(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089158
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/45 20230101AFI20240626BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240626BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240626BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240626BHJP
G02B 5/04 20060101ALI20240626BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240626BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20240626BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H04N23/45
H04N23/55
H04N23/50
G03B11/00
G02B5/04 B
G02B5/30
G02B5/26
G02B5/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204350
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏秀
【テーマコード(参考)】
2H042
2H083
2H148
2H149
5C122
【Fターム(参考)】
2H042CA08
2H042CA10
2H042CA11
2H042CA14
2H042CA17
2H083AA02
2H083AA04
2H083AA06
2H083AA19
2H083AA26
2H083AA32
2H148FA09
2H148FA16
2H148FA24
2H148GA18
2H148GA32
2H149AA22
2H149BA01
2H149BA02
2H149DA02
2H149DA12
5C122DA16
5C122EA12
5C122FA18
5C122FB13
5C122FB15
5C122GE11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可視光画像、赤外光画像および偏光画像を撮像可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置10は、入射光50を第1反射光52と第1透過光54に分割する第1分割面30と、第1透過光54を第2反射光56と第2透過光58に分割する第2分割面36とを備える光分割素子18と、第1反射光52を撮像する第1センサ12と、第2反射光56を撮像する第2センサ14と、第2透過光58を撮像する第3センサ16と、を備える。第1センサ12、第2センサ14および第3センサ16のうちの一つは、偏光センサであり、別の一つは、可視光センサであり、さらに別の一つは、赤外光センサである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を第1反射光と第1透過光に分割する第1分割面と、前記第1透過光を第2反射光と第2透過光に分割する第2分割面とを備える光分割素子と、
前記第1反射光を撮像する第1センサと、
前記第2反射光を撮像する第2センサと、
前記第2透過光を撮像する第3センサと、を備え、
前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3センサのうちの一つは、第1方向の直線偏光を透過する第1偏光子が設けられる複数の第1画素と、前記第1方向と交差する第2方向の直線偏光を透過する第2偏光子が設けられる複数の第2画素と、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向の直線偏光を透過する第3偏光子が設けられる複数の第3画素と、前記第1方向、前記第2方向および前記第3方向と交差する第4方向の直線偏光を透過する第4偏光子が設けられる複数の第4画素とを備える偏光センサであり、
前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3センサのうちの別の一つは、可視光を透過するフィルタが設けられる複数の画素を備える可視光センサであり、
前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3センサのうちのさらに別の一つは、赤外光を透過するフィルタが設けられる複数の画素を備える赤外光センサである撮像装置。
【請求項2】
前記第1分割面および前記第2分割面の一方は、可視光と赤外光を分離する無偏光ダイクロイックミラーを備え、
前記第1分割面および前記第2分割面の他方は、無偏光ビームスプリッタを備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記光分割素子と前記偏光センサの間に設けられる位相差板をさらに備える、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光分割素子は、前記第1分割面を備える第1プリズムと、前記第2分割面を備える第2プリズムとを備え、
前記第1プリズムは、前記入射光が入射する第1入射面と、前記第1入射面で内部全反射した前記第1反射光が出射する第1出射面とをさらに備え、
前記第2プリズムは、前記第1分割面からの前記第1透過光が入射する第2入射面と、前記第2入射面で内部全反射した前記第2反射光が出射する第2出射面とをさらに備え、
前記偏光センサは、前記第1センサであり、
前記第1出射面と前記偏光センサの間に配置される位相差板をさらに備える、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記光分割素子は、前記第1分割面を備える第1プリズムと、前記第2分割面を備える第2プリズムとを備え、
前記第1プリズムは、前記入射光が入射する第1入射面と、前記第1入射面で内部全反射した前記第1反射光が出射する第1出射面とをさらに備え、
前記第2プリズムは、前記第1分割面からの前記第1透過光が入射する第2入射面と、前記第2入射面で内部全反射した前記第2反射光が出射する第2出射面とをさらに備え、
前記偏光センサは、前記第3センサである、請求項1または2に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
共通の入射光を複数のセンサで撮像する多板式撮像装置として、多板式プリズムを用いる構成が知られている。例えば、複数のセンサのそれぞれに偏光子を設けて入射光の偏光成分を検出する構成や、分光プリズムを用いて赤、緑、青および赤外のそれぞれを撮像する構成が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-281441号公報
【特許文献2】特開2019-86536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の用途では、可視光画像、赤外光画像および偏光画像の全てを撮像できることが好ましい。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、可視光画像、赤外光画像および偏光画像を撮像可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の撮像装置は、入射光を第1反射光と第1透過光に分割する第1分割面と、第1透過光を第2反射光と第2透過光に分割する第2分割面とを備える光分割素子と、第1反射光を撮像する第1センサと、第2反射光を撮像する第2センサと、第2透過光を撮像する第3センサと、を備える。第1センサ、第2センサおよび第3センサのうちの一つは、第1方向の直線偏光を透過する第1偏光子が設けられる複数の第1画素と、第1方向と交差する第2方向の直線偏光を透過する第2偏光子が設けられる複数の第2画素と、第1方向および第2方向と交差する第3方向の直線偏光を透過する第3偏光子が設けられる複数の第3画素と、第1方向、第2方向および第3方向と交差する第4方向の直線偏光を透過する第4偏光子が設けられる複数の第4画素とを備える偏光センサであり、第1センサ、第2センサおよび第3センサのうちの別の一つは、可視光を透過するフィルタが設けられる複数の画素を備える可視光センサであり、第1センサ、第2センサおよび第3センサのうちのさらに別の一つは、赤外光を透過するフィルタが設けられる複数の画素を備える赤外光センサである。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可視光画像、赤外光画像および偏光画像を撮像可能な撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】偏光センサが備える偏光子の構成を模式的に示す図である。
【
図3】可視光センサが備える可視光フィルタの構成を模式的に示す図である。
【
図4】第2実施形態に係る撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。かかる実施の形態に示す具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、図面において、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
本実施形態の概要を説明する。本実施形態は、共通の入射光を光分割素子を用いて複数の光に分割し、分割された複数の光のそれぞれを偏光センサ、可視光センサおよび赤外光センサで撮像する撮像装置である。本実施形態に係る撮像装置は、例えば、車両の周囲の対象物を検出するための車載センサとして用いることができる。本実施形態では、入射光が偏光センサに向かうまでの光路上の偏光状態の変化を抑制することにより、偏光センサが適切な偏光画像を撮像できるようにする。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る撮像装置10の構成を模式的に示す図である。撮像装置10は、第1センサ12と、第2センサ14と、第3センサ16と、光分割素子18と、位相差板20とを備える。撮像装置10は、いわゆる三板式カメラであり、入射光50を光分割素子18を用いて分割し、第1センサ12、第2センサ14および第3センサ16のそれぞれで撮像するよう構成される。
【0013】
光分割素子18は、第1プリズム22と、第2プリズム24と、第3プリズム26とを備える。光分割素子18は、いわゆる三板式プリズムである。第1プリズム22は、第1入射面28と、第1分割面30と、第1出射面32とを備える。第2プリズム24は、第2入射面34と、第2分割面36と、第2出射面38とを備える。第3プリズム26は、第3入射面40と、第3出射面42とを備える。第1分割面30と第2入射面34の間にはエアギャップが設けられる。
【0014】
第1入射面28に入射する入射光50は、第1分割面30にて第1反射光52と第1透過光54に分割される。第1分割面30にて反射した第1反射光52は、第1入射面28にて内部全反射した後、第1出射面32を透過して第1センサ12に向かう。第1分割面30を透過した第1透過光54は、第2分割面36にて第2反射光56と第2透過光58に分割される。第2分割面36にて反射した第2反射光56は、第2入射面34にて内部全反射した後、第2出射面38を透過して第2センサ14に向かう。第2分割面36を透過した第2透過光58は、第3入射面40および第3出射面42を透過して第3センサ16に向かう。
【0015】
第1センサ12、第2センサ14および第3センサ16は、偏光センサ、可視光センサまたは赤外光センサである。具体的には、第1センサ12、第2センサ14および第3センサ16の一つが偏光センサであり、第1センサ12、第2センサ14および第3センサ16の別の一つが可視光センサであり、第1センサ12、第2センサ14および第3センサ16のさらに別の一つが赤外光センサである。偏光センサ、可視光センサおよび赤外光センサのそれぞれは、複数の画素を備える撮像素子を備える。撮像素子として、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの二次元画像センサを用いることができる。
【0016】
図2は、偏光センサ60が備える偏光子60a,60b,60c,60dの構成を模式的に示す図である。偏光センサ60は、撮像素子の各画素に対応するように配置される第1偏光子60aと、第2偏光子60bと、第3偏光子60cと、第4偏光子60dとを備える。第1偏光子60aは、第1方向(例えば0度方向)の直線偏光を選択的に透過させる。第2偏光子60bは、第1方向と交差する第2方向(例えば90度方向)の直線偏光を選択的に透過させる。第3偏光子60cは、第1方向および第2方向と交差する第3方向(例えば45度方向)の直線偏光を選択的に透過させる。第4偏光子60dは、第1方向、第2方向および第3方向と交差する第4方向(例えば135度方向)の直線偏光を選択的に透過させる。各偏光子60a~60dは、撮像素子の複数の画素に対応するようにベイヤー配列で配置される。偏光センサ60は、第1偏光子60aが設けられる複数の第1画素と、第2偏光子60bが設けられる複数の第2画素と、第3偏光子60cが設けられる複数の第3画素と、第4偏光子60dが設けられる複数の第4画素とを備える。
【0017】
図3は、可視光センサ62が備える可視光フィルタ62R,62G,62Bの構成を模式的に示す図である。可視光センサ62は、撮像素子の各画素に対応するように配置される赤色フィルタ62Rと、緑色フィルタ62Gと、青色フィルタ62Bとを備える。各可視光フィルタ62R,62G,62Bは、撮像素子の複数の画素に対応するようにベイヤー配列で配置される。可視光センサ62は、赤色フィルタ62Rが設けられる複数の画素と、緑色フィルタ62Gが設けられる複数の画素と、青色フィルタ62Bが設けられる複数の画素とを備える。
【0018】
赤外光センサ(不図示)は、赤外光を選択的に透過する赤外光フィルタが設けられる複数の画素を備える。赤外光センサは、例えば、撮像装置10とは別に設けられる赤外光源から対象物に向けて照射される赤外光を用いて、対象物までの距離を計測する距離画像センサであり、例えば、LIDAR(Light Detection And Ranging)センサである。赤外光センサは、例えば、ToF(Time of Flight)方式によって対象物までの距離を計測する。
【0019】
図1の第1実施形態において、第1センサ12を偏光センサ60とすることができる。第1センサ12に向かう第1反射光52は、第1分割面30および第1入射面28にて反射することにより、第1反射光52の偏光状態が変化しうる。つまり、第1反射光52の偏光状態は、入射光50の偏光状態から変化しうる。特に、プリズムと空気の界面である第1入射面28にて第1反射光52が内部全反射するときに、第1反射光52の偏光状態が顕著に変化しうる。第1反射光52の偏光状態が入射光50の偏光状態から変化してしまうと、偏光センサ60は、入射光50の偏光状態を正しく計測することができない。
【0020】
本実施形態では、光分割素子18に起因する第1反射光52の偏光状態の変化を補償するため、第1センサ12と光分割素子18の間に位相差板20が設けられる。位相差板20は、第1分割面30での反射および第1入射面28での反射の少なくとも一方により生じる第1反射光52のs偏光成分とp偏光成分の位相差を低減または相殺するように位相差が設定される。位相差板20により与えられる位相差の大きさは特に限られないが、例えば、120度程度である。
【0021】
第1センサ12を偏光センサ60とする場合、第1分割面30は、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えることが好ましい。ここで「無偏光」とは、偏光への影響が無視できる程度に小さいことをいう。無偏光ビームスプリッタは、ビームスプリッタでの反射前後および透過前後の偏光状態の変化が無視できる程度に小さくなるように構成される。波長依存性のない無偏光ビームスプリッタとして、例えば、金属薄膜を用いることができる。波長依存性のない無偏光のビームスプリッタとして、偏光状態の変化を抑制するように設計された誘電体多層膜を用いることもできる。第1分割面30に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、第1分割面30にて反射する第1反射光52の偏光状態の変化を抑制できる。
【0022】
第1センサ12を偏光センサ60とする場合、第2センサ14および第3センサ16の一方が可視光センサ62であり、第2センサ14および第3センサ16の他方が赤外光センサである。この場合、第2分割面36は、可視光と赤外光を分離するダイクロイックミラーを備えることが好ましい。ダイクロイックミラーとして、例えば、誘電体多層膜を用いることができる。第2センサ14が可視光センサ62である場合、第2分割面36に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に反射し、赤外光を選択的に透過するように設計される。第2センサ14が赤外光センサである場合、第2分割面36に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に透過し、赤外光を選択的に反射するように設計される。なお、第2分割面36は、ダイクロイックミラーではなく、ハーフミラーなどの波長依存性のないビームスプリッタを備えてもよい。
【0023】
本実施形態によれば、光分割素子18を用いることにより、偏光センサ60、可視光センサ62および赤外光センサのそれぞれを用いて入射光50を撮像し、偏光画像、可視光画像および赤外光画像を得ることができる。本実施形態によれば、第1センサ12を偏光センサ60とすることにより、偏光センサ60に向かう光路上にダイクロイックミラーが配置されない構成とすることができる。これにより、ダイクロイックミラーにおける偏光状態の変化に影響されない偏光画像を得ることができる。また、光分割素子18と偏光センサ60(第1センサ12)の間に位相差板20を設けることにより、第1分割面30および第1入射面28の少なくとも一方にて生じる第1反射光52の偏光状態の変化を抑制できる。これにより、入射光50に対する偏光状態の変化が抑制された偏光画像を得ることができる。
【0024】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る撮像装置10Aの構成を模式的に示す図である。第2実施形態では、第2センサ14と光分割素子18の間に位相差板20Aが設けられる点で、上述の第1実施形態と相違する。以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜省略する。
【0025】
撮像装置10Aは、第1センサ12と、第2センサ14と、第3センサ16と、光分割素子18と、位相差板20Aとを備える。第2実施形態では、第2センサ14が偏光センサ60である。第2実施形態では、第1センサ12および第3センサ16の一方が可視光センサ62であり、第1センサ12および第3センサ16の他方が赤外光センサである。
【0026】
第1センサ12が可視光センサ62であり、第3センサ16が赤外光センサである場合、第1分割面30は、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えることが好ましい。第1分割面30に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、第1分割面30を透過する第1透過光54の偏光状態の変化を抑制できる。第1センサ12が可視光センサ62であり、第3センサ16が赤外光センサである場合、第2分割面36は、無偏光ダイクロイックミラーであることが好ましい。第2分割面36に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に反射し、赤外光を選択的に透過するように設計される。第2分割面36に無偏光ダイクロイックミラーを設けることにより、第2分割面36にて反射した第2反射光56の偏光状態の変化を抑制できる。なお、第2分割面36は、ダイクロイックミラーではなく、ハーフミラーなどの波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えてもよい。
【0027】
第1センサ12が赤外光センサであり、第3センサ16が可視光センサ62である場合、第1分割面30は、無偏光ダイクロイックミラーであることが好ましい。無偏光ダイクロイックミラーとして、例えば、可視域から赤外域にわたって偏光状態の変化を抑制するように設計された誘電体多層膜を用いることができる。第1分割面30に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に透過し、赤外光を選択的に反射するように設計される。第1分割面30に無偏光ダイクロイックミラーを設けることにより、第1分割面30を透過する第1透過光54の偏光状態の変化を抑制できる。なお、第1分割面30は、ダイクロイックミラーではなく、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えてもよい。第1センサ12が赤外光センサであり、第3センサ16が可視光センサ62である場合、第2分割面36は、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えることが好ましい。第2分割面36に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、第2分割面36にて反射する第2反射光56の偏光状態の変化を抑制できる。
【0028】
位相差板20Aは、第1分割面30の透過、第2分割面36での反射および第2入射面34での反射の少なくとも一つにより生じる第2反射光56のs偏光成分とp偏光成分の位相差を低減または相殺するように位相差が設定される。位相差板20Aは、光分割素子18に起因する第2反射光56の偏光状態の変化を補償する。特に、プリズムと空気の界面である第2入射面34にて第2反射光56が内部全反射するときに、第2反射光56の偏光状態が顕著に変化しうる。位相差板20Aにより与えられる位相差の大きさは特に限られないが、例えば、120度程度である。
【0029】
本実施形態においても、光分割素子18を用いることにより、偏光センサ60、可視光センサ62および赤外光センサのそれぞれを用いて入射光50を撮像し、偏光画像、可視光画像および赤外光画像を得ることができる。本実施形態によれば、光分割素子18と偏光センサ60(第2センサ14)の間に位相差板20Aを設けることにより、第1分割面30、第2分割面36および第2入射面34の少なくとも一つにて生じる第2反射光56の偏光状態の変化を抑制することができる。本実施形態によれば、第1分割面30または第2分割面36に無偏光ダイクロイックミラーを設けることにより、ダイクロイックミラーにおける偏光状態の変化が抑制された偏光画像を得ることができる。本実施形態によれば、第1分割面30または第2分割面36に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、ビームスプリッタにおける偏光状態の変化が抑制された偏光画像を得ることができる。
【0030】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る撮像装置10Bの構成を模式的に示す図である。第3実施形態では、位相差板20,20Aが設けられない点で、上述の第1実施形態および第2実施形態と相違する。以下、第3実施形態について、第1実施形態および第2実施形態の相違点を中心に説明し、共通点については適宜省略する。
【0031】
撮像装置10Bは、第1センサ12と、第2センサ14と、第3センサ16と、光分割素子18とを備える。第3実施形態では、第3センサ16が偏光センサ60である。第3実施形態では、第1センサ12および第2センサ14の一方が可視光センサ62であり、第1センサ12および第2センサ14の他方が赤外光センサである。
【0032】
第1センサ12が可視光センサ62であり、第2センサ14が赤外光センサである場合、第1分割面30は、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えることが好ましい。第1分割面30に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、第1分割面30を透過する第1透過光54の偏光状態の変化を抑制できる。第1センサ12が可視光センサ62であり、第2センサ14が赤外光センサである場合、第2分割面36は、無偏光ダイクロイックミラーであることが好ましい。第2分割面36に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に透過し、赤外光を選択的に反射するように設計される。第2分割面36に無偏光ダイクロイックミラーを設けることにより、第2分割面36を透過する第2透過光58の偏光状態の変化を抑制できる。なお、第2分割面36は、ダイクロイックミラーではなく、ハーフミラーなどの波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えてもよい。
【0033】
第1センサ12が赤外光センサであり、第2センサ14が可視光センサ62である場合、第1分割面30は、無偏光ダイクロイックミラーであることが好ましい。第1分割面30に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に透過し、赤外光を選択的に反射するように設計される。第1分割面30に無偏光ダイクロイックミラーを設けることにより、第1分割面30を透過する第1透過光54の偏光状態の変化を抑制できる。なお、第1分割面30は、ダイクロイックミラーではなく、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えてもよい。第1センサ12が赤外光センサであり、第2センサ14が可視光センサ62である場合、第2分割面36は、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えることが好ましい。第2分割面36に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、第2分割面36を透過する第2透過光58の偏光状態の変化を抑制できる。
【0034】
本実施形態においても、光分割素子18を用いることにより、偏光センサ60、可視光センサ62および赤外光センサをそれぞれを用いて入射光50を撮像し、偏光画像、可視光画像および赤外光画像を得ることができる。本実施形態によれば、第3センサ16を偏光センサ60とすることにより、偏光センサ60に向かう光路上で内部全反射が生じない構成とすることができる。これにより、内部全反射による偏光状態の変化に影響されない偏光画像を得ることができる。本実施形態によれば、第1分割面30および第2分割面36に無偏光のダイクロイックミラーまたはビームスプリッタを設けることにより、第1分割面30および第2分割面36の透過による第2透過光58の偏光状態の変化を抑制できる。これにより、光分割素子18と偏光センサ60(第3センサ16)の間に位相差板を設けなくても、適切な偏光画像を得ることができる。
【0035】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、各表示例に示す構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
10…撮像装置、12…第1センサ、14…第2センサ、16…第3センサ、18…光分割素子、20…位相差板、22…第1プリズム、24…第2プリズム、26…第3プリズム、28…第1入射面、30…第1分割面、32…第1出射面、34…第2入射面、36…第2分割面、38…第2出射面、40…第3入射面、42…第3出射面、50…入射光、52…第1反射光、54…第1透過光、56…第2反射光、58…第2透過光、60…偏光センサ、60a…第1偏光子、60b…第2偏光子、60c…第3偏光子、60d…第4偏光子、62…可視光センサ、62R…赤色フィルタ、62G…緑色フィルタ、62B…青色フィルタ。