(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008881
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】中空体にバルブを取り付ける装置と方法、及びその中でデータをセンシングするためのセンサシステム
(51)【国際特許分類】
A63B 41/12 20060101AFI20240112BHJP
A63B 43/00 20060101ALI20240112BHJP
F16K 15/20 20060101ALN20240112BHJP
【FI】
A63B41/12 A
A63B43/00 E
F16K15/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023109028
(22)【出願日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】17/858,587
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523251828
【氏名又は名称】ススタツズ オーユー
【氏名又は名称原語表記】SstatzZ Oy
【住所又は居所原語表記】Paavo Nurmen tie 1, 00250 Helsinki, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ホーテリ ハッリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイサネン ユッカ
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058BB29
3H058BB36
3H058CC11
3H058EE04
3H058EE21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】中空体にバルブを取り付けるための装置を提供する。
【解決手段】中空体(202、302、702)内にバルブ(210、304、704)を取り付けるための装置(200、300、700)が開示される。この装置は第1部材(100、204)と第2部材(110、206)とを備え、第1及び第2部材の長さの一部が互いに相補的であり、相補的な部分において第1部材が第2部材の円周上に配置される。第2部材は中空体の外面に設けられた孔(208)に挿入され、第1部材を残して孔から中空体の内部に進入し、第1部材を孔に残して中空体から引き出されるように構成される。本装置は、第1部材が孔に残されている間にバルブを中空体に取り付けるように構成されており、バルブが取り付けられると第1部材も引き抜かれる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空体にバルブを取り付けるための装置であって、
・ 第1の長さ及び第1の直径を有する第1中空管を含む第1部材と;
・ 第1の端部と、第2の端部と、第2中空管とを含む第2部材と;
を備え、
前記第2中空管は、前記第1の端部と前記第2の端部との間の長さである第2の長さと、第2の直径とを有し、
前記第2部材の前記第2の長さの一部と前記第1部材の前記第1の長さの一部とは互いに補完的であり、前記第2部材の補完的な部分の円周上に前記第1部材のための場所を提供し、前記第2部材は、
・ 前記第2部材の前記第1の端部から、前記中空体の外面に設けられた孔に挿入され;
・ 前記中空体の孔に前記第1部材を残したまま前記中空体の内部に進入させられて前記孔を拡張し;
・ 前記孔に前記第1部材を残したまま前記中空体から引き抜かれる;
ように構成され、
前記装置は、前記中空体の孔に残された前記第1部材の前記第1中空管を通じて前記中空体内に前記バルブを取り付けるように構成され、
前記第1部材は前記バルブが取り付けられると引き抜かれる、
装置。
【請求項2】
前記第2部材の前記第1の端部は尖端部を有し、前記第2部材の前記第2の端部は突出部を有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記新しいパラメータは、ネクスト・ホップ・チェイニング・カウンタ(NCC)を含む、請求項1に記載の方法。 前記第2部材は、前記中空体の内部に空気圧を生じさせるように更に構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記中空体は伸縮可能な素材で作られている、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記バルブに挿入されるように構成されたノズルを更に備え、
前記ノズルは、前記中空体内に空気を充填することと、前記バルブに外部システムを取り付けることの少なくとも1つを可能にするように設計されている、
請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
中空体内のデータをセンシングするためのセンサシステムであって、前記センサシステムは、少なくとも一部がバルブの内面に統合されており、前記センサシステムは、
・ その第1の端部に少なくとも1つのアンテナパッドを有する回路基板と;
・ 前記回路基板に埋め込まれて、前記中空体に関連する1つ又は複数の特性に関連するデータをセンシングするように構成される、少なくとも1つのセンサと;
・ 前記回路基板に組み込まれて、センシングしたデータを送信するように構成される通信インタフェースと;
を備える、センサシステム。
【請求項7】
前記回路基板は、中空で長い回路基板である、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記回路基板は、3D印刷を用いて製造される、請求項6又は7に記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記センサシステムに入力電力を供給するように構成される充電池を更に備える、請求項6から8のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記充電池は、前記回路基板の第1の端部又は第2の端部に結合される、請求項6から9のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項11】
請求項6に記載のノズルが前記バルブに挿入されることを可能にすべく、前記センサシステムの間に中空の空間を残すように、前記バルブの内面上に一体化される、請求項6から10のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項12】
前記ノズルは、前記中空体内に空気を充填することと、前記バルブに外部システムを取り付けることの少なくとも1つを可能にするように設計されている、請求項6から11のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項13】
前記外部システムは、前記センサシステムの充電池を充電するための充電ポートである、請求項12に記載のセンサシステム。
【請求項14】
前記センシングしたデータを、分析のために外部データベースに送信するように構成される、請求項6から13のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項15】
中空体にバルブを取り付けるため方法であって、
・ 第1部材を、第2部材の相補的な部分の円周上に配置することであって、前記第1部材は、第1の長さ及び第1の直径を有する第1中空管を備え、前記第2部材は、第1の端部と、第2の端部と、第2の長さ及び第2の直径を有する第2中空管とを備え、前記第2の長さは、前記第1の端部と前記第2の端部の間の長さである、前記配置することと;
・ 前記第2部材を、前記第1の端部から前記中空体の外面上の孔に挿入することと;
・ 前記中空体の孔に第1部材を残したまま、前記第2部材を前記中空体の内部に進入させて、前記孔を拡張することと;
・ 前記中空体の孔に前記第1部材を残したまま、前記第2部材を前記中空体から引き抜くことと;
・ 前記中空体の孔に残された前記第1部材の前記第1中空管を通じて前記中空体に前記バルブを取り付けることと;
・ 前記バルブが取り付けられた後に第1部材を引き抜くことと;
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示事項(以下、本開示と称することがある)は、中空体にバルブを取り付けるための装置に関する。本開示はまた、中空体中にバルブを取り付ける方法にも関する。本開示はまた、中空体内のデータをセンシング(計測・測定)するためのセンサシステムに関する。
【背景】
【0002】
一般に、風船やボール(サッカー、バスケットボール、バレーボールなどの各種スポーツで使用されるものなど)のような中空体は、数多く存在する。これらの中空体には、空気など、何らかの気体が充填されている。この点で、一般に、中空体内への空気の流れを制御するためのバルブが必要とされる。
【0003】
一般的に、バルブは、中空体内に空気を充填するために中空体に搭載される。中空体には、関連する様々な特性が存在する。これらは、その所望の目的のために中空体の性能及び品質を向上させるために追跡可能であるが、従来のバルブを使用することでは追跡することはできない。このため、そのようなバルブに統合されたセンサシステムを持つように設計されたバルブがあり、センサシステムが中空体に関連する特性をセンシングすることを可能にする。しかし、統合されたセンサシステムを有するバルブを中空体へ取り付ける最中に、センサシステムがいかなる害も受けないことを保証するメカニズムの必要性が存在する。また、バルブを交換する必要なく、統合されたセンサシステムを有するバルブの再利用性を高める解決策を提供する必要性が存在する。
【0004】
従って、前述の議論に照らして、中空体へのバルブの従来の設置方法とバルブの再利用性に関連する前述の欠点を克服する必要性が存在する。
【摘要】
【0005】
本開示は、中空体にバルブを取り付けるための装置に関する。本開示はまた、中空体中にバルブを取り付ける方法にも関する。本開示はまた、中空体内のデータをセンシングするためのセンサシステムに関する。本開示の目的は、従来技術で直面する問題を少なくとも部分的に克服する解決策を提供することである。
【0006】
第1の捉え方によれば、本開示の実施形態は、中空体にバルブを取り付けるための装置を提供する。この装置は、
・ 第1の長さ及び第1の直径を有する第1中空管を含む第1部材と;
・ 第1の端部と、第2の端部と、第2中空管とを含む第2部材と;
を備え、
前記第2中空管は、前記第1の端部と前記第2の端部との間の長さである第2の長さと、第2の直径とを有し、
前記第2部材の前記第2の長さの一部と前記第1部材の前記第1の長さの一部とは互いに補完的であり、前記第2部材の補完的な部分の円周上に前記第1部材のための場所を提供し、前記第2部材は、
・ 前記第2部材の前記第1の端部から、前記中空体の外面に設けられた孔に挿入され;
・ 前記中空体の孔に前記第1部材を残したまま前記中空体の内部に進入させられて前記孔を拡張し;
・ 前記孔に前記第1部材を残したまま前記中空体から引き抜かれる;
ように構成され、
前記装置は、前記中空体の孔に残された前記第1部材の前記第1中空管を通じて前記中空体内に前記バルブを取り付けるように構成され、
前記第1部材は前記バルブが取り付けられると引き抜かれる。
【0007】
第2の捉え方によれば、本開示の実施形態は、中空体にバルブを取り付けるための方法を提供する。この方法は、
・ 第1部材を、第2部材の相補的な部分の円周上に配置することであって、前記第1部材は、第1の長さ及び第1の直径を有する第1中空管を備え、前記第2部材は、第1の端部と、第2の端部と、第2の長さ及び第2の直径を有する第2中空管とを備え、前記第2の長さは、前記第1の端部と前記第2の端部の間の長さである、前記配置することと;
・ 前記第2部材を、前記第1の端部から前記中空体の外面上の孔に挿入することと;
・ 前記中空体の孔に第1部材を残したまま、前記第2部材を前記中空体の内部に進入させて、前記孔を拡張することと;
・ 前記中空体の孔に前記第1部材を残したまま、前記第2部材を前記中空体から引き抜くことと;
・ 前記中空体の孔に残された前記第1部材の前記第1中空管を通じて前記中空体に前記バルブを取り付けることと;
・ 前記バルブが取り付けられた後に第1部材を引き抜くことと;
を含む。
【0008】
第3の捉え方によれば、本開示の実施形態は、中空体内のデータをセンシングするためのセンサシステムを提供する。このセンサシステムは、少なくとも一部がバルブの内面に統合されており、前記センサシステムは、
・ その第1の端部に少なくとも1つのアンテナパッドを有する、中空の細長い回路基板と;
・ 前記回路基板に埋め込まれて、前記中空体に関連する1つ又は複数の特性に関連するデータをセンシングするように構成される、少なくとも1つのセンサと;
・ 前記回路基板に組み込まれて、センシングしたデータを送信するように構成される通信インタフェースと;
を備える。
【0009】
本開示の実施形態は、先行技術における前述の問題を実質的に解消するか、又は少なくとも部分的に対処し、少なくとも部分的にバルブに一体化されたセンサシステムを損傷することなく、中空体へのバルブの取り付けプロセスを簡略化することを目的とする。また、センサシステムの電池が完全に消耗するたびに中空体内のバルブを何度も交換する必要性を排除することを目的とする。更に本開示の実施形態は、中空体に関連するデータのセンシング及びトラッキングも提供する。
【0010】
本願に開示されるものの更なる側面や利点、特徴及び目的は、添付の特許請求の範囲と共に解釈される、添付図面及び例示的実施形態の詳細説明によって明らかにされよう。
【0011】
当然ながら、本願に開示されるものの特徴は、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本願の開示の範囲から逸脱することなく様々に組み合わせることができる。
【0012】
前述した概要と以下の例示的実施形態の詳細説明は、添付の図面と合わせて読むことでより理解されることになる。本願に開示されるものを説明する目的で、本願に開示されるもの(以下、本開示という)の例示的構成を図面に示す。ただし、本開示はここで記載される特定の方法及び手段に限定されるものではない。また、当業者であれば、図面は正確な縮尺率で描かれていないことも理解されよう。同じ構成要素は可能な限り同一番号で示すようにした。
以下、本開示の実施形態を、一例として次の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1A及び
図1Bはそれぞれ、本開示の実施形態に係る、中空体内へのバルブ搭載装置に存在する第1部材及び第2部材を示す概略図である。
【
図2】
図2A、2B、2C、2D及び2Eは、本開示の実施形態に従う、中空体にバルブを取り付けるための
図1の装置の作業を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に従う、中空体に搭載されるバルブの断面図である。
【
図4】
図4A、4B、4C、4Dは、本開示の実施形態に従う、中空体内のデータをセンシングするためのセンサシステムの、様々な側面図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に従う、中空体内のデータをセンシングするためのセンサシステムの上面図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、本開示の実施形態に従う、中空体内のデータをセンシングするためのセンサシステムの透視図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に従う、中空体中に搭載されたバルブへのセンサシステムの統合を示す断面図である。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、本開示の一実施形態による、中空体にバルブを取り付ける方法の各段階を示すフローチャートである。
【実施形態の詳細説明】
【0014】
添付の図面において、下線付きの番号は、その番号が書かれている場所のアイテム又はその番号に隣接するアイテムを表わすのに使用される。下線無しの番号は、その番号を繋ぐ線によって特定されるアイテムに関連付けられる。番号に下線が無く矢印を伴って書かれている場合、その番号は矢印が示す汎用アイテムを特定するのに使用される。
【0015】
次に、本願の開示事項の例示的実施形態とそれを実装し得る方法を詳述していく。本願の開示事項を実装する幾つかの方法が説明されているが、本願の開示事項を実装又は実施する他の実施形態も可能であることは、当業者には理解されよう。
【0016】
第1の捉え方によれば、本開示の実施形態は、中空体にバルブを取り付けるための装置を提供する。この装置は、
・ 第1の長さ及び第1の直径を有する第1中空管を含む第1部材と;
・ 第1の端部と、第2の端部と、第2中空管とを含む第2部材と;
を備え、
前記第2中空管は、前記第1の端部と前記第2の端部との間の長さである第2の長さと、第2の直径とを有し、
前記第2部材の前記第2の長さの一部と前記第1部材の前記第1の長さの一部とは互いに補完的であり、前記第2部材の補完的な部分の円周上に前記第1部材のための場所を提供し、前記第2部材は、
・ 前記第2部材の前記第1の端部から、前記中空体の外面に設けられた孔に挿入され;
・ 前記中空体の孔に前記第1部材を残したまま前記中空体の内部に侵入させられて前記孔を拡張し;
・ 前記孔に前記第1部材を残したまま前記中空体から引き抜かれる;
ように構成され、
前記装置は、前記中空体の孔に残された前記第1部材の前記第1中空管を通じて前記中空体内に前記バルブを取り付けるように構成され、
前記第1部材は前記バルブが取り付けられると引き抜かれる。
【0017】
第2の捉え方によれば、本開示の実施形態は、中空体にバルブを取り付けるための方法を提供する。この方法は、
・ 第1部材を、第2部材の相補的な部分の円周上に配置することであって、前記第1部材は、第1の長さ及び第1の直径を有する第1中空管を備え、前記第2部材は、第1の端部と、第2の端部と、第2の長さ及び第2の直径を有する第2中空管とを備え、前記第2の長さは、前記第1の端部と前記第2の端部の間の長さである、前記配置することと;
・ 前記第2部材を、前記第1の端部から前記中空体の外面上の孔に挿入することと;
・ 前記中空体の孔に第1部材を残したまま、前記第2部材を前記中空体の内部に進入させて、前記孔を拡張することと;
・ 前記中空体の孔に前記第1部材を残したまま、前記第2部材を前記中空体から引き抜くことと;
・ 前記中空体の孔に残された前記第1部材の前記第1中空管を通じて前記中空体に前記バルブを取り付けることと;
・ 前記バルブが取り付けられた後に第1部材を引き抜くことと;
を含む。
【0018】
第3の捉え方によれば、本開示の実施形態は、中空体内のデータをセンシングするためのセンサシステムを提供する。このセンサシステムは、少なくとも一部がバルブの内面に統合されており、前記センサシステムは、
・ その第1の端部に少なくとも1つのアンテナパッドを有する、中空の細長い回路基板と;
・ 前記回路基板に埋め込まれて、前記中空体に関連する1つ又は複数の特性に関連するデータをセンシングするように構成される、少なくとも1つのセンサと;
・ 前記回路基板に組み込まれて、センシングしたデータを送信するように構成される通信インタフェースと;
を備える。
【0019】
本開示は、前述の装置、前述のセンサシステム、及び前述の方法を提供する。本開示の実施形態は、少なくとも部分的にバルブに一体化されたセンサシステムを損傷することなく、中空体へのバルブの取り付けプロセスを簡略化することを目的とする。また、センサシステムの電池が完全に消耗するたびに中空体内のバルブを何度も交換する必要性を排除することを目的とする。更に本開示は、バルブに一体化されたセンサシステムを通じて、中空体に関連する様々な特性をセンシングし、追跡するための手段を提供することを目的とする。ここで、バルブに少なくとも部分的に統合されたセンサシステムは、中空体の正しいバランスを維持しつつも中空体の重量を最小に保つように設計されている。
【0020】
本開示の装置は、中空体にバルブを取り付けるための装置である。ここで、「中空体」とは、内側が空洞になっている3次元の体を指す。形状や大きさは様々であってよい。中空体は、例えば球状のボールや風船であってもよい。中空体の内部に存在する中空空間は、空気又はガス状物質(例えば、ヘリウム)で満たされていてもよい。場合によっては、中空体は伸縮可能な材料で作られており、空気で満たされることで伸びるものであってもよい。すなわち膨張可能であってもよい。場合によっては、この伸縮可能な材料は、プラスチック、ゴム、シリコンなどであってもよい。場合によっては、中空体は、バスケットボール、バレーボール、サッカーボールなどのスポーツ用ボールであってもよい。
【0021】
「バルブ」という用語は、中空体を満たす空気のような気体の流れを制御するための機構として機能する部品を指す。本装置は、バルブを中空体に取り付けることに関する。従って、バルブが、中空体内で、空気又はその他の気体の流れを提供し、制御することを可能とする。
【0022】
本装置は、第1部材と第2部材とを有する。ここで、「第1部材」及び「第2部材」という用語は、2つの機械部品を一緒に結合するために使用される部品を指す。実施形態によっては、第1部材及び第2部材は、鋼、プラスチック、若しくはシートメタル又は合金で作られてもよい。ここで、第1部材の第1の長さは、第2部材の第2の長さよりも短いが、第2部材の第2の長さに相補的である。しかし、第1部材の内径は、第2部材の外径より大きい。これは、第2部材の長さの相補的部分の円周上に、第1部材の場所を提供するためである。第1部材は、実質的に円筒形の断面を有する取り付けスリーブとして実装される。この円筒形の断面は、第2部材の長さの一部と相補的である。第2部材は、円錐状工具のように設計されており、この円錐状工具の長さの一部は第1部材の内径と相補的である。実施形態によっては、第2部材の第1の端部は尖端を有する。このため第2部材の第1の端部は、孔を通って中空体の中に容易に侵入することができる。実施形態によっては、第2部材の第2の端部は、第2部材の第1の端部の内径より大きい内径を有する突出部を有する。同様に、第1部材の第2の端部は、第1部材の第1の端部の内径よりも大きい内径を有する突出部を有する。実施形態によっては、第1部材及び第2部材は、幅広の近位端と、テーパー状の遠位端とを有する中空ねじとして実施されうる。ここで、上記近位端が、第1部材や第2部材の第2の端部における前述の突出部と呼ばれ、上記遠位端は例えば、第1部材や第2部材の上記第1の端部である。そして、第2部材の円周上に第1部材が配置されることにより、第2部材の突出部が第1部材の突出部に対して動くことができないようになりうる。
【0023】
また第2部材は、中空体の外面に設けられた孔に、第2部材の第1の端部から挿入されるように構成されている。ここで、第2部材の第1の端部は、中空体の外面に設けられた孔を穿孔し、その後、孔に挿入されるために用いられる。
【0024】
実施形態によっては、第2部材は、中空体の内部に空気圧を作り出すように更に構成される。この場合、第2部材は、第2部材が中空体内に挿入されている間、第2部材が中空体中に容易に挿入されるようにするために、中空体内に空気圧を作り出す。このとき、第1部材の第1の端部の尖端には、中空体の内部に空気圧を発生させるために、空気が流れる開口部が形成されていてもよい。
【0025】
第2部材は、第1部材を中空体の孔に残したまま、中空体の内部に進入して孔を拡張するように構成されている。ここで第2部材は、第1部材の少なくとも一部も中空体内に侵入し、第1部材の突出部が中空体の孔に対して保持されるまで、中空体内に進入させられる。
【0026】
更に第2部材は、第1部材を中空体の孔に残したまま、中空体から引き抜くことができるように構成されている。ここで、第2部材の第2の長さに沿った直径に比べて第1部材の突出部の直径が大きいため、第2部材が中空体から引き抜かれても、第1部材は、その十分な部分が中空体の内部にある状態で中空体の孔において保持される。中空体の孔に第1部材を保持することは、中空体の孔を拡張することを可能にすると共に、その中に1つ又は複数のツールを導入して、これらのツールを活用することを可能にすることが理解できるだろう。実施形態によっては、このツールはバルブであってもよい。
【0027】
上記装置は、中空体の孔に残された第1部材の第1中空管を通じて、中空体内にバルブを取り付けるように構成される。このバルブは、第1部材の第1中空管と相補的な断面を有し、それによって、第1中空管への挿入と中空体内への進入を可能にする。第1部材は、中空体へのバルブの取り付け時に引き抜かれる。この段階で、第1部材が引き抜かれる際に、中空体の材料がバルブの周りに巻き付くことが理解されよう。
【0028】
実施形態によっては、装置は、バルブに挿入されるように構成されたノズルを更に備え、このノズルは、中空体内に空気を充填することと、バルブに外部システムを取り付けることの、少なくとも1つを可能にするように設計されている。このノズルは、バルブの断面と相補的な断面を有するように設計され、バルブへの挿入とそれに続く中空体内への進入を可能にし、ノズルの所望の目的に対応するようにする。例えば、中空体内部に空気を充填するために、空気が中空体内部に流入することを可能にする孔をノズルの下端に具備させるように設計することができる。
【0029】
代替的又は追加的に、実施形態によっては、ノズルは、ノズルの境界壁に外部装置を有するように設計され、ノズルをバルブに挿入することにより、ノズルの境界壁に存在する外部装置がバルブに取り付けられるようにしてもよい。
【0030】
本開示はまた、上述のようなセンサシステムに関する。上に開示された様々な実施形態及び変形例は、センサシステムに準用される。
【0031】
本開示のセンサシステムは、中空体内のデータをセンシングするためのものである。ここで、「センサシステム」という用語は、中空体に関連する1つ又は複数の特性に関連するデータを計測、測定及び送信することができるシステムを意味する。実施形態によっては、中空体に関連する1つ以上の特性は、中空体内の空気圧、中空体が移動する速度又は加速度、中空体の移動におけるカーブの程度、又は中空体の位置であり得る。
【0032】
実施形態によっては、センサシステムによって計測されるデータは、センサシステム自体に格納され、中空体の使用(例えばスポーツ活動のためのボールとしての中空体の使用)が終わった後に読み出される。実施形態によっては、センサシステム内に記憶される計測データは、センサシステムによって処理及び分析されてもよく、その結果は、センサシステムによってセンシングされる特定の関連する特性に基づいて、中空体の性能に関連する推論を引き出すために用いられてもよい。
【0033】
センサシステムは、少なくとも一部がバルブの内面に一体化されている。ここで、「少なくとも部分的に一体化されている」という用語は、センサシステムの少なくとも一部がバルブの内面の少なくとも一部に一体化されていることを指す。実施形態によっては、センサシステムのバルブへの一体化は、センサシステムがバルブに埋め込まれるかボルトで固定される形態であってもよい。
【0034】
センサシステムは、その第1の端部に少なくとも1つのアンテナパッドを有する回路基板を有する。ここで、「回路基板」という用語は、電子部品(例えばセンサや集積回路)を機械的に支持し、これらの間の電気的接続を可能にする、銅箔から作られたボードを指す。上記回路基板は、好ましくは、第1の端部と第2の端部を有する柔軟な3次元(3D)多角形構造に成形される。上記回路基板は、第1の端部に少なくとも1つのアンテナパッドを有する。ここで、「アンテナパッド」という用語は、センサシステムによる計測データの伝送のための無線通信を可能にするインタフェースを意味する。実施形態によっては、上記アンテナパッドはセラミックから作られてもよく、上記回路基板に一体化されていてもよい。実施形態によっては、上記アンテナパッドは、センサシステムに記憶された計測データを非同期に読み出して送信することができる。
【0035】
実施形態によっては、上記回路基板は3次元(3D)印刷技術を用いて製造される。実施形態によっては、上記回路基板は縦に長く中空の回路基板である。すなわち、上記回路基板の3次元多角形構造は一定の長さを有し、内部が中空である。
【0036】
上記センサシステムは、上記回路基板に埋め込まれて、中空体に関連する1つ又は複数の特性に関連するデータをセンシングするように構成される、少なくとも1つのセンサを備える。そして上記回路基板は、上記少なくとも1つのセンサに、その機能、すなわちデータの計測及び(例えば上記少なくとも1つのアンテナパッドを介した)送信に必要な電気接続を提供する。実施形態によっては、上記少なくとも1つのセンサは、磁力計、ジャイロスコープ、又は空気圧センサであってもよい。
【0037】
更に上記センサシステムは、上記回路基板上に埋め込まれた通信インタフェースを備える。この通信インタフェースは、計測されたデータを送信するように構成されている。ここで、「通信インタフェース」という用語は、計測されたデータを送信するための、センサシステムの効果的な通信を可能とするインタフェースを意味する。実施形態によっては、使用される通信インタフェースは、EFR32BG22C224F512GM32-CR QFN32であってもよい。
【0038】
実施形態によっては、上記センサシステムは、ノズルが上記バルブに挿入されることを可能にすべく、上記センサシステムの間に中空の空間を残すように、上記バルブの内面上に一体化される。基本的に、センサシステムは、バルブの境界壁に一体化されることがあり、従って、センサシステムの間に十分な中空空間が残されることを保証する。残された中空空間は、ノズルをバルブに挿入するために使用される。
【0039】
実施形態によっては、上記ノズルは、中空体内に空気を充填することと、バルブに外部システムを取り付けることの少なくとも1つを可能にするように設計されている。
【0040】
実施形態によっては、センサシステムは、センサシステムに入力電力を提供するように構成される充電池を更に備える。センサシステムに存在する電池は、基本的に、センサシステムが動作するために必要な入力電力を提供する役割を果たす。ここで電池は充電可能であってもよく、従って、電池を何度も交換する必要性がなくなる。また、電池が完全に消耗したときに、センサシステムと一緒にバルブを交換する必要性がなくなる。実施形態によっては、充電池(例えばSSB又はLiPo)の1回の完全な充電サイクルにおける電池寿命は、5分~3時間の範囲であってもよい。実施形態によっては、充電池は固体電池であってもよい。
【0041】
実施形態によっては、上記充電池は、上記回路基板の第1の端部又は第2の端部に結合される。実施形態によっては、上記充電池は、外部電源のような外部システムから入力電力を受け取るための充電インタフェースを備えてもよい。実施形態によっては、上記充電池は無線充電を使用して充電されてもよい。上記充電池のために、回路基板上に電気的接続部が設けられてもよく、充電池は、そのような電気的接続部を用いて回路基板内の所望の場所に配置されることができる。
【0042】
実施形態によっては、上記外部システムは、センサシステムの充電池を充電するための充電ポートである。上記充電ポートは、基本的に、表面に取り付けられたタブの形態であってもよい。上記充電ポートは、バルブ内のノズル(例えばポゴピン)を通じて、充電池の充電プラグ接点(例えばnRF52832)に接続されて、充電池を充電し得る。
【0043】
実施形態によっては、例示的なシナリオでは、上記センサシステムは、中空体が製造された後、中空体が初めて使用されることを意図する時までスリープモードに留まるように構成され、上記外部システムは、中空体が初めて使用されるときに上記センサシステムを起動するように構成され得る。
【0044】
あるいは、上記外部システムは、中空体が動かされる度に効果音を発生させる音響装置であってもよい。
【0045】
実施形態によっては、上記充電池は、上記回路基板の第1の端部又は第2の端部に結合される。ここで、上記回路基板上に充電池を配置する様々な実施形態は、センサシステムの設計及びその利用に関連し得る。
【0046】
実施形態によっては、上記センサシステムは、センシングしたデータを、分析のために外部データベースに送信するように構成される。ここで、「外部データベース」という用語は、センサシステムによって送信されたセンサデータを受信して記憶するように構成されたデータベースを指す。受信した計測データは、データベースによって、第三者又はユーザなどによる深層分析のために更に使用され、計測データの意味合いに関する様々な推論を引き出すために用いられる。更に、計測されたデータの分析によって引き出された推論は、中空体の品質を向上させるためのフィードバックとして使用することができる。実施形態によっては、外部データベースは、クラウドデータベースの形態であってもよい。
【0047】
本開示はまた、上述のような方法に関する。上に開示された様々な実施形態及び変形例は、本方法に準用される。
【0048】
実施形態によっては、本方法は、本開示のセンサシステムを使用して、中空体に関連する1つ又は複数の特性を計測することを更に含む。
【0049】
実施形態によっては、上記1つ又は複数の特性は、加速度、速度、空気圧、カーブ、位置のうち少なくとも1つから選択される。
【0050】
実施形態によっては、本方法は、第2部材を通じて中空体内部に空気圧を発生させることを更に含む。
〔図面の詳細説明〕
【0051】
図1Aに描かれているものは、本開示の実施形態に従う、中空体の中にバルブを取り付けるための装置に存在する、第1部材100の概略図である。図示されるように、第1部材100は、第1の長さ及び第1の直径を有する第1中空管102を有する。また第1部材100は、第1の端部104と第2の端部106とを有する。さらに第1部材100は、第1部材100の第2の端部106に設けられた突出部108を有する。
【0052】
図1Bを参照すると、本開示の実施形態に従う、中空体の中にバルブを取り付けるための装置に存在する第2部材110の概略図が図示されている。図示されるように、第2部材110は、第2の長さ及び第2の直径を有する第2中空管112を有する。また第2部材110は、第1の端部114と第2の端部116とを有する。さらに第2部材110は、第2部材110の第2の端部116に設けられた突出部118を有する。
【0053】
図2A、
図2B、
図2C、
図2D及び
図2Eをまとめて参照すると、本開示の実施形態による、バルブ210を中空体202に取り付けるための装置200がどのように働くかが概略的に図示されている。
図2Aに示すように、装置200は第2部材206を有する。第2部材206は、その円周上に、第1部材204のための場所を提供する。第2部材206は中空体202に挿入されるように構成される。第2部材206は、第2部材206の第1端部を通じて、中空体202の外周面に設けられた孔208に挿入される。
図2Bに示すように、第2部材206は、中空体202の孔208に第1部材204を残したまま、中空体202の内部に進入して孔208を拡張するように構成される。
図2Cに示すように、第2部材206は、中空体202の孔208に第1部材204を残したままで、中空体202から引き出されるように構成される。
図2Dに示すように、中空体202の孔208に残されていた第1部材204の第1中空管を通じて、中空体202にバルブ210が取り付けられる。
図2Eに示すように、中空体202にバルブ210が取り付けられると、第1部材204は引き抜かれる。
【0054】
図3を参照すると、本開示の実施形態に従う、中空体302に取り付けられたバルブ304の断面
図300が図示されている。ここで、中空体302の表皮は中空体302の穴の周りで伸張している。中空体302の穴が伸びることにより、バルブ304を中空体302に取り付けることができる。
【0055】
図4A、4B、4C、4Dにはと、本開示の実施形態に従う、中空体内のデータをセンシングするためのセンサシステム400の、様々な側面図が描かれている。
図4Aに示されるように、センサシステム400は、少なくとも1つのセンサ402と、少なくとも1つのタイミング装置404とを備える。
図4Bに示すように、センサシステム400は、センサシステム400を充電するための充電回路406を有する。
図4Cに示すように、センサシステム400は、複数のチップ408と充電式バッテリ410とを有する。
図4Dに示すように、センサシステム400は、充電プラグコンタクト412と、通信インタフェース414と、アンテナパッド416とを備える。
【0056】
図5を参照すると、本開示の実施形態に従う、中空体内のデータをセンシングするためのセンサシステム500の上面図が示されている。
【0057】
図6A及び
図6Bを参照すると、本開示の実施形態に従う、中空体内のデータをセンシングするためのセンサシステムの透視図が示されている。
【0058】
図7を参照すると、本開示の実施形態に従う、中空体702に取り付けられたバルブ704へのセンサシステム706の統合の断面
図700が示されている。センサシステム706は、バルブ704に少なくとも部分的に一体化されている。
【0059】
図8A及び
図8Bを参照すると、本開示の一実施形態による、中空体にバルブを取り付ける方法の各段階を示すフローチャート800が示されている。ステップ802において、第1部材が、第2部材の相補的な部分の円周上に配置される。ここで前記第1部材は、第1の長さ及び第1の直径を有する第1中空管を備え、前記第2部材は、第1の端部と、第2の端部と、第2の長さ及び第2の直径を有する第2中空管とを備える。前記第2の長さは、前記第1の端部と前記第2の端部の間の長さである。ステップ804において、前記第2部材が、前記第1の端部から前記中空体の外面上の孔に挿入される。ステップ806において、前記中空体の孔に第1部材を残したまま、前記第2部材を前記中空体の内部に進入させて、前記孔を拡張させる。ステップ808において、前記中空体の孔に前記第1部材を残したまま、前記第2部材を前記中空体から引き抜く。ステップ810において、前記中空体の孔に残された前記第1部材の前記第1中空管を通じて前記中空体にバルブが挿入される。前記中空体にバルブが取り付けられると、ステップ812において、前記第1部材は引き抜かれる。
【0060】
ステップ802、804、806、808、810及び812は単なる例示であって、他の選択肢も提供することができる。すなわち、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、1つ又は複数のステップを加えたり、1つ又は複数のステップを除いたり、1つ又は複数のステップを別の順序で実行したりすることができる。
【0061】
前述した本開示の実施形態の変更は、添付の特許請求の範囲に定義される開示範囲から逸脱しない限り可能である。本開示を記述及び請求するのに使用される「含む」、「備える」、「組み込む」、「有する」、「在る」等の表現は、非限定的に解釈されることを意図したものであり、明示されない項目や部品、要素等が存在してもよい。単数表現もまた、複数に関連するものと解釈されるべきものである。
【外国語明細書】