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  • 特開-化粧シートおよび化粧板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089119
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】化粧シートおよび化粧板
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240626BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20240626BHJP
   E04F 15/16 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B7/022
E04F15/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204294
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】小田 菜保子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】名波 隼輝
【テーマコード(参考)】
2E220
4F100
【Fターム(参考)】
2E220AA16
2E220AA33
2E220BB02
2E220BB16
2E220GB33X
2E220GB46X
2E220GB47X
4F100AB10
4F100AB10E
4F100AK07
4F100AK07A
4F100AR00B
4F100AT00E
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA13
4F100CA13A
4F100CC00
4F100CC00D
4F100EH17
4F100EH46
4F100EJ65
4F100EJ65C
4F100EJ93
4F100EJ94
4F100GB07
4F100HB00
4F100HB00A
4F100HB31
4F100HB31D
4F100JK07
4F100JK12
(57)【要約】
【課題】耐傷性および加工性に優れた化粧シートおよび該化粧シートを用いた化粧板を提供する。
【解決手段】化粧シート10は、着色原反層3と、前記着色原反層3の上側UPに設けられた表面保護層1と、を備え、巾方向Cのヤング率が600MPa以上2100MPa以下である。前記着色原反層3は、ポリプロピレン樹脂を含んでいてもよい。前記化粧シート10は、前記着色原反層3の下側LOに設けられたプライマー層4をさらに備えていてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色原反層と、
前記着色原反層の上側に設けられた表面保護層と、
を備え、
巾方向のヤング率が600MPa以上2100MPa以下である、
化粧シート。
【請求項2】
前記着色原反層は、ポリプロピレン樹脂を含む、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記着色原反層の下側に設けられたプライマー層をさらに備える、
請求項2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記着色原反層の上側に設けられた着色インキ層をさらに備える、
請求項3に記載の化粧シート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の化粧シートと、
前記化粧シートの下側に接着された基材と、
を備える、
化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シートおよび化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家具や住宅用建材の表面材として用いられる化粧シートは、長期間の使用が想定されるため、耐傷付き性が求められる。耐傷付き性を高くすることで、外観が劣化することを防止し、優れた意匠性を長期的に提供することができる。
【0003】
耐傷付き性に優れた化粧シートとして、特許文献1に記載の化粧シートがある。特許文献1に記載の化粧シートは、基材シート上に第1表面保護層と第2表面保護層とを有する。第1表面保護層および第2表面保護層は、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を含有している。また、第1表面保護層の厚さと第2表面保護層の厚さとの合計が20μm以上である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-91673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
化粧シートを基材に貼り付けた化粧板は、Vカット加工を施して、化粧板を直角等の任意の角度に折り曲げて製品形状を形成する場合がある。ここで、Vカット加工とは、化粧板の基材側から基材にV字の切り込みを入れて、切り込みを入れた面同士が当接するように化粧板を折り曲げる加工を示す。化粧板にVカット加工を施すことで、化粧板を任意の角度に折り曲げることができる。特許文献1に記載の化粧シートは、高い表面硬度を有するため、Vカット加工を施した際に表面に割れ目(クラック)が発生する虞がある。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、耐傷性および加工性に優れた化粧シートおよび該化粧シートを用いた化粧板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の化粧シートは、着色原反層と、前記着色原反層の上側に設けられた表面保護層と、を備え、巾方向のヤング率が600MPa以上2100MPa以下である。
【0008】
上記化粧シートでは、前記着色原反層は、ポリプロピレン樹脂を含んでいてもよい。
【0009】
上記化粧シートでは、前記着色原反層の下側に設けられたプライマー層をさらに備えていてもよい。
【0010】
上記化粧シートでは、前記着色原反層の上側に設けられた着色インキ層をさらに備えていてもよい。
【0011】
本発明の化粧板は、上記のいずれかに記載の化粧シートと、前記化粧シートの下側に接着された基材と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化粧シートおよび化粧板によれば、耐傷性および加工性に優れた化粧シートおよび該化粧シートを用いた化粧板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る化粧シートを模式的に示す断面図である。
図2】同化粧シートを用いた化粧板を模式的に示す断面図である。
図3】本実施形態に係るVカット加工の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る化粧シート10を模式的に示す断面図である。
本実施形態では、図1に示すように、化粧シート10の厚さ方向を「上下方向V」、化粧シート10の表面保護層1が積層された側を上下方向Vにおける「上側UP」、上側UPと反対側を上下方向Vにおける「下側LO」と定義する。また、化粧シート10の板面方向を「巾方向C」と定義する。
【0016】
化粧シート10は、表面保護層1と、着色インキ層2と、着色原反層3と、プライマー層4と、を備える。
【0017】
着色原反層3は、後述するプライマー層4の上側UPに設けられた層である。着色原反層3は、印刷を施すことができる公知の材質からなるシート状の層である。着色原反層3として、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を採用できる。また、着色原反層3は、添加剤、充填剤および着色剤を含んでいてもよい。
【0018】
例えば、添加剤として紫外線吸収剤等の耐候剤を含むことで、紫外線による分解や変色等の劣化を抑制できる。また、充填剤を含むことで機械特性を調整し、温度変化や吸湿による寸法の変化等を抑制できる。また、無機顔料等の着色剤を含むことで色を調整でき、着色原反層3の色が他の層を透過するのを抑制できる。
【0019】
また、着色原反層3として、薄葉紙又はチタン紙等の繊維質シートを採用してもよいが、着色原反層3として、ポリオレフィン系樹脂を採用するのが望ましい。着色原反層3としてポリオレフィン系樹脂を採用することで、着色原反層3を形成する際にアニール温度を調整する工程を設けて、化粧シート10におけるヤング率等の機械特性を制御することができる。アニール温度を調整する工程については後述する。また、着色原反層3としてポリオレフィン系樹脂を採用することで、化粧シート10に十分な剛性を持たせることができる。
【0020】
着色原反層3を形成する方法として、溶融押出成形法等の公知のフィルム成形方法を採用できる。また、着色原反層3は公知のコーティング装置を用いて形成されてもよい。
【0021】
着色インキ層2は、着色原反層3の上側UPに設けられた層である。着色インキ層2は、例えば、木目、石目又は砂目等の絵柄の印刷を施すことで形成された層である。着色インキ層2を印刷する方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。また、着色インキ層2には、採用する印刷方法に適した公知の印刷インキを採用できる。
【0022】
表面保護層1は、着色インキ層2の上側UPに設けられた層である。表面保護層1には、着色インキ層2の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。表面保護層1として、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂又はそれらの混合物等を採用できる。表面保護層1を形成する方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。また、表面保護層1は、公知のコーティング装置を用いて形成されてもよい。
【0023】
プライマー層4は、着色原反層3の下側LOに設けられた層である。プライマー層4は、着色原反層3と、後述する基材5とを接着する際に、密着性を向上させる目的で設けられる。プライマー層4として、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂又はアクリル系樹脂等を採用できる。プライマー層4には、特に、2液硬化型ウレタン系樹脂を採用するのが望ましい。プライマー層4を形成する方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。また、プライマー層4は、公知のコーティング装置を用いて形成されてもよい。
【0024】
図2は、本実施形態に係る化粧シート10を用いた化粧板100を模式的に示す断面図である。
【0025】
化粧板100は、化粧シート10と、基材5とを備える。化粧板100は、化粧シート10の下側LOに基材5を接着して形成されている。
【0026】
基材5は、化粧板100の下側LOに接着されている。基材5としては、パーチクルボード又は中密度繊維板(MDF)等を採用できる。また、基材5として、アルミニウム又はステンレス等の金属系の板状の部材、ポリエチレン等の樹脂からなる芯材の両側にアルミニウム等の金属を貼り付けた複合板を採用してもよい。Vカット加工性の観点から、基材5には、中密度繊維板(MDF)を採用するのが望ましい。
【0027】
基材5は、接着剤を介して化粧シート10に接着されてもよい。化粧シート10と基材5とを接着する接着剤としては、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を採用できる。
【0028】
次に、化粧シート10および化粧板100の製造方法の一例を説明する。
【0029】
まず、溶融押出成形法にて着色原反層3を形成する。形成した着色原反層3を加熱し、アニール温度を調整する。アニール温度を調整することで、着色原反層3の結晶化度を制御し、任意の巾方向Cのヤング率を有する化粧シート10を得ることができる。
【0030】
アニール温度を低くし、着色原反層3の結晶化度を抑制することで、化粧シート10の巾方向Cのヤング率が低くなる。化粧シート10のヤング率が低いと、柔軟なため加工性は優れるが、耐傷性が劣る。アニール温度を高くし、着色原反層3の結晶化度を進行させることで、化粧シート10の巾方向Cのヤング率が高くなる。化粧シート10のヤング率が高いと、剛性(コシ)が高く変形しにくいため耐傷性は優れるが、Vカット加工を施した際に化粧シート10の表面に割れ目が発生しやすい。
【0031】
また、ここで、化粧シート10の巾方向Cのヤング率が600MPa以上2100MPa以下となるように、着色原反層3を形成する工程のアニール温度を調整する。巾方向Cにおけるヤング率が600MPa未満であると、化粧シートの耐傷性が劣る。巾方向Cにおけるヤング率が2100MPaより大きいと、Vカット加工を施した際に化粧シート表面に割れ目が発生しやすい。
【0032】
化粧シート10の巾方向Cのヤング率を600MPa以上2100MPa以下とすることで、化粧シート10は、耐傷性に優れ、また、Vカット加工を施しても表面に割れ目が発生しない。そのため、加工性および耐傷性に優れた化粧シート10および化粧板100を得ることができる。
【0033】
次に、着色原反層3の下側LOにプライマー層4を形成する。また、着色原反層3の上側UPに着色インキ層2を形成し、着色インキ層2の上側UPに表面保護層1を形成して、化粧シート10を形成する。
【0034】
こうして得た化粧シート10の下側LOに基材5を接着し、化粧板100を形成する。
【0035】
次に、化粧板100にVカット加工を施し、任意の角度に折り曲げる。
図3は、本実施形態に係るVカット加工の一例を模式的に示す断面図である。図3(a)は、Vカット加工のV字の切り込みを入れた化粧板100を模式的に示す断面図である。図3(b)は、Vカット加工を施して90°に折り曲げた化粧板100を模式的に示す断面図である。
【0036】
化粧板100にVカット加工を施す際、まず、化粧板100の基材5側からV字の切り込みを入れる。図3に示すように、基材5にV字の切り込みを入れることで、化粧板100に第一切断面5saおよび第二切断面5sbが形成される。V字の切り込みは、化粧シート10まで基材5を貫通してもよいが、基材5を貫通しないのが望ましい。
【0037】
次に、第一切断面5saと第二切断面5sbとが当接するように化粧板100を90°に折り曲げることで、化粧板100にVカット加工が施される。Vカット加工時に折り曲げる化粧板100の角度は、90°に限定されない。Vカット加工時の化粧板100の折り曲げ角度は、90°より小さくてもよいし、90°以上でもよい。第一切断面5saと第二切断面5sbとがなす角を変えることで、化粧板100の折り曲げ角度を変えることができる。
【0038】
Vカット加工を施して化粧板100を折り曲げることで、化粧シート10の基材5と反対側の面が伸ばされる。化粧シート10の巾方向Cのヤング率を2100MPa以下とすることで、Vカット加工によって伸ばされた化粧シート10の表面(基材5と反対側の面)に割れ目が発生しない。
【0039】
ここで、化粧シート10において、少なくともVカット加工を施す際に折り曲げる方向におけるヤング率が600MPa以上2100MPa以下であればよい。
【0040】
溶融押出成形法にて着色原反層3を形成する際、着色原反層3を形成する樹脂において、溶融した樹脂を押出して、ロールで送りながら冷却して着色原反層3を形成する。ここで、巾方向Cにおいて、樹脂をロールで送る方向を「流れ方向」、流れ方向と垂直な方向を「垂直方向」と称する。
【0041】
例えば、化粧シート10において、Vカット加工を施す際に折り曲げられて伸ばされる
方向が上述の垂直方向である場合、化粧シート10は、少なくとも垂直方向におけるヤング率が600MPa以上2100MPa以下であればよい。
【0042】
化粧シート10において、Vカット加工を施す際に折り曲げられて伸ばされる方向のヤング率が600MPa以上2100MPa以下であれば、Vカット加工を施された化粧シート10の表面に割れ目が発生しない。
【0043】
本実施形態の化粧シート10および化粧板100によれば、化粧シート10の巾方向Cのヤング率が600MPa以上2100MPa以下であるため、耐傷性に優れ、施工時等に傷が目立ちにくい。また、加工性に優れ、化粧板100にVカット加工を施しても化粧シート10の表面に割れ目(クラック)が発生しない。
【0044】
その結果、耐傷性および加工性に優れた化粧シート10および化粧シート10を用いた化粧板100を提供することができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0046】
(変形例1)
上記実施形態において、化粧シート10は、着色インキ層2を備えるが、化粧シートの態様はこれに限定されない。化粧シートは、着色インキ層2を備えなくてもよい。
【0047】
(変形例2)
上記実施形態において、化粧シート10は、プライマー層4を備えるが、化粧シートの態様はこれに限定されない。化粧シートは、プライマー層4を備えなくてもよい。プライマー層4は、化粧シート10と基材5との密着性を向上させるための層であるため、プライマー層4を備えなくても化粧シートと基材5とが十分な密着性を有する場合、化粧シートはプライマー層4を備えなくてもよい。
【0048】
以下実施例により、本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
(実施例1)
白顔料および耐候剤を配合したポリプロピレン樹脂を用いて、厚さ120μmの着色原反層3を形成した。着色原反層3の下側LOに2液硬化型ウレタン系樹脂をグラビア印刷により固形分量が1g/mとなるように塗工し、プライマー層4を形成した。着色原反層3の上側UPに表面保護層1として、厚さが4μm以上6μm以下となるようにアクリル系2液硬化型樹脂(DICグラフィックス社製のアクリルウレタン樹脂)を塗布して、化粧シート10を形成した。
【0050】
また、着色原反層3を形成する際にアニール温度を調整する工程を設け、化粧シート10の巾方向Cのヤング率が1610MPaとなるようにアニール温度を調整した。このとき、着色原反層3を形成する際の樹脂の流れ方向に垂直な垂直方向におけるヤング率が1610MPaとなるようにアニール温度を調整した。
【0051】
こうして得た化粧シート10の下側LOに中密度繊維板(MDF)を接着し、実施例1の化粧板100を形成した。
【0052】
(比較例1)
着色原反層を形成する際のアニール温度を調整する工程において、化粧シートの巾方向のヤング率が550MPaとなるようにアニール温度を調整した以外は実施例1と同様の方法により、比較例1の化粧板を形成した。このとき、上述の垂直方向におけるヤング率が550MPaとなるようにアニール温度を調整した。
【0053】
(比較例2)
着色原反層を形成する際のアニール温度を調整する工程において、化粧シートの巾方向のヤング率が2150MPaとなるようにアニール温度を調整した以外は実施例1と同様の方法により、比較例2の化粧板を形成した。このとき、上述の垂直方向におけるヤング率が2150MPaとなるようにアニール温度を調整した。
【0054】
(実験1)
実施例1および比較例1-2の化粧板に加工性試験を実施した。加工性試験では、25℃および5℃の環境下において、化粧板にVカット加工を施して90°に折り曲げ、化粧シートの割れ目の発生の有無を確認した。このとき、化粧シートが折り曲げられて伸ばされる方向が上述の垂直方向となるようにVカット加工を施した。
評価基準は3段階とし、〇以外を不合格とした。
〇(Good):割れ目が無い。
△(Fair):一部に割れ目がある。
×(Poor):大部分に割れ目がある。
【0055】
(実験2)
実施例1および比較例1-2の化粧板に鉛筆硬度試験を実施した。鉛筆硬度試験では、JIS K 5600で規定された方法により化粧板の表面硬度を評価した。
評価基準は2段階とし、〇を合格とした。
〇(Good):B以上。
×(Poor):2B以下。
【0056】
(実験3)
実施例1および比較例1-2の化粧板にホフマンスクラッチ試験を実施した。ホフマンスクラッチ試験では、化粧板の上側の面に円柱型の刃を45°の角度で当て、刃に100g刻みで荷重をかけながら一定速度で化粧板の上側の面を移動させた。このとき、化粧板の上側の面に傷が付いたときの荷重を記録した。
評価基準は2段階とし、〇を合格とした。
〇(Good):700g以上。
×(Poor):600g以下。
【0057】
(実験結果)
実験1-3の結果を表1に示す。
実施例1および比較1-2の中で化粧シートのヤング率が最も高い値である比較例2は、実験1で不合格であった。実施例1および比較1-2の中で化粧シートのヤング率が最も低い値である比較例1は、実験2および実験3で不合格であった。実施例1は、実験1-3のすべてにおいて良好な結果であった。
【0058】
【表1】
【符号の説明】
【0059】
100 化粧板
10 化粧シート
1 表面保護層
2 着色インキ層
3 着色原反層
4 プライマー層
5 基材
V 上下方向
UP 上側
LO 下側
C 巾方向
図1
図2
図3