度、水分濃度、付随する含有物、および静電気の存在といった様々な因子の1つまたは複数に依存する。したがって、粉末の流動性は、粉末粒子にかかる接着力と重力の間のバランスに起因する、複合的な巨視的特徴である。
【0040】
例えば、粒度分布は、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約10~約53μmであり得る。
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約10~約45μm、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約15~約45μm、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約15~約53μm、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約25~約45μm、
ASTM B213に従って測定される流動性が40秒未満の、約25~約53μm、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約75μm、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約106μm、
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約150μm、および/または
ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約45~約180μm、
【0041】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が36秒未満の、約10~約53μmであり得る。
【0042】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が32秒未満の、約10~約53μmであり得る。
【0043】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が30秒未満の、約10~約53μmであり得る。
【0044】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約10~約53μmであり得る。
【0045】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が36秒未満の、約10~約45μmであり得る。
【0046】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が32秒未満の、約10~約45μmであり得る。
【0047】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が30秒未満の、約10~約45μmであり得る。
【0048】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約10~約45μmであり得る。
【0049】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が36秒未満の、約15~約45μmであり得る。
【0050】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が32秒未満の、約15~約45μmであり得る。
【0051】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が30秒未満の、約15~約45μmであり得る。
【0052】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約15~約45μmであり得る。
【0053】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が36秒未満の、約15~約53μmであり得る。
【0054】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が32秒未満の、約15~約53μmであり得る。
【0055】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が30秒未満の、約15~約53μmであり得る。
【0056】
例えば、粒度分布は、ASTM B213に従って測定される流動性が28秒未満の、約15~約53μmであり得る。
【0057】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が36秒未満の、約25~約45μmの粒度分布で構成される。
【0058】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が32秒未満の、約25~約45μmの粒度分布で構成される反応性金属粉末原料を含む。
【0059】
例えば、反応性金属粉末原料は、反応性金属粉末原料を含み、ASTM B213に従って測定される流動性が30秒未満の、約25~約45μmの粒度分布で構成される。
【0060】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が25秒未満の、約25~約45μmの粒度分布で構成される。
【0061】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が36秒未満の、約25~約53μmの粒度分布で構成される。
【0062】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が32秒未満の、約25~約53μmの粒度分布で構成される。
【0063】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が30秒未満の、約25~約53μmの粒度分布で構成される。
【0064】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が25秒未満の、約25~約53μmの粒度分布で構成される。
【0065】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が26秒未満の、約45~約75μmの粒度分布で構成される。
【0066】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が25秒未満の、約45~約75μmの粒度分布で構成される。
【0067】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が24秒未満の、約45~約75μmの粒度分布で構成される。
【0068】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が23秒未満の、約45~約75μmの粒度分布で構成される。
【0069】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が26秒未満の、約45~約106μmの粒度分布で構成される。
【0070】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が25
秒未満の、約45~約106μmの粒度分布で構成される。
【0071】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が24秒未満の、約45~約106μmの粒度分布で構成される。
【0072】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が23秒未満の、約45~約106μmの粒度分布で構成される。
【0073】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が26秒未満の、約45~約150μmの粒度分布で構成される。
【0074】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が25秒未満の、約45~約150μmの粒度分布で構成される。
【0075】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が24秒未満の、約45~約150μmの粒度分布で構成される。
【0076】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が23秒未満の、約45~約150μmの粒度分布で構成される。
【0077】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が26秒未満の、約45~約180μmの粒度分布で構成される。
【0078】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が25秒未満の、約45~約180μmの粒度分布で構成される。
【0079】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が24秒未満の、約45~約180μmの粒度分布で構成される。
【0080】
例えば、反応性金属粉末原料は、ASTM B213に従って測定される流動性が23秒未満の、約45~約180μmの粒度分布で構成される。
【0081】
例えば、加熱された金属源は、噴霧器の噴霧域で、前記少なくとも1つの添加ガスと接触する。
【0082】
例えば、加熱された金属源は、噴霧器の加熱域内で、前記少なくとも1つの添加ガスと接触する。
【0083】
例えば、加熱された金属源は、噴霧ガスとの接触と実質的に同時に、前記少なくとも1つの添加ガスと接触する。
【0084】
例えば、噴霧ガスは、不活性ガスである。
【0085】
例えば、噴霧ガス、および添加ガスは、加熱された金属源との接触前に混合される。
【0086】
例えば、添加ガスとの接触は、金属粒子原料表面上に第一の層および第二の層の形成をもたらし、前記第一の層は、前記添加ガスの原子および/または分子と共に前記加熱金属の原子を含み、前記第一の層は、自然酸化膜より深部にありかつより厚い空乏層であり、前記第二の層は、自然酸化膜である。
【0087】
例えば、第一の層は、実質的に正の電荷を有し、第二の層は、実質的に負の電荷を有し、ここで第一の層と第二の層は、実質的に中性の結合電荷を有する。
【0088】
例えば、方法は、
加熱された金属源の噴霧化後に反応性金属粉末原料をふるい分け、粒度分布によって反応性金属粉末原料を分離する工程をさらに含む。
【0089】
例えば、方法は、
ふるい分け後に、分離された粉末原料を、水中で個別に攪拌する工程をさらに含む。
【0090】
例えば、水は、蒸留水または脱塩水である。
【0091】
例えば、反応性金属粉末の流動性は、攪拌された後の、ふるい分けられた乾燥金属粉末について測定される。
【0092】
例えば、反応性金属粉末は、添加ガス由来の電気陰性原子および/または電気陰性分子をそれぞれ1000ppm未満の添加含有率で有する。
【0093】
例えば、反応性金属粉末は、添加ガス由来の前記電気陰性原子および/または電気陰性分子を、それぞれ500ppm未満の添加含有率で有する。
【0094】
例えば、反応性金属粉末は、添加ガス由来の前記電気陰性原子および/または電気陰性分子を、それぞれ250ppm未満の添加含有率で有する。
【0095】
例えば、反応性金属粉末は、添加ガス由来の前記電気陰性原子および/または電気陰性分子を、それぞれ200ppm未満の添加含有率で有する。
【0096】
例えば、反応性金属粉末は、添加ガス由来の前記電気陰性原子および/または電気陰性分子を、それぞれ150ppm未満の添加含有率で有する。
【0097】
例えば、反応性金属粉末は、添加ガス由来の前記電気陰性原子および/または電気陰性分子を、それぞれ100ppm未満の添加含有率で有する。
【0098】
例えば、所定の粒子径は、10~45μm、15~45μm、10~53μm、15~53μm、および/または25~45μmといった、約10~53μmのいずれかの粒度分布で構成される。
【0099】
例えば、少なくとも1つの添加ガスは、酸素含有気体である。
【0100】
例えば、少なくとも1つの添加ガスは、O2、CO2、CO、NO2、空気、水蒸気およびそれらの混合物から選択される酸素含有気体である。
【0101】
例えば、少なくとも1つの添加ガスは、ハロゲン含有気体である。
【0102】
例えば、ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIである。
【0103】
例えば、少なくとも1つの添加ガスは、水素含有気体である。
【0104】
例えば、少なくとも1つの添加ガスは、硫黄含有気体である。
【0105】
例えば、少なくとも1つの添加ガスは、窒素含有気体である。
【0106】
例えば、少なくとも1つの添加ガスは、O2、H2O、CO、CO2、NO2、N2、NO3、Cl2、SO2、SO3、およびそれらの混合物から選択される。
【0107】
例えば、反応性金属粉末は、チタン、ジルコニウム、マグネシウムおよびアルミニウムの少なくとも1つを含む。
【0108】
例えば、反応性金属粉末は、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金の1つから選択される少なくとも1種を含む金属粉末である。
【0109】
例えば、反応性金属粉末は、チタンを含む。
【0110】
例えば、反応性金属粉末は、チタン合金を含む。
【0111】
例えば、反応性金属粉末は、ジルコニウムを含む。
【0112】
例えば、反応性金属粉末は、ジルコニウム合金を含む。
【0113】
例えば、反応性金属粉末は、チタン、およびチタン合金の1つから選択される少なくとも1種を含む金属粉末である。
【0114】
例えば、方法は、少なくとも1つのプラズマトーチを使って実施される。
【0115】
例えば、方法は、少なくとも1つのプラズマトーチを使って実施される。
【0116】
例えば、少なくとも1つのプラズマトーチは、無線周波(RF)プラズマトーチである。
【0117】
例えば、少なくとも1つのプラズマトーチは、直流(DC)プラズマトーチである。
【0118】
例えば、少なくとも1つのプラズマトーチは、マイクロ波(MW)プラズマトーチである。
【0119】
以下、噴霧システム2’の一例の断面を示す、
図1を参照する。噴霧システム2’は、上流のシステムから金属源16の供給を受けるレセプタクル8を含む。例えば、金属源16の供給は、溶融流として供給されるが、金属ロッドまたは金属ワイヤとして供給されてもよい。金属源は、様々な技術に従って加熱され得る。
【0120】
加熱された金属源16は、出口24を通して噴霧域32へ供給され、即座に噴霧源40からの噴霧流体と接触する。噴霧流体の加熱された金属源16への接触は、反応性金属粉末原料64の形成をもたらし、反応性金属粉末原料64は、次いで噴霧域32から排出される。例えば、噴霧流体は、噴霧ガスであり得る。例えば、噴霧ガスは、不活性ガスであり得る。
【0121】
例えば、不活性ガスは、Arおよび/またはHeから選択することができる。
【0122】
噴霧システム2’は、噴霧プラズマトーチ40を有するが、本明細書に記載される向上した流動性を有する反応性金属粉末を形成するための方法および装置は、スカル溶解ガス
噴霧化方法、電極誘導溶融ガス噴霧化方法(EIGA法)、プラズマ回転電極方法、プラズマ(RF、DC、MW)球状化方法等といった、他の種の球状粉末生産システムに適応され得ると理解される。
【0123】
示されている例によると、プラズマ源40は、少なくとも1つのプラズマトーチを含む。少なくとも1つのプラズマトーチ40の、少なくとも1つの個別ノズル48の焦点は、金属源供給に合わされる。例えば、ノズル48の断面は、金属源供給と接触するプラズマに焦点を合わせるよう、金属源供給に向かって先細る。本明細書の他の部分に記載されるように、ノズル48は、プラズマジェットの先端が、レセプタクル8から供給される金属源と接触するよう位置付けられてもよい。少なくとも1つのプラズマ源40由来のプラズマが金属源供給と接触することにより、金属源は噴霧化される。
【0124】
複数のプラズマトーチを備える場合、トーチのノズルは、レセプタクル8からの金属源に向かう、プラズマトーチの個別ノズル48である。例えば、個別ノズル48は、そこから出るプラズマジェットの先端がレセプタクル8からの金属源と接触するよう位置付けられる。
【0125】
球状粉末を調製するための様々な例示的実施形態によると、加熱された金属源は、噴霧化方法の実施中に、少なくとも1つの添加ガスと接触する。
【0126】
添加ガスは、電気陰性原子または電気陰性分子を含む、任意の気体であり得る。添加ガスは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭化物、水素系化合物、窒素系化合物および炭素系化合物を含んでもよい。
【0127】
添加ガスは、酸素含有気体であってもよい。ここで使用される「酸素含有気体」という表現は、少なくとも1つの酸素原子を含有する気体を意味する。例えば、そのような気体は、O2、CO2、CO、NO2、空気、水蒸気、オゾン等であり得る。
【0128】
様々な例示的実施形態によると、添加ガスは、噴霧器の噴霧域32内で加熱された金属源16と接触する。この噴霧域32は、噴霧器の高熱域である。したがって、加熱された金属源16は、噴霧ガスおよび添加ガスと、噴霧域32内で実質的に同時に接触し得る。
【0129】
電気陰性原子、および/または電気陰性分子を表面層へ数十ナノメートル拡散させるほど金属粒子が十分に熱ければ、加熱された金属源の噴霧化によって生産された金属粒子と添加ガスの間で反応が起こり得る。
【0130】
本明細書に記載される様々な例示的実施形態によると、加熱された金属源と噴霧流体の接触に加え、添加ガスは、噴霧化工程中に加熱された金属源と接触すると理解される。
【0131】
既存の噴霧化方法によると、添加ガスの一部は、例えば汚染、潜在的な不純物、または漏れを通して、本質的に噴霧流体に導入され得るとさらに理解される。例えば、導入される添加ガスは、空気または酸素を含み得る。
【0132】
しかし、本明細書に記載される、球状粉末を生産するための様々な例示的実施形態によると、噴霧化工程中に本質的に導入され得る任意の添加ガスに加えて、加熱された金属源と接触させるための添加ガスが意図的に供給される。
【0133】
様々な例示的実施形態によると、第一の一連のノズルは、噴霧域32に噴霧流体を投入して加熱された金属源16と接触させ、第二の一連のノズルは、噴霧域32に添加ガスを投入して加熱された金属源16と接触させる。他の代替手段において、第二の一連のノズ
ルは、噴霧域32への投入前に、親和性のある流体中の添加ガスと噴霧流体を混合し得る。例えば、噴霧流体および添加ガスは、実質的に同時にまたはわずかに遅れて、加熱された金属源16と接触する。例えば、添加ガスを混合してかかる添加ガスを希釈し、副反応または望まない反応をもたらし得る過度に高い局所濃度を避けることが可能である。
【0134】
様々な代替の例示的実施形態によると、噴霧流体は、噴霧ガスであり、少なくとも1つの添加ガスと混合されて噴霧混合物を形成する。例えば、噴霧ガスおよび添加ガスは、加熱された金属源との接触前に混合される。噴霧ガスと添加ガスは、加熱された金属源との接触より上流のガス貯蔵タンクまたはパイプ内で混合され得る。例えば、添加ガスは、噴霧ガスのタンク中に投入され得る。投入される添加ガスは、本質的に噴霧ガス中に存在する任意の添加ガスに追加される。
【0135】
加熱された金属源と接触する添加ガスの量は、噴霧化方法で形成される反応性金属粉末の所望の最終特性に基づいて制御され得る。
【0136】
例えば、形成された反応性金属粉末内に含有される添加ガスは、金属粉末中の混入物質と考えられ得る。したがって、加熱された金属源と接触する添加ガスの量は、反応性金属粉末内に含有される添加ガスの原子および/または分子の量が一定の限度内に維持されるよう制御される。
【0137】
例えば、反応性金属粉末中の化学組成の限度は、AMS4998、ASTM F3001、ASTM F2924、ASTM B348、ASTM B350の表1、およびASTM B550の表3における組成のように、適切な規格によって規定され得る。したがって、加熱された金属源と接触する添加ガスの量は、添加ガスの組成、ならびに添加ガスを構成する1つまたは複数の原子および/または分子に関する規格によって規定される1つの限度または複数の限度に基づいて制御される。
【0138】
例えば、添加ガスが酸素を含有し、かつ形成される反応性金属粉末がチタン合金粉末である場合、加熱された金属源と接触する添加ガスの量は、形成される反応性金属粉末中の酸素量が、AMS4998規格に従い1800ppmを下回るよう、かつASTM F3001に従い1300ppmを下回るよう制御される。
【0139】
例えば、添加ガスが炭素を含有し、かつ形成される反応性金属粉末がチタン合金粉末である場合、加熱された金属源と接触する添加ガスの量は、形成される反応性金属粉末中の炭素量が、AMS4998規格に従い1000ppmを下回るよう、かつASTM F3001に従い800ppmを下回るよう制御される。
【0140】
例えば、添加ガスが水素を含有し、かつ形成される反応性金属粉末がチタン合金粉末である場合、加熱された金属源と接触する添加ガスの量は、形成される反応性金属粉末中の水素量が、AMS4998規格、およびASTM F3001に従い120ppmを下回るよう制御される。
【0141】
例えば、添加ガスが窒素を含有し、かつ形成される反応性金属粉末がチタン合金粉末である場合、加熱された金属源と接触する添加ガスの量は、形成される反応性金属粉末中の窒素量が、AMS4998規格に従い約400ppmを下回るよう、かつASTM F3001に従い500ppmを下回るよう制御される。
【0142】
例えば、添加ガスが塩素を含有し、かつ形成される反応性金属粉末がチタン金属粉末である場合、加熱された金属源と接触する添加ガスの量は、形成される反応性金属粉末中の塩素量が、ASTM F3001規格に従い約1000ppmを下回るよう制御される。
【0143】
例えば、加熱された金属源と接触する添加ガスの量は、噴霧混合物を形成する際に噴霧ガス中に投入される添加ガスの量を制御することによって制御され得る。例えば、投入される添加ガスの量は、形成される噴霧混合物中の添加ガスに対する噴霧ガスの比が、所望の範囲を1つまたは複数達成するよう制御され得る。
【0144】
添加ガスを添加せずに形成された反応性金属粉末の場合、様々な異なる粒度分布を有する反応性金属粉末は、ふるい分け工程およびブレンド工程を経た後、必ずしも、ホールフローメータ(ASTM B213の
図1参照)でその流動性を測定できるほど十分に流動するとは限らないことが認められた。例えば、粒度分布が10~53μmの間の範囲内の反応性金属粉末は、ASTM B213に従うホールフローメータ中を流れなかった。
【0145】
いかなる理論にも拘束されないが、反応性金属粉末の乏しい流動性の原因となる、1つの重要な因子は、静電気に対するその感受性である。ふるい分け工程、ブレンド工程および操作工程は、反応性金属粉末の粒子が互いにコロイド形成する原因となり得、それによって静電気のレベルが増大する。この静電気は、粒子間の凝集力をさらに生じさせ、反応性金属粉末が十分に流動しない原因となる。
【0146】
加熱された金属源を噴霧ガス、および添加ガスと接触させることによる加熱された金属源の噴霧化で形成される反応性金属粉末原料は、さらに回収される。回収された反応性金属粉末原料は、様々な大きさの金属粒子の混合物を含有する。反応性金属粉末原料を、10~45μm、15~45μm、10~53μm、15~53μm、および/または25~45μmといった異なるサイズ分布に分離するよう、反応性金属粉末原料は、さらにふるい分けられる。
【0147】
ふるい分けた後、各粒度分布の金属粉末は、蒸留水または脱塩水中で個別に攪拌される。攪拌は、金属粉末粒子の表面上に蓄積する帯電の除去を促す。
【0148】
ふるい分けた後、各粒度分布の金属粉末は、個別に乾燥される。
本明細書に記載される、加熱された金属源が添加ガスと接触する様々な例示的噴霧化方法に従って形成された反応性金属粉末は、添加ガスとの接触を行わない噴霧化方法によって形成された反応性金属粉末よりも、実質的に高い流動性を示したことが認められた。異なる方法に従って形成された金属粉末間の流動性の差異は、10~45μm、15~45μm、10~53μm、15~53μm、および/もしくは25~45μmのサイズ分布または類似の粒度分布を有する金属粉末に大部分は区別できる。しかし、加熱された金属源と添加ガスの接触を含む方法に従って形成される場合、他のサイズ分布の金属粉末も、わずかな流動性の増大を示し得ると理解される。
【0149】
チタンは、一旦空気に曝されると自然表面酸化膜を形成することが周知である。この膜は、通常、約3~5nmであり、本質的に酸化チタンで構成される(S. Axelsson, 2012, p. 37)。自然酸化物は、不動態化層として働き、反応性を低減する。この自然膜は、水蒸気に対し高い親和性(親水性)を有し、表面に水酸基を保有する(Tanaka et al., 2008, p. 1; Lu et al., 2000, p. 1)。
【0150】
いかなる理論にも拘束されないが、噴霧化中の加熱された金属源と添加ガスの接触により、添加ガスの原子および/または分子は、反応性金属粉末粒子と、これらの粒子が形成されると同時に反応する。したがって、加熱金属と添加ガスの化合物で形成され、厚みを通して空乏する第一の層は、反応性金属粒子の粒子外表面上に形成される。この層は、より厚く、かつ表面からより深部にあり、自然酸化膜下方に位置する。例えば、空乏層中の加熱金属と添加ガスの化合物は、金属の酸化物、窒化物、炭化物またはハロゲン化物であ
る。添加ガスの原子は、表面層の厚みを通して消耗されるため、金属と非化学量論的な化合物を形成する。そのような化合物は、この第一の層に実質的に正の電荷をもたらす。
【0151】
電気陰性原子および/または電気陰性分子は、自然酸化膜中からさらに表面層中に拡散するのに十分なエネルギーを有する必要があるため、この第一の層は、高温でのみ形成され得る。
【0152】
自然酸化膜である第二の層は、反応性金属粉末粒子表面上にさらに形成される。表面に形成される水酸基は、第二の層に実質的に負の電荷をもたらす。
【0153】
実質的に正の電荷を有する第一の層、および実質的に負の電荷を有する第二の層は、共に電気二重層を形成する。二重層の結合電荷は、実質的に中性の電荷を有する(すなわち、ゼロに向かう正味電荷)。この、反応性金属粉末粒子表面上の中性の電荷は、本明細書に記載される例示的方法および装置に従って形成される反応性金属粉末の流動性の向上に寄与し得る。例えば、従来の噴霧化方法に従って形成されるような粒子上の正味電荷が粒子を分極させる傾向にあり、他の粒子との相互作用を増大させるのに対し、弱く帯電した粒子と他の粒子との電気的相互作用は、ほとんどない。この低減された相互作用は、優れた流動性をもたらし得る。
【0154】
図2は、加熱された金属源16を添加ガスと接触させない噴霧化方法に従って形成される反応性金属粉末の粒子100の概略図を表す。形成される粒子100は、一般に、粒子体108(例えばTi-6Al-4V粒子)、および表面自然酸化膜116を含む。表面自然酸化膜116は、全体として負電荷を有し、形成される粒子100にゼロでない正味電荷(すなわち、粒子108に関し、Q
net≠0)を与える。このような負電荷は、より高い分極能を与える。粒子108は、表面116に水酸基も含む。
【0155】
図3は、加熱された金属源16を添加ガスと接触させる本明細書に記載の例示的噴霧化方法に従って形成される反応性金属粉末の粒子104の概略図を表す。第一の層148(または層1)は、粒子体156(例えばTi-6Al-4V粒子)の外表面上に形成される。これは、加熱金属と、厚みを通して消耗される電気陰性原子および/または電気陰性分子の化合によって生じる。自然酸化膜である第二の層164(または層2)は、粒子体156表面上にさらに形成される。本明細書の他の部分で記載されるように、第一の層148および第二の層164は、実質的に中性の結合電荷を有し、それによって形成される粒子140に、実質的にゼロの正味電荷(Q
net≒0)、およびより低い分極能を持たせる。
【0156】
添加ガス由来の電気陰性原子および/または電気陰性分子が、形成される金属粉末原料粒子の表面添加剤となるという理論に基づき、噴霧ガスと共に投入され、噴霧混合物を形成する添加ガスの量は、所定の粒度分布を有する金属粉末の生産率に対して準線形的に変化するよう制御され得る。層1の形成に必要とされる添加ガスの量は、生産率および粒度分布によって決まる金属粒子の総表面積と関連する(
図4参照)。添加ガスの濃度、および金属粒子の熱的条件は、層1の空乏層の深さを決定する。
【0157】
さらに、添加ガス由来の電気陰性原子および/または電気陰性分子が、形成される金属粉末原料粒子の表面添加剤となるという理論に基づき、噴霧ガスと共に投入され、噴霧混合物を形成する添加ガスの量は、
図4に示されるように形成される金属粉末粒子の総面積と共に変化するよう制御され得る。
【0158】
さらに、添加ガス由来の電気陰性原子および/または電気陰性分子が、形成される金属粉末原料粒子の表面添加剤となるという理論に基づき、噴霧ガスと共に投入され、噴霧混
合物を形成する添加ガスの量は、形成される金属粉末原料粒子表面の温度と共に変化するよう制御され得る。活性化エネルギーEの、そのような化学反応の反応速度Φは、一般に、温度Tでアレニウスの関係式:
【0159】
【数1】
に従う。したがって、添加ガスの投入は、高温でより効果的であり、理想の空乏深さを生じさせ、層1を形成するのに必要とされる添加ガス濃度はより低い。
【0160】
図4は、半径Rおよび粒子表面188における空乏深さδを有する粒子180の概略図を表す。粒子の総表面積は、S
1=4πR
2である。
【0161】
図4は、総質量が粒子180の質量と等しい、同じ大きさの複数の粒子(n個の粒子)200の概略図をさらに表す。粒子200の大きさは、粒子180より小さいが、粒子200の総表面積は、粒子180より広い。粒子200は、各々が半径rを有し、粒子総数は、n=R
3/r
3である。統合した粒子200の表面積は、
【0162】
【数2】
である。これは、粒子半径の減少と共に線形的に増加する。
【0163】
したがって、処理される体積が総表面積と空乏深さの積であるため、添加される表面添加剤の量は、総表面積の関数である。
【0164】
例えば、得られる金属粉末は、約100、150、200、300、500、1000、または1500ppm未満の電気陰性原子および/または電気陰性分子を有し得る(例えば、粉末の生産に使用される添加ガス中に含まれる電気陰性原子および/または電気陰性分子元素)。
【実施例0165】
プラズマ噴霧を用いて、加熱された金属源と接触する噴霧混合物の組成以外は同一の実験条件下で、異なる4つのロットの粉末を生産した。
【0166】
噴霧ガスは、高純度アルゴンである(>99.997%)。
【0167】
試験1および試験2において、噴霧ガスのみが噴霧化方法中の加熱された金属源との接触に使用された。
【0168】
試験3において、高純度アルゴンに空気が投入され、空気を80ppm含むアルゴンとの噴霧混合物を形成した。加熱金属は、噴霧化方法中に噴霧混合物と接触した。
【0169】
試験4において、高純度アルゴンにO2が投入され、O2を50ppm含むアルゴンとの噴霧混合物を形成した。加熱金属は、噴霧化方法中にこの第二の噴霧混合物と接触した。
【0170】
噴霧ガス(試験1および試験2)または噴霧混合物(試験3および試験4)との接触後
、形成された反応性金属粉末原料は、15~45μmの粒度分布を単離するようふるい分けられる。
【0171】
ふるい分けられた粉末は、次いで、均一性を確保するよう混合される。
【0172】
先の工程中に蓄積した静電気の帯電を除去するため、粉末を、蒸留水または脱塩水中でさらに攪拌した。
【0173】
粉末を、空気中、80℃で12時間乾燥させた。
【0174】
図5は、TOF-SIMSによる、異なる試料間の酸素プロファイルの比較を表すグラフである。粒子のTOF-SIMS特性は、試験1~4について得られる。表1に見られるように、空乏層の存在は、流動性の高い粉末と関連し得る。
【0175】
処理された微粉末のTOF-SIMS特性は、
図5から明確に分かる。酸素含有量の裾は、表面層のより深部へ侵入する。向上した流動性挙動を獲得するには、一定の臨界深さを有する、この空乏層を得ることが重要である。TOF-SIMSの結果は、空乏層の深さが100nmのオーダーであることを示唆する。深さは、プロフィロメータを用い、Ti-6Al-4Vバルク部について得られるイオンビームのスパッタリング率を較正することによって推定することができる。スパッタリング率は、イオンビーム強度および材料の種類に依存する。較正は、測定前に行われ、イオンビームのエネルギーは、非常に安定である。
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
多数のバッチの統計データ解析から、空気を投入することにより(試験3)、約100~150ppmの窒素および約50ppmの酸素が粉末に添加されると判断された。空気の投入により、形成された反応性金属粉末の流動性が向上した。
【0180】
さらに、統計データ解析から、O2のみを投入することにより(試験4)、約150~200ppmの酸素が粉末に添加され、窒素は添加されないと判断された。
【0181】
水蒸気を投入することにより、粒度分布15~45μmの流動性についての追加試験の実施に成功した。粒度分布15~45μmの流動性の向上が、同様に認められた。
【0182】
実施された処理は、ASTM B348、ASTM F2924、およびASTM F3001規格の組成物に準じ、十分な化学組成を維持する。これは、原料の酸素がわずかに多ければ、AMS4998の組成物にも準拠するだろう。
【0183】
図6は、添加ガスと接触させる工程を含まない噴霧化方法に従って形成された、約100kgのバッチの金属粉末の写真である。凝集体に起因し、回収バケツの90%が満たされ、視覚的圧縮性は不良である。
【0184】
図7は、金属源を添加ガスと接触させた噴霧化方法に従って形成された、約100kgのバッチの金属粉末の写真である。向上した流動性およびより小さい粒子間表面相互作用に起因し、
図6における実験で使用された同量の材料について、回収バケツの20%が満たされ、視覚的圧縮性は良好である。
【0185】
添加ガスを間欠的に投入することで、試験3および試験4と同様の試験を実施した。最
終生成物に添加される不純物がより少ないという利点を有しつつ、処理が依然として効果的であったことが見出された。
【0186】
同様に、我々は、最大で30%の流動性が良好な粉末からなる混合物を、ホールフローメータ中で流動しなかった粉末70%とブレンドすることができ、結果として得られた粉末は、出発粉末と同様ではなくとも、依然として流動したことを示した。
より具体的には、既に形成された金属粉末は、大気雰囲気中、約250℃で12時間加熱された。この加熱により、金属粉末原料の粒子表面に酸素が添加され、自然酸化膜の厚さが増大するだろうと予期された。
事後の酸化/窒化は、噴霧域で添加ガスと接触させる噴霧化方法における結果と同様の結果をもたらさなかったことが認められた。金属粉末の流動性の向上は認められなかった。
既に形成された金属粉末の事後加熱は、自然酸化膜を厚くするのみで、粒子上に十分に深い空乏酸化物/窒化物層をもたらす能力を持たなかったと考えられる。より厚い酸化膜も、準化学量論比を維持し、空乏層から生じる正に帯電する層1をもたらすことができない。
いかなる理論にも拘束されないが、噴霧中にかかる高温、および添加ガスの低い濃度は、金属源が添加ガスと接触する際に空乏酸化物/窒化物層を形成する酸化/窒化反応を可能とする。
本開示の段落[0027]から[00191]の実施形態は、適切な場合、実施形態のあらゆる組合せが可能であることを明示するよう、本開示中に示されている。したがって、これらの実施形態は、先行する請求項のいずれかに従属する(先に示される実施形態を包含する)従属項を全ての実施形態に対して作成することと均等であるよう、明細書中に示されており、それにより、これらの実施形態が、あらゆる可能な方法で組合せ可能であることを明示する。例えば、適切な場合、段落[0027]から[0191]の実施形態、および段落[0006]から[0026]の方法の間の可能な組合せが、本開示によって全て本明細書に包含される。
説明を簡潔かつ明確にすることを目的として、適切であると考えられる場合、参照番号は、対応するか、または類似の要素もしくは工程を示すよう、図面間で共有して繰り返されると理解される。また、種々の具体的詳細は、本明細書に記載される例示的実施形態の十分な理解を提供するために説明される。しかし、当業者は、これらの具体的詳細なしに本明細書に記載される実施形態が実施され得ることを理解するだろう。他の例では、本明細書に記載される実施形態が不明瞭とならないよう、周知の方法、手順および構成要素は、詳細に記載されていない。さらに、この明細書は、本明細書に記載される実施形態の範囲を、多少なりとも限定すると考えられるべきではなく、むしろ本明細書に記載される様々な実施形態の実施を単に記載すると理解されるべきである。