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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008913
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】外科材料の静電送達
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A61M25/00 520
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023111957
(22)【出願日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】63/367,965
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケスター・ジュリアン・バッチェラー
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・エー・ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン・エヌ・ミルフォード
(72)【発明者】
【氏名】ジョーイ・マグノ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA77
4C267BB02
4C267BB42
4C267CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外科手術のために解剖学的部位を調製するための外科システムおよび方法を提供する。
【解決手段】外科材料を送達するための方法は、送達デバイスを挿入するステップと、送達デバイスに対してリザーバを有する外科材料送達システムを結合するステップと、解剖学的構造体電極を位置決めするステップと、解剖学的構造体電極に対して第1の電荷を印加するステップと、送達デバイスから外科材料を分注するステップと、送達デバイスから退出する外科材料に対して第1の電荷とは逆の第2の電荷を印加するステップと、指向的に配向された電界を介して解剖学的構造体電極の近傍の解剖学的領域に対して帯電された外科材料を送達するステップとを含む。外科システムは、挿入シャフトと、第1の電極と、第2の電極とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科材料送達システムであって、
細長挿入シャフトであって、
前記細長挿入シャフトを少なくとも部分的に貫通して延在する通路、および
前記通路に対して流体連結された排出開口
を備える、細長挿入シャフトと、
前記通路を通り流れる外科材料に対して電荷を与えるように構成された、前記細長挿入シャフトに対して接続された第1の電極と、
接触状態にある組織に対して電荷を与えるように構成された、前記細長挿入シャフトに対して接続された第2の電極と
を備える、外科材料送達システム。
【請求項2】
前記第1の電極は、発電機に対して結合するために前記細長挿入シャフトに沿って延在する第1の導体を備える、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項3】
前記第1の電極は、前記細長挿入シャフトに対して装着されたリングをさらに備える、請求項2に記載の外科材料送達システム。
【請求項4】
前記第1の電極は、前記排出開口に対して連結された金属スプレー先端部をさらに備える、請求項2に記載の外科材料送達システム。
【請求項5】
前記金属スプレー先端部は、前記外科材料の可変直径噴霧パターンを生じさせるように構成される、請求項4に記載の外科材料送達システム。
【請求項6】
前記第2の電極は、前記細長挿入シャフトから前記排出開口の遠位に延在する、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項7】
前記第2の電極は、前記排出開口の近位に引戻し可能である、請求項6に記載の外科材料送達システム。
【請求項8】
前記第2の電極は、
延在部分および遠位先端部を有するワイヤと、
前記遠位先端部を露出状態にするために前記延在部分に沿って延在する絶縁ジャケットと
を備える、請求項7に記載の外科材料送達システム。
【請求項9】
前記遠位先端部は、折り畳み可能パッドを備える、請求項8に記載の外科材料送達システム。
【請求項10】
前記第2の電極は、前記細長挿入シャフトの遠位端部面に対して結合可能なキャップを備える、請求項6に記載の外科材料送達システム。
【請求項11】
前記キャップは、
前記細長挿入シャフトを囲むように構成された円筒状本体と、
外科材料の通過を可能にするために前記円筒状本体を貫通して延在する側部ポートと
を備える、請求項10に記載の外科材料送達システム。
【請求項12】
前記細長挿入シャフトは、内視鏡を備える、請求項6に記載の外科材料送達システム。
【請求項13】
前記第2の電極は、トロカールデバイスを備える、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項14】
前記トロカールデバイスは、前記細長挿入本体が中に挿入される管状本体を備える、請求項13に記載の外科材料送達システム。
【請求項15】
第3の導体を介して発電機に接続可能なパッドを備える第3の電極をさらに備える、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項16】
前記パッドは、複数の導電性ゾーンを備え、各導電性ゾーンは、電界を生成するように個別に作動可能である、請求項15に記載の外科材料送達システム。
【請求項17】
前記パッドは、解剖学的構造体形状に対応するように構成された二次元形状または三次元形状を備える、請求項15に記載の外科材料送達システム。
【請求項18】
前記細長挿入シャフトの前記通路は、PTFEでライニングされる、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項19】
帯電可能粒子を含む導電性ゲルをさらに備える、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項20】
前記第1の電極および前記第2の電極に対して逆の電荷を与えるために前記第1の電極および前記第2の電極に対して結合された発電機と、
前記通路に対して流体連結された外科材料リザーバと、
前記外科材料リザーバに対して流体連結された推進システムと
をさらに備える、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項21】
患者の内腔に対して外科材料を送達するための方法であって、
解剖学的領域内に送達デバイスを挿入するステップと、
前記送達デバイスに対して外科材料送達システムを結合するステップであって、前記外科材料送達システムは外科材料のリザーバを有する、結合するステップと、
前記解剖学的領域に対して解剖学的構造体電極を位置決めするステップと、
前記解剖学的構造体電極に対して第1の電荷を印加するステップと、
前記送達デバイスから外科材料を分注するステップと、
前記送達デバイスから退出する外科材料に対して第2の電荷を印加するステップであって、前記第2の電荷は前記第1の電荷の逆である、印加するステップと、
指向的に配向された電界を介して前記解剖学的構造体電極の近傍の前記解剖学的領域に対して帯電された外科材料を送達するステップと
を含む、方法。
【請求項22】
前記送達デバイスから退出する外科材料に対して前記第2の電荷を印加する前記ステップは、前記送達デバイスに沿って延在する導体を帯電させるステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記送達デバイスから退出する外科材料に対して前記第2の電荷を印加する前記ステップは、前記送達デバイス上に配設されたリング電極を帯電させるステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記送達デバイスから退出する外科材料に対して前記第2の電荷を印加する前記ステップは、前記送達デバイス上に配設されたスプレーノズルを帯電させるステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記スプレーノズルを用いて前記送達デバイスから退出する外科材料の噴霧直径を調整するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記解剖学的構造体電極を受けるように構成された前記送達デバイス内の電極チャネル内に前記解剖学的構造体電極を挿入するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記送達デバイスの遠位に前記解剖学的構造体電極を延在させるステップと、
前記送達デバイスの近位に前記解剖学的構造体電極を引き戻すステップと
をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記送達デバイスが中に配設される内視鏡から前記解剖学的構造体電極を延在させる前記ステップは、
前記解剖学的領域に向かって、延在部分および遠位端部を有するワイヤを摺動させるステップと、
ジャケットを用いて前記内腔から前記ワイヤを絶縁するステップと
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ワイヤの前記遠位先端部に対して装着された拡張性パッドを展開させるステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記送達デバイスの遠位端部面に対して前記解剖学的構造体電極を装着するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記解剖学的構造体電極は、キャップを備え、前記キャップは、
前記送達デバイスを囲むように構成された円筒状本体と、
前記円筒状本体を貫通して延在する側部ポートと
を備える、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
内視鏡の中に前記送達デバイスを挿入するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
解剖学的構造体の切開部に前記解剖学的構造体電極を挿入するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記解剖学的構造体電極は、管状本体を備えるトロカールデバイスを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記解剖学的構造体電極に対して前記第1の電荷を印加する前記ステップは、前記内腔の外部に配設されたパッドを帯電させるステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記解剖学的領域に対して前記解剖学的構造体電極を位置決めする前記ステップは、解剖学的構造体輪郭に沿って前記解剖学的構造体電極の輪郭を延在させるステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記内腔の外部に配設された前記パッドを帯電させる前記ステップは、前記パッド内に分散する複数の導電性ゾーンのすべて未満を帯電させるステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記解剖学的構造体電極に対して前記第1の電荷を印加する前記ステップは、前記内腔内部のある位置に対して導電性ゲルを適用するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
摩擦力を利用して前記送達デバイス内に前記外科材料を静電気帯電するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
前記送達デバイスに対して連結された推進システムを作動させるステップと、
前記送達デバイスに対して流体連結された外科材料リザーバから外科材料を押し出すステップと
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2022年7月8日に出願された米国仮特許出願第63/367,965号に基づく優先権の利益を主張する。この仮特許の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本文献は、一般的には、外科手術のために解剖学的部位を調製するための外科システムおよび方法に関するが、それに限定するものではない。より具体的には、本願は、出血の抑制または阻止のために外科部位に対して例えば止血材料などの外科材料を送達するためのシステムおよび方法に関するが、それに限定するものではない。
【背景技術】
【0003】
多くの外科手技が、患者の体内に位置する疾患組織、疾患の可能性のある組織、または他の望ましくない組織など標的部位の、治療または除去を伴う。そのため、これらの手技のいくつかは、開放手技による、または低侵襲(例えば腹腔鏡下)手技におけるより小さい開口を介した患者内部の解剖学的構造体へのアクセスを必要とする。いくつかの内視鏡法の例では、患者の解剖学的構造体は、例えば消化(GI)管などの患者内の内腔または管路に到達するために患者に開口または切開部を形成することを伴うことなく、口部または肛門を介して、および泌尿器科手技、婦人科手技、耳鼻咽喉科(ENT)手技で使用され得るような任意の天然管腔を介して、アクセスされる。これらの内視鏡下手技は、体内の管、管路、または中空臓器の内部で実施されるため、腔内手技と呼び得る。いくつかの腔内手技は、管または内腔を形成する組織壁から組織を除去することを伴う。そのため、これらのおよび他の用途においては、手技の実施および患者の治癒の促進を目的として出血を抑制または制止するために、例えば粉末または液体の凝血剤などの止血材料を投与することが望ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2011/140118A1
【特許文献2】米国特許第11,020,166号
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0361011号
【特許文献4】米国特許第9,402,683号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Khoshmohabat, Hadiら、「Overview of Agents Used for Emergency Hemostasis」、Trauma monthly vol.21,1 e26023.6 Feb.2016、doi:10.5812/traumamon.26023
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
他の中でもとりわけ、止血剤送達デバイスにより解消される問題としては、ユーザフレンドリな使用感をもたらす使用の簡単なシステムを提供することの難しさが挙げられることに本発明者らは気づいた。例えば、いくつかの止血材料には、使用が難しい手動操作式シリンジを用いて送達される液体が含まれる。いくつかの止血粉末送達システムは、手技が実施される病院または施設に位置するポンプを用いて動作する。しかし、かかるポンプは、手技提供者にとって大きな初期支出が必要となる。いくつかの止血剤送達システムは、施設により供給される圧縮空気または圧縮CO2を使用して動作する。しかし、これらのガスの動作圧力は、例えば手技の実施時に施設の他の機能によって使用されているガス量など、建物の条件に基づいて変動する恐れがある。さらに、他のハンドヘルド式止血粉末送達デバイスは、幅広い圧力範囲にわたる圧縮ガスを提供する圧縮ガスカートリッジを使用する。例えば、このカートリッジは、最初は高圧を提供するが、この圧力は、カートリッジ内の圧縮不活性ガスが減少すると徐々に低下する。この最初の高圧は、しばしば高すぎる場合があり、結果として例えば出血部から離れた解剖学的構造体または手技で使用中のスコープなどの到達が意図されない領域に止血粉末を過剰噴霧してしまうことになり、それによりスコープのレンズおよびルーメンの妨げになる恐れがある。さらに、圧力制限弁を使用する場合でも、圧縮ガスキャニスタのパフォーマンスは、時間の経過とともに低下し、不安定なユーザ使用感をもたらすことに、本発明者らは気づいた。
【0007】
要約すると、2つの主要な課題により、例えば止血粉末などの凝血剤の送達のために圧縮ガスカートリッジの使用を余儀なくされる。すなわち、1)初期圧力が過剰に高くなる場合があり、これにより粉末は、解剖学的構造体の内腔を満たし、粉末が空気内に分散してレンズの妨げになることにより視認性を低下させる(医師の間ではこれは「ホワイトアウト」と呼ばれる)。さらに、2)粉末が、例えば内視鏡または治療の不要な腸の領域などの、付着することが意図されない場所に付着する恐れがある。圧縮不活性ガスの圧力が低下すると、医師にとっては止血剤の制御がより良好になり、適切な領域に止血剤を送ることが可能となるが、圧力がさらに低下し続けることにより、安定性のあるユーザ使用感に影響を及ぼし得ることに本発明者らは気づいた。したがって、止血剤送達デバイスは、所定の様式で適切なレベルでの送達を可能にするために、ある一定期間にわたり一定の圧力を供給することが望ましいことに本発明者らは気づいた。さらに、所望外の他の領域を範囲に含むことなく所望の治療領域に対して材料をより良好に適用するために、止血材料の軌道を制御することが可能であることが望ましいことに本発明者らは気づいた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本主題は、費用対効果が高いユーザフレンドリな使用感を実現する、例えば止血材料送達デバイスおよび止血材料送達システムなどの外科物質または外科材料の送達デバイスおよびシステムを提供することなどによって、これらの問題および他の問題に対する解決策を提供し得る。いくつかの例では、この外科物質は、例えば止血粉末または止血液体もしくは止血流体などの、止血材料を含み得る。さらなる例では、外科物質は、コラーゲン、薬剤、治療物質、染料または着色剤、接着剤、ならびに治療、診断、および他の用途に対して使用可能な他の物質を含み得る。具体的には、本主題は、標的解剖学的部位へ止血材料を案内し得る静電ガイドシステムにより、例えば粉末などの止血材料を送達し得る、止血剤送達システムを提供し得る。この静電ガイドシステムにより、「ホワイトアウト」効果が解消または軽減され、他の解剖学的領域および止血剤送達システムを含む意図しないまたは望ましくない箇所に対して粉末が付着する事例が減少する。この送達システムは、例えばカテーテルなどの送達器具から放出された止血材料に対して電荷を印加することにより、この帯電した止血材料を逆帯電したまたは中性の標的解剖学的部位へと引くことが可能となる。したがって、止血材料は、ホワイトアウト状態が生じる圧力未満の圧力にて、およびユーザが止血材料の送達を意図する長い期間にわたって一定的に止血材料が送達され得るようなレベル、すなわち例えば量などにて、送達されることが可能となる。さらに、帯電した止血材料は、解剖学的領域全体ではなく所望の標的領域のみが止血材料を受け取るように、指向的に配向されるまたは照準を定められることが可能である。外科材料を指向的に配向することにより、所望外において使用される外科材料の量が低下し、所望の位置に対して外科材料を適用するために必要な時間が短縮され得るため、手技の実施に伴うコストが節減される。
【0009】
一例では、外科材料送達システムは、細長挿入シャフトであって、この細長挿入シャフトを少なくとも部分的に貫通して延在する通路、およびこの通路に対して流体連結された排出開口を備える、細長挿入シャフトと、この通路を通り流れる外科材料に対して電荷を与えるように構成された、細長挿入シャフトに対して接続された第1の電極と、接触状態にある組織に対して電荷を与えるように構成された、細長挿入シャフトに対して接続された第2の電極とを備えることが可能である。
【0010】
別の例では、患者の内腔に対して外科材料を送達するための方法は、解剖学的領域内に送達デバイスを挿入するステップと、送達デバイスに対して外科材料送達システムを結合するステップであって、外科材料送達システムが外科材料のリザーバを有する、結合するステップと、解剖学的領域に対して解剖学的構造体電極を位置決めするステップと、解剖学的構造体電極に対して第1の電荷を印加するステップと、送達デバイスから外科材料を分注するステップと、送達デバイスから退出する外科材料に対して第2の電荷を印加するステップであって、第2の電荷が第1の電荷の逆である、印加するステップと、指向的に配向された電界を介して解剖学的構造体電極の近傍の解剖学的領域に対して帯電された外科材料を送達するステップとを含むことが可能である。
【0011】
本概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを目的とする。本概要は、本発明の排他的または包括的な説明を提示することを目的とするものではない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために包含されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】静電ガイドシステムを有する止血材料送達システムを備える手術室の概略図である。
図2】送達カテーテルから負帯電した標的組織に向かって流れる正帯電した止血粉末の拡大概略図である。
図3図1および図2の止血材料送達システムおよび静電ガイドシステムと共に使用するのに適した制御ユニットを備える撮像および制御システムの概略図である。
図4】止血材料送達カテーテルを受けることが可能であり天然止血材料送達能力を有し得る、内視鏡に対して連結された図3の制御ユニットの概略図である。
図5A】カメラモジュールを備える機能セクションの様々な構成要素を示す、図3および図4の内視鏡の端面図である。
図5B】カメラモジュールの構成要素を示す、図5Aの断面5B-5Bに沿った断面図である。
図6A】止血材料のためのリザーバおよび様々な電極を備える静電ガイドシステムを備える止血材料送達システムを備える内視鏡システムの概略図である。
図6B】医療器具が延出した図6Aの内視鏡の斜視図である。
図6C図6Aの止血材料静電送達システムと共に使用するのに適した止血器具の斜視図である。
図7】引戻し可能解剖学的構造体電極を備える本開示の止血材料静電送達システムと共に使用するのに適した止血器具の斜視図である。
図8A】スコープの遠位端部に配置するように構成された遠位電極デバイスの概略分解図である。
図8B】スコープに対して装着された図8Aの遠位電極デバイスの概略組立図である。
図9】標的組織に対して止血材料を分注するためにスコープの遠位端部に対して装着された遠位電極デバイスの概略図である。
図10】止血材料静電送達システムと共に使用するための電荷を発生させるように構成されたトロカールデバイスシステムの概略図である。
図11】特定の解剖学的領域に対合するように形状設定された電極マットの斜視図である。
図12】解剖学的構造体輪郭に形状合致するように形状設定された電極マットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
必ずしも縮尺どおりではない図面において、参照数字は、異なる図においても同様の構成要素を示す。異なる接尾文字を有する同様の参照数字は、同様の構成要素のそれぞれ異なる例を示す場合がある。図面は、本文献において論じられる様々な実施形態を一般的に、例として、しかし非限定的に示す。
【0014】
図1は、患者206に対して外科医204が使用する静電ガイドシステム202を有する止血材料送達システム200を備える手術室の概略図である。患者206は、手術室のテーブル208上に位置し得る。テーブル208は、スタンド210およびベッド201を備え得る。止血材料送達システム200は、患者206内の内部解剖学的位置へと送達され得るカテーテル214を備え得る。静電ガイドシステム202は、発電機216、第1のリード線218A第2のリード線218B、およびパッド220Aを備え得る。テーブル208のスタンド210は、静電ガイドシステム202のための接地222を備え得る。
【0015】
止血材料送達システム200は、カテーテル214を介して患者206に対して例えば凝血剤などの止血材料を送達するように構成され得る。図6A図6Cを参照として論じるように、カテーテル214は、例えば図6Aの止血材料リザーバ126などの粉末止血材料の供給源に対して連結され得る。発電機216は、カテーテル214、第1のパッド220A、および第2のパッド220Bにて逆の電荷を発生させるように構成され得る。そのため、カテーテル214を退出する粉末は、第1の電荷を獲得し、逆の電荷を有するパッド220Aの近傍の組織に引き寄せられ得る。例えば、発電機216は、第1のリード線218Aを使用してカテーテル214に対して正電荷を印加し、第2のリード線218Bを使用してパッド220Aに対して負電荷を印加し得る。接地222は、患者206に対して中性電荷を誘導することが可能であり、これにより帯電した止血材料が患者206に向かって流れるのを助長し得る。パッド220Aは、患者206とベッド212との間の、カテーテル214が止血材料を分注するために使用されることとなる大体の位置に位置決めされ得る。接地222およびパッド220Aは、患者206の解剖学的構造体にほぼ向かう帯電した止血材料の流れを助長することが可能であり、それにより止血材料粒子が空中に漂い続け、カテーテル214に付着するのを防止する。例えば、患者206の任意部分の帯電は、逆帯電した止血材料と、との間の極性の相違をもたらす可能性がある。したがって、逆帯電した止血材料は、カテーテル214から様々な方向において患者206の解剖学的構造体の様々な部分へ拡散することが可能になり、これは、空気から止血材料を取り除くために許容可能なものとなる。患者206の解剖学的構造体は、パッド220Aに対してより近いほどより高い逆電荷を有することになる。そのため、カテーテル214とパッド220Aとの間の距離がより大きいほど、より低い静電引力が発生することになる。したがって、パッド220Bは、単にカテーテル214から離れるすべての方向ではなくカテーテル214からある特定の方向において、任意の組織に向かって止血材料を引っ張るために、ある特定の解剖学的標的組織の近傍にて使用され得る。したがって、パッド220Bは、患者206とベッド212との間において、例えば出血または大量出血が発生している位置の近傍など、止血材料の使用が望まれる臓器または解剖学的特徴部の近傍のある特定の位置に位置決めされ得る。パッド220Bは、パッド220Aよりも小さい面積の局所パッドであることが可能である。図11および図12を参照として論じるように、パッド220Bは、例えば肩領域または脊柱の腰椎領域などの、患者206の特定の解剖学的外部特徴部に対合するように形状設定され得る。
【0016】
発電機216は、リード線218Aと218Bとの間に電界を発生させ得る。発電機216は、例えばアブレーションまたは焼灼のためのエネルギーを供給するなど、他の外科的機能を実現するために使用される発電機を含み得る。いくつかの例では、発電機216は、例えばOlympus Surgical Technologiesから市販されているESG-400などの、電気手術器(ESU)単極発電機を含むものであることが可能である。
【0017】
カテーテル214は、開放手技において患者206内に直接的に挿入されることが可能であり、または低侵襲手技において内視鏡を使用して患者206内に挿入されることが可能である。カテーテル214は、図6Aの動力デバイス124を含む、例えばポンプなどの、カテーテル214に止血材料を推進させるまたは押し通すためのデバイスに対して連結され得る。止血材料に対する圧力または電荷の印加は、例えばカテーテル214上のボタンまたはレバーなどのユーザインターフェースデバイスを使用してオペレータにより制御され得る。いくつかの例では、静電荷は、カテーテル214のユーザインターフェースデバイスが作動されて止血材料を送達するときに、自動的に印加され得る。さらに、別個のユーザインターフェースデバイスを、止血材料の送達および帯電のそれぞれに対して設けることが可能である。本明細書において論じるように、様々な例において、止血剤送達能力および止血剤送達制御は、例えば図3の内視鏡14または図6Aの内視鏡104などの内視鏡に直接的に組み込まれることが可能である。
【0018】
図2は、図1の符号AAの位置におけるカテーテル214の遠位端部部分の拡大概略図である。図2は、カテーテル214から負帯電した標的組織232に向かって流れる正帯電した止血材料230を示す。正電荷234が、カテーテル214の遠位端部にて発生され、負電荷236が、標的組織232の近傍にて発生され得る。図6Aを参照としてさらに詳細に論じるように、正電荷234は、リード線218Aに対して接続されたカテーテル214上に位置決めされた1つまたは複数の電極により発生され、負電荷236は、リード線218Bに対して接続されたパッド220Aおよび220Bにより発生され得る。別の例では、図7を参照として説明されるように、負電荷236は、カテーテル214から延在する電極により発生され得る。さらなる例では、負電荷236は、例えば図6Aの電極材料150などのゲル、または患者内部の標的組織232に対して適用される別の導電性生体適合材料を用いて発生され得る。図8A図9に示すように、電極が、組織を帯電させるためにスコープの遠位端部面の周囲に位置決めされ得る。図10に示すように、トロカールデバイスが、組織を帯電させるための電極として使用され得る。さらに別の例では、負電荷236が、例えば血液などの特定の解剖学的特徴物における自然発生電荷の結果によるものであることが可能である。様々な例において、正帯電した止血材料230は、負帯電した標的組織232に引き寄せられることにより、止血材料230が標的組織232の位置を特定するのを助長し得る。さらなる例では、止血材料230は、負帯電し、標的組織232は、正帯電するまたは中性帯電することが可能である。
【0019】
図2は、標的組織232に到達するように体腔内に挿入され得るカテーテル214を使用して内部解剖学的位置に止血材料230を送達する方法を示す概略図である。いくつかの例では、標的組織232は、標的組織232が胃の内部を含むように、胃であることが可能であり、体腔は、食道の管を含むものであることが可能である。カテーテル214は、胃に送達されつつあるときには食道に対して止血材料を適用することが可能であり、胃内に挿入されたときには胃に対して適用することが可能である。カテーテル214は、内部に延在する止血材料送達チャネルまたは止血材料送達通路を備え得る。カテーテル214は、解剖学的構造体内に直接的に挿入されて標的組織232に到達することが可能であり、または例えば図3および図4の内視鏡14または図6Aの内視鏡104などのガイドスコープの支援により挿入され得る。内視鏡は、標的組織232に向かってカテーテル214を案内するように操縦され得る。内視鏡の撮像能力は、標的組織232に向かってカテーテル214を案内するために使用され得る。カテーテル214は、標的組織232の位置に到達するように内視鏡から延在し得る。内視鏡は、例えばプルワイヤの使用または操縦能力の利用などにより、標的組織232にカテーテル214を向けるように操作され得る。既述のように、カテーテル214は、内視鏡から延在する別個の器具を備え得る。しかし、カテーテル214またはその均等な止血材料分注能力は、止血材料230が内視鏡から直接的に排出され得るように、内視鏡に直接的に組み込まれることが可能である。さらに、止血器具108が、内視鏡104に沿って設けられることが可能である。カテーテル214は、ガス、液体、ゲル、粉末、プラズマ、光、または他の形態で止血材料230を噴霧、分注、放出、または他の様式で放つように、外科医またはユーザにより選択的に操作され得る。カテーテル214は、三角形パターンまたは円錐パターンで止血材料230を噴霧するように構成され得る。いくつかの例では、止血材料230の噴霧直径は、図6Cを参照として論じるように、標的組織のサイズに対して噴霧パターンを調節するように調節可能であることが可能である。さらに、本明細書において論じるように、止血材料230は、正帯電した止血材料230が負帯電した標的組織232に向かって引き寄せられることによって、標的組織232方向に引かれ得る。そのため、止血材料230は、「ホワイトアウト」効果を防止または阻止し、カテーテル214上における止血材料230の蓄積を軽減または解消するために、ルーメン内空間内において空気から抽出され得る。さらに、本開示は、例えば帯電したゲル、計画的に形状設定および位置決めされた解剖学的構造体電極、伸張可能および操縦可能な解剖学的構造体電極、ならびに電極キャップ等の、所望の標的解剖学的構造体に対して外科材料の照準を定めるまたは外科材料を指向的に配向する他の能力をさらに説明する。これらの照準技術およびデバイスは、外科材料の無駄を削減することが可能であり、意図した標的解剖学的構造体に外科材料を適用するための所要時間を短縮させることができる。
【0020】
図3は、撮像および制御システム12と内視鏡14とを備える内視鏡システム10の概略図である。図3のシステム10は、外科部位における内出血を管理するために止血材料を送達するための本明細書において説明されるシステム、デバイス、および方法と共に使用するのに適した、内視鏡システムの例示的な一例である。システム10は、患者の分析または治療のために患者から組織または他の生物学的物質を除去および取得するために利用され得る、例えば内視鏡下手技および肥満学的プロデューサ等の、様々な手技を実施するために使用され得る。いくつかの例によれば、内視鏡14は、図6A図6Cの内視鏡104を含むものが可能であり、撮像のために、および/または生検用の1つまたは複数の収集デバイスもしくは解剖学的領域に関連する疾患状態の治療用の1つまたは複数の治療デバイスの通過を可能にするために、解剖学的領域内に挿入可能であることが可能である。有利な態様では、内視鏡14は、撮像および制御システム12と連係し接続することが可能である。図示する例では、内視鏡14は、端部視野内視鏡を含むが、他のタイプの内視鏡を、本開示の特徴および教示と共に使用することも可能である。
【0021】
撮像および制御システム12は、制御ユニット16、出力ユニット18、入力ユニット20、光源ユニット22、流体供給源24および吸引ポンプ26を備え得る。撮像および制御システム12は、図1の止血材料送達システム200および静電ガイドシステム202をさらに備え得る。
【0022】
撮像および制御システム12は、内視鏡システム10に結合するための様々なポートを備え得る。例えば、制御ユニット16は、内視鏡14からデータを受信し内視鏡14にデータを通信するためのデータ入出力ポートを備え得る。光源ユニット22は、例えば光ファイバリンクなどを介して内視鏡14に光を伝送するための出力ポートを備え得る。流体供給源24は、内視鏡14に流体を送出するためのポートを備え得る。流体供給源24は、ポンプおよび流体タンクを備えることが可能であり、または外部タンク、容器、もしくは貯蔵ユニットに対して連結されることが可能である。吸引ポンプ26は、内視鏡14が挿入される解剖学的領域から流体を回収するためなどの吸引力を発生させるために、内視鏡14から真空を引くために使用されるポートを備え得る。出力ユニット18および入力ユニット20は、内視鏡システム10の機能を制御し内視鏡14の出力を視認するために、内視鏡システム10のオペレータが使用し得る。制御ユニット16は、さらに、内視鏡14が挿入される解剖学的領域の治療に基づく信号または他の出力を発生させるために使用され得る。いくつかの例では、制御ユニット16は、例えば焼灼、切断、および凍結等により解剖学的領域を治療するために電気出力、音響出力、および流体出力等を発生させ得る。さらに、制御ユニット16は、リード線218Aおよび218Bを帯電させるために図1のリード線218Aおよび218Bに対して結合可能であることが可能である。いくつかの例では、制御ユニット16は、リード線218Aおよび218のそれぞれに正電荷および負電荷を発生させ得る。したがって、制御ユニット16は、例えばプラグ等を介してリード線218Aおよび218Bの近位端部を受けるためのレセプタクルを備え得る。本明細書において論じるように、制御ユニット16により生成される電荷は、例えば外部パッド、内部ゲル、スコープを通り送達される電極、スコープの外部に対して装着される電極、およびトロカールデバイスを備える電極などの、様々な電極を使用して、止血材料に対して第1の極性電荷を印加し、組織に対して第2の極性電荷を印加し得る。
【0023】
内視鏡14は、挿入セクション28、機能セクション30、およびハンドルセクション32を備えることが可能であり、このハンドルセクション32は、ケーブルセクション34およびカプラーセクション36に対して結合され得る。カプラーセクション36は、例えば入力ユニット20、光源ユニット22、流体供給源24、および吸引ポンプ26などの制御ユニット16の複数の特徴部に対して内視鏡14を連結するために、制御ユニット16に対して連結される。挿入セクション28は、ハンドルセクション32から遠位方向に延在し、ケーブルセクション34は、ハンドルセクション32から近位方向に延在する。挿入セクション28は、長尺であることが可能であり、曲げセクションと、機能セクション30が装着され得る遠位端部とを備える。曲げセクションは、蛇行状の解剖学的通路(例えば胃、十二指腸、腎臓、尿管、結腸、等)に通して遠位端部を操縦するために制御可能であることが可能である(例えばハンドルセクション32上の制御ノブ38に対して連結されたプルワイヤにより)。ノブ38およびかかるプルワイヤは、止血材料の軌道の照準を定めるために止血剤送達デバイスのシャフトを曲げることによってなど、本明細書において説明される止血剤送達システムおよび止血剤ガイドシステムを使用して止血材料の照準を定めるために追加的に使用され得る。また、挿入セクション28は、長尺であり、例えば図6Aの医療器具106、例えば鉗子などの組織分離デバイス、図1のカテーテル214、図6Aの止血器具108、または他の医療器具などの、機能セクション30の1つまたは複数の治療用器具の挿入を支援することが可能な、1つまたは複数の作業チャネル(例えば内部ルーメン)を備えることが可能である。作業チャネルは、ハンドルセクション32と機能セクション30との間に延在することが可能である。さらに、流体通路、ガイドワイヤ、およびプルワイヤなどの、追加の機能分が、挿入セクション28により供給され得る(例えば吸引通路または潅注通路等を介して)。
【0024】
ハンドルセクション32は、ノブ38およびポート40Aを備え得る。ノブ38は、挿入セクション28を通り延在するプルワイヤまたは他の作動機構に対して結合され得る。ポート40Aおよび例えばポート40B(図4)などの他のポートは、挿入セクション28との結合のために、ハンドルセクション32に対して様々な電気ケーブル、ガイドワイヤ、補助スコープ、組織収集デバイス、および流体チューブ等を結合するように構成され得る。例えば、医療器具106が、ポート40Aを介して内視鏡14内へと送られ得る。同様に、図1のカテーテル214または図6Aの止血器具108が、ポート40Aまたは別の同様のポート内に送られ得る。ハンドルセクション32は、リード線218Aおよび218B(図1)を電気的に作動させ動力デバイス124(図6A)を作動させるための、例えばボタンまたはレバーなどの制御特徴部をさらに備えることが可能である。
【0025】
いくつかの例による撮像および制御システム12は、光源ユニット22、吸引ポンプ26、画像処理ユニット42(図4)等を収容するための棚を有する可動プラットフォーム(例えばカート41)上に設けられ得る。代替的には、図3および図4に示す撮像および制御システム12の複数の構成要素が、内視鏡を「自己収容型」のものにするために、内視鏡14上に直接的に設けられ得る。
【0026】
機能セクション30は、患者の解剖学的構造体を治療および診断するための構成要素を備え得る。機能セクション30は、撮像デバイス、照明デバイス、およびエレベータを備え得る。機能セクション30は、例えば図5Aおよび図5Bのカメラモジュール70を参照としてさらに説明されるような機能セクション30を越えて遠位方向または軸方向を視認するなど、端部視野を有するように構成された撮像構成要素および照明構成要素を備え得る。
【0027】
図4は、撮像および制御システム12と内視鏡14とを備える図3の内視鏡システム10の概略図である。図4は、内視鏡14に対して結合された撮像および制御システム12の構成要素を概略的に示し、内視鏡14は、図示する例では端部視野結腸内視鏡を含む。撮像および制御システム12は、制御ユニット16を備えることが可能であり、この制御ユニット16は、画像処理ユニット42、治療用発生器44、および駆動ユニット46、ならびに光源ユニット22、入力ユニット20、および出力ユニット18を備えることが可能であるか、またはこれらに対して結合されることが可能である。カプラーセクション36は、例えば画像処理ユニット42および治療用発生器44などの制御ユニット16の複数の特徴部に対して内視鏡14を連結するために、制御ユニット16に対して連結され得る。いくつかの例では、ポート40Aは、内視鏡14内に例えばドータースコープまたは補助スコープなどの別の器具またはデバイスを挿入するために使用され得る。かかる器具およびデバイスは、ケーブル47を介して制御ユニット16に対して独立的に連結され得る(例えばケーブル47が、図1のカテーテル214または図6Aの止血器具108もしくはその一部分を備え得る)。いくつかの例では、ポート40Bは、例えば動画、空気、光、および電気などの様々な入力および出力に対してカプラーセクション36を接続するために使用され得る。以降で図6A図6Cを参照としてさらに詳細に論じるように、制御ユニット16は、静電ガイドシステム202を備えることが可能であるか、または静電ガイドシステム202と通信状態にあることが可能である。制御ユニット16は、内視鏡14の遠位に位置する標的組織を視認するためにカメラを作動させるように構成され得る。同様に、制御ユニット16は、内視鏡14から延在する外科器具に対して光を照らすために光源ユニット22を作動させるように構成され得る。
【0028】
画像処理ユニット42および光源ユニット22はそれぞれ、有線電気接続または無線電気接続により内視鏡14(例えば機能セクション30)と連係し得る。これに応じて、撮像および制御システム12は、解剖学的領域を照明し、解剖学的領域を表す信号を収集し、解剖学的領域を表す信号を処理し、出力ユニット18上に解剖学的領域を表す画像を表示し得る。この出力ユニット18は、ブラウン管、LCDディスプレイ、LEDディスプレイ、および他のグラフィカルユーザインターフェースを含むことが可能である。撮像および制御システム12は、所望のスペクトル光を利用して(例えば広帯域白色光、および好ましい電磁波長を使用した狭帯域撮像等)解剖学的領域を照明するための光源ユニット22を備え得る。撮像および制御システム12は、信号伝送(例えば光源からの光出力、遠位端部に位置する撮像システムからのビデオ信号、ならびに診断デバイスからの診断信号およびセンサ信号等)のために内視鏡14に対して接続され得る(例えば内視鏡コネクタを介してなど)。
【0029】
流体供給源24(図3)は、制御ユニット16と通信状態にあることが可能であり、1つまたは複数の空気供給源、生理食塩水供給源、または他の流体供給源と、関連する流体通路(例えば空気チャネル、潅注チャネル、吸引チャネル)およびコネクタ(竹の子継手、流体シール、および弁等)とを備え得る。また、撮像および制御システム12は、駆動ユニット46を備えることが可能であり、この駆動ユニット46は、オプションの構成要素であることが可能である。駆動ユニット46は、「Rotate-to-Advance Catheterization System」と題するFrassicaらのPCT出願公開WO2011/140118A1において少なくとも記載されているように、内視鏡14の遠位セクションを前進させるためのモータ駆動装置を備え得る。このPCT出願公開は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
治療用発生器44は、医療手技および止血材料ガイドシステムの実施のためのエネルギーを発生させるように構成され得る。例えば、治療用発生器44は、組織をアブレーションまたは焼灼するための音響発生器または発電機であることが可能である。治療用発生器44は、リード線218Aおよび218B(図1)を帯電させるために交流電力または直流電力を発生させるように構成され得る。治療用発生器44は、例えばOlympus Surgical Technologiesより市販のESG-400などの、電気手術器(ESU)単極発電機を備え得る。そのため、治療用発生器44は、発電機216(図1)を含むことが可能である。
【0031】
図5Aおよび図5Bは、図4の内視鏡14の機能セクション30の一例を示す。図5Aは、機能セクション30の端面図を示し、図5Bは、図5Aの断面5B-5Bに沿った機能セクション30の断面図を示す。図5Aおよび図5Bはそれぞれ、「端部視野内視鏡」(例えば胃カメラ、結腸内視鏡、胆管鏡、等)カメラモジュール70を示す。端部視野内視鏡カメラモジュール70では、照明および撮像システムは、この撮像システムの視野角が、内視鏡14の端部に隣接して(例えばその遠位に)および内視鏡14の中心長手方向軸A1と整列して位置する標的解剖学的構造体に対応するように、位置決めされる。
【0032】
図5Aおよび図5Bの例では、端部視野内視鏡カメラモジュール70は、ハウジング72、作業チャネル74、流体出口76、照明レンズ78、および対物レンズ80を備え得る。ハウジング72は、挿入セクション28のためのエンドキャップを備えることが可能であり、したがってルーメン82に対してシールを提供する。
【0033】
図5Bに示すように、挿入セクション28は、ルーメン82を備え、様々な構成要素が、このルーメン82を貫通して延在することにより、ハンドルセクション32に機能セクション30を連結し得る(図4)。例えば、照明レンズ78は、光伝送器84に対して連結されることが可能であり、この光伝送器84は、光源ユニット22(図4)まで延在する光ファイバケーブルまたは光ファイバケーブル束を含むことが可能である。同様に、対物レンズ80は、撮像ユニット87に対して結合されることが可能であり、撮像ユニット87は、配線88に対して結合され得る。さらに、流体出口76は、流体ライン89に対して結合されることが可能であり、流体ライン89は、流体供給源24(図3)まで延在するチューブを含むことが可能である。いくつかの例では、流体出口76の中の1つが、洗浄流体および潅注流体の回収のために、例えば真空源に対して連結されているなど、吸引のために構成された流体ライン89に対して連結された入口を含むことが可能である。例えばチューブ、ワイヤ、ケーブルなどの他の長尺要素が、例えば吸引ポンプ26(図3)および治療用発生器44(図4)などの内視鏡システム10の構成要素に機能セクション30を連結するために、ルーメン82を貫通して延在することが可能である。例えば、作業チャネル74は、例えば医療器具106を含む切断デバイスおよび治療デバイスなどの他の治療用構成要素を受けるために、大直径ルーメンを含むことが可能である。
【0034】
また、内視鏡カメラモジュール70は、例えば電荷結合デバイス(「CCD」センサ)または相補型金属酸化膜半導体(「CMOS」)センサなどの、感光素子を備えることも可能である。いずれの例においても、撮像ユニット87は、画像処理ユニット42(図4)に対して結合され(例えば有線接続または無線接続により)、それにより感光素子から画像処理ユニット42に対して画像を表す信号(例えばビデオ信号)を送信して、例えば出力ユニット18などのディスプレイ上に表示されるようにすることが可能である。様々な例において、撮像および制御システム12ならびに撮像ユニット87は、内視鏡下手技に適した所望の解像度(例えば少なくとも480p、少なくとも720p、少なくとも1080p、少なくとも4K UHD、等)にて出力を供給するように構成され得る。
【0035】
本明細書において説明されるように、作業チャネル74は、標的組織に対して医療器具106を送達するために使用され得る。作業チャネル74は、図7の引戻し可能解剖学的構造体電極302を送達するために追加的に使用され得る。図8A図9の遠位電極デバイス400は、ハウジング72の周囲に嵌着し得る。さらに、流体出口76の中の1つが、直接的にまたはこの流体出口76へのカテーテル214(図1)の挿入を介してのいずれかにより、止血材料を供給するように構成され得る。
【0036】
図6Aは、止血材料送達システム102に対して連結された内視鏡システム100の概略図である。内視鏡システム100は、内視鏡104、医療器具106、および止血器具108を備え得る。図6Bは、医療器具106を有する作業チャネル110と、止血剤チャネル112と、対物レンズ114と、照明レンズ116と、細長シャフト122の遠位端部面120中の流体出口118とを示す、内視鏡104の斜視図である。図6Cは、オリフィス143を有するディスペンサ142を示す、止血器具108の斜視図である。止血材料送達システム102は、動力デバイス124および止血材料リザーバ126を備え得る。いくつかの例では、止血材料送達システム102は、導体144A、導体144B、電極146、およびパッド148を備え得る。導体144A、導体144B、電極146、およびパッド148は、止血剤静電ガイドシステムとして構成され得る。図6A図6Cは、同時に論じられる。
【0037】
いくつかの例では、止血器具108が、図1のカテーテル214を備えることが可能であり、内視鏡104は、図3および図4の内視鏡14を含むことが可能である。内視鏡104は、標的組織Tに到達するために解剖学的管D内に挿入され得る。
【0038】
医療器具106は、患者から組織を獲得するために作業チャネル110内に挿入され得る。したがって、医療器具106は、標的組織Tに出血を引き起こさせ得る。止血器具108は、標的組織Tに対して止血材料を送達するために止血剤チャネル112内に挿入され得る。止血器具108は、医療器具106または他の原因により生じた標的組織Tにおける出血を停止させるために使用され得る。パッド148が、標的組織Tの近傍に位置決めされ、解剖学的管Dの外部に配置され得る。パッド148は、図1のパッド220Aまたは220Bを含み得る。電極材料150が、管D内の標的組織Tに対して適用され得る。止血器具108および医療器具106は、管Dからの内視鏡104の挿入前または挿入後に、内視鏡104内に挿入され内視鏡104から引き抜かれ得る。
【0039】
対物レンズ114は、図5Aおよび図5Bの対物レンズ80と同様に構成され得る。対物レンズ114は、出力ユニット18に対してデジタル画像を提供するために撮像ユニットに向かって光を送るように構成され得る。照明レンズ116は、図5Aおよび図5Bの照明レンズ78と同様に構成され得る。照明レンズ116は、例えば光源ユニット22から受光する光伝送器などの光伝送器から、遠位端部面120の遠位に位置する組織に向かって光を送り、それにより医療器具106および止血器具108のために組織を照明するように構成され得る。流体出口118は、図5Aおよび図5Bの流体出口76と同様に構成され得る。1つまたは複数の流体出口118は、例えば流体供給源または吸引力供給源に対して結合されることなどにより、流体を送達し回収するように構成され得る。具体的には、流体出口118は、流体供給源24および吸引ポンプ26(図3)に対して連結され得る。いくつかの例では、流体出口118は、止血材料を流体供給源24に供給することなどにより、止血材料を送達するために使用されることが可能となる。いくつかの例では、止血剤パケットが、止血能力を発揮する手技の最中に所望の時点にて流体供給源24に対して追加され得る。止血剤パケットは、流体供給源24に対して手動により追加されることが可能であり、または制御ユニット16の自動分注機構(図3)により流体供給源24に対して追加されることが可能である。
【0040】
内視鏡104の細長シャフト122は、内視鏡14を参照として説明されるような操縦性能を追加的に備えることが可能である。例えば、細長シャフト122は、プルワイヤを備えることが可能であり、このプルワイヤは、作動デバイスに対して結合されることにより、細長シャフト122を湾曲させて、内視鏡104が止血器具108から発せられる止血材料の軌道の照準を定めることを可能にし得る。
【0041】
作業チャネル110および止血剤チャネル112は、例えば医療器具106などの作業器具と、例えば止血器具108などの止血剤送達システムとをそれぞれ受けるように構成され得る。作業チャネル110および止血剤チャネル112は、遠位端部面120から細長シャフト122の近位部分まで延在し得る。例えば、作業チャネル110および止血剤チャネル112の近位端部のそれぞれが、作業器具が細長シャフト122に進入することを可能にするように構成された、例えば図4のポート40Aと同様のポートなどのポートに対して結合され得る。作業チャネル110および止血剤チャネル112の断面積または直径は、医療器具106および止血器具108がこれらのチャネルをそれぞれ自由に通過することが可能になるようにサイズ設定され得る。
【0042】
医療器具106は、例えば鉗子などの組織回収デバイス、または例えば生物学的試料物質の分離、回収、もしくは収集に適した任意の他のデバイスを含むことが可能である。医療器具106は、シャフト130および組織セパレータ132を備え得る。医療器具106のシャフト130は、組織セパレータ132が細長シャフト122外へと角度を成すことを可能にし得る柔軟本体を備え得る。シャフト130は、例えば作動ワイヤなどの制御特徴部を組織セパレータ132まで通過させるようにさらに対応することにより、組織を収集する組織セパレータ132の作動を促進させ得る。
【0043】
止血器具108は、止血材料リザーバ126内に貯蔵された例えばガス、液体、または粉末などの、例えば凝血剤などの止血材料を送達するように構成され得る。止血器具108は、例えば通過する止血材料が流れ得るまたは分注され得るルーメンを有するチューブまたはホースなどの、細長本体140を備え得る。いくつかの例では、細長本体140は、止血材料が自由に流れ得るように、遠位端部が開口していることが可能である。いくつかの例では、止血器具108は、ディスペンサ142を備え得る。ディスペンサ142は、例えばノズル等の細長本体140からの止血材料の流れを制御または形状設定するためのデバイスを備え得る。ディスペンサ142の例は、図6Cを参照としてさらに詳細に論じる。さらなる例では、細長本体140は、止血材料送達システム102とディスペンサ142との間に延在するガスチューブを備えることが可能であり、ディスペンサ142は、ディスペンサ142から止血材料の静電分注を行うための電極を備え得る。止血器具108の近位端部部分が、止血材料送達システム102、流体供給源24、および制御ユニット16(図13)の中の1つまたはすべてに対して連結され得る。動力デバイス124は、ユーザ入力部を介して動作されることにより、リザーバ126から止血物質を取得し、ディスペンサ142に止血物質を供給することができる。いくつかの例では、動力デバイス124は、流体ポンプおよび圧縮機等を備え得る。細長本体140は、内視鏡104の細長シャフト122の動作により、標的組織Tに対して止血物質Sを送るように操縦または湾曲され得る。したがって、内視鏡システム100のユーザは、止血材料送達システム102および内視鏡104を動作させて、手技の最中に内部解剖学的領域へと止血材料、止血物質、止血媒質、または止血剤などを選択的に分注することが可能となる。
【0044】
いくつかの例では、止血器具108は、省くことが可能であり、止血物質は、止血材料送達システム102により止血剤チャネル112へと直接的に供給されることが可能である。かかる例では、止血剤チャネル112は、例えばチューブまたは導管などの漏出防止通路を備えることが可能であり、この漏出防止通路は、止血材料リザーバ126からディスペンサ142へ液体または粉末の止血材料を搬送することができる。
【0045】
いくつかの例では、止血器具108は、シャフト122の外部上に設けられ、止血剤チャネル112は、省かれ得る。
【0046】
細長本体140の遠位端部部分に止血材料を送達する様々な例において、静電ガイドシステムが、細長本体140からの退出の前または後に止血材料を充填するために使用され得る。導体144Aは、細長本体140に沿って延在し得る。いくつかの例では、導体144Aは、細長本体140の内部の通路内に延在し得る。いくつかの例では、導体144Aは、細長通路の外部に沿って延在することが可能であり、例えばストラップ、バンド、またはシースなどの様々な手段により細長通路の外部に対して装着され得る。
【0047】
導体144Aは、細長本体140の1つまたは複数の位置に対して、または細長本体140の長さ方向に沿って、電荷を送達するために使用され得る。導体144Aは、電極146およびディスペンサ142の一方または両方に対して接続されて、細長本体140を通り移動する止血材料を帯電させ得る。したがって、止血材料が、ディスペンサ142のオリフィス143 (図6C)から退出するときに電荷を有することが可能となることにより、かかる例では、止血材料は、コロナ帯電効果により帯電され得る。
【0048】
いくつかの例では、止血器具108は、Gyrus ACMI, Incに譲渡された、「Multifunctional Medical Device」と題するBatchelorらの米国特許第11,020,166号に記載されるデバイスと同様に、解剖学的構造体内に電気極性を発生させるように構成され得る。この特許の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
さらなる例では、止血材料は、摩擦帯電効果により帯電され得る。かかる例では、止血材料は、細長本体140内の止血材料通路との止血材料の摩擦によって帯電される。いくつかの例では、止血材料通路は、電荷発生を容易にするためにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作製され得るか、またはポリテトラフルオロエチレンでライニングされ得る。細長本体140は、電荷が止血器具108に蓄積するのを防止するために接地され得る。止血器具108は、制御ユニット16に対する結合により接地され得る。摩擦帯電した粒子は、接地した標的解剖学的構造体または逆帯電した標的解剖学的構造体と組み合わせて使用され得る。
【0050】
パッド148は、図1のパッド220Aおよび220Bと同様に機能し得る。電極材料150は、自然電荷を有し得る材料、またはパッド148により供給される電荷を集中または強化するために使用され得る材料を備え得る。いくつかの例では、電極材料150は、導電性金属粒子が懸濁したポリマーゲルを含み得る。このゲルは、パッド148により生成される電界を強化するために解剖学的構造体に対して付着し得る。また、電極材料を構成するゲル内の導電性粒子は、標的組織Tに送達される前に、事前帯電され得る。したがって、電極材料150は、止血器具108からある特定の位置へ帯電した止血材料の流れを集中させるために使用されることが可能であり、これにより止血材料が管D内に拡散するのが防止される。電極材料150は、内視鏡104内に挿入可能な市販の使い捨て式スプレーカテーテルなどの送達カテーテルを使用して標的組織Tに送達され得る。さらに、電極材料150は、開放手技において手動で配置され得る。電極材料150は、出血または大量出血が発生している箇所に、または出血または大量出血が予想される切開または組織除去手技が実施される箇所に、配置され得る。
【0051】
特に図6Cを参照すると、ディスペンサ142は、オリフィス143のサイズを調節することにより噴霧パターンSを制御するためのノズルまたは別のデバイスを備えることが可能である。例えば、ディスペンサ142は、噴霧密度、噴霧パターン、噴霧直径、および噴霧距離等を調節するために、例えば制御ユニット16(図1および図2)などにおいてオペレータにより調節され得る。例えば、ディスペンサ142は、濃縮状態でより長い距離にわたり止血材料を分注するための噴霧パターンS1を生成するように、またはより短い距離の分散状態で止血材料を分注するための噴霧パターンS2を生成するように、調節され得る。ディスペンサ142は、例えばフラットファンノズル、空円錐ノズル、充円錐ノズル、ミストノズル、および2流体スプレーノズルなどの、様々なタイプのデバイスを備え得る。ディスペンサ142は、オリフィス143のサイズを変更するために使用され得るアクチュエータまたはモータに対して連結され得る。ディスペンサ142は、ハンドルセクション32に位置する例えばボタンまたはレバーなどのユーザインターフェースによって調節され得る。
【0052】
図7は、引戻し可能解剖学的構造体電極302を備える本開示の止血材料静電送達システム200と共に使用するのに適した止血器具300の斜視図である。止血器具300は、作業チャネル310、止血剤チャネル312、対物レンズ314、照明レンズ316、およびシャフト322の遠位端部面320中の電極出口318を備える、内視鏡を備え得る。止血器具300は、引戻し可能解剖学的構造体電極302が内部で追加的に使用され得る点を除いては、図6Aの内視鏡104と同様に構成され得る。したがって、止血剤噴霧324は、帯電した止血粉末を発生させるように、本明細書において説明されるデバイスおよび方法のいずれかを利用して生成され得る。標的組織は、引戻し可能解剖学的構造体電極302を使用して止血剤噴霧324とは逆の極性で帯電され得る。引戻し可能解剖学的構造体電極302は、導体330、絶縁ジャケット332、および拡張性パッド334を備えることが可能であり、この拡張性パッド334は、第1の部分336Aおよび第2の部分336Bを備え得る。電極302は、図1の発電機216などの発電機に対して結合され得る。絶縁ジャケット332は、止血器具300の他の部分との接触を防止するために引戻し可能解剖学的構造体電極302の大部分に沿って延在し得る。引戻し可能解剖学的構造体電極302の遠位部分が、拡張性パッド334に対する結合のために絶縁されないことが可能である。拡張性パッド334は、標的組織Tとの電極302の接触表面積を拡大するために使用され得る。拡張性パッド334は、導体330から径方向外方に拡張するように構成され得る。いくつかの例では、拡張性パッド334は、部分336Aおよび336Bが径方向に拡張することにより標的組織Tに接触する円形表面領域または楕円形表面領域を形成し得るように、金属メッシュコーンを含むことが可能である。いくつかの例では、拡張性パッド334は、部分336Aおよび336Bが外方に枢動することにより標的組織Tに接触する矩形表面領域または偏長形表面領域を形成し得るように、金属トグル継手を含むことが可能である。したがって、拡張性パッド334は、径方向に拡張するために電極出口318から遠位方向に移動されることが可能であるが、径方向に収縮するためには電極出口318内へと近位方向に引き込まれることが可能である。拡張性パッド334は、自己拡張性を有し得る。部分336Aおよび336Bは、開口を有する多孔性構造体またはメッシュ構造体を含むことが可能であり、この開口により、止血粉末はこれらの構造体を通過することが可能になり、しかし出血中または大量出血中の組織を範囲に含むような大きな表面積を電場に与えるための、複数の位置における標的組織Tとの接触が可能になる。例えば、拡張性パッド334は、幅広間隔で離間されたワイヤグリッドを含むことが可能であり、この場合には、ワイヤグリッドは、大きな表面積の組織に対する帯電能力を有することが可能であり、ワイヤグリッド間の空間により、止血材料が組織に到達することが可能となり得る。さらに、拡張性パッド334は、導体330が標的組織Tの意図しない穿孔を防止するために鈍角先端部を備え得る。いくつかの例では、拡張性パッド334は、例えばバルブなどの鈍角先端部により交換されるか、または鈍角先端部を備えることが可能である。
【0053】
図8Aは、スコープ402の遠位端部に配置されるように構成された遠位電極デバイス400の概略分解図である。図8Bは、スコープ402に対して装着された図8Aの遠位電極デバイス400の概略組立図である。図8Aおよび図8Bは、同時に論じられる。
【0054】
遠位電極デバイス400は、本体404、導体406、側部ポート408、リム410、および開口412を備え得る。スコープ402は、作業チャネル414、対物レンズ416、照明レンズ418、シャフト420、および端部面422を備え得る。スコープ402は、図6Bの内視鏡104と同様に構成され得るが、簡略化のためにいくつかの要素のみを示す。
【0055】
本体404は、シャフト420の上に嵌着するようにサイズ設定された管状本体として構成され得る。したがって、開口412は、シャフト420のサイズとほぼ同一サイズであるかまたはそれよりも若干大きいことが可能である。いくつかの例では、開口412およびシャフト420は、円形断面を有する。本体404は、例えば摺動などによりシャフト420に沿って位置決めされるように構成され得る。リム410は、遠位電極デバイス400が端部面422から離れるように近位方向に摺動され得る量を限定するために、開口412内に位置決めされ得る。そのため、本体404の端部面424は、端部面422から固定距離だけ離れて位置決めされ得る。したがって、端部面424が、図9に示すように組織に対して押し付けられると、チャンバが、止血材料を捕捉するために組織と端部面422との間に形成され得る。リム410は、開口412内において本体404の周囲に延在する環状レッジを備え得る。側部ポート408は、リム410の遠位側において本体404上に位置し得る。図9を参照として説明されるように、側部ポート408は、遠位電極デバイス400が組織に対して押し付けられた場合に、遠位端部面422と本体404の側部との間における流体連通を可能にし得る。図示する例では、単一の側部ポート408が示されるが、追加の側部ポート408が備えられることも可能である。
【0056】
導体406は、導体406から本体404に電気が伝導され得るように、任意の適切な様式で本体404に対して装着され得る。本体404は、例えば金属またはステンレス鋼などの導電性材料から作製され得る。さらなる例では、本体404は、金属フレークまたは金属繊維で含浸されたプラスチックから作製され得る。導体406は、例えば発電機216(図2)に対して接続されていることなどにより帯電され得る。図示する例では、導体406は、シャフト420の外部に沿って延在するように構成される。さらなる例では、導体406は、例えば作業チャネル414または別のチャネルもしくは通路などを通してシャフト420の内部に位置決めされ得る。
【0057】
図9は、標的組織432に対して止血材料430を分注するためにスコープ402の遠位端部面422に対して装着された遠位電極デバイス400の概略図である。スコープ402は、本明細書において論じられるものなどの任意の適切な方法により標的組織432まで案内され得る。スコープ402は、本体404の端部面424が標的組織432に接触するように前進され得る。電荷が、本明細書において説明される方法のいずれかにより止血材料430中に発生され得る。例えば、止血器具108(図6A)が、止血材料430を排出するために作業チャネル414内で使用され得る。電荷は、導体406の帯電により本体404にて発生され得る。そのため、止血材料430および本体404は、止血材料430が標的組織432に引き寄せられるように、逆帯電され得る。さらに、止血材料430は、本体404に引き寄せられ、したがって側部ポート408に向かってさらに推進されることになる。したがって、止血材料430は、スコープ402の回転により指向的に照準を定められ得る。さらなる例では、本体404は、スコープ402に対して独立的に回転可能であるように構成され得る。
【0058】
図10は、止血材料を指向的に適用するために電荷を発生させるように構成され得るトロカールデバイス441および442を備える止血材料静電送達システム440の概略図である。トロカールデバイス441は、スコープ444と共に使用することが可能であり、このスコープ444は、画像処理ユニット42に対して接続され得る。トロカールデバイス442は、止血器具446と共に使用することが可能であり、この止血器具446は、止血材料リザーバ126に対して連結され得る。止血材料リザーバ126および画像処理ユニット42は、制御ユニット16(図4)の一部であることが可能である。そのため、図10に示す器具のいずれもが、かかる器具にて電荷を生じさせるために、治療用発生器44(図4)に対して追加的に接続され得る。図示する例では、トロカールデバイス441は、患者Pに対して負電荷を発生させるように構成されることが可能であり、止血器具446は、正帯電した止血材料448を提供するために使用され得る。
【0059】
トロカールデバイス441は、体腔452に到達するように患者Pの切開部450を通して配置され得る。トロカールデバイス441は、管状本体454を備えることが可能であり、この管状本体454は、内部通路を有し、この内部通路により、スコープ444は、切開部450を開位置に保持しつつ、トロカールデバイス441内におよびそれを通り送られることが可能となる。
【0060】
トロカールデバイス442は、体腔452に到達するために患者Pの切開部456を通して配置され得る。トロカールデバイス442は、管状本体458および管状本体460を備え得る。管状本体460は、管状本体458を貫通して延在する通路内に挿入され得る。管状本体458は、器具462を受けるための内部通路を備え得る。管状本体460は、止血器具446を受けるための内部通路を備え得る。器具462は、クランプ鉗子または止血鉗子を含み得る。
【0061】
管状本体454および管状本体458は、切開部450および456のそれぞれの中への通過を防ぐためのリムまたはフランジを備え得る。管状本体454および管状本体458は、管状本体454および管状本体458の中に器具が送られるのを可能にするが、管状本体454および管状本体458の外へと生物学的流体が送られるのを阻止または防止する、内部封止手段をさらに備え得る。
【0062】
トロカールデバイス441および442のいずれかまたは両方が、隣接する解剖学的構造体に対して電荷を供給するために、治療用発生器44に対して連結され得る。したがって、より高い電界強度が、トロカールデバイス441および442に隣接する組織中に生成され得る。トロカールデバイス441および442が、止血材料の使用が望ましい可能性のある身体臓器BOなどの標的組織の近位に配置されることが可能であるため、トロカールデバイス441および442は、分注される止血材料を指向的に配向するまたはその照準を定めるために、共にまたは個別に使用することができる。
【0063】
図11は、特定の解剖学的領域に対合するように形状設定された電極マット480の斜視図である。電極マット480は、脊柱パネル482、尾骨パネル484、および腰椎パネル486を備え得る。腰椎パネル486は、左部488Aおよび右部488Bを備え得る。したがって、電極マット480は、患者の例えば脊柱領域などの背骨などの、患者の特定部分に沿って延在するように形状設定され得る。脊柱パネル482は、典型的な脊柱に沿って延在するように湾曲され得る。腰椎パネル486は、臓器が位置する腹部内の領域に到達するように、脊柱の外方の患者の腰椎領域にわたって延在するように構成され得る。
【0064】
電極マット480は、図1のリード線218Aおよび218Bに対して接続するための様々な結合部を備え得る。いくつかの例では、電極マット480は、図1のパッド220Aおよび220Bの一方または両方として使用され得る。電極マット480は、例えば金属などの導電性材料から作製され得る。さらに、電極マット480は、絶縁材料から作製され、導電性材料で被覆されるまたは含浸されることが可能である。様々な例において、この導電性材料は、電極マット480の種々のゾーンに接触する電気絶縁回路内に設けられ得る。したがって、例えば、脊柱パネル482、尾骨パネル484、および腰椎パネル486の中の1つまたは複数が、帯電され得る。同様に、左部488Aおよび右部488Bの一方または両方が、個別に帯電可能なゾーンに設けられ得る。そのため、患者の標的組織の極近傍に位置する電極マット480のゾーンまたは領域のみが、解剖学的構造体内に所望の電界を生成するために帯電され得る。例えば、外科医または技術者が、所望の構成を実現するために電極マット480上の設定スイッチまたは様々なスイッチを調節し得る。
【0065】
図12は、解剖学的構造体輪郭に形状合致するように形状設定された腰椎パネル486を有する電極マット480の断面図である。腰椎パネル486は、脊柱部分490、左パッド492A、および右パッド492Bを備え得る。腰椎パネル486は、特定の解剖学的領域内において電極マット480に三次元深度を与えるように構成され得る。図示する例では、腰椎パネル486は、患者の腹部の周囲に部分的に巻き付くように湾曲状であることが可能である。左パッド492Aおよび右パッド492Bを備える腰椎パネル486の三次元湾曲状部分は、例えば腎臓または肝臓などの所望の解剖学的領域の近傍に電荷を供給し得る個別に帯電可能なゾーンを備え得る。
【0066】
図11および図12は、特定の内部臓器の近傍に位置するように患者の特定の外部表面と対合するように二次元的にまたは三次元的に形状設定され得る、電極マットの特定の例を示す。例えば臀部、胸郭または胸部領域、鼠径部領域、および頸部領域等の輪郭に対して形状設定されたパッドなどの、他の形状物が使用されることも可能である。したがって、電極マット480および他の例の電極マットは、所望の方向において止血材料が望まれる解剖学的構造体に向かって、ならびに空気、外科器具、および他の解剖学的構造体から離れるように、止血材料を指向的に配向するまたは引くために使用され得る。
【0067】
本開示のデバイス、システム、および方法は、止血物質として様々な物質および組成物を使用し得る。様々な調合物が可能であり、液体、ゲル、または粉末の形態であることが可能である。これらの止血物質の属性としては、以下のものが含まれ得る。
1.副作用をほとんどまたはまったく有さない生体適合性物質。
2.止血剤は、噴霧対象領域内に留まるべきであり、治療済み領域と未治療領域との間に何らかの視覚的差異をもたらすものであるべきである。
3.視覚的差異は、消失する、手技の最中において可視化に影響を及ぼさない、または手技の残りの部分の最中において可視化を向上させる。
4.大量生産による妥当なコスト。
【0068】
止血材料に適する調合物としては、例えばゼオライトなどの鉱物およびキトサンの中の1つまたは複数の顆粒を含む、凝血剤として一般的に使用されるものが含まれ得る。いくつかの例では、止血材料は、市販の止血剤を含むことが可能である。いくつかの例では、止血材料は、例えば接着性止血ポリマーなどのポリマーを含むことが可能である。いくつかの例では、止血材料は、例えば多糖などの澱粉を含むことが可能である。
【0069】
いくつかの例では、本明細書において使用するための、止血材料として使用するのに適した凝血剤は、Khoshmohabat, Hadiらの「Overview of Agents Used for Emergency Hemostasis」、Trauma monthly vol.21,1 e26023.6 Feb.2016、doi:10.5812/traumamon.26023に記載されている。
【0070】
いくつかの例では、本明細書において使用するための、止血材料として使用するのに適した凝血剤は、Gyrus ACMI, Incに譲渡された、「CARBOXYMETHYL CHITOSAN SPONGE FORMULATION」と題するNorowski Jr.の米国特許出願公開第2018/0361011号に記載されている。この出願公開の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
本開示のシステム、デバイス、および方法を利用して実施可能な手技の例としては、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)手技が含まれる。例示のESD手技は、Olympus Corporationに譲渡された、「Submucosal layer dissection instrument, submucosal layer dissection system, and submucosal layer dissection method」と題するYamanoらの米国特許第9,402,683号に記載されている。この米国特許の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。しかし、本開示の方法、システム、およびデバイスと共に他のタイプの手技を用いることが可能である。例えば、止血材料は、上部消化管および下部消化管における緊急的な出血状況において適用され得る。
【0072】
実施例
実施例1は、外科材料送達システムであって、この外科材料送達システムは、細長挿入シャフトであって、この細長挿入シャフトを少なくとも部分的に貫通して延在する通路、およびこの通路に対して流体連結された排出開口を備える、細長挿入シャフトと、この通路を通り流れる外科材料に対して電荷を与えるように構成された、細長挿入シャフトに対して接続された第1の電極と、接触状態にある組織に対して電荷を与えるように構成された、細長挿入シャフトに対して接続された第2の電極とを備える。
【0073】
実施例2において、実施例1の主題は、任意に備える。ここで、第1の電極は、発電機に対して結合するために細長挿入シャフトに沿って延在する第1の導体を備える。
【0074】
実施例3において、実施例2の主題は、任意に備える。ここで、第1の電極は、細長挿入シャフトに対して装着されたリングをさらに備える。
【0075】
実施例4において、実施例2~3の中の任意の1つまたは複数の主題は、任意に備える。ここで、第1の電極は、排出開口に対して連結された金属スプレー先端部をさらに備える。
【0076】
実施例5において、実施例4の主題は、任意に備える。ここで、金属スプレー先端部は、外科材料の可変直径噴霧パターンを生じさせるように構成される。
【0077】
実施例6において、実施例1~5の中の任意の1つまたは複数の主題は、任意に備える。ここで、第2の電極は、細長挿入シャフトから排出開口の遠位に延在する。
【0078】
実施例7において、実施例6の主題は、任意に備える。ここで、第2の電極は、排出開口の近位に引戻し可能である。
【0079】
実施例8において、実施例7の主題は、任意に備える。ここで、第2の電極は、延在部分および遠位先端部を有するワイヤと、遠位先端部を露出状態にするために延在部分に沿って延在する絶縁ジャケットとを備える。
【0080】
実施例9において、実施例8の主題は、任意に備える。ここで、遠位先端部は、折り畳み可能パッドを備える。
【0081】
実施例10において、実施例6~9の任意の1つまたは複数の主題は、任意に備える。ここで、第2の電極は、細長挿入シャフトの遠位端部面に対して結合可能なキャップを備える。
【0082】
実施例11において、実施例10の主題は、任意に備える。ここで、キャップは、細長挿入シャフトを囲むように構成された円筒状本体と、外科材料の通過を可能にするために円筒状本体を貫通して延在する側部ポートとを備える。
【0083】
実施例12において、実施例6~11の任意の1つまたは複数の主題は、任意に備える。ここで、細長挿入シャフトは、内視鏡を備える。
【0084】
実施例13において、実施例1~12の任意の1つまたは複数の主題は、任意に備える。ここで、第2の電極は、トロカールデバイスを備える。
【0085】
実施例14において、実施例13の主題は、任意に備える。ここで、トロカールデバイスは、細長挿入本体が中に挿入される管状本体を備える。
【0086】
実施例15において、実施例1~14の任意の1つまたは複数の主題は、第3の導体を介して発電機に接続可能なパッドを備える第3の電極を任意に備える。
【0087】
実施例16において、実施例15の主題は、任意に備える。ここで、パッドは、複数の導電性ゾーンを備え、各導電性ゾーンは、電界を生成するように個別に作動可能である。
【0088】
実施例17において、実施例15~16の中の任意の1つまたは複数の主題は、任意に備える。ここで、パッドは、解剖学的構造体形状に対応するように構成された二次元形状または三次元形状を備える。
【0089】
実施例18において、実施例1~17の中の任意の1つまたは複数の主題は、任意に備える。ここで、細長挿入シャフトの通路は、PTFEでライニングされる。
【0090】
実施例19において、実施例1~18の中の任意の1つまたは複数の主題は、帯電可能粒子を含む導電性ゲルを任意に備える。
【0091】
実施例20において、実施例1~19の中の任意の1つまたは複数の主題は、第1の電極および第2の電極に対して逆の電荷を与えるために第1の電極および第2の電極に対して結合された発電機と、通路に対して流体連結された外科材料リザーバと、外科材料リザーバに対して流体連結された推進システムとを任意に備える。
【0092】
実施例21は、患者の内腔に対して外科材料を送達するための方法である。この方法は、解剖学的領域内に送達デバイスを挿入することと、送達デバイスに対して外科材料送達システムを結合することであって、外科材料送達システムが外科材料のリザーバを有する、結合することと、解剖学的領域に対して解剖学的構造体電極を位置決めすることと、解剖学的構造体電極に対して第1の電荷を印加することと、送達デバイスから外科材料を分注することと、送達デバイスから退出する外科材料に対して第2の電荷を印加することであって、第2の電荷が第1の電荷の逆である、印加することと、指向的に配向された電界を介して解剖学的構造体電極の近傍の解剖学的領域に対して帯電された外科材料を送達することとを含む。
【0093】
実施例22において、実施例21の主題は、任意に含む。ここで、送達デバイスから退出する外科材料に対して第2の電荷を印加することは、送達デバイスに沿って延在する導体を帯電させることを含む。
【0094】
実施例23において、実施例22の主題は、任意に含む。ここで、送達デバイスから退出する外科材料に対して第2の電荷を印加することは、送達デバイス上に配設されたリング電極を帯電させることをさらに含む。
【0095】
実施例24において、実施例22~23の中の任意の1つまたは複数の主題は、任意に含む。ここで、送達デバイスから退出する外科材料に対して第2の電荷を印加することは、送達デバイス上に配設されたスプレーノズルを帯電させることをさらに含む。
【0096】
実施例25において、実施例24の主題は、スプレーノズルを用いて送達デバイスから退出する外科材料の噴霧直径を調整することを任意に含む。
【0097】
実施例26において、実施例21~25の任意の1つまたは複数の主題は、解剖学的構造体電極を受けるように構成された送達デバイス内の電極チャネル内に解剖学的構造体電極を挿入することを任意に含む。
【0098】
実施例27において、実施例26の主題は、送達デバイスの遠位に解剖学的構造体電極を延在させることと、送達デバイスの近位に解剖学的構造体電極を引き戻すこととを任意に含む。
【0099】
実施例28において、実施例27の主題は、任意に含む。ここで、送達デバイスが中に配設される内視鏡から解剖学的構造体電極を延在させることは、解剖学的領域に向かって、延在部分および遠位端部を有するワイヤを摺動させることと、ジャケットを用いて内腔からワイヤを絶縁することとを含む。
【0100】
実施例29において、実施例28の主題は、ワイヤの遠位先端部に対して装着された拡張性パッドを展開させることを任意に含む。
【0101】
実施例30において、実施例21~29の中の任意の1つまたは複数の主題は、送達デバイスの遠位端部面に対して解剖学的構造体電極を装着することを任意に含む。
【0102】
実施例31において、実施例30の主題は、任意に含む。ここで、解剖学的構造体電極は、送達デバイスを囲むように構成された円筒状本体と、円筒状本体を貫通して延在する側部ポートとを備える、キャップを備える。
【0103】
実施例32において、実施例21~31の中の任意の1つまたは複数の主題は、内視鏡の中に送達デバイスを挿入することを任意に含む。
【0104】
実施例33において、実施例21~32の中の任意の1つまたは複数の主題は、解剖学的構造体の切開部に解剖学的構造体電極を挿入することを任意に含む。
【0105】
実施例34において、実施例33の主題は、任意に含む。ここで、解剖学的構造体電極は、管状本体を備えるトロカールデバイスを備える。
【0106】
実施例35において、実施例21~34の中の任意の1つまたは複数の主題は、任意に含む。ここで、解剖学的構造体電極に対して第1の電荷を印加することは、内腔の外部に配設されたパッドを帯電させることを含む。
【0107】
実施例36において、実施例35の主題は、任意に含む。ここで、解剖学的領域に対して解剖学的構造体電極を位置決めすることは、解剖学的構造体輪郭に沿って解剖学的構造体電極の輪郭を延在させることを含む。
【0108】
実施例37において、実施例35~36の中の任意の1つまたは複数の主題は、任意に含む。ここで、内腔の外部に配設されたパッドを帯電させることは、パッド内に分散する複数の導電性ゾーンのすべて未満を帯電させることを含む。
【0109】
実施例38において、実施例25~37の中の任意の1つまたは複数の主題は、任意に含む。ここで、解剖学的構造体電極に対して第1の電荷を印加することは、内腔内部のある位置に対して導電性ゲルを適用することを含む。
【0110】
実施例39において、実施例21~38の中の任意の1つまたは複数の主題は、摩擦力を利用して送達デバイス内に外科材料を静電気帯電することを任意に含む。
【0111】
実施例40において、実施例21~39の中の任意の1つまたは複数の主題は、送達デバイスに対して連結された推進システムを作動させることと、送達デバイスに対して流体連結された外科材料リザーバから外科材料を押し出すこととを任意に含む。
【0112】
これらの非限定的な実施例はいずれも、独立したものであることが可能であり、または他の実施例の中の1つまたは複数との様々な置換もしくは組合せにおいて組み合わされることが可能である。
【0113】
注記
上記の詳細な説明は、この詳細な説明の一部を構成する添付の図面に対する参照を含む。これらの図は、本発明を実施することが可能な具体的な実施形態を例として示す。また、これらの実施形態は、本明細書においては「実施例」とも呼ばれる。かかる実施例は、図示また説明される要素に加えた要素を備えることが可能である。しかし、本発明者らは、図示または説明される要素のみが用意される実施例をも予期する。さらに、本発明者らは、ある特定の実施例(もしくは1つまたは複数のそれらの態様)または本明細書において図示もしくは説明される他の実施例(もしくは1つまたは複数のそれらの態様)のいずれかに関して、図示また説明される要素の任意の組合せまたは置換を使用した実施例(またはそれらの1つまたは複数の態様)をさらに予期する。
【0114】
本文献と、参照により組み込まれるような任意の文献との間における語法に一貫性がない場合には、本文献の語法が優先される。
【0115】
本文献において、「1つの(a, an)」という語は、特許文献では一般的であるように、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」という任意の他の例または使用とは無関係に、1つ、あるいは2つ以上を含むように使用される。本文献において、「または」という語は、別様のことが明示される場合を除いては、非排他的であることを、すなわち「AまたはB」が「AでありBを除く」、「BでありAを除く」、および「AおよびBである」を含むようなことを示すために使用される。本文献において、「含んでいる」および「ここで(in which)」という用語は、「備えている」および「ここで(wherein)」という各表現と均等な平易な英語として使用される。また、添付の特許請求の範囲において、「含んでいる」および「備えている」という語は、オープンエンドなものであり、すなわち特許請求の範囲においてこの語に続いて列挙されるものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、調合物、またはプロセスは、特許請求の範囲内に依然として包含されるものとみなされる。さらに、添付の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、およびだ「第3の」等の語は、符号として使用されるにすぎず、それらの目的語に対して数的要件を課するように意図されるものではない。
【0116】
本明細書において説明される方法実施例は、少なくとも部分的に機械実装またはコンピュータ実装されることが可能である。いくつかの実施例は、上記の実施例で説明するような方法を実施するように電子デバイスを構成するために実行可能な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含み得る。かかる方法の実装例は、例えばマイクロコード、アセンブリ言語コード、または高水準言語コード等のコードを含み得る。かかるコードは、様々な方法を実施するためのコンピュータ可読命令を含み得る。このコードは、コンピュータプログラム製品の複数部分を構成し得る。さらに、一実施例では、コードは、例えば実行中にまたは他の時点にて、1つまたは複数の揮発性有形コンピュータ可読媒体、持続性有形コンピュータ可読媒体、または不揮発性有形コンピュータ可読媒体に有形的に格納され得る。これらの有形コンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えばコンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、およびリードオンリーメモリ(ROM)等が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0117】
上記の説明は、例示を目的とするものであり、非限定的なものである。例えば、上述の実施例(またはその1つまたは複数の態様)は、相互に組み合わせて使用されてもよい。他の実施形態は、例えば上記の説明を読んだ当業者などによって使用され得る。要約は、読者が技術的開示の特徴を迅速に把握できるようにするために、連邦規則集第37編第1.72条(b)項を遵守して提供される。この要約は、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないという理解に基づき提示される。また、上記の詳細な説明において、様々な特徴が、本開示を合理化するために共にグループ化される場合がある。これは、特許請求されない開示の特徴がいずれかの請求項に必須であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、ある特定の開示される実施形態のすべて未満の特徴に存し得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、実施例または実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、個別の実施形態として独立したものとなる。また、かかる実施形態は、様々な組合せまたは置換において相互に組み合わせることが可能であることが予期される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲と、かかる特許請求の範囲に包含される均等物の全範囲とによって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0118】
10 内視鏡システム
12 制御システム
14 内視鏡
16 制御ユニット
18 出力ユニット
20 入力ユニット
22 光源ユニット
24 流体供給源
26 吸引ポンプ
28 挿入セクション
30 機能セクション
32 ハンドルセクション
34 ケーブルセクション
36 カプラーセクション
38 制御ノブ
40A ポート
40B ポート
41 カート
42 画像処理ユニット
44 治療用発生器
46 駆動ユニット
47 ケーブル
70 カメラモジュール、端部視野内視鏡カメラモジュール
72 ハウジング
74 作業チャネル
76 流体出口
78 照明レンズ
80 対物レンズ
82 ルーメン
84 光伝送器
87 撮像ユニット
88 配線
89 流体ライン
100 内視鏡システム
102 止血材料送達システム
104 内視鏡
106 医療器具
108 止血器具
110 作業チャネル
112 止血剤チャネル
114 対物レンズ
116 照明レンズ
118 流体出口
120 遠位端部面
122 細長シャフト
124 動力デバイス
126 リザーバ
126 止血材料リザーバ
130 シャフト
132 組織セパレータ
140 細長本体
142 ディスペンサ
143 オリフィス
144A 導体
144B 導体
146 電極
148 パッド
150 電極材料
200 止血材料送達システム、止血材料静電送達システム
201 ベッド
202 静電ガイドシステム
204 外科医
206 患者
208 テーブル
210 スタンド
212 ベッド
214 カテーテル
216 発電機
218A 第1のリード線
218B 第2のリード線
220A 第1のパッド
220B 第2のパッド
222 接地
230 止血材料
232 標的組織
234 正電荷
236 負電荷
300 止血器具
302 引戻し可能解剖学的構造体電極
310 作業チャネル
312 止血剤チャネル
314 対物レンズ
316 照明レンズ
318 電極出口
320 遠位端部面
322 シャフト
324 止血剤噴霧
330 導体
332 絶縁ジャケット
334 拡張性パッド
336A 第1の部分
336B 第2の部分
400 遠位電極デバイス
402 スコープ
404 本体
406 導体
408 側部ポート
410 リム
412 開口
414 作業チャネル
416 対物レンズ
418 照明レンズ
420 シャフト
422 端部面、遠位端部面
424 端部面
430 止血材料
432 標的組織
440 止血材料静電送達システム
441 トロカールデバイス
442 トロカールデバイス
444 スコープ
446 止血器具
448 止血材料
450 切開部
452 体腔
454 管状本体
456 切開部
458 管状本体
460 管状本体
462 器具
480 電極マット
482 脊柱パネル
484 尾骨パネル
486 腰椎パネル
488A 左部
488B 右部
490 脊柱部分
492A 左パッド
492B 右パッド
A1 中心長手方向軸
S1 噴霧パターン
S2 噴霧パターン
BO 身体臓器
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-10-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科材料送達システムであって、
細長挿入シャフトであって、
前記細長挿入シャフトを少なくとも部分的に貫通して延在する通路、および
前記通路に対して流体連結された排出開口
を備える、細長挿入シャフトと、
前記通路を通り流れる外科材料に対して電荷を与えるように構成された、前記細長挿入シャフトに対して接続された第1の電極と、
接触状態にある組織に対して電荷を与えるように構成された、前記細長挿入シャフトに対して接続された第2の電極と
を備える、外科材料送達システム。
【請求項2】
前記第1の電極は、発電機に対して結合するために前記細長挿入シャフトに沿って延在する第1の導体を備える、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項3】
前記第1の電極は、前記細長挿入シャフトに対して装着されたリングをさらに備える、請求項2に記載の外科材料送達システム。
【請求項4】
前記第1の電極は、前記排出開口に対して連結された金属スプレー先端部をさらに備える、請求項2に記載の外科材料送達システム。
【請求項5】
前記金属スプレー先端部は、前記外科材料の可変直径噴霧パターンを生じさせるように構成される、請求項4に記載の外科材料送達システム。
【請求項6】
前記第2の電極は、前記細長挿入シャフトから前記排出開口の遠位に延在する、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項7】
前記第2の電極は、前記排出開口の近位に引戻し可能である、請求項6に記載の外科材料送達システム。
【請求項8】
前記第2の電極は、
延在部分および遠位先端部を有するワイヤと、
前記遠位先端部を露出状態にするために前記延在部分に沿って延在する絶縁ジャケットと
を備える、請求項7に記載の外科材料送達システム。
【請求項9】
前記遠位先端部は、折り畳み可能パッドを備える、請求項8に記載の外科材料送達システム。
【請求項10】
前記第2の電極は、前記細長挿入シャフトの遠位端部面に対して結合可能なキャップを備える、請求項6に記載の外科材料送達システム。
【請求項11】
前記キャップは、
前記細長挿入シャフトを囲むように構成された円筒状本体と、
外科材料の通過を可能にするために前記円筒状本体を貫通して延在する側部ポートと
を備える、請求項10に記載の外科材料送達システム。
【請求項12】
前記細長挿入シャフトは、内視鏡を備える、請求項6に記載の外科材料送達システム。
【請求項13】
前記第2の電極は、トロカールデバイスを備える、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項14】
前記トロカールデバイスは、前記細長挿入本体が中に挿入される管状本体を備える、請求項13に記載の外科材料送達システム。
【請求項15】
第3の導体を介して発電機に接続可能なパッドを備える第3の電極をさらに備える、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項16】
前記パッドは、複数の導電性ゾーンを備え、各導電性ゾーンは、電界を生成するように個別に作動可能である、請求項15に記載の外科材料送達システム。
【請求項17】
前記パッドは、解剖学的構造体形状に対応するように構成された二次元形状または三次元形状を備える、請求項15に記載の外科材料送達システム。
【請求項18】
前記細長挿入シャフトの前記通路は、PTFEでライニングされる、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項19】
帯電可能粒子を含む導電性ゲルをさらに備える、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【請求項20】
前記第1の電極および前記第2の電極に対して逆の電荷を与えるために前記第1の電極および前記第2の電極に対して結合された発電機と、
前記通路に対して流体連結された外科材料リザーバと、
前記外科材料リザーバに対して流体連結された推進システムと
をさらに備える、請求項1に記載の外科材料送達システム。
【外国語明細書】