(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088941
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置
(51)【国際特許分類】
B66B 29/00 20060101AFI20240626BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B66B29/00 B
B66B31/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203995
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曹 春華
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA02
3F321EA14
3F321EB03
3F321HA04
(57)【要約】
【課題】乗客コンベアの駆動チェーンの弛み量を自動的に常時測定することができる乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置を提供する。
【解決手段】上弛み量測定装置100は、押さえレバー52に固定され、押さえレバー52から上方に延びる検出板102と、トラス12に固定され、検出板102を検出する上フォトセンサ110を有する上センサ装置104とを有し、検出板102が移動して、上フォトセンサ110が検出板102を検出したときに駆動チェーン38の弛み量が限界弛み量に到達したと判断する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に配されたトラスと、
前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、
前記トラスの後部に設けられたモータと、
前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、
複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、
前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、
前記トラスの上部に設けられた軸を中心に回転自在に吊り下げられた押さえレバーと、
前記押さえレバーに取り付けられ、自重によって前記上側の部分の前記駆動チェーン上に載置された押さえ部材と、
前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する上弛み量測定装置と、
前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する下弛み量測定装置と、
制御装置と、
を有し、
前記上弛み量測定装置は、
前記押さえレバー又は前記押さえ部材に固定され、前記押さえレバー又は前記押さえ部材から上方に延びる検出板と、
前記トラスに固定され、前記検出板を検出する上フォトセンサを有する上センサ装置と、
を有し、
前記下弛み量測定装置は、
前記トラスに固定されたレバー台と、
前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、
前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、
前記レバーを検出する下フォトセンサを有する下センサ装置と、
を有し、
前記制御装置は、前記検出板が移動して、前記上フォトセンサが前記検出板の移動を検出したときに前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断し、また、前記レバーが回転して、前記下フォトセンサが前記レバーの回転を検出したときに前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、
ことを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項2】
前後方向に配されたトラスと、
前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、
前記トラスの後部に設けられたモータと、
前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、
複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、
前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、
前記トラスの上部に設けられた軸を中心に回転自在に吊り下げられた押さえレバーと、
前記押さえレバーに取り付けられ、自重によって前記上側の部分の前記駆動チェーン上に載置された押さえ部材と、
前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する上弛み量測定装置と、
制御装置と、
を有し、
前記上弛み量測定装置は、
前記押さえレバー又は前記押さえ部材に固定され、前記押さえレバー又は前記押さえ部材から上方に延びる検出板と、
前記トラスに固定され、前記検出板を検出する上フォトセンサを有する上センサ装置と、
を有し、
前記制御装置は、前記検出板が移動して、前記上フォトセンサが前記検出板の移動を検出したときに前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、
ことを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記上側の部分の前記駆動チェーンが前記駆動小スプロケットから前記駆動大スプロケットに移動する運転を行った後に停止したときに、前記上弛み量測定装置によって前記上側の部分の前記駆動チェーンの前記弛み量を測定する、
請求項1又は2に記載の乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項4】
前後方向に配されたトラスと、
前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、
前記トラスの後部に設けられたモータと、
前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、
複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、
前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、
前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する下弛み量測定装置と、
制御装置と、
を有し、
前記下弛み量測定装置は、
前記トラスに固定されたレバー台と、
前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、
前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、
前記レバーを検出する下フォトセンサを有する下センサ装置と、
を有し、
前記制御装置は、前記レバーが回転して、前記下フォトセンサが前記レバーの回転を検出したときに前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、
を有することを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記下側の部分の前記駆動チェーンが前記駆動大スプロケットから前記駆動小スプロケットに移動する運転を行った後に停止したときに、前記下弛み量測定装置によって前記下側の部分の前記駆動チェーンの前記弛み量を測定する、
請求項1又は4に記載の乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの踏段は、踏段チェーンにより循環移動し、この踏段チェーンは踏段スプロケットにより駆動される。踏段スプロケットには、駆動大スプロケットが同軸に取り付けられている。一方、踏段の駆動機構であるモータの出力側には、駆動小スプロケットが取り付けられ、上記した駆動大スプロケットとの間に無端状の駆動チェーンが架け渡されている。これにより、モータが回転すると、駆動小スプロケット、駆動大スプロケット、踏段スプロケットが回転して、踏段が移動する。
【0003】
上記した無端状の駆動チェーンは、経年変化により伸びてくるため、乗客コンベアの保守点検の際に駆動チェーンの弛み量を測定して調整する必要がある
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5209015号公報
【特許文献2】特許第6818856号公報
【特許文献3】特許第6801048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような駆動チェーンの弛み量を測定する方法としては、保守点検を行うときに保守員が測定器によって直接測定するのが一般的であった。しかしそのような測定は狭い場所で行うため、作業が困難であり、手間が掛かるという問題点があった。また、弛みが生じてから保守点検を行うまでの間、弛んだ状態のまま運転を継続してしまうという問題もあった。
【0006】
そこで本発明の実施形態は、乗客コンベアの駆動チェーンの弛み量を自動的に常に測定できる乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、前後方向に配されたトラスと、前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、前記トラスの後部に設けられたモータと、前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、前記トラスの上部に設けられた軸を中心に回転自在に吊り下げられた押さえレバーと、前記押さえレバーに取り付けられ、自重によって前記上側の部分の前記駆動チェーン上に載置された押さえ部材と、前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する上弛み量測定装置と、前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する下弛み量測定装置と、制御装置と、を有し、前記上弛み量測定装置は、前記押さえレバー又は前記押さえ部材に固定され、前記押さえレバー又は前記押さえ部材から上方に延びる検出板と、前記トラスに固定され、前記検出板を検出する上フォトセンサを有する上センサ装置と、を有し、前記下弛み量測定装置は、前記トラスに固定されたレバー台と、前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、前記レバーを検出する下フォトセンサを有する下センサ装置と、を有し、前記制御装置は、前記検出板が移動して、前記上フォトセンサが前記検出板を検出したときに前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断し、また、前記レバーが回転して、前記下フォトセンサが前記レバーを検出したときに前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、ことを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態を示すエスカレータの側面から見た説明図であり、上階から下階を見た場合に、左側の構造物を省略した図である。
【
図3】駆動チェーンに設けられた上弛み量測定装置と下弛み量測定装置の説明図である。
【
図5】駆動大スプロケットと二連式の駆動チェーンの拡大背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態である乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置について図面を参照して説明する。
【実施形態1】
【0010】
実施形態1の乗客コンベアにおける駆動チェーン38の弛み量測定装置について、
図1~
図7を参照して説明する。本実施形態では、乗客コンベアとしてエスカレータ10で説明する。
【0011】
(1)エスカレータ10の構造
エスカレータ10の構造について
図1を参照して説明する。
図1に示すように、エスカレータ10のトラス12は、建屋の上階1と下階2との間に設置されている。但し、エスカレータ10の内部構造をわかりやすくするために、エスカレータ10の片側(左側)の部材の図示を省略している。なお、エスカレータ10の前後方向を説明するときは、上階から下階を見下ろし、上階1が後側、下階2が前側であるものとし、左右方向を説明するときは、上階から下階を見下ろしたときの方向である。このトラス12の内部には、無端状に連結された複数の踏段14が設けられている。トラス12の上面の左右両側部には左右一対の欄干16,16が設けられ、左右一対の欄干16,16の周縁部には、手摺りベルト18,18がそれぞれ設けられている。
【0012】
図1と
図2に示すように、トラス12の上階側には機械室20が設けられ、この機械室20内部には、エスカレータ10の駆動源であるモータ22、減速装置24、モータ22の回転を停止させるディスク式の電磁ブレーキ23、減速装置24の出力側に設けられた駆動小スプロケット26、エスカレータ10の制御装置25が設けられている。
【0013】
複数の踏段14を移動させるために無端状の左右一対の踏段チェーン28が設けられ、この左右一対の無端状の踏段チェーン28を駆動させるために、機械室20内部には左右一対の踏段スプロケット30が設けられている。一方、下階側の機械室32内部にも左右一対の踏段スプロケット34が設けられ、この左右一対の踏段スプロケット30と左右一対の踏段スプロケット34との間に前記した左右一対の無端状の踏段チェーン28がそれぞれ架け渡されている。
【0014】
図2に示すように、上側の機械室20は、トラス12の上部にある、水平で、かつ、前後方向に配された左右一対の上枠体44と、これら上枠体44の下方であって、水平で、かつ、前後方向に配された左右一対の下枠体45に囲まれている。また、上枠体44と下枠体45の間には、鉛直方向に対して斜めに配された斜め枠体47が取り付けられている。
【0015】
これらの図に示すように、上階側の機械室20の内部において駆動小スプロケット26より大径の駆動大スプロケット36が、踏段スプロケット30と同軸に設けられている。駆動大スプロケット36と駆動小スプロケット26との間には、無端状の駆動チェーン38が架け渡されている。
【0016】
(2)駆動チェーン38と駆動大スプロケット36と駆動小スプロケット26
次に、駆動チェーン38と駆動大スプロケット36と駆動小スプロケット26について詳しく説明する。
【0017】
まず、
図2と
図3に示すように、駆動大スプロケット36の上外周部と駆動小スプロケット26の上外周部との間に配された駆動チェーン38を、「上側の部分の駆動チェーン38a」と呼ぶ。駆動大スプロケット36の下外周部と駆動小スプロケット26の下外周部との間に配された駆動チェーン38を、「下側の部分の駆動チェーン38b」と呼ぶ。
図4と
図7に示すように、駆動チェーン38は、2連式のチェーンであり、左右方向に2列に並んだ2本のチェーンより構成され、以下では左側のチェーンを左駆動チェーン38L、右側のチェーンを右駆動チェーン38Rと呼ぶ。そして、「上側の部分の駆動チェーン38a」、「下側の部分の駆動チェーン38b」、「左駆動チェーン38L」、「右駆動チェーン38R」を区別して説明する必要がない場合には、まとめて「駆動チェーン38」という。2連式のチェーンを用いているのは、チェーンの強度を上げるためであり、また、一方のチェーンが切れたときの安全確保のためである。
図2に示すように、この上側の部分の駆動チェーン38aには、駆動チェーン38が切断したときにエスカレータ10を非常停止させる非常停止装置40が設けられている。非常停止装置40については後から詳しく説明する。
【0018】
図2と
図3に示すように、上側の部分の駆動チェーン38aにはその弛み量を測定するために、上弛み量測定装置100が設けられている。下側の部分の駆動チェーン38bにはその弛み量を測定するための下弛み量測定装置70が設けられている。
【0019】
図5に示すように、駆動大スプロケット36は、2連式のチェーンに合わせてそれぞれ左右2枚のスプロケットから構成されている。すなわち、駆動大スプロケット36は、左側の左駆動大スプロケット36Lと、右側の右駆動大スプロケット36Rとより構成されている。左駆動大スプロケット36Lと右駆動大スプロケット36Rとの間には、円筒形の円筒部37が設けられている。左駆動大スプロケット36Lには左駆動チェーン38Lが架け渡され、右駆動大スプロケット36Rには右駆動チェーン38Rが架け渡され、左駆動大スプロケット36Lと円筒部37と右駆動大スプロケット36Rとが一体となって同軸で回転し、2本のチェーンより構成された駆動チェーン38がそれにより移動する。
【0020】
駆動小スプロケット26も、図示はしないが上記2連式の駆動チェーン38に合わせて左右2枚のスプロケットと円筒部から構成されている。
【0021】
駆動チェーン38の弛み量を測定するために、上記したように上弛み量測定装置100と下弛み量測定装置70が設けられている。ここで無端状の1本の駆動チェーン38の弛み量を測定するのに、上弛み量測定装置100と下弛み量測定装置70の2個の測定装置が必要である理由について説明する。
【0022】
モータ22が第1方向に回転して、
図2において、駆動小スプロケット26と駆動大スプロケット36が、反時計回りの方向に回転すると、
図1に図示した踏段14が下降する。このとき、上側の部分の駆動チェーン38aは、駆動小スプロケット26から駆動大スプロケット36に移動している。一方、下側の部分の駆動チェーン38bは、駆動大スプロケット36から駆動小スプロケット26に移動している。この状態でモータ22が停止すると、駆動小スプロケット26が駆動側であるため、下側の部分の駆動チェーン38bは引っ張られた状態で停止し、弛みが生じることがない。しかし、上側の部分の駆動チェーン38aは、受動側の駆動大スプロケット36に引っ張られている状態であるため、弛みが生じることとなる。そのため、モータ22が第1方向に回転しているときは、上側の部分の駆動チェーン38aの弛み量を上弛み量測定装置100で測定する必要がある。
【0023】
モータ22が第1方向とは反対の第2方向に回転して、
図2において、駆動小スプロケット26と駆動大スプロケット36が、時計回りの方向に回転すると、
図1に図示した踏段14は上昇する。このとき、上側の部分の駆動チェーン38aは、駆動大スプロケット36から駆動小スプロケット26に移動している。一方、下側の部分の駆動チェーン38bは、駆動小スプロケット26から駆動大スプロケット36に移動している。この状態でモータ22が停止すると、駆動小スプロケット26が駆動側であるため、上側の部分の駆動チェーン38aは引っ張られた状態で停止し、弛みが生じることがない。しかし、下側の部分の駆動チェーン38bは、受動側の駆動大スプロケット36に引っ張られている状態であるため、弛みが生じることになる。そのため、モータ22が第2方向に回転しているときは、下側の部分の駆動チェーン38bの弛み量を下弛み量測定装置70で測定する必要がある。
【0024】
上弛み量測定装置100、下弛み量測定装置70については後から詳しく説明する。
【0025】
(3)非常停止装置40
次に、駆動チェーン38が切れたときにエスカレータ10を非常停止させる非常停止装置40について、
図2を参照して説明する。
【0026】
上階側の機械室20を構成するトラス12の上部の前後方向にある左右一対の上枠体44の間には、ラチェット梁46が機械室20の上面に左右方向に設けられている。このラチェット梁46に沿って水平な連結軸48が回転自在に左右方向に設けられている。
【0027】
図2に示すように、連結軸48の右側には、押さえレバー52が吊り下げられ、この押さえレバー52の下端部には押さえ部材(シュー)54が設けられている。押さえ部材54は、上側の部分の駆動チェーン38aの上に載置される。押さえ部材54は、連結板56とすり板60を有している。この連結板56は、駆動チェーン38の前後方向に沿って長い長方形の板材であって、左端部が上方に折曲され、ピン58を介して押さえレバー52の下端部に回転自在に吊り下げられている。すり板60は直方体で、連結板56の下面に設けられている。
図7に示すように、このすり板60の下面には前後方向に溝62が設けられ、この溝を挟んで駆動チェーン38の左駆動チェーン38Lに接触する第1接触部64と、右駆動チェーン38Rに接触する第2接触部66とを有している。このすり板60の材質は、例えばゴムや合成樹脂である。
【0028】
連結軸48の左側には、ラチェットレバー50が吊り下げられ、連結軸48を中心に回転し、その先端がラチェットホイール42の歯部43と噛み合う。ラチェットレバー50が取り付けられているラチェット梁46の左側の部分には、不図示のリミットスイッチ(非常停止スイッチ)が取り付けられている。ラチェットレバー50がラチェットホイール42の歯部43に噛み合っていない状態では、リミットスイッチを押圧せず、駆動チェーン38が切れてラチェットレバー50が回転してラチェットホイール42の歯部43に噛み合った状態では、リミットスイッチを押す。そして、リミットスイッチが押されると、制御装置25がモータ22を電磁ブレーキ23で非常停止させる。
【0029】
(4)上弛み量測定装置100
次に、上側の部分の駆動チェーン38aの弛み量を測定する上弛み量測定装置100について説明する。
【0030】
上弛み量測定装置100は、
図3と
図7に示すように、検出板102と上センサ装置104とを有している。
【0031】
図2と
図3と
図7に示すように、検出板102は、後方に膨らんだ円弧状の金属板であり、下端が非常停止装置40の押さえレバー52の下端に取り付けられ、この押さえレバー52から上方に突出するように配されている。この検出板102の上端部は若干前方に突出し、突部112が形成されている。
【0032】
図2と
図3と
図7に示すように、上センサ装置104は、機械室20の右側に配された斜め枠体47にセンサ取り付け板106を介して固定されている。上センサ装置104は直方体であり、上記のように固定された側と反対側の端部に溝状の凹部108を有し、
図3に示すように、検出板102の上部がその凹部108内部を上下方向に移動できる。上センサ装置104には、上フォトセンサ110が内蔵されている。この上フォトセンサ110は例えば光の照射部と受光部とを有し、凹部108の相対向する内面にそれぞれ設けられ、照射部から凹部108内部の壁面に対して垂直方向、すなわち水平方向に光を照射し受光部で受光している。検出板102の上部にある突部112が下方に移動して、その上フォトセンサ110の照射部からの光を遮断すると受光部が受光できず、上センサ装置104は、検出板102が下方に所定距離以上移動したことを判断する。この移動距離は、上側の部分の駆動チェーン38aの弛み量と比例するものであるため、弛み量の限界値(以下、「限界弛み量」という)に対応する移動距離を予め決めておき、その位置に上フォトセンサ110を配する。これにより、検出板102の上部にある突部112がその上フォトセンサ110からの光を遮断すると、上側の部分の駆動チェーン38aが限界弛み量になったと判断できる。
【0033】
(5)下弛み量測定装置70
次に、下弛み量測定装置70について説明する。駆動チェーン38の弛み量を測定するための下弛み量測定装置70は、
図2と
図4に示すように、機械室20の右側に配された斜め枠体47に固定されている。
【0034】
図3と
図4に示すように、下弛み量測定装置70は、レバー台80を有している。このレバー台80は、長方形の金属板を折曲したものであり、水平部82と固定部84とレバー取り付け部86とより構成されている。水平部82は水平に配され、平面形状は長方形であり、固定部84は水平部82の右辺から上方に折曲され、レバー取り付け部86は水平部82の左辺より下方に折曲されている。そして、固定部84が、斜め枠体47に2本のボルト88によって固定されている。
【0035】
図3と
図4に示すように、下弛み量測定装置70は、レバー作用部72を有している。このレバー作用部72は、長方形の樹脂板の上部の前後の角部が切り欠かれたものであり、鉛直面に沿って配され、レバー作用部72の下辺が、下側の部分の駆動チェーン38bの上側に、かつ、駆動チェーン38bに沿って載置されている。レバー作用部72の上部の前後方向の中心には、回転自在なピン74を介してレバー76が設けられている。
【0036】
図3と
図4に示すように、レバー76は、側面から見て長細い長方形であって、長尺方向の一方の端部が上記したピン74を介してレバー作用部72と連結している。長細い長方形のレバー76の長尺方向のほぼ中央部は、回転軸78を介して、前記したレバー取り付け部86に鉛直面内で回転自在に取り付けられている。これにより、レバー76とレバー作用部72が、レバー台80に回転自在に保持された状態となる。
【0037】
図3と
図4と
図6に示すように、下弛み量測定装置70は、レバー76の回転を検出する下センサ装置90を有し、この下センサ装置90を取り付けるためのセンサ取り付け板92を有している。センサ取り付け板92は、長方形の金属板を折曲したものであり、センサ取り付け板92の右側の部分は上方に折曲され、ボルト94によって斜め枠体47に固定され、左側の部分に下センサ装置90が固定されている。なお、センサ取り付け板92は、斜め枠体47上で、レバー台80の固定部84より上方に固定されている。
【0038】
図6に示すように、下センサ装置90は、縦に長い直方体であり、その下部に凹部93を有し、回転するレバー76の上部が、その凹部93の内部を回転しながら移動できる。下センサ装置90には下フォトセンサ96が内蔵されている。この下フォトセンサ96は例えば光の照射部と受光部とを有し、凹部93の相対向する内面にそれぞれ設けられ、照射部から凹部93内部の壁面に対して垂直方向、すなわち水平方向に光を照射し受光部で受光している。そして回転するレバー76の上部がその下フォトセンサ96の照射部からの光を遮断して受光部が受光しなくなると、下センサ装置90はレバー76が所定角度以上回転したと判断する。この回転する角度は、下側の部分の駆動チェーン38bの弛み量と比例するものであるため、限界弛み量に対応する角度を予め決めておき、その位置に下フォトセンサ96を配する。これにより、回転するレバー76の上部がその下フォトセンサ96からの光を遮断すると、下側の部分の駆動チェーン38bが限界弛み量になったと判断できる。
【0039】
(6)上側の部分の駆動チェーン38aの弛み量を検出する方法
次に、上弛み量測定装置100を用いて、上側の部分の駆動チェーン38aの弛み量を検出する方法について説明する。上弛み量測定装置100は、踏段14が下降運転を行っているときに、上側の部分の駆動チェーン38aの弛み量を検出する。
【0040】
図3の実線に示すように、上側の部分の駆動チェーン38aが弛んでいない初期状態において、押さえ部材54のすり板60が上側の部分の駆動チェーン38aに載置され、押さえレバー52から突出している検出板102の上端部は、上センサ装置104の凹部108の上方に位置している。
【0041】
次に、
図3の二点鎖線に示すように、上側の部分の駆動チェーン38aが弛み、垂れ下がると、それと共に押さえ部材54も下がり、押さえレバー52に固定されている検出板102も下方に移動する。すると、検出板102の突部112が、上フォトセンサ110の光を遮る。上センサ装置104は、上フォトセンサ110の光が遮られたときに、制御装置25に上側検出信号を出力する。制御装置25は、上側検出信号が入力すると、上側の部分の駆動チェーン38aの弛み量が限界弛み量になったことを検出し、それを記憶すると共に、無線LANなどの通信装置によって外部にある監視センタに通知する。
【0042】
なお、踏段14が下降運転を行った後に停止したときにも、上弛み量測定装置100によって、上側の部分の駆動チェーン38aの弛み量を検出することができる。
【0043】
(7)下側の部分の駆動チェーン38bの弛み量を検出する方法
次に、下弛み量測定装置70を用いて、下側の部分の駆動チェーン38bの弛み量を検出する方法について説明する。下弛み量測定装置70は、踏段14が上昇運転を行っているときに、下側の部分の駆動チェーン38bの弛み量を検出する。
【0044】
図3の実線に示すように、駆動チェーン38が弛んでいない初期状態においては、レバー76の上部が、下センサ装置90の凹部93にある下フォトセンサ96の光を遮断していない。
【0045】
次に、
図3の一点鎖線に示すように、下側の部分の駆動チェーン38bが弛み、垂れ下がると、それと共にレバー作用部72が下がり、レバー作用部72に連結されているレバー76が回転軸78を中心に、反時計回りの方向に回転する。レバー76の上部が下センサ装置90の凹部93の中を回転するように移動し、
図6に示すように下フォトセンサ96の光を遮ると、下センサ装置90は、制御装置25に下側検出信号を出力する。制御装置25は、下側検出信号が入力すると、下側の部分の駆動チェーン38bの弛み量が限界弛み量になったことを検出し、それを記憶すると共に、無線LANなどの通信装置によって外部にある監視センタに通知する。
【0046】
なお、踏段14が上昇運転を行った後に停止したときにも、下弛み量測定装置70によって、下側の部分の駆動チェーン38bの弛み量を検出することができる。
【0047】
(8)効果
本発明の実施形態によれば、踏段14が下降運転を行っている場合に、上弛み量測定装置100が、上側の部分の駆動チェーン38aの弛み量を常時測定し、その弛み量が限界弛み量を超えたときに制御装置25に自動的に通知できる。
【0048】
また、踏段14が上昇運転を行った後に停止した場合に、下弛み量測定装置70が下側の部分の駆動チェーン38bの弛み量を測定し、その弛み量が限界弛み量を超えたときに制御装置25に自動的に通知できる。
従っていずれの場合も、保守員が保守点検のときに弛み量を測定する必要がなく、また駆動チェーン38が大きく弛んだ状態のまま運転を継続するおそれがない。
【0049】
また、測定は下フォトセンサ96、上フォトセンサ110で行うため、接触式スイッチ(例えば、リミットスイッチ)などと比べてスイッチの打撃による破損がない。
【0050】
また、安価で性能も安定したフォトセンサを使用することができる。
【0051】
また、毎日の運転を終えた夜間等でモータ22が停止しているときに下フォトセンサ96、上フォトセンサ110を通電して弛み量を測定する場合、移動する駆動チェーン38によるレバー76と検出板102の揺れがなく、より正確な測定が可能となる。
【実施形態2】
【0052】
実施形態2のエスカレータ10における駆動チェーン38の弛み量測定装置について説明する。
【0053】
実施形態1では、下弛み量測定装置70を用いて、駆動チェーン38の弛み量を検出する場合に、初期状態では、レバー76の上部が、下センサ装置90の凹部93にある下フォトセンサ96の光を遮断しておらず、レバー76の上部が回転して下フォトセンサ96の光を遮ると駆動チェーン38の弛み量が限界弛み量より大きくなったと判断していた。
【0054】
本実施形態では、これに代えて、初期状態では、レバー76の上部が、下センサ装置90の凹部93にある下フォトセンサ96の光を遮断した状態であり、レバー76の上部が回転して下フォトセンサ96の光を遮断しなくなると駆動チェーン38の弛み量が限界弛み量より大きくなったと判断する。
【0055】
また、実施形態1では、上弛み量測定装置70を用いて、駆動チェーン38の弛み量を検出する場合に、初期状態では、検出板102の突部112が、上センサ装置104の凹部108にある上フォトセンサ110の光を遮断しておらず、検出板102の突部112が下降して上フォトセンサ110の光を遮ると駆動チェーン38の弛み量が限界弛み量より大きくなったと判断していた。
【0056】
本実施形態では、これに代えて、初期状態では、検出板102の突部112が、上センサ装置104の凹部108にある上フォトセンサ110の光を遮断した状態であり、検出板102の突部112下降して上フォトセンサ110の光を遮断しなくなると駆動チェーン38の弛み量が限界弛み量より大きくなったと判断する。
【変更例】
【0057】
上記実施形態では、上フォトセンサ110、下フォトセンサ96で限界弛み量を検出したが、これに代えて他の近接センサなどを用いてもよい。
【0058】
上記実施形態では、上弛み量測定装置100の検出板102は、非常停止装置40の押さえレバー52に取り付けていたが、これに代えて、押さえ部材54に取り付けてもよい。
【0059】
上記実施形態では、乗客コンベアとしてエスカレータ10で説明したが、これに代えて動く歩道で実施してもよい。動く歩道の場合には、エスカレータ10における上昇運転という概念は、トラス12の後部側に踏段(ステップ)14が移動すること、即ち、後部側の乗降板に踏段14が引き込まれる状態に対応する。また、下降運転という概念は、トラス12の後部側から踏段14が前部側に移動すること、即ち、後部側の乗降板から踏段14が送り出される状態に対応する。
【0060】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10・・・エスカレータ、12・・・トラス、20・・・上階の機械室、25・・・制御装置、26・・・駆動小スプロケット、36・・・駆動大スプロケット、38・・・駆動チェーン、70・・・下弛み量測定装置、72・・・レバー作用部、76・・・レバー、80・・・レバー台、90・・・下センサ装置、96・・・下フォトセンサ、100・・・上弛み量測定装置、102・・・検出板、104・・・上センサ装置、110・・・上フォトセンサ
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に配されたトラスと、
前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、
前記トラスの後部に設けられたモータと、
前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、
複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、
前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、
前記トラスの上部に設けられた軸を中心に回転自在に吊り下げられた押さえレバーと、
前記押さえレバーに取り付けられ、自重によって前記上側の部分の前記駆動チェーン上に載置された押さえ部材と、
前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する上弛み量測定装置と、
前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する下弛み量測定装置と、
制御装置と、
を有し、
前記上弛み量測定装置は、
前記押さえレバー又は前記押さえ部材に固定され、前記押さえレバー又は前記押さえ部材から上方に延びる検出板と、
前記トラスに固定された上センサ装置と、
を有し、
前記上センサ装置は、溝状の凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた上フォトセンサを有し、
前記下弛み量測定装置は、
前記トラスに固定されたレバー台と、
前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、
前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、
前記トラスに固定された下センサ装置と、
を有し、
前記下センサ装置は、凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた下フォトセンサを有し、
前記制御装置は、前記上側の部分の前記駆動チェーンが弛んで前記上センサ装置の前記凹部の内部を前記検出板の上部が上下方向に移動して、前記上フォトセンサの前記照射部からの光を遮断したときに前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断し、前記下側の部分の前記駆動チェーンが弛んで前記レバーが回転して、前記レバーの上部が前記凹部内部を通過して前記下フォトセンサの前記照射部からの光を遮断したときに前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、
ことを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項2】
前後方向に配されたトラスと、
前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、
前記トラスの後部に設けられたモータと、
前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、
複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、
前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、
前記トラスの上部に設けられた軸を中心に回転自在に吊り下げられた押さえレバーと、
前記押さえレバーに取り付けられ、自重によって前記上側の部分の前記駆動チェーン上に載置された押さえ部材と、
前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する上弛み量測定装置と、
制御装置と、
を有し、
前記上弛み量測定装置は、
前記押さえレバー又は前記押さえ部材に固定され、前記押さえレバー又は前記押さえ部材から上方に延びる検出板と、
前記トラスに固定された上センサ装置と、
を有し、
前記上センサ装置は、溝状の凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた上フォトセンサを有し、
前記制御装置は、前記上側の部分の前記駆動チェーンが弛んで前記上センサ装置の前記凹部の内部を前記検出板の上部が上下方向に移動して、前記照射部からの光を遮断したときに前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、
ことを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記上側の部分の前記駆動チェーンが前記駆動小スプロケットから前記駆動大スプロケットに移動する運転を行った後に停止したときに、前記上弛み量測定装置によって前記上側の部分の前記駆動チェーンの前記弛み量を測定する、
請求項1又は2に記載の乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項4】
前後方向に配されたトラスと、
前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、
前記トラスの後部に設けられたモータと、
前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、
複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、
前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、
前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する下弛み量測定装置と、
制御装置と、
を有し、
前記下弛み量測定装置は、
前記トラスに固定されたレバー台と、
前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、
前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、
前記トラスに固定された下センサ装置と、
を有し、
前記下センサ装置は、凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた下フォトセンサを有し、
前記制御装置は、前記下側の部分の前記駆動チェーンが弛んで前記レバーが回転して、前記レバーの上部が前記凹部内部を通過して前記照射部からの光を遮断したときに前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、
ことを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記下側の部分の前記駆動チェーンが前記駆動大スプロケットから前記駆動小スプロケットに移動する運転を行った後に停止したときに、前記下弛み量測定装置によって前記下側の部分の前記駆動チェーンの前記弛み量を測定する、
請求項1又は4に記載の乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の実施形態は、前後方向に配されたトラスと、前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、前記トラスの後部に設けられたモータと、前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、前記トラスの上部に設けられた軸を中心に回転自在に吊り下げられた押さえレバーと、前記押さえレバーに取り付けられ、自重によって前記上側の部分の前記駆動チェーン上に載置された押さえ部材と、前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する上弛み量測定装置と、前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する下弛み量測定装置と、制御装置と、を有し、前記上弛み量測定装置は、前記押さえレバー又は前記押さえ部材に固定され、前記押さえレバー又は前記押さえ部材から上方に延びる検出板と、前記トラスに固定された上センサ装置と、を有し、前記上センサ装置は、溝状の凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた上フォトセンサを有し、前記下弛み量測定装置は、前記トラスに固定されたレバー台と、前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、前記トラスに固定された下センサ装置と、を有し、前記下センサ装置は、凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた下フォトセンサを有し、前記制御装置は、前記上側の部分の前記駆動チェーンが弛んで前記上センサ装置の前記凹部の内部を前記検出板の上部が上下方向に移動して、前記上フォトセンサの前記照射部からの光を遮断したときに前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断し、前記下側の部分の前記駆動チェーンが弛んで前記レバーが回転して、前記レバーの上部が前記凹部内部を通過して前記下フォトセンサの前記照射部からの光を遮断したときに前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、ことを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置である。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に配されたトラスと、
前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、
前記トラスの後部に設けられたモータと、
前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、
複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、
前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、
前記トラスの上部に設けられた軸を中心に回転自在に吊り下げられた押さえレバーと、
前記押さえレバーに取り付けられ、自重によって前記上側の部分の前記駆動チェーン上に載置された押さえ部材と、
前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する上弛み量測定装置と、
前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する下弛み量測定装置と、
制御装置と、
を有し、
前記上弛み量測定装置は、
前記押さえレバー又は前記押さえ部材に固定され、前記押さえレバー又は前記押さえ部材から上方に延びる検出板と、
前記トラスに固定された上センサ装置と、
を有し、
前記検出板は、前記軸を中心に円弧状に形成され、
前記上センサ装置は、溝状の凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた上フォトセンサを有し、
前記下弛み量測定装置は、
前記トラスに固定されたレバー台と、
前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、
前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、
前記トラスに固定された下センサ装置と、
を有し、
前記下センサ装置は、凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた下フォトセンサを有し、
前記制御装置は、前記上側の部分の前記駆動チェーンが弛んで、前記検出板が前記軸を中心に回転して、前記上センサ装置の前記凹部の内部を前記検出板の上部が下方向に移動して、前記上フォトセンサの前記照射部からの光を遮断したときに前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断し、前記下側の部分の前記駆動チェーンが弛んで前記レバーが前記回転軸を中心に回転して、前記レバーの上部が前記凹部内部を通過して前記下フォトセンサの前記照射部からの光を遮断したときに前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、
ことを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記上側の部分の前記駆動チェーンが前記駆動小スプロケットから前記駆動大スプロケットに移動する運転を行った後に停止したときに、前記上弛み量測定装置によって前記上側の部分の前記駆動チェーンの前記弛み量を測定する、
請求項1に記載の乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項3】
前後方向に配されたトラスと、
前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、
前記トラスの後部に設けられたモータと、
前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、
複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、
前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、
前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する下弛み量測定装置と、
制御装置と、
を有し、
前記下弛み量測定装置は、
前記トラスに固定されたレバー台と、
前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、
前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、
前記トラスに固定された下センサ装置と、
を有し、
前記下センサ装置は、凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた下フォトセンサを有し、
前記制御装置は、前記下側の部分の前記駆動チェーンが弛んで前記レバーが前記回転軸を中心に回転して、前記レバーの上部が前記凹部内部を通過して前記照射部からの光を遮断したときに前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、
ことを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記下側の部分の前記駆動チェーンが前記駆動大スプロケットから前記駆動小スプロケットに移動する運転を行った後に停止したときに、前記下弛み量測定装置によって前記下側の部分の前記駆動チェーンの前記弛み量を測定する、
請求項1又は3に記載の乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の実施形態は、前後方向に配されたトラスと、前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、前記トラスの後部に設けられたモータと、前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、を有した乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置において、前記トラスの上部に設けられた軸を中心に回転自在に吊り下げられた押さえレバーと、前記押さえレバーに取り付けられ、自重によって前記上側の部分の前記駆動チェーン上に載置された押さえ部材と、前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する上弛み量測定装置と、前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する下弛み量測定装置と、制御装置と、を有し、前記上弛み量測定装置は、前記押さえレバー又は前記押さえ部材に固定され、前記押さえレバー又は前記押さえ部材から上方に延びる検出板と、前記トラスに固定された上センサ装置と、を有し、前記検出板は、前記軸を中心に円弧状に形成され、前記上センサ装置は、溝状の凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた上フォトセンサを有し、前記下弛み量測定装置は、前記トラスに固定されたレバー台と、前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、前記トラスに固定された下センサ装置と、を有し、前記下センサ装置は、凹部と、前記凹部の相対向する内面に、光を水平方向に照射する照射部と前記光の受光部とが設けられた下フォトセンサを有し、前記制御装置は、前記上側の部分の前記駆動チェーンが弛んで、前記検出板が前記軸を中心に回転して、前記上センサ装置の前記凹部の内部を前記検出板の上部が上下方向に移動して、前記上フォトセンサの前記照射部からの光を遮断したときに前記上側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断し、前記下側の部分の前記駆動チェーンが弛んで前記レバーが前記回転軸を中心に回転して、前記レバーの上部が前記凹部内部を通過して前記下フォトセンサの前記照射部からの光を遮断したときに前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量が限界弛み量に到達したと判断する、ことを特徴とする乗客コンベアにおける駆動チェーンの弛み量測定装置である。