(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008885
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法
(51)【国際特許分類】
G01W 1/10 20060101AFI20240112BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20240112BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20240112BHJP
G08B 31/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G01W1/10 P
G01W1/00 Z
G08B21/10
G08B31/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109638
(22)【出願日】2023-07-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】202210806457.6
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523252858
【氏名又は名称】黄河勘測規劃設計研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】安新代
(72)【発明者】
【氏名】何劉鵬
(72)【発明者】
【氏名】程冀
(72)【発明者】
【氏名】李栄容
(72)【発明者】
【氏名】楊利▲つぇん▼
(72)【発明者】
【氏名】李寧
(72)【発明者】
【氏名】朱朋涛
(72)【発明者】
【氏名】姜成▲ぜん▼
(72)【発明者】
【氏名】馬志傑
(72)【発明者】
【氏名】胡徳祥
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA15
5C086AA45
5C086CA25
5C086CA30
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA04
5C087DD02
5C087EE18
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG84
(57)【要約】 (修正有)
【課題】豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法を開示する。
【解決手段】情報処理装置において、豪雨類似性分析データを取得するステップと、雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて履歴水文データから典型的な特定回豪雨イベントをスクリーニングし、典型的な豪雨イベントを得るステップと、豪雨と洪水の特徴ライブラリを作成するステップと、リアルタイム雨水状況データ及びリアルタイム予報雨状況データに基づいて、現在の豪雨イベントの特徴及び現在の洪水の特徴を得るステップと、特徴ライブラリを基にして現在の豪雨イベント特徴とマッチングする履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできるか否かを判断するステップと、現在の洪水特徴とマッチングする履歴特定回豪雨イベントに対応する履歴洪水イベントをスクリーニングするステップと、履歴洪水イベントの特徴に基づいて現在の豪雨イベントに対して洪水早期警報を行うステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法であって、
情報処理装置において、リアルタイム雨水状況データ、リアルタイム予報雨状況データ、
及び履歴水文データを含む豪雨類似性分析データを取得するステップと、
雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、前記履歴水文データから典型的な特定回豪雨
イベントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベント及び前記履歴特定回豪雨イベント
に対応する履歴洪水イベントを含む典型的な豪雨イベントを得るステップと、
前記典型的な豪雨イベントに基づいて、豪雨と洪水の特徴ライブラリを作成するステップ
と、
前記リアルタイム雨水状況データ及び前記リアルタイム予報雨状況データに基づいて、現
在の豪雨イベントの特徴及び現在の洪水の特徴を得るステップと、
前記特徴ライブラリを基にして、前記典型的な豪雨イベントから現在の豪雨イベント特徴
とマッチングする履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできるか否かを判断するステ
ップと、
前記履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできる場合、前記特徴ライブラリを基にし
て、前記典型的な豪雨イベントから現在の洪水特徴とマッチングする前記履歴特定回豪雨
イベントに対応する履歴洪水イベントをスクリーニングするステップと、
前記履歴洪水イベントの特徴に基づいて、現在の豪雨イベントに対して洪水早期警報を行
うステップと、を含む、ことを特徴とする洪水早期警報方法。
【請求項2】
前記リアルタイム雨水状況データは、水文観測所による時刻毎降雨量、河道水位、河道流
量、河道土砂濃度、累積降雨量等高線図を含み、
リアルタイム予報雨状況データは、気象観測所による今後1~3日の降雨雲マップ、水文
観測所が管理する地域の平均雨量表を含み、
履歴水文データは、水文観測所による実測履歴時刻毎降雨量、河道水位、河道流量、河道
土砂濃度、累積降雨量等高線図を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の豪雨と洪水の
類似性に基づく洪水早期警報方法。
【請求項3】
前記雨量閾値は、ある雨量観測所による対応する期間内の雨量臨界値であって、今回の降
量が洪水降を引き起こす可能性があるか否かを判断することに用いられ、
前記インターバル閾値は、ある雨量観測所による対応する期間内の雨量が連続して雨量閾
値よりも低い時間の長さであって、今回の雨量の終了時間を判定することに用いられ、
雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、前記履歴水文データから典型的な特定回豪雨
イベントをスクリーニングし、典型的な豪雨イベントを得る前記ステップは、
雨量閾値及びインターバル閾値を設定するステップと、
前記雨量閾値及び前記インターバル閾値に基づいて、前記履歴水文データから、1日降雨
量よりも前記雨量閾値大きく持続降雨時間間隔が前記インターバル閾値よりも小さい典型
的な特定回豪雨イベントをスクリーニングするステップと、
前記典型的な特定回豪雨イベントから、降雨期間が最も長い降雨イベントをスクリーニン
グし、典型的な豪雨イベントを得るステップと、を含み、
前記最長降雨期間は、1日降雨量が前記1日降雨量閾値よりも大きく持続降雨時間間隔が
前記インターバル閾値よりも小さい最長降雨持続時間である、ことを特徴とする請求項1
に記載の豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法。
【請求項4】
前記豪雨及び洪水の特徴ライブラリは、特定回豪雨特徴指標と特定回洪水特徴指標を含み
、
前記特定回豪雨特徴指標は、特定回降雨の合計期間、総降雨量、降雨が覆った面積、降雨
中心の降雨量、第1時間帯、第2時間帯、第3時間帯、第1時間帯の降雨量、第2時間帯
の降雨量、及び第3時間帯の降雨量を含み、
前記特定回洪水特徴指標は、ピーク流量、総洪水量、水文観測所による洪水最大土砂濃度
、総洪水土砂量、及び最大洪水水位を含み、
み、
前記特定回豪雨は、豪雨の始まりから終わりまでの全過程であり、前記特定回洪水は、洪
水が増水してから治まるまでの全過程である、ことを特徴とする請求項1に記載の豪雨と
洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法。
【請求項5】
前記典型的な豪雨イベントから前記現在の豪雨イベント特徴とマッチングする履歴特定回
豪雨イベントをスクリーニングできるか否かを判断する前記ステップは、
前記現在の豪雨イベント特徴に基づいて、前記特徴ライブラリから類似豪雨特徴をスクリ
ーニングするステップと、
前記類似豪雨特徴に基づいて、候補履歴類似豪雨イベントを決定するステップと、
類似性比較選択方法に従って、前記候補履歴類似豪雨イベントをスクリーニングし、履歴
特定回豪雨イベントを得るステップと、を含み、
類似性比較選択方法に従って、前記候補履歴類似豪雨イベントをスクリーニングし、履歴
特定回豪雨イベントを得るステップは、
前記候補履歴類似豪雨イベントと前記現在の豪雨イベントの類似係数を算出するステップ
であって、前記類似係数に対応する前記候補履歴類似豪雨イベントが予備豪雨イベントで
あるステップと、
前記総合評価式:Xi=(1-Di/DX)*100、
(式中、Xiはi回目の予備豪雨イベントの類似度であり、パーセンテージで表され、D
iはi回目の予備豪雨イベントに対応する類似係であり、DXは類似係数のうちの最大値
である。)を用いて、前記類似係数を評価し、前記予備豪雨イベントの類似度を得るステ
ップと、
前記予備豪雨イベントの類似度を並べ替えて、設定された履歴特定回豪雨イベントと同数
の予備豪雨イベントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベントを得るステップと、を
含み、
前記設定された履歴特定回豪雨イベントは、現在の豪雨イベントの降雨継続時間と総降雨
量に応じて、豪雨特徴ライブラリからスクリーニングされた対応する履歴豪雨イベントで
あり、前記スクリーニング方法は、現在の豪雨イベントの降雨継続時間と総降雨量を基準
に、降雨継続時間を±2日間延長し、総降雨量を±30%とし、要求に適合する降雨継続
時間範囲と総降雨量範囲を得て、この降雨継続時間範囲と総降雨量範囲に基づいて、対応
する履歴豪雨イベントを設定された履歴特定回豪雨イベントとしてスクリーニングである
ことである、
ことを特徴とする請求項4に記載の豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法。
【請求項6】
前記履歴洪水イベントの特徴に基づいて現在の豪雨イベントに対して洪水早期警報を行う
前記ステップは、
履歴洪水イベントの水文観測所によるピーク流量、最大土砂濃度、総洪水土砂量、及び最
大洪水水位という特徴値を水管理部門が提供する早期警報指標と比較し、システムにおい
て早期警報指標を超える水文観測所とその特徴値を通知するステップを含む、ことを特徴
とする請求項1に記載の豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豪雨洪水発生状況予測技術の技術分野に監視、特に豪雨と洪水の類似性に基づ
く洪水早期警報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、洪水の予報とスケジューリングに関する研究において、気象部門は豪雨洪水の成因
の分析に注目しており、水文部門は、豪雨洪水の地上での発展プロセスのシミュレーショ
ンの研究については、概念的な水文モデル、物理基礎を持つ水文モデルのシミュレーショ
ンの面でも、水文特徴量の統計分析方法の面でも非常に重要視しているが、如何に豪雨洪
水の成因の分析、各段階のモードの概念的化とリアルタイムの洪水調節システムを有機的
に組み合わせるかは依然として難点である。中国国内外の研究は、水文及び気象のいずれ
か一方を重点とするのが一般的であるが、両者を組み合わせてリアルタイムスケジューリ
ングに用いる研究や応用の例は少ない。
豪雨洪水プロセスの類似性分析は履歴豪雨洪水のデータを検索して分析することで、現在
の豪雨洪水の未来の発展傾向を予測し、現在のの洪水調節に用いることであり、現在、中
国のそれぞれの主な流域では有効に展開されていない。人工知能(AI)、ビッグデータ
マイニングなどの手段を活用し、気象・水文、地形・地貌、洪水調節などマルチソースの
膨大なデータリソースの詳細な分析を通じて、水害・干害の状況を予測して処理すること
は、中国の未来の水害・干害研究の方向の1つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、豪雨及び洪水の発展傾向を予測し、洪水の早期警報を行うことができる
豪雨洪水類似性分析方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成させるために、本発明は、下記解決手段を提供する。
豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法であって、
情報処理装置において、リアルタイム雨水状況データ、リアルタイム予報雨状況データ、
及び履歴水文データを含む豪雨類似性分析データを取得するステップと、
雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、前記履歴水文データから典型的な特定回豪雨
イベントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベント及び前記履歴特定回豪雨イベント
に対応する履歴洪水イベントを含む典型的な豪雨イベントを得るステップと、
前記典型的な豪雨イベントに基づいて、豪雨と洪水の特徴ライブラリを作成するステップ
と、
前記リアルタイム雨水状況データ及び前記リアルタイム予報雨状況データに基づいて、現
在の豪雨イベントの特徴及び現在の洪水の特徴を得るステップと、
前記特徴ライブラリを基にして、前記典型的な豪雨イベントから現在の豪雨イベント特徴
とマッチングする履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできるか否かを判断するステ
ップと、
前記履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできる場合、前記特徴ライブラリを基にし
て、前記典型的な豪雨イベントから現在の洪水特徴とマッチングする前記履歴特定回豪雨
イベントに対応する履歴洪水イベントをスクリーニングするステップと、
前記履歴洪水イベントの特徴に基づいて、現在の豪雨イベントに対して洪水早期警報を行
うステップと、を含む。
本発明の一態様によれば、前記リアルタイム雨水状況データは、水文観測所による時刻毎
降雨量、河道水位、河道流量、河道土砂濃度、累積降雨量等高線図を含み、
リアルタイム予報雨状況データは、気象観測所による今後1~3日の降雨雲マップ、水文
観測所が管理する地域の平均雨量表を含み、
履歴水文データは、水文観測所による実測履歴時刻毎降雨量、河道水位、河道流量、河道
土砂濃度、累積降雨量等高線図を含む。
本発明の一態様によれば、前記雨量閾値は、ある雨量観測所による対応する期間内の雨量
臨界値であって、今回の降量が洪水降を引き起こす可能性があるか否かを判断することに
用いられ、
前記インターバル閾値は、ある雨量観測所による対応する期間内の雨量が連続して雨量閾
値よりも低い時間の長さであって、今回の雨量の終了時間を判定することに用いられる。
本発明の一態様によれば、雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、前記履歴水文デー
タから典型的な特定回豪雨イベントをスクリーニングし、典型的な豪雨イベントを得る前
記ステップは、具体的には、
雨量閾値及びインターバル閾値を設定するステップと、
前記雨量閾値及び前記インターバル閾値に基づいて、前記履歴水文データから、1日降雨
量が前記雨量閾値よりも大きく持続降雨時間間隔が前記インターバル閾値よりも小さい典
型的な特定回豪雨イベントをスクリーニングするステップと、
前記典型的な特定回豪雨イベントから、降雨期間が最も長い降雨イベントをスクリーニン
グし、典型的な豪雨イベントを得るステップであって、前記最長降雨期間は、1日降雨量
が前記1日降雨量閾値よりも大きく持続降雨時間間隔が前記インターバル閾値よりも小さ
い最長降雨持続時間であるステップと、を含む。
本発明の一態様によれば、前記豪雨及び洪水の特徴ライブラリは、特定回豪雨特徴指標と
特定回洪水特徴指標を含み、
前記特定回豪雨特徴指標は、特定回降雨の合計期間、総降雨量、降雨が覆った面積、降雨
中心の降雨量、第1時間帯、第2時間帯、第3時間帯、第1時間帯の降雨量、第2時間帯
の降雨量、及び第3時間帯の降雨量を含み、
前記第1時間帯指は降雨の主な時間帯、第2時間帯指は降雨の二次的な時間帯、第3時間
帯指は降雨の比較的重要な時間帯であり、
なお、特定回豪雨特徴指標は特定回降雨の特徴を表すいくつかの指標パラメータであり、
数が多く、本明細書に記載の指標に限定されるものではなく、指標は分析研究の必要に応
じて選択されて記述に用いることができる。
前記特定回洪水特徴指標は、ピーク流量、総洪水量、水文観測所による洪水最大土砂濃度
、総洪水土砂量、及び最大洪水水位を含み、
前記特定回豪雨は、豪雨の始まりから終わりまでの全過程であり、前記特定回洪水は、洪
水が増水してから治まるまでの全過程である。
本発明の一態様によれば、前記典型的な豪雨イベントから前記現在の豪雨イベント特徴と
マッチングする履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできるか否かを判断する前記ス
テップは、具体的には、
前記現在の豪雨イベント特徴に基づいて、前記特徴ライブラリから類似豪雨特徴をスクリ
ーニングするステップと、
前記類似豪雨特徴に基づいて、候補履歴類似豪雨イベントを決定するステップと、
類似性比較選択方法に従って、前記候補履歴類似豪雨イベントをスクリーニングし、履歴
特定回豪雨イベントを得るステップと、を含む。
本発明の一態様によれば、前記類似性比較選択方法に従って、前記候補履歴類似豪雨イベ
ントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベントを得るステップは、具体的には、
前記候補履歴類似豪雨イベントと前記現在の豪雨イベントの類似係数を算出し、前記類似
係数に対応する前記候補履歴類似豪雨イベントは予備豪雨イベントであるステップと、
総合評価式:Xi=(1-Di/DX)*100
(式中、Xiはi回目の予備豪雨イベントの類似度であり、パーセンテージで表され、D
iはi回目の予備豪雨イベントに対応する類似係であり数、DXは類似係数のうちの最大
値である。)を用いて、前記類似係数を評価し、前記予備豪雨イベントの類似度を得るス
テップと、
前記予備豪雨イベントの類似度を並べ替えて、設定された履歴特定回豪雨イベントと同数
の予備豪雨イベントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベントを得るステップと、を
含み、
前記設定された履歴特定回豪雨イベントは、現在の豪雨イベントの降雨継続時間と総降雨
量に基づいて、豪雨特徴ライブラリからスクリーニングされた対応する履歴豪雨イベント
であり、前記スクリーニング方法は、現在の豪雨イベントの降雨継続時間と総降雨量を基
準に、降雨継続時間を±2日間延長し、総降雨量を±30%とし、要求に適合する降雨継
続時間範囲と総降雨量範囲を得て、この降雨継続時間範囲と総降雨量範囲に基づいて、対
応する履歴豪雨イベントを設定された履歴特定回豪雨イベントとしてスクリーニングであ
ることである。
本発明の一態様によれば、前記履歴洪水イベントの特徴に基づいて現在の豪雨イベントに
対して洪水早期警報を行う前記ステップは、具体的には、
履歴洪水イベントの水文観測所によるピーク流量、最大土砂濃度、総洪水土砂量、及び最
大洪水水位という特徴値を水管理部門が提供する早期警報指標と比較し、システムにおい
て早期警報指標を超える水文観測所とその特徴値を通知するステップを含む。
本発明は、さらに、
リアルタイム雨水状況データ、リアルタイム予報雨状況データ、及び履歴水文データを含
む豪雨類似性分析データを取得する取得モジュールと、
雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、前記履歴水文データから典型的な特定回豪雨
イベントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベント及び前記履歴特定回豪雨イベント
に対応する履歴洪水イベントを含む典型的な豪雨イベントを得る典型的なイベント決定モ
ジュールと、
前記典型的な豪雨イベントに基づいて、豪雨と洪水の特徴ライブラリを作成する特徴ライ
ブラリ決定モジュールと、
前記リアルタイム雨水状況データ及び前記リアルタイム予報雨状況データに基づいて、現
在の豪雨イベント特徴及び現在の洪水特徴を得る現在の特徴決定モジュールと、
前記特徴ライブラリを基にして、前記典型的な豪雨イベントから前記現在の豪雨イベント
特徴とマッチングする履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできるか否かを判断し、
前記履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできる場合、前記特徴ライブラリを基にし
て、前記典型的な豪雨イベントから現在の洪水特徴とマッチングする前記履歴特定回豪雨
イベントに対応する履歴洪水イベントをスクリーニングし、前記履歴洪水イベントの特徴
に基づいて、現在の豪雨イベントに対して洪水早期警報を行う早期警報モジュールと、を
備える、豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報システムを提供する。
本発明の一態様によれば、前記典型的なイベント決定モジュールは、
雨量閾値及びインターバル閾値を設定する設定サブモジュールと、
前記雨量閾値及び前記インターバル閾値に基づいて、前記履歴水文データから、1日降雨
量が前記雨量閾値よりも大きく且持続時間が前記インターバル閾値よりも大きい典型的な
特定回豪雨イベントをスクリーニングする特定回イベント決定サブモジュールと、
前記典型的な特定回豪雨イベントから、降雨期間が最も長い降雨イベントをスクリーニン
グし、典型的な豪雨イベントを得る典型的なイベント決定サブモジュールであって、前記
最長降雨期間は1日降雨量が前記1日降雨量閾値よりも大きく持続時間が前記インターバ
ルよりも大きい最長降雨持続時間である典型的なイベント決定サブモジュールと、を備え
る。
本発明の一態様によれば、前記豪雨及び洪水の特徴ライブラリは、特定回豪雨特徴と特定
回洪水特徴を含み、
前記特定回豪雨特徴は、特定回降雨の合計期間、総降雨量、降雨が覆った面積、降雨中心
の降雨量、第1時間帯、第2時間帯、第3時間帯、第1時間帯の降雨量、第2時間帯の降
雨量、及び第3時間帯の降雨量を含み、
前記特定回洪水特徴指標は、ピーク流量、総洪水量、ダム口にある水文観測所による洪水
最大土砂濃度、総洪水土砂量、及び最大洪水水位を含む。
本発明の一態様によれば、前記早期警報モジュールは、
前記現在の豪雨イベントの特徴に基づいて、前記特徴ライブラリから類似豪雨特徴をスク
リーニングする指標決定サブモジュールと、
前記類似豪雨特徴に基づいて、候補履歴類似豪雨イベントを決定する類似イベント決定サ
ブモジュールと、
類似性比較選択方法に従って、前記候補履歴類似豪雨イベントをスクリーニングし、履歴
特定回豪雨イベントを得る履歴イベント決定サブモジュールと、を備える。
本発明の一態様によれば、前記履歴イベント決定サブモジュールは、
前記候補履歴類似豪雨イベントと前記現在の豪雨イベントの類似係数を算出する計算部で
あって、前記類似係数に対応する前記候補履歴類似豪雨イベントは予備豪雨イベントであ
る計算部と、
総合評価式を用いて、前記類似係数を評価し、前記予備豪雨イベントの類似度を得る類似
度評価部と、
前記予備豪雨イベントの類似度を並べ替えて、設定された履歴特定回豪雨イベントと同数
の予備豪雨イベントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベントを得る履歴イベント決
定部と、を備える。
【発明の効果】
【0005】
従来技術と比べて、本発明は、以下の技術的効果を有する。
本発明は、リアルタイム雨水状況データ、リアルタイム予報雨状況データ、及び履歴水文
データを含む豪雨類似性分析データを取得するステップと、雨量閾値及びインターバル閾
値に基づいて、履歴水文データから典型的な特定回豪雨イベントをスクリーニングし、履
歴特定回豪雨イベント及び履歴特定回豪雨イベントに対応する履歴洪水イベントを含む典
型的な豪雨イベントを得るステップと、典型的な豪雨イベントに基づいて、豪雨と洪水の
特徴ライブラリを作成するステップと、リアルタイム雨水状況データ及びリアルタイム予
報雨状況データに基づいて、現在の豪雨イベントの特徴及び現在の洪水の特徴を得るステ
ップと、特徴ライブラリを基にして、典型的な豪雨イベントから現在の豪雨イベント特徴
とマッチングする履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできるか否かを判断するステ
ップと、履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできる場合、特徴ライブラリを基にし
て、典型的な豪雨イベントから現在の洪水特徴とマッチングする履歴特定回豪雨イベント
に対応する履歴洪水イベントをスクリーニングするステップと、履歴洪水イベントの特徴
に基づいて現在の豪雨イベントに対して洪水早期警報を行うステップと、を含む、豪雨と
洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法を提供する。本発明は、豪雨類似性分析データを
取得し、現在の豪雨イベント特徴に基づいて履歴特定回豪雨イベントをリアルタイムで検
索し、現在の洪水特徴に基づいて履歴特定回豪雨に対応する履歴洪水イベントをリアルタ
イムで検索することによって、現在の豪雨及び洪水の発展傾向を予測し、履歴洪水イベン
トの特徴に基づいて現在の洪水の早期警報を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報システムの構造図である。
【0007】
[符号の説明]
1 取得モジュール
2 典型的なイベント決定モジュール
3 特徴ライブラリ決定モジュール
4 現在の特徴決定モジュール
5 早期警報モジュール
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、本発明による豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法は、ステ
ップS1~S7を含む。
ステップS1:情報処理装置において、リアルタイム雨水状況データ、リアルタイム予報
雨状況データ、及び履歴水文データを含む豪雨類似性分析データを取得する。
リアルタイム雨水状況データは、水文観測所による時刻毎降雨量、河道水位、河道流量、
河道土砂濃度、累積降雨量等高線図を含み、リアルタイム予報雨状況データは、気象観測
所による今後1~3日の降雨雲マップ、水文観測所が管理する地域の平均雨量表を含み、
履歴水文データは、水文観測所による実測履歴時刻毎降雨量、河道水位、河道流量、河道
土砂濃度、累積降雨量等高線図を含む。
ステップS2:雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、履歴水文データから典型的な
特定回豪雨イベントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベント及び履歴特定回豪雨イ
ベントに対応する履歴洪水イベントを含む典型的な豪雨イベントを得る。
前記雨量閾値は、ある雨量観測所による対応する期間内の雨量臨界値であって、今回の降
量が洪水降を引き起こす可能性があるか否かを判断することに用いられ、本発明では、デ
フォルトで、単一降雨観測所の日降雨量について5mmを降雨閾値とし、この値を超える
と洪水が発生する恐れがあり、
前記インターバル閾値は、ある雨量観測所による対応する期間内の雨量が連続して雨量閾
値よりも低い時間の長さであって、今回の雨量の終了時間を判定することに用いられ、本
発明では、デフォルトで、単一降雨観測所の日降雨量が3日以上持続して5mm未満であ
ると、その時間が降雨終了時刻である。
【0009】
ステップS2は、具体的には、ステップS201とステップS202を含む。
ステップS201:雨量閾値及びインターバル閾値を設定する。
ステップS202:雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、履歴水文データから、1
日降雨量が雨量閾値よりも大きく降雨時間間隔が間隔閾値よりも小さい典型的な特定回豪
雨イベントをスクリーニングする。
具体的には、典型的な特定回豪雨洪水イベントの特徴指標識別子及び判定根拠を確立する
。降雨領域内の各代表観測所による降雨開始時間及び降雨終了時間をTSi及びTEi、
降雨量閾値Pn及びインターバル閾値DTを、特定回豪雨を識別する特徴指標と定義する
。降雨領域内の代表観測所のいずれかについては、某日(Ttp)の雨量が閾値Pnより
も大きく、時間軸に沿って前方へスライドすると、該代表観測所では、日雨量が閾値Pn
よりも大きいことを満たすインターバルがDTよりも小さい場合、当日(Ttp)をこの
代表観測所のTSiに割り当て、時間軸に沿って後方へスライドすると、某日(Ttp1
)の雨量が閾値Pnよりも大きく、時間軸に沿って後方へスライドすると、該代表観測所
では、日雨量が閾値Pnよりも大きいことを満たすインターバルがDTよりも大きい場合
、当日(Ttp1)をこの代表観測所のTEiに割り当てる。このため、1日降雨量が雨
量閾値よりも大きく持続降雨時間間隔がインターバル閾値よりも小さいことを満たす履歴
降雨イベントは典型的な特定回豪雨イベントである。
時刻毎降雨量データを基にして、累積雨量がPnを超えることを識別し、降水期間DTを
超える雨域Aを算出し、ここでは、雨域Aは、一級及び二級のサブ流域A1、A2……A
nを含む。
雨域Aを算出し、今回の降雨が影響する流域の名称、対応する制御水文観測所の名称を識
別し、水文観測所コードを取得して、流量や土砂濃度などのデータを抽出し、ステップS
3で豪雨及び洪水特徴ライブラリを作成するためのデータを提供する。
ステップS203:典型的な特定回豪雨イベントから、降雨期間が最も長い降雨イベント
をスクリーニングし、典型的な豪雨イベントを得て、最長降雨期間は、1日降雨量が1日
降雨量閾値よりも大きく持続降雨時間間隔がインターバル閾値よりも小さい最長降雨持続
時間である。
具体的には、min(TSi)、max(TEi)を、典型的な特定回豪雨の降雨開始時
間及び降雨終了時間とし、典型的な特定回豪雨合計期間Tをmax(TEi)とmin(
TSi)の差とし、今回の降雨を典型的な豪雨イベントとする。このため、得られた各日
期のTSiとTEiとを比較した結果、典型的な特定回豪雨合計期間Tが最大の典型的な
特定回豪雨イベントは、典型的な豪雨イベントである。
【0010】
ステップS3:典型的な豪雨イベントに基づいて、豪雨と洪水の特徴ライブラリを作成す
る。
豪雨及び洪水の特徴ライブラリは、特定回豪雨特徴指標と特定回洪水特徴指標を含む。
特定回豪雨特徴指標は、特定回降雨の合計期間T総、総降雨量P総、降雨が覆った面積A
、降雨中心の降雨量、降雨の主な時間帯DT1、降雨の二次的な時間帯DT2、降雨の比
較的重要な時間帯DT3及び主な時間帯DT1の降雨量、二次的な時間帯DT2の降雨量
、比較的重要な時間帯DT3の降雨量を含む。
特定回洪水特徴指標は、ピーク流量、総洪水量、ダム口にある水文観測所による洪水最大
土砂濃度、総洪水土砂量、及び最大洪水水位を含み、
特定回豪雨は、豪雨の始まりから終わりまでの全過程であり、前記特定回洪水は、洪水が
増水してから治まるまでの全過程である。
【0011】
ステップS4:リアルタイム雨水状況データ及びリアルタイム予報雨状況データに基づい
て、現在の豪雨イベント特徴及び現在の洪水特徴を得る。
具体的には、現在の豪雨イベント特徴は、雨域範囲及びこの範囲内の雨量観測所による降
雨計測情報、降雨範囲内の一級及び二級河流が制御する水文観測所による計測情報を含む
。該特定回降雨イベントの特徴指標、すなわち上記の雨量観測所及び水文観測所による計
測情報に基づいて、参照雨の降雨イベントプロセス特徴及びこれにより引き起こされる洪
水プロセス特徴情報を統計してプロットする。
現在の豪雨イベント特徴指標は、現在の豪雨イベントの特定回降雨合計期間T総、総降雨
量P総、累積雨量がPnを超える雨域A、雨域Aの総降雨量Pと雨域Aの合計期間T、降
雨中心の降雨量、降雨の主な時間帯(DT1)、降雨の二次的な時間帯(DT2)、及び
降雨の比較的重要な時間帯(DT3)、降雨の主な時間帯の降雨量、降雨の二次的な時間
帯の降雨量と降雨の比較的重要な時間帯の降雨量を含む。
現在の洪水特徴指標は、累積雨量がPnを超えるカバーレンジ内のダム口にある水文観測
を流れる水流量、水位、土砂濃度情報を含み、洪水ピーク時間、洪水量、最大土砂濃度、
累積土砂濃度、及び最高水位が計算される。
【0012】
ステップS5:特徴ライブラリを基にして、典型的な豪雨イベントから現在の豪雨イベン
ト特徴とマッチングする履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできるか否かを判断す
る。
ステップS5は、具体的には、ステップS51~ステップS53を含む。
ステップS51:現在の豪雨イベント特徴に基づいて、特徴ライブラリから類似豪雨特徴
をスクリーニングする。
具体的には、特徴ライブラリに基づいて、現在の豪雨イベントの累積降雨量がPnを超え
るカバー領域内の雨量観測所による履歴計測降雨情報をスクリーニングして抽出する。
ステップS52:類似豪雨特徴に基づいて、候補履歴類似豪雨イベントを決定する。
具体的には、現在の豪雨イベントの特定回降雨の合計期間T総を所定の程度で拡大・縮小
し、この範囲内で履歴特定回降水をスクリーニングし、放大及び縮小倍比をそれぞれk1
及びk2と定義する。
現在の豪雨イベントの特定回降雨の総降雨量P総を所定の程度で拡大・縮小し、この範囲
内で履歴特定回降水をスクリーニングし、放大及び縮小倍比をそれぞれk3及びk4とす
る。
候補履歴類似豪雨イベントは、以下を含む。
履歴特定回降水合計期間(T)及び総降雨量(P)は、k1×T総<T<k2×T総、k
3*P総<P<k4×P総を満たす。
ステップS53:類似性比較選択方法に従って、候補履歴類似豪雨イベントをスクリーニ
ングし、履歴特定回豪雨イベントを得る。
ステップS53は、具体的には、ステップS531~ステップS533を含む。
ステップS531:候補履歴類似豪雨イベントと現在の豪雨イベントの類似係数d12を
計算する。
具体的には、類似係数d12を計算する方法は2種ある。
1つは、現在の豪雨イベント及び候補履歴類似豪雨イベントの各降雨観察所による累積雨
量を比較選択因子として、下記式により候補履歴類似豪雨イベントと現在の豪雨イベント
との類似係数d12を計算することである。
【0013】
【0014】
式中、x
i1は現在の豪雨イベントの各観察所による降雨の合計期間T
総内の累積雨量で
あり、x
i2はある候補履歴類似豪雨イベントに対応する各観察所による降雨の合計期間
T
総内の累積雨量であり、β
1、β
2……β
nは重み係数である。
もう1つは、現在の豪雨イベント及び候補履歴類似豪雨イベントの累積エリア雨量、カバ
ー面積、降雨中心の降雨量及び主な時間帯DT
1の降雨量、二次的な時間帯DT
2の降雨
量、及び比較的重要な時間帯DT
3の降雨量のすべてを比較選択因子として、累積エリア
雨量、カバー面積、降雨中心の降雨量、主な時間帯DT
1の降雨量、二次的な時間帯DT
2の降雨量、及び比較的重要な時間帯DT
3の降雨量について上記式により候補履歴類似
豪雨イベントと現在の豪雨イベントとの類似係数d
12を計算する。
ここで、x
i1は現在の豪雨イベントの比較選択因子、累積エリア雨量、カバー面積、降
雨中心の降雨量である。x
i2はある回の候補履歴類似豪雨イベントの比較選択因子であ
り、β
1、β
2……β
nは重み係数である。
類似係数d
12の値が小さいほど、類似度が高く、類似係数に対応する前記候補履歴類似
豪雨イベントは予備豪雨イベントである。
ステップS532:総合評価式を用いて、類似係数を評価し、予備豪雨イベントの類似度
を得る。
具体的には、総合評価式は、以下の通りである。
X
i=(1-D
i/DX)*100
式中、X
iはi回目の予備豪雨イベントの類似度であり、パーセンテージで表され、D
i
はi回目の予備豪雨イベントに対応する類似係であり数であり、DXは類似係数のうちの
最大値である。
ステップS533:予備豪雨イベントの類似度を並べ替えて、設定された履歴特定回豪雨
イベントと同数の予備豪雨イベントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベントを得る
。
前記設定された履歴特定回豪雨イベントは、現在の豪雨イベントの降雨継続時間と総降雨
量に基づいて、豪雨特徴ライブラリからスクリーニングされた対応する履歴豪雨イベント
であり、前記スクリーニング方法は、現在の豪雨イベントの降雨継続時間と総降雨量を基
準に、降雨継続時間を±2日間延長し、総降雨量を±30%とし、要求に適合する降雨継
続時間範囲と総降雨量範囲を得て、この降雨継続時間範囲と総降雨量範囲に基づいて、対
応する履歴豪雨イベントを設定された履歴特定回豪雨イベントとしてスクリーニングであ
ることである。例えば、現在の豪雨イベントの降雨継続時間が3日なら、1~5日が許容
可能な最大継続時間範囲である。
具体的には、X
iの値を並べ替えて、X
iの値が大きいほど、予備豪雨イベントが履歴特
定回豪雨イベントである可能性が高い。
履歴特定回豪雨イベントの数を設定して、X
iの値を降順で並べ替え、履歴特定回豪雨イ
ベントのと同数のX
iの値を降順で選択する。総合評価式によれば、選択されるX
iの値
に対応するD
iが表す予備豪雨イベントは履歴特定回豪雨イベントである。ここで、X
i
はi回目の予備豪雨イベントの類似度であり、パーセンテージで表され、D
iはi回目の
予備豪雨イベントの類似値である。
ステップS6:履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできる場合、特徴ライブラリを
基にして、典型的な豪雨イベントから現在の洪水特徴とマッチングする履歴特定回豪雨イ
ベントに対応する履歴洪水イベントをスクリーニングする。
具体的には、履歴特定回豪雨イベントの開始時間と停止時間時間、カバー領域などの豪雨
特徴、特徴ライブラリを基にして、履歴特定回豪雨イベントに対応する洪水イベントをス
クリーニングし、具体的なスクリーニング内容は、以下を含む。
1.サブ流域内のダム入口にあるすべての観察所及び合流部の主流にある制御ステーショ
ンによるアルタイム/履歴特定回豪雨イベントに対応する流量プロセスグラフであって、
対応する流量プロセスグラフは、ピーク、時間帯洪水量、ピーク出現時間、洪水流出係数
、洪水波の伝播時間を含む。
2.サブ流域内のダム入口にあるすべての観察所及び合流部の主流にある制御制御ステー
ションによるリアルタイム/履歴特定回豪雨イベントに対応する土砂濃度プロセスグラフ
であって、対応する土砂濃度プロセスグラフは、土砂ピーク、総土砂量、土砂ピーク時間
、土砂輸送率を含む。
ステップS7:履歴洪水イベントの特徴に基づいて現在の豪雨イベントに対して洪水早期
警報を行うステップは、具体的には、
履歴洪水イベントの水文観測所によるピーク流量、最大土砂濃度、総洪水土砂量、及び最
大洪水水位という特徴値を水管理部門が提供する早期警報指標と比較し、システムにおい
て早期警報指標を超える水文観測所とその特徴値を通知するステップを含む。
図2に示すように、本発明による豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報システムは、
リアルタイム雨水状況データ、リアルタイム予報雨状況データ、及び履歴水文データを含
む豪雨類似性分析データを取得する取得モジュール1と、
雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、履歴水文データから典型的な特定回豪雨イベ
ントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベント及び履歴特定回豪雨イベントに対応す
る履歴洪水イベントを含む典型的な豪雨イベントを得る典型的なイベント決定モジュール
2と、
典型的な豪雨イベントに基づいて、豪雨と洪水の特徴ライブラリを作成する特徴ライブラ
リ決定モジュール3であって、具体的には、豪雨及び洪水の特徴ライブラリは、特定回豪
雨特徴と特定回洪水特徴を含み、特定回豪雨特徴は、特定回降雨の合計期間、総降雨量、
降雨が覆った面積、降雨中心の降雨量、第1時間帯、第2時間帯、第3時間帯、第1時間
帯の降雨量、第2時間帯の降雨量、及び第3時間帯の降雨量を含み、特定回洪水特徴指標
は、ピーク流量、総洪水量、ダム口にある水文観測所による洪水最大土砂濃度、総洪水土
砂量、及び最大洪水水位を含む特徴ライブラリ決定モジュール3と、
リアルタイム雨水状況データ及びリアルタイム予報雨状況データに基づいて、現在の豪雨
イベント特徴及び現在の洪水特徴を得る現在の特徴決定モジュール4と、
特徴ライブラリを基にして、典型的な豪雨イベントから現在の豪雨イベント特徴とマッチ
ングする履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできるか否かを判断し、履歴特定回豪
雨イベントをスクリーニングできる場合、特徴ライブラリを基にして、典型的な豪雨イベ
ントから現在の洪水特徴とマッチングする履歴特定回豪雨イベントに対応する履歴洪水イ
ベントをスクリーニングし、履歴洪水イベントの特徴に基づいて現在の豪雨イベントに対
して洪水早期警報を行う早期警報モジュール5と、を備える。
典型的なイベント決定モジュール2は、
雨量閾値及びインターバル閾値を設定する設定サブモジュールと、
雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、履歴水文データから、1日降雨量が雨量閾値
よりも大きく持続降雨時間間隔がインターバル閾値よりも小さい典型的な特定回豪雨イベ
ントをスクリーニングする特定回イベント決定サブモジュールと、
典型的な特定回豪雨イベントから、降雨期間が最も長い降雨イベントをスクリーニングし
、典型的な豪雨イベントを得る典型的なイベント決定サブモジュールであって、最長降雨
期間は、1日降雨量が1日降雨量閾値よりも大きく持続降雨時間間隔がインターバルより
も小さい最長降雨持続時間であるイベント決定サブモジュール、とを備える。
早期警報モジュール5は、
現在の豪雨イベントの特徴に基づいて、特徴ライブラリから類似豪雨特徴をスクリーニン
グする指標決定サブモジュールと、
類似豪雨特徴に基づいて、候補履歴類似豪雨イベントを決定する類似イベント決定サブモ
ジュールと、
類似性比較選択方法に従って、候補履歴類似豪雨イベントをスクリーニングし、履歴特定
回豪雨イベントを得る履歴イベント決定サブモジュールと、を備える。
履歴イベント決定サブモジュールは、
候補履歴類似豪雨イベントと現在の豪雨イベントの類似係数を計算し、前記類似係数に対
応する前記候補履歴類似豪雨イベントは予備豪雨イベントである計算部と、
総合評価式を用いて、類似係数を評価し、予備豪雨イベントの類似度を得る類似度評価部
と、
予備豪雨イベントの類似度を並べ替えて、設定された履歴特定回豪雨イベントと同数の予
備豪雨イベントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベントを得る履歴イベント決定部
と、を備える。
本発明の利点は、大量の履歴豪雨洪水データ及び地理情報技術に基づいて、特定回豪雨特
徴指標を統計し、類似降雨比較選択方法及び評価指標システムを確立し、好ましい類似降
雨スキームを選択して出力し、豪雨洪水の発展傾向の予測及び洪水調節対応に有効な手段
を提供する。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法であって、
情報処理装置において、リアルタイム雨水状況データ、リアルタイム予報雨状況データ、
及び履歴水文データを含む豪雨類似性分析データを取得するステップと、
雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、前記履歴水文データから典型的な特定回豪雨
イベントをスクリーニングし、履歴特定回豪雨イベント及び前記履歴特定回豪雨イベント
に対応する履歴洪水イベントを含む典型的な豪雨イベントを得るステップと、
前記典型的な豪雨イベントに基づいて、豪雨と洪水の特徴ライブラリを作成するステップ
と、
前記リアルタイム雨水状況データ及び前記リアルタイム予報雨状況データに基づいて、現
在の豪雨イベントの特徴及び現在の洪水の特徴を得るステップと、
前記特徴ライブラリを基にして、前記典型的な豪雨イベントから現在の豪雨イベント特徴
とマッチングする履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできるか否かを判断するステ
ップと、
前記履歴特定回豪雨イベントをスクリーニングできる場合、前記特徴ライブラリを基にし
て、前記典型的な豪雨イベントから現在の洪水特徴とマッチングする前記履歴特定回豪雨
イベントに対応する履歴洪水イベントをスクリーニングするステップと、
前記履歴洪水イベントの特徴に基づいて、現在の豪雨イベントに対して洪水早期警報を行
うステップと、を含む、ことを特徴とする洪水早期警報方法。
【請求項2】
前記リアルタイム雨水状況データは、水文観測所による時刻毎降雨量、河道水位、河道流
量、河道土砂濃度、累積降雨量等高線図を含み、
リアルタイム予報雨状況データは、気象観測所による今後1~3日の降雨雲マップ、水文
観測所が管理する地域の平均雨量表を含み、
履歴水文データは、水文観測所による実測履歴時刻毎降雨量、河道水位、河道流量、河道
土砂濃度、累積降雨量等高線図を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の豪雨と洪水の
類似性に基づく洪水早期警報方法。
【請求項3】
前記雨量閾値は、ある雨量観測所による対応する期間内の雨量臨界値であって、今回の降
量が洪水降を引き起こす可能性があるか否かを判断することに用いられ、
前記インターバル閾値は、ある雨量観測所による対応する期間内の雨量が連続して雨量閾
値よりも低い時間の長さであって、今回の雨量の終了時間を判定することに用いられ、
雨量閾値及びインターバル閾値に基づいて、前記履歴水文データから典型的な特定回豪雨
イベントをスクリーニングし、典型的な豪雨イベントを得る前記ステップは、
雨量閾値及びインターバル閾値を設定するステップと、
前記雨量閾値及び前記インターバル閾値に基づいて、前記履歴水文データから、1日降雨
量よりも前記雨量閾値が大きく持続降雨時間間隔が前記インターバル閾値よりも小さい典
型的な特定回豪雨イベントをスクリーニングするステップと、
前記典型的な特定回豪雨イベントから、降雨期間が最も長い降雨イベントをスクリーニン
グし、典型的な豪雨イベントを得るステップと、を含み、
前記最長降雨期間は、1日降雨量が前記1日降雨量閾値よりも大きく持続降雨時間間隔が
前記インターバル閾値よりも小さい最長降雨持続時間である、ことを特徴とする請求項1
に記載の豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法。
【請求項4】
前記履歴洪水イベントの特徴に基づいて現在の豪雨イベントに対して洪水早期警報を行う
前記ステップは、
履歴洪水イベントの水文観測所によるピーク流量、最大土砂濃度、総洪水土砂量、及び最
大洪水水位という特徴値を水管理部門が提供する早期警報指標と比較し、システムにおい
て早期警報指標を超える水文観測所とその特徴値を通知するステップを含む、ことを特徴
とする請求項1に記載の豪雨と洪水の類似性に基づく洪水早期警報方法。