(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088705
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、検査システム、情報処理装置の制御方法、制御プログラム、記録媒体
(51)【国際特許分類】
G16H 10/40 20180101AFI20240625BHJP
G16H 50/80 20180101ALI20240625BHJP
【FI】
G16H10/40
G16H50/80
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059683
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2022510725の分割
【原出願日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2020058363
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌紀
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザが病院等で検査を受けていない場合でも、ユーザからのウイルスの粒子又は細菌を検出した検出データに基づいて、ユーザにウイルス感染又は細菌感染に関する検査結果を提示する情報処理装置及びその制御方法並びに検査システムを提供する。
【解決手段】検査システム100において、情報処理装置1は、ユーザから採取した検体5に含まれる検出対象物を検出する検出装置3から得た検出データを含む検査要求情報を受信する検査要求受付部、検出データに基づいて、ユーザの感染状態を算出する感染算出部及び算出結果を含む検査結果情報を生成し、感染算出部が、ユーザが検出対象物に感染していると判定した場合、検出データ及び問診情報に基づいて、その感染局面を推定し、感染局面に関する感染局面情報を生成する検査結果出力部を備え、検査要求情報は、ユーザに発現した症状に関する情報及び症状が観測された観測日を示す情報を含む問診情報を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから採取された検体に含まれる検出対象物を検出する検出装置において得られた検出データを含む検査要求情報を受信する検査要求受付部と、
前記検出データに基づいて、前記ユーザの感染状態を算出する感染算出部と、
前記感染算出部による算出結果を含む検査結果情報を生成する検査結果出力部と、を備え、
前記検査要求情報は、前記ユーザに発現した症状に関する情報および該症状が観測された観測日を示す情報を含む問診情報をさらに含み、
前記検査結果出力部は、前記感染算出部が、前記ユーザが前記検出対象物に感染していると判定した場合、前記検出データおよび前記問診情報に基づいて、前記ユーザが、どの日またはどの時期に、前記検出対象物に感染している感染状態になってから非感染状態になるまでの期間において設定された複数の感染局面のうちのどの感染局面にあるのかを推定し、該感染局面に関する感染局面情報を生成する、情報処理装置。
【請求項2】
前記検査要求情報には、前記ユーザの個人情報を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出装置は、前記検出対象物を位置させる検体付着部を有し、
前記検査結果出力部は、前記検体付着部を撮像した画像、または、前記画像から算出した所定領域の前記検出対象物の数を含む検出情報を、通信端末へ出力する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検査結果出力部は、前記検出情報に基づいて、前記算出結果、および、前記検出対象物が検出された前記検体付着部上の位置をプロットしたプロット画像を生成し、該プロット画像を通信端末へ出力する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検出データは、前記ユーザから第1の時刻に採取された検体に含まれる前記検出対象物を検出した第1検出結果、および該ユーザから前記第1の時刻と異なる第2の時刻に採取された検体に含まれる前記検出対象物を検出した第2検出結果を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検査結果出力部は、前記感染算出部が、前記ユーザが前記検出対象物に感染していると判定した場合、前記第1検出結果および前記第2検出結果に基づいて、前記ユーザが前記検出対象物に感染している感染状態になってから、非感染状態になるまでの期間において設定された複数の感染局面のうちのどの感染局面にあるのかを推定し、該感染局面に関する感染局面情報を生成する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記検査結果出力部は、前記感染算出部が、前記ユーザが前記検出対象物に感染していると判定した場合、前記検出データおよび前記問診情報に基づいて、前記ユーザが前記検出対象物に感染している感染状態になってから、非感染状態になるまでの期間において設定された複数の感染局面のうちのどの感染局面にあるのかを推定し、該感染局面に関する感染局面情報を生成する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記複数の感染局面には、前記ユーザが前記検出対象物に感染した感染日、前記検出対象物の潜伏期間、前記ユーザが保有する前記検出対象物が該ユーザ以外の人に感染する感染力が一定のレベル以上となる外出回避開始日、前記検体に含まれる検出対象物の数が増加傾向にある悪化期間、前記ユーザに発現した症状が継続する発症期間、前記検体に含まれる検出対象物の数が減少傾向にある回復期間、前記ユーザが保有する前記検出対象物が該ユーザ以外の人に感染する感染力が一定のレベルまで低下する外出回避解除日、および、前記ユーザが前記検出対象物に感染している感染状態から非感染状態になる完治日、のうちの少なくともいずれか1つが含まれる、
請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記検査要求受付部は、該検査要求情報が通信端末から送信された時点から一定期間前から以後の前記ユーザの移動履歴を示す移動履歴情報をさらに受信し、
前記移動履歴情報を、前記算出結果および前記感染局面情報と対応付けて記憶装置に保存する算出結果管理部をさらに備える、
請求項7または8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記算出結果管理部は、前記ユーザの前記移動履歴情報と、前記検査結果出力部によって推定された、前記ユーザの感染局面とを対応付けて前記記憶装置に保存する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記検出対象物に感染していると判定された複数のユーザの各々の移動履歴情報を、前記複数のユーザの各々の感染局面と対応付けて地図にプロットしたリスクマップを生成するリスクマップ生成部をさらに備える、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記検出対象物は、ウイルスまたは細菌である、
請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
ユーザから採取された検体に含まれる検出対象物を検出する検出装置と、
請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
前記検出装置および前記情報処理装置と通信可能に接続されている通信端末と、
を備える、
検査システム。
【請求項14】
情報処理装置の制御方法であって、
ユーザから採取された検体に含まれる検出対象物を検出する検出装置において得られた検出データを含む検査要求情報を受信する検査要求受付ステップと、
前記検出データに基づいて、前記ユーザの感染状態を算出する感染算出ステップと、
前記感染算出ステップにおける算出結果を含む検査結果情報を生成する検査結果出力ステップと、を含み、
前記検査要求情報は、前記ユーザに発現した症状に関する情報および該症状が観測された観測日を示す情報を含む問診情報をさらに含み、
前記検査結果出力ステップでは、前記感染算出ステップにおいて、前記ユーザが前記検出対象物に感染していると判定した場合、前記検出データおよび前記問診情報に基づいて、前記ユーザが、どの日またはどの時期に、前記検出対象物に感染している感染状態になってから非感染状態になるまでの期間において設定された複数の感染局面のうちのどの感染局面にあるのかを推定し、該感染局面に関する感染局面情報を生成する、
制御方法。
【請求項15】
前記検査要求受付ステップにおいて、前記検査要求情報が通信端末から送信された時点から一定期間前から以後の前記ユーザの移動履歴を示す移動履歴情報をさらに受信し、
前記移動履歴情報と、前記算出結果とを対応付けて記憶装置に保存する算出結果管理ステップをさらに含む、
請求項14に記載の制御方法。
【請求項16】
前記検出対象物に感染していると判定された複数のユーザの各々の移動履歴情報を、前記複数のユーザの各々の感染局面と対応付けて地図にプロットしたリスクマップを生成するリスクマップ生成ステップをさらに含む、
請求項15に記載の制御方法。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、
前記情報処理装置が実行する処理は、
ユーザから採取された検体に含まれる検出対象物を検出する検出装置において得られた検出データを含む検査要求情報を通信端末から受信する検査要求受付ステップと、
前記検出データに基づいて、前記ユーザの感染状態を算出する感染算出ステップと、
前記感染算出部による算出結果を含む検査結果情報を生成し、前記通信端末に送信する検査結果出力ステップと、を含む、
制御プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウイルス感染または細菌感染に関する検査結果を提示する情報処理装置、検査システム、および情報処理装置の制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルス感染または細菌感染を早期に発見し、感染初期から治療を開始すれば、発症を回避したり、重症化を抑制したりすることが可能である場合が多い。そのためには、発症していない段階または症状が軽い段階で、医療機関および検査機関等に行き、所定の検査を受ける必要がある。しかし、発症していない段階または症状が軽い段階の感染者から採取される検体中のウイルスの粒子数または細菌数は少ないため、1回の検査では、実際に感染していても検査結果が陽性とならない可能性もある。
【0003】
特許文献1には、インフルエンザウイルス等のウイルスの粒子を高感度に検出するために利用可能な技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが病院等で検査を受けていない場合でも、ユーザからの、ウイルスの粒子または細菌を検出した検出データに基づいて、該ユーザにウイルス感染または細菌感染に関する検査結果を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、ユーザから採取された検体に含まれる検出対象物を検出する検出装置において得られた検出データを含む検査要求情報を受信する検査要求受付部と、前記検出データに基づいて、前記ユーザの感染状態を算出する感染算出部と、前記感染算出部による算出結果を含む検査結果情報を生成する検査結果出力部と、を備え、前記検査要求情報は、前記ユーザに発現した症状に関する情報および該症状が観測された観測日を示す情報を含む問診情報をさらに含み、前記検査結果出力部は、前記感染算出部が、前記ユーザが前記検出対象物に感染していると判定した場合、前記検出データおよび前記問診情報に基づいて、前記ユーザが、どの日またはどの時期に、前記検出対象物に感染している感染状態になってから非感染状態になるまでの期間において設定された複数の感染局面のうちのどの感染局面にあるのかを推定し、該感染局面に関する感染局面情報を生成する。
【0007】
本開示の一態様に係る制御方法は、情報処理装置の制御方法であって、ユーザから採取された検体に含まれる検出対象物を検出する検出装置において得られた検出データを含む検査要求情報を受信する検査要求受付ステップと、前記検出データに基づいて、前記ユーザの感染状態を算出する感染算出ステップと、前記感染算出ステップにおける算出結果を含む検査結果情報を生成する検査結果出力部と、を含み、前記検査要求情報は、前記ユーザに発現した症状に関する情報および該症状が観測された観測日を示す情報を含む問診情報をさらに含み、前記検査結果出力ステップでは、前記感染算出ステップにおいて、前記ユーザが前記検出対象物に感染していると判定した場合、前記検出データおよび前記問診情報に基づいて、前記ユーザが、どの日またはどの時期に、前記検出対象物 に感染している感染状態になってから非感染状態になるまでの期間において設定された複数の感染局面のうちのどの感染局面にあるのかを推定し、該感染局面に関する感染局面情報を生成する。
【0008】
また、本開示の各態様に係る情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記情報処理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記情報処理装置をコンピュータにて実現させる情報処理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
【発明の効果】
【0009】
ユーザにウイルス感染または細菌感染に関する検査結果を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態1に係る検査システムの構成例を示す図である。
【
図2】検出装置および通信端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】通信端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】本開示の実施形態1に係る情報処理装置および記憶装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】ユーザデータベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】検査要求情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図11】結果データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図12】移動履歴データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図14】通信端末から検査要求情報を受信した情報処理装置が、検査結果情報を送信し、リスクマップを生成するまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図15】情報処理装置が実行する感染状態算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】情報処理装置が実行する結果情報生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図17】情報処理装置が、通信端末からの情報配信要求に応じて、感染情報を配信するまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図18】本開示の実施形態2に係る検査システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
(情報処理装置1の概要)
本開示の一態様に係る情報処理装置1は、通信端末2から検査要求情報を受信したことに応じて、該ユーザの感染状態を算出する。検査要求情報には、ユーザから採取された検体5に含まれるウイルスの粒子(検出対象物)または細菌(検出対象物)を検出する検出装置3において得られた検出データが含まれている。情報処理装置1は、検出データに基づいて算出されたユーザの感染状態を含む検査結果情報を生成し、通信端末2に送信する。検出装置3は、真菌(検出対象物)、リケッチア(検出対象物)、またはスピロヘータ(検出対象物)を検出してもよい。
【0012】
ここで、感染状態とは、ユーザがウイルスまたは細菌に既に感染しているか否かに関する判定結果、および、ユーザがウイルスまたは細菌に感染している可能性を示す情報等であってもよい。
【0013】
上記の構成によれば、情報処理装置1は、通信端末2から受信した検査要求情報に応じて、ウイルスまたは細菌に感染している感染状態を判定し、判定結果を通信端末2に送信する。ユーザは、例えば自宅で、自身から採取した検体5を検出装置3に供することが可能である。これにより、ユーザは、病院等の検査機関に行くことなく、ウイルスまたは細菌に感染しているか否かの判定結果を受け取ることができる。なお、病院等の検査機関で行なうことを排除するものではなく、病院等の検査機関で行なっても良い。
【0014】
情報処理装置1は、検出装置3が検出可能な多様なウイルスまたは細菌であれば、その感染に関する検査結果情報を生成し、ユーザに提供することができる。検出装置3は、これに限定されるものではないが、例えば、以下に挙げるウイルスまたは細菌を検出することが可能である。
【0015】
(検出可能なウイルスの例):インフルエンザウイルス、コロナウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)ウイルス、ムンプウイルス、麻疹ウイルス、ニパウイルス、イヌジステンパーウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)、エボラウイルス、C型肝炎ウイルス、ラッサウイルス、ハンタウイルス、狂犬病ウイルス、日本脳炎ウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、風疹ウイルス、ロタウイルス、ヘルペスウイルス、およびノロウイルス等。
【0016】
(検出可能な細菌の例):ペスト菌、赤痢菌、コレラ菌、腸チフス菌、ジフテリア菌、腸間出血性大腸菌(例えば、大腸菌O157など)、劇症型溶血性連鎖球菌、炭疽菌、破傷風菌、ブルセラ菌、レジオネラ菌、髄膜炎菌、薬剤耐性緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、野兎病菌、鼠咬症スピリルム、ストレプトバチルス属のグラム陰性通性嫌気性桿菌、白癬菌、カンジダ属の菌(例えば、Candida albicans)、アスペルギルス属の菌、クリプトコッカス‐ネオフォルマンス、バルトネラ属の菌(例えば、Bartonella bacilliformis)、結核菌、淋菌、バイコマイシン耐性球菌、ペニシリン耐性肺炎球菌、肺炎球菌、およびインフルエンザ菌等。
【0017】
以下では、検出装置3が、インフルエンザウイルスの粒子を検出する装置である場合を例に挙げて説明する。この場合、情報処理装置1は、ユーザがインフルエンザウイルスに感染しているか否かの判定結果を含む検査結果情報を生成し、通信端末2に送信する。以下では、インフルエンザウイルスを、単に「ウイルス」と記すことがある。
【0018】
検体5は、ユーザが感染症に罹患している場合に、その感染症の原因であるウイルスの粒子およびウイルス由来の成分が含まれる任意のものであってもよい。検体5は、例えば、ユーザの唾液、喀痰、および鼻汁等、ユーザから非侵襲の処理で採取可能なものであってもよいし、血液および組織片等、ユーザから低侵襲の処理で採取可能なものであってもよい。
【0019】
ウイルスの粒子を高感度で検出可能であれば、例えば、検体5は、ユーザに所定量(例えば、2ml)の液体を用いて一定時間(例えば、5秒間)うがいを行わせた後に、ユーザが吐き出した液体の一部であってもよい。この場合、ユーザは、うがいを行った後、うがい後の液体を容器に吐き出して、その一部を後述する検体付着部321に供すればよい。ユーザの唾液および痰等に含まれるウイルスの粒子は、うがい後の液体として、ユーザ自身によって容易に採取可能である。
【0020】
検体付着部321には、検出対象となるウイルス種に応じて異なる識別番号が付与されていてもよい。あるいは、検出装置3に検体付着部321を装着したとき、検出装置3が、該検体付着部321がどのウイルス検出用のものかを認識できる構成であってもよい。検体付着部321は、一種類のウイルスまたは一種類の細菌を検出するものであっても良いし、複数種類のウイルスまたは複数種類の細菌を検出するものであっても良い。
【0021】
(検査システム100の構成)
まず、本開示の一態様に係る検査システム100の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、情報処理装置1を導入した検査システム100の構成例を示す図である。
【0022】
検査システム100は、ユーザから採取された検体5に含まれるインフルエンザウイルスの粒子を検出する検出装置3と、情報処理装置1と、検出装置3および情報処理装置1と通信可能に接続された通信端末2と、を含んでいる。また、検査システム100は、情報処理装置1から配信される感染情報を受信する通信端末6をさらに備えていてもよい。情報処理装置1、通信端末2、および通信端末6は、通信ネットワーク7を介して、通信可能に接続されている。感染情報は、例えば、地域ごとの感染者数を含む情報であってもよい。あるいは、ウイルス感染者が感染力を有するウイルスを放出した可能性がある時期および地域を地図上に表したリスクマップであってもよい。
【0023】
検査システム100の利用を希望するユーザは、情報処理装置1に対して検査システム100の利用者としての登録情報を事前に提出する。例えば、登録情報をユーザに入力させるためのウェブページを情報処理装置1から通信端末2に配信して、各ユーザに必要事項を入力させることによって、登録情報の提出を受け付けてもよい。また、通信端末2からメールで情報処理装置1に登録情報を送信しても良いし、通信端末2にインストールされたアプリケーションで登録情報を送信しても良い。あるいは、検査システム100の利用を希望する各ユーザに、例えば、情報処理装置1の管理者宛に紙媒体の登録情報を郵送させることによって、登録情報の提出を受け付けてもよい。検査システム100の利用者として登録されたユーザには、各ユーザに固有の識別情報であるユーザIDが付与されてもよい。
【0024】
登録情報としてユーザに入力させる情報には、ユーザの個人情報が含まれていてもよい。登録情報として入力させる個人情報には、ユーザの住所、氏名、属性、電話番号、およびメールアドレス等の連絡先情報等が含まれていてもよい。属性には、ユーザの年齢および性別等が含まれていてもよい。例えば、ユーザが未成年である場合、登録情報として入力させる個人情報には、ユーザの家族(例えば、親等)の住所、氏名、年齢、職業、およびメールアドレス等が含まれていてもよい。
【0025】
登録情報としてユーザに入力させる個人情報に、ユーザの検査システム100の利用料の支払い方法に関する情報が含まれていてもよい。支払い方法に関する情報は、ユーザのクレジットカード情報を含んでいてもよい。
【0026】
情報処理装置1は、登録情報を、ユーザ毎に、各ユーザに付与されたユーザIDと対応付けて記憶装置9に格納する。情報処理装置1は、ユーザ毎に、登録情報を受け付けた日を、記憶装置9に格納してもよい。本明細書では、検査システム100の利用者として登録されたユーザを、単に「ユーザ」と記す。
【0027】
ユーザは、下記のサービスAおよびサービスBのうち所望のサービスを受けることが可能であってもよい。一例として、検査システム100は、下記のサービスAおよびサービスBのうちのいずれのサービスを利用するかを各ユーザに随時選択させてもよい。
・サービスA:情報処理装置1からウイルス感染に関する検査結果を受け取る。
・サービスB:情報処理装置1から配信される感染情報を受け取る。
【0028】
ユーザは、検出装置3を所有する。例えば、所定の対価、あるいは所定のレンタル料金の支払いを受け付けた情報処理装置1の管理者から、ユーザ宛てに検出装置3が郵送されてもよい。あるいは、ユーザが検出装置3を店舗等で購入してもよい。検出装置3をユーザに貸与している場合、情報処理装置1の管理者は、検出装置3を貸与している期間内に、該ユーザに対して、該期間の変更手続きとその対価を要求してもよい。該ユーザに要求する、該期間の変更手続きは、例えば、延長手続きであってもよい。
【0029】
ユーザが所有する検出装置3に付与されている識別情報(例えば、装置ID等)を、該ユーザに登録(入力)させてもよい。この場合、情報処理装置1は、各ユーザから取得した装置IDを、ユーザ毎に記憶装置9に格納すればよい。
【0030】
検査システム100は、
図1に示すように、以下の(I)~(IV)の工程を含んでいる。
【0031】
(I)検体採取工程
まず、ユーザは、自身から検体5を採取する。採取された検体5は、検出装置3が有する検体付着部321に供される。検体5が供された検体付着部321は、検出装置3に装着される。
【0032】
(II)検出工程
次に、検出装置3は、ユーザから採取された検体5に含まれるウイルスの粒子を検出し、検出データを通信端末2に送信する。
【0033】
(III)検査結果提供工程
検出装置3から検出データを受信した通信端末2は、検出データを用いて、検査要求情報を生成し、情報処理装置に送信する。
【0034】
情報処理装置1は、検査要求情報を受信したことに応じて、検査要求情報に含まれる検出データ等に基づいて、検査結果情報を生成する。情報処理装置1は、検査結果情報を検査要求情報の送信元である通信端末2に送信する。
【0035】
情報処理装置1は、検査要求情報に検体付着部321を撮像した画像が含まれている場合、該画像から検出情報を生成してもよい。検出情報には、検体付着部321上の所定領域のウイルスの粒子数を含む情報であってもよい。情報処理装置1は、検出情報を検査要求情報の送信元である通信端末2に送信する。
【0036】
生成された検出情報を提示されたユーザは、自身から採取された検体からウイルスの粒子が検出されている様子を自ら確認し、自分がウイルスに感染した状態であることを実感する。このように、検出情報を生成してユーザに提示することによって、ウイルスに感染しているユーザに、早期の対策および治療を促すことができる。
【0037】
所定の診断基準に基づく診断に不可欠な情報が、検査要求情報に含まれている場合、検査結果情報は、この所定の診断基準に基づく診断結果を含んでいてもよい。この場合、検査結果情報は、診断基準を提示するだけでもよい。あるいは、検査結果情報は、医師に検査結果を確認させ、該医師による診断結果を提示する構成であってもよい。この構成を採用すれば、ユーザは、医療施設等に行って診察を受けることなく、自宅に居ながら診断結果を受け取ることができる。
【0038】
情報処理装置1は、検査要求情報に含まれる検出データなどの情報が入力されたことに応じて、ウイルス感染についての診断結果を出力するニューラルネットワークを有していてもよい。ニューラルネットワークは、事前に機械学習が実施されていればよい。この機械学習に用いる学習データは、例えば、医療施設において医師の診断を受けた複数の患者から採取された検体を検出装置3に供して得た検査結果を含んでいてもよい。医療施設において医師の診断を受けた複数の患者から採取された検体を検出装置3に供して得た検査結果は、例えば、ウイルス検出に関するデータであってもよい。また、この機械学習に用いる教師データは、各患者に対して、医師が下した、ウイルス感染に罹患しているか否かの診断結果であってもよい。
【0039】
情報処理装置1は、通信端末2から、ユーザの移動履歴情報を取得してもよい。例えば、情報処理装置1は、ウイルス感染に関する検査結果が陽性である場合、該検査結果を含む検査結果情報と共に、移動履歴要求を送信してもよい。移動履歴情報は、例えば、通信端末2に保存された時間ごとの位置情報を利用してもよい。移動履歴情報は、通信端末2が作成した、ユーザの移動履歴を地図上に表示した情報であってもよい。また、移動履歴情報は、例えば、検査要求情報を送信するためにユーザによって検体が採取された時点の前後の所定期間における、該ユーザの移動履歴を示す情報であってもよい。所定期間は、ユーザがウイルスに感染した時期およびウイルス感染かが完治するまでの期間が含まれる期間であってもよい。例えば、検体が採取された時点の7日前から、検体が採取された時点の7日後までの期間であってもよい。
【0040】
情報処理装置1は、記憶装置9に、受信した検査要求情報、および検査要求情報毎に対応する検査結果情報を格納してもよい。また、情報処理装置1は、取得した移動履歴情報を記憶装置9に格納してもよい。
【0041】
ここで、情報処理装置1と通信端末2との通信は、セキュリティ対策としてSSL(Secure Socket Layer)等の暗号化通信が利用されていてもよい。これにより、ユーザの個人情報を含む登録検査要求情報および検査結果情報を安全に送受信することができる。
【0042】
(IV)感染情報配信工程
情報処理装置1は、複数のユーザからの検査要求情報に応じて生成した検査結果情報等に基づいて、感染情報を生成してもよい。
【0043】
情報処理装置1は、通信端末6からの情報配信要求を受信したことに応じて、通信端末6に感染情報を配信する。通信端末6は、検査システム100を利用するユーザが所有する通信端末である。通信端末6は、通信端末2と実質的に同じ機能を備えていてもよい。本明細書では、検査要求情報を送信する場合は「通信端末2」と記載し、情報配信要求を送信する場合は「通信端末6」と記載する。
【0044】
以下では、検査要求情報を送信する通信端末2のユーザと、情報配信要求を送信する通信端末6のユーザとを区別する場合、前者を単に「ユーザ」と記し、後者を「第2ユーザ」と記す場合がある。ただし、ユーザおよび第2ユーザは、いずれも検査システム100の利用者として登録された者であり、実質的な差は無い。
【0045】
(検出装置3および通信端末2)
次に、検出装置3および通信端末2の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、検出装置3および通信端末2の構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
<検出装置3の構成>
まず、検出装置3の構成について説明する。検出装置3は、ユーザから採取された検体5に含まれるウイルスの粒子を検出する。検出装置3は、ユーザの家宅内に設置されてもよく、学校または工場等の施設に設置されてもよく、病院等の検査機関に設置されてもよく、ユーザに携帯されてもよい。
【0047】
検出装置3は、検出装置3が実行する各種処理を制御する制御部30、通信端末2との間の通信を行う通信部31、および、検体付着部321を有している検出部32を備えている。検出部32は、検体付着部321に供された検体5に含まれるウイルス粒子を検出する。検出部32は、検出結果を制御部30に出力する。ここで、検出結果は、反応生成物が生産されている検体包埋部322の位置、数、および割合等を特定する情報を含んでいてもよい。
【0048】
制御部30は、検出部32から検出結果を取得し、該検出結果に基づいて検出データを生成する。制御部30によって生成された検出データは、通信部31を介して、通信端末2に送信される。検出データは、検体付着部321の少なくとも一部を撮像した画像を含んでいてもよい。
【0049】
通信端末2と検出装置3との間の通信は、近距離無線通信であってもよいし、有線接続による通信であってもよい。あるいは、検出装置3と通信端末2とがUSB端子等のコネクタで直接接続される構成であってもよい。
【0050】
図3は、検体付着部321の構成例を示す図である。
図3は、
図1に示す検体付着部321の領域Rを拡大して示した概略図である。
図3には、検体付着部321の領域Rを、検体を付着させた側の裏側から見た様子が示されている。一例において、検体付着部321は、検体5に含まれるウイルスの粒子を固定し、検出するための検体包埋部322を複数有している。検体包埋部322は、検体付着部321の主面に形成された凹部である。検体包埋部322は、例えば、円筒形の凹部であってもよい。検体包埋部322が収容可能な容積は、例えば10aL~100nLである。検体付着部321は、検出装置3が有する、着脱可能な使い捨てのカートリッジであってもよい。検体付着部321は、検出部32に収容される。
【0051】
検出対象物の検出は、例えば、各検体包埋部322内における、発光の検出によっておこなわれてもよい。各検体包埋部322内における発光は、例えば、蛍光であってもよいし燐光であってもよい。各検体包埋部322内における発光は、例えば、酵素反応により産生される反応生成物に基づく、発光であってもよい。また、各検体包埋部322内における発光は、例えば、核酸増幅法により増幅された核酸と相互作用する、発光物質に基づく発光であってもよい。
【0052】
各検体包埋部322内には、ウイルスの粒子表面または粒子内部に存在する酵素(例えば、ノイラミダーゼ)と反応する基質(例えば、4-メチルウンベリフェリル-α-D-ノイラミン酸)が含まれている。基質は、検体包埋部322の内壁に任意の公知の技術を用いて固定化されていてもよい。検体付着部321に検体5が供された場合、ウイルスの粒子が存在する検体包埋部322と、ウイルス粒子が存在しない検体包埋部322とが生じる。ウイルスの粒子が存在する検体包埋部322内では、ウイルスの粒子表面または粒子内部に存在する酵素と、該検体包埋部中の基質との反応によって反応生成物(例えば、4-メチルウンベリフェロン)が産生される。一方、ウイルスの粒子が存在しない検体包埋部322内では、反応生成物は産生されない。検体5に含まれるウイルスの粒子数(濃度)が増加するにしたがって、反応生成物が産生されている検体包埋部322の数が増加する。
【0053】
反応生成物は、例えば、所定の波長の光が照射されたことに応じて、特徴的な波長の光を発する分子であってもよい。この場合、検出部32は、所定の波長の光を検体付着部321に向けて出射し、検体包埋部322内で生成した反応生成物からの蛍光を検出すればよい。
【0054】
ウイルスに感染したユーザの感染状態を正確に算出するためには、異なる時刻に採取した検体5に含まれるウイルスの粒子をそれぞれ検出した結果を用いることが望ましい。そこで、検出装置3は、ユーザから第1の時刻に採取された検体5に含まれるウイルスの粒子を検出した第1検出結果、および該ユーザから第1の時刻と異なる第2の時刻に採取された検体5に含まれるウイルスの粒子を検出した第2検出結果を含む検出データを出力してもよい。ここで、第2の時刻は、第1の時刻から任意の時間が経過した時点を意図している。例えば、第1検出結果は、ある日の午前10時に出力された検出結果であり、第2検出結果は、同日の午後4時に出力された結果であってもよい。または、第1検出結果は、ある日の午後10時に出力された検出結果であり、第2検出結果は、翌日の午前9時に出力された結果であってもよい。
【0055】
あるいは、検出装置3は、検体5が採取されて、検体付着部321に該検体5が供されるたびに検出データを出力する構成であってもよい。
【0056】
検体中のウイルスの粒子数の経時変化に関する情報は、ユーザの感染状態を判断する上で有用な情報である。上記のような構成を採用すれば、情報処理装置1は、ユーザの感染局面を正確に推定することができる。感染局面については後に説明する。
【0057】
<通信端末2の構成>
続いて、通信端末2の構成について説明する。通信端末2は、検出装置3から検出データを受信して、該検出データを含む検査要求情報を生成する。通信端末2は、生成した検査要求情報を情報処理装置1に送信する。
【0058】
通信端末2は、検出装置3および情報処理装置1と通信可能に接続されているコンピュータであり、例えば、ユーザが移動時に携帯可能な、スマートフォンおよびタブレット端末等である。以下では、通信端末2がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
【0059】
図2に示すように、通信端末2は、制御部20、通信部21、および記憶部22を備えている。また、通信端末2は、位置情報受信部23、入力部24、表示部25、および音声出力部26を備えていてもよい。
【0060】
制御部20は、例えばCPUであり、通信端末2が備える各機能の処理を実行するように制御する。制御部20は、検出データ取得部201、検査要求情報生成部202、検査結果情報取得部203、移動履歴情報生成部204、および、出力制御部205を備えている。
【0061】
記憶部22は、制御部20によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部20が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。記憶部22は、検査アプリ221、検出データログ222、検査結果情報ログ223、および位置情報ログ224を含んでいる。
【0062】
位置情報受信部23は、自装置の現在位置の算出に用いる信号を定期的に受信する。位置情報受信部23は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)からの信号を受信する。制御部20は、受信した信号を解析し、自装置の現在位置を示す位置情報を生成し、該信号を取得した日時を示す情報と対応付けて、記憶部22の位置情報ログ224に格納する。位置情報受信部は、例えば、GPS、GLONASS、ガリレオ(Galileo)、北斗衛星導航、QZSS、および、順天頂衛星等のシステムから信号を受信してもよい。
【0063】
入力部24は、ユーザによる各種情報の入力操作を受け付ける。入力部24は、例えば表示部25の表示画面に重畳されたタッチパネルであってもよい。
【0064】
検出データ取得部201は、検出装置3から検出データを取得する。検出データ取得部201は、検出データを、該検出データを取得した日時を示す情報と対応付けて、記憶部22の検出データログ222に格納する。
【0065】
検査要求情報生成部202は、検出装置3からの検出データに基づいて、検査要求情報を生成する。これにより、情報処理装置1は、検査要求情報に含まれる情報に基づいて、信頼性の高い検査結果情報を生成し、ユーザに提供することができる。
【0066】
[検査要求情報]
ここで、検査要求情報について、
図4を用いて説明する。
図4は、検査要求情報の一例を示す図である。
【0067】
検査要求情報は、各ユーザに固有の識別情報であるユーザID、各ユーザの問診情報、検出データ、体温、および位置情報が含まれていてもよい。検査要求情報は、ユーザIDに加えて、あるいは、ユーザIDの代替として、ユーザの氏名、年齢、性別等の個人情報を含んでいてもよい。問診情報は、ユーザに発現した症状に関する情報および該症状が観測された観測日を示す情報を含んでいてもよい。
【0068】
検出データは、検体が採取された日時(第1の時刻)と該検体に含まれるウイルスを検出した検出結果とを含んでいる。
図4では、検出データとして、第1の時刻と第1検出結果、および、第2の時刻と第2検出結果が含まれている場合を例示している。検出結果は、検出装置3が出力する検出データであり、例えば、CSVデータであってもよい。検出結果は、検体付着部321の少なくとも一部を撮像した画像を含んでいてもよい。
【0069】
体温および位置情報はそれぞれ、検体を採取した日時におけるユーザの体温および位置情報であってもよい。体温は、例えば、第1の時刻および第2の時刻にそれぞれ計測された体温であってもよいし、検査要求情報の送信を準備している時点で計測された体温であってもよい。位置情報は、通信端末2の位置を示す情報である。位置情報は、検査要求情報を送信した時点の通信端末2の位置を示す情報であってもよい。位置情報は、位置情報受信部23が受信した信号に基づいて、算出された緯度経度情報であってもよい。
【0070】
上記の構成によれば、情報処理装置1は、ユーザの感染状態に応じた、信頼性の高い検査結果情報を生成し、該ユーザに提供することができる。また、検査要求情報にユーザの位置情報が含まれている場合、情報処理装置1は、ウイルス感染が広がる可能性が高い地域、および、ウイルス感染者が既に多く存在する地域についての情報を取得することができる。これにより、情報処理装置1は、ウイルス感染に関する感染情報を生成して配信することができる。
【0071】
図2に戻り、検査結果情報取得部203は、通信ネットワーク7を介して、情報処理装置1から、検査結果情報を取得する。検査結果情報取得部203は、取得した検査結果情報を、該検査結果情報を取得した日時を示す情報と対応付けて、記憶部22の検査結果情報ログ223に格納する。検査結果情報については、後に説明する。
【0072】
移動履歴情報生成部204は、記憶部22の位置情報ログ224に基づいて、ユーザの所定期間における移動履歴を示す移動履歴情報を生成する。移動履歴情報生成部204は、情報処理装置1からの移動履歴要求に応じて移動履歴情報を生成してもよい。所定期間は、検査要求情報が通信端末2から情報処理装置1に送信された時点の一定期間前から現在までの期間であってもよい。
【0073】
[移動履歴情報]
ここで、移動履歴情報について、
図5を用いて説明する。
図5は、移動履歴情報の一例を示す図である。
【0074】
移動履歴情報には、
図5に示すように、ユーザIDを含んでいる。また移動履歴情報は、通信端末2の現在までの位置情報(例えば、緯度経度情報)、および、各緯度経度情報が示す地名等を含んでいてもよい。
【0075】
出力制御部205は、各種情報および画像等を表示するように表示部25を制御する。また、出力制御部205は、音声および警報等を出力するように音声出力部26を制御する。
【0076】
<通信端末6の構成>
続いて、通信端末6の構成について、
図6を用いて説明する。
図6は、通信端末6の構成の一例を示すブロック図である。通信端末6は、情報配信要求を情報処理装置1に送信し、情報処理装置1から感染情報を受信する。本明細書では、通信端末2と通信端末6とを区別して説明するが、いずれも検査システム100を利用するユーザが有する通信端末であり、実質的な違いはない。すなわち、通信端末2および通信端末6は、いずれも、
図2および
図6に示された全ての機能を備える構成であってもよい。
【0077】
通信端末6は、情報処理装置1と通信可能に接続されているコンピュータであり、例えば、第2ユーザが移動時に携帯可能な、スマートフォンおよびタブレット端末等である。以下では、通信端末6がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
【0078】
通信端末6は、制御部60、通信部61、および記憶部62を備えている。また、通信端末6は、位置情報受信部63、入力部64、表示部65、および音声出力部66を備えていてもよい。
【0079】
制御部60は、例えばCPUであり、通信端末6が備える各機能の処理を実行するように制御する。制御部60は、情報配信要求生成部601、感染情報取得部602、感染リスク評価部603、および、出力制御部604を備えている。
【0080】
記憶部62は、制御部60によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部60が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。記憶部62は、検査アプリ621および位置情報ログ622を含んでいる。
【0081】
位置情報受信部63は、通信端末2の位置情報受信部23と同様の機能を有する。
【0082】
入力部64は、第2ユーザによる各種情報の入力操作を受け付ける。入力部64は、例えば表示部65の表示画面に重畳されたタッチパネルであってもよい。
【0083】
情報配信要求生成部601は、情報処理装置1に対して感染情報の配信を要求するための情報配信要求を生成する。情報配信要求には、例えば、第2ユーザのユーザIDが含まれている。さらに、情報配信要求には、必要に応じて、第2ユーザが事前に登録した地域を指定する情報、第2ユーザが感染情報を所望する地域を指定する情報、および、通信端末6の位置情報のうちの少なくともいずれか1つが含まれていてもよい。情報配信要求は、通信部61を介して情報処理装置1へ送信される。
【0084】
感染情報取得部602は、情報処理装置1から感染情報を受信する。
【0085】
感染リスク評価部603は、受信した感染情報と、通信端末6の位置情報とに基づいて、第2ユーザの感染リスクを算出してもよい。例えば、感染リスク評価部603は、算出した感染リスクに応じて、出力制御部604に対して、感染リスクの高低を示す警報およびメッセージ等を出力するように指示してもよい。感染リスク評価部603は、一例において、第2ユーザが感染するリスクが高い地域に侵入した場合、および、感染するリスクが高い地域内に既に存在している場合、感染リスクが高いと算出する。
【0086】
感染リスク評価部603は、受信した感染情報と、通信端末6の位置情報ログ622とに基づいて、第2ユーザの感染リスクを算出してもよい。例えば、感染リスク評価部603は、算出した感染リスクに応じて、出力制御部604に対して、感染リスクの高低を示す警報およびメッセージ等を出力するように指示してもよい。感染リスク評価部603は、一例において、第2ユーザが過去に、感染するリスクが高い地域を感染リスクが高い時期に通過している場合、感染リスクが高いと算出する。
【0087】
出力制御部604は、感染情報、各種メッセージ、および画像等を表示するように表示部65を制御する。また、出力制御部604は、メッセージ音声および警報等を出力するように音声出力部66を制御する。
【0088】
この構成を採用することによって、通信端末6は、第2ユーザに感染リスクが高い地域を適切に知らせることができる。よって、第2ユーザは、感染情報に基づいて、移動経路に感染リスクが高い地域への侵入、および長期滞在を回避することができる。
【0089】
また、通信端末6は、第2ユーザの行動から、第2ユーザがウイルスに感染しているリスクがどの程度かを第2ユーザに知らせることができる。感染リスクが高いと算出された第2ユーザは、まだ症状が発症していなかったとしても、ウイルス感染に関する検査を受ける必要性があることを知ることができる。よって、第2ユーザのウイルス感染の早期発見が可能となる。
【0090】
<情報処理装置1および記憶装置9>
次に、情報処理装置1および記憶装置9の構成について、
図7を用いて説明する。
図7は、情報処理装置1および記憶装置9の構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置1および記憶装置9の数は任意であってもよく、
図7に示すように1つずつであってもよいし、それぞれ複数であってもよい。
【0091】
[情報処理装置1の構成]
情報処理装置1は、通信端末2から検査要求情報を受信したことに応じて、検査結果情報を生成する。情報処理装置1は、生成した検査結果情報を、検査要求情報の送付元である通信端末2に送信する。
【0092】
情報処理装置1は、通信端末2および記憶装置9と通信可能に接続されているコンピュータであり、情報処理装置1が実行する各種処理を制御する制御部10、および通信部11を備えている。通信部11は、通信端末2との間の通信、および通信端末6との間の通信を行う。
【0093】
制御部10は、例えばCPUであり、情報処理装置1が備える各機能の処理を実行するように制御する。制御部10は、登録情報管理部101、検査要求受付部102、感染算出部103、検査結果出力部104、算出結果管理部105、リスクマップ生成部106、および、配信制御部107を備えている。
【0094】
記憶装置9は、制御部10によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部10が実行する各種処理において利用されるデータ、および制御部10によって生成された各種情報等が格納されている記憶装置である。記憶装置9には、ユーザデータベース(ユーザDB)91、検査要求情報データベース(検査要求情報DB)92、結果データベース(結果DB)93、移動履歴データベース(移動履歴DB)94、およびリスクマップ95等が格納されている。
【0095】
登録情報管理部101は、各ユーザから取得した登録情報を、各ユーザの個人情報(ユーザIDを含む)と対応付けて記憶装置9のユーザDB91に格納する。
【0096】
[ユーザDB91]
図8は、ユーザDB91のデータ構造の一例を示す図である。ユーザDB91には、
図8に示すように、ユーザの個人情報が、各ユーザのユーザID、および、各ユーザが使用する検出装置3に固有の検出装置IDと対応付けられていてもよい。ここで、個人情報とは、ユーザの名前、年齢、性別、住所、電話番号、およびメールアドレス等であってもよい。
【0097】
ユーザDB91に、各ユーザが登録情報を提出した日である利用者登録日、および各ユーザが検査システム100を利用した利用履歴等が含まれていてもよい。例えば、情報処理装置1の管理者は、各ユーザの利用者登録日および利用履歴に基づいて、検査システム100を使用している期間および使用頻度等を、ユーザ毎に集計することができる。これにより、情報処理装置1の管理者は、例えば、使用頻度が低いユーザに対して、検査システム100の積極的な利用を適切なタイミングで促すことが可能である。
【0098】
図7に戻り、検査要求受付部102は、通信端末2から送信された検査要求情報を受け付ける。検査要求受付部102は、受け付けた検査要求情報毎に検査要求情報IDを付与し、検査要求情報DB92に格納してもよい。
【0099】
[検査要求情報DB92]
図9は、検査要求情報DB92のデータ構造の一例を示す図である。検査要求情報DB92には、
図8に示すように、ユーザID、検査要求受付日、問診情報、検出データ、体温、および位置情報が、各検査要求情報の検査要求情報IDと対応付けられていてもよい。
【0100】
図7に戻り、感染算出部103は、検査要求情報に含まれる検出データを解析し、ユーザの感染状態を算出する。感染算出部103は、感染状態算出処理を実行することにより、算出結果を出力することができる。算出結果には、「ウイルス種」、「ウイルス数」、および、「判定結果」が含まれていてもよい。
【0101】
「ウイルス種」は、検出された主要なウイルス種を示す情報である。「ウイルス種」は例えば、「インフルエンザウイルス*型」等であってもよい。
【0102】
「ウイルス数」は、検出データを解析した結果得られたウイルスの粒子数を示す情報である。一例として、「ウイルス数」は、検体を供した検体付着部321上におけるウイルス粒子の単位面積当たりの検出数(m×10n個/cm2)であってもよい。あるいは、「ウイルス数」は、検体における単位体積当たりのウイルスの粒子数(s×10t個/ml)であってもよい。
【0103】
「判定結果」は、ユーザがウイルスに感染しているか否かに関する判定結果である。例えば、「ウイルス数」に示した値が所定数以上である場合、該ユーザは「陽性」であると判定されてもよく、一例として、所定数は1であっても良い。あるいは、「判定結果」は、ユーザがウイルスに感染している可能性を、所定の判定基準を用いてパーセント表示してもよい。
【0104】
感染算出部103は、検査要求情報に検体付着部321を撮像した画像が含まれている場合、該画像から検出情報を生成してもよい。検出情報には、検体付着部321上の所定領域のウイルスの粒子数を含む情報であってもよい。
【0105】
感染算出部103は、出力した算出結果および検出情報等を、結果DB93に格納してもよい。
【0106】
検査結果出力部104は、感染算出部103による算出結果を含む検査結果情報を生成し、通信端末2へ出力する。検査結果出力部104は、検体付着部321を撮像した画像、または、検体付着部321を撮像した画像から算出した所定領域のウイルスの粒子数を含む検出情報を、通信端末へ出力してもよい。
【0107】
検査結果出力部104は、検出情報に基づいて、算出結果、および、ウイルスの粒子が検出された検体付着部321上の位置をプロットしたプロット画像を生成してもよい。検査結果出力部104は、プロット画像を通信端末2へ出力してもよい。
【0108】
検査結果出力部104は、感染算出部103が、ユーザがウイルスに感染していると判定した場合、検出データに基づいて、感染力情報を作成してもよい。ここで、感染力情報とは、ユーザが保有するウイルスが人に感染する感染力が所定のレベル以上か否かの状態かを示す情報であってもよい。
【0109】
検査結果出力部104は、感染算出部103が、ユーザがウイルスに感染していると判定した場合、第1検出結果および第2検出結果に基づいて、ユーザについての感染局面を推定し、該感染局面に関する感染局面情報を生成してもよい。ここで、感染局面情報とは、ユーザがウイルスに感染している感染状態になってから、非感染状態になるまでの期間において設定された複数の感染局面のうちのどの感染局面にあるのかを示す情報である。
【0110】
複数の感染局面には、以下の(1)~(8)のうちの少なくともいずれか1つが含まれる。
【0111】
(1)ユーザがウイルスに感染した感染日
(2)ウイルスの潜伏期間
(3)ユーザが保有するウイルスが該ユーザ以外の人に感染する感染力が一定のレベル以上となる外出回避開始日
(4)ユーザから採取された検体に含まれるウイルス数が増加傾向にある悪化期間
(5)ユーザに発現した症状が継続する発症期間
(6)ユーザから採取された検体に含まれるウイルス数が減少傾向にある回復期間
(7)ユーザが保有するウイルスが該ユーザ以外の人に感染する感染力が一定のレベルまで低下する外出回避解除日
(8)ユーザが前記ウイルスに感染している感染状態から非感染状態になる完治日。
【0112】
また、検査結果出力部104は、感染算出部103が、ユーザがウイルスに感染していると判定した場合、検出データおよび問診情報に基づいて、ユーザについての感染局面を推定し、該感染局面に関する感染局面情報を生成してもよい。
【0113】
検査結果出力部104は、感染局面情報およびプロット画像等を、結果DB93に格納してもよい。この構成を採用すれば、情報処理装置1は、ウイルスに感染しているユーザに対して、いつウイルスに感染したのか、いつから発症するのか、いつまで自宅待機すべきか、いつごろ完治するのか、等のユーザにとって有用な情報を提供することができる。
【0114】
[検査結果情報]
図10は、検査結果情報の一例を示す図である。検査結果情報は、情報処理装置1が検査要求情報を受け付けたことに応じて生成され、該検査要求情報の送信元である通信端末2に送信される。検査結果情報は、算出結果、感染局面情報、およびプロット画像を含んでいてもよい。また、検査結果情報は、検査要求情報に含まれていたユーザIDを含んでいてもよい。さらに、検査結果情報は、算出結果または感染局面情報に連動した動画または静止画を表示しても良い。
【0115】
プロット画像は、検体付着部321上の、ウイルス粒子が存在する各検体包埋部322の位置を表した画像であってもよい。
図10に示すプロット画像において、細かい四角の1つ1つが検体包埋部322の位置に対応している。プロット画像では、検出されたウイルスの粒子が多いか少ないかが一目瞭然に示される。これにより、プロット画像を含む検査結果情報を提供することによって、ユーザに対して、ウイルス感染の治療を早期に開始するきっかけを効果的に提供することができる。例えば、まだウイルス感染症を発症していないユーザであっても、多数のウイルス粒子が検出されている様子を見れば、自身がウイルスに感染している状態であることを実感するであろう。
【0116】
[結果DB93]
図11は、結果DB93のデータ構造の一例を示す図である。結果DB93には、
図11に示すように、算出結果、検出情報、感染局面情報、およびプロット画像が、各検査要求情報IDと対応付けられていてもよい。あるいは、結果DB93には、算出結果、検出情報、感染局面情報、およびプロット画像が、検査要求情報を送信した各ユーザIDと対応付けられていてもよい。
【0117】
図7に戻り、算出結果管理部105は、通信端末2から取得したユーザの移動履歴情報を、算出結果および感染局面情報と対応付けて移動履歴DB94に保存する。算出結果管理部105は、ユーザの移動履歴情報と、検査結果出力部104によって推定された、ユーザの感染局面とを対応付けて移動履歴DB94に保存してもよい。
【0118】
[移動履歴DB94]
図12は、移動履歴DB94のデータ構造の一例を示す図である。移動履歴DB94には、
図12に示すように、移動履歴情報、検出情報、および、感染局面情報が、各ユーザのユーザIDと対応付けられていてもよい。
【0119】
図7に戻り、リスクマップ生成部106は、ウイルスに感染していると判定された複数のユーザの各々の移動履歴情報を、複数のユーザの各々の感染局面と対応付けて地図にプロットしたリスクマップを生成する。リスクマップ生成部106は、例えば、移動履歴DB94に含まれるレコードのうち、ユーザID等の各ユーザを特定可能な情報は利用しない。すなわち、リスクマップ生成部106は、例えば、ウイルスに感染していると判定されたユーザのレコードに含まれる算出結果、感染局面情報、および移動履歴情報のみを用いてリスクマップ95を作成する。
【0120】
具体的には、リスクマップ生成部106は、検査結果が「陽性」であるユーザの各々について、感染力を有するウイルスを放出した可能性がある時期または時刻に存在していた場所を、感染リスクが高い場所であることを表す任意の態様で地図上にプロットする。リスクマップ生成部106は、この処理を検査結果が「陽性」である複数のユーザについて繰返す。これにより、リスクマップ生成部106は、感染リスクが比較的高い場所と比較的低い場所とが表されたリスクマップ95を生成することができる。
【0121】
リスクマップ生成部106は、定期的に(例えば、1~2時間ごとに)リスクマップ95を生成・更新してもよい。リスクマップ生成部106が過去に作成したリスクマップも記憶装置9に格納されていてもよい。この場合、リスクマップ生成部106は、リスクマップ95を生成する毎に、生成した日時を該リスクマップ95に対応付けて記憶装置9に格納すればよい。
【0122】
[リスクマップ95]
図13は、リスクマップ生成部106によって生成されたリスクマップ95の一例を示す図である。
図13に示す例では、感染リスクが高い場所として、「病院A」の周辺、および商業施設Bの周辺が示されている。リスクマップは、人口密度の高低を色で表した「ヒートマップ」のような態様で示されていてもよいし、「病院A」または「商業施設B」のような施設名であってもよいし、特定の場所または特定の場所周辺を表す地名および番地などであってもよい。また、リスクマップは、時間経過に伴う変化を示す構成であってもよい。この場合、リスクマップ95において、例えば、感染リスクが比較的高い場所は濃い赤色で示され、感染リスクが比較的低い場所は、淡い赤色で示されていてもよい。
【0123】
図7に戻り、配信制御部107は、通信端末6からの情報配信要求に応じて、感染情報を配信する。
【0124】
情報配信要求には、第2ユーザのユーザID、該第2ユーザが感染情報の取得を希望する対象地域を示す情報等が含まれていてもよい。この場合、配信制御部107は、対象地域が含まれるリスクマップ95を通信端末6に配信してもよい。また、情報配信要求には、第2ユーザの現在の位置を示す情報が含まれていてもよい。この場合、配信制御部107は、対象地域が含まれるリスクマップ95を通信端末6に配信してもよい。
【0125】
配信制御部107は、通信端末2からの閲覧要求情報に応じて、該ユーザのウイルス感染に関する過去の検査結果情報を送信してもよい。閲覧要求情報には、ユーザのID等が含まれていれば良い。
【0126】
(処理フロー)
図14は、検査システム100の各装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
図14は、とりわけ、通信端末2から検査要求情報を受信した情報処理装置1が、検査結果情報を送信し、リスクマップ95を生成するまでの処理の流れの一例を示す。
【0127】
ステップS101では、通信端末2は、検出装置3から検出データを取得する。通信端末2は、検出装置3と近距離無線通信を行って、検出データを取得してもよいし、USB(Universal Serial Bus)端子を介して接続された検出装置3から検出データを取得してもよい。
【0128】
ステップS102では、通信端末2は、検出データを含む検査要求情報を送信する。通信端末2は、検出データに加えて、例えば、ユーザID、個人情報、問診情報、体温、および、検体採取日時における通信端末2の位置情報等を検査要求情報に含めてもよい。位置情報は、例えば、通信端末2の位置情報受信部23から取得されてもよい。
【0129】
ステップS103(検査要求受付ステップ)では、情報処理装置1の検査要求受付部102は、通信部11を介して受信された上述の検査要求情報を受け付ける。検査要求受付部102は、受け付けた検査要求情報毎に、検査要求情報IDを付与してもよい。検査要求受付部102は、受け付けた検査要求情報を、受け付けた日付とともに検査要求情報DB92に格納する。
【0130】
ステップS104(感染算出ステップ)では、感染算出部103は、検出データを解析し、通信端末2のユーザの感染状態を算出する。以下では、この処理を感染状態算出処理と称する。感染算出部103は、出力した算出結果を、結果DB93に格納してもよい。
【0131】
ステップS105では、検査結果出力部104は、検査要求情報に含まれている各種の情報と、出力された算出結果とに基づいて、検査結果情報を生成する。以下では、この処理を結果情報生成処理と称する。検査結果出力部104は、結果情報生成処理を実行することにより、検査結果情報を出力することができる。検査結果出力部104は、出力した検査結果情報を、結果DB93に格納してもよい。検査結果情報には、例えば、S104で出力される算出結果、および、S105で出力される感染局面情報等が含まれていてもよい。
【0132】
ステップS106(検査結果出力ステップ)では、検査結果出力部104は、通信部11を介して、出力した検査結果情報を、要求元の通信端末2に送信する。
【0133】
ステップS107では、通信端末2は、通信ネットワーク7を介して、情報処理装置1から検査結果情報を受信する。そして、通信端末2は、自装置の表示部25に、受信した検査結果情報を表示する。
【0134】
ステップS108では、通信端末2は、移動履歴情報を送信する。移動履歴情報は、通信端末2が存在した位置を示す位置情報と、その位置に通信端末2が存在したときの日時とが対応付けられた情報である。位置情報は、一例として、通信端末2のGPSアンテナから取得された緯度経度情報であってもよい。日時は、GPSアンテナから該緯度経度情報が取得されたときの日時であってもよい。
【0135】
なお、通信端末2は、移動履歴情報を、検査要求情報を送信するよりも前に、情報処理装置1に送信しておいてもよい。あるいは、通信端末2は、検査要求情報を送信するときに併せて移動履歴情報を送信してもよい。また、通信端末2は、S107で取得された検査結果情報に、陽性の判定結果が含まれている場合に、移動履歴情報を送信してもよい。この場合(すなわち、検査結果情報に陽性の判定結果が含まれている場合)、情報処理装置1から送られてくる検査結果情報に移動履歴情報の送信要求を含めても良く、通信端末2は当該送信要求に応じて移動履歴情報を送信してもよい。また、通信端末2は、検体採取日時を基準とする所定期間(例えば、検体採取日時の2週間前から検体採取日時までの期間、等)における移動履歴情報をまとめて送信してもよい。あるいは、通信端末2は、検査要求情報を送信したタイミング、および、判定結果が陰性か陽性かにかかわらず、通信端末2の現在の位置を示す位置情報を、移動履歴情報として、情報処理装置1に定期的に(例えば、数分おき)に送信してもよい。
【0136】
ステップS109(算出結果管理ステップ)では、算出結果管理部105は、ユーザIDと、移動履歴情報と、算出結果および感染局面情報とを対応付けて移動履歴DB94に格納する。
【0137】
ステップS110(リスクマップ生成ステップ)では、リスクマップ生成部106は、移動履歴DB94を参照して、どのような感染局面にある人がいつ、どこにいたのかを示すリスクマップを生成する。
【0138】
図15は、感染算出部103が実行する感染状態算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0139】
ステップSS1では、感染算出部103は、通信端末2から送信された検出データに基づいて、検体付着部321に固定されたウイルスを撮像した画像を含む検出情報を生成する。
【0140】
ステップSS2では、感染算出部103は、ユーザIDに関連付けて、生成した検出情報を結果DB93に格納する。
【0141】
ステップSS3では、感染算出部103は、検出情報に基づいて、ウイルス粒子数をカウントする。
【0142】
ステップSS4では、感染算出部103は、検出情報に基づいて、ウイルス種を特定する。
【0143】
ステップSS5では、感染算出部103は、検出情報に基づいて、陰性または陽性を判定する。すなわち、感染算出部103は、ユーザがウイルスに感染しているか否かを判定する。
【0144】
ステップSS6では、感染算出部103は、ウイルスの粒子数、ウイルス種、および、陰性または陽性の判定結果を含む算出結果を、結果DB93に格納する。
【0145】
図16は、検査結果出力部104が実行する結果情報生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0146】
ステップSS11では、検査結果出力部104は、感染算出部103によって生成された上述の算出結果を結果DB93から読み出す。
【0147】
ステップSS12では、検査結果出力部104は、検査要求情報と、検出情報と、算出結果とに基づいて、感染日、潜伏期間、発症期間、外出回避解除日、および、完治日を推定または特定する。そして、検査結果出力部104は、感染日、潜伏期間、発症期間、外出回避解除日、および、完治日を含む感染局面情報を生成する。
【0148】
ステップSS13では、検査結果出力部104は、検出情報に基づいて、ウイルスの粒子が検出された検体付着部321上の位置をプロットしたプロット画像を生成する。
【0149】
ステップSS14では、検査結果出力部104は、算出結果、感染局面情報、および、プロット画像を含む検査結果情報を、結果DB93に格納する。
【0150】
図17は、検査システム100の各装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
図17は、とりわけ、通信端末6からの情報配信要求に応じて、情報処理装置1が、通信端末6に対して、感染情報を配信するまでの処理の流れの一例を示す。
【0151】
ステップS201では、通信端末6は、情報配信要求を送信する。情報配信要求は、通信端末6が情報処理装置1に対して感染情報の配信を要求するための情報である。
【0152】
ステップS202では、情報処理装置1の配信制御部107は、通信部11を介して、通信端末6から情報配信要求を受信する。
【0153】
ステップS203では、配信制御部107は、情報配信要求に基づいて、配信対象地域を特定する。例えば、配信制御部107は、情報配信要求に含まれている第2ユーザのユーザIDに基づいて、第2ユーザが事前に登録した地域(自宅、勤務地等の住所周辺を含む地域)を配信対象地域として特定してもよい。あるいは、情報配信要求に、ユーザが事前に登録した地域とは別に、第2ユーザが所望する地域を指定する情報が含まれている場合には、配信制御部107は、該情報に基づいて、配信対象地域を特定してもよい。あるいは、情報配信要求に、通信端末6の位置情報(具体的には、緯度経度情報)が含まれている場合には、配信制御部107は、緯度経度情報を中心とする半径Nkmの圏内を配信対象地域として特定してもよい。
【0154】
ステップS204では、配信制御部107は、記憶装置9に記憶されているリスクマップ95から、S203で特定した配信対象地域の情報を抽出し、感染情報を生成する。
【0155】
ステップS205では、配信制御部107は、S204で生成した感染情報を通信端末6に送信する。
【0156】
ステップS206では、通信端末6は、感染情報を情報処理装置1から受信し、自装置の表示部65に、受信した感染情報を表示する。
【0157】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0158】
医療施設、民間企業、および公的機関が、情報処理装置1によって生成された検査結果情報および感染情報等を利用可能な構成であってもよい。このような構成を採用した検査システム100aについて、以下に説明する。
【0159】
(検査システム100aの構成)
本開示の別の態様に係る検査システム100aの構成について、
図18を用いて説明する。
図18は、本開示の実施形態2に係る検査システム100aの構成例を示す図である。
図18は、医療施設80に設置されている医療施設端末8が検査システム100aを利用する構成を例示しているが、これに限定されない。
【0160】
検査システム100aは、検出装置3、情報処理装置1、検出装置3、通信端末2(および通信端末6)に加え、情報処理装置1および通信端末2と通信可能に接続された医療施設端末8を含んでいる。情報処理装置1、通信端末2(および通信端末6)、医療施設端末8は、通信ネットワーク7を介して、通信可能に接続されている。
【0161】
医療施設端末8は、検査システム100aを利用する医療施設80に所属する医療関係者(例えば、医師)が使用するコンピュータ端末である。医療施設端末8は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等である。医療施設端末8は、他装置との通信を行うための通信部、キーボードおよびマイク等の入力部、モニタ等の表示部、スピーカ等の出力部等を有している。
【0162】
例えば、検査システム100aを利用する医療施設80の医師は、医療施設端末8を用いて、情報処理装置1が受け付けた検査要求情報、情報処理装置1によって生成された検査結果情報および感染情報を閲覧することができる。
【0163】
検査システム100aを利用することにより、医療施設80の医師等は、各地域におけるウイルス感染している患者の数およびウイルス感染の拡大状況などを、把握することができる。各地点は、例えば、医療施設80の近隣であってもよい。これにより、医療施設80の医師等は、例えば、ウイルス感染患者の外来診察が増加することを事前に予測したり、ウイルス感染が流行しつつあることを他の患者に早期に注意喚起したりすることができる。
【0164】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1の制御ブロック(特に登録情報管理部101、検査要求受付部102、感染算出部103、検査結果出力部104、算出結果管理部105、リスクマップ生成部106)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0165】
後者の場合、情報処理装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路等を用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)等をさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークまたは放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本開示の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0166】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0167】
〔その他の態様〕
本開示の一態様に係る情報処理装置は、ユーザから採取された検体に含まれる検出対象物を検出する検出装置において得られた検出データを含む検査要求情報を通信端末から受信する検査要求受付部と、前記検出データに基づいて、前記ユーザの感染状態を算出する感染算出部と、前記感染算出部による算出結果を含む検査結果情報を生成し、前記通信端末に送信する検査結果出力部と、を備える。
【0168】
本開示の一態様に係る制御方法は、情報処理装置の制御方法であって、ユーザから採取された検体に含まれる検出対象物を検出する検出装置において得られた検出データを含む検査要求情報を通信端末から受信する検査要求受付ステップと、前記検出データに基づいて、前記ユーザの感染状態を算出する感染算出ステップと、前記感染算出ステップにおける算出結果を含む検査結果情報を生成し、前記通信端末に送信する検査結果出力ステップと、を含む。
【符号の説明】
【0169】
1 情報処理装置
2 通信端末
3 検出装置
5 検体
9 記憶装置
100、100a 検査システム
102 検査要求受付部
103 感染算出部
104 検査結果出力部
105 算出結果管理部
106 リスクマップ生成部
321 検体付着部
S103 検査要求受付ステップ
S104 感染算出ステップ
S106 検査結果出力ステップ
S109 算出結果管理ステップ
S110 リスクマップ生成ステップ