IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー トラック エージーの特許一覧

<>
  • 特開-車両用ヘッドランプ自動点灯装置 図1
  • 特開-車両用ヘッドランプ自動点灯装置 図2
  • 特開-車両用ヘッドランプ自動点灯装置 図3
  • 特開-車両用ヘッドランプ自動点灯装置 図4
  • 特開-車両用ヘッドランプ自動点灯装置 図5
  • 特開-車両用ヘッドランプ自動点灯装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089126
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】車両用ヘッドランプ自動点灯装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/02 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
B60Q1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204303
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 和宏
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA32
3K339BA01
3K339BA22
3K339BA26
3K339BA30
3K339CA01
3K339CA22
3K339CA24
3K339GB01
3K339HA27
3K339KA02
3K339LA06
3K339MA05
3K339MC17
3K339MC39
3K339MC40
3K339MC65
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】通常のオートライト機能を維持しつつ、ドライバのニーズに即したオートライト制御を行えるようにする。
【解決手段】車両用ヘッドランプ自動点灯装置であって、車両の周囲照度を検出する照度検出手段4と、ヘッドランプ1を手動で消灯するランプオフ位置を備えたランプスイッチ3と、車両走行中に、周囲照度が点灯用閾値以下になったらランプスイッチがランプオフ位置にあってもヘッドランプを自動点灯させ、自動点灯中に周囲照度が点灯用閾値よりも高い消灯用閾値以上になったらヘッドランプを自動消灯させる強制点灯手段62と、現在時刻が第一時間帯にあると、点灯用閾値として第一点灯用閾値を設定し、消灯用閾値として第一消灯用閾値を設定し、現在時刻が第二時間帯にあると、点灯用閾値として第一点灯用閾値よりも高い第二点灯用閾値を設定し、消灯用閾値として第一消灯用閾値よりも高い第二消灯用閾値を設定する閾値設定手段64と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のヘッドランプの少なくとも点灯と消灯との切り換えを自動的に行う車両用ヘッドランプ自動点灯装置であって、
前記車両の周囲照度を検出する照度検出手段と、
前記ヘッドランプを手動で消灯するランプオフ位置を備えたランプスイッチと、
前記車両の走行中に、前記照度検出手段により検出された前記周囲照度が点灯用閾値以下となったときに、前記ランプスイッチが前記ランプオフ位置の状態にあっても、前記ヘッドランプを自動点灯させ、前記自動点灯中に前記周囲照度が前記点灯用閾値よりも高い消灯用閾値以上になったときに、前記ヘッドランプを自動消灯させる強制点灯手段と、
現在時刻を判断する時刻判断手段と、
前記時刻判断手段が予め設定した第一時間帯にあると判断すると、前記点灯用閾値として第一点灯用閾値を設定すると共に、前記消灯用閾値として第一消灯用閾値を設定し、前記時刻判断手段が予め設定した第二時間帯にあると判断すると、前記点灯用閾値として前記第一点灯用閾値よりも高い第二点灯用閾値を設定すると共に、前記消灯用閾値として前記第一消灯用閾値よりも高い第二消灯用閾値を設定する閾値設定手段と、を備えた
ことを特徴とする車両用ヘッドランプ自動点灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプスイッチがオフ状態であっても、車外の照度状況に応じて車両のヘッドランプを自動的に点灯/消灯する、車両用ヘッドランプ自動点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジン始動が検知されると、ランプスイッチのオフ状態であっても、車外の照度状況に応じて車両のヘッドランプを自動的に点灯/消灯する、いわゆるオートライト機能を備えた車両が商品化されている。これに関するものとして、例えば特許文献1に開示された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-145115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のオートライト機能は、ランプスイッチがオフであっても車外の照度条件が成り立てばヘッドランプは自動点灯するものである。しかし、車外の照度条件が同じであっても、ドライバによっては、明け方は早めに消灯し、夕方は早めに点灯させたい、というニーズもある。これは、明け方に明るくなる時には比較的低い照度でも明るく感じ、夕方に暗くなる時には比較的高い照度でも暗く感じるためと考えられる。
【0005】
本発明は、このような課題に着目して創案されたもので、通常のオートライト機能を維持しつつ、ドライバのニーズに即したオートライト制御を行えるようにした車両用ヘッドランプ自動点灯装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件は上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現できる。
本適用例に係る車両用ヘッドランプ自動点灯装置は、車両のヘッドランプの少なくとも点灯と消灯との切り換えを自動的に行う車両用ヘッドランプ自動点灯装置であって、前記車両の周囲照度を検出する照度検出手段と、前記ヘッドランプを手動で消灯するランプオフ位置を備えたランプスイッチと、前記車両の走行中に、前記照度検出手段により検出された前記周囲照度が点灯用閾値以下となったときに、前記ランプスイッチが前記ランプオフ位置の状態にあっても、前記ヘッドランプを自動点灯させ、前記自動点灯中に前記周囲照度が前記点灯用閾値よりも高い消灯用閾値以上になったときに、前記ヘッドランプを自動消灯させる強制点灯手段と、現在時刻を判断する時刻判断手段と、前記時刻判断手段が予め設定した第一時間帯にあると判断すると、前記点灯用閾値として第一点灯用閾値を設定すると共に、前記消灯用閾値として第一消灯用閾値を設定し、前記時刻判断手段が予め設定した第二時間帯にあると判断すると、前記点灯用閾値として前記第一点灯用閾値よりも高い第二点灯用閾値を設定すると共に、前記消灯用閾値として前記第一消灯用閾値よりも高い第二消灯用閾値を設定する閾値設定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
本適用例によれば、第一時間帯には、点灯用閾値として第一点灯用閾値を設定し、消灯用閾値として第一消灯用閾値を設定する一方で、第二時間帯には、点灯用閾値として第一点灯用閾値よりも高い第二点灯用閾値を設定し、消灯用閾値として第一消灯用閾値よりも高い第二点灯用閾値を設定する。したがって、例えば、明け方を含む時間帯を第一時間帯とし、夕方を含む時間帯を第二時間帯とすれば、第一時間帯(明け方)には、周囲照度が比較的低い段階で早めにヘッドランプが自動消灯し、第二時間帯(夕方)には、周囲照度が比較的高い段階で早めにヘッドランプが自動点灯する。
これにより、通常のオートライト機能を維持しつつ、明け方は早めに消灯し、夕方は早めに点灯させたい、というドライバのニーズに応えることができるようになる。
【発明の効果】
【0008】
本件によれば、通常のオートライト機能を維持しつつ、ドライバのニーズに即したオートライト制御を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る車両用ヘッドランプ自動点灯装置の構成を示すブロック図である。
図2図1に示す車両用ヘッドランプ自動点灯装置のランプスイッチの一例を示す正面図である。
図3図1に示す車両用ヘッドランプ自動点灯装置によるランプスイッチの設定に応じて実施される車両走行中のヘッドランプの点灯状態を示す図である。
図4図1に示す車両用ヘッドランプ自動点灯装置によるランプスイッチの設定に応じて実施される車両停車中のヘッドランプの点灯状態を示す図である。
図5図1に示す車両用ヘッドランプ自動点灯装置によるヘッドランプの点灯制御を説明するフローチャートである。
図6図1に示す車両用ヘッドランプ自動点灯装置の照度センサで検知する車両の周囲照度の1日の変化の一例と共に点灯制御の一例を示す図であり、(a)は午前の状況を示し、(b)は午後の状況を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本件の実施形態について説明する。以下の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。下記の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせられる。
【0011】
[1.構成]
本実施形態に係る車両用ヘッドランプ自動点灯装置は、図1に示すように、車両に装備される左右一対のヘッドランプ1及びスモールランプ2と、ヘッドランプ1等を手動で操作するランプスイッチ3と、車両の周囲照度を検出する照度センサ(照度検出手段)4と、現在時刻を計時する時計5と、ヘッドランプ1等の点灯を制御する制御装置6とを備えている。
【0012】
ランプスイッチ3は、ステアリングコラムの側方に突設され、図2に示すように、操作つまみ30を矢印Aに示すように回転させる回転スイッチである。図2中下から、ON位置(ヘッドランプオンのマークで示す)31と、スモールランプON位置(スモールON位置、スモールランプオンのマークで示す)32と、OFF位置(ランプオフ位置)33と、AUTO位置34との各設定ポジションを備えている。このランプスイッチ3は、設定した位置に応じた信号を制御装置6に出力する。
【0013】
また、ランプスイッチ3は、ON位置31又はAUTO位置34にセットされるなどによりヘッドランプ1が点灯している状態で、前方へ押し込むとヘッドランプ1をハイビーム(走行用前照灯)の状態とする信号を出力し、この状態から手前に戻すとヘッドランプ1をロービーム(すれ違い前照灯)の状態とする信号を出力する。
【0014】
照度センサ4は、車両周囲の照度を検出するもので、例えばフォトトランジスタやフォトダイオードが用いられる。照度センサ4は、例えばインストルメントパネルの上部や後部ダッシュボードの上など、ウインドシールドガラスを通して外部光を受光することができる車内の所定位置に設けられる。照度センサ4は検出した照度を示す信号(照度信号)を制御装置6に出力する。
【0015】
時計5は、現在時刻を計時するもので、常時、計時しながら現在時刻を発信し、適宜、標準電波を受信して時刻をキャリブレーションする機能を有する。時計5は計時した時刻を制御装置6に出力する。
【0016】
制御装置6は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU),メモリ,及び入出力インタフェース等を備えた電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)として構成される。
制御装置6は、ランプスイッチ3から出力されたスイッチ位置信号を受けると、これに応じてヘッドランプ1及びスモールランプ2を点灯又は消灯操作する点灯消灯指示部61を有している。
【0017】
点灯消灯指示部61は、ランプスイッチ3がON位置31にセットされていれば、ヘッドランプ1を点灯させる。この時、ランプスイッチ3からロービーム信号が出力されていれば、ヘッドランプ1をロービームの状態とする。また、ランプスイッチ3からハイビーム信号が出力されていれば、ヘッドランプ1をハイビームの状態とする。
【0018】
点灯消灯指示部61は、ランプスイッチ3がスモールランプON位置32にセットされていれば、スモールランプ2を点灯させる。
また、点灯消灯指示部61は、ランプスイッチ3がOFF位置33にセットされていれば、ヘッドランプ1もスモールランプ2も消灯(不点灯)する。
【0019】
さらに、点灯消灯指示部61は、ランプスイッチ3がAUTO位置33にセットされていれば、照度センサ4から出力される照度信号に基づいて、ヘッドランプ1の点灯及び消灯を制御する。つまり、照度信号として取り込まれる車両周囲の照度Eが、予め設定された第1基準照度以下になればヘッドランプ1を点灯させ、ヘッドランプ1の点灯後、第一基準照度よりもやや高い第二基準照度以上になればヘッドランプ1を消灯させる。この場合の自動点灯の判定基準値(第1基準照度及び第二基準照度)のレベルは、設定変更可能になっている。
【0020】
このように点灯させる第1基準照度に対して、消灯させる第二基準照度を高くしているのは、制御ヒステリシスを設けて制御を安定させるためである。
また、このAUTO位置34にセットされた場合の制御を安定させるために、車両周囲の照度Eをそのまま使うのではなく、検出された照度Eの移動平均(直近の所定時間内の平均値)Eav1を用いるようにしてもよい。
【0021】
ところで、点灯消灯指示部61は、上記のようなランプスイッチ3の操作位置がOFF位置(ランプオフ位置)33にあっても、所定の条件下でヘッドランプ1を強制点灯させる強制点灯部(強制点灯手段)62が設けられている。
【0022】
強制点灯部62は、車両の走行中において、照度センサ4により検出された照度(周囲照度)Eが点灯用閾値Eon以下となったときに(主として夜間)、ランプスイッチ3がランプオフ位置33の状態にあっても、ヘッドランプ1を自動点灯させ、この自動点灯中に照度Eが点灯用閾値Eonよりも高い消灯用閾値Eoff以上になったときに(主として昼間)、ヘッドランプ1を自動消灯させる。
【0023】
このように点灯用閾値Eonに比べ消灯用閾値Eoffを高く設定しているのは、制御ヒステリシスを設けて制御を安定させるためである。この場合も、制御を安定させるために、車両周囲の照度Eをそのまま使うのではなく、検出された照度Eの移動平均Eav2を用いるようにしてもよい。なお、点灯用閾値Eon及び消灯用閾値Eoffは、上記の第1基準照度及び第二基準照度と同種のものであるが、第1基準照度及び第二基準照度とは別設定されている。
【0024】
ここで、図3図4を参照して、強制点灯部62によるオートライト機能について説明する。図3図4において、夜間とは、照度Eが点灯用閾値Eon以下となってからその後に照度Eが消灯用閾値Eoff以上になるまでの間に相当し、昼間とは、照度Eが消灯用閾値Eoff以上になってからその後に照度Eが点灯用閾値Eon以下になるまでの間に相当する。
【0025】
図3は車両の走行中のオートライト機能を示すもので、図示するように、車両の走行中には、ランプスイッチ3がOFF位置33やスモールON位置32にある場合であっても(つまり、ランプスイッチ3が何れにセットされていても)、照度Eが点灯用閾値Eon以下となってからその後に照度Eが消灯用閾値Eoff以上になるまで(主として夜間)は、ヘッドランプ1を自動点灯させる。この場合のヘッドランプ1の点灯モードはロービームを想定するがハイビームへの切り替えも可能である。
【0026】
一方、照度Eが消灯用閾値Eoff以上になってからその後に照度Eが点灯用閾値Eon以下になるまで(主として昼間)は、強制点灯部62による車両の走行中のオートライト機能は実質的には作動せず(ヘッドランプ1は点灯しない)、ランプスイッチ3がON位置31にある場合のみヘッドランプ1が点灯する。
【0027】
図4は車両の停車中(駐車ブレーキ作動時)のオートライト機能を示すもので、図示するように、車両の停車中には、強制点灯部62によるオートライト機能は作動しない。したがって、ランプスイッチ3がOFF位置33やスモールON位置32にある場合は、夜間でも昼間でもヘッドランプ1は点灯しない。また、ランプスイッチ3がON位置33にある場合は、夜間でも昼間でもヘッドランプ1は点灯する。ランプスイッチ3がAUTO位置34にある場合は、照度Eに応じて夜間にはヘッドランプ1は点灯し、昼間にはヘッドランプ1は消灯(不点灯)する。
【0028】
本装置の特徴的な点は、強制点灯部62で点灯及び消灯の判断に用いられる点灯用閾値Eon及び消灯用閾値Eoffが時間帯によって変更される点にある。
つまり、制御装置6の点灯消灯指示部61には、図1に示すように、時計5の出力情報から現在時刻を判断する時刻判断部(時刻判断手段)63と、時刻判断部63の判断に基づいて点灯用閾値Eon及び消灯用閾値Eoffを設定する閾値設定部(閾値設定手段)64とが、さらに備えられている。
【0029】
時刻判断部63は、現在の時刻が第一時間帯にあるか第二時間帯にあるかを判断する。つまり、予め一日の24時間を、明け方を含む第一時間帯と夕方を含む第二時間帯との2つの時間帯に区分設定しており、時刻判断部63は、時計5の出力情報から現在時刻が第一時間帯にあるか第二時間帯にあるかを判断する。本実施形態では、午前2時から午後3時までを第一時間帯とし、午後3時から午前2時までを第二時間帯としている。
【0030】
閾値設定部64は、時刻判断部63で現在の時刻が予め設定した第一時間帯にあると判断すると、点灯用閾値Eonとして第一点灯用閾値Eon1を設定すると共に、消灯用閾値Eoffとして第一消灯用閾値Eoff1を設定する。また、閾値設定部64は、時刻判断部63で現在の時刻が予め設定した第二時間帯にあると判断すると、点灯用閾値Eonとして第一点灯用閾値Eon1よりも高い第二点灯用閾値Eon2を設定すると共に、消灯用閾値Eoffとして第一消灯用閾値Eoff1よりも高い第二消灯用閾値Eoff2を設定する。
【0031】
夕方を含む第二時間帯の第二点灯用閾値Eon2及び第二消灯用閾値Eoff2は、明け方を含む第一時間帯の第一点灯用閾値Eon1及び第一消灯用閾値Eoff1よりも高い値に設定されているので、夕方に照度Eが低下していくときには、明け方よりも照度Eが高い段階で(つまり早い段階で)ヘッドランプ1が点灯し、逆に、明け方に照度Eが上昇していくときには、夕方よりも照度Eが低い段階で(つまり早い段階で)ヘッドランプ1が消灯する。
【0032】
これは、ドライバのニーズに対応したものである。日中の明るさに目が慣れたドライバにとっては、夕方照度が低下していくと照度Eがあまり下がらない(照度Eが高い)段階で見えにくくなるため、この段階でヘッドランプ1を点灯することが好ましい。一方、夜間の暗さに目が慣れたドライバにとっては、明け方照度が上昇していくと照度Eがあまり上がらない(照度Eが低い)段階で見えやすくなるため、この段階でヘッドランプ1を消灯することが好ましい。
【0033】
[2.作用及び効果]
本実施形態に係る車両用ヘッドランプ自動点灯装置は、上記のように構成されているので、例えば図5のフローチャートに示すようにヘッドランプ1の点灯制御が行われる。なお、図5のフローは、車両のキースイッチ(図示略)がオンにセットされると開始され、予め設定された周期で繰り返し実行され、キースイッチがオフにされると終了する。また、フロー中のフラグFは、消灯中(不点灯中)に0となり、点灯中に1となる。
【0034】
まず、制御装置6の点灯消灯指示部61の強制点灯部62は、時計5から現在時刻を取得し、照度センサ4から現在の車両周囲の照度Eを取得する(ステップS10)。次に、現在時刻が第一時間帯内であるか否かを判断する(ステップS20)。現在時刻が第一時間帯内であれば、ステップS30に進んで、点灯用閾値Eonとして第一点灯用閾値Eon1を設定すると共に、消灯用閾値Eoffとして第一消灯用閾値Eoff1を設定する。一方、現在時刻が第一時間帯内でなければ、現在時刻は第二時間帯内であり、ステップS20からステップS40に進んで、点灯用閾値Eonとして第二点灯用閾値Eon2を設定すると共に、消灯用閾値Eoffとして第二消灯用閾値Eoff2を設定する。
【0035】
次に、フラグFが0であるか否かを判定する(ステップS50)。フラグFが0であれば、ステップS60に進んで、現在の照度Eが点灯用閾値Eon(第一点灯用閾値Eon1又は第二点灯用閾値Eon2)以下であるか否かを判断する。現在の照度Eが点灯用閾値Eon以下であれば、ヘッドランプ1を点灯し(ステップS70)、フラグFを1に変更して(ステップS80)、リターンする。一方、現在の照度Eが点灯用閾値Eon以下でなければ、そのままリターンする。
【0036】
一方、ステップS50で、フラグFが0でないと判断すると、フラグFは1であり、ステップS90に進んで、現在の照度Eが消灯用閾値Eoff(第一消灯用閾値Eoff1又は第二消灯用閾値Eoff2)以上であるか否かを判断する。現在の照度Eが消灯用閾値Eoff以上であれば、ヘッドランプ1を消灯し(ステップS100)、フラグFを0に変更して(ステップS110)、リターンする。一方、現在の照度Eが消灯用閾値Eoff以上でなければ、そのままリターンする。
【0037】
このようにして、時間帯に応じて点灯用閾値Eon及び消灯用閾値Eoffを切り替えており、夕方を含む第二時間帯の第二点灯用閾値Eon2及び第二消灯用閾値Eoff2は、明け方を含む第一時間帯の第一点灯用閾値Eon1及び第一消灯用閾値Eoff1よりも高い値に設定されるので、ヘッドランプ1の点灯制御がドライバのニーズに対応したものとなる。
【0038】
つまり、ドライバにとって、夕方照度が低下していく際には照度Eがあまり下がらない(照度Eが高い)段階で見えにくくなるが、この時には、照度Eが比較的高い段階で、ヘッドランプ1が点灯されるのでドライバのニーズに対応する。
一方、ドライバにとって、明け方照度が上昇していくと照度Eがあまり上がらない(照度Eが低い)段階で見えやすくなるため、ヘッドランプ1の点灯が不要になるが、この時には、照度Eが比較的低い段階で、ヘッドランプ1が消灯されるのでドライバのニーズに対応する。
【0039】
ここで、図6のタイムチャートを参照して、強制点灯部62による制御を説明する。図6のタイムチャートは、一日の照度変化の一例に、第一点灯用閾値Eon1及び第一消灯用閾値Eoff1、並びに、第二点灯用閾値Eon2及び第二消灯用閾値Eoff2を具体的な値として例示している。なお、図6(a)は午前の状況を示し、図6(b)は午後の状況を示す。
【0040】
点灯用閾値Eon及び消灯用閾値Eoffは、1000~7000lx(lx:ルクス)の規定範囲内に収めており、図6に示すように、この例では、第一点灯用閾値Eon1を1500lxに、第一消灯用閾値Eoff1を2000lxにそれぞれ設定し、第二点灯用閾値Eon2を3000lxに、第二消灯用閾値Eoff2を3500lxにそれぞれ設定している。
【0041】
図6(a)に示すように、午前0時から午前4時過ぎくらいまでは、照度Eは極めて低い状態にある。この間の午前2時に、時間帯が第二時間帯から第一時間帯に切り替わる。午前5時前後くらいから夜明けに伴って照度Eは上昇していく。第一点灯用閾値Eon1を1500lxに設定すると、時刻t1(午前5時半くらい)に、照度Eが第一消灯用閾値Eoff1の2000lxまで上昇するため、ヘッドランプ1は点灯から消灯に切り替えられる。比較的早めに消灯に切り替えられるため、ドライバのニーズに対応する。
【0042】
一方、図6(b)に示すように、午後の12時から16時くらいまでは照度Eは極めて高い状態にある。この間の15時(午後3時)に、時間帯が第一時間帯から第二時間帯に切り替わる。17時くらいから照度Eが低下していき、18時半くらいに日没となる。第二点灯用閾値Eon2を3000lxに設定すると、日没前の時刻t2(18時前くらい)に、照度Eが第二点灯用閾値Eon2の3000lxまで低下するため、ヘッドランプ1は消灯から点灯に切り替えられる。比較的早めに点灯に切り替えられるため、ドライバのニーズに対応する。
【0043】
また、照度Eが比較的低くならなければヘッドランプ1は点灯しない第一時間帯を15時(午後3時)まで設けているので、日中の日陰などではヘッドランプ1は自動点灯しにくい。日中、日陰に入るごとにヘッドランプ1が自動点灯すると煩わしく感じるドライバに対して、そのニーズに応じることになる。
【0044】
[3.その他]
以上、実施形態を説明したが、かかる実施形態は一例であり、本件の車両用ヘッドランプ自動点灯装置は、実施形態のものに限定されるものではない。
例えば、図1に二点鎖線で示すように、例えば照度Eが既定の1000~7000lx内にあることなどの所定の条件下で、強制点灯部62による制御を無効にするカットスイッチ7を追加し、ドライバがカットスイッチ7を手動操作することで強制点灯部62による制御を無効にできるようにしてもよい。
【0045】
また、時間帯の区分は、季節や車の走行するエリア等に応じて変更可能に構成してもよい。この場合の変更は、その時点の季節情報や車の走行するエリア情報に基づいて自動で変更できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 ヘッドランプ
2 スモールランプ
3 ランプスイッチ
4 照度センサ(照度検出手段)
5 時計
6 制御装置
7 カットスイッチ
30 操作つまみ
31 ON位置
32 スモールランプON位置(スモールON位置)
33 OFF位置(ランプオフ位置)
34 AUTO位置
35 基準マーク
62 強制点灯部(強制点灯手段)
63 時刻判断部(時刻判断手段)
64 閾値設定部(閾値設定手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6