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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008900
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】細長い内視鏡カバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A61B1/00 653
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023110894
(22)【出願日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】63/358,751
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケスター・ジュリアン・バッチェラー
(72)【発明者】
【氏名】エリカ・マッテス
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ケー・レッシグ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・アール・ピロッツィ
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF36
4C161FF43
4C161GG14
4C161GG25
(57)【要約】
【課題】本発明は、細長い内視鏡カバーを提供する。
【解決手段】細長いカバーが、内視鏡の外面をカバーするように使用され得る。例えば、細長いカバーは、可撓性薄肉チューブを含んでもまたはそれを使用してもよい。薄肉チューブは、遠位端部および開放近位端部と、それらの間に延在する細長いチューブ状部分と、を含み得る。細長いチューブ状部分は、十二指腸内視鏡の細長い部分を囲んで、細長い部分に係合するようなサイズおよび形状であってもよい。カバーはまた、可撓性薄肉チューブの一部に配置された、膨張可能なバルーンなどの拡張可能なスタビライザを含んでもまたはそれを使用してもよい。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
十二指腸の内視鏡アクセス中に使用する十二指腸内視鏡のための使い捨ての細長いカバーであって、前記カバーが、
遠位端部および開放近位端部と、前記遠位端部と前記開放近位端部との間に延在し、前記十二指腸内視鏡の細長い部分を囲んで前記細長い部分に係合するようなサイズおよび形状にされた細長いチューブ状部分と、を含む可撓性薄肉チューブと、
前記可撓性薄肉チューブの一部に配置され、前記細長いチューブ状部分に対して横方向に拡張可能な、拡張可能なスタビライザであって、前記スタビライザが、前記十二指腸に対して前記可撓性薄肉チューブを安定させるために拡張されるように構成される、拡張可能なスタビライザと、
前記遠位端部で前記可撓性薄肉チューブから遠位に延在する端部キャップであって、前記端部キャップが、前記十二指腸内視鏡を通って延在するドータスコープの遠位部分が横方向に出ていくことを可能にするようなサイズおよび形状にされたポートを含む、端部キャップと、
を備える、使い捨ての細長いカバー。
【請求項2】
前記端部キャップが、十二指腸内視鏡の遠位端部と接合するようなサイズおよび形状にされた少なくとも1つの連結形体を含む、請求項1に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項3】
前記端部キャップが、透明材料を含み、前記透明材料が、前記透明材料を通して視覚化することを可能にするように構成される、請求項1に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項4】
前記拡張可能なスタビライザが、前記十二指腸に対して拡張するように構成される膨張可能なバルーンを含み、前記バルーンが、膨張状態と収縮状態との間で変化するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項5】
前記膨張可能なバルーンと前記可撓性薄肉チューブの前記開放近位端部との間に延在する細長い流体連通容器を更に備える、請求項4に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項6】
前記膨張可能なバルーンが、概ねトロイダル形状であり、前記可撓性薄肉チューブが、前記トロイダル形状バルーンの開口部内に延在する、請求項4に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項7】
前記可撓性薄肉チューブが、前記バルーンのトロイダル中心軸からオフセットされた、前記バルーンのトロイダル開口部内に延在する、請求項6に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項8】
前記バルーンが、1cmHO~30cmHOの間の圧力まで最大限に膨張可能であるような定格とされる、請求項4に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項9】
前記バルーンが、前記膨張状態で、20cm~45cmの間の外径を有する、請求項4に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項10】
前記細長いチューブ状部分の内面が、摂氏40度の周囲温度で0.70より大きい静止摩擦係数を有する、請求項1に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項11】
前記細長いチューブ状部分の内面が、前記十二指腸内視鏡の前記細長い部分と係合するように構成される複数の摩擦形体を含む、請求項1に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項12】
前記複数の摩擦形体が、前記細長いチューブ状部分の前記内面の長さに沿った複数のリブ状形体を含む、請求項11に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項13】
前記細長いチューブ状部分または前記拡張可能なスタビライザの外面に含まれる液体潤滑剤、薬剤、または殺生物剤のうちの少なくとも1つを更に備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項14】
前記細長いチューブ状部分または前記拡張可能なスタビライザの外面に含まれる水活性化親水性コーティング、疎水性コーティング、または抗生物質コーティングのうちの1つを更に備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項15】
前記細長いチューブ状部分の内面が、前記細長いチューブ状部分の外面よりも大きい静止摩擦係数を有する、請求項1に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項16】
前記細長いチューブ状部分が、0.15mm未満の壁厚を有する、請求項1に記載の使い捨ての細長いカバー。
【請求項17】
患者の胃の幽門よりも下の解剖学的構造にアクセスするための内視鏡システムであって、前記内視鏡システムが、
患者の十二指腸に向かって患者の食道に挿入するようなサイズおよび形状にされた内視鏡であって、前記内視鏡が、近位部分および遠位部分、ならびに前記近位部分と前記遠位部分との間に延在するアクセス内腔を含み、前記アクセス内腔が、二次医療器具を受け入れて通過させるための内径を提供する、内視鏡と、
前記内視鏡のための細長いカバーであって、前記カバーが、
遠位端部および開放近位端部と、前記遠位端部と前記開放近位端部との間に延在し、前記内視鏡の細長い部分を囲んで前記細長い部分に係合するようなサイズおよび形状にされた細長いチューブ状部分と、を含む可撓性薄肉チューブと、
前記可撓性薄肉チューブの一部に配置され、前記細長いチューブ状部分に対して横方向に拡張可能な、拡張可能なスタビライザであって、前記スタビライザが、標的部位で患者の解剖学的構造に対して前記可撓性薄肉チューブを安定させるために拡張されるように構成される、拡張可能なスタビライザと、
を含む、細長いカバーと、
を備える、内視鏡システム。
【請求項18】
前記細長いカバーが、前記遠位端部で前記可撓性薄肉チューブから遠位に延在する端部キャップを含み、前記端部キャップが、前記内視鏡から前記患者の解剖学的構造の前記標的部位への観察または進入を可能にするようなサイズおよび形状にされたサイドポートを含む、請求項17に記載の内視鏡システム。
【請求項19】
前記拡張可能なスタビライザが、前記十二指腸に対して拡張するように構成される膨張可能なバルーンを含み、前記バルーンが、膨張状態と収縮状態との間で変化するように構成される、請求項17または18に記載の内視鏡システム。
【請求項20】
前記細長いチューブ状部分が、前記バルーンが前記収縮状態にあるとき、弾性部分を含み、
前記細長いチューブ状部分の内径が、前記内視鏡の前記細長い部分の外径よりも小さく、
前記細長いチューブ状部分の前記小さい内径が、前記内視鏡の前記細長い部分の前記大きい直径の周りで伸縮可能である、請求項19に記載の内視鏡システム。
【請求項21】
前記膨張状態のバルーンが、20cm~45cmの間の外径を有する、請求項20に記載の内視鏡システム。
【請求項22】
患者の胃の幽門よりも下の解剖学的構造にアクセスするための内視鏡検査方法であって、前記内視鏡検査方法が、
患者の十二指腸に向かって患者の食道に挿入するようなサイズおよび形状にされた内視鏡を提供または取得するステップと、
前記内視鏡を細長いカバーで囲むステップであって、前記カバーが、
遠位端部および開放近位端部と、前記遠位端部と前記開放近位端部との間に延在し、前記内視鏡の細長い部分を囲んで前記細長い部分に係合するようなサイズおよび形状にされた細長いチューブ状部分と、を含む可撓性薄肉チューブと、
前記可撓性薄肉チューブの一部に配置され、前記細長いチューブ状部分に対して横方向に拡張可能な、拡張可能なスタビライザであって、前記スタビライザが、標的部位で患者の解剖学的構造に対して前記可撓性薄肉チューブを安定させるために拡張されるように構成される、拡張可能なスタビライザと
を含む、ステップと、
前記拡張可能なスタビライザを使用して、前記内視鏡を患者の解剖学的構造に対して安定させるステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年7月6日に出願された米国仮特許出願第63/358,751号の優先権の利益を主張し、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本文書は、とりわけ、一般に、胆管鏡検査または他の処置のための内視鏡技術を記載し、より具体的には、十二指腸の内視鏡アクセスのための、十二指腸内視鏡のための細長いカバーを含むシステムおよび方法を記載する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡は、例えば、他の処置の中でも、1つまたは複数の疾患状態の照明、撮像、検出および診断、解剖学的領域への流体の供給(例えば、流体チャネルを介した生理食塩水または他の調製物)の実施、解剖学的領域をサンプリングまたは治療するための1つまたは複数の治療デバイスもしくは生体物質収集デバイスの通路(例えば、作業チャネルを介した)の提供、ならびに流体(例えば、生理食塩水または他の調製物または体液)を収集するための吸引通路の提供を含む、様々な臨床処置で使用される場合がある。そのような解剖学的領域の例には、胃腸管(例えば、食道、胃、十二指腸、膵胆管、腸、結腸など)、腎臓領域(例えば、腎臓、尿管、膀胱、尿道)、および他の内臓(例えば、生殖系、副鼻腔、粘膜下領域、気道)などが含まれ得る。
【0004】
特定の内視鏡処置では、内視鏡の遠位部分は、別の治療デバイスを支持および方向付けするように構成され得る。いくつかのシステムでは、2つの内視鏡が、使用される場合がある。第1のペアレント内視鏡が、第1の内視鏡の遠位端部に配置されたエレベータを使用するなど、その中に挿入された第2のチャイルド内視鏡をガイドし、第2の内視鏡を方向付けするために使用され得る。そのようなシステムは、挿入位置から比較的離れた解剖学的位置への内視鏡のガイドに役立ち得る。
【0005】
経口胆管鏡検査は、十二指腸内視鏡の付属ポートを通して挿入された小型内視鏡およびカテーテルを使用して、患者の胆管系および膵管系の様々な障害の直接的な内視鏡視覚化、診断、および治療を可能にする内視鏡技術である。経口胆管鏡検査は、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)処置で使用されるように、十二指腸内視鏡の付属チャネルを通って前進する専用の胆管鏡を使用することによって実施され得る。ERCPは、内視鏡検査および蛍光透視法の使用を組み合わせて、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、または膵管を含む胆管系または膵管系の特定の問題を診断し、治療する技術である。ERCPでは、胆管鏡(ここでは補助スコープ、または「ドータ」スコープとして機能する)は、十二指腸内視鏡(ここではメインスコープ、または「ペアレント」スコープとして機能する)の作業チャネルに取り付けられ、作業チャネルを通して前進し得る。ERCPでは、胆管カニューレ挿入は、特定の処置の容易さおよび制御を促進するためなどに、胆管鏡の先端を単独で、またはガイドワイヤを通過させて直接達成し得る。生体物質(例えば、胆石、胆管結石、癌性組織)に対処するため、または胆管の狭窄もしくは閉塞を管理するためなどに、組織回収デバイスが、胆管鏡のチャネルを通して挿入され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本文書は、とりわけ、一般に、内視鏡処置(これは、内視鏡、関節鏡、腹腔鏡、または同様の低侵襲処置を一般に指し得る)のための器具カバーを記載している。器具カバーは、処置中に内視鏡を患者の解剖学的構造に固定するための拡張可能なスタビライザを有する内視鏡のための取り外し可能なカバーを含み得る。例えば、本明細書に記載のデバイスおよび方法は、ERCP処置などにおいて十二指腸内視鏡の安定化に役立たせるために使用され得るデバイスを含み得る。
【0007】
本発明者らは、特定の医療デバイス、特に内視鏡および十二指腸内視鏡に関する課題を認識している。そのような課題は、とりわけ、1)内視鏡を到達困難な解剖学的位置に誘導することの困難さと、2)内視鏡を誤った位置に誘導してしまう時間および関連するコストの増加と、3)内視鏡が影響を受けやすい組織に衝突する、組織への潜在的な影響の可能性と、を含み得る。このような問題は、「メインスコープ」(マザースコープまたは十二指腸内視鏡とも呼ばれる)の作業チャネルを通して補助スコープ(ドータスコープ、または胆管鏡とも呼ばれる)を取り付けて前進させ得る十二指腸内視鏡検査処置では、特に困難である可能性がある。本文書は、処置中に患者の解剖学的構造内で十二指腸内視鏡などの内視鏡の方向付けおよびその保持に役立たせるためなどに、拡張可能なスタビライザを含むなどのカバーを使用することを含み得る内視鏡技術を記載している。本文書はまた、デバイスの取り外し時に患者の解剖学的構造への過度な取り付けを回避または緩和しつつ、内視鏡に接着するなどで形成され得るカバーを記載している。例えば、細長いカバーによって少なくとも部分的に包まれた十二指腸内視鏡などの内視鏡は、患者の口を通り、食道を下りて、胃を通り、十二指腸内に挿入されてもよい。細長いカバーは、ポートを含み得る。ポートは、十二指腸内視鏡の遠位先端の視覚化を可能にする。ポートはまた、胆管鏡などの二次デバイスが十二指腸内視鏡のアクセス内腔を通ってポートから出る通過を可能にする。一例では、これは、必要に応じて、胆管鏡が胆膵管膨大部を通過して胆管または膵管に入ることを可能にするために役立ち得る。
【0008】
細長いカバーは、内視鏡の外面をカバーするなどして、使用され得る。一例では、内視鏡は、十二指腸の内視鏡アクセス中に使用するための十二指腸内視鏡を含んでもよい。例えば、細長いカバーは、可撓性薄肉チューブを含んでもまたはそれを使用してもよい。薄肉チューブは、遠位端部および開放近位端部と、それらの間に延在する細長いチューブ状部分と、を含み得る。細長いチューブ状部分は、十二指腸内視鏡の細長い部分を囲んで細長い部分に係合するようなサイズおよび形状であってもよい。カバーはまた、例えば可撓性薄肉チューブの一部に配置され得る、拡張可能なスタビライザを含んでもまたはそれを使用してもよい。例えば、拡張可能なスタビライザは、細長いチューブ状部分に対して横方向に拡張可能であってもよい。拡張可能なスタビライザは、例えば患者の解剖学的構造に対する可撓性薄肉チューブの安定化に役立たせるために、患者の解剖学的構造に接触または突出するように拡張可能であってもよい。
【0009】
細長いカバーは、端部キャップを含んでもまたはそれを使用してもよい。端部キャップは、遠位端部で可撓性薄肉チューブから遠位に延在し得る。可撓性薄肉チューブの遠位端部は、開口端部であり、十二指腸内視鏡の細長い部分に取り付け可能であってもよい。例えば、可撓性薄肉チューブは、1つまたは複数の位置で十二指腸内視鏡の一部にクリップ留めされてもよい。また、可撓性薄肉チューブは、十二指腸内視鏡の細長い部分の遠位端部に、またはその細長い部分の長さに沿って、弾性的に接続されてもよい。端部キャップは、透明材料で少なくとも部分的に形成され、サイドポートを含み得る。サイドポートは、十二指腸内視鏡を通って延在する器具が横方向に出ていくことを可能にするようなサイズおよび形状であってもよい。一例では、端部キャップは、十二指腸内視鏡の遠位端部と接合するようなサイズおよび形状であってもよい少なくとも1つの連結形体を含んでもまたはそれを使用してもよい。一例では、拡張可能なスタビライザは、十二指腸に対して拡張するように構成され得るような膨張可能なバルーンを含んでもよい。バルーンは、例えば、外部供給源によって供給され得る膨張圧力に基づくなどして、膨張状態と収縮状態との間で変化し得る。例えば、細長いカバーは、膨張可能なバルーンと可撓性薄肉チューブの近位端部との間に延在する細長い流体連通容器を含んでもまたはそれを使用してもよい。本明細書において、流体連通とは、気体または液体を含む流体を指す。
【0010】
細長いチューブ状部分は、内視鏡に対する細長いカバーの滑り、団子状、または分離の抑制または防止に役立ち得る1つまたは複数の形体を含み得る。例えば、細長いチューブ状部分の内面は、複数の摩擦形体を含んでもよい。摩擦形体は、十二指腸内視鏡の細長い部分と係合するように構成され得る。例えば、細長いチューブ状部分の内面は、内面が細長いチューブ状部分の外面よりも大きい静止摩擦係数であるように形成されてもよい。複数の摩擦形体は、細長いチューブ状部分の内面の長さに沿った1つまたは複数のリブ状形体を含み得る。
【0011】
細長いカバーは、細長いチューブ状部分の外面などに、液体潤滑剤、薬剤、または殺生物剤を含んでもまたはそれらを使用してもよい。細長いカバーは、細長いチューブ状部分の外面に含まれる水活性化親水性コーティング、疎水性コーティング、または抗生物質コーティングを含んでもまたはそれらを使用してもよい。
【0012】
本明細書に記載の非限定的な例の各々は、それ自体で成立し得る、あるいは他の例の1つまたは複数と様々な置換または組合せで組み合わせられ得る。
【0013】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図している。本発明の排他的または網羅的な説明を提供することを意図していない。発明を実施するための形態は、本特許出願に関する更なる情報を提供するために含まれる。
【0014】
必ずしも縮尺通りに描かれていない図面では、同様の符号は、様々な図で同様の構成要素を説明している。異なる添え字を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なる例を表している。図面は、全般的に、限定ではなく例として、本明細書で説明する様々な実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】内視鏡の細長い部分をカバーするための細長いカバーの一例を示す図である。
図1B】内視鏡の細長い部分をカバーするための細長いカバーの一例を示す図である。
図2A】拡張位置と収縮位置との間で変化する拡張可能なスタビライザを含む細長いカバーの一例を示す図である。
図2B】拡張位置と収縮位置との間で変化する拡張可能なスタビライザを含む細長いカバーの一例を示す図である。
図3A】拡張位置と収縮位置との間で変化する拡張可能なスタビライザを含む細長いカバーの一例を示す図である。
図3B】拡張位置と収縮位置との間で変化する拡張可能なスタビライザを含む細長いカバーの一例を示す図である。
図4】内視鏡システムの一例の概略図である。
図5】患者の十二指腸内に配置された十二指腸内視鏡を囲む細長いカバーの一例の遠位部分を示す図である。
図6】内視鏡システムの使用方法を示すフローチャートの図である。
図7】細長いカバーの再処理方法を示すフローチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本文書は、とりわけ、1つまたは複数の内視鏡処置(これは、内視鏡、関節鏡、腹腔鏡、または同様の低侵襲処置を一般に指し得る)などのための内視鏡を記載している。患者の幽門の下の位置での内視鏡へのアプローチ、例えば、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)では、補助スコープ(ドータスコープ、または胆管鏡とも呼ばれる)を取り付け、「メインスコープ」(マザースコープまたは十二指腸内視鏡とも呼ばれる)の作業チャネルを通って前進させる場合がある。ここで、メインスコープは、光学系を含み、患者の解剖学的構造を誘導するなどのために、ユーザ制御を介して操作可能である。例えば、メインスコープは、患者の食道に挿入され、患者の十二指腸に向かって移動するように動作または操作されてもよい。メインスコープの遠位端部が、メインスコープ光学系によって補助されるなどして、患者内の標的部位にまたはその近くに配置された後、補助スコープは、標的部位を治療するなどのために、メインスコープのチャネルを通して供給され得る。ERCP処置は、1つまたは複数のガイドワイヤ、カニューレ、または様々な治療デバイスもしくは診断デバイスを、総胆管(CBD)に展開し得るなど、胆管鏡検査処置と組み合わせられ得る。しかしながら、CBDにデバイスを導入することは、技術的に極めて困難である。これは、十二指腸内視鏡自体が胆管鏡を支持するためである。2つのスコープを制御することは、医師にとって厳しい要求である場合がある。そのような処置では、患者の解剖学的構造に対して十二指腸内視鏡を方向付けて、配置し、処置の過程全体にわたって所望の配置を維持することが困難である。更に、患者の解剖学的構造に対して十二指腸内視鏡を固定するためのいくつかのアプローチは、処置後のデバイスの取り外しに課題がある場合がある。
【0017】
本発明者らは、到達困難な位置の内視鏡治療のための技術を実現した。これは、拡張可能なスタビライザなど、スコープの一部の細長いカバーを提供することを含み得る。これは、十二指腸内視鏡などの内視鏡の配置、固定、および取り外しの課題の軽減に役立ち得る。本明細書に記載するような細長いカバーはまた、デバイスのメンテナンスの低減に役立ち得る。細長いカバーは、可視化および二次デバイス通過などのために、十二指腸内視鏡からのサイドポートなどの開口部を提供し得る。
【0018】
図1Aおよび図1Bは、内視鏡の細長い部分をカバーするための細長いカバーの一例を示している。例えば、細長いカバー110は、端部キャップ112、拡張可能なスタビライザ114、および細長いチューブ状部分またはスリーブ116を含んでもまたはそれらを使用してもよい。一例では、細長いチューブ状部分116は、内視鏡118の細長い部分の所望の長さをカバーするために、約100cm~約150cmの範囲内の長さで形成される。一例では、内視鏡118は、患者の十二指腸の内視鏡アクセス中に使用するための十二指腸内視鏡であってもよい。内視鏡118は、内視鏡118の遠位端部に内視鏡先端を含んでもまたはそれを使用してもよく、内視鏡先端は、光学ユニット120と、二次デバイスガイドまたは通路122と、を含み得る。
【0019】
端部キャップ112は、内視鏡118のアクセス内腔の視覚化またはアクセスを制限することなく光学ユニット120および二次デバイス通路122をカバーするなど、内視鏡118の遠位端部で先端をカバーするようなサイズおよび形状であってもよい。図1Bに示すように、内視鏡の遠位端部と対になると、端部キャップ112は、内視鏡118の遠位端部で先端を少なくとも部分的にカプセル化し得る。例えば、端部キャップ112は、遠位端部で先端内の内視鏡機構の保護に役立ち得る。端部キャップ112はまた、処置中の内視鏡上の有機物粒子(デトリタス)収集を低減することなどによって、感染のリスクの低減に役立ち得る。また、端部キャップ112の外面は、患者の解剖学的構造に内視鏡を挿入する容易性の促進に役立ち、端部キャップ112の患者の解剖学的構造への非外傷性接触の促進に役立つなどのために、軟質材料および非外傷性縁部で形成されてもよい。端部キャップ112は、透明材料で少なくとも部分的に形成され、サイドポートを含み得る。本明細書では、「透明」材料は、光の可視波長で、人間のユーザがそれを通して見ることができる。別の例では、端部キャップ112は、半透明または不透明な材料で形成されてもよい。端部キャップ112は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、非晶質コポリエステル(PETG)、ポリ塩化ビニル(PVC)などの透明または半透明ポリマーから形成されてもよい。サイドポートは、内視鏡118を通って延在する二次器具が横方向に出ることを可能にするようなサイズおよび形状であってもよい。一例では、端部キャップ112は、内視鏡の遠位端部と接合するかまたは機械的に係合するようなサイズおよび形状であってもよい少なくとも1つの連結形体を含んでもまたはそれを使用してもよい。連結形体は、ねじ山、リップ、溝、フォロア、スナップフィット形体、戻り止め、クリップ、磁石、フック、タブ、ラッチ、スナップ、または他の適切な機械的コネクタを含んでもよい。
【0020】
細長いチューブ状部分116は、内視鏡118に対する細長いカバーの滑り、団子状、または分離の抑制または防止に役立ち得る1つまたは複数の形体を含み得る。例えば、細長いチューブ状部分116の内面は、内視鏡118の細長い部分と係合するように構成されてもよい複数の摩擦形体を含む。複数の摩擦形体は、細長いチューブ状部分116の内面の長さに沿った1つまたは複数のリブ、スタッド、または他のテクスチャ特性を含んでもよい。また、複数の摩擦形体は、熱可塑性エラストマー(TPE)などのコーティングを含んでもよい。一例では、細長いチューブ状部分116の内面は、内面が細長いチューブ状部分116の外面よりも大きい静止摩擦係数であるように形成されてもよい。また、細長いチューブ状部分116の内面は、細長いチューブ状部分116の外面よりも内面の方が大きい静止摩擦係数をもたらすなどのために、細長いチューブ状部分に含まれ得るような、1つもしくは複数の材料特性、1つもしくは複数の潤滑剤、または1つもしくは複数のテクスチャ特性のうちの1つまたは組合せによって、形成されてもよい。一例では、細長いチューブ状部分116の内面は、摂氏40度の周囲温度で約0.50~0.90の間の静止摩擦係数、例えば、摂氏40度の周囲温度で0.70より大きい静止摩擦係数を有してもよい。細長いチューブ状部分116は、細長いチューブ状部分116の外面に液体潤滑剤、薬剤、または殺生物剤を含んでもまたはそれらを使用してもよい。追加的または代替的に、細長いチューブ状部分116は、細長いチューブ状部分116の外面に含まれる水活性化親水性コーティング、疎水性コーティング、または抗生物質コーティングを含んでもまたはそれらを使用してもよい。細長いカバーは、必要に応じて、使い捨て用途のために形成された使い捨て材料で形成されてもよい。また、細長いカバーは、再使用可能であり、必要に応じて、いくつかのその後の手順のために消毒され得る。
【0021】
図2Aおよび図2Bに関して以下で更に説明するように、拡張可能なスタビライザは、横方向の拡張位置と横方向の収縮位置との間で変化し得る。一例では、拡張可能なスタビライザが収縮位置にあるときなど、細長いカバー110は、弾性部分を含んでもまたはそれを使用してもよい。細長いチューブ状部分116または拡張可能なスタビライザ114に形成され得る弾性部分は、内視鏡118の細長い部分の外径よりも小さい内径を形成し得る。細長いチューブ状部分116は、可撓性薄肉チューブであってもよい。例えば、細長いチューブ状部分116の小さい内径は、内視鏡118の細長い部分の大きい直径の周りで、伸縮可能であってもよい。細長いチューブ状部分116は、約0.01mm~約0.2mmの間の壁厚を有し得る。例えば、細長いチューブ状部分116は、約0.15mm未満の壁厚など、約0.1mm~約0.175mmの間の壁厚を有してもよい。
【0022】
図2Aおよび図2Bは、拡張位置と収縮位置との間で変化する拡張可能なスタビライザを含む細長いカバーの一例を示している。安定化バルーン214などの拡張可能なスタビライザは、細長いチューブ状部分116内に配置されるか、そうでなければそれと一体化されてもよい。代替的または追加的に、拡張可能なスタビライザは、高周波溶接、溶媒、接着剤、または他の医療用接着剤のうちの1つまたは複数を使用するなどして、細長いチューブ状部分116に取り付けられてもよい。拡張可能なスタビライザは、細長いチューブ状部分116に対して横方向に拡張可能であり得る。細長いスタビライザは、患者の十二指腸など患者の解剖学的構造に接触または突出するように拡張可能であってもよい。次に、細長いチューブ状部分116および拡張可能なスタビライザは、内視鏡118(図1Aに示すように)を把持し、処置中にデバイスの配置を維持するなどのために患者の解剖学的構造に対して内視鏡118を固定するために、協働し得る。
【0023】
図2Aおよび図2Bに示すように、拡張可能なスタビライザは、安定化バルーン214を含んでもまたはそれを使用してもよい。安定化バルーン214は、安定化バルーン214と患者の解剖学的構造の所望の部分との間の内壁に接触するために十分な大きさを作り出すように、十分な大きさの直径まで膨張され得る。一例では、安定化バルーン214は、概ねトロイダル形状であってもよい。細長いチューブ状部分116は、トロイダル形状安定化バルーン214の開口部を通って延在し得る。例えば、トロイダル形状の開口部224は、非対称になるように、細長いチューブ状部分116の長手方向軸からオフセットされてもよい。あるいは、トロイダル形状の開口部224は、細長いチューブ状部分116の長手方向軸に対してほぼ中心にあってもよい。別の例では、安定化バルーン214は、細長いチューブ状部分116の外面または内面に取り付けられた材料の流体封入ポケットを含んでもよい。ここで、安定化バルーン214は、細長いチューブ状部分116の内面の一部または細長いチューブ状部分116の外面の一部を含んでもよい。安定化バルーン214は、約1cmHO~30cmHOの間の圧力まで最大限に膨張可能であるような定格とされてもよい。例えば、安定化バルーン214は、約8cmHO~約12cmHOの間の圧力まで最大限に膨張可能であるような定格とされてもよい。また、膨張状態の安定化バルーン214は、約20cm~45cmの間の外径を有してもよい。例えば、膨張状態の安定化バルーン214は、約26cm~約38cmの間の外径を有してもよい。一例では、安定化バルーン214は、膨張ライン226などの細長い流体連通容器を介して膨張源に流体接続されてもよく、膨張ライン226は、細長いカバー110に含まれてもまたはそれによって使用されてもよい。例えば、膨張ライン226は、細長いカバー110の内側に少なくとも部分的に一体化されてもよい。一例では、膨張ライン226は、気管内(ET)チューブを含んでも、それを使用しても、またはそれに流体接続されてもよい。また、細長いカバー110は、複数の安定化バルーン214を含み得る。例えば、複数の安定化バルーン214は、細長いチューブ状部分116の異なる部分に含まれてもよい。操作および使用において、複数の安定化バルーンは、解剖学的経路に沿った複数の位置、例えば、胃、十二指腸球部、十二指腸円形リング、または食道にあってもまたはそれらの近くにあってもよい。代替的または追加的に、2つ以上の安定化バルーン214は、細長いチューブ状部分116のほぼ同じ部分に、互いに隣接して含まれてもよい。細長いカバー110が、複数の安定化バルーン214を含む場合、各安定化バルーン214は、患者の解剖学的構造内で細長いカバー110および内視鏡を操作するために、複数のまたはそれぞれの別個の膨張ライン226などを介して、独立して膨張可能または収縮可能であり得る。
【0024】
細長いカバー110が患者の解剖学的構造の周囲に固定される横方向に拡張された安定化位置と、細長いカバー110(およびその中に含まれる内視鏡)が患者の解剖学的経路内で操作可能である横方向に収縮された解放位置と、の間で、拡張可能なスタビライザは、交互になるように作動され得る。例えば、内視鏡の遠位部分が解剖学的経路内の所望の位置に配置されると、安定化バルーン214を膨張させて、患者の十二指腸など患者の解剖学的構造の内壁に接触させてもよい。内視鏡が十二指腸内視鏡である例では、膨張した安定化バルーン214は、十二指腸内視鏡の遠位部分が所望よりも十二指腸内に前進することを阻害または防止するために役立つ、あるいは処置中に十二指腸内視鏡が胃内に意図せずに後退することを阻害または防止するために役立ち得る。
【0025】
図3Aおよび図3Bは、拡張位置と収縮位置との間で変化する拡張可能なスタビライザを含む細長いカバーの一例を示している。ここで、拡張可能なスタビライザは、解剖学的経路内の細長いカバー310Aおよび310Bならびに内視鏡の安定化に役立つなどのために、患者の解剖学的構造に接触するなどのための、複数の拡張可能なウィングまたは折り目314Aまたは拡張可能なアーム314Bを含み得る。折り目314Aおよびアーム314Bは、(図2Aおよび図2Bに示すように)安定化バルーン214に関して前述したものと同様の方法で、それぞれの細長いチューブ状部分316Aおよび316Bに取り付けられ得る。折り目314Aおよびアーム314Bは、柔らかい非外傷性材料の径方向アームで作られ、ケーブル機構を介して作動し得る。折り目314Aおよびアーム314Bは、プラスチックまたは他のポリマーなどの合成材料で形成されてもよい。あるいは、折り目314Aおよびアーム314Bは、ニチノールなどの超弾性または他の形状記憶材料で形成されてもよい。折り目314Aおよびアーム314Bは、解剖学的経路内の特定の場所に一度展開され得る。また、折り目314Aおよびアーム314Bは、常に展開され得るが、展性があってもよい。
【0026】
図4は、内視鏡システムの一例の概略図である。内視鏡システム400は、撮像および制御システム412、十二指腸内視鏡418、および細長いカバー410を含んでもまたはそれらを使用してもよい。図4のシステムは、診断デバイスまたは治療デバイスなど、本明細書に記載のシステム、デバイス、および方法と共に使用するために適した内視鏡システムの例示的な例である。例えば、十二指腸内視鏡418は、撮像のために解剖学的領域に挿入可能であっても、かつ/あるいは生検などのための1つもしくは複数のサンプリングデバイスの通過、または解剖学的領域に関連する疾患状態を治療するための1つもしくは複数の治療デバイスの通過を実施してもよい。十二指腸内視鏡418は、撮像および制御システム412と接合し、接続し得る。
【0027】
撮像および制御システム412は、コントローラ416、出力ユニット415、および入力ユニット420を含んでもまたはそれらを使用してもよい。撮像および制御システム412は、内視鏡システム400と連結するなどのための様々なポートを含み得る。例えば、コントローラ416は、十二指腸内視鏡418からデータを受信し、データを十二指腸内視鏡に伝達するためのデータ入力および出力ポートを含んでもよい。出力ユニット415および入力ユニット420は、内視鏡システム400のオペレータが、内視鏡システム400の1つまたは複数の機能を制御し、十二指腸内視鏡418の出力を見るために使用し得る。コントローラ416は、十二指腸内視鏡418が挿入される解剖学的領域を治療することによる1つまたは複数の信号あるいは他の出力を生成するために、更に使用されてもよい。コントローラ416は、例えば、焼灼、切断、凍結などで解剖学的領域を治療するための電気出力、音響出力、流体出力などを生成してもよい。
【0028】
十二指腸内視鏡418は、挿入部分428を画定するように細長いカバー410でカバーし得る。挿入部分428は、ハンドル部分432から遠位に延在し得る十二指腸内視鏡の遠位部分を含み得る。また、ハンドル部分432は、ケーブル部分434と連結器部分436とに連結され得る。
【0029】
ケーブル部分434は、ハンドル部分432から近位に延在し得る。挿入部分428はまた、細長い1つまたは複数の作業チャネル(例えば、内部管腔)を含み、胆管鏡など、遠位部分の1つまたは複数の治療器具の挿入を支持し得る。作業チャネルは、ハンドル部分432と遠位部分との間に延在し得る。流体通路、ガイドワイヤ、およびプルワイヤなどの追加のユーティリティもまた、挿入部分428によって(例えば、吸引または灌注通路などを介して)提供され得る。
【0030】
ハンドル部分432は、1つまたは複数の制御部438と、1つまたは複数のポート440と、を含み得る。1つまたは複数の制御部438は、ノブ、ダイヤル、スイッチ、またはユーザによる人間工学的作動のための他の適切な制御部を含んでもよい。1つまたは複数の制御部438はまた、挿入部分428を通って延在するプルワイヤに連結され得る。1つまたは複数のポート440は、挿入部分428と連結するために、例えば電気ケーブル、流体チューブなどと結合してハンドル部分432になり得る。
【0031】
内視鏡システム400は、細長いカバー410の安定化バルーン414と、ETチューブなどの膨張ライン426と、膨張モニタ430と、を含み得る。膨張モニタ430は、安定化バルーン414が膨張状態にあるまたは収縮状態にあることを示すためなど、パイロットバルーンライン427を介して膨張ライン426につながれたパイロットバルーンであってもよい。一例では、膨張モニタ430は、安定化バルーンの膨張のレベルを示してもよい。例えば、膨張モニタ430がパイロットバルーンである場合、パイロットバルーンは、このパイロットバルーンのようなパイロットバルーンの剛性に応じて膨張のレベルを示してもよい。
【0032】
図5は、患者の十二指腸502内に配置された十二指腸内視鏡を囲む細長いカバー510の一例の遠位部分を示している。患者の十二指腸502は、ダクト壁520と、オッディ括約筋522と、を含み得る。十二指腸502は、小腸の上部を含む。前述のように、細長いカバー510は、安定化バルーン514などの拡張可能なスタビライザを含んでもまたはそれを使用してもよく、安定化バルーン514は、十二指腸内視鏡を囲む細長いカバー510を固定するためにダクト壁520に接触するように膨張させられ得る。
【0033】
特定の内視鏡処置では、十二指腸内視鏡を囲む細長いカバー510は、患者の十二指腸502に向かってまたはそれを通って胆管鏡をガイドするような通路を提供し得る。例えば、胆管鏡は、十二指腸内視鏡を通して、オッディ括約筋522の中にまたはそれを越えてガイドされてもよい。そこから、胆管鏡を操作する医師は、様々な処置を実施するために、患者の胆嚢または肝臓に向かって胆管鏡を誘導し得る。
【0034】
図6は、内視鏡システムの使用方法を示すフローチャートの図である。602において、十二指腸内視鏡などの内視鏡が、提供または取得され得る。内視鏡は、患者の十二指腸に向かって患者の食道に挿入するようなサイズおよび形状であってもよい。604において、内視鏡を細長いカバーで囲み得る。細長いカバーは、遠位端部および開放近位端部を含む可撓性薄肉チューブと、それらの間に延在する細長いチューブ状部分と、を含み得る。細長いチューブ状部分は、内視鏡の細長い部分を囲んで細長い部分に係合するようなサイズおよび形状であってもよい。細長いカバーはまた、拡張可能なスタビライザを含んでもまたはそれを使用してもよい。拡張可能なスタビライザは、可撓性薄肉チューブの一部に配置され、細長いチューブ状部分に対して横方向に拡張可能である。
【0035】
606において、内視鏡は、拡張可能なスタビライザを使用して、標的部位で患者の解剖学的構造に対して安定させられ得る。例えば、細長い部分の膨張可能なバルーンは、患者の解剖学的構造、例えば患者の十二指腸に接触するように膨張されてもよい。膨張可能なバルーンは、患者の解剖学的構造との接触を引き込むように、更に、内視鏡を解剖学的経路から取り外すなど、解剖学的構造から解放するように、収縮されてもよい。一例では、ドータスコープは、十二指腸内視鏡のアクセス内腔を通して受け入れられてもよい。また、ドータスコープは、細長いカバーの端部キャップに含まれるサイドポートなどの開口部を通過し得る。
【0036】
図7は、細長いカバーの再処理方法を示すフローチャートの図である。上記の細長いカバーは、1回の使用後に廃棄されてもよいし、複数回繰り返し使用されてもよい。複数回繰り返し使用する構成の場合、例えば、図7に示す再処理方法700が必要になる。オペレータは、治療に使用された後の使用済みの細長いカバーを収集し、それを工場等に搬送する(ステップS1)。そして、オペレータは、収集して、搬送した使用済みの細長いカバーを洗浄し、滅菌する(ステップS2)。次に、オペレータは、使用済みの細長いカバーの受け入れチェックを実施する(ステップS3)。続いて、オペレータは、使用済みの細長いカバーを分解し(ステップS4)、使用済みの細長いカバーの一部を新規の部品と交換する(ステップS5)。ステップS5の後、オペレータは、新規の細長いカバーを組み立てる(ステップS6)。いくつかの例では、ステップS6は、再処理、改修、または再製造されたデバイスを指定するためのラベルまたは他のマーキングの追加など、デバイスが、その元の状態から変更されたことを示す識別子を追加することを含んでもよい。ステップS6の後、オペレータは、新規の細長いカバーの検査(ステップS7)、滅菌および保管(ステップS8)、出荷(ステップS9)を順次実施する。例えば、細長いカバーは、少数の可動部品、電子機器、または機構を含んでもよい。したがって、細長いカバーは、部品交換(ステップS5)および再組立て(S6)にあまり注意を必要としないか、またはそれらの省略を可能にし得るという利点がある。
【0037】
以下の非限定的な例は、とりわけ、課題を解決し、本明細書に記載した利点を提供するために、本主題の特定の態様を詳述する。
【0038】
上記の発明を実施するための形態は、発明を実施するための形態の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施し得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ぶ。そのような例は、図示または記載したものに加えて、要素を含み得る。しかしながら、本発明者らは、図示または記載した要素のみが提供される例も企図する。更に、本発明者らはまた、特定の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関して、あるいは本明細書に示したもしくは記載した他の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関して、示したもしくは記載した要素(またはその1つもしくは複数の態様)の任意の組合せ、または並べ替えを使用する例を企図する。
【0039】
本文書と、参照によりそのように組み込まれた任意の文書と、の間で矛盾する使用がある場合、本文書における使用が優先する。本文書では、「含む(including)」および「そこにおいて(in which)」という用語は、それぞれの用語「備える(comprising)」および「そこにおいて(wherein)」の平易な英語の同義語として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、オープンエンドであり、すなわち、特許請求の範囲でそのような用語の後に列挙された要素に加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、またはプロセスは、依然としてその特許請求の範囲内にあると見なされる。
【0040】
本文書では、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、特許文献で一般的であるように、「少なくとも1つの(at least one)」または「1つまたは複数の(one or more)」の任意の他の事例または使用とは無関係に、1つまたは複数を含むように使用される。本文書では、「または」という用語は、非排他的であることを指すように、あるいは、特に明記しない限り、「AまたはB」が、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、および「AおよびB」を含むように、使用される。本文書では、「含む(including)」および「そこにおいて(in which)」という用語は、それぞれの用語「備える(comprising)」および「そこにおいて(wherein)」の平易な英語の同義語として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、オープンエンドであり、すなわち、特許請求の範囲でそのような用語の後に列挙された要素に加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、またはプロセスは、依然としてその特許請求の範囲内にあると見なされる。更に、以下の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの対象に数値的な要件を課すことを意図しない。
【0041】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、上述の例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。上記の説明を検討すると、当業者などによって、他の実施形態は使用され得る。要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために、37 C.F.R.§1.72(b)に準拠するように提供される。それは、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないことを理解して提出される。また、上記の発明を実施するための形態では、本開示を合理化するために様々な特徴を共にグループ化し得る。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の請求項に必須であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にあり得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、例または実施形態として発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として独立しており、そのような実施形態は、様々な組合せまたは並べ替えで互いに組み合わせられ得ると考えられる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と共に決定されるべきである。
【符号の説明】
【0042】
110 細長いカバー
112 端部キャップ
114 拡張可能なスタビライザ
116 細長いチューブ状部分またはスリーブ
118 内視鏡
120 光学ユニット
122 二次デバイスガイドまたは通路
214 安定化バルーン
224 開口部
226 膨張ライン
310A、310B 細長いカバー
314A 拡張可能なウィングまたは折り目
314B 拡張可能なアーム
316A、316B 細長いチューブ状部分
400 内視鏡システム
410 細長いカバー
412 撮像および制御システム
414 安定化バルーン
415 出力ユニット
416 コントローラ
418 十二指腸内視鏡
420 入力ユニット
426 膨張ライン
427 パイロットバルーンライン
428 挿入部分
430 膨張モニタ
432 ハンドル部分
434 ケーブル部分
436 連結器部分
438 制御部
440 ポート
502 患者の十二指腸
510 細長いカバー
514 安定化バルーン
520 ダクト壁
522 オッディ括約筋
700 再処理方法
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】