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  • 特開-口腔用組成物 図1
  • 特開-口腔用組成物 図2a
  • 特開-口腔用組成物 図2b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089168
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20240626BHJP
   A61K 31/665 20060101ALI20240626BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20240626BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20240626BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K31/665
A61K8/67
A61K31/355
A61Q11/00
A61P1/02
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204362
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花田 栄
(72)【発明者】
【氏名】有田 卓矢
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD661
4C083AD662
4C083CC41
4C083EE31
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA09
4C086DA37
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA67
4C086ZC37
4C086ZC75
(57)【要約】
【課題】ビタミン又はその誘導体と組み合わせて用いることで、優れた抗酸化効果を得ることができる成分を同定し、当該成分とビタミン又はその誘導体とを含有する抗酸化効果に優れた口腔用組成物を提供すること。
【解決手段】(A)dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩、及び(B)酢酸dl-α-トコフェロールを含有する、口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩、及び
(B)酢酸dl-α-トコフェロール
を含有する、ヒト用の口腔用組成物。
【請求項2】
(A)を0.001~0.5質量%含有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(B)を0.01~5質量%含有する、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔用組成物等に関し、より詳細には、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩及び酢酸dl-α-トコフェロールを含む、口腔用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内に取り込まれた酸素から生じる活性酸素種(ROS)は、生体内で過剰に蓄積すると、酸化ストレスとなり細胞や組織に対して傷害を与える。歯周病は歯を支える役割を持つ歯周組織が破壊される疾患である。そして歯周組織が破壊される要因の一つが、酸化ストレスである。歯周病の進行に伴いROSが過剰に産生されることで酸化ストレスが生じ、歯周組織破壊を引き起こすと考えられている。
【0003】
実際、観察研究での歯周組織と酸化ストレスの関連性として、抗酸化物質摂取量と歯周病罹患率の負の相関関係が報告されている。また、ビタミンE配合歯磨剤を用いたin vivo試験では、ラット歯周組織における酸化ストレスを原因としたダメージの抑制作用が報告されるなど、歯周局所への抗酸化剤処理による歯周病症状の予防及び抑制が報告されている。これらの報告から、酸化ストレスによる歯周組織のダメージを予防及び抑制することは、健康な口腔状態の維持において重要であると推察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/196852号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Periodontol 2000. 2015 Oct;69(1):7-17. Molecular aspects of the pathogenesis of periodontitis
【非特許文献2】J Periodontal Res. 2016 Dec;51(6):748-757. Influence of retinoic acid on human gingival epithelial barriers
【非特許文献3】Int J Dent. 2012; 2012: 821383.Published online 2012 Jul 26. Host-Bacteria Crosstalk at the Dentogingival Junction
【非特許文献4】Arch Oral Biol. 2016 Jun;66:30-7. The traditional Japanese medicine hangeshashinto alleviates oral ulcer-induced pain in a rat model.
【非特許文献5】Aust Dent J. 2009 Dec;54(4):347-54. Localization of matrix metalloproteinases (MMPs-2, 8, 9 and 20) in normal and carious dentine.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
抗酸化を目的としてビタミン(特にビタミンCやビタミンE、あるいはその誘導体)を歯磨き剤に配合する試みは、これまでにも行われてきた。しかし、その報告において、ビタミンの効果を向上させるための検討は行われていない。2つの成分を組み合わせることで、単独では成しえない相乗的効果を得られる可能性があるが、その組み合わせの同定は容易では無い。
本発明者らは、ビタミン又はその誘導体と組み合わせて用いることで、優れた抗酸化効果(特に酸化ストレスを介した細胞ダメージに対してより高い予防及び/又は抑制効果)を得ることができる成分を探索した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ビタミンE誘導体の1種である酢酸dl-α-トコフェロールを、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩と組み合わせて用いることにより、優れた抗酸化効果を奏することを見いだし、さらに検討を重ねた。
【0008】
本開示は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩、及び
(B)酢酸dl-α-トコフェロール
を含有する、(好ましくはヒト用の)口腔用組成物。
項2.
(A)を0.001~0.5質量%含有する、項1に記載の口腔用組成物。
項3.
(B)を0.01~5質量%含有する、項1又は2に記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0009】
酢酸dl-α-トコフェロールとdl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩とを含有することにより、優れた抗酸化効果を奏しえる口腔用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】抗酸化試験(酸化ストレスによる細胞生存率の検討)の概要を示す。
図2a】EPC-K(dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム)とVEA(酢酸dl-α-トコフェロール)とを組み合わせて用いた場合の、酸化ストレス時における細胞生存率を示す。
図2b】各種ビタミン又はビタミン誘導体とVEA(酢酸dl-α-トコフェロール)とを組み合わせて用いた場合の、酸化ストレス時における細胞生存率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。
本開示に包含される組成物は、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩、並びに酢酸dl-α-トコフェロールを含む。本明細書において当該組成物を、「本開示の組成物」と表記することがある。本開示の組成物は、例えば口腔用組成物として好適に用いることができる。また、本開示の組成物に含まれるdl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩を(A)成分、酢酸dl-α-トコフェロールを(B)成分と表記することがある。
【0012】
dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル(EPC)は、アスコルビン酸(ビタミンC)とトコフェロール(ビタミンE)とがリン酸を介してエステル結合した化合物であり、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸とも称される。化学式を以下に示す。
【0013】
【化1】
【0014】
dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルのアルカリ金属塩としては、例えば、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム塩、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルナトリウム塩、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルリチウム塩等が挙げられる。中でも、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム塩が好ましい。
また、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルアルカリ金属塩は、モノ塩であってもよく、ジ塩であってもよい。
【0015】
本開示の組成物に含まれるdl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩の含有量は、例えば、0.001質量%以上が好ましく、0.003質量%以上がより好ましく、0.003~0.5質量%程度がさらに好ましい。当該範囲(0.003~0.5質量%)の上限又は下限は、例えば0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、又は0.4質量%程度であってもよい。より具体的には、例えば、0.003~0.2質量%程度であってもよい。
【0016】
本開示に組成物に含まれる酢酸dl-α-トコフェロールの含有量は、例えば0.001~5質量%程度であることが好ましい。当該範囲の上限又は下限は、例えば0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、又は4.5質量%であってもよい。当該範囲は例えば0.002~2質量%若しくは0.005~1質量%程度であってもよい。
【0017】
また、本開示の組成物には、(A)成分1質量部に対して(B)成分が50質量部以下含有されることが好ましい。当該質量部比の下限は、効果が奏される範囲であれば特に限定はされないが、例えば(A)成分1質量部に対して(B)成分が0.1質量部以上が好ましい。当該範囲(0.1~50質量部)の上限又は下限は、例えば0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、又は49質量部であってもよい。当該範囲は例えば0.5~50質量部又は0.5~40質量部であってもよい。
【0018】
本開示の組成物の適用対象としては、ヒトを含む哺乳動物(例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ヒツジ、ウマ、ウシ、サル等)等が例示される。中でもヒトが好ましい。
本開示の組成物の適用対象となるヒトとしては、例えば、歯周病患者又はその疑いがあるヒトが挙げられる。
【0019】
本開示の組成物は、例えば、固形組成物、液体組成物等で有り得る。また、本開示の組成物(特に口腔用組成物)は、常法に従って例えば軟膏剤、ペースト剤、パスタ剤、ジェル剤、液剤、スプレー剤、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、ガム剤、タブレット、ドロップ等の形態(剤形)にすることができる。なかでも、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、軟膏剤、ペースト剤、液剤、ジェル剤であることが好ましい。
【0020】
本開示の組成物は、(A)成分及び(B)成分の他、効果を損なわない範囲で、例えば口腔用組成物に配合し得る任意成分を単独で又は2種以上さらに含有してもよい。
【0021】
例えば、界面活性剤として、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を配合することができる。具体的には、例えば、ノニオン界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル;脂肪酸アルカノールアミド類;グリセリン脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;セバシン酸ジエチル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤;N-ココイル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、組成物全量に対して0.1~5質量%である。
なお、本開示の組成物は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤を含まなくてもよい。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、例えば、エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~40であり、アルキル基の炭素数が7~30であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~40であり、アルキル基の炭素数が1~18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、例えば、エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~40であり、アルキル基の炭素数が1~20であるポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0022】
また、香味剤として、例えば、メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、d-カンフル、d-ボルネオール、ウイキョウ油、ケイヒ油、シンナムアルデヒド、ハッカ油、バニリン等の香料を用いることができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて組成物全量に対して例えば0.001~1.5質量%配合することができる。
【0023】
また、甘味剤として、例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、p-メトキシシンナミックアルデヒド等を用いることができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて組成物全量に対して例えば0.01~1質量%配合することができる。
【0024】
さらに、湿潤剤として、ソルビット、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3―ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、ポリオキシエチレングリコール等を単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0025】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウムなどのセルロース誘導体、キサンタンガムなどの微生物産生高分子、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナン、デキストリン、寒天、ペクチン、プルラン、ジェランガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウムなどの天然高分子または天然ゴム類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウムなどの合成高分子、増粘性シリカ、ビーガムなどの無機粘結剤、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン性粘結剤が挙げられる。これら粘結剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等を配合することができる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
着色剤として、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等を配合してもよい。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
pH調整剤として、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等を配合してもよい。これらは、組成物のpHが4~8、好ましくは5~7の範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。pH調整剤の配合量は例えば0.01~2重量%であってよい。
【0029】
なお、本開示の組成物には、さらに、薬効成分として酢酸dl-α-トコフェロール以外のビタミンE類、例えば、コハク酸トコフェロール、またはニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類、ドデシルジアミノエチルグリシン等の両性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、ラウロイルサルコシンナトリウム等のアニオン系殺菌剤、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン系殺菌剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)等の酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物、トラネキサム酸やイプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシルアラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グリセロフォスフェート、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイド、アラントイン、カルバゾクロム、硝酸カリウム、パラチニット等を、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0030】
また、基剤として、アルコール類、シリコン、アパタイト、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、プラスチベース等を添加することも可能である。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
本開示の組成物は、公知の方法または公知の方法から容易に想到する方法により調製することができる。例えば、(A)成分、(B)成分、及び必要に応じてその他の成分等を適宜混合することによって調製することができる。
【0032】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件の任意の組み合わせを全て包含する。
【0033】
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0034】
本開示の内容を以下の実験例を用いて具体的に説明する。しかし、本開示はこれらに何ら限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び常温条件下で行っている。また特に言及する場合を除いて、成分量を示す「%」は「質量%」を意味する。
【0035】
抗酸化試験(酸化ストレスによる細胞生存率の検討)
口腔由来上皮細胞株Ca9-22を10%FBS含有MEM培地(以下、10%FBS/MEM)で2.0x10 cells/mlに調整した。これを96ウェルプレートに100μl/wellで播種した後、一晩培養した。
10%FBS/MEMで99.5%エタノール(以下、EtOH)を希釈し、1%濃度に調製したものを溶媒として、各濃度の薬剤(各種ビタミン又はビタミン誘導体)を含有する薬剤組成物を調製した。VEAについては、EtOHに溶解させた後、10%FBS/MEMにより1%EtOHとなるよう希釈した後、段階希釈して目的濃度のVEA含有組成物を調製した。なお、用いた各種ビタミン又はビタミン誘導体は、次の通りである。
VEA:酢酸dl-α-トコフェロール、
EPC-K:dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム
VC:アスコルビン酸
VCNa:アスコルビン酸ナトリウム
VTH:テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル
VPA2:ジパルミチン酸アスコルビル
【0036】
Ca9-22細胞に各薬剤組成物を100μl/well添加し、5%CO、37℃の条件下で2時間培養した後、薬剤を除去した(具体的には、薬剤を含む培地を除去した後、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)を用いて洗浄した)。
【0037】
さらに、酸化ストレス処理として、0.125mM Hを100μl/well添加した。添加後、5%CO、37℃の条件下で2時間培養した後、Hを除去した(具体的には、Hを含む培地を除去した後、PBSを用いて洗浄した)。
【0038】
さらに、10%FBS/MEM培地を100μl/well添加して、5%CO、37℃の条件下で20時間培養した後、培地を除去した。
PBSにより希釈した生細胞染色蛍光試薬Calcein-AMを細胞に添加した。より具体的には、Calcein-AM濃度が2μMとなるようにPBSで希釈し、当該2μM Calcein-AMを100μl/wellの割合で添加した。そして、3時間培養し、蛍光プレートリーダー(Gemini XPS)にて蛍光強度(励起光:480nm、放出光:530nm)を測定した。H無処理(Control)の蛍光強度が100%となるよう換算し、各種薬剤処理による細胞生存率を算出した。
上記の検討の概要を図1に示す。また結果(細胞生存率)を図2a及び図2bに示す。なお、図中の「EPC」はEPC-Kを示す。
当該結果から、酢酸dl-α-トコフェロールは、他のビタミン又はビタミン誘導体と組み合わせても、細胞生存率は高まらないどころか低くなる(つまり、抗酸化効果は向上しないどころか低下する)一方で、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩と組み合わせたときのみ、著しく細胞生存率が高まる(つまり、抗酸化効果が著しく向上する)ことが分かった。
図1
図2a
図2b