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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008884
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】蒸着装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20240112BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240112BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C23C16/44 B
C23C16/455
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109626
(22)【出願日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】10-2022-0084112
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,チョルミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンゴン
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ミョンス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA18
4K030BB14
4K030HA01
4K030KA02
5F045AA15
5F045AA18
5F045AC08
5F045AC11
5F045AC12
5F045AC15
5F045BB02
5F045BB15
5F045DP03
5F045EE19
5F045EF13
5F045EG01
5F045GB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】サイズが大きな基板に対応可能な原子層蒸着装置を提供する。
【解決手段】蒸着装置は、ガス供給部100、プレート200、本体部300及び第1の排気部400を含む。ガス供給部は、複数のガス噴射口GHを含む。プレートは、ガス供給部と対向して配置され、ガス供給部に向けて上下動することができ、対象基板SUBが載置される。本体部は、プレートとガス供給部の間の反応空間を定義する第1の部分PA1及び第1の部分の下に配置された第2の部分PA2を含み、プレートと離隔して内壁が形成される。第1の排気部は、第1の部分の外壁に具備される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガス噴射口を有するガス供給部と、
前記ガス供給部と対向して配置され、前記ガス供給部に向けて上下動し、対象基板が載置されるプレートと、
前記プレートと前記ガス供給部の間の反応空間を定義する第1の部分と、前記第1の部分の下方に配置され、下部空間を定義する第2の部分とを有し、前記プレートと離隔して内壁が形成された本体部と、
前記第1の部分の外壁に設けられる第1の排気部とを含むことを特徴とする蒸着装置。
【請求項2】
前記プレートは、平面視において、前記第1の部分の中心に対して点対称のN角形状を有し、
前記第1の排気部は、前記プレートのN個の頂点に対応する位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項3】
更に、前記第1の部分の外壁から突出した第3の部分を含み、
前記第1の排気部のそれぞれは、前記第3の部分に連結され、
前記第3の部分の内壁の径は、前記第1の部分から前記第1の排気部のそれぞれに向かう方向に更に小さい径を有することを特徴とする請求項2に記載の蒸着装置。
【請求項4】
更に、前記プレート上に配置されるシャドーフレームを含むことを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項5】
前記シャドーフレームは、
前記対象基板を露出する開口を定義する固定部と、
前記固定部の下面から前記本体部の内壁に沿って下向きに延出する壁部とを含むことを特徴とする請求項4に記載の蒸着装置。
【請求項6】
前記固定部は、平面視において、前記第1の部分の中心に対して点対称であり、N角形(Nは、3以上の自然数)の形状を有することを特徴とする請求項5に記載の蒸着装置。
【請求項7】
前記壁部は、平面視において、前記本体部の外郭境界に沿って配置されることを特徴とする請求項6に記載の蒸着装置。
【請求項8】
更に、前記第1の部分の外壁から突出した第3の部分を含み、
前記第1の排気部のそれぞれは、前記第3の部分に連結され、
前記第3の部分の内壁の径は、前記第1の部分から前記第1の排気部のそれぞれに向かう方向に逐次減少し、
前記壁部の下面から前記固定部の上面までの長さは、前記プレートの上下方向への径よりも長く形成され、
前記プレートの前記上下方向への径は、前記第3の部分が前記第1の部分と物理的に接する位置において、前記第3の部分の径として定義されることを特徴とする請求項6に記載の蒸着装置。
【請求項9】
前記第2の部分の内壁と前記シャドーフレームの間の間隔は、一定であることを特徴とする請求項4に記載の蒸着装置。
【請求項10】
前記第2の部分の内壁と前記シャドーフレームの間の間隔は、0.5mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項9に記載の蒸着装置。
【請求項11】
前記第1の部分の内壁は、前記ガス供給部より前記反応空間に供給されたガスが、前記第1の排気部に流動する流路を定義し、
前記流路は、前記第1の部分の中心から前記第1の排気部に向かう方向に逐次幅が減少することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項12】
前記第1の部分は、前記流路のいずれか1つの流路を定義する第1の内壁及び第2の内壁を含み、
前記第1の内壁及び前記第2の内壁の間の角度は、45度を超え、90度未満であることを特徴とする請求項11に記載の蒸着装置。
【請求項13】
前記ガス供給部より前記反応空間に供給されるガスの一部は、前記本体部の内壁と前記プレートの間を介して、前記下部空間に流動することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項14】
前記ガス供給部より前記反応空間に供給され、前記第1の排気部に排出される前記ガスの量は、前記ガス供給部より前記本体部の内壁と前記プレートの間を介して、前記下部空間に流動する量よりも大きいことを特徴とする請求項13に記載の蒸着装置。
【請求項15】
前記本体部は、ALD(Atomic Layer Deposition)工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項16】
更に、前記第2の部分の底面に設けられる第2の排気部を含むことを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項17】
複数のガス噴射口を有するガス供給部と、
前記ガス供給部と対向して配置され、前記ガス供給部に向けて上下動し、対象基板が載置されるプレートと、
前記プレートと前記ガス供給部の間の反応空間を定義する第1の部分と、前記第1の部分の下方に配置され、下部空間を定義する第2の部分とを有し、前記プレートと離隔して内壁が形成された本体部と、
前記第1の部分の外壁に連結されるポンピングラインと、
前記ポンピングラインに連結されるポンプとを含むことを特徴とする蒸着装置。
【請求項18】
更に、前記ポンピングラインと前記第1の部分の外壁の間に配置された圧力ゲージと、
前記圧力ゲージを用いて、前記本体部内の圧力をモニタリングし、スロットルバルブの動きを制御するコントローラとを含み、
前記圧力ゲージは、前記第1の部分の外壁に連結され、
前記スロットルバルブは、前記圧力ゲージ及び前記ポンピングラインの間に連結されることを特徴とする請求項17に記載の蒸着装置。
【請求項19】
更に、前記第1の部分の外壁から突出した第3の部分を含み、
前記ポンピングラインは、前記第3の部分に連結されることを特徴とする請求項17に記載の蒸着装置。
【請求項20】
前記第3の部分の内壁の径は、前記第1の部分から前記ポンピングラインに向かう方向に逐次幅が減少するように形成されることを特徴とする請求項19に記載の蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の製造工程は、薄膜形成工程を含む。この場合、薄膜は、原子層蒸着装置(atomic layer deposition apparatus)を用いた蒸着工程により形成される。原子層蒸着装置には、反応ガスとパージガスが順次注入され、反応ガスとパージガスの表面反応により、蒸着対象である基板上に薄膜が形成される。原子層蒸着装置を用いて形成した薄膜は、塗布性と均一性に優れている。
【0003】
ところで、蒸着対象である基板のサイズが大きくなるほど、原子層蒸着装置のサイズを大きくする必要がある。これにより、反応ガスとパージガスを供給及び排出する時間が増加して、工程効率が低下することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10822695号明細書
【特許文献2】米国特許第10662525号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、蒸着装置を提供することにある。
【0006】
但し、本発明の目的は、前述した目的に限定されるものではなく、本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で、様々に拡張可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した本発明の1つの目的を達成するために、本発明の一実施形態による蒸着装置は、ガス供給部と、プレートと、本体部と、第1の排気部とを含む。ガス供給部は、複数のガス噴射口を有する。プレートは、前記ガス供給部と対向して配置され、前記ガス供給部に向けて上下動し、対象基板が載置される。本体部は、前記プレートと前記ガス供給部の間の反応空間を定義する第1の部分と、前記第1の部分の下方に配置され、下部空間を定義する第2の部分とを有し、前記プレートと離隔して内壁が形成される。第1の排気部は、前記第1の部分の外壁に設けられる。
【0008】
前記プレートは、平面視において、前記第1の部分の中心に対して点対称のN角形の形状を有し、前記第1の排気部は、前記プレートのN個の頂点に対応する位置に配置される。
【0009】
更に、前記第1の部分の外壁から突出した第3の部分を含み、前記第1の排気部のそれぞれは、前記第3の部分に連結され、前記第3の部分の内壁の径は、前記第1の部分から前記第1の排気部のそれぞれに向かう方向に更に小さい径を有する。
【0010】
更に、前記プレート上に配置されるシャドーフレームを含む。
【0011】
前記シャドーフレームは、前記対象基板を露出する開口を定義する固定部と、前記固定部の下面から前記本体部の内壁に沿って下向きに延出する壁部とを含む。
【0012】
前記固定部は、平面視において、前記第1の部分の中心に対して点対称であり、N角形(Nは、3以上の自然数)の形状を有する。
【0013】
前記壁部は、平面視において、前記本体部の外郭境界に沿って配置される。
【0014】
更に、前記第1の部分の外壁から突出した第3の部分を含み、前記第1の排気部のそれぞれは、前記第3の部分に連結され、前記第3の部分の内壁の径は、前記第1の部分から前記第1の排気部のそれぞれに向かう方向に逐次減少し、前記壁部の下面から前記固定部の上面までの長さは、前記プレートの上下方向への径よりも長く形成され、前記プレートの前記上下方向への径は、前記第3の部分が前記第1の部分と物理的に接する位置において、前記第3の部分の径として定義される。
【0015】
前記第2の部分の内壁と前記シャドーフレームの間の間隔は、一定である。
【0016】
前記第2の部分の内壁と前記シャドーフレームの間の間隔は、0.5mm以上5mm以下である。
【0017】
前記第1の部分の内壁は、前記ガス供給部より前記反応空間に供給されたガスが、前記第1の排気部に流動する流路を定義し、前記流路は、前記第1の部分の中心から前記第1の排気部に向かう方向に逐次幅が減少する。
【0018】
前記第1の部分は、前記流路のいずれか1つの流路を定義する第1の内壁及び第2の内壁を含み、前記第1の内壁及び前記第2の内壁の間の角度は、45度を超え、90度未満である。
【0019】
前記ガス供給部より前記反応空間に供給されるガスの一部は、前記本体部の内壁と前記プレートの間を介して、前記下部空間に流動する。
【0020】
前記ガス供給部より前記反応空間に供給され、前記第1の排気部に排出される前記ガスの量は、前記ガス供給部より前記本体部の内壁と前記プレートの間を介して、前記下部空間に流動する量よりも大きい。
【0021】
前記本体部は、ALD(Atomic Layer Deposition)工程を行う。
【0022】
更に、前記第2の部分の底面に設けられる第2の排気部を含む。
【0023】
本発明の他の実施形態による蒸着装置は、ガス供給部と、プレートと、本体部と、ポンピングラインと、ポンプとを含む。ガス供給部は、複数のガス噴射口を有する。プレートは、前記ガス供給部と対向して配置され、前記ガス供給部に向けて上下動し、対象基板が載置される。本体部は、前記プレートと前記ガス供給部の間の反応空間を定義する第1の部分と、前記第1の部分の下方に配置され、下部空間を定義する第2の部分とを有し、前記プレートと離隔して内壁が形成される。ポンピングラインは、前記第1の部分の外壁に連結される。ポンプは、前記ポンピングラインに連結される。
【0024】
更に、圧力ゲージ、スロットルバルブ、及びコントローラを含む。圧力ゲージは、前記第1の部分の外壁に連結され、スロットルバルブは、前記圧力ゲージの前記ポンピングラインの間に連結され、コントローラは、前記圧力ゲージを用いて、前記本体部内の圧力をモニタリングし、前記スロットルバルブの動きを制御する。
【0025】
更に、前記第1の部分の外壁から突出した第3の部分を含む。前記ポンピングラインは、前記第3の部分に連結される。
【0026】
前記第3の部分の内壁の径は、前記第1の部分から前記ポンピングラインに向かう方向に逐次幅が減少するように形成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明による蒸着装置は、複数のガス噴射口を含むガス供給部と、前記ガス供給部と対向して配置され、前記ガス供給部に向けて上下動し、対象基板が載置されるプレートと、前記プレートと前記ガス供給部の間の反応空間を定義する第1の部分と、前記第1の部分の下に配置され、下部空間を定義する第2の部分とを含み、前記プレートと離隔して内壁が形成された本体部と、前記第1の部分の外壁に設けられる第1の排気部とを含み、迅速に本体部内のガスを排気する。これにより、蒸着工程の時間を最小化することができる。
【0028】
但し、本発明の効果は、これに限定されるものではなく、本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で、様々に拡張可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1a】本発明の一実施形態に係る蒸着装置を説明するための図である。
図1b】本発明の一実施形態に係る蒸着装置を説明するための図である。
図2図1aにおける蒸着装置に含まれたシャドーフレームの斜視図である。
図3図2のI-I’線に沿う断面図である。
図4図1aにおけるA部を拡大した平面図である。
図5図1aにおける蒸着装置に含まれた第1の部分を説明するための図である。
図6図1aにおける蒸着装置に含まれた第1の部分を説明するための図である。
図7図1aにおける蒸着装置に含まれた第1の排気部を説明するための図である。
図8図1aにおける蒸着装置に含まれた第3の部分を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。しかし、本発明は、ここで説明される実施形態に限定されず、他の形態に具体化することもできる。むしろ、これらの実施形態は、本開示をより充実かつ完全にし、当業者に本開示の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0031】
図面において、各構成要素の大きさ、厚さ、比率、寸法などは、説明の便宜と明確性のために誇張して表現される場合がある。同一の符号は、同一の要素を示している。
【0032】
本明細書で使用している単数型である「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明白に異なることを示さない限り、複数型をも含む。
【0033】
明細書及び請求の範囲において、「及び/又は」という用語は、その意味及び解釈において、「及び」及び「又は」という用語の任意の組み合わせを含む。例えば、「A及び/又はB」は、「A、B、又は、A及びB」を含む任意の組み合わせを意味することと理解することができる。「及び」及び「又は」という用語は、接続的又は異接的意味として使用可能であり、「及び/又は」と等しいことと理解される。
【0034】
明細書及び特許請求の範囲において、「~の少なくとも1つ」という表現は、その意味及び解釈上、「~より選ばれる少なくとも1つ」の意味を含むこととする。例えば、「A及びBの少なくとも1つ」は、A、B、又はA及びBを含む任意の組み合わせを意味することと理解される。
【0035】
「~に連結された」又は「~に結合された」という用語は、物理的及び/又は電気的連結、又はその組み合わせを含むことと理解される。
【0036】
異なるように定義しない限り、技術的や科学的な用語を含めて、ここで使用する全ての用語は、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されることと同一の意味を有している。一般に使用される辞典に定義されたような用語は、関連する技術の脈絡でその意味と一致する意味を有することと解釈されるべきであり、理想化したり、あまりにも形式的な意味として解釈したりしてはならない。
【0037】
本明細書で使用している「約」又は「略」は、言及した値を含み、該当測定及びエラーを考えて、当業者により決められた特定値に対するバラツキの許容可能な範囲内を意味する。特定量の測定に関するもの(すなわち、測定システムの限界)、例えば、「約」は、1つ以上の標準偏差内、又は明示した値の±30%、20%、10%、5%内を意味する。
【0038】
図1a及び図1bは、本発明の一実施形態に係る蒸着装置を説明するための図である。図1aは、本発明の一実施形態に係る蒸着装置の断面図であり、図1bは、本発明の一実施形態に係る蒸着装置の斜視図である。
【0039】
図1a及び図1bに示しているように、本発明の実施形態による蒸着装置1000は、ガス供給部100と、プレート200と、本体部300と、第1の排気部400とを含む。
【0040】
ガス供給部100は、ソースガス、反応ガス、及びパージガスを提供する。このために、ガス供給部100は、前記ソースガス、反応ガス、及びパージガスを選択的に又は同時に噴射する複数のガス噴射口(GH)を含む。
【0041】
前記ソースガスは、薄膜を蒸着するために用いられる。一実施形態において、前記ソースガスは、アルミニウム及びシリコンの少なくともいずれか1つを含む。前記ソースガスがアルミニウムを含む場合、前記ソースガスは、TMAである。前記ソースガスがシリコンを含む場合、前記ソースガスは、有機金属ソースガスである。例えば、前記ソースガスは、DIPAS、BTBAS、BDEAS、3DMASである。
【0042】
前記反応ガスは、対象基板(SUB)上に蒸着された前記ソースガスを酸化又は窒化させるガスである。例えば、前記反応ガスは、窒素(N)、酸素(O)、亜酸化窒素(NO)、アンモニア(NH)、オゾン(O)のいずれか1つ、又はこれらの組み合わせである。
【0043】
前記パージガスは、前記ソースガス、前記反応ガス、及び前記薄膜と化学的に反応しないガスである。
【0044】
プレート200は、ガス供給部100と対向して配置される。例えば、プレート200は、前記第1の方向(D1)、及び前記第1の方向(D1)に垂直な第3の方向(D3)に沿って形成された平面上に配置される。
【0045】
プレート200は、平面視において、第1の部分(PA1)の中心(CP)に対して点対称のN角形状である。プレート200は、対象基板(SUB)を支持(又は、収容)する。このために、プレート200は、対象基板(SUB)の面積よりも広い面積を有する平板形状を有する。
【0046】
プレート200は、ガス供給部100に向けて上下(UP-down)動する。例えば、プレート200は、第2の方向(D2)に沿って上下動する。プレート200は、蒸着工程を行う間、移動することなく、固定される。
【0047】
本体部300は、第1の部分(PA1)と、第2の部分(PA2)と、第3の部分(PA3)とを含む。
【0048】
第1の部分(PA1)は、ガス供給部100とプレート200の間の反応空間を定義する。より詳しくは、プレート200上に対象基板(SUB)が載置された後、プレート200が、ガス供給部100に向けて上下動する。プレート200は、プレート200とガス供給部100の間の第2の方向(D2)への距離を狭める方向にのみ移動することができる。プレート200、ガス供給部100、及び第1の部分(PA1)で取り囲まれる空間は、前記反応空間と定義する。
【0049】
第2の部分(PA2)は、第1の部分(PA1)の下部に配置される。例えば、本体部300の上部に第1の部分(PA1)が位置し、本体部300の下部に第2の部分(PA2)が位置する。
【0050】
第3の部分(PA3)は、第1の部分(PA1)の外壁310から突設される。一例として、本体部300が四角形状であると、第3の部分(PA3)は、本体部300の4つの頂点に対応する位置にそれぞれ配置される。
【0051】
第1の排気部400は、第1の部分(PA1)の外壁310に設けられる。詳しくは、第1の排気部400のそれぞれは、前記第1の部分(PA1)の外壁310から突設される第3の部分(PA3)に連結される。
【0052】
第1の排気部400は、プレート200のN個の頂点に対応する位置に配置される。一例として、プレート200が四角形状の場合、第1の排気部400が、プレート200の4つの頂点に対応する位置にそれぞれ配置される。図示していないが、第1の排気部400は、四角形状の各頂点ではなくても、第1の部分(PA1)の中心(CP)に対して対称となる構造として配置されることができる。それにより、渦流を発生することなく、迅速にガス供給及び排気が行える。
【0053】
蒸着装置1000は、更に、シャドーフレーム500を含む。
【0054】
シャドーフレーム500は、プレート200上に配置される。シャドーフレーム500は、第2の部分(PA2)の内壁322と一定の間隔(例えば、図4の間隔(IN))をもって配置される。シャドーフレーム500に関する詳しい説明は、図2乃至図6で後述する。
【0055】
蒸着装置1000は、更に、第2の排気部600を含む。
【0056】
第2の排気部600は、第2の部分(PA2)の底面(BF)に設けられる。
【0057】
ガス供給部100より供給されたガスの多くは、第1の排気部400を通じて排気される。第1の排気部400を通じて排気されない残留ガスは、シャドーフレーム500と第2の部分(PA2)の内壁322の間の隙間に流動して、第2の排気部600に排気される。
【0058】
図2は、図1aにおける蒸着装置に含まれたシャドーフレームの斜視図であり、図3は、図2のI-I’線に沿う断面図である。
【0059】
図2に示しているように、シャドーフレーム500は、固定部510と、壁部520とを含む。
【0060】
固定部510は、対象基板(SUB)を露出させる開口(OS)を定義することができる。
【0061】
固定部510は、平面視において、第1の部分(PA1)の中心(CP)に対して、点対称のN角形状を有する。ここで、Nは、3以上の自然数である。
【0062】
図3に示しているように、壁部520は、固定部510の下面から本体部300の内壁に沿って、下向きに延出する。壁部520は、平面視において、本体部300の外郭境界に沿って配置される。また、壁部520に含まれた4つの面はそれぞれ、矩形である。それにより、シャドーフレーム500は、下部空間に流動する排気ガスの量を調節することができる。これに関する詳細な説明は、図4で後述する。
【0063】
図4は、図1aにおけるA部を拡大した平面図である。
【0064】
図4に示しているように、固定部510の上面のレベルは、第2の部分(PA2)の内壁322の上面のレベルと実質的に同一である。他の実施形態において、固定部510の上面のレベルは、第2の部分(PA2)の内壁322の上面のレベルよりも実質的に高い。言い換えると、蒸着工程が行われる間、固定部510の前記上面の前記レベルは、第2の部分(PA2)の内壁322の前記上面のレベルと同一又は以上である。
【0065】
壁部520は、相対的に大きい長さを有する。例えば、壁部520の下面から固定部510の上面までの長さ(R1、以下、「第1の長さ」という。)は、第3の部分(PA3)が第1の部分(PA1)と接する位置における前記プレート200の上下方向(例えば、第2の方向(DR2))への径(R2、以下、「第2の長さ」という。)よりも長く形成される。それにより、プレート200がガス供給部100に向けて上昇しても、プレート200と第2の部分(PA2)の内壁322の間の隙間に排気ガスが流動する量が減少する。例えば、固定部510のみ存在し、壁部520のないシャドーフレームよりも、本発明の一実施形態に係るシャドーフレーム500を用いると、排気ガスが下部空間に流動する量が減少し得る。
【0066】
一方、シャドーフレーム500と第2の部分(PA2)の内壁322の間の間隔(IN)は、一定である。それにより、ガス供給部100より供給されたガスが第1の排気部400に移動する場合、ガス供給部100より供給された前記ガスの流速や圧力が一定に維持される。
【0067】
一例として、シャドーフレーム500と第2の部分(PA2)の内壁322の間の間隔(IN)は、約0.5mm以上5mm以下である。
【0068】
シャドーフレーム500と第2の部分(PA2)の内壁322の間の間隔(IN)が約0.5mm未満であると、プレート200が上下動することができないという不都合が生じ得る。蒸着工程において、シャドーフレーム500が熱膨脹することがある。これにより、シャドーフレーム500と第2の部分(PA2)の内壁322が接触する場合がある。これに対して、シャドーフレーム500と第2の部分(PA2)の内壁322の間の間隔(IN)が約5mmを超えると、ガス供給部100より供給された前記ガスの多くが、下部空間に流動する場合がある。この場合、下部空間の底面(BF)の隅に残留ガスが蓄積されて、第2の部分(PA2)に汚れが生じるおそれがある。
【0069】
前記数値範囲は、本体部300の材料、形状に応じて変わる。
【0070】
最小間隔(IN)は、プレート200の上下動を妨害しない間隔(IN)を持つように設定される。最大間隔(IN)は、第1の排気部400の排気コンダクタンス(conductance)よりも小さく設定される。
【0071】
図5及び図6は、図1aにおける蒸着装置に含まれた第1の部分を説明するための図である。図5及び図6は、図1aにおける蒸着装置に含まれた第1の部分の平面図である。
【0072】
図5に示しているように、第1の部分(PA1)の内壁320は、ガス供給部100より前記反応空間に供給されたガスが、第1の排気部400に流動する流路(VL)を定義することができる。
【0073】
流路(VL)のそれぞれは、第1の部分(PA1)の中心(CP)から、第1の排気部400のそれぞれに向かう方向に逐次幅が減少する。例えば、第1の部分(PA1)の内壁320は、第1の部分(PA1)の中心(CP)から第1の排気部400が配置された排気方向に向かうほど、逐次幅が減少する。
【0074】
第3の部分(PA3)の内壁は、第1の部分(PA1)から第1の排気部400に向かうほど、逐次幅が減少する。すなわち、第1の部分(PA1)の中心(CP)から第1の排気部400に向かうほど、流路(VL)のそれぞれの幅が逐次減少する。
【0075】
図6に示しているように、流路(VL)のいずれか1つの流路を定義する第1の部分(PA1)の第1の内壁314と第2の内壁316がなす角(ANG)は、約45度を超え、90度未満である。一実施形態において、第1の内壁314と第2の内壁316がなす角(ANG)は、約50度以上80度以下である。
【0076】
例えば、本体部300が四角形状であると、第1の内壁314と第2の内壁316がなす角(ANG)は、約45度を超え、90度未満である。一実施形態において、第1の内壁314と第2の内壁316がなす角(ANG)は、約50度以上80度以下である。前記角(ANG)に関する数値範囲は、本体部300の形状に応じて変わる。
【0077】
第1の排気部400のいずれか1つの第1の排気部400’に隣接した第1の部分(PA1)の内壁320は、第1の排気部400’と第1の部分(PA1)の中心(CP)を連結する仮想線に対して対称である。例えば、図5及び図6に示しているように、第1の内壁314と第2の内壁316は、第1の排気部400’と第1の部分(PA1)の中心(CP)を連結する前記仮想線に対して対称である。
【0078】
ガス供給部100から前記反応空間に供給される前記ガスの一部は、本体部300の内壁320、322とプレート200の間を通じて、下部空間に流動する。一実施形態において、プレート200上に、更にシャドーフレーム500が配置される場合、前記反応空間に供給された前記ガスの一部は、シャドーフレーム500と第2の部分(PA2)の内壁322の間で間隔(IN)を有する隙間を介して、前記下部空間に流動する。
【0079】
ガス供給部100から前記反応空間に供給されるガスが第1の排気部400に排出される量は、前記反応空間に供給される前記ガスが、ガス供給部100から本体部300の内壁320、322とプレート200の間を介して、下部空間に流動する量より大きい。詳しくは、前記反応空間に供給された前記ガスの多くが、第1の排気部400に排気され、相対的に少量のガスだけ、シャドーフレーム500と第2の部分(PA2)の内壁322の間の隙間に流動する。
【0080】
図1aで説明したように、シャドーフレーム500と第2の部分の内壁322の間の前記隙間に流動した前記ガスを排気するために、第2の排気部600が、第2の部分(PA2)の底面(BF)に更に設けられる。それにより、第2の部分(PA2)の下部の隅が汚染されることを防止することができる。
【0081】
図7は、図1aにおける蒸着装置に含まれた第1の排気部を説明するための面である。
【0082】
図7に示しているように、第1の排気部400のそれぞれは、圧力ゲージ420と、スロットルバルブ430と、ポンピングライン440と、ポンプ450と、コントローラ460とを含む。
【0083】
ポンピングライン440の一端は、ガス供給部100とプレート200の間の前記反応空間を定義する第1の部分(PA1)の外壁310に連結される。ポンピングライン440は、本体部300の上部の隅に配置される。詳しくは、ポンピングライン440は、第1の部分(PA1)の外壁310より突出した第3の部分(PA3)に配置される。図6で説明したように、第3の部分(PA3)の内壁は、第1の部分(PA1)からポンピングライン440に行くほど、幅が逐次狭くなる。これにより、排気ガスの流れは、第1の排気部400のそれぞれに導かれる。ポンピングライン440の他端は、ポンプ450に連結される。
【0084】
圧力ゲージ420は、ポンピングライン440に連結される。圧力ゲージ420は、本体部300の内圧をモニタリングする。
【0085】
スロットルバルブ430は、圧力ゲージ420及びポンプ450の間に連結される。スロットルバルブ430は、圧力ゲージ420でモニタリングした前記内圧を一定に維持するために用いる。
【0086】
ポンプ450は、ポンピングライン440の他端に連結される。対称に配置された第1の排気部400のそれぞれに連結されたポンプ450は、上部ポンピング方式を用いて、排気経路(path)を短縮することができ、本体部300の下部形状による渦流の発生を防止することができる。
【0087】
コントローラ460は、圧力ゲージ420を用いて、本体部300内の圧力をモニタリングして、スロットルバルブ430の動きを制御することができる。例えば、スロットルバルブ430を締め付け又は解除することで、本体部300内の圧力を一定に維持することができる。それにより、ガス供給部100から前記反応空間に供給されたガスは、第1の排気部400のそれぞれを介して、均一に排気される。
【0088】
図8は、図1aにおける蒸着装置に含まれた第3の部分を説明するための図である。
【0089】
図8に示しているように、第3の部分(PA3)の内壁は、第1の部分(PA1)からポンピングライン440に向かうほど、逐次幅が減少する。
【0090】
第1の部分(PA1)の内壁320により定義される流路(VL)のそれぞれの幅は、第1の部分(PA1)の中心(CP)から第3の部分(PA3)に向かう方向に逐次幅が減少する。第3の部分(PA3)の内壁の幅は、第1の部分(PA1)からポンピングライン440に連結される排気方向に向かうほど、逐次幅が減少する。例えば、第1の部分の中心(CP)からポンピングライン440に行くほど、流路(VL)のそれぞれの幅が逐次減少する。
【0091】
CVD設備の場合、迅速なガス切換えが不要である。そこで、下部ポンピング方式を使う蒸着装置を用いる場合、問題が生じなかった。
【0092】
これに対して、ALD設備の場合、迅速なガス切換えが必要である。具体的に、ALD工程は、以下のような順に、1サイクル(cycle)が構成される。まず、反応ソースを供給し、パージガスを供給し、反応ガスを供給した後、パージガスを供給する。ここで、反応ソースと反応ガスは、順次注入されて、表面反応により、薄膜を形成する。
【0093】
本発明の一実施形態に係る蒸着装置1000を用いた流動解析の結果、ガス供給部100より前記ガス供給後、約0.1秒後に、本体部300の下部でガス流れがほとんど見えなかった。ガス供給部100より前記ガス供給後、約10秒が経過した後にも、本体部300の下部でガス流れがほとんど見えなかった。
【0094】
ガス供給部100から前記反応空間にガスが供給され、約0.1秒後に殆どのガスが、第1の排気部400に排出される。そこで、前記反応ソースを供給した後、迅速に前記パージガスへの切り換えができる。
【0095】
ガス供給部100から前記反応空間にガスが供給され、約10秒後に、第2の部分(PA2)でガス流れがほとんど見えなかった。
【0096】
蒸着装置1000は、第1の部分(PA1)に配置された第1の排気部400がポンピングする上部ポンピング方式を用いる。ガス供給部100から供給された前記ガスは、流路(VL)に沿って排気される。例えば、ガス供給部100から供給された前記ガスが、本体部300の上部より排気される。それにより、排気経路(path)が短縮し、渦流の発生を防止して、ガスが迅速に切り換えられる。
【0097】
蒸着装置1000は、底面(BF)に停滞したガスを排気するために、第2の部分(PA2)の底面(BF)に、更に、第2の排気部600を含む。これにより、第2の部分(PA2)の底面(BF)で排気ガスが停滞することを防止することができる。例えば、蒸着装置(100)の底面(BF)でパーティクルを発生させないことができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、有機発光表示装置及びこれを含む様々な電子機器などの製造に適用可能である。例えば、本発明は、携帯電話、スマートフォン、ビデオフォン、スマートパッド、スマートウォッチ、タブレットPC、車両用ナビゲーション、テレビ、コンピュータモニタ、ノート型パソコン、ヘッドマウントディスプレイなどの製造に適用可能である。
【0099】
以上では、本発明の例示的な実施形態を参照して説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正及び変更できることを理解するだろう。
【符号の説明】
【0100】
100:ガス供給部
200:プレート
300:本体部
310:第1の部分の外壁
400:第1の排気部
500:シャドーフレーム
1000:蒸着装置
BF:底面
GH:噴射口
PA1:第1の部分
PA2:第2の部分
SUB:基板
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8