(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089103
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】冷蔵庫用ガスケット、冷蔵庫扉、貯蔵室および冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
F25D23/02 305Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204267
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】上田 勉
(72)【発明者】
【氏名】土田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】川上 澄男
(72)【発明者】
【氏名】高辻 文夫
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA02
3L102KC06
3L102KC07
3L102KC10
(57)【要約】
【課題】すき間の封止性に優れ、運転時に貯蔵室から冷気が漏れることを抑制することができる冷蔵庫用ガスケットを提供すること。
【解決手段】冷蔵庫扉が閉状態のときに貯蔵室の周縁部を封止する冷蔵庫用ガスケットであって、断面視において、冷蔵庫扉又は貯蔵室の一方の周縁部に取付けられた固定部と、固定部から冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方の対向部との間に延在するひれ部とを有し、ひれ部は、冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方の対向部に対して吸着力が付与されており、対向部に接触するものである、冷蔵庫用ガスケット。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫扉が閉状態のときに貯蔵室の周縁部を封止する冷蔵庫用ガスケットであって、
断面視において、冷蔵庫扉又は貯蔵室の一方の周縁部に取付けられた固定部と、該固定部から冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方の対向部との間に延在するひれ部とを有し、
該ひれ部は、冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方の対向部に対して吸着力が付与されており、対向部に接触するものである、冷蔵庫用ガスケット。
【請求項2】
前記ひれ部は60~80のショアA硬度を有する請求項1に記載の冷蔵庫用ガスケット。
【請求項3】
前記ひれ部は、楔形の断面形状、5~50mmの幅、及び0.2~5.0mmの根元部厚さを有する請求項1又は2に記載の冷蔵庫用ガスケット。
【請求項4】
前記冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方の対向部は磁性を有し、前記ひれ部は帯磁している請求項1又は2に記載の冷蔵庫用ガスケット。
【請求項5】
前記ひれ部は0.0010~0.0100kgf/cm2の吸着力を有する請求項4に記載の冷蔵庫用ガスケット。
【請求項6】
前記冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方の対向部は帯磁しており、前記ひれ部は磁性を有する請求項1又は2に記載の冷蔵庫用ガスケット。
【請求項7】
フェライト粉末と熱可塑性エラストマーとを含む、請求項1又は2に記載のガスケット。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の冷蔵庫用ガスケットを有する冷蔵庫扉又は貯蔵室。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の冷蔵庫用ガスケットを有する冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫用ガスケットに関し、特に、ひれ部を有する冷蔵庫用ガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷蔵庫、自動販売機などの冷凍冷蔵機器に対する消費エネルギー削減の要求が強くなり、冷却効率を向上させる取組みが行われている。冷凍冷蔵機器において冷却効率を阻害している一要因は、本体貯蔵室と冷蔵庫扉の隙間から熱が進入する現象である。一般に、冷蔵庫扉又は本体貯蔵室の周縁部にはガスケットが備えられて、運転時に貯蔵室から冷気が漏れることを抑制しようとしている。
【0003】
特許文献1には、引出し式の冷蔵庫扉を備える貯蔵室において、貯蔵室と冷蔵庫扉とのすき間を遮断することで冷気の漏洩を抑制するひれ状ガスケットが記載されている。
図5は特許文献1の
図3に相当し、引出し式の扉で閉じられた貯蔵室の開閉部の構造を示す一部断面図である。
図5の構造は、貯蔵室501、及びその開口部において相対する冷蔵庫扉502を有する。冷蔵庫扉の周縁部の内側パネルには、貯蔵室吸着用管状ガスケット503、及び冷気遮断用ひれ状ガスケット504が固定されている。ひれ状ガスケットは、ひれ部505が貯蔵室側に延伸して、貯蔵室の内側パネルに接触することによって冷蔵庫扉と貯蔵室のとのすき間を遮断している。
【0004】
特許文献2には、観音開き式の冷蔵庫扉を備える貯蔵室において、左右の扉間のすき間を遮断することで冷気の漏洩を抑制するひれ部を有するガスケットが記載されている。
図6は特許文献2の
図2に相当し、観音開き式の扉で閉じられた貯蔵室の開閉部の構造を示す一部断面図である。
図6の構造は、貯蔵室601、及びその開口部において相対する観音開き扉602a、602bを有する。観音開き扉の開放端側の内側パネルには、閉扉時には他方の扉側へ回動する扉間仕切り体603a、603b、及び扉間仕切り体吸着用管状ガスケット604a、604bが固定されている。
【0005】
扉間仕切り体は、開閉扉時に、コ字状溝606a、606bが固定ピン607a、607bに係合し、固定ピンがコ字状溝内を摺動して扉間仕切り体を回動させる。そして、扉が完全に閉じると扉間仕切り体603a、603bは貯蔵室の周縁部と略同一面となる。
【0006】
扉間仕切り体吸着用管状ガスケットは、固定部から対向して延在するひれ部605a、605bを有する。ひれ部は相互に重複及び接触することで左右の扉間のすき間を遮断している。
【0007】
特許文献3には、断面視において、冷蔵庫扉に形成された溝に取り付けられる根部分から扉と貯蔵室の間に沿って延在するひれ部分と、根部分に取り付けられ、貯蔵室を外気と断熱する空気が入る袋部分と、袋部分の一部である貯蔵室と接触する平面板状部分と、が一体的に形成され、全体に磁性材料を含み、平面板状部分が選択的に磁化されている、冷蔵庫用ガスケットが記載されている。特許文献3の冷蔵庫用ガスケットを使用した場合、冷蔵庫本体と扉の間の間隔を狭くすることができ、冷蔵庫外部の温度を十分に遮断できる冷蔵庫を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-46866号公報
【特許文献2】特開2003-114087号公報
【特許文献3】特開2022-101134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、冷蔵庫用ガスケットのひれ部は薄く柔軟であるために、正確な直線状に成形することが困難で、波打ち易いので対向部に対する接触が不完全になり、すき間を十分に封止することが未だ実現できていない。
【0010】
図7は、典型的なひれ状ガスケットのひれ部の形状を示した写真である。ひれ部は薄く細長い形状を有しており、対向部に対する接触が不完全になりやすいことが理解される。
【0011】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、対向部に対する密着性に優れ、すき間を十分に封止することで、運転時に熱リーク量を低減することができる冷蔵庫用ガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の態様を提供する。
[1]冷蔵庫扉が閉状態のときに貯蔵室の周縁部を封止する冷蔵庫用ガスケットであって、
断面視において、冷蔵庫扉又は貯蔵室の一方の周縁部に取付けられた固定部と、該固定部から冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方の対向部との間に延在するひれ部とを有し、
該ひれ部は、冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方の対向部に対して吸着力が付与されており、対向部に接触するものである、冷蔵庫用ガスケット。
【0013】
[2]前記ひれ部は60~80のショアA硬度を有する態様[1]の冷蔵庫用ガスケット。
【0014】
[3]前記ひれ部は、楔形の断面形状、5~50mmの幅、及び0.2~5.0mmの根元部厚さを有する態様[1]又は[2]の冷蔵庫用ガスケット。
【0015】
[4]前記冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方の対向部は磁性を有し、前記ひれ部は帯磁している態様[1]~[3]のいずれかの冷蔵庫用ガスケット。
【0016】
[5]前記ひれ部は0.0010~0.0100kgf/cm2の吸着力を有する態様[4]の冷蔵庫用ガスケット。
【0017】
[6]前記冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方の対向部は帯磁しており、前記ひれ部は磁性を有する態様[1]~[3]のいずれかの冷蔵庫用ガスケット。
【0018】
[7]フェライト粉粉末と熱可塑性エラストマーとを含む、態様[1]~[6]のいずれかに記載の冷蔵庫用ガスケット。
【0019】
[8]態様[1]~[7]のいずれかの冷蔵庫用ガスケットを有する冷蔵庫扉又は貯蔵室。
【0020】
[9]態様[1]~[7]のいずれかの冷蔵庫用ガスケットを有する冷蔵庫。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、すき間の封止性に優れ、運転時に貯蔵室から冷気が漏れることを抑制し、熱リーク量を低減することができる冷蔵庫用ガスケットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態であるひれ状ガスケットの斜視図である。
【
図2】
図1のひれ状ガスケットを有する引出し式の扉で閉じられた貯蔵室の開閉部の構造の一例を示す断面図である。
【
図3(a)】本発明の冷蔵庫用ガスケットを有する観音開き式の冷蔵庫扉で閉じられた貯蔵室の開閉部において、磁性を有するひれ部が帯磁している扉間仕切り体に吸着している構造の一例を示す断面図である。
【
図3(b)】本発明の冷蔵庫用ガスケットを有する観音開き式の冷蔵庫扉で閉じられた貯蔵室の開閉部において、帯磁しているひれ部が磁性を有する扉間仕切り体に吸着している構造の一例を示す断面図である。
【
図4】引出し式の扉で閉じられた本発明の冷蔵庫用ガスケットを有する貯蔵室の開閉部の構造において、磁性を有するひれ部が帯磁している貯蔵室吸着用管状ガスケットに吸着している構造の一例を示す断面図である。
【
図5】引出し式の扉で閉じられた貯蔵室の開閉部の構造を示す一部断面図である。
【
図6】観音開き式の扉で閉じられた貯蔵室の開閉部の構造を示す一部断面図である。
【
図7】典型的なひれ状ガスケットのひれ部の形状を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はここで説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができる。また、特定のパラメータについて、複数の上限値及び下限値が記載されている場合、これらの上限値及び下限値の内、任意の上限値と下限値とを組合せて好適な数値範囲とすることができる。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態であるひれ状ガスケットの斜視図である。ひれ状ガスケットは所定の断面形状を有する細長い構造を有する。ひれ状ガスケットは、板状の支持部101、レール状の係止部102及び翼状またはひれ状のひれ部104を有する。支持部101と係止部102は、共同してひれ状ガスケットを周縁部に固定する機能を奏し、固定部103を形成する。「周縁部」とは冷蔵庫扉の閉止部又は貯蔵室の開口部の周縁部をいう。
【0025】
本実施形態のひれ状ガスケットは2枚のひれ部104を有しているが、ひれ部104は1枚のみでもよい。本実施形態のひれ状ガスケットは対向部に対して吸着力が付与されており、すき間の封止性に優れるからである。複数のひれ部104を設けることで冷気の漏れをより低減することができる。ひれ部104は固定部103から対向部に向かって延長される。「対向部」とは、冷蔵庫扉が閉状態のときにガスケットのひれ部104が接触する部分をいう。ひれ部104の厚さは固定部103に結合している根元部が最も大きく、先端部に向かって薄くなる。ひれ部104は、断面視において略楔形である。かかる形状にすることで、ひれ部104の耐久性が向上する。
【0026】
ひれ部104の根元部の厚さは、一般に0.2~5.0mm、好ましくは0.3~2.0mm、より好ましくは0.4~1.0mmである。ひれ部の根元部から先端部までの長さは、ひれ状ガスケットの種類、これを設置する位置等に依存して変化するけれども、一般に5~50mm、好ましくは10~40mm、より好ましくは10~30mmである。
【0027】
ひれ部104の硬度は、一般に60~80、好ましくは63~77、より好ましくは65~75のショアA硬度である。かかる硬度に調節することで、ひれ部の対向部に対する密着性能がより向上する。
【0028】
ひれ部104は対向部に対して着脱可能な吸着力が付与されている。着脱可能な吸着力を付与する手段の一例として、ひれ部に磁性材料を含ませてよい。磁性材料としては、四三化鉄粉末、フェライト粉末、ネオジム粉末、アルニコ粉末等が挙げられる。
【0029】
磁性材料を含むひれ部104は帯磁させても帯磁させなくてもよい。ひれ部104を帯磁させない場合は、対向部を帯磁させることで、ひれ部104の対向部に対する吸着力が実現される。ひれ部104を帯磁させる場合は、対向部に磁性を付与することで、ひれ部104の対向部に対する吸着力が実現される。対抗部に磁性を賦与する手段として、例えば、対抗部又はその近傍に前記磁性材料、鉄又は鋼のブロック又は板を備えることなどが挙げられる。
【0030】
ひれ部104は、磁性材料の粉末と、熱可塑性エラストマーを含む樹脂により形成される。磁性材料の粉末は、ひれ部全体を基準にして、一般に50~95重量%、好ましくは60~90重量%、より好ましくは70~88重量%を占める量で使用される。磁性材料を使用することでひれ部104に磁性を付与することができ、塩化ビニルと熱可塑性エラストマーを使用することでひれ部104に柔軟性及び弾性を生じさせることができる。
【0031】
熱可塑性エラストマーは、ポリウレタン系、オレフィン系、スチレン系、ポリアミド系、ポリエステル系、アクリル系などを用いることができる。これらの材質は、耐候性、耐薬品性などを考えて選択すればよい。
【0032】
ひれ部104は、例えば、原材料を一体に押し出し成形することにより製造することができる。その後、必要に応じてひれ部を帯磁させる。帯磁させる磁力は、対向部に磁性が賦与されている場合に、対向部全体にわたって接触して、すき間を十分に封止することができる程度の吸着力を示す程度の強さであればよい。帯磁したひれ部の吸着力は、例えば0.0010~0.0100kgf/cm2、好ましくは0.0020~0.0080kgf/cm2、より好ましくは0.0030~0.0060kgf/cm2、最も好ましくは0.0050kgf/cm2である。
【0033】
ひれ部の吸着力は、次の方法に従って決定することができる。即ち、引張試験機(ORIEITEC製「RTG-1310」商品名)を準備し、その土台部分に冷蔵庫外装用鋼板(HBIS NEW MATERIAL社製、「DX5D+Z」(商品名)、材質:溶融亜鉛メッキ、厚さ:0.35mm)を固定する。ひれ部から試験片を切り出す。試験片の形状は、被着部分の寸法が、例えば2mm×9mmになるように調節する。試験片を冷蔵庫外装用鋼板に付着させる。引張試験用のチャックで試験片を挟み込みセットする。引張速度10mm/minの速度で、引張試験を行い、最大点応力を磁力として記録する。
【0034】
また、ひれ部104を帯磁させない場合、対向部を帯磁させる。帯磁した対向部の磁力は、前記範囲の吸着力を示す強さに調節される。ひれ部又は対抗部の吸着力をかかる範囲に調節することで、ひれ部の対向部に対する密着性能がより向上する。
【0035】
ひれ状ガスケットは、冷蔵庫扉又は貯蔵室の一方(即ち、冷蔵庫扉と貯蔵室とを一対とした場合の一方)の周縁部全体にわたって取り付けることができる。ひれ状ガスケットは、例えば、冷蔵庫扉又は貯蔵室の下辺部、側辺部又は上辺部等の前記周縁部の一部に取り付けてもよい。
【0036】
ひれ状ガスケットは、前記周縁部の取り付け部分に溝を形成し、その溝に固定部103を契合させることで、取付けることができる。ひれ部104は固定部103から冷蔵庫扉又は貯蔵室の他方(即ち、冷蔵庫扉と貯蔵室とを一対とした場合の他方)の対向部との間に延在する。ひれ部104は、前記対向部に対して着脱可能な吸着力が付与されており、対向部に接触及び吸着するものである。
【0037】
図2は、本発明のひれ状ガスケットを有する引出し式の扉で閉じられた貯蔵室の開閉部の構造の一例を示す一部断面図である。
図2の構造は、貯蔵室201、及び貯蔵室の開口部において相対する冷蔵庫扉202を有する。貯蔵室201は外壁が鋼板から製造されており、その周縁部203は磁性を有している。
【0038】
冷蔵庫扉の周縁部204の内側パネル205には、扉周縁と平行に内周溝206及び外周溝207が設けられている。管状ガスケット208は、その固定部209を外周溝207に係合させることで、冷蔵庫扉の内側パネル205に固定されている。管状ガスケット208は帯磁しており、貯蔵室の周縁部203に吸着する。
【0039】
ひれ状ガスケット210は、その固定部211を内周溝206に係合させることで、冷蔵庫扉の内側パネル205に固定されている。ひれ部212は、周縁部204の固定部211から貯蔵室の対向部に向かって延伸して、対向部に接触及び吸着することによって冷蔵庫扉202と貯蔵室201とのすき間を封止している。ひれ部212は帯磁しており、磁性を有する周縁部203に吸着している。
【0040】
ひれ部212は、磁性を有していれば、帯磁していなくてもよい。その場合は、磁石(非表示)を設置する等して、周縁部203を帯磁させる。そうすることで、磁性を有するひれ部212は帯磁している周縁部203に吸着する。
【0041】
図3(a)及び(b)は、本発明の冷蔵庫用ガスケットを有する観音開き式の冷蔵庫扉で閉じられた貯蔵室の開閉部の構造の一例を示す断面図である。
図3(a)及び(b)の構造は、貯蔵室301、及び開口部において相対する観音開き扉302a、302bを有する。観音開き扉302aの開放端側の内側パネルは、扉間仕切り体303を備えている。また、観音開き扉302a、302bには扉間仕切り体吸着用管状ガスケット304a、304bが固定されている。扉間仕切り体吸着用管状ガスケットは、扉間仕切り体吸着用管状ガスケット304a、304bを介して、固定部305a、305bから対向して延在するひれ部306a、306bを有する。
【0042】
ひれ部306a、306bは、観音開き扉302a、302bの周縁部(即ち、冷蔵庫扉と扉間仕切り体とを一対とした場合の一方の周縁部)の固定部から扉間仕切り体の対向部(即ち、冷蔵庫扉と扉間仕切り体とを一対とした場合の他方の対向部)に延伸して、対向部に接触及び吸着することによって観音開き扉302a、302bと扉間仕切り体303とのすき間を封止している。
【0043】
図3(a)は磁性を有するひれ部306a、306bが帯磁している扉間仕切り体303に吸着している状態を示す。扉間仕切り体303は、磁石307を備えており、帯磁している。磁石307は、例えば、対向部に位置させる。
【0044】
図3(b)は帯磁しているひれ部が磁性を有する扉間仕切り体303に吸着している状態を示す。扉間仕切り体303は、鋼板308を備えており、磁性を有している。鋼板308は、例えば、対向部に位置させる。
【0045】
図4は引出し式の扉で閉じられた本発明の冷蔵庫用ガスケットを有する貯蔵室の開閉部の構造の一例を示す断面図である。
図4の構造は、貯蔵室401、及び開口部において相対する冷蔵庫扉402を有する。冷蔵庫扉402の周縁部403の内側パネル404には、貯蔵室吸着用管状ガスケット405が固定されている。
【0046】
貯蔵室401の周縁部406には、ひれ状ガスケット407が固定されている。ひれ状ガスケットは、固定部408から延在するひれ部409を有する。貯蔵室吸着用管状ガスケットは磁石410を備えられており、帯磁している。磁石は、例えば、対向部に位置させる。ひれ部は磁性材料を含むことで磁性を有し、帯磁している貯蔵室吸着用管状ガスケットに吸着する。ひれ部409は、周縁部406の固定部から冷蔵庫扉402の対向部に向かって延伸して、対向部に接触及び吸着することによって冷蔵庫扉402と貯蔵室401とのすき間を封止している。
【実施例0047】
<冷蔵庫扉ガスケットの製造>
発泡性塩化ビニル樹脂組成物の成分として次の材料を準備した。
【0048】
【0049】
実施例の原材料を押出機に仕込み、表2の押出機の条件で溶融させた。溶融物を薄い楔形状のモールドに通し、押し出された成形物を冷却して、根元部の厚さ0.75mm、先端部までの幅20mmの板状体を得、長さ470mmに切断して、ひれ形ストリップを得た。
【0050】
【0051】
JIS K 6723に準拠した方法により成形されたひれ状ストリップのショアーA硬度を測定したところ、70Aであった。
【0052】
押し出された成形物の表面にパルス着磁器で着磁を行うことにより、ひれ形ストリップを帯磁させた。
【0053】
前述の方法を使用して、帯磁ひれ状ストリップの吸着力を測定したところ0.0046kgf/cm2であった。
【0054】
次いで、以下に説明する操作を行って、得られたひれ状ストリップの性能を測定した。測定結果を表3に示す。
【0055】
<性能試験>
1.熱リーク量
アクア社製冷蔵庫「AQR-VZ46M」(商品名)の最下段の引き出し式扉を準備した。扉の種類は冷凍室用である(縦350mm、横600mm、厚み60mm)。また、貯蔵室は冷凍室である(容量85リットル)。
【0056】
扉の内側パネルの周縁下辺部には、比較例の原材料から製造された、
図5に示す形状のひれ状ガスケットが備えられている。
【0057】
貯蔵室にヒーター装置を設置した。このヒーター装置は、貯蔵室内の温度を設定した温度に保つように、周囲温度の変動に応じてスイッチのオンオフを行う温度調節機能を備えている。その後、扉を閉めて、冷蔵庫を恒温室に入れた。
【0058】
貯蔵室の内部の温度を25℃に調節した。恒温室内の温度を-18℃に調節した。その後2時間、恒温室の温度を維持した。その間、冷蔵庫の室内の熱が恒温室にリークして室内の温度が低下した場合に、ヒーター装置のスイッチが入ることになる。
【0059】
ヒーターのスイッチが入ることで消費された電力量(WH)を積算することで、冷凍室における熱リーク量(WH)とした。前記で測定された熱リーク量は、従来のひれ状ガスケットの運転時に貯蔵室から冷気が漏れることを抑制する性能を示すものである。
【0060】
次に、このひれ状ガスケットの貯蔵室側ひれ部の貯蔵室側表面に、両面テープ(スリオンテック社製)を用いて帯磁ひれ状ストリップを貼着した。扉を閉めて、帯磁ひれ状ストリップが、長手方向の全体にわたって貯蔵室開口部の周縁下辺部に吸着していることを確認した。
【0061】
前記と同様にして冷蔵庫の熱リーク量(WH/h)を測定した。前記で測定された熱リーク量は、本発明のひれ状ガスケットの運転時に貯蔵室から冷気が漏れることを抑制する性能を示すものである。
【0062】
3.外観
目視検査を行った。ガスケットの破れなど実使用上問題になる欠陥は存在しないことを確認した。
【0063】
【0064】
ひれ状ガスケットのひれ部に帯磁ひれ状ストリップを取り付けたことで、冷凍室の熱リーク量は3.9%減少した。