(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088946
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】自動血圧計カフ部の殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20240626BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A61L2/10
A61B5/022 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204006
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】722014158
【氏名又は名称】水野 雅継
(72)【発明者】
【氏名】水野 雅継
【テーマコード(参考)】
4C017
4C058
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB01
4C017AC01
4C017AD01
4C017AD30
4C017FF27
4C058AA15
4C058BB06
4C058DD16
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK42
(57)【要約】
【課題】上腕式自動血圧計のカフ部に付着したウイルスを含む有害な微生物の不活性化(殺菌)処理を管理者に負担をかけることなく利用者毎に実施できるようにする。
【解決手段】紫外線照射ランプ1が紫外線を通過できる複数孔を有した円筒状のランプカバー2とその両端に設けた紫外線遮蔽部3と紫外線遮蔽部4との間に置き、把手5により自動血圧計カフ部へ挿抜可能にし、紫外線を自動で照射されるようにすることで、自動血圧計の利用者自身がウイルスを含む有害な微生物の不活性化(殺菌)処理を容易に行うことができるようになる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線照射ランプ1を備え、紫外線が通過できる複数孔を有した円筒状のランプカバー2を備え、その一端に紫外線遮蔽部3を備え、他の一端に紫外線遮蔽部4と把手5を備えていることを特徴とした自動血圧計カフ部の殺菌装置。
【請求項2】
紫外線照射可能条件を検知するスイッチ部11を紫外線遮蔽部3と紫外線遮蔽部4との間に備え、スイッチ部11が不検知になったと同時、もしくは、紫外線照射を一定時間連続で経過した場合において、紫外線照射を終了する制御ができる回路基板6を備えていることを特徴とした請求項1で記載の自動血圧計カフ部の殺菌装置。
【請求項3】
紫外線が通過できる複数孔を有した円筒状のランプカバー2の孔が円筒の円周方向に千鳥状に配置され、装置全体もしくはランプカバー2を円周方向に一定の角速度以下で回動可能にする回動ローラ部21を備えていることを特徴とした請求項1で記載の自動血圧計カフ部の殺菌装置。
【請求項4】
紫外線遮蔽部4のランプカバー2側に腕挿入口アタッチメント31を装着することで自動血圧計メーカー毎に異なるカフ部挿入口形状に合致させ紫外線の漏洩を抑止できることを特徴とした請求項1で記載の自動血圧計カフ部の殺菌装置。
【請求項5】
充電用電池7とワイヤレス充電用コイル8とを備えていることを特徴とした請求項2ないし請求項4で記載の自動血圧計カフ部の殺菌装置。
【請求項6】
電源供給コード301が着脱可能になる電源供給部302を備えていることを特徴とした請求項2ないし請求項4で記載の自動血圧計カフ部の殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動血圧計200のカフ部202に付着したウイルスを含む有害な微生物を、安全で、かつ容易に、不活性化させる殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動血圧計200のカフ部202は、血圧測定する際に伸縮する必要があるため布(織物)で構成されている。こういった布(織物)の表面は、ウイルスを含む有害な微生物が付着した場合、一般的なアルコール消毒など液体を使用した処置は不向きで異なる方法で衛生管理が求められている。
【0003】
通常は活性酸素をイオナイザーなどで空気中に放出しウイルスを含む有害な微生物を不活性化させ空気を清浄する装置が一般的に知られ運用されていることが多い。しかし、自動血圧計200のカフ部202に対しては空気を介しているため効果を発揮するには時間を要し、衛生管理運用上の直接的な効果は期待できない。
【0004】
直接的な効果が高い方法としては、ウイルスを含む有害な微生物などの不活性化に有効な波長の紫外線を一定の暴露量以上照射する方法が知られ、天井や壁、卓上に設置するタイプの紫外線照射装置がある。しかし、自動血圧計200のカフ部202のような囲まれた領域には紫外線が到達し難く効果は限定的になってしまう。また、紫外線が人体へ与える影響を考慮し、一定の距離内に人体があることを検知した場合は室外へ退避させてから紫外線が照射できるような安全装置が求められるなど、利用者毎に実施することは衛生管理運用上現実的ではない。
【0005】
これら以外に、持ち運びを容易にしたハンディタイプの紫外線照射装置もあるが、自動血圧計200のカフ部202に対し直接作用させることはできても、管理者もしくは利用者の安全性が考慮されていないことと、ウイルスを含む有害な微生物などを不活性化するために必要な暴露量与えるための照射時間を管理することも困難になり、衛生管理運用上適切ではない。
【0006】
つまり、自動血圧計200は、カフ部202に付着したウイルスを含む有害な微生物を適切に処理できる方法がないまま運用され続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
病院を始め健康管理を行う施設などに設置されている自動血圧計200は、不特定多数の人が使用する環境にあり、上腕部102を挿入したカフ部202が加圧接触して脈動を検知できる圧力範囲を測定するしくみのものが使用されていることが多い。しかし、昨今の感染症対策において、
図2および
図3のように咄嗟の場合に起こる咳およびくしゃみは、その飛沫を受ける場所として、肘窩部101から上腕部102にかけて口鼻を押さえるエチケットが推奨されている。つまり、
図4および
図5のように自動血圧計200の利用者100の肘窩部101から上腕部102が自動血圧計200のカフ部202に接してしまうことになり、ウイルスを含む有害な微生物が付着する可能性が高くなることが推測され、通常の生活様式に比べ感染リスクが比較的高い環境にあるといえる。
【0009】
こういった状況から自動血圧計の利用者の感染リスクを減らすため、管理者による衛生管理の方法として、自動血圧計製造者からディスポーサブルの腕カバーも考案され販売されているが、廃棄場所の確保や最終処分、永続的に続くコストなどが負担となるため受け入れられていない。また、管理者にとっては利用者毎にアルコールや紫外線照射ランプで消毒する作業も、人件費や安全性などを考慮すると大きな負担となり実施することは困難で、衛生管理が十分になされていないことが多くなっている。よって、自動血圧計を適切に衛生管理し運用するために、これらの課題を解決することが求められると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
紫外線照射ランプ1を有し、紫外線が通過可能な複数の孔のある円筒状のランプカバー2を備え、一端に紫外線遮蔽部3を備え、もう一方の端に紫外線遮蔽部4を備えるとともに把手5が備わっている装置を自動血圧計200のカフ部202に挿入することで紫外線を照射できるようにする。
【0011】
ウイルスを含む有害な微生物を一定割合以上不活性化するために必要な暴露量を紫外線照射ランプ1の照射強度と照射距離から算出される暴露量が超えるように照射時間を容易に管理できるようにする。
【0012】
紫外線照射ランプ1から照射される紫外線が自動血圧計200のカフ部202だけに暴露するように殺菌装置300の一部に紫外線遮蔽部3および紫外線遮蔽部4を備え、照射可能条件を検知するスイッチ部11を備え、安全性を確保できるようにする。
【発明の効果】
【0013】
自動血圧計の利用者にかかるウイルスを含む有害な微生物による感染リスクを低減できる。
【0014】
自動血圧計の管理者にかかる衛生管理負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る殺菌装置の断面図である。(実施例1)
【
図2】利用者が咳くしゃみエチケットをしているイメージの斜視図である。
【
図3】利用者が咳くしゃみエチケットをしているイメージの正面図である。
【
図4】一般的な自動血圧計の利用イメージの斜視図である。
【
図5】一般的な自動血圧計の利用イメージの断面図である。
【
図8】殺菌装置を自動血圧計のカフ部に挿入した状態の斜視図である。
【
図9】殺菌装置を自動血圧計のカフ部に挿入した状態の断面図である。
【
図10】本発明に係る殺菌装置の断面図である。(実施例2)
【
図11】自動血圧計カフ部に殺菌装置が挿入された状態で回動動作イメージの正面図である。
【
図12】本発明に係る殺菌装置の外観図である。(実施例3)
【
図13】腕挿入口形状の異なる自動血圧計の斜視図である。
【
図14】腕挿入口形状の異なる自動血圧計の断面図である。
【
図15】殺菌装置を自動血圧計のカフ部に挿入した状態の断面図である。
【
図16】殺菌装置へ充電台で電源供給をする場合の斜視図である。(実施例4)
【
図17】殺菌装置を充電台に挿入した状態の断面図である。
【
図18】殺菌装置を自動血圧計のカフ部に挿入した状態の斜視図である。(実施例5)
【
図19】殺菌装置を自動血圧計カフ部に挿入し電源供給している状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
自動血圧計200のカフ部202を殺菌する目的を、紫外線照射ランプ照射範囲と照射条件を制限することで、操作の容易性と安全性を損なわずに実現した。
【実施例0017】
図1は、本発明装置の断面図で、1~8は、
図10と同様である。11のスイッチ部によって紫外線の照射が始まっても紫外線が周囲に漏洩しない状態を検出し、6の回路基板で最大照射時間を制御するものである。また、7は充電用電池、8はワイヤレス充電用コイルで、殺菌処理をしていない時間に専用の充電台に本発明装置を置くことで殺菌処理に必要な電源を供給することが可能になる。