(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088952
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】燃料の状態計測システムおよび燃料の状態計測方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
F23G5/50 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204013
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 孝志
(72)【発明者】
【氏名】藤本 祐希
(72)【発明者】
【氏名】中道 亮
【テーマコード(参考)】
3K062
【Fターム(参考)】
3K062AA24
3K062AB01
3K062AC17
3K062BA02
3K062CA08
3K062CB01
3K062DA32
3K062DA35
3K062DA40
3K062DB03
3K062DB05
(57)【要約】
【課題】画像データから燃料の水分を計測することができる燃料の状態計測システムを提供する。
【解決手段】燃料の状態計測システム1は、移動空間を移動している状態の前記燃料を照射する照明装置11と、前記燃料を撮像する撮像装置12と、撮像された画像データから水分を演算し出力する水分演算部13と、撮像された画像データから燃料の移動状態を演算し出力する移動状態演算部14と、撮像された画像データから燃料の粒度を演算し出力する粒度演算部15とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置で撮像された画像データから水分を演算し出力する水分演算部を少なくとも備え、さらに、
撮像装置で撮像された画像データから燃料の移動状態を演算し出力する移動状態演算部と、および/または、
撮像装置で撮像された画像データから燃料の粒度を演算し出力する粒度演算部と、を備える、燃料の状態計測システム。
【請求項2】
前記水分演算部は、
画像データごとに、燃料の白さ度合を計算し、
前記白さ度合と、予め設定された検量線から水分に換算する、
請求項1に記載の燃料の状態計測システム。
【請求項3】
前記移動状態演算部は、
近赤外線カメラおよび/または可視カメラで撮像された時間的前後の画像データをトラッキング処理し、移動状態を算出する、
請求項1に記載の燃料の状態計測システム。
【請求項4】
前記粒度演算部は、
近赤外線カメラおよび/または可視カメラで撮像された画像データごとに、セグメンテーション処理で各燃料を分離し、分離した各燃料の面積を計算して各燃料の粒径を算出する、
請求項1に記載の燃料の状態計測システム。
【請求項5】
移動空間を移動している状態の燃料を撮像した画像データから水分を演算し出力する水分演算ステップを少なくとも含み、さらに、
移動空間を移動している状態の燃料を撮像した画像データから燃料の移動状態を演算し出力する移動状態演算ステップと、および/または、
移動空間を移動している状態の燃料を撮像した画像データから燃料の粒度を演算し出力する粒度演算ステップと、
を含む、
燃料の状態計測方法。
【請求項6】
燃料の状態計測プログラムであって、
少なくとも1つのプロセッサーあるいは情報処理装置により、請求項5に記載の燃料の状態計測方法を実現するプログラムである。
【請求項7】
請求項1に記載の燃料の状態計測システムと、
前記燃料の状態指標に基づいて、燃料の搬送速度および/または燃焼用の空気供給装置からの空気供給量を制御する制御部と、を備える、
燃焼制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の前記燃料の状態計測システムで求められた燃料の状態指標を受信する受信部と、
前記燃料の状態指標に基づいて、燃料の搬送速度および/または燃焼用の空気供給装置からの空気供給量を制御する制御部と、を備える、
燃焼制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の状態計測システムおよびその状態計測方法に関する。より具体的には、本発明は、燃料としてのバイオマス燃料の状態の各指標(例えば、水分、移動状態、粒度(直径、長さ、大きさ)を計測するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃焼炉で燃焼する前のバイオマスの水分などの状態を計測することが行われている。例えば、特許文献1は、電磁波を照射して、バイオマスの水分を計測し燃焼運転を安定化する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示では、画像データから燃料の水分を求めることができる燃料の状態計測システムおよび燃料の状態計測方法を提供する。
また、画像データから水分以外の燃料の状態指標を計測することができる燃料の状態計測システムおよび燃料の状態計測方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の燃料の状態計測システムは、
移動空間を移動している状態(停止状態も含む)の前記燃料を照射する照明装置と、
前記照明装置で照射された前記燃料を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で撮像された画像データから水分を演算し出力する水分演算部を備えていてもよい。
前記燃料の状態計測システムは、さらに、
前記撮像装置で撮像された画像データから燃料の移動状態を演算し出力する移動状態演算部と、および/または、
前記撮像装置で撮像された画像データから燃料の粒度(例えば、粒度分布)を演算し出力する粒度演算部を備えていてもよい。
【0006】
「水分演算部」、「移動状態演算部」、「粒度演算部」は、情報処理装置で構成されていてもよく、その手順を含むプログラムとプロセッサーの協動作用で構成されていてもよい。
各演算部で使用される画像データは、同じ時刻に撮像された画像でもよく、撮像時刻の一部が重複している画像であってもよく、完全に重複していなくてもよい。
【0007】
前記燃料の状態計測システムは、
演算し出力された前記水分、前記移動状態、前記燃料の粒度を出力する出力装置を備えていてもよい。前記水分、前記移動状態、前記燃料の粒度の各データは、演算時刻(あるいは出力時刻)、識別番号と関連づけられて出力されてもよい。
「出力」は、例えば、プリンターによる印刷でもよく、モニターによる表示でもよく、通信部による外部装置(例えば、制御システム、警報システム、クラウドサーバなど)への送信でもよく、メディア書込装置による記憶媒体への記憶でもよい。
【0008】
前記燃料の状態計測システムは、
演算し出力された前記水分、前記移動状態、前記燃料の粒度を記憶する記憶装置を備えていてもよい。前記水分、前記移動状態、前記燃料の粒度の各データは、演算時刻(あるいは出力時刻)、識別番号と関連づけられて出力されてもよい。
【0009】
「燃料」は、例えば、バイオマスが挙げられる。バイオマスには、廃棄物系バイオマス(家畜排せつ物、食品廃棄物、廃棄紙、パルプ工場廃液、下水汚泥、し尿汚泥、建設発生木材、製材工場等残材など)、未利用バイオマス(稲わら、麦わら、もみがら、林地残材など)、資源作物(糖質資源、でんぷん資源、油脂資源)、柳、ポプラ、スイッチグラスなど)が含まれる。なお、燃料は、バイオマスに限らず、その他の産業廃棄物や家庭ごみであってもよい。
「状態指標」は、例えば、水分、燃料の移動空間における移動状態、粒度(直径、長さ、大きさ)などが挙げられる。燃料の移動状態は、例えば、移動(落下)速度、移動(落下)加速度などが挙げられる。
前記移動空間は、例えば、上から下へ垂直方向あるいは斜め下方向への落下、転落、滑落して移動する空間であってもよい。移動空間を画定する手段として、例えば、ホッパー、落下管、水平あるいは所定角度で傾斜したコンベアなどの搬送装置を有して構成されていてもよい。
【0010】
前記照明装置は、例えば、白色光照明装置、赤外光照明装置、近赤外光照明装置、紫外光照明装置などが挙げられる。各種照明装置の光源としてLED光源であってもよい。
【0011】
前記撮像装置は、例えば、近赤外線カメラ、可視カメラなどが挙げられる。近赤外線カメラ1台(1種)でもよく、近赤外線カメラと可視カメラの2種を共に使用してもよい。
【0012】
前記水分演算部は、
画像データ(映像を構成するフレーム画像)ごとに、燃料の白さ度合を計算し、
前記白さ度合と、予め設定された検量線から水分に換算してもよい。
映像のフレームレートは、例えば、10から30fpsであってもよい。
計算される前記白さ度合は、2以上の画像データ(所定期間内の全フレーム画像)の平均値でもよい。所定期間は、例えば1秒から10秒の範囲の任意の時間であってもよい。
計算される前記白さ度合は、すべての画像データ(映像を構成する全フレーム画像)に対して計算されてもよく、所定のタイミングのフレーム画像で間欠的に計算されてもよい。
計算される前記白さ度合は、画像データの全画素の平均値であってもよく、画像データを2以上に分割した領域ごとの全画素の平均値であってもよい(分割された領域ごとに水分が計算される)。分割は、例えば、矩形状に縦軸2(1)×横軸1(2)から縦軸1(2、3、4、6)×横軸12(6、4、3、2)に分割されてもよい。
「検量線」は、近赤外波長域の水の吸光特性を利用して設定してよい。水分が多い場合は近赤外画像が黒く映り、水分が少ない場合は白く映る。水分計で測定した水分値の分かる燃料(燃料の種類によって分類される)に向かって近赤外領域の照明をあて、近赤外カメラで撮影し、モノクロ画像データの全画素値(例えば0から255の値)の平均値と、その計測された水分値から検量線を設定してもよい。
「検量線」のデータは、システムのメモリに予め記憶されていてもよく、演算のタイミングで外部装置からダウンロードされ、テンポラリメモリに保存されてもよい。
【0013】
前記移動状態演算部は、
近赤外線カメラおよび/または可視カメラで撮像された時間的前後の画像データ(映像を構成するフレーム)をトラッキング処理し、移動状態を算出してもよい。
前記移動状態演算部は、
前後の画像データの時間幅と燃料の移動距離から移動速度(例えば、落下速度)および/または加速度を算出してもよい。
前記移動状態演算部は、
所定期間内で燃料の移動距離がない(例えば、移動距離が略0、移動速度が略0)領域は、移動空間において燃料がスタックしていると判断してもよい。
前記トラッキング処理は、例えば、オプティカルフロー(勾配法、ブロックマッチング法)やテンプレートマッチング等を用いてもよい。
時間的前後の画像データは、例えば、映像を構成する現時点フレームとその直後のフレームでもよく、現時点フレームとその直後のフレームから1以上後のフレームであってもよい。
前記移動状態演算部は、所定間隔あけたフレーム同士でトラッキング処理して移動距離を求め、フレームの時間幅から速度を算出してもよい。
【0014】
前記粒度演算部は、
近赤外線カメラおよび/または可視カメラで撮像された画像データ(映像を構成するフレーム)ごとに、セグメンテーション処理で各燃料を分離し、分離した各燃料の面積を計算して各燃料の粒径(例えば、粒度分布)を算出してもよい。
算出される粒径は、1画像データの分布でもよく、2以上の画像データ(所定期間内の全フレーム画像)の分布でもよい。
算出される前記粒径(粒度分布)は、すべての(映像を構成する全フレーム画像)に対して算出されてもよく、所定のタイミングのフレームで間欠的に算出されてもよい。
算出される前記粒径(粒度分布)は、1の画像データにおける分布であってもよく、画像データを2以上に分割した領域ごとにおける分布であってもよい(分割された領域ごとに粒径分布が算出される)。分割は、例えば、矩形状に縦軸2(1)×横軸1(2)から縦軸1(2、3、4、6)×横軸12(6、4、3、2)に分割されてもよい。
前記セグメンテーション処理は、例えば、2値化処理の閾値処理による輪郭検出処理でもよく、機械学習モデルによる輪郭検出処理であってもよい。例えば、ディープラーニング系の手法(UNet、SegNetなど)を用いてもよい。
面積を求める方法は、例えば、分離され区画された領域の画素数を演算し、画像数を面積に換算してもよい。
「粒径」は、例えば、各粒径とその粒径の個数頻度のデータ、D10%・D50%・D90%などの累積データなどが挙げられる。
「分布」は、例えば、D10%、D50%、D90%などによる積算分布、ヒストグラムなどの頻度分布図を構成データとして算出されてもよく、モニターに分布図として表示されてもよい。
【0015】
他の開示は、燃焼制御装置は、
前記燃料の状態計測システムと、
前記燃料の状態指標に基づいて、燃料の供給速度、燃料の供給場所、燃焼装置の搬送速度(例えば、トラベリングストーカ、階段式ストーカなど後段装置の速度)、燃焼用の空気供給装置からの空気供給量をそれぞれまたはすべてを制御する制御部とを備えていてもよい。
他の開示は、燃焼制御装置は、
前記燃料の状態計測システムで求められた燃料の状態指標を受信する受信部と、
前記燃料の状態指標に基づいて、燃料の供給速度、燃料の供給場所、燃焼装置の搬送速度(例えば、トラベリングストーカ、階段式ストーカなど後段装置の速度)、燃焼用の空気供給装置からの空気供給量をそれぞれまたはすべてを制御する制御部とを備えていてもよい。
【0016】
他の開示の燃料の状態計測方法は、
移動空間を移動している状態(停止状態も含む)の前記燃料を撮像した画像データから水分を演算し出力する水分演算ステップを含む。
前記燃料の状態計測方法は、さらに、
移動空間を移動している状態(停止状態も含む)の前記燃料を撮像した画像データから燃料の移動状態を演算し出力する移動状態演算ステップと、および/または、
移動空間を移動している状態(停止状態も含む)の前記燃料を撮像した画像データから燃料の粒度(例えば、粒度分布)を演算し出力する粒度演算ステップを含んでいてもよい。
前記燃料の状態計測方法は、さらに
前記水分、前記移動状態、前記燃料の粒度のうち1種以上を出力する出力ステップと、
前記水分、前記移動状態、前記燃料の粒度のうち1種以上を記憶する記憶ステップと、
を含んでいてもよい。
前記水分演算ステップは、
画像データ(映像を構成するフレーム画像)ごとに、燃料の白さ度合を計算し、前記白さ度合と、予め設定された検量線から水分に換算してもよい。
前記粒度演算ステップは、
近赤外線カメラおよび/または可視カメラで撮像された画像データ(映像を構成するフレーム)ごとに、セグメンテーション処理で各燃料を分離し、分離した各燃料の面積を計算して各燃料の粒径(粒度)分布を算出してもよい。
前記移動状態演算部は、
近赤外線カメラおよび/または可視カメラで撮像された時間的前後の画像データ(映像を構成するフレーム画像)をトラッキング処理し、移動状態を算出してもよい。
【0017】
他の開示の燃料の状態計測プログラムは、少なくとも1つのプロセッサーあるいは情報処理装置により、上記燃料の状態計測方法を実現するプログラムである。
他の開示のコンピュータ命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記コンピュータ命令がプロセッサーにより実行されることで、上記燃料の状態計測プログラムのステップを実現するコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0018】
「燃料の状態計測システム」および/または「燃焼制御装置」の各要素は、メモリ、プロセッサー、ソフトウエアプログラムを有する情報処理装置(例えば、コンピュータ、サーバ)や、専用回路、ファームウエアなどで構成してもよい。
「情報処理装置」は、例えば、汎用コンピュータ、オンプレミスサーバ、クラウドサーバ、エッジコンピュータ、エッジAIカメラなど1つあるいは2つ以上で構成されてもよい。
【0019】
(作用効果)
(1)近赤外線領域のカメラで、燃料水分、移動状態(例えば、落下速度)、粒度の3つの指標を一度に算出できる。特許文献1と比較してプラント運転の安定化や効率化への寄与が大きい。近赤外線領域のカメラで、燃料水分を精度よく評価できる。
(2)燃料水分、燃料の大きさ、移動状態(落下速度)等を同じタイミングで計測することでそれらの変動を前提とした、運転制御システムを構築できる。
(3)燃料の大きさ、移動状態(落下速度)、水分の傾向によって燃料供給状態を把握し、例えばトラベリングストーカ、バブリング流動層、循環流動層、階段式ストーカなどの速度や空気量の最適値制御を行える。
(4)赤外線カメラで撮像された画像データを利用することで、昼夜を問わず3つの指標を求めることができる。
(5)可視カメラで撮像された画像データを利用し、夜以外の粒度と移動速度を求めることができる。なお、夜間において照明装置を使用すること、または夜間撮影モードのある可視カメラで夜間でも粒度と移動速度を求めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態1の燃料の状態計測システムの構成を示す図である。
【
図2】実施形態2の燃料の状態計測システムの構成を示す図である。
【
図3】実施形態1の処理動作を示すフローチャート。
【
図4A】粒度の小さい燃料をセグメンテーション処理した画像の一例を示す図である。
【
図4B】粒度の大きい燃料をセグメンテーション処理した画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0022】
図1に燃料の状態計測システム1の構成の一例を示す。本実施形態1では、燃料としてバイオマスを使用し、垂直落下式のホッパーである移動空間2から燃料炉(不図示)にバイオマスを落下させて供給する。
【0023】
状態計測システム1は、照明装置11と、撮像装置12と、水分演算部13、移動状態演算部14、粒度演算部15、記憶装置16、出力装置17、通信装置18を備える。
本実施形態の照明装置11は、近赤外光照明装置であり、移動空間2の透明窓21に向かって移動する燃料を照射する。近赤外線照明装置は1つでもよく2つ以上でもよい。
撮像装置12は、近赤外線カメラであり、移動空間2の透明窓21を介して、移動する燃料を撮像する。近赤外線カメラは、フレームレートは例えば、10fpsから30fpsである。
【0024】
水分演算部13は、撮像装置12で撮像された画像データから水分を演算し出力する。本実施形態では、水分演算部13は、1秒から10秒のフレームごとに、燃料の白さ度合を計算し、計算された白さ度合と、予め設定された検量線から水分に換算して水分率を算出する。「検量線」のデータは、記憶装置15に予め保存されている。
【0025】
移動状態演算部14は、撮像装置12で撮像された画像データから燃料の移動状態を演算し出力する。本実施形態では、移動状態演算部14は、時間的前後の画像データ(映像を構成するフレーム画像)をトラッキング処理し、前後の画像データの時間幅と燃料の移動距離から移動速度(例えば、落下速度)および/または加速度を算出する。トラッキング処理は、例えば、オプティカルフロー(勾配法、ブロックマッチング法)を使用してもよい。
【0026】
粒度演算部15は、撮像装置12で撮像された画像データから燃料の粒度(例えば、粒度分布)を演算し出力する。本実施形態では、粒度演算部15は、画像データ(映像を構成するフレーム画像)ごとに、セグメンテーション処理で各燃料を分離し、分離した各燃料の面積を計算して各燃料の粒径(粒度)分布を算出する。セグメンテーション処理は、例えば、2値化処理の閾値処理による輪郭検出処理である。
【0027】
記憶装置16は、上記演算部で算出された水分、移動状態(落下速度)、燃料の粒度を記憶する。
出力装置17は、上記演算部で算出された水分、移動状態(落下速度)、燃料の粒度を出力する。
通信装置18は、無線通信手段および/または有線通信手段を有して構成されており、上記演算部で算出された水分率、移動状態(落下速度)、燃料の粒度を燃焼制御装置25へ送信する。
【0028】
燃焼制御装置25は、燃料の状態指標(水分、移動状態(落下速度)、燃料の粒度)を受信する受信部251と、燃料の状態指標に基づいて、燃料の搬送速度(例えば、トラベリングストーカ26の速度)および/または燃焼用の空気供給装置27からの空気供給量を制御する制御部252を備える。
【0029】
(動作フロー)
図3に実施形態1の動作フローを示す。
ステップS1において、近赤外線照明装置で照射されたバイオマスを近赤外線カメラで撮像し、近赤外線領域の映像を受信し、記憶装置16(あるいはテンポラリメモリ)に記憶する。
ステップS2-1において、フレーム画像から白さ度合を計算する。
ステップS2-2において、白さ度合と検量線から水分を換算する。
ステップS3-1において、前後のフレーム画像からトラッキング処理をする。
ステップS3-2において、フレーム画像間の時間幅と、トラッキング処理で求めた移動距離から、移動速度(落下距離)を算出する。
ステップS4-1において、フレーム画像ごとにセグメンテーション処理し、各燃料を分離する。
ステップS4-2において、分離した各燃料の面積を計測し粒度を算出する。
【0030】
(実施形態2)
図2に燃料の状態計測システムの別例を示す。実施形態2では、近赤外線カメラ12に加え、可視カメラ121をさらに備える構成である。
実施形態2では、水分演算部13は、近赤外線カメラで撮像した画像データ(映像を構成するフレーム画像)を使用する。移動状態演算部14および/または粒度演算部15は、可視カメラ121で撮像した画像データ(映像を構成するフレーム画像)を使用する。
【0031】
(実施形態3)
実施形態2の構成において、燃料が移動する第一地点に可視カメラ121を設置し、移動状態演算部14および/または粒度演算部15は、可視カメラ121で撮像した画像データを使用して移動状態や粒度を求める。
第一地点よりも上流側あるいは下流側の地点に近赤外線カメラ12および近赤外光照明装置を設置し、水分演算部13は、近赤外線カメラ12で撮像した画像データを使用して水分を求める。
【0032】
(実施例)
図4A、4Bは、可視カメラで撮像した画像データ(a)の一例であり、(b)はセグメンテーション処理した後の燃料を分離した画像の一例である。
図4Aは粒度の小さい燃料を示し、
図4Bは粒度の大きい燃料を示す。
【符号の説明】
【0033】
1 燃料の状態計測システム
11 照明装置
12 撮像装置
13 水分演算部
14 移動状態演算部
15 粒度演算部
16 記憶装置
17 出力装置
18 通信装置
25 燃焼制御装置