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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089097
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】切断装置、及び、切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240626BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240626BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01L21/78 P
H01L21/78 F
B24B27/06 M
B24B49/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204242
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】水田 彩香
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB93
3C034CA05
3C034CA22
3C034CB20
3C158AA03
3C158AC02
3C158BA01
3C158BC03
3C158CB03
3C158DA17
5F063AA48
5F063BA17
5F063BA33
5F063BA48
5F063CA04
5F063DD06
5F063DE01
5F063DE11
5F063DE12
5F063DE19
5F063DE23
5F063DE33
5F063FF04
5F063FF08
5F063FF35
5F063FF36
5F063FF42
(57)【要約】
【課題】切断品の撮影画像における検査領域の自動設定を比較的効率的に行なうことが可能な切断装置、及び、切断品の製造方法を提供する。
【解決手段】切断装置は、撮影部と、第1処理部と、第2処理部とを備える。撮影部は、複数の切断品の一部又は全部を撮影することによって撮影画像を生成する。第1処理部は、撮影画像における複数の検査領域を設定する。第2処理部は、撮影画像のうち複数の検査領域の各々に含まれる画像に基づいて、撮影画像に含まれる各切断品の外観を検査する。第1処理部は、撮影画像において第1方向に連続して位置する所定数の画素の各々の画素値に基づいて所定数の画素に複数の切断品のいずれかの一辺の一部が含まれているか否かを判定する判定処理を実行する。第1処理部は、所定数の画素の位置をずらして判定処理を実行することを繰り返すことによって複数の検査領域の少なくとも一部を設定する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を切断することによって複数の切断品を製造する切断装置であって、
前記複数の切断品の一部又は全部を撮影することによって撮影画像を生成する撮影部と、
前記撮影画像における複数の検査領域を設定する第1処理部と、
前記撮影画像のうち前記複数の検査領域の各々に含まれる画像に基づいて、前記撮影画像に含まれる各切断品の外観を検査する第2処理部とを備え、
前記複数の検査領域の各々の形状は矩形であり、
前記各切断品の形状は矩形であり、
前記第1処理部は、前記撮影画像において第1方向に連続して位置する所定数の画素の各々の画素値に基づいて前記所定数の画素に前記複数の切断品のいずれかの一辺の一部が含まれているか否かを判定する判定処理を実行し、
前記所定数は、前記撮影画像全体の画素数よりも小さく、
前記第1処理部は、前記所定数の画素の位置をずらして前記判定処理を実行することを繰り返すことによって前記複数の検査領域の少なくとも一部を設定する、切断装置。
【請求項2】
前記撮影画像の左辺、右辺、上辺及び下辺は、前記各切断品の左辺、右辺、上辺及び下辺とそれぞれ平行である、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記第1処理部は、前記所定数の画素の位置を第2方向にずらして前記判定処理を実行することを繰り返すことによって前記複数の検査領域の少なくとも一部を設定し、
前記第2方向は、前記第1方向に対して斜め方向である、請求項1又は請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記第1方向は、行方向又は列方向である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項5】
前記第1処理部は、前記所定数の画素の各々の位置を、行方向に1画素又は複数画素ずらすと共に、列方向に1画素又は複数画素ずらすことによって、前記所定数の画素の位置を前記第2方向にずらす、請求項3又は請求項4に記載の切断装置。
【請求項6】
前記第1処理部は、前記判定処理を通じて前記所定数の画素に前記複数の切断品のいずれかの一辺である第1辺の一部が含まれていると判定された場合に、前記第1辺の一部が含まれていると判定された前記所定数の画素の少なくとも一部に基づいて前記第1辺の他の部分を特定することによって前記第1辺を特定する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項7】
前記第1処理部は、特定された前記第1辺に基づいて前記第1辺を含む切断品の他の三辺を特定し、特定された四辺に基づいて前記複数の検査領域のいずれかを設定する、請求項6に記載の切断装置。
【請求項8】
前記第1処理部は、特定された前記第1辺に基づいて前記他の三辺のうち前記第1辺に対向する第2辺を特定し、その後、前記第1辺及び前記第2辺以外の二辺を特定する、請求項7に記載の切断装置。
【請求項9】
前記第1処理部は、前記複数の検査領域のうち最初に設定された検査領域に基づいて、前記複数の検査領域のうちの他の検査領域を設定する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の切断装置を用いた切断品の製造方法であって、
前記切断装置は、
前記基板を配置する切断テーブルと、
前記切断テーブルに配置された前記基板を切断する切断部とを備え、
前記製造方法は、
前記切断テーブルに前記基板を配置するステップと、
前記切断テーブルに配置された前記基板を切断することによって前記複数の切断品を製造するステップと、
前記複数の切断品の一部又は全部を撮影することによって前記撮影画像を生成するステップと、
前記撮影画像における前記複数の検査領域を設定するステップと、
前記撮影画像のうち前記複数の検査領域の各々に含まれる画像に基づいて、前記撮影画像に含まれる前記各切断品の外観を検査するステップとを含む、切断品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、及び、切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2010-125488号公報(特許文献1)は、ワークを切断する切断装置を開示する。この切断装置においては、ワークを切断することによって複数の個片化ワークが製造され、各個片化ワークの外観検査が行なわれる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-125488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板を切断することによって製造された切断品(例えば、個片化ワーク)の外観の検査は、例えば、切断品の撮影画像に基づいて行なわれる。この場合には、切断品の撮影画像において検査領域が設定され、検査領域内の画像に基づいて切断品の外観が検査される。すなわち、切断品の撮影画像に基づいた切断品の外観検査を行なうためには、切断品の撮影画像において検査領域を設定することが必要である。しかしながら、上記特許文献1においては、検査領域の具体的な設定方法が開示されていない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、切断品の撮影画像における検査領域の自動設定を比較的効率的に行なうことが可能な切断装置、及び、切断品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う切断装置は、基板を切断することによって複数の切断品を製造する。この切断装置は、撮影部と、第1処理部と、第2処理部とを備える。撮影部は、複数の切断品の一部又は全部を撮影することによって撮影画像を生成する。第1処理部は、撮影画像における複数の検査領域を設定する。第2処理部は、撮影画像のうち複数の検査領域の各々に含まれる画像に基づいて、撮影画像に含まれる各切断品の外観を検査する。複数の検査領域の各々の形状は矩形である。各切断品の形状は矩形である。第1処理部は、撮影画像において第1方向に連続して位置する所定数の画素の各々の画素値に基づいて所定数の画素に複数の切断品のいずれかの一辺の一部が含まれているか否かを判定する判定処理を実行する。所定数は、撮影画像全体の第1方向における画素数よりも小さい。第1処理部は、所定数の画素の位置をずらして判定処理を実行することを繰り返すことによって複数の検査領域の少なくとも一部を設定する。
【0007】
本発明の他の局面に従う切断品の製造方法は、上記切断装置を用いた切断品の製造方法である。切断装置は、切断テーブルと、切断部とを備える。切断テーブルには、基板が配置される。切断部は、切断テーブルに配置された基板を切断する。製造方法は、切断テーブルに基板を配置するステップと、切断テーブルに配置された基板を切断するステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、切断品の撮影画像における検査領域の自動設定を比較的効率的に行なうことが可能な切断装置、及び、切断品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】切断装置を模式的に示す平面図である。
図2】電子部品が第2光学検査カメラによって撮影される様子を模式的に示す図である。
図3】コンピュータのハードウェア構成を模式的に示す図である。
図4】第2光学検査カメラによって生成された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
図5】電子部品の外観検査の手順を示すフローチャートである。
図6】検査領域の設定処理の手順を示すフローチャートである。
図7】1つ目の検査領域の設定処理の手順を示すフローチャートである。
図8】撮影画像において1つ目の電子部品の左辺の一部を特定する手順を説明するための図である。
図9】左辺判定処理の対象となる所定数の画素の位置がどのように変更されるかを説明するための図である。
図10】左辺判定処理における近似曲線の生成について説明するための図である。
図11】近似曲線を微分した結果を示す曲線を模式的に示す図である。
図12】左辺の他の部分を特定する手順について説明するための図である。
図13】左辺判定処理を通じて得られた微分値の各最大値(最大値>第1所定値)に対応する各画素位置に基づいて左辺を特定する手順を説明するための図である。
図14】1つ目の電子部品における左辺の特定処理の手順を示すフローチャートである。
図15】左辺の上端及び下端の各々の特定処理の手順を示すフローチャートである。
図16】1つ目の電子部品の右辺を特定する手順について説明するための図である。
図17】1つ目の電子部品における右辺の特定処理の手順を示すフローチャートである。
図18】1つ目の電子部品の上辺及び下辺の各々を特定する手順について説明するための図である。
図19】1つ目の電子部品における上辺の特定処理の手順を示すフローチャートである。
図20】1つ目の電子部品における下辺の特定処理の手順を示すフローチャートである。
図21】1つ目の検査領域に対して行方向又は列方向にずれた位置において他の検査領域を設定する手順を説明するための図である。
図22】1つ目の検査領域に対して行方向にずれた位置における他の検査領域の設定処理の手順を示すフローチャートである。
図23】1つ目の検査領域に対して列方向にずれた位置における他の検査領域の設定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0011】
[1.構成]
<1-1.切断装置の構成>
図1は、本実施の形態に従う切断装置1を模式的に示す平面図である。切断装置1は、パッケージ基板(切断対象物の一例)を切断することによって、該パッケージ基板を複数の電子部品(切断品の一例)に個片化するように構成されている。パッケージ基板においては、半導体チップが固定された基板又はリードフレームが樹脂封止されている。なお、切断対象物は、必ずしもパッケージ基板である必要はなく、例えば、樹脂封止されていない基板(ウエーハを含む。)であってもよい。
【0012】
パッケージ基板の一例としては、BGA(Ball Grid Array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip Size Package)パッケージ基板、LED(Light Emitting Diode)パッケージ基板及びQFN(Quad Flat No-leaded)パッケージ基板が挙げられる。
【0013】
また、切断装置1は、個片化された複数の電子部品の各々を検査するように構成されている。切断装置1においては、各電子部品が撮影され、撮影画像に基づいて各電子部品の検査が行なわれる。該検査を通じて検査データが生成され、各電子部品は「良品」又は「不良品」に分類される。
【0014】
この例においては、切断対象物としてパッケージ基板P1が用いられ、切断装置1によってパッケージ基板P1が複数の電子部品S1(図2参照)に個片化される。以下では、パッケージ基板P1の両面のうち、樹脂封止された面をモールド面と称し、モールド面と反対の面をボール/リード面と称する。なお、切断対象物が樹脂封止されていない基板である場合には、切断時に上を向いている面(切断面)が本実施の形態におけるボール/リード面に相当し、切断面の反対面が本実施の形態におけるモールド面に相当する。
【0015】
図1に示されるように、切断装置1は、構成要素として、切断モジュールA1と、検査・収納モジュールB1とを含んでいる。切断モジュールA1は、パッケージ基板P1を切断することによって複数の電子部品S1を製造するように構成されている。検査・収納モジュールB1は、製造された複数の電子部品S1の各々を検査し、その後、電子部品S1をトレイに収納するように構成されている。切断装置1において、各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0016】
切断モジュールA1は、主として、基板供給部3と、位置決め部4と、切断テーブル5と、スピンドル部6と、搬送部7とを含んでいる。
【0017】
基板供給部3は、複数のパッケージ基板P1を収容するマガジンM1からパッケージ基板P1を1つずつ押し出すことによって、パッケージ基板P1を1つずつ位置決め部4へ供給する。このとき、パッケージ基板P1は、ボール/リード面が上に向いた状態で配置されている。
【0018】
位置決め部4は、基板供給部3から押し出されたパッケージ基板P1をレール部4a上に配置することによって、パッケージ基板P1の位置決めを行う。その後、位置決め部4は、位置決めされたパッケージ基板P1を切断テーブル5へ搬送する。
【0019】
切断テーブル5は、切断されるパッケージ基板Pを保持する。ここでは、2個の切断テーブル5を有するツインカットテーブル構成の切断装置1が例示されている。切断テーブル5は、保持部材5aと、回転機構5bと、移動機構5cとを含んでいる。保持部材5aは、位置決め部4によって搬送されたパッケージ基板P1を下方から吸着することによって、パッケージ基板P1を保持する。回転機構5bは、保持部材5aを図のθ1方向に水平面において回転させることが可能である。移動機構5cは、保持部材5aを図のY軸に沿って移動させることが可能である。
【0020】
スピンドル部6は、パッケージ基板P1を切断することによって、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。ここでは、2個のスピンドル部6を有するツインスピンドル構成の切断装置1が例示されている。スピンドル部6は、図のX軸及びZ軸に沿って移動可能である。なお、切断装置1は、一個のスピンドル部6を有するシングルスピンドル構成であってもよい。
【0021】
スピンドル部6は、回転軸6cを含んでいる。スピンドル部6の回転軸6cには、ブレード6aが固定される。ブレード6aは、高速回転することによって、パッケージ基板P1を切断し、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。ブレード6aは、不図示の第1及び第2フランジにより挟持された状態で、回転軸6cに装着される。第1及び第2フランジは、ナット等の不図示の締結部材によって回転軸6cに固定される。
【0022】
切断モジュールA1には、切削水用ノズル、冷却水用ノズル及び端材飛ばし水用ノズル等(不図示)が設けられる。切削水用ノズルは、高速回転するブレード6aに向かって切削水を噴射する。冷却水用ノズルは、パッケージ基板P1の切断箇所近傍に向かって冷却水を噴射する。端材飛ばし水用ノズルは、切断屑等を飛ばす端材飛ばし水を噴射する。
【0023】
切断テーブル5がパッケージ基板P1を吸着した後、第1位置確認カメラ5dによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置が確認される。第1位置確認カメラ5dを用いた確認は、例えば、パッケージ基板P1上に設けられたアライメントマークの位置の確認である。アライメントマークの位置情報は、例えば、パッケージ基板P1の切断ラインの決定に用いられる。
【0024】
その後、切断テーブル5は、図のY軸に沿いスピンドル部6に向かって移動する。切断テーブル5がブレード6aの下方に移動した後、切断テーブル5とスピンドル部6とを相対的に移動させることによって、パッケージ基板P1が切断される。その後、必要に応じて切断モジュールA1に備えられている第2位置確認カメラ6bによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置等が確認される。第2位置確認カメラ6bを用いた確認は、例えば、パッケージ基板P1の切断位置及び切断幅の確認である。
【0025】
切断テーブル5は、パッケージ基板P1の切断が完了した後、個片化された複数の電子部品S1を吸着した状態で、図のY軸に沿ってスピンドル部6から離れる方向に移動する。この移動過程において、第1クリーナ5eによって、電子部品S1の上面(ボール/リード面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。この洗浄は、例えば、電子部品S1の上面に洗浄水を直接的に噴射することによって行なわれてもよいし、電子部品S1の上面にブラシ等を介して洗浄水を供給することによって行なわれてもよい。なお、切断装置1においては、図のX軸方向に並ぶ2つの第1クリーナ5eが設けられているが、第1クリーナ5eの数はこれに限定されない。
【0026】
搬送部7は、切断テーブル5に保持された電子部品S1を上方から吸着し、電子部品S1を検査・収納モジュールB1の検査テーブル11へ搬送する。この搬送過程において、第2クリーナ7aによって、電子部品S1の下面(モールド面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。この洗浄は、例えば、電子部品S1の下面に洗浄水を直接的に噴射することによって行なわれてもよいし、電子部品S1の下面にブラシ等を介して洗浄水を供給することによって行なわれてもよい。
【0027】
検査・収納モジュールB1は、主として、検査テーブル11と、第1光学検査カメラ12と、第2光学検査カメラ13と、配置部14と、抽出部15とを含んでいる。なお、第1光学検査カメラ12は、切断モジュールA1に設けられていてもよい。
【0028】
検査テーブル11は、電子部品S1の光学的な検査のために、電子部品S1を保持する。検査テーブル11は、図のX軸に沿って移動可能である。また、検査テーブル11は、上下反転することができる。検査テーブル11には、電子部品S1を吸着することによって電子部品S1を保持する保持部材11b(図2参照)が設けられている。
【0029】
第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13は、電子部品S1のモールド面及びボール/リード面をそれぞれ撮影する。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、電子部品S1の外観に関する各種検査(外観検査)が行なわれる。外観検査の一例としては、電子部品S1の大きさの検査、ボール部BA1の大きさの検査、及び、隣接するボール部BA1間の長さの検査が挙げられる。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の各々は、検査テーブル11の近傍において、上方を撮影するように配置されている。
【0030】
第1光学検査カメラ12は、搬送部7によって検査テーブル11へ搬送される電子部品S1のモールド面を撮影する。その後、搬送部7は、検査テーブル11の保持部材11b上に電子部品S1を載置する。保持部材11bが電子部品S1を吸着した後、検査テーブル11は上下反転する。検査テーブル11は第2光学検査カメラ13の上方へ移動し、電子部品S1のボール/リード面が第2光学検査カメラ13によって撮影される。
【0031】
図2は、電子部品S1が第2光学検査カメラ13によって撮影される様子を模式的に示す図である。検査テーブル11は、検査テーブル本体11aと、保持部材11bとを含んでいる。保持部材11bは、検査テーブル本体11aの下方に設けられている。保持部材11bにおいて、電子部品S1を保持する面は、例えば、黒色のラバーで構成されている。なお、ラバーの色は、黒色である必要はなく、例えば、白色等であってもよい。保持部材11bによって吸着保持された複数の電子部品S1が第2光学検査カメラ13によって撮影される。第2光学検査カメラ13によって生成された撮影画像を示す画像データ又は撮影画像(以下、単に「撮影画像」とも称する。)に基づいて各電子部品S1のボール/リード面の外観に関する検査が行なわれる。各電子部品S1のボール/リード面の外観に関する検査の手順については後程詳しく説明する。
【0032】
再び図1を参照して、配置部14には、検査済みの電子部品S1が配置される。配置部14は、図のY軸に沿って移動可能である。検査テーブル11は、検査済みの電子部品S1を配置部14に配置する。
【0033】
抽出部15は、配置部14に配置された電子部品S1をトレイに移送する。電子部品S1は、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13を用いた検査の結果に基づいて、「良品」又は「不良品」に分別される。抽出部15は、分別の結果に基づいて、各電子部品S1を良品用トレイ15a又は不良品用トレイ15bに移送する。すなわち、良品は良品用トレイ15aに収納され、不良品は不良品用トレイ15bに収納される。良品用トレイ15a及び不良品用トレイ15bの各々は、電子部品S1で満たされると、新たなトレイに取り換えられる。
【0034】
切断装置1は、さらにコンピュータ50とモニタ20とを含んでいる。モニタ20は、画像を表示するように構成されている。モニタ20は、例えば、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等の表示デバイスで構成される。モニタ20は、例えば、切断装置1の正面に設けられている。
【0035】
コンピュータ50は、例えば、切断モジュールA1及び検査・収納モジュールB1の各部の動作を制御する。コンピュータ50によって、例えば、基板供給部3、位置決め部4、切断テーブル5、スピンドル部6、搬送部7、検査テーブル11、第1光学検査カメラ12、第2光学検査カメラ13、配置部14、抽出部15及びモニタ20の動作が制御される。
【0036】
また、コンピュータ50は、例えば、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、電子部品S1の各種検査を行なう。次に、コンピュータ50について詳細に説明する。
【0037】
<1-2.コンピュータの構成>
図3は、コンピュータ50のハードウェア構成を模式的に示す図である。図3に示されるように、コンピュータ50は、制御部70と、入出力I/F(interface)90と、受付部95と、記憶部80とを含み、各構成は、バスを介して電気的に接続されている。
【0038】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)72、RAM(Random Access Memory)74及びROM(Read Only Memory)76等を含んでいる。制御部70は、情報処理に応じて、コンピュータ50内の各構成要素及び切断装置1内の各構成要素を制御するように構成されている。
【0039】
入出力I/F90は、信号線を介して、切断装置1に含まれる各構成要素と通信するように構成されている。入出力I/F90は、コンピュータ50から切断装置1内の各構成要素へのデータの送信、切断装置1内の各構成要素からコンピュータ50へ送信されるデータの受信に用いられる。受付部95は、ユーザからの指示を受け付けるように構成されている。受付部95は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス及びマイクの一部又は全部で構成される。
【0040】
記憶部80は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部80は、例えば、制御プログラム81を記憶するように構成されている。制御プログラム81が制御部70によって実行されることにより、切断装置1における各種動作が実現される。制御部70が制御プログラム81を実行する場合に、制御プログラム81は、RAM74に展開される。そして、制御部70は、RAM74に展開された制御プログラム81をCPU72によって解釈及び実行することにより各構成要素を制御する。
【0041】
[2.検査領域の自動設定の必要性]
上述のように、切断装置1においては、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13によって生成された撮影画像に基づいて、電子部品S1の外観検査が行なわれる。
【0042】
図4は、第2光学検査カメラ13によって生成された撮影画像IM1の一例を模式的に示す図である。図4を参照して、撮影画像IM1には、複数の電子部品S1が写っており、例えば、電子部品S1A,S1B,S1C,S1Dが写っている。撮影画像IM1においては、複数の電子部品S1が格子状に並んでいる。撮影画像IM1は各電子部品S1のボール/リード面を撮影した画像であるため、撮影画像IM1には各電子部品S1の複数のボール部BA1が写っている。また、互いに隣接する2つの電子部品S1の間には、検査テーブル11の保持部材11bが写っている。
【0043】
撮影画像IM1は、グレースケール(256階調)の画像である。この例においては、各電子部品S1の色が保持部材11bの色よりも明るい。例えば、各電子部品S1は灰色で示され、保持部材11bは黒色で示されている。なお、撮影画像に撮影対象が「写っている」ことを、撮影画像に撮影対象が「含まれている」とも称する。
【0044】
撮影画像IM1の形状は矩形であり、各電子部品S1の形状は矩形である。なお、本明細書において「矩形」は、長方形(4つの角が全て等しい四角形)を意味し、正方形を意味してもよい。撮影画像IM1の左辺IL1、右辺IR1、上辺IT1及び下辺IB1は、各電子部品S1の左辺EL1、右辺ER1、上辺ET1及び下辺EB1とそれぞれ平行である。ここで、平行は、厳密な意味だけではなく、実質的な意味も含む。すなわち、2辺がなす角度が0ではない場合であっても、2辺がなす角度が誤差の範囲内の値であるとき、2辺は平行である。
【0045】
撮影画像IM1に基づいて電子部品S1の外観検査が行なわれる場合に、まずは、撮影画像IM1における複数の検査領域T1が設定される。各検査領域T1は、撮影画像IM1に含まれるいずれかの電子部品S1に対応する。例えば、検査領域T1A,T1B,T1C,T1Dは、電子部品S1A,S1B,S1C,S1Dにそれぞれ対応している。切断装置1においては、撮影画像IM1のうち複数の検査領域T1の各々に含まれる画像に基づいて、撮影画像IM1に含まれる各電子部品S1の外観が検査される。
【0046】
各検査領域T1の設定方法としては、例えば、作業者が手動で設定する方法が考えられる。しかしながら、作業者が手動で各検査領域T1を設定する場合には、例えば、検査領域T1の設定に比較的長時間を要するという問題、検査領域T1の設定精度が作業者毎にばらつくという問題、及び、検査領域T1の設定ミスの発生頻度が比較的高くなるという問題が生じ得る。
【0047】
本実施の形態に従う切断装置1においては、各検査領域T1が自動的に設定される。したがって、切断装置1によれば、作業者が手動で各検査領域T1を設定する場合に生じ得る各問題の発生を抑制することができる。また、詳細については後述するが、切断装置1においては、各検査領域T1の自動設定に関するアルゴリズムに工夫が施されている。したがって、切断装置1によれば、各検査領域T1の自動設定を比較的効率的に行なうことができる。
【0048】
[3.電子部品(切断品)の外観検査の手順]
図5は、電子部品S1の外観検査の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に従う切断装置1においては、検査テーブル11に配置された全電子部品S1のうち一部の電子部品S1のみが第2光学検査カメラ13によって一度に撮影され、撮影画像単位で各電子部品S1の外観が検査される。第2光学検査カメラ13及び検査テーブル11間の位置関係の調整と第2光学検査カメラ13による撮影とが繰り返し行なわれることによって、検査テーブル11に配置された全電子部品S1の外観が検査される。
【0049】
図5のフローチャートに示される処理は、例えば、検査テーブル11に配置された全電子部品S1の外観検査のために行なわれる複数回の撮影のうち最初の撮影が行なわれる場合にコンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0050】
図5を参照して、制御部70は、検査テーブル11に配置された複数の電子部品S1を撮影するように第2光学検査カメラ13を制御する(ステップS100)。制御部70は、第2光学検査カメラ13によって生成された撮影画像IM1における各検査領域T1の設定処理を実行する(ステップS110)。ステップS110における処理については後程詳しく説明する。
【0051】
制御部70は、各検査領域T1に含まれる画像に基づいて、撮影画像IM1に含まれる各電子部品S1の各種の外観検査処理を実行する(ステップS120)。検査テーブル11に配置された全電子部品S1の外観検査のために行なわれる複数回の撮影のうち2回目以降の撮影を通じた外観検査が行なわれる場合には、例えば、1回目の撮影を通じた外観検査のために設定された各検査領域T1が用いられ、ステップS110の処理が省略される。
【0052】
図6は、検査領域の設定処理(図5のステップS110)の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0053】
図6を参照して、制御部70は、撮影画像IM1に含まれる複数の電子部品S1のうち1つ目の電子部品S1に対応する検査領域T1(例えば、図4における検査領域T1A)の設定処理を実行する(ステップS200)。ステップS200における処理については後程詳しく説明する。
【0054】
制御部70は、ステップS200において設定された検査領域T1を基準に、行方向にずれた位置に存在する電子部品S1に対応する検査領域T1(例えば、図4における検査領域T1B)の設定処理を実行する(ステップS210)。ステップS210における処理については後程詳しく説明する。
【0055】
制御部70は、ステップS200において設定された検査領域T1を基準に、列方向にずれた位置に存在する電子部品S1に対応する検査領域T1(例えば、図4における検査領域T1C)の設定処理を実行する(ステップS220)。ステップS220における処理については後程詳しく説明する。
【0056】
制御部70は、ステップS200,S210,S220における処理を通じて設定された各検査領域T1に基づいて行方向における検査領域T1の数と列方向における検査領域T1の数とを決定し、その結果に基づいて他の検査領域T1(例えば、図4における検査領域T1D)を設定する(ステップS230)。図4に示される例であれば、ステップS200,S210,S220における処理を通じて、行方向における検査領域T1の数が「2」と決定され、列方向における検査領域T1の数が「2」と決定される。そして、2行2列の格子状に各検査領域T1が並ぶように、他の検査領域T1が設定される。
【0057】
図7は、1つ目の検査領域T1の設定処理(図6のステップS200)の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0058】
図7を参照して、制御部70は、撮影画像IM1に含まれる複数の電子部品S1のうち1つ目の電子部品(以下、単に「1つ目の電子部品」とも称する。)S1の左辺EL1を特定するための処理を実行する(ステップS300)。ステップS300における処理については後程詳しく説明する。制御部70は、特定された左辺EL1に基づいて、1つ目の電子部品S1の右辺ER1を特定するための処理を実行する(ステップS310)。ステップS310における処理については後程詳しく説明する。
【0059】
制御部70は、特定された左辺EL1及び右辺ER1に基づいて、1つ目の電子部品S1の上辺ET1を特定するための処理を実行する(ステップS320)。ステップS320における処理については後程詳しく説明する。制御部70は、特定された左辺EL1及び右辺ER1に基づいて、1つ目の電子部品S1の下辺EB1を特定するための処理を実行する(ステップS330)。ステップS330における処理については後程詳しく説明する。制御部70は、特定された左辺EL1、右辺ER1、上辺ET1及び下辺EB1に基づいて、1つ目の電子部品S1に対応する検査領域T1を設定する(ステップS340)。
【0060】
図8は、撮影画像IM1において1つ目の電子部品S1の左辺EL1の一部を特定する手順を説明するための図である。図8を参照して、切断装置1においては、左辺判定処理が実行される。左辺判定処理は、行方向に連続して位置する所定数の画素(以下、単に「所定数の画素」とも称する。)の各々の画素値に基づいて、当該所定数の画素に左辺EL1の一部が含まれているか否かを判定する処理である。左辺判定処理においては、所定数の画素の各々の画素値に基づいて、保持部材11bと電子部品S1との境界が特定される。例えば、図中左側から右側に向かって、画素値の小さい画素(保持部材11bに対応する画素(暗い画素))と画素値の大きい画素(電子部品S1に対応する画素(明るい画素))とがこの順で隣接して並んでいる部分が特定される。
【0061】
左辺判定処理を通じて所定数の画素に左辺EL1の一部が含まれていないと判定された場合には、判定される所定数の画素の位置が、例えば、右斜め下方に変更され、変更後の所定数の画素に関して左辺判定処理が実行される。判定される所定数の画素の位置の変更と左辺判定処理とが繰り返し実行されることによって、左辺EL1の一部の位置が特定される。
【0062】
図9は、左辺判定処理の対象となる所定数の画素の位置がどのように変更されるかを説明するための図である。この図に示される撮影画像IM1おいては、説明の容易のために、各電子部品S1の画像等が省略されている。
【0063】
図9を参照して、撮影画像IM1は、複数の画素PX1によって構成されている。切断装置1においては、まず、左上端の画素PX1から行方向の右側に向かって5画素(所定数の画素の一例)が選択され、選択された5画素に関して左辺判定処理が実行される。選択された5画素に左辺EL1の一部が含まれていないと判定された場合には、5画素の位置が行方向右側及び列方向下側に1画素ずつ変更される。そして、変更後の5画素に関して左辺判定処理が実行される。左辺EL1の一部が特定されるまで、5画素の位置の変更及び左辺判定処理が繰り返し実行される。
【0064】
図10は、左辺判定処理における近似曲線L1の生成について説明するための図である。図10を参照して、横軸は所定数の画素の各々の位置を示し、縦軸は画素値を示す。左辺判定処理においては、撮影画像IM1における左側から右側に向かって、所定数の画素の画素値がどのように変化するかを示す近似曲線L1が生成される。近似曲線L1の生成には、例えば、公知の種々の技術が適用される。
【0065】
図11は、近似曲線L1を微分した結果を示す曲線L2を模式的に示す図である。図11を参照して、横軸は所定数の画素の各々の位置を示し、縦軸は微分値を示す。左辺判定処理においては、生成された近似曲線L1の微分が行なわれる。左辺判定処理においては、微分値の最大値が閾値(第1所定値)を超えた場合に、所定数の画素に左辺EL1の一部が存在すると判定される。所定数の画素に左辺EL1の一部が存在すると判定されると、特定された左辺EL1の一部に基づいて左辺EL1の他の部分が特定される。
【0066】
図12は、左辺EL1の他の部分を特定する手順について説明するための図である。図12を参照して、画素PX1Aは、左辺判定処理を通じて得られた微分値の最大値(最大値>第1所定値)に対応する画素PX1の一例である。左辺EL1の他の部分を特定する処理においては、まず左辺EL1の上端を特定する処理が実行され、その後左辺EL1の下端を特定する処理が実行される。
【0067】
具体的には、画素PX1Aと、画素PX1Aの左側2画素と、画素PX1Aの右側2画素とを含む5画素が、判定対象の画素として選択される。選択された5画素に左辺EL1の一部が含まれていないと判定されるまで、判定対象の5画素の位置を列方向上側に1画素ずらす処理と左辺判定処理とが繰り返し実行される。選択された5画素の各々が保持部材11b(図4参照)を示す場合に、判定対象の5画素の位置を列方向上側に1画素ずらす処理が停止し、左辺EL1の上端が特定される。なお、判定対象の画素は、必ずしも、画素PX1Aと、画素PX1Aの左側2画素と、画素PX1Aの右側2画素とを含む5画素である必要はない。例えば、判定対象の画素は、画素PX1Aと、画素PX1Aの左側1画素と、画素PX1Aの右側1画素とを含む3画素であってもよいし、画素PX1Aと、画素PX1Aの左側2画素と、画素PX1Aの右側1画素とを含む4画素であってもよいし、画素PX1Aと、画素PX1Aの左側1画素と、画素PX1Aの右側2画素とを含む4画素であってもよい。
【0068】
左辺EL1の上端が特定されると、画素PX1Aと、画素PX1Aの左側2画素と、画素PX1Aの右側2画素とを含む5画素に左辺EL1の一部が含まれていないと判定されるまで、判定対象の5画素の位置を列方向下側に1画素ずらす処理と左辺判定処理とが繰り返し実行される。選択された5画素の各々が保持部材11b(図4参照)に対応することによって、判定対象の5画素の位置を列方向下側に1画素ずらす処理が停止し、左辺EL1の下端が特定される。
【0069】
図13は、左辺判定処理を通じて得られた微分値の各最大値(最大値>第1所定値)に対応する各画素位置に基づいて左辺EL1を特定する手順を説明するための図である。この例においては、各々が微分値の最大値(最大値>第1所定値)に対応する画素位置(微分最大位置PO1)を含む複数の画素PX1が列方向に並んでいる。この場合には、例えば、各微分最大位置PO1に所定のアルゴリズムを適用することによって左辺EL1が特定される。所定のアルゴリズムの一例としては、RANSAC(Random Sample Consensus)が挙げられる。これにより、1つ目の電子部品S1の左辺が特定される。
【0070】
図14は、1つ目の電子部品S1における左辺EL1の特定処理(図7のステップS300)の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0071】
図14を参照して、制御部70は、左辺判定処理の対象となる所定数の画素の位置を決定する(ステップS400)。制御部70は、例えば、撮影画像IM1の左上端の画素PX1から右側に向かって5画素を左辺判定処理の対象として決定する。
【0072】
制御部70は、決定された5画素の画素値に基づいて近似曲線を生成する(ステップS410)。制御部70は、生成された近似曲線の微分を行なう(ステップS420)。制御部70は、微分値の最大値が第1所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS430)。微分値の最大値が第1所定値以下であると判定されると(ステップS430においてNO)、制御部70は、左辺判定処理の対象となる5画素の位置を右斜め下方にずらし(ステップS440)、ステップS410,S420,S430(左辺判定処理)を再び実行する。
【0073】
一方、微分値の最大値が第1所定値よりも大きいと判定されると(ステップS430においてYES)、制御部70は、左辺EL1の上端及び下端の各々を特定する処理を実行する(ステップS450)。左辺EL1の上端及び下端の各々を特定する処理については後程詳しく説明する。
【0074】
左辺EL1の上端及び下端の各々が特定されると、制御部70は、上端及び下端間の長さと第1所定長との差分が第2所定値未満であるか否かを判定する(ステップS460)。第1所定長は、例えば、電子部品S1の上端及び下端間の長さの仕様値に対応する長さである。第2所定値は、例えば、電子部品S1の上端及び下端間の長さの仕様値の0.5%-5%に対応する長さであってもよい。
【0075】
上端及び下端間の長さと第1所定長との差分が第2所定値以上であると判定されると(ステップS460においてNO)、制御部70は、最後にステップS430において微分値の最大値が第1所定値よりも大きいと判定された5画素を基準にステップS440の処理を実行する。例えば、左辺判定処理の対象となる所定数の画素にボール部BA1(図4参照)が含まれる場合に、このようなことが生じ得る。
【0076】
一方、上端及び下端間の長さと第1所定長との差分が第2所定値未満であると判定されると(ステップS460においてYES)、制御部70は、左辺判定処理を通じて得られた微分値の各最大値(最大値>第1所定値)に対応する各画素位置に基づいて左辺EL1を特定する(ステップS470)。
【0077】
図15は、左辺EL1の上端及び下端の各々の特定処理(図14のステップS450)の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0078】
図15を参照して、制御部70は、図14のステップS420において算出された微分値の最大値(最大値>第1所定値)に対応する画素PX1を含む所定数の画素(5画素)の位置を基準に、左辺判定処理の対象となる所定数の画素の位置を列方向上側に1画素ずらす(ステップS500)。
【0079】
制御部70は、位置が変更された5画素の画素値に基づいて近似曲線を生成する(ステップS510)。制御部70は、生成された近似曲線の微分を行なう(ステップS520)。制御部70は、微分値の最大値が第1所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS530)。微分値の最大値が第1所定値より大きいと判定されると(ステップS530においてYES)、制御部70は、再びステップS500の処理を実行する。一方、微分値の最大値が第1所定値以下であると判定されると(ステップS530においてNO)、制御部70は、左辺EL1の上端を特定する(ステップS540)。
【0080】
制御部70は、図14のステップS420において算出された微分値の最大値(最大値>第1所定値)に対応する画素PX1を含む所定数の画素(5画素)の位置を基準に、左辺判定処理の対象となる所定数の画素の位置を列方向下側に1画素ずらす(ステップS550)。
【0081】
制御部70は、位置が変更された5画素の画素値に基づいて近似曲線を生成する(ステップS560)。制御部70は、生成された近似曲線の微分を行なう(ステップS570)。制御部70は、微分値の最大値が第1所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS580)。微分値の最大値が第1所定値より大きいと判定されると(ステップS580においてYES)、制御部70は、再びステップS550の処理を実行する。一方、微分値の最大値が第1所定値以下であると判定されると(ステップS580においてNO)、制御部70は、左辺EL1の下端を特定する(ステップS590)。これにより、左辺EL1の上端及び下端が特定される。
【0082】
このように、本実施の形態に従う切断装置1においては、所定数の画素の位置をずらして左辺判定処理を実行することが繰り返されることによって、複数の検査領域T1の少なくとも一部が設定される。したがって、切断装置1によれば、例えば、撮影画像IM1全体に含まれる各画素PX1の画素値に基づいて検査領域T1が設定される場合と比較して、効率的に検査領域T1を自動設定することができる。
【0083】
また、切断装置1によれば、所定数の画素の位置が斜め方向に徐々にずらされ、複数の電子部品S1のいずれかの一辺(例えば、左辺EL1)の一部と所定数の画素とが比較的早い段階で交差するため、複数の電子部品S1のいずれかの一辺の一部を比較的効率的に特定することができる。
【0084】
また、切断装置1によれば、特定された左辺EL1の一部に基づいて左辺EL1の他の部分が特定されるため、比較的効率的に左辺EL1全体を特定することができる。
【0085】
図16は、1つ目の電子部品S1の右辺ER1を特定する手順について説明するための図である。図16を参照して、1つ目の電子部品S1の右辺ER1は、左辺EL1が特定された後に、左辺EL1に基づいて特定される。
【0086】
左辺EL1に含まれる各画素の位置から行方向右側に複数画素ずれた位置の各画素を基準に行方向右側に向かって所定数の画素(5画素)が選択され、5画素の集合が生成される。5画素の集合に含まれる各5画素に関して、右辺判定処理が実行される。右辺ER1の特定のために最初に選択される各5画素のうち最も左側に位置する各画素の位置は、左辺EL1の位置から行方向右側に複数画素ずれた位置となる。左辺EL1の位置からずれる複数画素の数は、例えば、電子部品S1の左右方向の長さの仕様値に基づいて予め定められている。
【0087】
右辺判定処理は、所定数の画素の各々の画素値に基づいて、当該所定数の画素に右辺ER1の一部が含まれているか否かを判定する処理である。右辺判定処理においては、所定数の画素の各々の画素値に基づいて、保持部材11bと電子部品S1との境界が特定される。例えば、図中右側から左側に向かって、画素値の小さい画素(保持部材11bに対応する画素(暗い画素))と画素値の大きい画素(電子部品S1に対応する画素(明るい画素))とがこの順で隣接して並んでいる部分が特定される。
【0088】
上述の左辺判定処理においては、左辺判定処理の対象となる5画素に関して、図中左側から右側に向かって各画素値がどのように変化するかに基づいて所定数の画素に左辺EL1の一部が含まれているか否かが判定される。一方、右辺判定処理においては、右辺判定処理の対象となる5画素に関して、図中右側から左側に向かって各画素値がどのように変化するかに基づいて所定数の画素に右辺ER1の一部が含まれているか否かが判定される。左辺EL1を含む5画素においては左側から右側に向かって画素値が大きくなる(明るくなる)のに対して、右辺ER1を含む5画素においては右側から左側に向かって画素値が大きくなるためである。その他の点において、左辺判定処理の内容と右辺判定処理の内容とは同様である。
【0089】
右辺判定処理を通じて所定数の画素(選択された5画素)の集合に右辺ER1の一部を含まない所定数の画素が存在すると判定された場合には、所定数の画素の集合の位置が行方向右側に1画素ずらされる。そして、変更後の所定数の画素の集合に関して右辺判定処理が実行される。所定数の画素の集合の位置の変更と右辺判定処理とが繰り返し実行されることによって、右辺ER1の位置が特定される。
【0090】
図17は、1つ目の電子部品S1における右辺ER1の特定処理(図7のステップS310)の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0091】
図17を参照して、制御部70は、右辺判定処理の対象となる所定数の画素の集合の位置を決定する(ステップS600)。制御部70は、例えば、左辺EL1に含まれる各画素PX1の位置から行方向右側に複数画素ずれた位置の各画素PX1を基準に行方向右側に向かって所定数の画素(5画素)を右辺判定処理の対象の集合の位置として決定する。
【0092】
制御部70は、決定された各5画素の画素値に基づいて複数の近似曲線を生成する(ステップS610)。制御部70は、生成された複数の近似曲線の各々の微分を行なう(ステップS620)。制御部70は、微分値の各最大値が第1所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS630)。微分値の最大値の一部が第1所定値以下であると判定されると(ステップS630においてNO)、制御部70は、右辺判定処理の対象となる5画素の集合の位置を右側に1画素ずらす(ステップS640)。
【0093】
制御部70は、変更後の右辺判定処理の対象となる5画素の集合の位置に基づいて、エラーが発生しているか否かを判定する(ステップS650)。例えば、変更後の右辺判定処理の対象となる5画素の集合の左端の各画素の位置と左辺EL1の位置との間の長さが電子部品S1の左右方向の長さの仕様値よりも長く、かつ、その差分値が予め定められた長さ以上である場合に、エラーが発生していると判定される。
【0094】
エラーが発生していると判定されると(ステップS650においてYES)、制御部70は、最後に図14のステップS430において微分値の最大値が第1所定値よりも大きいと判定された5画素を基準にステップS440の処理を再び実行する。一方、エラーが発生していないと判定されると(ステップS650においてNO)、制御部70は、ステップS610,S620,S630(右辺判定処理)を再び実行する。
【0095】
一方、微分値の各最大値が第1所定値よりも大きいと判定されると(ステップS630においてYES)、制御部70は、右辺判定処理を通じて得られた微分値の各最大値(最大値>第1所定値)に対応する各画素位置に基づいて右辺ER1を特定する(ステップS650)。
【0096】
図18は、1つ目の電子部品S1の上辺ET1及び下辺EB1の各々を特定する手順について説明するための図である。図18を参照して、1つ目の電子部品S1の上辺ET1及び下辺EB1の各々は、左辺EL1及び右辺ER1が特定された後に、左辺EL1及び右辺ER1に基づいて特定される。
【0097】
具体的には、左辺EL1及び右辺ER1の各々の上端の画素を結ぶ直線と直交し、列方向に並ぶ所定数の画素(5画素)の集合のうち左端に位置する所定数の画素が選択され、選択された5画素に関して上辺判定処理が実行される。上辺判定処理は、所定数の画素の各々の画素値に基づいて、当該所定数の画素に上辺ET1の一部が含まれているか否かを判定する処理である。上辺判定処理においては、所定数の画素の各々の画素値に基づいて、保持部材11bと電子部品S1との境界が特定される。例えば、図中上側から下側に向かって、画素値の小さい画素(保持部材11bに対応する画素(暗い画素))と画素値の大きい画素(電子部品S1に対応する画素(明るい画素))とがこの順で隣接して並んでいる部分が特定される。
【0098】
上述の左辺判定処理においては、左辺判定処理の対象となる5画素に関して、図中左側から右側に向かって各画素値がどのように変化するかに基づいて所定数の画素に左辺EL1の一部が含まれているか否かが判定される。一方、上辺判定処理においては、上辺判定処理の対象となる5画素に関して、図中上側から下側に向かって各画素値がどのように変化するかに基づいて所定数の画素に上辺ET1の一部が含まれているか否かが判定される。左辺EL1を含む5画素においては左側から右側に向かって画素値が大きくなる(明るくなる)のに対して、上辺ET1を含む5画素においては上側から下側に向かって画素値が大きくなるためである。その他の点において、左辺判定処理の内容と上辺判定処理の内容とは同様である。
【0099】
上辺判定処理を通じて所定数の画素に上辺ET1の一部が含まれていないと判定されるまで、判定される所定数の画素の位置の行方向右側への変更と上辺判定処理とが繰り返し実行される。上辺判定処理を通じて所定数の画素に上辺ET1の一部が含まれていないと判定されることによって、上辺ET1の左端及び右端の各々が特定され、上辺ET1が特定される。
【0100】
また、左辺EL1及び右辺ER1の各々の下端の画素を結ぶ直線と直交し、列方向に並ぶ所定数の画素(5画素)の集合のうち左端に位置する所定数の画素が選択され、選択された5画素に関して下辺判定処理が実行される。下辺判定処理は、所定数の画素の各々の画素値に基づいて、当該所定数の画素に下辺EB1の一部が含まれているか否かを判定する処理である。下辺判定処理においては、所定数の画素の各々の画素値に基づいて、保持部材11bと電子部品S1との境界が特定される。例えば、図中下側から上側に向かって、画素値の小さい画素(保持部材11bに対応する画素(暗い画素))と画素値の大きい画素(電子部品S1に対応する画素(明るい画素))とがこの順で隣接して並んでいる部分が特定される。
【0101】
上述の左辺判定処理においては、左辺判定処理の対象となる5画素に関して、図中左側から右側に向かって各画素値がどのように変化するかに基づいて所定数の画素に左辺EL1の一部が含まれているか否かが判定される。一方、下辺判定処理においては、下辺判定処理の対象となる5画素に関して、図中下側から上側に向かって各画素値がどのように変化するかに基づいて所定数の画素に下辺EB1の一部が含まれているか否かが判定される。左辺EL1を含む5画素においては左側から右側に向かって画素値が大きくなる(明るくなる)のに対して、下辺EB1を含む5画素においては下側から上側に向かって画素値が大きくなるためである。その他の点において、左辺判定処理の内容と下辺判定処理の内容とは同様である。
【0102】
下辺判定処理を通じて所定数の画素に下辺EB1の一部が含まれていないと判定されるまで、判定される所定数の画素の位置の行方向右側への変更と下辺判定処理とが繰り返し実行される。下辺判定処理を通じて所定数の画素に下辺EB1の一部が含まれていないと判定されることによって、下辺EB1の左端及び右端の各々が特定され、下辺EB1が特定される。
【0103】
図19は、1つ目の電子部品S1における上辺ET1の特定処理(図7のステップS320)の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0104】
図19を参照して、制御部70は、上辺判定処理の対象となる所定数の画素の位置を決定する(ステップS700)。制御部70は、例えば、左辺EL1及び右辺ER1の各々の上端の画素を結ぶ直線と直交し、列方向に並ぶ所定数の画素(5画素)の集合のうち左端に位置する所定数の画素を上辺判定処理の対象として決定する。
【0105】
制御部70は、決定された5画素の画素値に基づいて近似曲線を生成する(ステップS710)。制御部70は、生成された近似曲線の微分を行なう(ステップS720)。制御部70は、微分値の最大値が第1所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS730)。微分値の最大値が第1所定値より大きい判定されると(ステップS730においてYES)、制御部70は、上辺判定処理の対象となる5画素の位置を行方向右側に1画素ずらし(ステップS740)、ステップS710,S720,S730(上辺判定処理)を再び実行する。
【0106】
一方、微分値の最大値が第1所定値以下であると判定されると(ステップS730においてNO)、制御部70は、左辺EL1の上端の位置と微分値の最大値が第1所定値以下であると判定された所定数の画素の位置との間の長さ(左右長)と第2所定長との差分が第3所定値未満であるか否かを判定する(ステップS750)。第2所定長は、例えば、電子部品S1の左右方向の長さの仕様値に対応する長さである。第3所定値は、例えば、電子部品S1の左右方向の長さの仕様値の0.5%-5%に対応する長さであってもよい。
【0107】
左右長と第2所定長との差分が第3所定値以上であると判定されると(ステップS750においてNO)、制御部70は、最後に図14のステップS430において微分値の最大値が第1所定値よりも大きいと判定された5画素を基準にステップS440の処理を再び実行する。
【0108】
一方、左右長と第2所定長との差分が第3所定値未満であると判定されると(ステップS750においてYES)、制御部70は、上辺判定処理を通じて得られた微分値の各最大値(最大値>第1所定値)に対応する各画素位置に基づいて上辺ET1を特定する(ステップS760)。
【0109】
図20は、1つ目の電子部品S1における下辺EB1の特定処理(図7のステップS330)の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0110】
図20を参照して、制御部70は、下辺判定処理の対象となる所定数の画素の位置を決定する(ステップS800)。制御部70は、例えば、左辺EL1及び右辺ER1の各々の下端の画素を結ぶ直線と直交し、列方向に並ぶ所定数の画素(5画素)の集合のうち左端に位置する所定数の画素を下辺判定処理の対象として決定する。
【0111】
制御部70は、決定された5画素の画素値に基づいて近似曲線を生成する(ステップS810)。制御部70は、生成された近似曲線の微分を行なう(ステップS820)。制御部70は、微分値の最大値が第1所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS830)。微分値の最大値が第1所定値より大きい判定されると(ステップS830においてYES)、制御部70は、下辺判定処理の対象となる5画素の位置を行方向右側に1画素ずらし(ステップS840)、ステップS810,S820,S830(下辺判定処理)を再び実行する。
【0112】
一方、微分値の最大値が第1所定値以下であると判定されると(ステップS830においてNO)、制御部70は、左辺EL1の下端の位置と微分値の最大値が第1所定値以下であると判定された所定数の画素の位置との間の長さ(左右長)と第2所定長との差分が第3所定値未満であるか否かを判定する(ステップS850)。
【0113】
左右長と第2所定長との差分が第3所定値以上であると判定されると(ステップS850においてNO)、制御部70は、最後に図14のステップS430において微分値の最大値が第1所定値よりも大きいと判定された5画素を基準にステップS440の処理を再び実行する。
【0114】
一方、左右長と第2所定長との差分が第3所定値未満であると判定されると(ステップS850においてYES)、制御部70は、下辺判定処理を通じて得られた微分値の各最大値(最大値>第1所定値)に対応する各画素位置に基づいて下辺EB1を特定する(ステップS860)。そして、特定された左辺EL1、右辺ER1、上辺ET1及び下辺EB1に基づいて検査領域T1が設定される。
【0115】
このように、本実施の形態に従う切断装置1によれば、特定された左辺EL1に基づいて左辺EL1を含む電子部品S1の他の三辺が特定されるため、比較的効率的に検査領域T1を設定することができる。
【0116】
また、切断装置1によれば、左辺EL1に対向する右辺ER1の探索時に左辺EL1が特定されており、右辺ER1の両端(上端及び下端)の大まかな位置が把握されているため、比較的効率的に右辺ER1を特定することができる。また、切断装置1によれば、左辺EL1及び右辺ER1以外の二辺(上辺ET1及び下辺EB1)の探索時に、左辺EL1及び右辺ER1が特定されており、左辺EL1及び右辺ER1以外の二辺の各々の両端の大まかな位置が把握されているため、左辺EL1及び右辺ER1以外の二辺を比較的効率的に特定することができる。
【0117】
図21は、1つ目の検査領域T1に対して行方向又は列方向にずれた位置において他の検査領域T1を設定する手順を説明するための図である。図21を参照して、例えば、検査領域T1Aに対して行方向にずれた位置の検査領域T1B、及び、検査領域T1Aに対して列方向にずれた位置の検査領域T1Cの各々は、検査領域T1Aに基づいて設定される。
【0118】
検査領域T1Aに対して行方向にずれた位置の検査領域T1を設定するために、例えば、検査領域T1Aと同一形状の仮の検査領域T1B1が選択される。仮の検査領域T1B1の形状は、検査領域T1Aの形状と同一である。すなわち、仮の検査領域T1B1の左辺、右辺、上辺及び下辺の各々の長さは、検査領域T1Aの左辺、右辺、上辺及び下辺の各々の長さとそれぞれ同一である。
【0119】
仮の検査領域T1B1の位置は、検査領域T1Aの位置に対して行方向に複数画素ずれた位置である。検査領域T1Aの位置からずれる複数画素の数は、例えば、電子部品S1の左右方向の長さの仕様値に基づいて予め定められている。
【0120】
仮の検査領域T1(例えば、仮の検査領域T1B1)が選択されると、仮の検査領域T1(例えば、仮の検査領域T1B1)の左辺、右辺、上辺及び下辺が電子部品S1(例えば、電子部品S1B)の左辺、右辺、上辺及び下辺とそれぞれ対応しているか否かを判定する判定処理(以下、「各辺判定処理」とも称する。)が実行される。各辺判定処理においては、仮の検査領域T1の左辺に沿って左辺判定処理が繰り返し実行され、仮の検査領域T1の右辺に沿って右辺判定処理が繰り返し実行される。また、仮の検査領域T1の上辺に沿って上辺判定処理が繰り返し実行され、仮の検査領域T1の下辺に沿って下辺判定処理が繰り返し実行される。これにより、仮の検査領域T1の各辺が電子部品S1の辺に対応しているか否かが判定される。
【0121】
仮の検査領域T1のいずれかの辺が電子部品S1の辺に対応していないと判定されると、行方向に1画素ずれた位置において新たな仮の検査領域T1(例えば、仮の検査領域T1B2)が選択される。そして、新たに選択された仮の検査領域T1に関して各辺判定処理が実行される。仮の検査領域T1の各辺が電子部品S1の辺に対応していると判定されるまで、仮の検査領域T1の位置を行方向にずらす処理と各辺判定処理とが繰り返される。これにより、1つ目の検査領域T1に対して行方向にずれた位置の他の検査領域T1が設定される。同様の手順を繰り返すことで、1つ目に設定された検査領域T1に対して行方向にずれた位置に存在する各電子部品S1に対応する検査領域T1が設定される。
【0122】
検査領域T1Aに対して列方向にずれた位置の検査領域T1を設定するために、例えば、検査領域T1Aと同一形状の仮の検査領域T1C1が選択される。仮の検査領域T1C1の形状は、検査領域T1Aの形状と同一である。すなわち、仮の検査領域T1C1の左辺、右辺、上辺及び下辺の各々の長さは、検査領域T1Aの左辺、右辺、上辺及び下辺の各々の長さとそれぞれ同一である。
【0123】
仮の検査領域T1C1の位置は、検査領域T1Aの位置に対して列方向に複数画素ずれた位置である。検査領域T1Aの位置からずれる複数画素の数は、例えば、電子部品S1の上下方向の長さの仕様値に基づいて予め定められている。
【0124】
仮の検査領域T1(例えば、仮の検査領域T1C1)が選択されると、各辺判定処理が実行される。仮の検査領域T1のいずれかの辺が電子部品S1の辺に対応していないと判定されると、列方向に1画素ずれた位置において新たな仮の検査領域T1(例えば、仮の検査領域T1C2)が選択される。そして、新たに選択された仮の検査領域T1に関して各辺判定処理が実行される。仮の検査領域T1の各辺が電子部品S1の辺に対応していると判定されるまで、仮の検査領域T1の位置を列方向にずらす処理と各辺判定処理とが繰り返される。これにより、1つ目の検査領域T1に対して列方向にずれた位置の他の検査領域T1が設定される。同様の手順を繰り返すことで、1つ目に設定された検査領域T1に対して列方向にずれた位置に存在する各電子部品S1に対応する検査領域T1が設定される。
【0125】
図22は、1つ目の検査領域T1に対して行方向にずれた位置における他の検査領域T1の設定処理(図6のステップS210)の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0126】
図22を参照して、制御部70は、設定済みの検査領域T1に基づいて、設定済みの検査領域T1から行方向に複数画素ずれた位置において仮の検査領域T1を選択する(ステップS900)。制御部70は、選択された仮の検査領域T1に関して各辺判定処理を実行する(ステップS910)。制御部70は、仮の検査領域T1の各辺が電子部品S1の辺に対応しているか否かを判定する(ステップS920)。
【0127】
仮の検査領域T1のいずれかの辺が電子部品S1の辺に対応していないと判定されると(ステップS920においてNO)、制御部70は、仮の検査領域T1の位置を行方向において1画素ずらすことによって仮の検査領域T1の位置を変更する(ステップS930)。その後、制御部70は、再びステップS910,S920の処理を実行する。
【0128】
一方、仮の検査領域T1の各辺が電子部品S1の辺に対応していると判定されると(ステップS920においてYES)、制御部70は、現在選択されている仮の検査領域T1を検査領域T1として設定する(ステップS940)。その後、制御部70は、行方向に存在する全電子部品S1に対応する検査領域T1が設定されたか否かを判定する(ステップS950)。行方向に存在する全電子部品S1に対応する検査領域T1の設定が完了していないと判定されると(ステップS950においてNO)、制御部70は、再びステップS900の処理を実行する。一方、行方向に存在する全電子部品S1に対応する検査領域T1が設定されたと判定されると(ステップS950においてYES)、このフローチャートに示される処理は終了する。
【0129】
図23は、1つ目の検査領域T1に対して列方向にずれた位置における他の検査領域T1の設定処理(図6のステップS220)の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0130】
図23を参照して、制御部70は、設定済みの検査領域T1に基づいて、設定済みの検査領域T1から列方向に複数画素ずれた位置において仮の検査領域T1を選択する(ステップS1000)。制御部70は、選択された仮の検査領域T1に関して各辺判定処理を実行する(ステップS1010)。制御部70は、仮の検査領域T1の各辺が電子部品S1の辺に対応しているか否かを判定する(ステップS1020)。
【0131】
仮の検査領域T1のいずれかの辺が電子部品S1の辺に対応していないと判定されると(ステップS1020においてNO)、制御部70は、仮の検査領域T1の位置を列方向において1画素ずらすことによって仮の検査領域T1の位置を変更する(ステップS1030)。その後、制御部70は、再びステップS1010,S1020の処理を実行する。
【0132】
一方、仮の検査領域T1の各辺が電子部品S1の辺に対応していると判定されると(ステップS1020においてYES)、制御部70は、現在選択されている仮の検査領域T1を検査領域T1として設定する(ステップS1040)。その後、制御部70は、列方向に存在する全電子部品S1に対応する検査領域T1が設定されたか否かを判定する(ステップS1050)。列方向に存在する全電子部品S1に対応する検査領域T1の設定が完了していないと判定されると(ステップS1050においてNO)、制御部70は、再びステップS1000の処理を実行する。一方、列方向に存在する全電子部品S1に対応する検査領域T1が設定されたと判定されると(ステップS1050においてYES)、このフローチャートに示される処理は終了する。
【0133】
このように、本実施の形態に従う切断装置1によれば、最初に特定された検査領域T1に基づいて他の検査領域T1が特定されるため、比較的効率的に複数の検査領域T1を特定することができる。
【0134】
[4.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う切断装置1においては、所定数の画素PX1の位置をずらして判定処理(例えば、左辺判定処理)を実行することが繰り返されることによって、複数の検査領域T1の少なくとも一部が設定される。したがって、切断装置1によれば、例えば、撮影画像IM1全体に含まれる各画素PX1の画素値に基づいて検査領域T1が設定される場合と比較して、効率的に検査領域T1を自動設定することができる。
【0135】
なお、切断装置1は、本発明における「切断装置」の一例である。電子部品S1は、本発明における「切断品」の一例である。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13は、本発明における「撮影部」の一例である。制御部70は、本発明における「第1処理部」の一例であり、「第2処理部」の一例である。撮影画像IM1は、本発明における「撮影画像」の一例である。
【0136】
[5.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。例えば、いずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成と、他のいずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成とが組み合わされてもよい。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0137】
<5-1>
上記実施の形態においては、切断装置1がコンピュータ50によって制御された。しかしながら、切断装置1は、1台のコンピュータ50によって制御される必要はなく、複数台のコンピュータによって制御されてもよい。
【0138】
<5-2>
また、上記実施の形態においては、検査テーブル11の保持部材11bの色が黒色であった。しかしながら、上述のように、保持部材11bの色は白色であってもよい。保持部材11bの色が白色である場合には、電子部品S1の左辺においては左から右へ向かって画素値が小さくなり、右辺においては右から左へ向かって画素値が小さくなる。また、電子部品S1の上辺においては上から下へ向かって画素値が小さくなり、下辺においては下から上へ向かって画素値が小さくなる。したがって、左辺判定処理においては、左から右への画素値の変化を示す近似曲線の微分値の最小値が閾値未満であるときに所定数の画素に左辺の一部が含まれていると判定されてもよい。また、左辺判定処理においては、右から左への画素値の変化を示す近似曲線の微分値の最大値が閾値より大きい場合に所定数の画素に左辺の一部が含まれていると判定されてもよい。右辺判定処理、上辺判定処理及び下辺判定処理の各々においても同様のことが言える。
【0139】
<5-3>
また、上記実施の形態においては、最初の検査領域T1の設定のために、まず、左辺EL1が特定された。しかしながら、最初に特定される辺は左辺EL1に限定されない。右辺ER1が最初に特定されてもよいし、上辺ET1が最初に特定されてもよいし、下辺EB1が最初に特定されてもよい。
【0140】
<5-4>
また、左辺EL1、右辺ER1、上辺ET1及び下辺EB1の各々を特定するための処理において、所定数の画素をずらすときの画素の単位は1画素でなくてもよい。複数画素単位で所定数の画素の位置がずらされてもよい。また、所定数の画素は、5画素である必要はない。所定数の画素は、2画素以上の画素であればよい。また、2つ目以降の検査領域T1を設定するための処理において、仮の検査領域T1をずらすときの画素の単位は1画素でなくてもよい。複数画素単位で仮の検査領域T1の位置がずらされてもよい。
【0141】
<5-5>
また、上記実施の形態においては、撮影画像IM1における電子部品S1の各辺が、所定数の画素の各々の画素値に基づいて生成された近似曲線の微分値に基づいて特定された。しかしながら、撮影画像IM1における電子部品S1の各辺の特定においては、必ずしもこのような微分値が用いられなくてもよい。
【0142】
<5-6>
また、上記実施の形態においては、検査テーブル11に配置されている複数の電子部品S1のうちの一部のみが、第2光学検査カメラ13によって一度に撮影された。しかしながら、第2光学検査カメラ13による撮影領域はこれに限定されず、検査テーブル11に配置されている複数の電子部品S1の全てが第2光学検査カメラ13によって一度に撮影されてもよい。
【0143】
<5-7>
また、上記実施の形態においては、2つ目以降に設定される検査領域T1のうち一部の検査領域T1(例えば、図4の検査領域T1D)が各辺判定処理を経ずに設定された。しかしながら、2つ目以降に設定される検査領域T1の設定方法はこれに限定されず、例えば、撮影画像IM1において2つ目以降に設定される全検査領域T1が各辺判定処理を経て設定されてもよい。
【0144】
<5-8>
また、上記実施の形態においては、1つ目の検査領域T1が設定された後に、行方向にずれた位置の検査領域T1が設定され、その後、列方向にずれた位置の検査領域T1が設定された。しかしながら、各検査領域T1の設定順序はこれに限定されない。例えば、1つ目の検査領域T1が設定された後に、列方向にずれた位置の検査領域T1が設定され、その後、行方向にずれた位置の検査領域T1が設定されてもよい。
【0145】
<5-9>
また、上記実施の形態においては、1つ目の検査領域T1を設定するために、左辺EL1、右辺ER1、上辺ET1及び下辺EB1がこの順で特定された。しかしながら、各辺が特定される順はこれに限定されない。
【0146】
<5-10>
また、上記実施の形態においては、第2光学検査カメラ13によって撮影された撮影画像IM1における検査領域T1の設定について主に説明したが、第1光学検査カメラ12によって撮影された撮影画像における検査領域の設定においても同様の処理が行なわれてもよい。
【0147】
<5-11>
また、上記実施の形態においては、左辺EL1の一部が特定され、左辺EL1の他の部分を特定する場合に、まず左辺EL1の上端が特定され、その後左辺EL1の下端が特定された。しかしながら、上端及び下端の特定順序はこれに限定されない。例えば、左辺EL1の一部が特定され、左辺EL1の他の部分を特定する場合に、まず左辺EL1の下端が特定され、その後左辺EL1の上端が特定されてもよい。
【0148】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0149】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【0150】
[6.付記]
<技術1>
(構成)
基板を切断することによって複数の切断品を製造する切断装置であって、
前記複数の切断品の一部又は全部を撮影することによって撮影画像を生成する撮影部と、
前記撮影画像における複数の検査領域を設定する第1処理部と、
前記撮影画像のうち前記複数の検査領域の各々に含まれる画像に基づいて、前記撮影画像に含まれる各切断品の外観を検査する第2処理部とを備え、
前記複数の検査領域の各々の形状は矩形であり、
前記各切断品の形状は矩形であり、
前記第1処理部は、前記撮影画像において第1方向に連続して位置する所定数の画素の各々の画素値に基づいて前記所定数の画素に前記複数の切断品のいずれかの一辺の一部が含まれているか否かを判定する判定処理を実行し、
前記所定数は、前記撮影画像全体の画素数よりも小さく、
前記第1処理部は、前記所定数の画素の位置をずらして前記判定処理を実行することを繰り返すことによって前記複数の検査領域の少なくとも一部を設定する、切断装置。
(効果等)
この切断装置においては、所定数の画素の位置をずらして上記判定処理を実行することが繰り返されることによって、複数の検査領域の少なくとも一部が設定される。したがって、この切断装置によれば、例えば、撮影画像全体に含まれる各画素の画素値に基づいて検査領域が設定される場合と比較して、効率的に検査領域を自動設定することができる。
【0151】
<技術2>
(構成)
前記撮影画像の左辺、右辺、上辺及び下辺は、前記各切断品の左辺、右辺、上辺及び下辺とそれぞれ平行である、技術1に記載の切断装置。
【0152】
<技術3>
(構成)
前記第1処理部は、前記所定数の画素の位置を第2方向にずらして前記判定処理を実行することを繰り返すことによって前記複数の検査領域の少なくとも一部を設定し、
前記第2方向は、前記第1方向に対して斜め方向である、技術1又は技術2に記載の切断装置。
(効果等)
この切断装置によれば、所定数の画素の位置が斜め方向に徐々にずらされ、複数の切断品のいずれかの一辺の一部と所定数の画素とが比較的早い段階で交差するため、複数の切断品のいずれかの一辺の一部を比較的効率的に特定することができる。
【0153】
<技術4>
(構成)
前記第1方向は、行方向又は列方向である、技術1から技術3のいずれか1つに記載の切断装置。
【0154】
<技術5>
(構成)
前記第1処理部は、前記所定数の画素の各々の位置を、行方向に1画素又は複数画素ずらすと共に、列方向に1画素又は複数画素ずらすことによって、前記所定数の画素の位置を前記第2方向にずらす、技術3又は技術4に記載の切断装置。
(効果等)
この切断装置によれば、所定数の画素の位置が行方向に1画素又は複数画素単位、列方向に1画素又は複数画素単位で徐々にずらされ、複数の切断品のいずれかの一辺の一部と所定数の画素とが比較的早い段階で交差するため、複数の切断品のいずれかの一辺の一部を比較的効率的に特定することができる。
【0155】
<技術6>
(構成)
前記第1処理部は、前記判定処理を通じて前記所定数の画素に前記複数の切断品のいずれかの一辺である第1辺の一部が含まれていると判定された場合に、前記第1辺の一部が含まれていると判定された前記所定数の画素の少なくとも一部に基づいて前記第1辺の他の部分を特定することによって前記第1辺を特定する、技術1から技術5のいずれか1つに記載の切断装置。
(効果等)
この切断装置によれば、特定された第1辺の一部に基づいて第1辺の他の部分が特定されるため、比較的効率的に第1辺全体を特定することができる。
【0156】
<技術7>
(構成)
前記第1処理部は、特定された前記第1辺に基づいて前記第1辺を含む切断品の他の三辺を特定し、特定された四辺に基づいて前記複数の検査領域のいずれかを設定する、技術6に記載の切断装置。
(効果等)
この切断装置によれば、特定された第1辺に基づいて第1辺を含む切断品の他の三辺が特定されるため、比較的効率的に検査領域を設定することができる。
【0157】
<技術8>
(構成)
前記第1処理部は、特定された前記第1辺に基づいて前記他の三辺のうち前記第1辺に対向する第2辺を特定し、その後、前記第1辺及び前記第2辺以外の二辺を特定する、技術7に記載の切断装置。
(効果等)
この切断装置によれば、第1辺に対向する第2辺の探索時に第1辺が特定されており、第2辺の両端の大まかな位置が把握されているため、比較的効率的に第2辺を特定することができる。また、この切断装置によれば、第1辺及び第2辺以外の二辺の探索時に、第1辺及び第2辺が特定されており、第1辺及び第2辺以外の二辺の各々の両端の大まかな位置が把握されているため、第1辺及び第2辺以外の二辺を比較的効率的に特定することができる。
【0158】
<技術9>
(構成)
前記第1処理部は、前記複数の検査領域のうち最初に設定された検査領域に基づいて、前記複数の検査領域のうちの他の検査領域を設定する、技術1から技術8のいずれか1つに記載の切断装置。
(効果等)
この切断装置によれば、最初に特定された検査領域に基づいて他の検査領域が特定されるため、比較的効率的に複数の検査領域を特定することができる。
【0159】
<技術10>
(構成)
技術1から技術9のいずれか1つに記載の切断装置を用いた切断品の製造方法であって、
前記切断装置は、
前記基板を配置する切断テーブルと、
前記切断テーブルに配置された前記基板を切断する切断部とを備え、
前記製造方法は、
前記切断テーブルに前記基板を配置するステップと、
前記切断テーブルに配置された前記基板を切断することによって前記複数の切断品を製造するステップと、
前記複数の切断品の一部又は全部を撮影することによって前記撮影画像を生成するステップと、
前記撮影画像における前記複数の検査領域を設定するステップと、
前記撮影画像のうち前記複数の検査領域の各々に含まれる画像に基づいて、前記撮影画像に含まれる前記各切断品の外観を検査するステップとを含む、切断品の製造方法。
(効果等)
この切断品の製造方法においては、所定数の画素の位置をずらして上記判定処理を実行することが繰り返されることによって、複数の検査領域の少なくとも一部が設定される。したがって、この切断品の製造方法によれば、例えば、撮影画像全体に含まれる各画素の画素値に基づいて検査領域が設定される場合と比較して、効率的に検査領域を自動設定することができる。
【符号の説明】
【0160】
1 切断装置、3 基板供給部、4 位置決め部、4a レール部、5 切断テーブル、5a 保持部材、5b 回転機構、5c 移動機構、5d 第1位置確認カメラ、5e 第1クリーナ、6 スピンドル部、6a ブレード、6b 第2位置確認カメラ、6c 回転軸、7 搬送部、7a 第2クリーナ、11 検査テーブル、11a 検査テーブル本体、11b 保持部材、12 第1光学検査カメラ、13 第2光学検査カメラ、14 配置部、15 抽出部、15a 良品用トレイ、15b 不良品用トレイ、20 モニタ、50 コンピュータ、70 制御部、72 CPU、74 RAM、76 ROM、80 記憶部、81 制御プログラム、90 入出力I/F、95 受付部、A1 切断モジュール、B1 検査・収納モジュール、BA1 ボール部、EB1,IB1 下辺、EL1,IL1 左辺、ER1,IR1 右辺、ET1,IT1 上辺、IM1 撮影画像、L1 近似曲線、L2 曲線、M1 マガジン、P1 パッケージ基板、PO1 微分最大位置、PX1 画素、S1 電子部品、T1 検査領域,T1B1,T1B2,T1B3,T1C1,T1C2,T1C3 仮検査領域。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2022-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を切断することによって複数の切断品を製造する切断装置であって、
前記複数の切断品の一部又は全部を撮影することによって撮影画像を生成する撮影部と、
前記撮影画像における複数の検査領域を設定する第1処理部と、
前記撮影画像のうち前記複数の検査領域の各々に含まれる画像に基づいて、前記撮影画像に含まれる各切断品の外観を検査する第2処理部とを備え、
前記複数の検査領域の各々の形状は矩形であり、
前記各切断品の形状は矩形であり、
前記第1処理部は、前記撮影画像において第1方向に連続して位置する所定数の画素の各々の画素値に基づいて前記所定数の画素に前記複数の切断品のいずれかの一辺の一部が含まれているか否かを判定する判定処理を実行し、
前記所定数は、前記撮影画像全体の画素数よりも小さく、
前記第1処理部は、前記所定数の画素の位置をずらして前記判定処理を実行することを繰り返すことによって前記複数の検査領域の少なくとも一部を設定する、切断装置。
【請求項2】
前記撮影画像の左辺、右辺、上辺及び下辺は、前記各切断品の左辺、右辺、上辺及び下辺とそれぞれ平行である、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記第1処理部は、前記所定数の画素の位置を第2方向にずらして前記判定処理を実行することを繰り返すことによって前記複数の検査領域の少なくとも一部を設定し、
前記第2方向は、前記第1方向に対して斜め方向である、請求項1に記載の切断装置。
【請求項4】
前記第1方向は、行方向又は列方向である、請求項1に記載の切断装置。
【請求項5】
前記第1処理部は、前記所定数の画素の各々の位置を、行方向に1画素又は複数画素ずらすと共に、列方向に1画素又は複数画素ずらすことによって、前記所定数の画素の位置を前記第2方向にずらす、請求項3に記載の切断装置。
【請求項6】
前記第1処理部は、前記判定処理を通じて前記所定数の画素に前記複数の切断品のいずれかの一辺である第1辺の一部が含まれていると判定された場合に、前記第1辺の一部が含まれていると判定された前記所定数の画素の少なくとも一部に基づいて前記第1辺の他の部分を特定することによって前記第1辺を特定する、請求項1に記載の切断装置。
【請求項7】
前記第1処理部は、特定された前記第1辺に基づいて前記第1辺を含む切断品の他の三辺を特定し、特定された四辺に基づいて前記複数の検査領域のいずれかを設定する、請求項6に記載の切断装置。
【請求項8】
前記第1処理部は、特定された前記第1辺に基づいて前記他の三辺のうち前記第1辺に対向する第2辺を特定し、その後、前記第1辺及び前記第2辺以外の二辺を特定する、請求項7に記載の切断装置。
【請求項9】
前記第1処理部は、前記複数の検査領域のうち最初に設定された検査領域に基づいて、前記複数の検査領域のうちの他の検査領域を設定する、請求項1に記載の切断装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の切断装置を用いた切断品の製造方法であって、
前記切断装置は、
前記基板を配置する切断テーブルと、
前記切断テーブルに配置された前記基板を切断する切断部とを備え、
前記製造方法は、
前記切断テーブルに前記基板を配置するステップと、
前記切断テーブルに配置された前記基板を切断することによって前記複数の切断品を製造するステップと、
前記複数の切断品の一部又は全部を撮影することによって前記撮影画像を生成するステップと、
前記撮影画像における前記複数の検査領域を設定するステップと、
前記撮影画像のうち前記複数の検査領域の各々に含まれる画像に基づいて、前記撮影画像に含まれる前記各切断品の外観を検査するステップとを含む、切断品の製造方法。