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特開2024-88986建造物の基礎構造及び建造物の基礎構造の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088986
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】建造物の基礎構造及び建造物の基礎構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20240626BHJP
   E02D 27/42 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
E02D27/00 D
E02D27/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204079
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 健司
(72)【発明者】
【氏名】酒井 正樹
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046AA15
2D046DA36
2D046DA37
(57)【要約】
【課題】効率的な掘削及び充填部材の充填を実現できる基礎構造1を提供すること。
【解決手段】本実施形態の建造物110の基礎構造1は、地盤100に形成される第1設置穴11と、第1設置穴11に連通し、第1設置穴11に対して相対的に細く形成される第2設置穴12と、第1設置穴11に配置される柱脚部13と、柱脚部13に接続され、少なくとも一部が第2設置穴12に配置される芯材14と、第1設置穴11と柱脚部13の間に充填されるとともに、第2設置穴12と芯材14の間に充填されて柱脚部13及び芯材14を固定する充填部材15と、を有する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に形成される第1設置穴と、
前記第1設置穴に連通し、前記第1設置穴に対して相対的に細く形成される第2設置穴と、
前記第1設置穴に配置される柱脚部と、
前記柱脚部に接続され、少なくとも一部が前記第2設置穴に配置される芯材と、
前記第1設置穴と前記柱脚部の間に充填されるとともに、前記第2設置穴と前記芯材の間に充填されて前記柱脚部及び前記芯材を固定する充填部材と、を有する、建造物の基礎構造。
【請求項2】
前記第2設置穴は、前記第1設置穴から下方に延びるように形成され、
前記芯材は、前記柱脚部から下方に延びるように配置される、請求項1に記載の建造物の基礎構造。
【請求項3】
前記芯材は、該芯材の延びる方向に対して交差する方向に延びるアンカーを有する、請求項2に記載の建造物の基礎構造。
【請求項4】
前記第2設置穴は、前記第1設置穴から水平方向に沿うように形成され、
前記芯材は、前記柱脚部から水平方向に延びるように配置される、請求項1に記載の建造物の基礎構造。
【請求項5】
前記芯材は、該芯材の延びる方向に対して交差する方向に延びる杭部を有する、請求項4に記載の建造物の基礎構造。
【請求項6】
前記第2設置穴の開口面積は、前記第1設置穴の開口面積よりも小さい、請求項1に記載の建造物の基礎構造。
【請求項7】
前記第1設置穴及び前記第2設置穴は、それぞれ、丸穴又は矩形穴である、請求項1に記載の建造物の基礎構造。
【請求項8】
前記第2設置穴は、その全部が平面視で前記第1設置穴の内側に配置されるとともに、その中心が前記第1設置穴の中心とずれている、請求項1に記載の建造物の基礎構造。
【請求項9】
前記柱脚部は、その一部が平面視で前記第2設置穴の内側に配置される、請求項1に記載の建造物の基礎構造。
【請求項10】
前記第2設置穴の底面が、前記第1設置穴の底面よりも上方に配置される、請求項4に記載の建造物の基礎構造。
【請求項11】
前記第2設置穴における前記第1設置穴から延びる方向の長さが、前記第1設置穴の深さよりも長く形成される、請求項1から10までの何れか一項に記載の建造物の基礎構造。
【請求項12】
地盤に形成される第1設置穴と、前記第1設置穴に連通し、前記第1設置穴に対して相対的に細く形成される第2設置穴と、を掘削する掘削工程と、
前記第1設置穴に柱脚部を配置するとともに、前記柱脚部に接続される芯材の少なくとも一部を前記第2設置穴に配置する配置工程と、
充填部材を、前記第1設置穴と前記柱脚部の間に充填するとともに、前記第2設置穴と前記芯材の間に充填し、前記柱脚部及び前記芯材を固定する充填工程と、を含む、建造物の基礎構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建造物の基礎構造及び建造物の基礎構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物の基礎構造において、建造物を支持する支柱が埋設される地盤にコンクリート等の充填部材を充填し、充填部材を硬化させることによって建造物の支柱を固定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-167669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充填部材としてのコンクリートの打設には、支柱等を支持するために穴を掘削する必要がある。穴のサイズが大きくなれば掘削量及び充填部材の充填量が多くなり、硬化までの時間も長くなる。掘削工程や充填工程の効率化という観点で従来技術には改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、地盤に形成される第1設置穴と、前記第1設置穴に連通し、前記第1設置穴に対して相対的に細く形成される第2設置穴と、前記第1設置穴に配置される柱脚部と、前記柱脚部に接続され、少なくとも一部が前記第2設置穴に配置される芯材と、前記第1設置穴と前記柱脚部の間に充填されるとともに、前記第2設置穴と前記芯材の間に充填されて前記柱脚部及び前記芯材を固定する充填部材と、を有する、建造物の基礎構造に関する。
【0006】
また、本開示は、地盤に形成される第1設置穴と、前記第1設置穴に連通し、前記第1設置穴に対して相対的に細く形成される第2設置穴と、を掘削する掘削工程と、前記第1設置穴に柱脚部を配置するとともに、前記柱脚部に接続される芯材の少なくとも一部を前記第2設置穴に配置する配置工程と、充填部材を、前記第1設置穴と前記柱脚部の間に充填するとともに、前記第2設置穴と前記芯材の間に充填し、前記柱脚部及び前記芯材を固定する充填工程と、を含む、建造物の基礎構造の施工方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の建造物の基礎構造が適用される建造物の縦断面図である。
図2A】第1実施形態の建造物の基礎構造の縦断面図である。
図2B】第1実施形態の建造物の基礎構造の横断面図である。
図3A】第2実施形態の建造物の基礎構造の縦断面図である。
図3B】第2実施形態の建造物の基礎構造の横断面図である。
図4A】第3実施形態の建造物の基礎構造の縦断面図である。
図4B】第3実施形態の建造物の基礎構造の横断面図である。
図5A】第4実施形態の建造物の基礎構造の縦断面図である。
図5B】第4実施形態の建造物の基礎構造の横断面図である。
図6】第5実施形態の建造物の基礎構造の縦断面図である。
図7】第6実施形態の建造物の基礎構造が適用される建造物の縦断面図である。
図8】本実施形態の建造物の基礎構造の施工方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示す第1実施形態の基礎構造1が適用される建造物110は、支柱111の上部に屋根(梁)112を配置して構成される。建造物110は、例えば、カーポートやテラス等のエクステリアで用いられる建造物である。なお、建造物110がこの構成にされる訳ではなく、エクステリア以外の他の用途の建造物であってもよい。
【0009】
第1実施形態の建造物110の基礎構造1は、支柱111の下部である柱脚部13を支持する地中の構造である。本実施形態では、基礎構造1を囲むように土間コンクリート17が配置されている。
【0010】
図2A及び図2Bに示すように、建造物110の基礎構造1は、第1設置穴11と、第2設置穴12と、柱脚部13と、芯材14と、充填部材15と、を有する。
【0011】
第1設置穴11は、地盤100に掘削される掘削穴である。本実施形態における第1設置穴11は、柱脚部13の一部(下端部)と芯材14の一部(上端部)が埋められて配置される穴である。この第1設置穴11の定義については、後述する各実施形態においても同様である。
【0012】
第1設置穴11は、例えば、掘削量削減の観点から、開口部が平面視において横幅500mm以下、縦幅500mm以下のサイズとなる角穴に形成される。本実施形態では、第1設置穴11の開口部は、平面視において横幅W1=320mm、縦幅H1=270mmのサイズで構成される。第1設置穴11のグランドラインからの深さD1は、例えば、300mmである。また、第1設置穴11の下部には、砂利層21が形成される。
【0013】
第2設置穴12は、第1設置穴11に連通する第2の掘削穴である。本実施形態における第2設置穴12は、芯材14のみが埋められて配置される穴である。この第2設置穴12の定義については、後述する各実施形態においても同様である。
【0014】
本実施形態では、第2設置穴12は、平面視において第1設置穴11と一部が重なる位置に丸穴として形成される。その中心52が第1設置穴11の中心51とずれており、第1設置穴11と第2設置穴12は互いに偏心して配置されている。これにより、第1設置穴11に埋められる柱脚部13の外周部に、第2設置穴12に埋められる芯材14を固定することができる。なお本実施形態では、第2設置穴12はその一部が平面視で第1設置穴の外側にはみ出して配置されているが、平面視で第2設置穴12の全部が第1設置穴11の内側に配置されていてもよい。この第2設置穴12の下方にも、砂利層22が形成される。
【0015】
第2設置穴12は、地盤100において第1設置穴11よりも深い位置まで形成される。例えば、第2設置穴12は、そのグランドラインからの深さが1000mmになるように形成され、第1設置穴11の底部から第2設置穴12の底部までの長さL1は700mmになるように形成される。また、第2設置穴12は、その開口面積が第1設置穴11の開口面積よりも小さくなっており、第1設置穴11に対して相対的に細い穴として形成される。
【0016】
第2設置穴12の開口部は、掘削量削減や掘削機を利用する等の観点から直径100mm以上200mm以下の範囲の円であることが好ましい。本実施形態では、第2設置穴12の開口部は、直径R1=150mmの円で構成される。このように、横幅W1=320mm、縦幅H1=270mmのサイズで構成される第1設置穴11の開口面積よりも、第2設置穴12の開口面積の方が小さくなっている。
【0017】
柱脚部13は、地面から上方に延びる支柱111の足元を構成する長尺の部材である。柱脚部13は、例えば方形筒状のアルミニウム合金製の型材である。柱脚部13は、下端側が地盤100に埋設され、地上に延びて、上端側が屋根(梁)112に連結される。
【0018】
柱脚部13は、その底部が第1設置穴11に位置するように配置される。本実施形態では、その下面が第1設置穴11の底面に対向しており、砂利層21の上方に位置する。また、柱脚部13は、その一部が平面視で第2設置穴12の内側に配置されている。即ち、柱脚部13の下面の一部は、平面視において第2設置穴12にも重なる位置関係となっている。これにより、後述する芯材14を柱脚部13の外周部に固定し易くなっている。
【0019】
本実施形態の柱脚部13の中空部分の内側には、角筒状の補強材16が配置される。これによって柱脚部13の剛性が補強されている。
【0020】
柱脚部13の下部には、アンカー31が固定される。アンカー31は、水平方向に延びる棒状の部材である。アンカー31は、第1設置穴11の深さ方向において中間位置よりも下方に位置する。このアンカー31によって後述する充填部材15による柱脚部13の固定がより強固なものとなっている。
【0021】
芯材14は、アルミニウム合金製の角筒状の部材である。ただし、芯材14の断面形状は問われず、中実の部材であってもよい。芯材14の縦方向の最大寸法は、柱脚部13の縦方向の最大寸法よりも小さく、芯材14の横方向の最大寸法は、柱脚部13の横方向の最大寸法よりも小さく設定されている。
【0022】
芯材14は、柱脚部13に固定される。好ましくは、芯材14は、柱脚部13の外周部に直接固定される。例えば、芯材14は、ボルトやナット等の複数の締結部材35によって柱脚部13の下部側面に機械的に固定される。この実施形態では、柱脚部13の下部と芯材14の上部が水平方向で重なっている。
【0023】
芯材14は、第1設置穴11から第2設置穴12にわたるように長尺に形成される。本実施形態では、芯材14は柱脚部13よりも断面積が小さい細長の部材である。芯材14は、その底部が第2設置穴12に位置するように配置される。本実施形態では、芯材14の下面が第2設置穴12の底面に対向しており、砂利層22の上方に位置する。
【0024】
芯材14の下部には、アンカー32が固定される。アンカー32は、水平方向に延びる棒状の部材である。アンカー32は、第2設置穴12の深さ方向において中間位置よりも下方に位置する。このアンカー32によって後述する充填部材15による芯材14の固定がより強固なものとなっている。
【0025】
充填部材15は、第1設置穴11及び第2設置穴12の内部で、柱脚部13と芯材14の隙間に充填される。充填部材15は、セメントを含む水硬化性の結合材であり、柱脚部13と芯材14を第1設置穴11及び第2設置穴12の内部で固定する。本実施形態では、充填部材15はコンクリートである。充填部材15は、コンクリートの他、モルタル、ポリマーセメントモルタル等を含んでよい。
【0026】
充填部材15の打設の後、土間コンクリート17の打設が行われる。なお、本実施形態では、充填部材15と土間コンクリート17を打設するタイミングが異なっているが、充填部材15と土間コンクリート17を同じタイミングで打設してもよい。この場合、充填部材15と土間コンクリート17は一体的な構造となる。
【0027】
以上説明した第1実施形態によれば以下の効果を奏する。本実施形態の建造物110の基礎構造1は、地盤100に形成される第1設置穴11と、第1設置穴11に連通し、第1設置穴11に対して相対的に細く形成される第2設置穴12と、第1設置穴11に配置される柱脚部13と、柱脚部13に接続され、少なくとも一部が第2設置穴12に配置される芯材14と、第1設置穴11と柱脚部13の間に充填されるとともに、第2設置穴12と芯材14の間に充填されて柱脚部13及び芯材14を固定する充填部材15と、を有する。このように、第1設置穴11より細い第2設置穴12に芯材14を配置することにより、固定力を維持しつつ、掘削量と充填部材15の充填量の削減を達成でき、省施工化を実現できる。
【0028】
また、第1実施形態では、第2設置穴12は、第1設置穴11から下方に延びるように形成され、芯材14は、柱脚部13から下方に延びるように配置される。これにより、第2設置穴12により、強度を向上させるための深さを確保できるので、掘削量及び充填部材15の低減しつつ、より高い強度を実現できる。第1設置穴11の掘削方向と同じ方向で第2設置穴12を掘削することができるので、掘削作業を効率的に行うことができる。
【0029】
また、第1実施形態では、芯材14は、該芯材14の延びる方向に対して交差する方向に延びるアンカー32を有する。これにより、柱脚部13よりも下側に位置する芯材14の第2設置穴12内における固定をより強固なものにすることができ、より安定的な基礎構造を実現できる。
【0030】
また、第1実施形態では、第2設置穴12における第1設置穴11から延びる方向の長さL1が、第1設置穴11の深さD1よりも長く形成される。これにより、第1設置穴11よりも相対的に細い(開口面積が小さい)第2設置穴12で所定方向(下方)への掘削量を補うことができる。従って、芯材14と充填部材15による固定をより強固なものにしつつ、掘削量の低減を実現できる。
【0031】
以上、第1実施形態の構成について説明した。なお、上記実施形態の構成に限定される訳ではない。例えば、補強材16、アンカー31,32の一部又は全部を省略してもよいし、締結部材35以外の方法を用いて柱脚部13と芯材14を固定する構成としてもよい。
【0032】
次に、第1実施形態と異なる実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上述した構成と共通又は同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0033】
図3A及び図3Bは、第2実施形態の建造物110の基礎構造1Aに関する。図3A及び図3Bに示すように、建造物110の基礎構造1Aは、第2設置穴12Aが2箇所形成されるとともに、2箇所の第2設置穴12Aに対応するために芯材14Aが2個配置される。
【0034】
第1設置穴11Aは、平面視において横幅W2、縦幅H2の矩形の開口部を有する角穴である。2個の第2設置穴12Aは、いずれも第1設置穴11Aの底面に形成されており、第1設置穴11Aから鉛直下方に延びている。2個の第2設置穴12Aは、平面視において開口部が直径R2の円で形成される丸穴である。2個の第2設置穴12Aは、第1設置穴11Aの底面の内側に入っており、2個の第2設置穴12Aの開口面積の合計よりも、横幅W2と縦幅H2のサイズで形成される第1設置穴11Aの開口面積の方が大きくなっている。また、第2実施形態においても、第1設置穴11Aの深さD2よりも、第2設置穴12Aの長さL2の方が長くなっている。
【0035】
2個の芯材14Aは、2個の第2設置穴12Aのそれぞれに配置される。この状態で充填部材15が充填されることにより、柱脚部13Aが第1設置穴11Aで固定されるとともに、2個の芯材14Aが第2設置穴12Aのそれぞれで固定される。このように、複数の芯材14Aが別の場所に位置する第2設置穴12Aで固定されることにより、柱脚部13Aの支持をより強固なものにすることができる。
【0036】
なお、複数の芯材14Aを利用するので、第1設置穴11Aの深さD2よりも、第2設置穴12Aの長さL2の方が短く形成されてもよい。また、第2実施形態では、2個の芯材14Aが配置される例を説明したが、この構成に限定される訳ではなく、芯材は3個以上あってもよい。例えば、直方体の柱脚部の4つの側面4のそれぞれに芯材が固定される構成であってもよい。
【0037】
図4A及び図4Bは、第3実施形態の建造物110の基礎構造1Bに関する。図4A及び図4Bに示すように、建造物110の基礎構造1Bは、第2設置穴12Bが柱脚部13Bの直下に形成されている。
【0038】
第2設置穴12Bは、第1設置穴11Bの中央部に丸穴として形成されており、その直径R3が平面視において柱脚部13Bがはみ出すようなサイズに設定されている。第2設置穴12Bの開口面積は、横幅W3と縦幅H3のサイズで形成される第1設置穴11Bの開口面積よりも小さくなっているが、柱脚部13Bを第1設置穴11Bで保持できるようなサイズとなっている。換言すると、第2設置穴12Bは、平面視において柱脚部13Bが全て含まれる形状ではなく、柱脚部13Bに重ならない部分が第1設置穴11Bに連通する構成となっている。
【0039】
第2設置穴12Bは、第1設置穴11Bから底部までの長さL3が第1設置穴11Bの深さD3よりも長くなるように形成されている。この第2設置穴12Bに芯材14Bが配置される。
【0040】
芯材14Bは、柱脚部13Bの底面に固定される。芯材14Bは、柱脚部13Bよりも細い長尺部材であり、芯材14Bの上部が柱脚部13Bの中空部分に入り込む構成となっている。
【0041】
この構成で、充填部材15が第1設置穴11Bから柱脚部13Bとの隙間を通じて第2設置穴12Bに充填され、第1設置穴11Bに柱脚部13Bが固定され、第2設置穴12Bに芯材14Bが固定される。
【0042】
第2実施形態及び第3実施形態の何れにおいても、第1実施形態のアンカー31,32を配置する構成としてもよい。また、上記実施形態では、第2設置穴12,12A,12Bの何れもが、第1設置穴11よりも下方に延びる部分を有する構成であるが、この構成に限定される訳ではない。
【0043】
図5A及び図5Bは、第4実施形態の建造物110の基礎構造1Cに関する。図5A及び図5Bに示すように、建造物110の基礎構造1Cは、第1設置穴11Cの上部側面から水平方向に延びる第2設置穴12Cが形成されている。
【0044】
第2設置穴12Cは、第1設置穴11Cから延びる水平方向の長さL4が第1設置穴11Cの深さD4よりも長く形成される。また、第1設置穴11Cの開口面積よりも、第2設置穴12Cの開口面積が小さくなるように構成される。第2設置穴12Cが丸穴の場合、横幅W4、縦幅H4のサイズで形成される第1設置穴11Cの開口面積よりも小さくなるように第2設置穴12Cの直径R4が設定される。図5Aに示すように、第2設置穴12Cは、その底面92が第1設置穴11Cの底面91よりも上方に配置されている。即ち、第2設置穴12Cの深さが浅いため、掘削が容易となっている。
【0045】
芯材14Cは、柱脚部13Cの下部を水平方向で貫通し、第1設置穴11Cから第2設置穴12Cの端まで延びるように形成される。従って、芯材14Cは、柱脚部13Cを水平方向において第2設置穴12C側の長軸部18と、その反対側に位置する短軸部19が存在する状態となる。
【0046】
この構成で、充填部材15が第1設置穴11C及び第2設置穴12Cに充填され、第1設置穴11Cに柱脚部13Cが固定され、第2設置穴12Cに芯材14Cが固定される。本実施形態では、芯材14Cは、その短軸部19が第1設置穴11Cで固定され、長軸部18の大部分が第2設置穴12Cで固定されるので、水平方向においても柱脚部13Cの固定をより強固にすることができる。
【0047】
以上説明したように、第4実施形態では、第2設置穴12Cは、第1設置穴11Cから水平方向に沿うように形成され、芯材14Cは、柱脚部13Cから水平方向に延びるように配置される。これにより、水平方向での柱脚部13Cの固定力を強化でき、地盤100の状況や柱脚部13Cが支持する建造物110にも柔軟に対応できる。
【0048】
また、第1設置穴11Cよりも相対的に細い(開口面積が小さい)第2設置穴12Cで所定方向(水平方向)への掘削量を補うことができる。従って、芯材14Cと充填部材15による固定をより強固なものにしつつ、掘削量の低減を実現できる。
【0049】
図6に示すように、第5実施形態の建造物110の基礎構造1Dは、第4実施形態の建造物110の基礎構造1Cと基本的な構成は共通である。
【0050】
第5実施形態の建造物110の基礎構造1Dは、第2設置穴12Cの端から更に下方に延びる第3設置穴40と、第3設置穴40に向けて芯材14Cの端部から下方に延びる杭部41と、を更に有する点が第4実施形態と異なっている。杭部41は、芯材14Cの先端部よりも下方に延びるように形成される。本実施形態では、杭部41は、その鉛直方向の長さが第3設置穴40の内側に位置するように構成される。
【0051】
以上説明したように、第5実施形態の芯材14Cは、該芯材14Cの延びる方向に対して交差する方向に延びる杭部41を有する。これにより、水平方向に沿うように延びる芯材14Cに交差する杭部41によっても、地盤反力や水平力に効果的に対向でき、柱脚部13Cをより一層強固に固定できる。
【0052】
図7に示す第6実施形態の建造物110Aは、四輪自動車を2台横並びで配置できるワイドタイプのカーポートである。この建造物110Aの基礎構造1Eは、他の基礎構造1Fと芯材14Eを介して接続されている点が上記実施形態と異なっている。
【0053】
第6実施形態の建造物110Aの基礎構造1Eは、第1設置穴11E、第2設置穴12E、柱脚部13E、芯材14E及び充填部材15を備える。他の基礎構造1Fは、第1設置穴11F、第2設置穴12E、柱脚部13F、芯材14E及び充填部材15を備える。このうち、第1設置穴11Eと第1設置穴11Fはそれぞれ別体であり、柱脚部13Eと柱脚部13Fも別体である。しかしながら、第2設置穴12Eと芯材14Eは、基礎構造1Eと基礎構造1Fの共通する構成となっている。
【0054】
第2設置穴12Eは、第1設置穴11Eの上部側面から第1設置穴11Fの上部側面まで達する水平方向に延びる細長の穴として形成される。従って、第2設置穴12Eの一側の端部が第1設置穴11Eに連通し、他側の端部が第1設置穴11Fに連通する構成となっている。芯材14Eは、第2設置穴12Eに配置される。芯材14Eは、一側の端部が柱脚部13Eに連結されるとともに、他側の端部が柱脚部13Fに連結される。
【0055】
この構成で、充填部材15が充填されることにより、第1設置穴11Eの柱脚部13E、第2設置穴12Eの芯材14E、第1設置穴11Fの柱脚部13Fのそれぞれが接続された状態で固定される。この構成によっても、第1設置穴11Eや第1設置穴11Fにおける深さ方向の掘削量を削減しつつ、柱脚部13Eや柱脚部13Fの強固な支持を実現できる。地盤100の関係から掘削を深いところまでできない場合でも、本構成により対応することができる。
【0056】
次に、建造物110の基礎構造1の施工方法について説明する。なお、以下の例では第1実施形態の建造物110の基礎構造1の施工を例に説明するが、第2実施形態~第6実施形態においても、施工方法は同様である。
【0057】
図8に示すように、建造物110の基礎構造1の施工が開始されると、地盤100に第1設置穴11及び第2設置穴12を形成する掘削工程が実行される(ステップS1)。掘削工程では、地盤100における柱脚部13を設置したい位置に第1設置穴11及び第2設置穴12を掘削する。
【0058】
掘削は、例えば、アースオーガ工法を実現する掘削機やシャベル等を用いて行われる。掘削機を利用することにより、小さいサイズの丸穴を速やかに形成できる。従って、掘削機を用いることにより、第2設置穴12を形成する施工時間を効果的に短縮できる。なお、地盤100は、設置したい建造物110がカーポートやテラス等の場合、多くは地面の上にコンクリートが敷設された改良地盤、所謂土間コンクリートである場合もある。この場合、コアドリル等を用いて孔を掘削してもよい。
【0059】
ステップS1の掘削工程の後、柱脚部13及び芯材14を配置する配置工程が実行される(ステップS2)。配置工程では、柱脚部13が第1設置穴11に配置されるとともに、芯材14が第2設置穴12に配置される。柱脚部13と芯材14は、予め固定されているが、これに限定される訳ではない。第1設置穴11及び第2設置穴12に収容した状態で柱脚部13と芯材14の固定作業を行ってもよい。あるいは、柱脚部13と芯材14が一体的な部材によって構成されるものを用いてもよい。
【0060】
ステップS2の配置工程の後、充填部材15を充填する充填工程が施工者によって実行される(ステップS3)。充填工程では、第1設置穴11及び第2設置穴12に柱脚部13及び芯材14を配置した状態を保持しながらコンクリート等の充填部材15が導入される。充填部材15は、第1設置穴11と当該第1設置穴11に連通する第2設置穴12を満たし、時間の経過とともに効果する。これによって、第2設置穴12に芯材14が固定されるとともに、第1設置穴11に柱脚部13が固定され、柱脚部13がしっかりと支持された状態となる。なお、上述の通り、充填工程では、基礎構造を打設する工程と、土間コンクリートを打設する工程と、分けてもよいし、同時に行ってもよい。
【0061】
以上説明したように、建造物110の基礎構造の施工方法は、地盤100に形成される第1設置穴11と、第1設置穴11に連通し、第1設置穴11穴に対して相対的に細く形成される第2設置穴12と、を掘削する掘削工程と、第1設置穴11に柱脚部13を配置するとともに、柱脚部13に接続される芯材14の少なくとも一部を第2設置穴12に配置する配置工程と、充填部材15を、第1設置穴11と柱脚部13の間に充填するとともに、第2設置穴12と芯材14の間に充填し、柱脚部13及び芯材14を固定する充填工程と、を含む。このように、第1設置穴11より細い第2設置穴12に芯材14を配置することにより、固定力を維持しつつ、掘削量と充填部材15の充填量の削減を達成でき、省施工化を実現できる。また本開示によれば、第1設置穴11及び第2設置穴12を同時に充填することができ、充填工程を1回で完了させることができるため、作業効率を向上することができる。
【0062】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲で変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、第1設置穴や第2設置穴は、矩形穴であっても丸穴であってもよく、その形状が限定される訳ではない。
【符号の説明】
【0063】
1 基礎構造、 11 第1設置穴、 12 第2設置穴、 13 柱脚部、 14 芯材、 15 充填部材、 110 建造物
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8