(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089045
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】冷凍装置および負荷冷却器のデフロスト方法
(51)【国際特許分類】
F25B 47/02 20060101AFI20240626BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20240626BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240626BHJP
F28D 20/02 20060101ALI20240626BHJP
F28D 1/04 20060101ALI20240626BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
F25B47/02 G
F28D15/02 E
F28D15/02 R
F25B1/00 321C
F25B1/00 399Y
F25B47/02 D
F28D20/02 E
F28D1/04 Z
F25B39/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204154
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】391007242
【氏名又は名称】三菱重工冷熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】二宮 達
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA05
3L103AA22
3L103BB44
3L103CC18
3L103CC30
3L103DD03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】負荷冷却器の構造の大型化およびデフロスト制御の複雑さを低減することにより信頼性を確保しつつ、デフロスト性能を向上可能な冷凍装置および負荷冷却器のデフロスト方法を提供する。
【解決手段】負荷冷却器をデフロストするデフロスト回路72を有し、デフロスト回路72は、冷却回路70の冷却用冷媒と、デフロスト回路72のデフロスト用熱媒との間で熱交換する熱交換器200を有し、負荷冷却器12と蓄熱器16との間を該熱交換器200を介して熱循環するデフロスト回路72が設けられ、該デフロスト回路72は、蓄熱器16内において、デフロスト用熱媒を介して蓄熱剤から吸熱する吸熱部74と、負荷冷却器12内において、冷却回路70の冷却用冷媒を利用して放熱するデフロスト部76とを有し、冷却回路70は、蓄熱器16内において、蓄熱剤に放熱する放熱部と、負荷冷却器12内において、負荷流体を冷却する冷却部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷冷却器、圧縮機、蓄熱器、コンデンサー又はガスクーラー、受液器、膨張弁をこの順に冷媒配管により順次接続して、内部に冷却用冷媒が流れる冷却回路を構成する冷凍装置において、
さらに、前記負荷冷却器をデフロストするデフロスト回路を有し、
前記デフロスト回路は、前記冷却回路の冷却用冷媒と、前記デフロスト回路のデフロスト用熱媒との間で熱交換する熱交換器を有し、該負荷冷却器と該蓄熱器との間を該熱交換器を介して熱循環するデフロスト回路が設けられ、
該デフロスト回路は、前記蓄熱器内において、デフロスト用熱媒を介して蓄熱剤から吸熱する吸熱部と、前記負荷冷却器内において、前記冷却回路の冷却用冷媒を利用して放熱するデフロスト部とを有し、
前記冷却回路は、前記蓄熱器内において、蓄熱剤に放熱する放熱部と、前記負荷冷却器内において、負荷流体を冷却する冷却部とを有し、
前記蓄熱器は、前記熱交換器より下方レベル に設置され、
該熱交換器は、前記負荷冷却器より下方、かつ、前記蓄熱器より上方となるように設けられ、
前記冷却回路の冷却用冷媒は、前記熱交換器と前記負荷冷却器との間でループ型サーモサイフォン式第1循環路を構成し、前記デフロスト回路のデフロスト用熱媒は、前記熱交換器と前記蓄熱器との間でループ型サーモサイフォン式第2循環路を構成し、
前記冷媒配管は、前記受液器から前記膨張弁を介して前記負荷冷却器に向かって冷媒液または気液混合冷媒が流れる冷媒用往路と、前記負荷冷却器から前記圧縮機に向かって冷媒ガスが流れる冷媒用復路とを有し、
前記負荷冷却器は、前記冷媒用往路と前記冷媒用復路とを連通接続する伝熱管を有し、
前記ループ型サーモサイフォン式第1循環路は、前記伝熱管の前記冷媒用復路側と前記熱交換器とを連通接続するデフロスト用冷媒第1管路と、前記熱交換器と前記伝熱管の前記冷媒用往路側とを連通接続するデフロスト用冷媒第2管路と、を有し、該デフロスト用冷媒第1管路および第2管路のいずれか一方には、開閉弁、他方には、一方向の冷媒の流れのみを可能とする逆止弁がそれぞれ設けられ、
それにより、前記冷却回路を通じて、前記冷却部により負荷流体を冷却するとともに、前記放熱部を介して蓄熱剤に放熱する一方、前記デフロスト回路を通じて、前記吸熱部により蓄熱剤から吸熱することにより、前記熱交換器における冷却用冷媒とデフロスト用熱媒との熱交換を通じて、前記デフロスト部を介して前記負荷冷却器をデフロストする、ことを特徴とする、冷凍装置。
【請求項2】
前記放熱部は、外部温熱源により前記蓄熱器内の蓄熱剤に放熱する、請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記負荷冷却器は、複数設けられ、そのうち、少なくとも異なるレベルに設置されるものがあり、
前記デフロスト回路には、前記蓄熱器から前記熱交換器に向かって、前記蓄熱器により加熱されたデフロスト用熱媒ガスが流れるデフロスト用熱媒往路と、前記熱交換器から前記蓄熱器に向かって、前記熱交換器で冷却されたデフロスト用熱媒液が流れるデフロスト用熱媒復路とが設けられ、
さらに、前記デフロスト用熱媒復路には、デフロスト用熱媒液面レベルを最下方の前記熱交換器より下方、かつ、前記蓄熱器より上方となるようにデフロスト用熱媒の受液器を設ける、請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記デフロスト用熱媒往路と、前記デフロスト用熱媒復路の前記受液器より上のレベルの部分とをバイパスするバイパス管が設けられる、請求項3に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記蓄熱器は、前記冷却回路の放熱とともに、又は、単独で、他の排熱が利用可能なように、他の排熱源と前記蓄熱器との間に循環路が設けられる、請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記蓄熱剤は、相変化材料である、請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項7】
前記負荷冷却器の各々は、互いに対向配置された、冷却用空気流入開口と冷却用空気流出開口とを設け、内部に冷却用空気流入開口から冷却用空気流出開口に向かう通風流路を設けたケーシングを有し、
前記伝熱管は、該ケーシング内において、該通風流路に沿う空気流れに交差するように配置され、内部に、冷却運転の際は空気冷却用冷媒が流れ、デフロスト運転の際は空気冷却用冷媒がデフロスト用に利用され、
該伝熱管において、一端開口および他端開口がそれぞれ、前記ケーシングに設けられた、空気冷却用冷媒流入開口および空気冷却用冷媒流出開口に接続され、
前記空気冷却用冷媒流入開口および前記空気冷却用冷媒流出開口それぞれに、入り口側冷媒分岐管および出口側冷媒分岐管が接続され、
前記ケーシング内において、前記伝熱管を内部加熱式にデフロスト可能なように、該入り口側冷媒分岐管は、前記デフロスト用冷媒第2管路に連通接続され、該出口側冷媒分岐管は、前記デフロスト用冷媒第1管路デフロスト用冷媒復路に連通接続される、請求項3に記載の冷凍装置。
【請求項8】
前記ケーシングの下方に配置され、デフロスト時に発生する液を受けるためのドレンパンと、前記デフロスト用冷媒往路に接続され、前記ドレンパンを加熱可能なようにルーティングされるドレンパン向け伝熱管が付設される、請求項7に記載の冷凍装置。
【請求項9】
負荷冷却器、圧縮機、蓄熱器、コンデンサー又はガスクーラー、受液器、膨張弁をこの順に冷媒配管により順次接続することにより構成され、内部に冷却用冷媒が流れる冷却回路により、蓄熱器を通じて蓄熱するとともに、負荷冷却器を冷却する一方、負荷冷却器と該蓄熱器との間を熱循環するデフロスト回路により、蓄熱器を通じて放熱されるとともに、負荷冷却器をデフロストする負荷冷却器のデフロスト方法において、
前記蓄熱器は、最下方レベルに設置される前記熱交換器より下方レベル に設置され、
前記冷却回路の冷却用冷媒と、前記デフロスト回路のデフロスト用熱媒との間で熱交換する熱交換器が、前記負荷冷却器より下方、かつ、前記蓄熱器より上方となるように設けられ、
前記冷却回路の冷却用冷媒は、前記熱交換器と前記負荷冷却器との間でループ型サーモサイフォン式第1循環路を構成し、前記デフロスト回路のデフロスト用熱媒は、前記熱交換器と前記蓄熱器との間でループ型サーモサイフォン式第2循環路を構成し、
前記冷却回路により前記負荷冷却器を冷却運転することにより、前記蓄熱器に蓄熱する段階と、
前記蓄熱段階において蓄熱されたデフロスト用熱媒を、ループ型サーモサイフォン式第2循環路により前記熱交換器と前記蓄熱器との間で循環させつつ、前記冷却回路の冷却用冷媒を、ループ型サーモサイフォン式第1循環路により、前記熱交換器と前記負荷冷却器との間で循環させることにより、デフロスト用熱媒により加熱された冷却用冷媒により、前記負荷冷却器をデフロスト運転する段階を有する、
ことを特徴とする負荷冷却器のデフロスト方法。
【請求項10】
前記負荷冷却器は、複数設けられ、そのうち、少なくとも異なるレベルに設置されものがあり、
前記デフロスト回路には、前記蓄熱器から前記熱交換器に向かって、前記蓄熱器により加熱されたデフロスト用熱媒ガスが流れるデフロスト用熱媒往路と、前記熱交換器から前記蓄熱器に向かって、前記熱交換器で冷却されたデフロスト用熱媒液が流れるデフロスト用熱媒復路とが設けられ、
さらに、前記デフロスト用熱媒復路には、デフロスト用熱媒液面レベルを最下方の前記熱交換器より下方、かつ、前記蓄熱器より上方となるようにデフロスト用熱媒の受液器を設ける、請求項9に記載の負荷冷却器のデフロスト方法。
【請求項11】
前記デフロスト運転段階は、前記複数の負荷冷却器のいずれかを冷却運転することにより、蓄熱器に蓄熱しつつ、それと併行して、前記複数の負荷冷却器の残りのいずれかをデフロスト運転する段階を有する、請求項9に記載の負荷冷却器のデフロスト方法。
【請求項12】
前記デフロスト運転段階は、前記複数の負荷冷却器すべての冷却運転を停止しつつ、それと併行して、前記複数の負荷冷却器のすべてまたはいずれかをデフロスト運転する段階を有する、請求項9に記載の負荷冷却器のデフロスト方法。
【請求項13】
前記ループ型サーモサイフォン式第1循環路において、前記デフロスト用冷媒第1管路は、デフロスト用冷媒が前記伝熱管の前記冷媒用復路側から前記熱交換器に向かうデフロスト用冷媒往路であり、前記デフロスト用冷媒第2管路は、デフロスト用冷媒が前記熱交換器から前記伝熱管の前記冷媒用往路側に向かうデフロスト用冷媒復路であり、該デフロスト用冷媒往路には、開閉弁、該デフロスト用冷媒復路には、前記熱交換器から前記冷媒用往路に向かう流れのみを可能とする逆止弁がそれぞれ設けられる、請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項14】
前記ループ型サーモサイフォン式第1循環路において、前記デフロスト用冷媒第1管路は、デフロスト用冷媒が前記熱交換器から前記伝熱管の前記冷媒用復路側に向かうデフロスト用冷媒復路であり、前記デフロスト用冷媒第2管路は、デフロスト用冷媒が前記伝熱管の前記冷媒用往路側から前記熱交換器に向かうデフロスト用冷媒往路であり、該デフロスト用冷媒往路には、開閉弁、該デフロスト用冷媒復路には、前記熱交換器から前記冷媒用復路に向かう流れのみを可能とする逆止弁がそれぞれ設けられる、請求項1に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置および負荷冷却器のデフロスト方法に関し、より詳細には、負荷冷却器の構造の大型化およびデフロスト制御の複雑さを低減することにより信頼性を確保しつつ、デフロスト性能を向上可能な冷凍装置および負荷冷却器のデフロスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却した負荷冷却器のデフロスト( 除霜) を行うのに、本件出願人は、省エネルギー化の観点から、冷却運転中の排熱を利用して、デフロストを行う冷凍装置あるいは負荷冷却器のデフロスト方法について、たとえば、特許文献1 および特許文献2 において、ループ式サーモサイフォンタイプのデフロスト技術を提案している。
具体的には、特許文献1において提案の冷凍装置は、負荷冷却器、圧縮機、蓄熱器、コンデンサー、受液器、膨張弁をこの順に冷媒配管により順次接続して、冷却回路を構成する冷凍装置において、前記蓄熱器が前記熱交換器より下方レベル に設置され、前記負荷冷却器への流入部を構成する前記冷媒配管、または前記負荷冷却器からの流出部を構成する前記冷媒配管のいずれか一方の前記冷媒配管と、前記蓄熱器への流入部を構成する前記冷媒配管、または前記蓄熱器からの流出部を構成する前記冷媒配管のいずれか一方の前記冷媒配管とを接続する第1 バイパス管と、前記負荷冷却器への流入部を構成する前記冷媒配管、または前記負荷冷却器からの流出部を構成する前記冷媒配管の前記いずれか一方の前記冷媒配管に対する他方の前記冷媒配管と、前記蓄熱器への流入部を構成する前記冷媒配管、または前記蓄熱器からの流出部を構成する前記冷媒配管の前記いずれか一方の前記冷媒配管に対する他方の前記冷媒配管とを接続する第2 バイパス管と、を有し、それにより、前記蓄熱器において前記負荷冷却器の冷却運転中に蓄熱した熱を利用することにより、前記蓄熱器から前記負荷冷却器へ前記第1 バイパス配管を介して、冷媒ガスを送る一方、前記負荷冷却器から前記蓄熱器へ前記第2 バイパス配管を介して、前記負荷冷却器をデフロストした結果生じる冷媒液を戻す、ループ型サーモサイフォンを構成する、構成としている。
【0003】
以上の構成を有する冷凍装置によれば、冷却運転中、負荷冷却器を冷却することにより蒸発した冷媒ガスは、圧縮機により圧縮されて、蓄熱器において放熱し、その結果蓄熱され、冷媒ガスあるいは冷媒液が、コンデンサーで凝縮あるいは過冷却されて、冷媒液が受液器に受け入れられ、膨張弁を経て、再度負荷冷却器を冷却する冷却回路を構成することにより、負荷冷却器を冷却する。
一方、負荷冷却器のデフロスト運転中には、負荷冷却器の冷却運転中に蓄熱器に蓄熱した熱を利用することにより、蓄熱器から負荷冷却器へ第1 バイパス配管を介して、冷媒ガスを送る一方、負荷冷却器から蓄熱器へ第2 バイパス配管を介して、負荷冷却器をデフロストした結果生じる冷媒液を戻すことにより、下方に位置するホット側の蓄熱器と、上方に位置するコールド側の負荷冷却器との間で自然循環によるループ型サーモサイフォンを構成することで、圧縮機を停止した状態でのデフロストを可能とするとともに、従来のウィック式あるいはサーモサイフォン式による小さな熱輸送限界の問題を生じることなく、省エネルギー化を達成しつつデフロストすることが可能である。
しかしながら、このような冷凍装置においては、冷却系統とでデフロスト系統とにおいて、冷媒を共有する1流体構造を採用することから、1基の冷凍機に対し一基の空気冷却器が対応する場合には、冷媒の配管系統を簡素化可能であるが、1基の冷凍機に対し複数基の空気冷却器が対応する場合には、自動弁によりデフロスト系統に仕切られる部分の冷媒保有量の調整が困難であり、システムが複雑化し、場合により信頼性を損なうという技術的問題点が存する。
【0004】
一方、特許文献2において提案の冷凍装置は、負荷冷却器、圧縮機、蓄熱器、コンデンサー、受液器、膨張弁をこの順に冷媒配管により順次接続して、内部に冷却用冷媒が流れる冷却回路を構成する冷凍装置において、さらに、該負荷冷却器と該蓄熱器との間を循環する、該冷却回路とは独立のデフロスト回路が設けられ、該デフロスト回路は、内部にデフロスト用熱媒が流れ、前記蓄熱器内において、蓄熱剤から吸熱する吸熱部と、前記負荷冷却器内において、放熱するデフロスト部とを有し、前記冷却回路は、前記蓄熱器内において、蓄熱剤に放熱する放熱部と、前記負荷冷却器内において、負荷流体を冷却する冷却部とを有し、それにより、前記冷却回路を通じて、前記冷却部により負荷流体を冷却するとともに、前記放熱部を介して蓄熱剤に放熱する一方、前記デフロスト回路を通じて、前記吸熱部により蓄熱剤から吸熱することにより、前記デフロスト部を介して前記負荷冷却器をデフロストする、構成としている。
【0005】
以上の構成を有する冷凍装置によれば、負荷冷却器、圧縮機、蓄熱器、コンデンサー、受液器、膨張弁をこの順に冷媒配管により順次接続して、内部に冷却用冷媒が流れる冷却回路に対して、負荷冷却器と蓄熱器との間を熱交換器を介して循環する、冷却回路とは独立のデフロスト回路を設けることにより、システムの簡素化により信頼性を向上しつつ、冷却運転およびデフロスト運転の多様な運転モードに対して対応可能としながら、冷却用冷媒の種類、温度圧力条件に影響を及ぼすことなしに、デフロスト可能となる。
しかしながら、このような冷凍装置によれば、冷却系統とでデフロスト系統とにおいて、冷媒を別々とする2流体構造を採用することから、特許文献1における1流体構造に起因する問題点を解消可能であるが、2流体構造ゆえに、空気冷却器構造の大型化と複雑化を引き起こし、場合により信頼性を損なうという技術的問題点が存する。
【特許文献1】特許第5842310号
【特許文献2】特許第6229955号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の技術的問題点に鑑み、本願発明においては、特許文献1の有する技術的問題点および特許文献2の有する技術的問題点の両方を一挙解決する点を課題とする。
すなわち、本願発明の目的は、負荷冷却器の構造の大型化およびデフロスト制御の複雑さを低減することにより信頼性を確保しつつ、デフロスト性能を向上可能な冷凍装置および負荷冷却器のデフロスト方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明の冷凍装置は、
負荷冷却器、圧縮機、蓄熱器、コンデンサー又はガスクーラー、受液器、膨張弁をこの順に冷媒配管により順次接続して、内部に冷却用冷媒が流れる冷却回路を構成する冷凍装置において、
さらに、前記負荷冷却器をデフロストするデフロスト回路を有し、
前記デフロスト回路は、前記冷却回路の冷却用冷媒と、前記デフロスト回路のデフロスト用熱媒との間で熱交換する熱交換器を有し、該負荷冷却器と該蓄熱器との間を該熱交換器を介して熱循環するデフロスト回路が設けられ、
該デフロスト回路は、前記蓄熱器内において、デフロスト用熱媒を介して蓄熱剤から吸熱する吸熱部と、前記負荷冷却器内において、前記冷却回路の冷却用冷媒を利用して放熱するデフロスト部とを有し、
前記冷却回路は、前記蓄熱器内において、蓄熱剤に放熱する放熱部と、前記負荷冷却器内において、負荷流体を冷却する冷却部とを有し、
前記蓄熱器は、前記熱交換器より下方レベル に設置され、
該熱交換器は、前記負荷冷却器より下方、かつ、前記蓄熱器より上方となるように設けられ、
前記冷却回路の冷却用冷媒は、前記熱交換器と前記負荷冷却器との間でループ型サーモサイフォン式第1循環路を構成し、前記デフロスト回路のデフロスト用熱媒は、前記熱交換器と前記蓄熱器との間でループ型サーモサイフォン式第2循環路を構成し、
前記冷媒配管は、前記受液器から前記膨張弁を介して前記負荷冷却器に向かって冷媒液または気液混合冷媒が流れる冷媒用往路と、前記負荷冷却器から前記圧縮機に向かって冷媒ガスが流れる冷媒用復路とを有し、
前記負荷冷却器は、前記冷媒用往路と前記冷媒用復路とを連通接続する伝熱管を有し、
前記ループ型サーモサイフォン式第1循環路は、前記伝熱管の前記冷媒用復路側と前記熱交換器とを連通接続するデフロスト用冷媒第1管路と、前記熱交換器と前記伝熱管の前記冷媒用往路側とを連通接続するデフロスト用冷媒第2管路と、を有し、該デフロスト用冷媒第1管路および第2管路のいずれか一方には、開閉弁、他方には、一方向の冷媒の流れのみを可能とする逆止弁がそれぞれ設けられ、
それにより、前記冷却回路を通じて、前記冷却部により負荷流体を冷却するとともに、前記放熱部を介して蓄熱剤に放熱する一方、前記デフロスト回路を通じて、前記吸熱部により蓄熱剤から吸熱することにより、前記熱交換器における冷却用冷媒とデフロスト用熱媒との熱交換を通じて、前記デフロスト部を介して前記負荷冷却器をデフロストする、構成としている。
【0008】
以上の構成を有する冷凍装置によれば、負荷冷却器、圧縮機、蓄熱器、コンデンサー又はガスクーラー、受液器、膨張弁をこの順に冷媒配管により順次接続して、内部に冷却用冷媒が流れる冷却回路に対して、負荷冷却器と蓄熱器との間を熱交換器を介して循環するデフロスト回路を設け、デフロスト回路は冷却回路の冷却用冷媒と、デフロスト回路のデフロスト用熱媒との間で熱交換する熱交換器を負荷冷却器より下方、かつ、蓄熱器より上方となるように設け、冷却回路の冷却用冷媒は、熱交換器と負荷冷却器との間でループ型サーモサイフォン式第1循環路を構成し、デフロスト回路のデフロスト用熱媒は、熱交換器と蓄熱器との間でループ型サーモサイフォン式第2循環路を構成するとともに、冷媒配管が、受液器から膨張弁を介して負荷冷却器に向かって冷媒液または気液混合冷媒が流れる冷媒用往路と、負荷冷却器から圧縮機に向かって冷媒ガスが流れる冷媒用復路とを有し、負荷冷却器は、冷媒用往路と冷媒用復路とを連通接続する伝熱管を有し、ループ型サーモサイフォン式第1循環路は、伝熱管の冷媒用復路側で連通接続され、熱交換器に向かうデフロスト用冷媒第1管路と、熱交換器から伝熱管の冷媒用往路側で連通接続されるデフロスト用冷媒第2管路と、を有し、デフロスト用冷媒第1管路には、開閉弁、デフロスト用冷媒第2管路には、熱交換器から冷媒用往路に向かう流れのみを可能とする逆止弁がそれぞれ設けられ、
ループ型サーモサイフォン式第2循環路により、蓄熱器で加熱されたデフロスト用熱媒が熱交換器に向かい、熱交換器において、冷却用冷媒に放熱し、ループ型サーモサイフォン式第1循環路により、加熱された冷却用冷媒は、デフロスト用冷媒第2管路を通じて、負荷冷却器の伝熱管の冷媒用往路側に向かい、伝熱管の内部からデフロストを行い、放熱した冷却用冷媒は、伝熱管の冷媒用復路側からデフロスト用冷媒第1管路を通じて熱交換器に向かい、循環流が形成され、これを繰り返すことにより、デフロスト回路が、蓄熱器内において、デフロスト用熱媒を介して蓄熱剤から吸熱する吸熱部と、負荷冷却器内において、冷却回路の冷却用冷媒を利用して放熱するデフロスト部とを有することが可能であり、それにより、負荷冷却器の構造の大型化およびデフロスト制御の複雑さを低減することにより信頼性を確保しつつ、デフロスト性能が向上可能である。
【0009】
また、前記放熱部は、外部温熱源により前記蓄熱器内の蓄熱剤に放熱するのがよい。
さらに、前記負荷冷却器は、複数設けられ、そのうち、少なくとも異なるレベルに設置されるものがあり、
前記デフロスト回路には、前記蓄熱器から前記熱交換器に向かって、前記蓄熱器により加熱されたデフロスト用熱媒ガスが流れるデフロスト用熱媒往路と、前記熱交換器から前記蓄熱器に向かって、前記熱交換器で冷却されたデフロスト用熱媒液が流れるデフロスト用熱媒復路とが設けられ、
さらに、前記デフロスト用熱媒復路には、デフロスト用熱媒液面レベルを最下方の前記熱交換器より下方、かつ、前記蓄熱器より上方となるようにデフロスト用熱媒の受液器を設けるのがよい。
【0010】
さらにまた、前記デフロスト用熱媒往路と、前記デフロスト用熱媒復路の前記受液器より上のレベルの部分とをバイパスするバイパス管が設けられるのがよい。
加えて、前記蓄熱器は、前記冷却回路の放熱とともに、又は、単独で、他の排熱が利用可能なように、他の排熱源と前記蓄熱器との間に循環路が設けられるのがよい。
また、前記蓄熱剤は、相変化材料であるのがよい。
【0011】
さらに、前記負荷冷却器の各々は、互いに対向配置された、冷却用空気流入開口と冷却用空気流出開口とを設け、内部に冷却用空気流入開口から冷却用空気流出開口に向かう通風流路を設けたケーシングを有し、
前記伝熱管は、該ケーシング内において、該通風流路に沿う空気流れに交差するように配置され、内部に、冷却運転の際は空気冷却用冷媒が流れ、デフロスト運転の際は空気冷却用冷媒がデフロスト用に利用され、
該伝熱管において、一端開口および他端開口がそれぞれ、前記ケーシングに設けられた、空気冷却用冷媒流入開口および空気冷却用冷媒流出開口に接続され、
前記空気冷却用冷媒流入開口および前記空気冷却用冷媒流出開口それぞれに、入り口側冷媒分岐管および出口側冷媒分岐管が接続され、
前記ケーシング内において、前記伝熱管を内部加熱式にデフロスト可能なように、該入り口側冷媒分岐管は、前記デフロスト用冷媒第2管路に連通接続され、該出口側冷媒分岐管は、前記デフロスト用冷媒第1管路デフロスト用冷媒復路に連通接続されるのがよい。
さらにまた、前記ケーシングの下方に配置され、デフロスト時に発生する液を受けるためのドレンパンと、前記デフロスト用冷媒往路に接続され、前記ドレンパンを加熱可能なようにルーティングされるドレンパン向け伝熱管が付設されるのがよい。
【0012】
上記課題を達成するために、本発明の負荷冷却器のデフロスト方法は、
負荷冷却器、圧縮機、蓄熱器、コンデンサー又はガスクーラー、受液器、膨張弁をこの順に冷媒配管により順次接続することにより構成され、内部に冷却用冷媒が流れる冷却回路により、蓄熱器を通じて蓄熱するとともに、負荷冷却器を冷却する一方、負荷冷却器と該蓄熱器との間を熱交換器を介して熱循環するデフロスト回路により、蓄熱器を通じて放熱されるとともに、負荷冷却器をデフロストする負荷冷却器のデフロスト方法において、
前記蓄熱器は、最下方レベルに設置される前記熱交換器より下方レベル に設置され、
前記冷却回路の冷却用冷媒と、前記デフロスト回路のデフロスト用熱媒との間で熱交換する熱交換器が、前記負荷冷却器より下方、かつ、前記蓄熱器より上方となるように設けられ、
前記冷却回路の冷却用冷媒は、前記熱交換器と前記負荷冷却器との間でループ型サーモサイフォン式第1循環路を構成し、前記デフロスト回路のデフロスト用熱媒は、前記熱交換器と前記蓄熱器との間でループ型サーモサイフォン式第2循環路を構成し、
前記冷却回路により前記負荷冷却器を冷却運転することにより、前記蓄熱器に蓄熱する段階と、
前記蓄熱段階において蓄熱されたデフロスト用熱媒を、ループ型サーモサイフォン式第2循環路により前記熱交換器と前記蓄熱器との間で循環させつつ、前記冷却回路の冷却用冷媒を、ループ型サーモサイフォン式第1循環路により、前記熱交換器と前記負荷冷却器との間で循環させることにより、デフロスト用熱媒により加熱された冷却用冷媒により、前記負荷冷却器をデフロスト運転する段階を有する、構成としている。
【0013】
また、前記負荷冷却器は、複数設けられ、そのうち、少なくとも異なるレベルに設置されものがあり、
前記デフロスト回路には、前記蓄熱器から前記熱交換器に向かって、前記蓄熱器により加熱されたデフロスト用熱媒ガスが流れるデフロスト用熱媒往路と、前記熱交換器から前記蓄熱器に向かって、前記熱交換器で冷却されたデフロスト用熱媒液が流れるデフロスト用熱媒復路とが設けられ、
さらに、前記デフロスト用熱媒復路には、デフロスト用熱媒液面レベルを最下方の前記熱交換器より下方、かつ、前記蓄熱器より上方となるようにデフロスト用熱媒の受液器を設けるのがよい。
さらに、前記デフロスト運転段階は、前記複数の負荷冷却器のいずれかを冷却運転することにより、蓄熱器に蓄熱しつつ、それと併行して、前記複数の負荷冷却器の残りのいずれかをデフロスト運転する段階を有するのがよい。
さらにまた、前記デフロスト運転段階は、前記複数の負荷冷却器すべての冷却運転を停止しつつ、それと併行して、前記複数の負荷冷却器のすべてまたはいずれかをデフロスト運転する段階を有するのがよい。
【0014】
加えて、前記ループ型サーモサイフォン式第1循環路において、前記デフロスト用冷媒第1管路は、デフロスト用冷媒が前記伝熱管の前記冷媒用復路側から前記熱交換器に向かうデフロスト用冷媒往路であり、前記デフロスト用冷媒第2管路は、デフロスト用冷媒が前記熱交換器から前記伝熱管の前記冷媒用往路側に向かうデフロスト用冷媒復路であり、該デフロスト用冷媒往路には、開閉弁、該デフロスト用冷媒復路には、前記熱交換器から前記冷媒用往路に向かう流れのみを可能とする逆止弁がそれぞれ設けられるのでもよい。
【0015】
また、前記ループ型サーモサイフォン式第1循環路において、前記デフロスト用冷媒第1管路は、デフロスト用冷媒が前記熱交換器から前記伝熱管の前記冷媒用復路側に向かうデフロスト用冷媒復路であり、前記デフロスト用冷媒第2管路は、デフロスト用冷媒が前記伝熱管の前記冷媒用往路側から前記熱交換器に向かうデフロスト用冷媒往路であり、該デフロスト用冷媒往路には、開閉弁、該デフロスト用冷媒復路には、前記熱交換器から前記冷媒用復路に向かう流れのみを可能とする逆止弁がそれぞれ設けられるのでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る冷凍装置の第1実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、冷凍装置10は、負荷冷却器12、圧縮機14、蓄熱器16、コンデンサー18、レシーバ17、膨張弁151をこの順に冷媒配管により順次接続して、内部に冷却用冷媒が流れる冷却回路70を構成するとともに、負荷冷却器12と蓄熱器16との間で熱交換器200を介して熱循環するデフロスト回路72が設けられ、デフロスト回路72は、内部にデフロスト用熱媒が流れ、蓄熱器16内において、蓄熱剤から吸熱する吸熱部74と、負荷冷却器12内において、冷却用冷媒を利用して(後述)、放熱するデフロスト部76とを有する。
【0018】
冷却回路70は、蓄熱器16内において、蓄熱剤に放熱する放熱部78と、負荷冷却器12内において、負荷流体を冷却する冷却部80とを有する。
それにより、冷却回路70を通じて、冷却部80により負荷流体を冷却するとともに、放熱部78を介して蓄熱剤に放熱する一方、デフロスト回路72を通じて、吸熱部74により蓄熱剤から吸熱することにより、デフロスト部76を介して負荷冷却器12をデフロストするように構成されている。
【0019】
デフロスト回路72について、蓄熱器16が負荷冷却器12より下方レベルに設置され、蓄熱器16から熱交換器200に向かって、放熱部78により加熱されたデフロスト用熱媒が流れるデフロスト用熱媒往路82と、熱交換器200から蓄熱器16に向かって、デフロスト部76により冷却されたデフロスト用熱媒が流れるデフロスト用熱媒復路84とが設けられる。デフロスト用熱媒復路84には、逆止弁143が設けられ、後に説明するように、一部の負荷冷却器12が冷却運転して、並列接続されている他の負荷冷却器12がデフロスト運転している場合において、デフロスト用熱媒が、冷却運転中の熱交換器200内に流入するのを防止するようにしている。
デフロスト回路72は、冷却回路70の冷却用冷媒と、デフロスト回路72のデフロスト用熱媒との間で熱交換する熱交換器200を有し、熱交換器200は、負荷冷却器12より下方、かつ、蓄熱器16より上方となるように設けられる。
冷却回路70の冷却用冷媒は、熱交換器200と負荷冷却器12との間でループ型サーモサイフォン式第1循環路を構成し、デフロスト回路72のデフロスト用熱媒は、熱交換器200と蓄熱器16との間でループ型サーモサイフォン式第2循環路を構成する。ループ型サーモサイフォン式第1循環路およびループ型サーモサイフォン式第2循環路はいずれも、従来既知のループ型サーモサイフォンであり、下方に高温部、上方に低温部があり、高温部と低温部とを循環する循環路が形成され、高温部で加熱された媒体が低温部に向かい、低温度で冷却された媒体が高温部に向かい、それを繰り返すことにより、媒体が自然循環の態様で熱輸送体として機能する構成である。
ループ型サーモサイフォン式第1循環路は、伝熱管の冷媒用復路153側で連通接続され、熱交換器200に向かうデフロスト用冷媒往路204と、熱交換器200から伝熱管の冷媒用往路155側で連通接続されるデフロスト用冷媒復路202と、を有し、デフロスト用冷媒往路204には、開閉弁208、デフロスト用冷媒復路202には、熱交換器200から冷媒用往路155に向かう流れのみを可能とする逆止弁206がそれぞれ設けられ、
ループ型サーモサイフォン式第2循環路により、蓄熱器16で加熱されたデフロスト用熱媒が熱交換器200に向かい、熱交換器200において、冷却用冷媒に放熱し、ループ型サーモサイフォン式第1循環路により、加熱された冷却用冷媒は、デフロスト用冷媒復路202を通じて、負荷冷却器12の伝熱管の冷媒用往路155側に向かい、伝熱管の内部からデフロストを行い、放熱した冷却用冷媒は、伝熱管の冷媒用復路153側からデフロスト用冷媒往路204を通じて熱交換器200に向かい、循環流が形成され、これを繰り返すことにより、デフロスト回路72が、蓄熱器16内において、デフロスト用熱媒を介して蓄熱剤から吸熱する吸熱部と、負荷冷却器12内において、冷却回路70の冷却用冷媒を利用して放熱するデフロスト部とを構成することが可能である。
【0020】
一方、冷却回路70について、水冷式コンデンシングユニット81と負荷冷却器12とを接続する冷却用往路155A,Bと、負荷冷却器12と水冷式コンデンシングユニット81とを接続する冷却用復路153A,Bと、水冷式コンデンシングユニット81と蓄熱器16とを接続する蓄熱用往路147Aと、蓄熱器16と水冷式コンデンシングユニット81とを接続する蓄熱用復路147Bとを有する。
それにより、蓄熱器16において負荷冷却器12の冷却運転中に蓄熱した熱を利用することにより、ループ型サーモサイフォン式第2循環路により、蓄熱器16から熱交換器200との間でデフロスト用熱媒を循環させ、ループ型サーモサイフォン式第1循環路により熱交換器200から負荷冷却器12へ、冷却回路70の冷却用冷媒を利用した熱エネルギーを供給し、デフロスト用熱エネルギーにより、負荷冷却器12をデフロストするように構成している。
蓄熱器16の熱交換器200(より正確には、後に説明する受液器20内のデフロスト用熱媒液の液面)に対する相対的な設置レベル差Hは、ループ型サーモサイフォンを構成する観点から、適宜定めればよい。蓄熱器16の蓄熱材は、潜熱製蓄熱材でもよく、顕熱製蓄熱材でもよい。たとえば、潜熱製蓄熱材としては、パラフィン系があり、 顕熱製蓄熱材としては、水がある。
水冷式コンデンシングユニット81には、冷却水戻し管145Aと冷却水供給管145Bとが設けられ、コンデンサー18による冷媒の凝縮に利用される。
【0021】
負荷冷却器12は、複数(
図1において、4基)設けられ、冷却回路70に対して、入り口側冷媒分岐管86および出口側冷媒管92を介して並列接続されるとともに、デフロスト回路72に対して、冷媒往路202および冷媒復路204を介して並列接続される。
図1に示すように、4基の負荷冷却器12のうち、負荷冷却器12Aおよび12Bは、例えば、建物の2階、負荷冷却器12Cおよび12Dは、たとえば、建物の1階に設置され、負荷冷却器12Aおよび12Bが負荷冷却器12Cおよび12Dよりも上方レベルに設置され、負荷冷却器12Aおよび12Bは、同じレベル、負荷冷却器12Cおよび12Dは、同じレベルに設置されている。
各デフロスト用熱媒配管(デフロスト用熱媒往路82とデフロスト用熱媒復路84)には、以下に説明するように、通常運転モードとデフロスト運転モードとの切替の観点から、切替弁が設けられている。
より詳細には、デフロスト用熱媒往路82には、熱交換器200AおよびBへのデフロスト用熱媒と熱交換器200CおよびDへのデフロスト用熱媒とを切り替えるために、切替弁300および302が設けられ、熱交換器200Aへのデフロスト用熱媒と熱交換器200Bへのデフロスト用熱媒とを切り替えるために、切替弁210Aおよび210Bが設けられ、熱交換器200Cへのデフロスト用熱媒と熱交換器200Dへのデフロスト用熱媒とを切り替えるために、切替弁210Cおよび210Dが設けられ、デフロスト用熱媒復路84には、蓄熱器16の上流側に切替弁312が設けられる。
【0022】
デフロスト用熱媒復路84の熱交換器200Aおよび200Bと熱交換器200Cおよび200Dとの間のレベルには、液位計149が付設された受液器20が設けられ、後に説明するように、負荷冷却器12のデフロスト運転の際、デフロスト用熱媒は、デフロスト用熱媒ガスとして負荷冷却器12をデフロストして、デフロスト用熱媒液となるところ、デフロスト用熱媒液のデフロスト用熱媒往路82およびデフロスト用熱媒復路84それぞれでの液位は、蓄熱器16および/または負荷冷却器12の状態に応じて、変動し得ることから、このような液位の変動によりデフロスト運転の安定性が阻害されないように、受液器20を設けている。なお、受液器20のレベルは、蓄熱器16とのレベル差を確保して、後に説明するように、ループ型サーモサイフォンによる自然循環を達成する観点から、熱交換器200Aおよび200Bより下方だが、熱交換器200Aおよび200Bのレベルになるべく近いのがよい。
【0023】
負荷冷却器12は、たとえば、冷凍庫、冷蔵倉庫、出荷室等の庫内を冷却するのに、庫内に設置される。
図2に示すように、負荷冷却器12の各々は、たとえば、吊り金具117を介して庫内天井に吊りボルト・ナットで固定されるユニットクーラーであり、互いに対向配置された冷却用空気流入開口(図示せず)と冷却用空気流出開口(図示せず)とを設け、内部に冷却用空気流入開口から冷却用空気流出開口に向かう通風流路100を設けたケーシング102を有する。ケーシング102の対向する一対の側面には、送風機101が設けられる。番号103は、送風機101の端子が配線されるターミナルボックスである。
ケーシング102内には、通風流路100に沿う空気流れに交差するように配置され、内部に空気冷却用冷媒が流れる伝熱管104が、互いに平行に設けられ、伝熱管104それぞれは、後に説明するように、ケーシング102の対向する仕切板120それぞれの外に配置されるU字管部130と、対向する仕切板120間を延びる直管部128とが接続されることにより構成される。
【0024】
伝熱管104において、冷却用往路155に対して、膨張弁151(
図1参照)の下流側で、分流器141および分流器141から分流する入口側冷媒分岐管86を介して接続され、一方、冷却用復路153に対して、出口側冷媒管92(
図1参照)を介して接続される。
【0025】
図3に示すように、ケーシング102の対向する仕切板120それぞれには、多数の貫通孔122が設けられ、伝熱管104は、ケーシング102内で対向する仕切板120間を延びる冷却用直管部128と、ケーシング102外で、貫通孔122を介して冷却用直管部128同士を接続する冷却用U字管部130(
図3では省略)とを有する。
冷却用配管内の冷媒は、一方の仕切板120側において、分流器141に集められ、そこから入口側冷媒分岐管86により分岐し(図では6分岐)、各分岐管において、対向する仕切板120の一方の仕切板に設けられる冷却用U字ベンド管130、対向する仕切板120間を延びる冷却用直管部128、および対向する仕切板120の他方の仕切板に設けられる冷却用U字ベンド管130により構成され、各仕切板120に設けられる、上下方向および水平方向それぞれに整列配置する貫通孔について、場合により飛び飛びに接続するように冷却用U字ベンド管130が設けられ、各分岐管は、一方の仕切板120側において、ヘッダー105に集められ、そこから冷却用復路153に接続される。
一方、熱交換器200から冷媒復路202Aを介してのデフロスト用熱媒ガスは、分流器141の下流側(
図3において、点線のように上流側でも可)で冷却用往路155に接続され、ケーシング102内において、冷却用直管部128内を流れ、デフロストを行い、冷却されたデフロスト用熱媒液は、一方の仕切板120側において、ヘッダー105を介して、冷媒往路204Aに接続され、熱交換器200に戻るようにしている。
【0026】
図2に示すように、ケーシング102内には、伝熱管104用のプレート状フィン132がさらに設けられ、プレート状フィン132にはそれぞれ、仕切り板120と同じ位置に多数の貫通孔122が設けられる。プレート状フィン132は、それぞれ通風流路100に対して直交するように、互いに平行に複数設けられる。
この場合、伝熱管104の伝熱面積拡大機能を奏するプレート状フィン132を、伝熱管104の支持に利用している。
伝熱管104の直管部128それぞれは、貫通孔122を貫通する態様でプレート状フィン132に固定され、それにより、伝熱管104内を流れる、熱交換器200により加熱された冷媒により、内側から伝熱管104、それを支持するプレート状フィン132を熱放射または熱伝導形態でデフロストするように構成されている。
【0027】
冷却用冷媒温度は、たとえば、-10℃であり、それにより、空気は常温から-5℃まで冷却され、一方、熱交換器200で加熱され、デフロストに利用される冷却用冷媒温度は、20℃であり、それにより、空気冷却器内に着霜した霜をデフロストする(後に説明する)ようにしている。
【0028】
図3に示すように、ケーシング102の下方に配置され、デフロスト時に発生する液を受けるためのドレンパン134と、伝熱管104に接続される冷媒往路202に対して分岐する分岐管136とが設けられ、分岐管136に接続され、ドレンパン134の底面137に接触式に這うように、下り勾配にルーティングされるデフロスト用伝熱管135が付設され、デフロスト用伝熱管135を通じて、ドレンパン134の底面137全体に亘って、熱伝導形態で加熱され、デフロスト可能に構成されている。デフロスト用伝熱管135は、デフロスト用熱媒復路84に対して接続される。
【0029】
冷却用冷媒配管104の材質はともに、熱伝達性およびコストの観点から、銅管が好ましく、場合により、アルミ管あるいはステンレス管でもよく、プレート状フィン132の材質は、熱伝達性優先のために、アルミ製が好ましく、場合により、銅製、ステンレス製でもよく、ケーシングは、たとえば、亜鉛メッキ鋼板、ドレンパンは、SUSである。
変形例として、
図3Bに示すように、他方の仕切板120側において、デフロスト用熱媒ガスがヘッダー105に流入し、一方の仕切板120側において、入口側冷媒分岐管86を介して、デフロストに使用され、冷却された熱媒液が流出するようにしてもよい。
【0030】
以上の構成を有する冷凍装置10について、
図4ないし
図8を参照しながら、その作用を、冷凍装置10の運転方法の説明を通じて、以下に説明する。
冷凍装置10の運転方法について、運転モードとして、通常冷却運転モード(蓄熱段階)(
図4)およびデフロスト運転モード(
図6)に分かれる。
負荷冷却器12AないしDすべてについて、通常冷却運転モード(蓄熱段階)を行い、その後に、上方レベルに位置する負荷冷却器12Aのみについて、デフロスト運転モードを行う場合について、説明する。
【0031】
まず、
図5に示すように、通常冷却運転モード(蓄熱段階)においては、
図5において、切替弁300、302、312、208A、208B、208C、208D、322A、322B、322C、322D、210A、210B、210C、および210Dのうち、322A、322Bおよび322Dを開き、それ以外は、閉じた状態で、圧縮機14を運転する。
冷媒は、負荷冷却器12から出口側冷媒管92、冷却用復路153Aを介して圧縮機14に流入し、ここで圧縮され、さらに圧縮機14から蓄熱用往路147Aを介して蓄熱器16に流入し、ここで冷媒は放熱し、蓄熱器16に蓄熱され、さらに蓄熱器16から蓄熱用復路147Bを介してコンデンサー18に流入し、ここで凝縮あるいは過冷却され、さらにコンデンサー18から冷却用往路155Aを介して膨張弁151に流入し、ここで膨張弁151の開度を調整することにより、冷媒の過熱度を調整し、さらに膨張弁151から分流器141を介して負荷冷却器12に戻り、冷却回路を構成するようにしている。
【0032】
以上のように、冷媒は、
図5の矢印で示すように流れ、負荷冷却器12から圧縮機14を介して蓄熱器16までの間でガス状態、特に、負荷冷却器12と圧縮機14との間は、低圧のガス状態、一方圧縮機14と蓄熱器16と間は高圧のガス状態、一方、蓄熱器16から膨張弁151を介して負荷冷却器12までの間で液または湿り蒸気状態である。
【0033】
次いで、
図6に示すように、負荷冷却器12Aのみについて、デフロスト運転モードを行う場合、圧縮機14を停止するとともに、切替弁300、312、208A、322B、322C、322Dおよび210Aを開き、それ以外は、閉じる。
これにより、蓄熱器16と熱交換器200とを接続するデフロスト用熱媒往路82およびデフロスト用熱媒復路84により構成されるループ型サーモサイフォン式第2循環路、および負荷冷却器12と熱交換器200とを接続する冷媒往路202および冷媒復路204により構成されるループ型サーモサイフォン式第1循環路により、蓄熱器16の蓄熱が熱交換器200を介して負荷冷却器12へ熱輸送されるように構成される。
【0034】
より詳細には、蓄熱器16の蓄熱により蒸発(吸熱)したデフロスト用熱媒がデフロスト用熱媒往路82を通じて熱交換器200に向かい、ここで、負荷冷却器12でデフロストし冷媒復路204を通じて熱交換器200に向かうた冷媒と熱交換(加熱)し、加熱したデフロスト用熱媒は、デフロスト用熱媒復路84を通じて蓄熱器16に戻るとともに、加熱された冷媒は、冷媒往路202を通じて負荷冷却器12へ向かい、この自然循環を繰り返すことにより、2つのループ型サーモサイフォンを構成して、負荷冷却器12Aについて除霜を行う。
伝熱管104を介して熱伝導形態により、プレート状フィン132、さらにはプレート状フィン132を介して、他の伝熱管104に熱伝達されるとともに、伝熱管104を介して熱放射形態により、プレート状フィン132、および他の伝熱管104の外周面160に熱伝達される。
このデフロスト運転により、負荷冷却器12の霜取りが完了したら、通常冷却運転モードに戻り、次のデフロスト運転に備えて、蓄熱を再開すればよい。
【0035】
通常冷却運転モード(
図5)と、負荷冷却器12AないしDのうち一部のデフロスト運転モード(
図6)との間の切替のタイミングは、負荷冷却器12における霜の発生状況に応じて、適宜手動で切替えてもよいし、あるいは負荷冷却器12における負荷が比較的一定で、霜の進行が比較的規則的である場合には、予めタイマー設定をして、自動的に切替るようにしてもよいし、あるいは負荷冷却器12の伝熱管104の温度を検出し、検出した温度により設定してもよい。
【0036】
なお、
図4に示すように、冷却運転時の場合には、切替弁300、302、312、208A、208B、208C、208D、322A、322B、322C、322D、210A、210B、210C、および210Dのうち、322A、322Bおよび322Dを開き、それ以外は、閉じ、負荷冷却器12Aのみをデフロストする場合には、切替弁300、312、208A、322B、322C、322Dおよび210Aを開き、それ以外は、閉じ、負荷冷却器12Bのみをデフロストする場合には、切替弁300、312、208B、322A、322C、322D、210Bを開き、それ以外は、閉じ、負荷冷却器12Cのみをデフロストする場合には、切替弁302、312、208C、322A、322B、322D、および210Cを開き、それ以外は、閉じ、負荷冷却器12Cのみをデフロストする場合には、切替弁302、312、208C、322A、322B、322D、および210Cを開き、それ以外は、閉じ、負荷冷却器12Dのみをデフロストする場合には、切替弁302、312、208D、322A、322B、322Cおよび210Dを開き、それ以外は、閉じ、負荷冷却器12Aおよび負荷冷却器12Bのみをデフロストする場合には、切替弁300、312、208A、208B、322C、322D、210A、および210Bを開き、それ以外は、閉じ、負荷冷却器12Cおよび負荷冷却器12Dのみをデフロストする場合には、切替弁302、312、208C、208D、322A、322B、210C、および210Dを開き、それ以外は、閉じる(
図7参照)。
【0037】
運転方法の変形例として、本実施形態において、4基すべての空気冷却器について、冷却運転しながら蓄熱を行い、その後に、上方レベルに位置する負荷冷却器12Aをデフロスト運転を行うものとして説明したが、それに限定されることなく、デフロスト運転に必要な蓄熱量が蓄熱に確保されている限り、4基すべての空気冷却器のいずれかについて、冷却運転しながら蓄熱を行いつつ、残りの空気冷却器について、併行してデフロスト運転を行う、いわゆる追っかけ運転を行ってもよい。
【0038】
具体的には、
図8に示すように、切替弁302、312、208C、208D、322A、322B、210C、および210Dを開き、それ以外は、閉じ、負荷冷却器12Aおよび12Bについて、冷却回路70により、冷却を行いつつ、蓄熱器16により蓄熱を行い、一方、負荷冷却器12Cおよび12Dについて、デフロスト回路72により、デフロストを行う。
なお、切り替え弁の操作により、さらに、負荷冷却器12Aおよび12Bの一方についてのみ冷却回路70により、冷却を行いつつ、負荷冷却器12Cおよび12Dの一方についてのみ、デフロスト回路72により、デフロストを行うのでもよい。この場合、負荷冷却器12Aおよび12Bの他方は、停止状態であるが、負荷冷却器12Cおよび12Dの他方は、冷却運転でも停止状態でもよい。
【0039】
以上の構成を有する冷凍装置によれば、以上の構成を有する冷凍装置10によれば、冷却運転中、負荷冷却器12を冷却することにより蒸発した冷媒ガスは、圧縮機14により圧縮されて、蓄熱器16において放熱し、その結果蓄熱され、冷媒ガスあるいは冷媒液が、コンデンサー18で凝縮あるいは過冷却されて、冷媒液がレシーバ17に受け入れられ、膨張弁151を経て、再度負荷冷却器12を冷却する冷却回路を構成することにより、負荷冷却器12を冷却する。
【0040】
特に、負荷冷却器12、圧縮機14、蓄熱器16、コンデンサー18、受液器17、膨張弁151をこの順に冷媒配管により順次接続して、内部に冷却用冷媒が流れる冷却回路70に対して、負荷冷却器12と蓄熱器16との間を熱交換器200を介して循環するデフロスト回路72を設け、デフロスト回路72は冷却回路70の冷却用冷媒と、デフロスト回路72のデフロスト用熱媒との間で熱交換する熱交換器200を負荷冷却器12より下方、かつ、蓄熱器16より上方となるように設け、冷却回路70の冷却用冷媒は、熱交換器200と負荷冷却器12との間でループ型サーモサイフォン式第1循環路を構成し、デフロスト回路72のデフロスト用熱媒は、熱交換器200と蓄熱器16との間でループ型サーモサイフォン式第2循環路を構成するとともに、冷媒配管が、受液器17から膨張弁151を介して負荷冷却器12に向かって冷媒液または気液混合冷媒が流れる冷媒用往路155と、負荷冷却器12から圧縮機14に向かって冷媒ガスが流れる冷媒用復路153とを有し、負荷冷却器12は、冷媒用往路155と冷媒用復路153とを連通接続する伝熱管104を有し、ループ型サーモサイフォン式第1循環路は、伝熱管の冷媒用復路153側で連通接続され、熱交換器200に向かうデフロスト用冷媒往路204と、熱交換器200から伝熱管の冷媒用往路155側で連通接続されるデフロスト用冷媒復路202と、を有し、デフロスト用冷媒往路204には、開閉弁208、デフロスト用冷媒復路202には、熱交換器200から冷媒用往路155に向かう流れのみを可能とする逆止弁206がそれぞれ設けられ、
ループ型サーモサイフォン式第2循環路により、蓄熱器16で加熱されたデフロスト用熱媒が熱交換器200に向かい、熱交換器200において、冷却用冷媒に放熱し、ループ型サーモサイフォン式第1循環路により、加熱された冷却用冷媒は、デフロスト用冷媒復路202を通じて、負荷冷却器12の伝熱管の冷媒用往路155側に向かい、伝熱管の内部からデフロストを行い、放熱した冷却用冷媒は、伝熱管の冷媒用復路153側からデフロスト用冷媒往路204を通じて熱交換器200に向かい、循環流が形成され、これを繰り返すことにより、デフロスト回路72が、蓄熱器16内において、デフロスト用熱媒を介して蓄熱剤から吸熱する吸熱部と、負荷冷却器12内において、冷却回路70の冷却用冷媒を利用して放熱するデフロスト部とを有することが可能であり、それにより、負荷冷却器12の構造の大型化およびデフロスト制御の複雑さを低減することにより信頼性を確保しつつ、デフロスト性能が向上可能である。
【0041】
以上の構成を有する負荷冷却器12のデフロスト(除霜)方法によれば、互いに並列接続される複数の負荷冷却器12、圧縮機14、蓄熱器16、コンデンサー18、レシーバ17、膨張弁151をこの順に冷媒配管により順次接続することにより構成され、内部に冷却用冷媒が流れる冷却回路により、蓄熱器16を通じて蓄熱するとともに、負荷冷却器12を冷却する一方、デフロスト用熱媒が、複数の負荷冷却器12各々と蓄熱器16との間で熱循環する、デフロスト回路により、蓄熱器16を通じて放熱されるとともに、負荷冷却器12をデフロストする負荷冷却器12のデフロスト方法において、複数の負荷冷却器12のいずれかを冷却運転することにより、蓄熱器16に蓄熱する段階と、複数の負荷冷却器12のいずれかをデフロスト運転する段階とを有する。
【0042】
この場合、デフロスト運転段階は、複数の負荷冷却器12のいずれかを冷却運転することにより、蓄熱器16に蓄熱しつつ、それと併行して、複数の負荷冷却器12の残りのいずれかをデフロスト運転する段階を有するのでもよいし、または、デフロスト運転段階は、複数の負荷冷却器12すべての冷却運転を停止しつつ、それと併行して、複数の負荷冷却器12のいずれかをデフロスト運転する段階を有するのでもよく、冷却運転およびデフロスト運転の多様な運転モードに対して対応可能としながら、冷却用冷媒の種類、温度圧力条件に影響を及ぼすことなしに、デフロスト可能となる。
【0043】
変形例として、冷却運転中において、蓄熱段階終了後に、蓄熱器16をバイパスする段階を有するのでもよい。
より詳細には、圧縮機14からの吐出冷媒ガスが蓄熱器16を介してコンデンサー18まで流れることにより、蓄熱器16での圧力損失が不可避的に生じることから、このような圧力損失を排除するために、蓄熱用往路147Aと蓄熱用復路147Bとの間を接続する蓄熱器バイパス管を設け、蓄熱器バイパス管(図示せず)を介して蓄熱器16をバイパスするようにしてもよい。
特に、通常冷却運転において、蓄熱器16により十分な蓄熱がなされた後には、蓄熱器バイパス管を介して蓄熱器16をバイパスすることにより、冷却運転のみを行ってもよい。
【0044】
本発明に係る冷凍装置の第2実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本発明の第2実施形態の特徴は、デフロスト用熱媒復路84に設置される受液器20の設置レベルにあり、それにより、デフロスト運転の多様性を拡大した点にある。
より詳細には、デフロスト用熱媒復路84に設置される受液器20は、第1実施形態においては、
図1に示すように、熱交換器200Aおよび200Bと熱交換器200Cおよび熱交換器200Dとの間のレベルであるが、本実施形態においては、
図9に示すように、最下方レベルに位置する熱交換器200Cおよび200Dと蓄熱器16との間のレベルに設置しており、これにより、デフロスト運転の際、第1実施形態においては、負荷冷却器12Aないし12Dの4基すべてを同時にデフロスト運転するのが困難であったところ、本実施形態においては、負荷冷却器12Aないし12Dの4基すべてを同時にデフロスト運転するのを可能としている。
【0045】
受液器20内のデフロスト用熱媒の液面と蓄熱器16とのレベル差Hは、このような観点から定めればよく、熱交換器200Cおよび熱交換器200Dの直下方が好ましい。
冷却運転は、第1実施形態と同様であり、デフロスト運転について、ループ型サーモサイフォンによる自然循環を達成する点においては、第1実施形態と同様である。
デフロスト運転の態様について、複数の負荷冷却器のいずれかを冷却運転することにより、蓄熱器に蓄熱する段階と、複数の負荷冷却器のすべてまたはいずれかをデフロスト運転する段階とを有し、デフロスト運転段階は、複数の負荷冷却器のいずれかを冷却運転することにより、蓄熱器に蓄熱しつつ、それと併行して、複数の負荷冷却器の残りのいずれかをデフロスト運転する段階を有するのでもよく、デフロスト運転段階は、複数の負荷冷却器すべての冷却運転を停止しつつ、それと併行して、複数の負荷冷却器のすべてまたはいずれかをデフロスト運転する段階を有するのでもよい、
【0046】
より具体的には、
図9に示すように、負荷冷却器12Aないし12Dの冷却運転により、蓄熱器に蓄熱した後、圧縮機14を停止して、切替弁300、302、312、208A、208B、208C、208D、322A、322B、322C、322D、210A、210B、210C、および210Dすべてを開き、負荷冷却器12Aないし12Dすべてについて、デフロスト運転を行ってもよいし、第1実施形態と同様に、負荷冷却器12Aないし12Dの冷却運転により、蓄熱器に蓄熱した後、上方レベルに位置する負荷冷却器12Aおよび12Bを冷却運転しながら、下方レベルに位置する負荷冷却器12Cおよび12Dをデフロスト運転したり、下方レベルに位置する負荷冷却器12Cおよび12Dを冷却運転しながら、上方レベルに位置する負荷冷却器12Aおよび12Bをデフロスト運転したりすることにより、いわゆる追っかけ運転をしてもよい。あるいは、負荷冷却器12Aないし12Dの冷却運転により、蓄熱器に蓄熱した後、圧縮機14を停止して、負荷冷却器12Aないし12Dのうちデフロストが必要な負荷冷却器のみを選択して、デフロスト運転してもよい。
この場合、負荷冷却器12Aないし12Dすべてについて、デフロスト運転を行う際、上方レベルの負荷冷却器12Aおよび12Bのデフロスト運転を確実に行うのに、負荷冷却器12Aおよび12Bへのデフロスト用熱媒往路の口径を負荷冷却器12Cおよび12Dへのデフロスト用熱媒往路の口径より拡径化することにより、流路抵抗を低減するのでもよい。
以上のように、本実施形態は、第1実施形態に比較して、ループ型サーモサイフォンによりデフロスト運転を行う場合の多様性を拡大している。
【0047】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、ループ型サーモサイフォン式第1循環路は、デフロスト用冷媒が伝熱管の冷媒用復路側から熱交換器に向かうデフロスト用冷媒往路と、デフロスト用冷媒が熱交換器から伝熱管の冷媒用往路側に向かうデフロスト用冷媒復路と、を有し、デフロスト用冷媒往路には、開閉弁、デフロスト用冷媒復路には、熱交換器から冷媒用往路に向かう流れのみを可能とする逆止弁がそれぞれ設けられるものとして説明したが、それに限定されることなく、デフロスト用冷媒の流れを逆向き、すなわち、ループ型サーモサイフォン式第1循環路が、デフロスト用冷媒が熱交換器から伝熱管の冷媒用復路側に向かうデフロスト用冷媒復路と、デフロスト用冷媒が伝熱管の冷媒用往路側から熱交換器に向かうデフロスト用冷媒往路と、を有し、デフロスト用冷媒往路には、開閉弁、デフロスト用冷媒復路には、熱交換器から前記冷媒用復路に向かう流れのみを可能とする逆止弁がそれぞれ設けられるのでもよく、いずれの場合も、熱交換器において、デフロスト用熱媒とはカウンターフローとなるようにするのがよい。
たとえば、蓄熱器16により十分な蓄熱が行われている限り、デフロストが必要な負荷冷却器12のみについて、個別にデフロスト運転を行うのでもよく、その場合、デフロストが必要な負荷冷却器12が複数ある場合には、冷却運転を行いながら蓄熱を行うと同時に、デフロスト運転を行ういわゆる追っかけ運転をしてもよい。
たとえば、本実施形態において、蓄熱器16として説明したが、それに限定されることなく、冷媒からの蓄熱が可能である限り、蓄熱槽でもよく、さらに、冷媒により蓄熱しなくても、外部の熱源、たとえば排熱を利用して蓄熱してもよい。
【0048】
たとえば、第1実施形態および第2実施形態において、負荷冷却器12が複数ある場合において、デフロスト用熱媒復路84に受液器20を設置しているが、それに限定されることなく、複数の負荷冷却器12がすべて同じレベルに設置され、かつ、負荷冷却器12側または蓄熱器16側の負荷変動が大きくない場合には、ループ型サーモサイフォンにより安定的に自然循環が可能であるから、受液器20を省略してもよい。
たとえば、本実施形態において、熱交換器200と負荷冷却器12との間のループ型サーモサイフォン第1循環路について、図面(
図1)から見て時計回り、すなわち、熱交換器200から冷媒往路202を通じて負荷冷却器12へ、負荷冷却器12から冷媒復路204を通じて熱交換器200へ戻る態様として説明したが、それに限定されることなく、ループ型サーモサイフォン第1循環路に、冷却回路70用の冷媒を流用可能である限り、反時計回りでもよく、この場合、冷媒往路202に設ける逆止弁206を逆向きとすればよい。
【0049】
たとえば、本実施形態において、熱交換器200と負荷冷却器12との間のループ型サーモサイフォン第1循環路について、図面(
図1)から見て時計回り、すなわち、熱交換器200から冷媒往路202を通じて負荷冷却器12へ、負荷冷却器12から冷媒復路204を通じて熱交換器200へ戻る態様であって、冷媒往路202に逆止弁206、冷媒復路204に開閉弁208を設けるものとして説明したが、それに限定されることなく、冷媒往路202に開閉弁208、冷媒復路204に逆止弁206を設けるのでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置10の構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置10の空気冷却器の斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置10の空気冷却器まわりを示す概略図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置10のデフロスト運転に応じた切り替え弁の開閉状況を示す表である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置10において、蓄熱中の通常冷却運転を示す
図1と同様な図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置10において、デフロスト運転を示す
図1と同様な図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置10において、変形例のデフロスト運転を示す
図1と同様な図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置10において、変形例の運転状況を示す
図1と同様な図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る冷凍装置10において、
図1と同様な図である。
【符号の説明】
【0051】
H レベル差
10 冷凍装置
12 負荷冷却器
14 圧縮機
16 蓄熱器
17 レシーバ
18 コンデンサー
20 受液器
70 冷却回路
72 デフロスト回路
74 吸熱部
76 デフロスト部
78 放熱部
80 冷却部
81 コンデンシングユニット
82 デフロスト用熱媒往路
84 デフロスト用熱媒復路
86 入り口側冷媒分岐管
90 出口側冷媒管
92 出口側デフロスト用熱媒管
100 通風流路
101 送風機
102 ケーシング
103 ターミナルボックス
104 伝熱管
105 冷媒用ヘッダー
106 デフロスト用伝熱管
112 空気冷却用冷媒流入開口
113 仕切板
117 吊り金具
118 デフロスト用熱媒流出開口
120 仕切板
122 冷媒管用貫通孔
128 冷却用直管部
130 冷却用U字管部
132 プレート状フィン
134 ドレンパン
135 デフロスト用伝熱管
136 分岐管
137 底面
140 逆止弁
141 分流器
143 逆止弁
145A 冷却水供給管
145B 冷却水戻し管
147A 蓄熱用往路
147B 蓄熱用復路
149 液位計
151 膨張弁
153 冷却用復路
155 冷却用往路
200 熱交換器
202 冷媒復路
204 冷媒往路
206 逆止弁
208 調整弁
210 調整弁
300 切替弁
302 切替弁
312 切替弁
322 切替弁