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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089026
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】慣性計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/00 20130101AFI20240626BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20240626BHJP
   G01C 19/5776 20120101ALN20240626BHJP
【FI】
G01C19/00 Z
G08C15/06 H
G08C15/06 F
G01C19/5776
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204119
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】日吉 泰徳
【テーマコード(参考)】
2F073
2F105
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA29
2F073AA31
2F073AB01
2F073AB05
2F073BB04
2F073BC01
2F073CC03
2F073CC09
2F073CC12
2F073CD11
2F073CD24
2F073DD06
2F073DD07
2F073DE06
2F073DE13
2F073DE17
2F073EF08
2F073EF09
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG05
2F073GG01
2F073GG04
2F073GG07
2F105AA02
2F105AA06
2F105BB17
2F105BB20
2F105CC01
2F105CD02
2F105CD03
2F105CD05
2F105CD06
2F105CD11
(57)【要約】
【課題】慣性計測装置に設ける慣性計測ユニットの数を増やして出力データの低ノイズ化を容易に実現できる慣性計測装置等の提供。
【解決手段】慣性計測装置10は、慣性計測ユニット30-1~30-nと、慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnが入力され、検出データD1~Dnを時分割に出力データDQ1として出力する中継回路40と、中継回路40からの出力データDQ1が入力され、検出データD1~Dnの合成処理を行う処理装置50を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットと、
前記第1慣性計測ユニット~前記第n慣性計測ユニットからの第1検出データ~第n検出データが入力され、前記第1検出データ~前記第n検出データを時分割に出力データとして出力する中継回路と、
前記中継回路からの前記出力データが入力され、前記第1検出データ~前記第n検出データの合成処理を行う処理装置と、
を含むことを特徴とする慣性計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の慣性計測装置において、
前記中継回路は、
前記第1慣性計測ユニット~前記第n慣性計測ユニットからの前記第1検出データ~前記第n検出データを受信する第1通信回路~第n通信回路と、
前記出力データを前記処理装置に送信する出力側通信回路と、
を含むことを特徴とする慣性計測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の慣性計測装置において、
前記処理装置は、
前記第1検出データ~前記第n検出データに含まれる第1軸検出データの前記合成処理と、
前記第1検出データ~前記第n検出データに含まれる第2軸検出データの前記合成処理と、
を行うことを特徴とする慣性計測装置。
【請求項4】
請求項1に記載の慣性計測装置において、
前記合成処理は、平均化処理であることを特徴とする慣性計測装置。
【請求項5】
請求項1に記載の慣性計測装置において、
前記中継回路は、
前記第1慣性計測ユニット~前記第n慣性計測ユニットからの前記第1検出データ~前記第n検出データを記憶する第1メモリー~第nメモリーを含むことを特徴とする慣性計測装置。
【請求項6】
請求項5に記載の慣性計測装置において、
前記第1メモリー~前記第nメモリーの各メモリーは、
前記第1検出データ~前記第n検出データの各検出データに対応づけて、前記第1慣性計測ユニット~前記第n慣性計測ユニットの各慣性計測ユニットの識別情報を記憶することを特徴とする慣性計測装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の慣性計測装置において、
前記中継回路は、
前記第1慣性計測ユニット~前記第n慣性計測ユニットからの第1データレディー信号~第nデータレディー信号を受信し、前記第1データレディー信号~前記第nデータレディー信号を受信した順序で、前記第1検出データ~前記第n検出データを前記出力データとして前記処理装置に出力することを特徴とする慣性計測装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の慣性計測装置において、
前記中継回路は、
前記第1慣性計測ユニット~前記第n慣性計測ユニットからの第1データレディー信号~第nデータレディー信号を受信し、前記第1データレディー信号~前記第nデータレディー信号に基づいて、出力データレディー信号を前記処理装置に出力することを特徴とする慣性計測装置。
【請求項9】
請求項8に記載の慣性計測装置において、
前記出力データレディー信号の単位時間におけるパルス数は、前記第1データレディー信号~前記第nデータレディー信号の前記単位時間におけるパルス数の総和に対応することを特徴とする慣性計測装置。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の慣性計測装置において、
前記第1慣性計測ユニット~前記第n慣性計測ユニットは、データ出力レートRTで前記第1検出データ~前記第n検出データを出力し、
前記中継回路は、データ出力レートRTQがn×RT以上で前記出力データを出力することを特徴とする慣性計測装置。
【請求項11】
請求項10に記載の慣性計測装置において、
前記処理装置は、
前記合成処理後のデータを前記データ出力レートRT以下で出力することを特徴とする慣性計測装置。
【請求項12】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の慣性計測装置において、
第k慣性計測ユニット~第m慣性計測ユニットと、
前記第k慣性計測ユニット~前記第m慣性計測ユニットからの第k検出データ~第m検出データが入力され、前記第k検出データ~前記第m検出データを時分割に第2出力データとして出力する第2中継回路と、
を含み、
前記処理装置は、
前記出力データと前記第2出力データが入力され、前記第1検出データ~前記第n検出データと前記第k検出データ~前記第m検出データの前記合成処理を行うことを特徴とする慣性計測装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記第2中継回路は、
前記第k慣性計測ユニット~前記第m慣性計測ユニットからの前記第k検出データ~前記第m検出データを受信する第k通信回路~第m通信回路と、
前記第2出力データを前記処理装置に送信する第2出力側通信回路と、
を含むことを特徴とする慣性計測装置。
【請求項14】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の慣性計測装置において、
前記第1慣性計測ユニット~前記第n慣性計測ユニットと、前記中継回路と、前記処理装置とが収納されるケースを含むことを特徴とする慣性計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慣性計測装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には複数の慣性計測ユニットを有する慣性計測装置が開示されている。この特許文献1の従来技術では、複数の慣性計測ユニットの各々に対して、X、Y、Zの3軸のミスアライメントを補正し、補正した後に慣性計測ユニットの軸合わせを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-196191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような慣性計測装置では、例えば慣性計測ユニットの個数を増やした場合に、慣性計測装置に設けられる処理装置の通信ポートが足りなくなったり、或いは慣性計測装置から出力される検出データのデータ出力レートが低下してしまうなどの問題が発生する。このため、慣性計測装置に設ける慣性計測ユニットの数が制限されてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットと、前記第1慣性計測ユニット~前記第n慣性計測ユニットからの第1検出データ~第n検出データが入力され、前記第1検出データ~前記第n検出データを時分割に出力データとして出力する中継回路と、前記中継回路からの前記出力データが入力され、前記第1検出データ~前記第n検出データの合成処理を行う処理装置と、を含む慣性計測装置に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態の慣性計測装置の構成例。
図2】本実施形態の慣性計測装置の詳細な構成例。
図3】本実施形態の具体的な第1構成例。
図4】本実施形態の具体的な第1構成例。
図5】第1構成例の動作を説明するタイミングチャート図。
図6】第1構成例の動作を説明するタイミングチャート図。
図7】本実施形態の比較例の構成例。
図8】本実施形態の具体的な第2構成例。
図9】第2構成例の動作を説明するタイミングチャート図。
図10】慣性計測装置を説明する斜視図。
図11】慣性計測装置を説明する分解斜視図。
図12】慣性計測ユニットの構成例。
図13】慣性計測ユニットの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0008】
1.慣性計測装置の構成例
図1に本実施形態の慣性計測装置10の構成例を示す。慣性計測装置10は、慣性計測ユニット30-1~30-nと、中継回路40と、処理装置50を含む。慣性計測ユニット30-1~30-nは第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットである。ここでnは2以上の整数である。
【0009】
慣性計測装置10は慣性情報を検出する。慣性情報は例えば加速度データや角速度データなどである。慣性計測装置10は、例えば3軸の加速度や3軸の角速度を検出する6軸の慣性計測装置である。この6DoF(six degrees of freedom)の慣性計測装置10を用いることで、移動体としての自動車やロボットなどの運動体についての姿勢や、慣性運動量である挙動や、或いは構造物や機器の振動などの検出が可能になる。但し慣性計測装置10が検出する慣性情報や検出軸の数はこれには限定されない。
【0010】
慣性計測装置10は複数の慣性計測ユニット30-1~30-nにより慣性情報を検出する。慣性計測ユニット30-1~30-nの各慣性計測ユニットは例えば加速度センサーデバイスや角速度センサーデバイスを含む。加速度センサーデバイスは、X軸、Y軸、Z軸の方向での加速度を検出する。加速度センサーデバイスは、1つの加速度センサーデバイスによりこれらの3軸での加速度を検出するものであってもよいし、各々の加速度センサーデバイスが1軸又は複数軸を検出する複数の加速度センサーデバイスを設けてもよい。また角速度センサーデバイスは、例えばX軸回り、Y軸回り、Z軸回りでの角速度を検出する。この場合に角速度センサーデバイスとして、X軸用の角速度センサーデバイス、Y軸用の角速度センサーデバイス、Z軸用の角速度センサーデバイスを設けることができる。角速度センサーデバイスは、1つの角速度センサーデバイスによりこれらの3軸での角速度を検出するものであってもよいし、各々の角速度センサーデバイスが1軸又は複数軸を検出する複数の角速度センサーデバイスを設けてもよい。
【0011】
中継回路40は、慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnが入力される。中継回路40は中継装置と呼ぶこともできる。検出データD1~Dnは、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットから入力される第1検出データ~第n検出データである。そして中継回路40は、検出データD1~Dnを時分割に出力データDQ1として出力する。検出データD1~Dnは慣性計測ユニット30-1~30-nにより計測された慣性情報である。検出データD1~Dnの各検出データは、慣性計測ユニット30-1~30-nの各慣性計測ユニットにより検出された加速度データや角加速度データを含む。また各検出データは、誤り検出符号データや温度検出データなどの各種データを含んでもよい。また各慣性計測ユニットと中継回路40の間の通信は例えばシリアル通信であり、慣性計測ユニット30-1~30-nの各慣性計測ユニットは、加速度データ、角速度データなどのデータを例えばシリアルのデータで中継回路40に出力する。例えば検出データD1、D2・・・Dnの順序で各慣性計測ユニットから検出データが入力された場合には、中継回路40はその順序で検出データD1、D2・・・Dnを出力データDQ1として処理装置50に出力する。各慣性計測ユニットからの各検出データの出力順序は任意であり、例えば各慣性計測ユニットでの検出タイミングに応じた順序で各検出データが出力される。即ち中継回路40には、慣性計測ユニット30-1~30-nの各慣性計測ユニットでの慣性情報の検出タイミングの順序で、検出データD1~Dnの各検出データが入力される。そして中継回路40は、その検出タイミングの順序で、検出データD1~Dnの各検出データを出力データDQ1として処理装置50に出力する。
【0012】
処理装置50は、中継回路40からの出力データDQ1が入力され、検出データD1~Dnの合成処理を行う。処理装置50は処理回路と言うこともできる。例えば処理装置50は、慣性計測ユニット30-1の検出データD1と、慣性計測ユニット30-2の検出データD2と、・・・・・慣性計測ユニット30-nの検出データDnの合成処理を行う。例えば処理装置50は、同等のタイミングで入力された検出データD1~Dnの平均化処理等の合成処理を行い、合成処理後のデータDQHを出力する。処理装置50は、例えばMPU、CPUなどのプロセッサーにより実現できる。例えば処理装置50はマイクロコントローラーなどと呼ばれるものである。或いは処理装置50は、ゲートアレイなどの自動配置配線によるASICにより実現してもよい。
【0013】
このように本実施形態の慣性計測装置10では、慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnが中継回路40に入力され、中継回路40は、検出データD1~Dnを時分割に出力データDQ1として出力する。そして処理装置50は、中継回路40からの出力データDQ1に基づき検出データD1~Dnの合成処理を行う。このようにすれば、処理装置50の通信ポートの数が限られている場合にも、慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnを中継回路40を介して時分割に出力データDQ1として処理装置50に入力できるようになる。そして処理装置50により検出データD1~Dnの合成処理が行われることにより、例えば1つの慣性計測ユニットからの検出データを用いる場合に比べて、合成処理後のデータDQHのノイズを低減できるようになる。例えばn個の慣性計測ユニット30-1~30-nの検出データD1~Dnの合成処理を行うことで、合成処理後のデータDQHのランダムノイズを例えば1/n1/2に低減できるようになる。従って、慣性計測装置10に設ける慣性計測ユニットの数を増やして出力データの低ノイズ化を容易に実現できる慣性計測装置10の提供が可能になる。
【0014】
また処理装置50は、検出データD1~Dnに含まれる第1軸検出データの合成処理を行う。また処理装置50は、検出データD1~Dnに含まれる第2軸検出データの合成処理を行う。第1軸検出データは、例えば第1軸方向での加速度データや第1軸回りでの角速度データであり、第2軸検出データは、例えば第2軸方向での加速度データや第2軸回りでの角速度データである。第1軸は、例えばX軸、Y軸、Z軸のうちの1つの軸であり、第2軸は、X軸、Y軸、Z軸のうちの第1軸以外の軸である。更に処理装置50は、例えば検出データD1~Dnに含まれる第3軸検出データの合成処理を行う。第3軸検出データは、例えば第3軸方向での加速度データや第3軸回りでの角速度データである。第3軸は、X軸、Y軸、Z軸のうちの第1軸及び第2軸以外の軸である。検出データD1~Dnが、第1軸の検出データDA1~DAnと、第2軸の検出データDB1~DBnを含む場合に、処理装置50は、第1軸の検出データDA1~DAnの合成処理と、第2軸の検出データDB1~DBnの合成処理を行う。また検出データD1~Dnが、第3軸の検出データDC1~DCnを含む場合に、処理装置50は、第3軸の検出データDC1~DCnの合成処理を行う。このようにすれば、検出データD1~Dnに含まれる第1軸検出データや第2軸検出データの合成処理が行われて、合成処理後の第1軸検出データや第2軸検出データのノイズを低減できるようになる。例えば合成処理後の第1軸検出データや第2軸検出データのランダムノイズを1/n1/2に低減できるようになる。
【0015】
また処理装置50が行う合成処理は例えば平均化処理である。例えば処理装置50は、検出データD1~Dnの平均化処理を行い、平均化処理後のデータDQHを出力する。例えば処理装置50は、同じ検出タイミングに対応する検出データD1~Dnの平均化処理を行って、データDQHとして出力する。平均化処理は例えば加算平均である。このような平均化処理を行うことで、例えば1つの慣性計測ユニットからの検出データを用いる場合に比べて、処理装置50が出力するデータDQHのランダムノイズを例えば1/n1/2に低減できるようになる。
【0016】
また図1に示すように慣性計測ユニット30-1~30-nは、データ出力レートRTで検出データD1~Dnを出力する。そして中継回路40は、データ出力レートRTQ=n×RTで出力データDQ1を出力する。データ出力レートの単位は、例えばsps(samples per second)であり、単位時間である1秒あたりのサンプルデータの数である。検出データD1~Dnのサンプルデータは、複数の軸の検出データを含むデータである。例えば検出データD1~Dnのサンプルデータは、第1軸検出データ、第2軸検出データ、第3軸検出データを含むデータである。そして中継回路40は、検出データD1~Dnを時分割に出力する際に、慣性計測ユニット30-1~30-nのデータ出力レートRTのn倍のデータ出力レートRTQ=n×RTで、出力データDQ1として出力する。このようにすれば慣性計測ユニット30-1~30-nのデータ出力レートRTのn倍のデータ出力レートRTQで、検出データD1~Dnを時分割に出力データDQ1として処理装置50に入力できるようになる。これにより例えば処理装置50の通信ポートの数が限定されている場合にも、処理装置50での合成処理の対象となる検出データD1~Dnを、高いデータ出力レートRTQ=n×RTで処理装置50に入力することが可能になる。
【0017】
なお、データ出力レートRTQはn×RTと比して高くてもよい。即ちRTQ≧n×RTが成り立てばよく、中継回路40は、データ出力レートRTQがn×RT以上で出力データDQ1を出力できる。
【0018】
また処理装置50は、合成処理後のデータDQHをデータ出力レートRTで出力する。例えば処理装置50は、検出データD1~Dnの合成処理後のデータDQHを、慣性計測ユニット30-1~30-nのデータ出力レートRTと同じデータ出力レートRTで出力する。例えば処理装置50には、慣性計測ユニット30-1~30-nのデータ出力レートRTのn倍のデータ出力レートRTQで、検出データD1~Dnが時分割に出力データDQ1として入力される。従って、処理装置50は、データ出力レートRTのn倍で高速に入力された検出データD1~Dnの合成処理を行うことで、慣性計測ユニット30-1~30-nと同じデータ出力レートRTで合成処理後のデータDQHを出力できるようになる。このようにすれば、処理装置50から出力されるデータDQHのノイズを合成処理により低減できると共に、合成処理後のデータDQHを、慣性計測ユニット30-1~30-nと同等のデータ出力レートRTで出力することが可能になる。従って、慣性計測ユニット30-1~30-nのデータ出力レートの性能に応じたデータ出力レートRTで、合成処理後のデータDQHを外部に出力できるようになる。一例としては、慣性計測ユニット30-1~30-nのデータ出力レートRTは例えば2kspsであり、n=3の場合には、中継回路40のデータ出力レートRTQは2ksps×n=6kspsになる。そして処理装置50は、慣性計測ユニット30-1~30-nと同等のデータ出力レートRT=2kspsで合成処理後のデータDQHを出力する。
【0019】
なお、処理装置50による合成処理後のデータDQHのデータ出力レートは、慣性計測ユニット30-1~30-nのデータ出力レートと同じであることに限定されず、慣性計測ユニット30-1~30-nのデータ出力レートと比して低くてもよい。即ち処理装置50は、合成処理後のデータDQHをデータ出力レートRT以下で出力できる。或いはデータDQHのデータ出力レートは、慣性計測ユニット30-1~30-nのデータ出力レートと比して高くすることも可能である。
【0020】
図2に本実施形態の慣性計測装置10の詳細な構成例を示す。図2の慣性計測装置10では、図1の構成に加えて、慣性計測ユニット30-k~30-mと中継回路41が更に設けられている。また処理装置50からの合成処理後のデータDQHは、例えばホスト200に出力される。ホスト200は、例えば慣性計測装置10の外部に設けられるPC(パーソナルコンピューター)やマイクロコントローラーなどである。なお本実施形態の慣性計測装置10は図2の構成には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。後述する他の具体的な構成例においても同様である。
【0021】
慣性計測ユニット30-k~30-mは第k慣性計測ユニット~第m慣性計測ユニットである。慣性計測ユニット30-k~30-mの各慣性計測ユニットは例えば加速度センサーデバイスや角速度センサーデバイスを含む。なお慣性計測ユニット30-k~30-mの構成、動作は、前述した慣性計測ユニット30-1~30-nと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
中継回路41は、慣性計測ユニット30-k~30-mからの検出データDk~Dmが入力され、検出データDk~Dmを時分割に出力データDQ2として出力する。中継回路41は第2中継回路であり、第2中継装置と呼ぶこともできる。検出データDk~Dmは、第k慣性計測ユニット~第m慣性計測ユニットから入力される第k検出データ第m検出データである。出力データDQ2は第2出力データである。ここでk、mは、m-k≧1となる整数であり、例えばk=n+1である。検出データDk~Dmの各検出データは、慣性計測ユニット30-k~30-mの各慣性計測ユニットにより検出された加速度データや角加速度データを含む。また各慣性計測ユニットと中継回路41の間の通信は例えばシリアル通信である。例えば検出データDk、Dk+1・・・Dmの順序で各慣性計測ユニットから検出データが入力された場合には、中継回路41はその順序で検出データDk、Dk+1・・・Dmを出力データDQ2として出力する。但し各検出データの出力順序は任意であり、中継回路41には、慣性計測ユニット30-k~30-mの各慣性計測ユニットでの慣性情報の検出タイミングの順序で、検出データDk~Dmの各検出データが入力される。そして中継回路41は、その検出タイミングの順序で、検出データDk~Dmの各検出データを出力データDQ2として出力する。中継回路41の構成、動作も、第1中継回路である中継回路40と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0023】
処理装置50は、出力データDQ1と出力データDQ2が入力され、検出データD1~Dnと検出データDk~Dmの合成処理を行う。この合成処理は処理装置50に設けられる合成処理部54が行う。例えば処理装置50は、慣性計測ユニット30-1の検出データD1と、慣性計測ユニット30-2の検出データD2と・・・・・慣性計測ユニット30-nの検出データDnと、慣性計測ユニット30-kの検出データDkと、慣性計測ユニット30-k+1の検出データDk+1と、・・・・・慣性計測ユニット30-mの検出データDmの合成処理を行う。例えば処理装置50は、同等のタイミングで入力された検出データD1~Dn、Dk~Dmの平均化処理等の合成処理を行い、合成処理後のデータDQHを出力する。
【0024】
また慣性計測ユニット30-k~30-mは、データ出力レートRTで検出データDk~Dmを出力する。そして中継回路41は、データ出力レートRTQ=(m-k+1)×RTで出力データDQ2を出力する。検出データDk~Dmのサンプルデータは、複数の軸の検出データを含むデータであり、例えば第1軸検出データ、第2軸検出データ、第3軸検出データを含むデータである。そして中継回路41は、検出データDk~Dmを時分割に出力する際に、慣性計測ユニット30-k~30-mのデータ出力レートRTの(m-k+1)倍のデータ出力レートRTQで、出力データDQ2として出力する。ここで例えばm-k+1=nの関係が成り立つ。
【0025】
このように図2では、慣性計測ユニット30-1~30-nと中継回路40に加えて、慣性計測ユニット30-k~30-mと中継回路41が更に設けられ、慣性計測ユニット30-k~30-mからの検出データDk~Dmが中継回路41に入力される。そして中継回路41が、検出データDk~Dmを時分割に出力データDQ2として出力し、処理装置50が、検出データD1~Dn、Dk~Dmの合成処理を行う。このようにすれば、慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnに加えて、慣性計測ユニット30-k~30-mからの検出データDk~Dmを用いて合成処理が行われるようになるため、合成処理後のデータDQHの更なる低ノイズ化を実現できる。
【0026】
例えば処理装置50の通信ポートが1つである場合には中継回路40を設ければよいが、処理装置50の通信ポートが2つ以上である場合には、中継回路41を更に設けて、第1通信ポートに中継回路40を接続し、第2通信ポートに中継回路41を接続するようにする。例えば中継回路40だけを設けて、慣性計測ユニット30-1~30-nに加えて慣性計測ユニット30-k~30-mについても中継回路40に接続する構成にすると、中継回路40と処理装置50との間の通信の速度を更に高速にする必要がある。これに対して、図2に示すように慣性計測ユニット30-1~30-nを中継回路40に接続し、慣性計測ユニット30-k~30-mを中継回路41に接続する構成とすれば、中継回路40だけを設ける構成に比べて、中継回路40、41と処理装置50との間の通信の速度をより低速にできる。従って、処理装置50は、その通信ポートに対応した通信速度で、中継回路40、41からの出力データDQ1、DQ2を受信して、合成処理後の低ノイズのデータDQHを出力できるようになる。
【0027】
また図2では、中継回路40は、慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnを受信する通信回路42-1~42-nと、出力データDQ1を処理装置50に送信する出力側通信回路48を含む。通信回路42-1~42-nは第1通信回路~第n通信回路である。慣性計測ユニット30-1~30-nと通信回路42-1~42-nの間の通信や、出力側通信回路48と処理装置50との間は、例えば所与の通信規格のシリアル通信により実現できる。具体的にはSPI又はI2Cの通信規格、或いはSPI又はI2Cを発展した通信規格の通信などにより実現できる。或いはUARTなどの通信により実現してもよい。SPI(Serial Peripheral Interface)は、クロックに同期させてデータの通信を行う同期式シリアル通信であり、例えばクロック信号線、チップセレクト信号線、2本のデータ信号線の4本のバスラインによる通信である。I2C(Inter-Integrated Circuit)は、半二重方式のシリアル通信であり、例えばクロック信号線、データ信号線の2本のバスラインによる通信である。このようにすれば、慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnを通信回路42-1~42-nにより受信できるようになり、検出データD1~Dnを出力データDQ1として出力側通信回路48により処理装置50に出力できるようになる。例えば図2の構成によれば、通信回路42-1~42-nの通信において許容される通信速度で、検出データD1~Dnを受信できるようになり、データ出力レートRTを確保できる通信速度で受信できるようになる。例えば中継回路40に1つの通信回路だけを設ける構成では、n個の慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnを、データ出力レートRTを確保しながら受信するためには、通信回路の通信速度を高速にする必要がある。これに対して図2に示すように、n個の慣性計測ユニット30-1~30-nに対応してn個の通信回路42-1~42-nを設ける構成によれば、データ出力レートRTを確保した検出データD1~Dnの受信を容易に実現できる。またマイクロコントローラー等の処理装置50では通信ポートの個数に制限があるが、例えばASICの中継回路40によれば、このような制限がなく、n個の通信回路42-1~42-nを設けることが容易であるという利点もある。そして図2では処理装置50の通信インターフェースとしては1つの出力側通信回路48が設けられている。従って、処理装置50の第1通信ポートと出力側通信回路48を通信接続することで、出力データDQ1を処理装置50に出力できるようになり、処理装置50の通信ポートの数に限りがある場合にも、これに対応できるようになる。
【0028】
また中継回路40は、慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnを記憶するメモリー44-1~44-nを含む。メモリー44-1~44-nは第1メモリー~第nメモリーである。メモリー44-1~44-nは例えばRAMなどの半導体メモリーにより実現できる。例えば通信回路42-1~42-nにより受信された検出データD1~Dnがメモリー44-1~44-nに書き込まれる。この場合にメモリー44-1~44-nはFIFOメモリーとして動作してもよい。そしてメモリー44-1~44-nに書き込まれた検出データD1~Dnは、例えば調停回路46により読み出されて、出力側通信回路48を介して処理装置50に送信される。例えば調停回路46は、慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnの受信タイミングの順序で、メモリー44-1~44-nから検出データD1~Dnを読み出して、出力側通信回路48に転送する。受信タイミングの順序は例えば慣性計測ユニット30-1~30-nの検出タイミングの順序に対応する。このようなメモリー44-1~44-nを設ければ、慣性計測ユニット30-1~30-nからの検出データD1~Dnをメモリー44-1~44-nに格納し、格納された検出データD1~Dnを時分割に出力データDQ1として処理装置50に出力できるようになる。
【0029】
また図2では中継回路41も、慣性計測ユニット30-k~30-mからの検出データDk~Dmを受信する通信回路42-k~42-mと、出力データDQ2を処理装置50に送信する出力側通信回路49を含む。通信回路42-k~42-mは第k通信回路~第m通信回路であり、出力側通信回路49は第2出力側通信回路である。このようにすれば、慣性計測ユニット30-k~30-mからの検出データDk~Dmを通信回路42-k~42-mにより受信できるようになり、検出データDk~Dmを出力データDQ2として出力側通信回路49により処理装置50に出力できるようになる。
【0030】
また中継回路41は、慣性計測ユニット30-k~30-mからの検出データDk~Dmを記憶するメモリー44-k~44-mを含む。メモリー44-k~44-mは第kメモリー~第mメモリーである。例えば通信回路42-k~42-mにより受信された検出データDk~Dmがメモリー44-k~44-mに書き込まれる。そしてメモリー44-k~44-mに書き込まれた検出データDk~Dmは、例えば調停回路47により読み出されて、出力側通信回路49を介して処理装置50に送信される。このようなメモリー44-k~44-mを設ければ、慣性計測ユニット30-k~30-mからの検出データDk~Dmをメモリー44-k~44-mに格納し、格納された検出データDk~Dmを時分割に出力データDQ2として処理装置50に出力できるようになる。
【0031】
また図2では中継回路40は、慣性計測ユニット30-1~30-nからデータレディー信号RDY1~RDYnを受信し、処理装置50に対して出力データレディー信号RDQ1を出力している。データレディー信号RDY1~RDYnは第1データレディー信号~第nデータレディー信号である。また中継回路41は、慣性計測ユニット30-k~30-mからデータレディー信号RDYk~RDYmを受信し、処理装置50に対して出力データレディー信号RDQ2を出力している。データレディー信号RDYk~RDYmは第kデータレディー信号~第mデータレディー信号であり、出力データレディー信号RDQ2は第2出力データレディー信号である。これらのデータレディー信号、出力データレディー信号の詳細については後述する。
【0032】
2.具体的な構成例
次に本実施形態の慣性計測装置10の具体的な構成例について説明する。図3図4は本実施形態の具体的な第1構成例を示す図である。なお以下では慣性計測ユニットは、適宜、IMU(Inertial Measurement Unit)と記載する。また図1図2におけるn、m、kがn=m-k+1=3であり、3個の中継回路RL1、RL2、RL3が設けられる場合の具体例について説明する。
【0033】
例えば3個のIMUを組み合わせたマルチIMUに対して、更に多数個のIMUを組み合わせてマルチIMUを実現しようとした場合に、制御マイコン等の処理装置の通信ポートの数が足りないという問題がある。例えば処理装置に搭載されているIMUとの通信ポートには限りがある。そこで本実施形態では、複数の通信ポートを1つの通信ポートに変換する通信中継装置である中継回路を導入し、通信ポートの少ない処理装置でも多数のIMUを制御できるようにする。例えばN個のIMUを組み合わせることにより1/N1/2にランダムノイズを削減でき、高精度なマルチIMUを簡便に構成することが可能になる。例えば更なる多数のIMUを搭載することにより、更に高精度なマルチIMUを実現できるようになる。なおIMUとの間でSPIにより通信する場合に、SPIのマルチスレーブ接続方式を採用することで、1つの通信ポートに複数のIMUを接続可能であるが、IMUからの読み出しレートであるデータ出力レートが、例えば3つのIMUを接続することで1/3に低下してしまうという問題がある。なおIMUは、バイアス及び感度の温度補正や、直交アライメント補正を行うことにより、高安定・高精度を実現した3軸ジャイロである3軸角速度センサーと、3軸加速度センサーを内蔵した慣性センサーであり、3軸+3軸の6軸で、6DoFセンサーとも呼ばれる。IMUは、産業・工業システムにおいて機器の挙動解析や回転・並進運動の解析など幅広い用途に使用される。
【0034】
さて図3の慣性計測装置10では、N=9個のIMU1~IMU9が設けられている。これにより1/N1/2=1/3にランダムノイズを低減できるようになる。IMU1、IMU2、IMU3は例えば図1図2の慣性計測ユニット30-1~30-nに対応し、IMU4、IMU5、IMU6は慣性計測ユニット30-k~30-mに対応する。そして図3では、IMU1~IMU3は、中継回路RL1に接続されて、例えばデータ出力レートRTで検出データD1~D3を中継回路RL1に出力する。そして中継回路RL1は、検出データD1~D3を時分割に出力データDQ1として、処理装置50に出力する。中継回路RL1は例えば図1図2の中継回路40に対応する。またIMU4~IMU6は、中継回路RL2に接続されて、例えばデータ出力レートRTで検出データD4~D6を中継回路RL2に出力する。そして中継回路RL2は、検出データD4~D6を時分割に出力データDQ2として、処理装置50に出力する。中継回路RL2は例えば中継回路41に対応する。またIMU7~IMU9は、中継回路RL3に接続されて、例えばデータ出力レートRTで検出データD7~D9を中継回路RL3に出力する。そして中継回路RL3は、検出データD7~D9を時分割に出力データDQ3として、処理装置50に出力する。
【0035】
処理装置50は、通信部52、格納用メモリーM1~M9、合成処理部54、タイマー56、ホスト通信部58を含む。通信部52は、中継回路RL1からの出力データDQ1を受信する。そして出力データDQ1に含まれる検出データD1、D2、D3が格納用メモリーM1、M2、M3に書き込まれる。また処理装置50は、不図示の第2通信部と第3通信部を有し、第2通信部は中継回路RL2からの出力データDQ2を受信する。そして出力データDQ2に含まれる検出データD4、D5、D6が格納用メモリーM4、M5、M6に書き込まれる。また第3通信部は中継回路RL3からの出力データDQ3を受信する。そして出力データDQ3に含まれる検出データD7、D8、D9が格納用メモリーM7、M8、M9に書き込まれる。格納用メモリーM1~M9は、例えば処理装置50の内蔵RAMなどにより実現できるが、外付けのRAMにより実現してもよい。
【0036】
通信部52である第1通信部と、第2通信部と、第3通信部とが、処理装置50の通信ポートに対応しており、図3では処理装置50は3つの通信ポートを有している。そして、中継回路を設けない構成では、これらの3つの通信ポートに例えばIMU1、IMU2、IMU3を接続する構成になるため、ランダムノイズを1/31/2にしか低減できない。これに対して図3では、3つの中継回路RL1、RL2、RL3を設けることで、N=9個のIMU1~IMU9を用いることが可能になり、ランダムノイズを1/91/2=1/3に低減できるようになる。
【0037】
合成処理部54は、格納用メモリーM1~M9から検出データD1~D9を読み出して、検出データD1~D9の合成処理を行う。例えば前述したように、合成処理部54は、検出データD1~D9に含まれる第1軸検出データの合成処理と、検出データD1~D9に含まれる第2軸検出データの合成処理と、検出データD1~D9に含まれる第3軸検出データの合成処理を行う。一例としては、第1軸検出データは、X軸の加速度データやX軸回り角速度データであり、第2軸検出データは、Y軸の加速度データやY軸回りの角速度データであり、第3軸検出データは、Z軸の加速度データやZ軸回りの角速度データである。合成処理部54は、検出データD1~D9に含まれるX軸、Y軸、Z軸の各軸の加速度データの合成処理や、検出データD1~D9に含まれるX軸回り、Y軸回り、Z軸回りの各軸回り角速度データの合成処理を行う。
【0038】
タイマー56はクロック信号CKが入力され、例えばカウンター処理により同期用のクロック信号CKSYを合成処理部54等に出力する。ホスト通信部58は、ホスト200とのインターフェースとなる通信部であり、所与の通信規格によりホスト200と通信を行う。
【0039】
図4に第1構成例における中継回路RL1の構成例を示す。なお中継回路RL2、RL3の構成も中継回路RL1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
中継回路RL1は、通信回路CC1、CC2、CC3と、メモリーME1、ME2、E3と、調停回路46と、出力側通信回路48を含む。通信回路CC1、CC2、CC3は例えば図2の通信回路42-1~42-nに対応し、メモリーME1、ME2、ME3は例えばメモリー44-1~44-nに対応する。
【0041】
通信回路CC1はIMU1と通信接続されて、例えばSPI等のシリアル通信によりIMU1から検出データD1を受信する。また通信回路CC1はIMU1からデータレディー信号RDY1を受信する。そして通信回路CC1により受信された検出データD1がメモリーME1に書き込まれて記憶される。具体的にはメモリーME1は、検出データD1に対応づけてIMU1の識別情報であるIMU番号=1を記憶する。
【0042】
通信回路CC2はIMU2と通信接続されて、SPI等のシリアル通信によりIMU2から検出データD2を受信する。また通信回路CC2はIMU2からデータレディー信号RDY2を受信する。そして通信回路CC2により受信された検出データD2がメモリーME2に書き込まれて記憶される。具体的にはメモリーME2は、検出データD2に対応づけてIMU2の識別情報であるIMU番号=2を記憶する。
【0043】
通信回路CC3はIMU3と通信接続されて、SPI等のシリアル通信によりIMU3から検出データD3を受信する。また通信回路CC3はIMU3からデータレディー信号RDY3を受信する。そして通信回路CC3により受信された検出データD3がメモリーME3に書き込まれて記憶される。具体的にはメモリーME3は、検出データD3に対応づけてIMU3の識別情報であるIMU番号=3を記憶する。
【0044】
調停回路46は、メモリーME1、ME2、ME3から検出データD1、D2、D3を読み出して、出力側通信回路48に転送する。調停回路46には、例えばメモリーME1、ME2、ME3からのデータレディー信号RDM1、RDM2、RDM3が入力される。調停回路46は、例えば検出データD1、D2、D3の受信タイミングの順序で、メモリーME1、ME2、ME3から検出データD1、D2、D3を読み出す。検出データD1、D2、D3の受信タイミングは、例えばデータレディー信号RDY1、RDY2、RDY3がアクティブになるタイミングに対応し、調停回路46は、例えばメモリーME1、ME2、ME3からのデータレディー信号RDM1、RDM2、RDM3によりこのタイミングを特定する。例えばD1、D2、D3の順に検出データが受信されたとする。この場合には、調停回路46は、D1、D2、D3の順でメモリーME1、ME2、ME3から検出データを読み出して出力側通信回路48に転送し、出力側通信回路48はD1、D2、D3の順で検出データを出力データDQ1として処理装置50に送信する。また例えばD2、D3、D1の順に検出データが受信されたとする。この場合には、調停回路46は、D2、D3、D1の順でメモリーME2、ME3、ME1から検出データを読み出して出力側通信回路48に転送し、出力側通信回路48はD2、D3、D1の順で検出データを出力データDQ1として処理装置50に送信する。また調停回路46は、DQ1の出力データレディー信号RDQ1を処理装置50に出力する。
【0045】
図5は第1構成例の動作を説明するタイミングチャートである。図5では、各IMUから例えば2kspsで検出データを読み出す場合の例が示されている。この場合にIMU1からのデータレディー信号RDY1が例えば500μs程度の時間間隔でアクティブになり、このデータレディー信号RDY1に同期して、IMU1からのセンサーデータである検出データD1[1]の読み出しが行われる。そしてIMU1から通信回路CC1を介して読み出された検出データD1[1]は、センサーデータの格納用のメモリーME1に格納される。このときに同時にIMU1の識別情報であるIMU番号=1もメモリーME1に格納される。そしてメモリーME1への検出データD1[1]の格納が完了したタイミングで、メモリーME1からのデータレディー信号RDM1がアクティブになる。この内部出力同期信号であるデータレディー信号RDM1は、調停回路46を介して、処理装置50への出力同期信号である出力データレディー信号RDQ1として出力される。そして出力データレディー信号RDQ1に同期して、メモリーME1の内容である検出データD1[1]やIMU番号=1が、出力側通信回路48を介して処理装置50に出力される。そしてIMU1からの次のデータレディー信号RDY1がアクティブになるまでの間に、メモリーME1の内容の処理装置50への出力を完了する。以上のような処理を繰り返すことで、IMU1からの検出データD1[1]、D1[2]、D1[3]・・・を連続的に処理装置50に送ることが可能になる。
【0046】
同様に、データレディー信号RDY2に同期して、IMU2からの検出データD2[1]の読み出しが行われる。そしてIMU2から通信回路CC2を介して読み出された検出データD2[1]は、メモリーME2に格納される。このときに同時にIMU2の識別情報であるIMU番号=2もメモリーME2に格納される。そしてメモリーME2への検出データD2[1]の格納が完了したタイミングで、メモリーME2からのデータレディー信号RDM2がアクティブになる。このデータレディー信号RDM2は、調停回路46を介して、処理装置50への出力データレディー信号RDQ1として出力される。そして出力データレディー信号RDQ1に同期して、メモリーME2の内容である検出データD2[1]やIMU番号=2が、出力側通信回路48を介して処理装置50に出力される。そしてIMU2からの次のデータレディー信号RDY2がアクティブになるまでの間に、メモリーME2の内容の処理装置50への出力を完了する。以上のような処理を繰り返すことで、IMU2からの検出データD2[1]、D2[2]、D2[3]・・・を連続的に処理装置50に送ることが可能になる。同様にIMU3からの検出データD3[1]、D3[2]、D3[3]・・・も、通信回路CC3からメモリーME3、調停回路46、出力側通信回路48を介して処理装置50に送られる。
【0047】
なお図4のように3つのIMU1、IMU2、IMU3を中継回路RL1に接続した場合には、処理装置50との間の通信速度に対応するデータ出力レートRTQは、IMU1、IMU2、IM3からの読み出し速度に対応するデータ出力レートRTの例えば3倍以上にする。
【0048】
本実施形態では、第1メモリー~第nメモリーの各メモリーは、第1検出データ~第n検出データの各検出データに対応づけて、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットの各慣性計測ユニットの識別情報を記憶している。図4を例にとれば、メモリーME1はIMU1の検出データD1に対応づけて、IMU1の識別情報である識別番号=1を記憶する。メモリーME2は、検出データD2に対応づけて、IMU2の識別情報である識別番号=2を記憶する。メモリーME3は、検出データD3に対応づけて、IMU3の識別情報である識別番号=3を記憶する。このようにすれば、後段の処理装置50は、各検出データに対応づけられた慣性計測ユニットの識別情報を用いて、検出データの適正な合成処理を実現することが可能になる。即ちIMU1~IMU9からの検出データD1~D9は中継回路RL1~RL3を介して処理装置50に送られる。そして処理装置50は、検出データD1~D9の合成処理を行って、合成処理後のデータDQHを出力する。例えば処理装置50は、IMU1~IMU9で検出された各軸での加速度データ、角速度データ等の慣性計測情報の合成処理を行う。この場合に、処理装置50は、第1タイミングでのIMU1~IMU9の検出データD1~D9の合成処理を行い、次は第1タイミングの次の第2タイミングでのIMU1~IMU9の検出データD1~D9の合成処理を行うというように、各タイミングにおいて検出データD1~D9の合成処理を行う。従って、処理装置50は、D1~D9の各検出データが、IMU1~IMU9のうちのどのIMUの検出データなのかを識別できないと、適正な合成処理を実行できなくなってしまう。この点、本実施形態では、各検出データに対して、各検出データに対応するIMUの識別情報が対応づけられているため、適正な合成処理を実現できるようになる。
【0049】
なお本実施形態では、第1メモリー~第nメモリーの各メモリーが、第1検出データ~第n検出データの各検出データに対応づけて、各検出データの読み出し時刻情報を記憶してもよい。図4を例にとれば、メモリーME1は、IMU1からの検出データD1の読み出し時刻情報を記憶する。同様にメモリーME2は、IMU2からの検出データD2の読み出し時刻情報を記憶し、メモリーME3は、IMU3からの検出データD3の読み出し時刻情報を記憶する。読み出し時刻情報は検出データを読み出した時刻を特定するための情報である。例えば複数の慣性計測ユニットの検出データの検出タイミングは異なっており、各慣性計測ユニットからの検出データの読み出しタイミングも異なっている。そして処理装置50が複数の慣性計測ユニットからの複数の検出データの合成処理を行う場合、複数の検出データの検出タイミングは異なっている。従って、より正確な合成処理を行うためには、同じデータのタイミングでの検出データになるように、各検出データの時間方向での補間処理を行って、合成処理を行うことが望ましい。そして検出データの読み出し時刻は、検出データの検出タイミングに対応している。このため、検出データの読み出し時刻情報を各検出データに対応づけておけば、処理装置50は、この読み出し時刻情報を用いて、検出データの時間方向での適正な補間処理を実現できるようになる。
【0050】
また本実施形態では、中継回路は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1データレディー信号~第nデータレディー信号を受信し、第1データレディー信号~第nデータレディー信号を受信した順序で、第1検出データ~第n検出データを出力データとして処理装置50に出力する。図4図5を例にとれば、中継回路RL1は、IMU1、IMU2、IMU3からデータレディー信号RDY1、RDY2、RDY3を受信する。IMU1~IMU3は第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットに対応し、データレディー信号RDY1~RDY3は第1データレディー信号~第nデータレディー信号に対応する。そして中継回路RL1は図5に示すように、データレディー信号RDY1~RDY3を受信した順序で、検出データD1~D3を出力データDQ1として処理装置50に出力する。検出データD1~D3は第1検出データ~第n検出データに対応する。例えば図5では、中継回路RL1は、RDY1、RDY2、RDY3の順序で検出データを受信しているため、D1、D2、D3の順序で検出データを処理装置50に出力する。ここでデータレディー信号RDY1、RDY2、RDY3を受信する順序は、IMU1、IMU2、IMU3での検出データD1、D2、D3の検出順序に対応しており、任意の順序になる。例えば中継回路RL1は、RDY2、RDY3、RDY1の順序でデータレディー信号を受信した場合には、D2、D3、D1の順序で検出データを出力データDQ1として出力する。またRDY3、RDY2、RDY1の順序でデータレディー信号を受信した場合には、D3、D2、D1の順序で検出データを出力データDQ1として出力する。このようにすれば、中継回路RL1は、IMU1~IMU3からのデータレディー信号RDY1~RDY3の受信タイミングをモニターすることで、IMU1~IMU3での検出データD1~D3の検出タイミングに対応する順序で、D1~D3の各検出データを、後段の処理装置50に出力できるようになる。
【0051】
具体的には図4図5では、データレディー信号RDY1、RDY2、RDY3の受信順序と同じ順序で、メモリーME1、ME2、ME3からデータレディー信号RDM1、RDM2、RDM3が調停回路46に入力される。そして調停回路46は、データレディー信号RDM1、RDM2、RDM3に基づいて、検出データD1、D2、D3の出力順序の調停を行う。具体的には調停回路46は、データレディー信号RDY1、RDY2、RDY3に対応するデータレディー信号RDM1、RDM2、RDM3のタイミングで検出データD1、D2、D3が出力されるように調停処理を行う。
【0052】
また本実施形態では中継回路は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1データレディー信号~第nデータレディー信号を受信し、第1データレディー信号~第nデータレディー信号に基づいて、出力データレディー信号を処理装置50に出力する。図4図5を例にとれば、中継回路RL1は、IMU1、IMU2、IMU3からのデータレディー信号RDY1、RDY2、RDY3を受信し、RDY1、RDY2、RDY3に基づいて、出力データレディー信号RDQ1を処理装置50に出力している。このようにすれば、中継回路RL1は、IMU1~IMU3からのデータレディー信号RDY1~RDY3のタイミングに基づき生成された出力データレディー信号RDQ1を、IMU1~IMU3の検出データD1~D3のデータレディー信号として処理装置50に出力できるようになる。そして処理装置50は、この出力データレディー信号RDQ1に基づいて、中継回路RL1から時分割に出力される検出データD1~D3を適正に受信できるようになる。
【0053】
具体的には、図5に示すように、メモリーME1、ME2、ME3は、IMU1、IMU2、IMU3からのデータレディー信号RDY1、RDY2、RDY3に対応するタイミングで、データレディー信号RDM1、RDM2、RDM3を調停回路46に出力する。データレディー信号RDM1、RDM2、RDM3は、データレディー信号RDY1、RDY2、RDY3から例えば所与の期間だけ遅れたタイミングでアクティブになる信号になる。そして調停回路46は、メモリーME1~ME3からのデータレディー信号RDM1~RDM3に基づいて出力データレディー信号RDQ1を生成して、処理装置50に出力する。例えば出力データレディー信号RDQ1は、データレディー信号RDM1~RDM3の論理和に対応する信号になる。
【0054】
また本実施形態では、出力データレディー信号の単位時間におけるパルス数は、第1データレディー信号~第nデータレディー信号の単位時間におけるパルス数の総和に対応している。図4図5を例にとれば、出力データレディー信号RDQ1の単位時間におけるパルス数は、データレディー信号RDY1、RDY2、RDY3の単位時間におけるパルス数の総和に対応している。例えば中継回路RL1は、IMU1、IMU2、IMU3から1番目の検出データであるD1[1]、D2[1]、D3[1]を受信する際に、3つのパルス数のデータレディー信号RDY1、RDY2、RDY3を受信しており、これに対応して、処理装置50に出力される出力データレディー信号RDQ1のパルス数も3になる。同様に中継回路RL1は、IMU1、IMU2、IMU3から2番目の検出データであるD1[2]、D2[2]、D3[2]を受信する際に、3つのパルス数のデータレディー信号RDY1、RDY2、RDY3を受信しており、これに対応して、処理装置50に出力される出力データレディー信号RDQ1のパルス数も3になる。このようにすれば、中継回路RL1は、IMU1~IMU3からのデータレディー信号RDY1~RDY3のパルス数に対応するパルス数の出力データレディー信号RDQ1を処理装置50に出力して、検出データD1~D3を時分割に処理装置50に出力できるようになる。そして処理装置50は、このようなパルス数の出力データレディー信号RDQ1に基づいて、中継回路RL1から時分割に出力される検出データD1~D3を適正に受信できるようになる。
【0055】
図4の構成例では、IMU1~IMU3のデータ出力レートをRTとし、例えば1/RT=500μsである場合には、IMU1~IMU3の各IMUからの検出データの読み出し時間と処理装置50への送出時間の合計が、1/RT=500μs以下となる条件を満たす必要がある。この条件が満たされないと、ME1~ME3の各メモリーからのデータの読み出し前に各IMUからのデータが書き込まれてしまい、データが喪失する可能性があるからである。
【0056】
また複数のIMU1~IMU3からのデータが同時に来た場合には、更に高速に処理装置50にデータを送出する必要がある。図6は、このようなワーストケースでの本実施形態のタイミングチャートを示す図である。図6では、IMU1、IMU2、IMU3からのデータレディー信号RDY1、RDY2、RDY3が同時にアクティブになっており、検出データD1、D2、D3が同時に読み出されている。この場合には中継回路RL1は、メモリーME1、ME2、ME3からの同時にアクティブになるデータレディー信号RDM1、RDM2、RDM3に基づき出力データレディー信号RDQ1を生成して、検出データD1、D2、D3を時分割に出力データDQ1として高速に送出する。そして1/RT=500μs以内に送出が完了するようにする。
【0057】
図7は本実施形態の比較例の構成を示す図である。図7では本実施形態のような中継回路が設けられず、IMU1~IMU9からの検出データD1~D9が直接に処理装置50に入力されている。この比較例では図7のA1に示すように、検出データD1~D9を入力するための多数の通信ポートが処理装置50に必要になってしまう。例えば図7では9個のSPI等の通信ポートが必要になる。従って、処理装置50がこのような多数の通信ポートを備えていない場合には、これに対応することが困難になる。例えば処理装置50であるマイクロコントローラーに搭載されるIMUとの通信ポートには限りがあるため、このようなマイクロコントローラーを使用できなくなる。この場合に、SPIのマルチスレーブの接続方式を採用すれば、処理装置50の通信ポートに限りがある場合にも、IMU1~IMU9からの検出データを処理装置50に入力できるが、データの読み出しレートが低下してしまうという問題が発生してしまう。
【0058】
図8に本実施形態の詳細な第2構成例における中継回路RL1の構成例を示す。図8図4の構成と異なるのは、メモリーが2面構成のメモリーになっている点である。図8では、B1、B2に示すように、IMU1からの検出データD1がメモリーME11に書き込まれている期間において、メモリーME12に書き込まれている検出データD1を読み出し、検出データD1がメモリーME12に書き込まれている期間において、メモリーME11に書き込まれている検出データD1を読み出す。またB3、B4に示すように、IMU2からの検出データD2がメモリーME21に書き込まれている期間において、メモリーME22に書き込まれている検出データD2を読み出し、検出データD2がメモリーME22に書き込まれている期間において、メモリーME21に書き込まれている検出データD2を読み出す。メモリーME31、ME32においてもB5、B6に示すように同様の書き込み、読み出しが行われる。
【0059】
図9図8の第2構成例の動作を説明するタイミングチャートである。データレディー信号RDY1に同期して、IMU1からの検出データD1[1]の読み出しが行われ、読み出された検出データD1[1]は、メモリーME11に格納される。このときに同時にIMU番号=1もメモリーME11に格納される。そしてメモリーME11への検出データD1[1]の格納が完了したタイミングで、メモリーME11からのデータレディー信号RDM11がアクティブになり、データレディー信号RDM11が、調停回路46を介して処理装置50への出力データレディー信号RDQ1として出力される。そして出力データレディー信号RDQ1に同期して、メモリーME11の内容である検出データD1[1]やIMU番号=1が処理装置50に出力される。
【0060】
メモリーME12の内容は次のタイミングで処理装置50に出力される。具体的には、データレディー信号RDY1に同期して、IMU1からの検出データD1[2]の読み出しが行われ、読み出された検出データD1[2]は、メモリーME12に格納される。このときに同時にIMU番号=1もメモリーME12に格納される。そしてメモリーME12への検出データD1[2]の格納が完了したタイミングで、メモリーME12からのデータレディー信号RDM12がアクティブになり、データレディー信号RDM12が、調停回路46を介して処理装置50への出力データレディー信号RDQ1として出力される。そして出力データレディー信号RDQ1に同期して、メモリーME12の内容である検出データD1[2]やIMU番号=1が処理装置50に出力される。このように図8図9では、メモリーME11とメモリーME12は、交互に切り替わりながら使用され、IMU1から読み出された検出データD1[1]、D1[2]、D1[3]・・・を連続的に処理装置50に送ることが可能になる。
【0061】
なおメモリーME21、ME22、ME31、ME32についても、メモリーME11、ME12と同様に、検出データの格納や読み出しの処理を並列に行うが、これらはメモリーME11、ME12の場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0062】
図8図9の第2構成例では、2面のメモリーを用意し、一方のメモリーへの書き込みと、他方のメモリーからの読み出しを同時にすることが可能になる。従って、データ出力レートが1/RT=500μsである場合に、(1/RT)×2=1msからメモリーへのデータ書き込み期間を除いた期間の間、各メモリーにデータが保持されるようになる。従って、図4図5の第1構成例に比べて、メモリーからのデータ読み出しについての時間的な制約を低減できる。一方、図4図5の第1構成例は、図7図8の第2構成例に比べて、必要なメモリー容量を少なくできるという利点がある。
【0063】
3.慣性計測装置の構造例
図10は慣性計測装置10の具体例を説明する斜視図である。慣性計測装置10は、図1図2等で説明した慣性計測ユニット30-1~30-nと、中継回路40と、処理装置50が収納されるケース13を含む。ケース13は容器と言うこともできる。ケース13はベース11とリッド12を含む。具体的にはケース13は、上方に開口する凹部を有するベース11と、ベース11の開口を塞ぐようにベース11に固定されるリッド12を含む。ベース11とリッド12により封止される収容空間Sが、慣性計測ユニット30-1~30-n、中継回路40、処理装置50等の部品を収容するための空間になる。ケース13は、収容空間Sに収容される部品を塵、湿気、衝撃、紫外線等から保護する。
【0064】
ケース13のベース11、リッド12は例えばアルミニウムに構成できるが、これには限定されず、アルミニウム合金、ステンレス等の他の金属材料や、各種セラミック、各種樹脂材料、又はこれらの複合材料により構成してもよい。
【0065】
また慣性計測装置10は、ベース11の側壁に取り付けられるコネクター14を有する。このコネクター14は、ケース13の外部と内部との間の電気的な接続を行うためのレセプタクルであり、慣性計測装置10の外部のホスト等の外部装置と通信接続するためのものである。
【0066】
図11は慣性計測装置10を説明する分解斜視図である。図11では、慣性計測装置10に3つの慣性計測ユニット30-1、30-2、30-3が設けられる場合を一例として示している。但し慣性計測装置10に設けられる慣性計測ユニットの個数はこれに限定されず、例えば4個以上の慣性計測ユニットを設けることができる。慣性計測ユニット30-1、30-2、30-3の各慣性計測ユニットはセンサーモジュールと言うこともできる。
【0067】
図11に示すように慣性計測装置10は基板16を有する。基板16は回路基板と言うこともできる。慣性計測ユニット30-1、30-2、30-3は基板16に実装される。そして図11図10では、基板16の主面に沿った互いに直交する軸をX軸、Y軸としており、基板16に直交する方向をZ軸としている。例えばX軸は、基板16の第1辺である長辺に沿った方向の軸であり、Y軸は、基板16の第2辺である短辺に沿った方向の軸になっている。第1辺と第2辺は互いに交差する辺である。そして図11では、慣性計測ユニット30-1は、例えば基板16の第1面である上面に配置されている。慣性計測ユニット30-2、30-3は、基板16の第2面である下面に例えばX軸の方向に沿って配置されている。但し慣性計測ユニットの配置はこのような配置には限定されない。
【0068】
基板16の上面には、マイクロコントローラー等により実現される処理装置50が配置されている。また基板16の上面には中継回路40が配置されている。中継回路40は、例えば中継回路のICがパッケージに収容された中継デバイスとして実現できるが、これには限定されない。また基板16の上面には内部コネクター18が設けられている。
【0069】
慣性計測ユニット30-1、30-2、30-3と中継回路40と処理装置50は、基板16の配線等を介して電気的に接続される。処理装置50は、基板16の配線、内部コネクター18などを介して、不図示の通信基板に接続される。通信基板には、慣性計測装置10とホスト等の外部装置との間の通信を行う通信ICなどが配置されている。
【0070】
以上のように本実施形態の慣性計測装置10は、慣性計測ユニット30-1~30-3と、中継回路40と、処理装置50とが収納されるケース13を含む。このようにすれば、慣性計測装置10に複数の慣性計測ユニットを設けて、これらの慣性計測ユニットからの検出データの合成処理を行うことで、ランダムノイズ等のノイズが低減されたデータを外部に出力できるようになる。また慣性計測装置10のケースに、中継回路40と処理装置50を設けることで、慣性計測ユニット30-1~30-3からの検出データを中継回路40に入力して、中継回路40が、これらの検出データを出力データとして、同じケース13に配置される処理装置50に対して時分割に出力できるようになる。従って、ケース13に配置された慣性計測ユニット30-1~30-3と中継回路40と処理装置50とにより、ノイズの少ない慣性情報の検出データを、例えば慣性計測ユニットと同じデータ出力レートで外部に出力することなどが可能になる。
【0071】
図12に慣性計測ユニット30の構成例を示す。慣性計測ユニット30は慣性計測ユニット30-1、30-2、30-3の各々に対応するものである。慣性計測ユニット30は、X軸角速度センサーデバイス32X、Y軸角速度センサーデバイス32Y、Z軸角速度センサーデバイス32Zと、加速度センサーデバイス34と、処理装置36を含む。処理装置36は例えばマイクロコントローラーであり、処理装置36と各センサーデバイスは例えばデジタルインターフェースバスにより電気的に接続されている。
【0072】
X軸角速度センサーデバイス32Xは、X軸回りの角速度を検出し、X軸角速度データを出力する。X軸角速度センサーデバイス32Xは、X軸回りの角速度を検出するセンサー素子を有している。センサー素子は、例えば水晶振動子などの圧電型の振動子により構成されるジャイロセンサー素子である。但しセンサー素子は、これには限定されず、シリコン基板などから形成された静電容量検出方式のSi-MEMSのジャイロセンサー素子などであってもよい。例えばセンサー素子は、複数のSi-MEMSのジャイロセンサー素子がマルチ接続されたものであってもよい。またX軸角速度センサーデバイス32Xは、センサー素子からの検出信号を増幅する増幅回路や、検出信号に対する同期検波を行う同期検波回路などを有するアナログ回路を含む。またX軸角速度センサーデバイス32Xは、アナログ回路からのアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路を含む。このA/D変換回路の出力データ、或いは当該出力データに対して温度補正、オフセット補正又は感度補正等の補正処理を行ったデータが、X軸角速度データになる。
【0073】
Y軸角速度センサーデバイス32Yは、Y軸回りの角速度を検出し、Y軸角速度データを出力する。Y軸角速度センサーデバイス32Yは、Y軸回りの角速度を検出するセンサー素子を有している。センサー素子としては上述のように種々のタイプのものを用いることができる。Z軸角速度センサーデバイス32Zは、Z軸回りの角速度を検出し、Z軸角速度データを出力する。Z軸角速度センサーデバイス32Zは、Z軸回りの角速度を検出するセンサー素子を有している。センサー素子としては上述のように種々のタイプのものを用いることができる。なおY軸角速度センサーデバイス32Y、Z軸角速度センサーデバイス32Zの詳細な構成、動作はX軸角速度センサーデバイス32Xと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0074】
加速度センサーデバイス34は、X軸方向での加速度、Y軸方向での加速度及びZ軸方向での加速度を検出してX軸加速度データ、Y軸加速度データ及びZ軸加速度データを出力する。加速度センサーデバイス34は、例えば1つのデバイスで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の加速度を検出可能な静電容量方式のSi-MEMSのセンサーデバイスである。但し本実施形態はこれには限定されず。加速度センサーデバイス34は、周波数変化型の水晶加速度センサー、ピエゾ抵抗型加速度センサー、或いは熱検知型加速度センサーであってもよい。加速度センサーデバイス34は、X軸加速度検出用のセンサー素子、Y軸加速度検出用のセンサー素子及びZ軸加速度検出用のセンサー素子を含む。なお、各軸の加速度検出用のセンサー素子として複数のセンサー素子を設けてもよい。また加速度センサーデバイス34は、これらの各軸の加速度検出用のセンサー素子からの検出信号を増幅する増幅回路等を有するアナログ回路と、アナログ回路からのアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路を含む。A/D変換回路は、例えばX軸加速度のアナログ信号と、Y軸加速度のアナログ信号と、Z軸加速度のアナログ信号を時分割にデジタルデータにA/D変換する。このA/D変換回路の出力データ、或いは当該出力データに対して温度補正等の補正処理を行ったデータが、X軸加速度データ、Y軸加速度データ、Z軸加速度データになる。なお、ここでのX軸、Y軸、Z軸は、センサーモジュールである慣性計測ユニット30の検出軸としてのX軸、Y軸、Z軸である。
【0075】
処理装置36は、X軸角速度センサーデバイス32X、Y軸角速度センサーデバイス32Y、Z軸角速度センサーデバイス32Z及び加速度センサーデバイス34に対してマスターとなるコントローラーである。処理装置36は、集積回路装置であり、例えばMPU、CPUなどのプロセッサーにより実現できる。或いは処理装置36を、ゲートアレイなどの自動配置配線によるASICにより実現してもよい。
【0076】
図13は慣性計測ユニット30の具体例を示す分解斜視図である。図13の慣性計測ユニット30は、回路基板100、インナーケース120、環状の緩衝材130、アウターケース140を含む。慣性計測ユニット30は、アウターケース140の内部に、環状の緩衝材130を介在させて、回路基板100を搭載した構成となっている。回路基板100には角速度センサーデバイス、加速度センサーデバイスなどのセンサーデバイスが搭載されている。
【0077】
慣性計測ユニット30は、平面形状が四角形状の直方体であり、四角形の対角方向に位置する2箇所の頂点近傍に、固定部としてのネジ穴142、144が形成されている。これらのネジ穴142、144に2本のネジを通して、装着面に対して、慣性計測ユニット30を固定した状態で使用する。慣性計測ユニット30の上面視における表面には、開口部122が形成されている。開口部122の内部には、プラグ型のコネクター110が配置される。コネクター110は、複数のピンが並んで配置されている。このコネクター110には、ソケット型のコネクターが接続されて、慣性計測ユニット30への電源供給や、慣性計測ユニット30が検出した検出データの出力などの電気信号の送受信が行われる。アウターケース140は、例えばアルミニウムを箱状に削り出した台座である。アウターケース140の外形は、前述した慣性計測ユニット30の全体形状と同様に、平面形状が四角形状の直方体である。
【0078】
なお図13において、インナーケース120の底面側には凹部121が設けられている。そして回路基板100の厚み方向からみた平面視において、凹部121と重なる領域に、角速度センサーデバイスや加速度センサーデバイスを含むセンサーデバイス群が配置されている。そして回路基板100と凹部121により形成される空間に充填部材が充填されて固化される。これにより回路基板100及びセンサーデバイス群の一部分又は全部が充填部材に覆われるようになり、共振周波数を外部からのノイズ振動の帯域から外すようにシフトさせることなどが可能になる。
【0079】
以上のように本実施形態の慣性計測装置は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットと、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1検出データ~第n検出データが入力され、第1検出データ~第n検出データを時分割に出力データとして出力する中継回路と、中継回路からの出力データが入力され、第1検出データ~第n検出データの合成処理を行う処理装置とを含む。
【0080】
本実施形態によれば、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1検出データ~第n検出データが中継回路に入力され、中継回路は、第1検出データ~第n検出データを時分割に出力データとして出力する。そして処理装置は、中継回路からの出力データに基づき第1検出データ~第n検出データの合成処理を行う。このようにすれば、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1検出データ~第n検出データを中継回路を介して時分割に出力データとして処理装置に入力できるようになる。そして処理装置により第1検出データ~第n検出データの合成処理が行われることにより、合成処理後のデータのノイズを低減することが可能になる。従って、慣性計測装置に設ける慣性計測ユニットの数を増やして出力データの低ノイズ化を容易に実現できる慣性計測装置の提供が可能になる。
【0081】
また本実施形態では、中継回路は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1検出データ~第n検出データを受信する第1通信回路~第n通信回路と、出力データを処理装置に送信する出力側通信回路と、を含んでもよい。
【0082】
このようにすれば、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1検出データ~第n検出データを第1通信回路~第n通信回路により受信できるようになり、第1検出データ~第n検出データを出力データとして出力側通信回路により処理装置に出力できるようになる。
【0083】
また本実施形態では、処理装置は、第1検出データ~第n検出データに含まれる第1軸検出データの合成処理と、第1検出データ~第n検出データに含まれる第2軸検出データの合成処理と、を行ってもよい。
【0084】
このようにすれば、第1検出データ~第n検出データに含まれる第1軸検出データや第2軸検出データの合成処理が行われて、合成処理後の第1軸検出データや第2軸検出データのノイズを低減できるようになる。
【0085】
また本実施形態では、合成処理は、平均化処理であってもよい。
【0086】
このような平均化処理を行うことで、例えば1つの慣性計測ユニットからの検出データを用いる場合に比べて、処理装置が出力するデータのランダムノイズを低減できる。
【0087】
また本実施形態では、中継回路は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1検出データ~第n検出データを記憶する第1メモリー~第nメモリーを含んでもよい。
【0088】
このような第1メモリー~第nメモリーを設ければ、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1検出データ~第n検出データを第1メモリー~第nメモリーに格納し、格納された第1検出データ~第n検出データを時分割に出力データとして処理装置に出力できるようになる。
【0089】
また本実施形態では、第1メモリー~第nメモリーの各メモリーは、第1検出データ~第n検出データの各検出データに対応づけて、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットの各慣性計測ユニットの識別情報を記憶してもよい。
【0090】
このようにすれば、後段の処理装置は、各検出データに対応づけられた慣性計測ユニットの識別情報を用いて、検出データの適正な合成処理を実現することが可能になる。
【0091】
また本実施形態では、中継回路は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1データレディー信号~第nデータレディー信号を受信し、第1データレディー信号~第nデータレディー信号を受信した順序で、第1検出データ~第n検出データを出力データとして処理装置に出力してもよい。
【0092】
このようにすれば、中継回路は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1データレディー信号~第nデータレディー信号の受信タイミングをモニターすることで、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットでの第1検出データ~第n検出データの検出タイミングに対応する順序で、各検出データを後段の処理装置に出力できるようになる。
【0093】
また本実施形態では、中継回路は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1データレディー信号~第nデータレディー信号を受信し、第1データレディー信号~第nデータレディー信号に基づいて、出力データレディー信号を処理装置に出力してもよい。
【0094】
このようにすれば、中継回路は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1データレディー信号~第nデータレディー信号のタイミングに基づき生成された出力データレディー信号を、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットの第1検出データ~第n検出データのデータレディー信号として処理装置に出力できるようになる。
【0095】
また本実施形態では、出力データレディー信号の単位時間におけるパルス数は、第1データレディー信号~第nデータレディー信号の単位時間におけるパルス数の総和に対応してもよい。
【0096】
このようにすれば、中継回路は、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1データレディー信号~第nデータレディー信号のパルス数に対応するパルス数の出力データレディー信号を処理装置に出力して、第1検出データ~第n検出データを時分割に処理装置に出力できるようになる。
【0097】
また本実施形態では、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットは、データ出力レートRTで第1検出データ~第n検出データを出力し、中継回路は、データ出力レートRTQがn×RT以上で出力データを出力してもよい。
【0098】
このようにすれば、処理装置での合成処理の対象となる第1検出データ~第n検出データを、高いデータ出力レートで処理装置に入力することが可能になる。
【0099】
また本実施形態では、処理装置は、合成処理後のデータをデータ出力レートRT以下で出力してもよい。
【0100】
このようにすれば、処理装置から出力されるデータのノイズを合成処理により低減できると共に、合成処理後のデータを、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットと同等のデータ出力レート等で出力することが可能になる。
【0101】
また本実施形態では、第k慣性計測ユニット~第m慣性計測ユニットと、第k慣性計測ユニット~第m慣性計測ユニットからの第k検出データ~第m検出データが入力され、第k検出データ~第m検出データを時分割に第2出力データとして出力する第2中継回路とを含んでもよい。そして処理装置は、出力データと第2出力データが入力され、第1検出データ~第n検出データと第k検出データ~第m検出データの合成処理を行ってもよい。
【0102】
このようにすれば、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットからの第1検出データ~第n検出データに加えて、第k慣性計測ユニット~第m慣性計測ユニットからの第k検出データ~第m検出データを用いて合成処理が行われるようになるため、合成処理後のデータの更なる低ノイズ化を実現できる。
【0103】
また本実施形態では、第2中継回路は、第k慣性計測ユニット~第m慣性計測ユニットからの第k検出データ~第m検出データを受信する第k通信回路~第m通信回路と、第2出力データを処理装置に送信する第2出力側通信回路と、を含んでもよい。
【0104】
このようにすれば、第k慣性計測ユニット~第m慣性計測ユニットからの第k検出データ~第m検出データを第k通信回路~第m通信回路により受信できるようになり、第k検出データ~第m検出データを出力データとして第2出力側通信回路により処理装置に出力できるようになる。
【0105】
また本実施形態では、第1慣性計測ユニット~第n慣性計測ユニットと、中継回路と、処理装置とが収納されるケースを含んでもよい。
【0106】
このようにすれば、慣性計測装置のケースに複数の慣性計測ユニットを設け、これらの慣性計測ユニットからの検出データを、ケースに設けられた中継回路により中継して、ケースに設けられた処理装置に入力し、処理装置にて合成処理を行うことで、ノイズが低減されたデータを外部に出力できるようになる。
【0107】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また慣性計測装置、慣性計測ユニット、中継回路、処理装置等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0108】
10…慣性計測装置、11…ベース、12…リッド、13…ケース、14…コネクター、16…基板、18…内部コネクター、30、30-1~30-n、30-k~30-m…慣性計測ユニット、32X…X軸角速度センサーデバイス、32Y…Y軸角速度センサーデバイス、32Z…Z軸角速度センサーデバイス、34…加速度センサーデバイス、36…処理装置、40、41…中継回路、42-1~42-n、42-m~42-k…通信回路、44-1~44-n、44-m~44-k…メモリー、46、47…調停回路、48、49…出力側通信回路、50…処理装置、52…通信部、54…合成処理部、56…タイマー、58…ホスト通信部、100…回路基板、110…コネクター、120…インナーケース、121…凹部、122…開口部、130…緩衝材、140…アウターケース、142、144…ネジ穴、200…ホスト、CC1~CC3…通信回路、CK、CKSY…クロック信号、DQ1、DQ2、DQ3…出力データ、DQH…データ、D1~Dk、Dm~Dn…検出データ、M1~M9…格納用メモリー、ME1~ME3、ME11~ME32…メモリー、RDM1~RDM3…データレディー信号、RDQ1、RDQ2…出力データレディー信号、RDY1~RDYn、RDYm~RDYk…データレディー信号、RL1~RL3…中継回路、RT…データ出力レート、RTQ…データ出力レート、S…収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13