(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088865
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】歯科技工用作業模型及びこれに用いるダウエルピン
(51)【国際特許分類】
A61C 13/34 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
A61C13/34 A
A61C13/34 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203878
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】507207177
【氏名又は名称】有限会社齋藤歯研工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直仁
(57)【要約】
【課題】 ダウエルピンの材料を少なく抑えるとともに、その加工時間も短縮して加工費も抑えることができる歯科技工用作業模型を提供すること。
【解決手段】 歯形模型4が固定される固定用プレート6と、固定用プレート6に植設された複数のダウエルピン8と、固定用プレート6を支持するための支持基台10とを備えた歯科技工用作業模型。支持基台10の上面には複数の挿入孔18が設けられ、各挿入孔18の挿入側開口部は先端側に向けて内径が漸減する円錐状に形成されている。各ダウエルピン8は、挿入孔18に支持されるピン本体部38と、ピン本体部38から先端側に延びる先端側部40と、ピン本体部38から基端側に延びる基端側部42とを有している。ダウエルピン8のピン本体部38は、挿入孔18の挿入側開口部に対応して、先端側に向けて外径が漸減する円錐状に形成され、このピン本体部38が挿入孔18の挿入開口部に支持される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯形模型が固定される固定用プレートと、前記固定用プレートに植設された複数のダウエルピンと、前記固定用プレートを支持するための支持基台と、を備えた歯科技工用作業模型であって、
前記支持基台の上面には、前記複数のダウエルピンを挿入するための複数の挿入孔が設けられ、前記複数の挿入孔の少なくとも挿入側開口部は、先端側に向けて内径が漸減する円錐状に形成ており、
前記複数のダウエルピンは、前記支持基台の複数の挿入孔に支持されるピン本体部と、前記ピン本体部から先端側に延びる先端側部と、前記ピン本体から基端側に延びる基端側部とを有し、前記複数のダウエルピンの前記ピン本体部は、前記支持基台側の前記複数の挿入孔の前記挿入側開口部に対応して、先端側に向けて外径が漸減する円錐状に形成され、前記複数のダウエルピンの前記基端側部は、前記固定プレートに埋設されており、
前記複数のダウエルピンを前記複数の挿入孔に挿入して前記固定プレートを前記支持基台に載置すると、前記複数のダウエルピンの前記ピン本体部の外周面が、前記支持基台側の前記複数の挿入孔の前記挿入側開口部の内周面に支持され、この載置状態においては、前記複数のダウエルピンの先端側部は、前記支持基台側の前記複数の挿入孔の内周面に実質上支持されないことを特徴とする歯科技工用作業模型。
【請求項2】
前記複数のダウエルピンの前記ピン本体部の軸方向の長さは、1.2~5.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の歯科技工用作業模型。
【請求項3】
前記複数のダウエルピンの前記基端側部の端部は、その端面の外径が前記基端側部の他の部位に比して小さくなるように円錐状又は円段状に、或いは前記基端側部が細い円柱状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯科技工用作業模型。
【請求項4】
前記支持基台の前記上面における少なくとも一側縁の一部には、上方に突出する第1係合突部が設けられ、また前記第1係合突部の内側部には、複数の第1突状部及び複数の第1凹状部が交互に設けられており、
更に、前記固定用プレートの下面における少なくとも一側縁の一部には、前記支持基台側の前記第1係合突部に対応して第1係合凹部が設けられ、また前記固定プレート側の前記第1係合凹部の内側部には、前記支持基台側の前記複数の第1突状部及び前記複数の第1凹状部に対応して複数の第1凹状部及び複数の第1突状部が交互に設けられており、
前記複数のダウエルピンを前記複数の挿入孔に挿入して前記固定プレートを前記支持基台に載置すると、前記支持基台側の前記第1係合突部が前記固定プレート側の前記第1係合凹部に係合されるとともに、前記支持基台側の前記複数の第1突状部及び前記複数の第1凹状部は、前記固定プレート側の前記複数の第1凹状部及び前記複数の第1突状部に係合されることを特徴とする請求項1に記載の歯科技工用作業模型。
【請求項5】
前記支持基台の前記上面の両側縁の一部には、上方に突出する第1係合突部及び第2係合突部が設けられ、また前記第1係合突部の内側部には、複数の第1突状部及び複数の第1凹状部が交互に設けられているとともに、前記第2係合用突部の内側面には、複数の第2突状部及び複数の第2凹状部が交互に設けられており、
更に、前記固定用プレートの下面の両側縁の一部には、前記支持基台側の前記第1係合突部及び第2係合突部に対応して第1係合凹部及び第2係合凹部が設けられ、また前記固定プレート側の前記第1係合用部の内側部には、前記支持基台側の前記複数の第1突状部及び前記複数の第1凹状部に対応して、複数の第1凹状部及び複数の第1突状部が交互に設けられているとともに、前記支持基台側の前記複数の第2突状部及び前記複数の第2凹状部に対応して、複数の第2凹状部及び複数の第2突状部が交互に設けられており、
前記複数のダウエルピンを前記複数の挿入孔に挿入して前記固定プレートを前記支持基台に載置すると、前記支持基台側の前記第1係合突部及び前記第2係合突部が前記固定プレート側の前記第1係合凹部及び前記第2係合凹部に係合されるとともに、前記支持基台側の前記複数の第1突状部及び前記複数の第2突状部並びに前記複数の第1凹状部及び前記複数の第2凹状部は、前記固定プレート側の前記複数の第1凹状部及び前記複数の第2凹状部並びに前記複数の第1突状部及び前記複数の第2突状部に係合されることを特徴とする請求項1に記載の歯科技工用作業模型。
【請求項6】
前記支持基台の前記上面における一側縁と前記複数の挿入孔との間の内側領域には、複数の小突部が設けられ、また前記固定用プレートの下面には、前記支持基台側の前記複数の小突部に対応して複数の小凹部が設けられており、
前記複数のダウエルピンを前記複数の挿入孔に挿入して前記固定プレートを前記支持基台に載置すると、前記支持基台側の前記複数の小突部が前記固定プレート側の前記複数の小凹部に係合されることを特徴とする歯科技工用作業模型。
【請求項7】
固定用プレートを支持するための支持基台に設けられた挿入孔に挿入支持されるダウエルピンであって、
前記支持基台の挿入孔に支持されるピン本体部と、前記ピン本体部から先端側に延びる先端側部と、前記ピン本体から基端側に延び且つ前記固定用プレートに埋設される基端側部とを有し、前記ピン本体部は、前記挿入孔の挿入開口部の形状に対応するように、先端側に向けて外径が漸減する円錐状に形成され、前記ピン本体部を前記挿入孔の前記挿入側開口部に装着した状態において、前記先端側部は前記挿入孔の内周面に実質上支持されないように構成されていることを特徴とするダウエルピン。
【請求項8】
前記ピン本体部の軸方向の長さは、1.2~5.0mmであることを特徴とする請求項7に記載のダウエルピン。
【請求項9】
前記基端側部の端部は、その端面の外径が前記基端側部の他の部位に比して小さくなるように円錐状又は円段状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のダウエルピン。
【請求項10】
固定用プレートに植設されるダウエルピンであって、
前記支持基台の挿入孔に支持されるピン本体部と、前記ピン本体から基端側に延び且つ前記固定プレートに埋設される基端側部とを有し、前記基端側部の端部は、その端面の外径が前記基端側部の他の部位に比して小さくなるように円錐状又は円段状に、或いは前記基端側部が細い円柱状に形成されていることを特徴とするダウエルピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療などにおいて用いられる歯科技工用作業模型及びこれに用いるダウエルピンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、歯科治療などにおいて用いられる歯科技工用作業模型は、歯形模型が固定される固定用プレートと、固定用プレートに植設された複数のダウエルピンと、固定用プレートを支持するための支持基台と、を備えており、この固定用プレートの上面に、歯形模型が固定される(例えば、特許文献1の
図5参照)。支持基台は合成樹脂から形成され、その上面にはダウエルピンを挿入するための複数の挿入孔が設けられ、これら挿入孔は支持基台に間隔を置いて配設される。
【0003】
この支持基台の上面の一側縁には第1係合突部が設けられ、この第1係合突部の内側部に、複数の第1突状部及び複数の第1凹状部が交互に設けられ、またその他側縁には第2係合突部が設けられ、この第2係合突部の内側部に、複数の第2突状部及び第2凹状部が設けられている。
【0004】
一方、固定用プレートは石膏から形成され、その下面の両側縁には、支持基台側の第1及び第2係合突部に対応して、第1及び第2係合凹部が設けられ、この第1係合凹部の内側部に、支持基台側の複数の第1突状部及び複数の第1凹状部に対応して、複数の第1凹状部及び複数の第1突状部が設けられ、また第2係合凹部の内側部に、支持基台側の複数の第2突状部及び複数の第2凹状部に対応して、複数の第2凹状部及び複数の第2突状部が設けられている。
【0005】
このような歯科技工用作業模型においては、固定用プレート側の複数のダウエルピンを支持基台側の複数の挿入孔に挿入して固定用プレートを支持基台に載置すると、支持基台側の第1及び第2係合突部が固定プレート側の第1及び第2係合凹部に係合され、また支持基台側の複数の第1及び第2突状部並びに複数の第1及び第2凹状部が固定プレート側の複数の第1及び第2凹状部並びに複数の第1及び第2突状部に係合され、これによって、固定用プレートを支持基台に確実に載置支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような歯科技工用作業模型においては、支持基台の各挿入孔の内周面は、先端側に向けて外径が漸減する細長い円錐状に形成され、これに対応して、各ダウエルピンのピン本体部の外径も先端側に向けて細長い円錐状に形成され、この挿入孔の内周面の全域に対応するダウエルピン(ピン本体部)の外周面が接触支持されるように構成されている。このように構成されているので、支持基台側の挿入孔とダウエルピンとの接触長さが長くなると、この挿入孔の内径を大きくする必要が生じ、これによって、これに挿入されるダウエルピンも外径が太いものを用いるようになる。従って、ダウエルピンとして太い材料を使用するために、その材料費が高くなり、加えて高精度に加工しなければならない領域(挿入孔と接触する領域)が長くなるために、この領域の加工に長い加工時間を要し、加工費も高くなる。
【0008】
また、このような歯科技工用作業模型においては、ダウエルピンの基端部は、ピン本体部の基端から同じ太さで延びている。作業模型を形成する際には、支持基台の挿入孔にダウエルピンを挿入し、かく挿入した状態で支持基台の上部に枠体を装着し、そして、この枠体内に石膏を流し込んで石膏を固めている。その後、固定用プレートに歯形模型が所望の通りに固定されるように、その表面を研削してきれいな平らな状態になるように形成している。
【0009】
このとき、固定用プレートの厚さを均一にするために、ダウエルピンの基端面に当接する(換言すると、基端面が露出する)まで研削しているが、ここまで研削すると、研削作業の大きな負荷が作業者の手に伝わり、作業者の作業負担が大きくなる。
【0010】
本発明の目的は、ダウエルピンの材料を少なく抑えるとともに、その加工時間も短縮して加工費も抑えることができる歯科技工用作業模型及びこれに用いるダウエルピンを提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、固定用プレートの研削作業における作業者の負荷を小さく抑えることができるダウエルピンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の歯科技工用作業模型は、歯形模型が固定される固定用プレートと、前記固定用プレートに植設された複数のダウエルピンと、前記固定用プレートを支持するための支持基台と、を備えた歯科技工用作業模型であって、
前記支持基台の上面には、前記複数のダウエルピンを挿入するための複数の挿入孔が設けられ、前記複数の挿入孔の少なくとも挿入側開口部は、先端側に向けて内径が漸減する円錐状に形成ており、
前記複数のダウエルピンは、前記支持基台の複数の挿入孔に支持されるピン本体部と、前記ピン本体部から先端側に延びる先端側部と、前記ピン本体から基端側に延びる基端側部とを有し、前記複数のダウエルピンの前記ピン本体部は、前記支持基台側の前記複数の挿入孔の前記挿入側開口部に対応して、先端側に向けて外径が漸減する円錐状に形成され、前記複数のダウエルピンの前記基端側部は、前記固定プレートに埋設されており、
前記複数のダウエルピンを前記複数の挿入孔に挿入して前記固定プレートを前記支持基台に載置すると、前記複数のダウエルピンの前記ピン本体部の外周面が、前記支持基台側の前記複数の挿入孔の前記挿入側開口部の内周面に支持され、この載置状態においては、前記複数のダウエルピンの先端側部は、前記支持基台側の前記複数の挿入孔の内周面に実質上支持されないことを特徴とする。
【0013】
また、本発明のダウエルピンは、固定用プレートを支持するための支持基台に設けられた挿入孔に挿入支持されるダウエルピンであって、
前記支持基台の挿入孔に支持されるピン本体部と、前記ピン本体部から先端側に延びる先端側部と、前記ピン本体から基端側に延び且つ前記固定用プレートに埋設される基端側部とを有し、前記ピン本体部は、前記挿入孔の挿入開口部の形状に対応するように、先端側に向けて外径が漸減する円錐状に形成され、前記ピン本体部を前記挿入孔の前記挿入側開口部に装着した状態において、前記先端側部は前記挿入孔の内周面に実質上支持されないように構成されていることを特徴とする。
【0014】
このような歯科技工用作業模型(及びダウエルピン)においては、ダウエルピンのピン本体部の軸方向の長さを1.2~5.0mmとすることが望ましく、このような長さにすることによって、ダウエルピンの外径を小さくすることが可能となり、これによって、その材料を少なくして材料費を抑えることができるとともに、高精度に加工しなければならない部位の長さを短くすることができる。
【0015】
また、このような歯科技工用作業模型(及びダウエルピン)においては、ダウエルピンの基端側部の端部を、その端面の外径が基端側部の他の部位に比して小さくなるように円錐状又は円段状に、或いは基端側部を細い円柱状に形成するのが好ましく、このように形成することにより、その基端側部の端面の外径が小さくなり、研削作業においてダウエルピンの基端側部を研削しても作業負荷が小さくなり、作業者の負担を少なくすることができる。
【0016】
また、このような歯科技工用作業模型では、支持基台の上面における少なくとも一側縁の一部に上方に突出する第1係合突部を設け、この第1係合突部の内側部に複数の第1突状部及び複数の第1凹状部を交互に設けるとともに、固定用プレートの下面における少なくとも一側縁の一部に第1係合凹部を設け、また固定プレート側の第1係合凹部の内側部に複数の第1凹状部及び複数の第1突状部を交互に設けるのが好ましく、このように構成することにより、支持基台側の複数の挿入孔に固定用プレート側の複数のダウエルピンを挿入してこの固定用プレートを支持基台の上面に確実にガタなく載置支持することができる。
【0017】
このような係合突部(第1及び第2係合突部)を支持基台の上面の両側縁の一部に設け、また、このような係合凹部(第1及び第2係合凹部)を固定用プレートの下面の両側縁の一部に設けるようにしてもよく、このように構成することにより、固定用プレートを支持基台の上面により確実にガタなく載置支持することができる。
【0018】
このような歯科技工用作業模型においては、支持基台の上面における一側縁と複数の挿入孔との間の内側領域に複数の小突部を設けるとともに、これらの小突部に対応して、固定用プレートの下面に複数の小凹部を設けるようにしてもよく、このように構成しても、固定用プレートを支持基台の上面に確実にガタなく載置支持することができる。
【0019】
また、本発明のダウエルピンは、固定用プレートに植設されるダウエルピンであって、
前記支持基台の挿入孔に支持されるピン本体部と、前記ピン本体から基端側に延び且つ前記固定プレートに埋設される基端側部とを有し、前記基端側部の端部は、その端面の外径が前記基端側部の他の部位に比して小さくなるように円錐状又は円段状に、或いは前記基端側部が細い円柱状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の歯科技工用作業模型(及びダウエルピン)によれば、支持基台の挿入孔に挿入されるダウエルピンのピン本体部は、支持基台側の挿入孔の挿入側開口部に対応して、先端側に向けて外径が漸減する円錐状に形成されているので、このピン本体部が挿入孔の挿入開口部に接触支持され、これによって、ピン本体部(即ち、挿入孔に支持される円錐状部)の軸方向の長さが従来に比して短くなり、その結果、高精度に加工すべき部位の長さが短くなって加工時間及び加工費用の低減を図ることができる。また、ピン本体部の軸方向の長さが短くなるので、ダウエルピン自体の外径を細くすることが可能となり、これによって、材料を少なく抑えて材料費用の低減をも図ることができる。また、支持基台に固定用プレートを載置した状態においてはダウエルピンの先端側部が支持基台側の挿入孔の内周面に支持されないので、このダウエルピンはピン本体部で支持されるようになり、これにより、ダウエルピンをガタなく確実に支持することができる。
【0021】
また、本発明の他のダウエルピンによれば、ピン本体から基端側に延びる基端側部の端部は、その端面の外径がこの基端側部の他の部位に比して小さくなるように円錐状又は円段状に、或いは基端側部が細い円柱状に形成されているので、この基端側部の端面の面積が小さくなる。ダウエルピンが植設された固定用プレートを製作する際に固定用プレートの表面を研削してその厚さが均一になるように加工するが、この研削加工のときに、ダウエルピンに接触する(換言すると、ダウエルピンが露出する)まで研削するようになるが、この基端側部の端面を小さくすることによって、この切削加工のときの作業負荷を小さく抑えることができ、作業者の作業負担を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に従う歯科技工用作業模型の第1の実施形態を示す斜視図。
【
図2】
図1の歯科技工用作業模型において、固定用プレートを支持基台から取り外して示す斜視図。
【
図3】
図1の歯科技工用作業模型において、支持基台の上面及び固定用プレートの下面を示す図。
【
図5】
図1の歯科技工用作業模型に用いられたダウエルピン(本発明に従うダウエルピン)の一実施形態を拡大して示す正面図。
【
図6】固定用プレートの製作工程において、支持基台の上部に成型用基枠を装着する前の状態を示す斜視図。
【
図7】支持基台の上部に成型用基枠を装着した状態を示す断面図。
【
図8】注入空間内に石膏を注入した状態を示す断面図。
【
図9】
図9(a)~(c)は、ダウエルピンの他の実施形態を拡大して示す正面図。
【
図10】本発明に従う歯科技工用作業模型の第2の実施形態における支持基台の上面及び固定用プレートの下面を示す図。
【
図11】本発明に従う歯科技工用作業模型の第3の実施形態における支持基台を示す平面図。
【
図12】本発明に従う歯科技工用作業模型の第4の実施形態における支持基台を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う歯科技工用作業模型及びこれに用いるダウエルピンの各種実施形態について説明する。
【0024】
まず、
図1~
図9を参照して、第1の実施形態の歯科技工用作業模型及びこれに用いるダウエルピンについて説明する。
図1~
図4を参照して、図示の歯科技工用作業模型2は、歯形模型4が固定される固定用プレート6と、固定用プレート6に植設された複数(この形態では、5本)のダウエルピン8と、固定用プレート6を支持するための支持基台10と、を備えている。
【0025】
支持基台10は支持基台本体12を備え、この支持基台本体12は、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ウレタン樹脂などの合成樹脂から形成される。この支持基台本体12は、横長且つ筒状の周側壁14と、この周側壁14の上側を覆う横長の上壁16とを有している。上壁16の上面(支持基台10の上面を規定する)には、その長手方向(
図2及び
図3において左右方向)に間隔を置いて5個の挿入孔18が設けられている。
【0026】
この周側壁14の内側に形成された空間20には、各挿入孔18に対応して上壁16の下面から下方に延びる筒状突部22が設けられており、各挿入孔18はこの筒状突部22の内部を貫通して設けられている(
図4参照)。これら挿入孔18は、筒状突部22の上端部から下端部に向けて内径が漸減する円錐状に(即ち、断面形状が細くなるテーパ状に)形成されている。尚、各挿入孔18は、後の記載から理解されるように、その全長にわたって円錐状(断面テーパ状)にする必要はなく、この挿入孔18の挿入開口部(後に説明するダウエルピン8のピン本体部を接触支持する部位)を円錐状にすればよい。
【0027】
この支持基台10(支持基台本体12)の上壁16の相互に対向する両側縁には一対の係合突部、即ち第1及び第2係合突部24,26が設けられ、これら係合用突部24,26はそれぞれ、上方に突出するとともに上壁16の長手方向に延びている。この実施形態では、第1及び第2係合突部24,26は、上壁16の長手方向中間部に設けられ、その両端部には設けられていない。第1及び第2係合突部24,26の上壁16からの突出高さは、例えば1.5mm程度に設定されている。
【0028】
第1及び第2係合突部24,26の内側部には複数の第1及び第2突状部28,30が間隔を置いて設けられ、また複数の第1及び第2突状部28,30の間にはそれぞれ第1及び第2凹状部32,34が設けられている(
図2及び
図3参照)。即ち、上壁16の片側縁には第1係合突部24が設けられ、この第1係合突部24の長手方向に第1突状部28及び第1凹状部32が交互に設けられている。また上壁16の他側縁には第2係合突部26が設けられ、この第2係合突部26の長手方向に第2突状部30及び第2凹状部34が交互に設けられている。
【0029】
第1及び第2突状部28,30には、内側に向けて下り傾斜する傾斜面が形成され、また第1及び第2凹状部32,34にも、内側に向けて下り傾斜する傾斜面が形成されている。第1及び第2突条部28,30の傾斜面は、それらの傾斜が第1及び第2凹状部32,34の傾斜面よりも緩やかになるように形成されており、このように構成することにより、第1及び第2突状部28,30は、第1及び第2凹状部32,34よりも内側に突出している(
図3及び
図4参照)。
【0030】
また、支持基台10(支持時代本体12)の周側壁14の外周面には、各挿入孔18に対応して(換言すると、固定用プレート6のダウエルピン8に対応して)位置決め用突部36が設けられ、この位置決め用突部36は、挿入孔18を挟んでそれらの両側にそれぞれ配設されている。
【0031】
支持基台10に載置される固定用プレート6は石膏から形成され、支持基台本体12の上壁16の形状に対応した横長の形状を有している。この固定用プレート6には、支持基台本体12の各挿入孔18に対応してダウエルピン8が植設されている。このダウエルピン8は、
図5に示すように、ピン本体部38、このピン本体部38から先端側(
図5において下側)に延びる先端側部40及びこのピン本体部38から基端側(
図5において上側)に延びる基端側部42を有し、この基端側部42が後述するようにして固定用プレート6に植設される。このダウエルピン8については、後に詳述する。
【0032】
次に、固定用プレート6について説明すると、この固定プレート6の下面(即ち、ダウエルピン8が突出する側の面)の両側縁には、支持基台10(支持基台本体12)側の第1及び第2係合突部24,26に対応して、一対の係合凹部、即ち第1及び第2係合凹部44,46が設けられている。第1及び第2係合凹部44,46はそれぞれ、上方に窪んでいるとともに固定用プレート6の長手方向に延びている。
【0033】
第1及び第2係合凹部44,46の内側部には、支持基台10側の第1及び第2突状部28,30に対応して第1及び第2凹状部48,50が設けられているとともに、支持基台10側の第1及び第2凹状部32,34に対応して第1及び第2突状部52,54が設けられている。即ち、固定用プレート6の片側縁には、基台本体10側の第1係合突部24に対応して第1係合凹部44が設けられ、この第1係合凹部44には、基台本体10側の第1突状部28及び第1凹状部32に対応して第1凹状部48及び第1突状部52が交互に設けられている。また、固定用プレート6の他側縁には、基台本体10側の第2係合突部26に対応して第2係合凹部46が設けられ、この第2係合凹部46には、基台本体10側の第2突状部30及び第2凹状部34に対応して第2凹状部50及び第2突状部54が交互に設けられている。
【0034】
この実施形態では、第1及び第2凹状部50,52の傾斜面は、基台本体10側の第1及び第2突状部28,30の傾斜面に対応して、それらの傾斜が緩やかになるように形成され、第1及び第2突状部52,54の傾斜面は、基台本体10側の第1及び第2凹状部32,34の傾斜面に対応して、それらの傾斜が急になるように形成されている。
【0035】
この固定用プレート6の上面には、
図1、
図2及び
図4に示すように、石膏から形成された歯形模型4(本実施形態では、部分タイプのもの)が固定される。この固定用プレート6は、ダウエルピン8を対応する挿入孔18に着脱自在に挿入することにより、支持基台10(支持基台本体12)の上壁16に着脱自在に支持される。この支持状態では、支持基台10(支持基台本体12)の第1及び第2係合用突部24,26と固定用プレート6側の第1及び第2係合凹部44,46とが着脱自在に係合し、また支持基台10側の第1及び第2突状部28,30と固定用プレート6側の第1及び第2凹状部48,50とが着脱自在に係合するとともに、支持基台10側の第1及び第2凹状部32,34と固定用プレート6側の第1及び第2突状部52,54とが着脱自在に係合される(
図4参照)。
【0036】
次に、
図5を参照して、図示のダウエルピン8について説明する。このダウエルピン8のピン本体部38は、支持基台10の挿入孔18の挿入開口部の形状に対応して円錐状に形成され、その外径は先端側に向けて漸減されており、このピン本体部38が支持基台10の挿入孔18の挿入開口部に挿入支持される。
【0037】
このピン本体部38の長さは、ダウエルピン8を安定して支持できる長さに設定され、その軸方向の長さL(
図5)は1.2~5.0mmの範囲に設定され、1.5~3.5mmに設定するのが好ましい。この長さLが1.2mm未満になると、ダウエルピン8を安定して支持することが難しくなり、またこの長さLが5.0mmを超えると、ダウエルピン8として外径の大きい材料を用いるようになり、材料費などが高くなる。
【0038】
このダウエルピン8を支持基台10の挿入孔18に装着した状態では、
図4に示すように、そのピン本体部38が挿入孔18の挿入開口部に隙間無く嵌まり込むとともに、このピン本体部38の上面(環状上面)が支持基台10の上壁16と同一平面を規定するようになり、このように構成することにより、固定用プレート6の製作時に挿入孔18内に石膏が流入するのを防止することができる。
【0039】
ダウエルピン8の先端側部40は、このピン本体部38の先端側端面から直線状に延びており、その外径はピン本体部38の先端側端面の外径よりも小さく、細長い円筒状に形成されている。ダウエルピン8の装着状態においては、その先端側部40は支持基台10の挿入孔18の内周面に実施上接触支持されることはなく、このピン本体部38の外周面が挿入孔18の内周面に接触支持される。
【0040】
この支持状態においては、
図4に示すように、ダウエルピン8の先端側部40の先端部が支持基台10の筒状突部22から下方に突出するようになり、このように突出させることによって、先端側部40の突出した部位を下側から押し上げることにより、支持本体10から固定用プレート6(又は固定用プレート6の切断した一部)を容易に取り外すことができる。
【0041】
このダウエルピン8の基端側部42は、このピン本体部38の基端側端面から直線状に延びており、その外径はピン本体部38の基端側端面の外径よりも小さく、先端側部40と同様に、細長い円筒状に形成されている。この基端側部42には環状突部62が設けられており、このように環状突部62を設けることにより、ダウエルピン8の固定用プレート6からの離脱を防止することができる。
【0042】
この実施形態では、更に、ダウエルピン8の基端側部42の先端部64が先端に向けて外径が漸減する円錐状に形成されており、このように形成することにより、この先端部64の先端面の外径が基端側部42のその他の部位に比して小さくなり、その先端面の面積が小さくなる。このように構成することにより、固定用プレートを製作する際の切削加工のとき(即ち、ダウエルピン8の基端側部42の先端面が露出するまで切削加工するとき)の作業負荷を小さく抑え、作業者の作業負担を少なくすることができる。
【0043】
次に、
図6~
図8を参照して、上述した歯科技工用作業模型2の製造方法について説明する。この歯科技工用作業模型2を製作するに際し、歯型(図示せず)に石膏を流し込んで歯形模型4を製作し、また、合成樹脂による射出成型によって支持基台10(支持基台本体12)を製造する。そして、
図6に示すように、支持基台本体12の各挿入孔18にダウエルピン8を先端側から着脱自在に挿入する(ピン挿入工程)。このように挿入すると、ダウエルピン8のピン本体部38が支持基台本体12の挿入孔18の挿入開口部に挿入支持され、その基端側部42が上壁16の上面から上方に所定長さ(例えば、約4mm程度)だけ突出する(
図7参照)。
【0044】
その後、
図6及び
図7に示すように、支持基台本体12の上部に成型用基枠72を着脱自在に装着する(枠装着工程)。ここで、枠装着工程で用いる成型用基枠72について説明すると、成型用基枠72は全体として略矩形状の外形を有し、例えばシリコンゴムや合成ゴムなどのゴム材料から形成されている。成型用基枠72の内側には上下に貫通する開口74が設けられ、この開口74は、支持基台本体12の上部の形状に対応した形状を有している。
【0045】
成型用基枠72を支持基台本体12の上部に装着すると、支持基台本体12の上壁16及び周側壁14の上端部が開口74の下端部に挿入され、成型用基枠72の内周面が周側壁14の外周面に密着するようになる。このとき、成型用基枠72の下端部が支持基台本体12の位置決め用突部36に支持されることにより、成型用基枠72が支持基台本体12に対して位置決めされる。この装着状態では、成型用基枠72は、支持基台本体12の上壁16から上方に所定高さ(例えば、8mm程度)だけ突出するようになり、支持基台本体12の上面及び成型用基枠72の内周面によって注入空間76が規定される。
【0046】
その後に、
図8に示すように、固定用プレート6を成型するための石膏78を注入空間76に注入する(プレート成型工程)。この石膏78は、ダウエルピン8の基端側部42が石膏78に完全に浸漬されるまで注入される。このとき、支持基台本体12の上壁16の両端部には第1及び係合突部24,26が設けられていないので、注入した石膏78が上壁16の両端部に流れるようになり、石膏78を上壁16の全域にほぼ均一に注入することができる。そして、注入空間76に注入した石膏78が硬化することにより、ダウエルピン8が植設された固定用プレート6が成型される。このとき固定用プレート6の下面には、支持基台本体12の第1及び第2係合突部24,26に対応して第1及び第2係合凹部44,46が形成され、また支持基台本体12の第1及び第2突状部28,30に対応して第1及び第2凹状部48,50が形成されるとともに、支持基台本体12の第1及び第2凹状部32,34に対応して第1及び第2突状部52,54が形成される。
【0047】
その後、成型用基枠72を支持基台本体12の上部から取り外し、固定用プレート6の上面に例えば研削加工を施して厚さが均一に且つ平坦となるように加工する(加工工程)。この加工は、固定用プレート6を支持基台本体12の上面に支持させた状態で行われ、ダウエルピン8の基端面が外部に露出するまで行う。
【0048】
この研削作業においては、石膏は柔らかく、研削が容易であるが、ダウエルピン8はステンレス鋼などの金属材料から形成されて硬く、研削が容易でなく、このダウエルピン8の基端側部42の端面に到達するまで研削すると作業負荷が急激に増大するために、作業者はダウエルピン8が露出するまで研削したことを知ることができる。この実施形態では、ダウエルピン8の基端側部42の先端部64が円錐状に形成され、その端面の面積が小さくなっているので、研削作業中にダウエルピン8の基端側部42の端面に到達しても作業負荷の急激な増大を抑えることができ、これによって、作業者の作業負荷を少なくすることができる。
【0049】
その後、研削加工を施した固定用プレート6の上面に歯形模型4を接着剤等を用いて固定し(模型固定工程)、このようにして
図1及び
図2に示す歯科技工用作業模型2を製作することができる。
【0050】
この歯科技工用作業模型2を用いて所定の作業を行うときには、固定用プレート6を支持基台本体12の上面に支持させた状態で、
図1に一点鎖線で示すように、例えば歯形模型4の所望部位を切断線80に沿って固定プレート6とともに切断工具(図示せず)を用いて切断する(切断工程)。このように切断することによって、歯形模型4の切断した部位を固定用プレート6及びダウエルピン8とともに残りの部位から取り出すことができる。尚、支持基台本体12には各挿入孔18に対応して位置決め用突部36が設けられているので、歯形模型4を切断する際に、この位置決め用突部36を目印とすることにより、ダウエルピン8の配設箇所を容易に認識することができる。
【0051】
この切断した歯形模型4を用いた所要の作業(例えば、歯冠補綴物の製作など)は、切断した固定用プレート6を支持基台本体12の上面に支持させた状態で行われる。この歯科技工用作業模型2では、上述のように、支持基台10側の第1及び第2係合突部24,26と固定プレート6側の第1及び第2係合凹部44,46とが相互に係合され、また支持基台10側の第1及び第2突状部28,30と固定用プレート6側の第1及び第2凹状部48,50とが相互に係合されるとともに、支持基台10側の第1及び第2凹状部32,34と固定用プレート6側の第1及び第2突状部52,54とが相互に係合されるので、固定用プレート6と支持基台本体12との水平方向の係合強度を高めることができ、切断した固定用プレート6の支持基台本体12に対する回転やぐらつきなどを確実に防止することができる。
【0052】
第1の実施形態では、模型固定工程において、固定用プレート6の上面に歯形模型4を接着剤などを用いて固定するようにしているが、成型前の固定用プレート6(即ち、硬化前の石膏78)に歯形模型4を押し付け、石膏78の硬化により固定用プレート6の上面に歯形模型4を固定するようにしてもよい。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、支持基台10(支持基台本体12)の両側縁に一対の係合突部(第1及び第2係合突部24,26)を設け、これに対応して、固定用プレート6の両側縁に一対の係合凹部(第1及び第2係合凹部44,46)を設けているが、このように一対の係合突部及び係合凹部を必ず設ける必要はなく、これのいずれか一方、例えば第1係合突部24及び第1係合凹部44(又は第2係合突部26及び第2係合凹部46)を設けるようにしてもよい。
【0054】
例えば、支持基台本体12側に第1係合突部24(又は第2係合突部26)を設け、固定用プレート6側に第1係合凹部44(又は第2係合凹部46)を設けた場合、支持基台本体12側の第1係合突部24(第2係合突部26)に設けられた第1突状部28(又は第2突状部30)及び第1凹状部32(又は第2凹状部34)と固定用プレート6側に設けられた第1凹状部48(又は第2凹状部50)及び第1突状部52(又は第2突状部54)とが相互に着脱自在に係合されるようになる。
【0055】
ダウエルピンとしては、上述した形態のものに代えて、例えば、
図9(a)~(c)に示す形態のものを用いることができる。尚、以下の実施形態において、上述した実施形態と同様の部材(部位)には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0056】
第1の変形形態を示す
図9(a)において、このダウエルピン8Aにおいては、ピン本体部38から基端側に延びる基端側部42Aに複数(この形態では、2つ)の環状突部62aがその軸方向に間隔をおいて設けられている。この環状突部62Aは、軸方向に3つ以上設けるようにしてもよく、これら環状突部62Aに代えて、ローレット加工を施すようにしてもよい。
【0057】
第2の変形形態を示す
図9(b)において、このダウエルピン8Bにおいては、ピン本体38から基端側に延びる基端側部42Bの先端部64Bが円段状に形成され、この先端部64Bの外径が基端側部42Bのその他の部位に比して外径が小さくなっている。このようにこの先端部64Bを小径部に加工することによっても、この基端側部42Bの端面の面積を小さくすることができ、上述したと同様に、固定用プレートを研削加工するときの作業負荷を小さくすることができる。
【0058】
第3の変形形態を示す
図9(c)において、このダウエルピン8Cにおいては、ピン本体38から基端側に延びる基端側部42Cの全体が細い円柱状に形成され、基端側部42Cの外径が小さくなっている。この基端側部42の外径dは、ピン本体部38の基端側端面の外径Dの2/5~4/5(2D/5≦d≦4D/5)程度に形成される。このように構成したときには、この基端部側部42Cに例えば2つの環状突部62Cが設けられる。尚、この環状突部62Cは、1つ又は3つ以上設けるようにしてもよい。
【0059】
歯科技工用作業模型としては、
図10~
図12に示す形態のものにも同様に適用することができる。尚、
図10~
図12においては、歯科技工用作業模型の全体を示すのではなく、
図10に示す第2の実施形態においては、その支持基台及び固定用プレートを示し、
図11及び
図12に示す第3及び第4の実施形態においては、それらの支持基台のみを示している。
【0060】
第2の実施形態の歯科技工用作業模型を示す
図10において、この支持基台10D(支持基台本体12D)には第1及び第2係合突部24,26に加えて、複数の小突部82が設けられている。この実施形態では、複数の小突部82は、支持基台10D(支持基台本体12D)の上壁16Dにおける複数の挿入孔18と第2係合突部26との間の内側領域Sに、支持基台10Dの長手方向に沿って実質上等間隔で設けられている。
【0061】
支持基台10D側の複数の小突部82に対応して、固定用プレート6Dの下面には、その長手方向に間隔をおいて複数の小凹部84が設けられ、これら小凹部84に対応する小突部82が着脱自在に係合される。上述したダウエルピン8(8A~8C)は、このような形態の歯科技工用作業模型にも同様に適用することができる。この第2の実施形態のその他の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0062】
この第2の実施形態においても、固定用プレート6D側の複数のダウエルピン8の先端側を支持基台10D側の複数の挿入孔18に挿入してこの固定用プレート6Dが支持基台10Dの上壁16Dに載置支持される。この支持状態においては、上述した記載から理解されるように、支持基台10D側の第1及び第2係合突部24,26と固定用プレート6D側の第1及び第2係合凹部44,46とが相互に係合され、また支持基台10D側の第1及び第2突状部28,30と固定用プレート6D側の第1及び第2凹状部48,50とが相互に係合されるとともに、支持基台10側の第1及び第2凹状部32,34と固定用プレート6D側の第1及び第2突状部52,54とが相互に係合される。加えて、支持基台10D側の複数の小突部82と固定用プレート6D側の複数の小凹部84が相互に係合される。この第2の実施形態ではこのように係合されるので、固定用プレート6と支持基台10(支持基台本体12)との水平方向の係合強度を更に高めることができ、切断した固定用プレート6の支持基台本体12に対する回転やぐらつきなどを一層確実に防止することができる。
【0063】
この第2の実施形態においては、複数の小突部82が支持基台10D(支持基台本体12D)側の複数の挿入孔18と第2係合突部26との間に設けられているので、このように構成した場合には、第2係合突部26(並びに第2突状部30及び第2凹状部34)を省略するようにしてもよい。或いは、このような構成に代えて、これら小突部82を支持基台10D(支持基台本体12D)側の第1係合突部24と複数の挿入孔18との間の内側領域に設けるようにしてもよく、この場合、第1係合突部24(並びに第1突状部28及び第1凹状部32を省略するようにしてもよい。
【0064】
第3の実施形態の歯科技工用作業模型を示す
図11において、この支持基台10E(支持基台本体12E)には、複数(この形態では、5つ)の挿入孔18a,18bが2列に設けられている。即ち、片方の列の挿入孔18aは、第1係合突部24の内側に、支持基台10Eの長手方向に沿って間隔をおいて設けられ、他方の列の挿入孔18bは、第2係合突部26の内側に、支持基台10Eの長手方向に沿って間隔をおいて設けられ、片方の列の各挿入孔18aと他方の列の各挿入孔18bとは、相互に対抗するように配置されている。
【0065】
支持基台10E(支持基台本体12E)のこのような構成に対応して、固定用プレート6Eの下面には、図示していないが、2列の挿入孔18a,18bに対応して、ダウエルピンが固定用プレートの長手方向に沿って2列に設けられる。上述したダウエルピン8(8a~8D)は、このような形態の歯科技工用作業模型においても同様に適用することができる。第3の実施形態のその他の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0066】
この第3の実施形態においては、固定用プレート6D側の2列の複数のダウエルピンの先端側を支持基台10E側の対応する2列の複数の挿入孔18a,18bに挿入してこの固定用プレート6Eが支持基台10Eの上壁16Eに載置支持される。この支持状態においては、上述した記載から理解されるように、支持基台10E側の第1及び第2係合突部24,26と固定用プレート側の第1及び第2係合凹部とが相互に係合され、また支持基台10E側の第1及び第2突状部28,30と固定用プレート側の第1及び第2凹状部とが相互に係合されるとともに、支持基台10E側の第1及び第2凹状部32,34と固定用プレート側の第1及び第2突状部とが相互に係合される。
【0067】
第4の実施形態の歯科技工用作業模型を示す
図12において、この支持基台10F(支持基台本体12F)の上壁16Fは、上歯全体(又は下歯全体)の歯形模型(図示せず)に対応して略円弧状に形成されている。このような形態の歯科技工用作業模型は全顎タイプと称される。この支持基台10F(支持基台本体12F)の上壁16Fの内側には略半楕円状の支持用凹部92が設けられる。尚。
図12では、支持基台本体12Fの周側壁14Fの外周面に設けられる位置決め用突部3は省略している。
【0068】
この第4の実施形態の歯科技工用作業模型では、支持基台10F(支持基台本体12F)の上壁16Fには、この上壁16F(即ち、支持基台本体12F)の長手方向に沿って14個の挿入孔18Fが設けられ、これら挿入孔18Fと第2係合突部26Fとの間の内側領域Sに、上述の第2の実施形態と同様に、複数の小突部82Fが設けられている。
【0069】
この第4の実施形態では、支持基台10F側の複数(この形態では、14個)の挿入孔18Fに対応して、図示していないが、固定用プレートの下面にその長手方向に沿って14本のダウエルピンが上述したようにして設けられる。また、支持基台10F側の第1及び第2係合突部24F,26Fに対応して、図示していないが、固定用プレートの下面の両側縁に第1及び第2係合凹部が設けられる。また、支持基台10F側の第1及び第2突状部28F,30Fに対応して、図示していないが、固定用プレートの下面に第1及び第2凹状部が設けられるとともに、支持基台10F側の第1及び第2凹状部32F,34Fに対応して、図示していないが、皇帝用プレートの下面に第1及び第2突状部が設けられる。上述したダウエルピン8(8A~8C)は、このような全顎タイプのものにも同様に適用することができる。この第4の実施形態のその他の構成は、上述した第2の実施形態と同様でよい。
【0070】
以上、本発明に従う歯科技工用作業模型及びこれに用いるダウエルピンの各種実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0071】
2 歯科技工用作業模型
4 歯形模型
6,6D 固定用プレート
8,8A,8B,8C ダウエルピン
10,10D,10E,10F 支持基台
12,12D,12E,12F 支持基台本体
18,18a,18b、18F 挿入孔
24,24F,26,26F 係合突部
28,28F,30,30F,52,54 突状部
32,32F,34,34F,48,50 凹状部
38 ピン本体部
40 先端側部
42,42A,42B,42C 基端側部
82,82F 小突部
84 小凹部