IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特開2024-8910デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム
<>
  • 特開-デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム 図1
  • 特開-デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム 図2A
  • 特開-デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム 図2B
  • 特開-デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム 図3
  • 特開-デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム 図4
  • 特開-デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム 図5
  • 特開-デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム 図6A
  • 特開-デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム 図6B
  • 特開-デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008910
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】デジタル超音波撮像装置を有する超音波撮像システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A61B8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023111731
(22)【出願日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/104036
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】シュー ジンピン
(72)【発明者】
【氏名】ルーパス タナシス
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジョウイェ
(72)【発明者】
【氏名】リン チージョン
(72)【発明者】
【氏名】トン リン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジン ニン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DE06
4C601DE11
4C601EE04
4C601EE11
4C601EE22
4C601JB51
4C601JB53
4C601JC23
4C601LL03
(57)【要約】
【課題】造影超音波(CEUS)画像を提供するためのプロセッサによって実行されるように適合されるシステム、方法、及び有形の非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【解決手段】CEUSシステムは超音波画像を提供するように適合される超音波プローブと、プロセッサと、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、超音波画像の面外フレームを決定させる命令を記憶する有形の非一時的コンピュータ可読媒体と、フレームの最適化されるセットを提供するための基準に基づいて、超音波画像から面外フレームを除去させる命令と、プロセッサと通信し、フレームの最適化されるセットを表示するように構成されるディスプレイとを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像を提供するためのシステムであって、
前記超音波画像を提供するように適合される超音波プローブと、
プロセッサと、
有形の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、 前記超音波画像の面外フレームを決定させ、 フレームの最適化されるセットを提供するための基準に基づいて、前記超音波画像から前記面外フレームを除去させる命令を記憶する、 非一時的コンピュータ可読媒体と、
前記プロセッサと通信し、前記フレームの最適化されるセットを表示するように構成されるディスプレイと
を有する、システム。
【請求項2】
前記面外フレームを決定するために前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令は前記プロセッサに、
前記超音波画像の動き補償ループの動きに基づいて、標的病変に対する隣接フレームの正規化相互相関係数(NCCC)を決定させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令は前記プロセッサに、
前記隣接するフレームに対するNCCCを閾値と比較させ、
前記NCCCの閾値未満である前記面外フレームを破棄させる、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記面外フレームを決定するために前記プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、
時間強度曲線(TIC)を比較させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
TICを比較するために前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令は前記プロセッサに、
元のTIC曲線の曲線をフィッティングして他のTIC曲線を決定させ、
前記他のTIC曲線と前記元のTIC曲線との間の差分関数を取得させ、
平均値及び標準偏差を決定させ、
選択されるフレームにおける前記差分関数は所定の範囲外であることを決定させる、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ディスプレイは、時系列化される超音波画像のソースセットをそれら全体に表示するように構成され、前記システムはさらに、
前記フレームの最適化されるセットの選択を可能にするように構成されるユーザインタフェース
有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
有形の非一時的コンピュータ可読媒体であって、プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、
造影超音波画像(CEUS)の面外フレームを決定させ、
フレームの最適化されるセットを提供するための基準に基づいて、超音波画像から前記面外フレームを除去させ、
前記フレームの最適化されるセットを表示させる
命令を記憶する、 非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記面外フレームを決定するために前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令は前記プロセッサにさらに、
前記超音波画像の動き補償ループの動きに基づいて、標的病変に対する隣接フレームの正規化相互相関係数(NCCC)を決定させる、
請求項7に記載の有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令は前記プロセッサに、
前記隣接するフレームに対するNCCCを閾値と比較させ、
前記NCCCの閾値未満である面外フレームを破棄させる、
請求項8に記載の有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記面外フレームを決定するために前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令は前記プロセッサにさらに、
時間強度曲線(TIC)を比較させる、
請求項7に記載の有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
TICを比較するために前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令は前記プロセッサにさらに、
元のTIC曲線の曲線をフィッティングして他のTIC曲線を決定させ、
前記他のTIC曲線と前記元のTIC曲線との間の差分関数を取得させ、
平均値及び標準偏差を決定させ、
選択されるフレームにおける前記差分関数は所定の範囲外であることを決定させる、
請求項10に記載の有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
TICを比較するために前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令は前記プロセッサに、
時系列化される超音波画像のソースセットを全体的に表示させ、
ユーザインタフェースでフレームの最適化されるセットの選択を可能にさせる、
請求項7に記載の有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
超音波画像を提供する方法であって、前記方法は、
前記超音波画像の面外フレームを決定するステップと、
フレームの最適化されるセットを提供するための基準に基づいて、前記超音波画像から前記面外フレームを除去するステップと、
前記フレームの最適化されるセットを表示するステップと
を有する、方法。
【請求項14】
前記超音波画像の動き補償ループの動きに基づいて、標的病変に対する隣接フレームの正規化相互相関係数(NCCC)を決定するステップ
をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記隣接フレームの前記NCCCを閾値と比較するステップと、
前記NCCCの閾値未満である面外フレームを廃棄するステップと
をさらに有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
時間強度曲線(TIC)を比較するステップ
をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
他のTIC曲線を決定するために元のTIC曲線の曲線をフィッティングするステップと、
前記他のTIC曲線と前記元のTIC曲線との間の差分関数を取得するステップと、
平均値及び標準偏差を決定するステップと、
選択されるフレームにおける前記差分関数は所定の範囲外であることを決定するステップと
をさらに有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
時系列化される超音波画像のソースセットを全体的に表示するステップと、
ユーザインタフェースで前記フレームの最適化されるセットの選択を可能にするステップと
をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願の相互参照
(関連出願の相互参照)本出願は2022年9月9日に出願される欧州特許出願第22194740.1号、及び2022年7月6日に出願される中国特許出願第PCT/CN2022/104036号の利点を主張し、それらの全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
造影超音波(CEUS)は、様々な臨床用途で使用される超音波画像技術である。CEUSは、超音波造影剤の静脈注射後に血流中を循環するマイクロバブルから受信される非線形信号を検出することができる。このように、CEUS画像は、毛細血管レベルでの比較的遅い流れに起因する組織潅流の記録、並びに動脈及び静脈における血流の可視化を可能にする。結果として、CEUSは、マクロ循環レベル及びマイクロ循環レベルの両方で血流の動的視覚化を提供することができる。他の臨床用途の中でも、CEUS撮像モードは、悪性であり得る肝臓上の病変の診断及び治療において推奨される。
【0003】
超音波検査者は、典型的には数分に及ぶことができる画像及びループを収集するためにプローブを操作する。超音波検査者によって収集される代表的な画像及びループは次いで、例えば、放射線科医又は他の訓練される臨床医によるデータのレビューのために、別の位置に送信されることが多い。場合によっては、放射線科医/臨床医がソノグラムを実行し、医学的状態の診断及び治療に使用されるフレーム及びループを収集/評価する。さらに、放射線科医/臨床医は典型的には米国の放射線科の症例であるCEUS検査中に存在せずに、リモートワークステーションの症例を検討する。したがって、プロシージャからのデータは、保存され、超音波検査者の位置から放射線科医/臨床医に送信されなければならない。このデータ転送は、取得されるCEUSシーケンスの持続時間が比較的長いため、困難であり得る。
【0004】
CEUSプロシージャの間、スキャンは検査される身体(例えば、肝臓)の一部を通る二次元平面内で行われることが多い。多数のフレーム及びループが、処置中に集められ、放射線科医/臨床医などの訓練される臨床医によってレビューのために送られる。理解されるように、超音波検査者が関心領域(ROI)のスキャンを行っているとき、収集されている画像の品質に影響を与え得る多くの移動源が存在する。例えば、呼吸による患者の動きは、画像平面の位置のシフトをもたらし、その結果、現在のスキャンの画像平面からの画像をもたらし、最終的に、画像の品質がより低く、非生産的なスキャンをもたらすことがある。
【0005】
いくつかのタイプの動き補償が収集される画像に対する呼吸運動の影響を低減するために使用されるが、面外画像の形態の動きアーチファクトは既知の進歩したCEUS撮像システムを使用するときに残る。スキャンにおいて収集される比較的大量の画像データのうち、データの多くは、面外であり、CEUSスキャン中の動きに起因する望ましくない品質であり得る。これらのデータは、多くの場合、メモリに記憶され、レビューのために臨床医に送信される。理解されるように、より多くの記憶されるデータ又は送信されるデータ、又はその両方はスキャンからの画像データを記憶し、送信し、共有するために使用されるコンピュータシステムに負荷をかける。これらの大量の面外画像データは品質が低く、したがって、画像をレビューする臨床医にとって有用ではないが、希少なメモリに記憶される。さらに、CEUSプロシージャからのスキャンをレビューする臨床医は患者の状態を適切に評価するのに十分な品質の画像を見つけるために、多くの画像を通して分類しなければならない。したがって、面外画像データは、メモリリソース上のドレインであるだけでなく、CEUSプロシージャのレビュー中に臨床医の時間を占める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要とされるのは、少なくとも上述の既知のシステムの上述の欠点を克服するシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、造影超音波(CEUS)画像を提供するためのシステムは超音波画像を提供するように適合される超音波プローブと、プロセッサと、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに、超音波画像の面外フレームを決定させる命令を記憶する有形の非一時的コンピュータ可読媒体と、基準に基づいて、超音波画像から面外フレームを除去して、フレームの最適化されるセットを提供することと、プロセッサと通信し、フレームの最適化されるセットを表示するように構成されるディスプレイとを備える。
【0008】
本開示の別の態様によれば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体はプロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、造影超音波画像(CEUS)の面外フレームを決定させ、基準に基づいて超音波画像から面外フレームを除去して、フレームの最適化されるセットを提供させ、プロセッサと通信して、フレームの最適化されるセットを表示するように構成されるディスプレイを行わせる命令を記憶する。
【0009】
本開示の別の態様によれば、超音波画像を提供する方法が開示され、超音波画像の面外フレームを決定し、基準に基づいて超音波画像から面外フレームを除去して、フレームの最適化されるセットを提供し、フレームの最適化されるセットを表示する。
【0010】
代表的な実施形態は添付の図面と共に読まれるとき、以下の詳細な説明から最も良く理解される。様々な特徴は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが強調される。実際、寸法は説明を明確にするために、任意に増減することができる。適用可能かつ実用的な場合には、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】代表的な実施形態による、身体の一部を撮像するためのCEUS撮像システムの簡略ブロック図である。
図2A】代表的な実施形態による、レビューのために臨床医に画像のフレームを提供するために、図1のCEUS撮像システムを使用して画像を収集する方法のフローチャートである。
図2B】代表的な実施形態による、放射線科医又は他の訓練される臨床医によって図2Aの方法で収集される全てのシネマティックループ(シネループ)をレビューする方法のフローチャートである。
図3】代表的な実施形態による面外フレームを除去する方法のフローチャートである。
図4】理想的なウォッシュイン及びウォッシュアウトサイクルについてのCEUS強度対時間(TIC曲線とも呼ばれる)のグラフである。
図5】代表的な実施形態による、図1のCEUS撮像システムで収集される実際のデータに基づくCEUS強度対時間曲線(TIC曲線)及び適合TIC曲線のグラフである。
図6A】代表的な実施形態による、TIC曲線の変化を使用して、フレームが平面内フレームであるか平面外フレームであるかを決定するための方法のフローチャートである。
図6B】代表的な実施形態による、TIC曲線の特徴点又はその付近における代表的なCEUSフレーム又はショートループを選択する方法のフローチャートである。
図7】代表的な実施形態による、隣接フレーム間の正規化相互相関係数(NCCC)を使用して、フレームが平面内フレームであるか平面外フレームであるかを決定するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明では、限定ではなく説明の目的で、本教示による実施形態の完全な理解を提供するために、特定の詳細を開示する代表的な実施形態が記載される。既知のシステム、装置、材料、動作方法、及び製造方法の説明は代表的な実施形態の説明を不明瞭にすることを避けるために、省略され得る。それにもかかわらず、当業者の範囲内にあるシステム、装置、材料、及び方法は本教示の範囲内にあり、代表的な実施形態に従って使用され得る。本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図しないことを理解される。定義される用語は、本教示の技術分野において一般に理解され、受け入れられるような定義される用語の技術的及び科学的意味に加えられる。
【0013】
本明細書では第1、第2、第3などの用語が様々なコンポーネント又は構成コンポーネントを説明するために使用され得るが、これらのコンポーネント又は構成コンポーネントはこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解される。これらの用語は、1つのコンポーネント又は構成コンポーネントを別のコンポーネント又は構成コンポーネントから区別するためにのみ使用される。したがって、以下で説明する第1の素子又は構成素子は、本発明の概念の教示から逸脱することなく、第2の素子又は構成素子と呼ぶことができる。
【0014】
本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していない。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「a」、「an」及び「the」の単数形は文脈が明らかに別段の指示をしない限り、単数形及び複数形の両方を含むことが意図される。加えて、用語「備える」、「備える」、及び/又は同様の用語は述べられた特徴、素子、及び/又は構成素子の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、素子、構成素子、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しない。本明細書で使用するとき、用語「及び/又は」は、関連する列挙される項目のうちの1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、及びそれらの通常の意味に加えて、「およそ」という用語は、許容される限界又は程度を有することを意味する。例えば、「約20GHz」は、当業者が、信号は合理的な尺度内で20GHzであると考えることを意味する。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「実質的に」という語は、それらの通常の意義に加えて、許容される限度又は程度の範囲内を意味する。例えば、「複数のトランスデューサポートは実質的に同じである」は、当業者の一人が複数のトランスデューサポートが同じであると考えることを意味する。
【0017】
以下でより完全に説明するように、本教示は、代表的な短い限られた数のフレーム、又はループ選択、又はその両方をCEUSワークフローに提供する、CEUSシステム、方法、及び有形の非一時的コンピュータ可読媒体に関する。とりわけ、本教示によるワークフローは、1)TIC曲線を有する代表的な画像の必要なサブセットならびに2つの造影前Bモード画像がワークステーションに転送され、2)放射線科医又は他の訓練される臨床医の努力がCEUSシネループ全体から自動的に抽象化される、必須診断情報を含む比較的小さいデータセットをレビューすることに集中するので、レビュー手順に必要な時間及び労力を低減する。この新規なCEUSワークフローはCEUS画像取得及び解釈の努力を単純化し、容易にする。したがって、CEUSワークフローを提供するCEUSシステム、方法、及び有形の非一時的コンピュータ可読媒体は、この技術分野及び潜在的に他の技術分野における有益な実用的アプリケーション及び改善を提供する。
【0018】
図1は、代表的な実施形態による、対象の関心領域を撮像するための撮像システム100の簡略化されるブロック図である。
【0019】
図1を参照すると、撮像システム100は、撮像装置110と、テーブル106上の患者105の関心領域の撮像を制御するためのコンピュータシステム115とを備える。撮像装置110は例示的に、患者105の関心領域(ROI)の造影超音波(CEUS)画像スキャンを提供することができる超音波撮像システムである。
【0020】
コンピュータシステム115は撮像装置110から画像データを受信し、本明細書に記載の代表的な実施形態に従って撮像データを記憶し、処理する。コンピュータシステム115は、コントローラ120と、メモリ130と、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)145を備えるディスプレイ140と、ユーザインタフェース150とを備える。ディスプレイ140はまた、可聴フィードバックを提供するためのラウドスピーカ(図示せず)を含み得る。
【0021】
メモリ130は、コントローラ120によって実行可能な命令を記憶する。実行されるとき、及び以下でより完全に説明されるように、命令はコントローラ120に、GUI 145又はユーザインタフェース150、又はその両方を使用して、及び他のタスクの中で、トランスデューサを備える超音波画像装置を初期化するために、ユーザに異なるステップを実行させる。さらに、コントローラ120は上述のプロセスのうちの1つ又は複数を実行するために、メモリ130及びディスプレイ140を含む、コンピュータシステム115の別の素子との命令又は通信など、命令を実行することに基づいて、追加の動作を実装し得る。
【0022】
メモリ130はメインメモリ及び/又はスタティックメモリを含むことができ、そのようなメモリは、1つ又は複数のバスを介して互いに及びコントローラ120と通信することができる。メモリ130は、本明細書で説明する方法及びプロセスのいくつか又はすべての態様を実装するために使用される命令を記憶する。
【0023】
本説明が続くにつれてより明確になるように、メモリ130に記憶される命令はプロセッサによって実行されるとき、以下で説明される様々な代表的な実施形態に関連して説明される様々な機能を実行する、実行可能命令を備える様々なモジュールを伴う「モジュール」と呼ばれ得る。これらのモジュールは面外(OOP)フレーム及びループを自動的に識別し、それらを除去するモジュールと、保存するための代表的なフレーム及び画像の短いループを選択するモジュールと、レビューのために放射線科医又は他の臨床医に送信するモジュールとを含むが、これらに限定されない。
【0024】
メモリ130は例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び読み取り専用メモリ(ROM)の任意の数、タイプ、及び組合せによって実装され得、プロセッサによって実行されるときにプロセッサに本教示による様々なステップ及び方法を実行させる命令として働く、ソフトウェアアルゴリズムなどの様々な種類の情報を記憶し得る。さらに、本明細書に記載される方法及びプロセスの更新は、コンピュータシステム115に提供され、メモリ130に記憶されてもよい。
【0025】
様々なタイプのROM及びRAMは、ディスクドライブ、フラッシュメモリ、電気的にフィールドプログラマブルゲートアレイ読取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能かつフィールドプログラマブルゲートアレイ読取り専用メモリ(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、テープ、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CDROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、ブルーレイディスク、ユニバーサルシリアルバス(USB)ドライブ、又は当技術分野で知られている任意の他の形態の記憶媒体など、コンピュータ可読記憶媒体の任意の数、タイプ、及び組合せを含み得る。メモリ130はデータ及び実行可能なソフトウェア命令を記憶する有形の記憶媒体であり、ソフトウェア命令が記憶されている間は非一時的である。本明細書で使用するとき、用語「非一時的」は、状態の永続的な特性としてではなく、ある期間にわたって持続する状態の特性として解釈されるべきである。「非一時的である」という用語は特に、搬送波もしくは信号の特性、又は任意の時間で任意の場所に一時的にのみ存在する他の形成などのフリーティング特性を否定する。メモリ130は、様々な機能の性能を可能にするソフトウェア命令及び/又はコンピュータ可読コードを記憶し得る。メモリ130は、秘匿化及び/又は暗号化されてもよく、非秘匿化及び/又は非暗号化されてもよい。
【0026】
「メモリ」はコンピュータ可読記憶媒体の一例であり、場合によっては複数のメモリ又はデータベースであると解釈されるべきである。メモリ又はデータベースは例えば、コンピュータにローカルな複数のメモリ又はデータベースであってもよく、及び/又は複数のコンピュータシステムもしくはコンピューティング装置の間に分散されてもよく、又は既知の構成要素及び方法に従って「クラウド」内に配置されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、35 U.S.C. §101に基づく特許可能な主題を構成する任意の媒体であると定義され、35 U.S.C. §101に基づく特許可能な主題を構成しない任意の媒体を除外する。そのような媒体の例は、コンピュータ又はデータ処理システムによって読み取り可能なフォーマットで情報を記憶するコンピュータメモリデバイスなどの非一時的媒体を含む。非一時的媒体のより具体的な例は、コンピュータディスク及び不揮発性メモリを含む。
【0027】
コントローラ120は1つ又は複数の処理装置を表し、本明細書の様々な実施形態で説明されるような機能を実行するために、メモリ130に記憶されるソフトウェア命令を実行するように構成される。コントローラ120は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ハードワイヤード論理回路、又はそれらの組合せの任意の組合せを使用して、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SOC)、汎用コンピュータ、中央処理装置、コンピュータプロセッサ、マイクロプロセッサ、グラフィックス処理装置(GPU)、マイクロコントローラ、状態マシン、プログラマブル論理装置、又はそれらの組合せによって実装され得る。さらに、本明細書における任意の処理ユニット又はプロセッサは、複数のプロセッサ、並列プロセッサ、又は両方を含み得る。複数のプロセッサは、単一装置又は複数のデバイスに含まれ得るか、又は結合され得る。
【0028】
本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、プログラム又は機械実行可能命令を実行することが可能な電子コンポーネントを包含する。「プロセッサ」を備えるコンピューティング装置への言及はマルチコアプロセッサにおけるように、2つ以上のプロセッサ又は処理コアを含むと解釈されるべきである。プロセッサはまた、単一のコンピュータシステム内の、又はクラウドベース又は他のマルチサイトアプリケーションなどの複数のコンピュータシステム間で分散されるプロセッサの集合を指し得る。コンピューティング装置という用語はまた、各々が1つ又は複数のプロセッサを含むコンピューティング装置の集合又はネットワークを含むと解釈されるべきである。モジュールは同じコンピューティング装置内にあってもよく、又は複数のコンピューティング装置にわたって分散されてもよい、1つ又は複数のプロセッサを使用して様々な機能を実行するためのソフトウェア命令を有する。
【0029】
ディスプレイ140は例えば、コンピュータモニタ、テレビ、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、固体ディスプレイ、もしくは陰極線管(液体)ディスプレイ、又は電子ホワイトボードなどのモニタであり得る。ディスプレイ140はまた、ユーザとの間で情報を表示及び受信するためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)145を提供し得る。
【0030】
ユーザインタフェース150は、コントローラ120及び/又はメモリ130によって出力される情報及びデータをユーザに提供するため、及び/又はユーザによって入力される情報及びデータを受信するための、ユーザ及び/又はネットワークインタフェースを含み得る。すなわち、ユーザインタフェース150はユーザが本明細書で説明するように撮像装置を操作すること、及び本教示の撮像システム100の態様をスケジュールし、制御し、又は操作することを可能にする。特に、ユーザインタフェース150は、コントローラ120がユーザの制御又は操作の効果を示すことを可能にする。ユーザインタフェース150は、ポート、ディスクドライブ、無線アンテナ、又は他のタイプの受信器回路のうちの1つ又は複数を含み得る。ユーザインタフェース150はたとえば、マウス、キーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック、マイクロフォン、ビデオカメラ、タッチパッド、タッチスクリーン、マイクロフォン又はビデオカメラによってキャプチャされる音声又はジェスチャ認識など、1つ又は複数のインタフェース装置をさらに接続し得る。
【0031】
特に、コントローラ120、メモリ130、ディスプレイ140、GUI 145、及びユーザインタフェース150は超音波検査者によって操作される撮像装置110から離れて(例えば、建物又は別の建物の別の位置に)配置され得る。コントローラ120、メモリ130、ディスプレイ140、GUI 145、及びユーザインタフェース150は例えば、放射線科医/臨床医が位置する場所に配置され得る。しかしながら、特に、追加のコントローラ、メモリ、ディスプレイ、GUI、及びユーザインタフェースが、超音波検査者の近くに配置されてもよく、本教示によって企図されるCEUSスキャンを完了するために必要とされる撮像装置110の様々な機能を達成するのに有用である。
【0032】
図2Aは代表的な実施形態による、レビューのために臨床医に画像のフレームを提供するために、図1のCEUS撮像システムを使用して画像を収集する方法202のフローチャートである。本方法の様々な態様及び詳細は、図1の代表的な実施形態に関連して説明したものに共通である。これらの共通の態様及び詳細は、現在説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。
【0033】
図2Aを参照すると、肝臓を撮像するための初期平面が204において選択され、CEUS画像が206において初期平面において取得される。すなわち、204において、超音波検査者は、肝臓上の病変などの初期位置でCEUSスキャンを開始する。撮像装置110はスキャンを実行する際に、初期平面である2次元画像平面(スライスと呼ばれることもある)を撮像し、CEUS画像を取得することは、初期平面にある。初期平面は撮像のために選択される身体の一部分に位置し、これは、例示の目的のために、超音波画像の中央の標的病変領域であり得る。CEUS画像はプローブを適切な位置/向きに置き、次いで、3乃至6分の全検査期間にわたって入ってくるフレームを収集することによって取得される。本明細書で使用され、以下でより完全に説明されるように、超音波検査者が画像データを収集しようと試みている所望の画像平面又は所望の画像平面からあまり離れていない画像は面内(IP)画像であると呼ばれ、検査される病変の全領域を含み、診断又は治療を補助するためのさらなるレビューのために望ましい。特に、これらの所望の面内フレームは少なくとも、患者の診断及び治療に最も有用なフレームを放射線科医/臨床医に提供し、患者の診断及び治療にあまり有用ではないOOPフレームを含まないので、本明細書では最適化されるフレームと呼ばれることがあり、また、放射線科医/臨床医に提供される場合、放射線科医/臨床医に、CEUSプロシージャからの比較的多数の最適ではないフレームをレビューすることに負担をかけることがある。
【0034】
しかしながら、以下でより完全に説明するように、患者と撮像装置との相対運動は撮像装置110に、所望の初期平面と同じではない別の画像平面内の画像を捕捉させることができる。例えば、超音波検査者が選択される位置(例えば、標的病変領域)で画像を捕捉しようと試みているとき、超音波検査者による撮像装置110(例えば、呼吸によって引き起こされる)患者の動き、又は意図しない動きは、撮像装置110が選択される位置に対して移動したことになる。これにより、撮像装置110は、初期平面とは異なる別の平面から超音波画像を撮像する。これとは対照的に、所望のIP画像では以下でより十分に説明する特定の要因に基づいて、初期平面から遠すぎる別の平面で撮影される画像は本明細書ではOOP画像と呼ばれ、望ましくない。以下の代表的な実施形態に関連して説明される本教示の様々な態様によれば、初期平面からあまりにも遠く離れていると見なされ、放射線科医又は同様に訓練される臨床医によるレビューのために提供される画像に含まれないOOP画像が提供される。1つの尺度では、OOPにおいて、病変の標的領域の有意な部分(例えば、70%乃至100%)が現在の画像フレームにおいて失われる。
【0035】
206の完了後、方法202は、可視的なシネループ品質チェックを実行するために208に進む。例えば、超音波検査者は206において取得される画像を検討して、(例えば、上記で示唆したように、プロシージャの3乃至6分の部分において)収集される画像の品質をチェックすることができる。
【0036】
210において、超音波検査者は、取得される画像データが撮像されている解剖学的構造の状態の完全なレビュー及び分析に十分であるかどうかを決定する。超音波検査者は十分な画像データが取得されると決定すると、方法202は212に進み、そこで、収集されるデータが記憶されるか、又は記憶及びレビューのために別の位置に送信されるか、又はその両方が行われる。
【0037】
超音波検査者がより多くの画像データが必要であると決定すると、方法202は214に進む。ここで、第2の造影剤は、潅流の出現が第1の注入期間中に明らかでない肝臓の現在の平面又は次の平面に必要とされ得る。次いで、方法202は206に戻り、210において、超音波検査者が取得される画像データが撮像されている解剖学的構造の状態の完全なレビュー及び分析に十分であると決定するまで、プロシージャが繰り返される。次いで、方法202は212に進み、ここで、収集されるデータが記憶されるか、又は記憶及びレビューのために別の位置に送信されるか、又はその両方である。以下でより完全に説明するように、所望の撮像プロシージャに有用でないOOP画像は、212で除去され、記憶されない。むしろ、212で記憶される画像データは、OOP画像に対して設定される閾値の下にある画像のみを含む。
【0038】
図2Bは、代表的な実施形態による、放射線科医又は他の訓練される臨床医によって図2Aの方法で収集される全てのシネマティックループ(シネループ)をレビューする方法220のフローチャートである。本方法の様々な態様及び詳細は、図1及び図2Aの代表的な実施形態に関連して説明されるものに共通である。これらの共通の態様及び詳細は、現在説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。
【0039】
222において、超音波検査者からのシネループ及びノート全体を含む撮像プロシージャ全体が、放射線科医/臨床医によるレビューのためにロードされる。例証として、222でロードされる撮像プロシージャは、最初に適切なメモリデバイス上に記憶され、超音波検査者が位置する別の場所に輸送され得る。あるいは、212で収集される撮像プロシージャ全体が放射線科医/臨床医によるレビューのために、222で(例えば、有線又は無線通信リンクによって)送信され、ロードされてもよい。理解されるように、また、本説明が続くにつれてより明確になるように、本教示によって、222において、ロードのために、IP画像のみが記憶され、送信される。有益には、放射線科医/臨床医によるレビューのために装填するためのOOP及びIP画像データを含む既知のシステムと比較して、222において、装填のためにIP画像のみが記憶又は送信される。これは、当然ながら、記憶される画像データのメモリ要件、又は送信される画像データの帯域幅要件、又はその両方を低減する。したがって、及び他の利点の中でも、本教示は、放射線科医/臨床医によってレビューされるべき画像データの収集のためのメモリ要件、又は帯域幅要件、又はその両方を低減する。
【0040】
224において、222においてロードされる画像データは放射線科医/臨床医によってレビューされ、測定値はIP画像から放射線科医/臨床医によって取得される。有益なことに、222において、IP画像のみが、ロードのために記憶又は送信されるので、放射線科医/臨床医は224において、望ましい画像(OOP画像)よりも少ない画像を検討する必要がない。対照的に、既知のCEUS撮像システムのイメージレビューは、CEUSループ長(造影剤注入からの最大5分の撮像)のために困難である。したがって、時間だけでなく、放射線科医/臨床医による精神的努力におけるレビューの負荷は、既知のシステム及び方法と比較して、本教示のシステム及び方法によって低減される。
【0041】
226において、構造化報告(SR)又はフリーテキスト報告(FTR)が生成され、228において、CEUS画像データをレビューする方法220が完了する。
【0042】
図3は、代表的な実施形態による面外フレームを除去する方法300のフローチャートである。命令を含むモジュールは、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに方法300を実行させる。本方法の様々な態様及び詳細は、図1乃至図2Bの代表的な実施形態に関連して説明されるものに共通である。これらの共通の態様及び詳細は、現在説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。
【0043】
302において、方法300は、CEUS撮像プロシージャのOOPフレームを決定することから開始する。以下でより完全に説明するように、OOPフレームの決定は、様々な方法に従って実行される。上記に示唆されるように、以下でより完全に説明されるように、命令はモジュールを備え、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、患者又は撮像装置の動きに起因するOOP画像を自動的に識別させる、有形の非一時的コンピュータ可読媒体モジュールに記憶される。上述のように、また以下でより完全に説明するように、OOP画像は、診断及び治療の目的のための望ましくないアーチファクトである。302において、これらのOOP画像は、超音波検査者によるデータ取得中の除去のために識別される。
【0044】
304において、方法は、IP画像のフレームの最適化されるセットを提供するための基準に基づいて、CEUS撮像データからのOOPフレームの自動除去を続ける。ここでも、メモリ130に記憶される命令は、OOPフレームを除去するためにプロセッサによって実行されるモジュールを備える。
【0045】
上述のように、OOP画像のこの除去は、超音波検査者がCEUSプロシージャを実行している間に実行され、撮像プロシージャのデータを記憶するためのメモリ要件、又は撮像プロシージャのデータを送信するための帯域幅要件、又はその両方を有益に低減する。以下でより完全に説明するように、OOPプロシージャであるためにCEUSプロシージャから画像を除去することが決定される基準は、隣接フレーム間の正規化相互相関係数(NCCC)の比較に基づいてもよく、又はTIC曲線からの時間強度曲線(TIC)データとCEUSプロシージャ中に収集されるフレームのTICデータとの比較に基づいてもよい。選択される基準のタイプにかかわらず、例えば、閾値との比較は特定のフレームがOOPフレームであるとして廃棄されるべきかどうか、したがって、放射線科医又は他の臨床医によるさらなるレビューのために、特定のフレームがIPフレームとして保存されるべきかどうかを決定する。したがって、304は、撮像システム100のメモリ要件、又は撮像システム100によるもしくはその中の画像データの送信のための帯域幅要件、又はその両方の低減をもたらす。
【0046】
306において、方法300は、放射線科医又は他の臨床医によるレビューのためのフレームの最適化されるセットの表示によって完了する。例示として、これらのフレームの最適化されるセットは、ディスプレイ140上に示され、撮像システム100のGUI 145によって放射線科医又は他の臨床医によってさらに操作され得る。
【0047】
図4は、理想的なウォッシュイン及びウォッシュアウトサイクルについてのCEUS強度対時間(TIC曲線とも呼ばれる)のグラフである。図4の様々な態様及び詳細は、図1乃至図3の代表的な実施形態に関連して説明されるものに共通である。これらの共通の態様及び詳細は、現在説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。
【0048】
本教示によって、OOPフレームの除去はシネループ全体内の望ましくないフレーム及び冗長性を排除し、超音波検査者又は他の臨床医によるレビューのためにIPフレームのみを残す。有益には残りのIPフレーム/ショートシネループは、開始後60秒及び120秒で頻繁に起こる、開始とピーク時間との間の中央半分時間406と、標的病変がCEUS画像で最も強い強調を示すピーク時間404と、造影剤中のマイクロバブルが標的病変に到達する、開始402とをもたらす肝臓の位相差のような有意なイベントに対応する。
【0049】
図5は、代表的な実施形態による、図1のCEUS撮像システムによって収集されるデータに基づく、CEUS強度対時間曲線(TIC曲線)及び適合TIC曲線のグラフである。図5の様々な態様及び詳細は、図1乃至図4の代表的な実施形態に関連して説明されるものに共通である。これらの共通の態様及び詳細は、現在説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。
【0050】
図5を参照すると、曲線500の生のデータは、肝臓のCEUSスキャンから得られた様々な時間点におけるCEUS強度である。実例として、これらのデータは、標的とされる疑わしい病変を手動又は自動のいずれかで識別した超音波検査者によって収集される。疑わしい病変は病変と背景との間のコントラスト比に応じて、高い機械的指標(MI)を有するプレコントラストBモード画像(例えば、MI=1. 3)などのいくつかの方法のうちの1つから、又はそのサイドバイサイドBモードもしくはCEUS画像のいずれかによるCEUSループ内の選択されるフレームから決定することができる。
【0051】
特に、曲線500の生のデータは、動き補償CEUSループ全体に基づいて、標的病変の周囲の相対的により小さい関心領域(ROI)からのものである。適合曲線502は、曲線500の生のデータに基づく適合曲線である。適合曲線502は、スキャンされる解剖学的部分に特有の数学的モデルを使用して作成される。実例として、適合曲線502を決定するために選択されるモデルは、肝臓を横切る造影剤の平均通過時間(MTT)を決定する遅延正常モデルであり、
MTT=μ+1/λ
によって与えられる。μは遅れ正規分布の平均であり、λは拡散時間と対流時間との間の比であるプレクレット数であり、血管を通って移動するマイクロバブルの拡散及び慣例の両方の寄与を2で割って推定する。本教示に関連して使用するためのMTT値を決定するさらなる詳細は、Alireza Akhbardehらの「A Multi―Model Framework to Estimate Perfusion Parameters using Contrast―Enhanced Ultrasound Imaging」(Med. Phys. 46(2), February 2019, pp. 590乃至600)に見出すことができ、その開示全体は、基準により本明細書に具体的に組み込まれる(そのコピーが添付される)。
【0052】
理解されるように、身体の他の解剖学的素子に適用されるとき、研究されている特定の解剖学的素子について、CEUS造影強度対時間をより良く追跡することが分かっている他の数学的モデルが使用される。限定ではなく例示として、他の数学的モデルは、乳房及び心臓の対数正規モデル、頸動脈のガンマ変量数学的モデル、局所密度ランダムウォーク(LDRW)数学的モデル、及び頸動脈の初期通過時間(FTP)モデルを含む。これらの数学的モデルはメモリ130に記憶されるモジュールであり、プロセッサによって実行されるとき、撮像装置から未加工のCEUS強度データを取得し、これらのデータについてフィットされる曲線502を計算する命令を含む。
【0053】
本説明が続くにつれてより明確になるように、本教示のシステム及び方法を使用して、データ点の平均値及び平均からの標準偏差が、各データ点について決定される。平均値及び標準偏差は平面内データ点として分類されるデータ点を決定するために閾値と比較され、これらのデータ点のフレームは放射線科医/臨床医に提供されるフレームデータから除去されない。対照的に、閾値を超えるより大きいデータ点は、データセットから除去される。例として、適合曲線502に比較的近いデータ点504は、本教示のシステム及び方法によって、平面内データ点であると決定される。しかしながら、データセット506、508、510は閾値を超える可能性が高く、上述のように、身体及び撮像装置110の相対運動のために誤って捕捉される別の平面からのデータ点である可能性が高い。したがって、これらのデータセットは、本教示のシステム及び方法によって、OOPデータ点であると決定され、CEUSプロシージャの記憶される画像データではないか、放射線科医/臨床医に送信されないか、又はその両方である。上述のように、以下でより完全に説明するように、OOPフレーム及びループを自動的に識別し、それらを除去するためのモジュールはメモリ130に記憶される命令であり、これらの命令は、プロセッサによって実行されて、OOPフレーム及びループのこの識別及び除去を実行する。
【0054】
図6Aは、代表的な実施形態による、TIC曲線の変化を使用して、フレームが平面内フレームであるか平面外フレームであるかを決定するための方法600のフローチャートである。図6Aの様々な態様及び詳細は、図1乃至図5の代表的な実施形態に関連して説明されるものに共通である。これらの共通の態様及び詳細は、現在説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。さらに、上述したように、方法600は、メモリ130に格納される命令を含むモジュールである。プロセッサによって実行されるとき、命令は、プロセッサに方法600を実行させる。
【0055】
602において、既知の動き補償技法がシネループ全体に適用され、それによって、必要に応じて、疑わしい病変又は画像全体を含む比較的大きな領域に適用される。
【0056】
604において、動き補償CEUSループ全体に基づいて、比較的小さいROIについて、標的病変の周囲にTIC曲線が生成される。例示として、曲線500は、肝臓の標的病変の周りのより小さいROIに対して生成されるTIC曲線である。TIC曲線の生成後、本方法は、CEUSによってスキャンされている臓器素子に適した数学的モデルを適用することを含む。図5の例を続けると、この方法のこの部分では、肝臓に対する適合曲線502が上述の遅延正常モデルを使用して生成される。
【0057】
次に、方法600の604において、時間データ点ごとに差分関数(diff(n))を使用して差分曲線が生成される。代表的な実施形態によれば、各CEUS強度及び時間データ点nに対するフィッティングされる差はdiff(n)= abs(OTIC(n)―FTIC(n))として計算され、ここで、OTICは元の時間データ点であり、FTICはフィッティングされるCEUS時間データ点nである。
【0058】
606において、方法は、CEUS及び時間データ点ごとの差分曲線の標準偏差(std)の計算を続ける。代表的な実施形態によれば、各時間点におけるOTIC曲線値(n)が所定の範囲外であるとき、フレームはOOPとみなされる。図6Aに示すように、単に説明として、範囲は、(FTIC値(n)―2*std乃至FTIC値(n)+2*std)として表すことができる。
【0059】
608において、方法600は、各OTICデータ点と閾値との比較を継続して、OTICデータ点が範囲内にあるかどうかを見る。代表的な実施形態によれば、OTICデータ点の値が所定の範囲外である場合、このデータ点に関連付けられたフレームは、OOPフレームであると見なされる。単なる例示として、上述のように、データセット506、508、510は範囲外である。上記で示唆したように、所定の範囲は撮像装置110が処置中の特定の時間に位置するROIの検査平面(すなわち、初期平面)内にあるOTICデータ点に関する。これらのデータ点は、保持される(記憶される、又は送信される、又はその両方)。対照的に、範囲外のデータ点はプロシージャの特定の時間中に収集されるデータ点である可能性が高いが、撮像装置110とCEUSスキャンが実行されている患者の身体との相対運動のために初期平面とは異なる画像平面内にある。
【0060】
例示として、OITCデータ点が範囲内にあるか範囲外にあるかを決定するための閾値は、(FTIC値(n)―2*stdからFTIC値(n)+2*std)を使用して決定することができる。範囲内のデータ点は、610に保たれ(記憶され、又は放射線医/臨床医、又はその両方に送信される)、一方、所定の範囲を超えるデータ点はOOPフレームのデータ点であり、612において除去/廃棄される。特に、フィッティングされる値及びOITC値の両方が差分関数(diff(n))を決定するために使用され、標準偏差は、IP又はOOPフレームを識別するために有用である。
【0061】
図6Bは、代表的な実施形態による、TIC曲線の特徴点又はその付近における代表的なCEUSフレーム又はショートループを選択する方法620のフローチャートである。図6Bの様々な態様及び詳細は、図1乃至図6Aの代表的な実施形態に関連して説明されるものに共通である。これらの共通の態様及び詳細は、現在説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。さらに、上述したように、方法620は、メモリ130に格納される命令を含むモジュールである。プロセッサによって実行されると、命令は、プロセッサに方法620を実行させる。代表的な実施形態によれば、TIC曲線は、上述のように622で決定される。
【0062】
624において、方法620は分析されるTIC曲線上の特徴点を決定することを含むが、これに限定されない。時間点は、TIC曲線の開始(例えば、402)、ウォッシュイン曲線の中央又は最大ウォッシュイン勾配(例えば、404)、TIC曲線のピーク時間(例えば、406)、ウォッシュアウトの中央又は最小ウォッシュアウト勾配(例えば、408)、米国放射線学会CEUS Liver Imaging, Reporting and Data System(CEUS―LI―RADS)に基づく約60秒の時間点、及びACR CEUS―LI―RADを考慮する場合、LP中又は約120秒の時間点である。
【0063】
626において、代表的な短いループ又はフレームが、624からの特徴点又はその付近で選択される。シネループ全体から短いシネループ又はフレームを選択することによって、CEUSスキャンの重要な部分からのデータは放射線科医/臨床医によるレビューのために、より容易に分離され得る。また、画像データが低減されるので、データを記憶するため、又はデータを送信するため、又はその両方のために、より少ないメモリ又はより少ない帯域幅が必要とされる。
【0064】
628において、選択されるショートループがIPループであるかOOPループであるかの判定が行われる。特に、ループがIP又はOOPデータを含むかどうかを決定するための方法は、単一のフレームがIP又はOOPデータを含むかどうかを決定するために使用されるものと実質的に同じである。理解されるように、各ループは複数のフレームを含むので、IP又はOOPループを決定するための上述の方法は、ループの各フレームについて方法を繰り返すことを含む。1つの代表的な実施形態によれば、ループの各フレームがIPであるか、又はOOPであるかの決定は個別に行われる。ループのIPフレームが格納され、ループのOOPフレームは破棄される。したがって、628においてショートループがIPであると判定されるとき、方法は630に進む。そうでない場合、方法は632に進む。
【0065】
図7は、代表的な実施形態による、NCCC値の変化を使用して、フレームが平面内フレームであるか平面外フレームであるかを決定するための方法700のフローチャートである。図6Bの様々な態様及び詳細は、図1乃至図6Aの代表的な実施形態に関連して説明されるものに共通である。これらの共通の態様及び詳細は、現在説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。さらに、上述したように、方法700は、メモリ130に格納される命令を含むモジュールである。プロセッサによって実行されるとき、命令は、プロセッサに方法700を実行させる。
【0066】
702において、既知の動き補償方法がシネループ全体に適用され、それによって、必要であれば、疑わしい病変又は画像全体を含む比較的大きな領域に適用される。
【0067】
704において、動き補償CEUSループ全体に基づいて、標的病変領域の2つの隣接フレームについて正規化相互相関係数(NCCC)値が計算される。特に、隣接フレームは時間及びフレーム番号が連続するフレーム(例えば、フレーム(n―1)、n、(n+1))である。
【0068】
1つの代表的な実施形態によれば、NCCC値(γ(u, v))は、画像のサイズ(データ量)に応じて、空間領域又は周波数領域における相互相関を計算すること、ランニング合計を事前計算することによってローカル合計を計算すること、及び相互相関を正規化して相関係数を得るためにローカル合計を使用することによって決定される。これは
のように表すことができ、fは画像であり、
は時間の平均であり、
はテンプレート下の領域におけるf(x,y)の平均である。
【0069】
上記の式において、f及びtは2つの空間次元(x,y)における関数であり、f(x,y)及びt(x,y)の実際の値は、(x,y)におけるNCCC値を決定するために使用される。
【0070】
706において、方法は、704において計算されるNCC値を所定の閾値と比較することに続く。代表的な実施形態によれば、NCCC値は、動き補償CEUSループ全体に基づいて、対象病変領域の領域などの関心領域(ROI)の任意の2つの隣接フレームについて計算される。次に、面外フレームは閾値比較に基づいて決定され、NCCC値が閾値の範囲外であるときに、選択されるフレーム又は選択されるショートループのフレームであるときに除去される。例示として、代表的な実施形態によれば、フレームがOOPであるかどうかの判断は事前定義されるNCCC値(たとえば、0.75)に基づく。NCCC値がこの閾値未満であるとき、フレームは、OOPと見なされ、破棄される。他のすべてのフレームは、IPと見なされ、スキャンをレビューする臨床医と記憶/共有される。
【0071】
NCCC値が706で十分に大きい場合、データ点は面内とみなされ、708で、これらのフレームのデータ点が記憶されるか、放射線科医/臨床医に送信されるか、又はその両方である。NCCC値が所定の閾値未満である場合、このデータポイントに関連付けられたフレームは、OOPフレームであるとみなされ、710において破棄される。
【0072】
本開示の利点を有する当業者によって理解されるように、本教示の装置、システム、及び方法は、超音波装置からのエコー画像データの伝送を提供する。例えば、既知の方法及びシステムと比較して、プロトコルにおけるステップの開始、持続時間、及び終了を含むプロトコルの様々な態様は、プロトコルの生成中、又はプロトコルの実施中、又はその両方で容易にすることができる。さらに、撮像システムとの人間の相互作用から生じ得る誤差を低減することができ、それによって、処置を繰り返す必要性を低減し、撮像処置を完了するのに必要な時間を低減することができる。特に、これらの利点は例示的なものであり、医用画像の分野における他の進歩は、本開示の利点を有する当業者に明らかになるのであろう。
【0073】
いくつかの例示的な実施形態を参照して、撮像プロトコルを実装するための方法、システム、及びコンポーネントを説明したが、使用される単語は限定の単語ではなく、説明及び例示の単語であることを理解される。本教示のプロトコル実装の範囲及び趣旨から逸脱することなく、現在述べられ、修正されているように、添付の特許請求の範囲の範囲内で変化が行われ得る。開示される実施形態の前述の説明は、当業者が本開示に記載される概念を実施することを可能にするために提供される。したがって、上記で開示される主題は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲内に入る、すべてのそのような修正、強化、及び他の実施形態を包含することが意図される。したがって、法律によって許容される最大限の範囲で、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の最も広い許容可能な解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な説明によって制限又は限定されないものとする。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
【外国語明細書】