(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088768
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】カンナビノイドプロドラッグ化合物
(51)【国際特許分類】
C07K 5/062 20060101AFI20240625BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240625BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240625BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240625BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20240625BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20240625BHJP
A61K 31/085 20060101ALI20240625BHJP
C07K 5/08 20060101ALI20240625BHJP
C07K 5/06 20060101ALI20240625BHJP
C12N 9/99 20060101ALI20240625BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
C07K5/062
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/7068
A61K38/05
A61K31/085
C07K5/08
C07K5/06
C12N9/99
C07K16/30
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063204
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2022519475の分割
【原出願日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】62/906,228
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522119983
【氏名又は名称】ファーストライト ファーマシューティカルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,キーラン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】目的の領域への部位特異的な送達を可能とするカンナビノイドプロドラッグ化合物を提供する。
【解決手段】カンナビジオール(CBD)のプロドラッグ化合物、その医薬組成物、およびそれを必要とする患者におけるその使用方法を提供する。少なくとも一部の実施形態では、本発明のプロドラッグ化合物は、PEPT1(ペプチドトランスポーター1)トランスポーター系を含む可溶物輸送体15(soluble carrier 15:SLC15)ペプチド輸送ファミリーのメンバーを標的とし、カンナビノイドを天然の形態で送達した場合の度合いよりも少なくとも2倍、3倍、4倍、または好ましくは少なくとも5倍高く、カンナビノイドの取り込みを高める。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iにより表される化合物:
【化1】
(式中、
Xは、
a)
【化2】
(式中、
R
1は、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R
2は、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリールで置換されてよい、C
1-10アルキルであり、ヘテロアリールおよびアリールは、任意選択で、CN、ハロゲン、CF
3、C
1-4アルキル、またはOHで置換されてよく、
R
3は、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリール、および
【化3】
(式中、
R
aは、各例において、OH、NHC
1-10アルキル、またはOC
1-10アルキルであり、ただしR
aは、R
aが非末端の位置にある場合共有結合であり、mは1~9であり、
R
bは、各例において、独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリールで置換されてよい、C
1-10アルキルであり、ヘテロアリールおよびアリールは、任意選択でCN、ハロゲン、CF
3、C
1-4アルキル、またはOHで置換されてよく、
R
cは、各例において、独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、R
bおよびR
cは、任意選択で結合して5~7員環を形成し、
mは、1~9の範囲の整数である)
からなる群から選択される)、
b)
【化4】
(式中、
R
4は、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリール、および
【化5】
(式中、
R
aは、各例において、OH、NHC
1-10アルキル、またはOC
1-10アルキルであり、ただしR
aは、R
aが非末端の位置にある場合共有結合であり、mは1~9であり;
R
bは、各例において、独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル、イミダゾリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリール(たとえばフェニル)で置換されてよい、C
1-10アルキルであり、ヘテロアリールおよびアリールは、任意選択で、CN、ハロゲン、CF
3、C
1-4アルキル、またはOHで置換されてよく、
R
cは、各例において、独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、R
bおよびR
cは、任意選択で、結合して5~7員環を形成し、
oは、1~9の範囲の整数である)
からなる群から選択される)、
c)(A)
n(式X-c)(式中、Aは、アミノ酸残基であり、各Aは、独立して、
【化6】
(式中、
R
5は、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール、CONH2、COOH、NH
2、NHC(NH)NH
2、イミダゾリル、またはアリール(任意選択でC
1-4アルキルまたはOHで置換されてよい)で置換されてよいC
1-10アルキルであり、
R
6およびR
7は、各例において、それぞれ独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール、CONH2、COOH、NH2、またはアリールで置換されてよいC
1-10アルキルであり、ただしR
7は、アミノ酸残基が非末端の位置にある場合カルボニル基に対する共有結合であり、nは、1~9の範囲の整数であり、
任意選択で、R
5およびR
6は、結合して5~7員環を形成する)
により表される)、
d)
【化7】
(式中、
R
8は、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、
R
9は、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリール、および
【化8】
(式中、
R
aは、各例において、OH、NHC
1-10アルキル、またはOC
1-10アルキルであり、ただしR
aは、R
aが非末端の位置にある場合共有結合であり、mは1~9であり;
R
bは、各例において、独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル、イミダゾリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリール(たとえばフェニル)で置換されてよい、C
1-10アルキルであり、ヘテロアリールおよびアリールは、任意選択でCN、ハロゲン、CF
3、C
1-4アルキル、またはOHで置換されてよく;
R
cは、各例において、独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、R
bおよびR
cは、任意選択で結合して5~7員環を形成し、
pは、1~9の範囲の整数である)
からなる群から選択される)、
e)
【化9】
(式中、R
10は、ポリエチレンもしくはその誘導体またはC
1-10アルキルであり、C
1-10アルキルのうちの1つ以上の炭素は、置き換えられたO、S、NH、またはNH
2である)、または
f)R
11(式中、R
11は、任意選択で、置換されたアリールアルキル、糖、アルキル、またはC
1-10アルキルであり、C
1-10アルキルのうちの1つ以上の炭素は、置き換えられたO、S、NH、またはNH
2である)
である)。
【請求項2】
式I-aにより表される、請求項1に記載の化合物:
【化10】
(式中、
R
1およびR
2は、それぞれHであり、
R
3は、C
1-10アルキルである)。
【請求項3】
式I-aにより表され、R
3が、
【化11】
であり、
R
1がHであり、
R
cがHであり、
mが、1~4である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R2が、任意選択でOH、SH、SMe、またはNH2で置換されてもよいC1-4アルキルであり、Raが、OHであり、Rbが、任意選択でOH、SH、SMe、CONH2、COOH、NH2、またはNHC(NH)NH2で置換されてもよいC1-4アルキルであり、mが1である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
構造:
【化12】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式I-bにより表される、請求項1に記載の化合物:
【化13】
(式中、R
4はHである)。
【請求項7】
式I-cにより表される、請求項1に記載の化合物:
【化14】
(式中、nは2または3である)。
【請求項8】
Xが、A1A2A3またはA1A2である式I-cであり、A1、A2、およびA3が、それぞれ独立して、リジン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチオニン、アラニン、バリン、プロリン、ヒスチジン、チロシン、セリン、アルギニン、フェニルアラニン、およびトリプトファンから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Xが、A1A2である式I-cであり、A1およびA2が、それぞれ独立して、リジン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチオニン、およびアラニンから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式I-eにより表される、請求項1に記載の化合物:
【化15】
(式中、R
10がアルキルまたはC
1-10アルキルであり、C
1-10アルキルのうちの1つ以上の炭素が、OまたはNHで置換されている)。
【請求項11】
式I-fにより表される、請求項1に記載の化合物:
【化16】
(式中、R
11が糖またはC
1-10アルキルであり、C
1-10アルキルのうちの1つ以上の炭素が、置き換えられたOまたはNHである)。
【請求項12】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物と、代謝拮抗薬、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、白金ベースの抗悪性腫瘍薬、抗体ベースのEGFR阻害剤、抗体ベースのHER2/3阻害剤、血管新生阻害剤、mTOR阻害剤、CDK4阻害剤およびCDK6阻害剤、またはアロマターゼ阻害剤からなる群から選択される二次的な作用物質とを含むキット。
【請求項14】
前記二次的な作用物質が、ゲムシタビンである、請求項14に記載のキット。
【請求項15】
GPR55を阻害する方法であって、GPR55を治療上有効量の請求項1に記載の化合物と接触させるステップを含む、方法。
【請求項16】
GPR55が、ERKリン酸化の増大に関連している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
GPR55が、対象の腫瘍細胞で過剰発現している、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記腫瘍細胞が、肺がん、胃がん、膵がん、扁平上皮がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸直腸がん、卵巣がん、胆管細胞癌、神経膠芽腫、およびトリプルネガティブ乳がんからなる群から選択されるがんの細胞である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
対象のがんを処置する方法であって、前記対象に治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、方法。
【請求項20】
前記がんが、膵管腺癌または結腸直腸がんである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている2019年9月26日に出願の米国特許仮出願番号第62/906,228号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、カンナビノイドプロドラッグ化合物、およびそれを必要とする患者で当該化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の科学的なエビデンスは、カンナビノイドが、免疫系ならびに中枢神経系および末梢神経系でのホメオスタシスの維持にある役割を果たしていることを示唆している。カンナビノイドの作用により引き起こされるポジティブフィードバックおよびネガティブフィードバッグのループは、種々の生理的プロセスを変化させる。神経性、内分泌性、および腫瘍溶解性の機能に関与するものを含む正常な平衡が達成されない場合、様々な疾患が生じ得る。
【0004】
カンナビノイドは、アサ科(Cannabaceae family)の一年生植物である、アサ(Cannabis sativa)に由来する化合物である。この植物は、約60のカンナビノイドを含む。大部分の活性であり天然に存在するカンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC)であり、これは緑内障、エイズ消耗症候群、神経障害性疼痛を含む幅広い範囲の病態の処置、多発性硬化症に関連する痙縮、線維筋痛症、および化学療法により誘導される悪心の処置に使用される。さらに、THCは、制吐薬として特に有効であり、オピオイド鎮痛剤および麻酔剤、著しく有効な抗レトロウイルス療法およびがんの化学療法の使用に付随する一般的な副作用である嘔吐を抑えるために投与される。
【0005】
草本のカンナビスに存在し得る他のカンナビノイドまたは中間の成分は、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン酸(CBCA)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール酸(CBNA)、およびカンナビジオール(CBD)を含むが、これらに限定されなくてもよい。カンナビジオールは、以前に、不活性な構成要素とみなされていたが、これはいくつかの点でTHCのものとは異なる薬理学的活性を有するとのエビデンスが出現している。さらに、カンナビノイドの医学的な使用は、製造、同定、および再現性の方法論の検証の標準化された方法の不足、特定の部位への送達に関するこれら化合物のバイオアベイラビリティおよび効率を限定する安定性および他の困難な物理化学的特性によってだけでなく、身体の生化学および生理学を正確かつ特異的に標的とすることができないため、歴史的に妨げられている。本発明は、この分野におけるこの欠点に対処している。
【発明の概要】
【0006】
本特許文書は、目的の領域への部位特異的な送達を提供するカンナビノイドプロドラッグ化合物を開示する。少なくとも1つの実施形態は、カンナビジオール(CBD)のプロドラッグを対象とする。本発明のプロドラッグ化合物は、目的の標的部位へのCBDの送達を亢進しながら、製剤化の選択肢を限定するCBDの物理化学的な特性の欠陥を克服している。さらに、溶解度、透過性または分配、化学的または酵素的な安定性、およびトランスポーターの親和性を含む鍵となる薬学的な特性が、改善され得る。
【0007】
本開示の一態様は、式Iにより表されるプロドラッグ化合物を提供する:
【化1】
(式中、
Xは、
a)
【化2】
(式中、
R
1は、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-およびヘテロアリールからなる群から選択され;
R
2は、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、イミダゾリル、またはアリール(たとえばフェニル)(任意選択でC
1-4アルキルまたはOHで置換されてよい)で置換されてよい、C
1-10アルキルであり、
R
3は、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリール、および
【化3】
(式中、
R
aは、各例において、独立して、OH、NHC
1-10アルキル、またはOC
1-10アルキルであり、ただしR
aは、R
aが非末端の位置にある場合共有結合であり、
R
bは、各例において、独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル、イミダゾリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリール(たとえばフェニル)で置換されてよい、C
1-10アルキルであり、ヘテロアリールおよびアリールは、任意選択でCN、ハロゲン、CF
3、C
1-4アルキル、またはOHで置換されてよく、
R
cは、各例において、独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、R
bおよびR
cは、任意選択で結合して5~7員環を形成し、
mは、1~9の範囲の整数である)
からなる群から選択される)、
b)
【化4】
(式中、
R
4は、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリール、および
【化5】
(式中、
R
aは、各例において、独立して、OH、NHC
1-10アルキル、またはOC
1-10アルキルであり、ただしR
aは、R
aが非末端の位置にある場合共有結合であり、mは1~9であり;
R
bは、各例において、独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル、イミダゾリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリール(たとえばフェニル)で置換されてよい、C
1-10アルキルであり、ヘテロアリールおよびアリールは、任意選択で、CN、ハロゲン、CF
3、C
1-4アルキル、またはOHで置換されてよく、
R
cは、各例において、独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、R
bおよびR
cは、任意選択で、結合して5~7員環を形成し、
oは、1~9の範囲の整数である)
からなる群から選択される)、
c)(A)
n(式X-c)(式中、Aは、アミノ酸残基であり、各Aは、独立して、
【化6】
(式中、
R
5は、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、イミダゾリル、またはアリール(たとえばフェニル)(任意選択でC
1-4アルキルまたはOHで置換されてよい)で置換されてよいC
1-10アルキルであり
R
6およびR
7は、各例において、それぞれ独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール、CONH2、COOH、NH2、またはアリールで置換されてよいC
1-10アルキルであり、ただしR
7は、アミノ酸残基が非末端の位置にある場合カルボニル基に対する共有結合であり、
任意選択で、R
5およびR
6は、結合して5~7員環を形成し、
nは、1~9の整数を包括的に含む)
により表される)、
d)
【化7】
(式中、
R
8は、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、
R
9は、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリール、および
【化8】
(式中、
R
aは、各例において、OH、NHC
1-10アルキル、またはOC
1-10アルキルであり、ただしR
aは、R
aが非末端の位置にある場合共有結合であり、mは1~9であり;
R
bは、各例において、独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル、イミダゾリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリール(たとえばフェニル)で置換されてよい、C
1-10アルキルであり、ヘテロアリールおよびアリールは、任意選択でCN、ハロゲン、CF
3、C
1-4アルキル、またはOHで置換されてよく;
R
cは、各例において、独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、R
bおよびR
cは、任意選択で結合して5~7員環を形成し、
pは、1~9の範囲の整数である)
からなる群から選択される)、
e)
【化9】
(式中、R
10は、アルキル、ポリエチレンもしくはその誘導体、またはC
1-10アルキルであり、C
1-10アルキルのうちの1つ以上の炭素は、置き換えられたO、S、NH、もしくはNH
2であるか、またはアミド結合もしくはエステル結合を介した上述のAのアミノ酸残基である)、または
f)R
11(R
11は、置換されたアリールアルキル、糖、アルキル、またはC
1-10アルキルからなる群から選択され、C
1-10アルキルのうちの1つ以上の炭素は、置き換えられたO、S、NH、もしくはNH
2であるか、またはアミド結合もしくはエステル結合を介した上述のAのアミノ酸残基である)
である)。
【0008】
別の態様は、がんの処置に使用するための、治療上有効量の式Iの化合物を含む医薬組成物を開示する。
【0009】
一部の実施形態では、本発明は、式Iの化合物または当該化合物の医薬組成物を含むキットを提供する。一部の実施形態では、本キットは、式Iを含む組成物と組み合わせて使用される1つ以上のさらなる治療用作用物質をさらに含む。
【0010】
少なくとも一部の実施形態では、本発明のプロドラッグ化合物は、限定するものではないが、PEPT1(ペプチドトランスポーター1)トランスポーター系を含む可溶物輸送体15(soluble carrier 15:SLC15)ペプチド輸送ファミリーのメンバーを標的とし、カンナビノイドを天然の形態で送達した場合の度合いよりも少なくとも2倍、3倍、4倍、または好ましくは少なくとも5倍高く、カンナビノイドの取り込みを高める。一実施形態では、カンナビノイドは、CBDである。少なくとも1つの実施形態では、ペプチド輸送系は、PEPT1である。
【0011】
本特許文書の別の態様は、目的の組織部位でGPR55受容体を調節する方法を開示する。一部の実施形態では、好ましい調節は、有効量の式Iの化合物を必要とする患者に投与し、標的組織部位でGPR55の活性化を阻害または低減することによりGPR55を阻害することである。
別の態様は、対象のがんを処置する方法を開示する。本方法は、式Iの化合物または当該化合物の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、化合物Aがヒト膵臓腫瘍細胞株HPAF-11の増殖を阻害することを示している。
【
図2】
図2は、ゲムシタビンと組み合わせた化合物Aが、化合物Aまたはゲムシタビン単独よりも良好にHPAF-11の増殖を阻害することを示している。
【
図3】
図3は、化合物AがHPAF-11膵臓腫瘍細胞におけるホスホ-ERKのレベルを減少し得ることを示している。
【
図4】
図4(a)および4(b)は、化合物Aが、ヒトmkn1胃腫瘍細胞の増殖を阻害することを示している。
【
図5】
図5(a)および5(b)は、化合物Aが、ゲムシタビンのヒトmkn1胃腫瘍細胞の増殖阻害を増強することを示している。
【
図6】
図6(a)および6(b)は、化合物Aが、ヒトhct116結腸直腸腫瘍細胞の増殖を阻害することを示している。
【
図7】
図7(a)および7(b)は、化合物aが、ヒトh727肺腫瘍細胞の増殖を阻害することを示している。
【
図8】
図8(a)および8(b)は、化合物aが、ゲムシタビンのヒトh727肺腫瘍細胞の増殖阻害を増強することを示している。
【
図10】
図10は、化合物AのNMRによる性質決定を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本特許文書の様々な実施形態は、カンナビジオール(CBD)のプロドラッグ、およびPEPT1を標的とするカンナビノイドプロドラッグを、当該処置を必要とする患者に投与する方法を開示する。少なくとも1つの態様では、本発明は、必要とする患者においてGPR55を阻害し、がんを処置する方法を対象とする。プロドラッグの利点として、経口投与後の高い透過性、安定性、および/または優れたバイオアベイラビリティが挙げられる。プロドラッグは、内因性または外因性の酵素、タンパク質、または適切な生物学的な条件により活性化され得る。
【0014】
ここで、本開示の一部の例を、例証した実施形態に関して以下でより完全に説明する。実際に、本開示の様々な態様は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書中記載される例に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これら例は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本開示の範囲を完全に伝達するように提供される。
【0015】
冠詞「a」および「an」は、本明細中使用される場合、他の意味が記載されない限り、「1つ以上」または「少なくとも1つの」を表す。すなわち、不定冠詞「a」または「an」による一実施形態のいずれかの要素または構成要素への言及は、1超の要素または構成要素が存在する可能性を排除するものではない。
【0016】
用語「約」は、本明細書中使用される場合、言及される数値±言及される数値の10%を表す。
【0017】
用語「C1-5アルキル」は、本明細書中使用される場合、1、2、3、4、または5つの炭素を有する、直鎖状または分枝状のアルキル基を表す。非限定的な例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチルなどが挙げられる。同様に、用語「C1-10アルキル」は、本明細書中使用される場合、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素を有する、直鎖状または分枝状のアルキル基を表す。
【0018】
用語「アリール」は、単環および縮合した二環の芳香族部分を表す。通常、この環系は、5~12個の環メンバーの原子を含む。アリール基の例として、限定するものではないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、およびジヒドロベンゾフラニルが挙げられる。「ヘテロアリール」は、芳香族環系にN、O、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、任意選択で置換されてよい芳香族の単環および縮合した二環の複素環を表す。ヘテロ原子の包含は、5員環および6員環の包含を許容する。アリール基の例として、限定するものではないが、インドリル、アザインドリル、イミダゾリル、ピリミドピリジル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プリニル、イミジゾピリジニル(imidizopyridinyl)、フロピリジニル(furopyridinyl)、イソインドリリニル(isoindolylinyl)、ベンゾジオキシニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾチアゾリル、ピロロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾピリジニル、ジヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイソインドリル、クロメニル、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾリル、ベンゾフラニル(benzfuranyl)、ベンゾオキサジアゾリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニルが挙げられる。
【0019】
用語「対象」は、ヒトまたは動物を表す。
【0020】
用語「~を処置すること(treating)」およびその派生語は、本明細書中使用される場合、それを必要する患者への治療上有効なレジメンを意味する。特定の病態に関して、処置することは、(1)当該病態の生物学的な所見のうちの1つ以上の状態を寛解もしくは予防すること、(2)(a)当該病態をもたらすかもしくは当該病態に寄与する生物学的なカスケードの1つ以上のポイントもしくは(b)当該病態の生物学的な所見のうちの1つ以上を妨げること、(3)当該病態もしくはその処置に関連する症状、作用、もしくは副作用のうちの1つ以上を軽減すること、または(4)当該病態もしくは当該病態の生物学的な所見のうちの1つ以上の進行を遅らせることを意味する。防止的な治療もまたこれにより企図されている。当業者は、「予防」が、絶対的な用語ではないことを理解するものである。医学では、「予防」は、病態もしくはその生物学的な所見の可能性もしくは重症度を実質的に減らすか、または当該病態もしくはその生物学的な所見の発症を遅らせるための薬物の防止的な投与を表すように理解されている。防止的な治療は、たとえば、対象ががんを発症するリスクが高いとみなされる場合、たとえば対象が強いがんの家族歴を有する場合または対象が発がん物質に曝露したことがある場合に、適切である。
【0021】
用語「治療上有効量」または「有効量」は、たとえば研究者または臨床医が考える、組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的な応答を誘発する薬物または薬学的な作用物質の量を意味する。さらに、用語「治療上有効量」は、当該量を投与されなかった対応する対象と比較して、改善した疾患、障害、もしくは副作用の処置、治癒、予防、もしくは寛解、または疾患もしくは障害の進行の速度の減少をもたらす、いずれかの量を意味する。またこの用語は、通常の生理的機能を高めるために有効な量をその範囲内に含む。
【0022】
用語「特定期間」およびその派生語は、本明細書中使用される場合、本発明の組み合わせの成分の薬物の1つと別の成分の薬物の投与間の時間間隔を表す。他の意味が定義されない限り、特定期間は、同時投与を含み得る。2つの成分の薬物の組み合わせの一実施形態では、本発明の両方の化合物が1日に1回投与される場合、特定期間は、1日の間における関連する順序での1つの薬物および他の薬物の投与のタイミングを表す。本発明の1つまたは両方の化合物が1日に1回超投与される場合、特定期間は、特定の日での各化合物の最初の投与に基づき計算される。特定の日の間の最初の後の本発明の化合物の全ての投与は、特定の期間を計算する際に考慮されない。
【0023】
Gタンパク質共役型受容体は、限定するものではないが、中毒、不安、食欲、悪心、疼痛、睡眠、嘔吐を含む、多くの生物学的および神経性のイベントにおいて活性である。GPR55は、哺乳類のGタンパク質であり、限定するものではないが、大脳皮質、虫垂、リンパ節、扁桃腺、脾臓、肺、胆嚢、GI管組織(たとえば食道、唾液腺、小腸、十二指腸、直腸、結腸、胃、精巣、乳房、皮膚などを含む領域で発現する。
【0024】
カンナビノイド受容体アンタゴニストは、炎症性疼痛、反射性交感神経性ジストロフィー/カウザルギー、白内障、黄斑変性症、末梢神経障害、絞扼性ニューロパチー、複合性局所疼痛症候群、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、線維筋痛症、強皮症、慢性腰痛、内臓痛、急性脳虚血、疼痛、慢性疼痛、乾癬、湿疹、急性疼痛、帯状疱疹後神経痛(PHN)、神経障害、神経痛、糖尿病性ニューロパチー、HIV関連ニューロパチー、神経損傷、眼性疼痛、片頭痛を含む様々な病因の頭痛、脳卒中、急性帯状疱疹(herpes zoster)(帯状疱疹(shingles))、疼痛関連障害、たとえば接触性アロディニアおよび痛覚過敏、関節リウマチの疼痛(rheumatoid arthritic pain)、骨関節炎の疼痛、背中の疼痛、がんの疼痛、歯痛、筋肉痛、乳房痛、皮膚損傷からもたらされる疼痛、線維筋痛症、神経炎、坐骨神経痛、炎症、神経変性疾患、咳、気管支狭窄、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、脳血管虚血、嘔吐、たとえばがん化学療法により誘導される嘔吐、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、皮膚炎、季節性アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症(GERD)、便秘、下痢、機能性消化管障害、過敏性腸症候群、皮膚T細胞リンパ腫、多発性硬化症、変形性関節症、乾癬、全身性エリテマトーデス、糖尿病、緑内障、骨粗鬆症、糸球体腎炎、腎虚血、腎炎、肝炎、脳卒中(cerebral stroke)、血管炎、心筋梗塞、脳虚血、可逆性気道閉塞、成人呼吸器疾患症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性線維化性肺胞炎、および気管支炎を含む様々な疾患の処置に使用され得る。
【0025】
カンナビジオール(CBD)は、植物由来のカンナビノイドである。CBDは、THCなどの精神活性とは異なる機構を介してその生理作用を発揮する。たとえば、CBDは、G共役タンパク質受容体(G-coupled protein receptor)のヒドロキシトリプタミンセロトニン受容体(HTSR)に結合することにより抗うつ作用を発揮する。HTSRは、GPRファミリーの別のメンバーである。別の植物のカンナビノイドの、カンナビジオール酸(cannabdiolic acid)(CBDA)は、HTSRに対しさらにより強力な親和性を有する。CBDまたはCBDAの結合は、HTSRシグナリングを阻害することにより、より強力なセロトニンまたは類縁体の興奮性神経伝達物質のシグナルが必要とされる。CBDは、その骨密度および血圧の調節に関して、GPR55に深いアンタゴニスティック作用を有する。またCBDは、小脳、空腸、および回腸において受容体で活性する。CBD誘導体は、様々なGPR55関連疾患の処置において有意な可能性を有する。
【0026】
本特許文書の一態様は、式IのCBDプロドラッグ化合物を提供する:
【化10】
(式中、
Xは、
a)
【化11】
(式中、
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、およびC
1-4アルキル-ヘテロアリールは、それぞれ、OH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリール(たとえばイミダゾリル、フェニル)(任意選択でC
1-4アルキルおよび/またはOHで置換されてよい)で、任意選択で置換されてよく;
R
3は、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリール、および
【化12】
(式中、
R
aは、各例において、独立して、OH、NHC
1-10アルキル、またはOC
1-10アルキルであり、ただしR
aは、R
aが非末端の位置にある場合共有結合であり、mは1~9であり、
R
bは、各例において、独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル、イミダゾリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリール(たとえばフェニル)で置換されてよい、C
1-10アルキルであり、ヘテロアリールおよびアリールは、任意選択でCN、ハロゲン、CF
3、C
1-4アルキル、またはOHで置換されてよく、
R
cは、各例において、独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、R
bおよびR
cは、任意選択で結合して5~7員環を形成し、
mは、整数(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、または9)である)
からなる群から選択される)、
b)
【化13】
(式中、
R
4は、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリール、および
【化14】
(式中、
R
aは、各例において、OH、NHC
1-10アルキル、またはOC
1-10アルキルであり、ただしR
aは、R
aが非末端の位置にある場合共有結合であり、mは1~9であり;
R
bは、各例において、独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル、イミダゾリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリール(たとえばフェニル)で置換されてよい、C
1-10アルキルであり、ヘテロアリールおよびアリールは、任意選択で、CN、ハロゲン、CF
3、C
1-4アルキル、またはOHで置換されてよく、
R
cは、各例において、独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、R
bおよびR
cは、任意選択で、結合して5~7員環を形成し、
oは、1~9の範囲の整数である)
からなる群から選択される)、
c)(A)
n(式X-c)
(式中、Aは、アミノ酸残基を表し、nは、1~10の整数を包括的に含む。一部の実施形態では、アミノ酸残基の末端は、標的輸送システムに対する親和性を高める極性状態で存在し得る。一部の実施形態では、アミノ酸残基の末端は正に荷電し得る。一部の実施形態では、-NH
3
+を担持するアミノ酸残基の末端が、曝露され得る。一部の実施形態では、アミノ酸残基の末端は、負に荷電し得る。一部の実施形態では、各例のアミノ酸残基は、同じまたは異なるものであり得、一部の実施形態では、
【化15】
(式中、
R
5、R
6およびR
7は、各例において、それぞれ独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、R
7は、アミノ酸残基が非末端の位置にある場合カルボニル基に対する共有結合である。一部の実施形態では、R
5は、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリール(たとえばイミダゾリル、フェニル)(任意選択でC
1-4アルキルおよび/またはOHで置換されてよい)で置換されてよいC
1-10アルキルである。一部の実施形態では、R
6およびR
7は、各例において、それぞれ独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール、CONH2、COOH、NH2、またはアリールで置換されてよいC
1-10アルキルであり、ただしR
7は、アミノ酸残基が非末端の位置にある場合カルボニル基に対する共有結合であり、nは、整数(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、または9)である。
任意選択で、R
5およびR
6は、結合して5~7員環を形成する)
により表され得る。)、
d)
【化16】
(式中、
R
8は、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、
R
9は、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリール、および
【化17】
(式中、
R
aは、各例において、OH、NHC
1-10アルキル、またはOC
1-10アルキルであり、ただしR
aは、R
aが非末端の位置にある場合共有結合であり、mは1~9であり;
R
bは、各例において、独立して、H、または任意選択でOH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル、イミダゾリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、またはアリール(たとえばフェニル)で置換されてよい、C
1-10アルキルであり、ヘテロアリールおよびアリールは、任意選択でCN、ハロゲン、CF
3、C
1-4アルキル、またはOHで置換されてよく;
R
cは、各例において、独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され、R
bおよびR
cは、任意選択で結合して5~7員環を形成し、
pは、1~9の範囲の整数である)
からなる群から選択される)、
e)
【化18】
(式中、R
10は、アルキル、ポリエチレンもしくはその誘導体、またはC
1-10アルキルであり、C
1-10アルキルのうちの1つ以上の炭素は、置き換えられたO、S、NH、またはNH
2であるか、またはアミド結合もしくはエステル結合を介した上述のAのアミノ酸残基である)、または
f)R
11
(R
11は、置換されたアリールアルキル、糖、アルキル、またはC
1-10アルキルであり、C
1-10アルキルのうちの1つ以上の炭素は、置き換えられたO、S、NH、またはNH
2であるか、またはアミド結合もしくはエステル結合を介した上述のAのアミノ酸残基である)
である)。
【0027】
一部の実施形態では、本化合物は、
【化19】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれHであり、R
3は、C
1-10アルキルであり、一部の実施形態では、R
2およびR
3は、それぞれ、OH、SH、SC
1-4アルキル、ヘテロアリール(たとえばインドリル)、CONH2、COOH、NH2、NHC(NH)NH2、イミダゾリル、またはアリール(たとえばフェニル)(任意選択でC
1-4アルキルおよび/またはOHで置換されてよい)で任意選択で置換されてよい、C
1-10アルキルである)
である。
【0028】
一部の実施形態では、本化合物は、式I-aにより表され、R
3は、
【化20】
であり、R
1はHであり、R
cはHであり、mは1~4である。
一部の実施形態では、R
2は、任意選択でOH、SH、SMe、またはNH2で置換されてよい、C
1-4アルキルであり、R
aはOHであり、R
bは、任意選択でOH、SH、SMe、CONH2、COOH、NH2、またはNHC(NH)NH2で置換されてよい、C
1-4アルキルであり、mは1である。
【0029】
一部の実施形態では、各
【化21】
は、独立して、リジン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチオニン、アラニン、バリン、プロリン、ヒスチジン、チロシン、セリン、アルギニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンに由来する。一部の実施形態では、
【化22】
は、アスパラギン酸に由来する。
【0030】
一部の実施形態では、各
【化23】
は、独立して、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチオニン、アラニン、バリン、プロリン、ヒスチジン、チロシン、セリン、アルギニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンに由来し、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、H、C
1-10アルキル、C
1-4アルキル-アリール、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0031】
R3に関する例示的な実施形態は、Xが式Xaの場合、以下の通りである。
【0032】
【0033】
一部の実施形態では、本化合物は、
【化24】
(式中、R
4はHである)
である。
【0034】
一部の実施形態では、本化合物は、
【化25】
であり、
【化26】
としても表され得る。一部の実施形態では、nは、2または3である。アミノ酸残基は、隣接したアミノ酸の間でのアミド結合の形成からもたらされる構造を表す。アミノ酸は、合成または天然に存在するアミノ酸であり得る。一部の実施形態では、アミノ酸は、α-アミノ酸である。一部の実施形態では、アミノ酸は、L-配置(L-立体配置)である。一部の実施形態では、アミノ酸は、極性末端の端部を有する。
【0035】
一部の実施形態では、式I-cのアミノ酸残基は、独立して、リジン(リジン)(Lys)、ロイシン(ロイシン)(Leu)、イソロイシン(イソロイシン)(Ile)、グリシン(グリシン)(Gly)、アスパラギン酸(アスパラギン酸)(Asp)、グルタミン酸(グルタミン酸)(Glu)、Met(メチオニン)(Met)、アラニン(アラニン)(Ala)、バリン(バリン)(Val)、プロリン(プロリン)(Pro)、ヒスチジン(ヒスチジン)(His)、チロシン(チロシン)(Tyr)、セリン(セリン)(Ser)、Nord-ロイシン(ノルロイシン)(Nor)、アルギニン(アルギニン)(Arg)、フェニルアラニン(フェニルアラニン)(Phe)、トリプトファン(トリプトファン)(Trp)、ヒドロキシプロリン(ヒドロキシプロリン)(Hyp)、ホモセリン(ホモセリン)(Hsr)、カルニチン(カルニチン)(Car)、オルニチン(オルニチン)(Ort)、カナバニン(Kana banin)(カナバニン)(Cav)、アスパラギン(アスパラギン)(Asn)、グルタミン(グルタミン)(Gln)、カルノシン(Caro Shin)(カルノシン)(Can)、タウリン(タウリン)(Tau)、ジェンコル酸(deujen kolrik acid)(ジェンコル酸(djenkolic acid))(Djk)、γ-アミノ酪酸(γ-アミノ酪酸)(GABA)、システイン(システイン)(Cys)、シスチン(シスチン)(dcy)、サルコシン(サルコシン)(Sar)、メチオニン(Trenine)(Thr)、それらの誘導体および/または類縁体に由来する。
【0036】
一部の実施形態では、式I-cのアミノ酸残基は、独立して、Lys、Leu、Ile、Gly、Asp、Glu、Met、Ala、Val、Pro、His、Tyr、Thr、Arg、Phe、Trp、Gln、Asn、Cys、およびSer、ならびにそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、アミノ酸の末端は、電荷を担持する極性状態で提示され得る。一部の実施形態では、アミノ酸の末端は、正に荷電しているアミノ酸残基であり得る。一部の実施形態では、-NH3
+を担持するアミノ酸残基の末端が、曝露され得る。一部の実施形態では、アミノ酸残基の末端は、負に荷電していてもよい。一部の実施形態では、アミノ酸は、プロリル結合、リジル結合、もしくはアスパルチル結合を形成するプロリン、リジン、またはアスパラギン酸、またはそれらの残基である。一部の実施形態では、式I-cの化合物は、2つのアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、式I-cの化合物は、3つのアミノ酸残基を含む。
【0037】
式X-c(式中、Aはアミノ酸残基を表し、nは1~10の整数である)の例示的な実施形態は、以下の通りである:
【0038】
【0039】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式I-dである。
【化27】
【0040】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式I-eである。
【化28】
一部の実施形態では、炭酸基は、概して、本化合物の溶解度を改善する。たとえば、R
10は、1つ以上の炭素がO、S、NH、またはNH
2と置き換えられているアルキルであり得る。R
10の例として、CH
2CH
2SS CH
2CH
2NH
2およびCH
2CH
2O(CH
2CH
2)
xOC
1-2アルキル(Xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、および10超のいずれかの数を含むいずれかの整数である)が挙げられる。
【0041】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式I-fである:
【化29】
(式中、R
11は、任意選択で置換されたアリールアルキル、糖部分、またはC
1-10アルキルであり、C
1-10アルキルのうちの1つ以上の炭素は、置き換えられたO、S、NH、またはNH
2である)。糖部分の例は、
【化30】
である。置換されたアリールアルキルの例は、
【化31】
(式中、ヒドロキシル基はグリコシル化され得る)
である。糖部分が酵素により除去された後、1-6の脱離プロセスは、有効成分を明らかにする。
【0042】
式Iの化合物は、1つ以上のキラル原子を含んでもよく、または他の方法で、2つのエナンチオマーおよびその適切な薬学的に許容される塩として存在できてもよい。よって、本発明の化合物は、エナンチオマーの混合物および精製されたエナンチオマーまたはエナンチオマーを多く含む混合物を含む。この包有される範囲の原則はまた、「細胞傷害性薬物」および「分子標的薬」などの二次的な作用物質にも適用される。たとえば、本明細書中使用される用語「シスプラチン」は、式Iの化合物と併用する場合、用語「細胞傷害性薬物」と全く同じように、全てのその互変異性体および互変異性体の混合物、ならびにその薬学的に許容される溶媒和物および/または塩を包有する。
【0043】
本明細書中開示される化合物のいずれかに関する例示的な実施形態では、立体化学は、以下のうちの1つであり得る。
【化32】
【0044】
本明細書中開示される化合物の式X-aのいずれかに関するさらなる例示的な実施形態では、立体化学は、以下のうちの1つであり得る。
【化33】
【0045】
本明細書中開示される化合物の式X-cのいずれかのAに関するさらなる例示的な実施形態では、立体化学は、以下のうちの1つであり得る。
【化34】
【0046】
アミノ酸残基部分のいずれか(たとえば式X-aのR3および式X-cのA)では、立体化学は、RまたはSであり得る。一部の実施形態では、アミノ酸残基部分は、天然のアミノ酸に由来する。一部の実施形態では、アミノ酸残基部分は必須アミノ酸に由来する。
【0047】
本発明の化合物は、溶質(本発明において溶質は、細胞傷害性薬物もしくはその塩および/または分子標的薬もしくはその塩を伴う式Iの化合物またはその塩であり得る)および溶媒により形成される可変の化学量論の複合体であると理解される溶媒和物を形成し得る。本発明のためのこのような溶媒は、溶質の生体活性を妨げてはいけない。適切な溶媒の例として、限定するものではないが、水、メタノール、ジメチルスルホキシド、エタノール、および酢酸が挙げられる。適切に使用される溶媒は、薬学的に許容される溶媒である。適切に使用される溶媒は、水である。
【0048】
一部の実施形態では、このようなプロドラッグを合成するプロセスは、tert-ブチルオキシカルボニル(boc)などの保護剤でアミノ酸部分を保護するステップと、N,N.ジシクロヘキシルカルボジイミド、またはN,Nジメチルアミノピリジン、トリフルオロ酢酸(TFA)、またはDMFなどの適切な溶媒系を使用するステップと、適切な分離ステップを使用してアミノ酸カンナビノイドプロドラッグを単離するステップとを含む、よく知られている化学的なステップを踏襲し得る(たとえばVig et al. Pharm Res 2003; 20; 1381-8を参照)。好ましい実施形態では、プロドラッグ化合物の純度は、90%~99%の範囲であり得る。
【0049】
様々な合成手法は、本明細書中開示される化合物に適用され得る。たとえば、Xが式X-aであるカルバメート部分を有する化合物では、カルバメート部分は、クロロホルムアミドのアルコーリシス、クロロホルメートおよびアミンの間の反応、またはイソシアネートおよびアルコールの間の反応により構築され得る。Xが式X-bであるアシルオキシメチルエーテル部分を有する化合物では、この合成は、塩基の存在下でハロ-メチルエーテルを酸と反応させることにより達成され得る。同様に、Xが式X-dであるN-アミドメチルエーテル部分を有する化合物では、塩基の存在下でのハロ-メチルエーテルおよび一級アミドまたは二級アミドの間の反応は、所望の化合物を提供する。Xが式X-cであるマルチペプチド部分を有する化合物では、アミド結合の形成は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などのカップリング剤で促進され得る。炭酸結合を有する式I-eの化合物は、たとえば活性化カルボニルを有するエステルをアルコールと反応させることにより調製され得る。エーテルは、塩基の存在下でフェノールをアルキルハロゲン化物と反応させることにより調製され得る。また、他の様々な手法が、本明細書中開示される化合物のいずれかで使用され得る。例示的な合成手法は、Modern Organic Synthesis: An Introduction, 2nd Edition, Wiley, 2017およびOrganic Synthesis: The Disconnection Approach 2nd Edition, Wiley, 2008などの参照文献で提供される。
【0050】
少なくとも一部の実施形態では、本発明は、
図9に示される以下の一般的な合成プロセスのステップにより、表1の分子を合成する方法を対象とする。少なくとも1つの実施形態では、化合物Aは、以下のプロセスのステップにより、製造される:
【化35】
【0051】
本特許文書の別の態様は、上述の化合物またはその塩の治療上有効量と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。薬学的に許容される塩は、無機酸塩または有機酸塩であり得る。無機酸塩は、塩酸、リン酸、硫酸、または二硫酸の塩であり得る。さらなる例として、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、またはカリウム塩が挙げられる。有機酸塩は、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸、ベシル酸、カムシル酸(camsylic acid)、またはエジシル酸(edisylic acid)の塩であり得る。
【0052】
また本医薬組成物は、1つ以上の生理的に許容される界面活性剤、さらなる担体、希釈剤、賦形剤、滑剤、懸濁剤、フィルム形成物質、およびコーティング助剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。治療上の使用で許容されるさらなる担体または希釈剤は、医薬の分野でよく知られており、たとえばその全体が本明細書中参照により組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)に記載されている。保存剤、安定剤、色素、甘味料、芳香剤、香味剤などが、本医薬組成物に提供され得る。たとえば、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルが、保存剤として添加され得る。さらに、抗酸化剤および懸濁化剤が使用され得る。様々な実施形態では、アルコール、エステル、硫酸化脂肪族アルコールなどが、界面活性剤として使用されてよく;スクロース、グルコース、ラクトース、スターチ、結晶セルロース、結晶化セルロース、マンニトール、軽質無水ケイ酸塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸性炭酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどが、賦形剤として使用されてよく;ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油などが、滑剤として使用されてよく;ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油、ダイズなどが、懸濁剤または潤滑剤として使用されてよく;セルロースまたは糖などの炭水化物の誘導体としての酢酸フタル酸セルロース、またはポリビニルの誘導体としてのメチルアセタート-メタクリラートコポリマーが、懸濁剤として使用されてよく;フタル酸エステルなどの可塑剤が、懸濁剤として使用されてもよい。
【0053】
本医薬組成物は、単位用量あたりの所定の量の有効成分を含む単位剤形に存在し得る。当業者に知られているように、投与あたりの有効成分の量は、処置される病態、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、および状態に応じて変化する。好ましい単位用量製剤は、有効成分の一日用量または下位用量、またはそれらの適切なフラクションを含む製剤である。さらに、このような医薬製剤は、医薬の分野でよく知られている方法のいずれかにより調製され得る。
【0054】
本特許文書の別の態様は、上述の化合物または医薬組成物を含むキットを提供する。一部の実施形態では、本キットは、1つ以上の二次的な治療用化合物/作用物質を含み得る。本キットの成分は、連続投与、別々の投与、および/または同時投与に適した形態で提供され得る。一部の実施形態では、化合物は、同時に投与され得、化合物のうちの少なくとも2つが、物理的に別々であり得るか、または錠剤などの単一の医薬組成物の中にあり得る。一部の実施形態では、化合物は同時に投与されず、ここで組み合わせのキットは、別々の医薬組成物にて、式Iの化合物および他の成分の薬物またはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物を含む。本キットは、式Iの化合物および他の成分の薬物またはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物を、単一のパッケージまたは別々のパッケージの中の別々の医薬組成物に含む。
【0055】
一部の実施形態では、本キットの二次的な作用物質は、細胞に細胞傷害性作用を有する細胞傷害性薬物である。細胞傷害性作用は、標的細胞(すなわち腫瘍細胞)の枯渇、排除、および/または殺滅を表す。細胞傷害性薬物は、代謝拮抗薬、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、白金ベースの抗悪性腫瘍薬、抗体ベースのEGFR阻害剤、抗体ベースのHER2/3阻害剤、血管新生阻害剤、mTOR阻害剤、CDK4阻害剤およびCDK6阻害剤、またはアロマターゼ阻害剤からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。この組み合わせは、少なくとも2種の細胞傷害性薬物を含み得る。たとえば、この組み合わせは、代謝拮抗薬、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、血管新生阻害剤、および白金ベースの抗悪性腫瘍薬からなる群から選択される少なくとも2種、少なくとも3種、または少なくとも4種、またはこれらのうちの全てを含み得る。
【0056】
代謝拮抗薬は、ヌクレオチドの塩基であるプリンまたはピリミジンの形成を抑制することにより、細胞におけるDNA合成を阻害する薬物であり得る。一実施形態では、代謝拮抗薬は、カペシタビン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、ペメトレキセド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、クラドリビン、シタラビン、ドキシフルジン(Doxifludine)、フロクスウリジン、フルダラビン、ヒドロキシカルバミド、デカルバジン、ヒドロキシウレア、およびアスパラギナーゼからなる群から選択され得る。より具体的な実施形態では、代謝拮抗薬は、塩基類縁体であり、本明細書において塩基類縁体という用語は、5-フルオロウラシルなどのプリン塩基類縁体に加えヌクレオチドおよびヌクレオシドの類縁体を含む。
【0057】
有糸分裂阻害剤は、微小管不安定化剤、微小管安定化剤、またはそれらの組み合わせであり得る。有糸分裂阻害剤は、タキサン、ビンカアルカロイド、エポチロン、またはそれらの組み合わせから選択され得る。特定の実施形態では、有糸分裂阻害剤は、たとえば限定するものではないが、パクリタキセル、ドセタキセル、およびカバイタキセル(cabaitaxel)を含むタキサンである。別の特定の実施形態では、有糸分裂阻害剤は、たとえば限定するものではないが、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビノレルビン、ビンカミノール、ビンブルニン、ビネリジン、およびビンデシンを含む、ビンカアルカロイドまたはその誘導体である。
【0058】
有糸分裂阻害剤は、BT-062、HMN-214、エリブリンメシル酸塩、ビンデシン、EC-1069、EC-1456、EC-531、ビンタフォリド、2-メトキシエストラジオール、GTx-230、トラスツズマブエムタンシン(T-DM1)、クロリブリン、D1302A-マイタンシノイドコンジュゲートIMGN-529、ロルボツズマブメルタンシン、SAR-3419、SAR-566658、IMP-03138、トポテカン/ビンクリスチンの組み合わせ、BPH-8、フォスブレタブリントロメタミン、エストラムスチンリン酸エステルナトリウム、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビノレルビン、RX-21101、カバジタキセル、STA-9584、ビンブラスチン、エポチロンA、patupilone、イクサベピロン、エポチロンD、パクリタキセル、ドセタキセル、DJ-927、ディスコデルモリド、エリュテロビン、およびそれらの薬学的に許容される塩または組み合わせから選択され得る。
【0059】
血管新生阻害剤は、新規血管の増殖(血管新生)を阻害する物質である。血管新生阻害剤の一部は、身体の制御の正常な一部で内因性であり、その他は、調合薬または食事を介して外因的に得られる。少なくとも1つの実施形態では、血管新生阻害剤として、ベバシズマブ(bevcizumab)、スニチニブ、ソラフェニブ、またはパゾパチニブ(pazopatinib)が挙げられる。
【0060】
白金ベースの抗悪性腫瘍薬は、シスプラチン、カルボプラチン、ジシクロプラチン(Dicycloplatin)、エプタプラチン(Eptaplatin)、ロバプラチン、ミリプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、ピコプラチン、およびサトラプラチンからなる群から選択され得る。
【0061】
本明細書中使用される場合、「分子標的薬」は、対象に投与する際に、単一の分子または分子のグループの機能、好ましくは腫瘍の増殖および進行に関与する機能を妨げる物質である。本発明の分子標的薬の非限定的な例として、シグナル伝達阻害剤、遺伝子発現および他の細胞機能の調節剤、免疫系調節剤、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
分子標的薬は、上皮増殖因子受容体ファミリー阻害剤(EGFRi)、mTOR(mammalian target of rapamycin)阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤、B細胞リンパ腫-2(BCL-2)阻害剤、B-Raf阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(CDKi)、たとえばCDK4/CDK6阻害剤、パルボシクリブ、ERK阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)、ヒートショックプロテイン90阻害剤(HSP90i)、ヤヌスキナーゼ阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)阻害剤、MEK阻害剤、たとえばMEK1/MEK2阻害剤 トラメチニブ、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、ホスホイノシチド3キナーゼ阻害薬(PI3Ki)、Ras阻害剤、SGLT(sodium-glucose linked transporter)阻害剤、PD-1チェックポイント阻害剤、たとえばニボルマブ(Opdivo(登録商標))、ペムブロリズマブ(pembroluzimab)(Keytruda(登録商標))、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、センピリマブ(cempilimab)、アベルマブ、およびそれらのいずれかの組み合わせから選択され得る。
【0063】
ナトリウム依存性グルコースコトランスポーター阻害剤としても知られている、適切なSGLT阻害剤として、ナトリウム/グルコース共役輸送担体1(SGLT1)の阻害剤が挙げられる。
【0064】
分子標的薬は、ado-トラスツズマブエムタンシン(T-DM1)、アレムツズマブ、セツキシマブ、イピリムマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、131I-トシツモマブ、トラスツズマブ、ブレンツキシマブベドチン、デニロイキンジフチトクス、イブリツモマブチウキセタン、アキシチニブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、クリゾチニブ、カルフィルゾミブ、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブメシル酸塩、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、トファシチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、アリトレチノイン、ベキサロテン、エベロリムス、ロミデプシン、テムシロリムス、トレチノイン、ボリノスタット、ニボルマブ、ペムブロリズマブ(pembroluzimab)、アテゾリズマブ、およびそれらの薬学的に許容される塩または組み合わせから選択され得る。
【0065】
EGFR阻害剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、カネチニブ(canetinib)、ペリチニブ、ネラチニブ、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブト-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、トラスツズマブ、マルゲツキシマブ、パニツムマブ、マツズマブ、ネシツムマブ、ペルツズマブ、ニモツズマブ、ザルツムマブ、セツキシマブ、イコチニブ、アファチニブ、およびそれらの薬学的に許容される塩から選択され得る。一実施形態では、EGFR阻害剤は、抗体ベースのEGFR阻害剤、たとえばセツキシマブであってもよく、別の実施形態では、これはネシツムマブであり、さらなる別の実施形態では、これは、パニツムマブ(pantitumumab)である。分子標的薬は、抗EGFRファミリー抗体または抗EGFRファミリー抗体を含む複合体であり得る。抗EGFRファミリー抗体は、抗HER1抗体、抗HER2抗体、または抗HER4抗体であり得る。
【0066】
また本キットは、用量および投与の説明書などの説明書と共に提供され得る。このような用量および投与の説明書は、たとえば、医薬品ラベルによる医師へ提供される種類であり得るか、またはこれらは、患者への説明書などの医師により提供される種類であり得る。
【0067】
式Iの化合物または1つ以上のさらなる作用物質とその組み合わせは、カプセル剤、錠剤、または注射可能な製剤などの簡便な剤形へと組みこまれ得る。固体または液体の薬学的な担体が使用され得る。固体の担体として、スターチ、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が挙げられる。液体の担体として、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、生理食塩水、および水が挙げられる。同様に、担体は、持続放出物質、たとえば単独またはワックスを伴うモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルを含み得る。固体の担体の量は、広く変動するが、適宜、約25mg~約1g/投与単位であり得る。液体の担体が使用される場合、製剤は、適宜、シロップ剤、エリキシル剤、エマルジョン、軟ゼラチンカプセル剤、無菌性注射可能な液体、たとえばアンプル、または水性もしくは非水性の液体の懸濁剤の形態にある。
【0068】
たとえば、錠剤またはカプセル剤の形態の経口投与では、有効な薬物の成分は、経口の非毒性の薬学的に許容される不活性な担体、たとえばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせられ得る。散剤は、化合物を適切な微細な大きさまで粉砕し、同様に粉砕した薬学的な担体、たとえば食用炭水化物、たとえばスターチまたはマンニトールと混合することにより、調製される。香味剤、保存剤、分散剤、および着色剤のうちの1つ以上も同様に存在し得る。
【0069】
上述の成分に加えて、本製剤は、問題の製剤の種類を考慮して、当該分野で一般的な他の作用物質を含み得、たとえば経口投与に適した製剤は、香味剤を含み得ることを理解されたい。
【0070】
ペプチドトランスポーターのSLC15(Solute Carrier 15)ファミリー、別名H+共役オリゴペプチド共輸送体ファミリーは、ジペプチドおよびトリペプチド(ジ/トリペプチド)の細胞の取り込みにおけるそれらの重要な役割について知られている膜輸送体のグループである。少なくとも1つの実施形態では、本発明は、望ましい組織への本化合物の輸送を介した取り込みを高める方法を対象とする。少なくとも1つの実施形態では、このような輸送システムとして、限定するものではないが、PEPT1、PEPT2、PHT1、PHT2、それらの関連するサブファミリーまたはいずれかの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、本発明は、カンナビノイドをその天然の形態で送達した場合の度合いよりも少なくとも2倍、3倍、4倍、または好ましくは少なくとも5倍高く、カンナビノイドの取り込みを高める。
【0071】
本発明の別の態様は、PEPT1を発現する組織における活性部分のPEPT1が介在する取り込みを高める方法を対象とする。PEPT1は、食事からの小分子ペプチドの腸管内吸収および腎臓における糸球体ろ液由来のペプチドに結合したアミノ窒素の再吸収における役割のため、栄養学的に重要であることが記載されている(Hu et al, Mole. Pharmaceutics 2008, 5, 1122-1130参照)。また、PEPT1は、細胞へ治療用作用物質を輸送する際に重要な役割を果たしている。一部の実施形態では、本明細書中で記載されるプロドラッグは、カンナビノイドをその天然の形態で送達した場合の度合いよりも少なくとも2倍、3倍、4倍、または好ましくは少なくとも5倍高く、その活性のカンナビノイドの取り込みを高める。一実施形態では、カンナビノイドはCBDである。本発明の少なくとも1つの態様では、本発明のプロドラッグ化合物で本発明者は、修飾されたALA-ASP-カンナビノイド分子およびPEPT1に対し親和性を有するプロドラッグとしてのカンナビノイド分子のALA-Gluベンジルエステルを提案する。一実施形態では、カンナビノイドは、THCまたはCBD、またはそれらの塩である。
【0072】
本特許文書の別の態様は、GPR55を阻害する方法であって、GPR55を、式Iの化合物、その塩、または当該化合物を含む医薬組成物の治療上有効量と接触させるステップを含む、方法を提供する。GPR55は、Gタンパク質共役型受容体であり、カンナビノイド(CB)により活性化され、また、その推定上の内因性リガンドおよび強力なアゴニストであると考えられているLPI(リソホスファチジルイノシトール)を伴う非CBにより活性化される。これは、骨髄、脾臓、免疫細胞、内皮細胞、中枢神経系、脈管構造、胎盤において、および腸(十二指腸、空腸、回腸、および結腸)全体で発現するリン脂質受容体であり、また、がん組織およびがん細胞株でも見出される。近年の研究により、これは、CB1およびCB2と共存し、独立して作用し得るか、またはヘテロマーを形成して、これら受容体の活性化または阻害に基づき下流のシグナリングを調節し得ることが示されている。さらに、CBDは、4つの鍵となる経路であるERK経路、PI3K経路、ROS経路、およびMAPK経路を通してがんに影響を与えることが示されている。そのため、少なくとも1つの実施形態では、がん処置の第1選択に対する耐性を発症するリスクのある集団においてがんを処置するかまたは患者のアウトカムを改善する際のCBDの使用も同様に企図されている。少なくとも1つの実施形態では、本発明の、新規化合物の使用は、第1選択処置のみを受けた患者と比較してより長い、第1選択処置に対する薬物耐性を患者が観察し得る期間を提供する。
【0073】
GPR55は、膵がん、結腸直腸がん、トリプルネガティブ乳がん、神経膠芽腫などの数種類のがんにおいて過剰発現し、細胞増殖および腫瘍増殖を増大させるが、一方では、その阻害は、細胞接着の増大、遊走/浸潤(転移の指標)の促進、細胞分裂の増大といった特性を低減する。GPR55の活性化は、細胞内のCa2+およびERKリン酸化の増大をもたらす。GPR55が活性化されると、腫瘍の遊走に関与する活性化T細胞核内因子(NFAT)、NFkB(nuclear factor k-light chain-enhancer of activated B cells)およびMAPキナーゼ(p38およびERK 1/2 MAK)が活性化されることが示されている。研究により、GPR55の阻害が、肥満、真性糖尿病、炎症性および神経障害性疼痛、脈管構造、がん、炎症、胃腸管疾患、および骨疾患を含む多くの疾患領域に治療作用を有することが示唆されている。全体的に、臨床試験は、高いGPR55発現が患者の生存率の低下と相関していることを表している。
【0074】
CBDはGPR55に対し阻害作用を呈するため、CBDのプロドラッグ化合物はまた、同じ標的に対し有効であることが予想される。さらに、CBDでのGPR55の薬理学的な阻害は、がん処置におけるゲムシタビンの効果を増大させることが示されている。他の実施形態では、CBDは、受容体部位でGRP55阻害剤の薬物耐性を遅延、予防、または最小限にするためにGRP55阻害剤と組み合わせて使用され得る。このため、少なくとも1つの実施形態は、目的の部位で薬物療法の耐性のリスクを軽減または低下することにより当該薬物単独の投与と比較してGPR55療法の持続期間の長期化または最大化する際のCBDの使用を対象とする。特定の理論に拘束されるものではないが、GPR55の拮抗作用は、がん細胞の転移性の挙動(接着、浸潤、および遊走)を遮断し、肝臓組織のがん細胞を止めることが推定されている。一部の実施形態では、GPR55は、動物またはヒトである対象の腫瘍細胞において過剰発現している。
【0075】
一部の実施形態では、本発明は、がんを処置することまたは腫瘍細胞を殺滅することを対象としており、このがんは、肝細胞がん、肺がん(非小細胞肺がんを含む)、膵がん、胃がん、扁平上皮がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸直腸がん、卵巣がん、胆管細胞癌、神経膠芽腫、白血病(慢性リンパ性白血病を含む)、トリプルネガティブを含む乳がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、がんは、膵管腺癌または結腸直腸がんである。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、それらのそれぞれのがんに特異的なバイオマーカーに関してスクリーニングされる。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、GPR 55およびPEPT1の発現に関してスクリーニングされ得る。
【0076】
少なくとも1つの実施形態では、本方法は、本プロドラッグ化合物を、それを必要とする患者に投与して、GPR55を調節および/または阻害して当該患者の生存率を増大させることを対象とする。少なくとも一部の実施形態では、本処置方法は、当該処置を必要とする患者の生存率を長期化する点から、患者のGPR 55発現の度合いを検出すること、カンナビノイド部分を含むプロドラッグ化合物を投与すること、およびGPR55を阻害することおよび膵がん細胞の増殖を低減すること、ならびに/またはカンナビノイドの抗腫瘍作用を高めることを対象とする。一実施形態では、カンナビノイドは、THC、CBD、それらの塩、またはそれらのいずれかの組み合わせである。一部の実施形態では、本発明は、GPR 55がその細胞レベルで過剰発現しているがんを罹患している対象を処置するための方法であって、対象から生体サンプルを得るステップと、上記生体サンプルから細胞レベルでのGPR 55発現の度合いを決定するステップと、プロドラッグを上記生体サンプルに適用してGPR 55活性を低減または阻害するステップとを含む、方法を対象とする。
【0077】
本特許文書の別の態様は、対象のがんを処置する方法を提供する。本方法は、本明細書中記載のカンナビノイドプロドラッグ化合物またはその医薬組成物の治療上有効量を対象に投与するステップを含む。がんの非限定的な例として、膵がん、扁平上皮がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸直腸がん、卵巣がん、胆管細胞癌、神経膠芽腫(gbm)、肝がん、トリプルネガティブ乳がんが挙げられる。一部の実施形態では、がんは、膵管腺癌または結腸直腸がんである。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0078】
少なくとも1つの実施形態では、対象は、特異的ながんバイオマーカーでスクリーニングされ得る。少なくとも1つの実施形態では、対象の組織、血液、または血漿のサンプルは、独立して、GPR 55およびPEPT1または他のがんに特異的なバイオマーカーの組織発現の度合いについて分析され得る。少なくとも1つの実施形態では、対象のがんを処置する方法は、限定するものではないが、GPR55および/またはPEPT1を含むがんに特異的なバイオマーカーの過剰発現を示す対象を同定するステップと、式Iの化合物を、それを必要とする対象に投与するステップとを含む。
【0079】
一部の実施形態では、本方法は、式Iの化合物またはその医薬組成物の投与と同時または連続して二次的な作用物質を投与するステップをさらに含む。二次的な作用物質は、本キットにおいて上述される通りである。
【0080】
適切な投与経路は、たとえば、経口、直腸、経粘膜的、局所、または腸管内投与;筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、および髄腔内、直接的な脳室内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含む非経口送達を含み得る。また本化合物は、所定の速度での長期間および/または時限式のパルス投与のための、デポー注射、浸透圧ポンプ、丸剤、経皮(電気輸送を含む)パッチなどを含む持続放出剤形または徐放剤形で投与され得る。
【0081】
経口投与では、薬物化合物またはその組成物は、目的の化合物またはその組成物を、上述の当該分野でよく知られている薬学的に許容される担体と組み合わせることにより、容易に製剤化され得る。陽イオンポリマー担体に加えて使用され得るこのような担体は、処置される患者による経口摂取のため、組成物を錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして製剤化することができる。
【0082】
注射可能物質は、液体の液剤または懸濁剤、注射の前に液体への溶解(solution)もしくは懸濁に適した固体の形態、またはエマルジョンとしての、従来の形態で調製され得る。適切な賦形剤は、たとえば、水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩などである。さらに、望ましい場合、注射可能な医薬組成物は、少量の非毒性の補助的な物質、たとえば湿潤剤、pH緩衝剤などを含み得る。生理的に適合可能なバッファーとして、限定するものではないが、ハンクス溶液、リンゲル液、または生理食塩水バッファーが挙げられる。望ましい場合、吸収促進剤が利用され得る。
【0083】
バッカル投与では、本組成物は、従来の方法で製剤化される錠剤または薬用キャンディーの形態をとり得る。頬粘膜への投与および舌下投与が企図される。
【0084】
吸入による投与では、本組成物は、適切な噴霧剤、たとえばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体を使用する、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの提示の形態で簡便に送達され得る。加圧されたエアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することにより決定され得る。たとえば吸入剤または吸入器で使用するためのゼラチンの、カプセルおよびカートリッジは、本化合物および適切な粉末の基剤、たとえばラクトースまたはスターチの粉末の混合物を含み、製剤化され得る。
【0085】
用量として必要とされる式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療上有効量は、投与経路、ヒトを含む処置される動物の種類、および検討中の具体的な動物の身体的な特徴に応じて変化する。用量は、望ましい作用を達成するように調整され得るが、体重、食事、併用薬物、および当業者が認識する他の要因などの要因に応じて変化する。より具体的には、治療上有効量は、処置される対象の疾患の症状を予防、軽減、もしくは寛解、または生存率を長期化するために有効な化合物の量を意味する。治療上有効量の決定は、規定の薬理学的方法を使用して、当業者により達成され得る。通常、製品のヒトでの臨床での適用は、低い投与レベルで開始し、投与レベルは、望ましい効果が達成されるまで増大される。あるいは、許容されるin vitroでの試験が、確立した薬理学的方法を使用して本方法により同定される組成物の有用な用量および投与経路を確立するために使用され得る。非ヒトの動物の試験では、見込みのある製品の適用は、高い投与レベルで開始し、この投与レベルは、有害な副作用が消失し望ましい効果が達成されなくなるまで減少される。用量は、所望の効果および治療指標に応じて幅広い範囲であり得る。通常、用量は、約10マイクログラム/kg~約100mg/kg体重、好ましくは約100マイクログラム/kg~約10mg/kg体重であり得る。あるいは用量は、当業者により理解されるように、患者の表面積に基づき計算され得る。
【0086】
少なくとも1つの実施形態では、本明細書中記載のプロドラッグのカンナビノイドは、CBDである。CBDは、約35%の低い用量依存的な口腔および口腔粘膜のバイオアベイラビリティを呈する。i.v.経路を介したCBD投与は、これら限定を克服し、最も高い血漿中CBDレベルをもたらす。少なくとも1つの実施形態では、有効な用量は、約400ng/ml~約1500ng/mlの範囲のCBDの目的の血清中濃度を達成する用量である。少なくとも1つの実施形態では、CBDプロドラッグの全身薬物送達(systemid drub delivery)は、PEPT1を発現した細胞による薬物の取り込みおよびGPR 55の阻害を高めるために十分な量である。
【0087】
一部の実施形態では、本発明の化合物と、第2の抗がん剤、たとえばタキソール誘導体またはゲムシタビン誘導体との組み合わせは、第2の抗がん剤自体と比較して腫瘍細胞の標的化および殺滅において少なくとも10%の改善に対応する相乗的な臨床応答を提供する。一部の実施形態では、相乗的な改善は、目的の領域での本化合物の細胞内取り込みの増大によるものであり得る。
【0088】
本医薬組成物の正確な処方、投与経路、および用量は、対象の病態の観点から個々の医師により選択され得る(たとえば、特にCh.1、p.1に関して、その全体が本明細書中参照により組み込まれているFingl et al. 1975, in “The Pharmacological Basis of Therapeutics“を参照)。一部の実施形態では、対象へ投与される本組成物の用量の範囲は、約0.5~約1000mg/kg(患者の体重)であり得る。この用量は、患者が必要とするように、単一であってもよく、または1日以上の過程で提供される一連の2回以上の用量であってもよい。化合物に関するヒトへの用量が少なくとも一部の病態で確立されている例では、同じ用量、または確立されたヒトへの用量の約0.1%~約500%、より好ましくは約25%~約250%である用量が、使用され得る。新規に開発された医薬組成物の事例であるためヒトへの用量が確立されていない場合、適切なヒトへの用量が、ED50値もしくはID50値から推測され得、または動物の毒性試験および有効性試験により定量化される、in vitroもしくはin vivoでの試験から派生した他の適切な値から推測され得る。
【0089】
担当医は、毒性または臓器機能不全により投与を終結、中断、または調節する方法、およびいつ投与を終結、中断、または調節するかを認識していることに留意されたい。逆に、担当医はまた、臨床応答が適切ではない場合に(毒性を排除しながら)高いレベルまで処置を調節することを知っている。目的の障害の管理で投与される用量の大きさは、処置される病態の重症度および投与経路で変動する。病態の重症度は、たとえば、標準的な予後評価方法により部分的に評価され得る。さらに、用量および恐らくは投与頻度もまた、個々の患者の年齢、体重、および応答により変動する。上述のものと比較可能なプログラムが、獣医学で使用され得る。
【0090】
正確な用量は薬物ごとの基準により決定されるが、大部分の場合、用量に関するいくつかの一般論がもたらされ得る。成年ヒト患者の1日用量レジメンは、たとえば、約0.1mg~2000mg、好ましくは約1mg~約500mg、たとえば5~200mgの有効成分の経口投与であり得る。他の実施形態では、約0.01mg~約100mg、好ましくは約0.1mg~約60mg、たとえば約1~約40mgの有効成分の静脈内投与、皮下投与、または筋肉内投与が使用される。薬学的に許容される塩の投与の場合、用量は、遊離酸として計算され得る。一部の実施形態では、本組成物は、1日に1~4回投与される。あるいは、本組成物は、連続静脈内注入により、好ましくは最大1日あたり約1000mgの用量で投与され得る。当業者により理解されるように、特定の状況では、特に侵襲性の疾患または感染症を効率的かつ積極的に処置するために、上述の好ましい用量範囲を超えるかまたはさらには著しく超える量で本明細書中開示される化合物を投与することが必要であり得る。一部の実施形態では、本化合物は、連続治療の期間の間、たとえば1週間以上、または数カ月または数年間、投与される。
【0091】
少なくとも一部の実施形態では、表1および2の化合物は、用量依存的な方法で固形腫瘍細胞株の増殖の有効な阻害を提供できる。
図4~6は、GPR55/SCL15A1を共発現する腫瘍を選択的に標的とし得る少なくとも1つの当該化合物の例を提供する。一部の実施形態では、化合物Aは、細胞表面上のSLC15A1に共標的化される点で、他のGPR55アンタゴニストを超えるさらなる利点を提供する。この共標的化はまた、in vivoで他のGPR55アンタゴニストと比較して化合物Aのバイオアベイラビリティを増大させ得る。
【0092】
投与の量および間隔は、抗生作用または最小有効濃度(MEC)を維持するために十分な活性部分の血漿中レベルを提供するために個別に調節され得る。MECは、各化合物で変動するが、in vitroのデータから推定され得る。MECを達成するために必要な用量は、個々の特徴および投与経路に応じて変化する。しかしながら、HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用して、血漿中濃度を決定することができる。
【0093】
また投与間隔は、MEC値を使用して決定され得る。たとえば、組成物は、時間の10~90%、好ましくは30~90%、最も好ましくは50~90%でMECを超える血漿中レベルを維持するレジメンを使用して、投与され得る。
【0094】
本明細書中開示される組成物は、既知の方法を使用して、有効性および毒性に関して評価され得る。たとえば、本化合物の毒性は、哺乳類、好ましくはヒトの細胞株などの細胞株に対するin vitroでの毒性を決定することにより確立され得る。このような試験の結果は、多くの場合、動物、たとえば哺乳類、またはより具体的にはヒトにおける毒性を予測する。あるいは、マウス、ラット、ウサギ、またはサルなどの動物モデルにおける特定の化合物の毒性は、既知の方法を使用して決定され得る。特定の化合物の有効性は、いくつかの認識されている方法、たとえばin vitroでの方法、動物モデル、またはヒト臨床試験を使用して確立され得る。認識されているin vitroでのモデルは、ほぼ全ての病態のクラスで存在する。同様に、許容される動物モデルを使用して、当該病態を処置するための化学物質の有効性が評価され得る。有効性を決定するためのモデルを選択する場合、当業者は、適切なモデル、用量、および投与経路、ならびにレジメンを選択するために最新技術を参照し得る。当然、ヒト臨床試験もまた、ヒトでの化合物の有効性を決定するために使用され得る。
【0095】
処置の過程の間の、一部の実施形態における「特定期間」の投与に関して、式Iの化合物またはさらなる作用物質とのその組み合わせは、少なくとも1、2、3、5、7、14、または30日間の特定期間以内に投与され-この場合、期間は、少なくとも1、2、3、5、7、14、または30日間である。処置過程の間、単一の化合物または組み合わせの個別の成分が30日間にわたる特定期間以内に投与される場合、処置は、長期間の処置とみなされ、患者のがんの状態の再評価または病態の変化の再評価などの変更されたイベントがプロトコルに対する修正を警告するまで続行する。
【0096】
一部の実施形態では、式Iの化合物およびさらなる作用物質は、「特定期間」以内に投与され、同時には投与されず、これらは両方とも、互いに約24、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1時間以内に投与され-この場合、特定期間は、約24、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1時間である。本明細書中使用される場合、2つの成分の薬物の組み合わせの一実施形態では、約45分未満離れた式Iの化合物および他の成分の薬物の投与が、同時投与とみなされる。
【0097】
一部の実施形態では、本明細書中開示される薬物の組み合わせが「特定期間」投与される場合、本化合物は、ある「期間」の間共投与される。用語「期間(duration of time)」およびその派生語は、本明細書中使用される場合、本明細書中開示される複数の化合物または作用物質の両方が、表記の数の連続日数の間、次に任意選択で、ある数の連続日数の間(ここでは成分の化合物のうちの1つのみが投与される)、「特定期間」以内に投与されることを意味する。
【0098】
実施例
HPAF-II(膵臓)腫瘍細胞でのMTT細胞生存率アッセイ
方法
10mMの化合物Aのストック溶液を、8.2mgの粉末形態の化合物Aを1.468mLのDMSOに溶解してストック溶液を形成することにより作製した。ストック溶液は、0.6mLの微量遠心チューブにアリコートし、20μlの溶液を各微量遠心チューブに入れた。
【0099】
MTTアッセイ
膵がん細胞株HPAF-IIを、5000個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種し、37℃で一晩インキュベートした。翌日、細胞を、三連で、細胞培地を除去することにより処置し、増大する濃度(10μM、20μM、20μM、50μM、75μM、100μM、125μM、150μM、175μM、200μM)の化合物A単独ならびに10μMの化合物Aおよび増大する濃度(0μM、0.01μM、0.05μM、0.1μM、0.5μM、1μM、5μM、10μM)のゲムシタビンの組み合わせを含む新鮮な培地と交換した。薬物ビヒクル(DMSO, Sigma)を、処置の対照として使用した。次に、細胞を、次の72時間の間、薬物の存在下で増殖させた。
【0100】
72時間後に、培地を廃棄し、細胞を、新鮮な細胞増殖培地において0.5mg/mlの作業濃度のMTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)溶液(5mg/mlのストック)と、37℃で2時間インキュベートした。この反応を、細胞の大部分が染色された際に停止した。次に、MTT溶液を吸引し、プレートを、数時間乾燥させた。次に、染色した細胞を、70μlのDMSOに再懸濁し、十分に混合した。プレート読み取り分光光度計を使用することにより、570nmにて吸光度を読み取った。各細胞株における化合物Aおよびゲムシタビンの薬物の組み合わせに関するCompuSynデータをDr Dorothy Chouが設定しComboSyn, Inc.が公開したCompuSynソフトウェアを使用して、作製および分析した。
【0101】
図1は、化合物Aが、ヒト膵臓腫瘍細胞株HPAF-11の増殖の阻害に有効であることを示している。示されるように、50μMの濃度で、化合物Aは、膵臓腫瘍細胞の少なくとも50%の殺滅を提供し、約175μMの濃度で、化合物Aは、腫瘍細胞の80%超の殺滅を低減できる。
【0102】
特定のがんの処置に関して承認されている既知の抗がん治療用物質であるゲムシタビンと組み合わせた場合、化合物Aは、ゲムシタビンの増殖阻害剤の作用を有意にすることができる。本明細書中提供されるように、
図2により、ゲムシタビンと組み合わせた化合物Aが、化合物Aまたはゲムシタビン単独よりも、細胞殺滅の比率の増加において、少なくとも10%良好なHPAF-11の増殖を阻害することが示される。
【0103】
この実施例における化合物Aおよびゲムシタビンの組み合わせは、ゲムシタビン単独と比較して少なくとも5%、10%、15%、20%、または25%優れた臨床的有用性を提供する。これら結果は、化合物Aが、膵がんとしての当該病態に有効な抗腫瘍活性を提供し得ることを示唆している。
【0104】
細胞を、10%のFBSを含むDMEMにおいて指定された濃度の化合物Aで48時間処置した。ERKのリン酸化を、総ERKおよびホスホ-ERKを検出する抗体を使用してウェスタンブロットにより評価した。アクチンの検出は、総ライセートタンパク質のローディングコントロールとして使用した。
【0105】
図3に示されるように、化合物Aの培養物は、対照と比較して腫瘍細胞におけるホスホ-ERKのレベルを効率的に減少できた。
【0106】
CellTiter-Glo(登録商標)細胞生存率アッセイ
材料
MKN1(胃)、PC3(前立腺)、NCIH727(肺)、およびHCT116(結腸直腸)腫瘍細胞株;対照=0.1%のDMSO
【0107】
散剤から10mMのFL41ストックを調製するために、4.1mgのFL41の散剤を0.74mlのDMSOに溶解し、アリコートし、使用するまで-20℃で保存した。Sigmaまたは他の適切なベンダー由来のDMSOストックは、試薬またはACSグレード以上でなければならない。
【0108】
真下の96ウェルプレート図に示されるように、それらの好ましい培地に二連でウェル(200μl)あたり5000個の細胞を入れる。最終的なFBS(血清)濃度を5%に減らした後、細胞を培地に添加する。細胞を一晩インキュベートし、次に古い培地を注意深く除去し、5%のFBSを含む新鮮な培地を添加し、次に、DMSO単独、化合物A単独、またはGEM(ゲムシタビン)との組み合わせを、表記した最終濃度でウェルに添加した。細胞を、化合物の存在下にて、CO2インキュベータにおいてさらに72時間、37℃でインキュベートした。72時間の期間の終了時に、Promega Titerglo試薬をウェルに添加し、次に発光を測定して相対的な細胞数を評価した。
【0109】
少なくともこの実施形態では、化合物Aは、GPR55およびSLC15A1(PEPT1)の両方と結合できる。これは、これら2つの受容体を共発現するがん細胞を選択的に標的とする。公開されている細胞株のRNAsegの結果は、いくつかのヒト腫瘍細胞株が、これら2つの受容体を高いレベルで共発現し得ることを報告した。ここで、これら結果は、これらの試験したヒト腫瘍細胞株のサブセットが、ウェスタンブロットにより決定されるようにGPR55およびSLC15A1のタンパク質を共発現することを示している。ヒト腫瘍細胞に及ぼす化合物A単独の作用を見る場合、この結果は、化合物Aが、対照と比較して、HPAFII(膵臓)、MKN1(胃)、HCT116(結腸直腸)、H727(肺)、およびPC3(前立腺)腫瘍細胞株の増殖を阻害できたことを示している。濃度依存的な阻害にもかかわらず、化合物Aは、上述の細胞株のそれぞれで、細胞株の増殖を効果的に阻害できる。
【0110】
図4(a)および4(b)は、化合物Aが、ヒトmkn1胃腫瘍細胞の増殖を阻害することを示している。
図5(a)および5(b)は、化合物Aが、ゲムシタビンのヒトmkn1胃腫瘍細胞の増殖阻害に相乗的に影響することを示している。
図6(a)および6(b)は、化合物Aが、ヒトhct116結腸直腸腫瘍細胞の増殖を阻害することを示している。
図7(a)および7(b)は、化合物Aが、ヒトh727肺腫瘍細胞の増殖を阻害することを示している。
図8(a)および8(b)は、化合物Aが、ゲムシタビンのヒトh727肺腫瘍細胞の増殖阻害を増強することを示している。
【0111】
固形腫瘍細胞株の増殖を阻害する化合物Aの特性は、GPR55/SCL15A1を共発現する腫瘍を選択的に標的とし得る抗癌治療薬の開発に対する期待を示している。化合物Aは、細胞表面上のSLC15A1に共標的化される点で、他のGPR55アンタゴニストを上回る利点を提供し得る。この共標的化はまた、in vivoにおいて他のGPR55アンタゴニストと比較して化合物Aのバイオアベイラビリティを増大し得る。
【0112】
上記の説明および関連する図面に提示される教示の利点を有する本明細書中記載の開示の多くの修正および他の例は、本開示が関与する当業者に想起されるであろう。よって、本開示は、開示される特定の実施例に限定されるものではないこと、ならびに修正および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれるように意図されていることを理解されたい。
【0113】
さらに、上記の説明および関連する実施形態は、構造的な要素および/または機能の特定の例の組み合わせの文脈で本開示の態様を記載しているが、要素および/または機能の異なる組み合わせが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく別の実施形態により提供され得ることを理解されたい。これに関して、たとえば、上記で明記されたもの以外の異なる要素および/または機能の組み合わせもまた、添付の特許請求の範囲の一部に記載され得るかのように企図されている。特定の用語が本明細書中使用されているが、これらは、単に一般的かつ説明的な意味で使用されており、限定するためではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本出願の明細書または図面に記載される発明。