(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089028
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】液体収容容器
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
B41J2/175 167
B41J2/175 169
B41J2/175 173
B41J2/175 161
B41J2/175 151
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204121
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 成吾
(72)【発明者】
【氏名】石澤 卓
(72)【発明者】
【氏名】小林 淳
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA19
2C056EB20
2C056EB45
2C056KC04
2C056KC05
2C056KC13
2C056KC14
2C056KC16
(57)【要約】
【課題】液体収容容器の区別を容易かつ確実に行う。
【解決手段】同一の液体消費装置に交換可能に取り付けられることができる複数の液体収容容器が提供される。これらの液体収容容器は、前記液体収容容器内において液体を収容する液体収容室の少なくとも一部を囲み前記液体収容容器の外部に露出する筐体を、それぞれ備える。前記複数の液体収容容器のうち第1種の液体収容容器は、前記筐体の外面から突出するリブを備える。前記複数の液体収容容器のうち第2種の液体収容容器は、前記リブを備えない。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の液体消費装置に交換可能に取り付けられることができる複数の液体収容容器であって、
前記液体収容容器内において液体を収容する液体収容室の少なくとも一部を囲み前記液体収容容器の外部に露出する筐体を、それぞれ備え、
前記複数の液体収容容器のうち第1種の液体収容容器は、前記筐体の外面から突出するリブを備え、
前記複数の液体収容容器のうち第2種の液体収容容器は、前記リブを備えない、複数の液体収容容器。
【請求項2】
請求項1記載の複数の液体収容容器であって、
前記筐体の外面の同一の部位に、それぞれ凹部を備え、
前記第1種の液体収容容器の前記リブは、前記凹部の側面および底面と接続されており、前記凹部の開口よりも外部に突出していない、液体収容容器。
【請求項3】
請求項1記載の複数の液体収容容器であって、
前記液体消費装置の複数の端子にそれぞれ接触することにより電気的に接続される複数の端子を、前記筐体の外面の同一の部位に、それぞれ備え、
前記第1種の液体収容容器は、前記筐体の外面であって、前記液体収容室に対して前記複数の端子と同じ側に、前記リブを備える、液体収容容器。
【請求項4】
請求項3記載の複数の液体収容容器であって、
前記液体消費装置に設けられた構造と噛み合う、凹部と凸部の少なくとも一方を備えるレバーであって、前記構造を弾性的に押圧するレバーを、前記筐体の外面であって、前記液体収容室に対して前記複数の端子と同じ側に位置する前記筐体の外面の同一の部位に、それぞれ備え、
前記第1種の液体収容容器は、前記筐体の外面であって、前記レバーと前記複数の端子との間に、前記リブを備える、液体収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンターに取り付けられるインクタンクであって使用済みのインクタンクに、インクを再充填する技術が存在する。特許文献1の技術においては、インクを再充填した際に形成された注射針孔の存在に基づいて、すでに再充填が行われたインクタンクであることを検知する。そして、すでに再充填が行われたインクタンクについて、2回以上の再充填は行われない。
【0003】
一方、インクタンクに収容されているインクの性質に起因して、インクを再充填すべきではないインクタンクも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、インクタンクについて注射針孔の有無を確認する手法については、具体的に考慮されていない。インクの再充填のためにインクタンクにあけられる穴は、インクの再充填後に塞がれる。このため、インクの再充填の際にインクタンクに空けられる穴は、可能な限り小さく設けられる。よって、たとえば、人間による目視検査においては、インクタンクに存在する注射針孔が見落とされる可能性がある。また、画像処理を行って注射針孔の有無を確認する態様においても、インクタンクに存在する注射針孔が見落とされる可能性がある。さらに、まだ再充填が行われたことがないインクタンクであっても、インクを再充填すべきではないインクタンクについては、インクの再充填の対象となるインクタンクと区別する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、同一の液体消費装置に交換可能に取り付けられることができる複数の液体収容容器が提供される。これらの液体収容容器は、前記液体収容容器内において液体を収容する液体収容室の少なくとも一部を囲み前記液体収容容器の外部に露出する筐体を、それぞれ備える。前記複数の液体収容容器のうち第1種の液体収容容器は、前記筐体の外面から突出するリブを備える。前記複数の液体収容容器のうち第2種の液体収容容器は、前記リブを備えない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の液体収容容器IC1を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の液体収容容器IC1の分解斜視図である。
【
図3】
図1および
図2と略同じ方向から見た液体収容容器IC1の側面図である。
【
図5】
図3とは逆の方向から見た液体収容容器IC1の側面図である。
【
図6】封止フィルムFLe、隔壁フィルムFLp等が貼付されていない状態の液体収容容器IC1を示す斜視図である。
【
図7】捕捉部4C近傍の部分を拡大して示す拡大図である。
【
図8】液体収容容器IC1の側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面の構成を示す斜視図である。
【
図9】液体収容容器IC1の側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図10】本実施形態の液体収容容器IC2を示す斜視図である。
【
図12】
図11とは逆の方向から見た液体収容容器IC2の側面図である。
【
図13】液体収容容器IC2の側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面の構成を示す斜視図である。
【
図14】プリンターPRTが有するキャリッジPCを示す斜視図である。
【
図15】キャリッジPCに1個の液体収容容器ICが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図16】キャリッジPCに取り付けられた液体収容容器ICの端子MCT近傍の状態を示す断面図である。
【
図17】液体収容容器IC1bの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図18】液体収容容器IC1cの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図19】液体収容容器IC1dの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図20】液体収容容器IC1eの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図21】液体収容容器IC1fの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図22】液体収容容器IC1gの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図23】液体収容容器IC1hの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図24】液体収容容器IC1iの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図25】液体収容容器IC1jの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図26】液体収容容器IC1kの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図27】液体収容容器IC1lの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【
図28】液体収容容器IC1mの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.実施形態:
A1.液体収容容器の構成:
図1は、本実施形態の液体収容容器IC1を示す斜視図である。本実施形態においては、同一のプリンターPRTに交換可能に取り付けられることができる複数の液体収容容器IC1,IC2について、説明する。液体収容容器IC1,IC2を区別せずに液体収容容器に言及する場合には、液体収容容器ICと表記する。
【0009】
図1に示されているのは、液体収容容器IC1,IC2のうち第1種の液体収容容器IC1である。第1種の液体収容容器IC1は、液体収容容器IC1の使用後に、インクの再充填が行われる液体収容容器である。一方、第2種の液体収容容器IC2には、液体収容容器IC2の使用後に、インクの再充填は行われない。第2種の液体収容容器IC2については、後に説明する。
【0010】
液体収容容器IC1は、内部にインクを収容している。液体収容容器IC1は、プリンターPRTに装着されて、プリンターPRTにインクを供給する。液体収容容器IC1は、直方体状の外形形状を有する筐体900を備える。筐体900は、液体収容容器IC1内においてインクを収容する液体収容室117,121の一部を囲む。筐体900の一部は、液体収容容器IC1の外部に露出している。筐体900は、ポリプロピレンにより構成されている。以下、プリンターPRTに装着されて使用される際の姿勢を基準に、液体収容容器ICおよびその筐体900について「底面」、「上面」、「側面」の呼称を用いる。
【0011】
液体収容容器IC1は、プリンターPRTに装着されて使用される際の姿勢において、側面に相当する外面の一つにメモリーチップMCを備える(
図1の下段右部参照)。メモリーチップMCは9個の端子MCTを備えている。9個の端子MCTは、プリンターPRTに設けられている9個の端子にそれぞれ接触することにより電気的に接続される。プリンターPRTの9個の端子は、プリンターPRTの制御回路に電気的に接続されている。
【0012】
図2は、本実施形態の液体収容容器IC1の分解斜視図である。液体収容容器IC1は、内部に、ゴム膜GMと、コイルバネSP3と、バルブ蓋VCとを備える(
図2の中央部参照)。ゴム膜GMと、コイルバネSP3と、バルブ蓋VCとは、液体収容容器IC1内において、その順に重ねられて、差圧弁325を構成する。差圧弁325については、後に説明する。
【0013】
液体収容容器IC1は、筐体900の底面近傍であって、メモリーチップMCが取り付けられている側面の近傍の部位に、コイルバネSP2、バルブV2、シールゴムSR、供給口フィルムFLspを備える(
図2の中央部参照)。コイルバネSP2、バルブV2、シールゴムSRは、液体供給口200の近傍の液体供給路300内において、その順に配される。供給口フィルムFLspは、液体供給口200を封止する。供給口フィルムFLspは、液体収容容器IC1が使用される際には、筐体900から剥がされる。
【0014】
液体収容容器IC1は、筐体900の底面であって、メモリーチップMCが取り付けられている側面と向かい合う側面の近傍の部位に、プリズムPRを備える(
図2の中央部参照)。プリズムPRの一部は、液体収容容器IC1内の液体収容室121内に露出している。プリズムPRは、プリンターPRTから照射された光を反射することにより、液体収容室121内のインクの量に関する情報を、プリンターPRTに提供する。
【0015】
液体収容容器IC1は、筐体900の一つの側面であって、メモリーチップMCが取り付けられている側面と接続されている側面において、メモリーチップMCが取り付けられている側面と向かい合う側面の近傍の部位に、大気開放口401を備える(
図2の上段左部参照)。大気開放口401は、大気を液体収容室117,121内に導入する。
【0016】
液体収容容器IC1を使用する前の状態においては、大気開放口401は、剥離可能な封止フィルムFLeによって、封止されている(
図1の上段左部参照)。封止フィルムFLeは、表面に剥離可能なウレタン粘着剤の層を有する。封止フィルムFLeは、ウレタン粘着剤によって、筐体900に剥離可能に貼付されている。封止フィルムFLeは、液体収容容器IC1内の液体収容室117,121に収容されるインクを流通させない。
【0017】
このような構成とすることにより、液体収容容器IC1の使用が開始される前の状態において、大気導入路400内において、捕捉部4Cからさらに大気開放口401側の部位に流出するインクについても、大気開放口401を通じて外部に流出しないようにすることができる。なお、捕捉部4Cの構成および機能については、後に説明する。
【0018】
封止フィルムFLeは、液体収容容器IC1が使用される際には、筐体900から剥がされる。すなわち、大気開放口401が開口される。大気開放口401は、大気導入路400を介して、液体収容容器IC1の外部と液体収容室117,121との間に、空気を流通させることができるようになる。その結果、液体収容室117,121から液体供給口200に適切にインクを送出することができる。
【0019】
封止フィルムFLeが貼付される筐体900の一つの側面の他の部位は、隔壁フィルムFLpによって、封止されている(
図1の下段左部、および
図2の下段左部参照)。なお、使用前の液体収容容器IC1においては、隔壁フィルムFLpは、第1隔壁フィルムFLp1によって構成される。液体収容容器IC1が使用された後に液体収容容器IC1にインクが再充填された状態においては、隔壁フィルムFLpは、第1隔壁フィルムFLp1と第2隔壁フィルムFLp2とによって構成される(
図2の下段左部、および
図1の下段右部参照)。第2隔壁フィルムFLp2は、インクを再充填する際に第1隔壁フィルムFLp1に設けられた穴を封止する。
【0020】
封止フィルムFLeが貼付される筐体900の一つの側面と向かい合う一つの側面は、内フィルムFLiによって、封止されている(
図2の上段右部参照)。内フィルムFLiによって封止されている一つの側面は、さらに、蓋910によって、覆われている。
【0021】
筐体900の上面には、ラベルLbが貼付されている(
図2の上段中央部参照)。ラベルLbには、液体収容容器IC1が収容しているインクの色を示す情報が印刷されている。
【0022】
図3は、
図1および
図2と略同じ方向から見た液体収容容器IC1の側面図である。
図4は、
図3のIV-IV断面図である。
図5は、
図3とは逆の方向から見た液体収容容器IC1の側面図である。
図6は、封止フィルムFLeと、隔壁フィルムFLpと、通気フィルムFLvと、供給口フィルムFLspと、が貼付されていない状態の液体収容容器IC1を示す斜視図である。
【0023】
液体収容容器IC1は、液体収容室117,121と、液体供給口200と、液体供給路300と、大気開放口401と、大気導入路400と、を備える。
【0024】
液体収容室117,121は、筐体900内に設けられ、インクを収容する(
図5の上段右部および下段右部参照)。液体収容室117,121の一部は、筐体900によって画定され、他の一部は内フィルムFLiによって画定される(
図2の中央部および上段右部参照)。液体収容室117,121は、液体収容容器IC1内に設けられている連通路120によって接続されている。具体的には、連通路120は、液体収容室117から受け取ったインクを、流通孔118,119を通して流通させ、液体収容室121に供給する(
図3の中段左部および
図5の中段右部参照)。
【0025】
液体供給口200は、筐体900の底面に設けられている(
図3の下段右部、
図5の下段左部、および
図6の下段右部参照)。液体供給口200は、液体収容室117,121内のインクを液体収容容器IC1の外部に供給する。
【0026】
液体供給路300は、筐体900内に設けられる。液体供給路300は、液体供給口200と液体収容室117,121とを接続する。具体的には、液体供給路300は、液体収容室121から受け取ったインクを、流通孔322,323,324,326,327、ならびに流路部分328を通して流通させ、液体供給口200に供給する(
図5の下段中央具および中段左部、ならびに
図4参照)。
【0027】
液体供給路300は、差圧弁325を備える(
図4の上段参照)。差圧弁325は、筐体900を構成する壁部と、ゴム膜GMと、コイルバネSP3と、バルブ蓋VCと、により構成される(
図2の中央部参照)。差圧弁325は、液体供給路300のうち差圧弁325と液体供給口200との間の流路部分の圧力である下流圧力が、液体供給路300のうち差圧弁325と液体収容室117,121との間の流路部分の圧力である上流圧力よりも、小さく、かつ下流圧力と上流圧力の差があらかじめ定められた値より大きいときに、液体供給路300を導通させる。差圧弁325は、下流圧力と上流圧力の差が上記のあらかじめ定められた値よりも小さいか、下流圧力が上流圧力よりも大きいときに、液体供給路300を遮断する。
【0028】
このような構成とすることにより、液体収容室117,121から液体供給口200に向けて、インクを適切に供給でき、かつ、逆向きのインクの流通を防止できる。
【0029】
大気導入路400は、筐体900内に設けられる(
図3の上段参照)。大気導入路400は、大気開放口401と液体収容室117,121とを接続する。具体的には、大気導入路400は、大気開放口401を介して空気を導入し、流通孔402,405,406,407,415,416を通して流通させ、液体収容室117に供給する(
図3の上段、および
図5の上段参照)。
【0030】
大気導入路400は、大気開放口401から液体収容室117に向かう向きに、順に、屈曲流路部403と、障壁流路部4Hと、空気室408,409と、捕捉部4Cと、空気室414と、を備える(
図3、および
図5参照)。
【0031】
捕捉部4Cは、大気導入路400の一部を構成する(
図3の下段右部、
図5の下段左部、および
図6の下段右部参照)。捕捉部4Cは、大気導入路400に侵入したインクを捕捉する機能を奏する。捕捉部4Cの構成については、後に詳細に説明する。
【0032】
大気導入路400は、捕捉部4Cよりも大気開放口401側の部位において、通気フィルムFLvによって、塞がれている(
図3の上段中央部参照)。通気フィルムFLvは、流通孔405を囲む壁であって周りの壁部よりも高さが低い壁の上端に溶着されて、その壁に囲まれた空間と、その壁を囲む空間と、を仕切っている。通気フィルムFLvは、空気を流通させることができかつ液体収容室117,121に収容されるインクを流通させない素材で構成されている。具体的には、通気フィルムFLvは、気体の酸素や窒素の分子を流通させ、液体の分子を流通させない大きさの微細孔を有するフィルムで構成されている。
【0033】
このような構成とすることにより、大気導入路400内において、捕捉部4Cからさらに大気開放口401側の部位に流出するインクについても、大気開放口401を通じて外部に流出しないようにすることができる。
【0034】
障壁流路部4Hは、大気導入路400において、捕捉部4Cと通気フィルムFLvとの間の部位に、位置する。障壁流路部4Hは、液体収容容器IC1の液体供給口200から外部にインクを供給するときの液体収容容器IC1の姿勢において、捕捉部4Cよりも鉛直上方に位置する。具体的には、障壁流路部4Hは、流通孔405と流通孔406の間の流路部分4H1、および流通孔406と流通孔407の間の流路部分4H2である(
図5の上段左部、
図3の上段右部、および
図6の上段右部参照)。
【0035】
このような構成とすることにより、捕捉部4Cを通過したインクが存在した場合にも、そのインクは、重力に逆らって上昇して、鉛直上方に位置する障壁流路部4Hを乗り越えない限り、通気フィルムFLvには到達しない。このため、捕捉部4Cを通過したインクが通気フィルムFLvに接触する可能性を低減することができる。その結果、通気フィルムFLv全体がインクで濡れることにより、大気導入路400において空気が流通できなくなる可能性を、低減することができる。
【0036】
屈曲流路部403は、大気導入路400において、捕捉部4Cと通気フィルムFLvとの間に位置する(
図3の上段左部および
図6の上段左部参照)。屈曲流路部403は、前後の流路部分よりも断面積が小さく相互に180度異なる向きに空気を流通させる一対の流路部分を含む。本実施形態においては、屈曲流路部403は、そのような3対の流路部分を含む。なお、大気導入路400は、捕捉部4Cと液体収容室117,121との間には、そのような屈曲流路部403を備えない。
【0037】
このような構成とすることにより、大気導入路400を介して液体収容室117,121内のインクの揮発成分が蒸発する量を、低減することができる。
【0038】
空気室408,409,414は、大気導入路400の途中において、空気を滞留させるための部屋である(
図5の上段左部および下段左部参照)。
【0039】
図7は、
図3および
図6に示される捕捉部4C近傍の部分を拡大して示す拡大図である。捕捉部4Cは、大気導入路400の一部を構成する。捕捉部4Cは、第1領域4C1と、第2領域4C2と、第3領域4C3と、を含む。
【0040】
第1領域4C1は、具体的には、4個の円柱状の空間410,411,412,413である。円柱状の空間410,411,412,413は、互いに平行な方向に伸びている。円柱状の空間410,411,412,413は、液体収容容器IC1がプリンターPRTに装着されて使用される際の姿勢において、水平方向と一致する方向に伸びている。円柱状の空間410,411,412,413を「第1領域」とも呼ぶ。大気開放口401から導入された空気は、捕捉部4Cにおいて、第1領域410,411,412,413を順に流通される。
【0041】
第2領域4C2は、筐体900において、第1隔壁フィルムFLp1と向かい合う側に設けられている(
図2、および
図3の下段右部参照)。第2領域4C2は、第1領域4C1とは異なる方向に伸びている流路部分4C21,4C22である。より具体的には、流路部分4C21,4C22は、第1領域410,411,412,413が伸びる方向と垂直な方向に伸びている。流路部分4C21,4C22は、液体収容容器IC1がプリンターPRTに装着されて使用される際の姿勢において、鉛直方向と一致する方向に伸びている。流路部分4C21,4C22を、「第2領域」とも呼ぶ。
【0042】
第2領域4C21は、液体収容容器IC1の一部を構成する壁部1402に設けられ円形の外形を有する円開口410oを介して、第1領域410に接続されている(
図7の上段右部参照)。第2領域4C21は、壁部1402に設けられ円形の外形を有する円開口411oを介して、第1領域411に接続されている。
【0043】
第2領域4C21は、壁部1402と、周囲壁1403と、隔壁フィルムFLpと、により画定されている(
図7の上段右部参照)。壁部1402は、筐体900の構成要素のうち、円開口410oが設けられている壁部である。周囲壁1403は、壁部1402から突出している壁部である。周囲壁1403は、円開口410oを囲んでいる。隔壁フィルムFLpは、周囲壁1403の上端に接合されている。隔壁フィルムFLpは、周囲壁1403に囲まれた空間と液体収容容器IC1の外部との間を隔てている(
図2の下段左部参照)。なお、技術の理解を容易にするため、
図7において、隔壁フィルムFLpは、示されていない。
【0044】
第2領域4C22は、壁部1402に設けられ円形の外形を有する円開口412oを介して、第1領域412に接続されている(
図7の中段左部参照)。第2領域4C22は、液体収容容器IC1の一部を構成する壁部1402に設けられ円形の外形を有する円開口413oを介して、第1領域413に接続されている。このような構成を有するため、円開口413oは、液体収容容器IC1の向きによらず、第2領域4C2との間でインクのやりとりを行うことができる。
【0045】
第2領域4C22は、壁部1402と、周囲壁1404と、隔壁フィルムFLpと、により画定されている(
図7の中段左部参照)。壁部1402は、筐体900の構成要素のうち、円開口412oが設けられている壁部である。周囲壁1404は、壁部1402から突出している壁部である。周囲壁1404は、円開口412oを囲んでいる。
【0046】
周囲壁1404は、第1部分壁1404aと、第2部分壁1404bと、を含む。第1部分壁1404aは、円開口412oを囲む部分壁である。円開口412oを介して、円柱状の空間412が、第2領域4C22と接続されている。円柱状の空間412は、大気導入路400において第2領域4C22よりも大気開放口401の側に位置する。第2部分壁1404bは、円開口413oを囲む部分壁である。円開口413oを介して、円柱状の空間413が、第2領域4C22と接続されている。円柱状の空間413は、大気導入路400において第2領域4C22よりも液体収容室117,121の側に位置する。
【0047】
第2領域4C22のうち、第2部分壁1404bによって囲まれる空間は、第1部分壁1404aによって囲まれる空間よりも大きい。なお、「第1部分壁1404aによって囲まれる空間の大きさ」は、円開口412oの開口面に垂直な方向から見たときに、第1部分壁1404aによって囲まれる領域内に収容され得る最大の仮想円の直径で規定される。「第2部分壁1404bによって囲まれる空間の大きさ」は、円開口413oの開口面に垂直な方向から見たときに、第2部分壁1404bによって囲まれる領域内に収容され得る最大の仮想円の直径で規定される。
【0048】
このような構成とすることにより、第2領域4C22のうち、第1部分壁1404aに囲まれる空間よりも液体収容室117,121に近い位置にある第2部分壁1404bに囲まれる空間に、インクを収集しやすい。言い換えれば、第2部分壁1404bに囲まれる空間に、より多くのインクを捕捉することができる。このため、第2部分壁1404bによって囲まれる空間が、第1部分壁1404aによって囲まれる空間よりも小さい態様に比べて、第2領域4C2にインクを誘導しやすい。言い換えれば、大気開放口401にインクがより到達しにくい。
【0049】
隔壁フィルムFLpは、周囲壁1404の上端に接合されている。隔壁フィルムFLpは、周囲壁1404に囲まれた空間と液体収容容器IC1の外部との間を隔てている(
図2の下段左部参照)。
【0050】
第3領域4C3は、筐体900において、内フィルムFLiと向かい合う側に設けられている(
図5の下段左部参照)。第3領域4C3は、第1領域4C1および第2領域4C2とは異なる方向に伸びている流路部分である。より具体的には、第3領域4C3は、第1領域410,411,412,413が伸びる方向と垂直な方向であって、第2領域4C21,4C22が伸びる方向とねじれの位置にある方向に伸びている。
【0051】
第3領域4C3は、円形の外形を有する円開口を介して、第1領域411に接続されている(
図5の下段左部参照)。第3領域4C3は、円形の外形を有する円開口を介して、第1領域412に接続されている。
【0052】
その結果、大気開放口401から導入された空気は、捕捉部4Cにおいて、第1領域410、第2領域4C21、第1領域411、第3領域4C3、第1領域412、第2領域4C22、第1領域413を、順に流通される。
【0053】
このような構成とすることにより、液体収容容器IC1が様々な向きに配された場合にも、大気導入路400の一部を構成する捕捉部4Cに含まれ互いに異なる方向に伸びている第1領域4C1と第2領域4C2と、第3領域4C3とにより、インクを捕捉することができる。その結果、液体収容室117,121内のインクが大気開放口401を通じて外部に流出する可能性を低減することができる。
【0054】
筐体900は、壁部1402から周囲壁1404と同じ方向に突出しており周囲壁1404に隣接する他の壁部1406を備える。なお、二つの壁部が「隣接する」とは、二つの壁部の間に、それら二つの壁部と同じ方向に突出する他の壁部がないことを意味する。周囲壁1404の高さは、壁部1406の高さよりも高い。なお、周囲壁1404の高さは、壁部1402から突出方向に測った寸法である。
【0055】
図8は、液体収容容器IC1の側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面の構成を示す斜視図である。
図9は、液体収容容器IC1の側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。液体収容容器IC1は、液体収容室117,121に対して9個の端子MCTと同じ側に位置する筐体900の外面の部位に、レバーLVを備える。レバーLVは、回転軸LVsを介して、回転可能であるように筐体900に取り付けられている棒状の部材である。レバーLVは、回転軸LVsを中心に、回転軸LVsの長手方向と垂直な方向に、筐体900に対して回転可能である。レバーLVは、弾性変形可能な素材で構成されている。
【0056】
レバーLVは、筐体900と向かい合う側とは逆の側に、凸部LVpを備える。凸部LVpは、液体収容容器IC1がプリンターPRTに装着される際に、プリンターPRTに設けられた凸部PPと噛み合い、プリンターPRTの凸部PPを弾性的に押圧する。その結果、液体収容容器IC1のプリンターPRTからの脱落が防止される。なお、本明細書において「噛み合う」とは、ある凹部または凸部の側面と、別の凹部または凸部の側面と、が接触して、一方から他方に力が加えられている状態を意味する。
【0057】
液体収容容器IC1は、筐体900の外面であって、液体収容室117,121に対して9個の端子MCTと同じ側に、凹部RS1,RS2を備える(
図8の下段右部および
図9の中央部参照)。凹部RS1,RS2は、レバーLVと9個の端子MCTとの間に、設けられている。凹部RS1,RS2は、それぞれ、液体収容容器IC1がプリンターPRTに装着されて使用される際の姿勢において水平方向と一致する向きに長い、略直方体状の空間を画定する。凹部RS1,RS2は、液体収容容器IC1がプリンターPRTに装着されて使用される際の姿勢において水平方向と一致する向きについて、同じ幅を有する。ただし、凹部RS2の中央部には、後述するリブRBが設けられている。
【0058】
凹部RS2は、底面RS2bと、側面RS2su,RS2slと、を備える(
図8の下段および
図9の中央部参照)。側面RS2su,RS2slは、底面RS2bを挟んで向かい合う。側面RS2suは、底面RS2bに対して、レバーLV側に位置する側面である。側面RS2slは、底面RS2bに対して、端子MCT側に位置する側面である。
【0059】
液体収容容器IC1は、筐体900の外面から突出するリブRBを備える。より具体的には、リブRBは、凹部RS2内において、筐体900の外面の一部を構成する底面RS2bから、突出している。なお、後述する第2種の液体収容容器IC2は、凹部RS1,RS2内に、このようなリブRBを備えない。リブRBは、凹部RS2の側面RS2su,RS2slおよび底面RS2bと接続されている平板状の構成である。リブRBは、凹部RS2の開口よりも外部に突出していない。より具体的には、リブRBの端面が、凹部RS2の開口を規定する仮想面と同一面である(
図8の下段右部参照)。
【0060】
第1種の液体収容容器IC1においては、リブRBが凹部RS2内に設けられている(
図8の下段右部参照)。このため、リブRBが、液体収容容器IC1がプリンターPRTに取り付けられる際の障害とならない。
【0061】
第1種の液体収容容器IC1においては、リブRBが凹部RS2内に設けられているため、外部からの力を受けてリブRBが欠損してしまう可能性が低減される。よって、リブRBの欠損により、第1種の液体収容容器IC1が第2種の液体収容容器IC2と誤判定される可能性が、低減される。
【0062】
第1種の液体収容容器IC1は、筐体900の外面であって、液体収容室117,121に対して複数の端子MCTと同じ側に、リブRBを備える(
図8の下段右部参照)。筐体900の外面のうち複数の端子MCTが設けられている部位が外力を受けて変形した場合、液体収容容器IC1の9個の端子MCTのそれぞれと、プリンターPRTの9個の端子のそれぞれと、の9個の対のうち、少なくとも一部の対が接触できなくなるおそれがある。しかし、本実施形態においては、筐体900の外面のうち複数の端子MCTが設けられている部位が外力を受けて変形する可能性が、リブRBによってより低減される。このため、リブRBにより、液体収容容器IC1の複数の端子MCTとプリンターPRT側の端子PTとを、より確実に接触させることができる。
【0063】
インクを再充填する際には、液体収容室121内のインクに関する情報が、第1種の液体収容容器IC1の端子MCTを介して収集される。本実施形態においては、第1種の液体収容容器IC1は、筐体900の外面であって、液体収容室117,121に対して複数の端子MCTと同じ側に、リブRBを備える(
図8の下段右部参照)。すなわち、インクの再充填を行う際に、第1種の液体収容容器IC1であることを確認するための構成であるリブRBと、液体収容室121内のインクに関する情報を収集するための構成である端子MCTとが、同じ側に設けられている。このため、インクの再充填を行う際にそれらの処理を行うデバイスの大きさを、小さくすることができる。
【0064】
第1種の液体収容容器IC1は、筐体900の外面であって、レバーLVと複数の端子MCTとの間に、リブRBを備える(
図8の下段右部参照)。このような構成とすることにより、プリンターPRTを押圧するレバーLVがプリンターPRTから反力を受けている場合にも、9個の端子MCTが設けられている部位が変形する可能性を、リブRBによってより低減できる。このため、レバーLVがプリンターPRTから反力を受けている場合にも、液体収容容器IC1の9個の端子MCTとプリンターPRT側の端子とを、より確実に接触させることができる。
【0065】
第1種の液体収容容器IC1においては、リブRBの厚さは、凹部RS1と凹部RS2とを隔てる構成の厚さと、略同一に設けられている。本明細書において、二つの数値が「略同一」であるとは、二つの数値の差が、二つの数値のうちの大きい方の数値の10%未満であることを意味する。
【0066】
このような構成とすることにより、両者の厚みが大きく異なる態様に比べて、以下のような効果が得られる。すなわち、筐体900を鋳造によって成形する際に、冷却に伴う材料である樹脂の収縮によって筐体900が変形してしまうリスクを、低減できる。
【0067】
図10は、本実施形態の液体収容容器IC2を示す斜視図である。
図10に示されているのは、液体収容容器IC1,IC2のうち第2種の液体収容容器IC2である。第2種の液体収容容器IC2に対しては、液体収容容器IC2の使用後に、インクの再充填は行われない。以下では、液体収容容器IC2の構成のうち、液体収容容器IC1の構成との相違点についてのみ説明する。以下で説明する相違点を除いて、液体収容容器IC2の構成は、液体収容容器IC1の構成と同じである。たとえば、第2種の液体収容容器IC2は、第1種の液体収容容器IC1の凹部RS1,RS2と同一の部位に、凹部RS1,RS2を備える。第2種の液体収容容器IC2は、第1種の液体収容容器IC1の9個の端子MCTと同一の部位に、9個の端子MCTを備える。第2種の液体収容容器IC2は、第1種の液体収容容器IC1のレバーLVと同一の部位に、レバーLVを備える。
【0068】
液体収容容器IC2においては、隔壁フィルムFLpは、第1隔壁フィルムFLp1によって構成される(
図10の下段左部参照)。液体収容容器IC2においては、後述するインクの再充填は行われないため、第1隔壁フィルムFLp1上に第2隔壁フィルムFLp2が貼付されることはない(
図1の下段参照)。
【0069】
図11は、液体収容容器IC2の側面図である。
図12は、
図11とは逆の方向から見た液体収容容器IC2の側面図である。
図11は、液体収容容器IC1を表す
図3に相当する。
図12は、液体収容容器IC1を表す
図5に相当する。
【0070】
液体収容容器IC2においては、大気導入路400は、捕捉部4Cを備えていない(
図3および
図11の下段右部、ならびに
図5および
図12の下段左部参照)。すなわち、液体収容容器IC2においては、大気導入路400は、大気開放口401から液体収容室117に向かう向きに、順に、屈曲流路部403と、障壁流路部4Hと、空気室408,409と、空気室414と、を備える。
【0071】
図13は、液体収容容器IC2の側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面の構成を示す斜視図である。
図13は、液体収容容器IC1を表す
図8に相当する。液体収容容器IC1,IC2のうち第2種の液体収容容器IC2は、リブRBを備えない(
図13の下段中央部、および
図8の下段中央部参照)。
【0072】
図14は、プリンターPRTが有するキャリッジPCを示す斜視図である。キャリッジPCは、4個の液体収容容器ICを取り付けられて、それぞれの液体収容容器ICが収容するインクを、下面に設けられた4組のノズル群PNからインク滴として吐出する。プリンターPRTは、主走査駆動機構を駆動して、4組のノズル群PNが並ぶ方向である主走査方向DMに沿って、キャリッジPCを往復動させる。プリンターPRTは、キャリッジPCと向かい合う位置に配される印刷媒体を、副操作駆動機構を駆動して、副走査方向DSに搬送する。副走査方向DSは、主走査方向DMに対して垂直な方向である。その結果、インク滴によって、印刷媒体上に画像が形成される。液体収容容器IC1,IC2は、いずれもキャリッジPCに取付られることができる。
【0073】
キャリッジPCは、略長方形の底部と、底部の各辺に略垂直に接続された側壁と、を有する箱状の構成を有する。キャリッジPCは、液体供給針PNと、1組の端子PTと、凸部PPと、ノズル群PNと、の4組のセットを、備える。1セットの液体供給針PNと、端子PTと、凸部PPと、ノズル群PNとは、プリンターPRTに取り付けられる1個の液体収容容器ICに対応づけられる。すなわち、1セットに含まれる液体供給針PNと、端子PTと、凸部PPとは、プリンターPRTに取り付けられる1個の液体収容容器ICと接触する。その1セットに含まれるノズル群PNは、その1個の液体収容容器ICから供給されるインクを吐出する。
【0074】
図15は、キャリッジPCに1個の液体収容容器ICが取り付けられた状態を示す斜視図である。液体供給針PNは、キャリッジPCの底部に設けられている(
図14の中央部参照)。液体供給針PNは、キャリッジPCに取り付けられた液体収容容器ICの液体供給口200から液体収容容器ICに挿入される(
図6の下段右分参照)。その結果、液体供給針PNは、液体収容容器IC内の液体供給路300に接続される。液体供給針PNが液体収容容器ICから受け取ったインクは、キャリッジPCの底部に設けられた1組のノズルから、インク滴として吐出される。
【0075】
図16は、キャリッジPCに取り付けられた液体収容容器IC1の端子MCT近傍の状態を示す断面図である。
図16は、
図15のXVI-XVI断面における断面図である。1組の端子PTは、主走査方向DMに平行な側壁の一つに設けられている(
図14の上段右部参照)。1組の端子PTは、9個の端子から構成されている。9個の端子PTは、プリンターPRTの制御回路に電気的に接続されている。9個の端子PTは、キャリッジPCに取り付けられた液体収容容器ICの9個の端子MCTと、電気的に接続される(
図16の中央部参照)。
【0076】
1組の端子PTの両側には、ガイドPGが設けられている。隣り合う2組の端子PTの間には、一つのガイドPGが設けられている。液体収容容器ICがキャリッジPCに取り付けられる際には、筐体900のメモリーチップMCが取り付けられている側面と接続されており向かい合う二つの側面が、それぞれガイドPGに接触することで、液体収容容器ICの姿勢が規制される。より具体的には、筐体900のうち、凹部RS1,RS2の両端を画定している構成が、それぞれガイドPGに接触することにより、液体収容容器ICの姿勢が規制される(
図15の上段右部参照)。
【0077】
凸部PPは、1組の端子PTが設けられている側壁と同じ側壁に設けられている(
図14の上段中央部参照)。凸部PPは、キャリッジPCに取り付けられた液体収容容器ICのレバーLVの凸部LVpと噛み合う(
図15の上段中央部参照)。凸部PPは、弾性変形しているレバーLVの弾性力によって、レバーLVの凸部LVpに押圧される。その結果、液体収容容器ICのプリンターPRTからの脱落が防止される。
【0078】
A2.液体収容容器の効果:
本実施形態においては、液体収容容器IC1,IC2のうち第1種の液体収容容器IC1は、筐体900の外面から突出するリブRBを備える(
図8の下段中央部参照)。これに対して、第2種の液体収容容器IC2は、リブRBを備えない(
図13の下段中央部参照)。
【0079】
このような構成とすることにより、筐体900の外面に設けられた特定のリブRBの有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1と第2種の液体収容容器IC2とを、区別することができる。このため、過去のインクの再充填の際に形成された孔や筐体に印刷された文字や図形に基づいて区別される複数の液体収容容器に比べて、容易かつ確実に、第1種の液体収容容器IC1と第2種の液体収容容器IC2とを区別することができる。よって、使用後に回収された、第1種の液体収容容器IC1と第2種の液体収容容器IC2とが混在する複数の液体収容容器のうちの、ある液体収容容器が、インクの再充填の対象である液体収容容器IC1であるか否かを、インクの再充填に先だって、容易かつ確実に判別することができる。その結果、インクの再充填の対象ではない液体収容容器IC2にインクの再充填が行われ、その液体収容容器IC2が使用されて、低品質の印刷が行われる事態を避けることができる。
【0080】
また、筐体900の外面に設けられた凹部の有無に基づいて区別される液体収容容器においては、凹部に異物が侵入し異物が凹部内に保持された場合には、凹部が検出されないおそれがある。しかし、本実施形態においては、筐体900の外面に設けられた、実体的な構成を有するリブRBの有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1と第2種の液体収容容器IC2とが区別される。このため、第1種の液体収容容器IC1が第2種の液体収容容器IC2と誤判定される可能性が低減される。
【0081】
さらに、第1種の液体収容容器IC1と第2種の液体収容容器IC2とを区別するための構成を、リブRBとして設けることにより、第1種の液体収容容器IC1において、筐体900の剛性を高めることができる。
【0082】
本実施異形態におけるプリンターPRTを「液体消費装置」とも呼ぶ。インクを、「液体」とも呼ぶ。
【0083】
B.第1種の液体収容容器の変形例:
上記実施形態の第1種の液体収容容器IC1においては、リブRBは、凹部RS2内に設けられている(
図8の下段右部、および
図9の中央部参照)。リブRBは、凹部RS2の側面RS2su,RS2slおよび底面RS2bに対して、垂直に接続されている。そして、凹部RS1内には、リブは設けられていない。しかし、第1種の液体収容容器に設けられるリブは、そのような構成に限られず、以下のような態様とすることもできる。
【0084】
以下で説明する相違点を除いて、液体収容容器IC1b~ICmの構成は、液体収容容器IC1の構成と同じである。液体収容容器IC1b~ICfが有する凹部が、リブを除いて、液体収容容器IC1の凹部RS1と同一の構成を有する場合は、その凹部を「凹部RS1」と表記する。液体収容容器IC1b~ICfが有する凹部が、リブを除いて、液体収容容器IC1の凹部RS2と同一の構成を有する場合は、その凹部を「凹部RS2」と表記する。なお、以下に示す変形例の各リブは、それぞれ筐体の外面である凹部の底面から垂直に突出している。
【0085】
(1)
図17は、液体収容容器IC1bの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図17に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1bにおいては、凹部RS2内のリブRBに加えて、リブRBb1が、凹部RS1内に設けられている。凹部RS1内のリブRBb1は、凹部RS2内のリブRBと同様の構成を備える。
【0086】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、液体収容容器IC2と同じ構成を有する(
図13参照)。すなわち、第2種の液体収容容器は、凹部RS1,RS2内に、リブRB,RBb1を備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたリブRB,RBb1の有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1bと第2種の液体収容容器IC2とを区別することができる(
図17の中央部、および
図13の下段右部参照)。
【0087】
(2)
図18は、液体収容容器IC1cの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図18に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1cにおいては、凹部RS1内に設けられるリブRBc1は、凹部RS1の側面に対して、斜めに接続されている。凹部RS2内に設けられるリブRBc2は、凹部RS2の側面に対して、斜めに接続されている。そして、凹部RS1内のリブRBc1と、凹部RS2内のリブRBc2とは、一直線状に並んでいる。
【0088】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、液体収容容器IC2と同じ構成を有する(
図13参照)。すなわち、第2種の液体収容容器は、凹部RS1,RS2内に、リブRBc1,RBc2を備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたリブRBc1,RBc2の有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1cと第2種の液体収容容器IC2とを区別することができる(
図18の中央部、および
図13の下段右部参照)。
【0089】
(3)
図19は、液体収容容器IC1dの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図19に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1dにおいては、凹部RS1内に設けられるリブRBd1,RBd2は、凹部RS1の側面に対して、互いに逆の向きの傾きを有しつつ斜めに接続されている。凹部RS2内に設けられるリブRBd3,RBd4は、凹部RS2の側面に対して、互いに逆の向きの傾きを有しつつ斜めに接続されている。そして、凹部RS1内のリブRBd1と、凹部RS2内のリブRBd4とは、一直線状に並んでいる。凹部RS1内のリブRBd2と、凹部RS2内のリブRBd3とは、一直線状に並んでいる。
【0090】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、液体収容容器IC2と同じ構成を有する(
図13参照)。すなわち、第2種の液体収容容器は、凹部RS1,RS2内に、リブRBd1~RBd4を備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたRBd1,RBd2,RBd3,RBd4の有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1dと第2種の液体収容容器IC2とを区別することができる(
図19の中央部、および
図13の下段右部参照)。
【0091】
(4)
図20は、液体収容容器IC1eの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図20に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1eにおいては、凹部RS2内のリブRBe1,RBe2は、凹部RS2の側面に対して、互いに逆の向きの傾きを有しつつ斜めに接続されている。そして、凹部RS1内には、リブは設けられていない。
【0092】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、液体収容容器IC2と同じ構成を有する(
図13参照)。すなわち、第2種の液体収容容器は、凹部RS2内に、リブRBe1,RBe2を備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたRBe1,RBe2の有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1eと第2種の液体収容容器IC2とを区別することができる(
図20の中央部、および
図13の下段右部参照)。
【0093】
(5)
図21は、液体収容容器IC1fの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図21に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1fにおいては、凹部RS1内のリブRBf1は、凹部RS1の側面に対して、斜めに接続されている。凹部RS2内のリブRBf2は、凹部RS2の側面に対して、斜めに接続されている。そして、凹部RS1内のリブRBf1と、凹部RS2内のリブRBf2とは、互いに逆の向きに斜めに配されている。
【0094】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、液体収容容器IC2と同じ構成を有する(
図13参照)。すなわち、第2種の液体収容容器は、凹部RS1,RS2内に、リブRBf1,RBf2を備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたRBf1,RBf2の有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1eと第2種の液体収容容器IC2とを区別することができる(
図21の中央部、および
図13の下段右部参照)。
【0095】
(6)
図22は、液体収容容器IC1gの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図22に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1gにおいては、液体収容容器IC1の凹部RS1,RS2の開口を包含する位置および大きさを有する開口を備えた凹部RS3が、設けられている(
図9および
図13参照)。リブRBgは、凹部RS3の上下方向に向かい合う側面および底面に対して、垂直に接続されている。
【0096】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、凹部RS3を備える(
図22のRS3参照)。第2種の液体収容容器は、凹部RS3内に、リブRBgを備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたリブRBgの有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1gと第2種の液体収容容器とを区別することができる。
【0097】
(7)
図23は、液体収容容器IC1hの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図23に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1hにおいては、
図22に示した液体収容容器IC1gと同様の開口を備えた凹部RS3が、設けられている。なお、以下で説明する液体収容容器IC1h~ICmが有する凹部が、リブを除いて、液体収容容器ICgの凹部RS3と同一の構成を有する場合は、その凹部を「凹部RS3」と表記する。液体収容容器IC1hにおいては、液体収容容器IC1gが有するリブRBgに加えて、リブRBhが、凹部RS3内に設けられている。リブRBhは、凹部RS3の側面に対して、斜めに接続されている。リブRBhは、リブRBgと交差している。
【0098】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、凹部RS3を備える(
図22のRS3参照)。第2種の液体収容容器は、凹部RS3内に、リブRBg,RBhを備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたリブRBg,RBhの有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1hと第2種の液体収容容器とを区別することができる。
【0099】
(8)
図24は、液体収容容器IC1iの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図24に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1iにおいては、
図22に示した液体収容容器IC1gと同様の開口を備えた凹部RS3が、設けられている。ただし、液体収容容器IC1iにおいては、液体収容容器IC1gが有するリブRBgに加えて、リブRBi1,RBi2が、凹部RS3内に設けられている。リブRBi1,RBi2は、リブRBgに対して逆の側に配されている。リブRBi1,RBi2は、リブRBgおよび凹部RS3の側面に対して、互いに逆の向きの傾きを有しつつ斜めに接続されている。
【0100】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、凹部RS3を備える(
図22のRS3参照)。第2種の液体収容容器は、凹部RS3内に、リブRBg,RBi1,RBi2を備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたリブRBg,RBi1,RBi2の有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1iと第2種の液体収容容器とを区別することができる。
【0101】
(9)
図25は、液体収容容器IC1jの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図25に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1jにおいては、
図22に示した液体収容容器IC1gと同様の開口を備えた凹部RS3が、設けられている。ただし、液体収容容器IC1jにおいては、液体収容容器IC1gが有するリブRBgに加えて、リブRBj1,RBj2が、凹部RS3内に設けられている。リブRBj1,RBj2は、リブRBgに対して同じ側に配されている。リブRBj1,RBj2は、リブRBgおよび凹部RS1の側面に対して、互いに逆の向きの傾きを有しつつ斜めに接続されている。
【0102】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、凹部RS3を備える(
図22のRS3参照)。第2種の液体収容容器は、凹部RS3内に、リブRBg,RBj1,RBj2を備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたリブRBg,RBj1,RBj2の有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1jと第2種の液体収容容器とを区別することができる。
【0103】
(10)
図26は、液体収容容器IC1kの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図26に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1kにおいては、
図22に示した液体収容容器IC1gと同様の開口を備えた凹部RS3が、設けられている。ただし、液体収容容器IC1kにおいては、液体収容容器IC1gが有するリブRBgに加えて、リブRBk1,RBk2が、凹部RS3内に設けられている。リブRBk1,RBk2は、リブRBgに対して互いに逆の側において、リブRBgに平行に配されている。
【0104】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、凹部RS3を備える(
図22のRS3参照)。第2種の液体収容容器は、凹部RS3内に、リブRBg,RBk1,RBk2を備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたリブRBg,RBk1,RBk2の有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1kと第2種の液体収容容器とを区別することができる。
【0105】
(11)
図27は、液体収容容器IC1lの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図27に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1lにおいては、
図22に示した液体収容容器IC1gと同様の開口を備えた凹部RS3が、設けられている。ただし、液体収容容器IC1kにおいては、液体収容容器IC1gが有するリブRBgに代えて、リブRBgの方向と垂直な方向を有する3本のリブRBl1,RBl2,RBl3が、凹部RS3内に設けられている。リブRBl1,RBl2,RBl3は、凹部RS3の向かい合う側面および底面に対して、垂直に接続されている。
【0106】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、凹部RS3を備える(
図22のRS3参照)。第2種の液体収容容器は、凹部RS3内に、リブRBl1,RBl2,RBl3を備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたリブRBl1,RBl2,RBl3の有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1lと第2種の液体収容容器とを区別することができる。
【0107】
(12)
図28は、液体収容容器IC1mの側面のうちメモリーチップMCが設けられている側面を示す側面図である。
図28に示す変形例としての第1種の液体収容容器IC1mにおいては、
図22に示した液体収容容器IC1gと同様の開口を備えた凹部RS3が、設けられている。ただし、液体収容容器IC1mにおいては、液体収容容器IC1gのリブRBgに代えて、リブRBmが、凹部RS3内に設けられている。リブRBmは、略直方体状の空間を画定する凹部RS3内において、対角線状に配されている。
【0108】
一方、本変形例における第2種の液体収容容器は、凹部RS3を備える(
図22のRS3参照)。第2種の液体収容容器は、凹部RS3内に、リブRBmを備えない。
このような態様としても、筐体900の外面に設けられたリブRBmの有無に基づいて、第1種の液体収容容器IC1mと第2種の液体収容容器とを区別することができる。
【0109】
C.他の実施形態:
C1.他の実施形態1:
(1)上記実施形態においては、液体収容室117,121の一部は、筐体900によって画定され、他の一部は内フィルムFLiによって画定される(
図5および
図2の上段右部参照)。しかし、筐体は、液体収容室の全体を囲み、液体収容室を画定するものであってもよい。そのような態様においては、筐体に穴が設けられ、その穴を通じて液体が再充填される。
【0110】
(2)上記実施形態においては、筐体900の一部が、液体収容容器IC1の外部に露出している(
図1参照)。しかし、筐体900の全部が、液体収容容器IC1の外部に露出していてもよい。そのような態様においては、筐体に穴が設けられ、その穴を通じて液体が再充填される。
【0111】
(3)上記実施形態においては、液体収容容器IC1は、メモリーチップMC上に9個の端子MCTを備えている(
図8および
図9参照)。しかし、液体収容容器が備える端子の数は、9個に限らず、1個、2個など、8個以下であってもよいし、10個以上であってもよい。
【0112】
(4)上記実施形態においては、レバーLVは、筐体900と向かい合う側とは逆の側に、凸部LVpを備える(
図8および
図13の中段右部参照)。しかし、レバーLVは、凸部に代えて、または凸部とともに、凹部を備えていてもよい。レバーLVは、液体消費装置に設けられた構造と噛み合う凸部または凹部を備えて入ればよい。
【0113】
(5)上記実施形態においては、レバーLVの凸部LVpは、液体収容容器IC1がプリンターPRTに装着されると、プリンターPRTの凸部PPを弾性的に押圧する(
図15参照)。しかし、レバーは、レバーに設けられた凹部や平面部など、他の部位でプリンターの構造を押圧してもよい。
【0114】
(6)上記実施形態においては、液体収容容器IC1は、凹部RS2内にリブRBを備える(
図8および
図9参照)。一方、第2種の液体収容容器IC2は、凹部RS2内に、このようなリブRBを備えない(
図10および
図13参照)。ただし、第1種の液体収容容器と第2種の液体収容容器は、筐体の外面の同一の部位に、他の共通のリブを備えていてもよい。すなわち、第1種の液体収容容器は、第2種の液体収容容器が備えないリブを備えていればよい。
【0115】
(7)上記実施形態の液体収容容器IC1においては、リブRBの端面が、凹部RS2の開口を規定する仮想面と同一面である(
図8参照)。しかし、リブの端面は、凹部の開口を規定する面よりも凹部内側にある態様とすることもできる。本明細書においては、いずれの態様も、「開口よりも外部に突出していない」に含まれるものとする。
【0116】
(8)上記実施形態においては、液体収容容器ICは、インクを収容している。しかし、液体収容容器に収容される液体は、たとえば、以下の液体でもよい。
(i)液晶ディスプレー等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材。
(ii)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーや、面発光ディスプレー(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材。
(iii)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体。
(iv)精密ピペットとしての試料。
(v)潤滑油。
(vi)樹脂液。
(vii)光通信素子等に用いられる微小半球レンズを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液。
(viii)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する液体。
(ix)他の任意の液体。
【0117】
C2.他の実施形態2:
上記実施形態においては、液体収容容器IC1は、筐体900の外面に設けられた凹部RS2内に、リブRBを備える(
図8の下段参照)。しかし、第1種の液体収容容器は、筐体の外面であって、そのような凹部内ではない平面状の部位に、筐体の外面から突出するリブを備えていてもよい。
【0118】
C3.他の実施形態3:
上記実施形態においては、第1種の液体収容容器IC1は、筐体900の外面であって、液体収容室117,121に対して複数の端子MCTと同じ側に、リブRBを備える(
図5および
図8参照)。しかし、液体収容容器は、筐体の外面であって、液体収容室に対して複数の端子とは逆の側に、リブを備えていてもよい。
【0119】
C4.他の実施形態4:
(1)上記実施形態においては、液体収容容器IC1は、液体収容室117,121に対して9個の端子MCTと同じ側に位置する筐体900の外面の部位に、レバーLVを備える(
図5および
図8参照)。しかし、液体収容容器は、液体収容室に対して端子と逆の側に位置する筐体の外面の部位に、レバーを備えていてもよい。
【0120】
(2)上記実施形態においては、凹部RS1,RS2は、レバーLVと9個の端子MCTとの間に、設けられている(
図8参照)。しかし、凹部は、端子に対してレバーとは逆の側に設けられていてもよい。
【0121】
D.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0122】
(1)本開示の一形態によれば、同一の液体消費装置に交換可能に取り付けられることができる複数の液体収容容器が提供される。これらの液体収容容器は、前記液体収容容器内において液体を収容する液体収容室の少なくとも一部を囲み前記液体収容容器の外部に露出する筐体を、それぞれ備える。前記複数の液体収容容器のうち第1種の液体収容容器は、前記筐体の外面から突出するリブを備える。前記複数の液体収容容器のうち第2種の液体収容容器は、前記リブを備えない。
このような態様とすることにより、筐体の外面に設けられた特定のリブの有無に基づいて、第1種の液体収容容器と第2種の液体収容容器とを区別することができる。このため、インクの再充填の際に形成された孔や筐体に印刷された文字や図形に基づいて区別される複数の液体収容容器に比べて、容易かつ確実に、第1種の液体収容容器と第2種の液体収容容器とを区別することができる。よって、第1種の液体収容容器と第2種の液体収容容器のうちの一方をインクの再充填の対象とする液体収容容器とし、他方をインクの再充填の対象としない液体収容容器とすることにより、インクの再充填の対象である液体収容容器であるか否かを、インクの再充填に先だって、容易かつ確実に判別することができる。
また、第1種の液体収容容器と第2種の液体収容容器とを区別するための構成を、リブとして設けることにより、第1種の液体収容容器において、筐体の剛性を高めることができる。
【0123】
(2)上記形態の複数の液体収容容器において、前記筐体の外面の同一の部位に、それぞれ凹部を備え、前記第1種の液体収容容器の前記リブは、前記凹部の側面および底面と接続されており、前記凹部の開口よりも外部に突出していない、態様とすることができる。
このような態様とすることにより、第1種の液体収容容器に設けられたリブが、液体収容容器が液体消費装置に取り付けられる際の障害とならない。
また、第1種の液体収容容器においては、リブが凹部内に存在するため、外部からの力を受けてリブが欠損してしまう可能性が低減される。よって、リブの欠損により、第1種の液体収容容器を第2種の液体収容容器と誤判定する可能性が、低減される。
【0124】
(3)上記形態の複数の液体収容容器において、前記液体消費装置の複数の端子にそれぞれ接触することにより電気的に接続される複数の端子を、前記筐体の外面の同一の部位に、それぞれ備え、前記第1種の液体収容容器は、前記筐体の外面であって、前記液体収容室に対して前記複数の端子と同じ側に、前記リブを備える、態様とすることができる。
筐体の外面のうち複数の端子が設けられている部位が外力を受けて変形した場合、液体収容容器の複数の端子のそれぞれと、液体消費装置の複数の端子のそれぞれと、の複数の対のうち、少なくとも一部の対が接触できなくなるおそれがある。
上記の態様においては、筐体の外面のうち複数の端子が設けられている部位が外力を受けて変形する可能性が、リブによって低減される。このため、第1種の液体収容容器と第2種の液体収容容器とを区別するための構成としてのリブにより、液体収容容器の複数の端子と液体消費装置側の端子とを、より確実に接触させることができる。
【0125】
(4)上記形態の液体収容容器において、前記液体消費装置に設けられた構造と噛み合う、凹部と凸部の少なくとも一方を備えるレバーであって、前記構造を弾性的に押圧するレバーを、前記筐体の外面であって、前記液体収容室に対して前記複数の端子と同じ側に位置する前記筐体の外面の同一の部位に、それぞれ備え、前記第1種の液体収容容器は、前記筐体の外面であって、前記レバーと前記複数の端子との間に、前記リブを備える、態様とすることができる。
このような態様においては、液体消費装置を押圧するレバーが液体消費装置から反力を受けている場合にも、複数の端子が設けられている部位が変形する可能性を、リブによって低減できる。このため、レバーが液体消費装置から反力を受けている場合にも、液体収容容器の複数の端子と液体消費装置側の端子とを、より確実に接触させることができる。
【0126】
本開示は、液体収容容器および液体収容容器の製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、使用済みの液体収容容器に液体を収容させる方法、液体充填装置、液体充填装置の制御方法、それらの方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0127】
4C…捕捉部、4C1…第1領域、4C2…第2領域、4C21…第2領域、4C22…第2領域、4C3…第3領域、4H…障壁流路部、4H1…流路部分、4H2…流路部分、117…液体収容室、118…流通孔、119…流通孔、120…連通路、121…液体収容室、200…液体供給口、300…液体供給路、322~324…流通孔、325…差圧弁、326…流通孔、327…流通孔、328…流路部分、400…大気導入路、401…大気開放口、402…流通孔、403…屈曲流路部、405…流通孔、406…流通孔、407…流通孔、408…空気室、410…第1領域、410o…円開口、411…第1領域、411o…円開口、412…第1領域、412o…円開口、413…第1領域、413o…円開口、414…空気室、415…流通孔、416…流通孔、900…筐体、910…蓋、1402…壁部、1403…周囲壁、1404…周囲壁、1404a…第1部分壁、1404b…第2部分壁、1406…壁部、DM…主走査方向、DS…副走査方向、FLe…封止フィルム、FLi…内フィルム、FLp…隔壁フィルム、FLp1…第1隔壁フィルム、FLp2…第2隔壁フィルム、FLsp…供給口フィルム、FLv…通気フィルム、GM…ゴム膜、IC…液体収容容器、IC1…液体収容容器、IC1b…液体収容容器、IC1c…液体収容容器、IC1d…液体収容容器、IC1e…液体収容容器、IC1f…液体収容容器、IC1g…液体収容容器、IC1h…液体収容容器、IC1i…液体収容容器、IC1j…液体収容容器、IC1k…液体収容容器、IC1l…液体収容容器、IC1m…液体収容容器、IC2…液体収容容器、LV…レバー、LVp…凸部、LVs…回転軸、Lb…ラベル、MC…メモリーチップ、MCT…端子、PC…キャリッジ、PG…ガイド、PN…液体供給針、PP…凸部、PR…プリズム、PRT…プリンター、PT…端子、RB…リブ、RBb1…リブ、RBc1…リブ、RBc2…リブ、RBd1…リブ、RBd2…リブ、RBd3…リブ、RBd4…リブ、RBe1…リブ、RBe2…リブ、RBf1…リブ、RBf2…リブ、RBg…リブ、RBh…リブ、RBi1…リブ、RBi2…リブ、RBj1…リブ、RBj2…リブ、RBk1…リブ、RBk2…リブ、RBl1~RBl3…リブ、RBm…リブ、PC…キャリッジ、RS1…凹部、RS2…凹部、RS2b…底面、RS2sl…凹部の側面、RS2su…凹部の側面、RS3…凹部、SP2…コイルバネ、SP3…コイルバネ、SR…シールゴム、V2…バルブ、VC…バルブ蓋