(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088944
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】空気分配バルブ及びバルブ装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
A61H7/00 322A
A61H7/00 322B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204001
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】武井 暢亨
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD01
4C100BB05
4C100BC12
4C100BC14
4C100CA15
(57)【要約】
【課題】複数の気室を備える空気式マッサージ具を、複数の電磁弁を使用することなくスクイーズモードで動作させることを可能とする空気分配バルブを提供する。
【解決手段】空気分配バルブ12は第1バルブ部材14と第2バルブ部材16とからなる。第2バルブ部材16が第1バルブ部材14に対して第1の回転方向給気位置になると、給気接続溝50が第1気室用開口部42-1と連通する。第2バルブ部材16が第1の回転方向給気位置から所定の回転方向に回転して第2の回転方向給気位置となると、給気接続溝50が第2気室用開口部42-2と連通する。第2バルブ部材16が第2の回転方向給気位置から回転して回転方向排気位置となると、第1排気用開口部52-1が第1気室用開口部42-1と連通し且つ第2排気用開口部52-2が第2気室用開口部42-2と連通する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気式マッサージ具の各気室に空気を分配するための空気分配バルブであって、
第1摺動面を有する第1バルブ部材と、
第2摺動面を有し、前記第2摺動面が前記第1摺動面と密封係合した状態で摺動するようにして、前記第1バルブ部材に対して回転中心軸線を中心に相対的に回転可能とされた第2バルブ部材と、
を備え、
前記第1バルブ部材が、
加圧空気供給源に接続される空気供給源接続口と、
前記回転中心軸線上で前記第1摺動面に開口し、前記空気供給源接続口と連通した給気用開口部と、
空気式マッサージ具の第1気室に接続される第1気室接続口と、
前記空気式マッサージ具の第2気室に接続される第2気室接続口と、
前記第1摺動面に開口し、前記第1気室接続口に連通した第1気室用開口部と、
前記第1摺動面に開口し、前記第2気室接続口に連通した第2気室用開口部と、
を備え、
前記第2バルブ部材が、
前記第2摺動面上で前記回転中心軸線の位置から径方向外側に延び、前記給気用開口部と前記回転中心軸線上で連通する給気接続溝と、
前記第2摺動面に開口した第1排気用開口部と、
前記第2摺動面に開口した第2排気用開口部と、
を備え、
前記第2バルブ部材が前記第1バルブ部材に対して第1の回転方向給気位置にあるときに、前記給気接続溝が前記第1気室用開口部と連通し、
前記第2バルブ部材が前記第1の回転方向給気位置から所定の回転方向に回転して第2の回転方向給気位置となったときに、前記給気接続溝が前記第2気室用開口部と連通し、
前記第2バルブ部材が前記第2の回転方向給気位置から前記回転方向に回転して回転方向排気位置となったときに、前記第1排気用開口部が前記第1気室用開口部と連通し且つ前記第2排気用開口部が前記第2気室用開口部と連通するようにされた、空気分配バルブ。
【請求項2】
前記第2排気用開口部が前記第1排気用開口部よりも径方向外側に位置し、前記第2気室用開口部の少なくとも一部が前記第1気室用開口部よりも径方向外側に位置しており、前記第2排気用開口部が前記第1気室用開口部よりも径方向外側に位置して前記第1気室用開口部とは連通しないようにされた、請求項1に記載の空気分配バルブ。
【請求項3】
前記第2気室用開口部が前記第1気室用開口部よりも前記回転方向に長く延びるようにされた、請求項1に記載の空気分配バルブ。
【請求項4】
前記第1バルブ部材が、
前記空気式マッサージ具の第3気室に接続される第3気室接続口と、
前記空気式マッサージ具の第4気室に接続される第4気室接続口と、
前記第1摺動面に開口し、前記第3気室接続口に連通した第3気室用開口部と、
前記第1摺動面に開口し、前記第4気室接続口に連通した第4気室用開口部と、
をさらに備え、
前記第2バルブ部材が、
前記第2摺動面に開口した第3排気用開口部と、
前記第2摺動面に開口した第4排気用開口部と、
をさらに備え、
前記第2バルブ部材が前記第2の回転方向給気位置から前記回転方向に回転して第3の回転方向給気位置となったときに、前記給気用開口部が前記第3気室用開口部と連通し、
前記第2バルブ部材が前記第3の回転方向給気位置から前記回転方向に回転して第4の回転方向給気位置となったときに、前記給気用開口部が前記第4気室用開口部と連通し、
前記第2バルブ部材が前記第4の回転方向給気位置から前記回転方向に回転して前記回転方向排気位置となったときに、前記第3排気用開口部が前記第3気室用開口部と連通し且つ前記第4排気用開口部が前記第4気室用開口部と連通するようにされた、請求項1に記載の空気分配バルブ。
【請求項5】
前記第1バルブ部材が、前記給気接続溝よりも径方向外側の位置で前記第1摺動面に形成された接触面積低減用凹部をさらに備える、請求項1に記載の空気分配バルブ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の空気分配バルブと、
モータと、
前記空気分配バルブの前記第1バルブ部材と前記モータとを固定する固定部材と、
前記モータの回転軸に対して固定され、前記空気分配バルブの前記第2バルブ部材に対して前記回転中心軸線の方向では変位可能であり前記回転方向では固定された回転連結部材と、
前記第2バルブ部材と前記回転連結部材との間に配置されて、前記第2摺動面が前記第1摺動面に押圧されるように前記第2バルブ部材を前記第1バルブ部材に向かって付勢するスプリングと、
を備える、バルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気式マッサージ具の各気室に空気を分配するための空気分配バルブ及びバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気式のマッサージ具は、通常、複数の気室を備え、エアポンプから供給される加圧空気を各気室に供給したり、供給した加圧空気を各気室から排出したりすることにより各気室を膨張・収縮させて身体に対するマッサージを行なうようになっている(特許文献1)。空気式のマッサージ具による代表的なマッサージパターンとしては、例えば脚のマッサージを例にすると、足先側の気室から身体中心に近い側の気室に向かって加圧空気を順次供給していき、次いで足先側の気室から加圧空気を順次排出するウェーブモード、足先側の気室から身体中心に近い側の気室に向かって加圧空気を順次供給していき、全ての気室を加圧した後に全ての気室から同時に加圧空気を排出するスクイーズモード、全ての気室に同時に加圧空気を供給し、次いで全ての気室から同時に加圧空気を排出するハイパーモードなどがある。このような各モードでのマッサージを実現するために、通常は1つの気室に対して1つの電磁弁を対応させて、複数の電磁弁を適宜のタイミングで開閉させるように制御することにより各気室を適切なタイミングで膨張・収縮させるようにしている。
【0003】
上述のマッサージパターンのうち特に利用者に好まれるのはウェーブモードとスクイーズモードであるが、ウェーブモードについては複数の電磁弁を制御するのではなく1つの空気分配バルブを利用した簡便な機構により実現することも行なわれている(特許文献2)。この空気分配バルブは、固定位置にあるステータと、それに対してモータにより回転されるロータとからなり、ロータの回転に伴って、加圧空気の供給路が各気室に繋がる流路に順次接続されていくとともに、次いで流路が排気流路に順次接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-105879号公報
【特許文献2】特開2012-11065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェーブモードよりも複雑な動作が必要となるスクイーズモードについては、依然として複数の電磁弁を制御する方式でしか実現されていない。
【0006】
そこで本発明は、複数の気室を備える空気式マッサージ具を、複数の電磁弁を使用することなくスクイーズモードで動作させることを可能とする空気分配バルブ及びバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、
空気式マッサージ具の各気室に空気を分配するための空気分配バルブであって、
第1摺動面を有する第1バルブ部材と、
第2摺動面を有し、前記第2摺動面が前記第1摺動面と密封係合した状態で摺動するようにして、前記第1バルブ部材に対して回転中心軸線を中心に相対的に回転可能とされた第2バルブ部材と、
を備え、
前記第1バルブ部材が、
加圧空気供給源に接続される空気供給源接続口と、
前記回転中心軸線上で前記第1摺動面に開口し、前記空気供給源接続口と連通した給気用開口部と、
空気式マッサージ具の第1気室に接続される第1気室接続口と、
前記空気式マッサージ具の第2気室に接続される第2気室接続口と、
前記第1摺動面に開口し、前記第1気室接続口に連通した第1気室用開口部と、
前記第1摺動面に開口し、前記第2気室接続口に連通した第2気室用開口部と、
を備え、
前記第2バルブ部材が、
前記第2摺動面上で前記回転中心軸線の位置から径方向外側に延び、前記給気用開口部と前記回転中心軸線上で連通する給気接続溝と、
前記第2摺動面に開口した第1排気用開口部と、
前記第2摺動面に開口した第2排気用開口部と、
を備え、
前記第2バルブ部材が前記第1バルブ部材に対して第1の回転方向給気位置にあるときに、前記給気接続溝が前記第1気室用開口部と連通し、
前記第2バルブ部材が前記第1の回転方向給気位置から所定の回転方向に回転して第2の回転方向給気位置となったときに、前記給気接続溝が前記第2気室用開口部と連通し、
前記第2バルブ部材が前記第2の回転方向給気位置から前記回転方向に回転して回転方向排気位置となったときに、前記第1排気用開口部が前記第1気室用開口部と連通し且つ前記第2排気用開口部が前記第2気室用開口部と連通するようにされた、空気分配バルブを提供する。
【0008】
当該空気分配バルブにおいては、第2バルブ部材を第1バルブ部材に対して所定の回転方向に回転させることにより、給気接続溝がまず第1気室用開口部に連通し次に第2気室用開口部に連通し、さらに第1排気用開口部及び第2排気用開口部が第1気室用開口部及び第2気室用開口部にそれぞれ連通するようになっている。これにより、空気供給源接続口から導入される加圧空気供給源の圧縮空気は、まず第1気室用開口部及び第1気室接続口を通って空気式マッサージ具の第1気室に供給され、次に第2気室用開口部及び第2気室接続口を通って空気式マッサージ具の第2気室に供給され、そして第1気室及び第2気室内の加圧空気は第1排気用開口部及び第2排気用開口部を通して排気されるようになる。すなわち、当該空気分配バルブに接続された空気式マッサージ具は、その第1気室がまず加圧されて膨脹し、次に第2気室が加圧されて膨脹し、そして第1及び第2気室が加圧された後に両気室内の加圧空気が排気されて両気室が収縮するようになる。当該空気分配バルブは、複数の気室を備える空気式マッサージ具を、複数の電磁弁を使用することなくスクイーズモードで動作させることを可能とする。
【0009】
また、前記第2排気用開口部が前記第1排気用開口部よりも径方向外側に位置し、前記第2気室用開口部の少なくとも一部が前記第1気室用開口部よりも径方向外側に位置しており、前記第2排気用開口部が前記第1気室用開口部よりも径方向外側に位置して前記第1気室用開口部とは連通しないようにすることができる。
【0010】
また、前記第2気室用開口部が前記第1気室用開口部よりも前記回転方向に長く延びるようにすることができる。
【0011】
このような構成により、第2バルブ部材が一定速度で回転するときに、給気接続溝が第2気室用開口部と連通する時間が第1気室用開口部と連通する時間よりも長くなり、第2気室用開口部を通って空気式マッサージ具の第2気室に供給される加圧空気の量が、第1気室用開口部を通って空気式マッサージ具の第1気室に供給される加圧空気の量よりも多くなるようにすることができる。すなわち、各気室用開口部の回転方向での長さを調節することにより、それに対応する気室に供給される加圧空気の量を調節することができる。
【0012】
また、
前記第1バルブ部材が、
前記空気式マッサージ具の第3気室に接続される第3気室接続口と、
前記空気式マッサージ具の第4気室に接続される第4気室接続口と、
前記第1摺動面に開口し、前記第3気室接続口に連通した第3気室用開口部と、
前記第1摺動面に開口し、前記第4気室接続口に連通した第4気室用開口部と、
をさらに備え、
前記第2バルブ部材が、
前記第2摺動面に開口した第3排気用開口部と、
前記第2摺動面に開口した第4排気用開口部と、
をさらに備え、
前記第2バルブ部材が前記第2の回転方向給気位置から前記回転方向に回転して第3の回転方向給気位置となったときに、前記給気用開口部が前記第3気室用開口部と連通し、
前記第2バルブ部材が前記第3の回転方向給気位置から前記回転方向に回転して第4の回転方向給気位置となったときに、前記給気用開口部が前記第4気室用開口部と連通し、
前記第2バルブ部材が前記第4の回転方向給気位置から前記回転方向に回転して前記回転方向排気位置となったときに、前記第3排気用開口部が前記第3気室用開口部と連通し且つ前記第4排気用開口部が前記第4気室用開口部と連通するようにすることができる。
【0013】
このような構成により、4つの気室を有する空気式マッサージ具をスクイーズモードで駆動することが可能となる。
【0014】
また、前記第1バルブ部材が、前記給気接続溝よりも径方向外側の位置で前記第1摺動面に形成された接触面積低減用凹部をさらに備えるようにすることができる。
【0015】
接触面積低減用凹部を設けることにより、第1摺動面の面積が小さくなり、第1摺動面と第2摺動面との間の摺動抵抗を小さくすることができる。また、第1摺動面と第2摺動面との間を密封係合した状態に維持するためには、第1摺動面と第2摺動面とをある程度以上の力で相互に押し付けるようにする必要があるが、第1摺動面と第2摺動面との間の接触面積を小さくすることで該力を小さくすることも可能となる。
【0016】
本発明はさらに、
上述のいずれかに記載の空気分配バルブと、
モータと、
前記空気分配バルブの前記第1バルブ部材と前記モータとを固定する固定部材と、
前記モータの回転軸に対して固定され、前記空気分配バルブの前記第2バルブ部材に対して前記回転中心軸線の方向では変位可能であり前記回転方向では固定された回転連結部材と、
前記第2バルブ部材と前記回転連結部材との間に配置されて、前記第2摺動面が前記第1摺動面に押圧されるように前記第2バルブ部材を前記第1バルブ部材に向かって付勢するスプリングと、
を備える、バルブ装置を提供する。
【0017】
以下、本発明に係るバルブ装置の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバルブ装置の斜視図である。
【
図4】
図1のバルブ装置が備える、本発明の一実施形態に係る空気分配バルブの分解斜視図である。
【
図5】
図4の空気分配バルブの第1バルブ部材の正面図である。
【
図7】
図5のB-B線における第1バルブ部材の断面図である。
【
図8】
図4の空気分配バルブの第2バルブ部材の正面図である。
【
図10】
図8のC-C線における第2バルブ部材の断面図である。
【
図11】空気分配バルブの動作を示す第1の図であり、第2バルブ部材が第1の回転方向給気位置にある状態での概略図である。
【
図12】空気分配バルブの動作を示す第2の図であり、第2バルブ部材が第2の回転方向給気位置にある状態での概略図である。
【
図13】空気分配バルブの動作を示す第3の図であり、第2バルブ部材が第3の回転方向給気位置にある状態での概略図である。
【
図14】空気分配バルブの動作を示す第4の図であり、第2バルブ部材が第4の回転方向給気位置にある状態での概略図である。
【
図15】空気分配バルブの動作を示す第5の図であり、第2バルブ部材が回転方向排気位置にある状態での概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係るバルブ装置10は、
図1及び
図2に示すように、第1バルブ部材14及び第2バルブ部材16とからなる空気分配バルブ12を備える。第2バルブ部材16は、第1バルブ部材14に対して回転中心軸線Rを中心に相対的に回転可能とされている。バルブ装置10はさらに、モータ18、及び第1バルブ部材14とモータ18とを固定する固定部材20を備える。またバルブ装置10は、
図3に示すように、第2バルブ部材16の内側に配置されてモータ18の回転軸18aに連結された回転連結部材22と、第2バルブ部材16と回転連結部材22との間に配置されたスプリング24を備える。回転連結部材22は、第2バルブ部材16に対して回転中心軸線Rの方向(図で見て上下方向)では変位可能であるが、回転中心軸線Rの周りの回転方向では固定されている。また、スプリング24は、第1バルブ部材14の第1摺動面26に第2バルブ部材16の第2摺動面28が押圧されて密封係合するように、第2バルブ部材16を第1バルブ部材14に向かって付勢している。回転連結部材22と固定部材20との間には環状の摺動支持部材30が配置されており、回転連結部材22は摺動支持部材30に対して摺動しながらモータ18によって回転駆動される。当該バルブ装置10は、モータ18を回転駆動することにより、空気分配バルブ12の第1摺動面26と第2摺動面28とが押し付けられて密封係合した状態で摺動するようにして、第2バルブ部材16を第1バルブ部材14に対して回転させるようになっている。なお、本実施形態に係るバルブ装置10は、4つの気室を有する空気式マッサージ具に接続されて使用されるものである。
【0020】
空気分配バルブ12の第1バルブ部材14は、
図4及び
図5に示すように、ポンプなどの加圧空気供給源(図示しない)に接続されたチューブが取り付けられるようにされた給気チューブ取付部32と、空気式マッサージ具の第1乃至第4気室に接続されたチューブがそれぞれ取り付けられるようにされた、第1気室チューブ取付部34-1、第2気室チューブ取付部34-2、第3気室チューブ取付部34-3、及び第4気室チューブ取付部34-4を有する。給気チューブ取付部32には加圧空気供給源からの加圧空気を受け入れるための空気供給源接続口36が形成されている。また、第1乃至第4気室チューブ取付部34-1~34-4には、それぞれ第1乃至第4気室に接続される第1気室接続口38-1、第2気室接続口38-2、第3気室接続口38-3、及び第4気室接続口38-4が形成されている。
図6及び
図7に示すように、第1バルブ部材14はさらに、第1摺動面26に開口して空気供給源接続口36と連通した給気用開口部40と、第1摺動面26に開口して第1乃至第4気室接続口38-1~38-4にそれぞれ連通した第1気室用開口部42-1、第2気室用開口部42-2、第3気室用開口部42-3、及び第4気室用開口部42-4を有する。給気用開口部40は、第2バルブ部材16の回転中心軸線R上に位置するように配置されている。第1乃至第4気室用開口部42-1~42-4はそれぞれ円弧状の形状を有している。第2気室用開口部42-2は、第1気室用開口部42-1よりも径方向外側に位置している。第3気室用開口部42-3は、その一部が第2気室用開口部42-2よりも径方向外側に位置している。第4気室用開口部42-4は、その一部が第3気室用開口部42-3よりも径方向外側に位置している。また、第2気室用開口部42-2は第1気室用開口部42-1よりも回転方向により長く延び、第3気室用開口部42-3は第2気室用開口部42-2よりも回転方向により長く延び、第4気室用開口部42-4は第3気室用開口部42-3よりも回転方向により長く延びるような大きさ及び形状とされている。第1摺動面26にはさらに、第1乃至第3気室用開口部42-1~42-3の径方向外側を回転方向に弧状に延びる接触面積低減用凹部44が形成されている。
【0021】
空気分配バルブ12の第2バルブ部材16は、
図8-
図10に示すように、第2摺動面28が形成された端面壁部46と、端面壁部46から後方に延びる周壁部48とからなる。端面壁部46には、第2摺動面28上で回転中心軸線Rの位置から径方向外側に延びる給気接続溝50と、第2摺動面28にそれぞれ開口した第1排気用開口部52-1、第2排気用開口部52-2、第3排気用開口部52-3、及び第4排気用開口部52-4が形成されている。第1乃至第4排気用開口部52-1~52-4からは、それぞれ端面壁部46を貫通する排気路54が延びている。第2排気用開口部52-2は第1排気用開口部52-1よりも径方向外側に位置し、第3排気用開口部52-3は第2排気用開口部52-2よりも径方向外側に位置し、第4排気用開口部52-4は第3排気用開口部52-3よりも径方向外側に位置している。また、第2排気用開口部52-2は第1排気用開口部52-1よりも回転方向に長く延び、第3排気用開口部52-3は第2排気用開口部52-2よりも長く延び、第4排気用開口部52-4は第3排気用開口部52-3よりも長く延びるように形成されている。
【0022】
上述の通り、モータ18によって、第2バルブ部材16は第1バルブ部材14に対して回転中心軸線Rの周りで回転する。当該実施形態においては、第2バルブ部材16は一定速度で連続的に回転するようになっている。
【0023】
第1バルブ部材14に形成されている接触面積低減用凹部44は、第2バルブ部材16の給気接続溝50よりも径方向外側に位置していて、給気接続溝50と連通することはない。接触面積低減用凹部44を設けることにより、第1摺動面26の面積が小さくなり、第1摺動面26と第2摺動面28との間の摺動抵抗を小さくすることができる。また、スプリング24の付勢力によって第1摺動面26と第2摺動面28との間に生じる単位面積当りの力が大きくなり、第1摺動面26と第2摺動面28との間の密封性を向上させることができる。
【0024】
第2バルブ部材16の給気接続溝50は、第2バルブ部材16の回転方向での位置に関わらず常に第1バルブ部材14の給気用開口部40と連通している。よって、給気接続溝50は、常に空気供給源接続口36と連通している。第2バルブ部材16が、
図11に示す第1の回転方向給気位置にあるときには、第2バルブ部材16の給気接続溝50が第1バルブ部材14の第1気室用開口部42-1と連通する。よって、加圧空気供給源から供給される加圧空気は、給気接続溝50から第1気室用開口部42-1及び第1気室接続口38-1を通って、第1気室チューブ取付部34-1に接続された空気式マッサージ具の第1気室に供給される。第2バルブ部材16が、
図12に示す第2の回転方向給気位置になると、給気接続溝50が第2気室用開口部42-2と連通する。よって、加圧空気は、給気接続溝50から第2気室用開口部42-2及び第2気室接続口38-2を通って、空気式マッサージ具の第2気室に供給される。第2バルブ部材16が、
図13に示す第3の回転方向給気位置になると、給気接続溝50が第3気室用開口部42-3と連通する。よって、加圧空気は、給気接続溝50から第3気室用開口部42-3及び第3気室接続口38-3を通って、空気式マッサージ具の第3気室に供給される。第2バルブ部材16が、
図14に示す第4の回転方向給気位置になると、給気接続溝50が第4気室用開口部42-4と連通する。よって、加圧空気は、給気接続溝50から第4気室用開口部42-4及び第4気室接続口38-4を通って、空気式マッサージ具の第4気室に供給される。このようにして、加圧空気が空気式マッサージ具の第1気室、第2気室、第3気室、及び第4気室に順次供給されて、各気室を順次膨脹させるようになる。第2バルブ部材16が、さらに回転して
図15に示す回転方向排気位置になると、第1排気用開口部52-1が第1気室用開口部42-1と連通し、第2排気用開口部52-2が第2気室用開口部42-2と連通し、第3排気用開口部52-3が第3気室用開口部42-3と連通し、第4排気用開口部52-4が第4気室用開口部42-4と連通する。一方で、給気接続溝50は第1乃至第4気室用開口部42-4のいずれとも連通しない。よって、空気式マッサージ具の第1気室内の加圧空気は第1気室接続口38-1、第1気室用開口部42-1、及び第1排気用開口部52-1を通って外部に排気される。同様に第2気室内の加圧空気、第3気室内の加圧空気、及び第4気室内の加圧空気も、それぞれ第2排気用開口部52-2、第3排気用開口部52-3、及び第4排気用開口部52-4を通って外部に排気される。このようにして、空気式マッサージ具の第1乃至第4気室内の加圧空気はほぼ同時に排気されて、各気室は収縮される。第2バルブ部材16は、さらに回転して上述の動作を繰り返す。
【0025】
上述のように、第1乃至第4気室用開口部42-1~42-4の回転方向での大きさは、第1気室用開口部42-1、第2気室用開口部42-2、第3気室用開口部42-3、第4気室用開口部42-4の順に大きくなっている。第2バルブ部材16が一定速度で回転する場合に給気接続溝50が各気室用開口部42-1~42-4と連通している時間は、気室用開口部の形状、特に回転方向での大きさにより調節することができる。そのため、例えばマッサージ具の各気室の大きさが異なるときに、比較的に大きな気室に繋がる気室用開口部は大きくし、比較的に小さな気室に繋がる気室用開口部は小さくすることで、大きさの異なる各気室に対して適切な量の加圧空気が供給されるようにすることができる。
【0026】
なお、第2排気用開口部52-2は、第1気室用開口部42-1よりも径方向外側に位置しているため、第2バルブ部材16が回転しても第2排気用開口部52-2が第1気室用開口部42-1と連通することはない。また第2排気用開口部52-2は、第2バルブ部材16が第1の回転方向給気位置(
図11)の付近にあるときに第3気室用開口部42-3と連通するが、このときには第3気室には加圧空気が供給されていないか又は既に加圧空気が排気されているため、第2排気用開口部52-2から第3気室の加圧空気が排気されることは基本的にはない。同様に、第2排気用開口部52-2は、第2バルブ部材16が第2の回転方向給気位置(
図12)から第3の回転方向給気位置(
図13)の付近にあるときに第4気室用開口部42-4と連通するが、このときには第4気室には加圧空気が供給されていないか又は既に加圧空気が排気されているため、第2排気用開口部52-2から第4気室の加圧空気が排気されることは基本的にはない。第3排気用開口部52-3についても第4気室用開口部42-4と連通することはあるが、その際に第4気室の加圧空気が第3排気用開口部52-3から排気されることは基本的にはない。第1排気用開口部52-1は第1気室用開口部42-1のみと連通するようになっており、第4排気用開口部52-4は第4気室用開口部42-4のみと連通するようになっている。すなわち、第1排気用開口部52-1は第1気室の加圧空気のみを排気し、第2排気用開口部52-2は第2気室の加圧空気のみを排気し、第3排気用開口部52-3は第3気室の加圧空気のみを排気し、第4排気用開口部52-4は第4気室の加圧空気のみを排気するようになっている。ただし、各気室内に排気しきれなかった加圧空気が残っている場合には、対応する排気用開口部以外の排気用開口部から残余の加圧空気が排気されることはあり得る。
【0027】
本実施形態に係るバルブ装置10は、第1バルブ部材14と第2バルブ部材16とからなる1つの空気分配バルブ12によって、空気式マッサージ具の4つの気室に順次加圧空気を分配供給し、その後に4つの気室からほぼ同時に加圧空気を排気することができる。すなわち、当該バルブ装置10は、複数の気室を備える空気式マッサージ具を複数の電磁弁を使用することなくスクイーズモードで動作させることを可能とする。
【0028】
以上に本発明の実施形態について説明をしたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。上記実施形態においては4つの気室を有するマッサージ具に対して使用するために気室接続口や排気用開口部などを4つずつ備えているが、4つ以外の例えば2つや6つの気室を有する空気式マッサージ具に対して使用するために、気室接続口などの数を気室の数に合わせて適宜変更することができる。また、第1摺動面及び第2摺動面に開口している各開口部の大きさや形状は、空気式マッサージ具に供給する加圧空気の量に応じて適宜変更することができる。モータによる第2バルブ部材の回転は、一定速度である必要はなく、回転位置によって変えるようにしたり、所定の位置で一時的に停止したりするようにしてもよい。この場合には、給気接続溝と各気室用開口部とが連通している時間を回転速度や停止時間によって適宜調節することもできる。
【符号の説明】
【0029】
10 バルブ装置
12 空気分配バルブ
14 第1バルブ部材
16 第2バルブ部材
18 モータ
18a 回転軸
20 固定部材
22 回転連結部材
24 スプリング
26 第1摺動面
28 第2摺動面
30 摺動支持部材
32 給気チューブ取付部
34-1 第1気室チューブ取付部
34-2 第2気室チューブ取付部
34-3 第3気室チューブ取付部
34-4 第4気室チューブ取付部
36 空気供給源接続口
38-1 第1気室接続口
38-2 第2気室接続口
38-3 第3気室接続口
38-4 第4気室接続口
40 給気用開口部
42-1 第1気室用開口部
42-2 第2気室用開口部
42-3 第3気室用開口部
42-4 第4気室用開口部
44 接触面積低減用凹部
46 端面壁部
48 周壁部
50 給気接続溝
52-1 第1排気用開口部
52-2 第2排気用開口部
52-3 第3排気用開口部
52-4 第4排気用開口部
54 排気路
R 回転中心軸線