(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088763
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】薬品秤量装置、薬品秤量システム、薬品秤量プログラム、記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
A61J3/00 310K
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063043
(22)【出願日】2024-04-09
(62)【分割の表示】P 2022031780の分割
【原出願日】2013-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2012091718
(32)【優先日】2012-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】湯山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 学司
(57)【要約】 (修正有)
【課題】処方箋に従った正確な薬品の秤量を支援することのできる薬品秤量装置を提供する。
【解決手段】処方箋に記録された一又は複数の処方薬品名を含む処方箋情報が前記処方箋から読み取られた後(S1のYes側)、薬品容器に記録された収容薬品名を含む収容薬品情報が前記薬品容器から読み取られたとき(S3のYes側)、前記収容薬品名が前記処方薬品名のいずれかに該当する場合には(S4のYes側)、当該処方薬品名が秤量対象として選択される(S5)。これにより、処方箋に従った正確な薬品の秤量を支援することのできる薬品秤量装置が提供される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品を秤量する秤量手段と、
処方箋に記録された一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報を含む処方箋情報を前記処方箋から読み取る処方箋情報読取手段と、
薬品容器に記録された収容薬品を識別する収容薬品識別情報を含む収容薬品情報を前記薬品容器から読み取る収容薬品情報読取手段と、
前記収容薬品情報読取手段により読み取られた前記収容薬品識別情報が示す前記収容薬品が前記処方箋情報読取手段により読み取られた前記処方薬品識別情報が示す前記処方薬品のいずれかに該当する場合に、当該処方薬品を秤量対象として選択する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記薬品が載置された薬品載置部材が前記秤量手段による秤量値が所定時間継続して安定した状態で持ち上げられた場合に前記収容薬品の秤量が完了したと判断し、
前記秤量手段による秤量値が前記所定時間継続して安定する度に、当該秤量手段による秤量結果を含む情報を、前記秤量手段に前記薬品載置部剤が載置された状態で当該薬品載置部剤の記録媒体に情報を書き込み可能な手段により前記記録媒体に記録させる、
薬品秤量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処方箋に従って薬品の秤量を行うために用いる薬品秤量装置及びその周辺技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院又は調剤薬局において薬剤師は処方箋を参照しながら電子天秤を用いて薬品各々を秤量している。具体的に、薬剤師は、処方箋を参照して必要な薬品を確認し、その薬品が収容された薬品容器を薬品棚などから取り出す。そして、薬剤師は、その薬品容器に収容された薬品を処方箋に記録された処方量に従って電子天秤で秤量する。
【0003】
一方、例えば特許文献1には、電子天秤の機能と薬品の監査機能とを備えた薬品秤量装置が開示されている。この薬品秤量装置では、薬品を秤量するだけでなく、薬品の秤量値が薬品ごとに予め設定された常用量(1日または1回服用する適正量)であるか否かの監査を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記薬品秤量装置が病院又は調剤薬局で使われている調剤支援システムなどの上位システムとの連携を持たずに単体で用いられる場合には、その上位システムから処方箋のデータを取得することができない。この場合、前記薬品秤量装置では、誰がいつどの薬品を何グラム秤量したかという履歴を記録することができるだけで、薬品容器に記録された薬品名と処方箋に記録された薬品名との照合を行うこと(いわゆる監査業務)はできなかった。そのため、前記薬品秤量装置で薬品を秤量する際、処方箋に記録された薬品名と薬品容器に記録された薬品名との照合は薬剤師の目視のみで行われることになり、薬剤師の人為的ミスが懸念される。
【0006】
本発明の目的は、処方箋に従った正確な薬品の秤量を支援することのできる薬品秤量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る薬品秤量装置は、秤量手段、処方箋情報読取手段、収容薬品情報読取手段、及び制御手段を備える。前記秤量手段は薬品を秤量する。前記処方箋情報読取手段は、処方箋に記録された一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報を含む処方箋情報を前記処方箋から読み取る。前記収容薬品情報読取手段は、薬品容器に記録された収容薬品を識別する収容薬品識別情報を含む収容薬品情報を前記薬品容器から読み取る。前記制御手段は、前記収容薬品情報読取手段により読み取られた前記収容薬品が前記処方箋情報読取手段により読み取られた前記処方薬品のいずれかに該当する場合に、当該処方薬品を秤量対象として選択し、当該処方薬品を秤量対象とする秤量画面を表示手段に表示させる。
【0008】
本発明に係る薬品秤量システムは、薬品が投入される複数の投入部及び前記投入部各々に投入された薬品を包装する包装ユニットを有する薬品包装装置と、前記薬品秤量装置と、を備える。前記薬品包装装置は、前記記録媒体から情報を読み取る情報読取手段と、前記情報読取手段により読み取られた前記秤量薬品情報に基づいて前記投入部のいずれかを選択して表示する投入先表示手段と、を備える。
【0009】
本発明に係る薬品秤量プログラムは、コンピュータに、処方箋情報読取工程、収容薬品情報読取工程、及び制御工程を実行させるためのプログラムである。前記処方箋情報読取工程は、処方箋に記録された一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報を含む処方箋情報を前記処方箋から読み取る。前記収容薬品情報読取工程は、薬品容器に記録された収容薬品を識別する収容薬品識別情報を含む収容薬品情報を前記薬品容器から読み取る。前記制御工程は、前記収容薬品情報読取工程により読み取られた前記収容薬品識別情報が示す前記収容薬品が前記処方箋情報読取工程により読み取られた前記処方薬品識別情報が示す前記処方薬品のいずれかに該当する場合に、当該処方薬品を秤量対象として選択し、当該処方薬品を秤量対象とする秤量画面を表示手段に表示させる。
【0010】
本発明に係る記録媒体は、前記薬品秤量プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、処方箋に従った正確な薬品の秤量を支援することのできる薬品秤量装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態に係る薬品秤量システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態に係る薬品秤量システムの薬品秤量装置の概略構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は後発医薬品マスターのデータ構造の一例を示す要部ブロック図である。
【
図4】
図4は本発明の実施の形態に係る薬品秤量システムの薬品包装装置の概略構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は薬品秤量装置で実行される薬品秤量処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図6】
図6は薬品秤量処理で表示される処方画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は薬品秤量処理で表示される秤量画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は薬品秤量処理で表示される経過画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は薬品秤量処理で表示される警告画面、確認画面、警告画面の一例を示す図。
【
図10】
図10は後発医薬品マスターの登録画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は薬品包装装置で実行される薬品包装処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は薬品包装装置で実行される薬品包装処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は薬品包装装置で実行される薬品包装処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は薬品包装装置で実行される薬品包装処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は処方箋一括読取モードを説明するための図である。
【
図16】
図16は簿品秤量装置で実行される実行される薬品秤量処理で表示される秤量画面の他の例を示す図である。
【
図17】
図17は薬品秤量システムの他の例を示すブロック図である。
【
図18】
図18は簿品秤量装置で実行される処方入力処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図19】
図19は簿品秤量装置で実行されるレシピ分割処理の実行結果を説明するための概念図である。
【
図20】
図20は簿品秤量装置で実行されるレシピ取り纏め処理の実行結果を説明するための概念図である。
【
図21】
図21は簿品秤量装置で表示されるシステム連動選択画面の一例を示す図である。
【
図22】
図22は簿品秤量装置で実行される表示制御処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図23】
図23は簿品秤量装置で表示される処方画面の一例を示す図である。
【
図24】
図24は簿品秤量装置で表示される処方画面の一例を示す図である。
【
図25】
図25は簿品秤量装置で表示される処方一覧画面の一例を示す図である。
【
図26】
図26は簿品秤量装置で表示される処方一覧画面の一例を示す図である。
【
図27】
図27は簿品秤量装置で表示される処方薬品情報画面の一例を示す図である。
【
図28】
図28は簿品秤量装置で表示されるレシピ一覧画面の一例を示す図である。
【
図29】
図29は簿品秤量装置で表示されるレシピ一覧画面の一例を示す図である。
【
図30】
図30は簿品秤量装置で表示される処方薬品情報画面の一例を示す図である。
【
図31】
図31は簿品秤量装置で表示される患者IDの入力画面の一例を示す図である。
【
図32】
図32は簿品秤量装置で実行される後発医薬品使用処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【
図33】
図33は簿品秤量装置で表示される処方画面の一例を示す図である。
【
図34】
図34は簿品秤量装置で実行される処方薬品の変更処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図35】
図35は簿品秤量装置で表示される処方画面の一例を示す図である。
【
図36】
図36は簿品秤量装置で表示される薬品一覧画面の一例を示す図である。
【
図37】
図37は簿品秤量装置で実行される後発医薬品の登録処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図38】
図38は簿品秤量装置で表示されるメンテナンス画面の一例を示す図である。
【
図39】
図39は簿品秤量装置で実行される起動処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図40】
図40は簿品秤量装置で表示される号機選択画面の一例を示す図である。
【
図41】
図41は薬品包装装置で表示される分包入力画面の一例を示す図である。
【
図42】
図42は薬品包装装置で表示される分包入力画面の一例を示す図である。
【
図43】
図43は薬品包装装置で印字される検薬情報の印字イメージの一例を示す図である。
【
図44】
図44は薬品包装装置で印字される検薬情報の印字イメージの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0014】
[薬品秤量システム1]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る薬品秤量システム1は、薬品を秤量する薬品秤量装置10及び薬品を包装する薬品包装装置20を備えている。医師又は薬剤師などのユーザーは、薬品を薬剤シート30(薬品載置部材の一例)上に載せて前記薬品秤量装置10で秤量する。その後、ユーザーは、秤量した薬品が載置された前記薬剤シート30を前記薬品包装装置20まで移動させ、その薬品を前記薬品包装装置20に投入する。これにより、その薬品は前記薬品包装装置20で1包ずつ分けて包装される。
【0015】
なお、前記薬品包装装置20が前記薬品秤量装置10の各機能を有するものであってもよく、この場合、前記薬品包装装置20が本発明に係る薬品秤量システムに該当する。また、前記薬品秤量装置10について本実施の形態で説明しない点については従来構成(例えば特許文献1参照)を採用すればよい。
【0016】
[薬品秤量装置10]
まず、
図1及び
図2を参照しつつ、前記薬品秤量装置10の概略構成について説明する。
【0017】
前記薬品秤量装置10は、制御部11、天秤ユニット12、タッチパネル13、RFIDリーダライタ14、データ記憶部15、USBポート16、バーコードリーダー17、プリンター18などを備えている。特に、前記薬品秤量装置10の装置本体には、少なくとも前記制御部11,前記天秤ユニット12、及び前記タッチパネル13が一体的に設けられている。前記薬品秤量装置10は、例えば散薬、水剤、錠剤、ヒート剤(所定量の散薬又は錠剤を包装したもの)などの各種の剤形の薬品の秤量に用いることが可能である。
【0018】
前記制御部11は、CPU、ROM、RAM(EEPROM等)などを備え、前記薬品秤量装置10を統括的に制御するコンピュータである。前記CPUは、各種のプログラムに従って各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUにより実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAMは、前記CPUによる各種のプログラムの展開及び各種の演算処理におけるデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。
【0019】
前記天秤ユニット12は、ステンレス製の天秤台19に載置された薬品を秤量する秤量手段の一例である。具体的に、前記天秤ユニット12は、平衡回路、フォースコイル、電流/電圧変換回路、A/D変換回路などを備えた従来周知の電子天秤でも用いられる天秤ユニットである。前記天秤ユニット12で秤量された薬品の重量はデジタルデータとして前記制御部11に入力される。なお、前記薬品秤量装置10には、前記天秤台19上の散薬の風による飛散を防止する風防カバー(不図示)が着脱可能である。
【0020】
ユーザーは、前記薬品秤量装置10で薬品を秤量する際、前記天秤台19上に前記薬剤シート30を載せた後、前記薬剤シート30上に薬品を載せる。また、前記薬剤シート30には各種の情報が読み書きされる記録媒体としてRFIDタグ31が設けられている。ここに、前記RFIDタグ31は、前記薬剤シート30が前記天秤台19上に載置されたときに前記RFIDリーダライタ14によるデータの読み書きが可能な位置に設けられている。なお、前記天秤ユニット12は、予め設定された前記薬剤シート30及び前記RFIDタグ31の重量を差し引いた値を薬品の秤量値とする。
【0021】
前記タッチパネル13は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の画面及び各種の情報を表示する液晶パネル又は有機ELパネル等の表示部と、前記表示部に表示された操作キーの操作を検知して検知信号を前記制御部11に入力する検知部とを備えている。即ち、前記タッチパネル13は、前記薬品秤量装置10における表示手段及び入力手段を兼ねている。具体的に、前記制御部11は、前記天秤ユニット12で秤量された秤量値を前記タッチパネル13に表示させる(
図7参照)。
【0022】
前記RFIDリーダライタ14は、RFID(Radio Frequency Identification)の無線通信技術を利用してRFIDタグ又はRFIDラベルに情報を記録し、又はRFIDタグ又はRFIDラベルから情報を読み取る。前記RFIDリーダライタ14は、前記天秤台19に隣接して設けられており、前記天秤台19上に前記薬剤シート30が載置されたときに前記RFIDタグ31に対して情報を読み書きするために用いられる。もちろん、前記RFIDリーダライタ14は前記薬品秤量装置10に内蔵されているものであってもよい。また、
図2では、前記RFIDリーダライタ14が、前記天秤台19の左側に配置された例が示されているが、前記天秤台19の背後に配置される構成であってもよい。
【0023】
なお、前記天秤台19が樹脂などであってRFIDの無線通信を遮断するものでない場合には、前記RFIDリーダライタ14が前記天秤台19の下層に設けられ、前記RFIDタグ31が前記薬剤シート30の底面に設けられる構成も考えられる。これにより、前記薬剤シート30が前記天秤台19に載置されたとき、前記薬剤シート30の向き等に関係なく、前記RFIDリーダライタ14による前記RFIDタグ31に対する情報の読み書きが可能となる。
【0024】
前記データ記憶部15は、前記制御部11で実行される薬品秤量プログラムなどの制御プログラム、医薬品マスター(薬品情報に相当)、後発医薬品マスター(後発医薬品情報に相当)などの各種データが記憶されたUSBメモリであって、前記薬品秤量装置10に着脱可能である。具体的に、前記データ記憶部15は、前記薬品秤量装置10の背面に設けられた着脱カバー(不図示)を取り外すことにより露出する前記USBポート16の装着部に対して着脱される。ここで、前記着脱カバー(不図示)は、前記薬品秤量装置10の前記制御部11、前記天秤ユニット12、前記タッチパネル13などを分解することなく開閉可能なものである。そのため、前記データ記憶部15は、計量法上の問題なく前記薬品秤量装置10に着脱可能である。従って、前記データ記憶部15を適宜交換することにより、前記薬品秤量プログラム、前記医薬品マスター、前記後発医薬品マスターなどの各種のデータを容易に更新することが可能である。なお、前記データ記憶部15は、USBメモリに限らず、例えば、その他のフラッシュメモリ、メモリーカード、ディスクなどの記録媒体であってもよい。ここに、前記薬品秤量プログラムを記録した前記データ記憶部15が本発明に係る記録媒体に該当する。
【0025】
前記薬品秤量プログラムは、前記制御部11などのコンピュータに後述の薬品秤量処理(
図5参照)の各処理工程を実行させるソフトウェアである。例えば、前記薬品秤量プログラムは、前記制御部11に搭載されるアンドロイド(android、登録商標)などのOS上で動作する。また、前記薬品秤量プログラムには、前記制御部11により薬品の秤量値が薬品ごとに予め設定された常用量(1日または1回服用する適正量)の範囲内であるか否かの監査を行う監査プログラムも含まれている。そのため、前記薬品秤量装置10は、例えばコンピュータなどの他の情報処理装置を用いることなく、単体で薬品の秤量及び常用量の監査を共に行うことができる。ここに、係る監査処理を実行するときの前記制御部11が監査手段に相当する。
【0026】
前記医薬品マスターには、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSS)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項、常用量(適正量情報に相当)、同時服用禁止情報などが含まれる。ここに、前記データ記憶部15が薬品情報記憶手段の一例である。
【0027】
ここに、JANコード(RSS)は、製薬メーカーから供給される薬瓶(薬品容器の一例)に記録された収容薬品名(収容薬品識別情報の一例)に対応する情報であり、前記薬瓶には前記JANコードがバーコードにより記録(記載)されている。また、薬瓶コードとは、製薬メーカーから供給された薬箱の薬品を薬瓶(薬品容器の一例)に小分けした場合にその薬瓶に記録された収容薬品名に対応する情報であり、前記薬瓶には前記薬瓶コードがバーコードにより記録されている。前記制御部11は、前記医薬品マスターを参照することにより、前記バーコード各々に対応する収容薬品名を知得することができる。
【0028】
ところで、本実施形態においては、薬品を識別する情報(処方薬品識別情報、収容薬品識別情報、先発医薬品識別情報、後発医薬品識別情報)として薬品名(処方薬品名、収容薬品名、先発医薬品名、後発医薬品名)を用いる場合を例に挙げて説明するが、これに限らず薬品コード等を用いてもよい。例えば、前記制御部11及び後述の制御部21が、薬品の種別を比較する際に、薬品名を比較すること、薬品コードを比較すること、薬品コードが示す薬品名を特定してその薬品名を比較すること、薬品名が示す薬品コードを特定してその薬品コードを比較すること、又はこれらのいずれか複数を組み合わせて比較すること等の各種の方法を採ることが考えられる。
【0029】
前記常用量は、薬品ごとに対応して予め定められた1日又は1回に服用する適正量である。また、前記同時服用禁止情報は、前記薬品ごとに対応して予め定められた、同時期の服用が禁止された薬品に関する情報である。前記常用量及び前記同時服用禁止情報は、前記制御部11が前記監査プログラムに従って実行する監査処理で用いられる。具体的に、前記制御部11は、前記天秤ユニット12により秤量された秤量値が薬品ごとに予め設定された適正量の範囲内であるか否かの監査を前記データ記憶部15に記憶された前記常用量に基づいて行う。また、前記制御部11は、後述のバーコードリーダー17によって読み取られる処方箋情報に含まれた複数の薬品が同時期の服用が禁止されたものであるか否かの監査を前記データ記憶部15に記憶された前記同時服用禁止情報に基づいて行う。
【0030】
そして、前記秤量値が前記常用量の範囲外である場合、又は前記処方箋に記録された薬品に同時に服用することが予め禁止されている薬品が存在する場合、前記制御部11は、その旨の警告を前記タッチパネル13などに表示させることが考えられる。なお、前記制御部11は、前記警告を文字、画像、音声、又は光によって表示する。これにより、前記常用量を超える量の薬品の処方や、同時期に服用することで配合変化又は副作用が生じる複数の薬品の処方を、前記薬品秤量装置10における薬品の秤量段階で防止することができる。
【0031】
また、前記後発医薬品マスターには、後発医薬品について、薬品名、JANコード(又はRSS)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項、常用量(適正量情報に相当)、同時服用禁止情報などが記憶されている。なお、前記薬品秤量装置10において前記後発医薬品を秤量する場合にも、前記制御部11による前記常用量又は前記同時服用禁止情報に基づく監査処理が前述同様に行われる。
【0032】
また、前記後発医薬品マスターでは、複数の先発医薬品名(先発医薬品識別情報の一例)と複数の後発医薬品名(後発医薬品識別情報の一例)との対応関係が定められている。具体的に、前記後発医薬品マスターでは、同じ薬効を有する先発医薬品名及び後発医薬品名がそれぞれ対応付けて記憶されている。また、前記後発医薬品マスターでは、薬品の一般名に対応付けて前記先発医薬品名及び前記後発医薬品名が記憶されている。ここに、前記データ記憶部15が後発医薬品情報記憶手段の一例である。前記制御部11は、前記後発医薬品マスターを参照することにより、前記バーコード各々に対応する後発医薬品名を知得することができる。なお、前記医薬品マスター及び前記後発医薬品マスターは、前記制御部11によって読み出され、又は前記制御部11によって編集される。
【0033】
ここに、
図3は、前記医薬品マスター及び前記後発医薬品マスターのデータ構造の一部を模式的に示す要部ブロック図である。
図3に示すように、前記医薬品マスターには、薬品コードA、B、Cと薬品名AA、BB、CCとがそれぞれ対応付けて記憶されている。一方、前記後発医薬品マスターには、後発医薬品コードA’、A’’、後発医薬品コードB’、B’’と後発医薬品名AA’、AA’’、後発医薬品名B’、BB’’とがそれぞれ対応付けて記憶されている。そして、前記後発医薬品コードA’、A’’には、前記後発医薬品コードA’、A’’に対応する先発医薬品である前記薬品コードAが対応付けられている。同じく、前記後発医薬品コードB’、B’’には、前記後発医薬品コードB’、B’’に対応する先発医薬品である前記薬品コードBが対応付けられている。これにより、前記制御部11は、前記薬品コードAと前記後発医薬品コードA’、AA’’との対応関係、及び前記薬品コードBと前記後発医薬品コードB’、BB’’との対応関係をそれぞれ知得することができる。なお、
図3では、前記薬品コードCについての後発医薬品が登録されていない状態を示している。
【0034】
前記USBポート16は、USB(Universal Serial Bus)通信規格に従ってUSB機器との間で通信を行う通信インターフェースである。前記USBポート16は、前記データ記憶部15、前記バーコードリーダー17及び前記プリンター18が着脱される少なくとも3つの接続部を有している。また、前記バーコードリーダー17及び前記プリンター18の駆動電力は前記USBポート16から供給される。もちろん、前記薬品秤量装置10、前記バーコードリーダー17、及び前記プリンター18が個別に商用交流電源に接続される構成であってもよい。
【0035】
なお、前記バーコードリーダー17及び前記プリンター18と前記薬品秤量装置10との接続手法はUSBに限らず、例えばLAN又はIEEEなどであってもよい。また、前記バーコードリーダー17及び前記プリンター18は、無線USBや無線LANなどにより前記薬品秤量装置10と通信可能に接続されてもよい。また、前記バーコードリーダー17は前記薬品秤量装置10と一体的に設けられたものであってもよい。
【0036】
前記バーコードリーダー17は、JANコード、RSS等の一次元バーコード及びQRコード(登録商標)等の二次元コードから情報を読み取るものである。
【0037】
前記薬品秤量装置10において、前記制御部11は、前記バーコードリーダー17を用いて、処方箋に記録(記載)された一又は複数の処方薬品名(処方薬品識別情報の一例)を含む処方箋情報を前記処方箋に記録(記載)されたQRコード(登録商標)などの二次元コードから読み取る。前記二次元コードは、水平方向及び垂直方向に情報を持つ表示方式のコードであり、水平方向のみに情報を有するバーコードに比べて、より多くの情報をコード化することができ、印字面積を小さくすることもできる。ここに、係る読取処理を実行するときの前記制御部11が処方箋情報読取手段に相当する。なお、前記処方箋情報には、処方箋交付年月日、患者ID、患者名、患者生年月日、剤形情報(内服、外用など)、薬品情報(薬品コード、薬品名、用量)、用法情報(1日3回毎食後など)などが含まれる。
【0038】
また、前記薬品秤量装置10において、前記制御部11は、前記バーコードリーダー17を用いて、薬瓶に記録(記載)された収容薬品名を含む収容薬品情報を前記薬瓶にバーコードで記録(記載)されたJANコード又は薬瓶コードから読み取る。ここに、係る読取処理を実行するときの前記制御部11が収容薬品情報読取手段に相当する。
【0039】
なお、前記処方箋情報及び前記収容薬品情報を前記処方箋又は前記薬瓶から読み取る手法は、バーコードを利用するものに限らず、文字認識技術又は画像認識技術を利用するものであってもよい。
【0040】
例えば、前記薬瓶にRFIDタグ又はRFIDラベルなどの情報記録媒体が設けられており、当該情報記録媒体に前記薬瓶に収容された収容薬品名を含む収容薬品情報が記録されていることが考えられる。この場合、前記薬品秤量装置10が、前記情報記録媒体から無線通信により情報を読み取るRFIDリーダ等の無線読取手段を備えており、前記制御部11が、前記薬瓶に設けられた前記情報記録媒体から前記無線読取手段により前記収容薬品情報を読み取ることが考えられる。
【0041】
また、同じく前記処方箋にRFIDタグ又はRFIDラベルなどの情報記録媒体が設けられており、その情報記録媒体に前記処方箋に記録された処方薬品名を含む処方箋情報が記録されていることが考えられる。この場合、前記薬品秤量装置10が、前記情報記録媒体から無線通信により情報を読み取るRFIDリーダ等の無線読取手段を備えており、前記制御部11が、前記処方箋に設けられた前記情報記録媒体から前記無線読取手段により前記処方箋情報を読み取ることが考えられる。
【0042】
なお、前記制御部11が、前記収容薬品情報及び前記処方箋情報のいずれか一方を前記バーコードリーダー17(コード読取手段)で読み取り、他方を前記無線読取手段で読み取る構成も考えられる。一方、前記薬品秤量装置10が、前記バーコードリーダー17(コード読取手段)に代えて前記無線読取手段を備えてなり、前記制御部11が、前記収容薬品情報及び前記処方箋情報の両方を前記無線読取手段で読み取る構成も考えられる。もちろん、前記薬品秤量装置10が、前記バーコードリーダー17(コード読取手段)及び前記無線読取手段を共に備える構成では、前記制御部11が、前記バーコードリーダー17又は前記無線読取手段を選択的に用いて前記収容薬品情報及び前記処方箋情報を読み取ることが可能である。
【0043】
前記プリンター18は、前記制御部11から前記USBポート16を介して入力される印字データを印刷出力するものである。具体的に、前記プリンター18は、前記薬品秤量装置10による秤量結果などを印刷するために用いられる。前記秤量結果の印刷レイアウトは予め設定されており、或いは前記薬品秤量装置10の初期設定において任意に設定可能である。また、前記薬品秤量装置10では、前記制御部11が前記処方箋情報を前記プリンター18に入力することにより前記処方箋情報を示すバーコード又は二次元コードを前記秤量結果と共に印刷することも可能である。これにより、前記薬品包装装置20が、前記プリンター18で印刷された前記処方箋情報に従って分包動作を実行することが可能である。
【0044】
[薬品包装装置20]
続いて、
図1及び
図4を参照しつつ、前記薬品包装装置20の概略構成について説明する。
【0045】
図1及び
図4に示すように、前記薬品包装装置20は、制御部21、包装ユニット22、タッチパネル23、RFIDリーダライタ24、及び供給ホッパー25などを備えている。前記薬品包装装置20は、投入された散薬を1包分ずつ包装するものであり、散薬分包機とも称される。
【0046】
前記制御部21は、CPU、ROM、RAM(EEPROM等)などを備え、前記薬品包装装置20を統括的に制御するコンピュータである。前記CPUは、各種のプログラムに従って各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUにより実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。例えば前記ROMには、前記制御部21に後述の薬品包装処理を実行させるための薬品包装プログラムが記憶されている。前記RAMは、前記CPUによる各種のプログラムの展開及び各種の演算処理におけるデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。
【0047】
前記供給ホッパー25は、
図4に示すように、散薬を投入するための二つのホッパー25A、25B(投入部に相当)を備えている。そして、前記包装ユニット22は、前記ホッパー25A、25B各々に投入された散薬を前記処方箋情報に従って1服用単位に分割する分割ユニット221(分割手段の一例)と、前記分割ユニット221によって分割された後の散薬を包装する包装部222(包装手段の一例)とを備え、前記散薬を1服用単位で包装する分包動作を行う。具体的に、前記分割ユニット221は、前記ホッパー25A、25B各々に投入された散薬を振動フィーダによって回転する環状分配皿に均等に配分した後、前記環状分配皿を所定角度ずつ回転させながら掻き出しユニットにて前記包装ユニット22に定量排出する動作を行う。従って、前記包装ユニット22では、前記ホッパー25A又は25Bのいずれかに投入された1種類の散薬を1服用単位で分包紙(薬包)に分包することや、前記ホッパー25A及び25Bに投入された2種類の散薬を1服用単位で同じ分包紙に分包することが可能である。例えば、このように構成された薬品包装装置20は特許第4621433号公報などにも開示されている。なお、前記供給ホッパー25に設けられるホッパーの数は3つ以上であってもよい。さらに、前記薬品包装装置20では、前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bに散薬を複数回投入して前記環状分配皿への均等配分を繰り返すことにより複数の散薬を1服用単位で分包紙に分包することも可能である。
【0048】
前記タッチパネル23は、前記制御部21からの制御指示に従って各種の画面及び各種の情報を表示する液晶パネル又は有機ELパネル等の表示部と、前記表示部に表示された操作キーの操作を検知して検知信号を前記制御部21に入力する検知部とを備えている。即ち、前記タッチパネル23は、前記薬品包装装置20における表示手段及び入力手段を兼ねている。
【0049】
前記RFIDリーダライタ24は、RFIDの無線通信技術を利用してRFIDタグ又はRFIDラベルに情報を記録し、又はRFIDタグ又はRFIDラベルから情報を読み取る。前記RFIDリーダライタ24は、前記薬品包装装置20の所定位置に内蔵されており、前記所定位置に前記薬剤シート30が載置されたときに前記RFIDタグ31に対して情報を読み書きするために用いられる。
【0050】
[薬品秤量処理]
以下、
図5のフローチャートを参照しつつ、前記薬品秤量装置10において前記制御部11が前記薬品秤量プログラムに従って実行する薬品秤量処理の手順の一例について説明する。ここに、図示するS1、S2、…は前記制御部11が実行する処理手順(ステップ)番号を示す。当該薬品秤量処理を実行するときの前記制御部11が本発明に係る制御手段に相当する。
【0051】
当該薬品秤量処理は、前記薬品秤量装置10の電源投入時に前記制御部11によって実行される処理である。ここでは、処方箋に、処方箋交付年月日、患者ID、患者名、患者生年月日、剤形情報(内服、外用など)、薬品情報(薬品コード、薬品名、用量)、用法情報(1日3回毎食後など)などが、これらの情報を示す二次元コードと共に記録されている場合を例に挙げて説明する。また、前記処方薬品名には、薬品A、薬品B、薬品Cの三種類の薬品が含まれているものとする。
【0052】
<ステップS1>
まず、ステップS1において、前記制御部11は、処方箋情報の読み取りを待ち受ける(S1のNo側)。具体的に、前記制御部11は、前記バーコードリーダー17により処方箋に記録された二次元コードが読み取られた場合に、前記処方箋情報が読み取られたと判断する。そして、ユーザーが処方箋の二次元コードを前記バーコードリーダー17にかざすことにより、前記バーコードリーダー17によって前記二次元コードが読み取られると(S1のYes側)、前記制御部11は処理をステップS2に移行させる。ここで、前記二次元コードから読み取られる前記処方箋情報には、処方箋交付年月日、患者ID、患者名、患者生年月日、剤形情報(内服、外用など)、薬品情報(薬品コード、薬品名、用量)、用法情報(1日3回毎食後など)などの前記処方箋に記録された情報が含まれている。
【0053】
なお、前記バーコードリーダー17は、例えば前記薬品秤量装置10の電源がONである場合に常に読み取り可能な状態である。また、前記制御部11が、前記タッチパネル13に対する秤量開始の操作入力に応じて前記バーコードリーダー17を一定期間だけ読み取り可能な状態に移行させることも考えられる。
【0054】
<ステップS2>
ステップS2において、前記制御部11は、前記ステップS1で読み取られた処方箋情報に基づいて処方画面40を前記タッチパネル13に表示させる。ここに、
図6(A)及び
図6(B)はそれぞれ前記処方画面40の一例を示している。
【0055】
図6(A)に示す前記処方画面40では、調剤者名、患者名、年齢、体重、処方日数、分数、薬品名、剤形(散/錠)、処方量などが表示されている。具体的に、
図6(A)に示す処方画面40では、薬品表示部401に薬品A、薬品B、薬品Cが処方薬品名として表示されている。また、前記処方画面40では、前記薬品Aは剤形が「散薬」、処方量が「0.9g」であり、前記薬品Bは剤形が「散薬」、処方量が「1.2g」であり、前記薬品Cは剤形が「散薬」、処方量が「0.6g」であることが表示されている。以下、このように薬品名等を表示する表示モードを薬品名表示モードと称する。
【0056】
一方、
図6(B)に示す前記処方画面40では、調剤者名、患者名、年齢、体重、処方日数、分数などが表示されているが、この時点では前記薬品表示部401に薬品名等が表示されていない。以下、このように薬品名等を表示しない表示モードを薬品名非表示モードと称する。前記薬品名非表示モードは、前記処方画面40に薬品名等を表示させないことにより、調剤者に対して確実に紙の処方箋を見ながら調剤業務を行わせるための表示モードである。これにより、前記薬品名非表示モードでは、前記二次元コードから読み取られた処方箋情報が何らかの原因によって処方箋の記録内容と異なるものになっていた場合に、その不具合を調剤者に認識させることができる。特に、処方箋に任意に記録された注意情報などのコメントは前記二次元コードには含まれていないことがあり、このように二次元コードに含まれない情報が処方箋に記録される運用では、調剤者が確実に処方箋を見る必要のある前記薬品名非表示モードが好適である。
【0057】
前記薬品秤量装置10では、前記制御部11が、前記タッチパネル13の操作に応じて前記薬品秤量プログラムに関する初期設定画面を表示させ、その初期設定画面に従った操作に応じて前記薬品名表示モード又は前記薬品名非表示モードを切り替える。
【0058】
<ステップS3>
次にステップS3において、前記制御部11は、収容薬品名の読み取りを待ち受ける(S3のNo側)。具体的に、前記制御部11は、前記バーコードリーダー17により薬瓶に記録されたJANコード又は薬瓶コードにより示された収容薬品情報が読み取られた場合に、前記収容薬品名が読み取られたと判断する。そして、ユーザーが薬瓶のJANコード又は薬瓶コードを前記バーコードリーダー17にかざすことにより、前記バーコードリーダー17によって前記JANコード又は薬瓶コードが読み取られると(S3のYes側)、前記制御部11は処理をステップS4に移行させる。
【0059】
即ち、前記薬品秤量処理では、まず前記処方箋情報が読み取られた後、前記収容薬品名が読み取られる。そのため、先に前記収容薬品名が読み取られた場合には前記薬品秤量装置10の秤量は開始されない。なお、前記制御部11が、先に収容薬品名が読み取られて秤量が行われた場合にその秤量結果を記憶しておき、その後に処方箋情報が読み取られたときに、その処方箋情報と前記秤量結果とを照合することも他の実施形態として考えられる。
【0060】
<ステップS4>
そして、ステップS4において、前記制御部11は、前記ステップS3で読み取られた収容薬品情報の収容薬品名と前記ステップS1で読み取られた処方箋情報の収容薬品名との照合結果に応じて処理を分岐する。具体的に、前記制御部11は、当該ステップS4において、前記収容薬品名が前記処方薬品名のいずれかに該当するか否かを判断する。
【0061】
ここで、前記収容薬品名が前記処方薬品名のいずれかに該当すれば(S4のYes側)、処理はステップS5に移行し、前記収容薬品名が前記処方薬品名のいずれにも該当しなければ(S4のNo側)、処理はステップS13に移行する。
【0062】
<ステップS5>
ステップS5において、前記制御部11は、前記処方箋情報に含まれた処方薬品名のうち前記収容薬品名と一致する処方薬品名を秤量対象として選択する。即ち、前記収容薬品名が前記処方薬品名のいずれかに該当する場合には、前記処方箋情報に含まれた処方薬品名のうち秤量対象となる処方薬品名が自動的に選択される。
【0063】
そのため、ユーザーは、薬瓶に記録されたJANコード又は薬瓶コードを前記バーコードリーダー17に読み取らせる作業のみにより、前記薬品秤量装置10において、前記収容薬品名及び前記処方薬品名の照合と、秤量対象の薬品の選択とを実現することができる。従って、前記処方箋情報に複数の処方薬品名が含まれている場合に、秤量対象となる処方薬品名を選択するための操作を省略することができ、医師又は薬剤師などのユーザーによる調剤効率を高めることができる。
【0064】
<ステップS6>
ステップS6において、前記制御部11は、前記処方箋情報から前記収容薬品名に対応する処方薬品名の薬品を秤量するための秤量画面41を前記タッチパネル13に表示させる。このとき、前記制御部11は、前記天秤ユニット12による薬品の秤量値及び前記処方薬品名の薬品の秤量の目標値を前記秤量画面41上に表示させる。
【0065】
ここに、
図7は、前記秤量画面41の一例を示している。
図7に示す前記秤量画面41は、前記ステップS3において前記薬品Aが読み取られた場合に表示されるものであり、処方薬品名である「薬品A」、処方量である目標値「0.9g」、及び前記天秤ユニット12による実際の秤量値「0.0g」などを表示している。
【0066】
また、
図7に示す前記秤量画面41には、当該処方薬品名に関する秤量を完了するために操作される決定キー411が表示されている。ここに、前記タッチパネル13上に具現された前記決定キー411は前記処方薬品名ごとの秤量の完了を入力するための操作部であり、本発明に係る第1入力手段の一例である。
【0067】
ここに、
図16は、前記秤量画面41の他の例である秤量画面P16を示す図である。
図16に示す前記秤量画面P16において、前記制御部11は、前記RFIDリーダライタ14により前記RFIDタグ31が検知され、前記RFIDタグ31への情報記録が可能である場合にその旨がイメージ又は文字などで示される検知表示部P161を表示させる。これにより、ユーザーは、前記RFIDリーダライタ14により前記RFIDタグ31に情報を書き込み可能な状態であることを前記検知表示部P161の表示によって容易に確認することができる。なお、前記制御部11は、前記RFIDリーダライタ14により前記RFIDタグ31が検知されていない場合には、前記検知表示部P161を非表示にする。また、前記制御部11は、本来前記RFIDタグ31に対する情報の書き込みが実行されるタイミングで、前記RFIDタグ31への書き込みができない旨を前記タッチパネル13に表示させることが考えられる。なお、前記秤量画面P16には、前記薬品秤量装置10における秤量状態として、秤量対象の薬品名、常用量、目標量、現在の秤量値などの情報が表示されると共に、前記目標量に対する前記現在の秤量値をイメージで示すバロメータ表示部P162が表示されている。
【0068】
<ステップS7>
そして、ステップS7において、前記制御部11は、当該処方薬品名の秤量の完了を待ち受ける(S7のNo側)。具体的に、前記制御部11は、
図7に示すように前記秤量画面41に表示された前記決定キー411が操作されることにより、当該処方薬品名の秤量の完了と判断する。そして、前記制御部11は、当該処方薬品名の秤量完了と判断すると(S7のYes側)、処理をステップS8に移行させる。なお、前記制御部11は、当該処方薬品名の秤量が完了した場合にその旨をRAMなどに記憶させる。
【0069】
また、前記ステップS7において、前記制御部11が、前記天秤ユニット12による秤量値が所定時間(例えば1秒)継続して安定した状態で前記薬剤シート30が持ち上げられた場合に、当該処方薬品名の秤量が完了したと判断することも考えられる。なお、前記天秤ユニット12による秤量値が前記所定時間継続して安定した場合には
図7に示す秤量画面において「→」が表示される。例えば、前記制御部11は、前記薬剤シート30が持ち上げられたことを、前記天秤ユニット12による秤量値が瞬時に0になったことを条件に判断することができる。但し、前記薬剤シート30が持ち上げられると、後述のステップS9における前記RFIDタグ31への情報の記録ができなくなる。そのため、前記制御部11は、前記天秤ユニット12による秤量値が前記所定時間継続して安定する度に前記RFIDタグ31への情報の記録(S9)を随時実行することが考えられる。これにより、前記薬剤シード30が持ち上げられたときには前記RFIDタグ31に最終的な秤量値が記録されていることとなる。なお、前記RFIDタグ31への情報の書き込み手法として、前記薬剤シート30が前記薬品秤量装置10に載置されたときに前記天秤ユニット12による秤量値を除く情報を書き込み、その後は、前記秤量値のみを随時更新することが考えられる。これにより、前記秤量値が所定時間安定してから前記薬剤シート30が持ち上げられるまでの時間が短時間であっても、その短時間で前記秤量値を最新の情報に更新することが可能となる。
【0070】
<ステップS8>
ステップS8において、前記制御部11は、前記処方箋情報における処方薬品名の秤量経過を示す経過画面42を前記タッチパネル13に表示させる。ここに、
図8(A)、
図8(B)はそれぞれ前記経過画面42の一例を示すものである。
【0071】
図8(A)は、前記薬品名表示モードにおいて、前記薬品Aの秤量が完了した場合に表示される前記経過画面42の一例を示している。
図8(A)に示す前記経過画面42では、前記薬品名表示部401に表示された薬品名のうち既に秤量が完了した薬品名が他と異なる色又はハイライトで表示されている。
【0072】
図8(B)は、前記薬品名非表示モードにおいて、前記薬品Aの秤量が完了した場合に表示される前記経過画面42の一例を示している。
図8(B)に示す前記経過画面42では、既に秤量が完了した薬品名のみが表示されている。
【0073】
また、
図8(A)及び
図8(B)に示す前記経過画面42には、当該処方箋情報に関する秤量を完了するために操作される完了キー421が表示されている。ここに、前記タッチパネル13上に具現された前記完了キー421は前記処方箋情報ごとの秤量の完了を入力するための操作部であり、本発明に係る第2入力手段の一例である。
【0074】
<ステップS9>
また、ステップS9において、前記制御部11は、前記RFIDリーダライタ14により前記処方箋情報及び前記秤量結果(秤量薬品情報の一例)を前記RFIDタグ31に書き込む。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部11が記録手段に相当する。
【0075】
例えば、前記処方箋情報には、処方箋交付年月日、患者ID、患者名、患者生年月日、剤形情報(内服、外用など)、薬品情報(薬品コード、薬品名、用量)、用法情報(1日3回毎食後など)などの前記処方箋に記録された情報が含まれている。また、前記秤量結果には、秤量対象の薬品名、秤量目標値、実際の秤量値、前記処方薬品名と前記収容薬品名との照合結果などが含まれる。また、前記処方箋情報に含まれた処方薬品名を後発医薬品名に置き換えて秤量した場合には、その旨の情報も前記秤量結果に含まれる。
【0076】
なお、前記ステップS9において前記制御部11は、前記処方箋情報の一部だけを前記RFIDタグ31に記録させることも考えられる。例えば、前記RFIDタグ31として記憶容量の小さいものを用いる場合には、前記処方箋情報及び前記秤量結果の全ての情報を記録することができない。そこで、この場合には、前記制御部11は、前記RFIDタグ31に少なくとも秤量対象の薬品名を記憶させればよい。これにより、後述するように、前記薬品包装装置20におけるホッパーの間違いを防止することができる。この場合には、前記薬品秤量装置10と前記薬品包装装置20とがLAN又はインターネット等の通信ネットワークで通信可能に接続されており、前記制御部11が、前記RFID31に記録されない情報を前記薬品包装装置20に送信することが考えられる。
【0077】
また、前記薬品秤量装置10及び前記薬品包装装置20が前記通信ネットワークで接続された構成では、前記薬品秤量装置10内で前記処方箋情報及び前記秤量結果と対応付けて記憶された簡易な固定情報(情報の識別番号など)を前記RFIDタグ31に記録させることも考えられる。この場合には、前記固定情報が前記薬品包装装置20で読み取られたときに、前記薬品包装装置20から前記薬品秤量装置10に対して前記固定情報に対応する前記処方箋情報及び前記秤量結果の送信要求が行われる。これにより、前記薬品秤量装置10から前記薬品包装装置20に前記通信ネットワークを介して前記固定情報に対応する前記処方箋情報及び前記秤量結果が送信される。
【0078】
なお、前記ステップ8及び前記ステップS9の処理手順は実行順序が逆であっても、或いは略並行して実行されてもよい。即ち、前記ステップS7で秤量完了と判断された直後に前記ステップS9における前記RFIDタグ31への前記処方箋情報及び前記秤量結果の記録が行われてもよい。
【0079】
<ステップS10>
その後、ステップS10において、前記制御部11は、前記バーコードリーダー17によって次の収容薬品名が読み取られたか否かを判断する。ここで、前記制御部11は、次の収容薬品名が読み取られたと判断すると(S10のYes側)、処理を前記ステップS4に移行させる。一方、前記制御部11は、次の収容薬品名が読み取られない場合は(S10のNo側)、処理をステップS11に移行させる。
【0080】
<ステップS11>
ステップS11において、前記制御部11は、当該処方箋情報に対応する秤量が全て完了したか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、
図8(A)、(B)に示すように前記経過画面42に表示された前記完了キー421が操作された場合、又は当該処方箋情報に含まれた全ての秤量対象薬品の秤量が完了した場合に、当該処方箋情報に関する秤量が全て完了したと判断する。
【0081】
そして、前記制御部11は、当該処方箋情報に関する秤量が全て完了したと判断すると(S11のYes側)、処理をステップS12に移行させる。一方、前記制御部11は、当該処方箋情報に関する秤量が全て完了していない場合は(S11のNo側)、処理を前記ステップS10に移行させる。
【0082】
ところで、前記完了キー421が操作されたとき、当該処方箋情報に含まれた処方薬品名に秤量が未完了の処方薬品名が存在する場合には、ユーザーが秤量を忘れているおそれがある。そこで、前記制御部11は、前記ステップS11において前記完了キー421の操作がなされたと判断した時点で、前記完了キー421の操作により秤量の完了が入力された前記処方箋情報に含まれている前記処方薬品名の中に前記決定キー411により秤量の完了が入力されていない処方薬品名が存在する場合は、その旨を前記タッチパネル13に表示することが考えられる。これにより、ユーザーに対して秤量忘れを警告することができる。なお、前記制御部11は、前記処方薬品名各々の秤量の完了の有無を、前記ステップ7で前記RAMに記憶された情報に従って判断する。ここに、係る表示処理を実行するときの前記制御部11が未完了表示手段に相当する。また、前記制御部11は、前記表示を、文字、画像、音声、又は光により表示されるものであってよい。
【0083】
但し、前記処方箋情報に、前記薬品秤量装置10による秤量対象とならない外用薬、水剤、錠剤、ヒート剤(所定量の散薬又は錠剤を包装したもの)などの薬品が含まれる場合も考えられる。この場合、前記薬品秤量装置10の秤量対象外の薬品の秤量が未完了であることが正常となるため、ユーザーに対して秤量忘れを警告しない。但し、必要に応じて、前記薬品秤量装置10の秤量対象外の薬品についても秤量忘れの警告を表示させることが考えられる。これにより、ユーザーの秤量忘れを確実に防止することができる。
【0084】
例えば、前記制御部11が、当該処方箋情報に含まれた処方薬品名に秤量が未完了の処方薬品名が存在する場合、その処方薬品名が散薬である場合にのみ前記警告表示を行うことが考えられる。散薬は、前記薬品秤量装置10による秤量対象である可能性が高く、ユーザーが秤量を忘れている可能性が高いためである。
【0085】
さらに、前記薬品秤量装置10による秤量対象外の薬品種別などを前記データ記憶部15などに予め記憶させておくことが考えられる。例えば、前記ヒート剤が秤量対象外の薬品種別として記憶されることが考えられる。これにより、前記制御部11は、前記秤量対象外の薬品種別に該当する処方薬品名に関する秤量が未完了の場合には前記警告表示を行わないことが可能となる。これにより、必要な場合にのみ警告表示を行い、不要な警告表示を防止することができる。もちろん、前記薬品秤量装置10による秤量対象外の薬品種別に代えて秤量対象の薬品種別が前記データ記憶部15に予め記憶された構成も考えられる。
【0086】
ここで、これらの秤量忘れの警告表示の手法は、前記制御部11により表示される前記薬品秤量プログラムに関する初期設定画面に従った前記タッチパネル13の操作入力に応じて任意に切り替え可能であることが考えられる。
【0087】
また、前記制御部11が、前記ステップS11において、当該処方箋情報に関する秤量の完了を自動的に判断することも考えられる。これにより、ユーザーが前記完了キー421を操作する手間を省略することができる。
【0088】
例えば、前記制御部11が、次の処方箋情報の読み取りが行われたことを条件に、前の処方箋情報に関する秤量が完了したと判断することが考えられる。即ち、前記制御部11は、前記バーコードリーダー17によって処方箋の二次元コードが読み込まれたことを条件に、一つ前に読み取られた処方箋情報に関する秤量が完了したと判断する。
【0089】
また、前記制御部11が、当該処方箋情報に含まれた全ての処方薬品名の秤量が完了したと判断されたことを条件に、当該処方箋情報に関する秤量が完了したと判断することも考えられる。これにより、当該処方箋情報に含まれた全ての処方薬品名が前記薬品秤量装置10による秤量対象の薬品であれば、当該処方箋情報に対応する秤量が完了したことを自動的に判断することが可能である。
【0090】
一方、前記処方箋情報に、前記薬品秤量装置10の秤量対象外の薬品が含まれる場合には、前記処方箋情報に関する秤量が完了したか否かを判断することができない。そこで、前記データ記憶部15などに前記薬品秤量装置10による秤量対象外の薬品種別などを記憶させておくことが考えられる。これにより、前記制御部11が、前記ステップS11において、当該処方箋情報に含まれた処方薬品名のうち前記秤量対象外の薬品種別に該当しない処方薬品名の秤量が完了したことを条件に当該処方箋情報に対応する秤量が完了したと判断することができる。もちろん、前記薬品秤量装置10の秤量対象外の薬品種別に代えて秤量対象の薬品種別が前記データ記憶部15に予め記憶された構成も考えられる。
【0091】
<ステップS12>
そして、当該処方箋情報に関する秤量が全て完了すると、続くステップS12において、前記制御部11は、前記プリンター18により前記処方箋情報及び前記秤量結果を印刷させる。このとき、前記制御部11は、前記処方箋情報及び前記秤量結果のうち予め設定された情報のみを予め設定されたレイアウトに従って印刷させる。
【0092】
具体的には、前記ステップS1で読み取られた処方箋情報に含まれた患者名、秤量対象の薬品名、秤量目標値、及び前記薬品秤量装置10における実際の秤量値、前記処方薬品名と前記収容薬品名との照合結果、秤量時間、秤量作業者などが印刷される。即ち、前記制御部11は、前記薬品秤量装置10において秤量された薬品に関する記録のみを前記プリンター18で印刷させる。前記薬品秤量装置10では、前記RFIDタグ31に前記処方箋情報及び前記秤量結果が記録されるため、処方薬品が秤量される度に前記プリンター18による印刷を行う必要はなく、前記処方箋情報に関する秤量が完了した時点で秤量結果を印刷すればよい。もちろん、前記制御部11が、処方薬品が秤量される度にその秤量結果を前記プリンター18で印刷させることも他の実施形態として考えられる。
【0093】
<ステップS13>
他方、前記ステップS4において、前記ステップS3で読み取られた収容薬品名が前記処方薬品名のいずれにも該当しない場合(S4のNo側)、前記制御部11は、ステップS13以降の処理を実行する。
【0094】
まず、ステップS13において、前記制御部11は、前記収容薬品名が前記データ記憶部15に記憶された前記医薬品マスターに登録されているか否かを判断する。ここで、前記収容薬品名が前記医薬品マスターに登録されていると判断した場合(S13のYes側)、前記制御部11は処理をステップS14に移行させる。一方、前記収容薬品名が前記医薬品マスターに登録されていないと判断した場合(S13のNo側)、前記制御部11は処理をステップS15に移行させる。
【0095】
<ステップS14>
ステップS14において、前記制御部11は、
図9(A)に示すように、薬品が違う旨を示す警告画面43を前記タッチパネル13に表示させ、処理を前記ステップS3に戻す。これにより、ユーザーに薬瓶の選択が誤りであることを警告することができ、誤った薬品の処方を防止することができる。なお、前記警告は、前記タッチパネル13における文字や画像の表示に限らない。例えば、前記薬品秤量装置10がスピーカーを有しており、前記制御部11が前記スピーカーによって音声で薬品が違う旨を表示させてもよい。また、前記薬品秤量装置10が警告表示用のLEDを有しており、前記制御部11が前記LEDの点灯又は点滅によって光で薬品が違う旨を表示させてもよい。
【0096】
<ステップS15>
ステップS15において、前記制御部11は、前記収容薬品名が前記データ記憶部15に記憶された前記後発医薬品マスターの後発医薬品名のいずれかに該当するか否かを判断する。ここで、前記収容薬品名が前記後発医薬品名のいずれかに該当すると判断した場合(S15のYes側)、前記制御部11は処理をステップS16に移行させる。一方、前記収容薬品名が前記後発医薬品名のいずれにも該当しないと判断した場合(S15のNo側)、前記制御部11は処理をステップS19に移行させる。
【0097】
<ステップS16>
ステップS16において、前記制御部11は、前記収容薬品名と一致した前記後発医薬品名に対応する前記先発医薬品名が前記処方薬品名のいずれかに該当するか否かを判断する。即ち、当該ステップS16において、前記制御部11は、前記収容薬品名の薬品が前記処方薬品名の薬品に対応する後発医薬品であるか否かを判断している。
【0098】
ここで、前記先発医薬品名が前記処方薬品名のいずれかに該当すると判断した場合(S16のYes側)、前記制御部11は処理をステップS17に移行させる。一方前記先発医薬品名が前記処方薬品名のいずれにも該当しないと判断した場合(S16のNo側)、前記制御部11は処理をステップS19に移行させる。
【0099】
なお、前記処方箋に処方薬品名として前記後発医薬品名が記録されることも考えられる。そのため、前記ステップS15において、前記収容薬品名が前記先発医薬品名又は前記後発医薬品名のいずれかに該当するか否かを判断し、前記ステップS16において、その該当する先発医薬品名又は後発医薬品名に対応する後発医薬品名又は先発医薬品名が前記処方薬品名のいずれかに該当するか否かを判断することも他の実施形態として考えられる。
【0100】
<ステップS17>
ステップS17において、前記制御部11は、前記後発医薬品名の薬品を使用する旨の確認画面44を表示させる。ここに、
図9(B)は、前記確認画面44の一例を示している。
図9(B)に示すように、前記確認画面44には、収容薬品名の薬品が後発医薬品である旨と、その後発医薬品の使用を承認するか否かの問い合わせとが表示されている。また、前記確認画面44には、後発医薬品の使用を承認する場合に操作される承認キー441と、後発医薬品の使用を承認しない場合に操作されるキャンセルキー442とが表示されている。
【0101】
<ステップS18>
そして、ステップS18において、前記制御部11は、後発医薬品の使用が承認されたか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS18において、前記承認キー441又は前記キャンセルキー442のいずれが選択されたかを判断する。
【0102】
ここで、前記キャンセルキー442が操作されると、前記制御部11は、後発医薬品の使用が承認されなかったと判断し(S18のNo側)、処理を前記ステップS3に移行させる。
【0103】
また、前記承認キー441が操作されると、前記制御部11は、後発医薬品の使用が承認されたと判断し(S18のYes側)、処理を前記ステップS5に移行させる。これにより、前記制御部11は、前記ステップS5において、前記処方箋情報に含まれた処方薬品名のうち前記後発医薬品名に対応する前記処方薬品名を秤量対象として選択し、前記ステップS6において、前記後発医薬品名及びその秤量目標値が示された前記秤量画面41を前記タッチパネル13に表示させる。なお、前記先発医薬品名に対する処方量と同様の薬効を生じさせるための前記後発医薬品名の処方量が異なる場合、前記制御部11は、前記後発医薬品マスターに基づいて前記先発医薬品名の処方量に対応する前記後発医薬品名の処方量を前記秤量目標値として算出することが考えられる。
【0104】
<ステップS19>
一方、前記収容薬品名が前記処方薬品名及び前記後発医薬品名のいずれにも該当しない場合(S4のNo側、S15のNo側)、前記制御部11は、ステップS19以降の処理を実行する。また、前記収容薬品名と一致する前記後発医薬品名に対応する先発医薬品名が前記処方薬品名のいずれにも該当しない場合にも(S16のNo側)、前記制御部11は、ステップS19以降の処理を実行する。
【0105】
ステップS19において、前記制御部11は、薬品が違う旨を示す警告画面45を前記タッチパネル13に表示させる。これにより、ユーザーに薬瓶の選択が誤りであることを警告することができ、誤った薬品の処方を防止することができる。なお、前記警告は、前記タッチパネル13における文字や画像の表示に限らない。例えば、前記薬品秤量装置10がスピーカーを有しており、前記制御部11が前記スピーカーによって音声で薬品が違う旨を表示させてもよい。また、前記薬品秤量装置10が警告表示用のLEDを有しており、前記制御部11が前記LEDの点灯又は点滅によって光で薬品が違う旨を表示させてもよい。
【0106】
ここに、
図9(C)は、前記警告画面45の一例を示している。
図9(C)に示すように、前記警告画面45には、薬品が違う旨と後発医薬品名を登録するか否かの問い合わせとが表示されている。また、前記警告画面45には、後発医薬品登録を行う場合に操作される後発医薬品登録キー451と、後発医薬品登録を行わない場合に操作されるキャンセルキー452とが表示されている。
【0107】
<ステップS20>
そして、ステップS20において、前記制御部11は、前記後発医薬品登録を行う旨の操作がなされたか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS20において、前記後発医薬品登録キー451又は前記キャンセルキー452のいずれが選択されたかを判断する。
【0108】
ここで、前記キャンセルキー452が操作されると、前記制御部11は、前記後発医薬品登録を行わないと判断し(S20のNo側)、処理を前記ステップS3に移行させる。また、前記後発医薬品登録キー451が操作されると、前記制御部11は、前記後発医薬品登録を行うと判断し(S20のYes側)、処理をステップS21に移行させる。
【0109】
<ステップS21>
そして、ステップS21において、前記制御部11は、前記後発医薬品マスターを編集するための処理を実行する。例えば、前記制御部11は、前記後発医薬品名を前記後発医薬品マスターに登録するための登録画面51を前記タッチパネル13に表示させ、前記登録画面51の表示に従った操作入力に応じて前記後発医薬品名を登録する。また、前記制御部11は、既に登録された前記後発医薬品マスターにおける前記先発医薬品名と前記後発医薬品名との対応関係を前記タッチパネル13のユーザーによる操作入力に応じて修正する。
【0110】
ここに、
図10(A)、(B)は、前記登録画面51の一例を示している。
図10(A)に示すように、前記登録画面51の初期画面では、薬品コード、薬品名、区分、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、単位、秤量などの項目が設定可能である。そして、前記制御部11は、登録キー511の操作に応じて前記後発医薬品名を前記後発医薬品マスターに登録し、戻るキー512の操作に応じて前記登録画面51を閉じる。また、前記制御部11は、前頁キー513又は次頁キー514の操作に応じて前記登録画面51の表示内容を切り替える。具体的に、前記次頁キー514が操作されると、前記制御部11は、
図10(B)に示すように、前記登録画面51における設定項目を、先発医薬品名、JANコード、薬瓶コードに変更する。また、
図10(B)には、JAN取込キー515及び常用量キー516が表示されている。前記制御部11は、前記JAN取込キー515の操作に応じて前記バーコードリーダー17により薬瓶に付されたバーコードからJANコードを取り込む。また、前記制御部11は、前記常用量キー516の操作に応じて前記後発医薬品名に対応する常用量を設定するための常用量設定画面を開き、その常用量設定画面の入力に応じて常用量を設定する。なお、常用量とは、薬が最も普通に使われた時に治療効果の期待できる量である。
【0111】
その後、前記制御部11は、処理を前記ステップS15に移行させる。即ち、ユーザーは、当該処方箋情報に関する秤量作業を一時中断して前記後発医薬品マスターを編集した後、そのまま当該処方箋情報に関する秤量作業を再開することができる。従って、ユーザーは、前記薬品秤量装置10を使用する日々の運用の中で前記後発医薬品マスターを適宜編集してその内容を充実させることができる。これに対し、当該処方箋情報に基づく秤量作業(薬品秤量処理)を一旦終了させ、初期設定画面などで前記後発医薬品マスターを編集する場合には、その後、当該処方箋情報に基づく秤量作業(薬品秤量処理)を初めから再度行う必要があり、ユーザーは煩雑な作業を強いられる。
【0112】
以上説明したように、前記薬品秤量装置10を用いるユーザーは、処方箋の二次元コード及び薬瓶のバーコードを前記バーコードリーダー17に順次読み取らせることにより正確且つ簡単に前記処方箋に従った薬品の秤量を行うことができる。
【0113】
特に、ユーザーが、薬瓶のバーコードを前記バーコードリーダー17に読み取らせることにより、前記薬品秤量装置10では収容薬品名及び処方薬品名の照合が行われると共に、これから秤量を開始する秤量対象の処方薬品名が選択される。従って、ユーザーは、処方箋に複数の処方薬品名が記録されている場合に、秤量対象の処方薬品名を選択する操作の手間を省くことができる。
【0114】
[薬品包装処理]
続いて、
図11のフローチャートを参照しつつ、前記制御部21が前記薬品包装プログラムに従って実行する薬品包装処理の手順の一例について説明する。ここに、図示するS31、S32、…は前記制御部21が実行する処理手順(ステップ)番号を示す。
【0115】
<ステップS31>
まず、ステップS31において、前記制御部21は、処方箋情報の入力の有無を判断する。具体的に、前記制御部21は、前記RFIDリーダライタ24により前記RFIDタグ31から処方箋情報が読み取られたか否かを判断する。このように、前記薬品秤量システム1では、前記薬品包装装置20において前記RFIDタグ31から前記処方箋情報を読み取り可能であるため、前記薬品包装装置20を調剤支援システムなどの上位システムに通信可能に接続する必要がない。また、前記薬品包装装置20では、前記RFIDタグ31から処方箋情報が取得されるため、ユーザーによって従来行われていた前記薬品包装装置20における処方箋情報の入力作業及び前記薬品包装装置20を作動させるためのオペレーション作業を軽減することができる。
【0116】
但し、前記薬品包装装置20が前記上位システムに通信可能に接続されていることも他の実施形態として考えられる。この場合、前記制御部21は、前記ステップS31において、前記上位システムから前記処方箋情報が入力されたか否かを判断する。さらに、前記制御部21が処方箋に記録された二次元コードから処方箋情報を読み取るバーコードリーダーを備える構成も他の実施形態として考えられる。この場合、前記制御部21は、前記ステップS31において、前記二次元コードが読み取られたか否かを判断する。もちろん、前記薬品包装装置20が前記処方箋情報をこれらの異なる手法で入力する複数の入力機能を有しており、その入力機能のいずれかを予め選択可能な構成も考えられる。
【0117】
ここで、前記制御部21は、前記処方箋情報が入力されたと判断した場合は(S31のYes側)、処理をステップS32に移行させ、前記処方箋情報が入力されていないと判断した場合は(S31のNo側)、処理をステップS33に移行させる。
【0118】
<ステップS32>
ステップS32において、前記制御部21は、前記ステップS31で読み取られた処方箋情報に関する薬品の包装で前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bのいずれを使用するかを選択する。
【0119】
例えば、患者C1に処方する薬品が記載された処方箋情報が入力された場合はその薬品の包装に前記ホッパー25Aが使用され、患者C2に処方する薬品が記載された処方箋情報が入力された場合はその薬品の包装に前記ホッパー25Bが使用されることが予め定められており、その旨を示す割当情報が前記処方箋情報に含まれていることが考えられる。この場合、前記ステップS32において、前記制御部21は、前記処方箋情報に含まれた前記割当情報に応じて前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bのいずれを使用するかを判断することができる。
【0120】
また、前記RFIDタグ31から前記処方箋情報が読み取られるごとに、前記制御部21が、前記ステップS32において前記処方箋情報ごとに前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bのいずれを使用するかを自動的に割り当てることも考えられる。例えば、前記制御部21は、前記処方箋情報が入力されるごとに前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bを交互に使用するように選択することが考えられる。
【0121】
このように構成された前記薬品包装装置20では、ユーザーは、前記処方箋情報ごとに前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bを使い分けて薬品を投入することができるため、複数の患者の処方箋情報に関する調剤作業を並行して進めることができる。
【0122】
但し、複数の患者の処方箋情報に関する調剤作業を並行して進めると、ユーザーが本来とは逆の前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bに薬品を投入してしまうおそれがある。そこで、当該薬品包装処理では、以下のステップS33以下の処理によりユーザーによる薬品の投入先の判断ミスを防止している。
【0123】
<ステップS33>
ステップS33において、前記制御部21は、前記RFIDタグ31から前記薬剤シート30に載置された薬品の薬品名(以下「投入薬品名」という)が読み取られたか否かを判断する。なお、前記ステップS31において、前記RFIDタグ31から処方箋情報が読み取られる場合には、同時に前記投入薬品名も読み取られるため、当該ステップ33では前記投入薬品名が読み取られたと判断されることになる。
【0124】
ここで、前記制御部21は、前記投入薬品名が読み取られると(S33のYes側)、処理をステップS34に移行させ、前記投入薬品名が読み取られるまでの間は(S33のNo側)、処理を前記ステップS31に移行させる。
【0125】
<ステップS34>
そして、ステップS34において、前記制御部21は、前記処方箋情報と前記投入薬品名とに基づいて前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bのいずれを使用するかを選択する。例えば、前記ステップS32において、患者C1に処方する薬品の包装は前記ホッパー25Aを使用し、患者C2に処方する薬品の包装は前記ホッパー25Bを使用することが設定されている場合を考える。この場合、前記ステップS34では、患者C1に対応する処方箋情報に含まれた投入薬品名が読み取られると前記ホッパー25Aが選択され、患者C2に対応する処方箋情報に含まれた投入薬品名が読み取られると前記ホッパー25Bが選択される。
【0126】
なお、前記RFIDタグ31に前記処方箋情報が記録されていない場合であっても、前記ステップS32では、前記上位システムから入力される処方箋情報や処方箋の二次元コードから読み取られる処方箋情報に基づいて前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bのいずれを使用するかが選択される。そのため、前記RFIDタグ31には、少なくとも前記薬剤シート30に載置された薬品に関する薬品名及び秤量値などの情報が記憶されていれば、前記制御部21がその情報に基づいて前記ステップS34における判断を行うことができる。具体的に、前記制御部21は、前記薬剤シート30に載置された薬品に関する薬品名及び秤量値に該当する処方薬品名及び処方量が含まれた処方箋情報を特定し、その処方箋情報に対応する前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bのいずれかを選択する。
【0127】
<ステップS35>
ステップS35において、前記制御部21は、前記ステップS34における選択結果を前記タッチパネル23に文字又は画像によって表示させる。例えば、前記制御部21は、「A薬品をAホッパーに投入してください」などの案内表示を行うことが考えられる。なお、当該表示は、前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bのいずれかをユーザーに通知するために行われるものであって、前記タッチパネル23上における表示に限らない。
【0128】
例えば、前記制御部21は、前記選択結果を音声によって表示することも考えられる。また、前記ホッパー25A及び前記ホッパー25B各々にLEDなどを設けておき、前記制御部21が前記LEDのいずれかを点灯させることにより前記選択結果を表示させることも考えられる。さらに、前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bの投入口が所定の駆動手段により開閉可能な構成であれば、前記制御部21が前記駆動手段を制御して前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bの投入口のいずれかを開放させることにより前記選択結果を表示させることも考えられる。また、前記ホッパー25A及び前記ホッパー25B各々の投入口にその投入口の開放を制限するロック手段が設けられており、前記制御部21が、前記ロック手段のいずれか一方のみを解除して他方をロック状態とすることにより、ユーザーが前記薬剤シート30の薬品を投入するべき前記投入口のみを開放可能な状態にすることも考えられる。
【0129】
このように、前記薬品包装装置20では、前記薬品秤量装置10で秤量された薬品と一体不可分な前記薬剤シート30に設けられた前記RFIDタグ31に記憶された情報に基づいて、その薬品の投入先が自動的に表示される。従って、ユーザーは薬品の投入先を容易に把握することができ、薬品の投入先の誤りが防止される。また、前記ステップS34による選択結果の通知手法として、前記タッチパネル23上の表示、前記音声表示、前記LED表示などの各種の通知手法のいずれか二つ以上を併用すれば、ユーザーによる薬品の投入先の誤りをより効果的に防止することができる。
【0130】
<ステップS36>
その後、ステップS36において、前記制御部21は、前記RFID31から読み取られた前記処方箋情報及び前記秤量結果に基づいて、前記包装ユニット22で実行される分包動作を予め設定された制御条件に従って制御する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部21が分包制御手段に相当する。
【0131】
従来の薬品包装装置では、包装する薬品の詳細な情報が不明であるため、全ての薬品を正確に分包することができる共通条件に従って薬品の分包が行われていた。そのため、例えば包装動作が無駄に遅くなる場合があった。しかしながら、当該薬品包装処理では、前記ステップS36において、前記処方箋情報及び前記秤量結果に基づいて異なる包装動作の制御を実行することができるため、例えば薬品ごとに適した条件で薬品の包装を行うことができる。具体的に、前記制御部21は、前記RFIDタグ31から秤量薬品情報として読み取られた前記処方箋情報及び前記秤量結果に含まれた薬品の種別に応じて、当該散薬の種別ごとに予め設定された動作を前記分割手段又は前記包装手段に実行させるものである。例えば、前記制御部21は、飛散しやすい種別の散薬を分包する際には分包速度(前記分割ユニット221における環状分配皿の回転速度など)を遅くして飛散を防止し、飛散しにくい種別の散薬を分包する際には前記分包速度を速めて分包を迅速に行うことが考えられる。
【0132】
[薬品包装処理の他の例]
ここで、
図12~
図14を参照しつつ、前記薬品包装処理の他の例である第1変形例~第3変形例について説明する。なお、
図11を用いて説明した前記薬品包装処理の処理手順と同様の処理手順については同じ符合を付してその説明を省略する。
【0133】
[第1変形例]
図12に示すように、当該第1変形例に係る薬品包装処理では、
図11に示した前記ステップS31及び前記ステップS32の間に、前記制御部21によって後述のステップS311~S312が実行される。
【0134】
<ステップS311>
ステップS311において、前記制御部21は、前記ステップS31で入力された処方箋情報に複数の処方薬品名が含まれるか否かを判断する。ここで、前記制御部21は、複数の処方薬品名が含まれると判断した場合(S311のYes側)、処理をステップS312に移行させ、複数の処方薬品名が含まれないと判断した場合(S311のNo側)、処理を前記ステップS32に移行させる。
【0135】
<ステップS312>
ステップS312において、前記制御部21は、前記処方箋情報に含まれた処方薬品名ごとに前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bのいずれを使用するかを選択する。なお、前記選択手法については、例えば処方薬品名ごとに前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bのいずれを使用するかに関する割当情報が前記処方箋情報に含まれており、前記制御部21が、前記処方箋情報に含まれた前記割当情報に応じて前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bのいずれを使用するかを判断することが考えられる。具体的に、薬品の色(赤色、白色など)ごとに前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bのいずれを使用するかが医療施設又は薬局ごとに予め定められていることが考えられる。例えば、色がついた有色の薬品と色がついていない無色の薬品とで前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bを使い分けるように定めておくことが考えられる。また、前記制御部21が、前記処方薬品名ごとに前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bを交互に使用するなど、前記処方薬品名ごとに前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bのいずれを使用するかを自動的に割り当てることも考えられる。
【0136】
また、前記処方箋情報に、複数の処方薬品名のうち同じ分包紙内に収容するべき薬品として予め定められた二つの処方薬品名が存在する場合、前記制御部21は、その二つの薬品の一方で前記ホッパー25Aを使用し、他方で前記ホッパー25Bを使用するように選択する。これにより、前記ステップS36における前記薬品包装装置20の前記包装ユニット22による薬品分包動作では、前記ホッパー25A及び前記ホッパー25B各々に投入された処方薬品を1服用単位で同じ分包紙に分包させることができる。例えば、一つの処方箋情報に、服用時期が異なる2種類(複数種類)の薬品が含まれている場合は、前記薬品包装装置20が以下のように動作する。具体的に、朝、昼、夕に服用する散薬M1と、朝、夕に服用する散薬M2とが一つの処方箋情報に含まれている場合を考える。この場合、前記ステップS36における薬品分包動作では、前記制御部21によって前記処方箋情報から前記散薬M1、M2各々の服用時期が参照され、前記散薬M1及び前記散薬M2が、「前記散薬M1の朝及び前記散薬M2の朝」、「前記散薬M1の昼」、「前記散薬M1の夕及び前記散薬M2の夕」のそれぞれの単位で同じ分包紙に包装される。これは、前記制御部21が前記RFIDタグ31に記録された処方箋情報から薬品それぞれの服用時期を参照することにより実現可能となる機能である。なお、前記薬品包装装置20では、前記処方箋情報が前記RFIDタグ31から取得されるため、従来ユーザーによって行われていた前記薬品包装装置20における処方箋情報の入力作業及び前記薬品包装装置20を作動させるためのオペレーション作業が軽減される。
【0137】
以上説明したように、当該第1変形例によれば、一人の患者に対応する一つの処方箋情報に複数の処方薬品名が含まれる場合に、その処方薬品名ごとに前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bを使い分けることができ、複数の処方薬品の調剤作業を並行して進めることができる。また、同時に分包するべき処方薬品が存在する場合には、前記ホッパー25A、25Bを同時に用いて、その処方薬品を1服用単位で同じ分包紙に分包させることが可能である。
【0138】
[第2変形例]
図13に示すように、当該第2変形例に係る薬品包装処理では、
図12に示した前記第1変形例に係る薬品包装処理における前記ステップS32及び前記ステップS312の後に、前記制御部21によって後述のステップS313~S315が実行される。
【0139】
<ステップS313>
ステップS313において、前記制御部21は、前記ステップS36で実行される薬品分包動作が全ての薬品について完了していない未完了の処方箋情報が存在するか否かを判断する。ここで、前記制御部21は、前記未完了の処方箋情報が存在すると判断すると(S313のYes側)、処理をステップS314に移行させ、前記未完了の処方箋情報が存在しない場合には(S313のNo側)、処理を前記ステップS33に移行させる。
【0140】
<ステップS314>
ステップS314において、前記制御部21は、前記未完了の処方箋情報に関する薬品分包動作で使用されるホッパーが選択されたか否かを判断する。なお、単に「ホッパー」と称する場合は、前記ホッパー25A、25Bのいずれか一方又は両方を示す。前記未完了の処方箋情報に関する薬品分包動作で使用されているホッパー又は使用される予定のホッパーが選択されていない場合(S314のNo側)、前記制御部21は、処理を前記ステップS33に移行させる。これにより、例えば前記未完了の処方箋情報に同じ分包紙で包装するべき薬品が存在しない場合や、残りの薬品が一つだけである場合など、前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bの両方を使用する必要がない場合に、前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bを異なる処方箋情報に記載された薬品の調剤作業で用いることができる。
【0141】
一方、前記未完了の処方箋情報に関する薬品分包動作で使用されているホッパー又は使用される予定のホッパーが選択されたと判断されると(S314のYes側)、処理はステップS315に移行する。
【0142】
<ステップS315>
ステップS315において、前記制御部21は、前記未完了の処方箋情報に関する薬品分包動作が完了するまで処理を待機させ、その後、処理を前記ステップS33に移行させる。なお、この場合、前記制御部21は、使用可能なホッパーがない旨をユーザーに通知するためのエラーを文字、画像、音声、又は光などによって表示させることが考えられる。
【0143】
これにより、例えば前記未完了の処方箋情報に同じ分包紙で包装するべき薬品が存在する場合など、前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bを共に使用する必要がある場合には、他の処方箋情報に記載された薬品に関する薬品分包動作で前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bを使用することを禁止することができる。また、前記未完了の処方箋情報に含まれた残りの薬品が二つ以上ある場合に、次の処方箋情報の割り込みが防止されるため、前記処方箋情報を順次処理することができ、調剤ミスを防止することができる。
【0144】
[第3変形例]
図14に示すように、当該第3変形例に係る薬品包装処理では、
図11に示した前記ステップS34~S35に代えて後述のステップS341~S343が前記制御部21によって実行される。
【0145】
ここで、当該第3変形例に係る薬品包装処理が実行される前記薬品包装装置20は、複数の前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bのそれぞれに対応する位置に設けられた個別の前記RFIDリーダライタ24を備えている必要がある。以下、前記ホッパー25Aに対応する位置に設けられた前記RFIDリーダライタ24をRFIDリーダライタ24A、前記ホッパー25Bに対応する位置に設けられた前記RFIDリーダライタ24をRFIDリーダライタ24Bと称する。より具体的に、前記RFIDリーダライタ24Aが前記ホッパー25Aの投入口の近傍に設けられた前記薬剤シート30の載置台(例えば前記投入口の蓋など)、前記RFIDリーダライタ24Bが前記ホッパー25Bの投入口の近傍に設けられた前記薬剤シート30の載置台に配置される。
【0146】
<ステップS341>
ステップS341において、前記制御部21は、ユーザーが前記薬剤シート30の薬品を投入しようとしているホッパーが正しいか否かを判断する。
【0147】
具体的に、前記制御部21は、前記RFIDリーダライタ24又は前記RFIDリーダライタ24Bのいずれによって前記RFIDタグ31から前記投入薬品名が読み取られたかに応じて、ユーザーが前記薬剤シート30の薬品を投入しようとしているホッパーを判断する。そして、前記制御部21は、前記投入薬品名を読み取った前記RFIDリーダライタ24又は前記RFIDリーダライタ24Bが設けられた前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bが、前記ステップS32で選択されたホッパーであるか否かを判断する。
【0148】
ここで、前記制御部21は、ユーザーが前記薬剤シート30の薬品を投入しようとしているホッパーが正しいと判断すると(S341のYes側)、処理をステップS342に移行させ、正しくないと判断すると(S341のNo側)、処理をステップS343に移行させる。
【0149】
<ステップS342>
ステップS342において、前記制御部21は、前記薬剤シート30の薬品を投入しようとしているホッパーが正しい旨をユーザーに通知する。具体的に、前記制御部21は、前記タッチパネル23にその旨を表示することが考えられる。また、前記制御部21は、前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bに設けられたLED等を、ホッパーが正しい場合に対応する予め定められた色(青色又は緑色など)で点灯させることも考えられる。もちろん、ホッパーが正しい旨を音声などによって表示することも考えられる。さらに、前記制御部21が、前記薬剤シート30の薬品を投入しようとしているホッパーが正しい場合にのみ、そのホッパーの投入口を自動的に開放し或いはそのホッパーの投入口のロックを解除することも考えられる。
【0150】
<ステップS343>
一方、ステップS343において、前記制御部21は、前記薬剤シート30の薬品を投入しようとしているホッパーが誤っている旨をユーザーに通知する。具体的に、前記制御部21は、前記タッチパネル23にその旨を表示することが考えられる。また、前記制御部21は、前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bに設けられたLED等を、ホッパーが誤っている場合に対応する予め定められた色(赤色など)で点灯させることも考えられる。もちろん、ホッパーが誤っている旨を音声などによって表示することも考えられる。
【0151】
以上説明したように、当該第3変形例によれば、ユーザーは、前記薬剤シート30を前記RFIDリーダライタ24A又は前記RFIDリーダライタ24Bが設けられた位置に載置させることによって、前記薬剤シート30に載置された薬品の投入先の適否を確認することができるため、前記薬剤シート30に載置された薬品の投入先の過誤を効果的に防止することができる。
【0152】
なお、当該第3変形例は、前記第1変形例、前記第2変形例に係る薬品包装処理(
図12、
図13参照)における前記ステップS34~S35に代えて前記ステップS341~S343を実行することも考えられる。これにより、例えば前記処方箋情報に複数の薬品が含まれている場合に、ユーザーは、前記薬剤シート30の薬品の投入先がその薬品ごとに選択(S312)されたホッパーとして適切であるか否かを容易に確認することができる。
【0153】
[他の機能]
以下、前記薬品秤量装置10の他の機能について説明する。
【0154】
[処方箋情報の入力モード]
前記薬品秤量装置10では、前記処方箋情報の入力モードを任意に選択することが可能である。例えば、前記制御部11は、前記薬品秤量プログラムに関する初期設定画面を前記タッチパネル13に表示させ、その初期設定画面に従って行われる操作入力に応じて前記入力モードを選択する。
【0155】
前記入力モードには、前記バーコードリーダー17を用いて前記処方箋情報を読み取るバーコード読取モード、前記タッチパネル13を用いて前記処方箋情報を手動入力する手動入力モード、及び前記薬品秤量装置10の上位システムから通信ネットワークを介して前記処方箋情報を入力するネットワーク入力モードなどが含まれる。なお、前記薬品秤量装置10が前記ネットワーク入力モードを有する場合、前記薬品秤量装置10は、LAN又はインターネットなどの通信ネットワークを介して調剤支援システムなどの上位システムとの間で通信を行う通信インターフェースを備える。そして、前記制御部11は、例えば前記ネットワーク入力モードにおいても、前記薬品秤量処理(
図5参照)と同様の処理手順を実行する。即ち、前記ステップS1における処方箋からの処方箋情報の読み取りが前記上位システムからの処方箋情報の入力に代わるだけである。また、前記手動入力モード又は前記ネットワーク入力モードなどの入力モードである場合、前記バーコードリーダー17で前記二次元コードが読み取られたことを条件に、前記制御部11が自動的に前記バーコード読取モードに移行させることも考えられる。
【0156】
さらに、前記薬品秤量装置10が、音声を入力するマイク及びマイクに入力された音声に応じて情報を入力する音声認識処理を実行する音声認識手段を有する構成も考えられる。なお、前記音声認識手段は、例えば前記音声認識処理を実行するときの前記制御部11である。このような構成では、紙に印刷された処方箋又は手書きの処方箋の内容を調剤作業者などが声に出して読み上げることにより、前記制御部11が前記処方箋に記録された処方箋情報を前記薬品秤量装置10に入力することができる。即ち、前記薬品秤量装置10が、前記入力モードとして音声により前記処方箋情報を入力する音声入力モードを備えることが考えられる。このとき、前記制御部11は、前記処方箋に記録された前記処方箋情報を一括して読み上げることにより複数の医薬品名に関する情報が前記薬品秤量装置10に入力された後、前記処方箋情報に従った複数の医薬品名に関する秤量を連続して実行することが考えられる。また、前記制御部11は、前記処方箋に記録された前記処方箋情報のうち一つの医薬品名が読み上げられる度にその医薬品名に関する秤量を実行することも考えられる。
【0157】
[処方箋一括読取モード]
前記薬品秤量処理(
図5参照)は、一枚の処方箋から処方箋情報を読み取ってその処方箋情報に含まれた処方薬品名各々の秤量を順に行う場合の処理手順である。一方、前記薬品秤量装置10が、複数枚の処方箋から処方箋情報を連続して読み取り、その処方箋情報各々に関する秤量を並行して進めることのできる処方箋一括読取モードを備える構成が考えられる。前記処方箋一括読取モードは、前記制御部11により前記薬品秤量プログラムが実行されることにより具現される。
【0158】
具体的に、前記処方箋一括読取モードでは、前記薬品秤量処理と概ね同様の処理が実行されるが、前記ステップS3において、前記収容薬品名の読み取りが行われない場合(S3のNo側)、前記制御部11は処理を前記ステップS1に移行させる。これにより、ユーザーは前記バーコードリーダー17によって複数の処方箋を連続して読み取らせることができる。そして、前記制御部11は、前記複数の処方箋から読み取られた処方箋情報をRAMなどに蓄積記憶する。ここに、
図15(A)は、複数の処方箋D1~D3から読み取られた処方箋情報を示すものである。前記処方箋D1には薬品A~薬品C、前記処方箋D2には薬品D~薬品F、前記処方箋D3には薬品G~薬品Iがそれぞれ含まれている。
【0159】
その後、前記収容薬品名が読み取られると(S3のYes側)、次の前記ステップS4において、前記制御部11は、前記収容薬品名が複数の前記処方箋情報のいずれかの処方薬品名のいずれかに該当するか否かを判断する。具体的に、
図15(A)に示す前記処方箋D1~D3が読み取られた後、前記収容薬品名として「薬品E」が読み取られた場合には(S3のYes側)、前記処方箋D2に「薬品E」が含まれているため(S4のYes側)、処理は前記ステップS5に移行する。そして、前記ステップS5では、前記処方箋D2に対応する処方箋情報に含まれた薬品Eが秤量対象として自動的に選択され(S5)、前記処方箋D2に記録された薬品Eの処方量が前記秤量画面41に表示される(S6)。
【0160】
ここで、前記収容薬品名が複数の前記処方箋情報に含まれる処方薬品名に該当することも考えられる。そこで、このような場合、前記制御部11は、いずれかの処方箋情報をユーザーに任意に選択させることが考えられる。
【0161】
ここに、
図15(B)は、複数の処方箋D1~D3から読み取られた処方箋情報の他の例を示すものである。前記処方箋D1には薬品A~薬品C、前記処方箋D2には薬品D~薬品F、前記処方箋D3には薬品E、薬品H、薬品Iがそれぞれ含まれている。即ち、前記処方箋D2、D3それぞれに薬品Eが含まれている。
【0162】
この場合、読み取られた前記収容薬品名が「薬品E」である場合には、その薬品Eが前記処方箋D2及び前記処方箋D3の両方に含まれているため、前記制御部11は、前記処方箋D2又は前記処方箋D3のいずれかを選択するための処方選択画面61を前記タッチパネル13に表示させる。ここに、
図15(C)は、前記処方選択画面61の一例を示している。
【0163】
そして、前記制御部11は、前記処方選択画面61で選択された前記処方箋D2又は前記処方箋D3の「薬品E」を秤量対象として選択し(S5)、その処方箋に記録された薬品Eの処方量を前記秤量画面41に表示させる(S6)。
【0164】
このような処方箋一括読取モードによれば、複数の処方箋を連続して前記バーコードリーダー17に読み取らせた後、その処方箋に記録された薬品各々の秤量を連続して進めることができ、ユーザーの調剤効率を高めることができる。
【0165】
ところで、一人の患者が複数の診療科の診察を受けた場合などには、その診療科ごとに処方された複数の処方箋に従って薬品の秤量を行うことがある。この場合にも、前述したように、複数枚の処方箋から処方箋情報を連続して読み取る構成が好適である。これにより、複数枚の処方箋を連続して前記バーコードリーダー17に読み取らせた後、その処方箋に記録された薬品各々の秤量を連続して進めることができ、ユーザーの調剤効率を高めることができる。なお、このとき、前記制御部11は、同一患者の複数の処方箋が読み取られた場合、それらの処方箋を一つの処方箋情報として統合するか否かを任意に選択するためのポップアップ画面を前記タッチパネル13に表示させることが考えられる。そして、前記制御部11は、前記ポップアップ画面に従って複数の処方箋を一つの処方箋情報に統合する旨が選択された場合は、複数の処方箋から読み取られた複数の処方箋情報から一つの処方箋情報を生成し、その後は、その生成された統合後の処方箋情報に従って前記薬品秤量装置10における秤量を行う。
【0166】
さらに、前記制御部11は、同一患者の複数の処方箋を連続して読み取ることにより、その処方箋各々に記録された全ての処方薬品名を取得することができる。そこで、前記制御部11は、同一患者の複数の処方箋が読み取られた場合に、前記処方箋各々に記録された全ての処方薬品名のうち同時期に服用することが予め禁止されている薬品の存在の有無を判断することが考えられる。例えば、前記同時期の服用が禁止される薬品とは配合変化や副作用が生じる複数の薬品として予め定められたものである。このとき、前記制御部11は、前記処方箋情報各々に含まれた複数の薬品が同時期の服用が禁止されたものであるか否かの監査を前記データ記憶部15に記憶された前記同時服用禁止情報に基づいて行う。そして、前記処方箋各々に記録された全ての処方薬品名のうち同時に服用することが予め禁止されている薬品が存在する場合、前記制御部11は、その旨の警告を前記タッチパネル13などに表示させることが考えられる。なお、前記制御部11は、前記警告を文字、画像、音声、又は光によって表示する。これにより、同時期に服用することで配合変化や副作用が生じる複数の薬品の処方を、前記薬品秤量装置10における薬品の秤量段階で防止することができる。
【0167】
[他の実施形態]
以下、本発明の他の実施形態に係る薬品秤量システム2について説明する。なお、前記薬品秤量システム1と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0168】
図17に示すように、前記薬品秤量システム2は、一又は複数の前記薬品秤量装置10と、一又は複数の前記薬品包装装置20と、前記薬品秤量装置10各々に接続された上位システム70とを備える。前記薬品秤量システム2において、前記薬品秤量装置10、前記薬品包装装置20、及び前記上位システム70各々は、LAN又はインターネットなどのネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0169】
前記薬品秤量装置10の前記制御部11は、CPU111,SDカード112、及びRAM113を備える。前記SDカード112は、前記CPU111により実行されるカーネル114、OS115、及び秤単体アプリ116などの各種プログラムを記憶する記憶手段である。前記SDカード112に代えて前記各種プログラムが記憶されたROM等の記憶手段が設けられていてもよい。前記カーネル114は、例えばLinux(登録商標)などのソフトウェアプログラムであり、前記OS115は、例えばアンドロイド(登録商標)又はiOS(登録商標)等のオペーレーティングシステムである。また、前記秤単体アプリは、前記薬品秤量装置10を通常の電子天秤として動作させるためのソフトウェアプログラムである。即ち、前記薬品秤量装置10では、前記薬品秤量装置10に内蔵された前記制御部11には、前記薬品秤量装置10で実行される前記薬品秤量処理(
図5参照)などの各種の処理を実行するためのプログラム及びデータベースなどが記憶されていない。そのため、前記薬品秤量装置10では、電子天秤としての機能の安定性が確保されている。
【0170】
一方、前記USBポート16に着脱可能な前記データ記憶部15は、ログ151、設定ファイル152、帳票レイアウトファイル153、薬品秤量プログラム154、データベース155、及びデータベースダンプファイル156などを記憶するUSBメモリである。前記ログ151は、前記薬品秤量装置10の動作の履歴を示すログデータである。なお、前記USBポート16に代えてカードスロットが設けられ、前記データ記憶部15がSDカード等の記録媒体であることも考えられる。
【0171】
前記設定ファイル152及び前記帳票レイアウトファイル153は、前記制御部11によって実行される各種の処理の設定内容又は印刷フォームなどを含むデータである。前記薬品秤量プログラム154は、前記薬品秤量処理(
図5参照)などの各種の処理を前記制御部11に実行させるためのソフトウェアプログラムである。前記データベース155は、前記薬品秤量処理などにおいて使用される各種の前記マスターデータ、前記処方箋情報、及び前記秤量結果などをデータベース形式で記憶する。前記データベースダンプファイル156は、後述の起動処理(
図39参照)において前記データベース155から出力されるバックアップ用のファイルである。前記データベースダンプファイル156は、前記データベース156に記憶される各種のデータの一部又は全部に異常が生じた場合に、バックアップ時のデータを復元するために用いられる。
【0172】
一方、前記薬品包装装置20は、ハードディスク又はSSDなどのデータ記憶部26と、前記包装ユニット22で薬品の包装に使用される分包紙に情報を印字する印字部27とを備える。前記データ記憶部26には、前記ネットワークNを介して前記薬品秤量装置10各々からアクセス可能な共有フォルダが設けられている。これにより、前記薬品秤量装置10各々では、前記制御部11が、前記データ記憶部26の前記共有フォルダに、前記処方箋情報、前記秤量結果、及び前記調剤シート30に割り当てられる後述のトレイ番号などの情報を記憶させることが可能である。このとき、前記制御部11は、前記処方箋情報及び前記秤量結果を前記トレイ番号に対応付けて前記データ記憶部26に記憶させる。これにより、前記制御部21は、例えば前記薬剤シート30の前記RFIDタグ31から前記トレイ番号を読み取り、前記トレイ番号に基づいて前記薬剤シート30に対応する前記処方箋情報及び前記秤量結果を前記データ記憶部26から読み出すことが可能である。
【0173】
前記上位システム70は、例えば電子カルテシステム又は調剤支援システムなどであって、患者に処方する処方薬品に関する前記処方箋情報の入力及び管理などを行うパーソナルコンピューター等の情報処理装置である。具体的に、前記上位システム70は、制御部71及びデータ記憶部72等を備える。前記制御部71は、CPU、RAM、及びROMなどを備え、前記上位システム70を統括的に制御する。また、前記データ記憶部72は、前記制御部71に各種の処理を実行させるためのプログラム及び前記処方箋情報を記憶するハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶手段である。
【0174】
前記上位システム70では、前記制御部71が、前記データ記憶部72に記憶された前記処方箋情報を前記薬品秤量装置10からの送信要求に応じて前記薬品秤量装置10に送信することが可能である。このとき、前記制御部71は、前記薬品秤量装置10のいずれかで秤量対象として選択された前記処方箋情報をロックし、他の前記薬品秤量装置で同一の前記処方箋情報が選択されないように排他処理を実行する。これにより、複数の前記薬品秤量装置10を用いた前記薬品秤量情報に基づく秤量作業の重複が防止される。なお、前記制御部71は、前記薬品包装装置20からの送信要求に応じて前記薬品包装装置20に前記処方箋情報を送信することも可能である。また、前記制御部71が、前記薬品秤量装置10又は前記薬品包装装置20に能動的に前記処方箋情報を送信することも可能である。
【0175】
前記薬品秤量システム2では、前記薬品秤量装置10が、前記バーコードリーダー17による処方箋からの前記処方箋情報の読み取り、及び前記タッチパネル13に対する前記処方箋情報の入力操作に加え、前記上位システム70から前記処方箋情報を取得することが可能である。そして、前記上位システム70から前記処方箋情報を取得すると、前記制御部11は前記処方箋情報を前記データ記憶部15に記憶させる。これにより、前記制御部11は、前記タッチパネル13に対するユーザー操作に応じて前記データ記憶部15から任意に選択された前記処方箋情報を読み出すことが可能である。また、後述するように、前記制御部11は、前記データ記憶部15から時系列順に前記処方箋情報を自動的に読み出すことも可能である。さらに、前記制御部11は、前記ネットワークNを介して前記上位システム70の前記データ記憶部72にアクセスし、前記処方箋情報を読み出して前記データ記憶部15にコピーすることも可能である。
【0176】
[処方入力処理]
前記薬品秤量装置10では、前記制御部11が、前記バーコードリーダー17により処方箋から前記処方箋情報が読み取られた場合、又は前記データ記憶部15に記憶された前記処方箋情報が読み出された場合に処方入力処理を実行する。例えば、前記処方入力処理は、前記薬品秤量処理における前記ステップS1と前記ステップS2との間で実行される処理である。なお、ここで説明する前記処方入力処理は、前記薬品秤量装置10が前記上位システム70に接続されていない構成、例えば前記薬品秤量システム1において前記薬品秤量装置10で実行されてもよい。
【0177】
以下、
図18を参照しつつ、前記処方入力処理の手順の一例について説明する。
【0178】
<ステップS41>
ステップS41において、前記制御部11は、前記処方箋情報に含まれた有効期限の情報に応じて前記処方箋情報が有効期限内であるか否かを判断する。ここで、前記有効期限を超過している場合には(S41のNo側)、前記制御部11は処理をステップS411に移行させる。そして、ステップS411において、前記制御部11は、前記有効期限が超過している旨を前記タッチパネル13に表示してユーザーに報知した後、前前処方箋情報を秤量対象とすることなく前記処方入力処理を終了させる。一方、前記制御部11は、前記有効期限内であると判断すると(S41のYes側)、処理をステップS42に移行させる。
【0179】
<ステップS42~S43>
ステップS42~S43において、前記制御部11は、前記処方箋情報に含まれた一又は複数のレシピの用法情報及び薬品情報を解析して前記レシピ各々の用法及び処方薬品などの情報を取得する。なお、前記レシピは、服用単位の処方を意味し、前記薬品秤量システム2における表示又は印刷時には「Rp」と略される。以下、前記処方箋情報に含まれた前記レシピ各々の情報をレシピ情報と称する。
【0180】
<ステップS44>
ステップS44において、前記制御部11は、前記処方箋情報に含まれたレシピに不均等レコードが存在するか否かを判断する。前記不均等レコードとは、処方薬品の処方量が服用時期によって異なるレシピである。例えば、A薬品について、朝、昼、夕のそれぞれの服用時期の処方量が1mg、1mg、2mgであるレシピが前記不均等レコードに該当する。ここで、前記制御部11は、前記不均等レコードが存在すると判断すると(S44のYes側)、処理をステップS45に移行させ、前記不均等レコードが存在しないと判断すると(S44のNo側)、処理をステップS46に移行させる。
【0181】
<ステップS45>
ステップS45において、前記制御部11は、前記処方箋情報に含まれたレシピのうち前記不均等レコードが存在するレシピを、服用時期単位のレシピに分割するレシピ分割処理を実行する。ここに、
図19には、前記不均等レコードの一例であるレシピRp1、及び前記レシピ分割処理後のレシピRp11~レシピRp13の一例が示されている。
図19に示すように、前記レシピRp1では、「A薬品」の朝、昼、夕のうち夕の処方量が朝及び昼の処方量と異なる。そのため、前記制御部11は、
図19に示すように、前記レシピRp1を、朝のみに対応するレシピRp11、昼のみに対応するレシピRp12、夕のみに対応するレシピRp13に分割する。なお、朝及び昼の1日量が同じであり、夕の1日量のみが異なるような場合に、夕のみを分割してレシピを生成することも考えられる。即ち、前記制御部11が、複数の服用時期のうち処方量が異なる服用時期のみを異なるレシピとして分割することが考えられる。また、前記ステップS45における前記レシピ分割処理の実行の有無は、前記薬品秤量装置10の初期設定などにおいて、前記タッチパネル13に対するユーザー操作に応じて前記制御部11により変更可能である。
【0182】
<ステップS46>
ステップS46において、前記制御部11は、前記処方箋情報に用法及び日数が同一のレシピが複数存在するか否かを判断する。例えば、A薬品を7日間、朝及び昼に処方する旨を示すレシピと、同じくB薬品を7日間、朝及び昼に処方する旨を示すレシピとが存在する場合に、前記処方箋情報に用法及び日数が同一のレシピが複数存在すると判断される。ここで、前記制御部11は、用法及び日数が同一のレシピが複数存在すると判断すると(S46のYes側)、処理をステップS47に移行させ、用法及び日数が同一のレシピが存在しないと判断すると(S46のNo側)、処理をステップS48に移行させる。
【0183】
<ステップS47>
ステップS47において、前記制御部11は、前記処方箋情報に用法及び日数が同一の数の複数のレシピを一つのレシピに取り纏めるレシピ取り纏め処理を実行する。ここに、
図20には、取り纏められる前のレシピRp21~Rp23、及び前記レシピ取り纏め処理後のレシピRp2及びレシピRp23の一例が示されている。
図20に示すように、前記レシピRp21~前記レシピRp23のうち前記レシピRp21及び前記レシピRp22は用法(分2)及び日数(7日分)が同一である。そのため、前記制御部11は、
図20に示すように、前記レシピRp21及び前記レシピRp22を一つのレシピRp2に取り纏める。これにより、前記薬品秤量装置10で取り纏められた後の前記処方箋情報に基づいて行われる前記薬品包装装置20の分包処理において複数の処方薬品の一包化が実現される。また、前記ステップS47における前記レシピ取り纏め処理の実行の有無は、前記薬品秤量装置10の初期設定などにおいて、前記タッチパネル13に対するユーザー操作に応じて前記制御部11により変更可能である。
【0184】
<ステップS48>
そして、ステップS48において、前記制御部11は、前記ステップS45における前記レシピ分割処理又は前記ステップS47における前記レシピ取り纏め処理後の前記処方箋情報を前記データ記憶部15に記憶すると共に、前記処方箋情報を前記薬品包装装置20の前記データ記憶部26の前記共有フォルダに記憶させる。これにより、前記薬品包装装置20でも、前記処方箋情報を読み出して分包処理を実行することが可能である。
【0185】
[表示制御処理]
また、前記薬品秤量装置10では、前記制御部11が、予め設定された前記薬品秤量装置10のシステム連動の種類に応じて前記タッチパネル13の画面表示を制御する表示制御処理を実行する。具体的に、前記薬品秤量装置10では、初期設定などにおいて、前記システム連動の種類を選択するためのシステム連動選択画面P21が前記制御部11によって前記タッチパネル13に表示される。ここに、
図21は、前記システム連動選択画面P21の一例を示す図である。
図21に示すように、前記システム連動選択画面P21では、前記システム連動の種類として「順次」、「患者ID」、「引換券番号」、「未処理」、「処理済み」、及び「単体」に対応する複数のタッチキーが表示されている。そして、前記制御部11は、前記タッチパネル13の前記タッチキーに対するユーザー操作に応じて前記システム連動の種類を設定する。なお、前記制御部11は、前記薬品秤量装置10のシステム連動の種類が「単体」に設定されている場合は、前記薬品秤量装置10を電子天秤として使用可能な状態にして前記処方箋情報の入力を受け付けない。
【0186】
以下、
図22を参照しつつ、前記表示制御処理の手順の一例について説明する。
【0187】
<ステップS51>
ステップS51において、前記制御部11は、前記薬品秤量装置10の前記システム連動の種類が「順次」に設定されているか否かを判断する。なお、「順次」は、前記制御部11が、前記上位システム70から取得する前記処方箋情報のレシピを順に前記タッチパネル13に表示させる動作モードである。ここで、前記制御部11は、前記システム連動の種類が「順次」である場合は(S51のYes側)、処理をステップS52に移行させ、「順次」でなければ(S51のNo側)、処理をステップS53に移行させる。
【0188】
<ステップS52>
ステップS52において、前記制御部11は、前記タッチパネル13に前記薬品秤量装置10で秤量対象となる前記レシピ情報を表示する処方画面P23を表示させる。ここに、
図23及び
図24は、前記処方画面P23の一例を示す図である。
図23に示すように、前記処方画面P23は、前記レシピ情報の調剤者、処方番号、日数、分数、年齢、体重などが表示される処方情報領域A231を含む。なお、前記制御部11は、前記処方情報領域A231の各表示箇所に対するユーザー操作に応じて前記レシピ情報を直接入力することも可能である。
【0189】
また、
図23に示すように、前記処方画面P23は、秤量対象となる処方薬品ごとの1日量及び総量が表示される薬品表示領域A232を含む。また、前記制御部11は、前記薬品表示領域A232に対するユーザーのタッチ操作に応じて、前記処方薬品ごとの1日量及び総量の表示内容を実測量と目標量とに交互に切り替える。前記実測量は、前記薬品秤量装置10で実際に測定された値、前記目標量は、前記レシピ情報で処方量として定められた値である。なお、前記処方画面P23には、メニューキーK233が表示されており、前記制御部11は、前記メニューキーK233のユーザー操作に応じて前記システム連動の種類などの設定を開始するための初期設定のメニュー画面を表示する。
【0190】
さらに、
図23に示すように、前記処方画面P23は展開領域A234を含む。前記制御部11は、前記展開領域A234に対してユーザーによるタッチ操作又は上方へのフリック操作が行われると、
図24に示すように、前記展開領域A234の表示領域を拡張させる。そして、前記展開領域A234には、前記処方画面P23で操作可能な内容を示す各種のタッチキーが表示される。例えば、前記展開領域A234には、前記薬品包装装置20における分包動作で使用する分包紙の種類を設定する設定キーK235が表示される。前記制御部11は、前記設定キーK235のユーザー操作に応じて前記分包紙の種類を設定するための設定画面を表示させる。前記制御部11は、前記設定画面で入力された前記分包紙の種類を、前記薬品包装装置20における分包動作時に参照される前記処方箋情報として記録する。例えば、前記分包紙の種類は、分包紙の素材及び長さで区別され、前記設定画面では、前記分包紙の素材及び長さを選択するための複数の組み合わせが表示される。
【0191】
<ステップS53>
ステップS53において、前記制御部11は、前記薬品秤量装置10のシステム連動の種類が「未処理」又は「処理済み」に設定されているか否かを判断する。なお、「未処理」は、前記制御部11が前記薬品秤量装置10で秤量が完了していない前記処方箋情報のみを表示させる動作モードである。また、「処理済み」は、前記制御部11が前記薬品秤量装置10で秤量が完了した前記処方箋情報のみを表示させる動作モードである。ここで、前記制御部11は、前記システム連動の種類が「未処理」又は「処理済み」である場合は(S53のYes側)、処理をステップS54に移行させ、「未処理」又は「処理済み」でなければ(S53のNo側)、処理をステップS56に移行させる。
【0192】
<ステップS54>
ステップS54において、前記制御部11は、前記薬品秤量装置10における初期設定で、秤量対象を選択する際の表示形式として処方箋単位又はレシピ単位のいずれが選択されているかを判断する。ここで、前記制御部11は、前記処方箋単位が選択されていると判断すると、処理をステップS551に移行させ(S54のYes側)、前記レシピ単位が選択されていると判断すると(S54のNo側)、処理をステップS552に移行させる。
【0193】
<ステップS551>
ステップS551において、前記制御部11は、前記処方箋情報の一覧を含む処方一覧画面P25を前記タッチパネル13に表示させる。具体的に、前記処方一覧画面P25には、前記システム連動の種類が「未処理」である場合には前記薬品秤量装置10で秤量が完了していない前記処方箋情報の一覧が表示される。また、前記システム連動の種類が「処理済み」である場合には前記薬品秤量装置10で秤量が完了した前記処方箋情報の一覧が前記処方一覧画面P25に表示される。ここに、
図25及び
図26は、前記処方一覧画面P25の一例を示す図である。
図25に示すように、前記処方一覧画面P25には、前記処方箋情報に対応する患者ID、患者名、診療科、レシピ数(Rp数)、薬品名、及び削除などの項目が表示されている。
【0194】
さらに、
図25に示すように、前記処方一覧画面P25には、展開領域A251が表示されている。前記制御部11は、前記展開領域A251に対してユーザーによるタッチ操作又は上方へのフリック操作が行われると、
図26に示すように、前記展開領域A251の表示領域を拡張させる。そして、前記展開領域A251には、前記処方一覧画面P25で操作可能な内容を示す各種のタッチキーが表示される。
【0195】
ところで、前記制御部11は、前記処方一覧画面P25を表示させる際、前記処方一覧画面P25に同時に表示可能な予め設定された所定数の前記処方箋情報の送信を前記上位システム70に要求する。そして、前記制御部11は、前記上位システム70から前記所定数の前記処方箋情報を受信して前記データ記憶部15に記憶させる。この場合、前記制御部11は、前記展開領域A251に表示された「前データ」又は「次データ」の操作に応じて前記処方一覧画面P25に表示された前記処方箋情報の内容を切り替える。具体的に、前記制御部11は、前記展開領域A251に表示された「前データ」の操作に応じて、現在表示中である前記処方箋情報より前の所定数の前記処方箋情報の送信を前記上位システム70に要求する。同じく、前記制御部11は、前記展開領域A251に表示された「次データ」の操作に応じて、現在表示中である前記処方箋情報より後の所定数の前記処方箋情報の送信を前記上位システム70に要求する。これにより、前記制御部11は、前記上位システム70から送信される前記所定数の前記処方箋情報を前記データ記憶部15に記憶させると共に前記処方一覧画面P25に表示させる。このように、前記薬品秤量装置10が前記上位システム70から必要な前記処方箋情報だけを取得する構成であれば、前記上位システム70に複数の前記薬品秤量装置10が接続されている構成において前記処方箋情報の排他処理を実現することができる。具体的には、上述したように、前記上位システム70では、前記制御部71により、一つの前記薬品秤量装置10において秤量対象として選択された前記処方箋情報をロックし、他の前記薬品秤量装置10に送信しないように制御することが考えられる。
【0196】
一方、前記薬品秤量装置10が、例えば調剤システム処方IF共有仕様(NSIPS)に従って前記上位システム70から前記処方箋情報を取得する構成も考えられる。また、前記処方箋情報は、前記上位システム70から前記薬品包装装置20に送信された後、前記薬品包装装置20から前記薬品秤量装置10に送信されてもよい。そして、前記制御部11は、前記上位システム70又は前記薬品包装装置20から取得した前記処方箋情報を前記データ記憶部15に記憶させる。この場合、前記データ記憶部15には、前記処方一覧画面P25に表示可能な前記所定数だけでなく多数の前記処方箋情報が記憶可能である。そこで、前記制御部11は、前記処方一覧画面P25に対するユーザーの上下方向のフリック操作に応じて、前記処方一覧画面P25に表示される前記処方箋情報をスライドさせて変更することが可能である。なお、この場合、前記展開領域A251に「前データ」及び「次データ」などは表示されない。もちろん、前記制御部11が、前記処方一覧画面P25に表示可能な前記所定数よりも多くの前記処方箋情報の送信を前記上位システム70に要求して前記処方箋情報を受信し、前記処方一覧画面P25における上下方向のフリック操作に応じて前記処方箋情報をスライド表示可能な構成も考えられる。
【0197】
そして、前記制御部11は、前記処方一覧画面P25において前記処方箋情報のいずれかに対応する表示位置が操作されると、前記処方箋情報に対応する表示位置の表示色を変更して選択状態である旨を示す。その後、前記制御部11は、前記処方箋情報のいずれかが選択された状態で前記タッチパネル13に対してユーザーによる右方向又は左方向のフリック操作が行われると、選択中の前記処方箋情報の詳細を示す処方薬品情報画面P27を前記タッチパネル13に表示させる。ここに、
図27は、前記処方薬品情報画面P27の一例を示す図である。前記処方薬品情報画面P27では、前記処方箋情報に含まれたレシピごとに処方薬品の情報(薬品名、用法、日数、処方量など)が表示されている。
【0198】
ここで、前記制御部11は、前記処方薬品情報画面P27においてレシピのいずれかに対応する表示位置が操作されると、前記レシピに対応する表示位置の表示色を変更して選択状態である旨を示す。その後、前記制御部11は、前記処方薬品情報画面P27の展開領域A271に対してユーザーによるタッチ操作又は上方へのフリック操作が行われた後に表示される決定キーが操作されると、前記選択中のレシピを秤量対象として決定し、前記処方画面P23を表示させる。なお、前記処方薬品情報画面P27において、前記制御部11は、既に秤量が完了している処方薬品又はレシピの表示位置については、選択中を示す表示色とは異なる表示色に変更することによりその旨を示す。
【0199】
<ステップS552>
一方、ステップS552において、前記制御部11は、前記処方箋情報をレシピごとに分解したレシピ情報の一覧を含むレシピ一覧画面P28を前記タッチパネル13に表示させる。具体的に、前記レシピ一覧画面P28には、前記システム連動の種類が「未処理」である場合には前記薬品秤量装置10で秤量が完了していない前記レシピ情報の一覧が表示される。また、前記システム連動の種類が「処理済み」である場合には前記薬品秤量装置10で秤量が完了した前記レシピ情報の一覧が前記レシピ一覧画面P28に表示される。ここに、
図28及び
図29は、前記レシピ一覧画面P28の一例を示す図である。
図28に示すように、前記レシピ一覧画面P28には、前記レシピ情報に対応する患者ID、患者名、診療科、薬品名、及び削除などの項目が表示されている。
【0200】
さらに、
図28に示すように、前記レシピ一覧画面P28には、展開領域A281が表示されている。前記制御部11は、前記展開領域A281に対してユーザーによるタッチ操作又は上方へのフリック操作が行われると、
図29に示すように、前記展開領域A281の表示領域を拡張させる。そして、前記展開領域A281には、前記レシピ一覧画面P28で操作可能な内容を示す各種のタッチキーが表示される。
【0201】
ところで、前記レシピ一覧画面P28を表示させる場合にも、前記制御部11は、前記処方一覧画面P25を表示させる場合と同様に、前記レシピ一覧画面P28に同時に表示可能な予め設定された所定数の前記レシピ情報の送信を前記上位システム70に要求する。そして、前記制御部11は、前記上位システム70から前記所定数の前記レシピ情報を受信して前記データ記憶部15に記憶させる。この場合にも、前記制御部11は、前記展開領域A251に表示された「前データ」又は「次データ」の操作に応じて前記レシピ一覧画面P28に表示された前記レシピ情報の内容を切り替える。このように、前記薬品秤量装置10が前記上位システム70から必要な前記レシピ情報だけを取得するため、前記上位システム70に複数の前記薬品秤量装置10が接続されている構成において、前記上位システム70が前記レシピ情報又は前記処方箋情報の排他処理を実行することができる。
【0202】
また、前記薬品秤量装置10が、例えば前記調剤システム処方IF共有仕様(NSIPS)に従って前記上位システム70から前記レシピ情報を取得する構成では、前記制御部11は、前記レシピ一覧画面P28に対するユーザーの上下方向のフリック操作に応じて、前記レシピ一覧画面P28に表示される前記レシピ情報をスライドさせて変更することが可能である。
【0203】
そして、前記制御部11は、前記レシピ一覧画面P28において前記レシピ情報のいずれかに対応する表示位置が操作されると、前記レシピ情報に対応する表示位置の表示色を変更して選択状態である旨を示す。その後、前記制御部11は、前記レシピ情報のいずれかが選択された状態で前記タッチパネル13に対してユーザーによる右方向又は左方向のフリック操作が行われると、選択中の前記レシピ情報の詳細を示す処方薬品情報画面P30を前記タッチパネル13に表示させる。ここに、
図30は、前記処方薬品情報画面P30の一例を示す図である。前記処方薬品情報画面P30では、前記レシピ情報に含まれる処方薬品の情報(薬品名、用法、日数、処方量など)が表示されている。
【0204】
その後、前記制御部11は、前記レシピ一覧画面P28の前記展開領域A281又は前記処方薬品情報画面P30の展開領域A301に対してユーザーによるタッチ操作又は上方へのフリック操作が行われた後に表示される決定キーが操作されると、選択中のレシピ情報を秤量対象として決定し、前記処方画面P23を表示させる。なお、前記処方薬品情報画面P30において、前記制御部11は、既に秤量が完了している処方薬品の表示位置を異なる表示色に変更することによりその旨を示す。
【0205】
<ステップS56>
また、ステップS56において、前記制御部11は、前記薬品秤量装置10のシステム連動の種類が「患者ID」又は「引換券番号」に設定されているか否かを判断する。なお、「患者ID」は、前記制御部11が前記タッチパネル13に対するユーザー操作によって入力される患者IDに対応する前記処方箋情報を前記データ記憶部15又は前記上位システム70から読み出す動作モードである。また、「引換券番号」は、前記制御部11が前記タッチパネル13に対するユーザー操作によって入力される引換券番号に対応する前記処方箋情報を前記データ記憶部15又は前記上位システム70から読み出す動作モードである。ここで、前記制御部11は、前記システム連動の種類が「患者ID」又は「引換券番号」である場合は(S56のYes側)、処理をステップS57に移行させ、「患者ID」及び「引換券番号」でなければ(S57のNo側)、処理を前記ステップS51に戻す。
【0206】
<ステップS57>
ステップS57において、前記制御部11は、前記システム連動の種類が「患者ID」である場合には患者IDを、前記システム連動の種類が「引換券番号」である場合は引換券番号を入力するための入力画面P31を前記タッチパネル13に表示させる。ここに、
図31は、前記患者IDを入力するための前記入力画面P31の一例を示す図である。前記制御部11は、
図31に示す前記入力画面P31に前記患者IDが入力されると、前記データ記憶部15に記憶された前記処方箋情報から前記患者IDに対応する処方箋情報を抽出する。そして、前記制御部11は、前記患者IDに対応する処方箋情報を前記処方一覧画面P25に表示させる。なお、前記システム連動の種類が「引換券番号」である場合には、前記入力画面P31に引換券番号を入力するための入力部が表示され、前記入力部に入力された前記引換券番号に対応する前記処方箋情報が読み出される。
【0207】
[後発医薬品使用処理]
また、前記薬品秤量装置10では、前記薬品秤量処理(
図5参照)の前記ステップS15~S21でも説明したように、前記処方箋情報に含まれる処方薬品に代えて後発医薬品を使用するための後発医薬品使用処理が実行される。即ち、以下で説明する前記後発品医薬品使用処理は、前記薬品秤量処理(
図5参照)における前記ステップS13のNo側で実行される前記ステップS15以後の処理に代えて実行される処理である。
【0208】
以下、
図32を参照しつつ、前記後発医薬品使用処理の他の例について説明する。なお、ここで説明する前記後発医薬品使用処理は、前記薬品秤量装置10が前記上位システム70に接続されていない構成、例えば前記薬品秤量システム1において前記薬品秤量装置10で実行されることも考えられる。また、ここでは、
図33に示すように、前記処方画面P23に表示された前記処方箋情報に「ガスター散10%」の処方薬品が含まれており、前記バーコードリーダー17によって「ガスドッグ散10%」が前記収容薬品名として読み取られる場合を例に挙げて説明する。
【0209】
<ステップS61>
まず、ステップS61において、前記制御部11は、前記ステップS3で読み取られた前記収容薬品名に変更する変更対象を前記処方箋情報に含まれた処方薬品名から選択するための処理を実行する。具体的に、前記制御部11は、前記処方箋情報に含まれた前記処方薬品名から変更対象を選択させるための選択画面を表示させ、前記タッチパネル13に対するユーザー操作により選択された前記処方薬品名を変更対象として選択する。なお、前記処方薬品名が一つである場合には、前記制御部11がその一つの処方薬品名を変更対象として自動的に選択してもよい。
【0210】
<ステップS62>
次に、ステップS62において、前記制御部11は、前記ステップS61で選択された前記処方薬品名について後発医薬品への変更不可を指示する旨の変更不可情報が前記処方箋情報に含まれているか否かを判断する。そして、前記制御部11は、前記処方箋情報に前記変更不可情報が含まれている場合には(S62のYes側)、処理をステップS63に移行させる。一方、前記制御部11は、前記変更不可情報が含まれていない場合は(S62のNo側)、処理をステップS611に移行させて後述の処方薬品の変更処理(
図34参照)を実行する。なお、前記変更不可情報は、前記上位システム70において前記処方箋情報に付加される。また、前記制御部11が、前記タッチパネル13に対するユーザー操作に応じて付加することも考えられる。
【0211】
<ステップS63>
ステップS63において、前記制御部11は、前記処方薬品を後発医薬品に変更することが禁止されている旨を前記タッチパネル13に表示させてユーザーに報知し、処理をステップS64に移行させる。即ち、前記処方薬品は、前記収容薬品名に対応する前記後発医薬品に変更されない。
【0212】
<ステップS64>
ステップS64において、前記制御部11は、前記ステップS61でまだ選択されていない他の前記処方薬品名が前記処方箋情報に含まれているか否かを判断する。ここで、前記制御部11は、未選択の他の前記処方薬品が含まれていると判断すると(S64のYes側)、処理を前記ステップS61に移行させ、未選択の他の前記処方薬品が含まれていないと判断すると(S64のNo側)、当該後発医薬品使用処理を終了させる。
【0213】
[後発医薬品の変更処理]
次に、
図34を参照しつつ、前記ステップS611で実行される前記処方薬品の変更処理の手順の一例について説明する。
【0214】
<ステップS71>
ステップS71において、前記制御部11は、前記バーコードリーダー17で薬瓶から読み取られた前記収容薬品名が、前記後発医薬品マスターにおいて前記処方薬品の後発医薬品として登録されているか否かを判断する。ここで、前記制御部11は、前記収容薬品名が前記後発医薬品として登録されていると判断すると(S71のYes側)、処理をステップS72に移行させる。一方、前記制御部11は、前記収容薬品名が前記後発医薬品として登録されていない場合は(S71のNo側)、処理をステップS711に移行させて後述の後発医薬品の登録処理(
図37参照)を実行する。
【0215】
<ステップS72>
ステップS72において、前記制御部11は、前記ステップS61で選択された前記処方薬品を前記収容薬品名として読み取られた前記後発医薬品に変更して前記処方画面P23を再表示し、当該処方薬品の変更処理を終了させる。ここに、
図35は、前記処方薬品が前記後発医薬品に変更された後の前記処方画面P23の一例を示す図である。
図35に示すように、前記ステップS72で表示される前記処方画面P23では、前記処方箋情報に処方薬品として含まれていた「ガスター散10%」が、後発医薬品名である「ガスドッグ散10%」に変更されている。なお、このように前記処方薬品が前記後発医薬品に変更された場合には、前記制御部11によって、その変更の履歴情報(例えば、変更日時、変更担当の薬剤師名、及び変更の内容など)が前記秤量結果として記録されることが考えられる。これにより、前記処方薬品を前記後発医薬品等に変更した履歴を後で容易に確認することができる。
【0216】
また、前記ステップS72において、前記制御部11が、前記後発医薬品マスターに基づいて、前記収容薬品名に対応する前記先発医薬品及び前記後発医薬品の薬品一覧画面P33を前記タッチパネル13に表示させることも他の実施形態として考えられる。ここに、
図36は、前記薬品一覧画面P33の一例を示す図である。
図36に示すように、前記薬品一覧画面P33には、前記収容薬品名に対応する薬品の一般名(ファモチジン)、前記収容薬品名に対応する先発医薬品及び後発医薬品が表示されている。前記薬品一覧画面P33において、表示中の前記先発医薬品及び前記後発医薬品のいずれかを選択するためのタッチ操作がユーザーによって行われると、その選択された薬品名の表示位置の表示色が変更されて選択状態が示される。なお、前記薬品一覧画面P33の初期表示時には、前記バーコードリーダー17によって読み取られた前記収容薬品名が選択状態となる。そして、前記制御部11は、前記後発医薬品のいずれか一つが選択された状態で決定キーK331が操作されると、前記処方薬品を前記薬品一覧画面P33で選択された前記後発医薬品に変更する。なお、前記薬品一覧画面P33のキャンセルキーK332が操作されると、前記制御部11は前記後発医薬品の登録をキャンセルして当該処方薬品の変更処理を終了させる。
【0217】
[後発医薬品の登録処理]
次に、
図37を参照しつつ、前記ステップS711で実行される前記後発医薬品の登録処理の手順の一例について説明する。
【0218】
<ステップS81>
まず、ステップS81において、前記制御部11は、前記収容薬品名が前記後発医薬品として登録されていない旨を前記タッチパネル13に表示させると共に、前記収容薬品名を前記後発医薬品として登録するか否かの確認メッセージ(例えば
図9(C)参照)を表示させる。
【0219】
<ステップS82>
そして、ステップS82において、前記制御部11は、前記収容薬品名を前記後発医薬品として登録する旨の操作が前記タッチパネル13に対して行われたと判断すると(S82のYes側)、処理をステップS83に移行させる。なお、前記制御部11は、前記収容薬品名を前記後発医薬品として登録しない旨の操作が前記タッチパネル13に対して行われると(S82のNo側)、当該後発医薬品の登録処理を終了させる。
【0220】
<ステップS83>
ステップS83において、前記制御部11は、前記後発医薬品マスターに前記後発医薬品を登録するためのメンテナンス画面P38を前記タッチパネル13に表示させる。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS61で選択された前記処方薬品名が前記医薬品マスターに登録された前記先発医薬品名に該当する場合には、その先発医薬品名に対応付けて前記後発品医薬品を登録するための前記メンテナンス画面P38を表示させる。一方、前記ステップS61で選択された前記処方薬品名が前記後発医薬品マスターに登録された前記後発医薬品名に該当する場合には、その後発医薬品名に対応する前記先発医薬品名を前記後発医薬品マスターに基づいて特定する。そして、その特定された前記先発医薬品名に対応付けて前記後発医薬品名を登録するための前記メンテナンス画面P38を表示させる。
【0221】
ここに、
図38は、前記メンテナンス画面P38の一例を示す図である。
図38に示すように、前記メンテナンス画面P38には、前記先発医薬品名、及び前記先発医薬品に対応する既登録の後発医薬品が表示されると共に、前記収容薬品名が前記先発医薬品の後発医薬品として追加された状態が表示される。例えば、
図38に示す前記メンテナンス画面P38では、先発医薬品である「ガスター散10%」の後発医薬品として「ガスドッグ散10%」が登録されていない場合に、前記収容薬品名としてその「ガスドッグ散10%」が読み取られた場合の表示例を示している。
【0222】
<ステップS84~S85>
そして、ステップS84~S85において、前記制御部11は、前記メンテナンス画面P38において登録キーK381又は終了キーK382の操作を待ち受ける(S84、S85のNo側)。ここで、前記制御部11は、前記登録キーK381が操作されたと判断すると(S84のYes側)、処理をステップS86に移行させる。一方、前記制御部11は、前記終了キーK382が操作されたと判断すると(S85のYes側)、前記収容医薬品を前記後発医薬品として登録することなく、当該後発医薬品の登録処理を終了させる。
【0223】
<ステップS86>
ステップS86において、前記制御部11は、前記処方薬品を前記後発医薬品として前記後発医薬品マスターに登録し、前記メンテナンス画面P38で登録された後発医薬品に変更するか否かを確認するための確認メッセージを表示させる。
【0224】
<ステップS87>
そして、前記後発医薬品に変更する旨の操作が行われると(S87のYes側)、前記制御部11は、処理をステップS88に移行させる。ステップS88において、前記制御部11は、前記ステップS72と同様に前記処方薬品を前記後発医薬品に変更した後の前記処方画面P23(
図35参照)を前記タッチパネル13に表示させる。一方、前記後発医薬品に変更しない旨の操作が行われると(S87のNo側)、前記制御部11は、前記処方薬品を前記後発医薬品に変更することなく当該後発医薬品の登録処理を終了させる。
【0225】
[起動処理]
また、前記薬品秤量装置10では、前記薬品秤量装置10の電源が投入されて前記薬品秤量装置10が起動する際に前記制御部11によって予め設定された起動処理が実行される。なお、前記薬品秤量装置10が省電力モードから通常モードに復帰した場合、又は前記薬品秤量装置10において日付の更新処理が実行された場合などに前記制御部11により前記起動処理が実行されることも考えられる。以下、
図39を参照しつつ、前記起動処理の手順の一例について説明する。
【0226】
<ステップS91>
前記薬品秤量装置10の電源が投入されて前記薬品秤量装置10が起動されると、ステップS91において、前記CPU111が前記SDカード112に記憶された前記カーネル114及び前記OS115を実行することにより前記制御部11による前記薬品秤量装置10の制御が可能な状態となる。
【0227】
<ステップS92~S94>
ステップ92において、前記制御部11は、前記USBポート16に前記データ記憶部15が接続されているか否かを確認する。そして、前記制御部11は、ステップS93において、前記データ記憶部15の接続が確認された場合は(S93のYes側)、処理をステップS931に移行させ、前記データ記憶部15の接続が確認されなかった場合は(S93のNo側)、処理をステップS94に移行させる。ステップS94において、前記制御部11は、前記SDカード112内の前記秤単体アプリ116を起動することにより前記薬品秤量装置10を電子天秤として動作させる。その後、前記制御部11は、ステップS95において、前記タッチパネル13に対する電源OFF操作が行われた場合に(S95のYes側)、続くステップS96において前記薬品秤量装置10のシャットダウン処理を実行して電源をOFFにする。
【0228】
<ステップS931~S932>
一方、前記データ記憶部15の接続が確認された場合、前記制御部11は、続くステップS931において、予め設定された更新処理を実行した後、前記薬品秤量プログラム154を起動させ(S932)、処理を前記ステップS95に移行させる。
【0229】
具体的に、前記更新処理において、前記制御部11は、前記データ記憶部15に記憶された前記薬品秤量プログラム154が最新であるか否かを判断する。なお、前記薬品秤量プログラムが最新であるか否かの判断は、例えば前記上位システム70又は前記ネットワークNを介してインターネット等から更新情報を取得することによって行われる。ここで、前記薬品秤量プログラム154が最新でないと判断した場合、前記制御部11は、最新の前記薬品秤量プログラム154をダウンロードして前記データ記憶部15の前記薬品秤量プログラム154を更新する。
【0230】
そして、前記制御部11は、予め設定された削除対象期間が経過した前記処方箋情報、前記秤量結果、充填記録、薬品使用量、インシデント履歴、及びエラー履歴などのデータを前記データ記憶部15の前記データベース155から削除する。なお、前記充填記録は前記薬品秤量装置10で秤量して薬瓶に充填した履歴として記録される前記薬瓶ごとの充填量、前記薬品使用量は前記薬品秤量装置10で秤量した薬品の履歴として記録される前記薬品ごとの使用量である。また、前記インシデント履歴は前記薬品秤量装置10で発生したインシデント又は前記薬品秤量装置10に外部から入力されたインシデントの情報、前記エラー履歴は前記薬品秤量装置10で発生したエラーの情報である。
【0231】
その後、前記制御部11は、前記データ記憶部15の前記データベース155に記憶された前記処方箋情報、前記秤量結果、各種マスター情報(後発医薬品マスター等)、及びシステム設定情報などの各種データをバックアップする。具体的に、前記制御部11は、SQL言語を使用するSQLite(登録商標)、MySQL(登録商標)、又はPostgreSQL(登録商標)などの周知のデータベース管理システムを利用して前記データベース155を管理する。そこで、前記制御部11は、データベース形式で記憶された前記処方箋情報、前記秤量結果、各種マスター情報、及びシステム設定情などの各テーブルデータを、前記データベース管理システムのバックアップ機能を利用して前記データベースダンプファイル156として出力し、前記データ記憶部15に記憶させる。このとき、前記制御部11は、前記更新処理が正常に終了すると、最新の前記データベースダンプファイル156のみ、又は予め設定された数の前記データベースダンプファイル156のみを残し、それ以前の前記データベースダンプファイル156を削除する。なお、前記制御部11によるバックアップ先は、前記データ記憶部15内に限らず、例えば前記薬品包装装置20、前記上位システム70、又はインターネット上のサーバー装置であることも考えられる。このように、前記薬品秤量装置10では、起動時にバックアップが実行されるため、その後に前記薬品秤量装置10に異常が生じて前記データベースに破損などが生じた場合であっても、少なくとも前記薬品秤量装置10の起動時まで前記データベースを復元することができる。
【0232】
[薬品秤量処理の変形例]
そして、このように構成された前記薬品秤量システム2でも、前記薬品秤量装置10において、前記制御部11により前記薬品秤量処理(
図5参照)と同様の薬品秤量処理が実行される。但し、前述したように、前記薬品秤量システム2では、前記薬品秤量装置10で実行される前記ステップS1における前記処方箋情報の読み取り手法が異なる。具体的に、前記制御部11は、前記バーコードリーダー17を用いた前記処方箋情報の読み取りに加えて前記上位システム70からの前記処方箋情報を受け付けることが可能である。即ち、前記薬品秤量処理の前記ステップS1において、前記制御部11は、前記上位システム70から受信して前記データ記憶部15に記憶された前記処方箋情報のいずれかが前記タッチパネル13に対するユーザー操作に応じて選択された場合にも、前記処方箋情報が入力されたと判断して処理を前記ステップS2に移行させる。また、前記制御部11は、前記システム連動の種類が「順次」に設定されている場合には、前記上位システム70から取得して前記データ記憶部15に記憶された前記処方箋情報を時系列順に自動的に読み出すときにも処理を前記ステップS2に移行させる。
【0233】
ここで、前記ステップS2において、前記薬品秤量装置10の秤量対象となるレシピが決定すると、前記制御部11は、前記レシピに対応するトレイ番号を設定する自動採番処理を実行する。前記トレイ番号は、前記薬品秤量装置10において前記制御部11により自動的に設定される4桁の値であって、前記薬品秤量システム2において前記薬品秤量装置10ごとに重複しないように予め設定された範囲内で設定される。例えば、
図17に示すように、前記薬品秤量システム2に4台の前記薬品秤量装置10が接続されている場合、前記薬品秤量装置10ごとに、「0000」~「1000」、「1001」~「2000」、「2001」~「3000」、「3001」~「4000」までのトレイ番号が予め割り当てられる。また、前記トレイ番号は、前記レシピごとに一つ割り当てられる番号であって、前記レシピ内に複数の処方薬品が含まれる場合でも、前記処方薬品各々に共通の番号としてナンバーリングされる。
【0234】
このとき、前記制御部11は、前記トレイ番号が、前記薬品包装装置20各々のデータ記憶部26に設けられた前記共有フォルダに記憶されたトレイ番号と一致しないことを確認する。具体的に、前記共有フォルダには、前記薬品包装装置20における分包処理が完了していない前記トレイ番号のみが残存しており、前記分包処理が完了した前記トレイ番号は前記薬品包装装置20の前記制御部21によって消去される。一方、前記薬品秤量装置10の前記制御部11は、前記トレイ番号が前記共有フォルダに記憶されていない場合には、前記トレイ番号を前記薬品包装装置20の前記共有フォルダに記憶させる。また、前記制御部11は、前記データ記憶部25に記憶された前記処方箋情報のうちここで設定された前記トレイ番号に対応する前記レシピ情報に、前記トレイ番号との対応情報を追加する。これにより、前記薬品包装装置20では、前記トレイ番号に基づいて前記レシピ情報を前記データ記憶部25から読み出すことが可能となる。なお、前記制御部11による前記データ記憶部25への前記レシピ情報及び前記トレイ番号の対応関係の記録のタイミングは、前記RFIDリーダライタ14により前記RFIDタグ31に前記トレイ番号を記録させるタイミングであってもよい。また、前記制御部11が、前記レシピ情報を前記データ記憶部25に記憶させるタイミングは、前記レシピ情報に前記トレイ番号が対応付けられた後であってもよい。
【0235】
他方、前記レシピに割り当てるために採番した前記トレイ番号が前記共有フォルダ内に記憶されている場合、前記制御部11は、前記トレイ番号の次の番号を前記レシピに対応する前記トレイ番号として設定する。即ち、前記制御部11は、前記共有フォルダに記憶されていないトレイ番号を前記レシピに割り当てる。これにより、前記薬品秤量装置10では、前記薬品包装装置20における分包処理が未完了の他の前記レシピと前記トレイ番号が重複することが防止される。なお、前記薬品秤量システム2に前記薬品包装装置20が複数接続されている場合には、前記共有フォルダが前記薬品包装装置20各々に設けられていてもよい。一方、いずれか一つの前記薬品包装装置20にのみ前記共有フォルダが設けられており、他の前記薬品包装装置20が前記共有フォルダの前記トレイ番号を参照又は消去することも考えられる。
【0236】
さらに、前記制御部11は、前記ステップS2において、前記トレイ番号を前記共有フォルダに記憶させた後、前記トレイ番号に対応する前記レシピの分包処理をいずれの前記薬品包装装置20で実行するかを選択する号機選択画面P40を前記タッチパネル13に表示させる。ここに、
図40は、前記号機選択画面P40の一例を示す図である。
図40に示すように、前記号機選択画面P40には、前記薬品包装装置20ごとに予め設定された号機番号を選択するための号機選択キーK401が表示されている。前記制御部11は、前記号機選択キーK401の操作に応じてプルダウンメニューで予め設定された数の号機番号を表示させ、前記プルダウンメニューで選択された号機番号を前記号機選択キーK401に入力する。なお、前記プルダウンメニューで表示される号機番号の数は、前記薬品秤量システム2に接続された前記薬品包装装置20の数、又は前記薬品秤量システム2に接続可能な最大数であることが考えられる。
【0237】
また、前記号機選択画面P40には、前記薬品包装装置20における分包処理において使用するホッパーを選択するためのホッパー選択キーK402が表示されている。前記制御部11は、前記ホッパー選択キーK402の操作に応じてプルダウンメニューで予め設定されたホッパー番号を表示させ、前記プルダウンメニューで選択されたホッパー番号を前記ホッパー選択キーK402に入力する。例えば、前記プルダウンメニューには、前記薬品包装装置20に設けられた前記ホッパー25Aを示す「A」、前記ホッパー25Bを示す「B」、又は前記ホッパー25A及び25Bのいずれでもよい旨を示す「AB」が表示されることが考えられる。なお、前記制御部11が、前記ホッパー選択キーK402におけるプルダウンメニューの表示を、前記号機選択キーK401で選択された号機番号に対応する前記薬品包装装置20に設けられたホッパーの数に応じて変更することも考えられる。
【0238】
なお、前記号機選択画面P40では、前記号機選択キーK401及び前記ホッパー選択キーK402が表示されており、同時期に前記号機番号及び前記ホッパー番号を入力する場合を例に挙げたがこれに限らない。具体的に、前記制御部11が、前記ステップS2では前記号機選択キーK401だけが表示された号機選択画面を表示させて前記号機番号を入力させ、その後、前記薬品秤量装置10における処方薬品の秤量作業の完了時に前記ホッパー選択キーK402だけが表示されたホッパー選択画面を表示させて前記ホッパー番号を入力させることが考えられる。これにより、一つの前記レシピに複数の処方薬品が含まれる場合に、前記処方薬品ごとに前記ホッパーを選択することが可能である。また、前記処方薬品ごとに前記号機番号を入力する手間も省略される。
【0239】
そして、前記薬品秤量処理の前記ステップS9(
図5参照)に相当する処理では、前記制御部11は、前記トレイ番号、前記号機番号、及び前記ホッパー番号を前記RFIDリーダライタ14により前記RFIDタグ31に書き込む。これにより、前記RFID31が設けられた前記調剤シート30が前記薬品包装装置20にセットされたときに、前記薬品包装装置20では前記制御部21によって前記RFID31に記憶された前記号機番号が前記薬品包装装置20の号機番号と一致するか否かを照合することができる。また、前記薬品包装装置20では、前記制御部21が、前記調剤シート30の薬品の投入先を前記ホッパー番号に応じて自動的に設定することが可能である。そして、前記薬品包装装置20では、前記トレイ番号に対応付けて前記データ記憶部26に記憶された前記レシピ情報が前記制御部21によって前記データ記憶部26から読み出される。なお、前記トレイ番号に対応付けて前記号機番号及び前記ホッパー番号が前記データ記憶部26の前記共有フォルダに記憶されており、前記制御部21が前記トレイ番号に応じて前記共有フォルダから前記号機番号及び前記ホッパー番号を読み出すことも考えられる。
【0240】
また、前記薬品秤量装置10では、前記制御部11が、前記トレイ番号、前記号機番号、及び前記ホッパー番号を、処方薬品単位でなくレシピ単位で前記RFIDタグ31に情報を書き込むことも可能である。この場合、前記制御部11は、一つのレシピに含まれた複数の処方薬品の秤量が全て終了すると、前記処方画面P23(
図23参照)における「登録」キーを操作可能な状態に移行させると共に、「薬剤トレイをセットしてください」などの案内を前記タッチパネル13に表示させる。そして、前記制御部11は、前記処方画面P23において「登録」キーが操作されると、前記レシピに対応する前記トレイ番号、前記号機番号、及び前記ホッパー番号を前記RFIDリーダライタ14によって前記RFIDタグ31に書き込む。
【0241】
[分包入力処理]
一方、前記薬品包装装置20では、前記制御部21により、前記薬剤シート30の前記RFIDタグ31から前記トレイ番号を読み取り、前記トレイ番号に対応する前記レシピ情報及び前記秤量結果を分包対象のデータとして入力する分包入力処理が実行される。
【0242】
ここに、前記レシピ情報には、処方日、トレイ番号、処方番号、データ単位、薬品明細番号、薬品コード、患者ID、引換券番号、号機番号、ホッパー情報、及び状態区分などが含まれる。前記薬品明細番号は、前記レシピ情報に対応する前記秤量結果などを特定するための情報である。前記ホッパー情報は、前記薬品包装装置20において使用するホッパーを示す情報であり、例えば前記ホッパー25Aが選択されている場合は「A」、前記ホッパー25Bが選択されている場合は「B」、前記ホッパー25A及び前記ホッパー25Bのいずれでもよい旨が選択されている場合は「AB」で表される。
【0243】
前記分包入力処理において、前記制御部21は、前記RFIDリーダライタ24により前記RFIDタグ31から読み取られる前記トレイ番号に基づいて前記データ記憶部26から前記トレイ番号に対応する前記レシピ情報を読み出す。そして、前記制御部21は、前記レシピ情報を前記タッチパネル23に表示される分包入力画面P41に表示させる。ここに、
図41及び
図42は、前記分包入力画面P41の一例を示す図である。
【0244】
図41に示すように、前記分包入力画面P41は、前記レシピ情報に含まれる処方薬品の薬品数などの情報が表示される表示領域A411を含む。また、前記分包入力画面P41は、前記レシピ情報に含まれる処方薬品のうち前記RFIDリーダライタ24により前記RFIDタグ31から既に読み取られた処方薬品の一覧、前記処方薬品各々の前記秤量結果、前記分包パターン、及び前記ホッパー番号などが表示される表示領域A412を含む。これにより、ユーザーは、前記薬品包装装置20において前記レシピの分包動作を開始させるために現在不足している薬品数などを容易に把握することができる。また、処方箋と前記分包入力画面P41に表示された処方薬品の一覧とを比べることにより、前記レシピ情報の分包動作を開始させるために現在不足している薬品名を把握することも可能である。そして、前記制御部21は、
図42に示すように、前記分包入力画面P42に表示された前記レシピ情報に含まれる全ての処方薬品が読み込まれると、分包動作を開始するための発行キーK413を操作可能な状態に変化させる。その後、前記制御部21は、前記発行キーK413の操作に応じて前記レシピ情報についての分包動作を開始する。
【0245】
また、前記制御部21が、前記RFIDリーダライタ24により前記RFIDタグ31から前記トレイ番号を読み取った際に、前記トレイ番号に対応する前記レシピ情報に含まれた処方薬品の一覧を前記分包入力画面P41に表示させることも考えられる。そして、前記制御部21は、前記分包入力画面P41に表示された前記薬品名の一覧に、前記処方薬品各々の情報が前記RFIDタグ31から読み取られたか否かを示す文字(「○」又は「×」など)又はイメージ等の確認情報を表示させることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記分包入力画面P41を確認することにより、現在不足している薬品数及び薬品名を容易に把握することができる。なお、前記分包入力画面P41における前記処方薬品各々の読み取りの有無は、例えば前記処方薬品各々の表示位置の表示色(グレーアウトの有無)などを変更することによって表されてもよい。
【0246】
ところで、一つの前記調剤シート30に前記レシピ情報に含まれる複数の前記処方薬品が載せられており、前記レシピ単位で前記ホッパー25A又は前記ホッパー25Bへの投入が行われる構成も考えられる。この場合、前記制御部21は、前記調剤シート30の前記RFIDタグ31から前記トレイ番号を読み取った時点で、前記前記分包入力画面P41を表示することなく前記レシピ情報に関する分包動作を開始するためのモニター画面を表示させる。
【0247】
[検薬印字処理]
また、前記薬品包装装置20において、前記制御部21が、前記印字部27を用いて前記分包紙に前記薬品秤量装置10から出力された前記秤量結果などを印字出力させる検薬印字処理を実行することが考えられる。
【0248】
具体的に、前記検薬印字処理において、前記制御部21は、前記薬品包装装置20の分包動作で出力される一連の分包紙の最初又は最後に、予め設定された検薬情報を印字した分包紙を追加して出力させる。なお、前記検薬情報の内容は、前記薬品包装装置20における初期設定などにおいて、前記タッチパネル23に対するユーザー操作に応じて前記制御部21が変更可能である。
【0249】
ここに、
図43及び
図44は、前記検薬情報の印字イメージの一例を示す図である。
図43に示す前記検薬情報には、日付(07年11月26日)、患者氏名(湯山太郎)、引換券番号(5678)、日数(3)、薬包込総重量(369.0000g)が含まれる。前記薬包込総重量は、前記レシピ単位の分包に用いられる分包紙の総重量と前記レシピ情報に含まれた処方薬品の総重量との合計値である。例えば、前記制御部21は、前記薬品秤量装置10から出力される前記レシピ情報に含まれる前記分包紙の総重量と、前記薬品秤量装置10から出力される前記秤量結果とを合算することにより前記薬包込総重量を算出することが可能である。なお、前記薬品秤量装置10では、前記制御部11が、前記レシピ単位の分包に用いられる分包紙の数に、予め設定された前記分包紙の一枚あたりの重量を乗じた値を前記分包紙の総重量として算出し、前記レシピ情報の一項目として記録する。前記制御部11は、前記分包紙の一枚あたりの重量を、例えば前記分包紙の種類を設定するための前期設定キーK235(
図24参照)の操作によって選択された前記分包紙の素材及び長さの組み合わせに応じて判断することが可能である。このように、前記分包紙に前記検薬情報が印刷されていることにより、例えばユーザーが処方箋を参照することなく、前記レシピ単位の分包動作の監査を行うことができる。例えば、ユーザーは、前記検薬情報が印刷された前記分包紙を一連の分包紙から切り離し、残りの前記分包紙の総重量を前記薬品秤量装置10又は他の電子天秤などで秤量する。そして、ユーザーは、前記検薬情報として印刷された前記薬包込総重量と実際の秤量値とを比べることにより監査を行う。
【0250】
また、
図44に示す前記検薬情報には、薬品名、分包パターン(11111111)、有効期限(07年11月26日)、ロット番号、実測値(369.0000g)、及び理論値(369.0000g)などの情報が含まれている。前記分包パターンは、前記レシピ情報で定められた服用時期(朝、昼、夕など)を、予め設定された複数桁における「1」、「0」の位置で示すための情報である。前記実測値は、前記薬品秤量装置10において実際に秤量された処方薬品の総重量であり、前記薬品秤量装置10から出力される前記秤量結果に含まれる情報である。また、前記理論値は、前記レシピ情報に含まれた1日量、用法、及び日数などに基づいて算出される処方薬品の理論上の総重量である。例えば、前記制御部21は、1日量と用法で定められた服用回数とを乗じた値に、更に日数を乗じた最大重量から、服用時期内で服用対象外である処方薬品の重量を差し引くことにより前記理論値を算出する。具体的に、用法として朝、昼、夕の3回が設定されている場合であって、服用開始時期及び服用終了時期が共に昼である場合、初日の朝の分の薬品の重量と最終日の夕の分の薬品の重量との合計が前記最大重量から除外されることにより前記理論値が算出される。このような場合にも、ユーザーは前記検薬情報が印字された前記分包紙を参照しつつ前記薬品秤量装置10又は他の電子天秤などを用いてレシピ単位の分包の監査を行うことができる。
【0251】
[実施の形態の概要]
本発明に係る薬品秤量装置は、秤量手段、処方箋情報読取手段、収容薬品情報読取手段、及び制御手段を備える。前記秤量手段は薬品を秤量する。前記処方箋情報読取手段は、処方箋に記録された一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報を含む処方箋情報を前記処方箋から読み取る。前記収容薬品情報読取手段は、薬品容器に記録された収容薬品を識別する収容薬品識別情報を含む収容薬品情報を前記薬品容器から読み取る。前記制御手段は、前記収容薬品情報読取手段により読み取られた前記収容薬品が前記処方箋情報読取手段により読み取られた前記処方薬品のいずれかに該当する場合に、当該処方薬品を秤量対象として選択し、当該処方薬品を秤量対象とする秤量画面を表示手段に表示させる。前記処方箋情報には、例えば処方箋交付年月日、患者ID、患者名、患者生年月日、剤形情報(内服、外用など)、薬品情報(薬品コード、薬品名、用量)、用法情報(1日3回毎食後など)などが含まれる。なお、前記処方薬品識別情報及び前記収容薬品識別情報とは、薬品の種別を特定することのできる薬品名又は薬品コードなどの情報である。
【0252】
本発明によれば、前記収容薬品が前記処方薬品のいずれかに該当する場合には、当該処方薬品が秤量対象として自動的に選択されて前記秤量画面に表示される。即ち、本発明によれば、ユーザーは、前記収容薬品情報読取手段に前記薬品容器の前記収容薬品情報を読み取らせる作業だけで、前記薬品秤量装置において、前記処方薬品及び前記収容薬品の照合と、前記処方箋情報における秤量対象の処方薬品の選択とを同時に実現することができる。これにより、前記処方箋情報に複数の処方薬品が含まれている場合に、秤量対象となる処方薬品を選択するための操作を省略することができ、医師又は薬剤師などのユーザーによる調剤効率を高めることができる。従って、本発明によれば、調剤支援システムなどの上位システムとの連携を持たずに処方箋に従った正確な薬品の秤量を容易に行うことが可能である。
【0253】
ここで、前記薬品秤量装置がバーコード又は二次元コードから情報を読み取るコード読取手段を備える構成が考えられる。この場合、前記処方箋情報読取手段は、前記処方箋に記録されたバーコード又は二次元コードから前記コード読取手段により前記処方箋情報を読み取り、前記収容薬品情報読取手段は、前記薬品容器に記録されたバーコード又は二次元コードから前記コード読取手段により前記収容薬品情報を読み取ることが考えられる。例えば、前記コード読取手段を備える構成では、ユーザーは、処方箋の二次元コード及び薬品容器(薬瓶など)のバーコードを前記コード読取手段に順次読み取らせることにより正確且つ簡単に前記処方箋に従った薬品の秤量を行うことができる。特に、ユーザーは、薬品容器に記録されたバーコードを前記コード読取手段に読み取らせる作業のみにより、前記薬品秤量装置において、前記収容薬品及び前記処方薬品の照合と、秤量対象の薬品の選択とを実現することができる。また、前記処方箋情報読取手段及び前記収容薬品情報読取手段各々で前記コード読取手段を兼用することが可能であるため、前記収容薬品情報読取手段及び前記コード読取手段を備えた従来構成において新たな構成要素を追加する必要もない。なお、前記バーコードは、水平方向のみに情報を持つ一次元コードであり、例えばJANコード、RSSなどである。二次元コードは、水平方向及び垂直方向に情報を持つものであり、例えばQRコード(登録商標)などである。また、前記処方箋情報読取手段及び前記収容薬品情報読取手段は、例えば文字認識技術又は画像認識技術を用いて前記処方箋又は前記薬品容器から直接情報を読み取ってもよい。
【0254】
また、前記薬品秤量装置が、バーコード又は二次元コードから情報を読み取るコード読取手段と、情報記録媒体から無線通信により情報を読み取る無線読取手段とを更に備える構成も考えられる。この場合、前記処方箋読取手段は、前記処方箋に記録されたバーコード又は二次元コードから前記コード読取手段により前記処方箋情報を読み取り、前記収容薬品情報読取手段は、前記薬品容器に設けられた情報記録媒体から前記無線読取手段により前記収容薬品情報を読み取ることが考えられる。
【0255】
また、前記処方箋情報は、前記処方箋に記録された前記処方薬品の処方量に関する情報を含む。この場合、前記秤量画面は、例えば秤量対象の前記処方薬品及び前記処方薬品の処方量の表示を含む。これにより、ユーザーは、前記収容薬品情報読取手段に前記薬品容器の前記収容薬品情報を読み取らせる作業だけで、前記薬品秤量装置において、前記処方箋情報における秤量対象の前記処方薬品及び前記処方薬品の処方量を自動的に表示させることができる。
【0256】
一方、前記制御手段は、前記収容薬品が前記処方薬品のいずれにも該当しない場合にその旨を表示することが考えられる。これにより、ユーザーに前記薬品容器の選択が誤りであることを警告することができる。なお、前記表示手段は、例えば文字、画像、音声、又は光などにより前記表示を行うものである。
【0257】
また、前記薬品秤量装置が、前記処方薬品ごとの秤量の完了を入力するための第1入力手段と、前記処方箋情報ごとの秤量の完了を入力するための第2入力手段と、前記第2入力手段により秤量の完了が入力された前記処方箋情報に含まれている前記処方薬品の中に前記第1入力手段により秤量の完了が入力されていない処方薬品が存在する場合にその旨を表示する未完了表示手段と、を備えることが考えられる。これにより、前記処方箋情報に含まれた処方薬品に関する秤量忘れを防止することができる。
【0258】
さらに、前記薬品秤量装置は、先発医薬品を識別する先発医薬品識別情報と後発医薬品(ジェネリック医薬品)を識別する後発医薬品識別情報との対応関係が定められた後発医薬品情報が記憶された後発医薬品情報記憶手段を備えることが考えられる。なお、前記先発医薬品識別情報及び前記後発医薬品識別情報とは、薬品の種別を特定することのできる薬品名又は薬品コードなどの情報である。この場合、前記制御手段は、前記収容薬品が前記後発医薬品のいずれかに該当し、且つ当該後発医薬品に対応する前記先発医薬品が前記処方薬品のいずれかに該当する場合に、当該後発医薬品を使用するか否かを任意に選択するための確認画面を表示させると共に、前記確認画面に従って当該後発医薬品を使用する旨の操作入力が行われた場合に当該収容薬品を秤量対象として選択することが考えられる。これにより、後発医薬品を用いる場合にも正しい秤量として処理することができる。なお、先発医薬品とは特許権の有効期間経過前の薬品を示し、後発医薬品とは有効期間経過後に他社から供給される薬品を示す。
【0259】
このとき、前記制御手段は、前記収容薬品が前記処方薬品及び前記後発医薬品のいずれにも該当しない場合に、前記収容薬品を前記後発医薬品として前記後発医薬品情報に登録するための登録画面を表示させ、前記登録画面に従った操作入力に応じて前記後発医薬品情報を編集することが望ましい。これにより、ユーザーは前記薬品秤量装置を使用する日々の運用の中で簡単に前記後発医薬品情報を編集してその内容を充実させることができる。
【0260】
また、前記薬品秤量装置は、前記秤量手段による秤量時に薬品が載置される薬品載置部材に設けられた記録媒体に、前記秤量手段により秤量された薬品に関する秤量薬品情報を少なくとも記録する記録手段を備えることが考えられる。さらに、前記記録手段は、前記記録媒体に前記処方箋情報の一部又は全部を更に記録してもよい。なお、前記記録媒体は例えばRFIDタグである。
【0261】
これにより、例えば前記薬品載置部材に載置された薬品を薬品包装装置で包装する工程などの次の処理工程で、前記記録媒体から前記秤量薬品情報や前記処方箋情報を読み取り、前記秤量薬品情報及び/又は前記処方箋情報に基づいて既定の適切な処理を行うことが可能となる。
【0262】
さらに、前記薬品秤量装置は、薬品ごとに対応して予め定められた適正量に関する適正量情報を含む薬品情報が記憶された薬品情報記憶手段と、前記秤量手段により秤量された秤量値が薬品ごとに予め設定された適正量の範囲内であるか否かの監査を前記薬品情報記憶手段に記憶された前記適正量情報に基づいて行う監査手段とを更に備えることが考えられる。また、前記薬品情報に、前記薬品ごとに対応して予め定められた、同時期の服用が禁止された薬品に関する同時服用禁止情報が含まれている場合、前記監査手段は、前記処方箋情報に含まれた複数の薬品が同時期の服用が禁止されたものであるか否かの監査を前記薬品情報記憶手段に記憶された前記同時服用禁止情報に基づいて行うことが考えられる。これにより、例えばコンピュータなどの他の情報処理装置を用いることなく、前記薬品秤量装置単体で薬品の秤量と共に、前記常用量や同時期の服用の禁止に関する監査を行うことができる。従って、前記常用量を超える量の薬品の処方や、同時期に服用することで配合変化又は副作用が生じる複数の薬品の処方を、前記薬品秤量装置における薬品の秤量段階で防止することができる。
【0263】
また、薬品が投入される複数の投入部及び前記投入部各々に投入された薬品を包装する包装ユニットを有する薬品包装装置と、前記薬品秤量装置と、を備える薬品秤量システムの発明として捉えることができる。ここに、前記薬品包装装置は、前記記録媒体から情報を読み取る情報読取手段と、前記情報読取手段により読み取られた前記秤量薬品情報に基づいて前記投入部のいずれかを選択して表示する投入先表示手段と、を備える。これにより、前記薬品包装装置において、前記秤量薬品情報に基づいて前記投入部のいずれを用いるのかが表示されるため、薬品を投入する前記投入部を間違えるユーザーの人為的ミスを防止することができる。
【0264】
さらに、前記包装ユニットは、前記投入部各々に投入された散薬を1服用単位に分割する分割手段と、前記分割手段により分割された後の散薬を包装する包装手段とを備え、前記薬品包装装置は、前記秤量薬品情報に含まれた薬品の種別に応じて、当該散薬の種別ごとに予め設定された動作を前記分割手段又は前記包装手段に実行させる分包制御手段を備えることが考えられる。これにより、前記包装ユニットにおける分包動作について、前記秤量薬品情報や前記処方箋情報に含まれた散薬の種別に関する情報に基づいて当該散薬の種別ごとに既定の適切な処理を行うことが可能となる。
【0265】
ところで、本発明は、コンピュータに、処方箋情報読取工程、収容薬品情報読取工程、及び制御工程を実行させるための薬品秤量プログラムの発明として捉えてもよい。前記処方箋情報読取工程は、処方箋に記録された一又は複数の処方薬品を識別する処方薬品識別情報を含む処方箋情報を前記処方箋から読み取る。前記収容薬品情報読取工程は、薬品容器に記録された収容薬品を識別する収容薬品識別情報を含む収容薬品情報を前記薬品容器から読み取る。前記制御工程は、前記収容薬品情報読取工程により読み取られた前記収容薬品識別情報が示す前記収容薬品が前記処方箋情報読取工程により読み取られた前記処方薬品識別情報が示す前記処方薬品のいずれかに該当する場合に、当該処方薬品を秤量対象として選択し、当該処方薬品を秤量対象とする秤量画面を表示手段に表示させる。
【0266】
さらに、本発明は、前記薬品秤量プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の発明として捉えてもよい。
【符号の説明】
【0267】
1 :薬品秤量システム
2 :薬品秤量システム
10:薬品秤量装置
11:制御部
111:CPU
112:SDカード
114:カーネル
115:OS
116:秤単体アプリ
113:RAM
12:天秤ユニット
13:タッチパネル
14:RFIDリーダライタ
15:データ記憶部
151:ログ
152:設定ファイル
153:帳票レイアウトファイル
154:薬品秤量プログラム
155:データベース
156:データベースダンプファイル
16:USBポート
17:バーコードリーダー
18:プリンター
19:天秤台
20:薬品包装装置
21:制御部
22:包装ユニット
23:タッチパネル
24:RFIDリーダライタ
25:供給ホッパー
25A、25B:ホッパー
26:データ記憶部
27:印字部
30:薬剤シート
31:RFIDタグ
70:上位システム
71:制御部
72:データ記憶部