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特開2024-8870拡大レンズが一体化された自動遮光装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008870
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】拡大レンズが一体化された自動遮光装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/32 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B23K9/32 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107084
(22)【出願日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/859,134
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート, エリック ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ランプケ, ポール エイチ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】調整可能な拡大機能を有する溶接ヘルメット用の自動遮光フィルタアセンブリを提供する。
【解決手段】一実施形態は、人間の溶接工によって行われる溶接をサポートするための自動遮光装置を含む。自動遮光装置は、溶接ヘルメット内に、取り外し可能に組み付けられるように構成されたハウジングを含む。自動遮光装置はまた、溶接プロセス中に溶接電極とワークピースとの間に形成されるアークからの光に応答して、非遮光状態から遮光状態に移行するように構成されたADFレンズアセンブリを含む。自動遮光装置は、ハウジング内に、ADFレンズアセンブリと一体化された拡大鏡アセンブリをさらに含む。拡大鏡アセンブリは、ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、倍率を提供するように構成されている。倍率は、規定された低い倍率レベルから規定された高い倍率レベルまで、連続的にユーザによる調整が可能である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の溶接工によって行われる溶接を支援するための自動遮光装置であって、
溶接ヘルメット内に取り外し可能に組み付けられるように構成されたハウジングと、
溶接プロセス中に、溶接電極とワークピースとの間に形成されたアークからの光に応答して、非遮光状態から遮光状態に移行するように構成されたADFレンズアセンブリと、
前記ハウジング内に前記ADFレンズアセンブリと一体化された拡大鏡アセンブリと、
を備え、前記拡大鏡アセンブリが、
前記ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、倍率を提供するように構成されており、
前記倍率が、規定された低い倍率レベルから規定された高い倍率レベルまで連続的にユーザによる調整が可能である、自動遮光装置。
【請求項2】
前記規定された低い倍率レベルは、倍率レベル1又は倍率なしである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記規定された高い倍率レベルは、1.9~4.1である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記規定された高い倍率レベルは、1.4~2.1である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学拡大レンズを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学凸レンズを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学凹レンズを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記拡大鏡アセンブリは、前記ハウジング内に、光学レンズ構成部と、拡大レンズ調整部と、を含み、前記拡大レンズ調整部は、前記光学レンズ構成部の少なくとも一部が向けられる角度を機械的に調整するために、ユーザによって操作されるように構成されており、前記ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、前記ユーザが見る際に倍率レベルの調整をもたらす、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記拡大鏡アセンブリは、前記ハウジング内に、光学レンズ構成部と、前記光学レンズ構成部の焦点距離又は前記光学レンズ構成部の少なくとも一部の位置のうちの少なくとも1つを機械的に調整するために、ユーザによって操作されるように構成された拡大レンズ調整部と、を含み、前記ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、前記ユーザが見る際に倍率レベルの調整をもたらす、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記自動遮光装置は、前記ADFレンズアセンブリの感度、遮光度、及び戻り速度のうちの少なくとも1つのユーザによる調整を提供するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
人間の溶接工によって行われる溶接を支持するための溶接ヘルメットであって、
観察窓を有し、ユーザの頭部に装着されるように構成されたヘルメットシェルと、
第1のハウジング内のADFレンズアセンブリであって、溶接プロセス中に、溶接電極とワークピースとの間に形成されるアークからの光に応答して、非遮光状態から遮光状態に移行するように構成されており、前記第1のハウジングは、前記観察窓において前記ヘルメットシェルに取り外し可能に取り付けられるように構成されている、ADFレンズアセンブリと、
第2のハウジング内の拡大鏡アセンブリであって、前記ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、倍率を提供するように構成されており、前記倍率は、規定された低い倍率レベルから、規定された高い倍率レベルまで、連続的にユーザによる調整が可能であり、前記第2のハウジングは、前記観察窓において前記第1のハウジングに隣接して前記ヘルメットシェルに取り外し可能に取り付けられるように構成されている、拡大鏡アセンブリと、を含む、
溶接ヘルメット。
【請求項12】
前記規定された低い倍率レベルは、倍率レベル1又は倍率なしである、請求項11に記載の溶接ヘルメット。
【請求項13】
前記規定された高い倍率レベルは、1.9~4.1である、請求項11に記載の溶接ヘルメット。
【請求項14】
前記規定された高い倍率レベルは、1.4~2.1である、請求項11に記載の溶接ヘルメット。
【請求項15】
前記拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学拡大レンズを含む、請求項11に記載の溶接ヘルメット。
【請求項16】
前記拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学凸レンズを含む、請求項11に記載の溶接ヘルメット。
【請求項17】
前記拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学凹レンズを含む、請求項11に記載の溶接ヘルメット。
【請求項18】
前記拡大鏡アセンブリは、第2のハウジング内に、光学レンズ構成部と、拡大レンズ調整部と、を含み、前記拡大レンズ調整部は、前記光学レンズ構成部の少なくとも一部が前記で向けられる角度を機械的に調整するために、ユーザによって操作されるように構成されており前記ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、前記ユーザが見る際に倍率レベルの調整をもたらす、請求項11に記載の溶接ヘルメット。
【請求項19】
前記拡大鏡アセンブリは、前記第2のハウジング内に、光学レンズ構成部と、前記光学レンズ構成部の焦点距離又は前記光学レンズ構成部の少なくとも一部の位置のうちの少なくとも1つを機械的に調整するために、ユーザによって操作されるように構成された拡大レンズ調整部と、を含み、前記ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、前記ユーザが見る際に倍率レベルの調整をもたらす、請求項11に記載の溶接ヘルメット。
【請求項20】
前記溶接ヘルメットは、前記ADFレンズアセンブリの感度、遮光度、及び戻り速度のうちの少なくとも1つのユーザによる調整を提供するように構成されている、請求項11に記載の溶接ヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照/参照による援用)
1998年10月20日に発行された米国特許第5,825,441号明細書の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2000年8月1日に発行された米国特許第6,097,451号明細書の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2009年1月13日に発行された米国特許第7,477,330(B2)号明細書の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2018年2月1日に発行された米国特許第9,889,045(B2)号明細書の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、溶接ヘルメットのための自動遮光フィルタアセンブリに関する。より具体的には、本発明の実施形態は、調整可能な拡大機能を有する溶接ヘルメット用の自動遮光フィルタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
溶接拡大鏡(眼鏡レンズ(cheater lenses))は、一般的に、パッシブ型遮光ヘルメット及び自動遮光ヘルメットの両方で、溶接ヘルメットにおいて溶接レンズの上に一般的にかぶせて使用される。そのような透明拡大鏡は、様々な溶接条件に基づいて着脱することに手間がかかる可能性があり、容易に傷が付きやすく、古い溶接器具では、3つのレンズ(すなわち、透明なカバープレート、溶接レンズ、及び拡大レンズ)を重ねることは二重に見える原因となり得る。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態は、自動遮光フィルタ(automatic darkening filter、ADF)レンズと機械的に調整可能な拡大レンズとが一体化されたADFハウジングを含む。倍率は、例えば、1.00~3.00倍の範囲であってもよく、一実施形態によれば、連続的に調整可能である。溶接工は、別個のレンズを必要とせずに(1つのレンズを別のレンズに交換する必要なく)、所望の倍率レベルに調整することができる。溶接工は、各溶接用途に対する好み、並びに近視及び遠視による制限(すなわち、溶接工の目が溶接アークからどれだけ近い又は遠いか、溶接アークのサイズ、並びに溶接パドルの大小における制限)に基づいて、倍率レベルを高く又は低く調整することができる。
【0005】
一実施形態は、人間の溶接工によって行われる溶接を支援するための自動遮光装置を提供する。自動遮光装置は、溶接ヘルメット内に、取り外し可能に組み付けられるように構成されたハウジングを含む。自動遮光装置はまた、溶接プロセス中に溶接電極とワークピースとの間に形成されるアークからの光に応答して、非遮光状態から遮光状態に移行するように構成されたADFレンズアセンブリを含む。自動遮光装置は、ハウジング内に、ADFレンズアセンブリと一体化された拡大鏡アセンブリをさらに含む。拡大鏡アセンブリは、ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、倍率を提供するように構成されている。倍率は、規定された低い倍率レベルから規定された高い倍率レベルまで、連続的にユーザによる調整が可能である。一実施形態では、規定された低い倍率レベルは、倍率レベル1(すなわち、倍率なし)である。一実施形態では、規定された高い倍率レベルは1.9~4.1である。一実施形態では、規定された高い倍率レベルは1.4~2.1である。一実施形態では、拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学拡大レンズを含む。一実施形態では、拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学凸レンズを含む。一実施形態では、拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学凹レンズを含む。一実施形態では、拡大鏡アセンブリは、ハウジング内に、光学レンズ構成部と、拡大レンズ調整部と、を含み、拡大レンズ調整部は、光学レンズ構成部の少なくとも一部が向けられる角度を機械的に調整するために、ユーザによって操作されるように構成されており、ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、ユーザが見る際に倍率レベルの調整をもたらす。一実施形態では、拡大鏡アセンブリは、ハウジング内に、光学レンズ構成部と、拡大レンズ調整部と、を含み、拡大レンズ調整部は、光学レンズ構成部の焦点距離又は光学レンズ構成部の少なくとも一部の位置のうちの少なくとも1つを機械的に調整するために、ユーザによって操作されるように構成されており、ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、ユーザが見る際に倍率レベルの調整をもたらす。一実施形態では、自動遮光装置は、ADFレンズアセンブリの感度、遮光度、及び戻り速度のうちの少なくとも1つのユーザによる調整を提供するように構成されている。
【0006】
一実施形態は、人間の溶接工によって行われる溶接を支持するための溶接ヘルメットを提供する。溶接ヘルメットは、ユーザの頭部に装着されるように構成された、観察窓を有するヘルメットシェルを含む。溶接ヘルメットはまた、第1のハウジング内に、溶接プロセス中に溶接電極とワークピースとの間に形成されるアークからの光に応答して、非遮光状態から遮光状態に移行するように構成されたADFレンズアセンブリを含む。第1のハウジングは、観察窓において、ヘルメットシェルに取り外し可能に取り付けられるように構成されている。溶接ヘルメットは、第2のハウジング内に、ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、倍率を提供するように構成された拡大鏡アセンブリをさらに含む。倍率は、規定された低い倍率レベルから規定された高い倍率レベルまで、連続的にユーザによる調整が可能である。第2のハウジングは、観察窓において、第1のハウジングに隣接してヘルメットシェルに取り外し可能に取り付けられるように構成されている。一実施形態では、定義された低い倍率レベルは、倍率レベル1(すなわち、倍率なし)である。一実施形態では、規定された高い倍率レベルは1.9~4.1である。一実施形態では、規定された高い倍率レベルは1.4~2.1である。一実施形態では、拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学拡大レンズを含む。一実施形態では、拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学凸レンズを含む。一実施形態では、拡大鏡アセンブリは、少なくとも1つの光学凹レンズを含む。一実施形態では、拡大鏡アセンブリは、第2のハウジング内に、光学レンズ構成部と、拡大レンズ調整部と、を含み、拡大レンズ調整部は、光学レンズ構成部の少なくとも一部が向けられる角度を機械的に調整するために、ユーザによって操作されるように構成されており、ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、ユーザが見る際に倍率レベルの調整をもたらす。一実施形態では、拡大鏡アセンブリは、第2のハウジング内に、光学レンズ構成部と、光学レンズ構成部の焦点距離又は光学レンズ構成部の少なくとも一部の位置のうちの少なくとも1つを機械的に調整するために、ユーザによって操作されるように構成された拡大レンズ調整部と、を含み、ADFレンズアセンブリを通過する光に関して、ユーザが見る際に倍率レベルの調整をもたらす。一実施形態では、溶接ヘルメットは、ADFレンズアセンブリの感度、遮光度、及び戻り速度のうちの少なくとも1つのユーザによる調整を提供するように構成される。
【0007】
一般的な発明概念の多数の態様は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明から、特許請求の範囲から、及び添付の図面から容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の様々な実施形態を示す。図中の図示された要素境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、又は他の形状)は、境界の一実施形態を表すことが理解されよう。いくつかの実施形態では、1つの要素が複数の要素として設計されてもよく、又は複数の要素が1つの要素として設計されてもよい。いくつかの実施形態では、別の要素の内部構成要素として示される要素は、外部構成要素として実装されてもよく、逆もまた同様である。さらに、要素は一定の縮尺で描かれていない場合がある。
図1A】人間の溶接工によって行われる溶接を支援するための、自動遮光装置の一実施形態のいくつかの図を示す。
図1B】人間の溶接工によって行われる溶接を支援するための、自動遮光装置の一実施形態のいくつかの図を示す。
図1C】人間の溶接工によって行われる溶接を支援するための、自動遮光装置の一実施形態のいくつかの図を示す。
図2図1の自動遮光装置の分解図を示す。
図3図1A図1B図1C、及び図2の自動遮光装置が内部に組み付けられるように構成された溶接ヘルメットの一実施形態の分解図を示す。
図4】人間の溶接工によって行われる溶接を支援するための自動遮光装置の一実施形態の分解図を示す。
図5】人間の溶接工によって行われる溶接を支援するための拡大鏡アセンブリが拡大装置の内部に組み込まれ、図4の自動遮光装置のハウジングとは別のハウジングに収容された、拡大装置の一実施形態を示す。
図6A図5の拡大装置に対する図4の自動遮光装置の関係を示す。
図6B】溶接ヘルメット内に組み付けられたときになる状態のように、図4の自動遮光装置のすぐ後ろに、かつ、自動遮光装置に接して配置されている、図5の拡大装置を示す。
図7図6Aの自動遮光装置及び拡大装置が内部に組み付けられるように構成された、溶接ヘルメットの一実施形態の分解図を示す。
図8】例えば、図2の自動遮光装置におけるコントローラとして、又は図4の自動遮光装置におけるコントローラとして使用され得る、コントローラの例示的実施形態のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態は、溶接ヘルメットで使用するために、ADFレンズアセンブリがADFハウジング内において拡大鏡アセンブリと一体化された自動遮光装置を含む。本発明の一実施形態は、ADFハウジング内に、拡大鏡アセンブリと一体化されたADFレンズアセンブリを有する自動遮光装置を、内部に組み付けるように構成された溶接ヘルメットを含む。一実施形態において、自動遮光装置は、溶接ヘルメット内に取り外し可能にスナップ留めされるカートリッジの形態である。
【0010】
本明細書中の実施例及び図面は、例示にすぎず、主題の発明を限定することを意図しておらず、主題の発明は、特許請求の範囲及び趣旨によって判断される。ここで図面を参照すると、これらの図示は、主題の発明の例示的な実施形態を示すことのみを目的とし、これを限定することを目的とせず、図1A図1B、及び図1Cは、人間の溶接工によって行われる溶接を支援するための、自動遮光装置100の一実施形態のいくつかの図を示す。
【0011】
図1Aは、自動遮光装置100の(ユーザから見た)背面図であり、図1Bは、自動遮光装置100の上面図であり、図1Cは、自動遮光装置100の側面図である。自動遮光装置100のフォームファクタは、装置100の内部構成要素を収容するハウジング120(カートリッジ状ハウジング120とも呼ばれる)によって主に規定される。図1A図1B、及び図1Cに示すように、自動遮光装置100は、感度調整部102、遮光度調整部104、及び戻り速度調整部106を有する。そのようなタイプのADFレンズ調整は、当該技術分野において既知である。自動遮光装置100はまた、2つの拡大レンズ調整部108及び110を有し、各々が、(ユーザの各目に対して1つの)倍率の連続調整を提供する。様々な調整部102,104,106,108及び110は、ユーザによる調整が可能であり、例えば、ノブ、ダイヤル、スイッチ、ギア、ばね、及びサムホイールのいずれかを含むことができる。他の実施形態によれば、他の形態の調整部も可能である。
【0012】
図2は、図1の自動遮光装置100の分解図を示す。本明細書で上述した調整部102、104、106、108及び110に加えて、自動遮光装置100はまた、一体となって単一のハウジング又はカートリッジ120(例えば、図1B及び図1C参照)を形成する前側ハウジング122及び後側ハウジング124を含む。ハウジング120内には、コントローラ130、液晶ディスプレイ(LCD)スタック140(ADFレンズアセンブリ140とも呼ばれる)、左拡大レンズ150、及び右拡大レンズ160(光学レンズ構成部170とも呼ばれ、図2において点線の楕円で示されている)が一体化されている。拡大レンズ150及び160(光学レンズ構成部170)は、2つの拡大レンズ調整部108及び110とともに、図2において別の点線の楕円で輪郭が示されているように、拡大鏡アセンブリ180を構成している。自動遮光装置100はまた、装置100に電力を供給するために使用されるバッテリを保持するためのバッテリクリップ190を含む。自動遮光装置100の主要な構成要素の順序は、(前方から後方へ)前側ハウジング122、コントローラ130、ADFレンズアセンブリ140、拡大鏡アセンブリ180、及び後側ハウジング124である。
【0013】
コントローラ130は、自動遮光装置100の機能の多くを制御し、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)上に実装され得る。本明細書の図8は、コントローラ130として使用され得るコントローラ800の一実施形態を説明する。コントローラ130によって制御される特定の機能は、ADFレンズアセンブリ140の(例えば、溶接プロセス中に、溶接電極とワークピースとの間で形成又は消火されるアークからの光に応答する)非遮光状態と遮光状態との間の切り替えと、感度調整部102、遮光度調整部104、及び戻り速度調整部106をそれぞれ介した、ユーザによって選択される、感度、遮光度、及び戻り速度の設定と、を含む。ADFレンズアセンブリ140は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,825,441号明細書、米国特許第6,097,451号明細書、及び米国特許第7,477,330号明細書で論じられているように、LCDレンズ及び偏光フィルタの様々な層を含むことができる。前側ハウジング122及び後側ハウジング124は、一実施形態によれば、大部分が成形プラスチック部品である。
【0014】
拡大鏡アセンブリ180の拡大レンズ150及び160は、一実施形態によれば、ガラス製の光学レンズ(例えば、薄いレンズ設計の凸光学レンズ)である。いくつかの他の実施形態では、拡大レンズ150及び160は、ポリマー材料製の光学レンズである。光学レンズは、光学設計に応じて様々なタイプ(例えば、凸、両凸、平凸、正メニスカス、負メニスカス、凹、両凹、平凹、薄型レンズ設計、厚型レンズ設計)であってもよい。いくつかの実施形態では、拡大レンズ150及び160はそれぞれ、(例えば、所望の光学特性を提供するように互いに対して配置された2つ以上の光学レンズを有する)複数の光学レンズによる設計を含んでもよい。複数光学レンズによる設計は、例えば、拡大レンズ全体の焦点距離の調整を可能にし得る。さらに、いくつかの拡大レンズ設計は、例えば、ユーザによって受け取られる画像を回転又は反転させるために使用されるプリズムを含んでもよい。
【0015】
図2の分解構成では、拡大レンズ150及び160は、互いに隣接して、ADFレンズアセンブリ140の後に配置されている。各拡大レンズ150及び160は、ユーザの別々の目に適応する。拡大鏡アセンブリ180は、倍率が、規定された低い倍率レベル(例えば、1倍又は倍率なし)から、規定された高い倍率レベル(例えば、2倍、3倍、又は4倍の倍率)まで連続的にユーザによる調整が可能であるように、ADFレンズアセンブリ140を通過する光に関して、倍率を提供するように構成されている。拡大レベルは、規定された低い倍率レベルから、規定された高い倍率レベルへ、かつ、また戻るように連続的に、拡大レンズ調整部108及び110を介して機械的に調整可能である。
【0016】
一実施形態では、拡大鏡アセンブリ180は、(拡大レンズ150及び160を有する)光学レンズ構成部170と、拡大レンズ調整部108及び110と、を含む。拡大レンズ調整部108及び110は、ハウジング120内の対応するレンズ150及び160の角度、位置、又は焦点距離のうちの1つ以上を機械的に調整するためにユーザによって操作されるように構成されており、ADFレンズアセンブリ140を通過する光に関して、倍率レベルが調整される。例えば、一実施形態によれば、拡大レンズ150及び160の各々は、ユーザの目に向かって、又はユーザの目から離れるように、回転させる(角度を付ける)ことができる。ユーザに向かってレンズを回転させると倍率が大きくなり、ユーザから離れるようにレンズを回転させると倍率が小さくなる。角度を10分の1度だけ変化させるだけで、倍率レベルを大幅に変化させることができる。
【0017】
一実施形態によれば、拡大レンズ調整部108及び110の各々は、角度、位置、及び/又は焦点距離の機械的調整に作用するように、拡大レンズ150及び160を操作するように構成された、回転可能なサムホイール、1組の小型ギア、並びに1組の小型ばねを含む。拡大レンズ150及び160を機械的に操作するために、拡大レンズ調整部108及び110の他の実施形態も可能である。例えば、一実施形態によれば、拡大レンズ150及び160は、可撓性ポリマー材料製であり、拡大レンズ調整部108及び110は、対応する拡大レンズ150及び160の形状を曲げる又は変化させるように構成さており、焦点距離の変化、したがって拡大レンズ150及び160の倍率レベルの変化をもたらす。
【0018】
図3は、図1A図1B図1C、及び図2の自動遮光装置100が内部に組み付けられるように構成された、溶接ヘルメット300の一実施形態の分解図を示す。溶接ヘルメット300は、シェル310と、観察窓315(例えば、開口した観察窓)と、スパッタシールド320と、フロントベゼル330と、ヘッドギア(図示せず)用のヘッドギア取付けハードウェア341、342、343と、を含む。スパッタシールド320及びフロントベゼル330は、シェル310の前方から組み付けられる。自動遮光装置100は、従来の自動遮光フィルタと同様に、シェル310の後部から組み付けられる。しかしながら、従来の自動遮光フィルタとは異なり、自動遮光装置100は、統合された拡大鏡アセンブリ180を有し、本明細書で説明されるように、連続的に調整可能な拡大機能を提供する。米国特許第9,889,045号明細書は、溶接ヘルメット構成の様々な例を説明しており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
他の実施形態では、拡大鏡アセンブリ180は、自動遮光要素のハウジングとは異なるハウジング内にあってもよい。例えば、図4は、人間の溶接工によって行われる溶接をサポートするための、自動遮光装置400の一実施形態の分解図を示す。自動遮光装置400の要素は、自動遮光装置400が拡大鏡アセンブリ180を含まないことを除いて、図2の自動遮光装置100の要素と同様である。代わりに、図5は、自動遮光装置400のハウジングとは別個のハウジング510内に収容された、人間の溶接工によって行われる溶接をサポートするための、拡大鏡アセンブリ180が内部に一体化された拡大装置500の一実施形態を示す。拡大装置500の様々な実施形態は、本明細書で説明する拡大鏡アセンブリ180の様々な実施形態と同様に動作する。拡大装置500は、大部分が機械的な装置であり、自動遮光装置400のようにコントローラ130又はバッテリを必要としない。その結果、図6Aは、図5の拡大装置500に対する図4の自動遮光装置400の関係を示す。図6Bは、溶接ヘルメット内に組み付けられたときになる状態のように、図4の自動遮光装置400のすぐ後ろに、かつ、自動遮光装置400接して配置されている、図5の拡大装置500を示す。
【0020】
図7は、図6A及び図6Bの自動遮光装置400並びに拡大装置500が内部に組み付けらるように構成された、溶接ヘルメット700の一実施形態の分解図を示す。溶接ヘルメット700は、溶接ヘルメット700が自動遮光装置100の代わりに、自動遮光装置400及び拡大装置500が組み付けられるように構成されていることを除いて、図3の溶接ヘルメット300と同様である。自動遮光装置400は、最初にシェル310の後部から組み付けられ、続いて拡大装置500が組み付けられる。しかしながら、結果として得られる遮光及び拡大機能は、溶接ヘルメット300及び700の両方において本質的に同じである。
【0021】
図8は、例えば、図2の自動遮光装置100におけるコントローラ130として、又は図4の自動遮光装置400におけるコントローラ130として使用することができる、コントローラ800の例示的な実施形態のブロック図を示す。図8を参照すると、コントローラ800は、バスサブシステム812を介して、いくつかの他の構成要素と通信する少なくとも1つのプロセッサ814(例えば、マイクロプロセッサ)を含む。これらの他のデバイスは、例えば、メモリサブシステム828及びファイルストレージサブシステム826を含むストレージサブシステム824、ユーザインタフェース入力デバイス822、ユーザインタフェース出力デバイス820、並びにネットワークインタフェースサブシステム816を含むことができる。入力及び出力デバイスは、ユーザにコントローラ800との相互作用を可能にする。ネットワークインタフェースサブシステム816は、外部ネットワークへのインタフェースを提供し、さらに他のデバイス内の対応するインタフェースデバイスに連結されている。
【0022】
ユーザインタフェース入力デバイス822は、例えば、音声認識システム及びマイクロフォンなどのオーディオ入力デバイス、又はワイヤレス通信デバイス(例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fiデバイス)を含み得る。一般に、「入力デバイス」という用語の使用は、自動遮光装置のフォームファクタ内に収まる、ユーザからコントローラ800内に、又は通信ネットワーク上に情報を入力するための、すべての可能なタイプのデバイス及び方法を含むことが意図される。ユーザインタフェース出力デバイス820は、例えば、スピーカなどのオーディオ出力デバイス、又は無線通信デバイス(例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fiデバイス)を含んでもよい。一般に、「出力デバイス」という用語の使用は、自動遮光装置のフォームファクタ内に収まる、コントローラ800からユーザ、別の機械、又はコンピュータシステムに情報を出力するための、すべての可能なタイプのデバイス及び方法を含むことが意図される。
【0023】
ストレージサブシステム824は、本明細書で説明される機能の一部を提供するプログラミング及びデータ構造を記憶する。例えば、コンピュータ実行可能命令及びデータは、一般に、プロセッサ814単独で、又は他のプロセッサと組み合わせて実行される。ストレージサブシステム824で使用されるメモリ828は、プログラム実行中に命令及びデータを記憶するためのメインランダムアクセスメモリ(RAM)830と、固定命令が記憶されているリードオンリーメモリ(ROM)832とを含むいくつかのメモリを含むことができる。ファイルストレージサブシステム826は、プログラム及びデータファイルのための永続的ストレージを提供することができ、例えば、リムーバブルメディアカートリッジなどのリムーバブルメディアを含むことができる。特定の実施形態の機能を実装するコンピュータ実行可能命令及びデータは、ファイルストレージサブシステム826によって、ストレージサブシステム824内に、又はプロセッサ814によって(例えば、無線通信手段を介して)アクセス可能な他の機械内に記憶され得る。
【0024】
バスサブシステム812は、コントローラ800の様々な構成要素及びサブシステムを、意図されたように互いに通信させるための機構を提供する。バスサブシステム812は、単一のバスとして概略的に示されているが、バスサブシステムの代替実施形態は、複数のバスを使用することができる。
【0025】
コントローラ800は、様々なタイプのものとすることができる。コンピューティングデバイス及びネットワークの絶えず変化する性質に起因して、図8に描写されたコントローラ800の説明は、いくつかの実施形態を示す目的のための特定の例としてのみ意図される。図8に描写されたコントローラ800よりも多い又は少ない構成要素を有する、コントローラの多くの他の構成が可能である。
【0026】
開示された実施形態をかなり詳細に図示及び説明してきたが、任意の後続の添付された特許請求の範囲を、そのような詳細な内容に制限すること又はいかなる方法においても限定することは意図されていない。当然のことながら、主題の様々な態様を説明する目的で、構成要素又は方法の考えられるすべての組み合せを説明することは不可能である。したがって、本開示は、図示及び説明された特定の詳細又は例示的な例に限定されない。したがって、本開示は、米国特許法第101条の法的主題要件を満たす、後続の添付の特許請求の範囲内に入る変更、修正、及び変形を包含することが意図される。特定の実施形態の上記の説明は、例として与えられている。与えられた開示から、当業者は、一般的な発明概念及び付随する利点を理解するだけでなく、開示された構造及び方法に対する明らかな様々な変更及び修正を見出すであろう。したがって、後続の添付の特許請求の範囲及びその同等物によって定義されるそのような変更及び修正を、一般的な発明概念の趣旨及び範囲内に入るものとして包含することが求められる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8