(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088976
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8234 20060101AFI20240626BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240626BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240626BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240626BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01L27/088 A
H01L27/088 E
H01L29/78 301D
H01L29/78 301W
H01L29/78 652T
H01L29/78 652S
H01L29/78 652F
H01L29/78 652R
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 652K
H01L29/78 652J
H01L29/78 656E
H01L29/78 656F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204050
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰詔
(72)【発明者】
【氏名】奥田 肇
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭司
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB10
5F048AC01
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5F140BA06
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5F140BJ05
5F140BJ06
5F140BJ07
5F140CB01
5F140CB04
(57)【要約】
【課題】それぞれが所望特性を実現するために好適な構造を有する複数の素子が混載された半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、素子主面3を有する半導体チップ2と、素子主面3に形成され、素子構造の一部としてDTI構造70を含む第1素子20と、素子主面3に形成され、第1素子20から分離された第2素子であって、STI構造を含む第2素子と、素子主面3に形成され、第1素子および第2素子から分離された第3素子であって、LOCOS構造を含む第3素子とを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子主面を有する半導体チップと、
前記素子主面に形成され、素子構造の一部としてDTI構造を含む第1素子と、
前記素子主面に形成され、前記第1素子から分離された第2素子であって、STI構造を含む第2素子と、
前記素子主面に形成され、前記第1素子および前記第2素子から分離された第3素子であって、LOCOS構造を含む第3素子とを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記DTI構造は、トレンチゲート構造を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トレンチゲート構造は、絶縁体によって上下方向に絶縁分離されるようにゲートトレンチ内に埋設された上電極および下電極を含むマルチ電極構造を有している、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
複数の前記トレンチゲート構造が、前記半導体チップの前記素子主面に間隔を空けて形成され、
複数の前記トレンチゲート構造のピッチは、1.0μm以上2.0μm以下である、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
各前記トレンチゲート構造の幅は、0.4μm以上2μm以下である、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記STI構造は、前記第2素子の素子構造が形成される第1アクティブ領域を区画する素子分離構造を含み、
前記第1アクティブ領域の幅および前記素子分離構造の幅を含む前記第2素子の幅が、1μm未満である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
第1方向に沿う断面視において、前記第1アクティブ領域は、前記第1方向の両側から一対の前記素子分離構造に挟まれており、
前記第2素子の幅は、前記一対の素子分離構造のトレンチの開口端の幅と、前記素子主面における前記第1アクティブ領域の幅とを足した幅である、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第3素子は、前記素子主面上にゲート絶縁膜を挟んで形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の一部と前記素子主面との間に形成され、前記ゲート絶縁膜よりも厚い前記LOCOS構造としてのフィールド絶縁膜とを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記フィールド絶縁膜は、前記素子主面に対して前記半導体チップに埋設された埋設部と、前記素子主面に対して前記埋設部の反対側に突出した突出部とを一体的に含み、
前記素子主面から前記突出部の上端までの厚さが、前記素子主面から前記埋設部の下端までの厚さ以下である、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記フィールド絶縁膜は、前記第3素子の素子構造が形成される第2アクティブ領域を区画しており、
前記第2アクティブ領域の幅および前記フィールド絶縁膜の幅を含む前記第3素子の幅が、2μm未満である、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記DTI構造は、絶縁体によって上下方向に絶縁分離されるようにゲートトレンチ内に埋設された上電極および下電極を含むトレンチゲート構造を含み、
前記STI構造は、前記第2素子の素子構造が形成される第1アクティブ領域を区画する素子分離構造を含み、
前記LOCOS構造は、前記素子主面上にゲート絶縁膜を挟んで形成されたゲート電極の一部と前記素子主面との間に形成され、前記ゲート絶縁膜よりも厚いフィールド絶縁膜を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1素子は、複数のゲート信号が入力されるように構成されたゲート分割型の出力トランジスタを含み、
前記第2素子は、第1p型チャネルMISトランジスタおよび第1n型チャネルMISトランジスタを含み、第1定格電圧を有する第1CMOSトランジスタを含み、
前記第3素子は、第2p型チャネルMISトランジスタおよび第2n型チャネルMISトランジスタを含み、前記第1定格電圧よりも高い第2定格電圧を有する第2CMOSトランジスタを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1CMISトランジスタは、前記出力トランジスタを制御する制御領域に形成されたロジック回路を構成している、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2CMISトランジスタは、前記出力トランジスタを制御する制御領域に形成された増幅回路を構成している、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1CMISトランジスタは、前記出力トランジスタを制御する制御領域に形成されたロジック回路を構成しており、
前記第2CMISトランジスタは、前記出力トランジスタを制御する制御領域に形成された増幅回路を構成している、請求項12に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1は、半導体層と、電気的に独立した複数の制御信号が個別的に入力されるように半導体層に電気的に独立して形成され、アクティブクランプ動作時のオン抵抗が通常動作時のオン抵抗とは異なるように個別的にオンオフ制御される絶縁ゲート型の複数のトランジスタとを含む、半導体装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態は、それぞれが所望特性を実現するために好適な構造を有する複数の素子が混載された半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る半導体装置は、素子主面を有する半導体チップと、前記素子主面に形成され、素子構造の一部としてDTI構造を含む第1素子と、前記素子主面に形成され、前記第1素子から分離された第2素子であって、STI構造を含む第2素子と、前記素子主面に形成され、前記第1素子および前記第2素子から分離された第3素子であって、LOCOS構造を含む第3素子とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態に係る半導体装置によれば、共通の半導体チップに、DTI構造を含む第1素子、STI構造を含む第2素子、およびLOCOS構造を含む第3素子が混載されている。これにより、複数の第1~第3素子のそれぞれが、所望の特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置を示す模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す半導体装置の電気的構成を示す概略回路図である。
【
図4】
図4は、出力トランジスタの構成を示す概略回路図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す出力領域の要部を示す拡大平面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す出力領域の更なる要部を示す拡大平面図である。
【
図8】
図8は、
図6に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施形態が詳細に説明される。添付図面は、模式図であり、厳密に図示されたものではなく、縮尺等は必ずしも一致しない。また、添付図面の間で対応する構造には同一の参照符号が付され、重複する説明は省略または簡略化される。説明が省略または簡略化された構造については、省略または簡略化される前になされた説明が適用される。
【0009】
比較対象(comparison target)が存する説明において「ほぼ(substantially)等しい」の文言が使用される場合、この文言は、比較対象の数値(形態)と等しい数値(形態)を含む他、比較対象の数値(形態)を基準とする±10%の範囲の数値誤差(形態誤差)も含む。実施形態では「第1」、「第2」、「第3」等の文言が使用されるが、これらは説明順序を明確にするために各構造の名称に付された記号であり、各構造の名称を限定する趣旨で付されていない。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置1を示す平面図である。
図2は、
図1に示すII-II線に沿う断面図である。
図1および
図2を参照して、半導体装置1は、直方体形状に形成されたチップ2を含む。チップ2は、この形態(this embodiment)では、Si単結晶を含むSiチップである。
【0011】
むろん、チップ2は、ワイドバンドギャップ半導体の単結晶を含むワイドバンドギャップ半導体チップからなっていてもよい。ワイドバンドギャップ半導体は、Siのバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する半導体である。GaN(窒化ガリウム)、SiC(炭化シリコン)、C(ダイアモンド)等が、ワイドバンドギャップ半導体として例示される。たとえば、チップ2は、SiC単結晶を含むSiCチップであってもよい。
【0012】
チップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する第1~第4側面5A~5Dを有している。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。法線方向Zは、チップ2の厚さ方向でもある。
【0013】
第1主面3は、電子回路を構成する種々の回路構造物が形成された回路面である。第2主面4は、回路構造物を有さない非回路面である。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1主面3に沿う第1方向Xに延び、第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向(背向)している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向(背向)している。
【0014】
半導体装置1は、第1主面3に設けられた出力領域6を含む。出力領域6は、外部に出力する出力信号を生成するように構成された電子回路(回路デバイス)を有する領域である。出力領域6は、この形態では、第1主面3において第1側面5A側の領域に区画されている。出力領域6は、平面視において第1主面3の周縁に平行な4辺を有する多角形状(この形態では四角形状)に区画されている。
【0015】
出力領域6の位置、大きさおよび平面形状等は任意であり、特定のレイアウトに制限されない。出力領域6は、第1主面3の平面積の25%以上80%以下の平面積を有していてもよい。出力領域6の平面積は、第1主面3の平面積の30%以上であってもよい。出力領域6の平面積は、第1主面3の平面積の40%以上であってもよい。出力領域6の平面積は、第1主面3の平面積の50%以上であってもよい。出力領域6の平面積は、第1主面3の平面積の75%以下であってもよい。
【0016】
半導体装置1は、第1主面3において出力領域6とは異なる領域に設けられた制御領域7を含む。制御領域7は、出力領域6を制御する制御信号を生成するように構成された複数種の電子回路(回路デバイス)を有する領域である。制御領域7は、この形態では、出力領域6に対して第2側面5B側の領域に区画され、第2方向Yに出力領域6に対向している。制御領域7は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁に平行な4辺を有する多角形状(この形態では四角形状)に区画されている。
【0017】
制御領域7の位置、大きさおよび平面形状等は任意であり、特定のレイアウトに制限されない。制御領域7は、第1主面3の平面積の25%以上80%以下の平面積を有していてもよい。制御領域7の平面積は、第1主面3の平面積の30%以上であってもよい。制御領域7の平面積は、第1主面3の平面積の40%以上であってもよい。制御領域7の平面積は、第1主面3の平面積の50%以上であってもよい。制御領域7の平面積は、第1主面3の平面積の75%以下であってもよい。
【0018】
制御領域7の平面積は、出力領域6の平面積とほぼ等しくてもよい。制御領域7の平面積は、出力領域6の平面積よりも大きくてもよい。制御領域7の平面積は、出力領域6の平面積よりも小さくてもよい。出力領域6の平面積に対する制御領域7の平面積の比は、0.1以上4以下であってもよい。
【0019】
半導体装置1は、第2主面4の表層部に形成されたn型(第1導電型)のドレイン領域10を含む。ドレイン領域10のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。ドレイン領域10は、第2主面4の表層部の全域において第2主面4に沿って延びる層状に形成され、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dから露出している。ドレイン領域10は、50μm以上200μm以下の厚さを有していてもよい。ドレイン領域10の厚さは、150μm以下であることが好ましい。ドレイン領域10は、この形態では、n型の半導体基板(Si基板)によって形成されている。
【0020】
半導体装置1は、第1主面3の表層部に形成されたn型のドリフト領域11を含む。ドリフト領域11は、ドレイン領域10よりも低いn型不純物濃度を有している。ドリフト領域11のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。ドリフト領域11は、出力領域6および制御領域7において第1主面3に沿って延びる層状に形成されている。具体的には、ドリフト領域11は、第1主面3の表層部の全域において第1主面3に沿って延びる層状に形成され、第1主面3および第1~第4側面5A~5Dから露出している。
【0021】
ドリフト領域11は、チップ2内においてドレイン領域10に電気的に接続されている。ドリフト領域11は、ドレイン領域10の厚さ未満の厚さを有している。ドリフト領域11の厚さは、1μm以上20μm以下であってもよい。ドリフト領域11の厚さは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。ドリフト領域11の厚さは、10μm以下であることが特に好ましい。ドリフト領域11は、この形態では、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)によって形成されている。
【0022】
半導体装置1は、第1主面3を被覆する層間絶縁層12を含む。層間絶縁層12は、出力領域6および制御領域7を一括して被覆している。層間絶縁層12は、第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に連なるように第1主面3の全域を被覆していてもよい。むろん、層間絶縁層12は、第1主面3の周縁部を露出させるように第1主面3の周縁から内方に間隔を空けて形成されていてもよい。
【0023】
層間絶縁層12は、この形態では、複数の絶縁層および複数の配線層が交互に積層された積層構造を有する多層配線構造からなる。各絶縁層は、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。各配線層は、純Al層(純度が99%以上のAl層)、Cu層(純度が99%以上のCu層)、AlCu合金層、AlSiCu合金層およびAlSi合金層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0024】
半導体装置1は、第1主面3および第2主面4のいずれか一方または双方(この形態では双方)の上に配置された複数の端子13~15を含む。複数の端子13~15は、ソース端子13、複数の制御端子14およびドレイン端子15を含む。
【0025】
ソース端子13は、この形態では、負荷に電気的に接続される出力端子として設けられ、層間絶縁層12のうち出力領域6を被覆する部分の上に配置されている。ソース端子13は、平面視において出力領域6の全域を被覆していてもよい。ソース端子13は、純Al層、Cu層、AlCu合金層、AlSiCu合金層およびAlSi合金層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0026】
複数の制御端子14は、制御領域7内の各種の電子回路に電気的に接続される端子であり、層間絶縁層12のうち制御領域7を被覆する部分の上に配置されている。複数の制御端子14は、ソース端子13の平面積未満の平面積をそれぞれ有し、制御領域7の周縁部(第1主面3の周縁部)に沿って間隔を空けて配置されている。
【0027】
各制御端子14の平面積は、ボンディングワイヤが接続可能な範囲に設定される。各制御端子14の平面積は、ソース端子13の平面積の1/10以下であってもよい。複数の制御端子14は、純Al層、Cu層、AlCu合金層、AlSiCu合金層およびAlSi合金層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0028】
複数の制御端子14は、グランド電位に固定される少なくとも1つのグランド端子14a、および、制御領域7に電気信号を付与する少なくとも1つの入力端子14bを含む。グランド端子14aの配置箇所は任意である。グランド端子14aは、平面視において、制御領域7の内方部に配置されていてもよいし、第1主面3の一辺に沿う部分に配置されていてもよいし、第1主面3の角部に配置されていてもよい。グランド端子14aは、ボンディングワイヤに接続され、当該ボンディングワイヤを介して外部からグランド電位が付与される。
【0029】
入力端子14bの配置箇所は任意である。入力端子14bは、平面視において、制御領域7の内方部に配置されていてもよいし、第1主面3の一辺に沿う部分に配置されていてもよいし、第1主面3の角部に配置されていてもよい。
【0030】
この形態では、入力端子14bが、製造過程において制御回路23の電気的特性を試験するための試験信号が入力されるテスト端子からなる例が示される。テスト端子は、電気的特性試験装置のプローブの当接対象として設けられ、かつ、当該プローブからテスト信号が入力されるように構成された端子である。
【0031】
入力端子14bは、製造後の半導体装置1においてはボンディングワイヤの接続対象外の構造物である。つまり、入力端子14bは、開放端子(ダミー端子)として形成されている。開放端子は、外部からの信号(電位)を受け付けず、電気的に浮遊状態に形成された端子である。
【0032】
たとえば、半導体装置1が半導体パッケージに搭載される場合、入力端子14bの全域は絶縁体(たとえば複数のフィラーおよびマトリクス樹脂を含む封止樹脂)によって被覆され、他の構造物から電気的に絶縁される。むろん、入力端子14bは、ボンディングワイヤを介して半導体パッケージのリード端子に電気的に接続され、半導体装置1の半導体パッケージへの搭載後においてもテスト信号が入力されるように構成されてもよい。
【0033】
ドレイン端子15は、この形態では、電源端子として設けられ、チップ2の第2主面4を直接被覆している。つまり、半導体装置1は、この形態では、電源および負荷の間に電気的に介装されるハイサイドスイッチングデバイスである。ドレイン端子15は、第2主面4においてドレイン領域10に電気的に接続されている。ドレイン端子15は、第2主面4の周縁(第1~第4側面5A~5D)に連なるように第2主面4の全域を被覆している。
【0034】
図3は、
図1に示す半導体装置1の電気的構成を示す概略回路図である。
図4は、出力トランジスタ20の構成を示す概略回路図である。
【0035】
図3では、半導体装置1の動作例を示すべく、負荷の一例としての誘導性負荷Lがソース端子13に電気的に接続された例が示されている。誘導性負荷Lは、半導体装置1の構成要素ではない。したがって、半導体装置1および誘導性負荷Lを含む構成は、「誘導性負荷駆動装置」または「誘導性負荷制御装置」と称されてもよい。リレー、ソレノイド、ランプ、モータ等が誘導性負荷Lとして例示される。誘導性負荷Lは、車載用の誘導性負荷であってもよい。すなわち、半導体装置1は、車載用半導体装置であってもよい。
【0036】
図3および
図4を参照して、半導体装置1は、出力領域6に形成された出力トランジスタ20を含む。出力トランジスタ20は、この形態では、1つのメインドレイン、1つのメインソースおよび複数のメインゲートを含むゲート分割トランジスタからなる。メインドレインは、ドレイン端子15に電気的に接続されている。メインソースは、ソース端子13に電気的に接続されている。
【0037】
複数のメインゲートは、電気的に独立した複数のゲート信号(ゲート電位)が個別的に入力されるように構成されている。出力トランジスタ20は、複数のゲート信号に応答して単一の出力電流Io(出力信号)を生成する。つまり、出力トランジスタ20は、マルチ入力シングル出力型のスイッチングデバイスからなる。出力電流Ioは、メインドレインおよびメインソースの間を流れるドレイン・ソース電流である。出力電流Ioは、ソース端子13を介してチップ2外(誘導性負荷L)に出力される。
【0038】
出力トランジスタ20は、電気的に独立して制御される複数(2つ以上)の系統トランジスタ21を含む。複数の系統トランジスタ21は、この形態では、第1系統トランジスタ21Aおよび第2系統トランジスタ21Bを含む。複数の系統トランジスタ21は、出力領域6に集約して形成されている。複数の系統トランジスタ21は、複数のゲート信号が個別入力されるように並列接続され、オン状態の系統トランジスタ21およびオフ状態の系統トランジスタ21が併存するように構成されている。
【0039】
複数の系統トランジスタ21は、システムドレイン、システムソースおよびシステムゲートをそれぞれ含む。複数のシステムドレインは、メインドレイン(ドレイン端子15)に電気的に接続されている。複数のシステムソースは、メインソース(ソース端子13)に電気的に接続されている。各システムゲートは、各メインゲートに電気的に接続されている。換言すると、各システムゲートは、各メインゲートを構成している。
【0040】
複数の系統トランジスタ21は、対応するゲート信号に応答して系統電流Isをそれぞれ生成する。各系統電流Isは、各系統トランジスタ21のシステムドレインおよびシステムソースの間を流れるドレイン・ソース電流である。複数の系統電流Isは、異なる値を有していてもよいし、ほぼ等しい値を有していてもよい。複数の系統電流Isは、メインドレインおよびメインソースの間で加算される。これにより、複数の系統電流Isの加算値からなる単一の出力電流Ioが生成される。
【0041】
図4を参照して、複数の系統トランジスタ21は、個別制御対象として系統化(グループ化)された単一のまたは複数の単位トランジスタ22をそれぞれ含む。具体的には、複数の系統トランジスタ21は、単一の単位トランジスタ22または複数の単位トランジスタ22を含む並列回路によって構成される。複数の単位トランジスタ22は、この形態では、トレンチゲートバーティカル型からそれぞれなる。複数の系統トランジスタ21は、同数の単位トランジスタ22によって構成されていてもよいし、異なる個数の単位トランジスタ22によって構成されていてもよい。
【0042】
各単位トランジスタ22は、ユニットドレイン、ユニットソースおよびユニットゲート、を含む。各単位トランジスタ22のユニットドレインは、対応する系統トランジスタ21のシステムドレインに電気的に接続されている。各単位トランジスタ22のユニットソースは、対応する系統トランジスタ21のシステムソースに電気的に接続されている。各単位トランジスタ22のユニットゲートは、対応する系統トランジスタ21のシステムゲートに電気的に接続されている。
【0043】
複数の単位トランジスタ22は、対応するゲート信号に応答して単位電流Iuをそれぞれ生成する。各単位電流Iuは、各単位トランジスタ22のユニットドレインおよびユニットソースの間を流れるドレイン・ソース電流である。複数の単位電流Iuは、異なる値を有していてもよいし、ほぼ等しい値を有していてもよい。複数の単位電流Iuは、対応するシステムドレインおよびシステムソースの間で加算される。これにより、複数の単位電流Iuの加算値からなる系統電流Isが生成される。
【0044】
このように、出力トランジスタ20は、第1系統トランジスタ21Aおよび第2系統トランジスタ21Bが互いに電気的に独立した状態でオンオフ制御されるように構成されている。すなわち、出力トランジスタ20は、第1系統トランジスタ21Aおよび第2系統トランジスタ21Bの双方が同時にオン状態になるように構成されている。また、出力トランジスタ20は、第1系統トランジスタ21Aおよび第2系統トランジスタ21Bのいずれか一方がオン状態になり、他方がオフ状態になるように構成されている。
【0045】
第1系統トランジスタ21Aおよび第2系統トランジスタ21Bの双方が同時にオン状態になるとき、出力トランジスタ20のチャネル利用率が増加し、オン抵抗が低下する。第1系統トランジスタ21Aおよび第2系統トランジスタ21Bのいずれか一方がオン状態になる一方で他方がオフ状態になるとき、出力トランジスタ20のチャネル利用率が低下し、オン抵抗が増加する。すなわち、出力トランジスタ20は、オン抵抗可変型のスイッチングデバイスからなる。
【0046】
半導体装置1は、出力トランジスタ20に電気的に接続されるように制御領域7に形成された制御回路23を含む。制御回路23は、「コントロールIC」と称されてもよい。制御回路23は、種々の機能回路を備え、出力トランジスタ20と共にIPD(Intelligent Power Device)を構成する。IPDは、「IPM(Intelligent Power Module)」、「IPS(Intelligent Power Switch)」、「スマートパワードライバ」、「スマートMISFET(スマートMOSFET)」または「プロテクテッドMISFET(プロテクテッドMOSFET)」と称されてもよい。
【0047】
制御回路23は、この形態では、ゲート制御回路24、電流モニタ回路25、過電流保護回路26、過熱保護回路27、低電圧誤動作回避回路28、負荷オープン検出回路29、アクティブクランプ回路30、電源逆接続保護回路31、ロジック回路32、試験回路33および増幅回路34を含む。制御回路23は、必ずしもこれらの機能回路の全てを同時に含む必要はなく、これらの機能回路の少なくとも1つを含んでいればよい。
【0048】
電流モニタ回路25は、CS回路(Current Sense circuit)と称されてもよい。過電流保護回路26は、OCP回路(Over Current Protection circuit)と称されてもよい。過熱保護回路27は、TSD回路(Thermal shut down circuit)と称されてもよい。低電圧誤動作回避回路28は、UVLO回路(Under Voltage Lock Out circuit)と称されてもよい。負荷オープン検出回路29は、OLD回路(Open Load Detection circuit)と称されてもよい。電源逆接続保護回路31は、RBP回路(Reverse Battery Protection circuit)と称されてもよい。増幅回路34は、AMP回路(Amplifier circuit)と称されてもよい。
【0049】
ゲート制御回路24は、出力トランジスタ20のオンオフを制御するゲート信号を生成するように構成されている。具体的には、ゲート制御回路24は、複数の系統トランジスタ21を個別的にオンオフ制御する複数のゲート信号を生成する。つまり、ゲート制御回路24は、この形態では、第1系統トランジスタ21Aを個別的にオンオフ制御する第1ゲート信号、および、第2系統トランジスタ21Bを第1系統トランジスタ21Aから電気的に独立して個別的にオンオフ制御する第2ゲート信号を生成する。
【0050】
電流モニタ回路25は、出力トランジスタ20の出力電流Ioを監視するモニタ電流を生成し、他の回路に出力する。たとえば、モニタ回路は、出力トランジスタ20と同様の構成を有するトランジスタを含み、出力トランジスタ20と同時にオンオフ制御されることによって、出力電流Ioに連動したモニタ電流を生成するように構成されていてもよい。むろん、電流モニタ回路25は、1つまたは複数の系統電流Isに連動したモニタ電流を生成するように構成されていてもよい。
【0051】
過電流保護回路26は、電流モニタ回路25からのモニタ電流に基づいてゲート制御回路24を制御する電気信号を生成し、ゲート制御回路24と協働して出力トランジスタ20のオンオフを制御する。たとえば、過電流保護回路26は、モニタ電流が所定の閾値以上になったときに出力トランジスタ20が過電流状態であると判定し、ゲート制御回路24と協働して出力トランジスタ20(複数の系統トランジスタ21)の一部または全部をオフ状態に制御するように構成されていてもよい。また、過電流保護回路26は、モニタ電流が所定の閾値未満になったときにゲート制御回路24と協働して出力トランジスタ20を通常動作に移行させるように構成されていてもよい。
【0052】
過熱保護回路27は、出力領域6の温度を検出する第1感温デバイス(たとえば感温ダイオード)、および、制御領域7の温度を検出する第2感温デバイス(たとえば感温ダイオード)を含む。過熱保護回路27は、第1感温デバイスからの第1温度検知信号および第2感温デバイスからの第2温度検知信号に基づいてゲート制御回路24を制御する電気信号を生成し、ゲート制御回路24と協働して出力トランジスタ20のオンオフを制御する。
【0053】
たとえば、過熱保護回路27は、第1温度検知信号および第2温度検知信号の差分値が所定の閾値以上になったときに出力領域6が過熱状態であると判定し、ゲート制御回路24と協働して出力トランジスタ20(複数の系統トランジスタ21)の一部または全部をオフ状態に制御するように構成されていてもよい。また、過熱保護回路27は、前記差分値が所定の閾値未満になったときにゲート制御回路24と協働して出力トランジスタ20を通常動作に移行させるように構成されていてもよい。
【0054】
低電圧誤動作回避回路28は、制御回路23を起動するための起動電圧が所定値未満である場合に制御回路23内の各種機能回路が誤動作するのを回避するように構成されている。たとえば、低電圧誤動作回避回路28は、起動電圧が所定の閾値電圧以上になると制御回路23を起動し、起動電圧が前記閾値電圧未満になると制御回路23を停止させるように構成されていてもよい。閾値電圧は、ヒステリシス特性を有していてもよい。
【0055】
負荷オープン検出回路29は、誘導性負荷Lの電気的接続状態を判定する。たとえば、負荷オープン検出回路29は、出力トランジスタ20の端子間電圧を監視し、当該端子間電圧が所定の閾値以上になったときに誘導性負荷Lがオープン状態であると判定するように構成されていてもよい。たとえば、負荷オープン検出回路29は、モニタ電流が所定の閾値以下になったときに誘導性負荷Lがオープン状態であると判定するように構成されていてもよい。
【0056】
アクティブクランプ回路30は、出力トランジスタ20のメインドレインおよび少なくとも1つのメインゲート(たとえば第1系統トランジスタ21Aのシステムゲート)に電気的に接続されている。アクティブクランプ回路30は、ツェナダイオードおよび当該ツェナダイオードに逆バイアス直列接続されたpn接合ダイオードを含む。pn接合ダイオードは、出力トランジスタ20からの逆流を防止する逆流防止ダイオードである。
【0057】
アクティブクランプ回路30は、誘導性負荷Lに起因する逆起電圧が出力トランジスタ20に印加されたときにゲート制御回路24と協働して出力トランジスタ20の一部または全部をオン状態に制御するように構成されている。具体的には、出力トランジスタ20は、通常動作、第1オフ動作、アクティブクランプ動作および第2オフ動作を含む複数種の動作モードで制御される。
【0058】
通常動作では、第1系統トランジスタ21Aおよび第2系統トランジスタ21Bの双方が同時にオン状態に制御される。これにより、出力トランジスタ20のチャネル利用率が増加し、オン抵抗が低下する。第1オフ動作では、第1系統トランジスタ21Aおよび第2系統トランジスタ21Bの双方が同時にオン状態からオフ状態に制御される。これにより、誘導性負荷Lに起因する逆起電圧が、第1系統トランジスタ21Aおよび第2系統トランジスタ21Bの双方に印加される。
【0059】
アクティブクランプ動作は、誘導性負荷Lに蓄積されたエネルギを出力トランジスタ20によって吸収(消費)させる動作であり、誘導性負荷Lに起因する逆起電圧が所定の閾値電圧以上になると実行される。アクティブクランプ動作では、第1系統トランジスタ21Aがオフ状態からオン状態に制御されると同時に、第2系統トランジスタ21Bがオフ状態に制御(維持)される。
【0060】
アクティブクランプ動作時における出力トランジスタ20のチャネル利用率は、通常動作時における出力トランジスタ20のチャネル利用率未満である。アクティブクランプ動作時における出力トランジスタ20のオン抵抗は、通常動作時における出力トランジスタ20のオン抵抗よりも大きい。これにより、アクティブクランプ動作時における出力トランジスタ20の急激な温度上昇が抑制され、アクティブクランプ耐量が向上する。
【0061】
第2オフ動作は、逆起電圧が所定の閾値電圧未満になると実行される。第2オフ動作では、第1系統トランジスタ21Aがオン状態からオフ状態に制御されると同時に、第2系統トランジスタ21Bがオフ状態に制御(維持)される。このように、誘導性負荷Lの逆起電圧(エネルギ)は、出力トランジスタ20の一部(ここでは第1系統トランジスタ21A)によって吸収される。むろん、アクティブクランプ動作時では、第1系統トランジスタ21Aがオフ状態に制御(維持)されると同時に、第2系統トランジスタ21Bがオン状態に制御されてもよい。
【0062】
電源逆接続保護回路31は、電源が逆接続された際の逆電圧を検出し、当該逆電圧(逆電流)から制御回路23や出力トランジスタ20を保護するように構成されている。ロジック回路32は、制御回路23内の各種回路に供給される電気信号を生成するように構成されている。
【0063】
試験回路33は、入力端子14bおよびドレイン端子15の間に電気的に介装されるように第1主面3に形成され、入力端子14bおよびドレイン端子15に電気的に接続されている。試験回路33は、製造過程時において制御回路23の電気的特性を間接的に評価するために形成されている。試験回路33は、平面視において、入力端子14bに隣り合う領域に配置されていることが好ましい。
【0064】
増幅回路34は、たとえば半導体装置1が車に搭載される場合には、車載された各種センサ(たとえば、圧力センサ、慣性センサ、MRセンサ等)から半導体装置1に入力された検出信号の増幅処理をするように構成されている。
【0065】
[DTI構造を有する素子]
以下、
図5~
図12を参照して、出力領域6側の構成が説明される。
図5は、
図1に示す出力領域6を示す平面図である。
図6は、
図5に示す出力領域6の要部を示す拡大平面図である。
図7は、
図5に示す出力領域6の更なる要部を示す拡大平面図である。
図8は、
図6に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9は、
図6に示すIX-IX線に沿う断面図である。
図10は、
図6に示すX-X線に沿う断面図である。
図11は、
図6に示すXI-XI線に沿う断面図である。
図12は、
図6に示すXII-XII線に沿う断面図である。
【0066】
半導体装置1は、出力領域6を区画するように第1主面3に形成された第1トレンチ分離構造60を含む。第1トレンチ分離構造60は、チップ2内において制御領域7から出力領域6を電気的に分離する。第1トレンチ分離構造60にはソース電位が付与される。
【0067】
第1トレンチ分離構造60は、平面視において出力領域6を取り囲む環状に形成されている。第1トレンチ分離構造60は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁に平行な4辺を有する多角環状(この形態では四角環状)に形成されている。第1トレンチ分離構造60は、ドリフト領域11の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、ドリフト領域11の一部を挟んでドレイン領域10に対向している。
【0068】
第1トレンチ分離構造60は、第1幅W1を有している。第1幅W1は、第1トレンチ分離構造60の延在方向に直交する方向の幅である。第1幅W1は、0.4μm以上2.5μm以下であってもよい。第1幅W1は、0.4μm以上0.75μm以下、0.75μm以上1μm以下、1μm以上1.25μm以下、1.25μm以上1.5μm以下、1.5μm以上1.75μm以下、および、1.75μm以上2μm以下のいずれか1つの範囲に属する値を有していてもよい。第1幅W1は、1.25μm以上1.75μm以下であることが好ましい。
【0069】
第1トレンチ分離構造60は、第1深さD1を有している。第1深さD1は、1μm以上6μm以下であってもよい。第1深さD1は、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、4μm以上5μm以下、および、5μm以上6μm以下のいずれか1つの範囲に属する値を有していてもよい。第1深さD1は、3μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0070】
第1トレンチ分離構造60のアスペクト比D1/W1は、1を超えて5以下であってもよい。アスペクト比D1/W1は、第1幅W1に対する第1深さD1の比である。アスペクト比D1/W1は、2以上であることが好ましい。
【0071】
第1トレンチ分離構造60は、分離トレンチ61、分離絶縁膜62および分離電極63を含む。つまり、第1トレンチ分離構造60は、絶縁体(分離絶縁膜62)を挟んで分離トレンチ61に埋設された単一の電極(分離電極63)を含むシングル電極構造を有している。第1トレンチ分離構造60は、DTI(deep trench isolation)構造と称されてもよい。
【0072】
分離トレンチ61は、第1主面3に形成され、第1トレンチ分離構造60の壁面を区画している。分離絶縁膜62は、分離トレンチ61の壁面を被覆している。分離絶縁膜62は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。分離絶縁膜62は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含んでいてもよいし、CVD法によって形成された酸化シリコン膜を含んでいてもよい。分離電極63は、分離絶縁膜62を挟んで分離トレンチ61に埋設されている。分離電極63は、導電性ポリシリコンを含んでいてもよい。
【0073】
半導体装置1は、出力領域6において第1主面3に形成された出力トランジスタ20を含む。以下の構成は、半導体装置1の構成要素として説明されるが、出力トランジスタ20の構成要素でもある。
【0074】
半導体装置1は、出力領域6においてドリフト領域11の表層部に形成されたn型の高濃度ドリフト領域64を含む。高濃度ドリフト領域64は、ドリフト領域11よりも高いn型不純物濃度を有している。高濃度ドリフト領域64のn型不純物濃度は、ドレイン領域10のn型不純物濃度未満であってもよい。高濃度ドリフト領域64のn型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1019cm-3以下であってもよい。高濃度ドリフト領域64は、ドリフト領域11の高濃度部とみなされてもよい。
【0075】
高濃度ドリフト領域64は、ドリフト領域11内においてドリフト領域11の底部側から第1主面3側に向けてn型不純物濃度が増加する濃度勾配を形成している。つまり、出力領域6のドリフト領域11は、高濃度ドリフト領域64によって底部側から第1主面3側に向けてn型不純物濃度が増加するように形成された濃度勾配を有している。
【0076】
高濃度ドリフト領域64は、第1トレンチ分離構造60から間隔を空けて出力領域6の内方部に形成されている。したがって、高濃度ドリフト領域64は、出力領域6においてドリフト領域11によって取り囲まれ、第1トレンチ分離構造60に接していない。高濃度ドリフト領域64は、出力領域6におけるドリフト領域11のn型不純物濃度を局所的に高めている。
【0077】
高濃度ドリフト領域64は、ドリフト領域11の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、ドリフト領域11の一部を挟んでドレイン領域10に対向している。高濃度ドリフト領域64は、第1トレンチ分離構造60の底壁よりもドリフト領域11の底部側に位置する底部を有している。高濃度ドリフト領域64の底部は、断面視において厚さ方向の一方側および他方側に蛇行している。
【0078】
具体的には、高濃度ドリフト領域64の底部は、断面視において複数の膨出部65および複数の窪み部66を有している。複数の膨出部65は、ドリフト領域11の底部側に向けて円弧状に膨出した部分である。複数の膨出部65は、平面視において第1方向Xに連続的に形成され、第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。各膨出部65は、第1方向Xに関して第1トレンチ分離構造60よりも幅広に形成されている。
【0079】
複数の窪み部66は、複数の膨出部65の間の領域において第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数の窪み部66は、複数の膨出部65の浅部同士が接続された部分であり、複数の膨出部65の最深部に対して第1主面3側に位置している。むろん、高濃度ドリフト領域64は、厚さ方向に上下する蛇行を有さない平坦な底部を有していてもよい。
【0080】
高濃度ドリフト領域64は、出力領域6内のドリフト領域11の全域を高濃度化していてもよい。このような構成によれば、ドリフト領域11の高濃度化によってドリフト領域11のオン抵抗を低減できる。ただし、この場合、ドリフト領域11中のキャリア密度の増加によって電界集中が生じ易くなる結果、ブレークダウン電圧が低下する可能性に留意すべきである。したがって、ブレークダウン電圧の低下を抑制しながらオン抵抗を削減する上では、出力領域6の一部に高濃度ドリフト領域64を導入することが好ましい。
【0081】
半導体装置1は、出力領域6においてドリフト領域11の表層部に形成されたp型(第2導電型)のボディ領域67を含む。ボディ領域67は、出力領域6の全域において第1主面3に沿って層状に延び、第1トレンチ分離構造60の壁面に接続されている。つまり、ボディ領域67は、この形態では、第1トレンチ分離構造60外の領域に形成されていない。
【0082】
ボディ領域67は、高濃度ドリフト領域64よりも浅く形成されている。具体的には、ボディ領域67は、第1トレンチ分離構造60よりも浅く形成され、第1トレンチ分離構造60の底壁よりも第1主面3側に位置する底部を有している。ボディ領域67の底部は、第1トレンチ分離構造60の深さ範囲の中間部よりも第1主面3側に位置していることが好ましい。
【0083】
半導体装置1は、出力領域6において第1主面3に形成された複数のトレンチゲート構造70を含む。複数のトレンチゲート構造70は、第1トレンチ分離構造60から間隔を空けて出力領域6の内方部に形成されている。複数のトレンチゲート構造70は、第1方向Xに間隔を空けて配列され、第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。つまり、複数のトレンチゲート構造70は、第2方向Yに延びるストライプ状に配列されている。
図6を参照して、複数のトレンチゲート構造70は、長手方向(第2方向Y)に関して、高濃度ドリフト領域64の一端部および他端部を横切っている。
【0084】
図6を参照して、複数のトレンチゲート構造70は、長手方向(第2方向Y)の一方側の第1端部、および、長手方向(第2方向Y)の他方側の第2端部を有している。第1端部は、平面視において第1トレンチ分離構造60および高濃度ドリフト領域64の一端部の間の領域に位置している。第2端部は、平面視において第1トレンチ分離構造60および高濃度ドリフト領域64の他端部の間の領域に位置している。
【0085】
複数のトレンチゲート構造70は、断面視においてボディ領域67を貫通し、高濃度ドリフト領域64内に位置している。複数のトレンチゲート構造70は、高濃度ドリフト領域64の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、高濃度ドリフト領域64の一部を挟んでドリフト領域11に対向している。
【0086】
複数のトレンチゲート構造70は、複数の窪み部66に対して第1方向Xにずれて形成され、厚さ方向に複数の膨出部65にそれぞれ対向している。複数のトレンチゲート構造70は、複数の膨出部65の最深部に対向していることが好ましい。このような構成は、複数のゲートトレンチ71の形成工程後、複数のゲートトレンチ71の壁面からチップ2の内部にn型不純物を導入することによって得られる。
【0087】
第1方向Xの両サイドに位置する2つのトレンチゲート構造70は、高濃度ドリフト領域64外の領域に形成されていることが好ましい。つまり、最外のトレンチゲート構造70は、高濃度ドリフト領域64から第1トレンチ分離構造60側に間隔を空けた位置においてボディ領域67を貫通し、ドリフト領域11内に位置していることが好ましい。最外のトレンチゲート構造70は、ドリフト領域11の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、ドリフト領域11の一部を挟んでドレイン領域10に対向している。
【0088】
複数のトレンチゲート構造70は、第2幅W2を有している。第2幅W2は、トレンチゲート構造70の延在方向に直交する方向(つまり第1方向X)の幅である。第2幅W2は、第1トレンチ分離構造60の第1幅W1とほぼ等しくてもよい。第2幅W2は、第1幅W1以下であることが好ましい。第2幅W2は、第1幅W1未満であることが特に好ましい。
【0089】
第2幅W2は、0.4μm以上2μm以下であってもよい。第2幅W2は、0.4μm以上0.75μm以下、0.75μm以上1μm以下、1μm以上1.25μm以下、1.25μm以上1.5μm以下、1.5μm以上1.75μm以下、および、1.75μm以上2μm以下のいずれか1つの範囲に属する値を有していてもよい。第2幅W2は、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
【0090】
複数のトレンチゲート構造70は、第1方向Xに第1間隔I1を空けて配列されている。第1間隔I1は、互いに隣り合う2つのトレンチゲート構造70の間の領域に区画されたメサ部(第1メサ部)のメサ幅(第1メサ幅)でもある。第1間隔I1は、第1トレンチ分離構造60の第1幅W1以下であることが好ましい。第1間隔I1は、第2幅W2以下であることが好ましい。第1間隔I1は、第2幅W2未満であることが特に好ましい。
【0091】
第1間隔I1は、0.4μm以上0.8μm以下であってもよい。第1間隔I1は、0.4μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.7μm以下、および、0.7μm以上0.8μm以下のいずれか1つの範囲に属する値を有していてもよい。第1間隔I1は、0.5μm以上0.7μm以下であることが好ましい。
【0092】
トレンチゲート構造70は、第2深さD2を有している。第2深さD2は、第1トレンチ分離構造60の第1深さD1とほぼ等しくてもよい。第2深さD2は、第1深さD1以下であることが好ましい。第2深さD2は、第1深さD1未満であることが特に好ましい。
【0093】
第2深さD2は、1μm以上6μm以下であってもよい。第2深さD2は、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、4μm以上5μm以下、および、5μm以上6μm以下のいずれか1つの範囲に属する値を有していてもよい。第2深さD2は、2.5μm以上4.5μm以下であることが好ましい。
【0094】
トレンチゲート構造70のピッチP1は、1.0μm以上2.0μm以下であってもよい。ピッチP1は、1.2μm以上2.0μm以下、1.2μm以上1.8μm以下、1.2μm以上1.8μm以下、1.0μm以上1.8μm以下、および、1.0μm以上1.5μm以下のいずれか1つの範囲に属する値を有していてもよい。ピッチP1は、隣り合うトレンチゲート構造70の中心間の距離であってもよい。
【0095】
以下、1つのトレンチゲート構造70の内部構成が説明される。トレンチゲート構造70は、第1トレンチ分離構造60と同様に、DTI(deep trench isolation)構造と称されてもよい。つまり、トレンチゲート構造70のアスペクト比D2/W2は、1を超えて5以下であってもよい。アスペクト比D2/W2は、第2幅W2に対する第2深さD2の比である。アスペクト比D2/W2は、2以上であることが好ましい。
【0096】
より具体的には、トレンチゲート構造70は、ゲートトレンチ71、絶縁膜72、上電極73、下電極74および中間絶縁膜75を含む。つまり、トレンチゲート構造70は、絶縁体(絶縁膜72および中間絶縁膜75)を挟んでゲートトレンチ71内に上下方向に埋設された複数の電極(上電極73および下電極74)を含むマルチ電極構造を有している。
【0097】
ゲートトレンチ71は、第1主面3に形成され、トレンチゲート構造70の壁面を区画している。絶縁膜72は、ゲートトレンチ71の壁面を被覆している。絶縁膜72は、上絶縁膜76および下絶縁膜77を含む。
【0098】
上絶縁膜76は、ボディ領域67の底部に対してゲートトレンチ71の開口側の壁面を被覆している。
【0099】
上絶縁膜76は、ボディ領域67の底部に対してゲートトレンチ71の底壁側の壁面を部分的に被覆している。上絶縁膜76は、分離絶縁膜62よりも薄い。上絶縁膜76は、ゲート絶縁膜として形成されている。上絶縁膜76は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。上絶縁膜76は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。
【0100】
下絶縁膜77は、ボディ領域67の底部に対してゲートトレンチ71の底壁側の壁面を被覆している。下絶縁膜77は、上絶縁膜76よりも厚い。下絶縁膜77の厚さは、分離絶縁膜62の厚さとほぼ等しくてもよい。下絶縁膜77は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。下絶縁膜77は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含んでいてもよいし、CVD法によって形成された酸化シリコン膜を含んでいてもよい。
【0101】
上電極73は、絶縁膜72を挟んでゲートトレンチ71の開口側に埋設されている。具体的には、上電極73は、上絶縁膜76を挟んでゲートトレンチ71の開口側に埋設され、上絶縁膜76を挟んでボディ領域67および高濃度ドリフト領域64に対向している。上電極73は、導電性ポリシリコンを含んでいてもよい。
【0102】
下電極74は、絶縁膜72を挟んでゲートトレンチ71の底壁側に埋設されている。具体的には、下電極74は、下絶縁膜77を挟んでゲートトレンチ71の底壁側に埋設され、下絶縁膜77を挟んで高濃度ドリフト領域64に対向している。最外のトレンチゲート構造70の下電極74は、下絶縁膜77を挟んでドリフト領域11に対向している。
【0103】
下電極74は、上電極73の底部に係合するように下絶縁膜77から上電極73側に突出した上端部を有している。下電極74の上端部は、第1主面3に沿う横方向に上電極73の下端部を挟んで上絶縁膜76に対向している。下電極74は、導電性ポリシリコンを含んでいてもよい。
【0104】
中間絶縁膜75は、上電極73および下電極74の間に介在され、ゲートトレンチ71内において上電極73および下電極74を電気的に絶縁させている。中間絶縁膜75は、上絶縁膜76および下絶縁膜77に連なっている。中間絶縁膜75は、下絶縁膜77よりも薄い。中間絶縁膜75は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。中間絶縁膜75は、下電極74の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。
【0105】
図6および
図7を参照して、半導体装置1は、各トレンチゲート構造70の制御対象として各トレンチゲート構造70の両サイドに形成された複数のチャネルセル78を含む。この形態では、1つのトレンチゲート構造70の両サイドに配置された2つのチャネルセル78は、当該1つのトレンチゲート構造70によって制御され、他のトレンチゲート構造70の制御対象から外れる。
【0106】
複数のチャネルセル78は、トレンチゲート構造70の長手方向(第2方向Y)の両端部から間隔を空けてトレンチゲート構造70の内方部に沿う領域に形成されている。複数のチャネルセル78は、第1主面3のうち複数のトレンチゲート構造70の両端部に挟まれた領域からボディ領域67を露出させている。
【0107】
複数のチャネルセル78は、厚さ方向にボディ領域67の一部を挟んで高濃度ドリフト領域64に対向している。複数のチャネルセル78は、平面視において高濃度ドリフト領域64の周縁よりも高濃度ドリフト領域64の内方部に形成されていることが好ましい。
【0108】
各チャネルセル78は、n型の複数のソース領域79およびp型の複数のコンタクト領域80を含む。
図6では、明瞭化のため、ソース領域79にハッチングが付されている。コンタクト領域80は、「バックゲート領域」と称されてもよい。各ソース領域79は、ドリフト領域11よりも高いn型不純物濃度を有している。各ソース領域79は、高濃度ドリフト領域64よりも高いn型不純物濃度を有していてもよい。各ソース領域79のn型不純物濃度は、1×10
18cm
-3以上1×10
21cm
-3以下であってもよい。
【0109】
複数のソース領域79は、各トレンチゲート構造70に沿って間隔を空けて配列されている。複数のソース領域79は、ボディ領域67の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、絶縁膜72(上絶縁膜76)を挟んで上電極73に対向している。
【0110】
各コンタクト領域80は、ボディ領域67よりも高いp型不純物濃度を有している。各コンタクト領域80のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。複数のコンタクト領域80は、各トレンチゲート構造70に沿って複数のソース領域79と交互に配列されている。複数のコンタクト領域80は、ボディ領域67の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、絶縁膜72(上絶縁膜76)を挟んで上電極73に対向している。
【0111】
1つのトレンチゲート構造70の両サイドに形成された2つのチャネルセル78に関して、一方のチャネルセル78内の複数のソース領域79は、トレンチゲート構造70を挟んで他方のチャネルセル78内の複数のソース領域79に対向している。また、一方のチャネルセル78内の複数のコンタクト領域80は、トレンチゲート構造70を挟んで他方のチャネルセル78内の複数のコンタクト領域80に対向している。
【0112】
むろん、一方のチャネルセル78内の複数のソース領域79は、トレンチゲート構造70を挟んで他方のチャネルセル78内の複数のコンタクト領域80に対向していてもよい。また、一方のチャネルセル78内の複数のコンタクト領域80は、トレンチゲート構造70を挟んで他方のチャネルセル78内の複数のソース領域79に対向していてもよい。
【0113】
2つのトレンチゲート構造70の間に介在された2つのチャネルセル78に関して、一方のチャネルセル78内の複数のソース領域79は、第1方向Xに他方のチャネルセル78内の複数のコンタクト領域80に接続されている。また、一方のチャネルセル78内の複数のコンタクト領域80は、第1方向Xに他方のチャネルセル78内の複数のソース領域79に接続されている。
【0114】
むろん、一方のチャネルセル78内の複数のソース領域79は、第1方向Xに他方のチャネルセル78内の複数のソース領域79に接続されていてもよい。また、一方のチャネルセル78内の複数のコンタクト領域80は、第1方向Xに他方のチャネルセル78内の複数のコンタクト領域80に接続されていてもよい。
【0115】
最外のトレンチゲート構造70の両サイドに形成された2つのチャネルセル78のうち内方側に位置するチャネルセル78は、厚さ方向にボディ領域67の一部を挟んでドリフト領域11に対向している。一方、外方側に位置するチャネルセル78は、ソース領域79を含まず、コンタクト領域80のみを含む。これにより、第1トレンチ分離構造60および最外のトレンチゲート構造70の間の領域における電流経路の形成が抑制される。
【0116】
図7を参照して、出力トランジスタ20は、複数の単位トランジスタ22を含む。複数の単位トランジスタ22は、1つのトレンチゲート構造70および当該1つのトレンチゲート構造70の両サイドに形成された2つのチャネルセル78をそれぞれ含む。各単位トランジスタ22に関して、1つのトレンチゲート構造70はユニットゲートを構成し、複数のソース領域79(2つのチャネルセル78)はユニットソースを構成し、ドレイン領域10(ドリフト領域11および高濃度ドリフト領域64)はユニットドレインを構成している。
【0117】
出力トランジスタ20は、
図3および
図4に示したように、第1系統トランジスタ21Aおよび第2系統トランジスタ21Bを含む。第1系統トランジスタ21Aは、複数の単位トランジスタ22から個別制御対象として系統化(グループ化)された複数の単位トランジスタ22を含む。第2系統トランジスタ21Bは、第1系統トランジスタ21A以外の複数の単位トランジスタ22から個別制御対象として系統化(グループ化)された複数の単位トランジスタ22を含む。
【0118】
出力トランジスタ20は、この形態では、出力領域6に設けられた複数のブロック領域81を含む。複数のブロック領域81は、複数の第1ブロック領域81Aおよび複数の第2ブロック領域81Bを含む。複数の第1ブロック領域81Aは、第1系統トランジスタ21A用の1つまたは複数(この形態では複数)の単位トランジスタ22がそれぞれ配置される領域である。複数の第2ブロック領域81Bは、第2系統トランジスタ21B用の1つまたは複数(この形態では複数)の単位トランジスタ22が配置される領域である。
【0119】
複数の第1ブロック領域81Aは、第1方向Xに間隔を空けて配列されている。各第1ブロック領域81A内の単位トランジスタ22の個数は任意である。この形態では、各第1ブロック領域81A内に2つの単位トランジスタ22が配置されている。各第1ブロック領域81A内の単位トランジスタ22の個数が多くなると、各第1ブロック領域81A内の発熱量が増加する。したがって、各第1ブロック領域81A内の単位トランジスタ22の個数は、2個以上5個以下であることが好ましい。
【0120】
複数の第2ブロック領域81Bは、1つの第1ブロック領域81Aを挟み込むように第1方向Xに沿って複数の第1ブロック領域81Aと交互に配列されている。これにより、複数の第1ブロック領域81Aに起因する発熱箇所を複数の第2ブロック領域81Bによって間引くことができると同時に、複数の第2ブロック領域81Bに起因する発熱箇所を複数の第1ブロック領域81Aによって間引くことができる。
【0121】
各第2ブロック領域81B内の単位トランジスタ22の個数は任意である。この形態では、各第2ブロック領域81B内に2つの単位トランジスタ22が配置されている。各第2ブロック領域81B内の単位トランジスタ22の個数が多くなると、各第2ブロック領域81B内の発熱量が増加する。
【0122】
したがって、各第2ブロック領域81B内の単位トランジスタ22の個数は、2個以上5個以下であることが好ましい。出力領域6内の温度の面内ばらつきを鑑みると、第2ブロック領域81B内の単位トランジスタ22の個数は、第1ブロック領域81A内の単位トランジスタ22の個数と同じであることが好ましい。
【0123】
半導体装置1は、各ブロック領域81において系統化(グループ化)すべき複数(この形態では2つ)のトレンチゲート構造70の両端部を接続する一対のトレンチ接続構造90を含む。すなわち、一対のトレンチ接続構造90は、系統トランジスタ21として系統化すべき複数のトレンチゲート構造70の両端部をそれぞれ接続している。
【0124】
一方側のトレンチ接続構造90は、平面視において対応する複数(この形態では2つ)のトレンチゲート構造70の第1端部同士をアーチ状に接続している。他方側のトレンチ接続構造90は、平面視において対応する複数(この形態では2つ)のトレンチゲート構造70の第2端部同士をアーチ状に接続している。
【0125】
具体的には、一方側のトレンチ接続構造90は、第1方向Xに延びる第1部分、および、第2方向Yに延びる複数(この形態では2つ)の第2部分を有している。第1部分は、平面視において複数のトレンチゲート構造70の第1端部に対向している。複数の第2部分は、複数の第1端部に接続されるように第1部分から複数の第1端部に向けて延びている。
【0126】
他方側のトレンチ接続構造90は、第1方向Xに延びる第1部分、および、第2方向Yに延びる複数(この形態では2つ)の第2部分を有している。第1部分は、平面視において複数のトレンチゲート構造70の第2端部に対向している。複数の第2部分は、複数の第2端部に接続されるように第1部分から複数の第2端部に向けて延びている。複数のトレンチ接続構造90は、各ブロック領域81内において複数のトレンチゲート構造70と1つの環状または梯子状のトレンチ構造を構成している。
【0127】
複数のトレンチ接続構造90は、第1トレンチ分離構造60および高濃度ドリフト領域64から間隔を空けて第1トレンチ分離構造60および高濃度ドリフト領域64の間の領域に形成されている。複数のトレンチ接続構造90は、ドリフト領域11の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、ドリフト領域11の一部を挟んでドレイン領域10に対向している。
【0128】
複数のトレンチ接続構造90は、トレンチゲート構造70とほぼ等しい幅およびほぼ等しい深さで形成されていてもよい。むろん、トレンチ接続構造90の第1部分および第2部分は、互いに異なる幅を有していてもよい。たとえば、トレンチ接続構造90の第2部分は、トレンチ接続構造90の第1部分よりも幅狭に形成されていてもよい。
【0129】
この場合、第1部分は第1トレンチ分離構造60の幅とほぼ等しい幅を有し、第2部分はトレンチゲート構造70の幅とほぼ等しい幅を有していてもよい。さらにこの場合、第1部分は第1トレンチ分離構造60の深さとほぼ等しい深さを有し、第2部分はトレンチゲート構造70の深さとほぼ等しい深さを有していてもよい。
【0130】
他方側のトレンチ接続構造90は、トレンチゲート構造70の第2端部に接続されている点を除き、一方側のトレンチ接続構造90と同様の構造を有している。以下、一方側のトレンチ接続構造90の構成が説明され、他方側のトレンチ接続構造90の構成についての説明は省略される。
【0131】
トレンチ接続構造90は、接続トレンチ91、接続絶縁膜92および接続電極93を含む。接続トレンチ91は、第1主面3に形成され、トレンチ接続構造90の壁面を区画している。接続トレンチ91は、複数のゲートトレンチ71に接続されている。
【0132】
接続絶縁膜92は、接続トレンチ91の壁面を被覆している。接続絶縁膜92は、接続トレンチ91およびゲートトレンチ71の連通部において上絶縁膜76、下絶縁膜77および中間絶縁膜75に接続されている。接続絶縁膜92は、上絶縁膜76よりも厚い。接続絶縁膜92の厚さは、下絶縁膜77の厚さとほぼ等しくてもよい。接続絶縁膜92は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。接続絶縁膜92は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含んでいてもよいし、CVD法によって形成された酸化シリコン膜を含んでいてもよい。
【0133】
接続電極93は、接続絶縁膜92を挟んで接続トレンチ91に埋設され、接続絶縁膜92を挟んでドリフト領域11およびボディ領域67に対向している。接続電極93は、接続トレンチ91およびゲートトレンチ71の連通部において下電極74に接続され、中間絶縁膜75によって上電極73から電気的に絶縁されている。接続電極93は、下電極74がゲートトレンチ71内から接続トレンチ91内に引き出された引き出し部からなる。接続電極93は、導電性ポリシリコンを含んでいてもよい。
【0134】
半導体装置1は、出力領域6において第1主面3を選択的に被覆する主面絶縁膜94を含む。主面絶縁膜94は、絶縁膜72(上絶縁膜76)および接続絶縁膜92に接続され、分離電極63、上電極73および接続電極93を露出させている。
【0135】
主面絶縁膜94は、分離絶縁膜62よりも薄い。主面絶縁膜94は、下絶縁膜77よりも薄い。主面絶縁膜94は、接続絶縁膜92よりも薄い。主面絶縁膜94は、上絶縁膜76とほぼ等しい厚さを有していてもよい。主面絶縁膜94は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。主面絶縁膜94は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。
【0136】
半導体装置1は、出力領域6の内外において第1主面3を選択的に被覆するフィールド絶縁膜95を含む。フィールド絶縁膜95は、主面絶縁膜94よりも厚い。フィールド絶縁膜95は、上絶縁膜76よりも厚い。フィールド絶縁膜95は、分離絶縁膜62とほぼ等しい厚さを有していてもよい。フィールド絶縁膜95は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。フィールド絶縁膜95は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含んでいてもよいし、CVD法によって形成された酸化シリコン膜を含んでいてもよい。
【0137】
フィールド絶縁膜95は、出力領域6内において第1トレンチ分離構造60の内壁に沿って第1主面3を被覆し、分離絶縁膜62、接続絶縁膜92および主面絶縁膜94に接続されている。フィールド絶縁膜95は、出力領域6外において第1トレンチ分離構造60の外壁に沿って第1主面3を被覆し、分離絶縁膜62に接続されている。
【0138】
前述の層間絶縁層12は、出力領域6において、第1トレンチ分離構造60、トレンチゲート構造70、トレンチ接続構造90、主面絶縁膜94およびフィールド絶縁膜95を被覆している。
【0139】
半導体装置1は、層間絶縁層12内に配置された複数のゲート配線96を含む。複数のゲート配線96は、出力領域6および制御領域7に引き回され、出力領域6において出力トランジスタ20に電気的に接続され、制御領域7において制御回路23(ゲート制御回路24)に電気的に接続されている。複数のゲート配線96は、制御回路23(ゲート制御回路24)で生成された複数のゲート信号を出力トランジスタ20に個別的に伝達する。
【0140】
複数のゲート配線96は、第1系統ゲート配線96Aおよび第2系統ゲート配線96Bを含む。第1系統ゲート配線96Aは、第1系統トランジスタ21Aにゲート信号を個別的に伝達する。第1系統ゲート配線96Aは、層間絶縁層12内に配置された複数のビア電極97を介して第1系統トランジスタ21A用の複数のトレンチゲート構造70に電気的に接続されている。具体的には、第1系統ゲート配線96Aは、複数のビア電極97を介して対応する複数の上電極73および複数の接続電極93に電気的に接続されている。
【0141】
つまり、第1系統トランジスタ21A用の上電極73および下電極74は、同一のゲート信号によって同時にオンオフ制御される。これにより、上電極73および下電極74の間の電圧降下が抑制され、不所望な電界集中が抑制される。その結果、当該電界集中に起因する耐圧(ブレークダウン電圧)の低下が抑制される。
【0142】
第2系統ゲート配線96Bは、第1系統ゲート配線96Aから電気的に独立して第2系統トランジスタ21Bにゲート信号を個別的に伝達する。第2系統ゲート配線96Bは、層間絶縁層12内に配置された複数のビア電極97を介して第2系統トランジスタ21B用の複数のトレンチゲート構造70に電気的に接続されている。具体的には、第2系統ゲート配線96Bは、複数のビア電極97を介して対応する複数の上電極73および複数の接続電極93に電気的に接続されている。
【0143】
つまり、第2系統トランジスタ21B用の上電極73および下電極74は、同一のゲート信号によって同時にオンオフ制御される。これにより、上電極73および下電極74の間の電圧降下が抑制され、不所望な電界集中が抑制される。その結果、当該電界集中に起因する耐圧(ブレークダウン電圧)の低下が抑制される。
【0144】
半導体装置1は、層間絶縁層12内に配置されたソース配線98を含む。ソース配線98は、ソース端子13、第1トレンチ分離構造60および複数のチャネルセル78に電気的に接続されている。具体的には、ソース配線98は、層間絶縁層12内に配置された複数のビア電極97を介して第1トレンチ分離構造60および複数のチャネルセル78に電気的に接続されている。
【0145】
各チャネルセル78用のビア電極97は、隣接した2つのチャネルセル78に跨るように配置され、平面視において各チャネルセル78に沿って延びる帯状に形成されている。これにより、ソース端子13は、全ての系統トランジスタ21のシステムソース(単位トランジスタ22のユニットソース)に電気的に接続されている。
【0146】
[STI構造を有する素子]
以下、
図13~
図15を参照して、制御領域7側のロジック回路32が形成された第1回路領域101の構成が説明される。
図13は、
図1に示すロジック回路32が形成された第1回路領域101を示す平面図である。
図14は、
図13の第1回路領域101の模式的な断面図である。
図14は、
図13の平面図の特定の切断線における断面を示しているものではなく、第1回路領域101における各構成の断面構造を模式的に示す図である。
図15は、
図14の領域XVの拡大図である。第1回路領域101は、ロジック回路領域と称されてもよい。
【0147】
図13~
図15を参照して、半導体装置1は、制御領域7において第1主面3に区画された第1回路領域101を含む。第1回路領域101は、出力領域6とは異なる電圧(電位)が印加される領域であり、複数種の電子回路(回路デバイス)のうちの一つの回路を構成する第1CMISトランジスタの一例としてのCMIS101aが形成された領域である。
【0148】
CMIS101aは、具体的には、相補的に接続されたn型の第1MISFET102(第1n型チャネルMISトランジスタ)およびp型の第2MISFET103(第1p型チャネルMISトランジスタ)を含む。第1MISFET102は、出力トランジスタ20とは異なる電圧印加条件で駆動制御される。第2MISFET103は、出力トランジスタ20および第1MISFET102とは異なる電圧印加条件で駆動制御される。なお、n型の第1MISFET102およびp型の第2MISFET103は、この実施形態のように相補的に組み合わせられていてもよいし、互いに独立した素子として形成されていてもよい。
【0149】
第1MISFET102および第2MISFET103の定格電圧(第1定格電圧)は、たとえば、1.0V以上8.0V以下であってもよい。
【0150】
第1MISFET102および第2MISFET103の定格電圧は、第1MISFET102および第2MISFET103のソース-ドレイン間に印加される電圧の最大許容値の範囲で定義してもよい。第1MISFET102および第2MISFET103の定格電圧は、第1MISFET102および第2MISFET103のの耐圧と称されてもよい。
【0151】
以下、第1回路領域101内の具体的な構造について説明する。
【0152】
半導体装置1は、第1主面3において第1回路領域101を区画する第2トレンチ分離構造104(second trench separation structure)を含む。第1回路領域101は、出力領域6とは異なる電圧印加条件で制御されるデバイス領域である。第2トレンチ分離構造104は、DTI(deep trench isolation)構造と称されてもよい。
【0153】
第2トレンチ分離構造104は、平面視において第1主面3の一部の領域を取り囲む環状に形成され、所定形状の第1回路領域101を区画している。第2トレンチ分離構造104は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に平行な4辺を有する四角環状に形成され、四角形状の第1回路領域101を区画している。第2トレンチ分離構造104の平面形状は任意であり、多角環状に形成されていてもよい。第1回路領域101は、第2トレンチ分離構造104の平面形状に応じて多角形状に区画されていてもよい。
【0154】
第2トレンチ分離構造104は、第1トレンチ分離構造60と同様に、分離幅W1および分離深さD1(つまりアスペクト比D1/W1)を有している。第2トレンチ分離構造104の底壁は、基板領域158の底部に対して1μm以上5μm以下の間隔を空けて形成されていることが特に好ましい。基板領域158は、前述のドリフト領域11に一体的につながっており、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)によって形成されている。
【0155】
第2トレンチ分離構造104は、第1方向Xに延びる部分および第2方向Yに延びる部分を円弧状に接続する角部を有している。この形態では、第2トレンチ分離構造104の四隅が、円弧状に形成されている。つまり、第1回路領域101は、円弧状にそれぞれ延びる四隅を有する四角形状に区画されている。第2トレンチ分離構造104の角部は、円弧方向に沿って一定の分離幅W1を有していることが好ましい。
【0156】
第2トレンチ分離構造104は、第1トレンチ分離構造60と同様に、分離トレンチ61、分離絶縁膜62および分離電極63を含むシングル電極構造を有している。第2トレンチ分離構造104の「分離トレンチ61」、「分離絶縁膜62」および「分離電極63」は、それぞれ「第2分離トレンチ」、「第2分離絶縁膜」および「第2分離電極」と称されてもよい。第2トレンチ分離構造104の分離トレンチ61、分離絶縁膜62および分離電極63についての説明は、第1トレンチ分離構造60の分離トレンチ61、分離絶縁膜62および分離電極63についての説明が適用されるため、省略する。
【0157】
第1回路領域101において第1主面3の表層部には、第1ウェル領域114が形成されている。第1ウェル領域114は、第1回路領域101において第1主面3の表層部の全域に形成され、第2トレンチ分離構造104に接している。
【0158】
第1ウェル領域114の表層部には、第1コンタクト領域122が形成されている。第1コンタクト領域122は、「第1バックゲート領域」、「ガードリング領域」と称されてもよい。第1コンタクト領域122は、第1ウェル領域114のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。第1コンタクト領域122は、第2トレンチ分離構造104から間隔を空けて形成されている。
【0159】
図13を参照して、第1コンタクト領域122は、平面視環状に形成されていることが好ましい。なお、第1コンタクト領域122は、環状に形成されていなくてもよい。
【0160】
図14を参照して、第1回路領域101において第1主面3の表層部には、第2ウェル領域115が形成されている。第2ウェル領域115は、第1ウェル領域114の底部から第2主面4へ向かって選択的に突出した不純物領域である。第2ウェル領域115は、第1MISFET102および第2MISFET103に跨って形成されている。第2ウェル領域115の端部116は、第2トレンチ分離構造104から内側に離れている。第2ウェル領域115の端部116と第2トレンチ分離構造104との間には、基板領域158の一部が介在されていてもよい。
【0161】
半導体装置1は、さらに、第1回路領域101の第1主面3に、第1MIS領域105を区画する第1素子分離構造106を含む。第1素子分離構造106は、STI(shallow trench isolation)構造と称されてもよい。第1MIS領域105は、「第1アクティブ領域」、「n側アクティブ領域」と称されてもよい。
【0162】
第1素子分離構造106は、平面視において第1主面3の一部の領域を取り囲む環状に形成され、所定形状の第1MIS領域105を区画している。第1素子分離構造106は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に平行な4辺を有する四角環状に形成され、四角形状の第1MIS領域105を区画している。第1素子分離構造106の平面形状は任意であり、多角環状に形成されていてもよい。第1MIS領域105は、第1素子分離構造106の平面形状に応じて多角形状に区画されていてもよい。
【0163】
第1素子分離構造106は、分離トレンチ107および埋設絶縁体108を含む。分離トレンチ107は、第1主面3に形成され、第1素子分離構造106の壁面を区画している。埋設絶縁体108は、分離トレンチ107の底部から開口端に至るまで幅方向全体にわたって埋設されている。分離トレンチ107は、埋設絶縁体108に埋め戻されている。埋設絶縁体108は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含んでいてもよいし、CVD法によって形成された酸化シリコン膜を含んでいてもよい。
【0164】
図15を参照して、第1MIS領域105の幅W1および第1素子分離構造106の幅W2を含む第1MISFET102の素子構造の幅WE1は、1μm未満であってもよい。幅WEは、
図15に示す断面視において、一対の第1素子分離構造106の分離トレンチ107の開口端の幅W2と、一対の第1素子分離構造106に挟まれた第1MIS領域105の幅W1とを足した幅であってもよい。たとえば、第1MIS領域105の幅W1が0.15μm以上0.3μm以下であり、各分離トレンチ107の幅W2が0.2μm以上0.4μmであってもよい。
【0165】
第1素子分離構造106の外側には、第1外側領域109が形成されている。第1外側領域109は、第1素子分離構造106と、第1素子分離構造106を取り囲む第1外側分離構造110との間に挟まれた領域である。第1外側分離構造110は、
図14では、第1MISFET102と第2MISFET103との境界部を形成する部分のみが示されている。第1外側分離構造110は、素子分離構造106と同様に、分離トレンチ107および埋設絶縁体108を含む。
【0166】
第1MIS領域105において、第1主面3には、第1ゲート電極111が形成されている。第1ゲート電極111は、導電性ポリシリコンを含んでいてもよい。
【0167】
第1ゲート電極111とチップ2との間には、第1ゲート絶縁膜112が形成されている。第1ゲート絶縁膜112は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。第1ゲート絶縁膜112は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。
【0168】
第1ゲート電極111の周囲には、第1サイドウォール構造113が形成されている。第1サイドウォール構造113は、第1ゲート電極111の側面を覆うように、第1ゲート電極111の周囲全体にわたって連続的に形成されている。第1サイドウォール構造113は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含む。第1サイドウォール構造113は、この形態では、酸化シリコンを含む。第1サイドウォール構造113は、窒化シリコンを含んでいてもよい。つまり、第1サイドウォール構造113は、第1ゲート絶縁膜112とは異なる絶縁体を含んでいてもよい。
【0169】
第1ウェル領域114の表層部には、間隔を開けて一対のn型の第1ソース領域117およびn型の第1ドレイン領域118が形成されている。第1ソース領域117および第1ドレイン領域118は、第1ウェル領域114のp型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。
図13を参照して、第1ソース領域117および第1ドレイン領域118は、第2方向Yに沿って互いに平行に延びている。第1ソース領域117および第1ドレイン領域118は、平面視において、第2方向Yに沿って長い同じ大きさの長方形状に形成されていてもよい。
図14を参照して、第1ソース領域117および第1ドレイン領域118は、第1ゲート電極111に対して自己整合的に形成されている。
【0170】
第1MIS領域105において、一対の第1ソース領域117と第1ドレイン領域118との間のp型領域は、第1チャネル領域121である。この第1チャネル領域121には、第1ゲート絶縁膜112を挟んで第1ゲート電極111が対向している。第1チャネル領域121は、第1ウェル領域114の一部で形成されている。
【0171】
半導体装置1は、第1MIS領域105および第1外側領域109において第1主面3を被覆する前述の層間絶縁層12を含む。半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第1ドレイン配線123を含む。1つまたは複数の第1ドレイン配線123は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第1ドレイン配線123は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第1ビア電極126を介して第1ドレイン領域118に電気的に接続されている。
【0172】
半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第1ソース配線124を含む。1つまたは複数の第1ソース配線124は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第1ソース配線124は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第1ビア電極126を介して、分離電極63、第1ソース領域117および第1コンタクト領域122に電気的に接続されている。
【0173】
半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第1ゲート配線125を含む。1つまたは複数の第1ゲート配線125は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第1ゲート配線125は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第1ビア電極126を介して、第1ゲート電極111に電気的に接続されている。
【0174】
図14を参照して、第1回路領域101において第1ウェル領域114の一部には、第1ウェル領域114が存在しない空白領域157が形成されている。この空白領域157には、第2ウェル領域115が入り込み、第1主面3から露出している。
【0175】
空白領域157において第2ウェル領域115の表層部には、第3ウェル領域144が形成されている。第3ウェル領域144は、第1ウェル領域114から内側に離れて形成されている。第3ウェル領域144の底部は、第2トレンチ分離構造104の中間部に対して第1主面3側の領域に形成されている。
【0176】
空白領域157において第2ウェル領域115の表層部には、さらに、第4ウェル領域145が形成されている。第4ウェル領域145は、第3ウェル領域144の底部から第2主面4へ向かって選択的に突出した不純物領域である。第4ウェル領域145は、第1ウェル領域114から内側に離れて形成されている。第4ウェル領域145は、第3ウェル領域144の側部を被覆する端部146を有している。第4ウェル領域145の端部146と第1ウェル領域114との間には、第2ウェル領域115の一部が介在されていてもよい。第4ウェル領域145は、第2トレンチ分離構造104の底壁に対して第1主面3側の領域に形成されている。
【0177】
半導体装置1は、さらに、第1回路領域101の第1主面3に、第1アクティブ領域の一例としての第2MIS領域135を区画する第2素子分離構造136を含む。第2素子分離構造136は、STI(shallow trench isolation)構造と称されてもよい。第2MIS領域135は、「第2アクティブ領域」、「p側アクティブ領域」と称されてもよい。
【0178】
第2素子分離構造136は、平面視において第1主面3の一部の領域を取り囲む環状に形成され、所定形状の第2MIS領域135を区画している。第2素子分離構造136は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に平行な4辺を有する四角環状に形成され、四角形状の第2MIS領域135を区画している。第2素子分離構造136の平面形状は任意であり、多角環状に形成されていてもよい。第2MIS領域135は、第2素子分離構造136の平面形状に応じて多角形状に区画されていてもよい。
【0179】
第2素子分離構造136は、分離トレンチ137および埋設絶縁体138を含む。分離トレンチ137は、第1主面3に形成され、第2素子分離構造136の壁面を区画している。埋設絶縁体138は、分離トレンチ137の底部から開口端に至るまで幅方向全体にわたって埋設されている。分離トレンチ137は、埋設絶縁体138に埋め戻されている。埋設絶縁体138は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含んでいてもよいし、CVD法によって形成された酸化シリコン膜を含んでいてもよい。
【0180】
図示は省略するが、第2MIS領域135の幅および第2素子分離構造136の幅は、それぞれ、
図15の幅W1および幅W2に相当していてもよい。したがって、第2MISFET103の素子構造の幅は、
図15に示す第1MISFET102の素子構造の幅WE1と同じ(たとえば、1μm未満)であってもよい。
【0181】
第2素子分離構造136の外側には、第2外側領域139が形成されている。第2外側領域139は、第2素子分離構造136と、第2素子分離構造136を取り囲む第2外側分離構造140との間に挟まれた領域である。第2外側分離構造140は、
図14では、第1MISFET102と第2MISFET103との境界部を形成する部分のみが示されている。第2外側分離構造140は、第1外側領域109と第2外側領域139との間において、第1外側分離構造110と一体的に形成されている。
【0182】
第2MIS領域135において、第1主面3には、第2ゲート電極141が形成されている。第2ゲート電極141は、導電性ポリシリコンを含んでいてもよい。
【0183】
第2ゲート電極141とチップ2との間には、第2ゲート絶縁膜142が形成されている。第2ゲート絶縁膜142は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。第2ゲート絶縁膜142は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。
【0184】
第2ゲート電極141の周囲には、第2サイドウォール構造143が形成されている。第2サイドウォール構造143は、第2ゲート電極141の側面を覆うように、第2ゲート電極141の周囲全体にわたって連続的に形成されている。第2サイドウォール構造143は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含む。第2サイドウォール構造143は、この形態では、酸化シリコンを含む。第2サイドウォール構造143は、窒化シリコンを含んでいてもよい。つまり、第2サイドウォール構造143は、第2ゲート絶縁膜142とは異なる絶縁体を含んでいてもよい。
【0185】
第3ウェル領域144の表層部には、間隔を開けて一対のn型の第2ソース領域147およびn型の第2ドレイン領域148が形成されている。第2ソース領域147および第2ドレイン領域148は、第3ウェル領域144のn型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。
図13を参照して、第2ソース領域147および第2ドレイン領域148は、第2方向Yに沿って互いに平行に延びている。第2ソース領域147および第2ドレイン領域148は、平面視において、第2方向Yに沿って長い同じ大きさの長方形状に形成されていてもよい。
図14を参照して、第2ソース領域147および第2ドレイン領域148は、第2ゲート電極141に対して自己整合的に形成されている。
【0186】
第2MIS領域135において、一対の第2ソース領域147と第2ドレイン領域148との間のn型領域は、第2チャネル領域151である。この第2チャネル領域151には、第2ゲート絶縁膜142を挟んで第2ゲート電極141が対向している。第2チャネル領域151は、第3ウェル領域144の一部で形成されている。
【0187】
第2外側領域139において第3ウェル領域144の表層部には、第2コンタクト領域152が形成されている。第2コンタクト領域152は、「第2バックゲート領域」と称されてもよい。第2コンタクト領域152は、第3ウェル領域144のn型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。第2コンタクト領域152は、第2トレンチ分離構造104から間隔を空けて形成されている。第2コンタクト領域152は、第2トレンチ分離構造104に接していてもよい。
【0188】
半導体装置1は、第2MIS領域135および第2外側領域139において第1主面3を被覆する前述の層間絶縁層12を含む。半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第2ドレイン配線153を含む。1つまたは複数の第2ドレイン配線153は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第2ドレイン配線153は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第2ビア電極156を介して第2ドレイン領域148に電気的に接続されている。
図13を参照して、第2ドレイン配線153および第1ドレイン配線123は共通配線であり、これにより、第1ドレイン領域118と第2ドレイン領域148とが互いに電気的に接続されている。
【0189】
半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第2ソース配線154を含む。1つまたは複数の第2ソース配線154は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第2ソース配線154は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第2ビア電極156を介して、第2ソース領域147および第2コンタクト領域152に電気的に接続されている。
【0190】
半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第2ゲート配線155を含む。1つまたは複数の第2ゲート配線155は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第2ゲート配線155は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第2ビア電極156を介して、第2ゲート電極141に電気的に接続されている。
図13を参照して、第2ゲート配線155および第1ゲート配線125は共通配線であり、これにより、第1ゲート電極111と第2ゲート電極141とが互いに電気的に接続されている。
【0191】
[LOCOS構造を有する素子]
以下、
図16~
図19を参照して、制御領域7側の増幅回路34が形成された第2回路領域201の構成が説明される。
図16は、
図1に示す増幅回路34が形成された第2回路領域201を示す平面図である。
図17は、
図16に示すXVII-XVII線に沿う断面図である。
図18は、
図16に示すXVIII-XVIII線に沿う断面図である。
図19は、
図17の領域XIXの拡大図である。第2回路領域201は、増幅回路領域と称されてもよい。
【0192】
図16~
図19を参照して、半導体装置1は、制御領域7において第1主面3に区画された第2回路領域201を含む。第2回路領域201は、出力領域6とは異なる電圧(電位)が印加される領域であり、複数種の電子回路(回路デバイス)のうちの一つの回路を構成する第2CMISトランジスタの一例としてのCMIS201aが形成された領域である。
【0193】
CMIS201aは、具体的には、相補的に接続されたn型の第1MISFET202(第2n型チャネルMISトランジスタ)およびp型の第2MISFET203(第2p型チャネルMISトランジスタ)を含む。第1MISFET202は、出力トランジスタ20とは異なる電圧印加条件で駆動制御される。第2MISFET203は、出力トランジスタ20および第1MISFET202とは異なる電圧印加条件で駆動制御される。なお、n型の第1MISFET202およびp型の第2MISFET203は、この実施形態のように相補的に組み合わせられていてもよいし、互いに独立した素子として形成されていてもよい。
【0194】
第1MISFET202および第2MISFET203の定格電圧(第2定格電圧)は、たとえば、前述の第1MISFET102および第2MISFET103の定格電圧よりも高くてもよい。第1MISFET202および第2MISFET203の定格電圧は、たとえば、30V以上50V以下であってもよい。
【0195】
第1MISFET202および第2MISFET203の定格電圧は、第1MISFET202および第2MISFET203のソース-ドレイン間に印加される電圧の最大許容値の範囲で定義してもよい。第1MISFET202および第2MISFET203の定格電圧は、第1MISFET202および第2MISFET203の耐圧と称されてもよい。
【0196】
以下、第2回路領域201内の具体的な構造について説明する。
【0197】
図16および
図17を参照して、半導体装置1は、第2回路領域201の第1主面3において第1MIS領域204を区画する第3トレンチ分離構造205(third trench separation structure)を含む。第1MIS領域204は、出力領域6とは異なる電圧印加条件で制御されるデバイス領域である。第3トレンチ分離構造205は、DTI(deep trench isolation)構造と称されてもよい。
【0198】
第3トレンチ分離構造205は、平面視において第1主面3の一部の領域を取り囲む環状に形成され、所定形状の第1MIS領域204を区画している。第3トレンチ分離構造205は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に平行な4辺を有する四角環状に形成され、四角形状の第1MIS領域204を区画している。第3トレンチ分離構造205の平面形状は任意であり、多角環状に形成されていてもよい。第1MIS領域204は、第3トレンチ分離構造205の平面形状に応じて多角形状に区画されていてもよい。
【0199】
第3トレンチ分離構造205は、第1トレンチ分離構造60と同様に、分離幅W1および分離深さD1(つまりアスペクト比D1/W1)を有している。第3トレンチ分離構造205の底壁は、基板領域226の底部に対して1μm以上5μm以下の間隔を空けて形成されていることが特に好ましい。基板領域226は、前述のドリフト領域11に一体的につながっており、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)によって形成されている。
【0200】
第3トレンチ分離構造205は、第1方向Xに延びる部分および第2方向Yに延びる部分を円弧状に接続する角部を有している。この形態では、第3トレンチ分離構造205の四隅が、円弧状に形成されている。つまり、第1MIS領域204は、円弧状にそれぞれ延びる四隅を有する四角形状に区画されている。第3トレンチ分離構造205の角部は、円弧方向に沿って一定の分離幅W1を有していることが好ましい。
【0201】
第3トレンチ分離構造205は、第1トレンチ分離構造60と同様に、分離トレンチ61、分離絶縁膜62および分離電極63を含むシングル電極構造を有している。第3トレンチ分離構造205の「分離トレンチ61」、「分離絶縁膜62」および「分離電極63」は、それぞれ「第3分離トレンチ」、「第3分離絶縁膜」および「第3分離電極」と称されてもよい。第3トレンチ分離構造205の分離トレンチ61、分離絶縁膜62および分離電極63についての説明は、第1トレンチ分離構造60の分離トレンチ61、分離絶縁膜62および分離電極63についての説明が適用されるため、省略する。
【0202】
半導体装置1は、第1MIS領域204において第1主面3の表層部に形成されたp型の第1ウェル領域206を含む。第1ウェル領域206は、第1MIS領域204において第1主面3の表層部に形成され、第3トレンチ分離構造205に接している。第1ウェル領域206は、第3トレンチ分離構造205の底壁に対して第1主面3側の領域に形成されている。第1ウェル領域206の底部は、第3トレンチ分離構造205の中間部に対して第3トレンチ分離構造205の底壁側の領域に形成されている。つまり、第1ウェル領域206の底部は、ボディ領域67の底部の深さ位置に対して第3トレンチ分離構造205の底壁側の領域に形成されている。
【0203】
第1MIS領域204において第1主面3の表層部には、第2ウェル領域225が形成されている。第2ウェル領域225は、第1ウェル領域206の底部から第2主面4へ向かって選択的に突出した不純物領域である。
【0204】
半導体装置1は、第2ウェル領域225の表層部に形成されたn型の第3ウェル領域207を含む。第3ウェル領域207は、第3トレンチ分離構造205から間隔を空けて第2ウェル領域225の表層部に形成されている。第3ウェル領域207は、平面視において一方方向(第2方向Y)に延びる帯状に形成されていてもよい。第3ウェル領域207は、第2ウェル領域225の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。第3ウェル領域207は、第1ウェル領域206の一部を挟んで基板領域226に対向している。
【0205】
半導体装置1は、第3ウェル領域207の表層部に形成されたn型の第1ドレイン領域208を含む。第1ドレイン領域208は、第3ウェル領域207のn型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。第1ドレイン領域208は、第3ウェル領域207の周縁から間隔を空けて第3ウェル領域207の表層部に形成されている。第1ドレイン領域208は、平面視において一方方向(第2方向Y)に延びる帯状に形成されていてもよい。第1ドレイン領域208は、第3ウェル領域207の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。第1ドレイン領域208は、第3ウェル領域207の一部を挟んで第2ウェル領域225に対向している。
【0206】
半導体装置1は、第3ウェル領域207から間隔を空けて第1ウェル領域206の表層部に形成されたn型の第1ソース領域209を含む。第1ソース領域209は、第1ドレイン領域208のn型不純物濃度とほぼ等しいn型不純物濃度を有している。第1ソース領域209は、第3トレンチ分離構造205から間隔を空けて形成されている。第1ソース領域209は、平面視において一方方向(第2方向Y)に延びる帯状に形成されていてもよい。第1ソース領域209は、第1ウェル領域206の底部の深さ位置から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。
【0207】
半導体装置1は、第1ウェル領域206および第2ウェル領域225の表層部において第3ウェル領域207および第1ソース領域209の間の領域に形成された第1チャネル領域210を含む。第1チャネル領域210は、第1MISFET202のチャネルを形成している。
【0208】
半導体装置1は、第1ウェル領域206の表層部に形成されたp型の第1コンタクト領域211を含む。第1コンタクト領域211は、第1ウェル領域206のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。第1コンタクト領域211は、第3トレンチ分離構造205から間隔を空けて形成されている。第1コンタクト領域211は、平面視において第3トレンチ分離構造205に沿って延びる帯状に形成されている。第1コンタクト領域211は、第3ウェル領域207、第1ソース領域209を取り囲む環状に形成されていることが好ましい。第1コンタクト領域211は、第3トレンチ分離構造205に接していてもよい。
【0209】
半導体装置1は、第1MIS領域204において第1主面3を部分的に被覆する第1フィールド絶縁膜212を含む。第1フィールド絶縁膜212は、この形態では、酸化シリコン膜を含む。第1フィールド絶縁膜212は、具体的には、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法により形成され、半導体チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含む。
【0210】
第1フィールド絶縁膜212は、第3ウェル領域207を被覆している。第1フィールド絶縁膜212は、第1ドレイン領域208および第1コンタクト領域211の間の領域を被覆している。第1フィールド絶縁膜212は、第1ソース領域209および第1コンタクト領域211の間の領域を被覆している。第1フィールド絶縁膜212は、第3トレンチ分離構造205および第1コンタクト領域211の間の領域を被覆している。第1フィールド絶縁膜212は、第1MIS領域204の周縁部において第3トレンチ分離構造205の内周壁から露出した分離絶縁膜62に連なっている。
【0211】
第1フィールド絶縁膜212は、第1主面3をそれぞれ露出させる複数の第1開口213を含む。複数の第1開口213は、少なくとも1つの第1ドレイン開口213A、少なくとも1つの第1チャネル開口213B、および、少なくとも1つの第1コンタクト開口213Cを含む。
【0212】
第1ドレイン開口213Aは、第1ドレイン領域208を露出させている。第1ドレイン開口213Aの個数は任意である。1つの第1ドレイン開口213Aが形成されていてもよいし、複数の第1ドレイン開口213Aが形成されていてもよい。第1チャネル開口213Bは、第1ソース領域209および第1チャネル領域210を露出させている。第1チャネル開口213Bは、第3ウェル領域207を露出させていてもよい。第1チャネル開口213Bの個数は任意である。1つの第1チャネル開口213Bが形成されていてもよいし、複数の第1チャネル開口213Bが形成されていてもよい。
【0213】
第1コンタクト開口213Cは、第1コンタクト領域211を露出させている。第1コンタクト開口213Cの個数は任意である。1つの第1コンタクト開口213Cが形成されていてもよいし、複数の第1コンタクト開口213Cが形成されていてもよい。この場合、複数の第1コンタクト開口213Cが第1コンタクト領域211に沿って間隔を空けて形成されていることが好ましい。
【0214】
複数の第1開口213は、平面視において四角形状にそれぞれ形成されていてもよい。つまり、複数の第1開口213は、平面視において一方方向(第1方向X)に延びる辺、および、一方方向に交差する交差方向(第2方向Y)に延びる辺をそれぞれ有していてもよい。
【0215】
半導体装置1は、第1MIS領域204において第1主面3に形成された第1隠蔽面214(hidden surface)および第1露出面215(exposed surface)を含む。第1隠蔽面214は、第1主面3において第1フィールド絶縁膜212によって被覆された部分に形成されている。第1露出面215は、第1主面3において第1フィールド絶縁膜212から露出した部分に形成されている。換言すると、第1主面3は、第1MIS領域204において第1フィールド絶縁膜212によって区画された第1隠蔽面214および第1露出面215を含む。第1露出面215は、第1MIS領域204におけるアクティブ領域250であってもよい。
【0216】
第1隠蔽面214は、この形態では、第1露出面215に対して半導体チップ2の厚さ方向(第2主面4側)に窪んでいる。第1隠蔽面214は、具体的には、第1フィールド絶縁膜212の各第1開口213の周縁を起点に第1露出面215に対して半導体チップ2の厚さ方向に一段窪んでいる。
【0217】
図19を参照して、第1露出面215(アクティブ領域250)の幅W3および第1隠蔽面214(第1フィールド絶縁膜212)の幅W4を含む第1MISFET202の素子構造の幅WE2は、2μm未満であってもよい。たとえば、第1露出面215の幅W3が3μm以上7μm以下であり、第1隠蔽面214の幅W4が2μm以上6μmであってもよい。
【0218】
図19を参照して、第1フィールド絶縁膜212は、第1主面3に対してチップ2に埋設された埋設部245と、第1主面3に対して埋設部245の反対側に突出した突出部246とを一体的に含む。埋設部245および突出部246は、各第1開口213の周縁近傍において、それぞれ上り傾斜および下り傾斜する傾斜面247,248を有している。傾斜面247および傾斜面248が第1主面3で交わることにより、各第1開口213の周縁には、バーズビーク部249が形成されている。
【0219】
第1フィールド絶縁膜212の厚さT1は、たとえば、500Å以上3000Å以下であってもよい。この形態では、第1フィールド絶縁膜212の埋設部245および突出部246の厚さが互いに異なっている。突出部246の厚さT2は、埋設部245の厚さT3以上であってもよい。厚さT2≦厚さT3は、たとえば、半導体装置1の製造工程において、LOCOS法により第1フィールド絶縁膜212が形成された後、第1フィールド絶縁膜212がエッチングに晒されて削られることに起因する。なお、プロセスの条件によっては、突出部246が形成されない場合がある。
【0220】
半導体装置1は、第1MIS領域204において第1主面3を選択的に被覆する第1主面絶縁膜216を含む。第1主面絶縁膜216は、この形態では、シリコン窒化膜を含む。第1主面絶縁膜216は、第1主面3において複数の第1開口213から露出した部分を被覆している。つまり、第1主面絶縁膜216は、少なくとも第1ドレイン領域208、第1ソース領域209、第1チャネル領域210および第1コンタクト領域211を被覆している。第1主面絶縁膜216は、第1露出面215を被覆し、第1フィールド絶縁膜212に連なっている。第1主面絶縁膜216は、第1フィールド絶縁膜212よりも薄い。
【0221】
半導体装置1は、第1チャネル開口213B内において第1主面絶縁膜216を挟んで第1チャネル領域210に対向する第1ゲート電極217を含む。第1ゲート電極217は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。第1ゲート電極217には、ゲート電位が印加される。第1ゲート電極217は、第1チャネル領域210のオンオフを制御する。第1ゲート電極217は、具体的には、平面視において第3ウェル領域207、第1ソース領域209および第1チャネル領域210に対向している。
【0222】
第1ゲート電極217は、平面視において第1チャネル領域210に沿って延びる帯状に形成されている。第1ゲート電極217は、第1主面絶縁膜216の上から第1ドレイン領域208側に位置する第1フィールド絶縁膜212の上に引き出された第1引き出し部218を有している。第1引き出し部218は、第1ドレイン領域208から第1ソース領域209側に間隔を空けて形成され、第1フィールド絶縁膜212を挟んで第3ウェル領域207に対向している。第1引き出し部218は、ソース-ドレイン間の電界を緩和するフィールドプレートと称されてもよい。
【0223】
第1フィールド絶縁膜212(LOCOS構造)は、フィールドプレートを支持する耐圧保持絶縁膜を含んでいてもよい。フィールドプレートは、第1ゲート電極217の第1引き出し部218に限らず、第1ゲート電極217から電気的かつ物理的に独立したフィールドプレートであってもよい。また、当該フィールドプレートは、電気的にフローティングされていてもよいし、ソース電位に固定されていてもよい。
【0224】
半導体装置1は、第1ゲート電極217の側壁を被覆する第1サイドウォール構造219を含む。第1サイドウォール構造219は、第1フィールド絶縁膜212および第1主面絶縁膜216の上に位置している。第1サイドウォール構造219は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含む。第1サイドウォール構造219は、この形態では、酸化シリコンを含む。第1サイドウォール構造219は、窒化シリコンを含んでいてもよい。つまり、第1サイドウォール構造219は、第1フィールド絶縁膜212および第1主面絶縁膜216とは異なる絶縁体を含んでいてもよい。
【0225】
半導体装置1は、第1MIS領域204において第1主面3を被覆する前述の層間絶縁層12を含む。半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第1ドレイン配線220を含む。1つまたは複数の第1ドレイン配線220は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第1ドレイン配線220は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第1ビア電極223を介して第1ドレイン領域208に電気的に接続されている。
【0226】
半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第1ソース配線221を含む。1つまたは複数の第1ソース配線221は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第1ソース配線221は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第1ビア電極223を介して、分離電極63、第1ソース領域209および第1コンタクト領域211に電気的に接続されている。
【0227】
半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第1ゲート配線222を含む。1つまたは複数の第1ゲート配線222は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第1ゲート配線222は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第1ビア電極223を介して、第1ゲート電極217に電気的に接続されている。
【0228】
図16および
図18を参照して、半導体装置1は、第2回路領域201の第1主面3において第2MIS領域224を有している。
【0229】
半導体装置1は、第2MIS領域224において基板領域226の表層部に形成されたn型の第4ウェル領域227を含む。第4ウェル領域227は、平面視において一方方向(第2方向Y)に延びる帯状に形成されていてもよい。
【0230】
半導体装置1は、第2MIS領域224において基板領域226の表層部に形成されたp型の第5ウェル領域228を含む。第5ウェル領域228は、第4ウェル領域227の周縁から間隔を空けて基板領域226の表層部に形成されている。第5ウェル領域228は、平面視において一方方向(第2方向Y)に延びる帯状に形成されていてもよい。
【0231】
半導体装置1は、第5ウェル領域228の表層部に形成されたp型の第2ドレイン領域229を含む。第2ドレイン領域229は、第5ウェル領域228のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。第2ドレイン領域229は、第5ウェル領域228の周縁から間隔を空けて第5ウェル領域228の表層部に形成されている。第2ドレイン領域229は、平面視において一方方向(第2方向Y)に延びる帯状に形成されていてもよい。第2ドレイン領域229は、第5ウェル領域228の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。
【0232】
半導体装置1は、第5ウェル領域228から間隔を空けて第4ウェル領域227の表層部に形成されたp型の第2ソース領域230を含む。第2ソース領域230は、第2ドレイン領域229のp型不純物濃度とほぼ同じp型不純物濃度を有している。第2ソース領域230は、平面視において一方方向(第2方向Y)に延びる帯状に形成されていてもよい。
【0233】
半導体装置1は、第2MIS領域224において基板領域226および第4ウェル領域227に形成された第2チャネル領域231を含む。第2チャネル領域231は、第2MISFET203のチャネルを形成している。
【0234】
半導体装置1は、第2MIS領域224において基板領域226の表層部に形成されたn型の第2コンタクト領域232を含む。第2コンタクト領域232は、基板領域226のn型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。第2コンタクト領域232は、第4ウェル領域227および第5ウェル領域228を取り囲む環状に形成されていることが好ましい。
【0235】
半導体装置1は、第2MIS領域224において第1主面3を部分的に被覆する第2フィールド絶縁膜233を含む。第2フィールド絶縁膜233は、この形態では、酸化シリコン膜を含む。第2フィールド絶縁膜233は、具体的には、半導体チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含む。
【0236】
第2フィールド絶縁膜233は、第4ウェル領域227および第5ウェル領域228を被覆している。第2フィールド絶縁膜233は、第2ドレイン領域229および第2コンタクト領域232の間の領域を被覆している。第2フィールド絶縁膜233は、第2ソース領域230および第2コンタクト領域232の間の領域を被覆している。
【0237】
第2フィールド絶縁膜233は、第1主面3をそれぞれ露出させる複数の第2開口234を含む。複数の第2開口234は、少なくとも1つの第2ドレイン開口234A、少なくとも1つの第2チャネル開口234B、および、少なくとも1つの第2コンタクト開口234Cを含む。
【0238】
第2ドレイン開口234Aは、第2ドレイン領域229を露出させている。第2ドレイン開口234Aの個数は任意である。1つの第2ドレイン開口234Aが形成されていてもよいし、複数の第2ドレイン開口234Aが形成されていてもよい。第2チャネル開口234Bは、第2ソース領域230および第2チャネル領域231を露出させている。第2チャネル開口234Bの個数は任意である。1つの第2チャネル開口234Bが形成されていてもよいし、複数の第2チャネル開口234Bが形成されていてもよい。
【0239】
第2コンタクト開口234Cは、第2コンタクト領域232を露出させている。第2コンタクト開口234Cの個数は任意である。1つの第2コンタクト開口234Cが形成されていてもよいし、複数の第2コンタクト開口234Cが形成されていてもよい。この場合、複数の第2コンタクト開口234Cが第2コンタクト領域232に沿って間隔を空けて形成されていることが好ましい。
【0240】
複数の第2開口234は、平面視において四角形状にそれぞれ形成されていてもよい。つまり、複数の第2開口234は、平面視において一方方向(第1方向X)に延びる辺、および、一方方向に交差する交差方向(第2方向Y)に延びる辺をそれぞれ有していてもよい。
【0241】
半導体装置1は、第2MIS領域224において第1主面3に形成された第2隠蔽面235(hidden surface)および第2露出面236(exposed surface)を含む。第2隠蔽面235は、第1主面3において第2フィールド絶縁膜233によって被覆された部分に形成されている。第2露出面236は、第1主面3において第2フィールド絶縁膜233から露出した部分に形成されている。換言すると、第1主面3は、第2MIS領域224において第2フィールド絶縁膜233によって区画された第2隠蔽面235および第2露出面236を含む。
【0242】
第2隠蔽面235は、この形態では、第2露出面236に対して半導体チップ2の厚さ方向(第2主面4側)に窪んでいる。第2隠蔽面235は、具体的には、第2フィールド絶縁膜233の各第2開口234の周縁を起点に第2露出面236に対して半導体チップ2の厚さ方向に一段窪んでいる。
【0243】
図示は省略するが、第2露出面236の幅および第2隠蔽面235の幅は、それぞれ、
図19に示した幅W3および幅W4と同じであってもよい。したがって、第2MISFET203の素子構造の幅は、
図19に示す第1MISFET202の素子構造の幅WE2と同じ(たとえば、2μm未満)であってもよい。また、第2フィールド絶縁膜233は、
図19の第1フィールド絶縁膜212と同様に、埋設部245および突出部246を有しており、それぞれの厚さT2,T3も同様であってもよい。
【0244】
半導体装置1は、第2MIS領域224において第1主面3を選択的に被覆する第2主面絶縁膜237を含む。第2主面絶縁膜237は、この形態では、シリコン窒化膜を含む。第2主面絶縁膜237は、第1主面3において第2フィールド絶縁膜233外の領域を被覆している。第2主面絶縁膜237は、第2露出面236を被覆し、第2フィールド絶縁膜233に連なっている。第2主面絶縁膜237は、第2フィールド絶縁膜233よりも薄い。
【0245】
半導体装置1は、第2チャネル開口234B内において第2主面絶縁膜237を挟んで第2チャネル領域231に対向する第2ゲート電極238(主面電極)を含む。第2ゲート電極238は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。第2ゲート電極238には、ゲート電位が印加される。第2ゲート電極238は、第2チャネル領域231のオンオフを制御する。第2ゲート電極238は、具体的には、平面視において第4ウェル領域227、第5ウェル領域228、第2ソース領域230および第2チャネル領域231に対向している。
【0246】
第2ゲート電極238は、平面視において第2チャネル領域231に沿って延びる帯状に形成されている。第2ゲート電極238は、第2主面絶縁膜237の上から第2ドレイン領域229側に位置する第2フィールド絶縁膜233の上に引き出された第2引き出し部239を有している。第2引き出し部239は、第2ドレイン領域229から第2ソース領域230側に間隔を空けて形成され、第2フィールド絶縁膜233を挟んで第5ウェル領域228に対向している。第2引き出し部239は、ソース-ドレイン間の電界を緩和するフィールドプレートと称されてもよい。
【0247】
第2フィールド絶縁膜233(LOCOS構造)は、フィールドプレートを支持する耐圧保持絶縁膜を含んでいてもよい。フィールドプレートは、第2ゲート電極238の第2引き出し部239に限らず、第2ゲート電極238から電気的かつ物理的に独立したフィールドプレートであってもよい。また、当該フィールドプレートは、電気的にフローティングされていてもよいし、ソース電位に固定されていてもよい。
【0248】
半導体装置1は、第2ゲート電極238の側壁を被覆する第2サイドウォール構造240を含む。第2サイドウォール構造240は、第2フィールド絶縁膜233および第2主面絶縁膜237の上に位置している。第2サイドウォール構造240は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含む。第2サイドウォール構造240は、この形態では、酸化シリコンを含む。第2サイドウォール構造240は、窒化シリコンを含んでいてもよい。つまり、第2サイドウォール構造240は、第2フィールド絶縁膜233および第2主面絶縁膜237とは異なる絶縁体を含んでいてもよい。
【0249】
半導体装置1は、第2MIS領域224において第1主面3を被覆する前述の層間絶縁層12を含む。半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第2ドレイン配線241を含む。1つまたは複数の第2ドレイン配線241は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第2ドレイン配線241は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第2ビア電極244を介して第2ドレイン領域229に電気的に接続されている。
【0250】
半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第2ソース配線242を含む。1つまたは複数の第2ソース配線242は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第2ソース配線242は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第2ビア電極244を介して、分離電極63、第2ソース領域230および第2コンタクト領域232に電気的に接続されている。
【0251】
半導体装置1は、層間絶縁層12内に形成された1つまたは複数の第2ゲート配線243を含む。1つまたは複数の第2ゲート配線243は、層間絶縁層12内に形成された配線層からなる。1つまたは複数の第2ゲート配線243は、層間絶縁層12内に選択的に引き回され、第2ビア電極244を介して、第2ゲート電極238に電気的に接続されている。
【0252】
以上の通り、半導体装置1によれば、共通のチップ2に、DTI構造である第1トレンチ分離構造60を含む出力トランジスタ20、STI構造である第1素子分離構造106および第2素子分離構造136を含むCMIS101a、ならびにLOCOS構造である第1フィールド絶縁膜212および第2フィールド絶縁膜233を含むCMIS201aが混載されている。これにより、出力トランジスタ20、CMIS101aおよびCMIS201aのそれぞれが、所望の特性を実現することができる。
【0253】
たとえば、出力トランジスタ20は、高いアクティブクランプ耐量、低オン抵抗等が要求される出力パワートランジスタとして好適に使用することができる。たとえば、トレンチゲート構造70に関して、1.0μm以上1.5μm以下の狭ピッチ化を達成でき、これにより更なる低オン抵抗を実現することができる。
【0254】
たとえば、CMIS101aは、第1MISFET202および第2MISFET203のそれぞれが1μm未満の幅WE1を有する微細構造であるため、ロジック回路32に好適に使用することができる。1つ1つのCMIS101aが微細構造であるため、ロジック回路32が大規模化しても、チップ2におけるロジック回路32の占有面積の増加を抑制することができる。その結果、比較的小さな面積であっても、処理能力に優れるロジック回路32を実現することができる。
【0255】
たとえば、CMIS201aは、第1フィールド絶縁膜212および第2フィールド絶縁膜233が耐圧保持機能を有するので、比較的高い電圧を扱うアナログ回路に好適に使用することができる。たとえば、増幅回路、電源回路等のアナログ特性が重要な素子構造として好適に使用することができる。
【0256】
本開示の実施形態について説明したが、本開示は他の形態で実施することもできる。
【0257】
たとえば、前述の実施形態では、2系統の出力トランジスタ20が示された。しかし、3系統以上の出力トランジスタ20が採用されてもよい。この場合、3系統以上の系統を構成する系統トランジスタ用の複数のブロック領域81が設けられると同時に、当該ブロック領域81に対応した3系統以上のゲート配線96が設けられる。
【0258】
前述の実施形態では、電流モニタ回路25を有する構成が示された。電流モニタ回路25は、複数の単位トランジスタ22のうちの少なくとも1つの単位トランジスタ22を利用して形成されていてもよい。
【0259】
前述の実施形態では、上電極73および下電極74が同電位である例が示された。しかし、下電極74にソース電位が印加されてもよい。この場合、ソース配線98がビア電極97を介して接続電極93に電気的に接続される。
【0260】
前述の実施形態では、ソース端子13が出力端子からなり、ドレイン端子15が電源端子からなる例が示された。しかし、ソース端子13がグランド端子からなり、ドレイン端子15が出力端子からなる形態が採用されてもよい。この場合、半導体装置1は、負荷(誘導性負荷L)およびグランドの間に電気的に介装されるローサイドスイッチングデバイスとなる。
【0261】
前述の実施形態では、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型である例が示された。しかし、第1導電型がp型、第2導電型がn型であってもよい。この場合の具体的な構成は、前述の説明および添付図面において、n型領域をp型領域に置き換えると同時に、p型領域をn型領域に置き換えることによって得られる。
【0262】
以上、本開示の実施形態は、すべての点において例示であり限定的に解釈されるべきではなく、すべての点において変更が含まれることが意図される。
【0263】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。以下、括弧内の英数字は前述の実施形態における対応構成要素等を表すが、各項目(Clause)の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下の項目に係る「半導体装置」は、必要に応じて「半導体スイッチング装置」、「半導体制御装置」、「半導体モジュール」、「電子回路」、「半導体回路」、「インテリジェントパワーデバイス」、「インテリジェントパワーモジュール」、「インテリジェントパワースイッチ」等に置き換えられてもよい。
【0264】
[付記1-1]
素子主面(3)を有する半導体チップ(2)と、
前記素子主面(3)に形成され、素子構造の一部としてDTI構造(70)を含む第1素子(20)と、
前記素子主面(3)に形成され、前記第1素子(20)から分離された第2素子(101a)であって、STI構造(106,136)を含む第2素子(101a)と、
前記素子主面(3)に形成され、前記第1素子(20)および前記第2素子(101a)から分離された第3素子(201a)であって、LOCOS構造を含む第3素子(201a)とを含む、半導体装置(1)。
【0265】
この構成によれば、共通の半導体チップ(2)に、DTI構造(70)を含む第1素子(20)、STI構造(106,136)を含む第2素子(101a)、およびLOCOS構造(212,233)を含む第3素子(201a)が混載されている。これにより、複数の第1~第3素子(20,101a,201a)のそれぞれが、所望の特性を実現することができる。
【0266】
[付記1-2]
前記DTI構造(70)は、トレンチゲート構造(70)を含む、付記1-1に記載の半導体装置(1)。
【0267】
[付記1-3]
前記トレンチゲート構造(70)は、絶縁体(72,75)によって上下方向に絶縁分離されるようにゲートトレンチ(71)内に埋設された上電極(73)および下電極(74)を含むマルチ電極構造を有している、付記1-2に記載の半導体装置(1)。
【0268】
[付記1-4]
複数の前記トレンチゲート構造(70)が、前記半導体チップ(2)の前記素子主面(3)に間隔を空けて形成され、
複数の前記トレンチゲート構造(70)のピッチ(P1)は、1.0μm以上2.0μm以下である、付記1-2または付記1-3に記載の半導体装置(1)。
【0269】
[付記1-5]
各前記トレンチゲート構造(70)の幅(W2)は、0.4μm以上2μm以下である、付記1-2~付記1-4のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0270】
[付記1-6]
前記STI構造(106,136)は、前記第2素子(101a)の素子構造が形成される第1アクティブ領域(105,135)を区画する素子分離構造(106,136)を含み、
前記第1アクティブ領域(105,135)の幅(W1)および前記素子分離構造(106,136)の幅(W2)を含む前記第2素子(101a)の幅(WE)が、1μm未満である、付記1-1~付記1-5のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0271】
[付記1-7]
第1方向に沿う断面視において、前記第1アクティブ領域(105,135)は、前記第1方向の両側から一対の前記素子分離構造(106,136)に挟まれており、
前記第2素子(101a)の幅(WE)は、前記一対の素子分離構造(106,136)のトレンチの開口端の幅(W2)と、前記素子主面(3)における前記第1アクティブ領域(105,135)の幅(W1)とを足した幅である、付記1-6に記載の半導体装置(1)。
【0272】
[付記1-8]
前記第3素子(201a)は、前記素子主面(3)上にゲート絶縁膜(216,237)を挟んで形成されたゲート電極(217,238)と、前記ゲート電極の一部と前記素子主面(3)との間に形成され、前記ゲート絶縁膜(216,237)よりも厚い前記LOCOS構造(212,233)としてのフィールド絶縁膜(212,233)とを含む、付記1-1~付記1-7のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0273】
[付記1-9]
前記フィールド絶縁膜(212,233)は、前記素子主面(3)に対して前記半導体チップ(2)に埋設された埋設部(245)と、前記素子主面(3)に対して前記埋設部(245)の反対側に突出した突出部(246)とを一体的に含み、
前記素子主面(3)から前記突出部(246)の上端までの厚さ(T2)が、前記素子主面(3)から前記埋設部(245)の下端までの厚さ(T3)以下である、付記1-8に記載の半導体装置(1)。
【0274】
[付記1-10]
前記フィールド絶縁膜(212,233)は、前記第3素子(201a)の素子構造が形成される第2アクティブ領域(250)を区画しており、
前記第2アクティブ領域(250)の幅(W3)および前記フィールド絶縁膜の幅(W4)を含む前記第3素子(201a)の幅(WE2)が、2μm未満である、付記1-8または付記1-9に記載の半導体装置(1)。
【0275】
[付記1-11]
前記DTI構造(70)は、絶縁体(72,75)によって上下方向に絶縁分離されるようにゲートトレンチ(71)内に埋設された上電極(73)および下電極(74)を含むトレンチゲート構造(70)を含み、
前記STI構造(106,136)は、前記第2素子(101a)の素子構造が形成される第1アクティブ領域(105,135)を区画する素子分離構造(106,136)を含み、
前記LOCOS構造(212,233)は、前記素子主面(3)上にゲート絶縁膜(216,237)を挟んで形成されたゲート電極(217,238)の一部と前記素子主面(3)との間に形成され、前記ゲート絶縁膜(216,237)よりも厚いフィールド絶縁膜(212,233)を含む、付記1-1~付記1-5のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0276】
[付記1-12]
前記第1素子(20)は、複数のゲート信号が入力されるように構成されたゲート分割型の出力トランジスタ(20)を含み、
前記第2素子(101a)は、第1p型チャネルMISトランジスタ(103)および第1n型チャネルMISトランジスタ(102)を含み、第1定格電圧を有する第1CMOSトランジスタ(101a)を含み、
前記第3素子(201a)は、第2p型チャネルMISトランジスタ(203)および第2n型チャネルMISトランジスタ(202)を含み、前記第1定格電圧よりも高い第2定格電圧を有する第2CMOSトランジスタ(201a)を含む、付記1-1~付記1-11のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0277】
[付記1-13]
前記第1CMISトランジスタ(101a)は、前記出力トランジスタ(20)を制御する制御領域(7)に形成されたロジック回路(32)を構成している、付記1-12に記載の半導体装置(1)。
【0278】
[付記1-14]
前記第2CMISトランジスタ(201a)は、前記出力トランジスタ(20)を制御する制御領域(7)に形成された増幅回路(34)を構成している、付記1-12に記載の半導体装置(1)。
【0279】
[付記1-15]
前記第1CMISトランジスタ(101a)は、前記出力トランジスタ(20)を制御する制御領域(7)に形成されたロジック回路(32)を構成しており、
前記第2CMISトランジスタ(201a)は、前記出力トランジスタ(20)を制御する制御領域(7)に形成された増幅回路(34)を構成している、付記1-12に記載の半導体装置(1)。
【符号の説明】
【0280】
1 :半導体装置
2 :チップ
3 :第1主面
4 :第2主面
5A :第1側面
5B :第2側面
5C :第3側面
5D :第4側面
6 :出力領域
7 :制御領域
10 :ドレイン領域
11 :ドリフト領域
12 :層間絶縁層
13 :ソース端子
14 :制御端子
14a :グランド端子
14b :入力端子
15 :ドレイン端子
20 :出力トランジスタ
21 :系統トランジスタ
21A :第1系統トランジスタ
21B :第2系統トランジスタ
22 :単位トランジスタ
23 :制御回路
24 :ゲート制御回路
25 :電流モニタ回路
26 :過電流保護回路
27 :過熱保護回路
28 :低電圧誤動作回避回路
29 :負荷オープン検出回路
30 :アクティブクランプ回路
31 :電源逆接続保護回路
32 :ロジック回路
33 :試験回路
34 :増幅回路
60 :第1トレンチ分離構造
61 :分離トレンチ
62 :分離絶縁膜
63 :分離電極
64 :高濃度ドリフト領域
65 :膨出部
66 :窪み部
67 :ボディ領域
70 :トレンチゲート構造
71 :ゲートトレンチ
72 :絶縁膜
73 :上電極
74 :下電極
75 :中間絶縁膜
76 :上絶縁膜
77 :下絶縁膜
78 :チャネルセル
79 :ソース領域
80 :コンタクト領域
81 :ブロック領域
81A :第1ブロック領域
81B :第2ブロック領域
90 :トレンチ接続構造
91 :接続トレンチ
92 :接続絶縁膜
93 :接続電極
94 :主面絶縁膜
95 :フィールド絶縁膜
96 :ゲート配線
96A :第1系統ゲート配線
96B :第2系統ゲート配線
97 :ビア電極
98 :ソース配線
101 :第1回路領域
102 :第1MISFET
103 :第2MISFET
104 :第2トレンチ分離構造
105 :第1MIS領域
106 :第1素子分離構造
107 :分離トレンチ
108 :埋設絶縁体
109 :第1外側領域
110 :第1外側分離構造
111 :第1ゲート電極
112 :第1ゲート絶縁膜
113 :第1サイドウォール構造
114 :第1ウェル領域
115 :第2ウェル領域
116 :端部
117 :第1ソース領域
118 :第1ドレイン領域
121 :第1チャネル領域
122 :第1コンタクト領域
123 :第1ドレイン配線
124 :第1ソース配線
125 :第1ゲート配線
126 :第1ビア電極
135 :第2MIS領域
136 :第2素子分離構造
137 :分離トレンチ
138 :埋設絶縁体
139 :第2外側領域
140 :第2外側分離構造
141 :第2ゲート電極
142 :第2ゲート絶縁膜
143 :第2サイドウォール構造
144 :第3ウェル領域
145 :第4ウェル領域
146 :端部
147 :第1ソース領域
148 :第2ドレイン領域
151 :第2チャネル領域
152 :第2コンタクト領域
153 :第2ドレイン配線
154 :第2ソース配線
155 :第2ゲート配線
156 :第2ビア電極
157 :空白領域
158 :基板領域
201 :第2回路領域
202 :第1MISFET
203 :第2MISFET
204 :第1MIS領域
205 :第3トレンチ分離構造
206 :第1ウェル領域
207 :第3ウェル領域
208 :第1ドレイン領域
209 :第1ソース領域
210 :第1チャネル領域
211 :第1コンタクト領域
212 :第1フィールド絶縁膜
213 :第1開口
213A :第1ドレイン開口
213B :第1チャネル開口
213C :第1コンタクト開口
214 :第1隠蔽面
215 :第1露出面
216 :第1主面絶縁膜
217 :第1ゲート電極
218 :第1引き出し部
219 :第1サイドウォール構造
220 :第1ドレイン配線
221 :第1ソース配線
222 :第1ゲート配線
223 :第1ビア電極
224 :第2MIS領域
225 :第2ウェル領域
226 :基板領域
227 :第4ウェル領域
228 :第5ウェル領域
229 :第2ドレイン領域
230 :第2ソース領域
231 :第2チャネル領域
232 :第2コンタクト領域
233 :第2フィールド絶縁膜
234 :第2開口
234A :第2ドレイン開口
234B :第2チャネル開口
234C :第2コンタクト開口
235 :第2隠蔽面
236 :第2露出面
237 :第2主面絶縁膜
238 :第2ゲート電極
239 :第2引き出し部
240 :第2サイドウォール構造
241 :第2ドレイン配線
242 :第2ソース配線
243 :第2ゲート配線
244 :第2ビア電極
245 :埋設部
246 :突出部
247 :傾斜面
248 :傾斜面
249 :バーズビーク部
250 :アクティブ領域