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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088893
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】熱交換器および車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/26 20060101AFI20240626BHJP
   F28D 1/06 20060101ALI20240626BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20240626BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
F28F9/26
F28D1/06 A
B60H1/22 651B
B60H1/32 613C
B60H1/32 613E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203916
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100166833
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 直子
(72)【発明者】
【氏名】金子 智
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
3L211
【Fターム(参考)】
3L065FA17
3L103AA05
3L103BB42
3L103CC02
3L103DD15
3L103DD55
3L103DD62
3L211BA53
3L211CA17
3L211CA19
3L211DA28
(57)【要約】
【課題】 高効率の熱交換が可能でありながらも部品点数を削減し、それに伴うコストの削減、また省スペース化が可能な熱交換器およびそれを備えた車両用空調装置を提供する。
【解決手段】 熱交換器10は、内部に第1熱媒体m1が流れる3以上の熱交換コア11と、3以上の隣り合う収容室30を有し、内部に第2熱媒体m2が流れるケース3と、を有し、熱交換コア11を対とした場合に内部を流れる第1の熱媒体m1の温度差が小さくなる対の熱交換コア11同士を隣り合わせて収容室30のそれぞれに収容し、収容室30のそれぞれの内部に第2熱媒体m2を流し、第2熱媒体m2と第1熱媒体m1との間で熱交換を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に第1熱媒体が流れる3以上の熱交換コアと、
前記熱交換コアと同数の隣り合う収容室を有し、内部に第2熱媒体が流れるケースと、を有する熱交換器であって、
前記熱交換コアを対とした場合に内部を流れる前記第1熱媒体の温度差が小さくなる対の該熱交換コア同士を隣り合わせて前記収容室のそれぞれに収容し、
前記収容室のそれぞれの内部に第2熱媒体を流し、該第2熱媒体と前記第1熱媒体との間で熱交換を行う、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記熱交換コアの外表面と前記収容室の内面により前記第2熱媒体の流路が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記熱交換コアは少なくとも、
前記第1熱媒体の放熱器として機能する高温側熱交換コアと、
前記第1熱媒体の吸熱器として機能する低温側熱交換コアと、
前記第1熱媒体の放熱器又は吸熱器として機能する中温熱交換コアを含み、
前記高温側熱交換コアと前記低温側熱交換コアの間に前記中温熱交換コアを配置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記収容室は少なくとも、
前記高温側熱交換コアが収容される高温側収容室と、
前記中温熱交換コアが収容される中温収容室を含み、
前記高温側収容室と前記中温収容室において、前記第2熱媒体は対向する方向に流通する、
ことを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記収容室は少なくとも、
前記低温側熱交換コアが収容される低温側収容室と、
前記中温熱交換コアが収容される中温収容室を含み、
前記低温側収容室と前記中温収容室において、前記第2熱媒体は対向する方向に流通する、
ことを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項6】
隣り合う前記収容室の間に断熱部を設けた、
ことを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の熱交換器を有する車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器および車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内側を冷媒が流れるように構成された内部部材と、内部部材を収容する容器であって、内部部材の周囲の空間を冷却水が流れるように構成されたケースと、を備える熱交換器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の熱交換器は、車両に搭載されるものであり、当該車両を循環する冷媒と冷却水との間で熱交換を行うための熱交換器として構成され、一つの直方体のケースに一つの内部部材が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-85340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば車両空調装置などにおいては空調回路上、第1熱媒体(例えば、冷媒)と第2熱媒体(例えば、冷却水など)を熱交換する箇所は複数存在する。このため、特許文献1に記載のような熱交換器をそれぞれ必要な複数箇所に配置すると、部品点数(特に、ケース)の増加に伴うコストアップ、およびスペースの増加などの問題が生じる。
【0006】
そこで本発明は、高効率の熱交換が可能でありながらも部品点数を削減し、それに伴うコストの削減、また省スペース化が可能な熱交換器およびそれを備えた車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内部に第1熱媒体が流れる3以上の熱交換コアと、3以上の隣り合う収容室を有し、内部に第2熱媒体が流れるケースと、を有する熱交換器であって、前記熱交換コアを対とした場合に内部を流れる前記第1の熱媒体の温度差が小さくなる対の該熱交換コア同士を隣り合わせて前記収容室のそれぞれに収容し、前記収容室のそれぞれの内部に第2熱媒体を流し、該第2熱媒体と前記第1熱媒体との間で熱交換を行う、ことを特徴とする熱交換器に係るものである。
【0008】
また、本発明は、上記の熱交換器を備えた車両空調装置に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高効率の熱交換が可能でありながらも部品点数を削減し、それに伴うコストの削減、また省スペース化が可能な熱交換器およびそれを備えた車両用空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る車両空調装置を示す模式図である。
図2】本実施形態に係る熱交換器を模式的に示す平面図である。
図3】本実施形態に係る熱交換器の斜視図である。
図4】本実施形態に係る熱交換器の分解斜視図である。
図5】本実施形態に係る熱交換プレートを説明するための分解平面図である。
図6】本実施形態に係る熱交換プレートを説明するための図であり、(A)側面図、(B)平面図、(C)側面図である。
図7】本実施形態に係る熱交換器の一部を示す平面図である。
図8】本実施形態に係る熱交換器を模式的に示す平面図である。
図9】本実施形態に係る熱交換器を模式的に示す平面図である。
図10】本実施形態に係る熱交換器を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一の符号は同一の機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。また、各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る熱交換器10を備える車両用空調装置100の主要な構成の一例を示す概略模式図である。本発明の熱交換器10は、第1熱媒体m1と第2熱媒体m2を熱交換する様々な装置に適用可能であるが、その一例として、車両用空調装置100に用いることができる。第1熱媒体m1は例えば冷媒(例えば、R134aやR1234yf等のフロン系冷媒、COやR290等の自然系冷媒など)であり、第2熱媒体m2は、第1熱媒体m1とは異なる熱媒体(例えば、冷却水(LCCや水)、不凍液や冷却油など)である。なお、本実施形態では、冷媒とは、ヒートポンプ(圧縮・凝縮・膨張・蒸発)における状態変化を伴う冷媒回路Rの循環媒体をいう。一方、第2熱媒体m2は、例えば内燃機関やラジエータなどを含む熱媒体回路における循環媒体であって、冷媒のような状態変化を伴わずに熱の吸収と放熱を行う媒体をいうものとする。以下の説明において「冷媒」と称する構成は第1熱媒体m1に対応し、単に「熱媒体」と称する構成は第2熱媒体m2に対応する。
【0013】
本実施形態の車両用空調装置100は、内燃機関のみを動力とする車両に搭載されてもよいが、内燃機関のみを動力とする車両に比べて内燃機関の廃熱のみでは十分な熱量確保が難しいHEV(Hybrid Electric Vehicle)や、内燃機関の廃熱による暖房ができないEV(Electric Vehicle)等の車両に好適に用いられる。HEVやEVのような車両は、バッテリ(例えば、リチウム電池)が搭載され、外部電源からバッテリに充電された電力を、走行用のモータを含むモータユニットに供給することで駆動し、走行する。車両用空調装置100も、バッテリから供給される電力によって駆動する。
【0014】
<全体構成>
図1に示すように本実施形態に係る車両用空調装置100は例えば、冷媒(第1熱媒体)m1が循環する冷媒回路Rと、熱媒体(第2熱媒体)m2が循環する第1熱媒体回路5と、熱媒体(第2熱媒体)m2が循環する第2熱媒体回路6を含み、冷媒回路Rを用いたヒートポンプ運転を行うことにより車室内の空調を行う。
【0015】
第1熱媒体回路5は例えば、冷媒回路Rを流れる高温の冷媒m1と熱交換を行う、熱媒体m2が循環する高温側の熱媒体回路である。第2熱媒体回路6は例えば、冷媒回路Rを流れる低温の冷媒m1と熱交換を行う、熱媒体m2が循環する低温側の熱媒体回路である。本実施形態では説明の便宜上、第1熱媒体回路5を高温側熱媒体回路5と称し、第2熱媒体回路6を低温側熱媒体回路6と称する。
【0016】
空調回路Eは、例えば高温側となる第1熱媒体回路5、低温側となる第2熱媒体回路6に加えて、第3熱媒体回路16を有している。第3熱媒体回路16は例えば、循環する熱媒体m2の温度が、第1熱媒体回路5を流れる熱媒体m2と、第2熱媒体回路6を流れる熱媒体m2の間の温度となる熱媒体回路である。第3熱媒体回路16は例えば冷媒回路Rにおける温調目的等で使用され、以下、中温熱媒体回路16という場合もある。図1の例では高温側熱媒体回路5、中温熱媒体回路16および低温側熱媒体回路6は配管でつながれているため、流れる熱媒体m2は同種となる。しかしながらこれに限らず、高温側熱媒体回路5、中温熱媒体回路16および低温側熱媒体回路6の少なくともいずれかは、配管でつながれていない独立回路であってもよく、その場合、独立回路となる熱媒体回路に流れる熱媒体m2は他の熱媒体回路を流れる熱媒体m2と異種であってもよい。
【0017】
<冷媒回路>
冷媒回路Rは、圧縮機1と、熱交換器10と、膨張機構4などが配管(冷媒配管)70により接続されて構成されている。圧縮機1は、冷媒回路Rにおける上流側から冷媒m1を吸入して圧縮し、冷媒m1を高温高圧のガスとして下流側に向けて吐出する。圧縮機1の形式は特に限定されるものではないが、例えばピストン式やスクロール式の電動コンプレッサが採用される。図示は省略するが、冷媒回路Rにおいて圧縮機1の上流側には、冷媒m1からの液分離を行うアキュムレータが設けられている。冷媒回路Rは、圧縮機1によって高温高圧のガスとなった冷媒m1を第1熱交換器10Aに通過させて冷媒m1から放熱させ、冷媒m1を冷却する。また、第1熱交換器10Aを通過した冷媒m1を、膨張機構4で減圧させ、第2熱交換器10Bを通過させて吸熱させることができる。あるいは第1熱交換器10Aを通過した冷媒m1を、膨張機構17で減圧させ、第2熱交換器10Bを通過させて吸熱させることができる。そして低圧となっている冷媒m1を再び圧縮機1で圧縮する。この循環を繰り返す。
【0018】
より詳細には、冷媒回路Rは、圧縮機1と、熱交換器10と、膨張機構4、17と、切替弁18,19などが配管(冷媒配管)70により接続されて構成されている。熱交換器10は、第1熱交換器10A、第2熱交換器10Bおよび第3熱交換器10Cを含む。第1熱交換器10Aは、第1熱媒体回路(例えば、高温側熱媒体回路)5を流れる熱媒体m2と、冷媒回路Rを流れる冷媒m1の間で熱交換を行う。第2熱交換器10Bは、第2熱媒体回路(例えば、低温側熱媒体回路)6を流れる熱媒体m2と、冷媒回路Rを流れる冷媒m1との間で熱交換を行う。第3熱交換器10Cは第3熱媒体回路16を流れる熱媒体m2と、冷媒回路Rを流れる冷媒m1との間で熱交換を行う。
【0019】
冷媒回路Rにおいて、圧縮機1の出口に接続する配管70Aは第1熱交換器10Aの入口に接続する。第1熱交換器10Aの出口に接続する配管70Bは、その下流において配管70Cと配管70Dに分岐する。配管70Cは膨張機構17を介して第3熱交換器10Cの入口に接続し、配管70Dは切替弁18に接続する。第3熱交換器10Cの出口に接続する配管は、膨張機構4を介して第2熱交換器10Bの入口に接続する配管70Eと、切替弁19の入口に接続する配管70Fに分岐する。第2熱交換器10Bの出口に接続する配管70Gと、切替弁19の出口に接続する配管70Hは、途中で合流し圧縮機1の入口に接続する。切替弁18の出口に接続する配管70Iは、膨張機構4の上流において配管70Eと合流する。
【0020】
<熱交換器>
本実施形態の熱交換器10は、第1熱交換器10Aと第2熱交換器10Bを含む。第1熱交換器10Aは例えば高温側熱媒体回路5を流れる熱媒体m2と、冷媒回路Rを流れる冷媒m1の間で熱交換を行う。第2熱交換器10Bは例えば低温側熱媒体回路6を流れる熱媒体m2と、冷媒回路Rを流れる冷媒m1との間で熱交換を行う。
【0021】
<第1熱交換器>
第1熱交換器10Aは、冷媒流路CAと熱媒体流路WAを有する冷媒-熱媒体熱交換器であり、冷媒流路CAが冷媒回路Rに接続し、熱媒体流路WAが高温側熱媒体回路5に接続する。この例では第1熱交換器10Aの冷媒流路CAは、冷媒回路Rの一部を構成し、冷媒回路Rにおいて冷媒m1の放熱器として機能する。また第1熱交換器10Aの熱媒体流路WAは高温側熱媒体回路5の一部を構成し、高温側熱媒体回路5において熱媒体m2の吸熱器として機能する。
【0022】
<第2熱交換器>
第2熱交換器10Bは、冷媒流路CBと熱媒体流路WBを有する冷媒-熱媒体熱交換器であり、冷媒流路CBが冷媒回路Rに接続し、熱媒体流路WBが低温側熱媒体回路6に接続する。第2熱交換器10Bの冷媒流路CBは、冷媒回路Rの一部を構成し、冷媒回路Rにおいて冷媒m1の吸熱器として機能する。また第2熱交換器10Bの熱媒体流路WBは低温側熱媒体回路6の一部を構成し、低温側熱媒体回路6において熱媒体m2の放熱器として機能する。
【0023】
<第3熱交換器>
第3熱交換器10Cは、冷媒流路CCと熱媒体流路WCを有する冷媒-熱媒体熱交換器であり、冷媒流路CCが冷媒回路Rに接続し、熱媒体流路WCが第3熱媒体回路16に接続する。第3熱交換器10Cは、膨張機構17による冷媒m1の減圧の程度を調整することにより、冷媒回路Rにおける吸熱器または放熱器となり、第3熱媒体回路16を流れる熱媒体m2と冷媒m1が熱交換し、発熱機器(温調機器)160の温調を行う。具体的に第3熱交換器10Cの冷媒流路CCは、冷媒回路Rの一部を構成し、冷媒回路Rにおいて冷媒m1の吸熱器または放熱器として機能する。また第3熱交換器10Cの熱媒体流路WCは第3媒体回路16の一部を構成し、第3熱媒体回路16における熱媒体m2の吸熱器または放熱器として機能する。
【0024】
<膨張機構>
膨張機構4は、膨張弁やキャピラリチューブ等によって構成され、第1熱交換器10Aを通過した高圧の冷媒m1を減圧、膨張させて低圧の冷媒m1とする。
膨張機構17は、例えば膨張弁等によって構成され、第1熱交換器10Aを通過した高圧の冷媒m1を減圧、膨張させるが、例えば、弁の開閉を調整することにより、減圧の程度を調整可能である。
【0025】
<第1熱媒体回路>
第1熱媒体回路(高温側熱媒体回路)5は、例えば冷媒回路Rの冷媒m1と熱交換が可能な熱媒体m2が循環する回路であり、例えば、循環ポンプ51,第1熱交換器10A、ヒータコア8などが配管により接続される。ヒータコア8は、車両に設けられたHVAC(Heating Ventilation and Air-Conditioning)ユニット80と呼ばれる装置内に配置される。
【0026】
<HVACユニット>
HVACユニット80は、一端側から外気や内気を導入し、他端側から車室内へ空気を供給する空気流通路89によって形成されている。HVACユニット80の内部には、室内送風機87と、吸熱器9と、エアミックスダンパ88と、ヒータコア8が設けられている。吸熱器9の空気上流側における空気流通路89には、外気吸込口と内気吸込口の各吸込口が形成されている(図1では吸込口85として代表して示す)。吸込口85には吸込切換ダンパ86が設けられている。吸込切換ダンパ86により、車室内の空気である内気(内気循環)と、車室外の空気である外気(外気導入)とを適宜切り換えて吸込口85から空気流通路89内に導入する。吸込切換ダンパ86の空気下流側には、導入した内気や外気を空気流通路89に送給するための室内送風機87が設けられている。
【0027】
室内送風機87は、HVACユニット80の一端側に設けられており、駆動されるときに、外気又は内気を吸引し、他端側へと吐出する。吸熱器9は、室内送風機87よりも下流側に設けられている。室内送風機87から吹き出された空気は、全て吸熱器9を通過する。吸熱器9の下流では、空気流通路89は二つの流路89A、89Bに分流可能となっている。二つの流路89Aと流路89Bとは下流側が合流しており、一方の流路89Aの途中にヒータコア8が配置される。
【0028】
エアミックスダンパ88は、吸熱器9下流の流路89Aを開放して流路89Bを閉鎖する位置と、流路89Aを閉鎖して流路89Bを開放する位置と、の間で回動可能である。エアミックスダンパ88が流路89Aを開放して流路89Bを閉鎖する位置にあるときには、吸熱器9を通過した空気は全て流路89Aを通過する。エアミックスダンパ88が流路89Aを閉鎖して流路89Bを開放する位置にあるときには、吸熱器9を通過した空気は全て流路89Aを迂回する。エアミックスダンパ88が流路89Aと流路89Bの双方を開放する位置にあるときには、吸熱器9を通過した空気のうち、一部が流路89Aを通過し、残りが流路89Aを迂回し、HVACユニット80の下流側にて、流路89Aを通過した空気と、流路89Aを迂回した空気とが混合される。
【0029】
<第2熱媒体回路>
第2熱媒体回路(低温側熱媒体回路)6は、冷媒回路Rの冷媒m1と熱交換可能な熱媒体m2が循環する回路であり、例えば、循環ポンプ61,第2熱交換器10B、外部(室外)熱交換部7となるラジエータ、吸熱器9などが配管により接続される。
【0030】
<第3熱媒体回路>
第3熱媒体回路16は、冷媒回路Rの冷媒m1と熱交換が可能な熱媒体m2が循環する回路であり、例えば発熱機器(温調機器)160、循環ポンプ161および第3熱交換器10Cなどが配管により接続される。熱媒体m2は循環ポンプ161により発熱機器160と第3熱交換器10Cの間を循環し、第3熱交換器10Cにおいて吸熱、あるいは放熱する。第3熱媒体回路16は例えば、発熱機器160(例えばモータやバッテリなど)の温調や廃熱回収などを行うことが可能な熱媒体回路である。
【0031】
<冷媒回路の流路>
この冷媒回路Rにおける冷媒m1は、例えば以下の第1流路F1~第3流路F3で循環する。
<冷媒回路の流路/第1流路F1>
第1流路F1は、圧縮機1、配管70A、第1熱交換器10A、配管70B,配管70C、膨張機構17、第3熱交換器10C、配管70E、膨張機構4、第2熱交換器10B、配管70Gで構成される。
【0032】
この場合、圧縮機1によって高温高圧のガスとなった冷媒m1を第1熱交換器10Aに通過させて冷媒m1から放熱させ、冷媒m1を冷却する。その後、第1熱交換器10Aを通過した冷媒m1を、膨張機構17において減圧させ、減圧の程度に応じて第3熱交換器10Bを通過させて吸熱または放熱させる。そして第3熱交換器10Cを通過した冷媒m1を膨張機構4で減圧させ、第2熱交換器10Bを通過させて吸熱させる。そして低圧となっている冷媒m1を再び圧縮機1で圧縮する。この循環を繰り返す。
【0033】
<冷媒回路の流路/第2流路F2>
第2流路F2は、圧縮機1、配管70A、第1熱交換器10A、配管70B,配管70C、膨張機構17、第3熱交換器10C、配管70F、切替弁19、配管70Hで構成される。
【0034】
この場合、圧縮機1によって高温高圧のガスとなった冷媒m1を第1熱交換器10Aに通過させて冷媒m1から放熱させ、冷媒m1を冷却する。その後、第1熱交換器10Aを通過した冷媒m1を、膨張機構17において減圧させ、第3熱交換器10Cを通過させて吸熱させる。そして低圧となっている冷媒m1を再び圧縮機1で圧縮する。この循環を繰り返す。
【0035】
<冷媒回路の流路/第3流路F3>
第3流路F3は、圧縮機1、配管70A、第1熱交換器10A、配管70B,配管70D、切替弁18,膨張機構4、第2熱交換器10B、配管70Gで構成される。
【0036】
この場合、圧縮機1によって高温高圧のガスとなった冷媒m1を第1熱交換器10Aに通過させて冷媒m1から放熱させ、冷媒m1を冷却する。その後、第1熱交換器10Aを通過した冷媒m1を、膨張機構4において減圧させ、第2熱交換器10Bを通過させて吸熱させる。そして低圧となっている冷媒m1を再び圧縮機1で圧縮する。この循環を繰り返す。
【0037】
この場合、冷媒回路Rの運転モードとしては、第1流路F1を循環する第1モード、第2流路F2を循環する第2モード、第3流路F3を循環する第3モード、および第2流路F2と第3流路F3を並列的に循環する第4モード、を少なくとも有する。
【0038】
そして本実施形態の熱交換器10は、図1に示す回路上で分離して示す第1熱交換器10A、第2熱交換器10Bおよび第3熱交換器10Cが一体となった一つの装置として構成される。
【0039】
図2を参照して本実施形態の熱交換器10について説明する。図2は、本実施形態の熱交換器10の概略構成を示す平面模式図である。本実施形態の説明においては、上下等の記載を用いるが、上下等の記載は図面における各構成の相対的な関係を示すために便宜的に用いたものである。つまり熱交換器10が図示した状態と上下逆に設置されれば、本実施形態で記載する上方が設置時の下方になる。また、熱交換器10を横倒しに設置して使用すれば、上下方向が横方向になり、斜めに設置して使用すれば、上下方向が斜め上下方向となる。
【0040】
熱交換器10には、第1熱媒体(冷媒)m1と第2熱媒体(冷却水などの熱媒体)m2が流れるが、本実施形態では説明の便宜上、冷媒m1が流通する図示x方向を流通方向x、流通方向xに直角な図示y方向を幅方向y、流通方向xと幅方向yに直角なz方向を積層方向zと称して説明する。冷媒m1は、熱交換器10の内部において折り返すなど流通する方向が変化する場合もあるが、全体として流入側から流出側に向かう方向を流通方向xとする。なお、本願では、xyz方向は+方向と-方向を区別しない。
【0041】
本実施形態の熱交換器10は、図1に示す回路上分離して示される第1熱交換器10A、第2熱交換器10Bおよび第3熱交換器10Cが一体となった一つの装置として構成される。熱交換器10は、図2に示すように、3以上の熱交換コア11(ここでは、第1熱交換コア11A、第2熱交換コア11Bおよび第3熱交換コア11C)と、1つのケース3を有する。詳細は後述するが、第1熱交換コア11Aは、冷媒m1の流入口34Aと流出口35Aと、その内部に形成される冷媒流路(図1における冷媒流路CA)を有する。第2熱交換コア11Bの構成は例えば、第1熱交換コア11Aと同様であり、第2熱交換コア11Bは、冷媒m1の流入口34Bと流出口35Bとその内部に形成される冷媒流路(図1における冷媒流路CB)を有する。第3熱交換コア11Cの構成は例えば、第1熱交換コア11Aと同様であり、第3熱交換コア11Cは、冷媒m1の流入口34Cと流出口35Cと、その内部に形成される冷媒流路(図1における冷媒流路CC)を有する。
【0042】
これにより、第1熱交換コア11A、第2熱交換コア11Bおよび第3熱交換コア11Cにはそれぞれの内部に冷媒m1が流れる。なお、本実施形態では一例として第2熱交換コア11Bと第3熱交換コア11Cの構成、およびサイズはそれぞれ第1熱交換コア11Aと同様としているが、これに限らず、第1熱交換コア11A、第2熱交換コア11B、第3熱交換コア11Cは構成および/またはサイズの異なる熱交換コアであっても良い。
【0043】
冷媒m1は、冷媒回路Rの循環中にその状態や温度が変化するが、第1熱交換コア11Aの内部においては高温の冷媒m1が流れる。以下、第1熱交換コア11Aを流通する高温の冷媒m1を高温冷媒mh1と称する。また、第1熱交換コア11Aの流入口34Aと流出口35Aを以下、高温冷媒流入口34Aおよび高温冷媒流出口35Aという。
【0044】
一方第2熱交換コア11Bの内部においては低温の冷媒m1が流れる。以下、第2熱交換コア11Bを流通する低温の冷媒m1を低温冷媒mc1と称する。また、第2熱交換コア11Bの流入口34Bと流出口35Bを以下、低温冷媒流入口34Bおよび低温冷媒流出口35Bという。
【0045】
また、第3熱交換コア11Cにおいては高温と低温の間の温度(中温)の冷媒m1が流れる。以下この中温の冷媒m1を中温冷媒mm1という。また、第3熱交換コア11Cの流入口34Cと流出口35Cをそれぞれ、中温冷媒流入口34Cおよび中温冷媒流出口35Cという。
【0046】
ケース3は、全体形状が略直方体(略六面体)であり、中空の内部空間を有する。詳細には、ケース3は積層方向zの両端が開放された略角筒状の本体部33と、本体部33の開放部分を覆う上側カバー部材と下側カバー部材(いずれも図2において不図示)を有する。ケース3は、例えば樹脂材料などにより構成される。
【0047】
ケース3の内部空間は、熱交換コア11が収容可能な収容室30とされる。具体的に、ケース3は複数の収容室30(ここでは、第1収容室30A、第2収容室30Bおよび第3収容室30C)を有する。ケース3はその内部空間も例えば、外形状に沿う略立方体形状である。
【0048】
ケース3は、収容室30が熱交換コア11に対応して3以上(この例では3個)設けられる。具体的に、ケース3の内部空間は、仕切り部30Pにより、3以上の隣り合う収容室30(この例では第1収容室30A、第3収容室30Cおよび第2収容室30B)に区画されている。第1収容室30A、第2収容室30Bおよび第3収容室30Cはいずれも熱交換コア11が収容可能な形状・サイズを有している。これらの収容室30は例えば横並びで、第1収容室30Aと第2収容室30Bの間に第3収容室30Cが配置される。第1収容室30Aには第1熱交換コア11Aが収容されて第1熱交換器10Aが構成され、第2収容室30Bには第2熱交換コア11Bが収容されて第2熱交換器10Bが構成され、第3収容室30Cには第3熱交換コア11Cが収容されて第3熱交換器10Cが構成される。
【0049】
第1収容室30Aの内壁と第1熱交換コア11Aの外表面(この例では第1収容室30Aの内壁と対向する4面)は所定の隙間G1が確保され、第2収容室30Bの内壁と第2熱交換コア11Bの外表面(この例では第2収容室30Bの内壁と対向する4面)の間も所定の隙間G2が確保され、第3収容室30Cの内壁と第3熱交換コア11Cの外表面(この例では第3収容室30Cの内壁と対向する4面)の間も所定の隙間G3が確保される。
【0050】
また第1収容室30Aの内壁と第1熱交換コア11Aの外表面は密着し、すなわち隙間G1の大きさは実質0(ゼロ)であってもよい。同様に、第2収容室30Bの内壁と第2熱交換コア11Bの外表面は密着し、すなわち隙間G2の大きさは実質0(ゼロ)であってもよい。また第3収容室30Cの内壁と第3熱交換コア11Cの外表面は密着し、すなわち隙間G3の大きさは実質0(ゼロ)であってもよい。
【0051】
複数の収容室30はそれぞれ熱媒体m2の流入口36A,36B、36Cと流出口37A,37B、流出口37Cを備え、ケース3(第1収容室30A、第2収容室30B、第3収容室30C)の内部にはそれぞれ熱媒体m2が流れる。具体的に、ケース3の本体部33は、積層方向zから見た平面視において略矩形状であり、対向する第1側面33Aおよび第2側面33Bと、対向する第3側面33Cおよび第4側面33Dを有する。そして、第1側面33Aには、第1収容室30Aに連通する流入口36Aが設けられ、同じく第1側面33Aに第2収容室30Bに連通する流入口36Bと、第3収容室30Cに連通する流入口36Cが設けられる。また、第2側面33Bには第1収容室30Aに連通する流出口37Aと、第2収容室30Bに連通する流出口37B、第3収容室30Cに連通する流出口37Cが設けられる。
【0052】
この例では、第1収容室30Aには第1熱交換コア11Aが収容され、その内部に高温の第1熱媒体m1(高温冷媒mh1)が流れる。そして第1収容室30Aには、高温側熱媒体回路5を循環し、この高温冷媒mh1と熱交換する第2熱媒体m2が流れる。第2熱媒体m2は高温側熱媒体回路5の循環中に温度が変化するが、第1収容室30Aを流れる際には空調回路Eにおける高温側の第2熱媒体m2となっている。本実施形態では特に熱交換器10の説明においては、説明の便宜上、第1収容室30Aを流れる第2熱媒体m2を高温側熱媒体mh2と称する。また第1収容室30Aは、高温側熱媒体mh2が流れる高温側収容室であり、以下、第1収容室30Aの流入口36Aを高温側熱媒体流入口36Aといい、第1収容室30Aの流出口37Aを高温側熱媒体流出口37Aという。
【0053】
第2収容室30Bには第2熱交換コア11Bが収容される。第2熱交換コア11Bはその内部に低温の第1熱媒体m1(低温冷媒mc1)が流れる。そして第2収容室30Bには、低温側熱媒体回路6を循環し、この低温冷媒mc1と熱交換する第2熱媒体m2が流れる。この場合、第2収容室30Bを流れる第2熱媒体m2は、空調回路Eにおける低温側の第2熱媒体m2となっており、本実施形態では特に熱交換器10の説明において、低温側熱媒体mc2と称する。また第2収容室30Bは、低温側熱媒体mc2が流れる低温側収容室であり、以下、第2収容室30Bの流入口36Bを低温側熱媒体流入口36Bといい、第2収容室30Bの流出口37Bを低温側熱媒体流出口37Bという。
【0054】
第3収容室30Cには第3熱交換コア11Cが収容される。第3熱交換コア11Cはその内部に、中温の第1熱媒体m1(中温冷媒mm1)が流れる。そして第3収容室30Cには、中温熱媒体回路16を循環し、この中温冷媒mm1と熱交換する第2熱媒体m2が流れる。第2熱媒体m2は第3熱媒体回路16の循環中に温度が変化するが、第3収容室30Aを流れる際には第1収容室30Aを流れる高温側熱媒体mh2と第2収容室30Bを流れる低温側熱媒体mc2の間の温度となっている。本実施形態では特に熱交換器10の説明において、第3収容室30Cを流れる中温の熱媒体m2を中温熱媒体mm2という。また、第3収容室30Cは、中温熱媒体mm2が流れる中温収容室であり、第3収容室30Cの流入口36Cを中温熱媒体流入口36Cといい、第3収容室30Cの流出口37Cを中温熱媒体流出口37Cという。
【0055】
高温側熱媒体流入口36Aから第1収容室30Aに流入した第2熱媒体m2(高温側熱媒体mh2)は、第1収容室30Aの内壁と第1熱交換コア11Aの間の隙間G1および第1熱交換コア11によって形成された隙間(後述する)を流路として高温側熱媒体流出口37Aに向かって流れ、第1熱交換コア11Aの内部を流れる第1熱媒体m1(高温冷媒mh1)との間で熱交換を行う。
【0056】
同様に、低温側熱媒体流入口36Bから第2収容室30Bに流入した第2熱媒体m2(低温側熱媒体mc2)は、第2収容室30Bの内壁と第2熱交換コア11Bの間の隙間G2,および第2熱交換コア11Bによって形成された隙間(後述する)を流路として低温側熱媒体流出口37Bに向かって流れ、第2熱交換コア11Bの内部を流れる第1熱媒体m1(低温冷媒mc1)との間で熱交換を行う。
【0057】
中温熱媒体流入口36Cから第3収容室30Cに流入した第2熱媒体m2(中温熱媒体mm2)は、第3収容室30Cの内壁と第3熱交換コア11Cの間の隙間G3および第3熱交換コア11Cに形成された隙間を流路として中温熱媒体流出口37Cに向かって流れ、第3熱交換コア11Cの内部を流れる第1熱媒体m1(中温冷媒mm1)との間で熱交換を行う。
【0058】
それぞれの熱交換コア11において第1熱媒体m1と第2熱媒体m2は対向する方向に流通する。
【0059】
ここで、第1収容室30A、第2収容室30Bおよび第3収容室30Cは、仕切り部30Pにより確実に仕切られており、第1収容室30Aを流通する高温側熱媒体mh2、第2収容室30Bを流通する低温側熱媒体mc2および第3収容室30Cを流通する中温熱媒体mm2が混在することはない。
【0060】
本実施形態の熱交換器10は、3つの熱交換コア11(11A,11B、11C)を1つのケース3に収容する(ケース3を共通化できる)ため、それぞれの熱交換コア11を個別に(単独で)それぞれケースに収容する構成と比較して、部品点数の削減が可能となり、それに伴う低コスト化、および省スペース化が図れる。
【0061】
また、第1収容室30A、第2収容室30Bおよび第3収容室30Cは仕切り部30Pにより確実に区画され、それぞれに第1熱交換コア11A、第2熱交換コア11Bおよび第3熱交換コア11Cを収容するため、3つの熱交換コア11A~11Cを異なる温調対象とすることができる。すなわち、所望の温度帯に温調された第2熱媒体m2をそれぞれ異なる温調対象(第1熱交換コア11A,第2熱交換コア11B、第3熱交換コア11C)に供給することができる。
【0062】
具体的には、例えば第1熱交換コア11Aを、空調回路E(冷媒回路R)において高温冷媒mh1が流れる高温側熱交換コア11Aとし、第2熱交換コア11Bを、空調回路E(冷媒回路R)において低温冷媒mc1が流れる低温側熱交換コア11Bとし、第3熱交換コア11Cを、空調回路E(冷媒回路R)において中温冷媒mm1が流れる中温熱交換コア11Cとしている。この場合、第1収容室30Aは、高温冷媒mh1と熱交換する高温側熱媒体mh2が流れる高温側収容室30Aとなり、第2収容室30Bは低温冷媒mc1と熱交換する低温側熱媒体mc2が流れる低温側収容室30Bとなり、第3収容室30Cは、中温冷媒mm1と熱交換する中温熱媒体mm2が流れる中温収容室30Cとなる。
【0063】
このように複数の熱交換器(例えば、第1熱交換器10,第2熱交換器10Bおよび第3熱交換器10C)が必要な冷媒回路Rにおいて、本実施形態によればケース3の共通化による省スペース化が図れ、また部品点数の削減により低コスト化を実現できる。
【0064】
さらにこの場合、複数(例えば3個)の熱交換コア11を対とした場合にその内部を流れる冷媒m1の温度差が小さくなる対の熱交換コア11同士を隣り合わせて収容室30のそれぞれに収容し、収容室30A~30Cのそれぞれの内部に熱媒体m2を流し、熱媒体m2と冷媒m1との間で熱交換を行う。具体的に、隣り合う熱交換コア11同士の冷媒m1の温度差が最小となるように、隣り合う熱交換コア11の組み合わせを選択し、その結果、図2に示すように、高温側熱交換コア11A(高温側収容室30A)と低温側熱交換コア11B(低温側収容室30B)の間に中温熱交換コア11C(中温収容室30C)を配置する。
【0065】
隣り合う熱交換コア11を流れる冷媒m1の温度差(隣り合う収容室30を流れる熱媒体m2の温度差も同様)が大きいと収容室30を仕切る仕切り部30P等に熱歪が発生する恐れがある。本実施形態では隣り合う熱交換コア11を流れる冷媒m1の温度差を小さくできるため、温度差による熱歪の発生を抑制できる。
【0066】
更に本実施形態では高温側熱媒体流入口36A、低温側熱媒体流入口36Bおよび中温熱媒体流入口36Cは、本体部33の第1側面33Aに揃って設けられ、高温側熱媒体流出口37A、低温側熱媒体流出口37Bおよび中温熱媒体流出口37Cは、本体部33の第2側面33Bに揃って設けられる。このため、所望の温度帯に温調された第2熱媒体m2(高温側熱媒体mh2、低温側熱媒体mc2、中温熱媒体mm2)をそれぞれ異なる温調対象(第1熱交換コア11A,第2熱交換コア11B、第3熱交換コア11C)が収容される収容室30(30A,30B、30C)に供給する際、第2熱媒体m2の配管の取り回しが複雑にならず、これによっても省スペース化が図れる。
【0067】
上記の例では第1熱交換コア11A(第1収容室30A)側を高温側とし、第2熱交換コア11B(第2収容室30B)側を低温側としているが、これらを入れ替えても同様である(以下の説明においても同様)。
【0068】
以下、図3図7を参照して、本実施形態の熱交換器10について具体例を挙げてより詳細に説明する。図3図7に示す熱交換器10の各構成は一例であり、熱交換器10は図3図7に示す構成に限るものではない。
【0069】
<熱交換器>
図3は熱交換器10の外観斜視図であり、図4は熱交換器10の分解斜視図である。図3および図4を参照して、熱交換器10は略六面体の外形状を有するケース3とその内部に収容される熱交換コア11を有している。ケース3は、積層方向zの両端が開口する角筒状の本体部33と、開口を覆う上側カバー部材31と下側カバー部材32を有する。そして第1収容室30Aにおいて、上側カバー部材31の対角位置に、高温冷媒mh1が流入する高温冷媒流入口34Aと、流出する高温冷媒流出口35Aが設けられている。また、第1収容部30Aの側方において、高温側熱媒体mh2が流入する高温側熱媒体流入口36Aがケース3の第1側面33Aに設けられ、高温側熱媒体mh2が流出する高温側熱媒体流出口37Aが第2側面33Bに設けられている。
【0070】
また第2収容室30Bにおいて、上側カバー部材31の対角位置に、低温冷媒mc1が流入する低温冷媒流入口34Bと、流出する低温冷媒流出口35Bが設けられている。また、第2収容部30Bの側方において、低温側熱媒体mc2が流入する低温側熱媒体流入口36Bがケース3の第1側面33Aに設けられ、低温側熱媒体mc2が流出する低温側熱媒体流出口37Bが第2側面33Bに設けられている。
【0071】
また第3収容室30Cにおいて、上側カバー部材31の対角位置に、中温冷媒mm1が流入する中温冷媒流入口34Cと、流出する中温冷媒流出口35Cが設けられている。また、第3収容部30Cの側方において、中温熱媒体mm2が流入する中温熱媒体流入口36Cがケース3の第1側面33Aに設けられ、中温側熱媒体mm2が流出する中温熱媒体流出口37Cが第2側面33Bに設けられている。
【0072】
なお、図3の例では上側カバー部材31と下側カバー部材32を3つの収容室30A、30B,30Cにおいて共通(共有)の構成としているが、それぞれの収容室30A、30B,30Cごとに独立して上側カバー部材31と下側カバー部材32が設けられる構成であってもよい。
【0073】
図4は、一の熱交換コア11(例えば、第1熱交換コア11A)とその収容室(例えば第1収容室30A)の分解斜視図である。第1熱交換コア11(第1収容室30A)と第2熱交換コア11B(第2収容室30B)および第3熱交換コア11C(第3収容室30C)の構成は同様であるので、図4図7においては、第1熱交換コア11Aと、第2熱交換コア11Bおよび第3熱交換コア11C、すなわち、高温側、低温側、中温を区別することなく説明する。
【0074】
<熱交換コア>
熱交換コア11(例えば、第1熱交換コア11A)は、積層方向zから見た平面視において対角位置に、2つのパッド15が設けられる。それぞれのパッド15は貫通孔を有し、熱交換コア11の冷媒流入口34(例えば、高温冷媒流入口34A)は、一方のパッド15の貫通孔により構成され、冷媒流出口35(例えば、高温冷媒流出口35A)は、他方のパッド15の貫通孔により構成される。熱交換コア11は、2つのパッド15を除いて、ケース3に収納される。熱交換コア11の主要部はケース3の中に納められ、上側カバー部材31と下側カバー部材32により覆われる(図3参照)。
【0075】
熱交換コア11は、熱交換プレート2を、積層方向zに複数重ねたコア部12と、コア部12の積層方向zにおける上方に設けられる上側エンドプレート13と、コア部12の積層方向zにおける下方に設けられる下側エンドプレート14とを有している。熱交換プレート2、上側エンドプレート13、下側エンドプレート14およびパッド15はアルミニウム製であり、熱交換コア11は、これらのアルミニウム製の部品をアルミニウム用のろう付け等により一体化して形成されている。熱交換コア11は、第2熱媒体m2によりアルミニウム製の熱交換コア11が劣化しないように、外面が樹脂によりコーティングされている。
【0076】
コア部12の上面は上側エンドプレート13で閉じられ、下面は下側エンドプレート14で閉じられている。上側エンドプレート13の対角位置には張出部131が設けられており、張出部131には下方に向けて突出して短円筒を形成した孔(不図示)が開けられている。そして孔の位置に合わせてパッド15が、ろう付け等により取り付けられる。
【0077】
<熱交換プレート>
図5は、一つの熱交換プレート2を示す図であり、図5(A)が積層方向zの上方から見た平面図である。図5(B)及び同図(C)が分解平面図であり、図5(B)は、積層方向zの上側の第1プレート部材(上側プレート21)を積層方向zの上方から見た平面図であり、図5(C)が積層方向zの下側の第2プレート部材(下側プレート22)を積層方向zの上方から見た平面図である。図6も、熱交換プレート2を示す図であり、図6(A)は一つの熱交換プレート2を幅方向yから見た側面図、図6(B)は積層方向zの上方から見た平面図である。図6(B)においては、隠れた下側プレート22の構成を点線で示している。図6(C)は熱交換プレート2を複数積層したコア部12を幅方向yから見た側面図である。また、図5および図6においては説明の便宜上、各構成の一部を強調して示しており、その結果図4図7等と当該構成のサイズや数が対応していない場合がある。
【0078】
図5を参照して、熱交換プレート2は、流路形成部23と、流路形成部23の流通方向xの両端に形成されるヘッダ部24を備える。熱交換プレート2は、上側プレート21(図5(B))と下側プレート22(図5(C))を重ねて構成される。
【0079】
上側プレート21は板状部材からなり、流通方向xの一端(図5(B)では右端)に平面視において略L字状のヘッダ平坦部218を有し、流通方向xの他端(図5(B)では左端)に、平面視において略L字状のヘッダ膨出部212を有する。ヘッダ平坦部218は、流路形成部23の面(基部210)に連続する平坦な面で構成された部位であり、ヘッダ膨出部212は基部210から積層方向zの上方に向けて打ち出された部位である。ヘッダ平坦部218とヘッダ膨出部212はそれぞれ連通孔215と上方に向けた短円筒の円筒部216を有している。流路形成部23には、複数の流路膨出部211が設けられる。流路膨出部211の各々は、この例では略直方体であり、流通方向xと幅方向yの間の斜め方向に延在して設けられる。
【0080】
下側プレート22は、上側プレート21と同様の形状である。下側プレート22は板状部材からなり流通方向xの一端(図5(C)では右端)に平面視において略L字状のヘッダ膨出部222を有し、流通方向xの他端(図5(B)では左端)に、平面視において略L字状のヘッダ平坦部228を有する。ヘッダ平坦部228は、流路形成部23の面(基部220)に連続する平坦な面で構成された部位であり、ヘッダ膨出部222は基部220から積層方向zの下方に向けて打ち出された部位である。ヘッダ平坦部228とヘッダ膨出部222はそれぞれ連通孔225と下方に向けた短円筒の円筒部226を有している。円筒部226の直径は上側プレート21の円筒部216の直径と同等である。
【0081】
流路形成部23には、複数の流路膨出部221が設けられる。個々の流路膨出部221の膨出形状は、上側プレート21における個々の流路膨出部211と同じであり略直方体である。流路膨出部221の各々は、流通方向x及び幅方向yの間の斜め方向に延在して設けられる。この延在方向は、下側プレート22を上側プレート21と重ねたときに、流路膨出部211の延在方向と交差する向きである。
【0082】
図6(A)、同図(B)に示すように、上側プレート21と下側プレート22は、上側プレート21のヘッダ平坦部218と下側プレート22のヘッダ膨出部222が対向し、上側プレート21のヘッダ膨出部212と下側プレートのヘッダ平坦部228が対向するように重ね合わせられる。そして、ヘッダ平坦部218とヘッダ膨出部222により、熱交換プレート2の一方のヘッダ部24が構成され、ヘッダ膨出部212とヘッダ平坦部228により他方のヘッダ部24が構成される。
【0083】
上側プレート21の複数の流路膨出部211は、基部210からその上面(積層方向z上方)側に突出するように設けられる。下側プレート22の複数の流路膨出部221は、基部220からその下面(積層方向z下方)側に突出するように設けられる。上側プレート21と下側プレート22は、流路膨出部211、221が積層方向zの上下に突出するように重ねられて熱交換プレート2が構成される。連通孔215、225は、パッド部15の貫通孔(冷媒流入口34,冷媒流出口35)に連通する。そして複数の流路膨出部211、221は、その内部が第1熱媒体(冷媒)m1の流路(図1に示す冷媒流路CA,CB)となる。
【0084】
図6(A)、同図(B)の矢印は、冷媒m1の流れを示す。図6(A)に示すように熱交換プレート2を側方から見た場合、冷媒m1は上側プレート21における流路膨出部211の凹状部と下側プレート22における流路膨出部221の凹状部を交互に流れる。冷媒m1は、積層方向zに蛇行しながら流通方向xに沿って流れる。
【0085】
また、図6(B)に示すように平面視において、冷媒m1は、流通方向xの一端(図6(B)では右端)の連通孔215、225から一方のヘッダ部24に流入して幅方向yに拡がり、複数の流路膨出部211の端部(ここでは右端部)に達する。そして、複数の流路に分流して上側プレート21の各流路膨出部211、下側プレート22の流路膨出部221により幅方向yにも蛇行しながら流通方向xに沿って流れる。そして、他方のヘッダ部24において、複数の流路から合流し、流通方向xの他端(図6(B)では左端)の連通孔215、225から流出する。
【0086】
図6(C)に示すように、コア部12は、複数の熱交換プレート2を積層方向zに重ねて構成される。このとき、それぞれのヘッダ部24に設けられた円筒部216,226の端面同士が当接してろう付けなどにより固定され、複数の熱交換プレート2の連通孔215、225が積層方向zに連通する。流通方向xの一端(図6(C)では右端(上流側)の連通孔215、225は冷媒流入口34(例えば高温冷媒流入口34A)に連通し、他端(図6(C)では左端(下流側)の連通孔215、225は冷媒流出口35(例えば高温冷媒流出口35A)に連通する。
【0087】
これにより、冷媒流入口34からコア部12に流入した冷媒m1は、上流の連通孔215、225を積層方向zに流れ、各層の熱交換プレート2に分流する。そして下流の連通孔215、225で合流し、冷媒流出口35から流出する。
【0088】
また、ヘッダ膨出部212、222とそこから突出する円筒部216、226により、上下の熱交換プレート2の間(流路膨出部221、211)間に隙間が確保され、この隙間が第2熱媒体m2の流路(図1に示す熱媒体流路WA,WB)となる。
【0089】
図7は、収容室30(例えば第1収容室30A)に熱交換コア11(例えば第1熱交換コア11A)を収容した場合の、熱交換プレート2を示す積層方向z上方から見た平面図である。図7に示す大矢印は、熱交換プレート2の外における熱媒体m2の流れ(熱媒体流路WA(WBも同様である))を示す。各熱交換プレート2のヘッダ部24を略L字状に構成したことによって、収容室30に熱交換コア11を収容した場合、同図に示すように、コア部12とケース3の間には積層方向zに熱媒体m2が移動可能な流室38が確保される。
【0090】
熱媒体流入口36(例えば高温側熱媒体流入口36A)から収容室30に流入した熱媒体m2は、流室38において積層方向zおよび幅方向yに分流して複数の熱交換プレート2の間、およびコア部12の側面とケース3の隙間G1を通過する。熱媒体m2は、熱交換プレート2の表面において膨出した流路膨出部211と流路膨出部221の間を大矢印のように分流と合流を繰り返し、蛇行しながら熱交換プレート2の外を流れ、出口側の流室38で合流して熱媒体流出口37(例えば、高温側熱媒体流出口37A)から流出する。それぞれの熱交換コア11において第1熱媒体m1と第2熱媒体m2は対向する方向に流通する。このようにして、熱交換プレート2の内側の第1熱媒体m1(小矢印で示す)と、熱交換プレート2の外側の第2熱媒体m2との間で熱交換が行われる。
【0091】
冷媒m1は、熱交換プレート2の内部を幅方向yと積層方向zに蛇行しながら流れるため、流れが常に乱れた状態となる。そのため、速度・温度境界層が形成されづらく、流路も長くなって伝熱が促進される。さらに、冷媒m1が流入し流出する連通孔215、225は熱交換プレート2の対角位置にあるため、途中の複数の流路における流速に違いが生じにくい。
【0092】
また、熱媒体m2は2つの熱交換プレート2の間を流通方向xに通過するが、流路膨出部211、221が長手方向に斜めになっているために流れが乱れた状態になり、伝熱が促進される。
【0093】
なお本実施形態において、流路膨出部211、221において構成される冷媒流路CA,CB、CCおよび熱媒体流路WA,WB、WCの形状は一例であり、上記の例に限らない。冷媒流路CA,CB、CCは熱交換プレート2内部で例えば流通方向xあるいは幅方向yに沿う直線状に形成され、蛇行したり、幅方向yまたは流通方向xあるいは積層方向zに折り返すなどして、全体として冷媒流入口34から冷媒流出口35に向かって流通し、熱媒体流路WA,WB、WCは、その熱交換プレート2の外側を、熱媒体流入口36から熱媒体流出口37に向かって流通する構成であればよい。例えば、流路膨出部211、221は、平面視において、それぞれ流通方向xの上流から下流まで連続する直線状(チューブ状)に構成され、ヘッダ部24にて合流する構成であってもよい。
【0094】
<熱交換器10の使用例>
熱交換器10は、第1熱交換コア(高温側熱交換コア)11Aが冷媒回路Rにおける冷媒m1の放熱器として機能し、第2熱交換コア(低温側熱交換コア)11Bが冷媒回路Rにおける冷媒m1の吸熱器として機能する。そして、第3熱交換コア(中温熱交換コア)11Cを適宜、冷媒回路Rにおける冷媒m1の放熱器または吸熱器として機能させることで、冷媒回路Rの温調が可能となる。
【0095】
ここで、熱交換器10は、第1熱交換コア11A,第2熱交換コア11B、第3熱交換コア11Cに常時冷媒m1が流通する構成に限らず、図1を参照して説明した冷媒回路Rの運転モードにより、冷媒m1が流通しない熱交換コア11があってもよい。以下具体的に説明する。
【0096】
(1)第1モードの運転の場合
第1モードは、図1に示す回路において第1流路F1を循環するモードである。この場合は、第1熱交換コア11Aに高温冷媒mh1が流通し、第2熱交換コア11Bに低温冷媒mc1が流通し、第3熱交換コア11Cに中温冷媒mm1が流通する。第3熱交換コア11Cは中温冷媒mm1の放熱器または吸熱器として機能する。第1熱交換コア11Aと第2熱交換コア11Bの間に第3熱交換コア11Cが配置されているため、隣り合う熱交換コア11を流れる冷媒m1の温度差を小さくでき、温度差による熱歪の発生を抑制できる。
【0097】
(2)第2モードの運転の場合
第2モードは、図1に示す回路において第2流路F2を循環するモードである。この場合は、第1熱交換コア11Aに高温冷媒mh1が流通し、第3熱交換コア11Cに中温冷媒mm1が流通するが、第2熱交換コア11Bには低温冷媒mc1が流通しない。第1熱交換コア11Aと第3熱交換コア11Cが隣り合うように配置されているため、隣り合う熱交換コア11を流れる冷媒m1の温度差が小さい状態となっている。
【0098】
(3)第3モードの運転の場合
第3モードは、図1に示す回路において第3流路F3を循環するモードである。この場合は、第1熱交換コア11Aに高温冷媒mh1が流通し、第2熱交換コア11Bに低温冷媒mc1が流通するが、第3熱交換コア11Cには中温冷媒mm1が流通しない。第1熱交換コア11Aと第2熱交換コア11Bは、流れる冷媒m1の温度差が大きい(最大の)組み合わせであるが、第1熱交換コア11Aと第2熱交換コア11Bの間に第3熱交換コア11Cが配置され、第1熱交換コア11Aと第2熱交換コア11Bは隣接しない(所定の距離で離間されている)ため、温度差による熱歪の発生を抑制できる。
【0099】
(4)第4モードの運転の場合
第4モードは、図1に示す回路において、第2流路F2と第3流路F3を並列的に循環するモードである。この場合は、第1モードと同様に、第1熱交換コア11Aに高温冷媒mh1が流通し、第2熱交換コア11Bに低温冷媒mc1が流通し、第3熱交換コア11Cに中温冷媒mm1が流通する。第1熱交換コア11Aと第2熱交換コア11Bの間に第3熱交換コア11Cが配置されているため、隣り合う熱交換コア11を流れる冷媒m1の温度差を小さくでき、温度差による熱歪の発生を抑制できる。
【0100】
このように、複数の熱交換コア11のうちいずれか(例えば、第2熱交換コア11B、第3熱交換コア11C)に、冷媒m1が流通しない場合があってもよい。
【0101】
〔本実施形態の変形例〕
図8図10を参照して、本実施形態の変形例について説明する。図8は、熱交換器10の概略構成を示す平面模式図である。同図に示すように、第1収容室30Aを例えば高温側収容室30A、第3収容室30Cを中温収容室30C、第2収容室30Bを低温側収容室30Bとした場合にはそれぞれの収容室30A,30C,30Bに流入する第2熱媒体m2を互いに対向する方向に流通させるとよい。具体的に、第1収容室30Aと第2収容室10Bは図2に示す構成とし、流通方向xに沿って図示上方から下方に向かって高温側熱媒体mh2、低温側熱媒体mc2を流すように構成する。一方、第3収容室30Cにおいては、中温熱媒体流入口36Cを例えば第2側面33Bに配置し、中温熱媒体流出口37Cを第1側面33Aに配置し、流通方向xに沿って図示下方から上方に向かって中温熱媒体mm2を流すように構成する。
【0102】
これにより、高温側収容室30A内部の高温側熱媒体mh2と中温収容室30C内部の中温熱媒体mm2とは対向する方向に流通し、中温収容室30C内部の中温熱媒体mm2と低温側収容室30B内部の低温側熱媒体mc2とは対向する方向に流通する。またそれぞれの熱交換コア11において第1熱媒体m1と第2熱媒体m2は対向する方向に流通させる。すなわち、第3熱交換コア11Cでは、中温熱媒体流入口36C側に中温低温冷媒流出口35Cを配置し、中温熱媒体流出口37C側に中温冷媒流入口34Cを配置して流通方向xに沿って図示上方から下方に向かって中温冷媒mm1を流すように構成する。
【0103】
高温側熱媒体mh2は、高温側熱媒体流入口36Aに流入する際に高温側熱媒体回路5としてはやや低温となっており、第1熱交換コア11A内の高温冷媒mh1と熱交換した結果、高温側熱媒体流出口37Aではより高温となる。一方、低温側熱媒体mc2は、低温側熱媒体流入口36Bに流入する際に、低温側熱媒体回路6としてはやや高温となっており、第2熱交換コア11B内の低温冷媒mc1と熱交換した結果、低温側熱媒体流出口37Bではより低温となる。隣り合う収容室30Aと30C,収容室30Cと30B内の第2熱媒体m2を対向する方向に流通させることで、収容室30A,30C内を流れる第2熱媒体m2間(高温側熱媒体mh2と中温熱媒体mm2の間)の温度差、および収容室30C,30B内を流れる第2熱媒体m2間(中温熱媒体mm2と低温側熱媒体mc2の間)の温度差を、高温側熱媒体mh2と低温側熱媒体mc2の間の温度差よりも小さくすることができる。つまり、温度帯の異なる熱交換コア11A、11C、11Bを収容する場合において、第1収容室30Aと第2収容室30Bとを隣り合わせて配置する構成よりも、熱ロスを抑えることができる。
【0104】
また、3つの収容室30A~30Cにおける第2熱媒体m2間の温度差が小さくなるため、ケース3への熱影響(温度差が大きいことによる熱歪みなど)を抑えることができる。
【0105】
またこの場合も、高温側熱媒体流入口36A、中温熱媒体流出口37C、低温側熱媒体流入口36Bを第1側面33Aに揃えて配置し、高温側熱媒体流出口37A、中温熱媒体流入口36C、低温側熱媒体流出口37Bを第2側面33Bに揃えて配置する。これにより第2熱媒体m2の配管の取り回しが複雑にならず、省スペース化が図れる。
【0106】
図9は、他の変形例である。図9に示すように、各収容室30の間に断熱部30Xを設けてもよい。すなわち、高温側収容室30Aと中温収容室30Cの間、および中温収容室30Cと低温側収容室30Bとの間に断熱部30Xを設ける。断熱部30Xは例えば、仕切り部30Pの内部に設けた中空部である。また、当該中空部に断熱部材を配置して断熱部30Xとしてもよい。本実施形態では、温度帯が異なる熱交換コア11A、11C、11Bを並べて配置する構成であっても、隣り合う熱交換コア11同士の冷媒m1の温度差は小さくなっている。これに加えて、熱交換コア11同士の間に断熱部30Xを設けることにより、温度帯の異なる熱交換コア11A、11C、11Bを収容した場合における熱ロスをより、抑えることができる。なお、図9において全ての熱媒体mh2,mm2,mc2が同じ方向に流通するようにしてもよい。
【0107】
図10はさらに別の変形例であり、熱交換器10を側方から見た側面図である。図10に示すように第2収容室30B、第3収容室30Cおよび第1収容室30Aがこの順で積層方向zにおいて隣接(積層)されるように区画されてもよい。この場合も第1収容室30Aと第2収容室30Bの間に第3収容室30Cを配置する。
【0108】
この場合、仕切り部30Pは、第1収容室30Aの例えば下側カバー部材32と、第3収容室30Cの例えば上側カバー部材31を兼用し、第3収容室30Cの例えば下側カバー部材32と、第2収容室30Bの例えば上側カバー部材31を兼用してもよい。
【0109】
また、図10に示す構成において、熱交換コア11A、11B、11Cの温度帯が異なる場合には、第1収容室30Aおよび第2収容室30B内の第2熱媒体m2と、第3収容室30C内の第2熱媒体m2とを対向する方向に流通させるとよい。また、仕切り部30Pに断熱部30Xを設けてもよい。
【0110】
さらに、第1収容室30Aの高温側熱媒体流入口36Aおよび第2収容部30Bの低温側熱媒体流入口36Bと、第3収容室30Cの中温熱媒体流入口36C(または中温熱媒体流出口37C)を、一つの側面(例えば第1側面33A)に揃えて配置し、第1収容室30Aの高温側熱媒体流出口37Aと第2収容部の低温側熱媒体流出口37Bと、第3収容室30Cの中温熱媒体流出口37C(または中温熱媒体流入口36C)を、他の側面(例えば第2側面33B)に揃えて配置するとよい。これにより第2熱媒体m2の配管の取り回しが複雑にならず、省スペース化が図れる。
【0111】
また、複数の熱交換コア11に設けられる冷媒流路(熱媒体流路も同様)は、すべての熱交換コア11で同様の形状であってもよいし、一または一部の熱交換コア11の冷媒流路の形状が他の熱交換コア11と異なる形状であってもよい。
【0112】
以上、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0113】
1 圧縮機
2 熱交換プレート
3 ケース
4、17 膨張機構
5 高温側熱媒体回路
6 低温側熱媒体回路
7 外部(室外)熱交換部
8 ヒータコア
9 吸熱器
10 熱交換器
11、11A、11B、11C 熱交換コア
12 コア部
13 上側エンドプレート
14 下側エンドプレート
16 中温熱媒体回路
18,19 切替弁
21 上側プレート
22 下側プレート
23 流路形成部
24 ヘッダ部
30、30A、30B、30C 収容室
30A 高温側収容室
30B 低温側収容室
30C 中温収容室
30P 仕切り部
30X 断熱部
31 上側カバー部材
32 下側カバー部材
33 本体部
34 冷媒流入口
34A 高温冷媒流入口
34B 低温冷媒流入口
34C 中温冷媒流入口
35 冷媒流出口
35A 高温冷媒流出口
35B 低温冷媒流出口
35C 中温冷媒流出口
36 熱媒体流入口
36A 高温側熱媒体流入口
36B 低温側熱媒体流入口
36C 中温熱媒体流入口
37 熱媒体流出口
37A 高温側熱媒体流出口
37B 低温側熱媒体流出口
37C 中温熱媒体流出口
38 流室
70 配管(冷媒配管)
80 HVACユニット
90 室外送風機
100 車両用空調装置
160 発熱機器(温調機器)
211、221 流路膨出部
215、225 連通孔
E 空調回路
R 冷媒回路
mc1 低温冷媒
mc2 低温側熱媒体
mh1 高温冷媒
mh2 高温側熱媒体
mm1 中温冷媒
mm2 中温熱媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10