(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089111
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】マスキング香料組成物及びマスキング香料含有製品
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20240626BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A61L9/01 Q
C11B9/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204282
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】500462292
【氏名又は名称】第一石鹸株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522495670
【氏名又は名称】アロマピクシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】黒田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】澤村 茂
(72)【発明者】
【氏名】中島 基貴
(72)【発明者】
【氏名】小菅 雄基
(72)【発明者】
【氏名】中村 幹彦
【テーマコード(参考)】
4C180
4H059
【Fターム(参考)】
4C180AA03
4C180BB03
4C180BB04
4C180BB06
4C180BB07
4C180BB08
4C180BB09
4C180BB12
4C180BB13
4C180BB15
4C180EB03X
4C180EB04X
4C180EB05X
4C180EB05Y
4C180EB06Y
4C180EB07X
4C180EB12X
4C180EC01
4H059BA17
4H059BA19
4H059BA20
4H059BA23
4H059BA44
4H059BB03
4H059BB13
4H059BB14
4H059BB44
4H059BB45
4H059BC10
4H059DA09
4H059EA32
(57)【要約】
【課題】複数のマスキング香料を新たな組み合わせで組成した新規なマスキング香料組成物、及び、当該マスキング香料組成物を含むマスキング香料含有製品を提供する。
【解決手段】マスキング香料組成物は、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド、シトラール、デカナール、n-オクタナール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド、2-シクロヘキシルオキシ酢酸、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、ヘキサン酸アリル、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、及び、アントラニル酸メチルを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド、シトラール、デカナール、n-オクタナール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド、2-シクロヘキシルオキシ酢酸、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、ヘキサン酸アリル、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、及び、アントラニル酸メチルを含む
マスキング香料組成物。
【請求項2】
3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド、(±)-カンファー、及び、ユーカリ油を含む
マスキング香料組成物。
【請求項3】
3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド、1-ホルミル-4-(4’-ヒドロキシ-4’-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン、シトラール、アントラニル酸メチル、β-ダマセノン、炭酸メチル(Z)-3-ヘキセニル、エチルバニリン、及び、3-(4-イソプロピルフェニル)イソブチルアルデヒドを含む
マスキング香料組成物。
【請求項4】
シクロペンチリデン酢酸メチル、2,4,4,7-テトラメチル-6,8-ノナジエン-3-オンオキシム、3,7-ジメチル-6-オクテナール、アセトアルデヒドエチルcis-3-ヘキセニルアセタール、3,7-ヘキサハイドロジメチルスピロメタノナフタレンオキシレン、ドデカンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-ノナジエンニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド、1-ホルミル-4-(4’-ヒドロキシ-4’-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン、(R)-1-メチル-4-(1-メチルエテニル)シクロヘキセン、及び、α-テルピネオールを含む
マスキング香料組成物。
【請求項5】
請求項1ないし4のうち何れか一項に記載のマスキング香料組成物を含む
マスキング香料含有製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスキング香料組成物及びマスキング香料含有製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日常生活活動度(ADL:Activities of Daily Living)の低下に伴う居室内の臭気の問題が指摘されている。これに対して、例えば、特許文献1では、嗅覚受容体アンタゴニズムによるマスキングによって、汗や皮脂を原因とする体臭の原因物質であるノナン酸臭またはヘキサン酸臭を抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数のマスキング香料を新たな組み合わせで組成した新規なマスキング香料組成物及びマスキング香料含有製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、マスキング香料の一例である3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒドを、他のマスキング香料と組み合わせることによって、新規なマスキング香料組成物及びマスキング香料含有製品を発明した。
【0006】
上記課題を解決するためのマスキング香料組成物は、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド、シトラール、デカナール、n-オクタナール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド、2-シクロヘキシルオキシ酢酸、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、ヘキサン酸アリル、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、及び、アントラニル酸メチルを含む。
【0007】
上記課題を解決するためのマスキング香料組成物は、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド、(±)-カンファー、及び、ユーカリ油を含む。
上記課題を解決するためのマスキング香料組成物は、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド、1-ホルミル-4-(4’-ヒドロキシ-4’-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン、シトラール、アントラニル酸メチル、β-ダマセノン、炭酸メチル(Z)-3-ヘキセニル、エチルバニリン、及び、3-(4-イソプロピルフェニル)イソブチルアルデヒドを含む。
【0008】
上記課題を解決するためのマスキング香料組成物は、シクロペンチリデン酢酸メチル、2,4,4,7-テトラメチル-6,8-ノナジエン-3-オンオキシム、3,7-ジメチル-6-オクテナール、アセトアルデヒドエチルcis-3-ヘキセニルアセタール、3,7-ヘキサハイドロジメチルスピロメタノナフタレンオキシレン、ドデカンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-ノナジエンニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド、1-ホルミル-4-(4’-ヒドロキシ-4’-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン、(R)-1-メチル-4-(1-メチルエテニル)シクロヘキセン、及び、α-テルピネオールを含む。
【0009】
上記各マスキング香料組成物におけるマスキング香料の組み合わせであれば、マスキング香料のマスキングによって、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、及び、魚臭といった複数種類の臭気を抑制できる。
【0010】
上記課題を解決するためのマスキング香料含有製品は、上記マスキング香料組成物の何れかを含む。このようなマスキング香料含有製品によれば、複数種類の臭気に対してマスキングによる臭い抑制効果を有する汎用的な製品とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のマスキング香料を新たな組み合わせで組成した新規なマスキング香料組成物、及び、当該マスキング香料組成物を含むマスキング香料含有製品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1香料組成物を含む試料A1~A11の組成と官能評価の結果とを示す表である。
【
図2】
図2は、第2香料組成物を含む試料B1~B11の組成と官能評価の結果とを示す表である。
【
図3】
図3は、第3香料組成物を含む試料C1~C11の組成と官能評価の結果とを示す表である。
【
図4】
図4は、第4香料組成物を含む試料D1~D11の組成と官能評価の結果とを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[マスキング香料含有製品]
マスキング香料含有製品は、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、及び、魚臭(生臭さ)のうち少なくとも1種の臭気(悪臭)を抑制する製品である。マスキング香料含有製品は、複数のマスキング香料が組み合わされたマスキング香料組成物を含む。
【0014】
マスキング香料組成物に含まれるマスキング香料は、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、及び、魚臭のうち少なくとも1種の臭気に含まれる臭気成分に対してマスキング効果を有する。
【0015】
便臭に含まれる臭気成分は、例えば、硫化水素、メチルメルカプタン、インドールである。尿臭に含まれる臭気成分は、例えば、アンモニアである。汗臭に含まれる臭気成分は、例えば、酪酸、イソ吉草酸である。なお、硫化水素、メチルメルカプタン、及び、酪酸は、口臭に含まれる臭気成分の一例でもある。加齢臭に含まれる臭気成分は、例えば、ノネナール、ノナン酸である。足裏臭に含まれる臭気成分は、例えば、イソ吉草酸である。腋臭臭に含まれる臭気成分は、例えば、3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸である。魚臭に含まれる臭気成分は、例えば、トリメチルアミンである。トリメチルアミンは、生ごみから生じる臭いの原因物質の一つであるが、汗や尿、口臭などに含まれる場合もある。この場合、汗臭や尿臭、口臭にトリメチルアミン特有の魚臭が含まれる。
【0016】
本明細書における「マスキング」とは、臭気成分とともにマスキング香料を適用することによって、臭気成分に由来する臭気を認識させなくする、もしくは、臭気の認識を弱めるための手段を指す。「マスキング」は、例えば、臭気(悪臭)を別の強い臭いによって打ち消すものであってもよいし、マスキング香料によって臭気成分に対する受容体の応答を阻害するものであってもよい。
【0017】
マスキング香料含有製品は、例えば、介護の現場など、日常生活活動度(ADL)が低下した状態での生活に伴って生じた臭気を抑制するために好適に用いることができる。マスキング香料含有製品は、一例として、マスキング香料組成物と、マスキング香料組成物を希釈するための溶媒とを含む液体製品である。液状のマスキング香料含有製品は、例えば、消臭剤、衣料用洗剤、柔軟仕上げ剤、身体洗浄剤(ボディシャンプー)、ハンドソープ、シャンプー、リンス、清拭剤、住居用洗剤等である。
【0018】
溶媒は、例えば、水、エタノール、低分子炭化水素類、LPガス、及び、ジメチルエーテル等の揮発し易い成分が好ましい。なお、液状のマスキング香料含有製品には、マスキング香料組成物を溶媒に分散可溶化させるための可溶化剤が添加されてもよい。可溶化剤の一例は、エタノールである。また、マスキング香料含有製品は、マスキング香料組成物に加えて、殺菌剤、抗菌剤、キレート剤、pH調整剤、色素、粘度調整剤等を含んでもよい。マスキング香料含有製品は、使用感や臭いの抑制効果を高めるためにマスキング香料以外の他の香料を適宜配合してもよい。
【0019】
消臭剤は、例えば、マスキング香料組成物、溶媒、可溶化剤、防腐剤等を含む。消臭剤は、例えば、衣類、布製品用でもよいし、室内用でもよい。衣類、布製品用の消臭剤は、例えば、臭気の発生源(寝具、着衣、おむつ等)に液状の消臭剤が噴霧、散布または塗布される。室内用の消臭剤は、例えば、トリガー式、エアゾール式、機械噴霧式、もしくは、濾紙等を介して液状の消臭剤を揮発させることによって消臭剤が居室内の空間に散布される。
【0020】
衣料用洗剤は、例えば、マスキング香料組成物及び溶媒に加えて、洗浄剤、起泡剤、可溶化剤、防腐剤等を含む。柔軟仕上げ剤は、例えば、マスキング香料組成物及び溶媒に加えて、可溶化剤、柔軟剤、防腐剤、シリコーン剤等を含む。衣料用洗剤及び柔軟仕上げ剤は、例えば、衣類や寝具の洗濯の際に洗濯槽に添加される。また、衣料用洗剤及び柔軟仕上げ剤は、予め衣類や寝具に含浸させてもよい。衣料用洗剤及び柔軟仕上げ剤は、担体にマスキング香料組成物を担持させて蒸散させる形態であってもよい。
【0021】
身体洗浄剤は、例えば、マスキング香料組成物及び溶媒に加えて、殺菌剤、洗浄剤、起泡剤、溶剤、防腐剤、保湿剤等を含む。身体洗浄剤は、例えば、液体状でもよいし、液体の状態で容器に収容されるとともに泡状で容器から供給される形態でもよい。
【0022】
マスキング香料含有製品は、以下に示す第1香料組成物~第4香料組成物の何れかを含む。なお、第1香料組成物~第4香料組成物は、それぞれ複数のマスキング香料を含むマスキング香料組成物の一例である。
【0023】
[第1香料組成物]
第1香料組成物に含まれるマスキング香料は、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド(CAS番号:80-54-6)、シトラール(CAS番号:5392-40-5)、デカナール(CAS番号:112-31-2)、n-オクタナール(CAS番号:124-13-0)、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド(CAS番号:68039-49-6)、2-シクロヘキシルオキシ酢酸(CAS番号:68901-15-5)、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン(CAS番号:56973-85-4)、ヘキサン酸アリル(CAS番号:123-68-2)、α-ヘキシルシンナムアルデヒド(CAS番号:101-86-0)、及び、アントラニル酸メチル(CAS番号:134-20-3)である。
【0024】
3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒドの添加量は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して0.30質量%以上30.00質量%以下である。
シトラールの添加量は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して0.20質量%以上20.00質量%以下である。
【0025】
デカナールの添加量は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して0.20質量%以上20.00質量%以下である。
n-オクタナールの添加量は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して0.10質量%以上10.00質量%以下である。
【0026】
2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒドの添加量は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して0.40質量%以上40.00質量%以下である。
2-シクロヘキシルオキシ酢酸の添加量は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して0.02質量%以上2.00質量%以下である。
【0027】
1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンの添加量は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して0.01質量%以上1.00質量%以下である。
【0028】
ヘキサン酸アリルの添加量は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して0.10質量%以上10.0質量%以下である。
α-ヘキシルシンナムアルデヒドの添加量は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して1.00質量%以上30.0質量%以下である。
【0029】
アントラニル酸メチルの添加量は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して0.01質量%以上1.00質量%以下である。
なお、第1香料組成物に含まれる各マスキング香料の添加量の総和は、例えば、第1香料組成物全体の質量に対して2.340質量%以上71.640質量%以下である。
【0030】
また、第1香料組成物は、マスキング香料以外の香料成分である非マスキング香料や、マスキング香料が溶液として添加される場合の溶媒等のマスキング香料以外の成分を含んでもよい。例えば、第1香料組成物は、非マスキング香料として、酢酸1-フェニルエチル(CAS番号:93-92-5)、2-tert-ブチルシクロヘキサン-1-イル=アセタート(CAS番号:88-41-5)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(CAS番号:78-70-6)、及び、6,6-ジメトキシ-2,5,5-トリメチル-2-ヘキセン(CAS番号:67674-46-8)を含む。第1香料組成物において、上記のマスキング香料と合わせてこれらの非マスキング香料を添加することで、例えば、介護の現場などで用いられるマスキング香料含有製品に適するように、第1香料組成物の香調を整えることができる。
【0031】
液状のマスキング香料含有製品において、溶媒に希釈された第1香料組成物の含有率の下限は、例えば、マスキング香料含有製品の全体の質量に対して0.30質量%以上である。液状のマスキング香料含有製品において、溶媒に希釈された第1香料組成物の含有率の上限は、例えば、マスキング香料含有製品の全体の質量に対して2.00質量%以下、好ましくは0.50質量%以下である。
【0032】
[第2香料組成物]
第2香料組成物に含まれるマスキング香料は、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド(CAS番号:80-54-6)、(±)-カンファー(CAS番号:76-22-2)、及び、ユーカリ油(CAS番号:8000-48-4)である。
【0033】
3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒドの添加量は、例えば、第2香料組成物全体の質量に対して1.00質量%以上50.00質量%以下である。
(±)-カンファーの添加量は、例えば、第2香料組成物全体の質量に対して1.00質量%以上50.00質量%以下である。
【0034】
ユーカリ油の添加量は、例えば、第2香料組成物全体の質量に対して1.00質量%以上50.00質量%以下である。
なお、第2香料組成物に含まれる各マスキング香料の添加量の総和は、例えば、第2香料組成物全体の質量に対して3.000質量%以上75.000質量%以下である。
【0035】
また、第2香料組成物は、非マスキング香料や、マスキング香料が溶液として添加される場合の溶媒等のマスキング香料以外の成分を含んでもよい。例えば、第2香料組成物は、非マスキング香料として、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-6-オールプロピオナート(CAS番号:17511-60-3)、フェニルエーテル(CAS番号:101-84-8)、イソ酪酸2-フェノキシエチル(CAS番号:103-60-6)、及び、2-フェニルエチルアルコール(CAS番号:60-12-8)を含む。第2香料組成物において、上記のマスキング香料と合わせてこれらの非マスキング香料を添加することで、例えば、介護の現場などで用いられるマスキング香料含有製品に適するように、第2香料組成物の香調を整えることができる。
【0036】
液状のマスキング香料含有製品において、溶媒に希釈された第2香料組成物の含有率の下限は、例えば、マスキング香料含有製品の全体の質量に対して0.20質量%以上である。液状のマスキング香料含有製品において、溶媒に希釈された第2香料組成物の含有率の上限は、例えば、マスキング香料含有製品の全体の質量に対して2.00質量%以下、好ましくは0.50質量%以下である。
【0037】
[第3香料組成物]
第3香料組成物に含まれるマスキング香料は、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド(CAS番号:80-54-6)、1-ホルミル-4-(4’-ヒドロキシ-4’-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン(CAS番号:31906-04-4)、シトラール(CAS番号:5392-40-5)、アントラニル酸メチル(CAS番号:134-20-3)、β-ダマセノン(CAS番号:23726-93-4)、炭酸メチル(Z)-3-ヘキセニル(CAS番号:67633-96-9)、エチルバニリン(CAS番号:121-32-4)、及び、3-(4-イソプロピルフェニル)イソブチルアルデヒド(CAS番号:103-95-7)である。
【0038】
3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒドの添加量は、例えば、第3香料組成物全体の質量に対して0.40質量%以上40.00質量%以下である。
1-ホルミル-4-(4’-ヒドロキシ-4’-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンの添加量は、例えば、第3香料組成物全体の質量に対して0.20質量%以上20.00質量%以下である。
【0039】
シトラールの添加量は、例えば、第3香料組成物全体の質量に対して0.10質量%以上10.00質量%以下である。
アントラニル酸メチルの添加量は、例えば、第3香料組成物全体の質量に対して0.30質量%以上30.00質量%以下である。
【0040】
β-ダマセノンの添加量は、例えば、第3香料組成物全体の質量に対して0.003質量%以上0.30質量%以下である。
炭酸メチル(Z)-3-ヘキセニルの添加量は、例えば、第3香料組成物全体の質量に対して0.01質量%以上1.00質量%以下である。
【0041】
エチルバニリンの添加量は、例えば、第3香料組成物全体の質量に対して0.03質量%以上3.00質量%以下である。
3-(4-イソプロピルフェニル)イソブチルアルデヒドの添加量は、例えば、第3香料組成物全体の質量に対して0.10質量%以上10.00質量%以下である。
【0042】
なお、第3香料組成物に含まれる各マスキング香料の添加量の総和は、例えば、第3香料組成物全体の質量に対して1.143質量%以上84.603質量%以下である。
また、第3香料組成物は、非マスキング香料や、マスキング香料が溶液として添加される場合の溶媒等のマスキング香料以外の成分を含んでもよい。例えば、第3香料組成物は、非マスキング香料として、メチル(2-ペンチル-3-オキソ-シクロペンチル)アセテート(CAS番号:24851-98-7)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(CAS番号:78-70-6)、酢酸ベンジル(CAS番号:140-11-4)、及び、2-メトキシ-4-プロペニルフェノール(CAS番号:97-53-0)を含む。第3香料組成物において、上記のマスキング香料と合わせてこれらの非マスキング香料を添加することで、例えば、介護の現場などで用いられるマスキング香料含有製品に適するように、第3香料組成物の香調を整えることができる。
【0043】
液状のマスキング香料含有製品において、溶媒に希釈された第3香料組成物の含有率の下限は、例えば、マスキング香料含有製品の全体の質量に対して0.30質量%以上である。液状のマスキング香料含有製品において、溶媒に希釈された第3香料組成物の含有率の上限は、例えば、マスキング香料含有製品の全体の質量に対して2.00質量%以下、好ましくは0.50質量%以下である。
【0044】
[第4香料組成物]
第4香料組成物に含まれるマスキング香料は、マスキング香料として、シクロペンチリデン酢酸メチル(CAS番号:40203-73-4)、2,4,4,7-テトラメチル-6,8-ノナジエン-3-オンオキシム(CAS番号:81783-01-9)、3,7-ジメチル-6-オクテナール(CAS番号:106-23-0)、アセトアルデヒドエチルcis-3-ヘキセニルアセタール(CAS番号:28069-74-1)、3,7-ヘキサハイドロジメチルスピロメタノナフタレンオキシレン(CAS番号:41816-03-9(10質量%溶液))、ドデカンニトリル(CAS番号:2437-25-4)、3,7-ジメチル-2,6-ノナジエンニトリル(CAS番号:61792-11-8)、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル(CAS番号:51566-62-2)、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド(CAS番号:80-54-6)、1-ホルミル-4-(4’-ヒドロキシ-4’-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン(CAS番号:31906-04-4)、(R)-1-メチル-4-(1-メチルエテニル)シクロヘキセン(CAS番号:5989-27-5)、及び、α-テルピネオール(CAS番号:586-62-9)である。
【0045】
シクロペンチリデン酢酸メチルの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して0.008質量%以上0.80質量%以下である。
2,4,4,7-テトラメチル-6,8-ノナジエン-3-オンオキシムの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して0.0008質量%以上0.08質量%以下である。なお、2,4,4,7-テトラメチル-6,8-ノナジエン-3-オンオキシムの10質量%溶液を用いる場合の添加量は、例えば、0.008質量%以上0.8質量%以下である。
【0046】
3,7-ジメチル-6-オクテナールの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して0.01質量%以上1.00質量%以下である。
アセトアルデヒドエチルcis-3-ヘキセニルアセタールの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して0.02質量%以上2.00質量%以下である。
【0047】
3,7-ヘキサハイドロジメチルスピロメタノナフタレンオキシレンの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して0.04質量%以上4.00質量%以下である。
ドデカンニトリルの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して0.08質量%以上8.00質量%以下である。
【0048】
3,7-ジメチル-2,6-ノナジエンニトリルの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して0.20質量%以上20.00質量%以下である。
3,7-ジメチル-6-オクテンニトリルの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して0.40質量%以上40.00質量%以下である。
【0049】
3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒドの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して0.50質量%以上50.00質量%以下である。
1-ホルミル-4-(4’-ヒドロキシ-4’-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して0.50質量%以上50.00質量%以下である。
【0050】
(R)-1-メチル-4-(1-メチルエテニル)シクロヘキセンの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して3.50質量%以上48.00質量%以下である。
α-テルピネオールの添加量は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して3.50質量%以上48.00質量%以下である。
【0051】
なお、第4香料組成物に含まれる各マスキング香料の添加量の総和は、例えば、第4香料組成物全体の質量に対して8.7588質量%以上98.000質量%以下である。
また、第4香料組成物は、非マスキング香料や、マスキング香料が溶液として添加される場合の溶媒等のマスキング香料以外の成分を含んでもよい。例えば、第4香料組成物は、非マスキング香料として、メチル(2-ペンチル-3-オキソ-シクロペンチル)アセテート(CAS番号:24851-98-7)、1-フェニル-1-ヘキサノール(CAS番号:4471-05-0)、酢酸ネリル(CAS番号:141-12-8)、及び、ネロール(CAS番号:106-25-2)を含む。第4香料組成物において、上記のマスキング香料と合わせてこれらの非マスキング香料を添加することで、例えば、介護の現場などで用いられるマスキング香料含有製品に適するように、第4香料組成物の香調を整えることができる。
【0052】
液状のマスキング香料含有製品において、溶媒に希釈された第4香料組成物の含有率の下限は、例えば、マスキング香料含有製品の全体の質量に対して0.30質量%以上である。液状のマスキング香料含有製品において、溶媒に希釈された第4香料組成物の含有率の上限は、例えば、マスキング香料含有製品の全体の質量に対して2.00質量%以下、好ましくは1.00質量%以下である。
【0053】
[第1香料組成物~第4香料組成物に含まれる共通のマスキング香料]
3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒドは、新鮮なフローラル感を強く有するため、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、及び、魚臭といった広範囲の悪臭に対してマスキング効果を有する。第1香料組成物~第4香料組成物では、ADLの低下に伴って居室内に生じる様々な臭気を抑制するために、共通のマスキング香料として3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒドを添加した。
【0054】
[第1香料組成物に含まれるマスキング香料]
シトラール、デカナール、n-オクタナールは、シトラスの香りに含まれる成分である。シトラール、デカナール、n-オクタナールは、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒドや2-シクロヘキシルオキシ酢酸と組み合わせることで、匂い立ちから新鮮なグリーン感が強く感じられるため、便臭のマスキングに好適である。特に、シトラールは、匂い立ちが強いトップノートであるとともに、爽やかなシトラス感が強いため、少量で便臭や尿臭、さらには腐敗臭などに対して強いマスキング効果を有する。アントラニル酸メチルは、ボリュームのあるフローラル感によって便臭や尿臭に対して強いマスキング効果を有する。1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、及び、ヘキサン酸アリル及びα-ヘキシルシンナムアルデヒドは、上記の成分と組み合わせることでマスキング効果をさらに向上させる。
【0055】
[第2香料組成物に含まれるマスキング香料]
(±)-カンファーやユーカリ油は、清涼なハーバル感(ハーブ系の香り)が強く、汗臭、加齢臭、腋臭臭、足裏臭等の体臭に対して好適なマスキング効果を有する。
【0056】
[第3香料組成物に含まれるマスキング香料]
1-ホルミル-4-(4’-ヒドロキシ-4’-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンは、濃厚なフローラル感が強く、硫化水素、アンモニア、酢酸を原因とした悪臭に対して好適なマスキング効果を有する。シトラールは、前述の通り、匂い立ちが強いトップノートであるとともに、爽やかなシトラス感が強いため、少量で便臭や尿臭、さらには腐敗臭などに対して強いマスキング効果を有する。アントラニル酸メチルは、前述の通り、ボリュームのあるフローラル感によって便臭や尿臭に対して強いマスキング効果を有する。β-ダマセノンやエチルバニリンは、上記のフローラル感やホワイトフローラル感を増強することで、便臭、尿臭などの悪臭に対するマスキング効果を高める。3-(4-イソプロピルフェニル)イソブチルアルデヒドは、爽やかなホワイトフローラル感を有していることから、上記の成分と組み合わせることでマスキング効果をさらに向上させる。炭酸メチル(Z)-3-ヘキセニルもまた、上記の成分と組み合わせることでマスキング効果をさらに向上させる。
【0057】
[第4香料組成物に含まれるマスキング香料]
1-ホルミル-4-(4’-ヒドロキシ-4’-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンは、前述の通り、濃厚なフローラル感が強く、硫化水素、アンモニア、酢酸を原因とした悪臭に対して好適なマスキング効果を有する。(R)-1-メチル-4-(1-メチルエテニル)シクロヘキセン、α-テルピネオール、ドデカンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-ノナジエンニトリル、及び、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリルは、清潔感がある香りを有し、腐敗臭、魚臭(生臭さ)に対して強いマスキング効果を有する。シクロペンチリデン酢酸メチル、2,4,4,7-テトラメチル-6,8-ノナジエン-3-オンオキシム、3,7-ジメチル-6-オクテナール、アセトアルデヒドエチルcis-3-ヘキセニルアセタール、及び3,7-ヘキサハイドロジメチルスピロメタノナフタレンオキシレンは、上記の成分と組み合わせることでマスキング効果をさらに向上させる。
【0058】
[試験例]
第1香料組成物~第4香料組成物の何れかを含むマスキング香料含有製品について、各種臭気成分に起因した臭気の抑制効果を以下に示す試験例を用いて説明する。なお、以下の試験例で採用した試験条件は、本実施形態の効果を説明するための一例であって、本発明を限定するものではない。
【0059】
[試料の調製]
本試験例では、第1香料組成物~第4香料組成物の何れかを溶媒で希釈した試料A1~A11,B1~B11,C1~C11,D1~D11と、比較対象となる水のみの試料Eとを準備した。各試料の組成を
図1~
図4に示す。
【0060】
図1に示すように、試料A1~A11は、第1香料組成物を溶媒としての水で希釈した試料(マスキング香料含有製品に相当)である。試料A1~A11に含まれる第1香料組成物の含有率は、試料A1からA11の順に0.05質量%、0.10質量%、0.20質量%、0.30質量%、0.50質量%、1.00質量%、2.00質量%、3.00質量%、4.00質量%、5.00質量%、10.00質量%である。試料A1~A11に含まれる第1香料組成物におけるマスキング香料の組成は何れも同一である。
【0061】
試料A1~A11は、さらに、1.0質量%のエタノール(95%)と、0.01質量%の安息香酸ナトリウムと、を含む。なお、エタノールは、可溶化剤の一例である。安息香酸ナトリウムは、防腐剤の一例である。試料A1~A11に含まれる水の含有率は、各試料における第1香料組成物、エタノール、安息香酸ナトリウム、及び、水の含有率の総和が100質量%となるように決定される。
【0062】
図2に示すように、試料B1~B11は、第2香料組成物を溶媒としての水で希釈した試料(マスキング香料含有製品に相当)である。試料B1~B11に含まれる第2香料組成物の含有率は、試料B1からB11の順に0.05質量%、0.10質量%、0.20質量%、0.30質量%、0.50質量%、1.00質量%、2.00質量%、3.00質量%、4.00質量%、5.00質量%、10.00質量%である。試料B1~B11に含まれる第2香料組成物におけるマスキング香料の組成は何れも同一である。
【0063】
試料B1~B11は、さらに、1.0質量%のエタノール(95%)と、0.01質量%の安息香酸ナトリウムと、を含む。試料B1~B11に含まれる水の含有率は、各試料における第2香料組成物、エタノール、安息香酸ナトリウム、及び、水の含有率の総和が100質量%となるように決定される。
【0064】
図3に示すように、試料C1~C11は、第3香料組成物を溶媒としての水で希釈した試料(マスキング香料含有製品に相当)である。試料C1~C11に含まれる第3香料組成物の含有率は、試料C1からC11の順に0.05質量%、0.10質量%、0.20質量%、0.30質量%、0.50質量%、1.00質量%、2.00質量%、3.00質量%、4.00質量%、5.00質量%、10.00質量%である。試料C1~C11に含まれる第3香料組成物におけるマスキング香料の組成は何れも同一である。
【0065】
試料C1~C11は、さらに、1.0質量%のエタノール(95%)と、0.01質量%の安息香酸ナトリウムと、を含む。試料C1~C11に含まれる水の含有率は、各試料における第3香料組成物、エタノール、安息香酸ナトリウム、及び、水の含有率の総和が100質量%となるように決定される。
【0066】
図4に示すように、試料D1~D11は、第4香料組成物を溶媒としての水で希釈した試料(マスキング香料含有製品に相当)である。試料D1~D11に含まれる第4香料組成物の含有率は、試料D1からD11の順に0.05質量%、0.10質量%、0.20質量%、0.30質量%、0.50質量%、1.00質量%、2.00質量%、3.00質量%、4.00質量%、5.00質量%、10.00質量%である。試料D1~D11に含まれる第4香料組成物におけるマスキング香料の組成は何れも同一である。
【0067】
試料D1~D11は、さらに、1.0質量%のエタノール(95%)と、0.01質量%の安息香酸ナトリウムと、を含む。試料D1~D11に含まれる水の含有率は、各試料における第4香料組成物、エタノール、安息香酸ナトリウム、及び、水の含有率の総和が100質量%となるように決定される。
【0068】
[評価:硫化水素(便臭、口臭)]
十分に乾燥させた1Lのガラス容器に1gの試料A1を噴霧した後、硫化水素(ガス)を15ppmの濃度となるように投入して密閉した状態で室温にて30分間放置した。そして、マスキング香料組成物による臭気に対する抑制効果、及び、マスキング香料組成物自体の香りの強さが与える不快感の2項目について官能評価を行った。
【0069】
臭気に対する抑制効果の採点は、訓練された5名のパネラーが1点から5点までの5段階で採点した結果の平均点を四捨五入した値を採用した。採点基準としては、臭気に対するマスキング効果が無いと感じたものを1点とした。臭気に対するマスキング効果があるものの、マスキング効果が弱いと感じたものを2点とした。臭気に対する有意なマスキング効果があると感じたものを3点とした。臭気に対して強いマスキング効果があると感じたものを4点とした。臭気に対して特に強いマスキング効果があると感じたものを5点とした。なお、臭気に対する抑制効果の評価においては、点数が高いほど臭気に対するマスキング効果が強いことを意味する。また、臭気に対する抑制効果の評価においては、評価結果が3点以上であれば臭気に対して有意なマスキング効果を有する水準であることを意味する。
【0070】
マスキング香料組成物自体の香りの強さが与える不快感の採点は、訓練された5名のパネラーが1点から5点までの5段階で採点した結果の平均点を四捨五入した値を採用した。採点基準としては、香料組成物の香りの強さが与える不快感が全く無いものを1点とした。香料組成物自体の香りの強さが与える不快感がほとんど無いものを2点とした。香料組成物自体の香りがやや強く、香料組成物の香りの強さによる不快感があるものを3点とした。香料組成物自体の香りが強く、香料組成物の香りの強さによる不快感が強いものを4点とした。香料組成物自体の香りが非常に強く、香料組成物の香りの強さによる不快感がより強いものを5点とした。なお、香料組成物の香りの強さが与える不快感の評価においては、点数が高いほど香料組成物の香りが強いことによる不快感が強いことを意味する。また、香りの強さが与える不快感の評価においては、評価結果が2点以下であればマスキング香料含有製品の使用に際して、香料組成物自体の香りの強さによる不快感を与えない水準であることを意味する。
【0071】
[評価:メチルメルカプタン(便臭、口臭)]
十分に乾燥させた1Lのガラス容器に1gの試料A1を噴霧した後、メチルメルカプタン(ガス)を6ppmの濃度となるように投入して密閉した状態で室温にて30分間放置した。そして、硫化水素の官能評価と同様の官能評価を行った。
【0072】
[評価:インドール(便臭)]
十分に乾燥させた1Lのガラス容器に1gの試料A1を噴霧した後、20μLのインドールを投入して密閉した状態で室温にて30分間放置した。そして、硫化水素の官能評価と同様の官能評価を行った。
【0073】
[評価:アンモニア(尿臭)]
十分に乾燥させた1Lのガラス容器に1gの試料A1を噴霧した後、アンモニア(ガス)を100ppmの濃度となるように投入して密閉した状態で室温にて30分間放置した。そして、硫化水素の官能評価と同様の官能評価を行った。
【0074】
[評価:イソ吉草酸(汗臭、足裏臭)]
十分に乾燥させた1Lのガラス容器に1gの試料A1を噴霧した後、5μLのイソ吉草酸を投入して密閉した状態で室温にて30分間放置した。そして、硫化水素の官能評価と同様の官能評価を行った。
【0075】
[評価:ノネナール(加齢臭)]
十分に乾燥させた1Lのガラス容器に1gの試料A1を噴霧した後、10μLのノネナールを投入して密閉した状態で室温にて30分間放置した。そして、硫化水素の官能評価と同様の官能評価を行った。
【0076】
[評価:3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸(腋臭臭)]
十分に乾燥させた1Lのガラス容器に1gの試料A1を噴霧した後、20μLの3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸を投入して密閉した状態で室温にて30分間放置した。そして、硫化水素の官能評価と同様の官能評価を行った。
【0077】
[評価:酪酸(汗臭、口臭)]
十分に乾燥させた1Lのガラス容器に1gの試料A1を噴霧した後、10μLの酪酸を投入して密閉した状態で室温にて30分間放置した。そして、硫化水素の官能評価と同様の官能評価を行った。
【0078】
[評価:ノナン酸(加齢臭)]
十分に乾燥させた1Lのガラス容器に1gの試料A1を噴霧した後、10μLのノナン酸を投入して密閉した状態で室温にて30分間放置した。そして、硫化水素の官能評価と同様の官能評価を行った。
【0079】
[評価:トリメチルアミン(魚臭)]
十分に乾燥させた1Lのガラス容器に1gの試料A1を噴霧した後、10μLのトリメチルアミン(10質量%水溶液)を投入して密閉した状態で室温にて30分間放置した。そして、硫化水素の官能評価と同様の官能評価を行った。
【0080】
[評価結果]
各臭気成分に対する試料A1の評価結果を
図1に示す。試料A2~A11についても試料A1と同様の手順で各臭気成分に対して官能評価を行った結果を
図1に示す。試料B1~B11についても試料A1と同様の手順で各臭気成分に対して官能評価を行った結果を
図2に示す。試料C1~C11についても試料A1と同様の手順で各臭気成分に対して官能評価を行った結果を
図3に示す。試料D1~D11についても試料A1と同様の手順で各臭気成分に対して官能評価を行った結果を
図4に示す。試料Eについても試料A1と同様の手順で各臭気成分に対して官能評価を行った結果を
図1~4に示す。なお、香料組成物自体の香りの強さが与える不快感の評価においては、評価対象となる臭気成分によらず各試料において同一の結果であった。
【0081】
図1に示すように、第1香料組成物を含む試料A1~A11の結果から、第1香料組成物の含有率が増加する程、各臭気成分に対するマスキング効果が強くなることが確認された。第1香料組成物の含有率が0.10質量%以上の水準において、イソ吉草酸に対する有意なマスキング効果が確認された。第1香料組成物の含有率が0.20質量%以上の水準において、硫化水素、メチルメルカプタン、インドール、アンモニア、酪酸、ノナン酸、及び、トリメチルアミンに対する有意なマスキング効果が確認された。第1香料組成物の含有率が0.30質量%以上の水準において、ノネナール、及び、3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸に対する有意なマスキング効果が確認された。
【0082】
したがって、マスキング香料含有製品における第1香料組成物の含有率を0.30質量%以上とすることで、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、及び、魚臭といった複数種類の臭気成分に由来する臭気を抑制できる。
【0083】
また、第1香料組成物を含む試料A1~A11の結果から、第1香料組成物の含有率が増加する程、香料組成物自体の香りの強さが与える不快感が強くなることが確認された。第1香料組成物の含有率が2.00質量%以下であれば、香料組成物自体の香りの強さによる不快感を抑制できる。特に、第1香料組成物の含有率が0.50質量%以下であれば、香料組成物自体の香りの強さによる不快感をより好適に抑制できる。
【0084】
例えば、第1香料組成物は、香料組成物自体の香りの強さによる不快感が1点となる0.50質量%以下の範囲内で含有率を高めることで、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、魚臭、及び、口臭に含まれる臭気成分に対して4点以上の高いマスキング効果を発揮する。なかでも、便臭に含まれるインドール、汗臭及び腋臭臭に含まれるイソ吉草酸、並びに、魚臭に含まれるトリメチルアミンにおいては、特に強いマスキング効果(5点)を発揮する。したがって、第1香料組成物は、例えば、これらの悪臭に対して臭いの抑制効果が求められるマスキング香料含有製品において、好適に使用できる。
【0085】
図2に示すように、第2香料組成物を含む試料B1~B11の結果から、第2香料組成物の含有率が増加する程、各臭気成分に対するマスキング効果が強くなることが確認された。第2香料組成物の含有率が0.20質量%以上の水準において、硫化水素、メチルメルカプタン、インドール、アンモニア、イソ吉草酸、ノネナール、3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸、酪酸、ノナン酸、及び、トリメチルアミンの全てに対する有意なマスキング効果が確認された。
【0086】
したがって、マスキング香料含有製品における第2香料組成物の含有率を0.20質量%以上とすることで、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、及び、魚臭といった複数種類の臭気成分に由来する臭気を抑制できる。
【0087】
また、第2香料組成物を含む試料B1~B11の結果から、第2香料組成物の含有率が増加する程、香料組成物自体の香りの強さが与える不快感が強くなることが確認された。第2香料組成物の含有率が2.00質量%以下であれば、香料組成物自体の香りの強さによる不快感を抑制できる。特に、第2香料組成物の含有率が0.50質量%以下であれば、香料組成物自体の香りの強さによる不快感をより好適に抑制できる。
【0088】
例えば、第2香料組成物は、香料組成物自体の香りの強さによる不快感が1点となる0.50質量%以下の範囲内で含有率を高めることで、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、及び、魚臭に含まれる臭気成分に対して4点以上の高いマスキング効果を発揮する。なかでも、加齢臭に含まれるノネナール及びノナン酸、腋臭臭に含まれる3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸、並びに、魚臭に含まれるトリメチルアミンにおいては、特に強いマスキング効果(5点)を発揮する。したがって、第2香料組成物は、例えば、これらの悪臭に対して臭いの抑制効果が求められるマスキング香料含有製品において、好適に使用できる。
【0089】
図3に示すように、第3香料組成物を含む試料C1~C11の結果から、第3香料組成物の含有率が増加する程、各臭気成分に対するマスキング効果が強くなることが確認された。第3香料組成物の含有率が0.20質量%以上の水準において、アンモニア、酪酸、ノナン酸、及び、トリメチルアミンに対する有意なマスキング効果が確認された。第3香料組成物の含有率が0.30質量%以上の水準において、硫化水素、メチルメルカプタン、インドール、イソ吉草酸、ノネナール、及び、3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸に対する有意なマスキング効果が確認された。
【0090】
したがって、マスキング香料含有製品における第3香料組成物の含有率を0.30質量%以上とすることで、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、及び、魚臭といった複数種類の臭気成分に由来する臭気を抑制できる。
【0091】
また、第3香料組成物を含む試料C1~C11の結果から、第3香料組成物の含有率が増加する程、香料組成物自体の香りの強さが与える不快感が強くなることが確認された。第3香料組成物の含有率が2.00質量%以下であれば、香料組成物自体の香りの強さによる不快感を抑制できる。特に、第3香料組成物の含有率が0.50質量%以下であれば、香料組成物自体の香りの強さによる不快感をより好適に抑制できる。
【0092】
例えば、第3香料組成物は、香料組成物自体の香りの強さによる不快感が1点となる0.50質量%以下の範囲内で含有率を高めることで、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、魚臭、及び、口臭に含まれる何れの臭気成分に対しても4点以上の高いマスキング効果を発揮する。なかでも、魚臭に含まれるトリメチルアミンにおいては、特に強いマスキング効果(5点)を発揮する。したがって、第3香料組成物は、例えば、これらの悪臭に対して臭いの抑制効果が求められるマスキング香料含有製品において、好適に使用できる。
【0093】
図4に示すように、第4香料組成物を含む試料D1~D11の結果から、第4香料組成物の含有率が増加する程、各臭気成分に対するマスキング効果が強くなることが確認された。第4香料組成物の含有率が0.10質量%以上の水準において、イソ吉草酸、及び、トリメチルアミンに対する有意なマスキング効果が確認された。第4香料組成物の含有率が0.20質量%以上の水準において、硫化水素、メチルメルカプタン、インドール、アンモニア、酪酸、及び、ノナン酸に対する有意なマスキング効果が確認された。第4香料組成物の含有率が0.30質量%以上の水準において、ノネナール、及び、3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸に対する有意なマスキング効果が確認された。
【0094】
したがって、マスキング香料含有製品における第4香料組成物の含有率を0.30質量%以上とすることで、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、及び、魚臭といった複数種類の臭気成分に由来する臭気を抑制できる。
【0095】
また、第4香料組成物を含む試料D1~D11の結果から、第4香料組成物の含有率が増加する程、香料組成物自体の香りの強さが与える不快感が強くなることが確認された。第4香料組成物の含有率が2.00質量%以下であれば、香料組成物自体の香りの強さによる不快感を抑制できる。特に、第4香料組成物の含有率が1.00質量%以下であれば、香料組成物自体の香りの強さによる不快感をより好適に抑制できる。また、第4香料組成物は、第1香料組成物~第3香料組成物と比較して含有率が高くなっても香料組成物自体の香りの強さが与える不快感が生じ難いことが確認された。
【0096】
例えば、第4香料組成物は、香料組成物自体の香りの強さによる不快感が1点の1.00質量%以下の範囲内で含有率を高めることで、便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、魚臭、及び、口臭に含まれる何れの臭気成分に対しても4点以上の高いマスキング効果を発揮する。なかでも、便臭に含まれる硫化水素、メチルメルカプタン、及び、インドール、汗臭や足裏臭に含まれるイソ吉草酸、加齢臭に含まれるノネナール、並びに、魚臭に含まれるトリメチルアミンにおいては、特に強いマスキング効果(5点)を発揮する。魚臭に含まれるトリメチルアミンにおいては、第4香料組成物の含有率が0.30質量%の水準においても特に強いマスキング効果(5点)を発揮する。したがって、第4香料組成物は、例えば、これらの悪臭に対して臭いの抑制効果が求められるマスキング香料含有製品において、好適に使用できる。
【0097】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)第1香料組成物~第4香料組成物の何れかにおけるマスキング香料の組み合わせであれば、マスキング効果によって便臭、尿臭、汗臭、加齢臭、足裏臭、腋臭臭、及び、魚臭といった複数種類の臭気を抑制することができる。
【0098】
(2)第1香料組成物~第4香料組成物の何れか1種を含むマスキング香料含有製品であれば、複数種類の臭気成分に対してマスキングによる臭い抑制効果を有する汎用的な製品とすることができる。このようなマスキング香料含有製品は、糞便、尿、体臭に由来する臭気に対して臭いの抑制効果を有することから、例えば、介護の現場などにおける衣料用洗浄剤、柔軟仕上げ剤、身体洗浄剤、室内用の消臭剤(芳香剤)等が好適である。また、糞便、尿、体臭に加えて、魚臭に対して抑制効果を有することから、例えば、ADLの低下に伴ってごみを居室内にため込んだ場合などに、居室内に籠った臭いを抑制するための用途にも適用できる。
【0099】
(3)第1香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第1香料組成物の含有率を0.30質量%以上とすることで、複数種類の臭気成分に由来する臭気を好適に抑制できる。また、第1香料組成物の含有率を2.00質量%以下、好ましくは0.50質量%以下とすることで、第1香料組成物自体の香りの強さによる不快感を抑制できる。
【0100】
(4)第2香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第2香料組成物の含有率を0.20質量%以上とすることで、複数種類の臭気成分に由来する臭気を好適に抑制できる。また、第2香料組成物の含有率を2.00質量%以下、好ましくは0.50質量%以下とすることで、第2香料組成物自体の香りの強さによる不快感を抑制できる。
【0101】
(5)第3香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第3香料組成物の含有率を0.30質量%以上とすることで、複数種類の臭気成分に由来する臭気を好適に抑制できる。また、第3香料組成物の含有率を2.00質量%以下、好ましくは0.50質量%以下とすることで、第3香料組成物自体の香りの強さによる不快感を抑制できる。
【0102】
(6)第4香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第4香料組成物の含有率を0.30質量%以上とすることで、複数種類の臭気成分に由来する臭気を好適に抑制できる。また、第4香料組成物の含有率を2.00質量%以下、好ましくは1.00質量%以下とすることで、第4香料組成物自体の香りの強さによる不快感を抑制できる。
【0103】
[実施形態の変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・マスキング香料含有製品の形態は、液状に限定されない。例えば、マスキング香料含有製品は、含浸、練り込みまたはマイクロカプセル化等の手段によって、布や不織布原体にマスキング香料組成物が添加された使い捨ておむつ、女性用生理用品などの衛生用品や、寝具、衣類、タオル、壁紙などの物品であってもよい。
【0104】
・第1香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第1香料組成物の含有率が0.30質量%未満であってもよい。例えば、第1香料組成物の含有率が0.10質量%であっても、イソ吉草酸に由来する臭気を抑制できる。第1香料組成物の含有率が0.20質量%であっても、イソ吉草酸に加えて、硫化水素、メチルメルカプタン、インドール、アンモニア、酪酸、ノナン酸、及び、トリメチルアミンに由来する臭気を抑制できる。また、例えば、第4香料組成物の含有率を0.30質量%未満としたうえで、所望のマスキング効果が得られるように、時間あたりまたは1回あたりのマスキング香料含有製品の使用量を相対的に増加させてもよい。
【0105】
・第2香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第2香料組成物の含有率が0.30質量%未満であってもよい。例えば、第2香料組成物の含有率を0.30質量%未満としたうえで、所望のマスキング効果が得られるように、時間あたりまたは1回あたりのマスキング香料含有製品の使用量を相対的に増加させてもよい。
【0106】
・第3香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第3香料組成物の含有率が0.30質量%未満であってもよい。例えば、第3香料組成物の含有率が0.20質量%であっても、アンモニア、酪酸、ノナン酸、及び、トリメチルアミンに由来する臭気を抑制できる。また、例えば、第3香料組成物の含有率を0.30質量%未満としたうえで、所望のマスキング効果が得られるように、時間あたりまたは1回あたりのマスキング香料含有製品の使用量を相対的に増加させてもよい。
【0107】
・第4香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第4香料組成物の含有率が0.30質量%未満であってもよい。例えば、第4香料組成物の含有率が0.10質量%であっても、イソ吉草酸、及び、トリメチルアミンに由来する臭気を抑制できる。第4香料組成物の含有率が0.20質量%であっても、上記の臭気成分に加えて、硫化水素、メチルメルカプタン、インドール、アンモニア、酪酸、及び、ノナン酸に由来する臭気を抑制できる。また、例えば、第4香料組成物の含有率を0.30質量%未満としたうえで、所望のマスキング効果が得られるように、時間あたりまたは1回あたりのマスキング香料含有製品の使用量を相対的に増加させてもよい。
【0108】
・第1香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第1香料組成物の含有率が2.00質量%超であってもよい。例えば、第1香料組成物の含有率を2.00質量%超としたうえで、マスキング香料組成物自体の香りの強さによる不快感の影響が小さくなるように、時間あたりまたは1回あたりのマスキング香料含有製品の使用量を相対的に少なくしてもよい。同様に、第2香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第2香料組成物の含有率が2.00質量%超であってもよい。第3香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第3香料組成物の含有率が2.00質量%超であってもよい。第4香料組成物を含むマスキング香料含有製品において、第4香料組成物の含有率が2.00質量%超であってもよい。
【0109】
・マスキング香料含有製品は、第1香料組成物~第4香料組成物のうち複数種類のマスキング香料組成物を含んでもよい。この場合、マスキング香料含有製品における各マスキング香料組成物の含有率は、所望のマスキング効果が達成できるとともに、香料組成物自体の香りの強さが与える不快感が強くなり過ぎない程度に適宜調整すればよい。