(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089106
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】出力装置、出力システム、出力方法
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20240626BHJP
G04G 5/00 20130101ALI20240626BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240626BHJP
H04H 20/59 20080101ALI20240626BHJP
H04H 20/63 20080101ALI20240626BHJP
【FI】
G08B27/00 B
G04G5/00 J
G08B17/00 L
H04H20/59
H04H20/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204271
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 大輔
【テーマコード(参考)】
2F002
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
2F002AA03
2F002FA16
2F002GA00
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD04
5C087DD16
5C087EE12
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG66
5C087GG68
5C087GG83
5C087GG85
5G405AD06
5G405AD07
5G405CA55
5G405FA02
(57)【要約】
【課題】スピーカの施工と時計の施工にかかる負担を軽減する。
【解決手段】時刻サーバ(NTP;Network Time Protocol サーバ)とアナウンスサーバとに通信可能に接続されるLAN(Local Area Network)ケーブルの第1端子に接続される接続部と、フィルムスピーカと、表示部と、前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記時刻サーバから送信される時刻データを取得する第1取得部と、前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記アナウンスサーバから送信されるアナウンスデータを取得する第2取得部と、前記取得された時刻データに基づく時刻を前記表示部に表示させ、前記取得されたアナウンスデータに基づくアナウンス内容を前記表示部または前記フィルムスピーカから出力させる制御部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻サーバ(NTP;Network Time Protocol サーバ)とアナウンスサーバとに通信可能に接続されるLAN(Local Area Network)ケーブルの第1端子に接続される接続部と、
フィルムスピーカと、
表示部と、
前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記時刻サーバから送信される時刻データを取得する第1取得部と、
前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記アナウンスサーバから送信されるアナウンスデータを取得する第2取得部と、
前記取得された時刻データに基づく時刻を前記表示部に表示させ、前記取得されたアナウンスデータに基づくアナウンス内容を前記表示部または前記フィルムスピーカから出力させる制御部と
を有する出力装置。
【請求項2】
前記アナウンスデータに基づいて、前記アナウンスデータに緊急情報が含まれるか否かを判定する判定部を有し、
前記制御部は、前記判定された結果に基づいて、前記アナウンスデータに緊急情報が含まれる場合に、前記緊急情報に基づく表示内容を前記表示部に表示させる
請求項1に記載の出力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記アナウンスデータに緊急情報が含まれていない場合に前記表示部に表示される時刻の表示領域よりも、前記アナウンスデータに緊急情報が含まれている場合に前記表示部に表示される時刻の表示領域を小さくし、前記緊急情報に基づく表示内容を表示させる
請求項2に記載の出力装置。
【請求項4】
前記LANケーブルを介してPoE(Power over Ethernet)により電力が供給される
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の出力装置。
【請求項5】
前記フィルムスピーカは透明であり、前記表示部の表示画面に重なる位置に取り付けられている
請求項4に記載の出力装置。
【請求項6】
時刻サーバ(NTP;Network Time Protocol サーバ)と、
アナウンスサーバと、
出力装置とを含む出力システムであり、
前記出力装置は、
前記時刻サーバと前記アナウンスサーバとに通信可能に接続されるLAN(Local Area Network)ケーブルの第1端子に接続される接続部と、
フィルムスピーカと、
表示部と、
前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記時刻サーバから送信される時刻データを取得する第1取得部と、
前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記アナウンスサーバから送信されるアナウンスデータを取得する第2取得部と、
前記取得された時刻データに基づく時刻を前記表示部に表示させ、前記取得されたアナウンスデータに基づくアナウンス内容を前記表示部またはフィルムスピーカから出力させる制御部と
を有する
出力システム。
【請求項7】
フィルムスピーカと表示部とを有する出力装置が実行する出力方法であり、
接続部が、時刻サーバ(NTP;Network Time Protocol サーバ)とアナウンスサーバとに通信可能に接続されるLAN(Local Area Network)ケーブルの第1端子に接続され、
第1取得部が、前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記時刻サーバから送信される時刻データを取得し、
第2取得部が、前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記アナウンスサーバから送信されるアナウンスデータを取得し、
制御部が、前記取得された時刻データに基づく時刻を表示部に表示させ、前記取得されたアナウンスデータに基づくアナウンス内容を前記表示部または前記フィルムスピーカから出力させる
出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力装置、出力システム、出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船内放送システムは、船内にある複数の客室や廊下等にそれぞれ設けられたスピーカと、船内にある電気室に設けられたアンプ装置とが電線によってそれぞれ接続される。船内においてアナウンスを行う場合に、アナウンス内容を表す信号をアンプ装置において増幅し、各スピーカから音声として出力する。これにより、船内の各エリアにアナウンス内容を伝えることが可能である。
船内放送システムとしては、例えば、下記の特許文献1に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、客室にはスピーカの他に、時計も設置される場合がある。この場合、第1端子がアンプ装置に接続され、第2端子がスピーカに接続されるように、各客室に電線を敷設し、各客室においてスピーカを設置し、第2端子と接続する工事が行われる。時計を設置する施工については、スピーカの施工とは別に行われる。そのため、1つの空間においてスピーカの施工と時計の施工とを行う必要があり、客室数が増えるほど、その施工の負担も増える。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、スピーカの施工と時計の施工にかかる負担を軽減することができる出力装置、出力システム、出力方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、時刻サーバ(NTP;Network Time Protocol サーバ)とアナウンスサーバとに通信可能に接続されるLAN(Local Area Network)ケーブルの第1端子に接続される接続部と、フィルムスピーカと、表示部と、前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記時刻サーバから送信される時刻データを取得する第1取得部と、前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記アナウンスサーバから送信されるアナウンスデータを取得する第2取得部と、前記取得された時刻データに基づく時刻を前記表示部に表示させ、前記取得されたアナウンスデータに基づくアナウンス内容を前記表示部またはフィルムスピーカから出力させる制御部とを有する出力装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、時刻サーバ(NTP;Network Time Protocol サーバ)と、アナウンスサーバと、出力装置とを含む出力システムであり、前記出力装置は、前記時刻サーバと前記アナウンスサーバとに通信可能に接続されるLAN(Local Area Network)ケーブルの第1端子に接続される接続部と、フィルムスピーカと、表示部と、前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記時刻サーバから送信される時刻データを取得する第1取得部と、前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記アナウンスサーバから送信されるアナウンスデータを取得する第2取得部と、前記取得された時刻データに基づく時刻を前記表示部に表示させ、前記取得されたアナウンスデータに基づくアナウンス内容を前記表示部または前記フィルムスピーカから出力させる制御部とを有する出力システムである。
【0008】
また、本発明の一態様は、フィルムスピーカと表示部とを有する出力装置が実行する出力方法であり、接続部が、時刻サーバ(NTP;Network Time Protocol サーバ)とアナウンスサーバとに通信可能に接続されるLAN(Local Area Network)ケーブルの第1端子に接続され、第1取得部が、前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記時刻サーバから送信される時刻データを取得し、第2取得部が、前記接続部に接続されたLANケーブルを介し、前記アナウンスサーバから送信されるアナウンスデータを取得し、制御部が、前記取得された時刻データに基づく時刻を表示部に表示させ、前記取得されたアナウンスデータに基づくアナウンス内容を前記表示部または前記フィルムスピーカから出力させる出力方法である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明によれば、スピーカの施工と時計の施工にかかる負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明の一実施形態による出力システムSの構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】出力装置10の機能を表す概略ブロック図である。
【
図3】出力装置10を側方から見た断面の概略を表す断面図である。
【
図4】出力装置10の正面側から見た場合における概略を表す正面図である。
【
図5】出力装置10の動作を説明するフローチャートである。
【
図6】出力装置10の表示画面に表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による出力装置を用いた出力システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による出力システムSの構成を示す概略ブロック図である。
出力システムSは、出力装置10aと、出力装置10bと、出力装置10c(以下、特に識別しない場合には単に出力装置10と称する場合がある)と、時刻サーバ20と、アナウンスサーバ30と、ユーザ管理サーバ40と、DHCPサーバ50とがネットワークNWを介して通信可能に接続される。出力システムSは、船舶に対して設けられる。船舶としては、例えば、フェリーなどの旅客輸送船舶、貨物輸送船舶、商業船舶、巡航船等のいずれであってもよい。このような船舶は、一般に、船内に複数の区画が設けられる。区画としては、客室、事務室、操舵室、電気室、廊下、食堂等のように種々の室がある。
【0012】
ネットワークNWは、例えばLAN(Local Area Network)であり、船内に設けられた各種機器を通信可能に接続する。また、このネットワークNWは、PoE(Power over Ethernet)であってもよい。
近年においては、船舶の建造時、または改修工事の際に、船内にLANケーブルが敷設され、ネットワーク通信が可能となっている船舶がある。出力システムSは、このような、船舶において敷設されたLANケーブルを活用することができる。
【0013】
時刻サーバ20は、正しい時刻を計時する機能を有し、計時結果に基づく時刻データを送信する。時刻データは、現在時刻を表すデータであってもよいし、現在時刻を受信側の機器において正しく設定することが可能なデータであってもよい。受信側の機器は、時刻サーバ20に対して時刻の問い合わせをすることで、時刻サーバ20から問い合わせに対する回答として時刻データを受信し、この受信データに基づいて時刻を設定することができる。
このような時刻サーバは、例えば、NTPサーバ(Network Time Protocol)であってもよい。
【0014】
アナウンスサーバ30は、アナウンス内容を表すデータをアナウンスデータとして送信する。アナウンス内容は、通常時においてアナウンスする内容である通常アナウンスと、緊急時においてアナウンスする内容である緊急アナウンスがある。緊急時としては、船内において発生した火災等がある。通常であるか緊急であるかの識別については、アナウンスデータに対して、緊急であるか否かを表すフラグを設定しておくようにしてもよいし、「緊急」等の緊急時であることを表す文字列を含むアナウンスデータに含むようにしてもよい。
アナウンスサーバ30は、アナウンス担当者によってマイクロフォン等の音声入力装置に対して発話された内容に応じた音声信号を受信し、VoIP(Voice over Internet Protocol)によってネットワークNWを介して送信先の各種機器に対して送信する。緊急であるか否かについては、アナウンス担当者が緊急であるか否かを表す緊急ボタン等を押してアナウンス内容を発話することで、緊急であることを指示することができ、緊急ボタンが押されずに発話された場合には通常のアナウンスであることが指示される。
【0015】
また、アナウンスサーバ30は、アナウンス担当者によってキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置を介して入力されたアナウンス内容を表す文字データや画像データを取得し、アナウンスデータとして送信先の各種機器に対して送信してもよい。緊急であるか否かについては、入力内容に「緊急」の文字列や画像を含むようにしてもよいし、アナウンス担当者用の端末装置の表示画面において「緊急」であるか否かを表す緊急ボタン等をクリック等の操作入力をすることで、緊急であることを指示することができ、緊急ボタンが押されない場合には通常のアナウンスであることが指示される。
緊急のアナウンスとしては、火災の発生を伝える内容や、避難経路を指示する内容等がある。通常のアナウンスとしては、航路に関する説明、出発時刻、到着時刻の説明等がある。
【0016】
ユーザ管理サーバ40は、接続しているユーザ端末の把握や、情報管理を行うための各種処理を実行する。出力システムSでは、ネットワークNWを介してユーザ端末を接続し、各種情報の送受信も可能となっており、ユーザ管理サーバ40は、このように接続されるユーザ端末の接続状況を管理する。ユーザ端末は、船内にいるユーザによって利用される端末であり、コンピュータ、スマートフォン、携帯電話、タブレット等のうちいずれの端末装置であってもよい。船内にいるユーザとしては、船舶を利用する乗客や船員であってもよい。
ユーザ管理サーバ40は、接続されるユーザ端末についてのセキュリティコントロール、故障検出等も行うようにしてもよい。
【0017】
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ50は、船内に設置されたアクセスポイントに無線(例えば、Wi-Fi(登録商標))によって接続されるユーザ端末に対してIPアドレスを付与する。DHCPサーバ50がユーザ端末に割り当てたIPアドレスと、割り当てた対象のユーザ端末の識別情報との関係を表すデータについては、ユーザ管理サーバ40とDHCPサーバ50との間において共有される。これによりユーザ管理サーバ40は、接続されているユーザ端末の台数や接続されているユーザ端末を把握できるようになっている。
【0018】
出力装置10は、船内における複数の区画(ここでは例えば客室)にそれぞれ1台ずつ設けられる。区画が食堂やラウンジ等のようにある程度の広さがある場合には、出力装置10は、1つの区画に2台以上設置されてもよい。この図では、3台の出力装置10について図示されているが、4台以上であってもよいし、1台または2台であってもよい。
【0019】
図2は、出力装置10の機能を表す概略ブロック図である。
出力装置10は、接続部101、第1取得部102、第2取得部103、表示部104、フィルムスピーカ105、判定部106、記憶部107、制御部108を有する。
【0020】
接続部101は、時刻サーバとアナウンスサーバとに通信可能に接続されるLANケーブルの第1端子に接続される。
接続部101には、LANケーブルを介してPoEにより電力が供給される。これにより、出力装置10が駆動する上で必要な電源は、LANケーブルを介してPoEによって得ることができる。そのため、LANケーブルとは別に電源に接続するための電源線を敷設する必要がなく、施工における負担を軽減することができる。
【0021】
第1取得部102は、接続部101に接続されたLANケーブルを介し、時刻サーバから送信される時刻データを取得する。
【0022】
第2取得部103は、接続部101に接続されたLANケーブルを介し、アナウンスサーバから送信されるアナウンスデータを取得する。
【0023】
表示部104は、各種データを表示する。表示部104は、例えば、液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネルのいずれかが用いられるようにしてもよい。
【0024】
フィルムスピーカ105は、音を出力する。フィルムスピーカ105は、例えば、フレキシブル透明圧電素子が用いられたフィルム状のデバイスを用いることができる。このようなフィルム状のデバイスでは、フィルムの周囲の辺の縁に導電層がインクによって印刷されており、その導電層に対して通電することで、音を出力することができる。
【0025】
ここで、
図3は、出力装置10を側方から見た断面の概略を表す断面図である。
出力装置10において、ベース部材100の一方の主面には、表示部104が重なるように設けられ、この表示部104の表示面に重なるようにフィルムスピーカ105が設けられる。このようなフィルムスピーカ105は透明素材である場合、表示部104の表示画面の上に重なる位置に設けたとしても、表示部104に表示された表示内容を視認することができる。
【0026】
ベース部材100の反対側の主面には、接続部101が設けられ、この接続部101に対して、ネットワークNWに接続するためのLANケーブルCの一方の端子である第3端子が接続される。LANケーブルCの第3端子とは反対側の端子である第4端子は、ネットワークNWに接続するためのネットワーク機器(例えば、スイッチングハブ)に接続される。
【0027】
図4は、出力装置10の正面側から見た場合における概略を表す正面図である。ベース部材100に対して表示部104が設けられ、表示部104に対し、フィルムスピーカ105が重なるように設けられる。
ここではフィルムスピーカ105は、表示部104に重なるように設けられている場合について図示されているが、平面上において表示部104に隣接するように設け、重ならないようにしてもよい。フィルムスピーカ105が表示部104に対して重なるように設けた場合には、出力装置10の正面からみた設置面積を小さくすることができる。
【0028】
表示部104の表示画面において、上方の第1領域104aには、時刻データに基づくアナログ時計の画像が表示される。下方の第2領域104bには、アナウンスデータに基づくアナウンス内容が表示される。表示領域の分割数や面積は、時刻データまたはアナウンス内容に応じて適宜変更されるようにしてもよい。
【0029】
図2に戻り、判定部106は、アナウンスデータに基づいて、アナウンスデータに緊急情報が含まれるか否かを判定する。判定部106は、アナウンスデータに含まれる緊急であるか否かを示す情報(フラグ)を参照することで判定する。判定部106は、アナウンスデータに緊急」等のように緊急時であることを表す文字データが含まれるか否かを判定することで、緊急であることを示す文字データが含まれている場合に、緊急情報が含まれていると判定し、緊急であることを示す文字データが含まれていない場合に、緊急情報が含まれていないと判定するようにしてもよい。
【0030】
記憶部107は、各種データを記憶する。例えば、記憶部107は、時刻サーバ20から受信した時刻データと、アナウンスサーバ30から受信したアナウンスデータとを記憶する。
記憶部107は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
この記憶部107は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
【0031】
制御部108は、取得された時刻データに基づく時刻を表示部104に表示させ、取得されたアナウンスデータに基づくアナウンス内容を表示部104またはフィルムスピーカ105から出力させる。
時刻データを表示部104に表示させる場合、文字盤に対して針によって現在時刻を示すアナログ時計として表示してもよいし、現在時刻を示す文字列をデジタル時計として表示するようにしてもよい。
また、制御部108は、時刻データを表示部104に表示させる場合、時計を1つ表示してもよいし、複数表示するようにしてもよい。複数表示する場合、制御部108は、例えば、船舶が日本から外国へ向かう場合、日本の現在時刻、船舶の現在位置における現在時刻、到着予定地の現在時刻、協定世界時(UTC : Coordinated Universal Time)を表示部104に表示させるようにしてもよい。この場合の時差については、出発地と、出発地に応じた現在時刻を基に、時刻を求める対象の位置(船舶の現在位置、到着予定地等)に応じて計算することで得ることができる。
【0032】
制御部108は、判定部106の判定結果に基づいて、アナウンスデータに緊急情報が含まれる場合に、緊急情報に基づく表示内容を表示部104に表示させる。
制御部108は、アナウンスデータに緊急情報が含まれていない場合に表示部104に表示される時刻の表示領域よりも、アナウンスデータに緊急情報が含まれている場合に表示部104に表示される時刻の表示領域を小さくし、緊急情報に基づく表示内容を表示部104に表示させる。
【0033】
第1取得部102、第2取得部103、判定部106、制御部108は、例えばCPU(中央処理装置)等の処理装置若しくは専用の電子回路で構成されてよい。
【0034】
図5は、出力装置10の動作を説明するフローチャートである。
出力装置10を施工する場合、出力装置10を施工対象の客室に運び、客室に敷設されているLANケーブルの第3端子を出力装置10の接続部101に接続する。LANケーブルの第4端子はネットワーク機器に接続される。そして出力装置10を壁等の施工対象の位置に取り付ける。このように、時計の表示と音の出力の機能を実現可能な出力装置10を施工することで、スピーカと時計の2つについての施工をすることができる。また、PoEによって電源の供給を受けることができるため、出力装置10をLANケーブルに接続すれば、別途電源線を敷設したり、電源アダプター等の電源装置を準備して電力の供給を受ける必要もない。そのため、電源に関する施工についての負担も軽減することができる。
【0035】
接続部101にLANケーブルが接続されると、出力装置10は、LANケーブルからPoEによって供給される電源を受け(ステップS101)、起動する。
出力装置10は、時刻サーバ20とアナウンスサーバ30から送信されるデータの受信を待ち、時刻サーバ20から時刻データが送信されると、第1取得部102は、時刻データを受信することで取得する(ステップS102)。時刻データが取得されると、制御部108は、時刻データに基づいて、現在時刻を表示部104に表示させる(ステップS103)。例えば、上述した
図4に示すように、制御部108は、現在時刻に応じたアナログ時計の画像を第1領域104aに表示させる。
【0036】
次に、アナウンスサーバ30からアナウンスデータが送信されると、第2取得部103は、アナウンスデータを受信することで取得する(ステップS104)。アナウンスデータが取得されると、判定部106は、アナウンスデータに基づいて、アナウンスデータに緊急情報が含まれるか否かを判定する(ステップS105)。
【0037】
アナウンスデータに緊急情報が含まれない場合(ステップS105-NO)、制御部108は、判定部106の判定結果に基づいて、アナウンスデータに基づくアナウンス内容を表示部104またはフィルムスピーカ105から出力させる(ステップS106)。
アナウンスデータがVoIPによって送信されたものである場合、制御部108は、アナウンスデータに応じた音(例えば音声)をフィルムスピーカ105から放音させることで出力する。
また、アナウンスデータがテキストデータや画像データである場合、例えば、上述した
図4に示すように、制御部108は、アナウンスデータに基づくアナウンス内容を第2領域104bに表示させる。この場合、客室の利用者は、出力装置10の表示画面を見ることで、現在時刻とアナウンスされている内容の両方を確認することができる。
制御部108は、アナウンスデータがテキストデータである場合、音声読み上げ機能によってフィルムスピーカ105から音声を出力するようにしてもよい。この場合、制御部108は、テキストデータの表示も行うようにしてもよい。
この後、制御部108は、処理をステップS108に進める。
【0038】
アナウンスデータに緊急情報が含まれる場合(ステップS105-YES)、制御部108は、判定部106の判定結果に基づいて、アナウンスデータを表示部104またはフィルムスピーカ105から出力する(ステップS107)。アナウンスデータがVoIPによって送信されたものである場合、制御部108は、アナウンスデータに応じた音(例えば音声)をフィルムスピーカ105から放音させることで出力する。
【0039】
ここで、
図6は、出力装置10の表示画面に表示される画像の一例を示す図である。
アナウンスデータがテキストデータや画像データである場合、例えば、
図6に示すように、制御部108は、アナウンスデータに基づくアナウンス内容を第2領域104dに表示させ、時刻データに基づく現在時刻を第1領域104cに表示させる。第2領域104dの表示サイズは、第2領域104bの表示サイズよりも大きい。制御部108は、アナウンスデータに緊急情報が含まれていない場合に表示部104に表示される時刻の表示領域(第1領域104a)よりも、アナウンスデータに緊急情報が含まれている場合に表示部104に表示される時刻の表示領域(第1領域104c)を小さくし、緊急情報に基づく表示内容を表示部104の第2領域104dに表示させる。これにより、緊急情報に基づくアナウンス内容を大きく表示することができる。
なお、緊急情報が含まれる場合、制御部108は、現在時刻を表示しないようにしてもよい。これにより、緊急情報を表示する表示領域をより大きくして表示することができる。
また、制御部108は、アナウンスデータがテキストデータである場合、音声読み上げ機能によってフィルムスピーカ105から音声を出力するようにしてもよい。この場合、制御部108は、テキストデータの表示も行うようにしてもよい。
その後、制御部108は、処理をステップS108に進める。
【0040】
制御部108は、ステップS108において、処理を終了するか否かを判定する(ステップS108)。処理を終了すると判定した場合、制御部108は、処理を終了し、処理を終了しないと判定した場合には、処理をステップS102に進める。
【0041】
以上説明した出力装置10を船内の複数の客室のそれぞれに設置することで、各客室において音を出力することができる。また、出力装置10は、音を出力するだけでなく、時計を表示したり、アナウンス内容を表す文字を表示することで文字放送をすることもできる。
また、異常が発生した場合等のように緊急時においては、異常等が発生していることを音声や警報音等を出力することができ、また、必要に応じて異常内容に関する文字列についても表示させることで、文字放送をすることもできる。
【0042】
以上説明した実施形態においては、出力システムSは、船内に設けられる場合について説明したが、工場、オフィスビル等の会議室等、ネットワークがあり、放送用の構内スピーカが必要な場所であれば、船舶以外に設置するようにしてもよい。
また、客室外に設けられたスイッチを押下するとその客室内における出力装置10のスピーカからチャイム音を放音することで、時計付きのインターホンとして用いることもできる。
【0043】
なお、上述した実施形態において、ユーザ端末に対してアナウンスデータを送信するようにしてもよい。これにより、アナウンスサーバ30は、出力装置10だけでなく、ユーザ端末に対しても、アナウンスデータを出力することができる。また、ユーザ端末が接続しているアクセスポイントが設置された位置に基づいて、その設置された位置を含むエリアに関連するアナウンス内容を含むアナウンスデータを、エリアに応じて配信するようにしてもよい。これにより、ユーザ端末が存在する現在位置に応じたアナウンスデータをユーザに把握してもらうことができる。アクセスポイントが船内の部屋毎に設置されている場合には、接続先のアクセスポイントに基づいて、その部屋毎に異なるメッセージをアナウンスデータとして送信することも可能である。その場合、緊急情報を配信する場合であっても、例えば、部屋の位置に応じて異なる避難経路をアナウンスデータとして配信することもできる。これによりユーザが携帯するユーザ端末の船内における現在位置に応じた避難経路を案内することができる。
【0044】
上述した実施形態における出力装置10をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0045】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10,10a,10b,10c…出力装置、20…時刻サーバ、30…アナウンスサーバ、40…ユーザ管理サーバ、50…DHCPサーバ、100…ベース部材、101…接続部、102…第1取得部、103…第2取得部、104…表示部、105…フィルムスピーカ、106…判定部、107…記憶部、108…制御部、S…出力システム