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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089219
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2798 20220101AFI20240626BHJP
   H02K 1/24 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H02K1/2798
H02K1/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204440
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】林 秀瑛
(72)【発明者】
【氏名】顔 國智
(72)【発明者】
【氏名】▲ウー▼ 耿彰
(72)【発明者】
【氏名】王 國▲みん▼
(72)【発明者】
【氏名】呉 昇澤
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA23
5H601CC15
5H601DD12
5H601EE12
5H601EE27
5H601GA10
5H601GA38
5H601GA40
5H601GB22
5H601GC05
5H601GC14
5H601KK21
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA06
5H622CB05
5H622PP18
5H622PP19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高トルク、かつ高効率のモータを提供する。
【解決手段】中心軸線を回転軸として回転可能なロータと、ロータの軸方向一方側に位置するステータと、を備える。ロータは、周方向を磁化方向とし周方向に並ぶ複数のサイドマグネット41と、周方向においてサイドマグネットの間に配置される複数のコアピース20と、を有する。コアピースは、周方向両側を向く一対の側面21aでサイドマグネットの側面41aと密着するコアピース本体部21と、コアピース本体部の軸方向一方側に位置する拡張ティース部22と、を有する。拡張ティース部は、サイドマグネットの軸方向一方側を向く面に対し軸方向一方側に突出し、コアピース本体部よりも周方向の幅寸法が大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を回転軸として回転可能なロータと、
前記ロータの軸方向一方側に位置するステータと、を備え、
前記ロータは、
周方向を磁化方向とし周方向に並ぶ複数のサイドマグネットと、
周方向において前記サイドマグネットの間に配置される複数のコアピースと、を有し、
前記コアピースは、
周方向両側を向く一対の側面で前記サイドマグネットの側面と密着するコアピース本体部と、
前記コアピース本体部の軸方向一方側に位置する拡張ティース部と、を有し、
前記拡張ティース部は、前記サイドマグネットの軸方向一方側を向く面に対し軸方向一方側に突出し、前記コアピース本体部よりも周方向の幅寸法が大きい、モータ。
【請求項2】
前記ロータは、それぞれの前記コアピースの径方向外側を向く面に密着する複数のアウターマグネットを有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ロータは、前記中心軸線を囲む環状のアウターフレームヨークを有し、
前記アウターフレームヨークは、径方向内側を向く内側面において複数の前記アウターマグネットと密着する、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ロータは、それぞれの前記コアピースの径方向内側を向く面に密着する複数のインナーマグネットを有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記ロータは、前記中心軸線を囲む環状のインナーフレームヨークを有し、
前記インナーフレームヨークは、径方向外側を向く外側面において複数の前記インナーマグネットと密着する、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記コアピースは、径方向に沿って積層される複数の鋼板から構成される、請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記コアピース本体部の周方向両側を向く一対の側面は、互いに平行である、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記コアピースを構成する複数の鋼板には、前記拡張ティース部の周方向の幅寸法が異なる複数種類の鋼板が含まれ、
前記拡張ティース部は、径方向外側に向かうに従い、前記拡張ティース部の周方向の幅寸法を段階的に大きくする、請求項6又は7に記載のモータ。
【請求項9】
前記拡張ティース部は、径方向外側に向かうに従い周方向の幅寸法を連続的に大きくする、請求項1に記載のモータ。
【請求項10】
前記コアピース本体部は、径方向外側に向かうに従い周方向の幅寸法を連続的に大きくし、
前記サイドマグネットの周方向両側を向く一対の側面は、互いに平行である、請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
前記拡張ティース部は、軸方向一方側に向かうに従い周方向の幅寸法を連続的に大きくする、請求項1に記載のモータ。
【請求項12】
前記ロータは、複数の前記サイドマグネットの軸方向他方側の端面を覆うカバープレートを有し、
前記カバープレートは、非磁性材料から構成され、
前記カバープレートには、周方向に沿って並び径方向に沿って延びる複数のスロットが設けられ、
前記コアピースは、前記コアピース本体部から軸方向他方側に突出し前記スロットに挿入される凸部を有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項13】
一対の前記ロータと、
軸方向において一対の前記ロータの間に配置される前記ステータと、備える、
請求項1に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータとステータが軸方向に対向するアキシャルギャップモータは、コンパクトな構造を有し、体積が小さく、軽量でトルク密度が高いなどの利点を有している。特許文献1には、アキシャルギャップモータのロータとして、周方向を磁化方向とする永久磁石と鉄心とが周方向に交互に並んで構成されたものが開示されている。従来構造のロータでは、鉄心がロータの磁極として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4349089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構造のロータにおいて、鉄心を周方向に大きくすると、ステータに向けて磁束を流す面を広く確保することができるため、磁束を有効利用しやすくなりモータの効率を高めることができる。一方で、マグネット(永久磁石)を大きくすると、磁力が強まるため、モータのトルクを高めることができる。しかしながら、従来構造のロータでは、マグネットとコアピースとが周方向に交互に並ぶため、これらを同時に大きくすることができない。このため、従来構造のアキシャルギャップモータでは、高トルク化、かつ高効率化を図ることが難しかった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、高トルク、かつ高効率のモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、中心軸線を回転軸として回転可能なロータと、前記ロータの軸方向一方側に位置するステータと、を備える。前記ロータは、周方向を磁化方向とし周方向に並ぶ複数のサイドマグネットと、周方向において前記サイドマグネットの間に配置される複数のコアピースと、を有する。前記コアピースは、周方向両側を向く一対の側面で前記サイドマグネットの側面と密着するコアピース本体部と、前記コアピース本体部の軸方向一方側に位置する拡張ティース部と、を有する。前記拡張ティース部は、前記サイドマグネットの軸方向一方側を向く面に対し軸方向一方側に突出し、前記コアピース本体部よりも周方向の幅寸法が大きい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、高トルク、かつ高効率のモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態のモータの斜視図である。
図2図2は、第1実施形態のロータの分解図である。
図3図3は、第1実施形態の各マグネット、およびインナーマグネットを示す斜視図である。
図4図4は、第1実施形態のロータを上側からみた平面図である。
図5図5は、図4の部分拡大図である。
図6図6は、第1実施形態のカバープレートの斜視図である。
図7図7は、第1実施形態に採用可能な変形例1のコアピースの斜視図である。
図8図8は、第1実施形態に採用可能な変形例2のコアピースの斜視図である。
図9図9は、第2実施形態のモータの斜視図である。
図10図10は、第2実施形態のロータの分解図である。
図11図11は、第3実施形態のロータの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。各図には、適宜Z軸を図示する。Z軸は、後述する中心軸線Jと平行な仮想的な軸である。また、Z軸は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。なお、本明細書における上下方向に対するモータの姿勢は、説明のための一例であって、モータの使用時の姿勢を限定するものではない。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のモータ1の斜視図である。
モータ1は、中心軸線Jに沿って延びる円柱状の回転シャフト2aと、一対のロータ2と、一対のロータ2の間に配置されるステータ60と、を有する。本実施形態のモータ1は、ロータ2とステータ60とが軸方向に隙間を介して対向するアキシャルギャップ型のモータである。
【0011】
なお、本明細書において、中心軸線Jは仮想線であり、上下方向に延びるものとする。以下の説明において、中心軸線Jの軸方向を単に「軸方向」と呼び、軸方向のうち下側に該当する方向を「軸方向一方側」と呼び上側に該当する方向を「軸方向他方側」と呼ぶ場合がある。さらに、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
ステータ60は、軸方向において一対のロータ2の間に配置される。ステータ60は、一対のステータ60のうち、上側のロータ2Aの下側に位置し、下側のロータ2Bの上側に位置する。ステータ60は、軸方向から見て、中心軸線Jを囲む円環状である。ステータ60の中央に設けられる孔(図示略)には、回転シャフトが通される。
【0013】
ステータ60は、複数のコア部64と、複数のコイル62と、を有する。本実施形態のステータ60には、12個のコア部64と12個のコイル62とが設けられる。したがって、本実施形態のステータ60は、12スロットである。
【0014】
コア部64は、磁性体からなる。コア部64は、軸方向に沿って柱状に延びる。コア部64の軸方向から見た形状は、角部にコーナーRが設けられた扇形状である。コア部64の扇形状の中心は、中心軸線J上に配置される。複数のコア部64は、周方向に等間隔に並ぶ。コア部64は、例えば、複数の電磁鋼板を軸方向に積層することで構成される。
【0015】
コア部64は、上側および下側を向くロータ対向面64aを有する。複数のコア部64の上側を向くロータ対向面64a同士は、同一平面上に配置される。同様に、複数のコア部64の下側を向くロータ対向面64a同士は、同一平面上に配置される。上側を向くロータ対向面64aは、一対のロータ2のうち上側のロータ2Aと対向する。また、下側を向くロータ対向面64aは、一対のロータ2のうち下側のロータ2Bと対向する。
【0016】
コイル62は、コア部64の周囲に巻き回される。それぞれのコイル62は、中心軸線Jと平行な軸線周りに巻き回される。複数のコイル62は、周方向にそって並ぶ。コイル62の端部は、ステータ60から引き出されて電源装置に接続される。これにより、コイル62には、電流が流される。コイル62は、電流が流されることでコア部64には軸方向に磁極を形成する。
【0017】
ロータ2は、中心軸線Jを回転軸として回転可能である。ロータ2は、中心軸線Jを囲む円環状である。一対のロータ2は、回転シャフト2aの外周面に固定される。一対のロータ2は、回転シャフト2aを介して互いに連結される。したがって、一対のロータ2は、中心軸線J周りを同期回転する。本実施形態によれば、一対のロータ2でステータ60を軸方向両側から挟み込むことで、ステータ60の上下の磁束を有効利用して、高トルク、かつ高効率のモータ1を提供できる。
【0018】
一対のロータ2同士は、上下方向に反転して配置されている。一対のロータ2は、ステータ側を向ける磁極が互いに反対である。すなわち、上側のロータ2AのN極と重なる位置に配置される下側のロータ2Bの磁極はS極である。同様に、上側のロータ2AのS極と重なる位置に配置される下側のロータ2Bの磁極はN極である。一対のロータ2A、2B同士は、これらの点以外、同様の構成を有する。以下、一対のロータのうち、上側のロータ2Aについて代表して説明を行い、下側のロータ2Bに関する説明を省略する。また、以下の説明において、単に「ロータ2」と呼ぶ場合、上側に配置されるロータ2Aを意味するものとする。
【0019】
図2は、一対のロータ2の分解図である。
ロータ2は、カバープレート30と、アウターフレームヨーク10と、マグネット群40と、複数のコアピース20と、インナーフレームヨーク15と、を有する。また、マグネット群40には、16個のサイドマグネット41と、16個のアウターマグネット42と、16個のインナーマグネット43と、が含まれる。サイドマグネット41、アウターマグネット42、およびインナーマグネット43は、永久磁石である。
【0020】
複数のコアピース20は、周方向に等間隔に並ぶ。それぞれのコアピース20は、軸方向から見て径方向に沿って延びる。したがって、複数のコアピース20は、軸方向から見て放射状に配置される。本実施形態のロータ2には、16個のコアピース20が設けられ、これにより16個の磁極2N、2Sを構成する。すなわち、本実施形態のロータ2は、16極である。各磁極2N、2Sの向きは、軸方向と平行な方向である。16個の磁極2N、2Sは、8個のN極2Nと8個のS極2Sとに分類される。N極2NとS極2Sとは、周方向に交互に並ぶ。
【0021】
図3は、コアピース20、サイドマグネット41、アウターマグネット42、およびインナーマグネット43を示す斜視図である。
コアピース20は、磁性体である。コアピース20は、径方向に沿って積層される複数の電磁鋼板(鋼板)29から構成される。複数の電磁鋼板29は、カシメ工程によって互いに固定される。また、複数の電磁鋼板29は、互いに接着固定されていてもよい。
なお、図3のコアピース20において、電磁鋼板29の厚さおよび使用される枚数は模式化されており、実際のものとは異なる。このことは、他の図においても同様である。
【0022】
本実施形態のコアピース20は、一様な断面形状で径方向に延びる。このため、コアピース20を構成する複数の電磁鋼板29は、すべて同一形状とすることができる。本実施形態によれば、複数種類の電磁鋼板を用意する場合と比較して、電磁鋼板29を打ち抜く金型の種類を少なくすることができ、モータ1のコスト削減をはかることができる。加えて、複数種類の電磁鋼板を用意する場合と比較して、電磁鋼板29の部品管理、および組み立て管理に要するコストの削減もはかることができる。
【0023】
コアピース20は、コアピース本体部21と、拡張ティース部22と、凸部23と、を有する。拡張ティース部22は、コアピース本体部21の下側(軸方向一方側)に位置する。一方で、凸部23は、コアピース本体部21の上側(軸方向他方側)に位置する。
【0024】
コアピース本体部21は、径方向、および軸方向に沿って延びる直方体形状である。コアピース本体部21は、周方向両側を向く一対の側面21aと、径方向外側を向く外側面21dと、径方向内側を向く内側面21eと、を有する。一対の側面21aは、互いに平行である。外側面21dと内側面21eとは、互いに平行である。コアピース本体部21は、一対の側面21aでそれぞれサイドマグネット41の側面41aと密着する。コアピース本体部21は、外側面21dでアウターマグネット42と密着する。コアピース本体部21は、内側面21eでインナーマグネット43と密着する。コアピース本体部21の下端の軸方向の位置は、サイドマグネット41の下面41bと一致するか、下面41bよりも若干下側に位置する。
【0025】
本実施形態のコアピース20は、複数の電磁鋼板29を径方向に沿って積層して構成されるため、磁気特性に優れ、しかも安価に製造できる。しかしながら、電磁鋼板を積層して構成するコアピースであっても、サイドマグネットと対向する側面が電磁鋼板の積層方向に対し傾斜する場合、当該側面には電磁鋼板の板厚分の段差が複数設けられることとなる。この場合、コアピースとサイドマグネットが緻密に密着することができない。これに対し、本実施形態では、コアピース20の一対の側面21aが、電磁鋼板29の積層方向である径方向と平行に延びる。このため、コアピース20の側面21aを、平坦面とすることができ、サイドマグネット41との緻密な密着を実現できる。
【0026】
拡張ティース部22は、コアピース本体部21の下端に連結される。拡張ティース部22は、径方向から見て台形形状を有する。拡張ティース部22は、一様な断面形状で径方向に沿って延びる。拡張ティース部22の上端の軸方向の位置は、サイドマグネット41の下面41bと一致するか、下面41bよりも若干下側に位置する。したがって、拡張ティース部22は、サイドマグネット41の下面41bに対し下側に突出する。
【0027】
拡張ティース部22の周方向の幅寸法は、下側(軸方向一方側)に向かうに従い連続的に大きくなる。拡張ティース部22の上端の周方向の幅寸法は、コアピース本体部21の下端の周方向の幅寸法と等しい。拡張ティース部22の周方向の幅寸法は、拡張ティース部22の下端において最も大きい。なお、本明細書において、「周方向の幅寸法」とは、径方向と直交する方向における周方向の端部同士の直線距離を意味し、周方向に沿って延びる円弧長さを意味するものではない。また、本明細書において、単に「拡張ティース部22の周方向の幅寸法」という場合、拡張ティース部22において最も周方向の幅寸法が大きい部分(本実施形態では下端)における幅寸法を意味する。
【0028】
拡張ティース部22は、下側(軸方向一方側)を向くステータ対向面22aを有する。ステータ対向面22aは、ステータ60(図1参照)と軸方向に対向する。ステータ対向面22aは、ステータ60に向けて磁束を流す。ステータ対向面22aは、径方向を長手方向とする長方形形状である。ステータ対向面22aの周方向の幅寸法は、コアピース本体部21の下端における周方向の幅寸法よりも大きい。
【0029】
凸部23は、コアピース本体部21の上端に連結される。凸部23は、コアピース本体部21から上側(軸方向他方側)に突出する。凸部23は、径方向から見て長方形状である。凸部23は、一様な断面形状で径方向に沿って延びる。凸部23は、コアピース本体部21よりも周方向の幅寸法が小さい。
【0030】
サイドマグネット41は、軸方向から見て台形形状ある。サイドマグネット41は、一様な断面形状で軸方向に沿って延びる柱状である。サイドマグネット41は、周方向両側を向く一対の側面41aと、下側(軸方向一方側)を向く下面41bと、上側(軸方向他方側)を向く上面41cと、径方向外側を向く外側面41dと、径方向内側を向く内側面41eと、を有する。一対の側面41aは、径方向外側に向かうに従い互いに連続的に離間する。上面41cと下面41bとは、互いに平行である。外側面41dと内側面41eとは、互いに平行である。
【0031】
図4は、ロータ2を上側からみた平面図である。図5は、図4の部分拡大図である。なお、図4、および図5において、カバープレート30の図示は省略されている。さらに、図5には、各マグネット41、42、43、コアピース20、アウターフレームヨーク10、およびインナーフレームヨーク15を通過する磁力線を模式的に図示する。
【0032】
図5に示すように、サイドマグネット41は、周方向を磁化方向とする。複数のサイドマグネット41は、周方向一方側から他方側に磁化されたものと、周方向一方側から他方側に磁化されたものと、が周方向に交互に配置される。
【0033】
複数のサイドマグネット41は、周方向に等間隔に並ぶ。周方向に並ぶ一対のサイドマグネット41の間には、コアピース20が配置される。サイドマグネット41の側面41aは、コアピース本体部21の側面41aと密着する。本実施形態において、サイドマグネット41、およびコアピース本体部21の側面41a、21a同士の間には、接着層が設けられ、側面41a、21a同士が互いに固定される。なお、本明細において、「密着する」とは、面同士が互いの法線を一致させて対向し接触することを意味している。また、本明細書において、「密着する」の語には、面同士が接着層を介して互いに接触する場合も含まれると解する。
【0034】
図3に示すように、アウターマグネット42は、直方体である。アウターマグネット42の周方向の幅寸法は、コアピース本体部21の周方向の幅寸法と略等しい。アウターマグネット42は、径方向外側を向く外側面42dと、径方向内側を向く内側面42eと、を有する。外側面42dと内側面42eとは、互いに平行である。
【0035】
図5に示すように、アウターマグネット42は、径方向を磁化方向とする。複数のアウターマグネット42は、径方向外側から内側に磁化されたものと、周方向内側から外側に磁化されたものと、が周方向に交互に配置される。
【0036】
アウターマグネット42は、径方向においてコアピース20とアウターフレームヨーク10との間に配置される。アウターマグネット42は、内側面42eにおいてコアピース本体部21の外側面21dと密着する。アウターマグネット42は、外側面42dにおいてアウターフレームヨーク10の内側面10eと密着する。本実施形態において、アウターマグネット42とコアピース本体部21との間には接着層が設けられ、内側面42eと外側面21dとが互いに固定される。同様に、アウターマグネット42とアウターフレームヨーク10との間には接着層が設けられ、外側面42dと内側面10eとが互いに固定される。
【0037】
図3に示すように、インナーマグネット43は、直方体である。本実施形態において、インナーマグネット43は、アウターマグネット42と同形状である。インナーマグネット43の周方向の幅寸法は、コアピース本体部21の周方向の幅寸法と略等しい。インナーマグネット43は、径方向外側を向く外側面43dと、径方向内側を向く内側面43eと、を有する。外側面43dと内側面43eとは、互いに平行である。
【0038】
図5に示すように、インナーマグネット43は、径方向を磁化方向とする。複数のインナーマグネット43は、径方向外側から内側に磁化されたものと、周方向内側から外側に磁化されたものと、が周方向に交互に配置される。また、1つのコアピース本体部に対し、径方向の内外に配置されるアウターマグネット42、およびインナーマグネット43の磁化方向とは、径方向において反対側である。
【0039】
インナーマグネット43は、径方向においてコアピース20とインナーフレームヨーク15との間に配置される。インナーマグネット43は、外側面43dにおいてコアピース本体部21の内側面21eと密着する。インナーマグネット43は、内側面43eにおいてインナーフレームヨーク15の外側面15dと密着する。本実施形態において、インナーマグネット43とコアピース本体部21との間には接着層が設けられ、外側面43dと内側面21eとが互いに固定される。同様に、インナーマグネット43とインナーフレームヨーク15との間には接着層が設けられ、内側面43eと外側面15dとが互いに固定される。
【0040】
1つのコアピース20には、一対のサイドマグネット41、アウターマグネット42、およびインナーマグネット43が接触する。1つのコアピース20に接触する一対のサイドマグネット41、アウターマグネット42、およびインナーマグネット43は、コアピース20に接触させる側の極が一致している。N極の磁極2Nを構成するコアピース20に接触する一対のサイドマグネット41は、このコアピース20に接触する側面41aがN極となるように配置される。N極の磁極2Nを構成するコアピース20に接触するアウターマグネット42は、このコアピース20に接触する内側面42eがN極となるように配置される。N極の磁極2Nを構成するコアピース20に接触するインナーマグネット43は、このコアピース20に接触する外側面43dがN極となるように配置される。コアピース20の内部に侵入する磁束は、コアピース20の内部で下側に向かって曲り、拡張ティース部22からステータ60側に流れる。なお、後述するようにコアピース20の上側には、非磁性材料からなるカバープレート30が配置される。このため、コアピース20の内において、磁束は上側に向かって流れにくい。
【0041】
アウターフレームヨーク10は、中心軸線Jを囲む環状である。アウターフレームヨーク10は、一様な形状で軸方向に沿って延びる。アウターフレームヨーク10は、磁性体である。アウターフレームヨーク10は、軸方向に沿って積層される複数の電磁鋼板から構成される。
【0042】
アウターフレームヨーク10は、径方向内側を向く内側面10eを有する。内側面10eには、複数の内面凸部12と複数の第1平面部11とが設けられる。内面凸部12と第1平面部11とは、内側面10eにおいて周方向に沿って交互に並ぶ。
【0043】
内面凸部12は、内側面10eから径方向内側に突出する。内面凸部12の先端面は、軸方向から見て半円状である。内面凸部12は、サイドマグネット41の径方向外側に配置される。内面凸部12とサイドマグネット41との間には隙間が設けられる。本実施形態のアウターフレームヨーク10によれば、内面凸部12が設けられる部分において径方向の厚さ寸法が大きくなる。これにより、アウターフレームヨーク10が補強され、アウターフレームヨーク10の強度および剛性が高められる。
【0044】
第1平面部11は、径方向内側を向き径方向に対し直交する。1つの第1平面部11は、1つのアウターマグネット42の外側面42dに密着する。アウターフレームヨーク10は、内側面10eの複数の第1平面部11において複数のアウターマグネット42と密着 する。上述したように、周方向に隣り合う2つのアウターマグネット42の磁化方向は径方向において反転されている。このため、周方向に隣り合うアウターマグネット42同士を繋ぐ磁路は、アウターフレームヨーク10内を通過する。
【0045】
アウターフレームヨーク10とサイドマグネット41との間には、第1フラックスバリア部51が設けられる。第1フラックスバリア部51は、周方向に隣り合う2つのアウターマグネット42同士の間に位置する。すなわち、第1フラックスバリア部51は、サイドマグネット41、アウターフレームヨーク10、および一対のアウターマグネット42に囲まれた空間である。本実施形態の第1フラックスバリア部51は、空隙部であるが、第1フラックスバリア部51は樹脂などの非磁性部が充填されていてもよい。第1フラックスバリア部51では、磁束の流れが制限される。第1フラックスバリア部51が設けられることで、サイドマグネット41、およびアウターマグネット42からの磁束漏れを低減できる。
【0046】
インナーフレームヨーク15は、中心軸線Jを囲む環状である。インナーフレームヨーク15は、一様な形状で軸方向に沿って延びる。インナーフレームヨーク15は、磁性体である。インナーフレームヨーク15は、軸方向に沿って積層される複数の電磁鋼板から構成される。
【0047】
インナーフレームヨーク15は、径方向外側を向く外側面15dを有する。外側面15dには、複数の第2平面部16が設けられる。複数の第2平面部16は、外側面15dにおいて等間隔に並ぶ。第2平面部16は、径方向外側を向き径方向に対し直交する。1つの第2平面部16は、1つのインナーマグネット43の内側面43eに密着する。すなわち、インナーフレームヨーク15は、外側面15dの複数の第2平面部16において複数のインナーマグネット43と密着 する。上述したように、周方向に隣り合う2つのインナーマグネット43の磁化方向は径方向において反転されている。周方向に隣り合うインナーマグネット43同士を繋ぐ磁路は、インナーフレームヨーク15内を通過する。
【0048】
インナーフレームヨーク15とサイドマグネット41との間には、第2フラックスバリア部52が設けられる。第2フラックスバリア部52は、周方向に隣り合う2つのインナーマグネット43同士の間に位置する。すなわち、第2フラックスバリア部52は、サイドマグネット41、インナーフレームヨーク15、および一対のインナーマグネット43に囲まれた空間である。本実施形態の第2フラックスバリア部52は、空隙部であるが、樹脂などの非磁性部が充填されていてもよい。第2フラックスバリア部52が設けられることで、サイドマグネット41、およびインナーマグネット43からの磁束漏れを低減できる。
【0049】
図2に示すように、カバープレート30は、中心軸線Jと直交する板状である。カバープレート30は、中心軸線Jを囲む円環状である。カバープレート30の外形は、軸方向から見て円形である。カバープレート30の外形の中心は、中心軸線J上に位置する。カバープレート30には、軸方向に貫通する中央孔30hが設けられる。中央孔30hは、軸方向から見て円形である。中央孔30hの中心は、中心軸線J上に位置する。
【0050】
カバープレート30には、複数のスロット31が設けられる。スロット31は、カバープレート30を軸方向に貫通する。スロット31は、径方向を長手方向とする長方形形状である。複数のスロット31は、周方向に沿って等間隔に並ぶ。カバープレート30に設けられるスロット31の数は、コアピース20の数と一致する。すなわち、本実施形態のカバープレート30には、16個のスロット31が設けられる。
【0051】
カバープレート30は、非磁性材料から構成される。カバープレート30を構成する材料としては、アルミニウム合金、又はオーステナイト系のステンレス合金などの金属材料が例示される。
【0052】
カバープレート30は、アウターフレームヨーク10、マグネット群40、複数のコアピース20、およびインナーフレームヨーク15の上側(軸方向他方側)に位置する。カバープレート30の外径は、アウターフレームヨーク10の外径と略同じか若干大きい。また、カバープレート30の内径(すなわち、中央孔30hの直径)は、インナーフレームヨーク15の内径と略同じか若干小さい。このため、アウターフレームヨーク10、マグネット群40、複数のコアピース20、およびインナーフレームヨーク15は、軸方向から見てカバープレート30に重なって配置される。カバープレート30は、アウターフレームヨーク10、複数のサイドマグネット41、複数のアウターマグネット42、複数のインナーマグネット43、複数のコアピース20、およびインナーフレームヨーク15の上面(軸方向他方側の端面)を覆う。カバープレート30は、アウターフレームヨーク10、複数のサイドマグネット41、複数のアウターマグネット42、複数のインナーマグネット43、複数のコアピース本体部21、およびインナーフレームヨーク15から上側への磁束の漏れ出しを抑制する。なお、コアピース20の一部(凸部23)は、カバープレート30のスロット31から上側に露出する。
【0053】
図6は、カバープレート30の斜視図である。
図6に示すように、スロット31には、コアピース20の凸部23が挿入される。カバープレート30の下面は、コアピース本体部21の上端面に接触する。これにより、複数のコアピース20は、カバープレート30に対して位置決めされる。
【0054】
なお、カバープレート30とコアピース20とは、互いに接着固定されていることが好ましい。接着剤は、スロット31の内側面と凸部23の外側面との間に配置されていてもよいし、カバープレート30の下面とコアピース本体部21の上端面との間に配置されていてもよい。さらに、カバープレート30は、アウターフレームヨーク10、複数のサイドマグネット41、複数のアウターマグネット42、複数のインナーマグネット43、およびインナーフレームヨーク15と接着固定されていてもよい。
【0055】
図3に示すように、本実施形態のコアピース20は、周方向を磁化方向とする一対のサイドマグネット41によって周方向両側から挟まれる。コアピース20は、一対のサイドマグネット41の磁束を集中させてステータ60に向けて流すことができる。本実施形態によれば、ロータ2の磁極2N、2Sの磁力を高めることができ、モータ1の高トルク化を図ることができる。
【0056】
本実施形態のコアピース20は、サイドマグネットの下面41bより下側に突出しコアピース本体部21よりも幅方向に広がる拡張ティース部22を有する。本実施形態によれば、ロータ2は、サイドマグネット41の周方向の幅寸法を小さくすることなく、コアピース20のステータ対向面22aの周方向の幅寸法を大きくすることができる。すなわち、ロータ2は、サイドマグネット41の磁力を小さくすることなく、各磁極2N、2Sから周方向の広い範囲でステータ60側に磁束を流すことができる。コアピース20のステータ対向面22aで磁気飽和が生じることを抑制し、一対のサイドマグネット41から発生した高密度の磁束を有効利用することが可能となり、高トルク、高効率のモータ1を提供できる。
【0057】
本実施形態の拡張ティース部22は、下側(すなわち、ステータ60側)に向かうに従い周方向の幅寸法を連続的に大きくする。本実施形態によれば、拡張ティース部22Aを、コアピース本体部21から拡張ティース部22に侵入しステータ対向面22aからステータ60側に流れる磁束の流れに沿った形状とすることができる。このため、拡張ティース部22をいたずらに大きくすることなく、拡張ティース部22Aからステータ60に向けて磁束を円滑に流すことができる。
【0058】
図5に示すように、本実施形態のロータ2は、コアピース20の外側面21dに密着するアウターマグネット42を有する。アウターマグネット42は、径方向を磁化方向とする。このため、アウターマグネット42から生じた磁束は、コアピース20内に侵入しステータ対向面22aからステータ60側に流れる。すなわち、本実施形態によれば、アウターマグネット42によって、磁極2N、2Sの磁力を強くすることができる。また、アウターマグネット42は、コアピース20の外側面21dを覆うため、一対のサイドマグネット41から生じてコアピース20内を通過する磁束が、コアピース20の外側面21dから径方向外側に漏れ出ることを抑制する。結果的に、コアピース20のステータ対向面22aからステータ60に向けてより高密度の磁束を流すことが可能となる。
【0059】
本実施形態のロータ2は、複数のアウターマグネット42の外側面42dに密着する環状のアウターフレームヨーク10を有する。アウターフレームヨーク10は、周方向に並ぶ複数のアウターマグネット42の間の磁束の流れを、アウターマグネット42の径方向外側で適切に誘導する。これにより、アウターマグネット42の磁束を効率的に利用することができ、モータ1の高トルク、高効率化に寄与できる。
【0060】
本実施形態のロータ2は、コアピース20の内側面21eに密着するインナーマグネット43を有する。インナーマグネット43は、径方向を磁化方向とする。このため、インナーマグネット43から生じた磁束は、コアピース20内に侵入しステータ対向面22aからステータ60側に流れる。すなわち、本実施形態によれば、インナーマグネット43によって、磁極2N、2Sの磁力を強くすることができる。また、インナーマグネット43は、コアピース20の内側面21eをインナーマグネット43で覆うため、一対のサイドマグネット41から生じてコアピース20内を通過する磁束が、コアピース20の内側面21eから径方向外側に漏れ出ることも抑制する。結果的に、コアピース20のステータ対向面22aからステータ60に向けてより高密度の磁束を流すことが可能となる。
【0061】
本実施形態のロータ2は、複数のインナーマグネット43の内側面43eに密着する環状のインナーフレームヨーク15を有する。インナーフレームヨーク15は、周方向に並ぶ複数のインナーマグネット43の間の磁束の流れを適切に誘導する。これにより、インナーマグネット43の磁束を効率的に利用することができ、モータ1の高トルク、高効率化に寄与できる。
【0062】
(変形例)
図7は、変形例1のコアピース20Aの斜視図である。図8は、変形例2のコアピース20Bの斜視図である。
以下、第1実施形態に採用可能な変形例1、および変形例2のコアピース20A、20Bについて説明する。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
変形例1、および変形例2のコアピース20A、20Bは、上述の実施形態と比較して、拡張ティース部22A、22Bの構成が異なる。変形例1、および変形例2の拡張ティース部22A、22Bは、上述の実施形態と同様に、サイドマグネットの下面41bに対し下側に突出し、コアピース本体部21よりも周方向の幅寸法が大きい。変形例1、および変形例2の拡張ティース部22A、22Bは、径方向外側に向かうに従い、拡張ティース部22A、22Bの周方向の幅寸法を段階的に大きくする。
【0064】
図7に示すように、変形例1の拡張ティース部22Aは、第1部分22Aaと第2部分22Abとを有する。第2部分22Abは、第1部分22Aaに対し径方向外側に位置する。第2部分22Abの周方向の幅寸法は、第1部分22Aaの周方向の幅寸法よりも大きい。
【0065】
変形例1のコアピース20Aは、2種類の電磁鋼板(鋼板)29Aa、29Abを径方向に積層することで構成される。2種類の電磁鋼板29Aa、29Abは、拡張ティース部22Aの幅寸法が互いに異なる。一方の電磁鋼板29Aaは、第1部分22Aaを構成し、他方の電磁鋼板29Abは、第2部分22Abを構成する。第2部分22Abを構成する電磁鋼板29Abは、第1部分22Aaを構成する電磁鋼板29Aaよりも拡張ティース部22Aの幅寸法が大きく、他の部分については同形状である。
【0066】
図8に示すように、変形例2の拡張ティース部22Bは、第1部分22Baと第2部分22Bbと第3部分22Bcとを有する。第2部分22Bbは、第1部分22Baに対し径方向外側に位置する。第2部分22Bbの周方向の幅寸法は、第1部分22Baの周方向の幅寸法よりも大きい。第3部分22Bcは、第2部分22Bbに対し径方向外側に位置する。第3部分22Bcの周方向の幅寸法は、第2部分22Bbの周方向の幅寸法よりも大きい。
【0067】
変形例2のコアピース20Bは、3種類の電磁鋼板(鋼板)29Ba、29Bb、29Bcを径方向に積層することで構成される。3種類の電磁鋼板29Ba、29Bb、29Bcは、拡張ティース部22Bの幅寸法が互いに異なる。1つの電磁鋼板29Baは、第1部分22Baを構成し、他の1つの電磁鋼板29Bbは、第2部分22Bbを構成し、残る1つの電磁鋼板29Bcは、第3部分22Bcを構成する。第2部分22Bbを構成する電磁鋼板29Bbは、第1部分22Baを構成する電磁鋼板29Baよりも拡張ティース部22Bの幅寸法が大きく、他の部分については同形状である。第3部分22Bcを構成する電磁鋼板29Bcは、第2部分22Bbを構成する電磁鋼板29Bbよりも拡張ティース部22Bの幅寸法が大きく、他の部分については同形状である。
【0068】
図1に示すように、ステータ60のロータ対向面64aは、径方向外側に向かうに従い、周方向の寸法が大きくなる扇状である。変形例1、および変形例2のコアピース20A、20Bによれば、ステータ対向面22aの形状をステータ60のコア部64のロータ対向面64aに合わせて、径方向外側で周方向に大きくすることができる。これにより、ロータ2の回転時にステータ対向面22aが、ステータ60のコア部64から広い領域で力を受けることができ、モータ1のトルクを高めることができる。
【0069】
また、変形例1、および変形例2によれば、それぞれコアピース20A、20Bを構成する複数の電磁鋼板には、拡張ティース部22A、22Bの周方向の幅寸法が異なる複数種類の鋼板が含まれる。これにより、拡張ティース部22A、22Bの周方向の幅寸法が、径方向に沿って段階的に変化するコアピース20A、20Bを安価に構成できる。
【0070】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態のモータ101の斜視図である。
第2実施形態のモータ101は、第1実施形態と比較して、設けられるロータ102の数が異なる。また、第2実施形態のモータ101は、第1実施形態と比較して、極数が異なる。さらに、第2実施形態のモータ101は、コアピース120の拡張ティース部122の構成として上述の変形例2の構成を採用している点が異なる。
【0071】
本実施形態のモータ101は、中心軸線Jに沿って延びる円柱状の回転シャフト2aと、1つロータ102と、ロータ102の下側(軸方向一方側)に配置される1つのステータ160と、を有する。
【0072】
ステータ160は、磁性体からなるステータコア160aと、複数のコイル162と、を有する。ステータコア160aは、中心軸線Jを囲む円環状のバックヨーク161と、バックヨーク161の上面から上側に突出する複数のコア部164と、を有する。本実施形態のステータ160には、12個のコア部164と12個のコイル162とが設けられる。コイル162は、コア部164の周囲に巻き回される。すなわち、本実施形態のステータ160は、12スロットである。
【0073】
コア部164は、軸方向に沿って柱状に延びる。コア部164は、上側(すなわち、ロータ102側)を向くロータ対向面164aを有する。コア部164の軸方向から見た形状は、角部にコーナーRが設けられる等脚台形状である。コア部164は、軸方向から見て互いに平行な二辺のうち短辺を径方向内側に配置し長辺を径方向外側に配置し、これらを繋ぐ長さの等しい二辺をそれぞれ径方向に沿って配置する。複数のコア部164は、周方向に等間隔に並ぶ。
【0074】
図10は、ロータ102の分解図である。ロータ102は、カバープレート130と、アウターフレームヨーク110と、マグネット群140と、複数のコアピース120と、インナーフレームヨーク115と、を有する。また、マグネット群140には、10個のサイドマグネット141と、10個のアウターマグネット142と、10個のインナーマグネット143と、が含まれる。一対のサイドマグネット141、アウターマグネット142、およびインナーマグネット143は、上述の実施形態と同様に、1つのコアピース120の周囲に配置される。
【0075】
アウターフレームヨーク110、およびインナーフレームヨーク115は、上述の実施形態と同様に中心軸線Jを囲む円環状である。インナーフレームヨーク115は、アウターフレームヨーク110の径方向内側に配置される。上述の実施形態と同様に、マグネット群140、および複数のコアピース120は、径方向において、インナーフレームヨーク115とアウターフレームヨーク110との間に配置される。アウターフレームヨーク110は、複数のアウターマグネット142に径方向外側から密着する。インナーフレームヨーク115は、複数のインナーマグネット143に径方向内側から密着する。
【0076】
カバープレート130は、上述の実施形態と同様に、アウターフレームヨーク110、マグネット群140、複数のコアピース120、およびインナーフレームヨーク115を上側から覆う。カバープレート130には、コアピース120の凸部123が挿入される複数のスロット131が設けられる。
【0077】
複数のコアピース120は、周方向に等間隔に並ぶ。本実施形態のロータ102には、10個のコアピース120が設けられ、これにより10個の磁極2N、2Sを構成する。すなわち、本実施形態のロータ102は、10極である。
【0078】
コアピース120は、コアピース本体部121と、拡張ティース部122と、凸部123と、を有する。コアピース本体部121は、上述の実施形態と同様に、一対のサイドマグネット141、アウターマグネット142、およびインナーマグネット143と密着する。
【0079】
拡張ティース部122は、上述の実施形態と同様に、サイドマグネットの下面141bより下側に突出しコアピース本体部121よりも幅方向に広がる。拡張ティース部122は、上述の変形例と同様に、径方向外側に向かうに従い、拡張ティース部122の周方向の幅寸法を段階的に大きくする。本実施形態によれば、上述の実施形態、およびその変形例と同様の効果を得ることができる。
【0080】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態のロータ202の分解図である。
第3実施形態のロータ202は、上述の第2実施形態のステータ160(図9参照)と組み合わせることでモータを構成する。第3実施形態のロータ202は、第1実施形態、および第2実施形態と比較して、主にコアピース220、およびサイドマグネット241の構成が異なる。
【0081】
ロータ202は、カバープレート230と、アウターフレームヨーク210と、マグネット群240と、複数のコアピース220と、インナーフレームヨーク215と、を有する。また、マグネット群240には、10個のサイドマグネット241と、10個のアウターマグネット242と、10個のインナーマグネット243と、が含まれる。一対のサイドマグネット241、アウターマグネット242、およびインナーマグネット243は、上述の実施形態と同様に、1つのコアピース220の周囲に配置される。
【0082】
アウターフレームヨーク210、およびインナーフレームヨーク215は、上述の実施形態と同様に中心軸線Jを囲む円環状である。インナーフレームヨーク215は、アウターフレームヨーク210の径方向内側に配置される。上述の実施形態と同様に、マグネット群240、および複数のコアピース220は、径方向において、インナーフレームヨーク215とアウターフレームヨーク210との間に配置される。アウターフレームヨーク210は、複数のアウターマグネット242に径方向外側から密着する。インナーフレームヨーク215は、複数のインナーマグネット243に径方向内側から密着する。
【0083】
カバープレート230は、上述の実施形態と同様に、アウターフレームヨーク210、マグネット群240、複数のコアピース220、およびインナーフレームヨーク215を上側から覆う。カバープレート230には、コアピース220の凸部223が挿入される複数のスロット231が設けられる。
【0084】
本実施形態のコアピース220は、例えば軟磁性複合材料から構成される。複数のコアピース220は、周方向に等間隔に並ぶ。本実施形態のロータ202には、10個のコアピース220が設けられ、これにより10個の磁極2N、2Sを構成する。すなわち、本実施形態のロータ202は、10極である。
【0085】
コアピース220は、コアピース本体部221と、拡張ティース部222と、凸部223と、を有する。コアピース本体部221は、軸方向に沿って柱状に延びる。コアピース本体部221の軸方向から見た形状は、等脚台形状である。コアピース本体部221は、軸方向から見て互いに平行な二辺のうち短辺を径方向内側に配置し長辺を径方向外側に配置し、これらを繋ぐ長さの等しい二辺を径方向に沿って配置する。
【0086】
コアピース本体部221は、周方向両側を向く一対の側面221aを有する。一対の側面221aは、それぞれ径方向に沿って延びる平坦面である。一対の側面221aは、径方向外側に向かうに従い互いに離間する。したがって、コアピース本体部221は、径方向外側に向かうに従い周方向の幅寸法を連続的に大きくする。
【0087】
本実施形態のサイドマグネット241は、周方向両側を向く一対の側面241aを有する。一対の側面241aは、互いに平行である。また、サイドマグネット241は、互いに反対側を向く他の面同士も互いに平行である。このため、本実施形態のサイドマグネット241は、直方体である。周方向に並ぶ一対のサイドマグネット241の間には、コアピース220が配置される。サイドマグネット241の側面241aは、コアピース本体部221の側面241aと密着する。本実施形態によれば、サイドマグネット241の一対の側面241aが互いに平行であるため、サイドマグネット241を安価に製造である。
【0088】
拡張ティース部222は、上述の実施形態と同様に、サイドマグネットの下面241bより下側に突出しコアピース本体部221よりも幅方向に広がる。本実施形態の拡張ティース部222は、径方向外側に向かうに従い周方向の幅寸法を連続的に大きくする。本実施形態のコアピース220によれば、ステータ対向面222aの形状をステータ160のコア部164のロータ対向面164aに合わせて、径方向外側で周方向に大きくすることができる。これにより、ロータ202の回転時にステータ対向面222aが、ステータ160のコア部164から広い領域で力を受けることができ、モータのトルクを高めることができる。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0090】
本発明が適用されるモータは、各種機器に適用可能である。モータは、例えば、発電機等の回転電機に適用できる。この場合、回転電機は、三相交流式の発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、例えば、車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。回転電機の極数およびスロット数は、特に限定されない。回転電機においてコイルはどのような巻き方で構成されていてもよい。以上、本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0091】
1,101…モータ、2,2A,2B,102,202…ロータ、10,110,210…アウターフレームヨーク、10e,21e,41e,42e,43e…内側面、15,115,215…インナーフレームヨーク、15d,21d,41d,42d,43d…外側面、20,20A,20B,120,220…コアピース、21,121,221…コアピース本体部、21a,41a,221a,241a…側面、22,22A,22B,122,222…拡張ティース部、23,123,223…凸部、29,29Aa,29Ab,29Ba,29Bb,29Bc…電磁鋼板(鋼板)、30,130,230…カバープレート、31,131,231…スロット、41,141,241…サイドマグネット、42,142,242…アウターマグネット、43,143,243…インナーマグネット、60,160…ステータ、J…中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11