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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089151
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】柱梁接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240626BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
E04B1/58 505S
E04B1/24 M
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204342
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】515210868
【氏名又は名称】株式会社田中構造設計
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】田中 忍
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AB01
2E125AB16
2E125AC15
2E125AC16
2E125AG43
2E125AG45
2E125AG48
2E125CA05
(57)【要約】
【課題】熟練した溶接工が不要で施工が容易であり、柱材の使用本数を削減し、工期短縮を図ることも可能な柱梁接合構造を提供する。
【解決手段】柱梁接合構造は、所定間隔を置いて立設された複数の柱材10と、柱材10の上に横架された下部梁材11と、下部梁材11と交差する状態で下部梁材11の上に載置された上部梁材12と、を備え、柱材10と下部梁材11とがボルトナットBNで接合され、下部梁材11と上部梁材12とがボルトナットBNで接合されている。互いに交差状態にある下部梁材11と上部梁材12との間にはボルトナットBNを用いて方杖16が取り付けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を置いて立設された複数の柱材と、前記柱材の上に横架された下部梁材と、前記下部梁材と交差する状態で前記下部梁材の上に載置された上部梁材と、を備え、
前記柱材と前記下部梁材との接合手段、及び、前記下部梁材と前記上部梁材との接合手段がボルトナットである柱梁接合構造。
【請求項2】
互いに交差状態にある前記下部梁材と前記上部梁材との間にボルトナットを用いて方杖を取り付けた請求項1記載の柱梁接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨造の建築物における柱材と梁材との接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨造の建築物における柱材と梁材との接合手段は、従来、溶接が多用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された柱梁接合構造は、鋼管にダイアフラムを付設して柱を構成し、この柱にH形鋼梁を溶接した柱梁接合構造において、H形鋼梁のフランジの左右両側に、三角形板状の極低降伏点鋼材からなるハンチプレートを水平に添設して柱に溶接したことを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-273971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された柱梁接合構造においては、柱と梁とが溶接によって接合されているため、施工する際には熟練した溶接工が必要である。また、前記柱梁接合構造を施工する場合、柱と梁との溶接作業は工場で行い、出来上がった鉄骨部材を施工現場に搬入するという方法が採られることが多いが、この鉄骨部材のサイズや重量が大きいので、施工現場へ搬入するときには、大型の揚重機や運搬車両を必要とするという問題がある。
【0005】
一方、特許文献1に記載された柱梁接合構造は、工事現場にて施工することも可能であるが、熟練した溶接工を工事現場に配備しなければならないので、人材不足が続く近年の状況下においては施工が困難化している。また、溶接工の不足などにより、工期の遅延が生じることがある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、熟練した溶接工が不要で施工が容易であり、柱材の使用本数を削減し、工期短縮を図ることも可能な柱梁接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る柱梁接合構造は、所定間隔を置いて立設された複数の柱材と、前記柱材の上に横架された下部梁材と、前記下部梁材と交差する状態で前記下部梁材の上に載置された上部梁材と、を備え、
前記柱材と前記下部梁材との接合手段、及び、前記下部梁材と前記上部梁材との接合手段がボルトナットであることを特徴とする。
【0008】
前記柱梁接合構造においては、互いに交差状態にある前記下部梁材と前記上部梁材との間にボルトナットを用いて方杖を取り付けることもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、熟練した溶接工が不要で施工が容易であり、柱材の使用本数を削減し、工期短縮を図ることも可能な柱梁接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態である柱梁接合構造を示す一部省略正面図である。
図2図1中の矢線Aで示す部分の一部省略拡大図である。
図3図2中のB-B線における一部省略断面図である。
図4図1中の矢線Cで示す部分の一部省略拡大図である。
図5図4中のD-D線における一部省略断面図である。
図6図4中のE-E線における一部省略断面図である。
図7図1中の矢線Fで示す部分の一部省略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図7に基づいて、本発明の実施形態である柱梁接合構造100について説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る柱梁接合構造100は、所定の間隔Sを置いて立設された複数の柱材10と、柱材10の上に横架された下部梁材11と、下部梁材11と立体交差する状態で下部梁材11の上に載置された上部梁材12と、を備えている。図2図3に示すように、下部梁材11及び上部梁材12はそれぞれH形鋼で形成され、下部梁材11の高さ11hは、上部梁材12に高さ12hより大である。また、図5に示すように、柱材10は角形鋼管で形成されている。
【0013】
図2図3に示すように、下部梁材11と上部梁材12とが立体交差した領域においては、下部梁材11の上方のフランジ11fの上面と、上部梁材12の下方のフランジ12fの下面とが接触している。そして、このフランジ11f,12fの接触部分において、フランジ11fとフランジ12fとが複数のボルトナットBNによって締結されている。
【0014】
下部梁材11において、フランジ11f,12fの接触部分の下方に位置する部分には、ウェブ11wの両面にスティフナー13が取り付けられている。また、上部梁材12においてフランジ11f,12fの接触部分の上方に位置する部分には、ウェブ12wの両スティフナー14が取り付けられている。
【0015】
図4図5に示すように、柱材10の上端には四角形鋼板で形成された連接板20が柱材10の上端開口部を閉塞した状態で配置され、連接板20と柱材10とは溶接によって接合されている。そして、図4に示すように、下部梁材11の下方のフランジ11fの下面を連接板20の上面に接触させた状態で、下部梁材11が柱材10の上に横架され、下部梁材11の下方のフランジ11fと連接板20との接触部分においてフランジ11fと連接板20とがボルトナットBNによって締結されている。
【0016】
図4に示すように、下部梁材11のウェブ11wにおいて柱材10の真上に位置する部分の両面にはスティフナー13が取り付けられている。下部梁材11の上方のフランジ11fにおいてスティフナー13の真上に位置する部分には、上部梁材12が下部梁材11と立体交差するように配置され、下部梁材11の上方のフランジ11fの上面と、上部梁材12の下方のフランジ12fの下面と、が接触している部分が複数のボルトナットBNによって締結されている。
【0017】
図4に示すように、上部梁材12のウェブ12wにおいて、前述したフランジ11fとフランジ12fとの接触部分の真上に位置する領域の両面にはスティフナー14が取り付けられている。また、下部梁材11の上方のフランジ11fの上面において、上部梁材12を挟んで対向する位置にはそれぞれガセットプレート15aが固着されている。そして、上部梁材12のスティフナー14とガセットプレート15aとを連接する状態で配置された方杖16aの両端部分がそれぞれボルトナットBNを用いてスティフナー14、ガセットプレート15aに固定されている。上部梁材12の上方のフランジ12fの上面にはフランジ12fの長手方向に沿ってC形鋼17が取り付けられている。
【0018】
同じく、図6に示すように、下部梁材11のウェブ11wにおいて柱材10の真上に位置する部分の両面にはスティフナー13が取り付けられている。下部梁材11の上方のフランジ11fにおいてスティフナー13の真上に位置する部分には、上部梁材12が下部梁材11と立体交差するように配置され、下部梁材11の上方のフランジ11fの上面と、上部梁材12の下方のフランジ12fの下面とが接触している部分が複数のボルトナットBNによって締結されている。
【0019】
また、図6に示すように、上部梁材12のウェブ12wにおいて、前述したフランジ11fとフランジ12fとの接触部分の真上に位置する領域の両面にはスティフナー14が取り付けられている。また、上部梁材12の下方のフランジ12fの下面において、下部梁材11を挟んで対向する位置にはそれぞれガセットプレート15bが固着されている。そして、下部梁材11のスティフナー13とガセットプレート15bとを連接する状態で配置された方杖16bの両端部分がそれぞれボルトナットBNを用いてスティフナー13、ガセットプレート15bに固定されている。
【0020】
次に、図7に基づいて、下部梁材11の長手方向の連結構造について説明する。図7に示すように、図面上で左右に隣り合う下部梁材11,11の端部同士が突き合わされ、下部梁材11,11のウェブ11w,11wの両面にそれぞれウェブ11w,11wを跨ぐ状態で添接板18が配置され、複数のボルトナットBNを用いてウェブ11w,11wに固定されている。
【0021】
また、下部梁材11,11の上方のフランジ11f,11fの上面にはフランジ11f,11fの上面を跨ぐように添接板19aが配置され、同じく上方のフランジ11f,11fの下面(ウェブ11wに繋がる面)には上方のフランジ11f,11fの下面を跨ぐように添接板19bが配置され、添接板19a、フランジ11f,11f及び添接板19bが複数のボルトナットBNを用いて固定されている。
【0022】
同様に、下部梁材11,11の下方のフランジ11f,11fの上面(ウェブ11wに繋がる面)にはフランジ11f,11fの下面を跨ぐように添接板19bが配置され、下方のフランジ11f,11fの下面には上方のフランジ11f,11fの下面を跨ぐように添接板19aが配置され、添接板19b、フランジ11f,11f及び添接板19aが複数のボルトナットBNを用いて固定されている。なお、図示していないが、上部梁材12(図6参照)の長手方向の連結構造も図7に示す連結構造と同様である。
【0023】
前述したように、図1に示す柱梁接合構造100においては、柱材10と下部梁材11との接合手段、及び、下部梁材11と上部梁材12との接合手段がボルトナットBNであるため、柱梁接合構造100を構築する際に熟練した溶接工が不要である。また、柱材10と下部梁材11との接合作業、及び、下部梁材11と上部梁材12との接合作業は平均的な作業者が一般工具を用いて実施可能であるため施工が容易であり、工期短縮を図ることも可能である。
【0024】
また、図1に示す柱梁接合構造100は、所定の間隔Sを置いて立設された複数の柱材10の上に横架された下部梁材11と、下部梁材11と立体交差する状態で下部梁材11の上に載置された上部梁材12と、を備え、柱材10,下部梁材11並びに上部梁材12の接合手段がボルトナットBNであることにより、隣り合う柱材10,10の間隔Sを広くすることができるので、柱材Sの使用本数を削減することができ、建築資材の削減に有効である。
【0025】
なお、図1図7に基づいて説明した柱梁接合構造100は、本発明に係る柱梁接合構造の一例を示すものであり、本発明に係る柱梁接合構造は前述した柱梁接合構造100に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る柱梁接合構造は、鉄骨造の建築物を構築する土木建設業や建築業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 柱材
11 下部梁材
11f,12f フランジ
11h,12h 高さ
11w,12w ウェブ
12 上部梁材
13,14 スティフナー
15a,15b ガセットプレート
16a,16b 方杖
17 C形鋼
18,19a,19b 添接板
20 連接板
100 柱梁接合構造
BN ボルトナット
S 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7