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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088964
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20240626BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20240626BHJP
【FI】
G01R1/073 D
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204032
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉見 英章
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG04
2G003AH05
2G011AA10
2G011AA15
2G011AA16
2G011AC14
2G011AE22
2G011AF07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】接続装置の検査対象物に対向する面側の平坦性を確保する。
【解決手段】検査対象物20及び検査基板30を電気的に接続する接続装置10であって、基板100と、前記基板100の前記検査基板100に対向する所定面側に位置する接続導体140,140Tと、を備える接続装置10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物及び検査基板を電気的に接続する接続装置であって、
基板と、
前記基板の前記検査基板に対向する所定面側に位置する接続導体と、
を備える接続装置。
【請求項2】
前記基板が、前記接続導体に電気的に接続された内部導体が設けられたスルーホールを画定している、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記基板が、前記接続導体に電気的に接続された複数の内部導体を有する、請求項1に記載の接続装置。
【請求項4】
前記接続導体が、少なくとも部分的に互いに重なる複数の配線を有する、請求項1から3のいずれかに記載の接続装置。
【請求項5】
前記接続導体の少なくとも一部分が埋め込まれた絶縁層をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の接続装置。
【請求項6】
前記基板の前記検査対象物に対向する他の所定面側に位置するランドをさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路(IC)等の検査対象物と、PCB(Printed Circuit Board)等の検査基板と、を電気的に接続するための様々な接続装置が開発されている。例えば、特許文献1に記載されているように、検査対象物が検査される際、接続装置は、検査対象物及び検査基板の間に配置されている。特許文献1に記載の接続装置は、接続配線が貫通する支持基板と、支持基板の検査対象物に対向する面側に位置する複数の配線パターンと、複数の配線パターンに実装された複数のプローブと、を備えている。一部のプローブは、一部の配線パターンを介して電気的に互いに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-179758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に記載されているように、支持基板の検査対象物に対向する面側に配線パターンが位置することがある。しかしながら、支持基板の検査対象物に対向する面側に配線パターンが位置する場合、接続装置の検査対象物に対向する面側の平坦性を確保することが難しいことがある。
【0005】
本発明の目的の一例は、接続装置の検査対象物に対向する面側の平坦性を確保することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
検査対象物及び検査基板を電気的に接続する接続装置であって、
基板と、
前記基板の前記検査基板に対向する所定面側に位置する接続導体と、
を備える接続装置である。
【0007】
本発明の上記態様によれば、接続装置の検査対象物に対向する面側の平坦性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る接続装置の断面図である。
図2】実施形態に係る接続装置の製造方法の一例を説明するための図である。
図3】実施形態に係る接続装置の製造方法の一例を説明するための図である。
図4】実施形態に係る接続装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る接続装置10の断面図である。図1には、検査対象物20、検査基板30及びピンブロック200が接続装置10とともに図示されている。
【0011】
図1には、説明のため、Z方向を示すZ軸が図示されている。Z方向は、検査対象物20及び検査基板30を結ぶ仮想線に平行な方向である。以下、必要に応じて、Z軸の矢印が指し示す側を+Z側といい、Z軸の矢印が指し示す側の反対側を-Z側という。例えば、+Z側及び-Z側は、それぞれ、鉛直方向の上側及び下側である。以下、必要に応じて、Z方向に垂直な方向を水平方向(横方向)という。
【0012】
接続装置10は、検査対象物20及び検査基板30を電気的に接続している。接続装置10は、Z方向において検査対象物20及び検査基板30の間に配置されている。図1に示す例において、Z方向において接続装置10及び検査基板30の間にはピンブロック200が配置されている。接続装置10は、基板100、複数のランド110、複数のプローブ120、絶縁層130、接続導体140及び複数のパッド150を備えている。検査対象物20は、例えばICである。検査基板30は、例えばPCBである。
【0013】
基板100は、セラミックス基板、具体的にはLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板である。ただし、基板100は、セラミックス基板と異なる種類の基板であってもよい。
【0014】
基板100は、第1面102及び第2面104を有している。第1面102は、基板100の+Z側の面である。第1面102と、検査対象物20の-Z側の面と、は互いに対向している。第2面104は、基板100の-Z側の面である。第2面104と、検査基板30の+Z側の面と、はピンブロック200を介して互いに対向している。
【0015】
基板100は、複数のスルーホール106を画定している。+Z側から見て、複数のスルーホール106は、例えば、略格子状に配置されている。ただし、Z方向から見た場合の複数のスルーホール106のレイアウトは、この例に限定されない。図1には、図内の横方向に並ぶ5つのスルーホール106が模式的に図示されている。各スルーホール106は、第1面102及び第2面104の間でZ方向に略平行に基板100を貫通している。各スルーホール106のZ方向の周りの内側面には、金属等の内部導体が設けられている。内部導体は、各スルーホール106のZ方向の周りの内側面を覆っている。内部導体は、各スルーホール106の内部空間の全体に埋め込まれていない。すなわち、各スルーホール106は、中空となっている。ただし、内部導体は、各スルーホール106の内部空間の全体に埋め込まれていてもよい。すなわち、各スルーホール106は、中実であってもよい。
【0016】
複数のランド110は、第1面102側に位置している。+Z側から見て、複数のランド110は、例えば、略格子状に配置されている。ただし、+Z側から見た場合の複数のランド110のレイアウトは、この例に限定されない。図1には、図内の横方向に並ぶ5つのランド110が模式的に図示されている。複数のランド110の各々の少なくとも一部分及び複数のスルーホール106の各々の少なくとも一部分は、Z方向に互いに重なっている。複数のランド110の各々の-Z側の面及び複数のスルーホール106の各々の+Z側の端部の内部導体は、電気的に互いに接続されている。図1に示す例において、複数のランド110の各々の-Z側の面及び複数のスルーホール106の各々の+Z側の端部の内部導体は、互いに直接接触している。
【0017】
実施形態において、各ランド110は、第1ランド層112及び第2ランド層114を含んでいる。第1ランド層112及び第2ランド層114は、第1面102から離れるにつれてZ方向に順に積層されている。第1ランド層112は、第2ランド層114の材料より安価な材料からなっている。第1ランド層112は、例えば、銅からなっている。よって、各ランド110の全体が第2ランド層114の材料からなる場合と比較して、各ランド110を安価に形成することができる。第2ランド層114は、第1ランド層112の材料より耐酸化性が高い材料からなっている。第2ランド層114は、例えば、金からなっている。よって、各ランド110の全体が第1ランド層112の材料からなる場合と比較して、各ランド110の耐酸化性を向上させることができる。ただし、各ランド110は、単一の材料のランド層であってもよい。或いは、各ランド110は、3層以上のランド層を含んでいてもよい。
【0018】
複数のプローブ120の各々は、複数のランド110の各々の+Z側の面側に実装されている。図1には、図内の横方向に並ぶ5つのプローブ120が模式的に図示されている。複数のプローブ120の各々の-Z側の端部及び複数のランド110の各々の+Z側の面は、電気的に互いに接続されている。複数のプローブ120の各々の+Z側の端部及び検査対象物20の-Z側の面側に位置する複数の第1電極22の各々は、互いに対向している。図1に示す例において、各プローブ120は、カンチレバー構造を有している。具体的には、各プローブ120の+Z側の端部は、Z方向に略垂直な方向に向けて折り曲げられている。よって、各プローブ120の+Z側の端部は、各第1電極22に向けて付勢可能になっている。ただし、各プローブ120の構造は、この例に限定されない。例えば、各プローブ120の+Z側の端部は、巻きばね等の弾性体によって検査対象物20に向けて付勢可能であってもよい。
【0019】
絶縁層130は、第2面104側に位置している。図1に示す例において、絶縁層130は、第1絶縁層132、第2絶縁層134及び第3絶縁層136を含んでいる。第1絶縁層132、第2絶縁層134及び第3絶縁層136は、第2面104から離れるにつれてZ方向に順に積層されている。第1絶縁層132、第2絶縁層134及び第3絶縁層136の各々は、例えば、ポリイミド等の樹脂層である。ただし、絶縁層130は、単一の絶縁層であってもよい。或いは、絶縁層130は、Z方向に積層された2層の絶縁層又はZ方向に積層された4層以上の絶縁層を含んでいてもよい。
【0020】
複数の接続導体140の少なくとも一部分は、絶縁層130に埋め込まれている。図1には、図内の横方向に並ぶ4つの接続導体140が模式的に図示されている。図1に示す例において、各接続導体140は、第1接続導体142及び第2接続導体144を含んでいる。第1接続導体142及び第2接続導体144は、例えば、銅及び銅合金の少なくとも一方を含んでいる。
【0021】
図1内の左から1つ目、2つ目及び4つ目の接続導体140について説明する。以下のようにして、図1内の左から1つ目、2つ目及び4つ目の接続導体140は、それぞれ、図1内の左から1つ目、2つ目及び5つ目のスルーホール106の内部導体に電気的に接続されている。
【0022】
第1接続導体142は、第1ビア142a及び第1配線142bを含んでいる。図1に示す例において、第1ビア142a及び第1配線142bは、互いに一体となっている。第1ビア142aは、第1絶縁層132をZ方向に略平行に貫通している。第1ビア142aの+Z側の端部及びスルーホール106の-Z側の端部の内部導体は、電気的に互いに接続されている。第1配線142bは、水平方向に略平行な方向に延在している。第1配線142bは、図1内の横方向だけでなく、図1の手前又は奥に向けて延在していてもよい。第1配線142bは、第1絶縁層132の-Z側の面側に位置している。第1配線142bは、第2絶縁層134によって覆われている。第1配線142bの+Z側の面及び第1ビア142aの-Z側の端部は、電気的に互いに接続されている。
【0023】
第2接続導体144は、第2ビア144a及び第2配線144bを含んでいる。図1に示す例において、第2ビア144a及び第2配線144bは、互いに一体となっている。第2ビア144aは、第2絶縁層134をZ方向に略平行に貫通している。第2ビア144aの+Z側の端部及び第1配線142bの-Z側の面は、電気的に互いに接続されている。第2配線144bは、水平方向に略平行な方向に延在している。第2配線144bは、図1内の横方向だけでなく、図1の手前又は奥に向けて延在していてもよい。第2配線144bは、第2絶縁層134の-Z側の面側に位置している。第2配線144bは、第3絶縁層136によって覆われている。第2配線144bの+Z側の面及び第2ビア144aの-Z側の端部は、電気的に互いに接続されている。
【0024】
図1内の左から3つ目の接続導体140について説明する。以下、必要に応じて、図1内の左から3つ目の接続導体140を接続導体140Tと表記する。接続導体140Tは、第1接続導体142T及び第2接続導体144Tを含んでいる。接続導体140Tは、以下の点を除いて、図1内の左から1つ目、2つ目及び4つ目の接続導体140と同様である。
【0025】
第1接続導体142Tは、2つの第1ビア142aT及び第1配線142bTを含んでいる。2つの第1ビア142aTの各々の+Z側の端部と、図1内の左から3つ目及び4つ目のスルーホール106の各々の-Z側の端部の内部導体と、は電気的に互いに接続されている。2つの第1ビア142aTは、同一の第1配線142bTに電気的に接続されている。よって、接続導体140Tを介して、図1内の左から3つ目及び4つ目のスルーホール106の内部導体に略同一の電位を供給することができる。すなわち、図1内の左から3つ目及び4つ目のスルーホール106の内部導体は、互いに短絡している。これらのスルーホール106の内部導体に供給される電位としては、電源電位や接地電位が例示される。図1内の左から1つ目、2つ目及び4つ目の接続導体140の第2接続導体144と同様にして、第2接続導体144Tは、第2ビア144aT及び第2配線144bTを含んでいる。
【0026】
複数のパッド150は、絶縁層130の-Z側の面に位置している。-Z側から見て、複数のパッド150は、例えば、略格子状に配置されている。ただし、-Z側から見た場合の複数のパッド150のレイアウトは、この例に限定されない。図1には、図内の横方向に並ぶ4つのパッド150が模式的に図示されている。複数のパッド150の-Z側の面の少なくとも一部分は、第3絶縁層136の-Z側の面からピンブロック200に向けて露出されている。パッド150の+Z側の面及び第2配線144bの-Z側の面は、互いに電気的に接続されている。実施形態において、各パッド150は、接続導体140の材料より耐酸化性が高い材料からなっている。各パッド150は、例えば金からなっている。実施形態では、各パッド150が各接続導体140の-Z側の面の少なくとも一部分を覆っている。よって、接続導体140の酸化をパッド150によって抑制することができる。
【0027】
複数のポゴピン210は、ピンブロック200によって支持されている。ピンブロック200は、例えば、樹脂等の絶縁体からなっている。図1には、図内の横方向に並ぶ4つのポゴピン210が模式的に図示されている。複数のポゴピン210の各々の+Z側の端部及び複数のパッド150の各々の-Z側の面は、互いに対向している。複数のポゴピン210の各々の-Z側の端部及び検査基板30の+Z側の面側に位置する複数の第2電極32は、互いに対向している。各ポゴピン210の-Z側の端部は、各ポゴピン210の内部に設けられた不図示の巻きばねによって、第2電極32に向けて付勢可能になっている。
【0028】
図1を参照して、接続装置10を用いての検査対象物20の検査について説明する。
【0029】
この検査において、複数のプローブ120の各々の+Z側の端部と、検査対象物20の複数の第1電極22の各々と、は互いに接触している。複数のポゴピン210の各々の+Z側の端部と、複数のパッド150の各々の-Z側の面と、は互いに接触している。複数のポゴピン210の各々の-Z側の端部と、検査基板30の複数の第2電極32の各々と、は互いに接触している。よって、各第1電極22及び各第2電極32は、各プローブ120と、各ランド110と、各スルーホール106に設けられた内部導体と、各接続導体140と、各ポゴピン210と、を介して電気的に互いに接続されている。
【0030】
実施形態では、検査対象物20の検査において各パッド150の-Z側の面及び各ポゴピン210の+Z側の端部が互いに接触する際、絶縁層130を各パッド150への荷重を緩和する部材として機能させることができる。よって、絶縁層130が設けられていない場合と比較して、接続装置10の耐久性を向上させることができる。
【0031】
次に、図1を参照して、接続装置10の検査対象物20側の電極のピッチ、数等のレイアウトと、接続装置10の検査基板30側の電極のピッチ、数等のレイアウトと、の関係について説明する。実施形態では、接続導体140によって、接続装置10の検査対象物20側の電極のレイアウトと、接続装置10の検査基板30側の電極のレイアウトと、を互いに異ならせることができる。実施形態において、接続装置10の検査対象物20側の電極は、ランド110に相当している。実施形態において、接続装置10の検査基板30側の電極は、パッド150に相当している。
【0032】
実施形態におけるランド110の水平方向のピッチ及びパッド150の水平方向のピッチの関係について説明する。
【0033】
各接続導体140では、各第1配線142b及び各第2配線144bが水平方向に略平行な方向に延在している。よって、スルーホール106の-Z側の端部の水平方向内の位置と、当該スルーホール106に設けられた内部導体に電気的に接続されたパッド150の水平方向内の位置と、を水平方向に互いにずらすことができる。したがって、接続導体140の構造に応じて、ランド110の水平方向のピッチ及びパッド150の水平方向のピッチを互いに変換することができる。
【0034】
各接続導体140は、少なくとも部分的にZ方向に互いに重なる複数の配線を有している。図1に示す例では、各接続導体140において、第1配線142b及び第2配線144bが少なくとも部分的にZ方向に互いに重なっている。よって、実施形態では、複数層の配線によって、ランド110の水平方向のピッチ及びパッド150の水平方向のピッチを互いに変換することができる。したがって、単層の配線によって、ランド110の水平方向のピッチ及びパッド150の水平方向のピッチを互いに変換する場合と比較して、ランド110の水平方向のピッチ及びパッド150の水平方向のピッチの変換の自由度を向上させることができる。
【0035】
実施形態におけるランド110の数及びパッド150の数の関係について説明する。
【0036】
図1に示す例では、図内の横方向に並ぶランド110の数5個と、図内の横方向に並ぶパッド150の数4個と、が図内の横方向に並ぶ4つの接続導体140によって互いに異なっている。すなわち、パッド150の数がランド110の数より少なくなっている。具体的には、図1に示す例では、図内の左から3つ目のスルーホール106の内部導体と、図内の左から4つ目のスルーホール106の内部導体と、が接続導体140Tに電気的に接続されている。接続導体140Tは、図内の左から3つ目の単一のパッド150に電気的に接続されている。したがって、これら2つのスルーホール106に別々の接続導体140を設ける場合と比較して、パッド150の数を1つだけ少なくすることができる。
【0037】
ランド110の数及びパッド150の数の関係は、図1に示す例に限定されない。ランド110の数及びパッド150の数を互いに異ならせるため、複数のスルーホール106の内部導体と、1つの接続導体140と、が電気的に互いに接続されていればよい。例えば、3つのスルーホール106の内部導体と、1つの接続導体140と、が電気的に互いに接続されていてもよい。
【0038】
図1に示す例では、パッド150の数がランド110の数より少なくなっている。しかしながら、接続導体140によって、パッド150の数をランド110の数より多くしてもよい。すなわち、パッド150の数をランド110の数より多くするため、1つの接続導体140と、複数のパッド150と、が電気的に互いに接続されていてもよい。この場合、当該1つの接続導体140と、1つのスルーホール106の内部導体と、が電気的に互いに接続されている。
【0039】
次に、図1を参照して、接続装置10の第1面102側の平坦性について説明する。
【0040】
実施形態では、接続導体140が第1面102側でなく第2面104側に位置している。仮に、接続導体140が第1面102側に位置する状態を検討する。この状態では、-Z側から+Z側にかけて、複数のパッド150、基板100、絶縁層130及び複数のプローブ120が順に並んでいる。絶縁層130には、複数の接続導体140が設けられている。この状態においては、接続装置10の第1面102側の平坦性を確保することが比較的難しくなることがある。これは、第1絶縁層132、第2絶縁層134等、水平方向に略平行な方向の長さが比較的長い絶縁層のZ方向の厚さの均一性を確保することが比較的難しいことによる。また、第1配線142bや第2配線144b等、水平方向に略平行な方向の長さが比較的長い配線のZ方向の厚さの均一性を確保することが比較的難しいことによる。また、第1配線142b及び第2配線144bがZ方向に互いに重なり合う領域の面積に応じて、接続導体140のZ方向の高さにばらつきが生じ得ることによる。実施形態では、第1面102側にランド110が位置している。ランド110は、第1ランド層112及び第2ランド層114を一体として単層配線とみなすことができる。よって、絶縁層130に相当する絶縁層を設けることなく、ランド110を形成することができる。また、ランド110の水平方向に略平行な長さ又は幅は、第1配線142bや第2配線144b等、接続装置10の検査対象物20側の電極のピッチ及び接続装置10の検査基板30側の電極のピッチの変換に用いられる配線の水平方向に略平行な長さより短くしやすくなっている。よって、実施形態では、接続導体140が第1面102側に位置する場合と比較して、接続装置10の第1面102側の平坦性を確保しやすくすることができる。
【0041】
次に、図1を参照して、基板100の歩留まりについて説明する。
【0042】
上述したように、実施形態では、複数の接続導体140によって、接続装置10の検査対象物20側の電極のレイアウトと、接続装置10の検査基板30側の電極のレイアウトと、が互いに異なっている。よって、基板100は、接続装置10の検査対象物20側の電極のレイアウトと、接続装置10の検査基板30側の電極のレイアウトと、を互いに異ならせるための内部配線を有する必要がない。仮に、基板100が当該内部配線を有する場合、基板100の歩留まりが比較的低くなることがある。これに対して、実施形態では、基板100は、スルーホール106を画定している。すなわち、実施形態では、基板100が上述の内部配線を有する場合と比較して、基板100を単純な構造にすることができる。よって、基板100が上述の内部配線を有する場合と比較して、基板100の歩留まりを向上させることができる。ただし、基板100の歩留まりの向上を考慮しないのであれば、基板100は、上述の内部配線を有していてもよい。
【0043】
実施形態において、絶縁層130及び接続導体140を有する配線層は、基板100の第2面104側に位置している。このような配線層の良否判定は、外観検査によって行うことができる。さらに、基板100が上述の内部配線を有する場合、基板100の当該内部配線の良否判定は、電気的検査で行われることがある。しかしながら、この電気的検査では、基板100のランドやパッドに検査痕が残る可能性がある。このような検査痕上に配線が設けられると、接続装置10の歩留まりが悪化する可能性がある。これに対して、実施形態では、基板100の、電気的検査を行わない。したがって、電気的検査による接続装置10の歩留まりの悪化を抑制することができる。
【0044】
図2図4は、実施形態に係る接続装置10の製造方法の一例を説明するための図である。図2図4におけるZ軸の向きは、紙面の上下方向において図1におけるZ軸の向きとは逆になっている。この例において、接続装置10は、以下のようにして製造されている。
【0045】
まず、図2に示すように、原基板100Rを準備する。原基板100Rには、図1を用いて説明した複数のスルーホール106が予め形成されている。図2図4には、図の簡易化のため、スルーホール106は図示されていない。原基板100Rの第2面104には、粗化処理が予め施されていてもよい。粗化処理によって、第2面104と、第1絶縁層132等、第2面104に設けられる層と、の密着性を向上させることができる。原基板100Rの第1面102にも、同様に、粗化処理が予め施されていてもよい。
【0046】
図2図4には、原基板100Rから2つの基板100が切り出される2つの区画Sが図示されている。図2図4では、説明の簡易化のため、各区画Sにおいて1つの接続導体140が形成されている。しかしながら、実際には、各区画Sにおいて複数の接続導体140が形成されることもある。原基板100Rから切り出される基板100の数は、2つに限定されず、3つ以上となることもある。
【0047】
次いで、図2に示すように、原基板100Rの第2面104側の各区画Sにおいて第1絶縁層132を形成する。第1絶縁層132は、例えば、リソグラフィ技術を用いて形成されている。各区画Sにおいて、第1絶縁層132は、第1開口パターン132aを画定している。各区画Sにおいて、第1開口パターン132aは、第2面104の一部分を-Z側に向けて露出している。
【0048】
次いで、図2に示すように、原基板100Rの第2面104側の2つの区画Sに亘って第1シード層142sを形成する。第1シード層142sは、例えば、スパッタ、イオンプレーティング等の方法によって形成されている。第1シード層142sは、例えば、第2面104から離れるにつれてZ方向に順に積層された銅層及びチタンタングステン合金層(TiW/Cu)を含んでいる。
【0049】
次いで、図2に示すように、第1レジスト302を形成する。第1レジスト302は、例えば、リソグラフィ技術を用いて形成されている。各区画Sにおいて、第1レジスト302は、第1レジスト開口302aを画定している。図2に示す例において、第1レジスト302の一部分は、第1シード層142sにおける2つの区画Sの間で延在する部分を覆っている。各第1レジスト開口302aの少なくとも一部分及び各第1開口パターン132aの少なくとも一部分は、Z方向に互いに重なっている。各区画Sにおいて、第1レジスト開口302aは、第1シード層142sの-Z側の面の一部分を-Z側に向けて露出している。
【0050】
次いで、図2に示すように、第1シード層142sを用いた電解めっきによって、第1めっき層142pを形成する。第1めっき層142pは、例えば、銅層である。各区画Sにおいて、第1めっき層142pは、第1開口パターン132a及び第1レジスト開口302aに埋め込まれている。よって、各区画Sにおいて、第1シード層142s及び第1めっき層142pにおける第1開口パターン132aに埋め込まれた部分は、第1ビア142aとなる。各区画Sにおいて、第1シード層142s及び第1めっき層142pにおける第1レジスト開口302aに埋め込まれた部分は、第1配線142bとなる。
【0051】
次いで、図3に示すように、第1レジスト302を除去する。
【0052】
次いで、図3に示すように、第1シード層142sにおける第1めっき層142pとZ方向に重ならない部分をエッチングによって除去する。よって、各区画Sの第1接続導体142が電気的に互いに絶縁される。このエッチングでは、例えば、第1めっき層142pよりも第1シード層142sを選択的にエッチングするエッチャントが用いられている。
【0053】
図2図4では、図の簡易化のため、第1シード層142sのZ方向の厚さ及び第1めっき層142pのZ方向の厚さはほぼ等しいように模式的に描写されている。しかしながら、第1めっき層142pのZ方向の厚さは、実際には、第1シード層142sのZ方向の厚さのおおよそ10倍以上となっている。よって、第1シード層142sにおける第1めっき層142pとZ方向に重ならない部分とともに第1めっき層142pの一部分がエッチングによって除去されても、第1めっき層142pのZ方向の全体の厚さはほとんど変化しない。
【0054】
次いで、図3に示すように、各区画Sにおいて第2絶縁層134を形成する。第2絶縁層134は、例えば、リソグラフィ技術を用いて形成されている。各区画Sにおいて、第2絶縁層134は、第2開口パターン134aを画定している。第2絶縁層134は、第2開口パターン134aを除いて、第1接続導体142を覆っている。各区画Sにおいて、第2開口パターン134aは、第1接続導体142の-Z側の面の一部分を-Z側に向けて露出している。
【0055】
次いで、図3に示すように、原基板100Rの第2面104側の2つの区画Sに亘って第2シード層144sを形成する。第2シード層144sは、例えば、スパッタ、イオンプレーティング等の方法によって形成されている。第2シード層144sは、例えば、第2面104から離れるにつれてZ方向に順に積層された銅層及びチタンタングステン合金層(TiW/Cu)を含んでいる。
【0056】
次いで、図3に示すように、第2レジスト304を形成する。第2レジスト304は、例えば、リソグラフィ技術を用いて形成されている。各区画Sにおいて、第2レジスト304は、第2レジスト開口304aを画定している。図3に示す例において、第2レジスト304の一部分は、第2シード層144sにおける2つの区画Sの間で延在する部分を覆っている。各第2レジスト開口304aの少なくとも一部分及び各第2開口パターン134aの少なくとも一部分は、Z方向に互いに重なっている。各区画Sにおいて、第2レジスト開口304aは、第2シード層144sの-Z側の面の一部分を-Z側に向けて露出している。
【0057】
次いで、図3に示すように、第2シード層144sを用いた電解めっきによって、第2めっき層144pを形成する。第2めっき層144pは、例えば、銅層である。各区画Sにおいて、第2めっき層144pは、第2開口パターン134a及び第2レジスト開口304aに埋め込まれている。よって、各区画Sにおいて、第2シード層144s及び第2めっき層144pにおける第2開口パターン134aに埋め込まれた部分は、第2ビア144aとなる。各区画Sにおいて、第2シード層144s及び第2めっき層144pにおける第2レジスト開口304aに埋め込まれた部分は、第2配線144bとなる。
【0058】
次いで、図4に示すように、第2レジスト304を除去する。
【0059】
次いで、図4に示すように、第2シード層144sにおける第2めっき層144pとZ方向に重ならない部分をエッチングによって除去する。よって、各区画Sの第2接続導体144が電気的に互いに絶縁される。このエッチングでは、例えば、第2めっき層144pよりも第2シード層144sを選択的にエッチングするエッチャントが用いられている。第1シード層142s及び第1めっき層142pの上述のエッチングと同様にして、第2シード層144sにおける第2めっき層144pとZ方向に重ならない部分とともに第2めっき層144pの一部分がエッチングによって除去されても、第2めっき層144pのZ方向の全体の厚さはほとんど変化しない。
【0060】
次いで、図4に示すように、各区画Sにおいて第3絶縁層136を形成する。第3絶縁層136は、例えば、リソグラフィ技術を用いて形成されている。各区画Sにおいて、第3絶縁層136は、第3開口パターン136aを画定している。第3絶縁層136は、第3開口パターン136aを除いて、第2接続導体144を覆っている。各区画Sにおいて、第3開口パターン136aは、第2接続導体144の-Z側の面の一部分を-Z側に向けて露出している。
【0061】
次いで、各区画Sにおいて、第3絶縁層136の第3開口パターン136aにパッド150を形成する。次いで、各区画Sにおいて、原基板100Rの第1面102側にランド110を形成する。ただし、ランド110を形成した後にパッド150を形成してもよい。次いで、ダイシングによって原基板100Rの2つの区画Sから2つの基板100を切り出す。次いで、ランド110の+Z側の面側にプローブ120を実装する。
【0062】
このようにして、実施形態に係る接続装置10が製造される。
【0063】
上述したように、実施形態では、1つの原基板100Rから複数の基板100が切り出されている。よって、原基板100Rが上述した内部配線を有する場合、内部配線の良否判定において不良と判定される基板100が切り出される可能性を抑制することが比較的難しくなることがある。これに対して、実施形態においては、原基板100Rが上述した内部配線を有する必要がない。よって、原基板100Rが内部配線を有する場合と比較して、良否判定において良と判定される基板100を原基板100Rから効率的に切り出しやすくすることができる。
【0064】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0065】
例えば、実施形態では、複数のランド110のレイアウト及び複数のパッド150のレイアウトが互いに異なっている。しかしながら、複数のランド110のレイアウト及び複数のパッド150のレイアウトは互いに同一であってもよい。
【0066】
本明細書によれば、以下の態様の接続装置が提供される。
(態様1)
態様1では、検査対象物及び検査基板を電気的に接続する接続装置が、基板と、前記基板の前記検査基板に対向する所定面側に位置する接続導体と、を備えている。
【0067】
「所定面」は、上述の実施形態の「第2面」に相当する。
【0068】
上述の態様によれば、基板の検査対象物に対向する面側に接続導体が設けられている場合と比較して、接続装置の検査対象物に対向する面側の平坦性を確保することができる。
【0069】
(態様2)
態様2では、前記基板が、前記接続導体に電気的に接続された内部導体が設けられたスルーホールを画定している。
【0070】
上述の態様によれば、基板が、接続装置の検査対象物に対向する面側の電極のレイアウトと、接続装置の検査基板に対向する面側の電極のレイアウトと、を互いに異ならせるための内部配線を有する場合と比較して、基板を単純な構造にすることができる。よって、基板が当該内部配線を有する場合と比較して、基板の歩留まりを向上させることができる。
【0071】
(態様3)
態様3では、前記基板が、前記接続導体に電気的に接続された複数の内部導体を有している。
【0072】
上述の態様によれば、複数の内部導体に別々の接続導体を電気的に接続する場合と比較して、検査基板の電極の数を少なくすることができる。上述の態様によれば、接続導体を介して、複数の内部導体に略同一の電位を供給することができる。
【0073】
(態様4)
態様4では、前記接続導体が、少なくとも部分的に互いに重なる複数の配線を有している。
【0074】
上述の態様によれば、少なくとも部分的に互いに重なる複数の配線によって、接続装置の検査対象物に対向する面側の電極のピッチと、接続装置の検査基板に対向する面側の電極のピッチと、を互いに変換することができる。よって、互いに重なることがない複数の配線によって当該ピッチを互いに変換する場合と比較して、当該ピッチの変換の自由度を向上させることができる。
【0075】
(態様5)
態様5では、接続装置が、前記接続導体の少なくとも一部分が埋め込まれた絶縁層をさらに備えている。
【0076】
上述の態様によれば、検査対象物の検査において、接続装置の検査基板に対向する面側の電極と、ポゴピン等の外部部材と、が互いに接触する際、絶縁層を当該電極への荷重を緩和する部材として機能させることができる。よって、絶縁層が設けられていない場合と比較して、接続装置の耐久性を向上させることができる。
【0077】
(態様6)
態様6では、接続装置が、前記基板の前記検査対象物に対向する他の所定面側に位置するランドをさらに備えている。
【0078】
「他の所定面」は、上述の実施形態の「第1面」に相当する。
【0079】
ランドの長さ又は幅は、接続導体の長さよりも短くしやすくなっている。また、他の所定面側に絶縁層を設けることなく、ランドを形成することができる。よって、上述の態様によれば、接続導体が基板の他の所定面側に位置する場合と比較して、接続装置の他の所定面側の平坦性を確保しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0080】
10 接続装置、20 検査対象物、22 第1電極、30 検査基板、32 第2電極、100 基板、100R 原基板、102 第1面、104 第2面、106 スルーホール、110 ランド、112 第1ランド層、114 第2ランド層、120 プローブ、130 絶縁層、132 第1絶縁層、132a 第1開口パターン、134 第2絶縁層、134a 第2開口パターン、136 第3絶縁層、136a 第3開口パターン、140,140T 接続導体、142,142T 第1接続導体、142a,142aT 第1ビア、142b,142bT 第1配線、142p 第1めっき層、144,144T 第2接続導体、144a,144aT 第2ビア、144b,144bT 第2配線、144p 第2めっき層、150 パッド、200 ピンブロック、210 ポゴピン、302 第1レジスト、302a 第1レジスト開口、304 第2レジスト、304a 第2レジスト開口、S 区画
図1
図2
図3
図4