(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089024
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240626BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240626BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20240626BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20240626BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/175 111
B41J2/175 171
B41J2/17 201
B41J29/13
B41J29/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204117
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】土橋 祥兼
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 吉徳
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056HA60
2C056JC13
2C056KC16
2C056KC30
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061BB23
(57)【要約】
【課題】運搬されるときに本体が傾くことで、吐出部から液体が漏れる虞がある。
【解決手段】プリンター1は、インクを吐出するヘッド51と、ヘッド51に供給されるインクが貯留される貯留部RSであって、ヘッド51と接続される貯留部RSと、ヘッド51および貯留部RSを有する本体2と、把持される第1取手部Hd1であって、本体2の左側面2Lに設けられる第1取手部Hd1と、把持される第2取手部Hd2であって、左側面2Lと対向する本体2の右側面2Rに設けられる第2取手部Hd2と、を備え、貯留部RSは、X軸方向においてヘッド51と左側面2Lとの間に設けられ、第1取手部Hd1は、重力方向において第2取手部Hd2よりも上方に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部に供給される前記液体が貯留される貯留部であって、前記吐出部と接続される前記貯留部と、
前記吐出部および前記貯留部を有する本体と、
把持される第1取手部であって、前記本体の第1側面に設けられる前記第1取手部と、
把持される第2取手部であって、前記第1側面と対向する前記本体の第2側面に設けられる前記第2取手部と、
を備え、
前記貯留部は、水平方向において前記吐出部と前記第1側面との間となる位置に設けられ、
前記第1取手部は、重力方向において前記第2取手部よりも上方に位置する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記貯留部は、重力方向において前記吐出部よりも下方に位置する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出装置において、
前記貯留部は大気に開放される、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項2に記載の液体吐出装置において、
前記吐出部は、前記本体の中心に対して前記第2側面側に設けられ、
前記貯留部は、前記本体の中心に対して前記第1側面側に設けられる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記吐出部は、水平方向と重力方向とに交差する第1方向に前記液体を吐出し、
前記第2側面は、前記第1方向に設けられる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体吐出装置において、
前記吐出部は、前記第1方向に沿って変位可能であり、
前記第1方向と直交する方向から見たとき、
前記第1取手部と前記第2取手部とを結ぶ直線が水平方向となす第2角度は、前記第1方向と水平方向とがなす第1角度より小さい、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の液体吐出装置において、
前記吐出部から排出される前記液体を収容する廃液収容部であって、前記吐出部から排出される前記液体を受ける受け部と接続される前記廃液収容部を前記本体に備え、
前記廃液収容部は、水平方向において前記受け部と前記第1側面との間となる位置に設けられる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の液体吐出装置において、
把持される第3取手部であって、前記第1側面および前記第2側面と交差する前記本体の第3側面に設けられる前記第3取手部と、
把持される第4取手部であって、前記第3側面に設けられる前記第4取手部と、
を備え、
前記第3取手部と前記第4取手部とは、重力方向において前記第1取手部よりも下方に位置する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液体吐出装置において、
前記第2取手部と前記第3取手部と前記第4取手部とは、重力方向において同じ高さに設けられる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
請求項8に記載の液体吐出装置において、
前記本体の設定画面を表示する表示部であって、前記第3側面と対向する第4側面から突出して設けられる前記表示部を備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の液体吐出装置において、
前記第1取手部は、重力方向において前記本体の重心よりも下方に位置する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、装置の構成物が略直方体型の筐体内に収められ、装置を持ち運ぶための凹状の第1取手および凹状の第2取手が筐体の一側面および他側面にそれぞれ形成された画像形成装置が開示されている。また、装置を小型化するために、筐体内で高さ方向において上下に配置される構成物の間の空間に第1取手が配置され、第2取手は高さ方向において第1取手よりも低い位置に配置されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、第1取手と第2取手の位置が高さ方向で異なると、第1取手と第2取手とを把持して装置を持ち上げたとき、装置が通常の姿勢に対して傾いた状態となる。第1取手と第2取手の位置が高さ方向で異なる構成を、液体を吐出部から吐出する液体吐出装置に適用すると、運搬されるときに装置が傾くことで、吐出部から液体が漏れる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体吐出装置は、液体を吐出する吐出部と、前記吐出部に供給される前記液体が貯留される貯留部であって、前記吐出部と接続される前記貯留部と、前記吐出部および前記貯留部を有する本体と、把持される第1取手部であって、前記本体の第1側面に設けられる前記第1取手部と、把持される第2取手部であって、前記第1側面と対向する前記本体の第2側面に設けられる前記第2取手部と、を備え、前記貯留部は、水平方向において前記吐出部と前記第1側面との間となる位置に設けられ、前記第1取手部は、重力方向において前記第2取手部よりも上方に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】プリンターにおける本体および増設ユニットの構成を示す模式側面図。
【
図4】プリンターにおける本体および増設ユニットの構成を示す模式側面図。
【
図5】プリンターにおける本体の構成を示す模式平面図。
【
図7】プリンターにおける本体を持ち上げたときの状態を示す模式図。
【
図8】プリンターにおける本体を持ち上げたときの状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態に基づいて本開示を説明する。各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。尚、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、完全に同じであることのみを指さない。例えば、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、測定誤差を考慮して同じである場合を含むものとする。
【0008】
また、例えば、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合を含むものとする。また、例えば、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
【0009】
1.実施形態1
本実施形態において、プリンター1は、インクジェット式プリンターとして構成され、媒体Pにインクを吐出して記録を行う。プリンター1は液体吐出装置の一例である。インクは液体の一例である。媒体Pは用紙に限らず、プラスチックフィルム等であってもよい。
【0010】
尚、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用し、各図の矢印が向かう向きを+方向、矢印の反対方向を-方向として説明する。
【0011】
また、Z軸方向は、重力方向を示し、+Z方向は鉛直上向き、-Z方向は鉛直下向きを示す。また、X軸,Y軸を含む平面はX-Y面、X軸,Z軸を含む平面はX-Z面、Y軸,Z軸を含む平面はY-Z面として説明される。また、X-Y面は水平面となる。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
【0012】
また、Y軸方向は媒体Pの搬送方向と交差する方向、即ち媒体幅方向であり、また装置奥行き方向でもある。Y軸方向のうち+Y方向は装置前面から装置背面に向かう方向であり、-Y方向は装置背面から装置前面に向かう方向である。また、本実施形態においてY軸方向は、後述するヘッドユニット50の移動方向であるV軸方向と交差する方向の一例である。
【0013】
また、X軸方向は装置幅方向であり、プリンター1が載置される水平面である載置面Gに沿った水平方向の一例である。プリンター1の操作者から見て+X方向が左側、-X方向が右側となる。Z軸方向は、載置面Gに対する法線方向であり、即ち装置高さ方向となる。
【0014】
また、以下では、媒体Pが送られていく方向を「下流」と言い、またその反対方向を「上流」と言う場合がある。また各図においては、媒体搬送経路を破線で示している。プリンター1において媒体Pは、破線で示す媒体搬送経路を通って搬送される。
【0015】
また、F軸方向は後述するヘッドユニット50が備えるヘッド51と搬送ベルト13との間、即ち記録領域における媒体搬送方向であり、+F方向が搬送方向の下流となり、その反対の-F方向が搬送方向の上流となる。また、F軸方向と直交するV軸方向は後述するヘッドユニット50の移動方向である。また、V軸方向のうち+V方向はヘッドユニット50が搬送ベルト13から遠ざかる方向であり、-V方向はヘッドユニット50が搬送ベルト13に近づく方向である。本実施形態においてV軸方向は、後述する排出トレイ8の傾斜に沿った方向でもある。
【0016】
図1、
図2に示すように、プリンター1は、媒体Pに記録を行う本体2がその上部に、スキャナーユニット9を備えた複合機として構成される。スキャナーユニット9は画像読取装置の一例である。スキャナーユニット9は、原稿の画像を読取るときに開く開閉部9Aを有する。開閉部9Aは、開閉部9Aの+Y方向側の端に設けられる軸中心に回動する。よって、開閉部9Aは、開閉部9Aの-Y方向側端部が上下方向に開閉する。
【0017】
本体2は四角柱形状をしている。本体2は、本体2の外郭を定義する四つの側面、左側面2L、右側面2R、後側面2B、及び前側面2Fを有する。右側面2Rは、X軸方向において左側面2Lと間隔を有し、左側面2Lに対向する側面である。後側面2Bは、左側面2Lおよび右側面2Rと交差する側面である。前側面2Fは、Y軸方向において後側面2Bと間隔を有し、後側面2Bに対向する側面である。本体2には、前側面2Fの一部を構成する媒体カセット3と、前カバー16と、が設けられる。媒体カセット3は、本体2に対して-Y方向に引き出し可能に設けられる。前カバー16は、X軸に沿う軸中心に回動することで、本体2に対して、開閉可能に設けられる。前カバー16が回動する軸中心は、前カバー16の-Z方向側の端に設けられる。
【0018】
本体2の前側面2Fは第4側面の一例であり、本体2の左側面2Lは第1側面の一例である。また、本体2の後側面2Bは第3側面の一例であり、本体2の右側面2Rは第2側面の一例である。
【0019】
本体2の上部において前側面2Fの一部と左側面2Lの一部は開放構造とされ、記録が行われて排出される媒体Pを取り出す為の領域として形成されている。排出トレイ8は排出される媒体Pを支持する。本体2の前側面2F側には操作パネル7が設けられる。操作パネル7は、前側面2Fから-Y方向側に突出している。操作パネル7は、表示部7Aを有する。表示部7Aには、本体2を含むプリンター1の動作を設定するための設定画面等が表示される。
【0020】
続いて
図3を参照してプリンター1における媒体搬送経路について説明する。プリンター1は本体2の下部に増設ユニット6を連結可能に構成されており、
図3は増設ユニット6を連結した状態を示している。増設ユニット6が本体2に連結される場合、プリンター1には、媒体カセット3の下に媒体カセット4,5が設けられる。媒体カセット4,5は、増設ユニット6に対して-Y方向に引き出し可能に設けられる。
【0021】
各媒体カセット3,4,5に対しては、収容された媒体Pを-X方向に送り出すピックローラー21,22,23が設けられる。各ピックローラー21,22,23は、各媒体カセット3,4,5に対して設けられる。
【0022】
また、各媒体カセット3,4,5に対しては、-X方向に送り出された媒体Pを、斜め上方向に給送する給送ローラー対25,26,27が設けられる。給送ローラー対25,26,27は、各媒体カセット3,4,5に対して設けられる。また、給送ローラー対25は、本体2の中心に対して右側面2R側となる-X方向側に設けられる。尚、以下では「ローラー対」とは、特に説明しない限り不図示のモーターによって駆動される駆動ローラーと、この駆動ローラーに接して従動回転する従動ローラーとで構成されるものとする。
【0023】
媒体カセット5から送り出された媒体Pは、搬送ローラー対29,28によって搬送ローラー対38に送られる。また、媒体カセット4から送り出された媒体Pは、搬送ローラー対28によって搬送ローラー対38に送られる。媒体Pは搬送ローラー対38でニップされ、搬送ローラー対31に送られる。媒体カセット3から送り出された媒体Pは、搬送ローラー対38を経ずに搬送ローラー対31に送られる。尚、搬送ローラー対38の近傍に設けられた供給ローラー19及び分離ローラー20は、供給トレイ24から媒体Pを送り出すローラー対である。
【0024】
搬送ローラー対31から送り力を受ける媒体Pは、ヘッド51と搬送ベルト13との間、つまりヘッド51と対向する記録位置に送られる。尚、以下では搬送ローラー対31から搬送ローラー対32までの媒体搬送経路を記録時搬送経路T1と称する。
【0025】
ヘッド51はヘッドユニット50を構成する。ヘッド51は、媒体Pの面に向かう-V方向にインクを吐出して記録を実行する。ヘッド51は吐出部の一例である。また、-V方向は、水平方向と重力方向とに交差する第1方向の一例である。ヘッド51は、本体2の中心に対して右側面2R側に設けられる。また、右側面2Rは、ヘッド51の-V方向側に設けられるとも言える。
【0026】
ヘッド51は、インクを吐出するノズルN(
図6参照)が媒体幅方向の全域をカバーする様に構成されたラインインクヘッドである。ヘッド51は、媒体幅方向への移動を伴わないで媒体幅全域に記録が可能なインク吐出ヘッドとして構成されている。但し、インク吐出ヘッドはこれに限られず、キャリッジに搭載されて媒体幅方向に移動しながらインクを吐出するタイプであってもよい。
【0027】
ヘッドユニット50は記録時搬送経路T1に対し進退可能に本体2に設けられ、
図3に示す第1位置と、
図4に示すように搬送ベルト13から退避する第2位置との間で移動可能に設けられる。ヘッドユニット50が第1位置にあるとき、媒体Pに対し記録が行われる。ヘッドユニット50が第2位置にあるとき、受け部87によってヘッド51のメンテナンスが行われる。
【0028】
ヘッドユニット50の移動方向は、本実施形態では排出トレイ8の傾斜に沿ったV軸方向である。換言すると、ヘッドユニット50及びヘッド51は、ヘッド51がインクを吐出する-V方向に沿って移動する。ヘッドユニット50は、排出トレイ8の下側において媒体排出方向上流側に位置し、排出トレイ8の下面に沿って変位する。ヘッドユニット50は、V軸方向において、第1位置と第2位置とは異なる位置に移動するように設けられてもよい。
【0029】
尚、本実施形態では、ヘッドユニット50及びヘッド51の移動方向であるV軸方向と水平方向とが成す角度αは35°~5°の範囲に設定され、より具体的には15°に設定されている。角度αは第1角度の一例である。
【0030】
図3に示すように、本体2の中心に対して左側面2L側には、供給部17を構成する装着部12が設けられる。装着部12には、液体収容体10が着脱可能に装着される。本実施形態では、液体収容体10としての四つの液体収容体10A,10B,10C,10Dが、装着部12に着脱可能に装着される。液体収容体10は、ヘッド51から吐出されるインクを収容する。尚、装着部12への液体収容体10の着脱は、前カバー16(
図1、
図5参照)を開くことで可能となる。
【0031】
装着部12の-Z方向側には、供給部17を構成する中間タンク61が設けられる。本実施形態では、中間タンク61として、四つの中間タンク61A,61B,61C,61Dが設けられる。中間タンク61A,61B,61C,61Dは、本体2の中心に対して左側面2L側に設けられる。中間タンク61A,61B,61C,61Dは、装着部12に装着された液体収容体10A,10B,10C,10Dの下方となる-Z方向側に設けられる。
【0032】
中間タンク61A,61B,61C,61Dは、X軸方向においてヘッド51と左側面2Lとの間となる位置に設けられる。X軸方向は水平方向の一例である。中間タンク61A,61B,61C,61Dは、ヘッド51よりも-Z方向側となる下方に位置する。中間タンク61は、貯留部RSの一例である。
【0033】
装着部12に装着された各液体収容体10A,10B,10C,10Dは、各中間タンク61A,61B,61C,61Dと接続される。装着部12に装着された各液体収容体10A,10B,10C,10Dのインクは、各中間タンク61A,61B,61C,61Dに供給される。
【0034】
各液体収容体10A,10B,10C,10Dから供給されるインクは、各中間タンク61A,61B,61C,61Dに貯留される。中間タンク61A,61B,61C,61Dは、供給流路67(
図6参照)によってヘッド51と接続される。これにより、中間タンク61A,61B,61C,61Dに貯留されるインクは、ヘッド51に供給される。
【0035】
また、装着部12の-X方向側には、受け部87と、廃液収容部88とが設けられる。受け部87は、ヘッド51のメンテナンスにおいて、ヘッド51から排出されるインクを受ける。受け部87は、
図4に示すメンテナンス位置と
図3に示す離隔位置との間を移動可能である。廃液収容部88は、受け部87の下方となる-Z方向側に位置する。また、廃液収容部88は、X軸方向において受け部87と左側面2Lとの間となる位置に設けられる。廃液収容部88は、ヘッド51から廃液として排出されるインクを収容する。廃液収容部88は、受け部87と廃液チューブ89で接続される。受け部87が受けたインクは、廃液チューブ89を介して廃液収容部88に収容される。
【0036】
搬送ベルト13は、プーリー14及びプーリー15に掛け回される無端ベルトであって、プーリー14及びプーリー15のうち少なくとも一方が不図示のモーターにより駆動されることで回転する。搬送ベルト13を挟んでプーリー14と対向する位置には、不図示の帯電ローラーが設けられている。この帯電ローラーは搬送ベルト13の外面に接触しており、搬送ベルト13の回転に応じて従動回転する。
【0037】
後述する高圧ユニット93(
図5参照)から帯電ローラーに直流電圧が印加されることで、帯電ローラーは搬送ベルト13に接触している部位に電荷を供給する。例えば、帯電ローラーは搬送ベルト13に正の電荷を供給し、搬送ベルト13の外面をプラス極性に帯電させる。これにより、搬送ベルト13の外面が、媒体Pを吸着する吸着面となる。媒体Pは、搬送ベルト13のベルト面に吸着されつつヘッド51と対向する位置に搬送される。尚、搬送ベルト13に対する媒体Pの吸着には、エアー吸引方式等の吸着方式を採用してもよい。
【0038】
ヘッド51と対向する位置を通る記録時搬送経路T1は、X軸方向及びZ軸方向の双方に対して傾斜し、上向きに媒体Pを搬送する構成である。換言すれば、記録時搬送経路T1は、Z軸方向に対し平行でなく、且つZ軸方向に対し直交しない。この上向きの搬送方向は、
図3において-X方向成分と+Z方向成分とを含む方向であり、このような構成により、プリンター1のX軸方向寸法を抑制できる。
【0039】
尚、本実施形態では、記録時搬送経路T1はZ軸方向即ち装置高さ方向に対して35°~5°の範囲の傾斜角に設定され、より具体的には15°の傾斜角に設定されている。これにより、ヘッドユニット50は、X軸方向において液体収容体10、装着部12、及び中間タンク61と記録時搬送経路T1との間に位置する。
【0040】
また、ヘッドユニット50より+Z方向側となる位置には排出トレイ8が設けられる。排出トレイ8は、媒体搬送経路から排出された媒体Pを支持する支持面8bを形成する。支持面8bは、ヘッドユニット50の移動方向であるV軸方向に沿って延びる。これにより排出トレイ8とヘッドユニット50の移動領域との関係において無駄なスペースが形成されず、プリンター1の大型化を抑制できる。
【0041】
ヘッド51により第1面に記録が行われた媒体Pは、搬送ベルト13の下流に位置する搬送ローラー対32により、更に上方向に送られる。搬送ローラー対32の下流にはフラップ41が設けられており、このフラップ41によって媒体Pの搬送方向が切り換えられる。媒体Pをそのまま排出する場合は、媒体Pの搬送経路はフラップ41によって上方の搬送ローラー対35に向かう様に切り換えられる。これにより、媒体Pは搬送ローラー対35によって排出トレイ8に向けて排出される。
【0042】
媒体Pの第1面に加えて更に第2面に記録を行う場合、媒体Pの搬送方向は、フラップ41によって分岐位置K1に向けられる。そして媒体Pは分岐位置K1を通り、スイッチバック経路T2に入る。本実施形態においてスイッチバック経路T2は分岐位置K1から上側の媒体搬送経路とする。スイッチバック経路T2には搬送ローラー対36、37が設けられている。スイッチバック経路T2に入った媒体Pは、搬送ローラー対36、37によって上方向に搬送され、そして媒体Pの下エッジが分岐位置K1を通過したら、搬送ローラー対36、37の回転方向が切り換えられる。これにより、媒体Pは下方向に搬送される。
【0043】
スイッチバック経路T2には、反転経路T3が接続している。本実施形態において反転経路T3は、分岐位置K1から、搬送ローラー対33、34を通って搬送ローラー対38に至る媒体搬送経路とする。分岐位置K1から下方向に搬送された媒体Pは搬送ローラー対33、34から送り力を受けて搬送ローラー対38に到達し、湾曲反転され、搬送ローラー対31に送られる。
【0044】
再びヘッド51と対向する位置に送られた媒体Pは、既に記録が行われた第1面に対し反対側の第2面がヘッド51と対向する。これにより、媒体Pの第2面に対しヘッド51による記録が可能となる。
【0045】
次に、本体2が備える電装部について説明する。
図5に示すように、本体2は、電源部91と、制御部92と、高圧ユニット93と、を備える。電源部91は、プリンター1の各構成部位に供給する電力の電圧を調整する。制御部92は、プリンター1の全体を制御する。
【0046】
制御部92は、不図示のCPU(Central Processing Unit)と、不図示の記憶部とを有する。CPUは、記憶部に記憶された各種プログラムを実行することができ、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。記憶部には、例えば、媒体Pに記録を行うときの媒体Pの搬送制御、およびヘッドユニット50の吐出制御を行うプログラム等の各種プログラムや、各種テーブル等が記憶されている。
【0047】
電源部91、および制御部92は、Y軸方向において、中間タンク61および廃液収容部88と、後側面2Bと、の間となる位置に設けられる。また、制御部92は、Y軸方向において、電源部91と、後側面2Bと、の間となる位置に設けられる。また、高圧ユニット93は、Y軸方向において、搬送ベルト13と後側面2Bとの間となる位置に設けられる。また、高圧ユニット93は、X軸方向において、制御部92と右側面2Rとの間となる位置に設けられる。
【0048】
次に、取手部Hdについて説明する。プリンター1は、本体2を持つときに把持する複数の取手部Hdを備える。本実施形態の取手部Hdは、本体2の側面に設けられる矩形の窪みであるが、把持可能であれば本体2の側面に設けられる突起であってもよい。あるいは、取手部Hdは、矩形の窪みの開口側に手掛け形状を設けたものでもよい。本実施形態では、
図1から
図5に示すように、四つの取手部Hd、すなわち、第1取手部Hd1、第2取手部Hd2、第3取手部Hd3、および第4取手部Hd4が本体2に設けられる。
【0049】
図1に示すように、第1取手部Hd1は、本体2の左側面2Lにおいて、左側面2Lの中央より-Z方向側となる位置に設けられる。また、第1取手部Hd1は、本体2の左側面2Lにおいて、左側面2Lの中央より-Y方向側となる位置に設けられる。また、
図3に示すように、第1取手部Hd1は、本体2の重心CGに対して-Z方向側となる位置に設けられる。
【0050】
図2に示すように、第2取手部Hd2は、本体2の右側面2Rにおいて、右側面2Rの中央より-Z方向側となる位置に設けられる。また、第2取手部Hd2は、本体2の右側面2Rにおいて、右側面2Rの中央より-Y方向側となる位置に設けられる。また、第2取手部Hd2は、右側面2Rの下端に設けられる。また、
図5に示すように、第2取手部Hd2と第1取手部Hd1のY軸方向における位置は同じである。
【0051】
また、
図3に示すように、第2取手部Hd2は第1取手部Hd1に対して-Z方向側となる位置に設けられる。このため、Y軸方向に沿う方向から見たとき、第1取手部Hd1と第2取手部Hd2とを結ぶ直線(
図3に二点鎖線で明示)は、水平方向と交差し、水平方向と角度βを成す。Y軸方向に沿う方向は-V方向と直交する方向である。尚、本実施形態では、角度βは角度αより小さくなるように設定される。角度βは第2角度の一例である。
【0052】
図2に示すように、第3取手部Hd3は、本体2の後側面2Bにおいて、後側面2Bの中央より-Z方向側となる位置に設けられる。また、第3取手部Hd3は、本体2の後側面2Bにおいて、後側面2Bの中央より-X方向側となる位置に設けられる。また、第3取手部Hd3は、後側面2Bの下端に設けられる。よって、第3取手部Hd3と第2取手部Hd2のZ軸方向における位置は同じである。
【0053】
第4取手部Hd4は、本体2の後側面2Bにおいて、後側面2Bの中央より-Z方向側となる位置に設けられる。また、第4取手部Hd4は、本体2の後側面2Bにおいて、後側面2Bの中央より+X方向側となる位置に設けられる。また、第4取手部Hd4は、後側面2Bの下端に設けられる。よって、第4取手部Hd4と第2取手部Hd2のZ軸方向における位置は同じである。
【0054】
本実施形態において、例えば、複数の操作者が、第1取手部Hd1を含む複数の取手部Hdを把持することで、載置面Gあるいは増設ユニット6から本体2を持ち上げるとする。本実施形態では、第1取手部Hd1は、他の取手部Hdに対して+Z方向側となる位置に設けられる。この場合、複数の取手部Hdが把持されることで、持ち上げられた運搬姿勢の本体2は、通常姿勢と比較して、左側面2Lの中央が右側面2Rの中央より下方となる傾いた姿勢になる。
【0055】
また、この場合、Z軸方向において、運搬姿勢のときのヘッド51に対する中間タンク61の位置は、通常姿勢のときのヘッド51に対する中間タンク61の位置と比較して-Z方向側となる。尚、本体2の通常姿勢とは、本体2が載置面Gあるいは増設ユニット6の上に載置されているときの姿勢である。
【0056】
また、ヘッド51を含むヘッドユニット50の移動方向は、V軸方向である。これにより、通常姿勢のときのヘッドユニット50が自重によって移動しようとする向きは-V方向である。また、本実施形態では、角度βは角度αより小さい。これにより、運搬姿勢のときのヘッドユニット50が自重によって移動しようとする向きも-V方向である。
【0057】
また、本実施形態において、取手部Hdは、可動部であるヘッドユニット50、受け部87に対して-Z方向側となる位置に設けられる。
【0058】
また、本実施形態において、取手部Hdは、本体2の重心CGに対して-Z方向側となる位置に設けられる。
図7では、操作者が、本体2の重心CGに対して-Z方向側となる位置に設けられる取手部Hdを把持することで、本体2を持ち上げている状態を示している。
図8では、操作者が、本体2の重心CGに対して+Z方向側となる位置に設けられる取手部Hdを把持することで、本体2を持ち上げている状態を示している。
【0059】
図7、
図8に示すように、本体2を持ち上げているときの操作者の腕の付け根から本体2の重心CGまでの距離を距離Dsとする。この場合、距離Dsは、取手部Hdが重心CGの+Z方向側にある場合より取手部Hdが重心CGより-Z方向側にある場合の方が短くなる。これにより、本実施形態によれば、取手部Hdを把持することで本体2を持ち上げたときに本体2の揺れが大きくなることを抑制できる。また、本実施形態によれば、取手部Hdを把持することで本体2を持ち上げたときに、ヘッドユニット50、受け部87等の可動部が移動することを抑制できる。
【0060】
また、本実施形態において、取手部Hdは、前カバー16、およびスキャナーユニット9の開閉部9Aに対して-Z方向側となる位置に設けられる。また、第1取手部Hd1は、前カバー16が設けられる前側面2F寄りに設けられている。これによれば、取手部Hdを把持することで本体2を操作者が持ち上げているときに、前カバー16や開閉部9Aが開くことを操作者が体で防止しやすい。また、取手部Hdを把持することで本体2を持ち上げているときの本体2の傾きにより、開閉部9Aが開くことを抑制できる。
【0061】
また、本実施形態において、第2取手部Hd2は、媒体カセット3に対して-Z方向側となる位置に設けられる。また、第2取手部Hd2は、媒体カセット3が設けられる前側面2F寄りに設けられている。これによれば、取手部Hdを把持することで本体2を操作者が持ち上げているときに、媒体カセット3が開くことを操作者が体で防止しやすい。
【0062】
また、本実施形態において、第1取手部Hd1は、排出トレイ8に対して-Z方向側となる位置に設けられる。これによれば、取手部Hdを把持することで本体2を操作者が持ち上げているときに、排出トレイ8に載置された媒体Pが落下することを操作者が腕を含む体で防止しやすい。
【0063】
また、本体2の構成のうち比較的重い電源部91は、第1取手部Hd1よりも第4取手部Hd4に近い位置に設けられる。また、本体2の構成のうち比較的重いヘッドユニット50は、第1取手部Hd1よりも第2取手部Hd2および第3取手部Hd3に近い位置に設けられる。これによれば、第1取手部Hd1よりも-Z方向側に設けられる第2取手部Hd2、第3取手部Hd3、および第4取手部Hd4を把持することで、本体2を安定して持ち上げることができる。
【0064】
次に、
図6を参照して、中間タンク61を含む供給部17の構成について説明する。尚、中間タンク61A,61B,61C,61Dの構成は、
図6に示す中間タンク61の構成と同じである。また、液体収容体10A,10B,10C,10Dの構成は、
図6に示す液体収容体10の構成と同じである。
【0065】
供給部17は、中間タンク61と、中間タンク61からヘッド51にインクを供給する供給流路67と、ヘッド51から中間タンク61にインクを戻す帰還流路73と、インクを流動させる流動機構78と、を備える。供給流路67および帰還流路73は、例えば、可撓性を有する樹脂チューブにより構成される。
【0066】
中間タンク61は、液体収容体10から供給されるインクを導入可能であるとともに、ヘッド51に向けてインクを導出可能に構成される。中間タンク61は、第1導入部60と、貯留室62と、貯留室63と、貯留室62と貯留室63とを連通する導出流路71とを備える。導出流路71の途中には開閉弁72が設けられる。
【0067】
液体収容体10からヘッド51にインクが供給されるときの液体流動方向において、貯留室62は貯留室63よりも上流側に位置する。貯留室62は、液体収容体10から導入されたインクを一時的に貯留するサブタンクとして機能する。貯留室63は、貯留室62から導出されたインクをヘッド51に供給するまでの間、一時的に貯留するリザーバータンクとして機能する。
【0068】
装着部12に装着された液体収容体10から導入されたインクは、貯留室62に貯留される。貯留室63内のインクがヘッド51に供給された結果、貯留室63のインクが消費されると、開閉弁72が開弁する。これにより、貯留室62から貯留室63に導出流路71を通じてインクが補充される。開閉弁72は、一方向弁である。一方向弁である開閉弁72は、貯留室62から貯留室63に向かうインクの導出方向の流動を許容し、かつ貯留室63から貯留室62に向かうインクの流動を阻止する。開閉弁72は、制御部92により制御されてもよいが、本実施形態では、水頭差で開閉する差圧弁により構成される。
【0069】
図6に示すように、中間タンク61は、大気開放部64と、大気開放部69と、連通管76と、連通管77と、を備える。大気開放部64は、連通管76を介して、貯留室62内を大気に開放可能に構成される。大気開放部64は、貯留室62内に貯留されたインクの液面である液面66よりも上方の空間に設けられる。また、大気開放部69は、連通管77を介して、貯留室63を大気に開放可能に構成される。大気開放部69は、貯留室63内に貯留されたインクの液面である液面70よりも上方の空間に設けられる。
【0070】
連通管76は、貯留室62内を大気に開放する大気開放状態と、貯留室62内を大気に開放しない非大気開放状態とに切替え可能に構成されてもよい。また、連通管77は、貯留室63内を大気に開放する大気開放状態と、貯留室63内を大気に開放しない非大気開放状態とに切替え可能に構成されてもよい。
【0071】
液体収容体10内に収容されるインクは、注出部11を通じて導出される。注出部11は、導出弁11vを有する。液体収容体10内は、大気と連通していない密閉空間である。また、液体収容体10は可撓性を有さない材料で形成されている。装着部12に装着される前の液体収容体10は、中間タンク61が保持可能なインクの量より多い量のインクを収容してもよい。
【0072】
次に、貯留室62について説明する。貯留室62には、第1導入部60と、液面検知部68と、大気開放部64と、連通管76と、帰還流路73の一端と接続される第2導入部75と、が設けられる。第1導入部60は導入弁60vを有する。
【0073】
液体収容体10が装着部12に装着されると、注出部11と第1導入部60とが結合され、導出弁11vと導入弁60vとが開弁する。液体収容体10が装着部12に装着されているとき、導出弁11v、および導入弁60vは開弁状態に保持される。液体収容体10が装着部12に装着される過程で、導入弁60vが導出弁11vより先に開弁してもよい。そうすると、液体収容体10からインクが漏れにくくなる。
【0074】
第1導入部60は、液体収容体10から供給されるインクを導入する。第1導入部60は、貯留室62の上部に配置される。第1導入部60は、貯留室62の天井65を貫通する。第1導入部60の下端は、貯留室62の中に配置され、天井65よりも下方となる-Z方向側に位置する。第1導入部60の上端は、貯留室62の外に配置され、天井65よりも上方となる+Z方向側に位置する。
【0075】
貯留室62は、第1導入部60から導入したインクを貯留する。貯留室62はヘッド51よりも下方となる-Z方向側に位置する。よって、第1導入部60の下端は、ヘッド51のノズル面52およびノズルNよりも下方に位置する。そのため、貯留室62内に貯留されるインクの液面66は、ノズル面52およびノズルNよりも下方となる低い範囲で変動する。液体収容体10内のインクは、貯留室62内のインクとの水頭差により、注出部11および第1導入部60を介して貯留室62内に流入する。この水頭差は、第1導入部60下端の重力方向における位置に対応する液体収容体10内のインクの水頭と、液面66の重力方向における位置に対応する貯留室62内のインクの水頭との差である。
【0076】
連通管76は、大気開放部64を介して、貯留室62内を大気に開放可能に構成される。連通管76は、例えば、貯留室62からZ軸方向においてヘッド51より+Z方向となる位置まで延びる細管である。大気開放部64は、例えば、気液分離膜により構成される。気液分離膜とは、液体の透過を阻止しかつ気体の透過を許容する機能を有する膜材である。
【0077】
大気開放部64によって、貯留室62内のインクが外部へ漏れることを阻止しつつ、連通管76によって、貯留室62と外部との間での空気の出入りが許容される。このように貯留室62は、大気に開放されているので、液体収容体10から第1導入部60を介したインクの導入および導出流路71を通じたインクの導出によって、液面66は変化する。
【0078】
液体収容体10内のインクが注出部11および第1導入部60を介して貯留室62に流入したとき、貯留室62に流入したインクの量に相当する量の空気が、第1導入部60および注出部11を介して、第1導入部60の下端から液体収容体10に流動する。同時に、液面66は、流入したインクの分だけ上昇する。上昇した液面66が第1導入部60の下端に達すると、貯留室62から液体収容体10への空気の流入が止まる。液体収容体10内のインクの水頭が、貯留室62内のインクの水頭と同じになると、液体収容体10から貯留室62へのインクの流入が止まる。
【0079】
貯留室62から貯留室63にインクが流動すると、液面66は下降する。下降した液面66が第1導入部60の下端よりも下がると、液体収容体10内のインクの水頭が、貯留室62内のインクの水頭より大きくなる。これにより、液体収容体10内のインクが貯留室62内に流入する。その結果、液体収容体10内にインクがある間、液面66は、第1導入部60下端の位置である標準位置SH(
図6に二点鎖線で明示)に維持される。液体収容体10内のインクがなくなると、液面66は、標準位置SHより下方に移動する。
【0080】
中間タンク61は、貯留室62内のインクの液面66を検知可能な液面検知部68を更に備える。液面検知部68は、液面66が標準位置SHに位置すること、液面66が標準位置SHより下方に位置すること、および、液面66が満杯位置に位置することを検知する。満杯位置は、標準位置SHより上方の位置である。液面66が満杯位置に位置するとき、貯留室62は、最大量のインクを貯留している。制御部92は、液面66が標準位置SHより下方に位置することを液面検知部68が検出した場合に、液体収容体10が空になったと判断し、液体収容体10の交換を表示部7A(
図1参照)により操作者に報知する。
【0081】
次に、貯留室63について説明する。貯留室63はヘッド51よりも下方となる-Z方向側に位置する。よって、貯留室63内のインクの液面70は、ヘッド51のノズル面52およびノズルNよりも下方に位置する。貯留室63は、導出流路71の他端に接続され、貯留室62から供給されるインクを貯留する。貯留室63は、供給流路67によって、ヘッド51のヘッド流路54と接続される。貯留室63には、大気開放部69と、連通管77と、供給流路67の一端と接続される導出部74と、が設けられる。
【0082】
連通管77は、大気開放部69を介して、貯留室63内を大気に開放可能に構成される。連通管77は、例えば、貯留室63からZ軸方向においてヘッド51より+Z方向となる位置まで延びる細管である。大気開放部69は、例えば、気液分離膜により構成される。この気液分離膜は、大気開放部64を構成する気液分離膜と同様に、気体を透過させる一方で液体の透過を阻止する機能を有する膜材である。
【0083】
貯留室62内のインクは、貯留室62内のインクの水頭と貯留室63内のインクとの水頭差によって、貯留室63内に流動する。貯留室62内、および貯留室63内の圧力が大気圧の場合、貯留室63内に貯留されるインクの液面70は、Z軸方向において液面66と同じ高さになる。
【0084】
換言すると、液面70は、第1導入部60下端と同じ高さである標準位置SHに維持され、ノズル面52およびノズルNよりも下方となる低い範囲で変動する。ヘッド51内のインクは、貯留室62内のインクおよび貯留室63内のインクとの水頭差によって負圧に維持される。ヘッド51でインクが消費されると、貯留室63内に貯留されたインクが供給流路67を介してヘッド51に供給される。
【0085】
中間タンク61の貯留室62,63は、ヘッド51のノズル面52に開口するノズルNより下方となる位置に設けられる。より詳細には、貯留室62,63の液面66,70は、ノズルNに形成される気液界面より下方となる位置に設けられる。中間タンク61の貯留室62,63は、大気開放部64,69、および連通管76,77を介して、大気に開放される。これにより、貯留室62,63に貯留されるインクには、液面66,70を介して大気圧が作用する。よって、ヘッド51内のインクは、貯留室62内のインクおよび貯留室63内のインクとの水頭差によって負圧に維持される。
【0086】
また、液面66,70の標準位置SHがノズルNに形成される気液界面より高低差H分下方となる位置に、中間タンク61を配置することで、ヘッド51に供給されるインクの圧力を所定の負圧に調整することができる。尚、所定の負圧は、ノズルNに形成される気液界面が壊れない圧力であり、例えば、ゲージ圧で-10kPaから-3500Paが好ましく、ゲージ圧で-500Paから-2000Paがより好ましい。また、所定の負圧がゲージ圧で-500Paから-2000Paのときの高低差Hは、50mmから200mmに相当する。
【0087】
次に、帰還流路73、および流動機構78について説明する。本実施形態の供給部17は、貯留室62の第2導入部75とヘッド51のヘッド流路55とを接続する帰還流路73を備える。これにより、貯留室62、導出流路71、貯留室63、供給流路67、ヘッド流路54、共通液室53、ヘッド流路55、および帰還流路73は、環状の循環流路を形成する。尚、ヘッド51の共通液室53は、ヘッド流路54,55と接続される。また、共通液室53は、複数のノズルNと連通しており、中間タンク61のインクは、共通液室53を介して、複数のノズルNに供給される。
【0088】
流動機構78は、連通管76,77と接続される。流動機構78は、貯留室62内のインクに作用する圧力と貯留室63内のインクに作用する圧力との間に圧力差を発生させることで、循環流路内のインクを循環させる。流動機構78は、連通管76,77のうちいずれかの外部空間との連通を遮断可能な制御弁と、貯留室63に空気を送ることが可能なポンプと、を備える。ポンプとしては、チューブを圧し潰しながらローラーが軸中心に回転するチューブポンプ、流路の途中に設けられるポンプ室の容積を変化させることで空気の吸込および吐出を行うダイヤフラムポンプ等が採用できる。また、流動機構78は、連通管76,77を介して、貯留室62,63内の圧力を検出可能な圧力センサーを備えてもよい。
【0089】
例えば、制御部92が流動機構78のポンプを駆動制御することで、貯留室63内に空気を送り、貯留室63内の圧力を貯留室62内の圧力より高くするとする。この場合、開閉弁72は、導出流路71において、貯留室63から貯留室62に向かうインクの流動を阻止する。これにより、循環流路内のインクは、供給流路67において貯留室63からヘッド51に向かい、帰還流路73においてヘッド51から貯留室62に向かう方向に流動する。
【0090】
循環流路内のインクを流動させるとき、制御部92は、圧力センサーが検出する貯留室63内の圧力に基づいて、流動機構78のポンプを駆動制御してもよい。これにより、制御部92は、ヘッド51の共通液室53内のインクがノズルN内のインクに対して負圧となる範囲で、貯留室63内の圧力を高くする。
【0091】
尚、本実施形態では、供給流路67および帰還流路73を介して、中間タンク61の貯留室62,63からヘッド51にインクを供給可能である。供給流路67および帰還流路73のいずれかを選択してヘッド51にインクを供給する場合、供給流路67および帰還流路73に、供給流路67の連通、および帰還流路73の連通を遮断可能な制御弁を設けてもよい。
【0092】
また、循環流路内のインクを循環させる必要がない場合、供給部17は、帰還流路73、および流動機構78を備えなくてもよい。また、循環流路内のインクを循環させる必要がない場合、ヘッド51は、ヘッド流路55を備えなくてもよい。また、循環流路内のインクを循環させる必要がない場合、中間タンク61は、貯留室63、導出流路71、開閉弁72、および貯留室62の第2導入部75を備えなくてもよい。この場合、供給流路67は、ヘッド51のヘッド流路54と中間タンク61の貯留室62とを接続する。
【0093】
以上述べたように、実施形態1に係るプリンター1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0094】
プリンター1は、インクを吐出するヘッド51と、ヘッド51に供給されるインクが貯留される貯留部RSであって、ヘッド51と接続される貯留部RSと、ヘッド51および貯留部RSを有する本体2と、を備える。また、プリンター1は、把持される第1取手部Hd1であって、本体2の左側面2Lに設けられる第1取手部Hd1を備える。また、プリンター1は、把持される第2取手部Hd2であって、左側面2Lと対向する本体2の右側面2Rに設けられる第2取手部Hd2を備える。そして、貯留部RSは、X軸方向においてヘッド51と左側面2Lとの間に設けられ、第1取手部Hd1は、重力方向において第2取手部Hd2よりも上方に位置する。これによれば、第1取手部Hd1と第2取手部Hd2とを把持して本体2を持ち上げたとき、ヘッド51に対する貯留部RSの位置が通常の位置より下方に位置するので、インクがヘッド51から漏れることを抑制できる。
【0095】
貯留部RSは、重力方向においてヘッド51よりも下方に位置する。これによれば、貯留部RSがヘッド51より上方に位置する場合と比較して、インクがヘッド51から漏れ出しにくい。また、ヘッド51内のインクの圧力を負圧に維持するために、貯留部RSとヘッド51とを接続する流路に差圧弁等を設ける必要がない。
【0096】
貯留部RSは大気に開放される。これによれば、貯留部RSとヘッド51との水頭差を利用することで、ヘッド51に供給されるインクの圧力を調整しやすい。
【0097】
ヘッド51は、本体2の中心に対して右側面2R側に設けられ、貯留部RSは、本体2の中心に対して左側面2Lに設けられる。これによれば、本体2を持ち上げる際に第1取手部Hd1を中心に貯留部RSが揺動する揺動範囲を抑えることができる。その結果、貯留部RS内部のインクの振動を抑えられ、インクの漏れを抑制できる。また、本体2内のスペースを有効活用できる。
【0098】
ヘッド51は、水平方向と重力方向とに交差する-V方向にインクを吐出し、右側面2Rは、-V方向に設けられる。これによれば、インクが吐出される媒体Pの搬送方向を斜め方向にできるので、左側面2Lと右側面2Rとの間の距離を短くすることができる。これにより、プリンター1の幅方向寸法を小さくできる。
【0099】
ヘッド51は、-V方向に沿って変位可能である。そして、-V方向と直交する方向から見たとき、第1取手部Hd1と第2取手部Hd2とを結ぶ直線が水平方向となす角度βは、-V方向と水平方向とがなす角度αより小さい。角度βが角度αより大きい場合、通常の姿勢においてヘッド51が自重によって移動しようとする向きと運搬時の姿勢においてヘッド51が自重によって移動しようとする向きとが逆になってしまう。一方、角度βを角度αより小さくすると、通常の姿勢においてヘッド51が自重によって移動しようとする向きと運搬時の姿勢においてヘッド51が自重によって移動しようとする向きとを同じにできる。よって、本実施形態によれば、本体2の運搬時に、ヘッド51が移動することを抑制できる。また、運搬時にヘッド51の移動を規制する部材を設ける必要がない。
【0100】
プリンター1は、ヘッド51から排出されるインクを収容する廃液収容部88であって、ヘッド51から排出されるインクを受ける受け部87と接続される廃液収容部88を本体2に備える。そして、廃液収容部88は、X軸方向において受け部87と左側面2Lとの間となる位置に設けられる。これによれば、第1取手部Hd1と第2取手部Hd2とを把持して本体2を持ち上げたとき、廃液収容部88内のインクが受け部87から漏れ出すことを抑制できる。
【0101】
プリンター1は、把持される第3取手部Hd3であって、左側面2Lおよび右側面2Rと交差する本体2の後側面2Bに設けられる第3取手部Hd3を備える。また、プリンター1は、把持される第4取手部Hd4であって、後側面2Bに設けられる第4取手部Hd4を備える。そして、第3取手部Hd3と第4取手部Hd4とは、重力方向において第1取手部Hd1よりも下方に位置する。これによれば、第1取手部Hd1と複数の取手部Hdとを把持して本体2を持ち上げたときであっても、ヘッド51に対する貯留部RSの位置が通常の位置より下方に位置するので、インクがヘッド51から漏れ出すことを抑制できる。
【0102】
第2取手部Hd2と第3取手部Hd3と第4取手部Hd4とは、重力方向において同じ高さに設けられる。これによれば、四つの取手部Hdを把持することで、本体2を安定して運搬することができる。
【0103】
プリンター1は、本体2の設定画面を表示する表示部7Aであって、後側面2Bと対向する前側面2Fから突出して設けられる表示部7Aを備える。取手部Hdの上方に突出部となる表示部7Aがあると、運搬時に運搬者が取手部Hdを把持しにくい。一方、本構成によれば、取手部Hdが設けられる側面と異なる側面に表示部7Aが設けられるので、運搬者が取手部Hdを把持しやすい。
【0104】
第1取手部Hd1は、重力方向において本体2の重心CGよりも下方に位置する。これによれば、取手部Hdを本体2の重心CGより上方に配置する場合と比較して、取手部Hdを把持して本体2を運搬するときに本体2の重心CGと腕の付け根の距離Dsが短くなる。これにより、運搬時の本体2の振動を抑制できる。
【0105】
本開示の上記実施形態に係るプリンター1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
【0106】
上記実施形態において、プリンター1は、スキャナーユニット9を本体2に備えなくてもよい。また、プリンター1は、本体2に連結可能な増設ユニット6を備えなくてもよい。
【0107】
上記実施形態において、取手部Hdは本体2に四つ設けられなくてもよい。例えば、第3取手部Hd3および第4取手部Hd4はなくてもよい。この場合、左側面2Lのうち、Y軸方向において前側面2Fより左側面2Lの中央に近い位置に、第1取手部Hd1を設けてもよい。また、この場合、右側面2Rのうち、Y軸方向において前側面2Fより右側面2Rの中央に近い位置に、第2取手部Hd2を設けてもよい。
【0108】
上記実施形態において、第3取手部Hd3と第4取手部Hd4とは、後側面2Bに設けられなくてもよい。例えば、第3取手部Hd3は後側面2Bに設けられ、第4取手部Hd4は左側面2Lに設けられてもよい。また、例えば、第3取手部Hd3は右側面2Rに設けられ、第4取手部Hd4は後側面2Bに設けられてもよい。また、例えば、第3取手部Hd3は右側面2Rに設けられ、第4取手部Hd4は左側面2Lに設けられてもよい。また、例えば、第3取手部Hd3および第4取手部Hd4は、前側面2Fに設けられてもよい。
【0109】
上記実施形態において、第3取手部Hd3、および第4取手部Hd4は、Z軸方向において第2取手部Hd2と同じ高さに設けられなくてもよい。この場合も、取手部Hdを把持して本体2を持ち上げたとき、ヘッド51に対する貯留部RSの位置が通常の位置より下方に位置することを条件とする。例えば、この場合、第4取手部Hd4は、Z軸方向において、第1取手部Hd1と同じ高さとなる位置に設けられてもよい。また、この場合、第4取手部Hd4は、左側面2Lのうち、Y軸方向において左側面2Lの中央より後側面2Bに近い位置に設けられてもよい。
【0110】
上記実施形態において、供給部17は、装着部12、中間タンク61、帰還流路73、および流動機構78を備えなくてもよい。例えば、
図9に示すように、装着部12に着脱可能な液体収容体10に代えて、本体2に液体タンク110を設けてもよい。液体タンク110は、インクを注入可能な注入口111と、注入口111を閉じるキャップ112と、を備える。また、液体タンク110は、実施形態1の大気開放部64と同様の大気開放部113、および連通管76と同様の連通管114を備える。これにより、液体タンク110内は大気に開放される。また、これにより、液体タンク110に貯留されるインクには、液面166を介して大気圧が作用する。また、液体タンク110は、実施形態1の液面検知部68と同様の液面検知部168とを備える。
【0111】
液体タンク110は、実施形態1の中間タンク61と同様に、供給流路67によって、ヘッド51のヘッド流路54と接続される。これにより、液体タンク110に貯留されるインクは、ヘッド51に供給可能となる。液体タンク110は、貯留部RSの一例である。液体タンク110は、実施形態1の中間タンク61と同様に、X軸方向において、ヘッド51と左側面2Lとの間となる位置に設けられる。また、液体タンク110は、中間タンク61と同様に、Z軸方向において、ヘッド51より下方となる-Z方向側に設けられる。これによれば、第1取手部Hd1と第2取手部Hd2とを把持して本体2を持ち上げたとき、ヘッド51に対する液体タンク110の位置が通常の位置より下方に位置するので、インクがヘッド51から漏れることを抑制できる。
【0112】
また、液体タンク110に貯留されるインクの液面166は、中間タンク61と同様に、ヘッド51のノズルNより高低差H分下方となる標準位置SHに維持される。制御部92は、液面166が標準位置SHより下方に位置することを液面検知部168が検出した場合に、液体タンク110へのインクの補充が必要になったと判断する。そして、制御部92は、液体タンク110へのインクの注入を促す旨の報知を表示部7Aにより行う。
【0113】
上記実施形態において、装着部12に液体収容体10を装着しなくてもよい。例えば、
図10に示すように、装着部12に着脱可能な液体収容袋210を装着してもよい。この場合、供給部17は、中間タンク61、帰還流路73,および流動機構78を備えなくてもよい。液体収容袋210は、インクを収容可能な袋体211と、袋体211に貯留されるインクを導出可能な導出部212と、を備える。袋体211は、例えば、可撓性を有する樹脂フィルムによって形成される。これにより、袋体211に貯留されるインクには、樹脂フィルムを介して大気圧が作用する。
【0114】
装着部12に装着された液体収容袋210は、導出部212が供給流路67と接続されることで、ヘッド51のヘッド流路54と接続される。これにより、液体収容袋210に貯留されるインクは、ヘッド51に供給可能となる。液体収容袋210は、貯留部RSの一例である。装着部12に装着された液体収容袋210は、実施形態1の中間タンク61と同様に、X軸方向において、ヘッド51と左側面2Lとの間となる位置に設けられる。また、装着部12に装着された液体収容袋210は、中間タンク61と同様に、Z軸方向において、ヘッド51より下方となる-Z方向側に設けられる。これによれば、第1取手部Hd1と第2取手部Hd2とを把持して本体2を持ち上げたとき、ヘッド51に対する液体収容袋210の位置が通常の位置より下方に位置するので、インクがヘッド51から漏れることを抑制できる。尚、装着部12に液体収容袋210が装着されたとき、ヘッド51のノズルNより高低差H分下方となる標準位置SHに、袋体211の中央が位置するように、装着部12のZ軸方向における位置は設定される。
【0115】
上記実施形態において、装着部12に液体収容体10を装着しなくてもよい。例えば、
図11に示すように、ヘッドユニット50に装着部12を設け、装着部12に着脱可能なヘッドタンク310を装着してもよい。この場合、供給部17は、中間タンク61、供給流路67、帰還流路73,および流動機構78を備えなくてもよい。ヘッドタンク310は、導出部312と、実施形態1の大気開放部64と同様の大気開放部313と、を備える。また、ヘッドタンク310の壁には、大気開放部313を介してヘッドタンク内を大気と連通させる連通穴314が設けられる。これにより、ヘッドタンク310内は大気に開放される。また、これにより、ヘッドタンク310に貯留されるインクには、インクの液面366を介して大気圧が作用する。
【0116】
装着部12に装着されたヘッドタンク310は、導出部312がヘッド流路54と接続されることで、ヘッド51と接続される。これにより、ヘッドタンク310に貯留されるインクは、ヘッド51に供給可能となる。ヘッドタンク310は、貯留部RSの一例である。尚、本実施形態では、装着部12に装着されたヘッドタンク310内のインクは、ヘッド51の複数のノズルNのうち最も-Z方向に位置するノズルNより+Z方向側に位置する。本実施形態では、ヘッド流路54に開閉弁12vを設けることで、ヘッド51内のインクを負圧に維持している。開閉弁12vは、共通液室53側のインクの圧力がヘッドタンク310側のインクの圧力より所定の圧力分低くなると開弁する差圧弁である。
【0117】
この場合、本体2の姿勢の変化により、ヘッド51に対するヘッドタンク310の位置が通常の位置より上方に変位すると、ヘッド51内のインクが大気圧より高くなり、ノズルNからインクが漏れる虞がある。このため、本実施形態では、ヘッドユニット50の装着部12に装着されたヘッドタンク310は、X軸方向において、ヘッド51と左側面2Lとの間となる位置に設けられる。これによれば、第1取手部Hd1と第2取手部Hd2とを把持して本体2を持ち上げたとき、ヘッド51に対するヘッドタンク310の位置が通常の位置より下方に位置するので、インクがヘッド51から漏れることを抑制できる。
【0118】
尚、ヘッドタンク310をヘッドユニット50に対して着脱不能に設ける場合、例えば、ヘッドタンク310と
図10に示す液体収容袋210とを供給流路67で接続してもよい。そして、制御部92が供給流路67の途中に設けられたポンプを駆動制御することで、液体収容袋210が収容するインクをヘッドタンク310に供給してもよい。この場合、ヘッド51内のインクの圧力は、開閉弁12v、およびヘッドタンク310が貯留するインクの位置水頭を利用することで、負圧に調整される。このため、この実施形態における液体収容袋210は、例えば、袋体211の中央がノズルNに形成される気液界面より500mm下方となる位置に配置されてもよい。また、この実施形態における貯留部RSは、ヘッドタンク310である。
【符号の説明】
【0119】
1…プリンター、2…本体、2B…後側面、2F…前側面、2L…左側面、2R…右側面、3,4,5…媒体カセット、6…増設ユニット、7…操作パネル、7A…表示部、8…排出トレイ、8b…支持面、9…スキャナーユニット、9A…開閉部、10,10A,10B,10C,10D…液体収容体、11…注出部、11v…導出弁、12…装着部、12v…開閉弁、13…搬送ベルト、14,15…プーリー、16…前カバー、17…供給部、19…供給ローラー、20…分離ローラー、21,22,23…ピックローラー、24…供給トレイ、25,26,27…給送ローラー対、28,29,31,32,33,34,35,36,37,38…搬送ローラー対、41…フラップ、50…ヘッドユニット、51…ヘッド、52…ノズル面、53…共通液室、54,55…ヘッド流路、60…第1導入部、60v…導入弁、61,61A,61B,61C,61D…中間タンク、62,63…貯留室、64,69,113,313…大気開放部、65…天井、66,70,166,366…液面、67…供給流路、68,168…液面検知部、71…導出流路、72…開閉弁、73…帰還流路、74,212,312…導出部、75…第2導入部、76,77,114…連通管、78…流動機構、87…受け部、88…廃液収容部、89…廃液チューブ、91…電源部、92…制御部、93…高圧ユニット、110…液体タンク、111…注入口、112…キャップ、210…液体収容袋、211…袋体、310…ヘッドタンク、314…連通穴、H…高低差、K1…分岐位置、P…媒体、RS…貯留部、SH…標準位置、T1…記録時搬送経路、T2…スイッチバック経路、T3…反転経路。