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特開2024-8914サージ保護回路を備えたトーテムポールPFC及びトーテムポールPFCに用いるサージ保護方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008914
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】サージ保護回路を備えたトーテムポールPFC及びトーテムポールPFCに用いるサージ保護方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H02M7/12 H
H02M7/12 Q
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111959
(22)【出願日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】22183677
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】511176654
【氏名又は名称】デルタ エレクトロニクス (タイランド) パブリック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Delta Electronics (Thailand) Public Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】909 Soi 9, Moo 4, Bangpoo Industrial Estate (E.P.Z.), Pattana 1 Road, Tambon Prakasa, Amphur Muang, Samutprakarn 10280, Thailand
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ポールマン
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006AA02
5H006CA02
5H006CA07
5H006CB02
5H006CB08
5H006DB01
5H006DC02
5H006FA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、サージ保護回路を備えたトーテムポールPFCに関する。
【解決手段】トーテムポールPFCは、少なくとも2つのバイパスダイオードを備えた少なくとも1つのバイパスダイオード分岐と、少なくとも2つのスイッチを備えた少なくとも1つのスイッチ分岐と、少なくとも2つのスイッチを備えた少なくとも1つの極性変換器分岐と、スイッチ分岐を入力電圧源と接続する入力ブリッジと、入力ブリッジをバイパスダイオード分岐のバイパスダイオードと並列に接続する少なくとも1つのバイパス分岐と、を含む。サージ保護回路は、バイパスダイオード分岐の少なくとも1つのバイパスダイオードを流れる電流を検出するように構成される少なくとも1つの電流センサと、検出された電流値を電流センサから受信し、検出された電流値に少なくとも基づいてトーテムポールPFCの少なくとも1つのスイッチを切り替える制御ユニットと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サージ保護回路を備えたトーテムポール力率改善回路(PFC)であって、
少なくとも2つのバイパスダイオードを備えた少なくとも1つのバイパスダイオード分岐と、
少なくとも2つのスイッチを備えた少なくとも1つのスイッチ分岐と、
少なくとも2つのスイッチを備えた少なくとも1つの極性変換器分岐と、
前記スイッチ分岐を入力電圧源と接続する入力ブリッジと、
前記入力ブリッジを前記バイパスダイオード分岐のバイパスダイオードと並列に接続する少なくとも1つのバイパス分岐と、を含み、
前記サージ保護回路は、
前記バイパスダイオード分岐の少なくとも1つのバイパスダイオードを流れる電流を検出するように構成される少なくとも1つの電流センサと、
検出された電流値を前記少なくとも1つの電流センサから受信し、前記検出された電流値に少なくとも基づいて前記トーテムポールPFCの少なくとも1つのスイッチを切り替える制御ユニットと、を含む、トーテムポールPFC。
【請求項2】
前記制御ユニットは、
前記検出された電流値を所定の保護電流値と比較するためのコンパレータと、
前記トーテムポールPFCの前記少なくとも1つのスイッチをスイッチオフするためのラッチと、
前記トーテムポールPFCを制御するための信号処理ユニットと、
を含む、請求項1に記載のトーテムポールPFC。
【請求項3】
前記信号処理ユニットは、さらに、前記トーテムポールPFCがスイッチオンされた後、前記検出された電流値と所定の持続時間とに基づいて前記トーテムポールPFCの前記少なくとも1つのスイッチを切り替えることに用いられる、請求項2に記載のトーテムポールPFC。
【請求項4】
前記検出された電流値が前記所定の保護電流値以上である場合、前記コンパレータは、前記ラッチにラッチ信号を入力し、前記ラッチは、前記ラッチ信号に基づいて、前記スイッチ分岐と前記極性変換器分岐の前記少なくとも1つのスイッチをスイッチオフすることに用いられる、請求項3に記載のトーテムポールPFC。
【請求項5】
前記検出された電流値が前記所定の保護電流値以上である場合、前記信号処理ユニットは、前記スイッチ分岐と前記極性変換器分岐のすべての前記スイッチを前記所定の持続時間オフ状態に維持させる、請求項3に記載のトーテムポールPFC。
【請求項6】
前記信号処理ユニットは、さらに、前記検出された電流値が前記所定の保護電流値以下でありかつ前記所定の持続時間が経過した場合、ラッチリセット入力を前記ラッチに提供することに用いられる、請求項4に記載のトーテムポールPFC。
【請求項7】
前記サージ保護回路は、さらに、前記検出された電流値が前記所定の保護電流値以上である場合、電流が前記バイパスダイオード分岐を流れないようにすることに用いられる、請求項2に記載のトーテムポールPFC。
【請求項8】
前記サージ保護回路は、さらに、前記トーテムポールPFCの起動中、充電操作中又はサージ電圧の導入中にのみ、電流が前記少なくとも1つのバイパス分岐を流れるようにすることに用いられる、請求項1に記載のトーテムポールPFC。
【請求項9】
前記少なくとも1つのバイパスダイオード分岐は前記少なくとも1つのスイッチ分岐と並列に接続している、請求項1に記載のトーテムポールPFC。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電流センサは、前記バイパス分岐と前記バイパスダイオード分岐との複数の接続点の間に配置される、請求項1に記載のトーテムポールPFC。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電流センサはそれぞれ、前記バイパス分岐と前記バイパスダイオード分岐との接続点と、前記バイパスダイオード分岐と前記スイッチ分岐との接続点との間のノードに配置される、請求項10に記載のトーテムポールPFC。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電流センサはそれぞれ、前記バイパス分岐と前記入力ブリッジとの接続点と、前記バイパス分岐と前記バイパスダイオード分岐との接続点との間の前記バイパス分岐のノードに配置される、請求項10に記載のトーテムポールPFC。
【請求項13】
前記少なくとも1つの電流センサは複数の電流センサであり、前記複数の電流センサが配置され、且つ前記バイパスダイオード分岐の各バイパスダイオードは前記複数の電流センサのうちの少なくとも1つと直列に接続している、請求項10に記載のトーテムポールPFC。
【請求項14】
所定の保護電流値が前記トーテムポールPFCの起動電流値以上である、請求項1に記載のトーテムポールPFC。
【請求項15】
トーテムポールPFCに用いるサージ保護方法であって、前記トーテムポールPFCは、少なくとも2つのバイパスダイオードを備えた少なくとも1つのバイパスダイオード分岐と、少なくとも2つのスイッチを備えた少なくとも1つのスイッチ分岐と、少なくとも2つのスイッチを備えた少なくとも1つの極性変換器分岐と、前記スイッチ分岐を入力電圧源と接続する入力ブリッジと、前記入力ブリッジを前記バイパスダイオード分岐のバイパスダイオードと並列に接続する少なくとも1つのバイパス分岐と、を含み、前記サージ保護方法は、
少なくとも1つの電流センサによって前記バイパスダイオード分岐の少なくとも1つのバイパスダイオードを流れる電流を検出するステップと、
検出された電流値を所定の保護電流値と比較するステップと、
前記検出された電流値が前記所定の保護電流値以上である場合、前記トーテムポールPFCの少なくとも1つのスイッチをオフ状態に切り替えるステップと、を含む、サージ保護方法。
【請求項16】
ラッチを用いて切り替えられた状態を所定のラッチ持続時間保持するステップと、前記所定のラッチ持続時間後に前記ラッチをリセットするステップと、をさらに含む、請求項15に記載のサージ保護方法。
【請求項17】
前記検出された電流値が前記所定の保護電流値以上である場合、前記トーテムポールPFCのすべてのスイッチは前記所定のラッチ持続時間オフ状態に切り替えられる、請求項16に記載のサージ保護方法。
【請求項18】
前記所定のラッチ持続時間が経過した後、且つ前記検出された電流値が前記所定の保護電流値以下である場合、前記ラッチをリセットする、請求項16に記載のサージ保護方法。
【請求項19】
前記トーテムポールPFCがシャットオンされた後、前記少なくとも1つのスイッチを前記切り替えられた状態に切り替える前に、所定の持続時間待機するステップ、をさらに含む、請求項15に記載のサージ保護方法。
【請求項20】
前記検出された電流値が前記所定の保護電流値以上である場合、電流が前記少なくとも1つのバイパス分岐を流れるようにするステップ、をさらに含む、請求項15に記載のサージ保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サージ保護回路を備えたトーテムポールPFC(power factor correction circuit、力率改善回路)及びトーテムポールPFCに用いるサージ保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばUS 2012/0294053A1又はUS 2020/0161962A1から知られている従来のPFC電力変換器は、一般的に、電力高調波による電力網の干渉の低減及び電力網のノイズの低減のために用いられる。特に、PFCの初期製品テスト中及びその使用中に、入力電圧源(例えば電力網)から供給される電圧は、サージ電圧を生成する傾向がある。このような場合、これらのサージ電圧及びその誘導電流に起因する破壊からデバイスを保護するために、サージ保護回路が一般的に使用されている。しかしながら、従来のサージ保護回路では、トーテムポールPFCを適切かつ確実に保護できるものがない。特に、従来のサージ保護回路は、極性変換器を備えるトーテムポールPFCに適したサージ保護を提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、サージ電圧に適切、確実かつ迅速に反応するとともにトーテムポールPFCを保護できる、サージ保護回路を備えたトーテムポールPFCを提供することにある。また、本発明の1つの目的は、トーテムポールPFCをサージ電圧から適切、確実かつ迅速に保護できる、トーテムポールPFCに用いるサージ保護方法を提供することにある。
【0004】
当該目的の解決手段は独立請求項の発明特定事項によって解決される。従属請求項は本発明の有利な実施例を含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、サージ保護回路を備えたトーテムポールPFCに関する。ここで、トーテムポールPFCは、少なくとも2つのバイパスダイオードを備えた少なくとも1つのバイパスダイオード分岐と、少なくとも2つのスイッチを備えた少なくとも1つのスイッチ分岐と、少なくとも2つのスイッチを備えた少なくとも1つの極性変換器分岐と、スイッチ分岐を入力電圧源と接続する入力ブリッジと、を含む。また、トーテムポールPFCは、入力ブリッジをバイパスダイオード分岐のバイパスダイオードと並列に接続する少なくとも1つのバイパス分岐を含む。サージ保護回路は、バイパスダイオード分岐の少なくとも1つのバイパスダイオードを流れる電流を検出するように構成された少なくとも1つの電流センサを含む。サージ保護回路は、検出された電流値を電流センサから受信し、検出された電流値に少なくとも基づいてトーテムポールPFCの少なくとも1つのスイッチを切り替えるように構成された制御ユニットをさらに含む。
【0006】
サージ保護回路を備えたトーテムポールPFCは、電流センサがバイパスダイオード分岐の少なくとも1つのバイパスダイオードを流れる電流を検出することによってサージ電圧を適切に検出できるという利点がある。
【0007】
好ましくは、当該少なくとも1つの電流センサは電流変換器、好ましくはホール効果センサ、さらに好ましくは磁気抵抗(magneto resistive、AMR)センサである。それに加えて、またはその代わりに、少なくとも1つの電流センサは、好ましくはシャント抵抗器(電流検出用抵抗器)である。
【0008】
好ましくは、電流は、PFCデバイスの初期起動中とその直後、及び入力電圧源がサージ電圧を入力するときにのみ、バイパスダイオード分岐を流れる。したがって、本発明は、バイパスダイオード分岐を流れる電流を検出することにより、サージ電圧の発生を迅速かつ確実に検出する。
【0009】
好ましくは、用語「初期起動」は、特に初めて及び/又は完全に遮断された後に、デバイスの電源を入れた状態を指す。
【0010】
サージ保護回路は、サージ電圧を有利に検出し、サージ電圧から保護することに加えて、好ましくは、PLD(power line disturbances、電力線干渉)を検出し、それに応じてこれらから保護することができる。
【0011】
好ましくは、トーテムポールPFCは、特にその出力側において、トーテムポールPFCの起動中に充電されるコンデンサを含む。好ましくは、電流は、サージ電圧が存在しない場合、コンデンサ充電中にのみバイパスダイオード分岐を流れる。言い換えると、コンデンサは完全に充電されると、トーテムポールPFCの動作中に、サージ電圧が存在しない限り、バイパスダイオードを流れる電流はない。
【0012】
好ましくは、用語「電流はない」は「基本的に電流はない」ことを意味する。言い換えると、例えば電磁干渉に起因する小さな誘導電流は、必ずしも「電流はない」という用語によって除外されるわけではない。また、例えば、「電流はない」は、好ましくは「意図的な電流はない」ことを意味し、すなわち、トーテムポールPFC及びサージ保護回路は、例えば電流を供給するデバイスの明示的な切り替えを介して、「電流はない」という用語が指す時間及び/又は位置に流れる意図的な電流がない、ように設計されている。
【0013】
好ましくは、電流センサはバイパス分岐に配置される。さらに好ましくは、電流センサは、特に、バイパス分岐と入力ブリッジとの接続点と、バイパス分岐とバイパスダイオード分岐との接続点との間のバイパス分岐のノードに配置される。
【0014】
好ましくは、サージ保護回路は複数の電流センサを含む。ここで、バイパスダイオード分岐の各バイパスダイオードはこれらの電流センサの少なくとも1つと直列に接続される。好ましくは、1つ又は複数のバイパスダイオード分岐の各バイパスダイオードは複数の電流センサのうちの少なくとも1つの電流センサに接続される。
【0015】
有利なことに、少なくとも1つのバイパスダイオード分岐は少なくとも1つのスイッチ分岐と並列に接続される。ここで、1つ又は複数の電流センサはそれぞれ、バイパスダイオード分岐とバイパス分岐との接続点と、バイパスダイオード分岐とスイッチ分岐との接続点との間のノードに配置される。
【0016】
さらに好ましくは、第1の電流センサは、バイパスダイオード分岐とバイパス分岐との接続点と、バイパスダイオード分岐とスイッチ分岐の少なくとも1つのハイサイドスイッチとの接続点との間のノードに配置される。さらに好ましくは、第2の電流センサは、バイパスダイオード分岐とバイパス分岐との接続点と、バイパスダイオード分岐とスイッチ分岐のローサイドスイッチとの接続点との間のノードに配置される。
【0017】
有利なことに、トーテムポールPFCは、1つ又は複数の上記したスイッチ分岐と1つの極性変換器分岐を含む。複数のスイッチ分岐の場合、バイパスダイオード分岐に最も近いスイッチ分岐は、第1のスイッチ分岐と呼ばれてもよい。当該第1のスイッチ分岐がバイパスダイオード分岐との直接接続点を有する。1つ又は複数の他のスイッチ分岐は、第2又はそれ以上のスイッチ分岐と呼ばれてもよく、第1のスイッチ分岐との直接接続点を有すると同時に、好ましくは1つ又は複数又はいずれかのバイパスダイオード分岐との直接接続点を有しない。
【0018】
好ましくは、トーテムポールPFCは複数の電流センサを含む場合、少なくとも1つの電流センサは、バイパスダイオード分岐とバイパス分岐との接続点と、第1のスイッチ分岐の接続点とを接続する各ノード、すなわち、バイパスダイオード分岐と第1のスイッチ分岐との間のハイサイドノードとローサイドノードとの少なくとも1つに配置される。これらの電流センサは、好ましくは、バイパス分岐に配置される少なくとも1つの電流センサに加えて、または代替的に配置される。
【0019】
1つの有利な実施例では、トーテムポールPFCは、ちょうど1つのバイパスダイオード分岐を含む。
【0020】
好ましくは、トーテムポールPFCは、1つ又は複数、好ましくは2つ又はそれ以上、好ましくは3つ又はそれ以上、さらに好ましくは4つ又はそれ以上のスイッチ分岐を含む。好ましくは、トーテムポールPFCは、ちょうど1つの又はちょうど2つの又はちょうど3つのスイッチ分岐を含む。さらに好ましくは、各スイッチ分岐はちょうど2つのスイッチを含む。
【0021】
さらに好ましくは、トーテムポールPFCは、ちょうど1つの極性変換器分岐を含む。有利なことに、極性変換器分岐は、ちょうど2つのスイッチを含む。
【0022】
好ましくは、トーテムポールPFCのいずれか又はすべてのスイッチは、特に各スイッチは逆並列ダイオードに接続される。MOSFETスイッチの例示的な例では、これらのスイッチは、好ましくは逆並列ボディダイオードである。
【0023】
好ましくは、バイパスダイオード分岐は、2つのスイッチ分岐と並列に結合される。さらに好ましくは、極性変換器分岐は、スイッチ分岐及びバイパスダイオード分岐と並列に結合される。
【0024】
有利なことに、極性変換器分岐は、特に、バイパス分岐を介して入力電圧源と追加的に並列に結合される。さらに好ましくは、トーテムポールPFCは、極性変換器分岐を入力電圧源と接続する極性変換器ブリッジを含む。
【0025】
1つの実施例では、制御ユニットは、好ましくは、トーテムポールPFCの少なくとも1つのスイッチをスイッチオフするためのラッチとラッチをリセットするためのラッチリセット入力とを含む。ここで、ラッチリセット入力は、特に、デジタル信号プロセッサからラッチリセット信号を受信するように構成される。デジタル信号プロセッサは、好ましくは、トーテムポールPFCに、特に、トーテムポールPFCのサージ保護回路に含まれる。
【0026】
好ましくは、前記ラッチは集積論理ラッチである。さらに好ましくは、ラッチはディスクリートトランジスタ/MOSFET回路であり、特に、ダイオードフィードバックで実現される。さらに好ましくは、ラッチは集積ドライバであり、特に、ダイオードフィードバックで自己保持が実現される。
【0027】
好ましくは、ラッチはエッジトリガーフリップフロップタイプのものである。
【0028】
好ましくは、特に、各スイッチがノーマルオンスイッチであるかノーマルオフスイッチであるかに応じて、ラッチは積極的に(OFF信号を介して)各スイッチをスイッチオフするか、または受動的に(ON信号なしで)スイッチをスイッチオフする。
【0029】
さらに好ましくは、制御ユニットは、検出された電流を所定の保護電流値と比較するためのコンパレータを含む。
【0030】
好ましくは、コンパレータは集積演算増幅器(integrated operation amplifier、OPV)である。さらに好ましくは、コンパレータは集積コンパレータ(integrated comparator、IC)である。さらに好ましくは、コンパレータは、特に、ドライバの一定の入力レベルを使用する集積ドライバである。
【0031】
好ましくは、所定の保護電流値は、PFCの起動電流値よりも高い所定の値である。例えば、トーテムポールPFCの起動中に、バイパスダイオード分岐の1つ又は複数のバイパスダイオードに例えば30Aの電流が発生され得る。好ましくは、所定の保護電流値は、30Aよりも高く設定され、好ましくは30Aから100Aの間に設定される。なお、好ましくは、当該所定の保護電流値は300A未満である。
【0032】
1つの有利な実施例では、コンパレータは、制御ユニットのラッチに用いるラッチ入力信号を出力する。したがって、好ましくは、コンパレータは検出された電流が所定の保護電流値以上であると決定すると、コンパレータはラッチ入力信号を出力し、当該ラッチ入力信号は、ラッチがトーテムポールPFCの少なくとも1つのスイッチを切り替えるように制御する。
【0033】
好ましくは、コンパレータはシュミットトリガー又はアナログコンパレータである。コンパレータは好ましくはシュミットトリガーである場合、その下限しきい値は、好ましくは、バイパスダイオード分岐を流れる起動電流の予定の範囲内に設定される。さらに好ましくは、その上限しきい値は、好ましくは、所定の保護電流値に設定される。したがって、コンパレータは、トーテムポールPFCの起動中にラッチ入力信号を出力しない。保護回路は、起動又はPLD(電力線干渉)中にトリガーされると、制御ユニットはこの旨を認識してラッチをリセットする。PFCは続行し、その後ノーマル操作を続行することができる。
【0034】
好ましくは、制御ユニットは、検出された電流とトーテムポールPFCがスイッチオンされた後の所定の持続時間とに基づいてトーテムポールPFCの少なくとも1つのスイッチを切り替えるように構成される。したがって、好ましくは、サージ保護回路は、デバイスの起動に起因する少なくとも1つのダイオードを流れる電流に反応してトーテムポールPFCの少なくとも1つのスイッチを切り替えることがない。
【0035】
好ましくは、制御ユニット、特に、制御ユニットのラッチは、トーテムポールPFCのすべてのスイッチをスイッチオフするように構成される。特に、制御ユニットは、好ましくは、すべてのスイッチ分岐とすべての極性変換器分岐とのすべてのスイッチをスイッチオフするように構成される。
【0036】
好ましくは、各スイッチの上記OFF切り替えは、特に、1つ又は複数のスイッチはノーマルONタイプである好ましい場合、制御ユニットがアクティブなOFF信号を出力することによって実現される。代替的に、またはこれに加えて、1つ又は複数のスイッチはノーマルOFFタイプである好ましい場合、制御ユニットは、ON信号を供給しないこと及び/又はON信号の出力を停止することによって各スイッチをスイッチオフするように構成される。
【0037】
本発明は、さらに、トーテムポールPFCに用いるサージ保護方法に関する。ここで、トーテムポールPFCは、少なくとも2つのバイパスダイオードを備えた少なくとも1つのバイパスダイオード分岐と、少なくとも2つのスイッチを備えた少なくとも1つのスイッチ分岐と、少なくとも2つのスイッチを備えた少なくとも1つの極性変換器分岐と、前記スイッチ分岐を入力電圧源と接続する入力ブリッジと、前記入力ブリッジを前記バイパスダイオード分岐のバイパスダイオードと並列に接続する少なくとも1つのバイパス分岐と、を含む。ここで、前記サージ保護方法は、以下のステップを含む。少なくとも1つの電流センサによってバイパスダイオード分岐の少なくとも1つのバイパスダイオードを流れる電流を検出及び/又は測定する。検出された電流値を所定の保護電流値と比較する。検出された電流値は保護電流値以上である場合、トーテムポールPFCの少なくとも1つのスイッチを切り替えられた状態に切り替え、特に、オフ状態に切り替える。
【0038】
好ましくは、サージ保護方法は、前述した実施例のいずれか1つに係るサージ保護回路を備えたトーテムポールPFCによって実行される。特に、サージ保護方法は、好ましくは、前述した実施例のいずれか1つに係るサージ保護回路を備えたトーテムポールPFCの制御ユニットによって実行される。
【0039】
好ましくは、サージ保護方法は、切り替えられた状態、好ましくはオフ状態を、ラッチで所定のラッチ持続時間保持するステップを含む。ここで、サージ保護方法は、ラッチを所定のラッチ持続時間後にリセットするステップを含む。
【0040】
好ましくは、サージ保護方法は、検出された電流値が保護電流値以下であり、かつラッチ持続時間が経過すると、ラッチをリセットする。
【0041】
さらに好ましくは、トーテムポールPFCのすべてのスイッチは、検出された電流値が保護電流値以上である場合、オフ状態に切り替えられる。
【0042】
1つの好ましい実施例では、当該方法は、トーテムポールPFCがシャットオンされた後、少なくとも1つのスイッチをオフ状態に切り替える前に、所定の持続時間待機するステップを含む。好ましくは、待機するステップは、サージ保護回路のコンパレータとラッチとの少なくとも1つをトーテムポールPFCから切り離すことによって実行される。
【0043】
好ましくは、オフ状態を所定のラッチ持続時間保持するステップ及び検出された電流値を所定の保護電流値と比較するステップは、好ましくは、交互に繰り返される。言い換えると、サージ保護方法には、所定のラッチ持続時間が経過すると、サージ保護方法は検出された電流値を所定の保護電流値と(再度)比較し、検出された電流値が保護電流値以下である場合、ラッチをリセットする。この場合に検出された電流値が(依然として)保護電流値以下でない場合、サージ保護方法は、所定のラッチ持続時間後にラッチをリセットしない。好ましくは、検出された電流値が保護電流値以下でない場合、サージ保護方法は、所定のラッチ時間をリセットし、オフ状態を所定のラッチ持続時間(再度)保持する。
【0044】
好ましくは、特に、電流値の上記再測定と比較の代替として、サージ保護方法は、電流値の再測定と再比較を行わずに、所定のラッチ持続時間後にラッチをリセットする。ここで、電流値が(依然として)保護電流値以上である場合、サージ保護方法は、スイッチをオフ状態に再ラッチする。
【0045】
好ましくは、ラッチをリセットすることでトーテムポールPFCのノーマル操作を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の好ましい実施例の更なる詳細、利点及び特徴について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1】本発明の第1の実施例によるサージ保護回路を備えたトーテムポールPFCの回路図及び入力サージ電圧の概略図を示している。
図2】本発明の第1の実施例によるサージ保護回路を備えたトーテムポールPFCの回路図及び入力サージ電圧の概略図を示している。
図3】本発明の第1の実施例によるサージ保護回路を備えたトーテムポールPFCの回路図及び入力サージ電圧の概略図を示している。
図4】本発明の第1の実施例によるサージ保護回路を備えたトーテムポールPFCの回路図及びトーテムポールPFCの極性変換器の入力サージ電圧と入力信号の概略図を示している。
図5】本発明の第1の実施例によるサージ保護回路を備えたトーテムポールPFCのサージ保護回路と制御ユニットの機能回路概略図を示している。
図6】本発明の第2の実施例によるサージ保護回路を備えたトーテムポールPFCの回路図を示している。
図7】本発明の実施例によるサージ保護方法の概略ブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
特に、図1図4は、サージ保護回路2を備えたトーテムポールPFC 1の第1の実施例を示している。図1図3には、その入口図に示すように、サージ電圧は入力電圧源10によって導入される。図4には、入口は誤った極性変換器7の切り替え操作を示しており、トーテムポールPFC 1にもサージ電流が導入されている。
【0048】
図1の回路図から詳しくわかるように、本実施例のトーテムポールPFC 1は、2つのバイパスダイオード4を備えた1つのバイパスダイオード分岐3を含む。簡潔のため、図面に示される2つのバイパスダイオード4は、単一のバイパスダイオード分岐3の素子と呼ばれ、その中に追加の結合点又は接続点(例えば、以下のバイパス分岐11の説明)があるが、この表現には影響しない。スイッチ分岐5及び極性変換器分岐7についても、同様又は類似の表現を使用する。
【0049】
トーテムポールPFC 1は、1つ又は複数のスイッチ分岐5を含む。本実施例では、トーテムポールPFC 1は2つのスイッチ分岐5を含む。各スイッチ分岐5は2つのスイッチ6を含む。
【0050】
また、トーテムポールPFC 1は、2つのスイッチ8(極性変換器スイッチ8)を含む極性変換器分岐7を含む。極性変換器分岐7は、スイッチ分岐5から出力された信号の極性を、トーテムポールPFC 1のコンデンサ13と出力14とを備えたコンデンサ分岐12での適切なDC電圧に変更するために用いられる。
【0051】
また、トーテムポールPFC 1は、スイッチ分岐5をそれぞれ入力電圧源10と接続する入力ブリッジ9を含む。入力ブリッジ9は、スイッチ分岐5ごとに1つのインダクタンス分岐15を含み、各スイッチ分岐5を入力電圧源10と接続する。
【0052】
また、トーテムポールPFC 1は、電磁干渉フィルタ16(EMIフィルタ16)を含む。
【0053】
トーテムポールPFC 1は、入力ブリッジ9をバイパスダイオード分岐3のバイパスダイオード4と並列に接続する、バイパス分岐11をさらに含む。以下で詳しく説明するように、電流は、トーテムポールPFC 1の起動中に、特に、コンデンサ13の充電操作中及び入力電圧源10によるサージ電圧の導入中にのみ、バイパス分岐11を流れる。
【0054】
以下のサージ入力電圧の説明では、コンデンサ13はすでに充電されており、特に、満充電であると仮定する。言い換えると、所定の起動時間が経過した。
【0055】
図1の入口に示すように、電圧源10、例えば電力網はAC電圧を導入する。図1に示す場合、電圧源10は(そうでない場合規則的な)AC電圧の正相中に高サージ電圧を導入する。
【0056】
この場合、図1に示すように、極性変換器分岐7はその極性変換器スイッチ8を介して意図した又は正しい状態にあり、すなわち、ハイサイド極性変換器スイッチ8はオフ(OFF)、ローサイド極性変換器スイッチ8はオン(ON)になっている。この場合、「ハイサイド」及び「ローサイド」は、トーテムポールPFC 1の出力14での出力信号電圧の極性を指す。
【0057】
図1の高サージ電圧の場合、電流、すなわち、サージ電流は、バイパス分岐11を流れる。図1の太字及び「isurge」に示すように、高サージ電圧によって生成されるサージ電流は電圧源10から流出し、バイパス分岐11、ハイサイドバイパスダイオード4、コンデンサ13、ON状態にあるローサイド極性変換器スイッチ8を流れ、極性変換器ブリッジ17を介してEMIフィルタ16と電圧源10まで流れる。
【0058】
これにより、高サージ電流は、特に、極性変換器分岐7のローサイドスイッチ8を流れ、デバイスの破壊の原因となる。
【0059】
これを緩和するため、図1及び図5に示すように、トーテムポールPFC 1はサージ保護回路2を含む。
【0060】
図5は、本実施例のサージ保護回路2の制御ユニット21の詳細機能回路図を示している。図1には、サージ保護回路2の電流センサ18を示している。本実施例では、電流センサ18はバイパス分岐11に配置される。
【0061】
好ましくは、電流センサ18は、バイパス分岐11と入力ブリッジ9との第1の接続点24と、バイパス分岐11とバイパスダイオード分岐3との第2の接続点25との間のバイパス分岐11のノードに配置される。
【0062】
制御ユニット21はコンパレータ19、特に、ハードウェアベースのコンパレータを含み、当該コンパレータは、電流センサ18(図1も参照)で測定した電流を所定の保護電流値27と比較する。電流センサ18で測定した電流は、図5に示すように、「isurge_measure」と表される。
【0063】
所定の保護電流値27は電流値、特に、絶対値であり、当該値(及び/又は当該値よりも高い)を持つサージ電流はトーテムポールPFC1の損傷及び/又は破壊を引き起こす可能性がある。当該保護電流値27は信号処理ユニット23を介してコンパレータ19に入力され、特に、一定の値に設定されている。
【0064】
信号処理ユニット23は、好ましくは、トーテムポールPFC 1及び/又はサージ保護回路2の素子である。好ましくは、信号処理ユニット23は、特にノーマル操作時に、トーテムポールPFC 1を制御するようにさらに構成される。さらに好ましくは、信号処理ユニット23は、制御ユニット21の一部であるか、または、好ましくは、制御ユニット21とは個別のユニットである。好ましくは、信号処理ユニット23はデジタル信号プロセッサである。
【0065】
また、サージ保護回路2の制御ユニット21はラッチ20を含み、電流センサ18で測定した電流、すなわち、検出された「isurge_measure」電流が所定の保護電流値27以上である場合、コンパレータ19はラッチ20にラッチ信号を入力する。
【0066】
本実施例では、ラッチ20は、トーテムポールPFC 1のすべてのスイッチ6、8にOFF信号を出力するようにさらに構成される。これにより、スイッチ分岐5のスイッチと極性変換器分岐7のスイッチとを含むすべてのスイッチ6、8は、OFF状態に切り替えられる。この点について、各スイッチがノーマルオンスイッチであるかノーマルオフスイッチであるかに応じて、ラッチ20は、スイッチを(OFF信号を介して)積極的にスイッチオフするか、または、スイッチ6、8を受動的に(ON信号なしで)スイッチオフすることができる。
【0067】
これにより、サージ保護回路2は、サージ電圧発生時にトーテムポールPFC 1を破壊から保護するために、すべてのスイッチ6、8を確実かつ迅速にスイッチオフする。
【0068】
また、信号処理ユニット23は、ラッチ20をリセットすることによってトーテムポールPFC 1のノーマル操作に復帰するために、ラッチリセット信号22をラッチ20に出力するように構成される。
【0069】
信号処理ユニット23は、特に、所定のラッチ持続時間後にラッチリセット信号22を出力するように構成される。当該ラッチ持続時間後に、信号処理ユニット23はラッチリセット信号22を出力する。そして、電流センサ18で検出された電流は保護電流値27未満である場合、トーテムポールPFC 1のノーマル操作は再開する。一方、電流センサ18で検出された電流は(依然として又は再び)保護電流値27以上である場合、ラッチ20は再度ラッチしすべてのスイッチ6、8をスイッチオフする。
【0070】
前述のように、トーテムポールPFC 1のノーマル起動操作中に、コンデンサ13は充電されると、電流はバイパスダイオード4と電流センサ18とを流れる。
【0071】
ラッチ20がノーマル起動操作(すなわち、入力電圧源を介してサージ電圧が入力されない)中にスイッチ6、8をスイッチオフすることを防ぐために、制御ユニット21及び/又は信号処理ユニット23は、好ましくは、保護電流値27をノーマル起動操作中に流れる起動電流サージ値以上の適切なレベルに設定するように構成される。
【0072】
これに加えて、またはこれに代わるものとして、制御ユニット21及び/又は信号処理ユニット23は、好ましくは、トーテムポールPFC 1がスイッチオンされた後に所定の持続時間に応じてスイッチ6、8を切り替え、特にラッチ20を介して切り替えるように構成される。好ましくは、所定の持続時間は、トーテムポールPFC 1の初期起動後にコンデンサ13を少なくとも部分的に、特に完全に充電するのに必要な時間である。
【0073】
これを実現するために、制御ユニット21及び/又は信号処理ユニット23は、好ましくは、コンパレータ19とラッチ20との少なくとも1つを所定の持続時間オフするように構成される。好ましくは、信号処理ユニット23は、ラッチ20がラッチしないように、所定の起動持続時間内に一定のラッチリセット信号をラッチ20に出力するように構成される。
【0074】
好ましい実施例では、コンパレータ19は、下限しきい値と上限しきい値とを有するシュミットトリガーである。この場合、下限しきい値は、好ましくは、トーテムポールPFC 1の起動操作中にバイパスダイオード4を流れる起動サージ電流に少なくとも設定される。例えば、当該電流は約30Aであるが、デバイス特性及び使用状況に応じて大きくなったり小さくなったりする可能性がある。また、好ましくは、上限しきい値を所定の保護電流値に設定する。これにより、上限しきい値、すなわち、保護電流値に達すると、シュミットトリガーはラッチ信号(例えば、高信号、すなわち「1」)をのみ出力し、検出された電流が起動サージ電流未満にあると、シュミットトリガーはラッチ信号(例えば、低信号、すなわち「0」)を出力しない。
【0075】
好ましい実施例では、コンパレータ19の出力は信号処理ユニット23に入力され、信号処理ユニット23はラッチ信号をラッチ20に出力する。この場合、コンパレータ19は高信号を出力すると、信号処理ユニット23は、好ましくは、ラッチ信号をラッチ20に出力し、好ましくは、コンパレータ19は低信号を出力すると、ラッチリセット信号をラッチ20に出力する。
【0076】
これにより、サージ保護回路2は、入力電圧源10から入力されたサージ電圧に起因する過電流からトーテムポールPFC 1を適切かつ確実に保護することができる。充電されたコンデンサ13により、サージ保護中にトーテムポールPFC 1の出力の中断を防ぐことができる。
【0077】
図2は、本発明の第1の実施例によるサージ保護回路2を備えたトーテムポールPFC 1の回路概略図及び入力サージ電圧の概略図を示している。
【0078】
図2の入口からわかるように、この例では、入力電圧源10は、入力AC電圧の(ノーマル)正相期間に負又は低サージ電圧を入力する。この場合、入力AC電圧の位相が低サージの前に正であるため、極性変換器分岐7は図1に示すように切り替えられる。ハイサイド極性スイッチ8はOFF、ローサイド極性スイッチ8はONとなる。
【0079】
この場合、生成したサージ電流「isurge」は電圧源10から流出し、極性変換器ブリッジ17、ON状態にあるローサイド極性スイッチ8、ローサイドバイパスダイオード4、及びバイパス分岐11を流れて電圧源10に戻る。これにより、特にローサイド極性スイッチ8は高サージ電流が流れるため損傷するおそれがある。これは、サージ電流は電流センサ18が配置されているバイパス分岐11を流れるため、上記サージ保護回路2によって防止される。
【0080】
図3は、サージ電圧の更なる例を示している。この場合、入力電圧源10は、入力AC電圧の(ノーマル)正相期間に負又は低サージ電圧を入力し、そこで、AC電圧の負相に急に切り替えられ、AC電圧がサージ電圧の後に負相になるようにする。
【0081】
この場合、入力交流電圧の初期正相により、極性変換器分岐7は図1及び図2に示すように切り替えられる。しかし、入力AC電圧の負相への急な切り替えにより、極性変換器分岐7は基本的に故障した切り替え構成になる。図3に示す場合とは対照的に、ノーマル操作では、負相期間に、ローサイド極性変換器スイッチ8はOFFに、ハイサイド極性変換器スイッチ8はONにあるべきである。
【0082】
したがって、サージ又はショート電流は電圧源10から極性変換器ブリッジ17、ON状態にあるローサイド極性変換器スイッチ8、ローサイドバイパスダイオード4、及びバイパス分岐11を流れて電圧源10に戻る。これにより、特にローサイド極性スイッチ8は高サージ電流が流れるため損傷するおそれがある。これは、サージ電流は電流センサ18が配置されているバイパス分岐11を流れるため、上記サージ保護回路2によって防止される。
【0083】
図4は、本発明の第1の実施例によるサージ保護回路2を備えたトーテムポールPFC 1の回路図、及びトーテムポールPFC1の極性変換器7の入力サージ電圧と入力信号の概略図を示している。
【0084】
図4に示す例では、入力電圧源10がサージ電圧を入力する代わりに、極性変換器分岐7のスイッチ操作が誤っている。
【0085】
図4の入口には、入力電圧(入口底部)及び極性変換器分岐7の制御信号(入口頂部)を示している。ここで、正の信号はローサイド極性変換器スイッチ8がONであることに対応し、負の信号は、ローサイド極性変換器スイッチ8がOFFであることに対応し、ハイサイド極性変換器スイッチ8はそれぞれ正反対の手段で切り替えられる。
【0086】
ノーマル操作では、図1図3に関しても上述したように、AC入力電圧が正から負に切り替えられると、ハイサイド極性変換器スイッチ8はOFFからONに切り替えられ、ローサイド極性変換器スイッチ8はONからOFFに切り替えられる。言い換えると、AC入力電圧の正相期間に、ハイサイド極性変換器スイッチ8はOFF状態(図1図3に示すように、切り替えが正しく行われる)、ローサイド極性変換器スイッチ8はON状態にあるべきである。
【0087】
したがって、図4の場合、入力AC電圧の負相に達したことにより、ハイサイド極性変換器スイッチ8はON状態にあるべきである。ローサイド極性変換器スイッチ8はそれに応じてOFF状態にあるべきである。しかし、ここで、ローサイド極性変換器スイッチ8は誤ってON状態に戻って切り替えられるようになった。図4の頂部入口の水平の真ん中に示すように、ローサイド極性変換器スイッチ8のスイッチ信号は、図4の回路図に示すように、まず、正の信号(ONに対応する)から負の信号(OFFに対応する)に切り替えられ、これは正しいが、その後誤って正の信号(ONに対応する)に戻って切り替えられるようになった。
【0088】
この場合、サージ電流は図3と同様に流れるようになる。これは、図4の誤った切り替えは、図3に示されるAC電圧によって逆サージ電圧が導入される場合の正しい切り替えと基本的に等しいためである。これにより、特に、ローサイド極性スイッチ8は高サージ電流が流れるため損傷するおそれがある。これは、サージ電流は電流センサ18が配置されているバイパス分岐11を流れ、バイパス分岐11において検出されるため、上記サージ保護回路2によって防止される。
【0089】
このようにして、上記のいずれかの場合、及びサージ電圧及び/又は極性変換器7の故障した切り替えの場合、サージ保護回路2は、保護トーテムポールPFC 1のスイッチ6、8をその過電流及び電位破壊から保護することができる。
【0090】
図6は、サージ保護回路2を備えたトーテムポールPFC 1の第2の好ましい実施例を示している。
【0091】
特に、図6は、図1図4と比較して、電流センサ18の代替又は追加の配置を示している。好ましくは、第2の実施例は、特に図1及び図5を参照して、上記サージ保護回路2の制御ユニット21及び/又はデジタル信号プロセッサ23を含む。
【0092】
ここで、サージ保護回路2は2つの追加された電流センサ18を含み、各電流センサはハイサイドとローサイドバイパスダイオード4との一方を流れる電流を検出する。サージ保護回路2はこの2つの追加された電流センサ18をのみ含む好ましい場合、特にバイパス分岐11に電流センサ18がない場合、サージ保護回路2は、サージ電流がいつもバイパスダイオード4の1つを流れるため、サージ電圧のすべての状況からさらに確実に検出及び保護することができる。
【0093】
好ましくは、これらの電流センサ18はそれぞれ1つのバイパスダイオード4と直列に接続される。
【0094】
図1図4及び図6からわかるように、バイパスダイオード分岐3は、少なくとも1つの(この場合はちょうど2つ)スイッチ分岐5と並列に接続される。これにより、バイパスダイオード分岐3とスイッチ分岐5との第3の接続点26は形成される。好ましくは、電流センサ18は、バイパス分岐11とバイパスダイオード分岐3との第2の接続点25と、対応する第3の接続点26との間のノードに配置される。好ましくは、第1の電流センサ18は、第2の接続点25とローサイドの第3の接続点26との間のノードに配置される。さらに、第2の電流センサ18は、第2の接続点25とハイサイドの第3の接続点26との間のノードに配置される。
【0095】
また、制御ユニット21は、複数の電流センサ18を考慮するために、2つ又はそれ以上のコンパレータ19及び/又は2つ又はそれ以上のラッチ20を含むことが好ましい。
【0096】
これに加えて、またはこれに代わるものとして、制御ユニット21は、好ましくは、少なくとも1つのコンバイナ回路を含み、当該コンバイナ回路は、異なる電流センサ18からの電流値出力を、特にコンパレータ19に用いる共通の信号に組み合わせる。これに加えて、またはこれに代わるものとして、制御ユニット21は、好ましくは、少なくとも1つのコンバイナ回路を含み、当該コンバイナ回路は、ラッチ20に用いるように複数のコンパレータ19に対応するコンパレータ19の出力信号を組み合わせ、特にラッチ20に用いる共通の信号に組み合わせる。
【0097】
前述した2つの電流センサ18の構成は、バイパスブリッジ11に配置される電流センサ18に追加又は代替されるものとして理解されるべきである。
【0098】
図7は、本発明の1つの実施例によるトーテムポールPFC 1のサージ保護方法の概略ブロック図を示している。好ましくは、サージ保護方法は、図1図6について前述したトーテムポールPFC 1において実行されるか、または当該トーテムポールPFC 1を利用して実行され、それについては後述する。トーテムポールPFC 1及び/又はサージ保護回路2及び/又は制御ユニット21及び/又はデジタル信号プロセッサ23の機能構成を説明した上記のいずれかの実施例及び例も、トーテムポールPFC 1に用いるサージ保護方法の好ましい実施例及び例として理解されるべきである。
【0099】
好ましくは、サージ保護方法は、特にPFC 1のノーマル操作方法、すなわち(ノーマル的な、非サージの)入力電圧に反応してスイッチ6、8を駆動する力率改善方法とは別に、特に追加で行われる。
【0100】
サージ保護方法は、少なくとも1つの電流センサ18によってバイパスダイオード分岐3の少なくとも1つのバイパスダイオード4を流れる電流を測定するというステップ100を含む。
【0101】
さらに、サージ保護方法は、電流センサ18によって検出された電流値100を所定の保護電流値27と比較するステップ200を含む。ステップ200は特にコンパレータ19を用いて行われる。
【0102】
サージ保護方法は、さらにステップ300を含み、ステップ300では、検出された電流が保護電流値27以上である場合、トーテムポールPFC 1の少なくとも1つのスイッチ6、8を、好ましくはOFF状態に切り替える。特に、好ましくは、検出された電流が保護電流値以上である場合にのみ、当該切り替え操作300を実行する。好ましくは、当該切り替え操作は、通常の操作(すなわち、PFC 1の力率改善)のスイッチ6、8の(ノーマル)切り替え操作に対応していない。
【0103】
好ましくは、切り替え操作300はすべてのスイッチ6、8をスイッチオフする。
【0104】
本実施例によるサージ保護方法は、さらに、特にラッチ20を利用して、オフ状態を所定のラッチ持続時間保持するステップ400を含む。
【0105】
好ましくは、ラッチ持続時間は50μsから100μsの間であり、50μsと100μsとを含む。
【0106】
また、サージ保護方法は、特に、所定のラッチ持続時間が経過した後、好ましくは検出された電流値が保護電流値27以下である場合、ラッチ20をリセットするステップ500を含む。
【0107】
所定のラッチ持続時間後に検出された電流値が保護電流値27以下でない可能性がある場合、すなわち、ステップ500ではラッチ20がリセットされた場合、サージ保護方法は、ステップ100に戻る追加の好ましいループを含む。そこで、ラッチ20のリセット500中及び/又はその後、サージ保護方法は、電流センサ18によって電流を再度検出又は測定(ステップ100)するとともに、ステップ200~500を繰り返し実行する。
【0108】
また、サージ保護方法は選択的な好ましいステップ600を含む。ステップ600は、トーテムポールPFC 1がシャットオンされた後、サージ電流に反応していずれか又はすべてのスイッチ6、8のスイッチオフを実行する前、所定の持続時間待機するステップを含む。当該選択的なステップ600は、ステップ100~500を有するサージ保護方法が所定の持続時間の後にのみ開始されるように、ステップ100の前に実施され得る。それに加えて、またはその代わりに、選択的なステップ600は、好ましくは切り替えステップ300の前に、好ましくは検出ステップ100の後に及び/又は比較ステップ200の後に、実行される。
【0109】
図1に関して上記で説明したように、選択的なステップ600に加えて、またはその代替として、サージ保護方法は、好ましくは、所定の保護電流値27を(典型的な)サージ電流(起動サージ電流)よりも高く、例えば30Aよりも高く設定することにより、サージ電流が起動サージ電流よりも高い場合にのみスイッチ6、8をスイッチオフする。
【0110】
上記サージ保護方法は、好ましくは、サージ保護回路2により、特に、好ましくは制御ユニット21及び/又は好ましくは信号処理ユニット23により実行される。
【0111】
本実施例のサージ保護方法を利用して、サージ電圧及び/又はサージ電流及び/又はPLD(電力線干渉)に起因する損傷又は破壊からトーテムポールPFC 1を確実かつ迅速に保護することができる。
【0112】
本発明の前述の書面による説明に加えて、本発明の特徴を詳細に示す図1図7を明示的に参照している。図面は、前述で説明した分岐及び素子の回路構成、特に並列接続及び直列接続に関する特別な技術的詳細を示している。しかしながら、技術的な意味においては、図面に示された回路構成は、これらの回路原理図のいわゆる「再描画」又は「簡略化」による同等物も包含することを強調する必要がある。
【符号の説明】
【0113】
1、トーテムポールPFC
2、サージ保護回路
3、バイパスダイオード分岐
4、バイパスダイオード
5、スイッチ分岐
6、スイッチ
7、極性変換器分岐
8、スイッチ
9、入力ブリッジ
10、入力電圧源
11、バイパス分岐
12、コンデンサ分岐
13、コンデンサ
14、トーテムポールPFCの出力
15、インダクタンス分岐
16、EMIフィルタ
17、極性変換器ブリッジ
18、電流センサ
19、コンパレータ
20、ラッチ
21、制御ユニット
22、ラッチリセット信号
23、デジタル信号プロセッサ
24、バイパス分岐の接続点
25、バイパス分岐の接続点
26、バイパスダイオード分岐の接続点
27、所定の保護電流値
100、バイパスダイオードを流れる電流を検出するステップ
200、検出された電流値を比較するステップ
300、スイッチを切り替えるステップ
400、切り替えられたスイッチのOFF状態を保持するステップ
500、ラッチをリセットするステップ
600、トーテムポールPFC起動後に待機するステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7