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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089052
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】逆入力遮断クラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/08 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
F16D41/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204172
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】金子 祥平
(57)【要約】
【課題】従来技術と比較して製造コストを低減しつつ、耐久性を向上できる逆入力遮断クラッチを提供する。
【解決手段】逆入力遮断クラッチは、ハウジングと、入力部材と、出力部材と、一対の係合子5と、弾性部材6と、を備える。弾性部材6は、出力部材と係合子5との間で弾性的に挟持され、係合子5が被押圧面に近づくように係合子5を第一方向D1の外側に向かって付勢する。弾性部材6は、出力部材と当接する出力部材当接部61と、出力部材当接部61よりも第一方向D1の外側に位置し、係合子5と当接する係合子当接部62と、係合子5よりも軸方向の外側に位置して係合子5を軸方向に挟むように配置される軸方向移動規制部63と、係合子5の出力側被係合部56を第二方向D2に挟むように配置される第二方向移動規制部64と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に被押圧面を有するハウジングと、
前記被押圧面よりも径方向の内側に設けられた入力側係合部を有し、前記被押圧面と同軸に配置される入力部材と、
前記被押圧面よりも前記径方向の内側かつ前記入力側係合部よりも前記径方向の内側に配置された出力側係合部を有し、前記被押圧面と同軸に配置される出力部材と、
前記被押圧面に対向する押圧面、前記入力側係合部と係合可能な入力側被係合部、及び前記出力側係合部と係合可能な出力側被係合部を有し、前記径方向に沿う第一方向に互いに相対移動可能な一対の係合子と、
を備え、
前記第一方向は前記一対の係合子の近接離間方向と一致する方向であり、
前記入力部材に回転力が入力されると、一対の前記係合子は、前記入力側係合部と前記入力側被係合部との係合に基づいて、前記第一方向の内側に向かって互いに近づくように移動し、かつ前記出力側係合部と前記出力側被係合部との係合に基づいて、前記回転力を前記出力部材に伝達し、
前記出力部材に回転力が逆入力されると、一対の前記係合子は、前記出力側係合部と前記出力側被係合部との係合に基づいて、前記第一方向の外側に向かって互いに離間するように移動し、前記被押圧面と前記押圧面とを摩擦係合させ、
前記出力部材と前記係合子との間で弾性的に挟持され、前記係合子が前記被押圧面に近づくように前記係合子を前記第一方向の外側に向かって付勢する弾性部材を備え、
前記弾性部材は、
前記出力部材と当接する出力部材当接部と、
前記出力部材当接部よりも前記第一方向の外側に位置し、前記係合子と当接する係合子当接部と、
前記係合子よりも前記被押圧面の軸方向の外側に位置して前記係合子を前記軸方向に挟むように配置される軸方向移動規制部と、
前記係合子の前記出力側被係合部を、前記第一方向及び前記軸方向と直交する第二方向に挟むように配置される第二方向移動規制部と、
を有する、
逆入力遮断クラッチ。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記出力部材当接部が設けられる第一の段と、前記係合子当接部が設けられる第二の段と、前記第二方向移動規制部が設けられる第三の段と、を有する3段に屈曲された板バネである、
請求項1に記載の逆入力遮断クラッチ。
【請求項3】
前記軸方向移動規制部は、前記係合子当接部よりも前記第一方向の外側かつ前記第二方向の外側に位置し、
前記第二方向移動規制部は、前記係合子当接部よりも前記第一方向の外側かつ前記第二方向の外側に位置する、
請求項1又は請求項2に記載の逆入力遮断クラッチ。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記出力部材当接部と同じ面において前記弾性部材を厚み方向に貫通し、かつ前記軸方向に沿う幅が前記係合子の前記軸方向に沿う幅より大きく形成された第一貫通孔を有し、
前記出力部材当接部は、前記第一貫通孔に対して前記軸方向の両側に設けられている、
請求項1又は請求項2に記載の逆入力遮断クラッチ。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記第一貫通孔に対して前記第二方向の両側に設けられて前記弾性部材を厚み方向に貫通するとともに、前記軸方向に沿う幅が前記係合子の前記軸方向に沿う幅より大きく形成された一対の第二貫通孔を有し、
前記一対の第二貫通孔には前記係合子の前記第二方向における両端部がそれぞれ挿入されており、
前記係合子当接部は、前記第二方向において前記第一貫通孔と前記第二貫通孔との間に設けられており、
前記軸方向移動規制部は、前記第二貫通孔に対して前記軸方向の両側に設けられており、
前記第二方向移動規制部は、前記第二貫通孔よりも前記第二方向の外側に設けられている、
請求項4に記載の逆入力遮断クラッチ。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記出力部材当接部が設けられる第一の段と、前記係合子当接部が設けられる第二の段と、前記第一の段と前記第二の段とを接続する斜面と、を有する2段に屈曲された板バネである、
請求項1に記載の逆入力遮断クラッチ。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記弾性部材を厚み方向に貫通するとともに、前記弾性部材の正面視において前記第一の段から前記斜面を経て前記第二の段までに亘って連続して設けられた貫通孔を有する、
請求項6に記載の逆入力遮断クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆入力遮断クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源などの入力機構に接続される入力部材と、減速機などの出力機構に接続される出力部材と、を備え、入力部材から出力部材への回転力の伝達を許可するとともに出力部材から入力部材への回転力の逆入力を遮断する逆入力遮断クラッチの構成が知られている。これらの逆入力遮断クラッチでは、逆入力遮断クラッチの性能を向上するための技術が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、被押圧面を有する被押圧部材と、被押圧面の径方向内側において互いに同軸に設けられた入力部材及び出力部材と、正面視で入力部材及び出力部材の間に介在し、径方向に移動可能な一対の係合子と、を有する逆入力遮断クラッチの構成が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、出力部材に回転力が逆入力されると、係合子と出力部材との係合に基づき係合子が被押圧面に近づく方向に移動して被押圧面と摩擦係合することにより、出力部材に逆入力された回転力を遮断できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/026794号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の従来技術においては、組み立て作業性及び逆入力遮断クラッチの動作性を確保する観点から、入力部材及び出力部材のいずれにも回転力が入力されていない中立状態で、出力部材と係合子との間に隙間が設けられている。このため、隙間に起因したがたつきが生じ、騒音や振動が発生するおそれがあった。
【0006】
このような課題への対策として、例えば出力部材と係合子との間に弾性部材を配置する方法がある。弾性部材は、係合子を径方向の外側(押圧面側)に向かって弾性的に押し付ける。これにより逆入力遮断クラッチのがたつきを抑制することができる。また、弾性部材により係合子が常に径方向の外側に押し付けられるので、出力部材に回転力が逆入力された場合に係合子を確実に押圧面に押圧させることができる。よって、逆入力をより効果的に遮断できる点においても、弾性部材を設けるメリットがある。
【0007】
図6は、従来技術における弾性部材906を有する逆入力遮断クラッチ901の一例を示す図である。図7は、図6に示す従来技術における逆入力遮断クラッチ901の正面図である、図8は、図7のVIII部拡大図及びその下面図である。従来技術にあっては、例えば図6及び図7に示すように、係合子905の底面952に、弾性部材906である板バネを固定するために一対の凸部981が設けられている。
【0008】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、係合子905の底面952の中央部において出力部材を係合させるため、一対の凸部981の間に凹部982が設けられる。一対の凸部981の間に凹部982を形成する必要があるため、特に底面952における係合子905の精度が出し難く、また加工の手間がかかることにより加工コストが増加するおそれがあった。さらに、図7及び図8に示すように、凸部981を用いて弾性部材906の位置決めをする従来技術にあっては、凸部981の基端部に隅部Rが存在するので、この隅部Rに弾性部材906が乗り上げることにより、設計時の想定位置と比べて弾性部材906が係合子905から離間した位置(図8に示す例では、係合子905の底面952に対して下方に離間した位置)に配置される場合がある。弾性部材906が係合子905から離間した位置に配置されると、弾性部材906に作用するバネ荷重が想定値よりも大きくなる。その結果、弾性部材906が劣化し易くなり、弾性部材906の耐久性が低下するおそれがあった。
したがって、従来技術においては、逆入力遮断クラッチの製造に係るコストを低減しつつ、各構成部品(特に弾性部材)の耐久性を向上する点において改善の余地があった。
【0009】
そこで、本発明は、従来技術と比較して製造コストを低減しつつ、耐久性を向上できる逆入力遮断クラッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る逆入力遮断クラッチは、内周面に被押圧面を有するハウジングと、前記被押圧面よりも径方向の内側に設けられた入力側係合部を有し、前記被押圧面と同軸に配置される入力部材と、前記被押圧面よりも前記径方向の内側かつ前記入力側係合部よりも前記径方向の内側に配置された出力側係合部を有し、前記被押圧面と同軸に配置される出力部材と、前記被押圧面に対向する押圧面、前記入力側係合部と係合可能な入力側被係合部、及び前記出力側係合部と係合可能な出力側被係合部を有し、前記径方向に沿う第一方向に互いに相対移動可能な一対の係合子と、を備え、前記第一方向は前記一対の係合子の近接離間方向と一致する方向であり、前記入力部材に回転力が入力されると、一対の前記係合子は、前記入力側係合部と前記入力側被係合部との係合に基づいて、前記第一方向の内側に向かって互いに近づくように移動し、かつ前記出力側係合部と前記出力側被係合部との係合に基づいて、前記回転力を前記出力部材に伝達し、前記出力部材に回転力が逆入力されると、一対の前記係合子は、前記出力側係合部と前記出力側被係合部との係合に基づいて、前記第一方向の外側に向かって互いに離間するように移動し、前記被押圧面と前記押圧面とを摩擦係合させ、前記出力部材と前記係合子との間で弾性的に挟持され、前記係合子が前記被押圧面に近づくように前記係合子を前記第一方向の外側に向かって付勢する弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記出力部材と当接する出力部材当接部と、前記出力部材当接部よりも前記第一方向の外側に位置し、前記係合子と当接する係合子当接部と、前記係合子よりも前記被押圧面の軸方向の外側に位置して前記係合子を前記軸方向に挟むように配置される軸方向移動規制部と、前記係合子の前記出力側被係合部を、前記第一方向及び前記軸方向と直交する第二方向に挟むように配置される第二方向移動規制部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の逆入力遮断クラッチによれば、従来技術と比較して製造コストを低減しつつ、耐久性を向上できる逆入力遮断クラッチを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る逆入力遮断クラッチの断面図。
図2図1のII-II線に沿う断面図。
図3】最小負荷状態における一対の係合子及び弾性部材の位置関係を示す正面図。
図4】第1実施形態に係る弾性部材の斜視図。
図5】第2実施形態に係る逆入力遮断クラッチの最小負荷状態における係合子及び弾性部材の位置関係を示す図。
図6】従来技術における弾性部材を有する逆入力遮断クラッチの一例を示す図。
図7】従来技術における逆入力遮断クラッチの正面図。
図8図7のVIII部拡大図及びその下面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、軸方向、径方向、および周方向とは、特に断らない限り、逆入力遮断クラッチ1の中心軸線Cの軸方向、径方向、および周方向をいう。
【0014】
(第1実施形態)
(逆入力遮断クラッチ)
図1は、第1実施形態に係る逆入力遮断クラッチ1の断面図である。図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。
図1及び図2に示すように、逆入力遮断クラッチ1は、入力部材2と、出力部材3と、ハウジング4と、1対の係合子5と、弾性部材6と、を備える。逆入力遮断クラッチ1は、入力部材2に入力される回転力を出力部材3に伝達する。一方、逆入力遮断クラッチ1は、出力部材3に逆入力される回転力を遮断して入力部材2に伝達しない、またはその一部のみを入力部材2に伝達して残部を遮断する逆入力遮断機能を有する。
【0015】
(入力部材)
入力部材2は、不図示の電動モータなどの入力機構に接続される。入力部材2には、入力機構からの回転力が入力される。入力部材2は、図示しない固定部材に回転支持されている。本実施形態において、入力部材2は、入力軸本体21と、一対の腕部23と、を有する。入力軸本体21は、軸方向の入力機構側に設けられている。入力軸本体21は、中心軸線Cを中心とする円柱状(又は円筒状)に形成されている。以下の説明において、入力部材2のうち入力機構と接続される側を軸方向の第一側といい、その反対を軸方向の第二側という場合がある。
【0016】
一対の腕部23は、入力軸本体21から軸方向の第二側に向かって延びている。腕部23は、入力軸本体21と一体形成されている。腕部23は、入力軸本体21の径方向の両端に一対設けられている。よって腕部23は、入力軸本体21よりもやや径方向の外側にオフセットした位置に設けられている。図2に示すように、腕部23は、軸方向から見て、一辺が湾曲した台形状に形成されている。具体的に腕部23は、径方向の内側に面する平面部25(請求項の入力側係合部)と、径方向の外側に面する曲面部26と、平面部25及び曲面部26の端部同士を接続する2つの側面部27,27と、を有する。曲面部26は、中心軸線Cを中心とする円弧状に形成されている。
【0017】
腕部23は、後述する係合子5の数に応じて複数設けられる。本実施形態では、一対の係合子5が設けられることに応じて、一対の腕部23が設けられている。なお、腕部23の数は2個に限られず、係合子5の数に応じて、腕部23の数を1個とする、あるいは、3個以上としてもよい。
【0018】
(出力軸)
図1に示すように、出力部材3は、不図示の減速機などの出力機構に接続され、回転力(回転トルク)を出力する。出力部材3は、入力部材2と同軸上に配置されている。図1及び図2に示すように、出力部材3は、出力軸本体31と、挿入部32と、を有する。出力軸本体31は、軸方向の出力機構側(軸方向の第二側)に設けられている。出力軸本体31は、中心軸線Cを中心とする円柱状(又は円筒状)に形成されている。
【0019】
挿入部32は、出力軸本体31の軸方向の第一側の端部から軸方向の第一側に向かって延びている。挿入部32は、出力軸本体31と一体形成されている。挿入部32は、後述する一対の係合子5間に挿入される部分であり、入力部材2の一対の腕部23よりも径方向内側に配置されている。図1及び図2に示すように、挿入部32のうち一対の係合子5間に挿入される基端部32a(例えば止め輪39よりも軸方向の第二側に位置する部分)は、出力軸本体31よりも外形が小さい板状に形成されている。挿入部32の先端部32b(例えば止め輪39よりも軸方向の第一側に位置する部分)は、円柱状に形成されている。挿入部32の先端部32bは、軸受46を介して入力部材2に相対回転可能に嵌合している。軸受46は、例えば転がり軸受や滑り軸受等である。挿入部32の基端部32aにおける外周面は、挿入部32の厚み方向(図2の上下方向)の両側にそれぞれ面する一対の出力側係合部35と、一対の出力側係合部35の端部同士を接続する一対の側面36と、を有する。
【0020】
各出力側係合部35は、挿入部32の短軸方向に対して直交する平坦面により構成されている。各出力側係合部35は、一対の係合子5にそれぞれ面している。出力側係合部35は、入力部材2の平面部25よりも径方向の内側に設けられている。一対の側面36は、出力側係合部35の両側にそれぞれ配置されている。側面36は、緩やかな円弧状に形成されている。なお、側面36は、出力側係合部35の端部同士を接続する平面状に形成されてもよい。
【0021】
挿入部32の出力側係合部35及び側面36は、後述する係合子5の数に応じて複数設けられる。本実施形態では、一対の係合子5が設けられることに応じて、一対の出力側係合部35及び側面36が設けられている。なお、出力側係合部35の数は2個に限られず、係合子5の数に応じて、出力側係合部35の数を1個とする、あるいは、3個以上としてもよい。
【0022】
(ハウジング)
図1及び図2に示すように、ハウジング4は、中空の円盤状に形成されている。ハウジング4は、図示しない他の部材に固定されて、その回転が拘束されている。ハウジング4は、入力部材2および出力部材3と同軸上に配置されている。ハウジング4は、入力部材2、出力部材3、及び一対の係合子5を収容している。ハウジング4は、第一収容孔41と、第二収容孔42と、被押圧面40と、を有する。
【0023】
図1に示すように、第一収容孔41は、ハウジング4を軸方向に貫通している。第一収容孔41は、軸線Cと同軸となるように形成されている。第一収容孔41は、ハウジング4のうち軸方向の第二側に設けられている。第一収容孔41の内側には、出力部材3の出力軸本体31が収容されている。第一収容孔41の内径は、出力部材3における出力軸本体31の外形よりも大きい。第一収容孔41は、ベアリング45を介して出力部材3を回転可能に保持している。
【0024】
第二収容孔42は、ハウジング4を軸方向に貫通している。第二収容孔42は、軸線Cと同軸となるように形成されている。第二収容孔42は、第一収容孔41よりも軸方向の第一側に設けられている。第二収容孔42の内径は、第一収容孔41の内径よりも大きい。第二収容孔42の内側には、入力部材2の腕部23が収容されている。第二収容孔42の内側であって腕部23のさらに内側には、出力部材3の挿入部32が収容されている。第二収容孔42の内径は、入力部材2における一対の腕部23の外形よりも大きい。
【0025】
第二収容孔42の内周面は、被押圧面40とされている。よって、被押圧面40は、中心軸線Cと同軸となるように形成されている。換言すれば、被押圧面40は、入力部材2及び出力部材3と同軸に設けられている。また、被押圧面40の径方向内側には、入力部材2の平面部25及び出力部材3の出力側係合部35が設けられている。
【0026】
(係合子)
図2に示すように、一対の係合子5は、半円形状に構成されており、ハウジング4の径方向内側に配置されている。一対の係合子5は、径方向に沿う第一方向D1(図2の矢印D1参照)において互いに近接離間するように移動可能に構成されている。第一方向D1は、ハウジング4の径方向に沿う方向であって、かつ一対の係合子5の対向方向である。また、径方向に沿う方向であって第一方向D1と直交する方向を第二方向D2(図2の矢印D2参照)という場合がある。第一方向D1及び第二方向D2のうち径方向の外側を向く方向を第一方向D1の外側や第二方向D2の外側等と言う場合がある。
一対の係合子5はそれぞれ、押圧面51と、底面52と、入力側被係合部55と、出力側被係合部56と、を有する。
【0027】
押圧面51は、ハウジング4の被押圧面40を押し付ける径方向外側の面であり、円弧状の凸面となっている。なお、被押圧面40と面する係合子5の外周面の一部が押圧面51とされていてもよい。押圧面51は、逆入力遮断クラッチ1のロック状態(出力部材3からの逆入力が遮断された状態)において、被押圧面40を押圧する。押圧面51の曲率半径は、被押圧面40の曲率半径以下となっている。押圧面51は、1個の係合子5において2箇所設けられ、楔効果により係合子5と被押圧面40間の摩擦係合力が大きくなるように形成されている。2個の押圧面51は、互いに係合子5の周方向に離間した位置に設けられている。なお、押圧面51は、係合子5の外周面全体又は一部によって直接構成してもよいし、係合子5のその他の部分に比べて摩擦係数の大きい表面性状を有するように形成してもよい。例えば押圧面51は、係合子5に貼着や接着などにより固定した摩擦材によって構成してもよい。係合子5の各押圧面51は、ハウジング4の径方向外側を向いている。
【0028】
本実施形態において、半円形状に形成された係合子5の円弧状の外周部のうち、第二方向D2の中央部にはグリス溜め部48が設けられている。グリス溜め部48は、係合子5の他の円弧状の外周部と比較して径方向の内側に凹んだ形状となっている。よって、グリス溜め部48には、被押圧面40に塗布されたグリス等が集まりやすくなっている。グリス溜め部48にグリスを保持することにより、押圧面51と被押圧面40との間の摩耗の発生等が抑制される。
【0029】
係合子5の底面52は、押圧面51より径方向の内側に設けられている。底面52は、詳しくは後述する係合子5の出力側被係合部56とともに、半円形状の係合子5の直線部分を形成している。本実施形態において、底面52は、平坦面状に形成されている。一対の係合子5の底面52は、径方向において互いに対向している。一対の底面52同士は、係合子5のロック解除状態(入力部材2から出力部材3への回転力の伝達が許容された状態)において出力部材3との間に隙間を介して対向するように形成されている。
一対の係合子5をハウジング4の径方向内側に配置した状態で、被押圧面40と押圧面51との間、および、一対の底面52と出力部材3の間の少なくとも一方に隙間が存在するように、被押圧面40の内径寸法と係合子5の外形寸法が設定されている。
【0030】
図3は、初期状態における一対の係合子5及び弾性部材6の位置関係を示す正面図である。
図3に示すように、第二方向D2における底面52の両端部と対応する位置には、切欠き57がそれぞれ設けられている。具体的に、切欠き57は、底面52から第一方向D1に延びる第一面58と、第一面58のうち底面52と反対側の端部から第二方向D2の外側へ向かって延びる第二面59と、により略直角に切り欠かれている。第二面59の第二方向D2の外側の端部は、押圧面51を形成する係合子5の円弧状の部分と接続されている。切欠き57が形成されることにより、底面52の第二方向D2に沿う長さは、係合子5全体の第二方向D2に沿う長さよりも短くなっている。
【0031】
図2に示すように、入力側被係合部55は、係合子5の正面視における係合子5の中央部を軸方向に貫通する孔である。入力側被係合部55は、第二方向D2に長い長孔である。入力側被係合部55には、入力部材2の腕部23が挿入されて腕部23と係合する。入力側被係合部55は、入力部材2の腕部23を緩く挿入できる大きさを有している。具体的に、入力側被係合部55の内側に入力部材2の腕部23を挿入した状態で、腕部23と入力側被係合部55の内面との間に隙間が存在するように形成されている。よって、腕部23は、入力側被係合部55(つまり係合子5)に対して入力部材2の回転方向への微小な変位が可能であり、係合子5は、腕部23に対して第一方向D1への微小な変位が可能である。
【0032】
出力側被係合部56は、半円形状に形成された係合子5の直線部分(底面52)のうち、第二方向D2の中央部近傍に位置する部分である。出力側被係合部56は、入力側被係合部55よりも径方向(第一方向D1)の内側に設けられている。出力側被係合部56には、出力部材3の挿入部32が係合する。出力側被係合部56は、底面52と連続する平坦面状に形成されている。よって、出力側被係合部56を含む係合子5の底面52全体がフラットに形成されている。
【0033】
逆入力遮断クラッチ1が組み立てられた状態において、入力部材2の腕部23は、一対の係合子5のそれぞれの入力側被係合部55に軸方向から挿入され、かつ、出力部材3の挿入部32は、一対の係合子5の出力側被係合部56同士の間に軸方向から挿入される。すなわち、一対の係合子5は、それぞれの出力側被係合部56により、出力部材3の挿入部32を径方向外側から挟むように配置される。
【0034】
図1に示すように、係合子5の軸方向の両側には、軸方向における各部材の位置決めを行うための端板38及び止め輪39が設けられる。位置決めの他に、例えば係合子5と出力部材3及び入力部材2との接触を防止して摩耗を抑制する機能を有するように端板38等の部品を別途設けてもよい。
【0035】
(弾性部材)
図4は、第1実施形態に係る弾性部材6の斜視図である。
図3及び図4に示すように、弾性部材6は、係合子5と出力部材3との間に弾性的に挟持されて配置されている。弾性部材6は、例えば板バネである。弾性部材6は、係合子5を径方向(第一方向D1)の外側、すなわち被押圧面40(図2参照)に近づく方向に向かって付勢可能に設けられている。具体的に、弾性部材6は、係合子5及び出力部材3に挟持されて荷重を受けることにより変形可能に形成されており、変形時の復元力により係合子5を第一方向D1の外側へ向かって付勢する。なお、図2では、一対の係合子5が互いに最も近づいた状態の弾性部材6の形状を図示している。一方、図3及び図4では、一対の係合子5が互いに最も離れた状態(以下、最小負荷状態という場合がある。)における弾性部材6の形状を図示している。最小負荷状態においても、弾性部材6は係合子5を付勢する。つまり、弾性部材6は常に係合子5を付勢するように形成されている。
【0036】
図3及び図4に示すように、最小負荷状態において、弾性部材6は、第一方向D1の高さが互いに異なる3個の段部を有するように屈曲形成されている。具体的に、弾性部材6は、第一の段11と、第二の段12と、第三の段13と、を有して形成される。
第一の段11は、係合子5の底面52と平行な平板状に形成されている。最小負荷状態において、第一の段11は、底面52に対して第一方向D1の内側に離間して設けられている。
【0037】
第二の段12は、第一の段11の第二方向D2における両端部にそれぞれ設けられている。第二の段12は、第一の段11と平行な平板状に形成されている。第二の段12は、斜面15を介して第一の段11と接続されている。最小負荷状態において、第二の段12は、第一の段11よりも第一方向D1の外側かつ第二方向D2の外側に位置している。詳細には、第二の段12は、最小負荷状態において底面52に接触するように設けられることで、底面52とほぼ同等の高さ位置に設けられている。
【0038】
第三の段13は、第二の段12のうち第二方向D2において第一の段11とは反対側の端部にそれぞれ設けられている。第三の段13は、第一の段11及び第二の段12と平行な平板状に形成されている。第三の段13は、斜面16を介して第二の段12と接続されている。最小負荷状態において、第三の段13は、第二の段12よりも第一方向D1の外側かつ第二方向D2の外側に位置している。詳細には、第三の段13は、最小負荷状態において、第一方向D1において底面52と切欠き57の第二面59との間の高さに位置している。
【0039】
ここで、弾性部材6を組み付けた状態において逆入力遮断クラッチ1の軸方向に沿う方向を弾性部材6の幅方向とすると、第一の段11、第二の段12及び第三の段13は、幅方向の寸法(幅寸法)が同等となっている。また、弾性部材6の幅寸法は、係合子5の軸方向に沿う厚み寸法よりも大きい(図1も参照)。
【0040】
図4に示すように、第一の段11から第二の段12へ至る部分には、第一貫通孔71が形成されている。第一貫通孔71は、弾性部材6を板厚方向に貫通している。第一貫通孔71は、弾性部材6の幅方向における中央部に設けられている。弾性部材6の幅方向に沿う第一貫通孔71の幅寸法は、係合子5の軸方向に沿う厚み寸法よりも大きい。よって、弾性部材6の変形時には、第一貫通孔71に係合子5の底面52が入り込むことが可能となっている。第一貫通孔71は、第二方向D2において、第一の段11の全体から斜面15を介して第二の段12の一部までに亘って設けられている。第一貫通孔71は、弾性部材6の正面視において、矩形状に形成されている。
【0041】
第二の段12から第三の段13へ至る部分には、第二貫通孔72が形成されている。第二貫通孔72は、弾性部材6を板厚方向に貫通している。第二貫通孔72は、弾性部材6の幅方向において第一貫通孔71と同等の位置に設けられている。つまり第二貫通孔72は、弾性部材6の幅方向における中央部に設けられている。弾性部材6の幅方向に沿う第二貫通孔72の幅寸法は、係合子5の軸方向に沿う厚み寸法よりも大きい。第二貫通孔72は、第二方向D2において、第二の段12のうち第三の段13側に位置する一部から斜面16を介して第三の段13の一部までに亘って設けられている。第二貫通孔72は、弾性部材6の正面視において、矩形状に形成されている。第二貫通孔72の第二方向D2に沿う長さは、第一貫通孔71の第二方向D2に沿う長さより短い。
図3に示すように、第二貫通孔72は、第二方向D2において係合子5の底面52の両端部と対応する位置に設けられている。第二貫通孔72には、係合子5の底面52の両端部(角部)が入り込んでいる。
【0042】
図4に示すように、このように形成された弾性部材6は、さらに出力部材当接部61と、係合子当接部62と、軸方向移動規制部63と、第二方向移動規制部64と、を有する。
出力部材当接部61は、第一の段11に設けられている。出力部材当接部61は、第一の段11のうち、幅方向において第一貫通孔71の両側に設けられている。出力部材当接部61は、第一貫通孔71と同じ面(第一の段11)に設けられている。図2に示すように、出力部材当接部61には、出力部材3が当接する。
【0043】
図4に示すように、係合子当接部62は、出力部材当接部61よりも第一方向D1及び第二方向D2の外側に設けられている。係合子当接部62は、第二の段12に設けられている。係合子当接部62は、第二の段12のうち、第二方向D2において第一貫通孔71と第二貫通孔72との間に設けられている。図2及び図3に示すように、係合子当接部62には、係合子5の底面52が当接する。
【0044】
図4に示すように、軸方向移動規制部63は、係合子当接部62よりも第一方向D1及び第二方向D2の外側に設けられている。軸方向移動規制部63は、第二の段12と第三の段13との間の斜面16から第三の段13に亘って設けられている。軸方向移動規制部63は、第二貫通孔72の幅方向の両側に設けられている。図2及び図3に示すように、第二貫通孔72に係合子5の底面52が入り込むことにより、軸方向移動規制部63は、係合子5を軸方向に挟むように、係合子5の軸方向両側に配置されている。これにより弾性部材6は、係合子5を軸方向に位置決めしている。
【0045】
図4に示すように、第二方向移動規制部64は、係合子当接部62よりも第一方向D1及び第二方向D2の外側に設けられている。第二方向移動規制部64は、第三の段13に設けられている。第二方向移動規制部64は、第三の段13において、第二貫通孔72よりも第二方向D2の外側に設けられている。第二方向移動規制部64は、係合子5の出力側被係合部56(底面52)を第二方向D2に沿って挟むように設けられる。図2及び図3に示すように、第二方向移動規制部64と第二貫通孔72との境界部分(第二貫通孔72の第二方向移動規制部64側の内周面)は、切欠き57の第一面58に当接することで、弾性部材6の第二方向D2への位置ずれを抑制する機能を有する。
【0046】
図2に示すように、例えば係合子5が径方向において互いに近づく方向に移動すると、弾性部材6の出力部材当接部61には、出力部材3から押されることにより径方向外側を向く力が作用する。一方、弾性部材6の係合子当接部62には、係合子5から押されることにより径方向内側を向く力が作用する。方向の異なる2つの力が作用することにより、弾性部材6が変形する。その結果、弾性部材6は、復元力により、一対の係合子5をそれぞれ出力部材3から離間する方向(径方向の外側)に向かって付勢する。
【0047】
(逆入力遮断クラッチの動作)
次に、本実施形態の逆入力遮断クラッチ1の動作について図2を参照しながら説明する。
まず、入力部材2に入力機構から回転力が入力された場合について説明する。入力部材2に回転力が入力されると、入力側被係合部55の内側で、入力部材2の腕部23が中心軸線Cを中心として入力部材2の回転方向(例えば、反時計方向)に回転する。すると、腕部23における平面部25と側面部27との間の角部(図2のポイントP1参照)が入力側被係合部55の内面を径方向の内側に向けて押圧し、一対の係合子5を、被押圧面40から離れる方向にそれぞれ移動させる。つまり、一対の係合子5は、入力側被係合部55を介して入力部材2からの回転力が作用することにより、径方向の内側に向かって互いに近接するように移動する。具体的に、図2の上側に位置する係合子5を下方に移動させ、図2の下側に位置する係合子5を上方に移動させる。これにより、一対の係合子5の底面52が互いに近づく方向に移動し、一対の出力側被係合部56が出力部材3の挿入部32を径方向の両側から挟持する。
【0048】
これにより、出力部材3における挿入部32の出力側係合部35と係合子5の底面52とが平行となり、挿入部32と一対の出力側被係合部56とをがたつきなく係合させる。よって、入力部材2に入力された回転力は、一対の係合子5を介して出力部材3に伝達され、出力部材3から出力される。
なお、入力部材2を時計方向に回転させた場合についても、同様の動作が行われる。つまり、本実施形態の逆入力遮断クラッチ1は、入力部材2に回転力が入力されると、入力部材2の回転方向に関係なく、一対の係合子5を、被押圧面40から離れる方向にそれぞれ移動させる。そして、入力部材2の回転方向にかかわらず、入力部材2に入力された回転力を、一対の係合子5を介して、出力部材3に伝達する。
【0049】
次に、出力部材3に出力機構から回転力が逆入力された場合を説明する。出力部材3に回転力が逆入力されると、出力部材3の挿入部32が、一対の出力側被係合部56同士の内側で、出力部材3の回転方向(例えば、反時計方向)に回転する。すると、挿入部32の出力側係合部35及び側面36との間の角部(図2のポイントP2参照)が出力側被係合部56を径方向の外側に向けて押圧する。加えて、挿入部32と出力側被係合部56との間に挟持された弾性部材6に復元力が生じることにより、弾性部材6は、係合子5の出力側被係合部56をさらに径方向の外側に向けて押圧する。これにより、一対の係合子5を被押圧面40に近づく方向にそれぞれ移動させる。つまり、一対の係合子5は、出力部材3と出力側被係合部56との係合に基づいて、径方向の外側に向かって互いに離間するように移動する。具体的に、図2の上側に位置する係合子5を上方に移動させ、図2の下側に位置する係合子5を下方に移動させる。これにより、一対の係合子5のそれぞれの押圧面51を、ハウジング4の被押圧面40に対して押し付ける。このとき、押圧面51と被押圧面40とは、押圧面51の周方向に関する全範囲または少なくとも一部で摩擦係合する。
【0050】
この結果、出力部材3に逆入力された回転力が、不図示の他の部材に固定されたハウジング4に伝わることで完全に遮断されて入力部材2に伝達されないか、或いは、出力部材3に逆入力された回転力の一部のみが入力部材2に伝達され残部が遮断される。
【0051】
出力部材3に逆入力された回転力を完全に遮断して入力部材2に伝達されないようにするには、例えば押圧面51が被押圧面40に対して摺動(相対回転)しないように、一対の係合子5を挿入部32とハウジング4との間で突っ張らせ、出力部材3をロックする。これに対し、出力部材3に逆入力された回転力のうちの一部のみが入力部材2に伝達され残部が遮断されるようにするには、例えば押圧面51が被押圧面40に対して摺動するように、一対の係合子5を挿入部32とハウジング4との間で突っ張らせ、出力部材3を半ロックする。出力部材3が半ロックした状態でさらに出力部材3に回転力が逆入力されると、一対の係合子5が、出力部材3の挿入部32と出力側被係合部56との係合に基づいて、押圧面51を被押圧面40に対して摺動させつつ、中心軸線Cを中心として回転する。一対の係合子5が回転すると、入力側被係合部55の内面が入力部材2の腕部23の径方向内側の面を周方向(回転方向)に押圧して、入力部材2に回転力の一部が伝達される。
【0052】
本実施形態の逆入力遮断クラッチ1は、上述の動作が可能となるように、各構成部材間の隙間の大きさが調整されている。
例えば、出力部材3に回転力が逆入力されることによって係合子5の押圧面51が被押圧面40に接触した状態(ロック状態)において、入力部材2が中立位置に位置する。入力部材2の中立位置とは、腕部23の平面部25が入力側被係合部55と平行となる位置である。換言すれば、腕部23の平面部25と入力側被係合部55の内面との間に、出力部材3の挿入部32の角部(P2)が出力側被係合部56を押圧することに基づいて押圧面51が被押圧面40を押圧することを許容する隙間が存在するようにしている。これにより、出力部材3に回転力が逆入力された場合に、係合子5が径方向の外側に移動するのを腕部23によって阻止されることがないようにしている。さらに、押圧面51が被押圧面40に接触した後も、押圧面51と被押圧面40との接触部に作用する面圧が、出力部材3に逆入力された回転力の大きさに応じて変化するようにすることで、出力部材3のロックまたは半ロックが適正に行われるようにしている。
【0053】
特に本実施形態の逆入力遮断クラッチ1では、弾性部材6を設けることにより、上述した出力部材3をロックする動作をより確実に実施可能となるように形成されている。すなわち、例えば弾性部材6を有しない場合には、出力部材3から回転力が逆入力された際に、出力部材3は係合子5に力を伝達するが、係合子5が径方向外側に移動せず、力を入力部材2に伝達してしまいロックされない可能性がある。これに対して本実施形態の構成では、弾性部材6を設けることにより、係合子5を径方向外側に移動しやすくし、確実にロックさせることが可能となる。また、出力部材3から回転力が逆入力されたときに、早い段階で押圧面51と被押圧面40とが係合し易くなるとともに、一対の係合子5が挿入部32とハウジング4との間で突っ張る力を大きくし、押圧面51と被押圧面40との接触部に作用する面圧が大きくなる。その結果、押圧面51が被押圧面40に対して摺動(相対回転)し難くなり、ロックの確実性を高めることが可能である。
なお、例えば弾性部材6の弾性力を弱めることにより、出力部材3が半ロックするように調整してもよい。
【0054】
(作用、効果)
本実施形態の逆入力遮断クラッチ1によれば、逆入力遮断クラッチ1は、出力部材3と係合子5との間で弾性的に挟持される弾性部材6を有するので、弾性部材6の付勢力により、各部品同士の隙間に起因したがたつきの発生を抑制できる。また、がたつきの発生による騒音や振動の発生をも抑制できる。さらに、弾性部材6は、係合子5が被押圧面40に近づくように係合子5を径方向外側に向かって付勢する。これにより、出力部材3から回転力が逆入力された場合に、係合子5が径方向の外側に移動し易くなる。よって、回転力が逆入力された場合に、より確実に係合子5の回転をロックさせることができる。
弾性部材6は出力部材当接部61と、係合子当接部62と、軸方向移動規制部63と、第二方向移動規制部64と、を有する。軸方向移動規制部63は係合子5を軸方向に挟むように形成されるので、係合子5に対する弾性部材6の軸方向への位置ずれを抑制できる。また、第二方向移動規制部64は係合子5を第二方向D2に挟むように設けられるので、係合子5に対する弾性部材6の第二方向D2への位置ずれを抑制できる。このため、従来技術のように、係合子5に対する弾性部材6の位置ずれを抑制するために底面952に凸部981等(図7参照)を設ける必要がない。よって、例えば係合子5の底面52をフラットに形成することで、係合子5の形状を簡素化できる。また、係合子5の底面52に突起等の複雑形状を有しないので、底面52の精度出しを容易に行うことができる。よって、従来技術と比較して係合子5の製造に係るコストを低減できる。
さらに、図8に示すように、凸部981の基端部と接触するように弾性部材6を配置する従来技術にあっては、弾性部材6が凸部981の基端部の隅部Rに乗り上げることでバネ荷重が想定値よりも大きくなるという課題があった。これに対して本実施形態の逆入力遮断クラッチ1によれば、弾性部材6が隅部Rと接触しないので、弾性部材6の隅部Rへの乗り上げが抑制され、弾性部材6に作用する荷重の大きさを安定させることができる。よって、弾性部材6に想定値以上の荷重が作用することを抑制し、弾性部材6の劣化を抑制することにより、弾性部材6の耐久性を向上できる。
したがって、従来技術と比較して製造コストを低減しつつ、耐久性を向上できる逆入力遮断クラッチ1を提供できる。
【0055】
弾性部材6は、第一の段11、第二の段12及び第三の段13を有する3段に屈曲形成された板バネである。このため、例えばプレス加工や打ち抜き加工等により弾性部材6を容易に形成できる。第一の段11が出力部材3と当接し、第二の段12が係合子5と当接し、第三の段13により係合子5に対する弾性部材6の位置決めができる。よって、従来技術と比較して弾性部材6の製造に係る手間を煩雑化することなく、上述した製造コストの低減及び弾性部材6の耐久性向上を実現できる。
【0056】
軸方向移動規制部63及び第二方向移動規制部64は、係合子当接部62よりも第一方向D1の外側かつ第二方向D2の外側に位置する。これにより、弾性部材6同士の接触を抑制している。また、弾性部材6により係合子5の軸方向の位置決めができる。つまり、係合子5は、上述した端板38及び止め輪39に加えて弾性部材6によっても軸方向に位置決めされている。
【0057】
弾性部材6は第一貫通孔71を有し、出力部材当接部61は、第一貫通孔71に対して軸方向の両側に設けられている。このように弾性部材6を形成することにより、例えば出力部材3と係合子5とが互いに近づいて弾性部材6が変形した場合に、第一貫通孔71に係合子5の出力側被係合部56を挿入させて出力側被係合部56と出力軸とを当接させることができる。よって、弾性部材6を設けた場合であっても、出力側被係合部56と出力軸との隙間を大きく設ける必要がなく、逆入力遮断クラッチ1の大型化を抑制できる。
【0058】
弾性部材6は第二貫通孔72を有し、第二貫通孔72には係合子5の第二方向D2における両端部がそれぞれ挿入される。これにより、弾性部材6及び係合子5の底面52の形状を簡素化した場合であっても、係合子5に対する弾性部材6の第二方向D2の位置決めができる。よって、従来技術と比較して逆入力遮断クラッチ1の製造に係るコストを低減できる。また、係合子当接部62は、第一貫通孔71と第二貫通孔72との間に設けられる。軸方向移動規制部63は、第二貫通孔72に対して軸方向の両側に設けられる。第二方向移動規制部64は、第二貫通孔72よりも第二方向D2の外側に設けられる。このように構成することにより、係合子5に凸部981等(図7参照)を設けることなく弾性部材6を位置決めできる。よって、従来技術と比較して製造に係る手間を低減しつつ、凸部981の隅部Rに弾性部材6が乗り上げることによるバネ荷重の変化を抑制し、弾性部材6の耐久性の向上を図ることができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。なお、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。図5は、第2実施形態に係る逆入力遮断クラッチ201の最小負荷状態における係合子5及び弾性部材206の位置関係を示す図である。図5の上部には、係合子5と組み合わされた弾性部材206の側面図を示し、図5の下部には、弾性部材206の正面図を示している。図5では、最小負荷状態における弾性部材206の形状を図示している。本実施形態では、弾性部材206の形状が上述した第1実施形態と相違している。
【0060】
第2実施形態において、弾性部材206は、第1実施形態と同様、係合子5と出力部材3との間に弾性的に挟持されて配置されている。弾性部材206は、例えば板バネである。弾性部材206は、係合子5を径方向(第一方向D1)の外側、すなわち被押圧面40に近づく方向に向かって付勢可能に設けられている。
【0061】
最小負荷状態において、弾性部材206は、第一方向D1の高さが互いに異なる2個の段部を有するように屈曲形成されている。具体的に、弾性部材206は、第一の段211と、第二の段212と、を有して形成される。
第一の段211は、係合子5の底面52と平行な平板状に形成されている。最小負荷状態において、第一の段211は、底面52に対して第一方向D1の内側に離間して設けられている。
【0062】
第二の段212は、最小負荷状態において、第一の段211よりも第一方向D1の外側かつ第二方向D2の外側に位置している。第二の段212は、第一の段211と平行な平板状に形成されている。第二の段212は、斜面215を介して、第一の段211の第二方向D2における両端部にそれぞれ接続されている。第二の段212は、最小負荷状態において切欠き57の第二面59に接触するように設けられることで、切欠き57の第二面59とほぼ同等の高さ位置に設けられている。
【0063】
第一の段211から斜面215を経て第二の段212へ至る部分には、1個の貫通孔273が形成されている。貫通孔273は、弾性部材206を板厚方向に貫通している。貫通孔273は、弾性部材206の幅方向における中央部に設けられている。弾性部材206の幅方向に沿う貫通孔273の幅寸法は、係合子5の軸方向に沿う厚み寸法よりも大きい。貫通孔273は、第二方向D2において、第一の段211の全体から斜面215を介して第二の段212の一部までに亘って設けられている。貫通孔273は、弾性部材206の正面視において、矩形状に形成されている。
貫通孔273のうち第二方向D2の両端部と対応する位置には、係合子5の底面52の両端部(角部)が入り込んでいる。
【0064】
このように形成された弾性部材206は、さらに出力部材当接部261と、係合子当接部262と、軸方向移動規制部263と、第二方向移動規制部264と、を有する。
出力部材当接部261は、第一の段211に設けられている。出力部材当接部261は、第一の段211のうち、幅方向において貫通孔273の両側に設けられている。出力部材当接部261は、貫通孔273と同じ面(第一の段211)に設けられている。出力部材当接部261には、出力部材3(図2参照)が当接する。
【0065】
係合子当接部262は、第二の段212に設けられている。係合子当接部262は、第二の段212のうち、第二方向D2において貫通孔273が形成されていない領域に設けられている。係合子当接部262には、係合子5の切欠き57の第二面59が当接する。
【0066】
軸方向移動規制部263は、第一の段211と第二の段212との間の斜面215から第二の段212の一部に亘って設けられている。軸方向移動規制部263は、貫通孔273の幅方向の両側に設けられている。貫通孔273に係合子5の底面52が入り込むことにより、軸方向移動規制部263は、係合子5を軸方向に挟んでいる。
【0067】
第二方向移動規制部264は、第二の段212に設けられている。第二方向移動規制部264は、第二の段212において、貫通孔273よりも第二方向D2の外側に設けられている。第二方向移動規制部264は、係合子5の出力側被係合部56(底面52)を第二方向D2に沿って挟むように設けられる。具体的に、第二方向移動規制部264と貫通孔273との境界部分(貫通孔273の第二方向移動規制部264側の内周面)は、切欠き57の第一面58に当接することで、弾性部材206の第二方向D2への位置ずれを抑制する機能を有する。
【0068】
第2実施形態の逆入力遮断クラッチ201によれば、第1実施形態と同様に係合子5の底面52をフラットに形成できるので、係合子5の形状を簡素化できる。係合子5の底面52に突起等の複雑形状を有しないので、底面52の精度出しを容易に行うことができる。よって、従来技術と比較して係合子5の製造に係るコストを低減できる。
弾性部材206は、出力部材当接部261が設けられる第一の段211と、係合子当接部262が設けられる第二の段212と、を有する2段に屈曲形成された板バネである。このため、例えばプレス加工や打ち抜き加工等により弾性部材206を容易に形成できる。また、第1実施形態と比較して段差部が少ないので、製造工程をより簡素化できる。
したがって、従来技術と比較して製造コストを低減しつつ、耐久性を向上できる逆入力遮断クラッチ201を提供できる。
【0069】
貫通孔273は、弾性部材206の正面視において第一の段211から斜面215を経て第二の段212までに亘って連続して設けられる。これにより、弾性部材206を簡素な構成とすることができる。また、貫通孔273に係合子5の底面52を挿入することにより係合子5に対する弾性部材206の第二方向D2及び軸方向の位置決めができる。よって、従来技術と比較して簡素な構成により、弾性部材206を組み込むことができる。
【0070】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の第1実施形態では、係合子5が互いに最も離間した状態(最小負荷状態)において弾性部材6が係合子5を付勢する構成としたが、これに限られない。例えば係合子5が互いに最も離間した状態では弾性部材6が係合子5を付勢しない構成としてもよい。
【0071】
係合子5の形状は本実施形態の形状に限定されない。例えばグリス溜め部48を設けなくてもよい。また、入力側被係合部55の孔の形状についても本実施形態の形状に限定されない。
【0072】
ハウジング4は、例えば複数のハウジング4部材により形成されてもよい。例えば第一貫通孔71が形成された第一ハウジングと、第二貫通孔72が形成された第二ハウジング(いずれも不図示)と、を互いに接合又は締結することで1個のハウジング4を構成してもよい。
【0073】
上述の各実施形態では、入力部材2の入力軸本体21及び腕部23が一体形成された構成について説明したが、これに限られない。入力部材2は、複数の部品を組み合わせることにより構成されてもよい。同様に、出力部材3の出力軸本体31及び挿入部32が別々の部材を組み合わせることにより形成されてもよい。
腕部23の形状は上述した実施形態の形状に限定されない。
【0074】
上述の各実施形態では、逆入力遮断機構としてリンク構造を用いないリンクレス方式の逆入力遮断クラッチ1,201を例に説明したが、これに限られない。逆入力遮断機構として公知技術であるリンク機構を用いたリンク方式の逆入力遮断クラッチにおいて、上述した弾性部材6,206を有する構成を採用してもよい。
【0075】
なお、本開示は、以下のような構成の組み合わせであってもよい。
(1)
内周面に被押圧面を有するハウジングと、
前記被押圧面よりも径方向の内側に設けられた入力側係合部を有し、前記被押圧面と同軸に配置される入力部材と、
前記被押圧面よりも前記径方向の内側かつ前記入力側係合部よりも前記径方向の内側に配置された出力側係合部を有し、前記被押圧面と同軸に配置される出力部材と、
前記被押圧面に対向する押圧面、前記入力側係合部と係合可能な入力側被係合部、及び前記出力側係合部と係合可能な出力側被係合部を有し、前記径方向に沿う第一方向に互いに相対移動可能な一対の係合子と、
を備え、
前記第一方向は前記一対の係合子の近接離間方向と一致する方向であり、
前記入力部材に回転力が入力されると、一対の前記係合子は、前記入力側係合部と前記入力側被係合部との係合に基づいて、前記第一方向の内側に向かって互いに近づくように移動し、かつ前記出力側係合部と前記出力側被係合部との係合に基づいて、前記回転力を前記出力部材に伝達し、
前記出力部材に回転力が逆入力されると、一対の前記係合子は、前記出力側係合部と前記出力側被係合部との係合に基づいて、前記第一方向の外側に向かって互いに離間するように移動し、前記被押圧面と前記押圧面とを摩擦係合させ、
前記出力部材と前記係合子との間で弾性的に挟持され、前記係合子が前記被押圧面に近づくように前記係合子を前記第一方向の外側に向かって付勢する弾性部材を備え、
前記弾性部材は、
前記出力部材と当接する出力部材当接部と、
前記出力部材当接部よりも前記第一方向の外側に位置し、前記係合子と当接する係合子当接部と、
前記係合子よりも前記被押圧面の軸方向の外側に位置して前記係合子を前記軸方向に挟むように配置される軸方向移動規制部と、
前記係合子の前記出力側被係合部を、前記第一方向及び前記軸方向と直交する第二方向に挟むように配置される第二方向移動規制部と、
を有する、
逆入力遮断クラッチ。
(2)
前記弾性部材は、前記出力部材当接部が設けられる第一の段と、前記係合子当接部が設けられる第二の段と、前記第二方向移動規制部が設けられる第三の段と、を有する3段に屈曲された板バネである、
(1)に記載の逆入力遮断クラッチ。
(3)
前記軸方向移動規制部は、前記係合子当接部よりも前記第一方向の外側かつ前記第二方向の外側に位置し、
前記第二方向移動規制部は、前記係合子当接部よりも前記第一方向の外側かつ前記第二方向の外側に位置する、
(1)または(2)に記載の逆入力遮断クラッチ。
(4)
前記弾性部材は、前記出力部材当接部と同じ面において前記弾性部材を厚み方向に貫通し、かつ前記軸方向に沿う幅が前記係合子の前記軸方向に沿う幅より大きく形成された第一貫通孔を有し、
前記出力部材当接部は、前記第一貫通孔に対して前記軸方向の両側に設けられている、
(1)から(3)のいずれか1つに記載の逆入力遮断クラッチ。
(5)
前記弾性部材は、前記第一貫通孔に対して前記第二方向の両側に設けられて前記弾性部材を厚み方向に貫通するとともに、前記軸方向に沿う幅が前記係合子の前記軸方向に沿う幅より大きく形成された一対の第二貫通孔を有し、
前記一対の第二貫通孔には前記係合子の前記第二方向における両端部がそれぞれ挿入されており、
前記係合子当接部は、前記第二方向において前記第一貫通孔と前記第二貫通孔との間に設けられており、
前記軸方向移動規制部は、前記第二貫通孔に対して前記軸方向の両側に設けられており、
前記第二方向移動規制部は、前記第二貫通孔よりも前記第二方向の外側に設けられている、
(1)から(4)のいずれか1つに記載の逆入力遮断クラッチ。
(6)
前記弾性部材は、前記出力部材当接部が設けられる第一の段と、前記係合子当接部が設けられる第二の段と、前記第一の段と前記第二の段とを接続する斜面と、を有する2段に屈曲された板バネである、
(1)に記載の逆入力遮断クラッチ。
(7)
前記弾性部材は、前記弾性部材を厚み方向に貫通するとともに、前記弾性部材の正面視において前記第一の段から前記斜面を経て前記第二の段までに亘って連続して設けられた貫通孔を有する、
(6)に記載の逆入力遮断クラッチ。
【符号の説明】
【0076】
1,201 逆入力遮断クラッチ
2 入力部材
3 出力部材
4 ハウジング
5 係合子
6,206 弾性部材
11,211 第一の段
12,212 第二の段
13 第三の段
15,16,215 斜面
25 平面部(入力側係合部)
35 出力側係合部
40 被押圧面
51 押圧面
55 入力側被係合部
56 出力側被係合部
61,261 出力部材当接部
62,262 係合子当接部
63,263 軸方向移動規制部
64,264 第二方向移動規制部
71 第一貫通孔
72 第二貫通孔
273 貫通孔
D1 第一方向
D2 第二方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8