(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089147
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】ロボットの制御装置、ロボットシステムおよびロボットの制御方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
B25J15/08 U
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204334
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】小寺 暁
(72)【発明者】
【氏名】大川 裕治朗
(72)【発明者】
【氏名】井村 広之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健太郎
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET08
3C707EW03
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS36
3C707KV11
3C707KX08
3C707LT06
3C707LV04
3C707LV05
3C707LV07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】傾いたワークを適切に把持する。
【解決手段】ワーク(90)を把持する一対の可動部材(70)と、前記ワークを検出する一対のセンサ(74)とを有する把持装置(40)とを備えるロボット(10)の制御装置(20)は、前記把持装置を直進移動させる直進制御部(124)と、前記一対のセンサのうち一方のセンサ(74a)が前記ワークを検出することにより前記ワーク上の位置として決定された目標位置を基準として前記把持装置を旋回させる旋回制御部(126)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを前記ワークの両端から把持する一対の可動部材と、前記ワークを検出する一対のセンサとを有し、前記一対のセンサのうち一方のセンサは前記一対の可動部材のうち一方の可動部材に設けられ、且つ前記一対のセンサのうち他方のセンサは前記一対の可動部材のうち他方の可動部材に設けられる把持装置とを備えるロボットの制御装置であって、
前記一対の可動部材を結ぶ第1方向と交差する第2方向に沿って、前記把持装置が前記ワークに近づくように前記把持装置を直進移動させる直進制御部と、
前記一方のセンサのみが前記ワークを検出した場合は、前記把持装置の直進移動を停止するとともに、前記一方のセンサが前記ワークを検出することにより前記ワーク上の位置として決定された目標位置を基準として前記把持装置を旋回させる旋回制御部と、
を備える、ロボットの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットの制御装置であって、
前記把持装置の旋回開始後、前記他方のセンサが前記ワークを検出した場合、前記把持装置の旋回を停止するとともに、前記一対の可動部材に前記ワークを前記両端から把持させる把持制御部をさらに備える、ロボットの制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のロボットの制御装置であって、
前記一方のセンサは、前記第1方向に前記ワークを検出し、
前記目標位置は、前記一方のセンサから前記第1方向に所定距離だけ離れた位置であり、
前記所定距離は、前記一方のセンサの検出範囲に応じた距離である、ロボットの制御装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットの制御装置と、
前記ロボットと、
を備え、
前記一対のセンサの各々は、前記ワークの所定部分が検出範囲にあるか否かを検出する、ロボットシステム。
【請求項5】
ワークを前記ワークの両端から把持する一対の可動部材と、前記ワークを検出する一対のセンサとを有し、前記一対のセンサのうち一方のセンサは前記一対の可動部材のうち一方の可動部材に設けられ、且つ前記一対のセンサのうち他方のセンサは前記一対の可動部材のうち他方の可動部材に設けられる把持装置とを備えるロボットの制御方法であって、
前記一対の可動部材を結ぶ第1方向と交差する第2方向に沿って、前記把持装置が前記ワークに近づくように前記把持装置を直進移動させる直進制御ステップと、
前記一方のセンサのみが前記ワークを検出した場合は、前記把持装置の直進移動を停止するとともに、前記一方のセンサが前記ワークを検出することにより前記ワーク上の位置として決定された目標位置を基準として前記把持装置を旋回させる旋回制御ステップと、
を備える、ロボットの制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のロボットの制御方法であって、
前記把持装置の旋回開始後、前記他方のセンサが前記ワークを検出した場合、前記把持装置の旋回を停止するとともに、前記一対の可動部材に前記ワークを前記両端から把持させる把持制御ステップをさらに備える、ロボットの制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載のロボットの制御方法であって、
前記一方のセンサは、前記第1方向に前記ワークを検出し、
前記目標位置は、前記一方のセンサから前記第1方向に所定距離だけ離れた位置であり、
前記所定距離は、前記一方のセンサの検出範囲に応じた距離である、ロボットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの制御装置、ロボットシステムおよびロボットの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ワークの把持方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたワークの把持方法によると、傾いたワークを適切に把持できない場合があるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、ワークを前記ワークの両端から把持する一対の可動部材と、前記ワークを検出する一対のセンサとを有し、前記一対のセンサのうち一方のセンサは前記一対の可動部材のうち一方の可動部材に設けられ、且つ前記一対のセンサのうち他方のセンサは前記一対の可動部材のうち他方の可動部材に設けられる把持装置とを備えるロボットの制御装置であって、前記一対の可動部材を結ぶ第1方向と交差する第2方向に沿って、前記把持装置が前記ワークに近づくように前記把持装置を直進移動させる直進制御部と、前記一方のセンサのみが前記ワークを検出した場合は、前記把持装置の直進移動を停止するとともに、前記一方のセンサが前記ワークを検出することにより前記ワーク上の位置として決定された目標位置を基準として前記把持装置を旋回させる旋回制御部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、ロボットシステムであって、第1の態様のロボットの制御装置と、前記ロボットと、を備え、前記一対のセンサの各々は、前記ワークの所定部分が検出範囲にあるか否かを検出する。
【0008】
本発明の第3の態様は、ワークを前記ワークの両端から把持する一対の可動部材と、前記ワークを検出する一対のセンサとを有し、前記一対のセンサのうち一方のセンサは前記一対の可動部材のうち一方の可動部材に設けられ、且つ前記一対のセンサのうち他方のセンサは前記一対の可動部材のうち他方の可動部材に設けられる把持装置とを備えるロボットの制御方法であって、前記一対の可動部材を結ぶ第1方向と交差する第2方向に沿って、前記把持装置が前記ワークに近づくように前記把持装置を直進移動させる直進制御ステップと、前記一方のセンサのみが前記ワークを検出した場合は、前記把持装置の直進移動を停止するとともに、前記一方のセンサが前記ワークを検出することにより前記ワーク上の位置として決定された目標位置を基準として前記把持装置を旋回させる旋回制御ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ワークを安定的に把持するための把持位置を適切に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ロボットと、一実施の形態による制御装置とを有するロボットシステムの一例を示す図である。
【
図2】
図2Aは、受け部材に支持されたワークを例示する図である。
図2Bは、ワークを把持するためにワークに近づく把持装置の平面図である。
【
図3】
図3Aは、一方のセンサのみがワークを検出した状態を示す図、
図3Bは、目標位置を基準として、把持装置が旋回した後、停止した状態を示す図、
図3Cは、一方のセンサが検出したワーク上の位置が、把持装置の旋回後も移動しない状態を説明するための図である。
【
図4】
図4Aは、
図3Aと同様に、一方のセンサのみがワークを検出した状態を示す図、
図4Bは、一方のセンサの位置が設けられた一方の可動部材上の位置を基準として、把持装置が旋回した後、停止した状態を示す図、
図4Cは、一方のセンサが検出したワーク上の位置が、把持装置の旋回により移動した状態を説明するための図である。
【
図5】
図5は、一実施の形態による制御装置が行うロボットの制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、ロボット10と、一実施の形態による制御装置20とを有するロボットシステム30の一例を示す図である。制御装置20は、ロボット10を制御する。ロボット10は、把持装置40と、ロボット本体50とを有する。把持装置40の連結部材60が、ロボット本体50の連結部材62に接続されることにより、把持装置40がロボット本体50に取り付けられる。
【0012】
ロボット本体50は、多関節多軸ロボットアームであり、把持装置40を移動させるための駆動機構を有する。ロボット本体50が把持装置40を移動させることにより、把持装置40は、直進移動できるとともに、旋回移動できる。
【0013】
把持装置40は、一対の可動部材70(70a、70b)と、一対のセンサ74(74a、74b)とを有する。一対の可動部材70は、把持装置40の両端部に配置される。把持装置40は、一対の可動部材70を、一対の可動部材70を結ぶ第1方向D1に沿って、互いに逆向きに移動させるための駆動機構を有する。一対の可動部材70が互いに逆向きに移動することにより、一対の可動部材70の間の距離が変化する。換言すると、一対の可動部材70は、第1方向D1に沿って開閉する。一対の可動部材70は、閉方向に移動することにより、ワーク90をワーク90の両端から把持可能である。
【0014】
一対のセンサ74は、一対の可動部材70に設けられ、第1方向D1にワーク90を検出する。一対のセンサ74のうち一方のセンサ74aは一対の可動部材70のうち一方の可動部材70aに設けられる。一対のセンサ74のうち他方のセンサ74bは一対の可動部材70のうち他方の可動部材70bに設けられる。把持装置40が第2方向D2に沿ってワーク90へ向かって移動すると、一対のセンサ74によってワーク90が検出される。このタイミングで一対の可動部材70が閉方向に移動することで、一対の可動部材70は、ワーク90を把持することができる。第2方向D2は第1方向D1と交差する方向である。
【0015】
一対のセンサ74の各々は、例えばレーザにより検出範囲LaまたはLbにあるワーク90を検出するエリアセンサである。一対のセンサ74の各々は、ワーク90の所定部分を検出した場合、ワーク90を検出したことを示す検出信号を出力する。所定部分は、例えば、ワーク90の端面において平坦な部分である。
【0016】
制御装置20は、把持装置40と、ロボット本体50とを制御する。
図1には、制御装置20の構成を模式的に示すブロック図が示されている。制御装置20は、処理回路100と、記憶部102とを有する。処理回路100は、CPUまたはGPU等のプロセッサを含む。記憶部102は、RAM等の揮発性メモリと、ROMまたはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリとを含む。揮発性メモリは、プロセッサのワーキングメモリとして用いられる。不揮発性メモリは、プロセッサが実行するプログラムと、その他必要なデータとを記憶する。
【0017】
処理回路100は、センサ制御部120と、目標位置決定部122と、直進制御部124と、旋回制御部126と、把持制御部128とを有する。処理回路100が記憶部102に保存されたプログラムを実行することにより、センサ制御部120と、目標位置決定部122と、直進制御部124と、旋回制御部126と、把持制御部128とが実現される。センサ制御部120と、目標位置決定部122と、直進制御部124と、旋回制御部126と、把持制御部128とのうちの少なくとも一部は、ASICまたはFPGA等の集積回路、或いはディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0018】
センサ制御部120は、一対のセンサ74を制御して、ワーク90の検出処理を行わせる。一対のセンサ74の各々が上述した検出信号を出力した場合、センサ制御部120は、一対のセンサ74の各々によりワーク90が検出されたと判定する。一対のセンサ74の各々は、検出範囲LaまたはLb内にワーク90の所定部分が入ると検出信号を出力する。
【0019】
目標位置決定部122は、一対のセンサ74のうち、1つのセンサのみがワーク90を検出した場合は、把持装置40の旋回(後述)の基準位置となる目標位置を決定する。例えば、センサ74aのみがワーク90を検出した場合、目標位置決定部122は、センサ74aから検出方向D1aに所定距離だけ離れた位置を、目標位置として決定する。所定距離は、センサ74aの検出範囲Laに応じた距離である。
【0020】
直進制御部124は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40を第2方向D2に沿って直進移動させる。把持装置40の一対の可動部材70がワーク90を把持できるように、直進制御部124は、把持装置40をワーク90へ向かって直進移動で前進させる。一対の可動部材70がワーク90を把持すると、直進制御部124は、把持装置40を直進移動で後退させる。
【0021】
旋回制御部126は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40の直進移動を停止する。旋回制御部126は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、上述した目標位置を基準として把持装置40を旋回させる。
【0022】
把持制御部128は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40の旋回を停止する。把持制御部128は、把持装置40の駆動機構を制御して、一対の可動部材70に、ワーク90をワーク90の両端から把持させる。
【0023】
図2Aは、受け部材150に支持されたワーク90を例示する図である。
図2Aに示す例において、ワーク90は細長い形状を有している。把持装置40は受け部材150に支持されたワーク90に近づくように直進移動する。把持装置40がワーク90に近づいた後、把持装置40の一対の可動部材70が、ワーク90の長手方向における両端からワーク90を把持する。
【0024】
図2Bは、ワーク90を把持するためにワーク90に近づく把持装置40の平面図である。すなわち、
図2Bは、把持装置40を上方から見た場合の図を示している。把持装置40は、可動部材70aと、可動部材70bと、を有する。可動部材70aと、可動部材70bとが、第1方向D1に配置されている。
【0025】
可動部材70aにセンサ74aが設けられている。センサ74aは、検出範囲La内で、第1方向D1と平行な検出方向D1aにワーク90を検出することができる。可動部材70bにセンサ74bが設けられている。センサ74bは、検出範囲Lb内で、第1方向D1と平行な検出方向D1bにワーク90を検出することができる。
【0026】
受け部材150に支持されたワーク90は、把持装置40に対して第2方向D2に位置する。
図2Bに示す例において、細長いワーク90は、やや傾いている。
図2Bでは、第2方向D2に関して、可動部材70aの方が可動部材70bよりワーク90に近い。したがって、把持装置40が、ワーク90を把持するため、ワーク90に近づくように第2方向D2に沿って直進移動すると、センサ74aが、センサ74bよりも先にワーク90を検出する。センサ74aのみがワーク90を検出した状態およびそれ以降で、把持装置40がワーク90を把持するために行われる処理の詳細について、以下に説明する。
【0027】
図3Aは、一方のセンサ74aのみがワーク90を検出した状態を示す図である。上述したように把持装置40が第2方向D2に沿ってワーク90に近づくと、センサ74aは、検出方向D1aにワーク90の所定部分Paを検出する。センサ74aは、所定部分Paがセンサ74aの検出範囲Laにあることを検出し、検出信号を出力する。しかし、センサ74bは、検出信号を出力しない。したがって、センサ制御部120は、一方のセンサ74aのみによりワーク90が検出されたと判定する。
【0028】
旋回制御部126は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40の直進移動を停止し、把持装置40を旋回させる。本実施の形態では、ワーク90上の位置として決定された目標位置を基準として把持装置40が旋回する。なお、説明を簡単にするため、目標位置は、上述したワーク90の所定部分Paに一致すると仮定して説明する。把持装置40が旋回する前の状態において、目標位置から、センサ74aの検出方向D1aに垂直な方向Dwaが、
図3Aに示されている。
【0029】
図3Bは、目標位置を基準として、把持装置40が旋回した後、停止した状態を示す図である。把持装置40の旋回開始後、センサ74bが検出方向D1cにワーク90の所定部分Qaを検出したとする。その場合、把持制御部128は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40の旋回を停止する。センサ74bの検出方向D1cは、把持装置40の旋回後における第1方向D1と平行である。
【0030】
図3Bに示すように、センサ74aの検出方向D1aは、把持装置40の旋回により検出方向D1dに変化する。センサ74aの検出方向D1dは、把持装置40の旋回後における第1方向D1と平行である。センサ74aは、検出方向D1dにワーク90の所定部分Paを検出する。すなわち、センサ74aにより検出されるワーク90上の位置は、移動せずに所定部分Paのままである。
【0031】
把持装置40が旋回した後の状態において、目標位置から、センサ74aの検出方向D1dに垂直な方向Dwbが、把持装置40の旋回前の上述した方向Dwaとともに
図3Bに示されている。方向Dwaと方向Dwbとがなす角度φは、把持装置40が旋回した角度を表す。
【0032】
図3Cは、一方のセンサ74aが検出したワーク90上の位置が、把持装置40の旋回後も移動しない状態を説明するための図である。所定部分Paに一致する目標位置を基準として、把持装置40が角度φだけ旋回する。把持装置40の旋回により、ワーク90に対するセンサ74aの位置は、旋回前の位置74asから、旋回後の位置74atに移動する。その結果、センサ74aにより検出されるワーク90上の位置は、所定部分Paのまま変わらない。
【0033】
把持制御部128は、把持装置40を制御して、一対の可動部材70にワーク90を把持させる。可動部材70aは、ワーク90上の所定部分Paに応じた位置でワーク90を把持する。可動部材70bは、ワーク90上の所定部分Qaに応じた位置でワーク90を把持する。可動部材70aがワーク90を把持する位置は、センサ74aにより当初から検出されているワーク90上の所定部分Paに応じた位置である。そのため、一対の可動部材70は、ワーク90を安定的に把持できる。
【0034】
本実施の形態では、上述した目標位置を基準として把持装置40が旋回する。目標位置ではなく、センサ74aが設けられた可動部材70a上の位置を基準として、把持装置40が旋回した場合の比較例を、
図4A、
図4Bおよび
図4Cを用いて説明する。
【0035】
図4Aは、
図3Aと同様に、一方のセンサ74aのみがワーク90を検出した状態を示す図である。把持装置40が第2方向D2に沿ってワーク90に近づくと、センサ74aは、検出方向D1aにワーク90の所定部分Paを検出する。センサ74aは、所定部分Paがセンサ74aの検出範囲Laにあることを検出し、検出信号を出力する。センサ制御部120は、一方のセンサ74aのみによりワーク90が検出されたと判定する。
【0036】
旋回制御部126は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40の直進移動を停止し、把持装置40を旋回させる。把持装置40が旋回する前の状態において、センサ74aが設けられた位置から、検出方向D1aに垂直な方向Dvaが、
図4Aに示されている。
【0037】
図4Bは、一方のセンサ74aの位置が設けられた一方の可動部材70a上の位置を基準として、把持装置40が旋回した後、停止した状態を示す図である。把持装置40の旋回開始後、センサ74bが検出方向D1eにワーク90の所定部分Qbを検出したとする。その場合、把持制御部128は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40の旋回を停止する。センサ74bの検出方向D1eは、把持装置40の旋回後における第1方向D1と平行である。
【0038】
図4Bに示すように、センサ74aの検出方向D1aは、把持装置40の旋回により検出方向D1fに変化する。センサ74aの検出方向D1fは、把持装置40の旋回後における第1方向D1と平行である。センサ74aは、検出方向D1fにワーク90の所定部分Pbを検出する。すなわち、センサ74aにより検出されるワーク90上の位置は、所定部分Paから所定部分Pbに移動する。
【0039】
把持装置40が旋回した後の状態において、センサ74aが設けられた位置から、検出方向D1fに垂直な方向Dvbが、把持装置40の旋回前の上述した方向Dvaとともに
図4Bに示されている。方向Dvaと方向Dvbとがなす角度θは、把持装置40が旋回した角度を表す。
【0040】
図4Cは、一方のセンサ74aが検出したワーク90上の位置が、把持装置40の旋回により移動した状態を説明するための図である。センサ74aの位置を基準として、把持装置40が角度θだけ旋回する。把持装置40の旋回により、センサ74aの検出方向D1aが検出方向D1fに変化する。その結果、センサ74aにより検出されるワーク90上の位置は、センサ74aの位置から検出方向D1aにある所定部分Paから、センサ74aの位置から検出方向D1fにある所定部分Pbに移動する。
【0041】
把持制御部128は、把持装置40を制御して、一対の可動部材70にワーク90を把持させる。可動部材70aは、ワーク90上の所定部分Pbに応じた位置でワーク90を把持する。可動部材70bは、ワーク90上の所定部分Qbに応じた位置でワーク90を把持する。可動部材70aがワーク90を把持する位置は、センサ74aにより当初検出されたワーク90上の所定部分Paに応じた位置ではない。そのため、一対の可動部材70は、ワーク90を安定的に把持できないおそれがある。ここまで説明した比較例と比較すると、本実施の形態の制御装置20によれば、一対の可動部材70は、ワーク90を安定的に把持できることが理解できる。
【0042】
図5は、本実施の形態による制御装置20が行うロボット10の制御処理の処理手順を示すフローチャートである。本処理手順は、例えば制御装置20が有する処理回路100により行われる。本処理手順が開始されると、ステップS1で、直進制御部124は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40を第2方向D2に沿って直進移動させる。把持装置40は、受け部材150に支持されたワーク90へ向かって直進移動で前進する。
【0043】
ステップS2で、センサ制御部120は、一対のセンサ74のうち一方のセンサ74aによりワーク90が検出されたか否かを判定する。センサ74aは、ワーク90の所定部分Paがセンサ74aの検出範囲Laにあるか否かを検出する。センサ74aは、所定部分Paが検出範囲Laにあると検出した場合、検出信号を出力する。センサ制御部120は、例えばその検出信号に基づいて、センサ74aによりワーク90が検出されたと判定する。なお、センサ74aに代えて、センサ74bによりワーク90が検出された場合も同様である。ステップS2でYESとなった場合、本処理手順はステップS3へ進む。ステップS2でNOとなった場合、本処理手順はステップS1へ戻る。
【0044】
ステップS3で、旋回制御部126は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40の直進移動を停止する。ステップS4で、センサ制御部120は、一対のセンサ74のうち他方のセンサ74bによりワーク90が検出されたか否かを判定する。センサ74bは、ワーク90の所定部分Qaがセンサ74bの検出範囲Lbにあるか否かを検出する。センサ74bは、所定部分Qaが検出範囲Lbにあると検出した場合、検出信号を出力する。センサ制御部120は、例えばその検出信号に基づいて、センサ74bによりワーク90が検出されたと判定する。
【0045】
なお、ステップS2でセンサ74bによりワーク90が検出された場合、ステップS4では、センサ74bに代えて、センサ74aによりワーク90が検出された否かが判定される。ステップS4でYESとなった場合、本処理手順はステップS9へ進む。ステップS4でNOとなった場合、本処理手順はステップS5へ進む。
【0046】
ステップS5で、目標位置決定部122は、センサ74aから検出方向D1aに所定距離だけ離れた位置を、目標位置として決定する。ステップS6で、旋回制御部126は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、目標位置を基準として把持装置40を旋回させる。
【0047】
ステップS7で、センサ制御部120は、一対のセンサ74のうち他方のセンサ74bによりワーク90が検出されたか否かを判定する。ステップS7で行われる処理は、上述したステップS4で行われる処理と同様である。なお、ステップS2でセンサ74bによりワーク90が検出された場合、ステップS7では、センサ74bに代えて、センサ74aによりワーク90が検出された否かが判定される。ステップS7でYESとなった場合、本処理手順はステップS8へ進む。ステップS7でNOとなった場合、本処理手順はステップS6へ戻る。
【0048】
ステップS8で、把持制御部128は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40の旋回を停止する。ステップS9で、把持制御部128は、把持装置40の駆動機構を制御して、一対の可動部材70に、ワーク90をワーク90の両端から把持させる。ステップS10で、直進制御部124は、ロボット本体50の駆動機構を制御して、把持装置40を第2方向D2に沿って直進移動させる。把持装置40は、受け部材150から離れるように直進移動で後退する。ステップS10の処理が完了すると、本処理手順は終了する。
【0049】
なお、
図2Bに示す例では、ワーク90は第2方向D2に傾いている。しかし、ワーク90が重力方向に傾いている場合にも、本実施の形態による制御装置20を用いることができる。
【0050】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0051】
(1)ワーク(90)を前記ワークの両端から把持する一対の可動部材(70)と、前記ワークを検出する一対のセンサ(74)とを有し、前記一対のセンサのうち一方のセンサ(74a)は前記一対の可動部材のうち一方の可動部材(70a)に設けられ、且つ前記一対のセンサのうち他方のセンサ(74b)は前記一対の可動部材のうち他方の可動部材(70b)に設けられる把持装置(40)とを備えるロボット(10)の制御装置(20)は、前記一対の可動部材を結ぶ第1方向(D1)と交差する第2方向(D2)に沿って、前記把持装置が前記ワークに近づくように前記把持装置を直進移動させる直進制御部(124)と、前記一方のセンサのみが前記ワークを検出した場合は、前記把持装置の直進移動を停止するとともに、前記一方のセンサが前記ワークを検出することにより前記ワーク上の位置として決定された目標位置を基準として前記把持装置を旋回させる旋回制御部(126)と、を備える。これにより、ワークを安定的に把持するための把持位置を適切に決定することができる。
【0052】
(2)前記制御装置は、前記把持装置の旋回開始後、前記他方のセンサが前記ワークを検出した場合、前記把持装置の旋回を停止するとともに、前記一対の可動部材に前記ワークを前記両端から把持させる把持制御部(128)をさらに備えてもよい。これにより、ワークを安定的に把持することができる。
【0053】
(3)前記一方のセンサは、前記第1方向に前記ワークを検出し、前記目標位置は、前記一方のセンサから前記第1方向に所定距離だけ離れた位置であり、前記所定距離は、前記一方のセンサの検出範囲(La)に応じた距離であってもよい。これにより、目標位置を基準として把持装置を旋回させることができる。
【0054】
(4)ロボットシステム(30)は、前記制御装置と、前記ロボットと、を備え、前記一対のセンサの各々は、前記ワークの所定部分(Pa、Qa)が検出範囲(La、Lb)にあるか否かを検出する。これにより、目標位置を決定することができる。
【0055】
(5)ワーク(90)を前記ワークの両端から把持する一対の可動部材(70)と、前記ワークを検出する一対のセンサ(74)とを有し、前記一対のセンサのうち一方のセンサ(74a)は前記一対の可動部材のうち一方の可動部材(70a)に設けられ、且つ前記一対のセンサのうち他方のセンサ(74b)は前記一対の可動部材のうち他方の可動部材(70b)に設けられる把持装置(40)とを備えるロボット(10)の制御方法は、前記一対の可動部材を結ぶ第1方向(D1)と交差する第2方向(D2)に沿って、前記把持装置が前記ワークに近づくように前記把持装置を直進移動させる直進制御ステップと、前記一方のセンサのみが前記ワークを検出した場合は、前記把持装置の直進移動を停止するとともに、前記一方のセンサが前記ワークを検出することにより前記ワーク上の位置として決定された目標位置を基準として前記把持装置を旋回させる旋回制御ステップと、を備える。これにより、ワークを安定的に把持するための把持位置を適切に決定することができる。
【0056】
(6)前記制御方法は、前記把持装置の旋回開始後、前記他方のセンサが前記ワークを検出した場合、前記把持装置の旋回を停止するとともに、前記一対の可動部材に前記ワークを前記両端から把持させる把持制御ステップをさらに備えてもよい。これにより、ワークを安定的に把持することができる。
【0057】
(7)前記一方のセンサは、前記第1方向に前記ワークを検出し、前記目標位置は、前記一方のセンサから前記第1方向に所定距離だけ離れた位置であり、前記所定距離は、前記一方のセンサの検出範囲(La)に応じた距離であってもよい。これにより、目標位置を基準として把持装置を旋回させることができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0059】
10…ロボット 20…制御装置
30…ロボットシステム 40…把持装置
50…ロボット本体 60、62…連結部材
70…可動部材 74…センサ
90…ワーク 100…処理回路
102…記憶部 120…センサ制御部
122…目標位置決定部 124…直進制御部
126…旋回制御部 128…把持制御部
150…受け部材
【手続補正書】
【提出日】2024-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを前記ワークの両端から把持する一対の可動部材と、前記ワークを検出する一対のセンサとを有し、前記一対のセンサのうち一方のセンサは前記一対の可動部材のうち一方の可動部材に設けられ、且つ前記一対のセンサのうち他方のセンサは前記一対の可動部材のうち他方の可動部材に設けられる把持装置を備えるロボットの制御装置であって、
前記一対の可動部材を結ぶ第1方向と交差する第2方向に沿って、前記把持装置が前記ワークに近づくように前記把持装置を直進移動させる直進制御部と、
前記一方のセンサが前記第1方向に前記ワークを検出した場合は、前記把持装置の直進移動を停止するとともに、前記一方のセンサのみが前記第1方向に前記ワークを検出し、且つ前記他方のセンサが前記第1方向に前記ワークを検出していない場合、前記一方のセンサが前記第1方向に前記ワークを検出することにより、前記一方のセンサから前記第1方向に離れた前記ワーク上の位置として決定された目標位置を基準として前記把持装置を旋回させる旋回制御部と、
を備える、ロボットの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットの制御装置であって、
前記把持装置の旋回開始後、前記他方のセンサが前記第1方向に前記ワークを検出した場合、前記把持装置の旋回を停止するとともに、前記一対の可動部材に前記ワークを前記両端から把持させる把持制御部をさらに備える、ロボットの制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のロボットの制御装置であって、
前記目標位置は、前記一方のセンサから前記第1方向に所定距離だけ離れた位置であり、
前記所定距離は、前記一方のセンサの検出範囲に応じた距離である、ロボットの制御装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットの制御装置と、
前記ロボットと、
を備え、
前記一対のセンサの各々は、前記ワークの所定部分が検出範囲にあるか否かを検出する、ロボットシステム。
【請求項5】
ワークを前記ワークの両端から把持する一対の可動部材と、前記ワークを検出する一対のセンサとを有し、前記一対のセンサのうち一方のセンサは前記一対の可動部材のうち一方の可動部材に設けられ、且つ前記一対のセンサのうち他方のセンサは前記一対の可動部材のうち他方の可動部材に設けられる把持装置を備えるロボットの制御方法であって、
前記一対の可動部材を結ぶ第1方向と交差する第2方向に沿って、前記把持装置が前記ワークに近づくように前記把持装置を直進移動させる直進制御ステップと、
前記一方のセンサが前記第1方向に前記ワークを検出した場合は、前記把持装置の直進移動を停止するとともに、前記一方のセンサのみが前記第1方向に前記ワークを検出し、且つ前記他方のセンサが前記第1方向に前記ワークを検出していない場合、前記一方のセンサが前記第1方向に前記ワークを検出することにより、前記一方のセンサから前記第1方向に離れた前記ワーク上の位置として決定された目標位置を基準として前記把持装置を旋回させる旋回制御ステップと、
を備える、ロボットの制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のロボットの制御方法であって、
前記把持装置の旋回開始後、前記他方のセンサが前記第1方向に前記ワークを検出した場合、前記把持装置の旋回を停止するとともに、前記一対の可動部材に前記ワークを前記両端から把持させる把持制御ステップをさらに備える、ロボットの制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載のロボットの制御方法であって、
前記目標位置は、前記一方のセンサから前記第1方向に所定距離だけ離れた位置であり、
前記所定距離は、前記一方のセンサの検出範囲に応じた距離である、ロボットの制御方法。