(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089029
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】排煙口、排煙口の設置方法、排煙口のメンテナンス方法及び排煙口の取り外し方法
(51)【国際特許分類】
A62B 13/00 20060101AFI20240626BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A62B13/00 E
F24F13/02 Z
F24F13/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204122
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】515119321
【氏名又は名称】株式会社アステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】北野 宏典
【テーマコード(参考)】
2E185
3L080
【Fターム(参考)】
2E185AA09
2E185BA07
3L080AA03
3L080AE03
3L080AE04
(57)【要約】
【課題】排煙パネルを枠部材から容易に着脱できる構造とすることにより、排煙口の設置作業やメンテナンス作業が安全かつ容易に行える排煙口、排煙口の設置方法、排煙口のメンテナンス方法及び排煙口の取り外し方法を提供することを課題とする。
【解決手段】枠部材と前記枠部材に開閉可能に取り付けられた排煙パネルを有する排煙口であって、前記枠部材に前記排煙パネルを着脱自在かつ回動可能に支持する支持手段を備えることを特徴とする排煙口。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠部材と前記枠部材に開閉可能に取り付けられた排煙パネルを有する排煙口であって、
前記枠部材に前記排煙パネルを着脱自在かつ回動可能に支持する支持手段を備える
ことを特徴とする排煙口。
【請求項2】
前記支持手段は、
前記排煙パネルに設けられた回動軸と、前記枠部材に設けられ、前記回動軸を支持する支持孔を有することを特徴とする請求項1に記載された排煙口。
【請求項3】
前記回動軸の少なくとも1つは、軸方向に移動可能に前記排煙パネルに設けられたことを特徴とする請求項2に記載された排煙口。
【請求項4】
軸方向に移動可能に設けられた前記回動軸は、前記排煙パネルから突出する方向に付勢されていることを特徴とする請求項3に記載された排煙口。
【請求項5】
前記排煙パネルを開閉する開閉装置を備え、
前記開閉装置は、前記排煙パネルに取り付けられたワイヤを有し、
前記ワイヤの一端が前記排煙パネルに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載された排煙口。
【請求項6】
請求項1~4の何れか1項に記載された排煙口の設置方法であって、
前記枠部材を取付部材に取り付ける工程と、
前記取付部材に取り付けた前記枠部材に前記排煙パネルを取り付ける工程を有することを特徴とする排煙口の設置方法。
【請求項7】
請求項1~4の何れか1項に記載された排煙口のメンテナンス方法であって、
設置されている前記枠部材に支持された前記排煙パネルを取り外す工程と、
前記排煙パネルを取り外した状態で、前記設置されている前記枠部材及び/又は取り外した前記排煙パネルをメンテナンスする工程を有することを特徴とする排煙口のメンテナンス方法。
【請求項8】
請求項1~4の何れか1項に記載された排煙口の取り外し方法であって、
設置されている前記枠部材に支持された前記排煙パネルを取り外す工程と、
前記排煙パネルを取り外された前記枠部材を取付部材から取り外す工程を有することを特徴とする排煙口の取り外し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排煙口、排煙口の設置方法、排煙口のメンテナンス方法及び排煙口の取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の天井、壁等に、火災時に発生する煙の排気を担う排煙ダクトが設けられている。
この排煙ダクトに連通し、平常時は排煙ダクト経路を閉鎖し、煙感知器又は手動開放装置の操作により解放する、また、煙感知器等の火災検知機の検知により開放する機能を有した排煙口が知られている。
このような排煙口は、排煙ダクトに排煙口を取り付ける枠部材と、枠部材に回動可能に支持された排煙パネルを有し、排煙パネルが回動することにより排煙口を開放する構造となっている。
枠部材が排煙ダクトに設けられたアングル材等の取付部材にボルトとナット等の固着手段により固定されることにより、排煙口が排煙ダクトに固定されている。
そして、枠部材には、排煙パネルを開閉する開閉機構や、排煙パネルを閉鎖状態でロックするロック機構などが取り付けられている。(特許文献1~3参照)
【0003】
従来の排煙口を天井に設置された排煙ダクトへの設置するための構造及び設置方法を、
図6を用いて説明する。
まず、排煙ダクト4内の2か所に、排煙口1を設置するための部材である取付アングル5をビス51で固定する。
次に、各取付アングル5に、2か所ずつ、全ネジボルト6を3つのナット7で固定する。これら全ネジボルト6には、排煙口1の枠部材2が吊り下げられるようにナット7で固定される。
そして、枠部材2から排煙パネル3は容易には取り外せないため、枠部材2及び排煙パネル3を含む排煙口1全体を天井まで持ち上げて、排煙ダクト4の開口部内に挿入する。この際、排煙口1の排煙パネル3は開放状態にしておく。
次いで、排煙ダクト4の開口部内に挿入した排煙口1全体を支持しながら、排煙パネル3と枠部材2との間の狭い隙間から手や工具を挿入して、ナット7を用いて、枠部材2を全ネジボルト6に固定する。
最後に、固定した枠部材2の縁(4辺)と排煙ダクト4(4面)との隙間を塞ぎ、気密を保つためにリーク防止テープ8を貼り付ける。そして、開放状態になっている排煙パネル3を閉鎖状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4-31081号公報
【特許文献2】特開2013-240号公報
【特許文献3】特開2014-18311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の排煙口は、排煙パネルが枠部材から容易に取り外せないように軸支されているため、排煙口を排煙ダクトに設置する際、排煙パネルを開放状態にした排煙口全体を排煙ダクトに差し込んで支持しながら、枠部材を排煙ダクトの取付アングルに固定している。
排煙口は小型のものでも重量があり、支持しながらの設置作業は危険であるとともに、開放状態にした排煙パネルと枠部材との間の狭い開口部に手や工具を差し入れて作業を行う必要があり、設置作業自体が困難なものであった。
同様に、排煙口のメンテナンス作業の際も、開放状態にした排煙パネルと枠部材との間の狭い隙間に手や工具を差し入れて作業を行う必要があり、メンテナンス作業自体が困難なものであった。
【0006】
そこで、本発明は、排煙パネルを枠部材から容易に着脱できる構造とすることにより、排煙口の設置作業やメンテナンス作業が安全かつ容易に行える排煙口、排煙口の設置方法、排煙口のメンテナンス方法及び排煙口の取り外し方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
枠部材と前記枠部材に開閉可能に取り付けられた排煙パネルを有する排煙口であって、
前記枠部材に前記排煙パネルを着脱自在かつ回動可能に支持する支持手段を備える
ことを特徴とする排煙口。
【0008】
また、前記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
上記排煙口の設置方法であって、
前記枠部材を前記排煙口の取付部材に取り付ける工程と、
前記取付部材に取り付けた前記枠部材に前記排煙パネルを支持する工程を有することを特徴とする排煙口の設置方法。
【0009】
また、前記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
上記排煙口のメンテナンス方法であって、
設置されている前記枠部材に支持された前記排煙パネルを取り外す工程と、
前記排煙パネルを取り外した状態で、前記設置されている前記枠部材及び/又は取り外して前記排煙パネルをメンテナンスする工程を有することを特徴とする排煙口のメンテナンス方法。
【0010】
また、前記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
上記排煙口の取り外し方法であって、
設置されている前記枠部材に支持された前記排煙パネルを取り外す工程と、
前記排煙パネルを取り外された前記枠部材を取り外す工程を有することを特徴とする排煙口の取り外し方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、排煙口を、排煙パネルを枠部材から容易に着脱できる構造とすることにより、排煙パネルを枠部材から取り外した状態で、排煙口の設置作業やメンテナンス作業が安全かつ容易に行える排煙口、排煙口の設置方法、排煙口のメンテナンス方法及び排煙口の取り外し方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る実施形態の排煙口1の側面視での断面図であり、(a)は排煙パネル3を閉じた状態の図、(b)は排煙パネル3を開いた状態の図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の排煙口1の上面視での断面図であり、(a)は第2支持部32の拡大図、(b)は全体図、(b)は第1支持部31の拡大図である。
【
図3】本発明に係る実施形態のパネルストッパ33の図であり、(a)が丸型止め具333を外した状態の図、(b)が丸型止め具333を引掛けた状態の図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の変形例1を示す図であり、(a)は全体図、(b)は第1支持部31a拡大図である。
【
図5】本発明に係る実施形態の変形例2を示す図であり、(a)は第2支持部32aの拡大図、(b)は全体図である。
【
図6】従来の排煙口1の排煙ダクト4への設置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の排煙口1を説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0014】
[全体構造]
図1は、実施形態の排煙口1の側面視での断面図であり、(a)は排煙パネル3を閉じた状態の図、(b)は排煙パネル3を開いた状態の図である。
図2は、実施形態の排煙口1の上面視での断面図であり、(a)は第2支持部32の拡大図、(b)は全体図、(c)は第1支持部31の拡大図である。
実施形態の排煙口1は、枠部材2と排煙パネル3とを有する。
枠部材2は、断面矩形状のフレーム21、フレーム21の上端部に形成された取付フランジ22、フレーム21の下端部に取り付けられた開口枠23を有している。
枠部材2には、排煙パネルを支持する第1支持孔2311、第2支持孔2312、排煙パネル3を開閉する開閉装置24などが取り付けられている。
排煙パネル3には、矩形状のパネルであって、第1支持部31、第2支持部32、パネルストッパ33が取り付けられている。
排煙パネル3は枠部材2に、第1支持孔2311と第1支持部31を有する第1支持手段11、第2支持孔2312と第2支持部32を有する第2支持手段12の2か所で、回動可能に支持されている。
第1支持手段11と第2支持手段12は、排煙パネル3の回動軸上に2か所設けられている。本実施形態では、第1支持手段11と第2支持手段12は、矩形状の排煙パネル3の対向する2つの辺それぞれの中央に配置されているが、これに限らず、2つの辺それぞれの一方の端部でもよいし、その他の箇所でもよい。
排煙パネル3は、第1支持手段11と第2支持手段12により、枠部材2に開閉可能に取り付けられている。
【0015】
[枠部材]
枠部材2は、フレーム21、取付フランジ22、開口枠23を有している。
フレーム21は、断面矩形状の筒状部材であり、その内部に、排煙口1を構成する各種装置などが収納される。
フレーム21の内周面には、例えば、排煙パネル3を開閉するための開閉装置24が、取付部材を介して取り付けられている。そして、開閉装置24は、モータ(図示していない)を有し、排煙パネル3に取り付けられたワイヤ332を巻き上げたり、巻き戻したりして排煙パネル3を開閉する。(
図1(b)参照)このモータは、壁面などに設置された開閉スイッチを押すことにより作動したり、煙感知器が煙を感知したときに自動で作動するように構成されている。なお、モータによりワイヤを巻き上げ、巻き戻す構成に変えて、壁面などに設置されたハンドルを手動で回転させることにより、ワイヤを巻き上げたり、巻き戻したりする構成にすることもできる。
また、開閉装置24は、モータとワイヤの組み合わせに限らず、モータとギヤにより第1回動軸312を回転させる構成など、他の任意の駆動装置であってもよい。
【0016】
取付フランジ22は、フレーム21の上端部に、フレーム21の内側に突出するように形成され、排煙ダクト4に取り付けられた取付アングル5に全ネジボルト6とナット7で固定される。本実施形態では、取付フランジ22は、フレーム21の4つの内周面に形成されている。このうちの対向する2つの内周面に形成された部分に全ネジボルト6を貫通させるネジ穴221が形成されている。
なお、本実施形態のように、取付アングル5が排煙ダクト4の対向する2つの内周面にのみ取り付けられている場合、取付フランジ22も対向する2つの内周面にのみ形成することもできるが、枠部材2の強度を上げるために、4つの内周面すべてに取付フランジ22を形成することが好ましい。
また、取付アングル5を排煙ダクト4の4つの内周面すべてに取り付けることもできる。この場合、ネジ穴221を有する取付フランジ22もフレーム21の4つの内周面すべてに形成する必要があることはいうまでもない。
また、取付フランジ22と取付アングル5との固定は、全ネジボルトとナットの組み合わせに限らず、公知の任意の固着手段から適宜選択することができる。
【0017】
フレーム21の下端部の内側には、開口枠23が取り付けられている。開口枠23は、筒部231、上端フランジ232、開口フランジ233を有する。
筒部231は、閉じられた排煙パネル3の外周を覆うように筒状をなす枠体である。筒部231の対向する2つの周面には、第1支持手段11、第2支持手段12としての第1支持孔2311、第2支持孔2312が形成されている。
上端フランジ232は、筒部231のうちの第1支持孔2311、第2支持孔2312が形成された周面の上端部に形成されている。
開口フランジ233は、筒部231の下端から筒部231の外側に突出するように、筒部231の4つの周面のすべてに形成されている。そして、フレーム21の下端部が開口フランジ233の上面に当接しており、フレーム21の開口を塞いでいる。
また、開口フランジ233は、天井面、壁面などの開口や排煙ダクト4の開口とフレーム21との隙間を塞ぐために、フレーム21の外側に大きく突出するように設計されている。さらに、開口フランジ233の上面には、フレーム21、天井面、壁面などとの間の気密性を向上するために、シール部材などを配置してもよい。
【0018】
[排煙パネル]
排煙パネル3は、第1支持部31、第2支持部32、パネルストッパ33を有している。
第1支持部31は、第1ブラケット311、第1回動軸312、圧縮バネ313を有している。(
図2(c)参照)
第1ブラケット311は、主に第1回動軸312を支持する略U字状の支持ブラケット3111と、第1回動軸312の付勢手段である圧縮バネ313を取り付ける略L字状の付勢ブラケット3112からなる。支持ブラケット3111は、排煙パネル3に固着される基部とこの基部から垂直に立ち上げられた2つの立設部を有し、付勢ブラケット3112は、排煙パネル3に固着される基部とこの基部から垂直に立ち上げられた1つの立設部を有する。これら3つの立設部に第1回動軸312を軸方向に移動可能に支持する挿通孔が形成されている。
第1回動軸312には、操作棒3121が取り付けられており、この操作棒3121により第1回動軸312を軸方向に移動させることができる。
また、第1回動軸312には、支持ブラケット3111の基部に対応する個所と、付勢ブラケット3112の基部に対応する個所に、それぞれ、1つずつE型止め輪314が係合されている。
【0019】
支持ブラケット3111の基部に対応する個所に係合されたE型止め輪314と操作棒3121により、第1回動軸312の軸方向への移動が制限されており、
図2(c)に示す矢印の距離だけ、第1回動軸312が軸方向に移動することができるようになっているとともに、これらE型止め輪314と操作棒3121により第1回動軸312が第1ブラケット311から外れることを防止している。
付勢ブラケット3112の基部に対応する個所に取り付けられたE型止め輪314と、付勢ブラケット3112の立設部間の第1回動軸312には、圧縮バネ313が嵌装されており、この圧縮バネ313により、第1回動軸312は、排煙パネル3外側に突出する方向に付勢されている。
第1回動軸312には、スナップピン315を係合するスナップピン挿入孔3122が形成されている。スナップピン315には、ワイヤが取り付けられており、このワイヤの他端は支持ブラケット3111に固定されている。スナップピン315は、第1支持孔2311に挿入されている第1回動軸312が抜けるのを防止し、不用意に排煙パネル3が枠部材2から落下することを防止する。
なお、支持ブラケット3111と付勢ブラケット3112の形状や構造は略U字状、略L字状に限らず、第1回動軸312を支持、付勢できる形状や構造であればどのようなものであってもよい。
また、第1回動軸312を付勢する手段は圧縮バネに限らず、引張バネでもよいし、他の任意の付勢手段であってもよい。
【0020】
第2支持部32は、第2ブラケット321、第2回動軸322、トーションバネ323を有している。
第2ブラケット321は、第2回動軸322を支持する略U字状のブラケットであり、排煙パネル3に固着される基部とこの基部から垂直に立ち上げられた2つの立設部を有する。これら2つの立設部に第2回動軸322を軸方向に移動可能に支持する挿通孔が形成されている。
第2回動軸322には、第2ブラケット321の内側の立設部を挟むように2つのE型止め輪324が係合されている。これら2つのE型止め輪324により、第2回動軸322が第2ブラケット321から外れることを防止している。
第2回動軸322の第2ブラケット321の基部に対応する個所に、トーションバネ323が嵌装されている。このトーションバネ323の一端は排煙パネル3の内面(上面)に当接しており、他端は枠部材2の開口枠23の上端フランジ232に形成されたトーションバネ支持孔2321に挿入されている。このトーションバネ323により、排煙パネル3は開方向に付勢されており、排煙パネル3の開扉時には開閉装置24のモータが巻き戻し回転すると、トーションバネ323により排煙パネル3は開扉し、閉扉時はトーションバネ323の付勢に抗して、開閉装置24のモータの巻き上げにより排煙パネル3は閉扉する。
排煙パネル3を枠部材2から取り外すときには、トーションバネ323をトーションバネ支持孔2321から抜くことになる。
なお、排煙パネル3を開方向に付勢する手段は、トーションバネに限らず、他の任意の付勢手段であってもよい。
【0021】
図3は、実施形態のパネルストッパ33の図であり、(a)が丸型止め具333を外した状態の図、(b)が丸型止め具333を引掛けた状態の図である。
パネルストッパ33は、引掛け部331、ワイヤ332、丸型止め具333、ロックフック334を有している。
排煙パネル3は、フレーム21に取り付けられた開閉装置24により開閉される。開閉装置24と排煙パネル3は、開閉装置24内のモータと排煙パネル3のパネルストッパ33をワイヤ332でつながれることで、連係されている。(
図1参照)
ワイヤ332の先端には、丸型止め具333が取り付けられており、パネルストッパ33に形成された引掛け部331にワイヤ332を引掛けて、丸型止め具333によりワイヤ332が引掛け部331から外れないようにされている。
排煙パネル3を枠部材2から取り外すときには、ワイヤ332も引掛け部331から取り外されることになる。
このように、ワイヤ332は排煙パネル3に着脱自在に取り付けられている。
ロックフック334は、フレーム21に取り付けられたロック機構(図示していない)により、閉鎖状態の排煙パネル3をロックする。
【0022】
[排煙パネル3の着脱]
設置されていない排煙口1において、排煙パネル3を枠部材2から取り外す方法は次のとおりである。
まず、枠部材2の取付フランジ22側の開口から手や工具を入れて、スナップピン315を第1回動軸312から、ワイヤ332を引掛け部331から、トーションバネ323をトーションバネ支持孔2321から、それぞれ、取り外す。
次に、同様に、手や工具により、操作棒3121を操作して第1回動軸312を第1支持孔2311から抜いて、排煙パネル3を枠部材2からずらして、第2回動軸322を第2支持孔2312から抜くと、排煙パネル3を枠部材2から取り外すことができる。
【0023】
設置されている排煙口1において、排煙パネル3を枠部材2から取り外す方法は次のとおりである。
まず、閉鎖状態の排煙パネル3を開放状態にする。排煙パネル3と開口枠23の間から手や工具を入れて、スナップピン315を第1回動軸312から、ワイヤ332を引掛け部331から、トーションバネ323をトーションバネ支持孔2321から、それぞれ、取り外す。
次に、同様に、手や工具により、操作棒3121を操作して第1回動軸312を第1支持孔2311から抜いて、排煙パネル3を枠部材2からずらして、第2回動軸322を第2支持孔2312から抜いて、排煙パネル3を枠部材2から取り外す。
【0024】
設置されている排煙口1の枠部材2に排煙パネル3を取り付ける方法は次のとおりである。
まず、排煙パネル3を枠部材2付近まで持ちあげて、排煙パネル3を枠部材2内の開放状態の位置に挿入して、第2回動軸322を第2支持孔2312に挿入した後、手や工具により、操作棒3121を操作して第1回動軸312を第1支持孔2311に挿入する。そして、支持ブラケット3111からぶら下がっているスナップピン315を第1回動軸312のスナップピン挿入孔3122に取り付ける。
次に、排煙パネル3と開口枠23の間から手や工具を入れて、ワイヤ332を引掛け部331に、トーションバネ323をトーションバネ支持孔2321に、それぞれ、取りつける。
最後に、開放状態の排煙パネル3を閉鎖状態にする。
以上のように、排煙パネル3は枠部材2に着脱自在に支持されている。
【0025】
[排煙口1の設置方法]
排煙口1を天井や壁に設けられている排煙ダクト4に設置する方法は次のとおりである。
(1)取付アングル5の取り付け工程
排煙ダクト4に取付アングル5が設置されていない場合は、取付アングル5を取り付ける。従来と同様、排煙ダクト4内の2か所に、排煙口1を設置するための部材である取付アングル5をビス51で固定し、各取付アングル5に、2か所ずつ、全ネジボルト6をナット7で固定する。
(2)枠部材2の取り付け工程
まず、あらかじめ排煙パネル3を取り外しておいた枠部材2を天井まで持ち上げて、排煙ダクト4の開口部内に挿入する。
次に、排煙ダクト4の開口部内に挿入した枠部材2を支持しながら、手や工具を挿入して、ナット7を用いて、枠部材2を全ネジボルト6に固定する。
最後に、固定した枠部材2の縁(4辺)と排煙ダクト4(4面)との隙間を塞ぎ、気密を保つためにリーク防止テープ8を貼り付ける。
(3)排煙パネル3の取り付け工程
上述した、設置されている排煙口1の枠部材2に排煙パネル3を取り付ける方法により、排煙パネル3を枠部材2に取り付ける。
【0026】
このように、排煙口1を排煙ダクト4に設置する際、まず、排煙パネル3を取り外した枠部材2のみを排煙ダクト4内の取付アングル5に設置することができ、その後、設置された枠部材2に排煙パネル3を取り付ける。これにより、従来のように、枠部材2と排煙パネル3からなる排煙口1全体を持ち上げる必要もなく、また、排煙パネル3と枠部材2との間の狭い隙間から、手や工具を挿入しての取付アングル5への取付作業を行う必要がないから、従来の設置作業に比べて、安全かつ容易に設置作業を行うことができる。
【0027】
[排煙口1のメンテナンス方法]
排煙口1を天井や壁に設けられている排煙ダクト4をメンテナンスする方法は次のとおりである。
(1)排煙パネル3の取り外し工程
上述した、設置されている排煙口1において、排煙パネル3を枠部材2から取り外す方法により、排煙パネル3を枠部材2から取り外す。
(2)メンテナンス工程
枠部材2、排煙パネル3に必要なメンテナンスを施す。
(3)排煙パネル3の取り付け工程
上述した、設置されている排煙口1の枠部材2に排煙パネル3を取り付ける方法により、排煙パネル3を枠部材2に取り付ける。
このように、排煙口1をメンテナンスする際、まず、排煙パネル3を枠部材2から取り外し、その状態で、枠部材2、排煙パネル3のそれぞれにメンテナンス作業を行うことができ、従来のメンテナンス作業に比べて、安全かつ容易にメンテナンス作業を行うことができる。
【0028】
[排煙口1の取り外し方法]
排煙口1を天井や壁に設けられている排煙ダクト4から取り外す方法は次のとおりである。
(1)排煙パネル3の取り外し工程
設置されている排煙口1において、排煙パネル3を枠部材2から取り外す方法により、排煙パネル3を枠部材2から取り外す。
(2)枠部材2の取り外し工程
まず、リーク防止テープ8を剥がす。
次に、排煙ダクト4の開口部内の枠部材2を支持しながら、手や工具を挿入して、ナット7を外し、枠部材2を取付アングル5から取り外す。
(3)取付アングル5の取り外し工程
必要に応じて、全ネジボルト6を取付アングル5から取り外し、さらに、必要であれば、取付アングル5を排煙ダクト4から取り外す。
【0029】
このように、排煙口1を排煙ダクト4から取り外す際、まず、排煙パネル3を取り外し、排煙パネル3が取り外された枠部材2のみを取付アングル5から取り外すことができる。これにより、従来のように、枠部材2と排煙パネル3からなる排煙口1全体を支持した状態で、排煙パネル3と枠部材2との間の狭い隙間から手や工具を挿入して、排煙口1全体を取付アングル5から取り外す必要がないから、従来の取り外し作業に比べて、安全かつ容易に取り外し作業を行うことができる。
【0030】
[変形例1]
図4は、本発明に係る実施形態の変形例1を示す図であり、(a)は全体図、(b)は第1支持部31a拡大図である。
上記実施形態では、第1回動軸312は圧縮バネ313により排煙パネル3外側に突出する方向に付勢されているが、必ずしも、圧縮バネ313により付勢されていなくてもよい。
変形例1では、第1支持部31aは、第1ブラケット311a、第1回動軸312aを有している。
第1ブラケット311aは、第1回動軸312aを支持する略U字状の支持ブラケットである。第1ブラケット311aは、排煙パネル3に固着される基部とこの基部から垂直に立ち上げられた2つの立設部を有する。これら2つの立設部に第1回動軸312aを軸方向に移動可能に支持する挿通孔が形成されている。
第1回動軸312aには、操作棒3121aが取り付けられており、この操作棒3121aにより第1回動軸312aを軸方向に移動させることができる。
第1回動軸312aには、第1ブラケット311aの基部に対応する個所に、1つのE型止め輪314aが係合されている。
【0031】
第1回動軸312aには、スナップピン315aを係合するスナップピン挿入孔3122aが形成されている。スナップピン315aには、ワイヤが取り付けられており、このワイヤの他端は第1ブラケット311aに固定されている。スナップピン315aは、第1支持孔2311に挿入されている第1回動軸312aが抜けるのを防止し、不用意に排煙パネル3が枠部材2から落下することを防止する。
そして、E型止め輪314aと操作棒3121aにより、第1回動軸312aの軸方向への移動が制限されており、
図4(b)に示される矢印の距離だけ、第1回動軸312aが軸方向に移動することができるようになっているとともに、これらE型止め輪314aと操作棒3121aにより第1回動軸312aが第1ブラケット311aから外れることを防止している。
【0032】
[変形例2]
図5は、発明に係る実施形態の変形例2を示す図であり、(a)は第2支持部32aの拡大図、(b)は全体図である。
上記実施形態では、第2支持部32は、トーションバネ支持孔2321に挿入されたトーションバネ323を有しており、排煙パネル3が枠部材2に着脱される際には、トーションバネ323もトーションバネ支持孔2321に着脱される。
変形例2では、このトーションバネ323aの着脱の際、トーションバネ323aを手指や工具で操作するため、トーションバネ323aに操作フック323a1を形成してある。
これにより、トーションバネ323aの着脱作業を容易に行うことができる。
【0033】
以上、本発明に係る各実施形態の排煙口1を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の実施形態及び変形例は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 排煙口
11 第1支持手段
12 第2支持手段
2 枠部材
21 フレーム
22 取付フランジ
221 ネジ穴
23 開口枠
231 筒部
2311 第1支持孔
2312 第2支持孔
232 上端フランジ
2321 トーションバネ支持孔
233 開口フランジ
24 開閉装置
3 排煙パネル
31、31a
第1支持部
311、311a
第1ブラケット
3111 支持ブラケット
3112 付勢ブラケット
312、312a
第1回動軸
3121、3121a
操作棒
3122、3122a
スナップピン挿入孔
313 圧縮バネ
314、314a
E型止め輪
315、315a
スナップピン
32 第2支持部
321 第2ブラケット
322 第2回動軸
323、323a
トーションバネ
323a1 操作フック
324 E型止め輪
33 パネルストッパ
331 引掛け部
332 ワイヤ
333 丸型止め具
334 ロックフック
4 排煙ダクト
5 取付アングル
51 ビス
6 全ネジボルト
7 ナット
8 リーク防止テープ8