(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088980
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】モータの駆動制御装置、モータ装置、冷凍空調機、ファン装置および駆動制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 21/34 20160101AFI20240626BHJP
H02P 27/06 20060101ALI20240626BHJP
H02P 21/22 20160101ALI20240626BHJP
【FI】
H02P21/34
H02P27/06
H02P21/22
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204069
(22)【出願日】2022-12-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-03
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VERILOG
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】木下 健
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA06
5H505BB09
5H505DD03
5H505DD08
5H505EE41
5H505EE49
5H505EE55
5H505FF01
5H505GG02
5H505GG04
5H505HA03
5H505HA05
5H505HA09
5H505HA10
5H505HA16
5H505HB02
5H505JJ03
5H505JJ16
5H505KK05
5H505LL22
5H505LL24
(57)【要約】
【課題】 モータを制御する駆動制御装置、モータ装置、冷凍空調機、ファン装置および駆動制御方法を提供すること。
【解決手段】
モータ102を制御するモータ駆動制御装置100が提供される。モータ駆動制御装置100は、モータ102に接続されるインバータ回路122と、モータ102を起動する際に、同期電流を、周波数を増加させながらモータ102に流すようにインバータ回路122を制御するインバータ制御器(制御部)128を含む。インバータ制御器128は、同期電流をモータ102に流している間、モータ102の負荷に合わせて、同期電流のうちのマグネットトルクに寄与する成分およびマグネットトルクに寄与しない成分のバランスを調整するとともに、同期電流の大きさまたはマグネットトルクに寄与する成分の大きさを調整する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを制御する駆動制御装置であって、
前記モータに接続されるインバータ回路と、
前記モータを起動する際に、同期電流を、周波数を増加させながら前記モータに流すように前記インバータ回路を制御する制御部であって、前記同期電流を前記モータに流している間、前記モータの負荷に合わせて、前記同期電流のうちのマグネットトルクに寄与する成分およびマグネットトルクに寄与しない成分のバランスを調整するとともに、前記同期電流の大きさまたは前記マグネットトルクに寄与する成分の大きさを調整する制御部と
を含む、駆動制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、dq座標系ベクトル制御を実行しており、前記マグネットトルクに寄与する成分および前記マグネットトルクに寄与しない成分のバランスを調整するために、前記モータの回転子軸と前記dq座標系ベクトル制御の制御系軸との軸誤差Δθcを推定し、前記制御系軸の電流指令値の位相θsを調整することにより前記軸誤差Δθcを補正することを特徴とする、請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記制御系軸の電流指令値の位相θsに応じて、前記同期電流の波高値Isyncを増大させるか、または、前記マグネットトルクに寄与する成分に補正値を加算する、請求項2に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電流指令値の位相θsが所定値を超過しないようにするためのリミッタ値θslimitを有し、前記リミッタ値θslimitは、前記制御系軸のd軸を基準とした場合に60degから90degの範囲である、請求項2に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記同期電流を前記モータに流している同期運転モードは、前記制御系軸の電流指令値の位相θsを初期値から所定値まで増大させる第1の区間と、前記制御系軸の電流指令値の位相θsを調整することにより前記軸誤差Δθcを補正する第2の区間と有し、前記第1の区間の前記同期電流の大きさは、前記第2の区間の前記同期電流の大きさより小さく設定される、請求項2に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記マグネットトルクに寄与する成分および前記マグネットトルクに寄与しない成分のバランスの調整に際して、前記マグネットトルクに寄与しない成分が所定値を下回らないようにするリミッタ値を有する、請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記モータを起動する際に、前記同期電流を前記モータに流している同期運転モードに加えて、前記同期運転モード前の前記モータの回転子の位置を固定ないし調整するための位置決め電流を前記モータに流す位置決めモードおよび前記同期運転モード後の前記モータの回転角を帰還制御する位置センサレス制御モードの一方または両方を備える、請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項8】
前記モータは、永久磁石同期モータである、請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項9】
モータと、
前記モータに接続されるインバータ回路と、
前記モータを起動する際に、同期電流を、周波数を増加させながら前記モータに流すように前記インバータ回路を制御する制御部であって、前記同期電流を前記モータに流している間、前記モータの負荷に合わせて、前記同期電流のうちのマグネットトルクに寄与する成分およびマグネットトルクに寄与しない成分のバランスを調整するとともに、前記同期電流の大きさまたは前記マグネットトルクに寄与する成分の大きさを調整する制御部
を含む、モータ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のモータ装置と、
前記モータ装置の前記モータを備える圧縮機と
熱交換器と
を含む、冷凍空調機。
【請求項11】
請求項9に記載のモータ装置と、
前記モータ装置の前記モータにより駆動されるファンと、
を含む、ファン装置。
【請求項12】
インバータ回路によりモータを駆動する駆動制御方法であって、
前記モータを起動する際に、同期電流を、周波数を増加させながら前記モータに流すように前記インバータ回路を制御するステップと、
前記同期電流を前記モータに流している間、前記モータの負荷に合わせて、前記同期電流のうちのマグネットトルクに寄与する成分およびマグネットトルクに寄与しない成分のバランスを調整するステップと、
前記同期電流を前記モータに流している間、前記モータの負荷に合わせて、前記同期電流の大きさまたは前記マグネットトルクに寄与する成分の大きさを調整するステップと
を含む、駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動制御装置、モータ装置、モータを動力とした冷凍空調機、モータを動力としたファン装置およびモータの駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石同期モータをインバータで制御する場合、モータ回転子の位相を検出することが望ましい一方で、圧縮機のような装置の内部は、通常高温高圧となるため、装置内にホール素子などの位相検出器を設置することが難しい。従来、圧縮機などの装置用インバータ回路に関しては、モータ巻線に流れる電流(モータ電流)から位相を推定する、いわゆる位置センサレス制御と呼ばれる技術が用いられている。また位置センサレス制御は、センサ部品削減によるコスト低減のための技術でもあるため、上記圧縮機以外にもファンモータにも採用されている。
【0003】
位置センサレス制御は、モータが回転する際に発生する誘起電圧を利用した制御方法であるため、圧縮機起動時における低回転領域においては、モータ回転子の位相の推定精度が低下してしまう。かかる欠点を回避するために、モータ起動時は、モータ回転子の位相情報を必要としない制御構成を組むことができる。具体的には、位置決め電流と呼ばれる直流電流をモータ巻線に流して、固定磁界を発生させることにより、回転子の位相を固定させる、位置決め制御と呼ばれる制御方法が知られている。位置決め制御後は、モータ電流の位相を徐々に進め、すなわち直流電流を交流電流に変化させモータを回転させ、加速させる。これを同期運転モードと呼び、同期運転モード中のモータ電流を同期電流と呼ぶ。同期運転モードでは、起動が失敗しないように、同期電流の大きさを予想される負荷トルクよりも充分に大きな値に設定する必要がある。同期運転モードで、所定の回転数までモータを加速させ、位置センサレス制御モードへ切り替える。位置センサレス制御モードには、様々な制御構成が検討されており、モータの位相誤差などを用いてモータ電流を負荷トルクに合った最適値に調整方法が知られている。
【0004】
上述した位置決めモード、同期運転モードおよび位置センサレス制御モードに関連して、特開2010-29016号公報(特許文献1)が知られている。特許文献1の従来技術では、位置決め電流および同期電流の波高値は、一定とされる。モータのマグネットトルクは、モータ電流に比例することから、予想される負荷トルクに対して同期電流を充分に大きな値に設定する必要がある。さらに冷凍空調用の圧縮機やファンの特性として、同期運転モード中は、モータ回転数が高くなるほど負荷トルクは高くなる。そのため、同期電流の大きさ(波高値)は、同期運転モード終了時に予想される負荷トルクに合わせて設定される。つまり、位置決めモードおよび同期運転モードの前半においては、同期運転モードの後半の負荷に応じて、必要以上に電流が大きな値となっていると言える。
【0005】
ここで、位置決め電流がインバータ回路に与える影響について説明する。位置決め電流のような直流電流は、インバータ回路に与える熱ストレスが大きく、インバータ回路素子の疲労や劣化を進め、故障や寿命低下の原因となる。そのため位置決め電流は出来るだけ小さく、短時間とすることが望ましい。また、同期運転モード中の初期の低周波の交流電流なども特に、インバータ回路素子の疲労や劣化の懸念がある。これに関連して、特許第7034368号(特許文献2)は、モータを起動する際に、冷凍サイクルの状態に応じて位置決め電流の大きさを調整し、さらに同期電流の大きさも徐々に増加させる構成を開示する。
【0006】
しかしながら、特許文献2の従来技術では、冷凍サイクルの状態、具体的には圧縮機の吸入圧力、吐出圧力、熱交換器の温度、前回圧縮機が停止してから今回起動するまでの待機時間といった外部環境情報をインバータ制御装置に入力する必要がある。また、これらの外部環境情報から負荷トルクを推定するため、推定誤差が増大する可能性がある。また、冷凍サイクルの状態の外部環境情報が必要となるため、ファン用インバータへ適用することができるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-29016号公報
【特許文献2】特許第7034368号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、従来技術における上記点に鑑みてなされたものであり、本開示は、外部環境情報を必要とせず、負荷にあわせてモータ起動時の電流を調整することで、モータの起動を安定化するとともに、起動初期の直流電流や低周波の交流電流を削減することで起動時にかかるインバータ回路への熱ストレスを低減し、インバータ回路の素子の疲労や劣化を抑制し、ひいては、インバータ回路を含む装置の故障の防止および長寿命化を図ることが可能な駆動制御装置、モータ装置、冷凍空調機、ファン装置および駆動制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示では、上記課題を解決するために、下記特徴を有する、モータを制御する駆動制御装置を提供する。駆動制御装置は、モータに接続されるインバータ回路と、モータを起動する際に、同期電流を、周波数を増加させながらモータに流すようにインバータ回路を制御する制御部とを含む。制御部は、同期電流をモータに流している間、モータの負荷に合わせて、同期電流のうちのマグネットトルクに寄与する成分およびマグネットトルクに寄与しない成分のバランスを調整するとともに、同期電流の大きさまたはマグネットトルクに寄与する成分の大きさを調整する。
【0010】
さらに、本開示によれば、下記特徴を有するモータ装置が提供されてもよい。モータ装置は、モータと、モータに接続されるインバータ回路と、モータを起動する際に、同期電流を、周波数を増加させながらモータに流すようにインバータ回路を制御する制御部とを含む。制御部は、同期電流をモータに流している間、モータの負荷に合わせて、同期電流のうちのマグネットトルクに寄与する成分およびマグネットトルクに寄与しない成分のバランスを調整するとともに、同期電流の大きさまたはマグネットトルクに寄与する成分の大きさを調整する。
【0011】
さらに、本開示によれば、上記モータ装置と、モータ装置のモータを備える圧縮機と、熱交換器とを含む、冷凍空調機を提供することができる。さらに、本開示によれば、上記モータ装置と、モータ装置のモータにより駆動されるファンとを含む、ファン装置を提供することができる。
【0012】
さらに、本開示によれば、下記特徴を有する、インバータ回路によりモータを制御する駆動制御方法が提供されてもよい。駆動制御方法は、モータを起動する際に、同期電流を、周波数を増加させながらモータに流すようにインバータ回路を制御するステップを含む。駆動制御方法は、また、同期電流をモータに流している間、モータの負荷に合わせて、同期電流のうちのマグネットトルクに寄与する成分およびマグネットトルクに寄与しない成分のバランスを調整するステップを含む。駆動制御方法は、さらに、同期電流をモータに流している間、モータの負荷に合わせて、同期電流の大きさまたはマグネットトルクに寄与する成分の大きさを調整するステップを含む。
【0013】
その他、本願が開示する課題、およびその解決方法は、発明を実施するための形態の欄および図面により明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0014】
上記構成によれば、外部環境情報を必要とせず、負荷にあわせてモータ起動時の電流を調整することでモータの起動を安定化するとともに、起動初期の直流電流や低周波の交流電流を削減することで起動時にかかるインバータ回路への熱ストレスを低減し、インバータ回路の素子の疲労や劣化を抑制し、ひいては、インバータ回路を含む装置の故障の防止および長寿命化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による空気調和機の構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態によるモータ駆動制御装置の構成図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態によるモータ駆動制御装置のインバータ制御器の機能ブロック構成図である。
【
図4】
図4は、U相、V相およびW相の3軸座標系とd軸およびq軸の2軸座標系の関係(A)およびd軸電流Idおよびq軸電流Iqの合成ベクトルとしての電流I
1を説明する図である。
【
図5】
図5は、本実施形態であるモータ駆動制御装置の電流指令演算器のより詳細な構成図である。
【
図6】
図6は、本実施形態による同期運転モードで使用する軸誤差Δθcを説明する図である。
【
図7】
図7は、同期電流補正なしの場合において、軽負荷(A)、中負荷(B)および重負荷(C)の場合の制御系軸の電流指令値の位相(電流ベクトル位相)θsの調整を説明する図である。
【
図8】
図8は、同期電流補正なしの場合および本発明の実施形態による同期運転モードにおいて同期電流補正ありの場合について、負荷トルクが軽負荷および中負荷の場合の制御系軸の電流指令値の位相(電流ベクトル位相)θsおよび波高値Isyncの調整を説明する図である。
【
図9】
図9は、同期電流補正なしの場合および本発明の実施形態による同期運転モードにおいて同期電流補正ありの場合について、負荷トルクが重負荷および超重負荷の場合の制御系軸の電流指令値の位相(電流ベクトル位相)θsおよび波高値Isyncの調整を説明する図である。
【
図10】
図10は、同期電流補正なしの場合の起動時のモータ電流および位相の時間変化を示すシミュレーション波形図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態による同期電流補正ありの場合の起動時のモータ電流および位相の時間変化を示すシミュレーション波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明の実施形態は、以下に説明する具体的な実施形態に限定されるものではない。なお、図面において、同一符号は、同一または相当部分を示すものとする。
【0017】
本開示は、モータを制御する駆動制御装置、モータおよび駆動制御装置を備えるモータ装置、モータおよび駆動制御装置を備える冷凍空気調和(以下、空気調和を空調と略す場合がある。)機、モータおよび駆動制御装置を備えるファン装置、モータを制御するための駆動制御方法を対象とする。本発明の実施形態による駆動制御装置は、モータに接続されるインバータ回路と、モータを起動する際に、同期電流を、周波数を増加させながらモータに流すようにインバータ回路を制御する制御部を備える。制御部は、同期電流をモータに流している間、モータの負荷に合わせて、同期電流のうちのマグネットトルクに寄与する成分およびマグネットトルクに寄与しない成分のバランスを調整するとともに、同期電流の大きさまたはマグネットトルクに寄与する成分の大きさを調整することを特徴とするものである。これにより、負荷にあわせてモータ立ち上げ時の同期電流を調整することで、モータの起動を安定化するとともに、初期の電流を小さいものとし、起動時にかかるインバータ回路への熱ストレスを低減し、インバータ回路の素子の疲労や劣化を抑制し、ひいては装置の故障の防止および長寿命化を図る。
【0018】
以下、図面を参照しながら、より具体的な実施形態をもって、モータを制御する駆動制御装置、モータおよび駆動制御装置を備えるモータ装置、冷凍空調機およびモータを制御する駆動制御方法について説明する。
【0019】
以下、
図1~
図11を参照しながら、本発明の実施形態によるモータの駆動制御装置およびその駆動制御方法について、冷凍空調機の圧縮機のモータに適用した例をもって説明する。なお、
図1~
図11に示した実施形態は、冷凍空調機の一例としての空気調和機用のモータ駆動制御装置およびその駆動制御方法に対応するものである。ここで、冷凍空調機(冷凍空気調和機器)とは、エアーコンディショナーや、冷蔵庫、冷凍庫など、冷媒および冷凍サイクルを利用した機器を総称するものである。冷凍空気調和機の例としては、より具体的には、ルームエアコンやガスエンジンヒートポンプエアコンなど空気調和機、冷凍機やチリングユニットなどの熱源機器、ショーケースや冷凍冷蔵庫、ユニットクーラー、製氷機など業務用冷凍機、カーエアコンなどの輸送用冷凍機器、ヒートポンプ給湯機などが含まれ得るが、以下の説明では、空気調和機を一例として説明する。
【0020】
以下、まず、
図1を参照しながら、モータの駆動制御装置およびその駆動制御方法が実装される冷凍空調機の一例としての空気調和機1の全体構成について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態による空気調和機1の構成図である。
図1に示す空気調和機1は、冷房運転および暖房運転を切り替えて行う機器であり、冷媒回路Qと、制御装置30とを備える。なお、
図1では、冷房運転中、冷媒回路Qにおける冷媒が流れる向きを実線矢印で示しており、以下、特に断りがない限り冷房運転を前提として説明するが、暖房運転中は、逆向きで冷媒が循環することになる。
【0022】
冷媒回路Qは、圧縮機11、室外熱交換器13、室内膨張弁21および室内熱交換器22を順次接続して構成される。冷媒回路Qは、室外機10に設置される各機器と、室内機20に設置される各機器と、接続配管k1,k3とを含み構成される。
【0023】
室外機10は、圧縮機11と、アキュムレータ12と、室外熱交換器13と、室外ファン14と、四方弁15と、ガス阻止弁18aと、液阻止弁18bと、センサ類19とを備える。
【0024】
圧縮機11は、制御装置30からの指令に従って、アキュムレータ12を介して流入するガス状の冷媒を圧縮する。圧縮機11は、本実施形態におけるインバータ回路が制御および駆動する対象であるモータを備える。このような圧縮機11としては、特に限定されるものではないが、スクロール圧縮機を用いることができる。
【0025】
アキュムレータ12は、圧縮機11の吸入側に設置されており、室内熱交換器22から流入する冷媒を気液分離する。アキュムレータ12を設けることにより、圧縮機11での液圧縮が防止され、また、圧縮機11に吸入される冷媒の乾き度が適度に調整される。
【0026】
室外熱交換器13は、そこで、圧縮機11から吐出される高温高圧の冷媒と、室外ファン14によって送り込まれる外気との間で熱交換が行われる、熱交換器である。室外熱交換器13は、冷房運転においては、圧縮機11で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。
図1に示す例では、室外熱交換器13の上流端が、四方弁15を介して圧縮機11の吐出口に接続されている。室外熱交換器13の下流端は、液阻止弁18b、接続配管k3および室内膨張弁21を順次介して、室内熱交換器22に接続されている。
【0027】
室外ファン14は、室外熱交換器13の付近に設置されており、制御装置30からの指令に従って、室外熱交換器13に外気を送り込む。
【0028】
四方弁15は、冷媒回路Qにおいて冷媒が流れる向きを切り替える弁である。冷房運転時には、四方弁15は、実線で示す流路に切り替えられ、圧縮機11と、室外熱交換器13(冷房運転においては凝縮器としてはたらく。)と、室内膨張弁21と、室内熱交換器22(冷房運転においては蒸発器としてはたらく。)とが、環状に順次接続されてなる冷媒回路Qにおいて冷媒が循環する。これに対して、暖房運転時には、四方弁15は、破線で示す流路に切り替えられ、圧縮機11と、室内熱交換器22(暖房運転においては凝縮器としてはたらく。)と、室内膨張弁21と、室外熱交換器13(暖房運転においては蒸発器としてはたらく)とが環状に順次接続されてなる冷媒回路Qにおいて冷媒が循環する。
【0029】
ガス阻止弁18aおよび液阻止弁18bは、空気調和機1の据付作業後に開弁されることで、室外機10に封入されていた冷媒を冷媒回路Qの全体に行き渡らせるための弁である。ガス阻止弁18aは、その一方側(冷房運転の下流側)が、四方弁15に接続され、他方側(冷房運転の上流側)が接続配管k1を介して室内熱交換器22に接続されている。液阻止弁18bは、その一方側(冷房運転の上流側)が、室外熱交換器13に接続され、他方側(冷房運転の下流側)が接続配管k3を介して室内膨張弁21に接続されている。
【0030】
室外機10のセンサ類19としては、吸入圧力センサ19a、吐出圧力センサ19b、吐出温度センサ19c、温度センサ19d、外気温度センサ19gおよび室外熱交換器中間温度センサ19hが含まれる。
【0031】
室内機20は、室内膨張弁21と、室内熱交換器22と、室内ファン23と、室内電磁弁24と、室内熱交換器中間温度センサ25とを備える。
【0032】
室内膨張弁21は、室外熱交換器13で凝縮された冷媒を減圧する弁である。室内膨張弁21は、冷房運転において、室外熱交換器13から接続配管k3を介して室内熱交換器22に向かう冷媒を減圧する機能を有している。なお、室内膨張弁21の開度は、制御装置30によって調整される。
【0033】
室内熱交換器22は、そこで、室内膨張弁21によって減圧された冷媒と、室内空気(被空調空間の空気)との間で熱交換が行われる熱交換器である。冷房運転においては、室内熱交換器22は、室内膨張弁21で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。そして、室内熱交換器22を流れる冷媒の蒸発潜熱によって、室内空気が冷やされる。
【0034】
室内ファン23は、室内熱交換器22の付近に設置されており、制御装置30からの指令によって、室内熱交換器22に室内空気を送り込む。室内電磁弁24は、室内膨張弁21の上流側に設置されており、室内機20を運転する際に冷媒を流通させるために開かれる。なお、室内膨張弁21が全閉可能な構造であれば、室内電磁弁24を省略することも可能である。
【0035】
制御装置30は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、各種インタフェースを含む。ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行する。また、制御装置30は、本実施形態によるモータ駆動制御装置を備えており、上述したセンサ類19,25の検出値やリモート・コントローラからの操作信号に基づいて、圧縮機11や室内膨張弁21を含む各機器を制御する。
【0036】
以下、
図2を参照しながら、本発明の実施形態によるモータ駆動制御装置100およびその駆動制御方法について説明する。なお、
図2に示した実施形態は、圧縮機11が備える圧縮機用モータ102の駆動制御装置および駆動制御方法に対応するものである。モータ102は、交流モータであり、より具体的には、同期モータであり、典型的には、所定の磁極数の永久磁石同期モータ(PMSM、Permanent Magnet Synchronous Motor)が用いられる。
【0037】
図2は、本実施形態によるモータ駆動制御装置100の全体構成を示す図である。なお、
図2に示すモータ駆動制御装置100は、特に限定されるものではないが、
図1に示す制御装置30に実装することができる。
図2に示すように、モータ駆動制御装置100には、交流電源101とモータ102とが接続されており、モータ駆動制御装置100は、主に、コンバータ部110と、インバータ部120とを備える。
【0038】
コンバータ部110は、整流回路111、平滑リアクトル113および平滑コンデンサ114を含み構成される。
【0039】
交流電源101は、3相交流電源であり、これに対応して、整流回路111は、3相全波整流回路として構成されている。整流回路111は、6つのダイオード(ダイオードに代えてサイリスタであってもよい。)112を用いた3相ブリッジ構成となっている。整流回路111は、交流電源101に接続され、交流電源101からの交流電圧を直流電圧に変換し、インバータ部120に出力する。
【0040】
平滑リアクトル113および平滑コンデンサ114は、整流回路111の直流出力端子に接続される。平滑リアクトル113および平滑コンデンサ114は、直流フィルタを構成し、整流回路111から出力される直流電圧を平滑する。
【0041】
インバータ部120は、直流電圧検出部121、インバータ回路122、電流センサ125,126、ゲートドライブ回路127およびインバータ制御器128を含み構成される。インバータ部120には、コンバータ部110からの直流電圧が入力される。
【0042】
直流電圧検出部121は、インバータ回路122入力側に設けられ、整流回路111の出力(平滑コンデンサ114の両端)の直流電圧を検出し、検出した電圧値をインバータ制御器128に出力する。
【0043】
インバータ回路122は、コンバータ部110からの直流電力を交流電力へ変換して、交流負荷であるモータ102に出力する。インバータ回路122は、3相交流に対応して、6個の半導体スイッチング素子123と、各半導体スイッチング素子123に逆並列に接続されたダイオード124とによって3相ブリッジ回路が構成されている。なお、各スイッチング素子123に逆並列に接続されたダイオード124は、それぞれのスイッチング素子123のオフ時の転流動作のためのダイオードである。
【0044】
ゲートドライブ回路127は、インバータ制御器128の制御の下、インバータ回路122のパルス幅変調(以下、パルス幅変調をPWM(Pulse Width Modulation)と呼ぶ場合がある。)駆動を行う回路である。
【0045】
インバータ回路122は、ゲートドライブ回路127から入力されるPWM駆動信号に従って、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やパワーMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)FET(Field-Effect Transistor)などの半導体スイッチング素子123をオンおよびオフ動作させ、コンバータ部110の出力である直流電圧を交流電圧に変換して出力し、モータ102の回転数を制御する。
【0046】
電流センサ125,126は、交流出力の交流電流を検出し、測定値をインバータ制御器128に出力する。
【0047】
インバータ制御器128は、直流電圧検出部121からの直流電圧値および電流センサ125,126からの交流電流値の検出信号に基づいて、ゲートドライブ回路127にPWM制御信号を出力し、所定の駆動電圧に対応したPWM駆動信号を生成させる。インバータ制御器128としては、マイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor)などの演算処理装置が用いられ得る。インバータ制御器128は、また、サンプリングホールド回路およびA/D(Analog/Digital)変換部を備えており、入力される各電圧・電流の検出信号がデジタル信号に変換される。
【0048】
図2に示した回路構成において、インバータ制御器128は、圧縮機11を起動する契機となる条件(電源オンなど)が満たされたことに応答して、ゲートドライブ回路127を介して、インバータ回路122に所定のPWM駆動信号を入力することによって、圧縮機11(およびそのモータ102)を起動し、求められる回転数で圧縮機11を動作させる。
【0049】
図3は、本発明の実施形態による
図2のインバータ制御器128の機能ブロック構成
図200である。
図3に示す各機能は、コンピュータであるCPU(Central Processing Unit)およびプログラムにより実現される。
【0050】
インバータ制御器128は、dq座標系ベクトル制御により、速度指令ωiに基づいてPWM制御信号を生成し、ゲートドライブ回路127を介して、インバータ回路122を制御する。
【0051】
以下、dq座標系ベクトル制御について、概略を説明する。永久磁石同期モータは、コイルに交流電流を流すことにより、回転磁界を発生し、回転子を回転させる。コイルの相数を、U相、V相およびW相からなる3相とすると、各相の電流は、位相がπ×(2/3)ずれることから、下記式で与えられる。ここで、I
1は、交流電流の波高値を表し、I
Uは、U相に流れるモータ電流を表し、I
Vは、V相に流れるモータ電流を表し、I
Wは、W相に流れるモータ電流を表す。
【数1】
【0052】
U相、V相およびW相の3軸の座標系に対して、
図4(A)に示すような回転するd軸およびq軸の2軸の座標系を想定する。d軸とU軸の位相差をθdとし、
図4(B)に示すようにI
1とd軸がなす角をθsとすると、d軸とq軸とは直交しているため、I
1をd軸電流Idとq軸電流Iqの合成ベクトルとした場合、IdIqは、下記式の通りとなる:
【数2】
【0053】
以上から、3相の交流電流Iu,Iv,Iwは、θdを管理することにより直流電流として制御することができる。ここで、
図4(B)に示すように、d軸の方向をモータ102の回転子の永久磁石磁界方向と一致させるとすると、Iqが、マグネットトルクに寄与する電流成分(トルク電流)となり、Idがマグネットトルクに寄与しない電流成分(励磁電流)となる。よって、電流成分Iqを制御することでトルク制御が可能となる。このように交流電流をd軸およびq軸の直流電流に変換して制御することをdqベクトル制御という。
【0054】
以下、
図3の機能ブロック構成図を参照して、インバータ制御器128の具体的な機能構成について、より詳細に説明する。インバータ制御器128は、PLL制御器207と、位相演算器208と、電流指令演算器209と、速度制御器210と、d軸電流指令発生器211と、軸誤差演算器214と、加算器218と、切替器219a,219b,219cと、dqベクトル制御部260とを備える。dqベクトル制御部260は、電圧指令制御器212と、2軸/3相変換器213と、3相/2軸変換器215と、電流再現演算器216と、PWM制御器217とを備え、電流指令値(dc軸電流指令値Idc
*およびqc軸電流指令値Iqc
*)および制御軸の位相θdcを用いてPWM制御信号を演算する。
【0055】
電流再現演算器216は、例えばインバータ回路122の直流側の電流を検出する直流電流検出器が出力する母線電流Ishと、三相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*とを用いて三相モータ電流Iu,Iv,Iwを再現する。なお、1または複数の実施形態では、シャント抵抗器などを用いて母線電流Ishを検出し、母線電流Ishから電流再現演算器216を用いて三相モータ電流Iu,Iv,Iwを算出することができるが、これに限定されるものではない。シャント抵抗器に限らず、ホール素子などを用いて母線電流を検出してもよい。また、母線電流の代わりに、電流センサ125,126を用いて、三相モータ電流Iu,Iv,Iwを検出してもよい。
【0056】
3相/2軸変換器215は、再現された三相モータ電流Iu,Iv,Iwと、推定された制御軸の位相θdcとに基づいて、dc軸電流検出値Idcおよびqc軸電流検出値Iqcを演算する。なお、dc-qc軸は、制御系軸と定義し、d-q軸は、モータ102の回転子軸と定義し、dc-qc軸とd-q軸との軸誤差は、Δθcと定義する。なお、dc軸電流検出値Idcおよびqc軸電流検出値Iqcの演算式については、特許文献1を参照されたい。
【0057】
電圧指令制御器212は、dc軸電流指令値Idc*と、qc軸電流指令値Iqc*と、dc軸電流検出値Idcと、qc軸電流検出値Iqcと、速度指令値ω1*と、モータ定数設定値とを用いて、dc軸電圧指令値Vdc*およびqc軸電圧指令値Vqc*を演算する。電圧指令制御器212は、より具体的には、dc軸電流指令値Idc*とdc軸電流検出値Idcとの偏差およびqc軸電流指令値Iqc*とqc軸電流検出値Iqcとの偏差を演算し、各々の偏差を比例積分制御(PI制御)し、回転速度指令値ω1*およびモータ定数設定値を用いて、dc軸電圧指令値Vdc*およびqc軸電圧指令値Vqc*を演算する。dc軸電圧指令値Vdc*およびqc軸電圧指令値Vqc*の演算式については、特許文献1を参照されたい。
【0058】
2軸/3相変換器213は、dc軸電圧指令値Vdc*およびqc軸電圧指令値Vqc*と、位相演算器208が出力した制御系軸の位相θdcとに基づいて、モータ102の三相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を出力する。三相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の演算式については、特許文献1を参照されたい。
【0059】
軸誤差演算器214は、dc軸電圧指令値Vdc*、qc軸電圧指令値Vqc*、dc軸電流検出値Idc、qc軸電流検出値Iqc、回転速度指令値ω1*およびモータ定数の設定値(r*,Lq*)から(1)式を用いて軸誤差Δθcを演算する。r*は、制御系のモータ巻線抵抗設定値であり、Lq*は、モータのq軸インダクタンス設定値である。
【0060】
【0061】
PLL制御器207は、軸誤差演算器214が出力する軸誤差Δθcと軸誤差指令値Δθc
*(通常は0近傍に設定)との偏差を、PI制御器を用いて処理し、モータ回転速度の推定値ωm^を出力する。ここで、PI制御器は、モータ102の回転子軸(d-q軸)と制御系軸(dc-qc軸)との推定軸誤差Δθcを軸誤差指令値Δθc
*(通常は0近傍)に一致するように制御するものである。位相演算器208では、推定したモータ回転速度ωm^を積分して、制御系軸の位相θdcを演算する。
【0062】
説明する実施形態において、モータ起動時は、順に3つの運転モードが切り替えられる。この3つの運転モードは、より具体的には、所定のモータ巻線に流れるdc軸電流指令値Idc*を徐々に増加することにより回転子を所定の回転位置に固定させる位置決めモードと、dc軸電流指令値Idc*とqc軸電流指令値Iqc*と回転速度指令値ω1*とにしたがってモータ102に印加する印加電圧を制御する同期運転モードと、軸誤差Δθcが所定値になるように電流指令値とインバータ周波数とを調整する位置センサレス制御モード(帰還運転モード)とを含む。モータ102を起動する際に、位置決めモード、同期運転モードおよび位置センサレス制御モードの順に移行する。なお、他の実施形態では、起動時には、上記3モードのうちのいずれかが省略されてもよいし、1以上の追加のモードがあってもよい。
【0063】
これらの運転モードは、切替器219a,219b,219cが、dc軸電流指令値Idc*、qc軸電流指令値Iqc*および位相演算器208の入力周波数のうち何れかを変更することにより、もしくは、切替器219a,219b,219cを切り替えることによって別の運転モードへ遷移する。
【0064】
位置決めモードおよび同期運転モードの両方では、切替器219a,219b,219cは、B側に設定される。つまり、速度指令ωi(回転速度指令値ω1*)がそのまま位相演算器208に入力され、制御系位相θdcを演算する。電流指令演算器209からのdc軸電流指令値Idc*とqc軸電流指令値Iqc*とがそのまま電圧指令制御器212に与えられ、電圧指令が演算される。位置決めモード中にモータ102の回転子の位置を固定ないし調整するためにモータ102に流される電流を位置決め電流という。同期運転モード中に、モータ102に流される電流を同期電流と呼ぶ。回転速度指令値ω1*は、位置決めモード時にゼロとし、同期運転モード時に徐々に増加するようになっている。つまり、同期運転モード時は、同期電流は、周波数を増加させながらモータ102に流されることになる。
【0065】
位置センサレス制御が可能になるモータ102の回転速度になった時刻で、切替器219a,219b,219cは、A側に設定され、動作モードが、位置センサレス制御モードへ移行する。これにより、PLL制御器207が推定したモータ回転速度ωm^と回転速度指令値ω1*との差分がゼロになるように速度制御器210がqc軸電流指令値Iqc*を調整する。この結果、軸誤差(演算値)Δθcと軸誤差指令値Δθc
*(通常は0近傍)との差がゼロになる。
【0066】
なお、負荷が重い状態で位置センサレス制御モードに切り替えると、軸誤差Δθcが所定値(通常は0近傍)になるような制御ループが働くため、回転子が急加速し、切替ショックが発生する可能性がある。そこで、同期運転モードの後半において、qc軸電流指令値Iqc*とdc軸電流指令値Idc*との電流ベクトル位相θs(後述する)を調整し、軸誤差Δθcを小さくした上で、位置センサレス制御モードに切り替えることが好ましい。これにより、回転子位置の急変化が生じないので、切替ショックを低減することができる。
【0067】
以下、
図5を参照しながら、本実施形態における同期運転モードの際の動作をより詳細に説明する。
図5は、本実施形態であるモータ駆動制御装置の電流指令演算器209のより詳細な構成図である。上述したように、同期運転モードでは、切替器219a,219b,219cは、B側に設定されており、位相演算器208は、入力される速度指令ωi(回転速度指令値ω1
*)から制御系位相θdcを演算し、dqベクトル制御部260に入力する。また、回転速度指令値ω1
*は、同期運転モード時にゼロから徐々に増加する。
【0068】
図5のブロック図において、電流指令演算器209は、電流位相制御器231と、余弦演算器232と、正弦演算器233と、乗算器234,235と、位相生成器236と、同期電流調整器237と、加算器240と、切替器241とを備える。電流指令演算器209は、軸誤差Δθcを入力信号とし、qc軸電流指令値Iqc
*およびdc軸電流指令値Idc
*を出力信号とする。電流指令演算器209の出力信号であるqc軸電流指令値Iqc
*およびdc軸電流指令値Idc
*は、切替器219a,219bの接点Bを介して、
図3に示した電圧指令制御器212に与えられる。
【0069】
電流指令演算器209は、同期電流を、周波数を増大させながらモータ102に流している同期運転モードの間、モータの負荷に合わせて、同期電流のうちのマグネットトルクに寄与する成分Iqc*およびマグネットトルクに寄与しない成分Idc*のバランス(Iqc*とIdc*の比率、後述する電流ベクトル位相θs)を調整するよう構成される。電流指令演算器209は、上記同期運転モードの間、さらに、モータの負荷に合わせて、同期電流の大きさIsyncまたはマグネットトルクに寄与する成分の大きさIqc*を調整するよう構成される。
【0070】
電流指令演算器209は、より具体的には、軸誤差演算器214によるモータ102の回転子軸とdq座標系ベクトル制御の制御系軸との軸誤差Δθcの推定の結果の入力を受けて、制御系軸の電流指令値の位相(電流ベクトル位相)θsを調整することにより軸誤差Δθcを補正し、dc軸電流指令値Idc
*およびqc軸電流指令値Iqc
*を演算する。ここで、軸誤差(演算値)Δθcは、上記(1)式より求めることができる。軸誤差Δθcについて補足すると、軸誤差Δθcは、上述したように、制御系軸(dc-qc軸)と実際の回転子軸(d-q軸)との誤差であり、
図6のように示される。Δθcが発生すると、qc軸電流指令値Iqc
*と実際にモータに流れるqc軸電流検出値Iqcとが不一致となる。また、電流位相制御器231は、軸誤差Δθcを比例積分(PI)制御器もしくは積分制御器を用いて処理し、電流ベクトル位相θsを出力する。電流位相制御器231では、同期運転モード中は、入力される軸誤差Δθcを補正するようにθsを調整する。
【0071】
ただし、モータ102の回転速度ωmが低い場合、軸誤差Δθcの演算誤差が大きいため、電流指令演算器209の制御は、回転速度ωmが所定値以上なった後に行うことが好ましい。なお、同期運転モードから位置センサレス制御モードに切り替える切り替え時点よりも早く行い切り替えショックを防止する観点からは、上記回転速度ωmの所定値は、典型的には、切替え周波数よりも小さい。また、モータ負荷トルクの脈動成分や電流検出誤差の影響を抑制するためには、軸誤差演算値Δθcをローパスフィルタや移動平均処理するか、もしくは電流位相制御器231の設定応答を小さくすることが好ましい。
【0072】
位相生成器236は、電流ベクトル位相θsを初期値(例えばゼロ)から徐々に(例えば線形に)所定値(例えば、45deg)まで変化させる。なお、この所定値は、最大起動負荷に相当する電流ベクトル位相θsの略半分とすることができる。
【0073】
切替器241は、位相生成器236から入力される位相(I側)と、電流位相制御器231から入力される位相(II側)とを切り替えて、余弦演算器232および正弦演算器233に出力する。本実施形態において、同期運転モードは、前半(第1の区間)および後続する後半(第2の区間)に分けられる。同期運転モード前半では、切替器241は、I側に接続され、位相生成器236を用いて、制御系軸の電流指令値の位相θsが初期値(例えばゼロ)から所定値(例えば、45deg)まで増大される。一方、同期運転モード後半では、切替器241は、II側に接続され、電流位相制御器231を用いて、制御系軸の電流指令値の位相θsを調整することにより、軸誤差Δθcを補正する。なお、切替器241は、電流ベクトル位相θsが所定値θsaになってから切り替えることとし、所定値θsaに達する前が、同期運転モード前半であり、所定値θsaを越えた以後が、同期運転モード後半である。
【0074】
入力される位相θsに基づく余弦演算器232からの出力に、同期運転中の電流指令の波高値(振幅設定値)Isyncが乗算器234で乗算され、その結果が、dc軸電流指令値Idc*として出力される。同様に、入力される位相θsに基づく正弦演算器233からの出力に、波高値Isyncが乗算器235で乗算され、その結果が、qc軸電流指令値Iqc*として出力される。なお、説明する実施形態では、加算器240により、乗算器235の出力に所定の補正量が加算される。
【0075】
上述した、qc軸電流指令値Iqc*に加算される補正量は、同期電流調整器237が計算する。同期電流調整器237は、電流位相制御器231からの電流ベクトル位相θsの入力を受けて、qc軸電流指令値Iqc*に加算するための補正量を計算する。同期電流調整器237は、同期電流補正器238、減算器239および切替器242を備える。減算器239は、電流位相制御器231からの電流ベクトル位相θsと、電流ベクトル位相に対する所定のリミッタ値θslimitとの差分を演算する。切替器242には、この差分(θs-θslimit)がII側に入力され、ゼロの位相差がI側に入力される。切替器242は、上述した切替器241と同じタイミングで切り替えられてもよい。同期運転モード前半では、切替器242の接点は、Iに接続されており、同期電流補正器238に固定値0が入力される。そのため、同期電流補正器238は、同期電流の補正量ΔIqc*として0を出力する。同期運転モード後半では、切替器242の接点は、IIに接続されており、同期電流補正器238には、電流ベクトル位相に対する所定のリミッタ値の差分(θs‐θslimit)が入力される。その場合、同期電流補正器238からは非ゼロの同期電流の補正量ΔIqc*が出力され、それが加算器240で乗算器235の出力に加算される。
【0076】
ここで、リミッタ値θslimitは、電流ベクトル位相θsが所定値を超過しないようにするためのリミッタ値θslimitである。上述したように電流ベクトル位相θsがπ/2のときにマグネットトルクが最大となり、位相θsがπ/2を超えると脱調するので、θslimitは、π/2よりも小さく設定する必要がある。好ましい実施形態では、リミッタ値θslimitは、制御系軸のd軸を基準とした場合に60degから90degの範囲である。リミッタ値θslimitは、例えば、π/2×(7/9)に設定することができる。同期電流補正器238からは、同期電流の補正量ΔIqc*が出力され、それがIsync×sinθsに加算されるので、これによりqc軸電流指令値Iqc*が増加し、マグネットトルクが増加する。その結果、θsはθslimitの近傍で制限され、脱調を防ぐことができる。
【0077】
同期電流補正器238は、積分制御または比例積分制御を用いることができる。同期電流補正器238が出力する補正量が負の数の場合、qc軸電流指令値Iqc*が減少し、強制的にθsがθslimitまで進んでしまうことになる。これを防ぐために、同期電流補正器238の出力には下限リミッタが設けられ、下限リミッタ値は、例えば0に設定することができる。これにより補正量が負の数となることはなくなる。
【0078】
上述した実施形態において、電流指令演算器209の出力は、下記のようになる。
【数4】
【0079】
なお、説明する実施形態では、同期運転モード後半では、qc軸電流指令値Iqc*に補正量ΔIqc*を加算するものとして説明したが、これに限定されるものではない。他の実施形態では、補正量ΔIqc*を加算することに代えて、あるいは、それとともに、同期運転中の電流指令の波高値Isyncを増大させ、これにより結果としてIqc*を大きくしてもよい。
【0080】
ここで、同期運転モード後半において補正量ΔIqc*の加算すること(または振幅設定値(波高値)Isyncを増大すること)の利点を明らかにするために、電流ベクトル位相θsのみを調整する場合(つまり、補正量ΔIqc*をゼロかつ波高値Isync一定とした、同期電流補正なしの場合)を検討する。上述した通り、q軸電流は、マグネットトルクに寄与する電流成分であるため、電流ベクトル位相θsがπ/2のときqc軸電流指令値Iqc*が波高値Isyncと等しくなり、マグネットトルクが最大となる。
【0081】
図7は、同期電流補正なしの場合において、軽負荷(A)、中負荷(B)および重負荷(C)の場合の制御系軸の電流指令値Idc
*,Iqc
*の位相(電流ベクトル位相)θsを説明する。
図7に示すように、負荷が重くなるにつれて、電流ベクトル位相θsが大きくなるように調整され、マグネットトルクに寄与するqc軸電流指令値Iqc
*が増大し、マグネットトルクも増加する。つまり、同期電流補正なしの場合は、
図7に示すように、負荷トルクに合わせてθsが調整され、ここで、θsの上限は、π/2である。
【0082】
図7(C)の重負荷よりも、さらに負荷が大きい場合を検討すると、同期電流補正なしの場合は、同期運転モード中に負荷トルクが大きくなり、電流ベクトル位相がπ/2を超過する(θs>π/2)と脱調してしまう。波高値Isyncが一定値であるので、電流ベクトル位相θsがπ/2のときにマグネットトルクが最大であるからである。よって脱調を防ぐためは、波高値Isyncを予め想定される負荷を考慮して充分に大きな値に設定しておく必要がある。
【0083】
ここで、同期運転モード後半において、電流ベクトル位相θsに加えて補正量ΔIqc*を加算する(または波高値Isyncを増大させる)場合、つまり上述した同期電流補正ありの場合を検討する。
【0084】
図8および
図9は、同期電流補正なしの場合および同期電流補正ありの場合について、負荷トルクを軽負荷、中負荷、重負荷および超重負荷の4段階に分けて説明する。
図8は、軽負荷(A,B)および中負荷(C,D)の場合の電流ベクトル位相θsおよび電流指令値Idc
*,Iqc
*の調整を説明する。
図9は、重負荷(A,B)および超重負荷(C,D)の場合の電流ベクトル位相θsおよび電流指令値Idc
*,Iqc
*の調整を説明する。なお、
図8および
図9の左側の図(
図8(A)、
図8(C)、
図9(A)および
図9(C))は、同期電流補正なしの場合を示し、
図8および
図9の右側の図(
図8(B)、
図8(D)、
図9(B)および
図9(D))は、同期電流補正ありの場合を示す。
【0085】
同期電流補正なしの場合、波高値Isyncは一定であり、負荷トルクが合わせてθsを調整することで、qc軸電流指令値Iqc*を調整している。一方、説明する実施形態において、同期電流補正ありの場合でも、軽負荷、中負荷および重負荷については、同様に負荷トルクに合わせてθsを調整することでqc軸電流指令値Iqc*を調整している。しかしながら、同期電流補正ありの場合、同期電流補正なしの場合に比較して波高値Isyncを小さく設定することができることから、同期電流補正なしの場合と比べると、同一負荷トルクではθsが大きくなる(より進む)。
【0086】
同期電流補正ありの場合であって、超重負荷の場合、説明する実施形態では、上記式(3)に示すように補正量ΔIqc
*が加算されて、qc軸電流指令値Iqc
*が増大される(
図9(D)の左)。あるいは、波高値Isyncを増加させる(Isync’(>Isync)を設定する)ことで、qc軸電流指令値Iqc
*が増大されてもよい(
図9(D)の右)。
【0087】
好ましい実施形態では、電流ベクトル位相θsに対して所定のリミッタ値θs
limitが設定されており、負荷の増加により、電流ベクトル位相θsがリミッタ値θs
limitに近づくと、qc軸電流指令値Iqc
*が増大され、
図9に示すように、マグネットトルクに寄与しない成分Idc
*が所定値を下回らないようされる。
【0088】
なお、上述した同期電流補正ありの場合、同期電流補正なしの場合と比較して小さな波高値Isyncを設定することができる旨を説明したが、さらに、位置決めモード時および同期運転モード前半において、モータ電流の波高値Isyncを徐々に増加させるように構成してもよい。特に、同期運転モード前半の同期電流の波高値Isyncは、同期運転モード後半の同期電流の波高値Isync’より小さく設定されることが好ましい。また、補正量ΔIqc*(および波高値Isync)は、段階的に増加させてもよいし、連続的に増加させてもよい。
【0089】
以下、
図10および
図11を参照しながら、位置決めモードから同期運転モード、さらに位置センサレス制御モードへ移行する際のモータ電流および位相の時間変化を、同期電流補正なしの場合および同期電流補正ありの場合について比較する。
図10は、同期電流補正なしの場合の起動時のモータ電流および位相の時間変化を示し、
図11は、同期電流補正ありの場合の起動時のモータ電流および位相の時間変化を示す。なお、
図10および
図11は、モータ起動時のシミュレーション波形図である。
【0090】
図10を参照すると明らかなように、同期電流補正なしの場合、位置決めモードと同期運転モード中のモータ電流の波高値は、一定である。特にモータ電流|I|をみると、同期運転モードにおいて、その振幅は、最初から大きく一定である。波高値を一定とするので、脱調を防ぐために波高値Isyncを高く設定する必要がある。一方、同期電流補正ありの場合、位置決めモードと同期運転モード中のモータ電流は、徐々に増加している。冷凍空調機用の圧縮機は、一般的に起動時において加速するにしたがって負荷トルクが増加する。そのため、本実施形態による同期運転モータ後半においては、負荷トルクにあわせてモータ電流が増加する。このため、位置決めモードおよび同期運転モード前半においてモータ電流の波高値を、同期電流補正なしの場合と比較して小さくすることができる。
【0091】
なお、
図10および
図11では、具体的な時間が示されるが、これは、用いる永久磁石同期モータの特性に依存するものであり、具体的な数値に特別な意味はない。
【0092】
以上説明したように、本開示によれば、外部環境情報を必要とせず、負荷にあわせてモータ起動時の電流を調整することで、モータの起動を安定化するとともに、起動初期の直流電流や低周波の交流電流を削減することで起動時にかかるインバータ回路への熱ストレスを低減し、インバータ回路の素子の疲労や劣化を抑制し、ひいては、インバータ回路を含む装置の故障の防止および長寿命化を図ることが可能な駆動制御装置、モータ装置、冷凍空調機および駆動制御方法を提供することが可能となる。
【0093】
本実施形態によるモータの駆動制御装置、駆動制御方法および冷凍空調機におけるインバータ回路においては、モータの起動時の初期に流れる電流を削減し、熱ストレスが可能な限り軽減される。特に、冷凍空調機の圧縮機など装置において、好適に、モータ駆動用インバータ回路の損耗を低減することにより、冷凍空調機など装置の故障の防止および長寿命化を図ることができる。
【0094】
なお、上述した実施形態では、冷凍空調機およびそれに関連するモータの駆動制御方法について、図面を参照しながら具体的な実施形態をもって説明した。しかしながら、本実施形態によるモータを制御する駆動制御装置およびモータを制御する駆動制御方法が適用可能なモータは、特に限定されるものではない。他の実施形態では、上述した冷凍空調機の圧縮機11のモータ以外にも、上述した室外ファン14や室内ファン23などの冷凍空調機のファン装置のモータに対して適用してもよい。さらに他の実施形態では、冷凍空調機以外の装置のファン装置のモータに適用されてもよい。すなわち、本開示によれば、上述した特徴を有する、モータおよび駆動制御装置を備えるファン装置が提供されてもよい。
【0095】
なお、本発明の実施形態は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれ得る。例えば、上記した実施形態は、分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0096】
また上記の各構成、機能、処理部、処理手段等の一部または全部は、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。さらに、上記の各構成、機能等の一部または全部は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述された、プロセッサがそれぞれの機能を実現するコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリなどの記憶装置、フレキシブルディスク、CD-ROM、CD-RW、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-RW、ブルーレイディスク、SD(登録商標)カード、MOなど装置可読な記録媒体に格納して、あるいは電気通信回線を通じて頒布することができる。
【0097】
また、さらに、上記の各構成、機能等の一部または全部は、例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのプログラマブル・デバイス(PD)上に実装することができ、上記機能部をPD上に実現するためにPDにダウンロードする回路構成データ(ビットストリームデータ)、回路構成データを生成するためのHDL(Hardware Description Language)、VHDL(Very High Speed Integrated Circuits Hardware Description Language)、Verilog-HDLなどにより記述されたデータとして記録媒体により配布することができる。また制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また以上の説明で例示した各種のデータの形式は、例えば、CSV(Comma-Separated Values)、XML(eXtensible Markup Language)、バイナリ(binary)などにより構成することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0098】
1…空気調和機、Q…冷媒回路、10…室外機、11…圧縮機、12…アキュムレータ、13…室外熱交換器、14…室外ファン、15…四方弁、18a…ガス阻止弁、18b…液阻止弁、19a…吸入圧力センサ、19b…吐出圧力センサ、19c…吐出温度センサ、19d…温度センサ、19g…外気温度センサ、19h…室外熱交換器中間温度センサ、20…室内機、21…室内膨張弁、22…室内熱交換器、23…室内ファン、24…室内電磁弁、25…室内熱交換器中間温度センサ、30…制御装置、100…モータ駆動制御装置100、101…交流電源、102…モータ、110…コンバータ部、111…整流回路、112‥ダイオード、113…平滑リアクトル、114…平滑コンデンサ、120…インバータ部、121…直流電圧検出部、122…インバータ回路、123…半導体スイッチング素子、124…ダイオード、125,126…電流センサ、127…ゲートドライブ回路、128…インバータ制御器、200…インバータ制御器の機能ブロック、207…PLL制御器、208…位相演算器、209…電流指令演算器、210…速度制御器、211…d軸電流指令発生器、212…電圧指令制御器、213…2軸/3相変換器、214…軸誤差演算器、215…3相/2軸変換器、216…電流再現演算器、217…PWM制御器、219a,219b,219c,241,242…切替器、231…電流位相制御器、232…余弦演算器、233…正弦演算器、234,235…乗算器、236…位相生成器、237…同期電流調整器、238…同期電流調整器、239…減算器、240…加算器、260…dqベクトル制御部