(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089173
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】仕切り板取付構造
(51)【国際特許分類】
B60R 5/04 20060101AFI20240626BHJP
F16B 5/00 20060101ALI20240626BHJP
F16B 2/20 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
F16B5/00 F
F16B2/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204373
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 智
【テーマコード(参考)】
3D022
3J001
3J022
【Fターム(参考)】
3D022BA14
3D022BB06
3D022BC01
3J001FA19
3J001GA06
3J001GC09
3J001HA04
3J001JC02
3J001JC13
3J001KA05
3J001KA11
3J001KB01
3J022DA12
3J022DA14
3J022EA16
3J022EB03
3J022EB14
3J022EC02
3J022EC17
3J022ED02
3J022ED26
3J022FA08
3J022FB08
3J022FB16
3J022HA03
(57)【要約】
【課題】部品点数が少なくデザイン性に優れた仕切り板取付構造を提供する。
【解決手段】路線バス1の車室内に固定され、断面が円形のパイプ10と、パイプ10にクリップ部材13を介して取り付けられる仕切り板12と、を有し、クリップ部材13は、パイプ10に対しボルト40を介して固定される基部30と、基部30から延出し、パイプ10の外周面に弾性的に沿接する弾性スカート部31と、基部30から弾性スカート部31とは逆側に延出し、仕切り板12を挟持する挟持部32と、を備え、ボルト40は、挟持部32の間に設けられた取付口Pを介して、基部30をパイプ10に固定することを特徴とする、仕切り板取付構造。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に固定され、断面が円形のパイプと、
前記パイプにクリップ部材を介して取り付けられる仕切り板と、を有し、
前記クリップ部材は、
前記パイプに対し取付部材を介して固定される基部と、
前記基部から延出し、前記パイプの外周面に弾性的に沿接する弾性スカート部と、
前記基部から前記弾性スカート部とは逆側に延出し、前記仕切り板を挟持する挟持部と、を備え、
前記取付部材は、前記挟持部の間に設けられた取付口、又は前記基部の側面に設けられた凹部を介して、前記基部を前記パイプに固定することを特徴とする、仕切り板取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切り板取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
路線バスなどの車両には、例えば乗客と通路とを仕切るパーティションが設けられる。このようなパーティションは、車内の天井、床、及び壁面に固定された金属製のパイプにより骨組みが構成される。例えば、特許文献1には、縦パイプ、及び水平パイプを組み合わせて、運転席の後ろ側のガードを構成する従来技術が開示されている。当該従来技術においては、各パイプで形成されたガード面の一部にフェンスを取り付ける形態が例示されている。
【0003】
一方、近年では、上記のようなパーティションに対して、ポリカーボネート等のプラスチック素材からなる仕切り板が広く採用されている。当該仕切り板の固定は、帯状金属がパイプの周囲を廻り込みつつ両端で仕切り板を挟んだ状態でボルト締結するO型(C型)固定金具で行われるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような仕切り板の固定金具では、パイプの周囲を廻り込む構造やボルトの露出によりデザイン性が低下すること、パイプ径が複数ある場合にはそれらに合わせた金具が必要であること、露出した金属部品による怪我の防止のためキャップナット等の追加部品が必要であること等の虞が生じる。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、部品点数が少なくデザイン性に優れた仕切り板取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る仕切り板取付構造は、車室内に固定され、断面が円形のパイプと、前記パイプにクリップ部材を介して取り付けられる仕切り板と、を有し、前記クリップ部材は、前記パイプに対し取付部材を介して固定される基部と、前記基部から延出し、前記パイプの外周面に弾性的に沿接する弾性スカート部と、前記基部から前記弾性スカート部とは逆側に延出し、前記仕切り板を挟持する挟持部と、を備え、前記取付部材は、前記挟持部の間に設けられた取付口、又は前記基部の側面に設けられた凹部を介して、前記基部を前記パイプに固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品点数が少なくデザイン性に優れた仕切り板取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】路線バスの車内レイアウトを表す上面図である。
【
図3】従来技術に係るクリップ部材の斜視図である。
【
図4】本発明に係るクリップ部材の斜視図及び断面図である。
【
図5】クリップ部材を介して仕切り板をパイプに固定する形態を表す側面図である。
【
図6】変形例に係るクリップ部材の斜視図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ実施形態について詳細に説明する。尚、本開示は、以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0011】
図1は、路線バス1の車内レイアウトを表す上面図である。路線バス1は、車内の主要構成として、運転席2、複数の客席3、前扉4、中扉5、複数のパーティション6を備える。ここで、パーティション6は、左右最前列の客席3の前方と、中扉11の周辺等に配置されている。
【0012】
図2は、パーティション6の構成を示す斜視図である。パーティション6は、鉛直方向及び水平方向に組み合わされた複数のパイプ10により骨組みが形成されている。パイプ10は、断面が円形の金属からなり、端部が路線バス1の車室内における床や壁面にボルトで固定される。尚、パイプ10が天井まで延在する場合には天井に固定されてもよい。
【0013】
また、本発明に必須の構成ではないが、パーティション6には、鉛直方向又は水平方向のパイプ10に対して平行な手摺用パイプ11を別途、必要に応じて取り付けてもよい。この場合、手摺用パイプ11は、樹脂製の滑り止めで被覆される。
【0014】
更に、パーティション6は、複数のパイプ10により区画される面において、仕切り板12が設けられる。仕切り板12は、ポリカーボネート等のプラスチック素材からなり、本実施形態においては車内の見通しを妨げないよう透明のプレートとして形成されている。
【0015】
そして、仕切り板12は、パーティション6の支柱となる複数のパイプ10に対して、複数のクリップ部材13を介して取り付けられている。クリップ部材13の詳細については後述する。
【0016】
ここで、パイプ10に仕切り板12を取り付けるための従来技術に係るクリップ部材13´ついて説明する。
図3は、従来技術に係るクリップ部材13´の斜視図である。従来技術のクリップ部材13´は、O型(C型)の固定金具20、取付ボルト21、キャップナット22、及び固定ビス23を含む。
【0017】
固定金具20は、帯状金属を変形させてなり、パイプの周囲を廻り込むことでパイプ10の外周と面接触するパイプ接触部20aと、帯状金属の両端により仕切り板12の両面を挟持する板面接触部20bとから構成される。一対の板面接触部20bは、仕切り板12を挟持した状態で両側から取付ボルト21、及びキャップナット22により固定される。固定ビス23は、パイプ10に固定金具20が取り付けられた状態で差し込まれることにより、固定金具20をパイプ10に固定する。
【0018】
このような従来技術に係るクリップ部材13´では、パイプ10の周囲を廻り込む固定金具20の構造や取付ボルト21の露出によりデザイン性が低下すること、パイプ径が複数ある場合にはそれらに合わせた金具が必要であること、露出した金属部品による怪我の防止のため先端が丸いキャップナット22が必要となる等の課題が生じる。
【0019】
そこで、本発明に係る仕切り板取付構造においては、仕切り板12をパイプ10に取り付けるための下記に説明するクリップ部材13が使用される。
図4は、本発明に係るクリップ部材13の斜視図(A)及び断面図(B)である。
【0020】
クリップ部材13は、基部30、一対の弾性スカート部31、及び一対の挟持部32を含み、全体が樹脂製の一体物として形成されている。基部30は、パイプ10に当接する当接面30aが形成されている、また、一対の弾性スカート部31は、基部30から延出し、当接面30aがパイプ10に当接した状態において、当接面30aの両側でパイプ10の外周面に弾性的に沿接する。そして、一対の挟持部32は、基部30から弾性スカート部31とは逆側に延出し、仕切り板12を挟持できるよう間に取付口Pが設けられている。
【0021】
ここで、一対の挟持部32で形成される取付口Pには、断面図(B)に示すように、底部に中空の突部33が形成され、内壁面に返し状のフィン34が形成されている。これにより、一対の挟持部32は、取付口Pに仕切り板12が差し込まれた状態において、仕切り板12の端面が突部33に当接すると共に、仕切り板12の両面が一対の挟持部32の間でフィン34を介して安定的に挟持される。尚、クリップ部材13の各部は、その厚みにより弾性が調整されている、突部33及びフィン34を含めて一体形成されている。
【0022】
図5は、クリップ部材13を介して仕切り板12をパイプ10に固定する形態を表す側面図である。より具体的には、
図5は、パイプ10のパイプ径が(A)φ32mmである場合、及び(B)φ25mmである場合のそれぞれの仕切り板取付構造を表している。
【0023】
いずれの場合もクリップ部材13は、当接面30a及び一対の弾性スカート部31をパイプ10の外周面に当接させた状態で「取付部材」としてのボルト40によりパイプ10に固定される。このとき、一対の弾性スカート部31は、その弾性によりパイプ10の外周面に沿接する。そのため、クリップ部材13は、パイプ径が異なる場合であっても、寸法違いのバリエーションを用意する必要がない。
【0024】
また、ボルト40は、クリップ部材13における一対の挟持部32の間に設けられた取付口Pの底部からパイプ10に向けて差し込まれる。このため、ボルト40は、組み立て後の状態では外部に露出せず、パーティション6のデザイン性を低下させないようにすることができる。
【0025】
そして、仕切り板12は、
図5に示されるように端部における両面が挟持部32により挟持されつつ、
図2に示されるように対向する端部が複数のクリップ部材13で両側から把持されることで、パイプ10に固定される。このとき、仕切り板12とクリップ部材13との固定にはボルト等の締結部材が不要となるため、部品点数の削減が可能となる他、ボルトの露出によるデザイン性の低下や怪我の虞を防止することができる。
【0026】
尚、仕切り板12は、クリップ部材13の取付口Pに対し、
図5の紙面奥行き方向に差し込むことで
図2に示すパーティション6を構成し、路線バス1の車内に固定されることになる。
【0027】
以上のように、本発明に係る仕切り板取付構造は、車内に固定されるパイプ10に弾性的に沿接する弾性スカート部31と、仕切り板12を挟持する挟持部32と、を備えるクリップ部材13により、仕切り板12をパイプ10に固定している。このとき、クリップ部材13は、挟持部32の間に設けられた取付口Pを介してパイプ10にボルト40で固定される。
【0028】
このため、クリップ部材13は、パイプ10の周囲を廻り込む構造やボルト40の露出によりデザイン性が低下することがない他、パイプ径が複数ある場合であってもそれらに合わせた金具が不要で、また、金属部品が露出しないため怪我の防止のためキャップナット等の追加部品も不要となる。従って、本発明によれば、部品点数が少なくデザイン性に優れた仕切り板取付構造を提供することができる。
【0029】
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
図6は、変形例に係るクリップ部材14の斜視図(A)及び断面図(B)である。変形例に係るクリップ部材14は、上記したクリップ部材13における基部30の側面に凹部35が設けられ、凹部35を介してボルト40で基部30がパイプ10に固定されている。当該形態においても、上記したクリップ部材13を用いた仕切り板取付構造と同様の作用効果を奏することができる。本実施例では路線バス1への適用例を示したが、観光バス、マイクロバスであっても勿論良い。また、バスに限らず、列車、観光船等、車室内に仕切り板を必要とする乗り物にも適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 路線バス
6 パーティション
10 パイプ
12 仕切り板
13、14 クリップ部材
30 基部
31 弾性スカート部
32 挟持部
35 凹部
40 ボルト
P 取付口