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特開2024-89141サイネージ稼働管理システム及びサイネージ稼働管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089141
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】サイネージ稼働管理システム及びサイネージ稼働管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20240626BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204324
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】599019591
【氏名又は名称】株式会社 impactTV
(72)【発明者】
【氏名】寒河江 清人
(72)【発明者】
【氏名】川村 雄二
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】林 峻史
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】簡易かつ身近な通信環境を用いてサイネージ装置の稼働状況を取得する。顧客が所有する携帯通信端末から得られる情報に基づいてサイネージ装置の稼働状況を推定する。
【解決手段】サイネージ稼働管理システム及びサイネージ稼働管理方法は、顧客に映像を視聴させて顧客への興味を惹かせるサイネージ装置1、ビーコン等の送信機2、顧客が所有するスマートフォン等の携帯通信端末3、各種情報の提供を受けて所望の処理を実行するサーバー4、現在位置の提供に供する汎用のGPS衛星5により構成される。設置場所をサーバー4に登録していなくても、送信機2からのビーコン情報を携帯通信端末3が受信したことを契機として、携帯通信端末3が受信するビーコン情報にGPSによる位置情報を付けてサーバーに送ることによって、サイネージ装置の稼働と推定する。これにより、稼働中のおよその設置場所を結果的に把握することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客に映像を視聴させるサイネージ装置と、
前記サイネージ装置に接近した顧客の携帯通信端末との通信が可能な通信機と、
前記通信機との接続が可能な前記携帯通信端末と、
によって構成され、
前記通信機から発信される検知情報を前記携帯通信端末が受信したことを契機として前記サイネージ装置の稼働を推定し、前記サイネージ装置の稼働状況を把握可能なことを特徴とするサイネージ稼働管理システム。
【請求項2】
前記携帯通信端末は、
衛星測位システムを用いてGPS情報を取得し、
前記検知情報と前記GPS情報とから反応情報を生成することを特徴とする請求項1記載のサイネージ稼働管理システム。
【請求項3】
前記サイネージ装置は通信機能を有し、接近した顧客の携帯通信端末との通信が可能であって、
前記サイネージ装置は、衛星測位システムを用いてGPS情報を取得し、
前記携帯通信端末は、前記検知情報と前記GPS情報とから反応情報を生成することを特徴とする請求項1記載のサイネージ稼働管理システム。
【請求項4】
インターネット通信が可能なサーバーを有し、
前記サーバーは、前記検知情報を前記携帯通信端末から受信して、前記サイネージ装置の稼働状況に関するサマリーデーターとして生成することを特徴とする請求項1記載のサイネージ稼働管理システム。
【請求項5】
インターネット通信が可能なサーバーを有し、
前記サーバーは、前記反応情報を前記携帯通信端末から受信して、前記サイネージ装置の設置場所を含んだ稼働状況に関するサマリーデーターとして生成することを特徴とする請求項2記載のサイネージ稼働管理システム。
【請求項6】
インターネット通信による顧客の携帯通信端末との接続が可能なサーバーと、インターネット通信可能な携帯通信端末と、を含み、
顧客に映像を視聴させるサイネージ機能と、
接近した顧客の前記携帯通信端末との通信が可能な通信機能と、
を有するサイネージ稼働管理システムによって構成され、
前記通信機能によって発信される検知情報を前記携帯通信端末が受信したことを契機として前記サイネージ機能の稼働を推定し、前記サイネージ機能の稼働状況を把握可能なサイネージ稼働管理方法。
【請求項7】
前記通信機能は、衛星測位システムを用いてGPS情報を取得し、前記検知情報と前記GPS情報とから反応情報を生成する工程を有することを特徴とする請求項6記載のサイネージ稼働管理方法。
【請求項8】
前記サーバーは、前記検知情報を前記携帯通信端末から受信して、サマリーデーターとして生成することを特徴とする請求項6記載のサイネージ稼働管理方法。
【請求項9】
前記サーバーは、前記反応情報を前記携帯通信端末から受信して、サマリーデーターとして生成することを特徴とする請求項7記載のサイネージ稼働管理方法。
【請求項10】
前記サーバーは、前記サイネージ機能の稼働及び/又は非稼働の台数情報、GPS情報から得られる位置を地図上にマッピングした情報として前記サマリーデーターを構成し、前記サマリーデーターを可視化してクライアントに提供することを特徴とする請求項8又は9記載のサイネージ稼働管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業的に使用されているデジタルサイネージ装置の稼働状況を管理するサイネージ稼働管理システム及びサイネージ稼働管理方法に関し、特に、店舗・施設等で用いられる商業圏における顧客の反応を受動的に取得することで稼働状況を把握可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、顧客の興味関心を惹きつける目的で、電子的な表示機器を使って情報を発信するデジタルサイネージが爆発的に普及し、店頭・公共機関・交通機関・病院などのあらゆる場所でデジタルサイネージが稼働しているマーケットが形成されている。
【0003】
このデジタルサイネージを含むサイネージ装置の設置者は、膨大な台数のサイネージ装置の稼働状況を把握できていないといった問題が発生している。例えば、サイネージ装置を設置したものの、電源が入っておらず非稼働であるとか、稼働していても顧客に気づかれにくい場所にあり設置しても顧客が視聴していないとか、設置導入から時間が経過して管理が疎かになっているとかでは、せっかく費用を投入したにも関わらず広告媒体として機能せず広告効果が悪い。
【0004】
一方で、広告効果を高める目的でサイネージ装置に表示するコンテンツを制御する表示制御装置が存在し、例えば特許文献1は、ユーザーの移動状況を取得してデジタルサイネージの見られやすさを評価し、表示するコンテンツを表示制御するものである。ユーザーの移動状況はユーザー端末と無線通信するビーコンや、設置されるカメラによる映像を解析することにより、ユーザーの移動量及び移動速度を取得するものであり、ビーコンの情報を取得したユーザー端末は外部サーバーと無線通信して外部サーバーが移動状況を算出してコンテンツ制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-189741号公報(明細書[0064]、[図2]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1はコンテンツ制御を行う手法に過ぎず、サイネージ装置の稼働/非稼働の稼働状況の把握を行う手法ではない。また、特許文献1はサイネージ装置とは無関係の顧客の端末から得られる情報に基づく受動的手法によるものは開示がない。また、マーケットを形成する顧客の行動を利用してサイネージ装置に接近した行動結果に基づきサイネージ装置の稼働/非稼働の稼働状況の把握を行うという手法は存在しない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易かつ身近な通信環境を用いてサイネージ装置の稼働状況を取得することにあり、サイネージ装置の稼働/非稼働の稼働状況をサイネージ装置自身が管理する能動的手法によらず、顧客が所有する携帯通信端末から得られる情報に基づいてサイネージ装置の稼働状況を推定するサイネージ稼働管理システム及びサイネージ稼働管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るサイネージ稼働管理システム及びサイネージ稼働管理方法は、以下のものを提供する。
【0009】
(1) 顧客に映像を視聴させるサイネージ装置と、前記サイネージ装置に接近した顧客の携帯通信端末との通信が可能な通信機と、前記通信機との接続が可能な前記携帯通信端末と、によって構成され、前記通信機から発信される検知情報を前記携帯通信端末が受信したことを契機として前記サイネージ装置の稼働を推定し、前記サイネージ装置の稼働状況を把握可能なことを特徴とするサイネージ稼働管理システム。
【0010】
本発明に係るサイネージ稼働管理システムは、サイネージ装置と通信機と携帯通信端末とによって構成される。サイネージ装置は顧客に映像を視聴させる機能が主目的であり、通信機能の有無は問わない。仮に通信機能を有するオンラインサイネージ装置では通信機の役割を担うことが可能であるし、通信機能を有しないオフラインサイネージ装置では顧客がサイネージ装置に接近したことを検知する通信機を別途必要とする。顧客が所有する携帯通信端末との通信は、通信機による通信、より限定的には送信機能のみの送信機による送信によることができ、本明細書中では「通信」には一方向の発信・送信も含み、単なる情報伝達機能を実現するための概念として取り扱う。
【0011】
本発明は、検知情報を携帯通信端末が受信したことを契機として、検知情報に紐づくサイネージ装置の稼働と推定することにより、サイネージ装置の稼働状況を把握可能となるサイネージ稼働管理システムである。サイネージ装置の稼働を推定する具体的手法は後述するが、概略的には、検知情報を携帯通信端末が受信したことを外部サーバーに送信して外部サーバー内でサイネージ装置の稼働を推定する処理を行う、すなわち、検知情報に基づく稼働フラグを携帯通信端末のアプリ内で成立させて外部サーバーに送信するか、外部サーバーに検知情報を送信して外部サーバー内で稼働フラグを成立又は有効化させるかなどの処理を含み、その具体的手法は任意である。例えば、検知情報を携帯通信端末が受信して、検知情報の受信通知を前記携帯通信端末から外部サーバーに正常に送信されることにより、稼働フラグが有効化されてサイネージ装置の稼働が推定される。一方、サイネージ装置の非稼働が推定されるのは、例えば稼働フラグが有効化されていない場合である。すなわち、本発明によれば、携帯通信端末が送信する情報如何、送信の正常/異常によってサイネージ装置の稼働/非稼働を推定するという斬新な手法によるサイネージ稼働管理システムを提供する。
【0012】
(2) 前記携帯通信端末は、衛星測位システムを用いてGPS情報を取得し、前記検知情報と前記GPS情報とから反応情報を生成することを特徴とするサイネージ稼働管理システム。
【0013】
本発明は、通信機からの検知情報とGPS衛星の衛星測位システムによるGPS情報とによって反応情報を構成し、携帯通信端末はサイネージ装置の稼働状況を把握するのに資する情報としてこの反応情報を生成する。特に、オフラインサイネージ装置の場合は、サイネージ装置の設置場所をサイネージ装置設置者が管理していなくても、顧客端末である携帯通信端末を利用した顧客の通信環境を利用することによりシステムの利便性を図ることができる。また、サイネージ装置設置者にとっては、サイネージ装置の設置場所を常に把握・管理していなくてもサイネージ装置に接近した顧客の携帯通信端末から得られる情報に基づいて、サイネージ装置の稼働状況及び設置場所を最新の情報として入手することができるという利便性がある。
【0014】
(3) 前記サイネージ装置は通信機能を有し、接近した顧客の携帯通信端末との通信が可能であって、前記サイネージ装置は、衛星測位システムを用いてGPS情報を取得し、前記携帯通信端末は、前記検知情報と前記GPS情報とから反応情報を生成することを特徴とする請求項1記載のサイネージ稼働管理システム。
【0015】
本発明は、オンラインサイネージ装置の場合は、GPS情報の取得をサイネージ装置が担うことも可能であるし、サイネージ装置の物理的位置が頻繁に変わることがない場合は固定位置に設置された取得済みのGPS情報を効率的に利用することによりシステムの利便性を図る。また、オンラインサイネージ装置によって携帯通信端末との通信が可能である構成であっても、検知情報の送信環境構築や送信フィールド構成の容易さから別途の通信機による方が構成の利便性が優れているし、通信の不具合や干渉も回避される。
【0016】
(4) インターネット通信が可能なサーバーを有し、前記サーバーは、前記検知情報を前記携帯通信端末から受信して、前記サイネージ装置の稼働状況に関するサマリーデーターとして生成することを特徴とするサイネージ稼働管理システム。
(5) インターネット通信が可能なサーバーを有し、前記サーバーは、前記反応情報を前記携帯通信端末から受信して、前記サイネージ装置の設置場所を含んだ稼働状況に関するサマリーデーターとして生成することを特徴とするサイネージ稼働管理システム。
【0017】
本発明は、サーバーと携帯通信端末との通信により検知情報又は反応情報を送受信し、サマリーデーターを構成して生成することで、サイネージ稼働管理システムの提供に資する。サマリーデーターは、サイネージ装置の稼働/非稼働に関する台数情報、特に一定期間の稼働状態を推定する推定状態情報、検知情報を利用する場合は、それらの情報に位置情報を付加してGPS情報から得られる位置を地図上にマッピングした稼働マップ情報などを構成して、クライアントに可視化したものを提供することができる。
【0018】
(6) インターネット通信による顧客の携帯通信端末との接続が可能なサーバーと、インターネット通信可能な携帯通信端末と、を含み、顧客に映像を視聴させるサイネージ機能と、接近した顧客の前記携帯通信端末との通信が可能な通信機能と、を有するサイネージ稼働管理システムによって構成され、前記通信機能によって発信される検知情報を前記携帯通信端末が受信したことを契機として前記サイネージ機能の稼働を推定し、前記サイネージ機能の稼働状況を把握可能なサイネージ稼働管理方法。
(7) 前記通信機能は、衛星測位システムを用いてGPS情報を取得し、前記検知情報と前記GPS情報とから反応情報を生成する工程を有することを特徴とするサイネージ稼働管理方法。
(8) 前記サーバーは、前記検知情報を前記携帯通信端末から受信して、サマリーデーターとして生成することを特徴とするサイネージ稼働管理方法。
(9) 前記サーバーは、前記反応情報を前記携帯通信端末から受信して、サマリーデーターとして生成することを特徴とする請求項7記載のサイネージ稼働管理方法。
(10) 前記サーバーは、前記サイネージ機能の稼働及び/又は非稼働の台数情報、GPS情報から得られる位置を地図上にマッピングした情報として前記サマリーデーターを構成し、前記サマリーデーターを可視化してクライアントに提供することを特徴とするサイネージ稼働管理方法。
【0019】
本発明のサイネージ稼働管理方法によれば、サイネージ機能と通信機能とを含み、携帯通信端末とサーバーとによって構成されるサイネージ稼働管理システムは、通信機能によって発信される検知情報を携帯通信端末が受信したことを契機としてサイネージ機能を有する機器の稼働を推定するという斬新な手法によるサイネージ稼働管理方法を提供でき、オンライン・オフラインのサイネージ装置を問わず、顧客端末である携帯通信端末の通信環境を利用することにより利便性を図った稼働管理方法の提供が可能である。例えば、携帯通信端末がサーバーに送信する情報如何や送信状況の正常/異常によってサイネージ装置の稼働/非稼働を推定する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のサイネージ稼働管理システム及びサイネージ稼働管理方法は、サイネージ装置の稼働状態を、サイネージ装置に紐づけられた通信機と顧客の携帯通信端末との情報通信によって推定するという斬新な手法によって把握可能であるとともに、サイネージ装置の設置場所を常に把握・管理しなくてもGPS情報からリアルタイムで設置場所を特定することができ、サイネージ装置が設置された商業圏における効率よいサイネージ装置の活用に資するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係るサイネージ稼働管理システムのシステム構成図。
図2】本発明の実施の形態に係るサイネージ稼働管理方法を実行するプログラムの処理内容を示すフローチャート。
図3】サイネージ稼働管理システムのサーバーのブロック図。
図4】サイネージ稼働管理システムによって提供されるサマリーデーターの例。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明のサイネージ稼働管理システムの実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係るサイネージ稼働管理システムのシステム構成図である。サイネージ稼働管理システムは、顧客に映像を視聴させて顧客への興味を惹かせるサイネージ装置1、ビーコン等の送信機2、顧客が所有するスマートフォン等の携帯通信端末3、各種情報の提供を受けて所望の処理を実行するサーバー4、現在位置の提供に供する汎用のGPS衛星5により構成される。なお、サイネージ機能を主に実行するサイネージ装置、通信機能を主に実行する通信機は、両機能が一体化した多機能機器であってもよい。
【0024】
サイネージ装置1は、店舗に設置された商品棚や商品コーナーにおいて店舗で販売される商品に隣接して設置されており、主に映像表示部とスピーカーとを有し、かつ顧客に説明するための商品等に関するコンテンツ情報がPC部分に予め保存され又は外部装置から電気通信回線を通じて提供されて表示され、顧客に視聴される。サイネージ装置は、商品に関するもののみならずサービスの提供に関するものであったり、店舗に設置される用途以外にも、道路を歩行中の歩行者に視聴させたり、ある目的を持って視聴させることで目的に応じた行動を促す用途であったりと、幅広い用途目的のサイネージ装置を対象とする。
【0025】
送信機2は、サイネージ装置1に接近した顧客の携帯通信端末3との通信(ブルートゥース(登録商標))接続が可能なエリア内であるサイネージ装置1の近隣に設置され、所定間隔でビーコン信号を発信し続ける。ビーコン信号は、メジャー値、マイナー値、UUID値といったフィールドで構成され、個々の送信機2が一意的に識別可能である。携帯通信端末3がブルートゥース(登録商標)接続可能な状態にある中で、スマートフォン等の携帯通信端末3が送信機2からのビーコン信号を受信可能なエリア内にあると、UUID値を手掛かりに携帯通信端末3が送信機2の探索をはじめ、送信機2と携帯通信端末3との接続処理が行われ、ビーコン信号が送受信される状態が確立されて、携帯通信端末3は送信機2を検知したことを示す検知情報を受信する。なお、サイネージ装置1がオフラインである場合は、携帯通信端末3による検知情報の受信はサイネージ装置1とは別の送信機2によることでオンライン機能の身代わりとなることができ、サイネージ装置1がオンラインである場合は、サイネージ装置1が携帯通信端末3と直接通信を行うことで検知情報の受信が可能である。
【0026】
また、携帯通信端末3は、携帯通信端末3に搭載のGPS機能を活用してGPS衛星5からリアルタイムの緯度経度や時刻の位置情報を受信する。すなわち、顧客が接近したサイネージ装置1の位置情報を入手する。位置情報はサイネージ装置1や送信機2では持っておらず、携帯通信端末3のアプリケーションがサイネージ装置1や送信機2から受信するビーコン情報に位置情報を付けてサーバー4に送ることによって稼働中のサイネージ装置1の設置場所が結果としてわかる。なお、オンラインのサイネージ装置1では、サイネージ装置1にGPS機能を搭載してサイネージ装置1の位置情報を入手することでもシステムの代用が可能である。
【0027】
顧客の携帯通信端末3は、検知情報及び位置情報を受信して「反応情報」として生成する反応情報生成処理を行うことで、サイネージ装置1に接近した顧客(=反応)と位置情報(=場所)を特定することができる。携帯通信端末3とサーバー4との接続・送信処理によって、携帯通信端末3はサーバー4に「反応情報」を送信する。なお、携帯通信端末3とサーバー4との接続は、WI-FI環境下ではWI-FI通信が可能であるし、そうでない場合は携帯通信端末3の通信事業者のキャリア回線を用いたSIM通信によることが可能である。
【0028】
サーバー4は、サイネージ稼働管理に供する各種情報を取得する機能、サイネージ稼働の状況を集約してレポートする機能を有し、例えば、前者の各種情報を取得してサマリーデーターを生成する処理を行う第1サーバーと、後者のサマリーデーターをレポートしてサイネージ装置設置者であるクライアントに可視化サービスをASPとして提供する第2サーバーと、で構成することができる。
【0029】
第1サーバー4Aは、電気通信回線を通じてインターネット通信が可能であり、携帯通信端末3からの情報を受信してサマリーデーターを生成する。GPS位置情報を活用しない反応情報のみからサマリーデーターを生成する場合は、送信機2に反応した携帯通信端末3から送信される検知情報/反応情報/稼働フラグによってサイネージ装置1の稼働を推計することとし、日毎や時間毎や曜日毎といった一定期間の推計量がサマリーデーターとして構成される。また、GPS位置情報を活用した検知情報からサマリーデーターを生成する場合は、送信機2に反応した携帯通信端末3の数と位置情報によってサイネージ装置1の稼働を場所毎に推計することとし、場所毎に日毎や時間毎や曜日毎といった所定位置の一定期間の推計量がサマリーデーターとして構成される。
【0030】
このように、サイネージ装置1の設置者であるクライアントが小規模な商業圏内での営業活動である場合や、サイネージ装置1の設置場所等の管理を常に行っている場合は、GPS情報に依らずともビーコン情報のみでサイネージ装置の稼働状況の把握ができ、クライアントが大規模な商業圏内での営業活動である場合や、サイネージ装置1の設置場所等の管理が煩わしい場合は、GPS情報を活用したサイネージ装置の稼働状況や設置場所の把握ができ、クライアントの商業規模に応じたシステム構築が可能である。
【0031】
第2サーバー4Bは、第1サーバー4Aによって生成されたサマリーデーターをクライアントに可視化サービスとして提供可能なように加工処理するコンピュータであり、図4に示すサマリーデーターの例のように、稼働マップや稼働状況というサイネージ稼働管理の結果を生成して、クライアントに提供する。なお、クライアントとは、サイネージ装置1の設置者である店舗自身やフランチャイズチェーン店舗の場合は店舗自身やフランチャイズ本部をいう。
【0032】
[推定手法]
本発明の実施の形態に係るサイネージ稼働管理システムは、稼働管理すべきサイネージ装置1の型番・製造番号といったサイネージ装置1固有のシリアルナンバーを送信機2が検知情報として発信する。このため、例えば送信機2の製造時にサイネージ装置1のシリアルナンバーをモジュールIC内に書き込む作業を行うことで、サイネージ装置1と送信機2とを紐づけるための初期設定を行う。
【0033】
シリアルナンバーを含む情報を受信した携帯通信端末3は、検知情報・反応情報をサーバー4に送信することで、サーバー4内で該当するシリアルナンバーに紐付けされたサイネージ装置1が稼働していると判断し、稼働フラグを成立させる。一方、携帯通信端末3からサーバー4への検知情報及び/又は反応情報の送信がない場合は、稼働フラグが有効化されずに、サイネージ装置1が稼働していないと判断する。すなわち、現実にサイネージ装置1が稼働していても、稼働フラグが有効化しない状況である場合は、非稼働扱いになる。
【0034】
サーバー4は、設定された日毎や時間毎や曜日毎といった一定期間における稼働フラグ(又は非稼働フラグ)の本数を集計する。フラグの成立や有効化を集計することにより、サイネージ装置1が稼働状態なのか、非稼働状態なのか、設置後一度も稼働していない状態なのか、稼働後終了した状態なのかを推定することができる。また、サイネージ装置1がどの場所で上記の状態にあるのかを一目でわかるように、GPS機能を用いた地図を活用することができる。サイネージ装置の稼働状態を把握したいクライアント(サイネージ装置の設置者であるクライアント)にとっては、サイネージ装置の可視化及びサイネージ装置の状態の可視化をサービス提供受けることで、サイネージ装置の更なる有効活用になる次なる施策へと繋げることが可能となる。
【0035】
例えば、非稼働扱いになるサイネージ装置1が多かったり、来店客数に関係なく非稼働扱いになるケースでは、サイネージ装置1の設置場所が悪かったり、他の物に埋もれていたりといった要因が考えられ、それらの改善を試みることに繋がる。また、サーバー4と携帯通信端末3との通信環境によっても通信エラーで非稼働扱いになることもあり、このような事態を回避するためにも、WI-FI通信又はSIM通信による通信環境の選択は重要であるし、通信エラー時のリプライ機能などの対策も重要である。また、通信のタイムラグが発生する場合には、いつどこで取得した情報なのかを特定するためにもGPS情報から得られる位置情報及び時刻情報は重要となる。
【0036】
[アプリ]
図2は、携帯通信端末3に搭載されたサイネージ稼働管理ユーティリティプログラム(アプリ)の処理内容を示すフローチャートであり、本発明のサイネージ稼働管理方法の用途以外にも他のプログラム機能を含んで実行されてもよい。サイネージ稼働管理ユーティリティプログラムは、顧客の携帯通信端末3のメモリ内にインストールされてバッククランドにおいても実行される。
【0037】
本プログラムは、まず携帯通信端末3の通信手段を通信環境に応じて有効化する通信環境設定処理を行う(ステップS1)。これにより、サイネージ1又は送信機2との接続やGPS機能の有効化やサーバー4との接続が可能となるよう、必要に応じてブルートゥース(登録商標)接続/WI-FI接続/キャリア通信回線接続が行われる。
【0038】
ブルートゥース(登録商標)接続によって送信機2からのビーコン信号が検知可能な状態で、対象となる送信機2が存在するか否かを探索し(ステップS2)、存在判定した場合は送信機2から発信される検知情報を受信する(ステップS3)。一方、対象となる送信機2が存在しないと判定した場合は、本プログラムを終了する。
【0039】
次に、GPS機能を用いて位置情報を取得した後(ステップS4)、検知情報と結合した反応情報を生成する(ステップS5)。
【0040】
本アプリによって検知情報/反応情報が生成されると、それをサーバー4に送信する(ステップS6)。この際、検知情報/反応情報は稼働フラグが成立してサーバー4の受信を契機に稼働フラグが有効化されるか、検知情報/反応情報の受信を契機にサーバー4の稼働フラグが成立される。または他の手法による処理が行われてもよい。
【0041】
いずれにせよ、携帯通信端末3からサーバー4への情報送信によってサイネージ装置1の稼働を推定することから、送信完了によって本プログラムを終了する。または、サーバー4へ正常送信したか否かを監視する機能も可能であり、正常送信の確認の後、本プログラムを終了する。
【0042】
[サーバー構成]
図3は、本システムのサーバー4Aのブロック図である。
【0043】
サーバー1は、通信手段41、記憶手段42、サマリーデーター生成手段43を有し、各手段はバスBUSにより接続され、それぞれの手段を実現する機能が記憶手段42に記憶されたプログラムによって実行される。
【0044】
通信手段41は、サイネージ装置1や携帯通信端末3による指令又は入力内容を解釈してこれを各手段に与えるとともに、記憶手段12から発せられる各種の表示指令を解釈して携帯通信端末3や第2サーバー4Aに対する出力制御を行うインターフェースとして機能する。
【0045】
記憶手段42は、メインメモリ(RAM)におかれる作業領域12aと、ディスク装置(フロッピーディスク、ハードディスク又は光磁気ディスク等)等の二次記憶装置におかれるデータ記憶領域42bと、画面定義記憶領域42cと、を有している。
【0046】
作業領域42aは、本システムの起動とともに確保されて、本システムにおいて入出力される各種データが一時的に記憶される領域である。データ記憶領域42bは、作業領域42aに一時的に記憶されたデータについてセーブ要求があったときに、書き込み制御を通じてデータが半恒久的に記憶される領域である。画面定義記憶領域42cは、サイネージ装置1や携帯通信端末3に出力して表示すべき各種画面の画面定義情報が予め記憶された領域であり、表示すべき画面設定のフォーマット情報を含んでいる。
【0047】
データ記憶領域42bは、サイネージ装置1の販売台数・出荷台数といった装置台数情報を通信手段41から得て格納する装置台数情報データベース42b、検知情報又は反応情報に基づくフラグ成立のフラグ数を所定期間毎に蓄積して記憶するフラグ成立情報データベース42b2、その他図示しない種々のデータベースに区画されている。
【0048】
サマリーデーター生成手段43は、作業領域42aに一時的に記憶された情報や装置台数情報データベース42b1及びフラグ成立情報データベース42b2に記憶された情報から、サイネージ機能1の稼働及び/又は非稼働の台数情報、GPS情報から得られる位置を地図上にマッピングした情報としてサマリーデーターを生成する。すなわち、本システムは、クライアントが独自にサイネージ装置の稼働状況及び設置位置を管理していない、特に設置場所をサーバー4に登録していなくても、携帯通信端末3が受信する検知情報(ビーコン情報)にGPSによる位置情報を付けてサーバーに送ることによって、稼働中のおよその設置場所を結果的に把握することができ、通信手段41はこれらの管理に必要なリアルタイムの情報を得ることができる。
【0049】
[サマリーデーター]
図4は、サイネージ稼働管理システムによって提供されるサマリーデーターの例を示し、第2サーバー4Bを経由してクライアントに定期的にレポートされる内容の一例である。
【0050】
図4(A)は、該当クライアントが設置するサイネージ装置1の分布状況を地図上にマッピングし、サイネージ装置1の稼働台数(非稼働台数)を数値化して表した「稼働マップ」である。図4(B)は、該当クライアンをトが設置するサイネージ装置1の月毎の稼働/未稼働の状況を棒グラフで表した「稼働状況」である。稼働状態は、フラグ成立情報データベース42b2に記憶された情報から推計できる。一方、非稼働状態は、装置台数情報データベース42b1の情報とフラグ成立情報データベース42b2の情報とから算出し推計できる。
【0051】
図4(C)は、アクティブ稼働台数の今月/前月の台数と増減数、非アクティブの台数の今月/前月の台数と増減数、稼働終了予備軍台数の今月/前月の台数と増減数、稼働終了台数の今月/前月の台数と増減数を示す。これらは、所定期間内にフラグ成立情報データベース42b2に記憶された情報や、所定期間内の装置台数情報データベース42b1の情報とフラグ成立情報データベース42b2の情報とから算出して推計する。。
【0052】
その他、図4に示す内容に加えてサイネージ稼働管理に付随して、該当クライアントには、本システムに登録しているサイネージ装置1のデバイス登録一覧(シリアル番号、型番、更新日時等の情報)や本システムでのステータス情報などを提供することができる。また、該当クライアントの情報のみならず、匿名性を保った上での他のクライアントの情報や該当クライアントや他のクライアントを含めた総数、エリア毎の稼働状況の情報など、多様な情報を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のサイネージ稼働管理システム及びサイネージ稼働管理方法によれば、サイネージ装置の稼働/非稼働の稼働状況を店舗管理によらず顧客行動による情報を取得することで推定し、サイネージ装置の有効活用による商業活性化のための計画や方策決定に資するものとして有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 サイネージ装置
2 送信機(ビーコン)
3 携帯通信端末
4 サーバー(4A:第1サーバー、4B:第2サーバー)
5 GPS衛星
図1
図2
図3
図4