(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089203
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】車両部品の締結構造、及びスポイラー
(51)【国際特許分類】
B62D 37/02 20060101AFI20240626BHJP
B62D 35/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B62D37/02 D
B62D35/00 C
B62D35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204412
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕隆
(57)【要約】
【課題】車体に取り付けられる車両部品において、強固な締結を実現しつつ、締結部からの応力を低減させる技術を提供すること。
【解決手段】締結部材により車両部品Pを車体Bに締結するための車両部品Pの締結構造1であって、前記締結部材を取り付け可能な台座部11と、前記車体Bと対向する前記台座部11の対向面111に交差する方向に延びる構成面12と、を有し、前記構成面12における前記台座部11に最も近接する部分には、段差部121が設けられている、車両部品Pの締結構造1を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部材により車両部品を車体に締結するための車両部品の締結構造であって、
前記締結部材を取り付け可能な台座部と、
前記車体と対向する前記台座部の対向面に交差する方向に延びる構成面と、を有し、
前記構成面における前記台座部に最も近接する部分には、段差部が設けられている、車両部品の締結構造。
【請求項2】
前記段差部は、前記台座部に向かって陥没する凹部、又は前記台座部と反対側に向かって突出する凸部であり、前記構成面に連続する側面を有し、
前記構成面と前記側面のなす角が80°以上である、請求項1に記載の車両部品の締結構造。
【請求項3】
前記段差部の深さ又は高さは、5mm以上である、請求項1に記載の車両部品の締結構造。
【請求項4】
前記構成面のうち、前記段差部を挟んで前記台座部と離間する部分には、前記段差部が設けられていない平坦部を有する、請求項1に記載の車両部品の締結構造。
【請求項5】
前記対向面と前記構成面との交線方向において、前記段差部の長さは、前記台座部の長さよりも長い、請求項1に記載の車両部品の締結構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の車両部品の締結構造を有する、スポイラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、車両部品の締結構造に関する。より詳しくは、車両部品を車体に締結するための車両部品の締結構造、及び該締結構造を備えたスポイラーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両のボディ(車体)には、様々な目的で様々なパーツが取り付けられている。例えば、車体に取り付けられるスポイラーは、走行時の空気の流れを調整し、走行時の操縦性や快適性を高めるためのパーツである。
【0003】
車体に車両部品を取り付ける場合、走行時の空気抵抗等はもちろんのこと、洗車時等の負荷にも耐えられるような構造であることが求められ、車両部品を車体に締結するための締結構造が非常に重要である。
【0004】
例えば、特許文献1には、強固なリアスポイラーのリインフォースメント構造に関する技術が開示されている。特許文献1のリアスポイラーは、車両の荷箱の後部に開閉自在に取り付けられるリアゲートと、リアゲートに取り付けられるリインフォースメントと、リアスポイラアッパ及びリアスポイラロアと、を備えており、リインフォースメントは、前端部をリアゲートの上端部に固定し、前端部から後方に延びる上板部と、上板部の後端に連続し、上板部の後端から下方に延び下端部が外板に固定される後板部と、を有しし、リアゲートは、荷箱を閉じた状態で、外板がリアゲートの上端部から後方斜め下方に傾斜し、リインフォースメントの下端部が、上端部より後方で外板に固定され、リインフォースメントと外板とが、側面視で三角形を形成することにより、リアゲートの上部の強度剛性を向上させている。
【0005】
また、車体に車両部品を取り付ける場合、その強度も必要であるが、車両部品が車両の外観に現れることから、意匠性も重要である。例えば、特許文献2では、ゲート上部の閉断面形状を確保でき、かつ、車体後部の意匠性を向上させることができる車体構造が開示されている。特許文献2の車体構造は、車体のテールゲート開口を開閉するようにテールゲートが支持されており、テールゲートの上部を形成する閉断面状のゲート上部と、ゲート上部の後パネルに設けられる意匠部材とを備え、車体後部にゲート上部の前パネルが直接対向されており、さらに、車体の上外表面を形成するルーフ部と、ゲート上部の上外表面を形成するゲート表面部と、意匠部材の上外表面を形成する意匠表面部とが面一に配置されていることで、ゲート上部の閉断面形状を確保しつつ、車体後部の意匠性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-98834号公報
【特許文献2】特開2016-78784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の通り、車体に車両部品を取り付ける際の締結構造については、様々な開発が進められているが、更なる技術開発が望まれているのが実情である。例えば、車両部品への負荷に対応するために、締結部を強固にすると、締結の弛みを防止することはできるが、車両部品への負荷に起因して応力を受けた車両部品に、亀裂が生じたり、破壊されたりする問題があった。特に、近年人気のミニバンタイプの自動車のテールゲートスポイラー等は、車体の直立面に取り付けられるが、横方向の構成面の変化が多いため、例えば、ビード加工等を施しても、締結部に加わる応力の低減を行うことが難しいといった問題があった。
【0008】
そこで、本技術では、車体に取り付けられる車両部品において、強固な締結を実現しつつ、締結部に加わる応力を低減させる技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術では、まず、締結部材により車両部品を車体に締結するための車両部品の締結構造であって、
前記締結部材を取り付け可能な台座部と、
前記車体と対向する前記台座部の対向面に交差する方向に延びる構成面と、を有し、
前記構成面における前記台座部に最も近接する部分には、段差部が設けられている、車両部品の締結構造を提供する。
本技術に係る締結構造において、前記段差部は、前記台座部に向かって陥没する凹部、又は前記台座部と反対側に向かって突出する凸部とすることができる。
この場合、前記段差部は前記構成面に連続する側面を備え、前記構成面と前記側面のなす角を80°以上に設定することができる。
本技術に係る締結構造において、前記段差部の深さ又は高さは、5mm以上に設定することができる。
本技術に係る締結構造では、前記構成面のうち、前記段差部を挟んで前記台座部と離間する部分には、前記段差部が設けられていない平坦部を備えることができる。
本技術に係る締結構造では、前記対向面と前記構成面との交線方向において、前記段差部の長さは、前記台座部の長さよりも長く設定することができる。
【0010】
本技術は、次に、本技術に係る締結構造を備えたスポイラーを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本技術に係る締結構造1の第1実施形態を備えた車両部品Pの一例を模式的に示す模式的斜視図である。
【
図2】
図1の破線円部分を拡大した図であり、本技術に係る締結構造1の第1実施形態を模式的に示す模式的斜視図である。Iが、台座部11を薄墨色で示す模式的斜視図であり、IIが、段差部121を薄墨色で示す模式的斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る締結構造1の車体Bへの取り付け方法の一例を模式的に示す模式的斜視図である。
【
図4】本技術に係る締結構造1の第2実施形態を備えた車両部品Pの一例を模式的に示す模式的斜視図である。
【
図5】
図4の破線円部分を拡大した図であり、本技術に係る締結構造1の第2実施形態を模式的に示す模式的斜視図である。Iが、台座部11を薄墨色で示す模式的斜視図であり、IIが、段差部121を薄墨色で示す模式的斜視図である。
【
図6】
図2のX-X線端面図である。破線は車体Bを示し、一点鎖線は従来の締結構造を示す。
【
図7】本技術に係る締結構造1の第1実施形態を複数備えたスポイラーSの一例を模式的に示す模式的斜視図である。
【
図8】従来の締結構造100を備えた車両部品Pの一例を模式的に示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0013】
1.締結構造1
図1は、本技術に係る締結構造1の第1実施形態を備えた車両部品Pの一例を模式的に示す模式的斜視図である。
図2は、
図1の破線円部分を拡大した図であり、本技術に係る締結構造1の第1実施形態を模式的に示す模式的斜視図である。車両部品Pは、例えば、
図3に示すように、締結構造1によって車体Bに締結される。締結構造1では、図示しないが、例えば、各種ネジ等の締結部材により車両部品Pが車体Bへ締結される。
【0014】
なお、各図では、車両部品Pの一例として、テールゲートスポイラーSを例示したが、これに限定されない。本技術に係る締結構造1は、車体Bに取り付けられる車両部品Pであれば、あらゆる種類の車両部品Pに用いることができる。
【0015】
車両としては、例えば、自動車、自動二輪車、電車、モノレール、リニアモーターカー、ディーゼル機関車等が挙げられ、自動車に特に好適に用いることができる。車両部品Pとしては、例えば、各種スポイラー、フロントフェンダー、リアフェンダー、フューエルリッド、ドアパネル、シリンダーヘッドカバー、ドアミラーステイ、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、ルーフレール、エンジンマウントブラケット、リアガーニッシュ、トランクリッド、ロッカーモール、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパー等の自動車外装部品に好適に用いることができる。
【0016】
特に本技術においては、車体Bの直立面に取り付けられる車両部品Pの締結に際しても、後述するように、強固な締結を実現しつつ、車両部品Pへの負荷に起因して締結部に加わる応力を低減させることができるため、車両部品Pの破損等を防止することができる。そのため、本技術に係る締結構造1は、スポイラー等に特に好適に用いることができる。以下、本技術に係る締結構造1の詳細を説明する。
【0017】
(1)全体構造
本技術に係る締結構造1は、大別すると、台座部11と、構成面12と、を有する。そして、構成面12には、段差部121が設けられている。
図2のIは、台座部11を薄墨色で示す模式的斜視図であり、
図2のIIは、段差部121を薄墨色で示す模式的斜視図である。以下、本技術に係る締結構造1の各部について、更に詳細に説明する。
【0018】
(2)台座部11
台座部11は、車体Bと対向する対向面111を有し、この対向面111が車体Bに対向した状態で、例えば、図示しないが各種ネジ等の締結部材を、対向面111の締結部材取付部112を通して取り付けることで、車両部品Pが車体Bへ締結される。
【0019】
本技術では、締結構造1に台座部11と段差部121を備えることで、車体Bとの締結部(本実施形態では、台座部11における対向面111と側壁面との接続部分)に加わる応力を低減させることができる。即ち、本技術では、締結構造1に台座部11を備えることで締結部に応力が集中しやすくなるものの、段差部121を備えることで締結部以外に応力を分散させることができ、締結部に加わる応力を低減することができる。
【0020】
台座部11の形態は、車体Bと対向する対向面111と側壁面とを有し、車体Bへの締結を行うことができれば、特に限定されず、用いる車両部品Pや車体Bの形態等に応じて、自由に設計することができる。例えば、直方体、立方体等の多角方体、断面が多角(三角、四角或いはそれ以上)の多角筒体、円筒体、或いはこれらを1種又は2種以上組み合わせた形態などが挙げられる。
【0021】
なお、台座部11の大きさは、締結部材が取り付け可能な大きさであれば、本技術の目的や効果を損なわない限り特に限定されない。つまり、対向面111と構成面12との交線方向における長さL1、対向面111と構成面12との交線方向と直交する方向における長さL2、及び台座部11の高さH1は、締結部材の大きさに応じて適宜設定される。
【0022】
(3)構成面12
構成面12は、台座部11の対向面111に交差する方向に延びる面である。即ち、構成面12を延長した面と、対向面111を延長した面は、交差する。
【0023】
構成面12には、後述する段差部121を備える。また、構成面12には、後述する平坦部122を備えることもできる。更に、構成面12には、車両部品Pや車体Bの形態に応じて、その他の構成を備えることも可能である。
【0024】
(3-1)段差部121
段差部121は、構成面12における台座部11に最も近接した部分に設けられた段差部分である。
【0025】
図8は、従来の締結構造を模式的に示す模式的斜視図である。従来の締結構造には、段差部121が備えられていない。段差部121を有さない従来の締結構造では、車両部品Pに負荷が加わった際に、車体Bとの締結部に加わる応力が、ダイレクトに締結部へ伝わってしまうため、応力を受けた車両部品に、亀裂が生じたり、破壊されたりする問題があった。
【0026】
一方、本技術では、締結構造1に段差部121を備えることで、段差部121を有さない場合にダイレクトに締結部へ伝わっていた応力を、段差部121の外縁に沿って締結部以外に回避させることができる。その結果、車両部品Pに負荷が加わった際に、応力が締結部には伝わりにくくなり、段差部121の周辺へ分散するため、締結部に加わる応力を低減することができる。
【0027】
段差部121の具体的な構造は、段差構造であれば特に限定されず、
図1及び
図2に示す第1実施形態のような、台座部11に向かって陥没する凹部構造とすることもできるが、例えば、
図4及び
図5に示す第2実施形態のように、台座部11と反対側に向かって突出する凸部構造とすることもできる。
【0028】
段差部121は、構成面12に連続する側面1211を有する。この側面1211の形態も、本技術の目的や効果を損なわない限り特に限定されないが、構成面12に対して、緩やかすぎないことが好ましい。具体的には、構成面12と側面1211のなす角θ(
図6(
図2のX-X線端面図)参照)を、80°以上に設定することが好ましく、85°以上がより好ましく、88°以上が更に好ましい。構成面12と側面1211のなす角θをこの範囲に設定することで、締結部に加わる応力の低減効果を更に高めることができる。
【0029】
構成面12と側面1211のなす角θの上限値は、成形性の観点から、90°以下が好ましい。
【0030】
段差部121の深さH2(第1実施形態)又は高さH2(第2実施形態)も、本技術の目的や効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば4mm以上、好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上、更に好ましくは7mm以上、特に好ましくは8mm以上である。段差部121の深さH2又は高さH2の下限値をこの範囲とすることで、締結部に加わる応力の低減効果を更に高めることができる。
【0031】
段差部121の深さH2又は高さH2の上限値は、前記応力の低減作用の観点からは特に限定されないが、周辺部品との干渉を考慮して、20mm以下が好ましい。
【0032】
段差部121の大きさも、本技術の目的や効果を損なわない限り特に限定されないが、台座部11との関係で決定されることが好ましい。具体的には、対向面111と構成面12との交線方向において、対向面111と構成面12との交線方向における段差部121の長さL3を、台座部11の長さL1よりも長くすることが好ましい。即ち、対向面111と構成面12との交線方向において、台座部11の片側又は両側に長さL5のスペースを有することで、締結部に加わる応力の低減効果を更に高めることができる。
【0033】
長さL5の具体的な数値は、本技術の目的や効果を損なわない限り特に限定されないが、長さL5の下限値は、例えば5mm以上、好ましくは6mm以上、より好ましくは7mm以上である。長さL5の下限値をこの範囲に設定することで、締結部に加わる応力の低減効果を更に高めることができる。
【0034】
また、長さL5の上限値は、例えば20mm以下が好ましいが、周辺部品や段差部121の深さH2又は高さH2に応じて適宜設定されればよい。台座部11の長さL1及びスペースの長さL5により、段差部121の長さL3が設定される。なお、構成面12との交線方向と直交する方向における段差部121の長さL4は、後述する平坦部122が確保できるように設定されればよい。
【0035】
段差部121と台座部11との関係では、台座部11の長さL1を1とした場合、段差部121の長さL3の下限値は、例えば1.2以上、好ましくは1.4以上、より好ましくは1.6以上である。台座部11の長さL1を1とした場合の段差部121の長さL3の下限値をこの範囲に設定することで、締結部に加わる応力の低減効果を更に高めることができる。
【0036】
また、台座部11の長さL1を1とした場合、段差部121の長さL3の上限値は、例えば2.0以下が好ましい。
【0037】
(3-2)平坦部122
本技術に係る締結構造1には、構成面12のうち、段差部121を挟んで台座部11と離間する部分に、段差部121が設けられていない平坦部122を設けることができる。本技術では、この平坦部122は必須ではないが、平坦部122を備えることで、車両部品Pに負荷が加わった際に、段差部121を介して応力がダイレクトに締結部に伝わることを抑制することができ、締結部に加わる応力の低減効果を更に高めることができる。
【0038】
平坦部122の大きさは、本技術の目的や効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、対向面111と構成面12との交線方向と直交する方向における長さL6の下限値は、例えば5mm以上、好ましくは7mm以上、より好ましくは8mm以上とすることができる。前記長さL6の下限値をこの範囲に設定することで、締結部に加わる応力の低減効果を更に高めることができる。
【0039】
また、対向面111と構成面12との交線方向と直交する方向における長さL6の上限値は、例えば50mm以下が好ましいが、対向面111と構成面12との交線方向と直交する方向における構成面12に応じて適宜設定されればよい。
【0040】
2.スポイラーS
本技術に係るスポイラーSは、前述した本技術に係る締結構造1を有する。本技術に係るスポイラーSには、例えば、前述した
図1や
図4に示すように、1つの締結構造1を備えていてもよいが、例えば
図7に示すスポイラーS(車両部品P)のように、複数の締結構造1を備えることもできる。複数の締結構造1を備える場合、その数も
図7に示す3つに限らず、用いる車両部品Pや車体Bの形態等に応じて、2以上の任意の数の締結構造1を備えることができる。
【0041】
複数の締結構造1を備える場合、それぞれの締結構造1は、前述した範囲内で個々に設計変更が可能である。即ち、本技術に係るスポイラーSには、異なる形態の締結構造1を複数備えることも可能である。
【0042】
本技術に係るスポイラーSの種類は特に限定されない。例えば、フロントバンパースポイラー、フロントアンダースポイラー、ハーフスポイラー、サイドスポイラー、テールゲートスポイラー、リアバンパースポイラー、トランクスポイラー、ルーフスポイラー等が挙げられる。
【0043】
なお、本技術は、以下のように構成することも可能である。
[1]
締結部材により車両部品を車体に締結するための車両部品の締結構造であって、
前記締結部材を取り付け可能な台座部と、
前記車体と対向する前記台座部の対向面に交差する方向に延びる構成面と、を有し、
前記構成面における前記台座部に最も近接する部分には、段差部が設けられている、車両部品の締結構造。
[2]
前記段差部は、前記台座部に向かって陥没する凹部、又は前記台座部と反対側に向かって突出する凸部であり、前記構成面に連続する側面を有し、
前記構成面と前記側面のなす角が80°以上である、[1]に記載の車両部品の締結構造。
[3]
前記段差部の深さ又は高さは、5mm以上である、[1]又は[2]に記載の車両部品の締結構造。
[4]
前記構成面のうち、前記段差部を挟んで前記台座部と離間する部分には、前記段差部が設けられていない平坦部を有する、[1]から[3]のいずれかに記載の車両部品の締結構造。
[5]
前記対向面と前記構成面との交線方向において、前記段差部の長さは、前記台座部の長さよりも長い、[1]から[4]のいずれかに記載の車両部品の締結構造。
[6]
[1]から[5]のいずれかに記載の車両部品の締結構造を有する、スポイラー。
[7]
[1]から[5]のいずれかに記載の車両部品の締結構造、又は、[6]に記載のスポイラーを有する、車両。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本技術は、自動車、自動二輪車、電車、モノレール、リニアモーターカー、ディーゼル機関車等の車両に限らず、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、航空機等の乗物、農業機械、建設機械等の各種機械の締結構造にも用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 締結構造
11 台座部
12 構成面
111 対向面
112 締結部材取付部
1211 側面
122 平坦部
P 車両部品
B 車体
S スポイラー