IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パロマの特許一覧

<>
  • 特開-加熱調理器 図1
  • 特開-加熱調理器 図2
  • 特開-加熱調理器 図3
  • 特開-加熱調理器 図4
  • 特開-加熱調理器 図5
  • 特開-加熱調理器 図6
  • 特開-加熱調理器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088861
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/10 20060101AFI20240626BHJP
   F24C 15/08 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
F24C3/10 G
F24C15/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203868
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 直司
(57)【要約】
【課題】筐体の底部において簡単に電池交換ができる加熱調理器を提供する。
【解決手段】ガスコンロの筐体の底部には開口部が設けられる。固定枠40は開口部の内縁部に沿って固定される。電池ケース50は装着部61,62を上向きにした基本姿勢で固定枠40の内側に収容される。固定枠40には軸支部461が設けられる。軸支部461は筐体の開口部を開閉するように電池ケース50の後端部を回動可能に軸支する。電池ケース50は収容位置と交換位置との間を移動可能である。交換位置は、開口部よりも下方であって装着部61,62が開口部から露出する位置である。オイルダンパ70は固定枠40に設けられ、電池ケース50の回動に抵抗をかけることで、電池ケース50の回動速度を制限する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の底部に設けられた開口部と、
電池が装着される装着部を上向きにした基本姿勢で、前記開口部の内側に収容される電池ケースと、
前記開口部に設けられ、前記開口部を開閉するように前記電池ケースの一端部を回動可能に軸支することによって、前記電池ケースを、前記開口部の内側に前記基本姿勢で収容される収容位置と、前記開口部よりも下方であって前記装着部が前記開口部から露出する交換位置との間を移動可能とする支持部と、
前記支持部に設けられ、前記電池ケースの回動速度を制限する抵抗部と、
前記収容位置に移動した前記電池ケースの位置の固定、及び該位置の固定の解除が可能な操作部と
を備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記抵抗部はオイルダンパであること
を特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記交換位置に位置する前記電池ケースの前記装着部は、前記筐体の前方を向いていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記装着部の互いに対向する一対の内壁部の夫々には、前記電池の電極と接触する端子部が設けられ、
前記電池ケースの前記一端部とは、前記一対の内壁部のうち一方の内壁部が配置される側の一端部であって、
前記支持部は、前記底部と平行に延びる回転軸を中心に、前記電池ケースの前記一端部を回動可能に軸支すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記支持部は、
前記開口部の内縁部に沿って固定される固定枠と、
前記固定枠に設けられ、前記開口部を開閉するように前記電池ケースの前記一端部を回動可能に軸支する軸支部と
を備え、
前記電池ケースは、前記固定枠の内側に収容されたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記操作部は、前記軸支部が軸支する前記電池ケースの前記一端部とは反対側の他端部に設けられ、
前記電池ケースが前記収容位置の状態で、前記固定枠に設けられた被係合部に係止する係合部と、
前記係合部を前記被係合部に対して係脱可能に移動させる移動操作部と
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、器具の前面側に電池ケースを設け、器具前面からの電池交換等を可能とするコンロが知られている(例えば特許文献1参照)。また、キッチンカウンタに組み込まれるビルトイン式のコンロであって、器具の底面部に開口部を設け、その開口部に下向きに開口する電池ケースを固定したコンロも知られている。このようなコンロの場合、ユーザはキッチンカウンタの内側から器具の底面部に手を伸ばし、電池ケースに対して下方から電池交換を行う。電池ケースは下向きに開口するので、内側に装着された電池が脱落しないように、その開口端には複数の爪が設けられる。複数の爪は開口端の内側に向けて突出し、内側に装着された電池を下方から抱え込む構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-119245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開口端に設けられた複数の爪は開口端の内側に向けて突出しているので、電池を下方から押し込んで装着する際に複数の爪に電池が当たることから、電池の嵌め込みがややきつくなり、電池交換がやり難いという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、筐体の底部において簡単に電池交換ができる加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の加熱調理器は、筐体と、前記筐体の底部に設けられた開口部と、電池が装着される装着部を上向きにした基本姿勢で、前記開口部の内側に収容される電池ケースと、前記開口部に設けられ、前記開口部を開閉するように前記電池ケースの一端部を回動可能に軸支することによって、前記電池ケースを、前記開口部の内側に前記基本姿勢で収容される収容位置と、前記開口部よりも下方であって前記装着部が前記開口部から露出する交換位置との間を移動可能とする支持部と、前記支持部に設けられ、前記電池ケースの回動速度を制限する抵抗部と、前記収容位置に移動した前記電池ケースの位置の固定、及び該位置の固定の解除が可能な操作部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の加熱調理器の前記抵抗部はオイルダンパであってもよい。
【0008】
請求項3の加熱調理器の前記交換位置に位置する前記電池ケースの前記装着部は、前記筐体の前方を向いていてもよい。
【0009】
請求項4の加熱調理器の前記装着部の互いに対向する一対の内壁部の夫々には、前記電池の電極と接触する端子部が設けられ、前記電池ケースの前記一端部とは、前記一対の内壁部のうち一方の内壁部が配置される側の一端部であって、前記支持部は、前記底部と平行に延びる回転軸を中心に、前記電池ケースの前記一端部を回動可能に軸支してもよい。
【0010】
請求項5の加熱調理器の前記支持部は、前記開口部の内縁部に沿って固定される固定枠と、前記固定枠に設けられ、前記開口部を開閉するように前記電池ケースの前記一端部を回動可能に軸支する軸支部とを備え、前記電池ケースは、前記固定枠の内側に収容してもよい。
【0011】
請求項6の加熱調理器の前記操作部は、前記軸支部が軸支する前記電池ケースの前記一端部とは反対側の他端部に設けられ、前記電池ケースが前記収容位置の状態で、前記固定枠に設けられた被係合部に係止する係合部と、前記係合部を前記被係合部に対して係脱可能に移動させる移動操作部とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の加熱調理器によれば、筐体の底部の開口部から電池ケースを下方に回動させることによって、電池の装着部を露出させることができるので、電池交換がやり易い。また、抵抗部によって電池ケースがゆっくり降りてくるので、突然下方に開くようなことがない。従って、急激に下方に開くことによる衝撃により、電池の脱落と支持部が破損する可能性を低減できる。また、操作部によって、電池ケースを開口部の内側に収容した基本姿勢で保持できる。
【0013】
請求項2の加熱調理器によれば、オイルダンパを使用することで、電池ケースの回動速度を効果的に制限できる。
【0014】
請求項3の加熱調理器によれば、ユーザは加熱調理器の正面側に位置した状態で、交換位置に位置する電池ケースの装着部に対して電池を前方から容易に脱着できる。
【0015】
請求項4の加熱調理器によれば、互いに対向する一対の内壁部の夫々には端子部が設けられ、それら一対の内壁部のうち一方の内壁部が配置される側の電池ケースの一端部が軸支される。これにより、電池ケースは他方の内壁部側を下にして回動して降りてくる。従って、装着部が上下方向に立った状態で、電池ケースが交換位置に配置される。これにより、筐体の底部から下方に離れた位置で、装着部に対して電池を縦方向に装着できるので、電池交換が容易である。
【0016】
請求項5の加熱調理器によれば、電池ケースを開口部の内縁部に直接軸支するのではなく、内縁部に沿って固定される固定枠に対して軸支するので、開口部の内縁部にかかる負荷が一箇所に集中することなく、電池ケースを安定して支持できる。
【0017】
請求項6の加熱調理器によれば、電池ケースを収容位置の状態で固定枠の被係合部に係合部を係合させることができる。また移動操作部の操作で係合部による係合、又は係合を解除できるので操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ガスコンロ1の斜視図である。
図2】ガスコンロ1の底壁22側から見た斜視図である。
図3図2の状態から電池ケース50を引き下げたときの斜視図である。
図4】電池ケースユニット100の斜視図である。
図5図4の状態から電池ケース50を引き下げたときの斜視図である。
図6】保護カバー30に覆われた電池ケースユニット100の斜視図である。
図7図6の状態から電池ケース50を引き下げたときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に記載される装置構成などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。本実施形態では、図中に示す前後、左右、上下の向きを使用して説明する。
【0020】
図1図3を参照し、ガスコンロ1の構成を説明する。図1に示すガスコンロ1は図示しないキッチンカウンタのカウンタトップの開口に落とし込まれて設置されるビルトインコンロである。ガスコンロ1は筐体2を備える。筐体2は上部が開口し、周壁21と底壁22を備える。筐体2の開口する上部には天板3が固定される。天板3の上面には二つのコンロバーナ4,5が前後方向に並んで設けられる。天板3の前端部には操作部6が設けられている。操作部6には2つの操作ツマミ7,8が左右方向に離間して設けられる。ユーザは、操作ツマミ7,8を回動操作することにより、コンロバーナ4,5の点火、消火及び火力調節等ができる。
【0021】
図2に示すように、筐体2の底壁22には、上方に窪んだ領域である3つの凹部24~26が設けられる。凹部24は底壁22の左後方角部近傍に設けられる。凹部24には接続口28が設けられる。接続口28には、ガス栓(図示略)から延びるガス管(図示略)が接続される。凹部26は底壁22の右側且つ後ろ寄りに設けられる。凹部25は底壁22の略中央部から前側の領域にかけて設けられる。凹部25には開口部251が設けられる。開口部251は底面視前後方向にやや長い略矩形状である。開口部251の前後方向の中央部の右側にはスリット252が設けられる。開口部251を中央に挟んでスリット252とは反対側の位置にはネジ孔253が設けられる。
【0022】
電池ケースユニット100は、開口部251に対して下方から嵌め込まれて固定される。電池ケースユニット100には、電池ケース50が下方向に開閉可能に設けられる(図2図3参照)。図3に示すように、電池ケース50は後端部が後述の固定枠40に軸支されることによって、電池ケース50の前側が下がり、電池ケース50の内側に設けられた装着部61,62が前方に向けて露出する。装着部61,62には、2個の乾電池B1,B2(図7参照)が装着される。
【0023】
図4図5を参照し、電池ケースユニット100の構造について説明する。電池ケースユニット100は、固定枠40と電池ケース50を備える。固定枠40は筐体2の開口部251(図2参照)の内縁部に沿って下方から固定され、電池ケース50を開閉可能に軸支する。
【0024】
固定枠40の構造について説明する。固定枠40は平面視前後方向にやや長い略矩形状の枠体である。固定枠40の中央には開口400(図5参照)が設けられる。開口400は平面視前後方向にやや長い略矩形状である。固定枠40の後端部の右側と左側には、上下方向に貫通する固定穴401,402が設けられる。
【0025】
図5に示すように、開口400の内縁部には、筒壁42が上方に向けて立設される。筒壁42は、前壁部43、右壁部44、左壁部45、後壁部46を備える。前壁部43の前面の右側と左側の夫々の上端寄りには、前方に突出する左右一対の係止部431,432が設けられる。前壁部43の後面の左右方向略中央部には筒部48が設けられる。筒部48は上下方向に延びる筒状に形成され、その内側には挿入孔49が設けられる。挿入孔49の内側にはロック溝491(図7参照)が設けられる。
【0026】
図5に示すように、右壁部44の外面(右面)の前側と後ろ側の夫々の下端寄りには、突起部441,442が右方に突出して設けられる。右壁部44の前後方向の中央部よりもやや後方には係合溝411が設けられる。係合溝411は上方に向けて開口する側面視略U字状の溝である。左壁部45の外面(左面)の前側と後ろ側の夫々の下端寄りには、突起部451,452が左方に突出して設けられる。左壁部45の後端側には固定ギア435が設けられる。固定ギア435は左側面視略扇型に形成され、その外周部には歯部436が形成される。歯部436は、電池ケース50の回動時に後述のオイルダンパ70の摺動ギア71が通過する軌跡に沿って配置される。左壁部45において固定ギア435の前側に隣接する位置には、除け溝434が設けられる。除け溝434は上方に向けて開口する側面視幅広の略U字状の溝である。除け溝434は、オイルダンパ70の摺動ギア71を内側に配置できる程度の幅を有する。後壁部46の内面(前面)には、軸支部461が設けられる。軸支部461は電池ケース50の後述の軸部51を回動可能に軸支する。
【0027】
図4図5を参照し、電池ケース50の構造について説明する。なお、本実施形態では説明の便宜上、装着部61,62を上向きにした基本姿勢の向き(図4参照)で、電池ケース50の構造を説明する。電池ケース50は上面が開口する略箱状に形成され、底壁52、前壁53、右壁54、左壁55、後壁56を備える。電池ケース50は樹脂で形成される。底壁52は平面視前後方向にやや長い略矩形状に形成される。底壁52の上面における左右方向の中央線に沿って仕切壁57が立設される。仕切壁57は側面視前後方向に延びる略矩形状に形成される。前壁53は正面視左右方向にやや長い略矩形状に形成される。後壁56は背面視左右方向にやや長い略矩形状に形成される。右壁54は前後方向に延びる板状に形成され、その上端部は右側面視幅広の略U字状に形成される。左壁55も前後方向に延びる板状に形成され、その上端部は左側面視幅広の略U字状に形成される。
【0028】
後壁56の後面の中央部には軸部51(図5参照)が設けられる。軸部51は左右方向に延びる略角柱状に形成され、筐体2の底壁22と平行である。軸部51の左右両端部は、固定枠40の軸支部461により回動可能に軸支される。後壁56の後面の右上角部には、突出片58が設けられる。突出片58は後方に突出し且つ左右方向に面方向を向けた側面視略半円状に形成される。突出片58の右面には右方に突出する係合部581が設けられる。
【0029】
後壁56の後面の左上角部には保持腕59が設けられる。保持腕59は側面視略逆L字状に形成され、後壁56の後面から後方に延び、その後端側が斜め下方に屈曲する。保持腕59の下面部にはオイルダンパ70が保持される。オイルダンパ70の左側には摺動ギア71が回転可能に設けられる。オイルダンパ70はオイルの粘性を利用して摺動ギア71の回転に抵抗をかける。摺動ギア71は径方向において、固定枠40の左壁部45の後端部に設けられた固定ギア435の歯部436と噛合する。
【0030】
電池ケース50の内側において、仕切壁57の右側には装着部61が設けられ、仕切壁57の左側には装着部62が設けられる。装着部61,62には、乾電池B1,B2が横並びに装着される。装着部61において、後壁56の内面(前面)の右側には端子部561が設けられ、前壁53の内面(後面)の右側には端子部562が設けられる。装着部62において、後壁56の内面(前面)の左側には端子部564が設けられ、前壁53の内面(後面)の左側には端子部563が設けられる。装着部61に装着された乾電池B1の+極は端子部562と接触し、-極は端子部561と接触する。装着部62に装着された乾電池B2の+極は端子部564と接触し、-極は端子部563と接触する。このため、乾電池B1とB2は+と-の向きが相互に逆の状態で装着部61,62に装着される。よって、電池ケース50においては乾電池B1とB2が直列に相互に接続される。
【0031】
底壁52の前端部には、前側延設片501が設けられる。前側延設片501は前方に延び、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。前側延設片501の下面で且つ左右方向の略中央部には、操作部65が設けられる。操作部65は、ツマミ650、操作軸653、一対の係合部654,655を備える。ツマミ650は上下方向に軸心を有する略円筒状に形成され、前側延設片501の左右方向中央部に設けられた支持台502に回転可能に支持される。ツマミ650の外周面には、互いに逆向きに突出する一対の突起部651,652が設けられる。突起部651,652に対して指を掛け易いので、ツマミ650の操作性を向上できる。操作軸653はツマミ650の内側から軸方向に沿って上方に突出する。一対の係合部654,655は、操作軸653の先端部に設けられ、該操作軸653に直交する方向の両側に突出する。
【0032】
本実施形態では、電池ケース50が固定枠40側に回動し、装着部61,62が上向きになった基本姿勢で、且つ開口400の内側に配置されたときの電池ケース50の位置を収容位置(図4参照)とする。また、収容位置から電池ケース50が軸支部461を中心に下方に回動し、開口400よりも下方であって、装着部61,62が前方に露出する位置を交換位置(図5参照)とする。
【0033】
図2図4を参照し、底壁22の開口部251への電池ケースユニット100の固定方法の一例について説明する。ガスコンロ1の筐体2の下方において、作業者は、電池ケースユニット100を基本姿勢の状態から前側がやや高くなるように傾斜させ、固定枠40の前壁部43側を、筐体2の底壁22の開口部251に対して下方から挿入する。そして、前壁部43の前面に設けられた係止部431,432を、開口部251の前縁部に対して上方から係止させる。このとき、開口部251の前縁部は、係止部431,432の夫々の下面と固定枠40の前端部の上面との間に配置される。これにより、固定枠40の前端部が開口部251の前縁部に位置決めされる。
【0034】
次いで、固定枠40の前端部が位置決めされた状態で、固定枠40の後端側を底壁22側に押し上げる。電池ケース50は開口部251の内側に収容され、固定枠40の外周部が底壁22の下面と接触する。このとき、固定枠40の後端側に設けられた固定穴401,402は、底壁22に設けられた一対のコンロ側固定穴(図示略)と相対する。作業者は固定枠40の後端側を下方から支えた状態で、固定穴401,402に対して下方からネジ91,92(図2参照)を挿入し、底壁22に設けられた一対のコンロ側固定穴に締結する。これにより、固定枠40が底壁22の開口部251の内縁部に固定されるので、電池ケースユニット100が底壁22に固定される。
【0035】
図6図7を参照し、保護カバー30について説明する。上記の通り、電池ケースユニット100は筐体2の底壁22に固定され、電池ケース50は筐体2内に収容された状態である。筐体2内において、電池ケース50はコンロバーナ4,5の下側に位置する。そこで本実施形態では、筐体2内に保護カバー30を取り付け、電池ケースユニット100を上方から覆う。これにより、コンロバーナ4,5から筐体2内を伝って下方に流れた煮汁が電池ケース50に直接かかるのを防止できる。
【0036】
保護カバー30は下面が開口する略直方体状の箱である。保護カバー30は、上壁31、右壁32、左壁33、前壁34、後壁35を備え、例えば一枚の金属板を折り曲げて作成される。右壁32の下端部の中間部には、右方に向かってクランク状に突出する係合片37が設けられる。左壁33の下端部の中間部には左方に突出する固定片38が設けられる。固定片38の中央には上下方向に貫通する固定穴38Aが設けられる。
【0037】
保護カバー30の取付方法の一例について説明する。なお、保護カバー30の取り付け作業は、電池ケースユニット100を底壁22に取り付ける前、若しくは取り付けた後のどちらでもよい。天板3を固定する前の筐体2(図2参照)内において、作業者は保護カバー30(図6参照)を水平な姿勢から右側にやや傾けた状態で、底壁22の開口部251を上方から覆いつつ、右壁32の係合片37をスリット252に上方から差し込む(図2参照)。これで保護カバー30の右壁32が底壁22に位置決めされる。
【0038】
次いで、その状態で保護カバー30の左壁33側を下げて固定片38を底壁22の上面に当接させる。固定片38の固定穴38Aは、底壁22のネジ孔253上に重ねて配置される。作業者は筐体2内から固定穴38Aに対して上方からネジ93を差し込み、ネジ孔253に締結する(図2参照)。このようにして、保護カバー30は底壁22の内面(上面)に取り付けられる。
【0039】
図4図7を参照し、電池ケース50の開閉操作について説明する。図6に示すように、電池ケース50が収容位置にあるとき、電池ケース50は筐体2内に基本姿勢の状態で収容される(図2参照)。このとき、ツマミ650の操作軸653は、固定枠40の筒部48の挿入孔49に対して下方から挿入して配置される。そして、操作軸653に設けられた一対の係合部654,655は、挿入孔49の内側のロック溝491と係合する。これにより、電池ケース50は固定枠40に固定されてロックした状態となる。電池ケース50が固定枠40にロックした状態では、ツマミ650に設けられた一対の突起部651,652は前後方向に並んで配置される。従って、ユーザは一対の突起部651,652の位置を確認することで、固定枠40が適切にロックされているか否かを容易に判断できる。
【0040】
電池ケース50の電池交換を行う為、ユーザはキッチンカウンタ内に正面から手を伸ばし、電池ケース50のツマミ650を所定方向に回動する。このとき、一対の突起部651,652が左右方向に並ぶ位置となるまで回動すればよい。ツマミ650と一体して操作軸653が回転すると、ロック溝491から一対の係合部654,655が外れる。これにより、電池ケース50のロックが解除されるので、電池ケース50は自重により軸支部461を中心に前端側が下方向に回動する。
【0041】
電池ケース50の回動に伴い、オイルダンパ70の摺動ギア71は、固定枠40の固定ギア435の歯部436に沿って回転する。これにより、電池ケース50の回動に抵抗がかかるため、オイルダンパ70は電池ケース50の回動速度に制限をかけることができる。よって、仮にユーザが電池ケース50から手を離しても、電池ケース50は急激に開くようなことが無く、適切な速度でゆっくり開く。
【0042】
そして、電池ケース50が固定枠40に対して90°近くまで開いたとき、固定枠40の右壁部44の後端側に設けた係合溝411に対して、電池ケース50の係合部581が上方から係合する。これにより、電池ケース50の回動が停止し、電池ケース50が交換位置に位置決めされる。上記の通り、電池ケース50はオイルダンパ70の抵抗によりゆっくり開くので、固定枠40の軸支部461、係合溝411、電池ケース50の軸部51、係合部581等にかかる負荷を効果的に軽減できる。また、係合溝411に係合部581が係合するときの衝撃を軽減できるので、電池ケース50から乾電池B1,B2が脱落するのを防止できる。
【0043】
また、電池ケース50が交換位置に位置決めされた状態では、装着部61,62は筐体2の前方に向けて露出するの。これにより、ユーザはガスコンロ1の正面側に位置した状態で、装着部61,62に対して乾電池B1,B2を前方から容易に装着又は取り外すことができる。
【0044】
また、電池ケース50は、軸支部461を中心に、端子部562,564が設けられる前壁53側を下にして回動する。これにより、電池ケース50は、装着部61,62が上下方向に立った状態で交換位置に位置決めされる。これにより、筐体2の底壁22から下方に離れた位置で、装着部61,62に対して乾電池B1,B2を縦方向に装着できるので、電池交換が容易である。
【0045】
また、ガスコンロ1は底壁22の開口部251の内縁部に対して、固定枠40を固定し、その固定枠40に対して電池ケース50を回動可能に軸支させるので、開口部251の内縁部に対して電池ケース50を直接軸支した構成に比べて、開口部251の内縁部にかかる負荷が一箇所に偏らない。これにより、ガスコンロ1は筐体2の開口部251に対して、固定枠40を介して電池ケース50を安定して支持できる。
【0046】
そして、乾電池B1,B2の交換作業が完了した後、作業者は電池ケース50の前端側を押し上げて軸支部461を中心に回動させる。これにより、ツマミ650の操作軸653が、固定枠40の筒部48の挿入孔49に下方から挿入され、電池ケース50の前側延設片501が固定枠40の前壁部43の下端部に当接する。このとき、固定枠40の開口400は電池ケース50で閉じられる。ユーザは電池ケース50の底壁52を下方から支えた状態で、ツマミ650を所定方向とは反対方向に回動する。すると、操作軸653に設けられた一対の係合部654,655が、挿入孔49の内側に設けられたロック溝491と係合する。これにより、電池ケース50は固定枠40に固定されてロックした状態となるので、筐体2内の収容位置に保持される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のガスコンロ1は、筐体2、開口部251、固定枠40、電池ケース50、オイルダンパ70、操作部65を備える。開口部251は筐体2の底部に設けられる。固定枠40は開口部251の内縁部に沿って設けられる。電池ケース50は装着部61,62を上向きにした基本姿勢で、固定枠40の内側に収容される。固定枠40には軸支部461が設けられる。軸支部461は開口部251を開閉するように電池ケース50の後端部を回動可能に軸支する。電池ケース50は収容位置と交換位置との間を移動可能である。交換位置は、開口部251よりも下方であって装着部61,62が開口部251から露出する位置である。オイルダンパ70は固定枠40に設けられ、電池ケース50の回動に抵抗をかけることで、電池ケース50の回動速度を制限する。操作部65は電池ケース50の前端部に設けられる。操作部65はツマミ650と操作軸653を備える。操作軸653の先端部には一対の係合部654,655が設けられる。電池ケース50が収容位置に移動すると、固定枠40に設けられた挿入孔49の内側に操作軸653が挿入される。ツマミ650を回転させると操作軸653が一体して回転し、一対の係合部654,655が挿入孔49の内側に設けられたロック溝491に係止する。
【0048】
上記構成により、ガスコンロ1は、筐体2の底壁22の開口部251から電池ケース50を下方に回動させることによって、乾電池B1,B2の装着部61,62を露出させることができるので、容易に電池交換ができる。また、オイルダンパ70によって電池ケース50がゆっくり回動するので、突然下方に開くようなことがない。これにより、急激に下方に開くことの衝撃によって乾電池B1,B2の脱落、及び固定枠40が破損する可能性を低減できる。また、ガスコンロ1は操作部65によって、電池ケース50を開口部251の内側に収容した基本姿勢で保持できる。
【0049】
また、上記実施形態では、電池ケース50を筐体2の開口部251の内縁部に直接軸支するのではなく、内縁部に沿って固定される固定枠40に設けられた軸支部461に軸支するので、開口部251の内縁部にかかる負荷が一箇所に集中することがない。従って、ガスコンロ1は電池ケース50を安定して支持できる。
【0050】
上記説明において、ガスコンロ1は本発明の「加熱調理器」の一例である。筐体2の底壁22は本発明の「底部」の一例である。開口部251は本発明の「開口部」の一例である。固定枠40と軸支部461は本発明の「支持部」の一例である。電池ケース50の後端部は本発明の「電池ケースの一端部」の一例である。電池ケース50の軸部51は本発明の「回転軸」の一例である。電池ケース50の前壁53と後壁56は本発明の「一対の内壁部」の一例である。後壁56は本発明の「一方の内壁部」の一例である。オイルダンパ70は本発明の「抵抗部」の一例である。操作軸653の先端部に設けられた一対の係合部654,655は本発明の「係合部」の一例である。挿入孔49のロック溝491は本発明の「被係合部」の一例である。操作部65のツマミ650と操作軸653は本発明の「移動操作部」の一例である。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態では、本発明の「加熱調理器」の一例として、ガスコンロ1を説明したが、これ以外の加熱調理器であってもよく、例えば、グリル、オーブン、炊飯器、電磁式コンロ等であってもよい。また、ガスコンロ1はビルトインコンロであるが、テーブルコンロであってもよい。
【0052】
上記実施形態では、オイルダンパ70により電池ケース50の回動に抵抗をかけているが、これ以外の部品又は機構で抵抗をかけてもよく、例えばオイル式以外のダンパ(例えばエアダンパ)であってもよい。
【0053】
電池ケース50には2つの装着部61,62を備えるが、1つでもよく、3つ以上であってもよい。また、交換位置に位置決めされた状態では、装着部61,62は上下方向に立った状態であるが、左右方向に寝た状態としてもよい。
【0054】
操作部65では、ツマミ650を回動することで操作軸653が一体して回転し、一対の係合部654,655が挿入孔49のロック溝491が外れるようになっているが、操作部65の構造は上記実施形態に限定されない。底壁22における開口部251の内縁部に対する固定枠40の固定構造、底壁22に対する保護カバー30の固定構造においても上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0055】
1 ガスコンロ
2 筐体
3 天板
6 操作部
40 固定枠
50 電池ケース
51 軸部
61,62 装着部
65 操作部
70 オイルダンパ
251 開口部
411 係合溝
461 軸支部
491 ロック溝
561~564 端子部
650 ツマミ
654,655 係合部
B1,B2 乾電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7