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特開2024-89048光ネットワークシステム、制御方法、制御プログラム、制御装置、光中継装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089048
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】光ネットワークシステム、制御方法、制御プログラム、制御装置、光中継装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/29 20130101AFI20240626BHJP
   H04B 10/2507 20130101ALI20240626BHJP
【FI】
H04B10/29
H04B10/2507
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204160
(22)【出願日】2022-12-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「研究開発課題名:Beyond 5G 超高速・大容量ネットワークを実現する小型低電力波長変換・フォーマット変換技術の研究開発、研究開発項目1 小型波長変換・フォーマット変換用低電力デジタル信号処理技術の研究開発、研究開発項目2 小型波長変換・フォーマット変換用フロントエンド技術の研究開発、副題:大容量光ネットワークの利用効率向上に向けた小型低電力波長変換・フォーマット変換技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】立野 翔真
(72)【発明者】
【氏名】野口 栄実
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AD01
5K102KA02
5K102KA08
5K102KA33
5K102KA39
5K102KA40
5K102PH47
5K102PH48
5K102RD26
(57)【要約】
【課題】光伝送における非線形歪による信号品質の劣化を抑制する光ネットワークシステムを提供する。
【解決手段】光中継装置と、光中継装置を制御する制御装置とを備える。制御装置は、光ネットワークのパスにおいて光中継装置が送受信する光信号の波長情報及び光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報を管理し、波長情報及び伝送路情報に基づいて、光中継装置において補償する波長分散補償量を決定する。また制御装置は、波長情報及び伝送路情報に基づいて、光中継装置において位相共役処理を決定する。光中継装置は、制御装置から決定された波長分散補償量と、位相共役処理情報を取得し、取得した波長分散補償量に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し波長分散補償処理を行い、取得した位相共役処理情報に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し位相共役処理を行う。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ネットワークを構成する光中継装置と、前記光中継装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記光ネットワークのパスにおいて前記光中継装置が送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報を管理する管理手段と、
前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量を決定する波長分散補償制御手段と、
前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記光中継装置において位相共役処理を決定する位相共役処理制御手段と、
を備え、
前記光中継装置は、
前記制御装置から前記決定された波長分散補償量を取得する波長分散補償量取得手段と、
前記制御装置から前記決定された位相共役処理情報を取得する位相共役処理取得手段と、
前記取得された位相共役処理情報に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し位相共役処理を行う位相共役処理手段と、
前記取得された波長分散補償量に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し波長分散補償処理を行う波長分散補償手段と、
を備える光ネットワークシステム。
【請求項2】
前記波長分散補償制御手段は、前記光中継装置の受信側の前記波長情報及び前記伝送路情報と前記光中継装置の送信側の前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記光中継装置の受信側の光伝送路における有効非線形距離での蓄積波長分散量と、前記光中継装置の送信側の光伝送路における有効非線形距離での蓄積波長分散量を求める、
請求項1に記載の光ネットワークシステム。
【請求項3】
前記波長分散補償制御手段は、前記光中継装置の受信側の光伝送路における有効非線形距離での前記蓄積波長分散量と、前記光中継装置の送信側の光伝送路における有効非線形距離での前記蓄積波長分散量と、光中継装置における位相共役処理による波長分散補償量に基づいて、前記波長分散補償量を決定する、
請求項2に記載の光ネットワークシステム。
【請求項4】
前記波長分散補償制御手段は、前記光中継装置の受信側の光伝送路における光伝送前の送信信号に含まれる蓄積波長分散量と、前記光中継装置の受信側の光伝送路における有効非線形距離での前記蓄積波長分散量と、前記光中継装置の送信側の光伝送路における有効非線形距離での前記蓄積波長分散量と、光中継装置における位相共役処理による波長分散補償量に基づいて、前記波長分散補償量を決定する、
請求項2に記載の光ネットワークシステム。
【請求項5】
光ネットワークのパスにおいて光中継装置が送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報及び光ネットワークのパス数を管理し、
前記波長情報及び前記伝送路情報及び光ネットワークのパス数に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量と位相共役処理を決定する、
制御方法。
【請求項6】
光ネットワークのパスにおいて光中継装置が送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報及び光ネットワークのパス数を管理し、
前記波長情報及び前記伝送路情報及び光ネットワークのパス数に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量と位相共役処理を決定する、
処理をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項7】
光ネットワークのパスにおいて当該光ネットワークを構成する光中継装置の送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量を決定する波長分散補償制御手段と、
前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記光中継装置における位相共役処理を決定する位相共役処理制御手段と、
を備える制御装置。
【請求項8】
前記位相共役処理制御手段は、前記光信号の複素共役を算出するための位相共役処理の実施の指示を前記光中継装置に送信する
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記波長分散補償制御手段は、
前記光中継装置が接続する光伝送路のうち当該光中継装置が受信する光信号を送信する送信側のネットワーク装置との間の第一の光伝送路における前記送信側のネットワーク装置を基準とした第一の有効非線形距離における第一の累積波長分散量を算出し、
前記光中継装置が接続する光伝送路のうち当該光中継装置が送信する光信号の受信側のネットワーク装置との間の第二の光伝送路における前記光信号の自装置を基準とした第二の有効非線形距離における第二の累積波長分散量であって前記第一の累積波長分散量の異符号の第二の累積波長分散量を算出し、
前記波長分散補償量であって、前記第二の光伝送路における距離に応じた前記光信号の累積波長分散量の推移の統計値に基づいて前記第二の有効非線形距離において前記光信号の累積波長分散量が前記第二の累積波長分散量となる場合の前記光信号の前記光中継装置における送信時の波長分散量と、前記複素共役の結果である波長分散量との差を示す前記波長分散補償量を算出する
請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
光ネットワークのパスにおいて当該光ネットワークを構成する自装置の送受信する光信号の波長情報及び自装置に接続される光伝送路の伝送路情報に基づいて、自装置において補償する波長分散補償量を決定する波長分散補償制御手段と、
前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、自装置における位相共役処理を決定する位相共役処理制御手段と、
を備える制御装置と通信接続する前記自装置を示す光中継装置であって、
前記制御装置から取得した位相共役処理情報に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し位相共役処理を行う位相共役処理手段と、
前記波長分散補償量に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し波長分散補償処理を行う波長分散補償手段と、
を備える光中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワークシステム、制御方法、制御プログラム、制御装置、光中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、5Gの無線通信システムの導入が進められており、ポスト5G時代に向けては、無線通信のみならず光通信分野においても、大容量通信や超高速化、超低遅延化、多数同時接続化への要望が強まっている。このため、光通信システムに関し、多様な通信サービス・産業用途への活用が期待され研究が進められている。
【0003】
例えば、基幹系光通信システムでは、光位相変調方式と偏波多重分離技術を組み合わせたデジタルコヒーレント方式を用いることで、100Gbps(Giga bit per second)超の大容量化が実現されている。さらに、信号帯域を狭窄化して波長多重化(Wavelength Division Multiplexing:WDM)することにより、周波数利用効率を向上させ多数同時接続を可能とする伝送方式の研究開発も行われている。また、光通信システムにおける高ボーレート化や信号変調の高多値化による大容量通信の妨げとなる光伝送中に発生する信号歪を光学的な処理もしくはデジタル信号処理によって補償する歪補償技術に関する研究開発も行われている。
【0004】
関連する技術として、例えば、特許文献1~3が知られている。特許文献1には、コヒーレント方式を用いた受信端と送信端とにより光信号の波長を変換する波長変換器が開示されている。
【0005】
特許文献2には、送信装置と受信装置の間に、デジタル信号処理により位相共役信号を生成する光位相共役装置を接続することが開示されている。
【0006】
特許文献3には、送信装置と受信装置の間に、光伝送路での波長分散を補償する分散補償モジュールを接続することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2017-511036号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0224855号明細書
【特許文献3】特開2011-035735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような光ネットワークシステム関連する技術では、光伝送における非線形歪による信号品質の劣化を抑制することが求められている。
【0009】
本開示は、上述の課題を解決する光ネットワークシステム、制御方法、制御プログラム、制御装置、光中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る光ネットワークシステムは、光ネットワークを構成する光中継装置と、前記光中継装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記光ネットワークのパスにおいて前記光中継装置が送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報を管理する管理手段と、前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量を決定する波長分散補償制御手段と、前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記光中継装置において位相共役処理を決定する位相共役処理制御手段と、を備え、前記光中継装置は、前記制御装置から前記決定された波長分散補償量を取得する波長分散補償量取得手段と、前記制御装置から前記決定された位相共役処理情報を取得する位相共役処理取得手段と、前記取得された位相共役処理情報に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し位相共役処理を行う位相共役処理手段と、前記取得された波長分散補償量に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し波長分散補償処理を行う波長分散補償手段と、を備える。
【0011】
本開示に係る制御方法は、光ネットワークのパスにおいて光中継装置が送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報及び光ネットワークのパス数を管理し、前記波長情報及び前記伝送路情報及び光ネットワークのパス数に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量と位相共役処理を決定する。
【0012】
本開示に係るプログラムは、光ネットワークのパスにおいて光中継装置が送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報及び光ネットワークのパス数を管理し、前記波長情報及び前記伝送路情報及び光ネットワークのパス数に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量と位相共役処理を決定する、処理をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、光伝送における非線形歪による信号品質の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】基本例に係る光ネットワークシステムの構成例を示す構成図である。
図2】基本例に係る光中継装置の構成例を示す構成図である。
図3】検討例に係る光送受信機の構成を示す構成図である。
図4A】検討例に係る光送受信機の課題を説明するための図である。
図4B】検討例に係る光送受信機の課題を説明するための図である。
図5】実施の形態に係る制御装置の概要構成を示す構成図である。
図6】実施の形態に係る光中継装置の概要構成を示す構成図である。
図7】実施の形態1に係る光ネットワークシステムの構成例を示す構成図である。
図8】実施の形態1に係る光ネットワークシステムにおける各装置の構成例を示す構成である。
図9】実施の形態1に係る波長分散補償部の構成例を示す構成図である。
図10】実施の形態1に係る光ネットワークシステムの動作例を示すフローチャートである。
図11A】実施の形態1に係る制御方法による波長分散補償の具体例を示す図である。
図11B】実施の形態1に係る制御方法による波長分散補償の具体例を示す図である。
図11C】実施の形態1に係る位相共役処理の概要を示す図である。
図12】実施の形態1に係る制御方法による波長分散補償の具体例を示す図である。
図13A】実施の形態2に係る制御方法による波長分散補償の具体例を示す図である。
図13B】実施の形態2に係る制御方法による波長分散補償の具体例を示す図である。
図14A】実施の形態3に係る制御方法による波長分散補償の具体例を示す図である。
図14B】実施の形態3に係る制御方法による波長分散補償の具体例を示す図である。
図15】本開示の一実施形態による制御装置の最小構成を示す図である。
図16】本開示の一実施形態の最小構成の制御装置による処理フローを示す図である。
図17】本開示の一実施形態の光中継装置の最小構成を示す図である。
図18】本開示の一実施形態の最小構成の光中継装置による処理フローを示す図である。
図19】本開示の一実施形態の光中継装置の他の構成を示す図である。
図20】本開示の一実施形態の他の構成の光中継装置による処理フローを示す図である。
図21】本開示の一実施形態のコンピュータのハードウェアの概要を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本開示の光ネットワークシステム、制御方法、制御プログラム、制御装置、光中継装置に関する実施の形態について説明する。各図面においては、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。なお、構成図(ブロック図)に付された矢印は説明のための例示であり、信号の種類や方向を限定するものではない。
【0016】
(実施の形態に至る検討)
図1は、本実施の形態の基本となる基本例に係る光ネットワークシステムの構成を示している。基本例に係る光ネットワークシステム1は、例えば、基幹系波長多重光伝送システムであり、当該システムを構成する装置が光信号の波長多重を行うとともに、各波長の光信号で高多値変調及びデジタルコヒーレント伝送を行うことにより100Gbps超の大容量通信を行う。高密度な波長多重により、光の周波数利用効率の向上が可能であり、モバイルトラフィックや波長デフラグに対応できる。
【0017】
光ネットワークシステム1は、障害時の伝送路の切り替えや局所的なトラフィック需要(例えば、データセンタ4,5、ITサービス事業者6のネットワーク、イベント会場7,8のネットワークからの通信のトラフィック需要)に対応するために、光信号のまま伝送路(波長パスや光伝送路)を柔軟に切り替えることができる光中継装置2(例えば2-1~2-10)を備える。光ネットワークシステム1は、光中継装置2(例えば2-1~2-10)を備えることでインフラとしての光信号による通信を維持することができる。光中継装置2は、波長多重された光信号を中継可能なフォトニックノードであり、例えば、ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)機器である。各光中継装置2には波長パス(単にパスとも称する)が割り当てられ、割り当てられた波長パスの光信号を通す光通信ケーブルを介して収容するローカルネットワークや他の光中継装置2のトラヒックを転送先のネットワークや他の通信装置へ転送する。
【0018】
図2は、基本例に係る光中継装置2の構成例を示している。光中継装置2は、光の波長多重信号を分岐/挿入し、当該分岐/挿入する各波長の信号をコヒーレント変復調する。図2に示すように、光中継装置2は、光スイッチ部300と送受信部310を備えている。
【0019】
光スイッチ部300は、光ネットワークシステム1における前段の光中継装置2から受信する所定の波長パスの光信号を後段の光中継装置2へ転送し、また、受信する光信号を波長毎に分岐/挿入する。例えば、光スイッチ部300は、分波器301、合波器302、分岐挿入部303を備えている。分波器301は、光伝送路3から受信した光信号を複数の波長の光信号に分離する。合波器302は、複数の波長の光信号を1つの光信号に合波し光伝送路3へ送信する。分岐挿入部303は、分波器301と合波器302の間で各波長の光信号を分岐/挿入する。
【0020】
送受信部(トランスポンダ)310は、光スイッチ部300の分岐挿入部303から分岐された各波長の光信号を受信して、コヒーレント復調した受信データを収容するローカル装置(ネットワーク)へ出力する。また、送受信部310は、ローカル装置から送信データを入力して、コヒーレント変調した各波長の光信号を光スイッチ部300の分岐挿入部303へ送信(挿入)する。送受信部310は、各波長の光信号を送受信する複数の光送受信機311を備えている。光送受信機311は、所定の波長の光信号を受信し、さらに所定の波長(受信波長と同一または異なる波長)の光信号を送信先へ送信する。
【0021】
ここで、光送受信機311として、光送受信機を使用する場合に生じる課題について検討する。図3は、検討例に係る光送受信機の構成例を示している。図3に示すように、検討例に係る光送受信機314は、コヒーレント受信フロントエンド部210、コヒーレント送信フロントエンド部220、取得部910、デジタル信号処理部901を備えている。デジタル信号処理では、波長分散補償を可能とする。
【0022】
コヒーレント受信フロントエンド部210は、前段の光中継装置2から受信した光信号を所定の波長の局発光(局部発振光:Local oscillator(LO)光)によりコヒーレント検波し、検波した信号をデジタル信号処理部901へ出力する。コヒーレント送信フロントエンド部220は、デジタル信号処理部901により処理された信号を所定の波長に光変調(コヒーレント変調)し、生成した光信号を次段の光中継装置2へ送信する。デジタル信号処理部901は、DSP(Digital Signal Processor)であり、コヒーレント受信フロントエンド部210によりコヒーレント検波された信号をデジタル信号に変換して、信号処理された受信データを出力し、また入力される送信データを再生し、光変調用に変換した信号をコヒーレント送信フロントエンド部220へ出力する。検討例では、デジタル信号処理部901において、波長分散補償を行う。
【0023】
図4A及び図4Bは、検討例に係る光送受信機314を含む光中継装置90を用いた場合における波長分散量を示している。図4Aに示すように、送信端局装置(送信端)30と受信端局装置(受信端)40の間に、光伝送路3a及び3bを介して光中継装置90が接続されている。光伝送路3aは距離L1、光伝送路3bは距離L2から成り、L1とL2は同じ長さでもよいし、異なっていても良い。光伝送路3aでは波長λ1の光信号が伝送され、光伝送路3bでは波長λ2の光信号が伝送される。
【0024】
なお、図4Aのように送信端局装置30から受信端局装置40のパスに光中継装置90が接続される構成において、光中継装置90よりも送信端局装置30側を光中継装置90の前段(光信号の受信側)、光中継装置90よりも受信端局装置40側を光中継装置の後段(光信号の送信側)と称する場合がある。また、光中継装置90と送信端局装置30の間の光伝送路を前段(第1部分)の光伝送路、光中継装置90と受信端局装置40の間の光伝送路を後段(第2部分)の光伝送路と称する場合がある。
【0025】
図4Bに示すように、波長分散量は、光伝送路の距離に比例して増大する。このため、光中継装置が単なる信号増幅のみにより光信号を中継した場合、送信端局装置30から受信端局装置40まで距離に応じて波長分散量が増大し続ける。そうすると、光伝送路の距離が長くなるにしたがって、受信端局装置40において受信する光信号の品質が大きく劣化する。
【0026】
検討例では、送信端局装置30から受信端局装置40のパスに接続された光中継装置90において波長分散補償を行う。検討例では、光中継装置90において、図4Bに示すように、光中継装置90の後段の光伝送路3bの中点で波長分散量がゼロになるように光中継装置90で波長分散補償を行うことで、後段の光伝送路の累積波長分散量の絶対値を最小にでき、波長分散による光信号のスペクトル分散が抑えられ、受信端である受信端局装置40におけるSPM(Self Phase Moduration)による非線形歪の影響を緩和できる。非線形歪とは、光ファイバ中を光信号が伝搬する際に光信号強度に比例して物質中の屈折率が変化し光自身の位相が変化する現象であり、高ボーレート化、高多値化による大容量化や長距離伝送を制限する要因になっている。
【0027】
ここで上述の検討例では、多数スパン伝送の光ネットワークシステムであるものの、光伝送路の単一スパン伝送後のSPM由来の非線形歪の影響を緩和する。なおスパンとは、光ネットワークシステムを構成する送信端局装置、光中継装置90、受信端局装置40などのネットワーク装置同士の光伝送路3により形成されるネットワークの間隔を示す。
【0028】
しかしながら検討例ではスパン数が多く増えた際の多数光伝送ネットワークでは、多スパン光伝送における波長分散補償による非線形歪の緩和効果が十分に得られない。本開示では、多数光伝送ネットワークにおいて光中継装置における最適な波長分散補償と位相共役により、多スパン伝送光による非線形歪の相殺効果を最大化することが可能とする。
【0029】
(実施の形態の概要)
図5は、本実施の形態に係る制御装置の概要構成を示す。図6は、本実施の形態に係る光中継装置の概要構成を示す。制御装置10と光中継装置20は、光ネットワークシステムを構成する。本実施の形態に係る光中継装置20は、光ネットワークシステムの一部を構成し、本実施の形態に係る制御装置10は、光ネットワークシステム他の構成である光中継装置20を制御する。
【0030】
図5に示すように、制御装置10は、管理部11と位相共役制御部12と波長分散補償制御部13を備える。管理部11は、光ネットワークのパスにおいて光中継装置20が送受信する光信号の波長情報及び光中継装置20に接続される光伝送路の伝送路情報を管理する。位相共役制御部12は、管理部11が管理する波長情報及び伝送路情報及びに基づいて、光中継装置20において位相共役処理を決定する。波長分散補償制御部13は、管理部11が管理する波長情報及び伝送路情報に基づいて、光中継装置20において補償する波長分散補償量を決定する。
【0031】
図6に示すように、光中継装置20は、コヒーレント受信フロントエンド部21、位相共役部22、波長分散補償部23、コヒーレント送信フロントエンド部24、位相共役取得部25、波長分散補償取得部26を備える。
【0032】
位相共役取得部25は、制御装置10から位相共役制御部12により決定された位相共役処理を取得する。波長分散補償取得部26は、制御装置10から波長分散補償制御部13により決定された波長分散補償量を取得する。コヒーレント受信フロントエンド部21は、受信される光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波し、コヒーレント検波した電気信号を出力する。位相共役部22は、位相共役取得部25により取得された位相共役処理設定に基づいて、コヒーレント受信フロントエンド部21から出力された電気信号に対しデジタル信号処理により位相共役処理を行う。波長分散補償部23は、波長分散補償取得部26により取得された波長分散補償量に基づいて、位相共役部22から出力された電気信号に対しデジタル信号処理により波長分散補償処理を行う。コヒーレント送信フロントエンド部24は、位相共役部22により位相共役処理を行った電気信号と波長分散補償部22により波長分散補償処理を行った電気信号を送信光に基づいてコヒーレント変調し、コヒーレント変調された光信号を送信する。
【0033】
このように、実施の形態では、制御装置10は、パスにおいて光中継装置20が送受信する光信号の波長情報及び光中継装置20に接続される光伝送路の伝送路情報に基づいて、光中継装置20における位相共役処理と波長分散補償量を決定する。制御装置10は、光中継装置20において、決定された位相共役処理と波長分散補償量の波長分散補償を行う。
【0034】
光中継装置20で光信号の位相共役を行うことで、光中継装置20の前段の光伝送路において光信号の歪を反転させることができる。光中継装置20の後段の光伝送路を信号が伝搬することで歪が逆再生されて受信端側で歪が相殺される。以下に示すような実施の形態によって、光中継装置20において、適切な位相共役と波長分散補償量により波長分散補償を行うことができるため、多スパン光ネットワークにおいて各光中継装置20における位相共役と波長分散補償に用いて、多スパン光伝送による非線形歪の相殺効果を最大化することが可能となり、光ネットワークの受信端における非線形歪による信号品質の劣化を効果的に抑えることができる。
【0035】
(実施の形態1)
次に、図面を参照して実施の形態1について説明する。図7は、本実施の形態に係る光ネットワークシステムの構成例を示している。図7に示すように、本実施の形態に係る光ネットワークシステム50は、制御装置100、複数の光中継装置200、送信端局装置30、受信端局装置40を備えている。
【0036】
複数の光中継装置200、送信端局装置30、受信端局装置40の間は、光伝送路3を介して光通信可能に接続されている。複数の光中継装置200、送信端局装置30及び受信端局装置40と制御装置100との間は、制御信号を通信可能に接続されている。複数の光中継装置200、送信端局装置30及び受信端局装置40と制御装置100との間は、光伝送路3を介して接続されてもよいし、有線や無線を含むその他の任意の伝送路により通信可能に接続されてもよい。
【0037】
複数の光中継装置200、送信端局装置30及び受信端局装置40は、光伝送路3を介して光通信を行う光伝送装置(光ノード)である。送信端局装置30及び受信端局装置40は、複数の光伝送路3の接続により構成されたパスにおける送信端及び受信端を構成する。送信端局装置30は、制御装置100により設定されたパスの波長により波長多重された光信号を、光伝送路3を介して受信端局装置40へ送信する。受信端局装置40は、制御装置100により設定されたパスの波長により波長多重された光信号を、光伝送路3を介して送信端局装置30から受信する。
【0038】
複数の光中継装置200は、基本例と同様に、波長多重された光信号を中継可能な中継装置である。複数の光中継装置200は、WDM通信を行う光ネットワーク51を構成する。複数の光中継装置200は、送信端局装置30及び受信端局装置40とともに、光ネットワーク51を構成するとも言える。光ネットワーク51は、図1と同様に、波長多重光ネットワークである。光ネットワーク51は、メッシュ形状のネットワークでもよいし、リング形状のネットワークやPoint-to-Point、その他のトポロジのネットワークでもよい。また、複数の光中継装置200は、制御装置100からの制御に応じて、送信端局装置30から受信端局装置40までのパスを構成し、パスの経路上で設定された波長により光信号(データ)を伝送する。
【0039】
制御装置100は、複数の光中継装置200を含む光ネットワーク51を管理及び制御する。例えば、制御装置100は、ネットワークを管理するNMS(Network Management System)である。
【0040】
制御装置100は、光ネットワーク51において光中継装置200が構成するパスを管理及び制御する。制御装置100は、送信端局装置30から受信端局装置40までのパスの経路や波長を管理し、送信端局装置30及び受信端局装置40、パス上の光中継装置200に対しパスの経路や波長等を設定する。
【0041】
図8は、本実施の形態に係る光ネットワークシステムにおける各装置の構成例を示している。図8に示すように、制御装置100は、ネットワーク管理部110,ネットワーク制御部120、波長分散補償量計算部130、位相共役決定部140を備えている。
【0042】
ネットワーク管理部110は、光ネットワーク51におけるネットワーク構成情報やパス構成情報等のネットワーク管理に必要な情報を管理する。例えば、ネットワーク管理部110は、ネットワーク管理に必要な情報を格納するデータベースにより構成されてもよい。ネットワーク構成情報は、ネットワークを構成する光中継装置200、送信端局装置30及び受信端局装置40の接続関係や、各装置間を接続する光伝送路3の伝送路情報を含む。伝送路情報は、光伝送路の距離L(伝送路長)を含み、光ファイバの構造や種類、伝送特性等を含んでもよい。パス構成情報は、パスを構成する各装置の情報、パスの経路上で各装置が使用可能な波長及び波長の使用状況等を含む。これらの情報は、予めデータベースに設定されていてもよいし、各装置から収集される情報により設定されてもよく、さらに、ネットワーク制御部120等により更新されてもよい。
【0043】
ネットワーク制御部120は、光ネットワーク51におけるパス及びパスを構成する光中継装置200、送信端局装置30及び受信端局装置40を制御する。ネットワーク制御部120は、ネットワーク管理部110におけるネットワーク構成情報やパス構成情報等を参照し、送信端局装置30から受信端局装置40までのパスの経路及び波長を決定し、決定した経路及び波長を送信端局装置30、受信端局装置40、パスの経路上の光中継装置200に設定する。パスにおける光の波長は、パスの経路における光伝送路ごとに決定する。例えば、パスの経路が他のパスの経路と重なる場合、重なる区間の光伝送路において、使用可能な波長の中から、パス間で異なる波長を選択する。また、ネットワーク制御部120は、パスを構成する光中継装置200における波長分散補償量の計算に必要な情報を波長分散補償量計算部130へ出力する。例えば、ネットワーク制御部120は、光中継装置200の受信波長情報(受信する光信号の波長情報)、送信波長情報(送信する光信号の波長情報)、前後の光伝送路の伝送路情報を出力する。また、ネットワーク制御部120は、パスを構成する光中継装置200における位相共役決定情報を位相共役決定部140へ出力する。例えば、ネットワーク制御部120は、光ネットワーク51におけるパス数や光中継装置数を出力する。
【0044】
波長分散補償量計算部130は、パスを構成する光中継装置200が波長分散補償を行うための波長分散補償量を計算する。波長分散補償量計算部130は、光中継装置200の波長分散補償量を決定し制御する補償制御部である。波長分散補償量計算部130は、ネットワーク制御部120から得られる光中継装置200の受信波長情報、送信波長情報、光中継装置前後の伝送路情報に基づいて、光中継装置200に最適な波長分散補償量を決定する。波長分散補償量計算部130は、光中継装置200の受信波長情報、送信波長情報、最適な波長分散補償量を、該当する光中継装置200へ通知する。
【0045】
位相共役決定部140は、パスを構成する光中継装置200の位相共役処理を制御する。位相共役決定部140は、ネットワーク制御部120から得られる光ネットワーク51におけるパス数や光中継装置数に基づいて、光中継装置200に最適な位相共役処理を決定する。位相共役決定部140は、光中継装置200へ位相共役処理情報を通知する。
【0046】
また、図8に示すように、本実施の形態に係る光中継装置200は、光送受信機201、ノード制御部202を備えている。なお、図8では図示を省略しているが、図2の基本例と同様、光中継装置200は、光スイッチ部300及び送受信部310を含み、送受信部310に複数の光送受信機201を含む。すなわち、ノード制御部202は、光スイッチ部300及び送受信部310(複数の光送受信機201)を制御可能である。
【0047】
光送受信機201は、コヒーレント受信フロントエンド部210、コヒーレント送信フロントエンド部220、デジタル信号処理部230、受信光源240、送信光源250、ADC260、DAC270を備えている。
【0048】
受信光源240は、ノード制御部202から設定された波長(周波数)の局発光r1を生成し、生成した局発光r1をコヒーレント受信フロントエンド部210へ出力する。送信光源250は、ノード制御部202から設定された波長(周波数)の送信光r2を生成し、生成した送信光r2をコヒーレント送信フロントエンド部220へ出力する。
【0049】
局発光r1の周波数(波長)は、受信する入力光信号SO1の周波数(キャリア周波数)であり、送信光r2の周波数は、送信する出力光信号SO2の周波数である。例えば、局発光r1と送信光r2とは、異なる周波数であっても、同じ周波数としてもよい。局発光r1と送信光r2の周波数を変えることで、中継する光信号の波長を切り替えることができる。これにより、入力光信号SO1を異なる波長の出力光信号SO2に変換できる。
【0050】
コヒーレント受信フロントエンド部210、コヒーレント送信フロントエンド部220は、図3と同様の構成である。コヒーレント受信フロントエンド部210は、光信号を電気信号に変換する光/電変換部であり、コヒーレント検波を行うコヒーレント検波部である。コヒーレント受信フロントエンド部210は、入力される入力光信号SO1(受信光信号)を局発光r1に基づいてコヒーレント検波し、生成されたアナログ信号SA1(第1のアナログ電気信号)を出力する。
【0051】
ADC(Aanalog/Digital Converter)260は、コヒーレント受信フロントエンド部210により生成されたアナログ信号SA1をAD変換し、変換したデジタル信号SD1(第1のデジタル電気信号)を出力する。
【0052】
DAC(Digital/Aanalog Converter)270は、デジタル信号処理部230により信号処理されたデジタル信号SD2(第2のデジタル電気信号)をDA変換し、変換したアナログ信号SA2(第2のアナログ電気信号)を出力する。
【0053】
コヒーレント送信フロントエンド部220は、電気信号を光信号に変換する電/光変換部であり、コヒーレント変調を行うコヒーレント変調部である。コヒーレント送信フロントエンド部220は、DAC270によりDA変換されたアナログ信号SA2を送信光r2に基づいてコヒーレント変調し、生成された出力光信号SO2(送信光信号)を出力する。
【0054】
例えば、入力光信号SO1及び出力光信号SO2は、位相変調及び偏波多重された光信号である。アナログ信号SA1及びSA2、デジタル信号SD1及びSD2は、X偏波のI成分(同相成分)のIX信号、X偏波のQ成分(直交成分)のQX信号、Y偏波のI成分のIY信号、Y偏波のQ成分のQY信号を含む4レーン(4ch)の信号である。
【0055】
デジタル信号処理部230は、ADC260により変換されたデジタル信号SD1に対しデジタル信号処理を行い、デジタル信号処理後のデジタル信号SD2を出力する。デジタル信号処理部230は、信号品質を補償するための所定のデジタル信号処理を行うデジタル回路である。デジタル信号処理部230は、4レーンのIX信号、QX信号、IY信号、QY信号の全てまたは一部(X偏波またはY偏波)のそれぞれに対しデジタル信号処理を行う。
【0056】
デジタル信号処理部230は、符号誤り訂正(データ再生)など大きな遅延を伴う処理を行わず、特定の信号処理のみを行う。これにより、信号遅延を抑えつつ、必要な信号品質を補償できる。本実施の形態では、デジタル信号処理部230は、波長分散処理を行う波長分散補償部231と、位相共役処理を行う位相共役処理部232を備える。
【0057】
デジタル信号処理による波長分散補償は、光伝送路の逆伝達関数のインパルス応答と受信信号との畳み込み処理により実現できる。このため、例えば、波長分散補償部231をトランスバーサルフィルタ(FIRフィルタ)により構成してもよい。光伝送路の特性はFIRフィルタでモデル化可能であるため、その逆特性のFIRフィルタにより波長分散を補償できる。FIRフィルタは、受信信号に対し時間遅領域で等化する時間領域等化(TDE: Time Domain Equalizing)を行うのに対し、周波数領域で等化する周波数領域等化(FDE: Frequency Domain Equalization)により同じ特性を実現してもよい。FDEにより波長分散補償部を構成することにより、FIRフィルタよりも回路規模を削減できる。
【0058】
図9は、波長分散補償部231をFDE処理により構成する場合の構成例である。図9の波長分散補償部231は、オーバーラップFDEの構成例であり、オーバーラップ付加部411、高速フーリエ変換部412、逆伝達関数乗算部413、逆高速フーリエ変換部414、オーバーラップ除去部415を備えている。
【0059】
ノード制御部202は、制御装置100から通知された波長分散補償量をデジタル信号処理部230における波長分散補償部231に設定する。波長分散補償部231が図9のようなFDEで構成される場合は、ノード制御部202は、図9における逆伝達関数乗算部413の伝達関数係数を、制御装置100から通知された波長分散補償量に従って設定する。
【0060】
オーバーラップ付加部411は、入力された信号(デジタル信号)に対し前後の信号の一部をオーバーラップさせる。その後、高速フーリエ変換部412は、オーバーラップさせた信号を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)により周波数領域の信号に変換する。逆伝達関数乗算部413は、周波数領域の信号に対し伝送路の逆伝達関数を乗じて等化する。その後、逆高速フーリエ変換部414は、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)により時間領域の信号に変換する。オーバーラップ除去部415は、時間領域に復元された信号からオーバーラップ部を除去して出力する。FDEを用いる場合、逆伝達関数を変えることで波長分散補償量を調整できる。なお、オーバーラップ付加部411及びオーバーラップ除去部415は省略してもよい。
【0061】
デジタル信号処理による位相共役処理は、入力されるデジタル信号の複素共役を求める。すなわち、次の式(1)のように、Ix信号、Qx信号、Iy信号、Qy信号における虚数成分Qの符号を反転させる。
【0062】
【数1】
【0063】
ノード制御部202は、制御装置100から制御情報を受信し、受信した制御情報に基づいて、光中継装置200の各部を制御する。ノード制御部202は、ネットワーク制御部120から受信波長情報、送信波長情報、波長分散補償量計算部130から最適な波長分散補償量、位相共役決定部140から位相共役処理情報を取得する取得部である。ノード制御部202は、取得した受信波長情報に基づいて受信光源240に対し局発光r1の周波数(波長)を設定し、取得した送信波長情報に基づいて送信光源250に対し送信光r2の周波数を設定する。ノード制御部202は、制御装置100から取得した位相共役処理を実施する指示を含む制御情報に基づいて、位相共役処理部232に対し位相共役処理演算を設定する。ノード制御部202は、取得した最適な波長分散補償量に基づいて、波長分散補償部231に対し波長分散補償量を設定する。
【0064】
図10は、本実施の形態に係る光ネットワークシステムの動作例を示している。図10に示すように、まず、制御装置100のネットワーク管理部110は、光中継装置200で使用する波長を決定する(S101)。制御装置100のネットワーク制御部120は、光ネットワーク51におけるパスの経路を決定し、パスの経路上の光伝送路及び光中継装置200を特定する。ネットワーク制御部120は、特定した各光伝送路の波長を決定することで、各光中継装置200における前段と後段(変換前後)の波長、すなわち、光中継装置200が送受信する光信号の波長を決定する。ネットワーク制御部120は、決定した波長により光中継装置200の受信波長情報及び送信波長情報を波長分散補償量計算部130と位相共役決定部140とに出力するとともに、光中継装置200の前段と後段の光伝送路の伝送路情報(距離)を波長分散補償量計算部130と位相共役決定部140とに出力する。パスに複数の光中継装置200が含まれる場合、以下の処理を各光中継装置について行う。
【0065】
次に、制御装置100は、光中継装置200の波長分散補償量計算部130は、前段と後段の光伝送路における波長分散特性を算出する(S102)。波長分散補償量計算部130は、ネットワーク制御部120から取得された受信波長情報及び送信波長情報及び光中継装置200の前段と後段の光伝送路の伝送路情報(距離)に基づいて、光中継装置200の前段と後段の光伝送路における波長分散特性を算出する。なお、伝送情報に光ファイバの構造や種類、伝送特性が含まれる場合、これらの情報に基づいて波長分散特性を決定してもよい。
【0066】
例えば、波長分散特性は、光伝送路の距離に対し蓄積される波長分散量の傾き(距離に応じた波長分散量特性)である。この波長分散量の傾きは、波長によって変わるため、波長(または波長帯)と波長分散量の傾きとを関連付けたテーブルを予め記憶しておいてもよい。波長分散補償量計算部130は、このテーブルを参照し、波長に対応する波長分散特性を決定してもよい。
【0067】
次に、制御装置100の波長分散補償量計算部130は、光中継装置200における最適な波長分散補償量を決定する(S103)。波長分散補償量計算部130は、光中継装置200の前段と後段の光伝送路の波長分散特性と、当該前段と後段の光伝送路の伝送路情報に基づいて、光中継装置200における最適な波長分散補償量を決定する。波長分散補償量計算部130は、前段(受信側)の光伝送路で蓄積される波長分散量を求め、後段(送信側)の光伝送路で蓄積される波長分散量を求め、前段の波長分散量と後段の波長分散量に基づいて最適な波長分散量を決定する。特に、波長分散補償量計算部130は、送信端局装置30から光中継装置200の間に蓄積される波長分散量と、光中継装置200から受信端局装置40の間に蓄積される波長分散量に基づいて、最適な波長分散量を決定する。例えば、波長分散補償量計算部130は、光中継装置200の前段の光伝送路の波長分散特性及び伝送路情報(距離)に基づいて、前段の光伝送路で蓄積される波長分散量を求め、光中継装置200の後段の光伝送路の波長分散特性及び伝送路情報に基づいて、後段の光伝送路で蓄積される波長分散量を求める。なお、この例では、波長分散補償量計算部130は、波長分散特性及び伝送路情報に基づいて波長分散補償量を決定するが、波長分散特性は波長情報に対応しているため、波長情報及び伝送路情報に基づいて波長分散補償量を決定してもよい。すなわち、波長分散補償量計算部130は、パスにおける波長情報及び伝送路情報に基づいて、パスを構成する複数の光中継装置200における波長分散補償量を決定してもよい。
【0068】
次に、制御装置100の位相共役決定部140は、光中継装置200における最適な位相共役処理を決定する(S104)。位相共役決定部140は、光ネットワーク50おける送信端局装置30から受信端局装置40の間にある光パス数と光中継装置200の数に基づいて、光中継装置200における最適な位相共役処理を決定する。
【0069】
次に、制御装置100は、決定した波長の波長情報と、位相共役処理情報と、最適な波長分散補償量を光中継装置200へ通知する(S105)。制御装置100は、S101で決定された受信波長情報及び送信波長情報と、S104で決定された最適な位相共役処理情報と、S103で決定された最適な波長分散補償量を光中継装置200へ通知する。
【0070】
次に、光中継装置200のノード制御部202は、制御装置100から通知された波長情報の波長と、位相共役処理情報と、最適な波長分散補償量を設定する(S106)。ノード制御部202は、取得した受信波長情報の波長を受信光源240に設定し、取得した送信波長情報の波長を送信光源250に設定し、取得した位相共役処理情報を位相共役処理部232に設定し、取得した最適な波長分散補償量を波長分散補償部231に設定する。
【0071】
次に、光中継装置200は、波長変換と、位相共役処理と、波長分散補償と、を実行する(S107)。受信光源240は設定された波長(周波数)の局発光r1を生成し、送信光源250は設定された波長の送信光r2を生成することで、光送受信機201において波長変換を行う。また、位相共役処理部232は、位相共役により、位相共役処理を行い、波長分散補償部231は、位相共役処理後の信号に対し、デジタル信号処理により、設定された補償量に基づき波長分散補償処理を行う。
【0072】
図11A及び図11Bは、本実施の形態の制御方法による位相共役処理と波長分散補償処理の具体例を示している。本実施の形態では、光中継装置200が受信する光信号における前段の光伝送路で累積した非線形歪を、光中継装置200で位相共役処理を行う。これにより光中継装置200から送信される光信号の後段の光伝送路中の伝送における非線形歪を、受信端で相殺することができる。このような効果を得るために、本実施の形態における光中継装置200は、非線形歪相殺効果が最大化するような、最適な波長分散補償量を決定する。この例における最適な波長分散補償量は、光中継装置200に対して前段の伝送路と後段の伝送路における波長分散量に基づいて算出した補償量である。
【0073】
図11Aに示すように、この例では、送信端局装置30と受信端局装置40の間のパスの経路上に1つの光中継装置200が配置されている。送信端局装置30と光中継装置200の間が光伝送路3a(第1の光伝送路)を介して接続され、光中継装置200と受信端局装置40の間が光伝送路3b(第2の光伝送路)を介して接続されている。例えば、光伝送路3aの距離L1と光伝送路3bの距離L2は異なり、光伝送路3aの距離L1よりも光伝送路3bの距離L2の方が長いが、同じ距離であってもよい。光伝送路3aでは波長λ1の光信号が伝送され、光伝送路3bでは波長λ2の光信号が伝送される。例えば、波長λ1と波長λ2はともにC帯波長帯域であっても良いし、それぞれC帯波長帯域とL帯波長帯域のように異なっていても良いし、ともにL帯波長帯域であってもよい。光中継装置200は、受信する波長λ1の光信号を波長λ2の光信号に変換し、変換した波長λ2の光信号を送信する。
【0074】
図11Bに示すように、前段の光伝送路3aでは、光信号の波長がλ1であるため、制御装置100の波長分散補償量計算部130は、波長λ1に応じて、光伝送路3aにおける波長分散量の傾きDS1を決定する。光伝送路3aにおける波長分散量の傾きDS1はデータベース等の記憶手段から読み取ってよい。制御装置100の波長分散補償量計算部130は、波長分散量の傾きDS1と光伝送路3aにおける有効非線形距離Leff1を用いて、前段の光伝送路3aでの有効非線形距離Leff1での蓄積波長分散量M1(=DS1×Leff1)を求める。非線形効果は光信号強度に依存する効果であり、伝送路中の光強度は伝搬ロス定数で特徴づけられる指数関数形に従って減少するため、光強度が大きい領域のみの非線形効果を考えれば充分である。非線形効果を考慮する距離として有効非線形距離Leffを定義し、Leffは長さL、光ファイバ中の伝搬ロス定数αを用いて次の式(2)で与えられる。
【0075】
【数2】
【0076】
また、後段の光伝送路3bでは、光信号の波長がλ2であるため、制御装置100の波長分散補償量計算部130は、波長λ2に応じて、光伝送路3bにおける波長分散量の傾きDS2を決定する。光伝送路3bにおける波長分散量の傾きDS2はデータベース等の記憶手段から読み取ってよい。制御装置100の波長分散補償量計算部130は、後段の光伝送路3bにおける有効非線形距離Leff2での累積波長分散量M2を、前段の光伝送路3aにおける有効非線形距離Leff1での累積波長分散量M1と異符号となることを条件としてM2=-M1と算出する。そして波長分散補償量計算部130は、光中継装置の送信信号における累積波長分散量M3を求める。M3は、M3=M2+DS2×Leff2=DS1×Leff1+DS2×Leff2により算出できる。
【0077】
そして制御装置100の波長分散補償量計算部130は、光中継装置200が位相共役を用いて波長分散を補償するための累積波長分散補償量M5を、M5=M4×2により求める。
【0078】
制御装置100の波長分散補償量計算部130は、累積波長分散量M3と累積波長分散補償量M5との差分M6を求め、差分M6を最適な波長分散補償量として、光中継装置200に送信する。また、制御装置100は、位相共役処理を実施する指示を含む制御情報を光中継装置200に送信する。これにより、光中継装置200のノード制御部202は、図9図10を用いて説明したように、取得した位相共役処理を実施する指示を含む制御情報に基づいて、位相共役処理部232に対し位相共役処理演算を指示する。位相共役処理部232は、位相共役処理演算を行う。また光中継装置200のノード制御部202は、図9を用いて説明したように、制御装置100から通知された波長分散補償量M6をデジタル信号処理部230における波長分散補償部231に設定する。つまり、波長分散補償部231が図9のようなFDEで構成される場合は、ノード制御部202は、図9における逆伝達関数乗算部413の伝達関数係数を、制御装置100から通知された波長分散補償量M6に従って設定する。これにより、光中継装置200は後段の光伝送路3bに対し、位相共役処理部232の位相共役処理を用いた累積波長分散補償量M5の算出と、波長分散補償部231の波長分散補償量M6を用いた波長分散補償を行った後の、累積波長分散M3(M3=M4-M5-M6)が算出され、当該累積波長分散M3となる光信号を出力する(図11B)。これにより、受信端局装置40における非線形効果が抑制される。
【0079】
なお光中継装置200は、位相共役を行わずとも、累積波長分散量M3を、M3=M2+DS2×Leff2=DS1×Leff1+DS2×Leff2により算出できる。従って、光中継装置200の波長分散補償部231が当該累積波長分散量M3を算出して、位相共役を行わずに、当該累積波長分散M3となる光信号を出力するようにしてもよい(図11B)。
【0080】
図11Cは位相共役処理の概要を示す図である。
図11Cで示すように、光ネットワーク51におけるあるスパン(図11Cでは送信局端装置30と光中継装置200などのネットワーク装置間)においては非線形効果による信号劣化として送信信号の非線形歪みが発生する(図11Cの1111)。光中継装置200において位相共役処理(光信号の反転)を行う。これにより光中継装置200の後段のスパン(光中継装置200と受信端局装置40の間)において、位相共役を利用した非線形歪みの相殺効果を発揮し、受信端局装置40における信号の劣化(非線形歪み)の低減することができる。またこれに加えて、波長分散補償を行うことで、受信端局装置40における非線形歪みの相殺効果の最大化を図ることができる。
【0081】
上述の制御装置100における処理は、光ネットワークのパスにおいて当該光ネットワークを構成する光中継装置200の送受信する光信号の波長情報及び光中継装置200に接続される光伝送路の伝送路情報に基づいて、光中継装置200において補償する波長分散補償量を決定し、波長情報及び伝送路情報に基づいて、光中継装置200における位相共役処理を決定する処理の一態様である。
【0082】
また当該制御装置100における一部の処理は、光中継装置200の受信する光信号の累積波長分散量M4に基づいて当該光信号の複素共役を算出するための位相共役処理の実施の指示を光中継装置200に送信する処理の一態様である。
【0083】
また当該制御装置100における一部の処理は、光中継装置200が接続する光伝送路のうち当該光中継装置200が受信する光信号を送信する送信側のネットワーク装置との間の第一の光伝送路(前段のパス)における送信側のネットワーク装置を基準とした第一の有効非線形距離(Leff1)における第一の累積波長分散量M1を算出する処理の一態様である。
【0084】
また当該制御装置100における一部の処理は、光中継装置200が接続する光伝送路のうち当該光中継装置200が送信する光信号の受信側のネットワーク装置との間の第二の光伝送路(後段のパス)における光信号の自装置を基準とした第二の有効非線形距離(Leff2)における第二の累積波長分散量であって第一の累積波長分散量の異符号(マイナス1を乗じた)の第二の累積波長分散量(M2)を算出する処理の一態様である。
【0085】
また当該制御装置100における一部の処理は、第二の光伝送路における距離に応じた光信号の累積波長分散量の推移の統計値(DS2)に基づいて第二の有効非線形距離(Leff2)において光信号の累積波長分散量が第二の累積波長分散量(M2)となる場合の光信号の光中継装置200における送信時の波長分散量(M3)と、複素共役の結果である波長分散量(M5)との差を示す波長分散補償量(M6)を算出する処理の一態様である。
【0086】
上述の光中継装置200の処理は、波長分散補償量(M6)に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し波長分散補償処理を行い、制御装置100から取得した位相共役処理情報に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し位相共役処理を行う処理の一態様である。
【0087】
また上述の光中継装置200における一部の処理は、自装置の受信する光信号の累積波長分散量と、当該光信号の複素共役を算出するための位相共役処理の実施の指示とに基づいて、当該位相共役処理を行う処理の一態様である。
【0088】
また上述の光中継装置200における一部の処理は、位相共役処理を行った後に、複素共役の結果である波長分散量(M5)と、制御装置100から取得した波長分散補償量(M6)と、に基づいて、受信側のネットワーク装置へ送信する光信号の波長分散量(M3)を決定する処理の一態様である。
【0089】
図12は、本実施形態における制御方法による波長分散補償量の他の実施例を示している。図11Bと異なり、この例では、図12に示すように、送信端局装置30は累積波長分散量M10の光信号を光伝送路3aに送信する。なお、送信端局装置30が光ネットワーク51における光中継装置200等である場合には、このように送信端局装置30の送信する光信号に累積波長分散量M10などの分散が発生している場合がある。
【0090】
図12に示すように、光中継装置200の前段の光伝送路3aでは、光信号の波長がλ1であるため、制御装置100は、波長λ1に応じて光伝送路3aにおける波長分散量の傾きDS1を決定する。制御装置100は、有効非線形距離Leff1を用いて、前段の光伝送路3aでの有効非線形距離Leff1での蓄積波長分散量M11(=DS1×Leff1+M10)を求める。
【0091】
また、後段の光伝送路3bでは、光信号の波長がλ2であるため、制御装置100は、波長λ2に応じて、光伝送路3bにおける波長分散量の傾きDS2を決定する。制御装置100は、後段の光伝送路3bにおける有効非線形距離Leff2での累積波長分散量M12が、前段の光伝送路3aにおける有効非線形距離Leff1での累積波長分散量M11と異符号となることを条件として、光中継装置の送信信号における累積波長分散量M13(=DS1×Leff1+DS2×Leff2+M10)を求める。制御装置100は、光中継装置200における位相共役により補償される位相共役補償量M15(=M14×2)を求める。
【0092】
制御装置100は、M13とM15との差分M16を求め、M6を最適な波長分散補償量として、光中継装置200に設定する。制御装置100は、位相共役処理を実施するように光中継装置200に設定する。
【0093】
以上のように、本実施の形態では、チャネル単位で波長変換を行う光中継装置において、光受信フロントエンドから出力されたアナログ信号を、ADCにてデジタル信号に変換し、デジタル信号処理を施した後に、再度DACにてアナログ信号に変換し、光送信フロントエンドへと折り返して中継する。このとき、デジタル信号処理部において、位相共役処理と、ネットワークパス(伝送路)の伝送路長に応じて、光ファイバ伝送路で生じる波長分散歪を補償する。
【0094】
具体的には、制御装置100において、前段の伝送路における有効非線形距離での累積波長分散量と後段の伝送路における有効非線形距離での累積波長量が異符号になるように光中継装置で補償する最適な波長分散補償量を求め、光中継装置で位相共役と求めた最適な波長分散補償量により波長分散補償を行う。これにより、光中継装置の受信端における前段光伝送路において累積した非線形歪を後段光伝送の光伝送で相殺し、受信端局装置における非線形歪を抑制する効果を最大化することができる。さらに、図12のように送信端局装置による送信信号に余計な分散量が含まれている場合においても、光中継装置で適切な波長分散量を設定し、非線形歪を補償できる。
【0095】
(実施の形態2)
次に、図面を参照して実施の形態2について説明する。本実施の形態では、光ネットワークシステムの構成及び基本的な動作は実施の形態1と同様である。図13A及び図13Bは、本実施の形態における制御方法による波長分散補償量の具体例を示している。本実施例の形態では、光ネットワークのスパン数が3以上の奇数のときで、特にスパン数が3つの例について説明する。
【0096】
図13Aに示すように、送信端局装置30と受信端局装置40の間のパスの経路上に光中継装置200a(第1の光中継装置)と光中継装置200b(第2の光中継装置)が配置されている。送信端局装置30と光中継装置200aの間が光伝送路3a(第1の光伝送路)を介して接続され、光中継装置200aと光中継装置200bの間が光伝送路3b(第2の光伝送路)を介して接続され、光中継装置200bと受信端局装置40の間が光伝送路3c(第3の光伝送路)を介して接続されている。例えば、光伝送路3aの距離L1、光伝送路3bの距離L2、光伝送路3cの距離L3は、それぞれ異なるか、同じで距離であってもよい。光伝送路3aでは波長λ1の光信号が伝送され、光伝送路3bでは波長λ2の光信号が伝送され、光伝送路3cでは波長λ3の光信号が伝送される。
【0097】
実施の形態2における総スパン数3以上などの総スパン数が3つ以上の奇数の場合は、例えば、光伝送路3aと光伝送路3bなどの2スパン毎の組み合わせについて、実施の形態1の手法による制御装置100の制御を適用し、残りの光伝送路3cなどの1つの光伝送路3については、制御装置100は、当該光伝送路3(本実施形態では光伝送路3c)での1スパンを光伝送した際に非線形歪を抑制できるような最適な分散補償量を、光ネットワーク51を構成する最後の光中継装置200(本実施形態では光中継装置200b)に設定する。
【0098】
図13Bに示すように、光中継装置200aでは制御装置100による制御に基づいて実施の形態1を適用した位相共役処理と波長分散補償量M26の算出を行う。光中継装置200aにおける補償後の波長分散量M26は、実施の形態1と同様な手法で決定される。制御装置100は、光中継装置200aに実施の形態1を適用させた分散補償量M26を光中継装置200aに設定する。また、制御装置100は、位相共役処理するように光中継装置200aに設定する。
【0099】
また光中継装置200bは、また制御装置100の制御に基づいて、光伝送路3cでの1スパンの光伝送で非線形効果が最小になるような最適な波長分散補償量を補償する。制御装置100は、波長λ3に応じて、光伝送路3cにおける波長分散量の傾きDS3を決定する。制御装置100は、光伝送路3cでの送信信号が有効非線形距離L3’における累積波長分散がゼロになることを条件として、光中継装置200bの送信信号の波長分散M28(=DS3×L3’)を求める。制御装置100は、光伝送路3bで累積する累積波長分散量M27を求める。
【0100】
制御装置100は、求めた波長分散量M27、M28から光中継装置200cで補償する波長分散量をM27+M28として光中継装置200cに設定する。また、制御装置100は、光中継装置200cが位相共役処理を実施しないように設定する。
【0101】
総スパン数が5以上の奇数個Nの場合は、実施の形態2で示した総スパン3の場合と同様に、制御装置100は、実施の形態1が実施できるような光中継装置1つと光伝送路2つから成る組み合わせを特定する。制御装置100は、特定した各組み合わせの光中継装置に対して、実施の形態1による位相共役と最適な波長分散補償を設定する。制御装置100は、N個のスパンのうちの余った一つの光伝送路について、1スパンの伝送で非線形歪が最小になる最適な波長分散補償量を光中継装置に設定する。
【0102】
以上のように、本実施の形態では、多数スパンで特に奇数個のスパンの場合での受信端での非線形歪を抑制する。具体的には、実施の形態1を実施できるように光中継装置1つと光伝送路2つからなる組み合わせを設定し、各組み合わせにおける光中継装置に対して実施の形態1による位相共役と波長分散補償を設定する。余った残りの光伝送路については、1スパンで非線形歪が最小となるように実施の形態2で示した最適な波長分散補償量を設定する。したがって、奇数個の複数伝送路から成る光ネットワークにおいて波長分散補償を用いた光伝送中の非線形歪の相殺効果を最大化し、受信端での信号品質を改善することができる。
【0103】
(実施の形態3)
次に、図面を参照して実施の形態3について説明する。本実施の形態では、光ネットワークシステムの構成及び基本的な動作は実施の形態1と同様である。図14A及び図14Bは、本実施の形態における制御方法による波長分散補償量の具体例を示している。本実施例の形態では、光ネットワークのスパン数が4つ以上の偶数のときで、スパン数が4つの例について説明する。
【0104】
図14Aに示すように、送信端局装置30と受信端局装置40の間のパスの経路上に光中継装置200a(第1の光中継装置)と光中継装置200b(第2の光中継装置)と光中継装置200cが配置されている。送信端局装置30と光中継装置200aの間が光伝送路3a(第1の光伝送路)を介して接続され、光中継装置200aと光中継装置200bの間が光伝送路3b(第2の光伝送路)を介して接続され、光中継装置200bと光中継装置200cの間が光伝送路3c(第3の光伝送路)を介して接続され、光中継装置200cと受信端局装置40の間が光伝送路3d(第4の光伝送路)を介して接続されている。例えば、光伝送路3aの距離L1、光伝送路3bの距離L2、光伝送路3cの距離L3、光伝送路3dの距離L4は、それぞれ異なるか、同じで距離であってもよい。光伝送路3aでは波長λ1の光信号が伝送され、光伝送路3bでは波長λ2の光信号が伝送され、光伝送路3cでは波長λ3の光信号が伝送され、光伝送路3dでは波長λ4の光信号が伝送される。これら光の波長λ1~λ4は、それらのうちの2つ以上の波長λが同じでも良いし、異なっていてもよい。
【0105】
図14Bに示すように、実施の形態3における総スパン数4の場合は、例えば、光伝送路3aと光伝送路3bの2スパンについて、実施の形態1による制御装置100の制御を適用し、光伝送路3cと光伝送路3dの2スパンについても、実施の形態1による制御装置100の制御を適用する。
【0106】
制御装置100は、光中継装置200aには実施の形態1による制御装置100の制御を適用させた分散補償量と位相共役処理を実施する情報を設定する。つまり、制御装置100は光中継装置200aに実施の形態1の制御装置100による制御を適用して求めた最適な波長分散補償量M36を光中継装置200aに設定する。また、制御装置100は、実施の形態1と同様に位相共役処理するように光中継装置200aに設定する。
【0107】
制御装置100は、光中継装置200cにも実施の形態1による制御装置100の制御を適用させた分散補償量と位相共役処理を実施する情報を設定する。つまり、制御装置100は光中継装置200cに実施の形態1の制御装置100による制御を適用して求めた最適な波長分散補償量M44を光中継装置200cに設定する。また、制御装置100は、実施の形態1と同様に位相共役処理するように光中継装置200cに設定する。
【0108】
制御装置100は、波長λ2に応じて、光伝送路3bにおける波長分散量の傾きDS2を決定する。制御装置100は、光伝送路3bで累積する累積波長分散量M37(=DS2×L2+M33)を求める。
【0109】
制御装置100は、求めた波長分散量M37、光伝送路3cの送信信号が有するM37より小さい分散量M38から光中継装置200bで補償する波長分散量をM37―M38として光中継装置200bに設定する。また、制御装置100は、位相共役処理しないように光中継装置200bに設定する。
【0110】
総スパン数が6以上の偶数個の場合は、実施の形態3で示した総スパン数4の場合と同様に、制御装置100は、実施の形態1が実施できるような光中継装置1つと光伝送路2つから成る組み合わせを設定する。制御装置100は、各組み合わせの光中継装置について実施の形態1による位相共役と最適な波長分散補償を設定する。
【0111】
以上のように、本実施の形態では、多数スパンで特に偶数個のスパンの場合での受信端での非線形歪を補償する。具体的には、実施の形態1を実施できるように光中継装置1つと光伝送路2つからなる組み合わせを設定し、各組み合わせにおける光中継装置に対して実施の形態1による位相共役と波長分散補償を設定する。したがって、偶数個の複数伝送路から成る光ネットワークにおいて波長分散補償を用いた光伝送中の非線形歪の相殺効果を最大化し、受信端での信号品質を改善することができる。
【0112】
図15は制御装置の最小構成を示す図である。
図16は最小構成の制御装置による処理フローを示す図である。
制御装置100は、少なくとも波長分散補償制御手段151、位相共役処理制御手段152、を備える。
波長分散補償制御手段151は、光ネットワークのパスにおいて当該光ネットワークを構成する光中継装置200の送受信する光信号の波長情報及び光中継装置200に接続される光伝送路の伝送路情報に基づいて、光中継装置200において補償する波長分散補償量を決定する(ステップS161)。
位相共役処理制御手段152は、波長情報及び伝送路情報に基づいて、光中継装置200における位相共役処理を決定する(ステップS162)。
【0113】
図17は光中継装置の最小構成を示す図である。
図18は最小構成の光中継装置による処理フローを示す図である。
光中継装置200は、少なくとも、波長分散補償手段171、位相共役処理手段172を備える。
位相共役処理手段172は、取得した位相共役処理情報に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し位相共役処理を行う(ステップS181)。
波長分散補償手段171は、波長分散補償量に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し波長分散補償処理を行う(ステップS182)。
【0114】
他の実施形態においては、光中継装置200は、制御装置100の処理の一部または全部を行うようにしてもよい。
【0115】
図19は光中継装置の他の構成を示す図である。
図20は他の構成の光中継装置による処理フローを示す図である。
光中継装置200は、他の実施形態において、波長分散補償手段171、位相共役処理手段172の構成に加えて、図19に示すようにさらに、波長分散補償制御手段191、位相共役処理制御手段192、を備えてもよい。
波長分散補償制御手段191は、光ネットワークのパスにおいて当該光ネットワークを構成する自装置(光中継装置200)の送受信する光信号の波長情報及び光中継装置200に接続される光伝送路の伝送路情報に基づいて、光中継装置200において補償する波長分散補償量を決定する(ステップS2001)。
位相共役処理制御手段192は、波長情報及び伝送路情報に基づいて、光中継装置200における位相共役処理を決定する(ステップS2002)。
この場合、波長分散補償制御手段191、位相共役処理制御手段192は、上述した制御装置100の処理と同様の処理を行うようにしてもよい。また光中継装置200は波長分散補償制御手段191、位相共役処理制御手段192、の処理を行うにあたり、制御装置100から、上述した制御装置100と同様の当該処理に必要な情報を取得してよい。
【0116】
光中継装置200は、他の実施形態において、波長分散補償手段171、位相共役処理手段172の構成に加え、波長分散補償制御手段191、位相共役処理制御手段192の少なくとも一方の手段を備え、残りの手段を制御装置100に備えるようにしてもよい。
【0117】
上述の実施形態における制御装置、光中継装置、送信端局装置、受信端局装置は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置(制御装置等)及び各機能(処理)を、図21に示すような、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ61及び記憶装置であるメモリ62を有するコンピュータ60により実現してもよい。例えば、メモリ62に実施形態における方法(制御方法等)を行うためのプログラムを格納し、各機能を、メモリ62に格納されたプログラムをプロセッサ61で実行することにより実現してもよい。
【0118】
これらのプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0119】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0120】
(付記1)
光ネットワークを構成する光中継装置と、前記光中継装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記光ネットワークのパスにおいて前記光中継装置が送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報を管理する管理手段と、
前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量を決定する波長分散補償制御手段と、
前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記光中継装置において位相共役処理を決定する位相共役処理制御手段と、
を備え、
前記光中継装置は、
前記制御装置から前記決定された波長分散補償量を取得する波長分散補償量取得手段と、
前記制御装置から前記決定された位相共役処理情報を取得する位相共役処理取得手段と、
前記取得された位相共役処理情報に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し位相共役処理を行う位相共役処理手段と、
前記取得された波長分散補償量に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し波長分散補償処理を行う波長分散補償手段と、
を備える光ネットワークシステム。
【0121】
(付記2)
前記波長分散補償制御手段は、前記光中継装置の受信側の前記波長情報及び前記伝送路情報と前記光中継装置の送信側の前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記光中継装置の受信側の光伝送路における有効非線形距離での蓄積波長分散量と、前記光中継装置の送信側の光伝送路における有効非線形距離での蓄積波長分散量を求める、
付記1に記載の光ネットワークシステム。
【0122】
(付記3)
前記波長分散補償制御手段は、前記光中継装置の受信側の光伝送路における有効非線形距離での前記蓄積波長分散量と、前記光中継装置の送信側の光伝送路における有効非線形距離での前記蓄積波長分散量と、光中継装置における位相共役処理による波長分散補償量に基づいて、前記波長分散補償量を決定する、
付記2に記載の光ネットワークシステム。
【0123】
(付記4)
前記波長分散補償制御手段は、前記光中継装置の受信側の光伝送路における光伝送前の送信信号に含まれる蓄積波長分散量と、前記光中継装置の受信側の光伝送路における有効非線形距離での前記蓄積波長分散量と、前記光中継装置の送信側の光伝送路における有効非線形距離での前記蓄積波長分散量と、光中継装置における位相共役処理による波長分散補償量に基づいて、前記波長分散補償量を決定する、
付記1から付記3の何れか一つに記載の光ネットワークシステム。
【0124】
(付記5)
前記波長分散補償量は、前記光中継装置の受信側の光伝送路における有効非線形距離での蓄積波長分散量と、前記光中継装置の送信側の光伝送路における有効非線形距離での蓄積波長分散量が異符号になることを条件として求められた補償量である、
付記1から付記4の何れか一つに記載の光ネットワークシステム。
【0125】
(付記6)
3つ以上の奇数個のパスが前記光中継装置を介して連なって構成する光ネットワークにおいて、前記波長分散補償制御手段と位相共役処理制御手段は、複数の前記パスのうち最後のパスに接続する光中継装置以外の対象の光中継装置の前後のパスにおける前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、当該対象の光中継装置における波長分散補償量と、位相共役処理を決定する、
請求項1に記載の光ネットワークシステム。
【0126】
(付記7)
前記波長分散補償制御手段と前記位相共役処理制御手段は、前記光中継装置において、前段と後段の2つのパスと当該パスを中継する1つの光中継装置を一組とする組み合わせと余りの1つのパスを求め、前記余りの1つのパスに接続する光中継装置以外を前記対象の光中継装置と決定する
付記1から付記6の何れか一つに記載の光ネットワークシステム。
【0127】
(付記8)
前記位相共役処理制御手段は、前記組み合わせにおける光中継装置に位相共役処理を決定する、
付記7に記載の光ネットワークシステム。
【0128】
(付記9)
前記波長分散補償制御手段は、前記組み合わせの2つの光伝送路における前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記組み合わせの光中継装置における波長分散補償量を決定する、
付記7または付記8の何れか一つに記載の光ネットワークシステム。
【0129】
(付記10)
前記波長分散補償制御手段は、前記余りの1つのパスの光伝送路における前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記余りの1つのパスの光中継装置における波長分散補償量を決定する、
付記7に記載の光ネットワークシステム。
【0130】
(付記11)
前記波長分散補償量は、前記余りの1つのパスの光伝送路における有効非線形距離での累積波長分散量がゼロになることを条件として求められた補償量である、
付記7から付記10の何れか一つに記載の光ネットワークシステム。
【0131】
(付記12)
4つ以上の偶数個のパスが前記光中継装置を介して連なって構成する光ネットワークにおいて、前記波長分散補償制御手段と位相共役処理制御手段は、複数の前記パスにおける前記光中継装置それぞれの前後のパスにおける前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、当該前記光中継装置における波長分散補償量と、位相共役処理を決定する、
付記7から付記11の何れか一つに記載の光ネットワークシステム。
【0132】
(付記13)
前記波長分散補償制御手段と位相共役処理制御手段は、前記光中継装置において、2つの光伝送路と1つの光中継装置を一組とする組み合わせを求める、
付記1から付記12の何れか一つに記載の光ネットワークシステム。
【0133】
(付記14)
前記位相共役処理制御手段は、前記組み合わせにおける光中継装置に位相共役処理を決定する、
付記7から付記13の何れか一つに記載の光ネットワークシステム。
【0134】
(付記15)
前記波長分散補償制御手段は、前記組み合わせの2つの光伝送路における前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記組み合わせの光中継装置における波長分散補償量を決定する、
付記7から付記14の何れか一つに記載の光ネットワークシステム。
【0135】
(付記16)
光ネットワークのパスにおいて光中継装置が送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報及び光ネットワークのパス数を管理し、
前記波長情報及び前記伝送路情報及び光ネットワークのパス数に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量と位相共役処理を決定する、
制御方法。
【0136】
(付記17)
前記光ネットワークのパスにおける各光中継装置の受信側の光伝送路での有効非線形距離における蓄積波長分散量と、前記光中継装置の送信側の光伝送路での有効非線形距離における蓄積波長分散量とに基づいて、前記波長分散補償量と位相共役処理を決定する、
付記16に記載の制御方法。
【0137】
(付記18)
光ネットワークのパスにおいて光中継装置が送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報及び光ネットワークのパス数を管理し、
前記波長情報及び前記伝送路情報及び光ネットワークのパス数に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量と位相共役処理を決定する、
処理をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【0138】
(付記19)
前記光ネットワークのパスにおける各光中継装置の受信側の光伝送路での有効非線形距離における蓄積波長分散量と、前記光中継装置の送信側の光伝送路での有効非線形距離における蓄積波長分散量とに基づいて、前記波長分散補償量と位相共役処理を決定する、
付記18に記載のプログラム。
【0139】
(付記20)
光ネットワークのパスにおいて当該光ネットワークを構成する光中継装置の送受信する光信号の波長情報及び前記光中継装置に接続される光伝送路の伝送路情報に基づいて、前記光中継装置において補償する波長分散補償量を決定する波長分散補償制御手段と、
前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、前記光中継装置における位相共役処理を決定する位相共役処理制御手段と、
を備える制御装置。
【0140】
(付記21)
前記位相共役処理制御手段は、前記光信号の複素共役を算出するための位相共役処理の実施の指示を前記光中継装置に送信する
付記20に記載の制御装置。
【0141】
(付記22)
前記波長分散補償制御手段は、
前記光中継装置が接続する光伝送路のうち当該光中継装置が受信する光信号を送信する送信側のネットワーク装置との間の第一の光伝送路における前記送信側のネットワーク装置を基準とした第一の有効非線形距離における第一の累積波長分散量を算出し、
前記光中継装置が接続する光伝送路のうち当該光中継装置が送信する光信号の受信側のネットワーク装置との間の第二の光伝送路における前記光信号の自装置を基準とした第二の有効非線形距離における第二の累積波長分散量であって前記第一の累積波長分散量の異符号の第二の累積波長分散量を算出し、
前記波長分散補償量であって、前記第二の光伝送路における距離に応じた前記光信号の累積波長分散量の推移の統計値に基づいて前記第二の有効非線形距離において前記光信号の累積波長分散量が前記第二の累積波長分散量となる場合の前記光信号の前記光中継装置における送信時の波長分散量と、前記複素共役の結果である波長分散量との差を示す前記波長分散補償量を算出する
付記21に記載の制御装置。
【0142】
(付記23)
光ネットワークのパスにおいて当該光ネットワークを構成する自装置の送受信する光信号の波長情報及び自装置に接続される光伝送路の伝送路情報に基づいて、自装置において補償する波長分散補償量を決定する波長分散補償制御手段と、
前記波長情報及び前記伝送路情報に基づいて、自装置における位相共役処理を決定する位相共役処理制御手段と、
を備える制御装置と通信接続する前記自装置を示す光中継装置であって、
前記制御装置から取得した位相共役処理情報に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し位相共役処理を行う位相共役処理手段と、
前記波長分散補償量に基づいて、受信する光信号に基づいた電気信号に対し波長分散補償処理を行う波長分散補償手段と、
を備える光中継装置。
【0143】
(付記24)
前記位相共役処理手段は、前記光信号の複素共役を算出するための位相共役処理の実施の指示に基づいて、当該位相共役処理を行う
付記23に記載の光中継装置。
【0144】
(付記25)
前記光中継装置が接続する光伝送路のうち当該光中継装置が受信する光信号を送信する送信側のネットワーク装置との間の第一の光伝送路における前記送信側のネットワーク装置を基準とした第一の有効非線形距離における第一の累積波長分散量を算出し、
前記光中継装置が接続する光伝送路のうち当該光中継装置が送信する光信号の受信側のネットワーク装置との間の第二の光伝送路における前記光信号の自装置を基準とした第二の有効非線形距離における第二の累積波長分散量であって前記第一の累積波長分散量の異符号の第二の累積波長分散量を算出し、
前記波長分散補償量であって、前記第二の光伝送路における距離に応じた前記光信号の累積波長分散量の推移の統計値に基づいて前記第二の有効非線形距離において前記光信号の累積波長分散量が前記第二の累積波長分散量となる場合の前記光信号の前記光中継装置における送信時の波長分散量と、前記複素共役の結果である波長分散量との差を示す前記波長分散補償量を算出する制御と通信接続し、
前記位相共役処理を行った後に、前記複素共役の結果である波長分散量と、前記制御装置から取得した前記波長分散補償量と、に基づいて、前記受信側のネットワーク装置へ送信する光信号の波長分散量を決定する波長分散補償手段と、
を備える付記24に記載の光中継装置。
【符号の説明】
【0145】
1・・・光ネットワークシステム
2・・・光中継装置
3・・・光伝送路
5・・・データセンタ
6・・・ITサービス事業者
7、8・・・イベント会場
10・・・制御装置
11・・・管理部
12・・・位相共役制御部
13・・・波長分散補償制御部
20・・・光中継装置
21・・・コヒーレント受信フロントエンド部
22・・・位相共役部
23・・・波長分散補償部
24・・・コヒーレント送信フロントエンド部
25・・・位相共役取得部
26・・・波長分散補償取得部
30・・・送信端局装置
40・・・受信端局装置
50・・・光ネットワークシステム
51・・・光ネットワーク
60・・・コンピュータ
61・・・プロセッサ
62・・・メモリ
90・・・ 光中継装置
100・・・制御装置
110・・・ネットワーク管理部
120・・・ネットワーク制御部
130・・・波長分散補償量計算部
140・・・位相共役決定部
200・・・光中継装置
201・・・光送受信機
202・・・ノード制御部
210・・・コヒーレント受信フロントエンド部
220・・・コヒーレント送信フロントエンド部
230・・・デジタル信号処理部
231・・・波長分散補償部
232・・・位相共役処理部
240・・・受信光源
250・・・送信光源
260・・・ADC
270・・・DAC
300・・・光スイッチ部
301・・・分波器
302・・・合波器
303・・・分岐挿入部
310・・・送受信部
311、312、313、314・・・光送受信機
401・・・遅延器
402・・・乗算器
403・・・加算器
411・・・オーバーラップ付加部
412・・・高速フーリエ変換部
413・・・逆伝達関数乗算部
414・・・逆高速フーリエ変換部
415・・・オーバーラップ除去部
900・・・デジタル信号処理部
910・・・取得部
901・・・デジタル信号処理部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21