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  • 特開-灌流投与剤形 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088701
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】灌流投与剤形
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4745 20060101AFI20240625BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240625BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20240625BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20240625BHJP
   A61J 1/14 20230101ALI20240625BHJP
   A61J 1/10 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/12
A61P35/00
A61K31/519
A61K31/337
A61K31/7068
A61K33/243
A61K31/282
A61J1/14 520
A61J1/10 330
A61J1/10 333A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059568
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2022006307の分割
【原出願日】2015-09-03
(31)【優先権主張番号】2804/MUM/2014
(32)【優先日】2014-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】503422000
【氏名又は名称】サン ファーマシューティカル インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】サマルス、クマール
(72)【発明者】
【氏名】パラシャント、ケーン
(72)【発明者】
【氏名】バララム、スバス、ボーミック
(72)【発明者】
【氏名】キルティ、ガノルカー
(72)【発明者】
【氏名】ニシット、パテル
(72)【発明者】
【氏名】アニルラオ、アシシュ、デュベウォー
(72)【発明者】
【氏名】ムケシュバイ、ウメシュクマール、パテル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】静脈内投与前の操作、希釈、再構成、調剤、滅菌、移送、取扱い、または配合の工程を回避して、薬物の用量を、それを必要とする患者に投与可能とする、灌流投与剤形を提供する。
【解決手段】各灌流容器が抗癌薬/化学療法剤を含む、すぐに注入することのできる第一の灌流水溶液を50~500mLを含む、複数の灌流容器の第一のセットと、各トップアップ灌流容器の第二のセットが抗癌薬/化学療法剤を含む、すぐに注入することのできる第二の灌流水溶液を含む、複数のトップアップ灌流容器の第二のセットと、を備える複数のフレキシブルな灌流容器を備える灌流投与剤形である。ここで、第一の灌流水溶液の抗癌薬/化学療法剤濃度が、第二の複数の灌流水溶液の抗癌薬/化学療法剤濃度よりも高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イリノテカン塩酸塩を、約0.2mg/mLから2.0mg/mLの範囲の濃度で含む
、すぐに注入することのできる安定で無菌である、灌流水溶液を50~500mL含む、
フレキシブルな灌流容器であって、
張性調節剤と、
注入用の水と、
乳酸と、
を備え、
前記水溶液が、3.0~4.5のpHを有し、
前記フレキシブル灌流容器が、静脈投与中に内部からの前記水溶液の単一放出流を可能
とする、単一出口部を有し、
前記フレキシブル灌流容器が、オートクレーブにより最終滅菌されてなり、
灌流容器、及び
前記灌流容器を、包み込み、前記薬物の溶液を光から保護するように設計されてなる、
二次パッケージ材、
を備え、
25℃、相対湿度40%の環境下において12ヶ月保存したとき、イリノテカン塩酸塩
を含む、すぐに注入することのできる、前記溶液は、合計不純物が、1.0%以下であり
、最も多い未知不純物が、0.2%以下であり、不純物Aが、0.2%以下である、灌流
投与剤形。
【請求項2】
すぐに注入することのできる安定で無菌である、イリノテカン塩酸塩を含む灌流水溶液
を50~500mL含む、第一のセットと、
すぐに注入することのできる安定で無菌である、イリノテカン塩酸塩を含む灌流水溶液
を10~100mL含む、トップアップ容器の第二および第三のセットと、を備えるフレ
キシブルな灌流容器を備え、
前記フレキシブル灌流容器は、静脈投与中に内部からの前記水溶液の単一放出流を可能
とする単一出口部を有し、
前記フレキシブル灌流容器は、オートクレーブによって最終滅菌されている、灌流投与
剤形。
【請求項3】
前記第一のフレキシブル灌流容器に含まれる前記すぐに注入することのできる安定で無
菌である灌流水溶液は、前記第二および第三のフレキシブルトップアップ灌流容器に含ま
れる前記灌流水溶液より高いか同等の濃度を有する、請求項2に記載の灌流投与剤形。
【請求項4】
すぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液が、3.0から4.5の範囲
のpHを有し、
イリノテカン塩酸塩が、前記灌流容器の前記第一のセット中に、0.1mg/mLから
3.0mg/mLの範囲の濃度で存在し、
イリノテカン塩酸塩が、前記トップアップ灌流容器の前記第二または第三のトップアッ
プ灌流容器のセット中に、0.1mg/mLから0.6mg/mLの範囲の濃度で存在す
る、請求項2に記載の灌流投与剤形。
【請求項5】
イリノテカン塩酸塩が、前記灌流容器の前記第一のセット中に、0.2mg/mLまた
は1.5mg/mLの濃度でかつ、50mLから300mLの範囲の体積で存在し、
イリノテカン塩酸塩が、前記トップアップ灌流容器の前記第二の所望のセット中に、0
.2mg/mLまたは0.4mg/mLの濃度で、かつ、10mLから100mLの範囲
の体積で存在し、ならびに
イリノテカン塩酸塩が、前記トップアップ灌流容器の前記第三の所望のセット中に、0
.2mg/mLの濃度でかつ10mLから100mLの範囲の体積で存在する、請求項2
に記載の灌流投与剤形。
【請求項6】
前記灌流投与剤形を、25℃、相対湿度40%の環境下において12ヶ月保存したとき
、イリノテカン塩酸塩を含む、すぐに注入することのできる、前記溶液は、合計不純物が
、1.0%以下であり、最も多い未知不純物が、0.2%以下であり、かつ、不純物(S
)-4,11-ジエチル-4,9-ジヒドロキシ-1H-ピラノ[3‘,4’:6,7]
インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,14(4H,12H)-ジオンが、0.2%以
下である、請求項2、4または5のいずれか一項に記載の灌流投与剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院または診療所が、静脈内投与前の操作、希釈、再構成、調剤、滅菌、移
送、取扱い、または配合の工程を回避して、薬物の用量を、それを必要とする患者に投与
可能となるための方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、薬物のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を各
容器が含んでいる灌流容器(perfusion containers)の異なるセットを含み、灌流容器の
セットが、単独で、または組み合わされて、送達用量が算出用量に等しいか、またはその
±5%以内となるように薬物の所望される用量の直接の静脈内投与を、それを必要とする
患者に提供する灌流システムにも関する。
【背景技術】
【0003】
市販の注射剤形、特に化学療法剤の注射剤形のほとんどには、以下のような欠点が伴う

1.第一に、このような市販品は、患者に直接投与することができず、操作が必要であ
り、注入前に、濃縮溶液を希釈する必要があるか、または凍結乾燥粉末を、適切な溶媒を
用いて再構成する必要がある。
2.第二に、この不都合性に加えて、操作は、関与する人員(職員、薬剤師、医療スタ
ッフ、看護師)を、細胞毒性薬物に暴露するリスクに曝すことになる。
3.いずれの操作においても、静脈内灌流剤に必要とされる無菌性が、特にそれが保存
剤を含有せずに設計される場合に、損なわれる可能性がある。
4.静脈内注入のためのこの溶液の作製時に、薬物が最も安定である所望されるpHな
どの理想的な最適条件が乱される。従って、注入剤が保存される場合、劣化がより迅速に
発生する。
5.人手による操作は、投薬/投与のミスを伴う。抗悪性腫瘍薬は特に、低い治療指数
を有する。投与または投与率における投薬ミスは、非常に望ましくない結果を起こす可能
性があり、好ましくない治療成績がもたらされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、患者への薬物の正確な投与を可能とし、同時に上述したミスを回避する方法
を提供する。本発明の方法は、薬物の所望される用量を静脈内投与する前の操作、希釈、
再構成、調剤、滅菌、移送、取扱い、または配合の工程を回避する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、病院または診療所が、静脈内投与前の操作、希釈、再構成、調剤、滅菌、移
送、取扱い、または配合の工程を回避して、薬物の用量を、それを必要とする患者に投与
可能となるための方法を提供し、その方法は:
(a)高い方の第一の濃度である薬物のすぐに注入することのできる安定で無菌であ
る灌流水溶液を含有する灌流容器の第一のセット、および第二の濃度である薬物のすぐに
注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を含有するトップアップ灌流容器(to
p-up perfusion containers)の第二のセット、および所望に応じて存在してよい第三の
濃度である薬物のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を有するトッ
プアップ灌流容器の第三のセットを、薬物の第一の濃度が第二および第三の濃度よりも高
く、灌流容器の各セット内の容器の容量が、低容量から高容量まで及ぶように製造するこ
と、
(b)少なくとも1つの患者パラメーターに従って患者に投与すべき用量を算出する
こと、ならびに、送達用量が、算出用量に等しいか、またはその±5%以内となるように
、第一のセットから1つ以上の灌流容器を、および必要に応じて第二または第三のセット
から1つ以上のトップアップ灌流容器を選択するための、ならびに選択された灌流容器か
ら薬物を直接投与するための指示を提供すること、
(c)販売業者または病院または診療所に、灌流容器の第一のセット、およびトップ
アップ容器の第二または第三のセットを指示と共に供給すること、
を含む。
【0006】
本発明のさらなる態様によると:
薬物の第一の濃度が第二および第三の濃度よりも高く、灌流容器の第一から第三のセ
ットの容量が、高容量から低容量まで及んでいる高い方の第一の濃度である薬物のすぐに
注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を含む灌流容器の第一のセット、およ
び第二の濃度である薬物のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を含
むトップアップ灌流容器の第二のセット、および所望に応じて存在してよい第三の濃度で
ある薬物のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を含むトップアップ
灌流容器の第三のセット、
送達用量が、少なくとも1つの患者パラメーターに従って算出された用量に等しいか
、またはその±5%以内となるように、第一のセットから1つ以上の灌流容器を、および
必要に応じて第二または第三のセットから1つ以上のトップアップ灌流容器を選択するた
めの、ならびに選択された灌流容器から薬物を直接投与するための指示、
を含む灌流システムが提供され、ここで、灌流容器のセットは、単独で、または組み合
わされて、送達用量が算出用量に等しいか、またはその±5%以内となるように薬物の所
望される用量の直接の静脈内投与を、それを必要とする患者に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、灌流投与剤形の構成を表し、1は、薬物のすぐに注入することのできる安定で無菌である水溶液が充填された灌流バッグであり、2は、二次パッケージ材である上包みアルミニウムパウチであり、3は、静脈内経路で溶液を送達するための単一出口ポートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の本明細書で用いられる場合、「灌流」の用語は、リンパ系または血管を通して
臓器または組織に至る流体の流れを意味し、特に、この用語は、活性成分溶液の患者への
緩徐もしくは持続的静脈内注入または投与を意味する。
【0009】
「すぐに注入することのできる」または「直接投与」または「直接静脈内注入」または
「直接送達」の用語は、本明細書で用いられる場合、薬物溶液の静脈内注射投与の前に操
作、希釈、再構成、調剤、滅菌、移送、取扱い、または配合のいずれの中間工程も関与す
ることなく、薬物水溶液を患者へ直接静脈内注入することを意味する。薬物水溶液は、灌
流容器から直接注射投与することができる。
【0010】
本明細書で用いられる場合、「算出用量」の用語は、疾患状態または言い換えると適応
症、ならびに体表面積、体重、腎クリアランス、または肝機能、およびその他の因子など
の用量算出に影響を与え得る患者パラメーターに応じて患者に投与されることになる薬物
の用量を意味する。
【0011】
本明細書で用いられる場合、「送達用量」の用語は、第一のセットの灌流容器、ならび
に所望に応じて存在してよい第二および第三のセットの灌流容器から患者に送達される薬
物の用量を意味する。本発明の方法に従う送達用量は、算出用量に等しいか、またはその
±5%以内である。変動%は、送達用量と算出用量との差異を算出用量で除した%として
算出することができる。
【0012】
「トップアップ灌流容器」の用語は、容器の一次または第一のセットに存在する薬物水
溶液の濃度よりも低い濃度である薬物水溶液を含有する灌流容器を意味する。
【0013】
本発明の文脈で用いられる場合、「無菌」または「滅菌される」の用語は、溶液が無菌
状態とされ、その後、微生物汚染に暴露されていないこと、すなわち、灌流容器中に存在
する水溶液の無菌性が損なわれていないことを意味する。
【0014】
本明細書で用いられる場合、「安定」の用語は、剤形が室温(約25℃および相対湿度
40%)で、12ヶ月間、好ましくは18ヶ月間、より好ましくは24か月間以上保存さ
れた場合に、許容される仕様への適合によって示されるように、容器に充填された灌流水
溶液が、物理的にも化学的にも安定であることを意味する。
【0015】
本発明の方法またはシステムによると、高い方の第一の濃度である薬物のすぐに注入す
ることのできる安定で無菌である灌流水溶液を含有する灌流容器の第一のセットが提供さ
れる。この溶液は、一般的に、灌流容器の(1もしくは複数の)他のセットからの薬物の
溶液よりも高い濃度および多い体積で投与される。灌流容器の第二または第三のセットは
、薬物の第一の濃度(灌流容器の第一のセットで提供される)よりも低い濃度である薬物
の灌流水溶液を含む。灌流容器の第一から第三のセットは、容量が高容量から低容量に及
んでいる。薬物の無菌水溶液で充填された無菌灌流容器のセットは、特に、病院構内では
なく医薬品製造所で製造され、病院構内では、製造プラントまたは製造所で別個に製造さ
れ、まとまった量で病院または薬局に供給された水溶液の調剤または混合の中間工程が行
われ得る。灌流容器は、薬物の灌流水溶液で充填され、灌流容器は、医薬品製造所での滅
菌プロセスに掛けられる。
【0016】
一般的に、容器の第一のセットからの容器の容量は、容器の第二および第三のセットか
らの容器の容量よりも大きく、容器の第二のセットからの容器の容量は、容器の第三のセ
ットからの容器の容量よりも一般的には大きい。
【0017】
本発明の実施形態によると、容器の第一のセットからの容器の容量は、容器の第二およ
び第三のセットからの容器の容量よりも大きく、容器の第三のセットからの容器の容量は
、容器の第二のセットからの容器の容量とほぼ同じである。容器のセット中の各容器は、
同一の容量を有していても、または異なる容量を有していてもよい。一般的に、セット中
の各容器は、異なる容量を有する。1つの実施形態によると、容器の第二および所望に応
じて存在してよい第三のセットは、容器の第一のセットの中の最も少ない付随容量を有す
る容器の容量の10%から90%の付随容量を有し;一般的には50%から75%である
【0018】
一般的に、容器の第一のセット中の薬物溶液濃度は、容器の第二または第三のセット中
の薬物溶液濃度よりも高い。容器の第二のセット中の薬物溶液濃度は、容器の第三のセッ
ト中の薬物濃度よりも高いか、または同じであってよい。1つの実施形態によると、容器
の第二および所望に応じて存在してよい第三のセット中の薬物溶液濃度は、容器の第一の
セット中の薬物溶液濃度よりも10%から95%、一般的には75%から95%低い。典
型的には、容器の第二のセット中の薬物溶液濃度は、容器の第一のセット中の薬物溶液濃
度の10%から30%である。典型的には、容器の第三のセット中の薬物溶液濃度は、容
器の第一のセット中の薬物溶液濃度の5%から15%である。
【0019】
患者に投与されるべき用量は、少なくとも1つの患者パラメーターに従って算出されて
よい。送達用量が、算出用量に等しいか、またはその±5%以内となるように、第一のセ
ットから1つ以上の灌流容器を、および必要に応じて第二または第三のセットから1つ以
上のトップアップ灌流容器を選択するための、ならびに選択された灌流容器から薬物を直
接投与するための指示、特に書面による指示書が提供される。適切には、患者に投与され
るべき用量がそれに従って算出される患者パラメーターは、患者の体表面積、体重もしく
は標準体重、肝機能、または腎機能のうちの1つから成る群より選択されてよい。ある好
ましい実施形態では、患者パラメーターは、患者の体表面積である。
【0020】
さらに、本発明は、販売業者または病院または診療所に、灌流容器の第一のセット、お
よびトップアップ容器の第二または第三のセットを、指示、一般的には書面の形態の指示
書と共に供給することを含んでよい。
【0021】
本発明の方法またはシステムは、薬物の所望される用量を静脈内投与する前の操作、希
釈、再構成、調剤、滅菌、移送、取扱い、または配合の工程を回避する。適切には、この
方法は、いずれの操作も、従来の凍結乾燥品もしくは濃縮品の場合に関与する再構成また
は希釈などのいずれの工程も回避する。この方法はさらに、投与前の1つの容器から別の
容器への灌流溶液移送のいかなる工程も、または投与前のいかなる体積調節も、すなわち
灌流容器に対する水溶液の添加または抜き取りも関与しない。本発明の方法は、従って、
考え得るいかなる算出もしくは希釈ミスのリスクも、さらには投与前の微生物汚染のリス
クも排除する。本発明の方法はまた、病院人員による薬物との接触も排除、または最小限
に抑え、従って、薬物、特には細胞毒性抗癌薬に伴う考え得るいかなる副作用も回避され
る。
【0022】
本発明の方法またはシステムに従う薬物は、抗癌/化学療法剤、抗生物質または抗菌剤
、鎮痛剤または麻酔剤、アルファアドレナリン作用剤、ベータアドレナリン作用剤、筋弛
緩剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤から成る群より選択される活性成分である。適切には、薬
物は、イリノテカン、トポテカン、ペメトレキセド、ドセタキセル、パクリタキセル、ゲ
ムシタビン、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ロイコボリン(leukov
orin)、エトポシド、ドキソルビシン、ダウノニビシン(daunonibicin)、エピルビシン
、イダルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、5‐フルオロウラシ
ル、イホスファミド、シクロホスファミド、メクロレタミン、カルムスチン、ダカルバジ
ン、クラドリビン、フルベストラント、ペグフィルグラスチム、パミドロネート、ゾレド
ロン酸、ミトキサントロン、ストレプトゾシン、マイトマイシン、ゲンタマイシン、テニ
ポシドなどであるがこれらに限定されない抗癌薬/化学療法剤;バンコマイシン、メチシ
リン、ダプトマイシン、トブラマイシン、アミカシン、チカルシリンなどであるがこれら
に限定されない抗微生物剤;ミダゾラム、プロポフォール、フェンタニル、レミフェンタ
ニル、チオペンタールなどであるがこれらに限定されない鎮痛剤または麻酔剤;ロクロニ
ウム、ベクロニウム、アトラクリウムなどであるがこれらに限定されない筋弛緩剤;ボリ
コナゾールなどであるがこれに限定されない抗真菌剤、アシクロビルなどであるがこれに
限定されない抗ウイルス剤から成る群より選択されてよい。
【0023】
好ましい実施形態では、薬物は、抗癌剤から成る群より選択される。1つの好ましい実
施形態では、薬物は、イリノテカンまたはその薬理学的に許容される塩である。好ましく
は、塩は、塩酸塩である。イリノテカンまたはその薬理学的に許容される塩、例えばイリ
ノテカン塩酸塩は、本発明の方法において、約0.1mg/mLから約3.0mg/mL
;好ましくは約0.2mg/mLから約2.0mg/mLの範囲の濃度で用いられてよい
【0024】
適切には、本発明の1つの好ましい実施形態によると、灌流容器の第一のセットは、第
一の高い方の濃度である薬物、イリノテカン塩酸塩のすぐに注入することのできる安定で
無菌である灌流水溶液を含有し、第一の高い方の濃度は、約1.0mg/mLから約3.
0mg/mLの範囲であってよい。好ましくは、第一の高い方の濃度は、1.5mg/m
Lである。この実施形態によると、注入容器の第二または第三のセットは、約0.1mg
/mLから0.8mg/mL、好ましくは約0.1mg/mLから0.6mg/mLの範
囲の濃度であるイリノテカン塩酸塩のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流
水溶液を含有する。好ましくは、注入容器の第二および第三のセットは、それぞれ0.4
mg/mLおよび0.2mg/mLの濃度であるイリノテカン塩酸塩のすぐに注入するこ
とのできる安定で無菌である灌流水溶液を含有する。
【0025】
好ましくは、本発明に従う灌流容器のセットは、容量が低濃度から高濃度に及んでいて
よい。灌流容器の第一のセットに充填された水溶液の体積は、約50mLから約1000
mL、好ましくは約60mLから約800mL、より好ましくは約80mLから約500
mLまで様々であってよい。適切には、灌流容器の第二および第三のセットに充填された
水溶液の体積は、約10mLから約100mL、好ましくは約25mLから約80mL、
より好ましくは約40mLから60mLまで様々であってよい。
【0026】
薬物がイリノテカンまたはその薬理学的に許容される塩である1つの好ましい実施形態
では、灌流容器の第一のセットに充填された水溶液の体積は、約50mLから約500m
L、好ましくは約80mLから約300mLまで様々であってよい。具体的な実施形態で
は、容器の第一のセットには、イリノテカンまたはその薬理学的に許容される塩の水溶液
の90mL、100mL、120mL、150mL、180mL、200mL、210m
L、240mL、270mL、または300mLが組み込まれてよい。この好ましい実施
形態では、トップアップ灌流容器の第二および第三のセットに充填された水溶液の体積は
、約10mLから約100mL、好ましくは約25mLから約75mLまで様々であって
よい。具体的な実施形態では、トップアップ灌流容器の第二および第三のセットには、イ
リノテカンまたはその薬理学的に許容される塩の水溶液の約50mLが組み込まれてよい
。1つの実施形態では、異なる体積を有する異なるセットの灌流容器は、区別されてよい
。特に、灌流容器の異なるセットは、例えば、容器の一部またはすべてに異なるパターン
または色を用いることにより、視覚的に区別されてよい。特に、ラベリングに異なる色が
用いられてよい。
【0027】
1つの好ましい実施形態では、薬物は、イリノテカン塩酸塩であり、イリノテカン塩酸
塩のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液は、約3.0から4.5の
範囲のpHを有し、イリノテカン塩酸塩は、注入容器の第一のセット中に、約1.0mg
/mLから3.0mg/mLの範囲の濃度で、注入容器の第二または第三のセット中に、
約0.1mg/mLから0.6mg/mLの範囲の濃度で存在する。1つの特に好ましい
実施形態では、イリノテカン塩酸塩は、注入容器の第一のセット中に、1.5mg/mL
の濃度および約50mLから約300mLの範囲の体積で、注入容器の第二のセット中に
、0.4mg/mLの濃度および約10mLから約100mLの範囲の体積で、ならびに
注入容器の第三のセット中に、0.2mg/mLの濃度および約10mLから約100m
Lの範囲の体積で存在する。
【0028】
薬物がイリノテカン塩酸塩である1つの好ましい実施形態では、イリノテカン塩酸塩の
現行承認品(Camptosar(登録商標))が、以下の2つの治療計画(結腸直腸癌
併用治療計画および結腸直腸癌単剤治療計画)による転移性結腸直腸癌の治療に必要とさ
れており、ここで、送達されるべきイリノテカンの目標用量は、体表面積(BSA)に基
づいている。
a)結腸直腸癌併用治療計画:
・5‐フルオロウラシルおよびロイコボリンによる6週間サイクルでの第1、8、1
5、22日における90分間にわたる125mg/mの静脈内(i.v.)注入
・5‐フルオロウラシルおよびロイコボリンによる6週間サイクルでの第1、15、
29日における90分間にわたる180mg/mのi.v.注入
b)結腸直腸癌単剤治療計画
・第1、8、15、22日に90分間にわたる125mg/mのi.v.注入、続
いて2週間の休止期間
・3週間に1回の90分間にわたる350mg/mのi.v.注入
【0029】
本質的に、異なる投与計画に対する承認用量は、体表面積に基づいて125mg/m
、または180mg/m、または350mg/mである。1.8mの体表面積を持
つ患者の場合、必要とされる単一の一日目標用量は、それぞれ、225mg、または32
4mg、または630mgと算出することができる。この用量は、本発明により、注入容
器の第一のセットを選択し、必要に応じて本発明の注入容器の第二および第三のセットか
ら1つ以上の注入容器を選択することによって、±5%以内の変動で送達することができ
る。例えば、225mgの用量を送達するためには、1.5mg/mLの濃度であるイリ
ノテカン塩酸塩の水溶液150mLを有する灌流容器の第一のセットを選択してよい。3
24mgの送達の場合、1.5mg/mLの濃度であるイリノテカン塩酸塩の水溶液21
0mLを有する灌流容器の第一のセット、および加えて、0.2mg/mLの濃度である
イリノテカン塩酸塩の水溶液50mLを有する灌流容器の第二のセットを選択してよい。
これらの容器によって送達される用量は、325mgであり、すなわち、324mgの算
出された所望される用量よりも0.3%多く、±5%の変動限度以内である。
【0030】
薬物がイリノテカン塩酸塩であるこの説明のための実施形態では、患者の体表面積など
の患者パラメーターのうちの1つに基づいて投与されるべき用量を算出するための、なら
びに送達用量が算出用量に等しいかまたはその±5%以内となるように、第一のセットか
ら1つ以上の灌流容器を、必要に応じて第二または第三のセットから1つ以上のトップア
ップ灌流容器を選択するための、および選択された灌流容器から薬物を直接投与するため
の適切な指示が提供されてよい。そのような指示を、例えば、以下の表a、b、およびc
に示す。
【0031】
本発明の方法またはシステムの1つの実施形態によると、患者パラメーターとして体表
面積に応じて125mg/m2の用量でイリノテカン塩酸塩の薬物を投与する場合の用量
の算出および1つ以上の灌流容器選択のための指示が以下の表(a)に提供される。
【0032】
【表1】
【0033】
±5%以内の変動で算出目標用量を送達するために、1つ以上の灌流容器が、灌流容器
の第一、第二、および第三のセットから適切に選択されてよい。
【0034】
本発明の方法またはシステムの別の実施形態によると、患者パラメーターとして体表面
積に応じて180mg/m2の用量でイリノテカン塩酸塩の薬物を投与する場合の用量の
算出および1つ以上の灌流容器選択のための指示が以下の表(b)に提供される:
【0035】
【表2】
【0036】
±5%以内の変動で算出目標用量を送達するために、1つ以上の灌流容器が、灌流容器
の第一、第二、および第三のセットから適切に選択されてよい。
【0037】
本発明の方法またはシステムの別の実施形態によると、患者パラメーターとして体表面
積に応じて350mg/m2の用量でイリノテカン塩酸塩の薬物を投与する場合の用量の
算出および1つ以上の灌流容器選択のための指示が以下の表(c)に提供される:
【0038】
【表3】
【0039】
±5%以内の変動で算出目標用量を送達するために、1つ以上の灌流容器が、灌流容器
の第一、第二、および第三のセットから適切に選択されてよい。
【0040】
本発明の方法およびシステムは、静脈内投与の前に予め希釈することが必要である濃縮
溶液を用いる複雑でミスが起こり易い静脈内注入剤の送達が回避されることから、特に有
利である。例えば、現在市販されている濃縮品Camptosar(登録商標)を用いる
イリノテカンの特定用量の送達方法を、本発明のシステム/方法に対して比較する。説明
の目的で、総用量225mgを送達するために、Camptosar(登録商標)は、2
0mg/mLの濃度の3つのサイズ、すなわち2mL、5mL、および15mLが入手可
能であり;以下の選択肢に従って行われてよい。
・2mLバイアル(各バイアルは40mgのイリノテカン塩酸塩を含有)‐5つのバイ
アルからの溶液、および6番目のバイアルからの1.25mLを別の容器に移し、続いて
デキストロース溶液などの希釈剤を用いて150mLに希釈する(6番目のバイアルから
の残りの0.75mLは廃棄)
・5mLバイアル(各バイアルは100mgのイリノテカン塩酸塩を含有)‐2つのバ
イアルからの溶液、および3番目のバイアルからの1.25mLを別の容器に移し、続い
て150mLに希釈する(3番目のバイアルからの残りの3.75mLは廃棄)
・15mLバイアル(各バイアルは300mgのイリノテカン塩酸塩を含有)‐15m
Lバイアルから11.25mLの溶液を抜き取り、充分量で希釈して150mLとする(
残りの3.75mLの溶液は廃棄)
【0041】
Camptosar(登録商標)を用いた希釈および用量投与の工程は、複雑であり、
操作(希釈)を必要とし、ミスが起こり易く、薬物溶液の無駄な廃棄も含む。対照的に、
本発明の方法は、上述の欠点を回避して、所望される用量の都合の良い送達を提供する。
従って、本発明の方法/システムが、イリノテカン塩酸塩のすぐに注入することのできる
安定で無菌である灌流水溶液を含有する灌流容器の異なるセット、ならびに正確な用量が
送達されるように、灌流容器の第一、および/または第二もしくは第三のセットからの2
つ以上の灌流容器の組み合わせを用いて適切な濃度を選択するための指示を都合良く提供
することは明らかである。例えば、225mgの総用量を送達するために、本発明の方法
は、1.5mg/mL イリノテカン塩酸塩の150mLを有する灌流バッグの第一のセ
ット、およびそれを選択するための指示を提供する。
【0042】
1つの好ましい実施形態では、第一のセットの容器、ならびに第二および第三のセット
の容器中の薬物水溶液において、賦形剤は、それらの濃度以外は類似している。薬物のす
ぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液の製剤に用いられてよい薬理学的
に許容される賦形剤または補助剤(adjuvants)としては、これらに限定されないが、p
H調節剤および/または緩衝剤、張性調節剤、キレート化剤、溶媒などが挙げられる。1
つの実施形態では、薬物の灌流水溶液は、保存剤を含有しない。
【0043】
適切には、水溶液のpHを薬物溶液が安定である適切な範囲に調節するために、pH調
節剤および/または緩衝剤が用いられる。溶液のpHは、薬理学の分野で公知であるpH
調節剤および または緩衝剤の使用によって、所望される範囲内に調節されてよい。本発
明で用いられてよいpH調節剤および/または緩衝剤は、これらに限定されないが、トロ
メタミン、乳酸もしくはその塩、酢酸もしくはその塩、ホウ酸もしくはその塩、リン酸も
しくはその塩、クエン酸もしくはその塩、酒石酸もしくはその塩、塩酸、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど、およびこれらの混合物
から選択されてよい。
【0044】
1つの好ましい実施形態では、イリノテカンまたはイリノテカン塩酸塩などのその塩の
灌流水溶液は、約3.0から約4.5、好ましくは約3.5から4.25の範囲のpHに
調節される。1つの具体的な実施形態では、溶液のpHは、約3.5に調節される。
【0045】
適切には、灌流容器に充填された薬物の灌流水溶液は、溶液を血漿と等モル浸透圧濃度
とするのに充分な量、すなわち約250~375mOsm/kg、好ましくは280~3
20mOsm/kgの範囲内のモル浸透圧濃度を提供するのに充分な量で、モル浸透圧濃
度調節剤または張性調節剤を含有してよい。本発明で用いられてよい張性調節剤は、これ
らに限定されないが、デキストロース、スクロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩
化カルシウム、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコールなど
、およびこれらの混合物から選択される。好ましくは、張性調節剤は、デキストロースで
ある。
【0046】
適切には、本発明の方法に従う灌流容器は、灌流バッグ、注入バッグ、フレキシブルパ
ウチ、またはソフトバッグであってよい。容器は、プラスチックまたはその他のポリマー
材料などの適切な材料から作られる。容器は、そのような材料の1つ以上の層を含んでよ
く、従って、容器は単層構造であっても、または多層構造であってもよい。好ましい実施
形態では、灌流容器の構築材料は、オートクレーブなどの最終滅菌に耐えることができる
ようなものである。適切には、灌流容器の構築材料は、これらに限定されないが、ポリオ
レフィンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン;シクロオレフィンポリマー、シクロ
オレフィンコポリマー、ポリプロピレン系ポリオレフィンポリマー;ポリカーボネート;
修飾ポリオレフィン‐ポリエチレンポリマー、またはスチレン‐ポリオレフィン系ポリマ
ー、およびこれらのブロックコポリマーから選択されてよい。適切には、容器は、ボレー
トまたはホウ素を含有する材料を有してよい。好ましくは、1つの実施形態によると、容
器は、ポリ塩化ビニルを含有しない。容器は、取扱いおよび輸送が容易である。灌流容器
は、不透過性の性質のものではなく、ある程度の透過性を持ち、薬物の水溶液は、剤形の
保存期間全体にわたって、容器のこのような材料と接触し続けている。
【0047】
1つの具体的な好ましい実施形態では、灌流容器は、ポリアミド11の外側層、修飾ポ
リオレフィンの中間結合層(middle tie)、および直鎖状低密度ポリエチレンの内側層か
ら作られる。このような容器では、(40℃/相対湿度90%)で測定した場合の水蒸気
透過率が2g(m・日)、(23℃/相対湿度0%)で測定した場合の酸素透過率が9
00mL/(m・24時間・気圧)、および23℃/相対湿度0%で測定した場合の二
酸化炭素透過率が600mL/(m・24時間・気圧)である。そのような容器は、市
販されており、Polyelite AE‐1として細川洋行が製造している。別の好ま
しい実施形態では、灌流容器は、シクロオレフィンホモポリマー、もしくはシクロオレフ
ィンコポリマー、またはこれらの混合物などの環状オレフィンのポリマーを含む材料から
作られてよい。具体的には、特定の実施形態では、容器は、シクロオレフィンポリマーか
ら作られる内側層、直鎖状低密度ポリエチレンポリマーから作られる中間層、および低密
度ポリエチレンポリマーから作られる外側層を含む。そのような容器は、市販されており
、Polyelite EHCフィルムバッグとして細川洋行が製造している。別の実施
形態では、灌流容器は、スチレン‐エチレン‐ブチレン(SEB)ブロックコポリマーを
有するポリプロピレンポリマーの外側層、ならびにスチレン‐エチレン‐ブチレンブロッ
クコポリマーを有するポリプロピレン系ポリオレフィンポリマーから作られる中間および
内側層から作られてよい。そのような容器は、市販されており、テクノフレックス(Tech
noflex)が製造している。このようなタイプの容器では、23℃/相対湿度60%で測定
した場合の水蒸気透過率が0.62g(m・日);23℃/相対湿度40%で測定した
場合の酸素透過率が1110mL/(m・24時間・気圧)、および二酸化炭素透過率
が5149mL/(m・24時間・気圧)である。別の選択肢として、灌流容器は、多
層ポリオレフィンチューブ(M916およびM916A)を有する多層ポリオレフィンフ
ィルム(M312およびM312A)から作られてよい。そのような容器は、Sippe
xの商品名で入手可能である。
【0048】
1つの実施形態では、灌流容器は、静脈内投与を行いながら容器から水溶液を抜き出す
ための単一出口部を有する。適切には、すべての容器がそのような単一出口部を有する。
この設計により、静脈内注入前における体積調節(水溶液の追加または除去)などのいか
なる操作も回避される。1つの好ましい実施形態によると、単一出口部は、単一注入ポー
トまたはコネクターであり、これは、1つの実施形態では、クロロブチルゴム(ラテック
スフリー)から作られるセントラルストッパー;いずれもポリカーボネートから作られる
アッパーブレーカブルパーツおよびボトムパーツを含む組み立てられた3つのパーツを有
してよい。そのようなポートは、Minitulipe(登録商標)の商品名で入手可能
である。1つの具体的な実施形態では、ストッパーは、クロロブチル(ラテックスフリー
)6321GSジョイントSippex 323を有するMinitulipe M95
Aスパイクポートから作られる。単一出口ポートを有する灌流容器を、図1に示す。1つ
の実施形態では、注入ポートは、注入ラインとの気密接続を可能とし、および水溶液の単
一の放出流(outward flow)を可能とするように、投与前に注入セットのカニューレ/針
を挿入することを可能とする。1つの実施形態では、灌流容器、および注入針と接続され
る導出ポート(delivery port)は、1つのシステムを形成し、それによって、溶液を患
者へ静脈内投与する過程にて、溶液の放出(outgress)によって作り出される減圧が、外
部の非無菌空気の進入の代わりに灌流容器の弾性または可撓性によって吸収され、それに
より、有利には、溶液の無菌性が、それが患者に到達するまで維持、確保される。
【0049】
1つの実施形態では、灌流容器は、熱エネルギーに反応して溶融する熱再シール性部分
、および再シール性部分と流体連結された本発明の水溶液をその中に受けるためのシール
された空のチャンバーを有する容器本体を含む。容器を充填する方法は、注射部材を再シ
ール性部分に貫通させて本発明の水溶液をチャンバー中へ導入すること、本体の軸線方向
の動きを実質的に防止するために本体のベース部を固定した状態で注射部材を引き抜くこ
と、ならびに再シール性部分に熱エネルギーを印加してその貫通領域を熱溶融させること
を含む。そのようなシステムは、参照により本明細書に援用される米国特許第7,992
,597号に詳細に説明されている。
【0050】
別の実施形態では、灌流容器は、本発明の水溶液を受けるためのチャンバー、およびチ
ャンバーと流体連結された熱可塑性部分を含んでよい。熱可塑性部分は、充填用部材で貫
通可能であり、所定の波長およびパワーで所定の時間にわたってレーザー放射線を適用す
ることによって熱再シールし、その開口部を気密密封することができる貫通可能領域を定
める。そのようなシステムは、参照により本明細書に援用される米国特許第7,490,
639号に詳細に説明されている。
【0051】
なお別の実施形態では、灌流容器は、シールされたチャンバー;チャンバーと流体連結
されており、弾性材料から形成されて、本発明の水溶液が通って第一のチャンバーを充填
するための第一の注射部材で貫通可能である第一の貫通可能隔壁;および第一および第二
の位置の間を移動可能である第二の貫通可能隔壁を含む。第一の位置では、第二の隔壁の
少なくとも一部分が、第一の隔壁から空間を隔てて離れており、注射部材を第一の隔壁に
貫通させ、それを通って本発明の水溶液でチャンバーを無菌または滅菌状態で充填するこ
とが可能となる。第二の位置では、第二の隔壁のその一部分は、第一の隔壁に得られた注
射用開口部の上に、そこから第一の注射部材が引き抜かれた後に重なってそれをシールし
、および第一および第二の隔壁を貫通する第二の注射部材によって貫通可能であり、チャ
ンバーから第二の注射部材を通って、充填された本発明の水溶液が引き抜かれる。そのよ
うなシステムは、参照により本明細書に援用される米国特許出願第2013033379
6号に詳細に説明されている。
【0052】
いかなる再シール性部分も持たない灌流容器も、本発明の方法またはシステムに従って
用いられてよい。薬物の水溶液で充填された灌流容器は、最終滅菌によって滅菌される。
好ましくは、最終滅菌は、充填灌流容器のオートクレーブによって行われる。好ましくは
、本発明で用いられる最終滅菌技術は、「過熱水滅菌器(Super heated water sterilize
r)」および「空気混合蒸気滅菌器(steam air mixture sterilizers)」などの対向圧滅
菌器(counter pressure sterilizers)の使用を含む。1つの好ましい実施形態によると
、最終滅菌は、以下のプロセスパラメーター、最低滅菌温度:121.0℃;最高滅菌温
度:122.0℃;制御温度:121.5℃;暴露時間:15.0分、および滅菌圧力:
3.50バールにより、過熱水スプレー滅菌器でのオートクレーブを介して行われる。
【0053】
1つの実施形態では、上述のように滅菌された灌流容器は、灌流容器を取り囲む二次パ
ッケージ材でパッケージされる。二次パッケージ材は、パウチまたは上包みまたはカート
ンなどの二次容器を含んでよい。二次パッケージ材は、第一の成分の灌流容器を覆うアル
ミニウムパウチなどの適切なパウチを含んでよい。それはさらに、灌流容器と上包みまた
はパウチとの間に、酸素捕捉剤を含んでよい。1つの好ましい実施形態では、二次パッケ
ージ材は、アルミニウムパウチおよび酸素捕捉剤の両方を含む。二次パッケージ材はさら
に、黒色ポリエチレン外バッグおよびファイバーボードドラムを含んでよい。所望に応じ
て、アルミニウムパウチと黒色ポリエチレンバッグとの間に、シリカゲルバッグが配置さ
れてもよい。1つの実施形態では、第一の成分の灌流容器または二次パッケージ材のいず
れかが、薬物の溶液を光から保護するように設計される。適切には、1つの実施形態では
、灌流容器の材料は、遮光を提供するようなものである。容器は、遮光を提供するために
、琥珀色または不透明であってよい。別の実施形態では、灌流容器の構築材料は、薬物溶
液の投与前および投与中に薬物溶液の目視での検査を行うことを可能とするように容器が
透明となるものであり、それによって安全性が確保される。この実施形態では、二次パッ
ケージ材、パウチまたは上包みまたはカートンは、例えばアルミニウムなどの適切な遮光
材料から作られる。1つの実施形態では、二次パッケージ材/アルミニウムパウチに、薬
物水溶液の目視検査のための透明の窓部分が組み込まれる。1つの実施形態では、灌流容
器と二次パッケージ材との間の空間は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスで満たされ
る。
【0054】
1つの実施形態では、本発明は、高い方の第一の濃度である薬物のすぐに注入すること
のできる安定で無菌である灌流水溶液を含む、それから本質的に成る、またはそれから成
る灌流容器の第一のセット、および第二の濃度である薬物のすぐに注入することのできる
安定で無菌である灌流水溶液を含む、それから本質的に成る、またはそれから成るトップ
アップ灌流容器の第二のセット、および所望に応じて存在してよい第三の濃度である薬物
のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を含む、それから本質的に成
る、またはそれから成るトップアップ灌流容器の第三のセットを含み、薬物の第一の濃度
が第二および第三の濃度よりも高く、灌流容器の第一から第三のセットの容量が、高容量
から低容量まで及んでいる灌流システムも提供し、ここで、灌流容器のセットは、単独で
、または組み合わされて、送達用量が患者パラメーターのうちの1つに基づいて算出され
た所望される用量に等しいか、またはその±5%以内となるように薬物の所望される用量
の直接の静脈内投与を、それを必要とする患者に提供する。
【0055】
特に、本発明はまた:
薬物の第一の濃度が第二および第三の濃度よりも高く、灌流容器の第一から第三のセ
ットの容量が、高容量から低容量まで及んでいる高い方の第一の濃度である薬物のすぐに
注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を含む灌流容器の第一のセット、およ
び第二の濃度である薬物のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を含
むトップアップ灌流容器の第二のセット、および所望に応じて存在してよい第三の濃度で
ある薬物のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を含むトップアップ
灌流容器の第三のセット、
送達用量が、少なくとも1つの患者パラメーターに従って算出された用量に等しいか
、またはその±5%以内となるように、第一のセットから1つ以上の灌流容器を、および
必要に応じて第二または第三のセットから1つ以上のトップアップ灌流容器を選択するた
めの、ならびに選択された灌流容器から薬物を直接投与するための指示、
を含む灌流システムにも関し、
ここで、灌流容器のセットは、単独で、または組み合わされて、送達用量が算出用量に
等しいか、またはその±5%以内となるように薬物の所望される用量の直接の静脈内投与
を、それを必要とする患者に提供する。
【0056】
1つの実施形態では、本発明はまた、1.0mg/mLから3.0mg/mLの範囲の
高い方の第一の濃度であるイリノテカンまたはその薬理学的に許容される塩のすぐに注入
することのできる安定で無菌である灌流水溶液を含有する灌流容器の第一のセット、およ
び0.1mg/mLから0.6mg/mLの範囲の第二の濃度であるイリノテカンまたは
その薬理学的に許容される塩のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液
を含有するトップアップ灌流容器の第二のセット、および所望に応じて存在してよい0.
1mg/mLから0.6mg/mLの範囲の第三の濃度であるイリノテカンまたはその薬
理学的に許容される塩のすぐに注入することのできる安定で無菌である灌流水溶液を有す
るトップアップ灌流容器の第三のセットを提供し、灌流容器のセットは、10mLから5
00mLの範囲の容量であり、ここで、灌流容器のセットは、単独で、または組み合わさ
れて、送達用量が患者パラメーターのうちの1つに基づいて算出された所望される用量に
等しいか、またはその±5%以内となるように薬物の所望される用量の直接の静脈内投与
を、それを必要とする患者に提供する。一般的に、容器の第一のセットからの容器の容量
は、容器の第二のセットからの容器の容量よりも大きく、容器の第三のセットからの容器
の容量は、容器の第二のセットからの容器の容量よりも一般的には小さい。薬物がイリノ
テカン塩酸塩である1つの好ましい実施形態では、灌流容器は、多層構造であり、フレキ
シブルである。水溶液と接触しない最外層は、ポリアミドから作られ、中間層は、修飾ポ
リオレフィンから作られ、イリノテカンの水溶液と接触する最内層は、直鎖状低密度ポリ
エチレンから作られる。灌流容器は、容器のセットすべてにおいて同一である。容器は、
酸素捕捉剤を有する遮光材料で包まれる。上包み材料は、アルミニウムパウチであってよ
い。すぐに注入することのできる水溶液は、溶液を等モル浸透圧濃度とするのに充分な量
の浸透圧調節剤、ならびにpHを3.0から4.5の範囲に調節し、維持するためのpH
調節剤または緩衝剤を含む。充填された灌流容器は、オートクレーブ、すなわち湿熱滅菌
または水蒸気滅菌などの最終滅菌により、121℃、3.5バール圧で15分間滅菌され
る。このような滅菌された充填灌流容器は、次に、薬物の溶液を光から保護するように設
計される二次パッケージ材で包装される。より好ましくは、本実施形態において、浸透圧
調節剤は、デキストロース、グルコース、ソルビトール、またはこれらの混合物から選択
され、pH調節剤は、乳酸、塩酸、水酸化ナトリウム、またはこれらの混合物から選択さ
れる。
【0057】
適切には、本発明によると、灌流剤形または灌流容器に充填された薬物のすぐに注入す
ることのできる水溶液は、剤形が、室温(20~25℃および相対湿度40%)で、少な
くとも12ヶ月間、好ましくは18ヶ月間、より好ましくは24か月間以上保存された場
合に、許容される仕様への適合によって示されるように、物理的にも化学的にも安定であ
る。剤形はまた、40℃/相対湿度25%の促進安定性試験条件で6か月間保存された場
合にも、許容される仕様への適合を示し、これは、2年間の保存期間にわたって安定であ
ることに相当する。薬物含有量(含有量分析値)および関連物質、すなわち既知および未
知不純物の含有量などの種々のパラメーターは、ICHガイドラインまたは薬局方に従っ
て指定されるものなどの指定の範囲内に維持される。
【0058】
薬物がイリノテカンである1つの好ましい実施形態では、イリノテカンのすぐに注入す
ることのできる水溶液は、18~24か月の保存期間にわたって室温で保存された後に物
理的安定性を維持しており、保存後に溶液は透明であり、粒子状物質は視認されず、析出
または結晶化または変色を起こさず、ならびに溶液の透過率パーセントの値は、90%超
、好ましくは95%超に維持されている。さらに、イリノテカンの溶液は、室温(約25
℃)で少なくとも12ヶ月間、および40℃/相対湿度25%で6か月間保存された場合
に、化学的安定性も維持しており、薬物含有量(イリノテカンの含有量分析値)および関
連物質、すなわち既知および未知不純物の含有量などの種々のパラメーターは、保存後、
指定の範囲内に維持される。適切には、イリノテカンの含有量分析値は、ラベル表示値(
label claim)の90~110重量%の指定範囲内に維持され;最も多い未知不純物は、
0.2%以下の指定範囲内に維持され;既知不純物または関連物質は、0.2%以下の指
定範囲内に維持され、および合計不純物は、1.0%以下の指定範囲内に維持される。イ
リノテカン塩酸塩の水溶液を含む密封灌流バッグは、20℃~25℃(68~77°F)
で保存された場合、保存期間にわたって安定性を維持し、ここで、15°から30℃(5
9°~86°F)の逸脱は許容される。
【0059】
以降において、実施例により本発明をより具体的に記載する。これらの実施例は、本発
明の範囲を限定することを意図するものではなく、単に説明として用いられる。
【0060】
【表4】
【0061】
イリノテカンのすぐに注入することのできる水溶液の組成物および作製方法を以下に示
す。
【0062】
【表5】
【0063】
注射用水を窒素でパージした。デキストロースを添加し、撹拌によって溶解し、続いて
ソルビトールを添加、溶解した。次に、乳酸を添加し、撹拌によって溶解した。次に、イ
リノテカン塩酸塩を上記バルク溶液にゆっくり添加し、完全に溶解するまで撹拌を継続し
、pHを確認した。続いて、10重量/体積%の塩酸または水酸化ナトリウム溶液を用い
てpHを3から5に調節した。次に、この溶液を、膜フィルターカートリッジ(0.2μ
×10インチ)を通してろ過した。ろ過したバルク溶液を、灌流バッグに充填し、続いて
バッグに栓をした。次に、栓をした灌流容器を、過熱水スプレー滅菌器でのオートクレー
ブによって最終滅菌した。続いて、灌流バッグを、アルミニウムパウチで包み、容器とア
ルミニウムパウチとの間に酸素捕捉剤を入れた。
【0064】
最終滅菌を実施したプロセスパラメーターを以下の表3に示す。
【0065】
【表6】
【0066】
実施例1に従って作製した灌流剤形の種々のバッチを、様々な保存条件、すなわち、制
御された室温25℃/相対湿度40%での長期安定性試験条件、ならびに40℃/相対湿
度25%での促進安定性試験条件での安定性試験に掛けた。3つの異なるバッチにおける
種々のパラメーターの測定値を表にして表4~6に示す。
【0067】
【表7】
【0068】
【表8】
【0069】
【表9】
【0070】
すべてのバッチにおいて、薬物の含有量分析値は、保存後に指定の範囲内に維持されて
いることが観察された。最も多い未知不純物、合計不純物、および関連化合物の不純物に
関してはすべて、保存後に指定の範囲内に維持されている。粒子状物質は、保存後に仕様
の範囲内に維持されており、溶液は透明のままである。溶液の透明性の指標である透過率
パーセントは、変化せず、約100%に維持されており、溶液が適切な透明性を維持して
いることが示される。保存後、溶液のモル浸透圧濃度およびpHに大きな変化は発生して
いない。従って、本発明の灌流剤形は、保存期間全体を通して、適切な物理的および化学
的安定性を維持すると結論付けることができる。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各灌流容器が抗癌薬/化学療法剤を含む、すぐに注入することのできる第一の灌流水溶液を50~500mLを含む、複数の灌流容器の第一のセットと、
各トップアップ灌流容器の第二のセットが抗癌薬/化学療法剤を含む、すぐに注入することのできる第二の灌流水溶液を含む、複数のトップアップ灌流容器の第二のセットと、
を備える複数のフレキシブルな灌流容器を備える灌流投与剤形であって、
ここで、第一の灌流水溶液の抗癌薬/化学療法剤濃度が、第二の複数の灌流水溶液の抗癌薬/化学療法剤濃度よりも高く、
ここで、前記複数の灌流容器及び複数のトップアップ灌流容器は、静脈投与中に、容器からの水溶液の外向きの単一放出流を可能とする単一出口部を有し、そして、
ここで、前記複数の灌流容器および複数のトップアップ灌流容器が、オートクレーブにより最終滅菌されている、灌流投与剤形。
【請求項2】
複数のトップアップ灌流容器の第三のセットを更に含む、請求項1に記載の灌流投与剤形であって、各トップアップ灌流容器の第三のセットは、抗癌薬/化学療法剤を含む、すぐに注入することのできる第三の灌流水溶液を含み、
ここで、第一の灌流水溶液の抗癌薬/化学療法剤濃度が、第三の複数の灌流水溶液の抗癌薬/化学療法剤濃度よりも高い、請求項1に記載の灌流投与剤形。
【請求項3】
第二の灌流水溶液の抗癌薬/化学療法剤濃度が、第三の複数の灌流水溶液の抗癌薬/化学療法剤塩濃度よりも高い、請求項2に記載の灌流投与剤形。
【請求項4】
第二および/または第三の複数の灌流水溶液の体積が、第一の灌流水溶液の体積と同等またはそれ以下である、請求項2に記載の灌流投与剤形。
【請求項5】
灌流水溶液が、前記溶液を、血漿と等モル浸透圧濃度とするのに充分な量の浸透圧調節剤を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の灌流投与剤形。
【請求項6】
灌流水溶液が、緩衝剤を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の灌流投与剤形。
【請求項7】
抗癌薬/化学療法剤が、イリノテカン、トポテカン、ペメトレキセド、ドセタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ロイコボリン(leukovorin)、エトポシド、ドキソルビシン、ダウノニビシン(daunonibicin)、エピルビシン、イダルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、5-フルオロウラシル、イホスファミド、シクロホスファミド、メクロレタミン、カルムスチン、ダカルバジン、クラドリビン、フルベストラント、ペグフィルグラスチム、パミドロネート、ゾレドロン酸、ミトキサントロン、ストレプトゾシン、マイトマイシン、ゲンタマイシン、テニポシド、及び、薬学的に許容されるそれらの塩よりなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の灌流投与剤形。
【請求項8】
前記1以上の、複数の灌流容器および複数のトップアップ灌流容器が、上包みパウチ、ならびに前記灌流容器と前記パウチとの間に酸素捕捉剤、を含む二次パッケージ材でパッケージされた、請求項1~4のいずれか一項に記載の灌流投与剤形。
【請求項9】
複数の灌流容器の少なくとも1つまたは前記二次パッケージ材が、そこに含まれる灌流水溶液を光から保護するように設計された、請求項8に記載の灌流投与剤形。